説明

ノイズ除去装置

【課題】 画像信号に含まれる固定パターンノイズの除去に用いられる信号に突発的に混入されるノイズの影響を低減させる。
【解決手段】 ノイズ除去装置10は、受信部11、演算回路12、RAM13、減算回路14を有する。撮像素子20から出力される画像信号と黒色画像信号とを受信部11が読出す。受信部11から演算回路12に黒色画像信号を入力する。RAM13から演算回路12に基準除去信号を入力する。演算回路12は黒色画像信号と基準除去信号とに基づいて、新たな基準除去信号を生成する。新たな基準除去信号をRAM13に格納する。新たな基準除去信号を減算回路14に出力する。受信部11から入力される画像信号から新たな基準除去信号を減算することによって、減算回路14は画像信号の固定パターンノイズを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子などの撮像体の生成する画像信号から固定パターンノイズを除去するノイズ除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子を構成する画素からの出力信号は、同じ使用環境で同じ受光量、例えば暗時の受光量であれば等しいことが求められる。しかし、製造誤差により固定パターンノイズと呼ばれるノイズが発生する。
【0003】
そこで、暗時の受光量に相当する出力信号を予め固定パターンノイズとして記憶しておき、得られた出力信号から固定パターンノイズの除去が行われている(特許文献1)。また、開口部を遮光した黒色画素において生成する黒色画像信号を固定パターンノイズとして用い、得られた出力信号から固定パターンノイズの除去が行われている。
【0004】
しかし、黒色画像信号にも電気的、光学的ノイズが突発的に発生することがあり、このようなノイズが混入した黒色画像信号を固定パターンノイズの除去に用いると、電気的、光学的ノイズが撮像素子の出力信号に混入する点において問題であった。
【特許文献1】特開平9−23358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明では、固定パターンノイズの除去に用いられる信号に突発的に混入されるノイズの影響を低減させるノイズ除去装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のノイズ除去装置は、画像を形成する光の受光量に応じた画像信号と画像信号に含まれる固定パターンノイズを除去するためのノイズ除去信号とを生成する撮像体から、画像信号及びノイズ除去信号を読出す受信部と、受信部に第sのタイミングで読出される第sの画像信号に対応する第sのノイズ除去信号と第sの画像信号の前のタイミングで読出される第(s−1)の画像信号に対応する第(s−1)のノイズ除去信号とに基づいて第sの基準除去信号を生成する演算部と、第sの基準除去信号に基づいて第sの画像信号から固定パターンノイズを除去する除去部とを備えることを特徴としている。
【0007】
なお、第sの基準除去信号を格納する記憶手段を備え、記憶手段から出力した第sの基準除去信号と第sの画像信号の後に読出される第(s+1)の画像信号に対応する第(s+1)のタイミングで読出される第(s+1)のノイズ除去信号とに基づいて、演算部は第(s+1)の基準除去信号を生成することが好ましい。
【0008】
また、第(s+1)の基準除去信号は記憶手段から出力される第sの基準除去信号と第(s+1)のノイズ除去信号との平均値を求めることにより得られることが好ましい。
【0009】
また、第(s+1)の基準除去信号は第(s+1)のノイズ除去信号に対して第sの基準除去信号よりも大きな重み付けを施した荷重平均値を求めることにより得られることが好ましい。
【0010】
また、撮像体の撮像面の温度である面温度を測定する温度検出手段から面温度に相当する温度信号を演算部が取得し、演算部は面温度が大きくなるほど第(s+1)のノイズ除去信号に対して第sの基準除去信号よりも大きな重み付けを施すことが好ましい。
【0011】
また、受信部に読出される第(s−1)のノイズ除去信号を格納する記憶手段を備え、記憶手段から出力した第(s−1)のノイズ除去信号と演算部に入力された第sのノイズ除去信号とに基づいて演算部が第sの基準除去信号を生成することが好ましい。
【0012】
また、記憶手段は第sの画像信号の前に受信部によって時間差をおいて読出される複数の画像信号に対応する複数のノイズ除去信号を格納し、記憶手段から出力される複数のノイズ除去信号に基づいて演算部が第sの基準除去信号を生成することが好ましい。
【0013】
また、第sの基準除去信号は記憶手段から出力される複数のノイズ除去信号と第sのノイズ除去信号との平均値を求めることにより得られることが好ましい。
【0014】
また、第sの基準除去信号は受信部における読込みのときが第sのノイズ除去信号の読込みのときに近いほど大きな重み付けを複数のノイズ除去信号に対して施した荷重平均値を求めることにより得られることが好ましい。
【0015】
また、撮像体の撮像面の温度である面温度を測定する温度検出手段から面温度に相当する温度信号を演算部が取得し、演算部は面温度に応じた重み付けを複数のノイズ除去信号に対して施すことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、固定パターンノイズの除去に用いられる信号に突発的に混入されるノイズの影響を低減させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態を適用したノイズ除去装置を含む撮像装置の構成を概略的に示すブロック図である。撮像装置50は、撮像素子20(撮像体)、ノイズ除去装置10、及び信号処理回路30によって構成される。
【0018】
撮像素子20は、例えばCMOSイメージセンサである。撮像素子20の撮像面には、被写体像を形成する光が入射される。撮像素子20において、被写体像に相当する画像信号が生成する。画像信号には、固定パターンノイズが含まれる。撮像素子20において、固定パターンノイズを除去するための黒色画像信号も生成される。
【0019】
ノイズ除去装置10は、撮像素子20と信号処理回路30との間に設けられる。ノイズ除去装置10には、撮像素子20から画像信号と黒色画像信号とが送られる。また、撮像素子20に設けられる温度センサ23から撮像素子20の撮像面の温度である面温度がノイズ除去装置10に送られる。ノイズ除去装置10において、面温度と黒色画像信号に基づいて画像信号から固定パターンノイズを除去した画像信号が生成される。
【0020】
固定パターンノイズが除去された画像信号は、信号処理回路30に送られ、所定の信号処理が行われる。所定の信号処理が行われた画像信号は、メモリ(図示せず)に記憶され、または画像信号に対応する画像がLCDモニタ(図示せず)に表示される。
【0021】
図2は、撮像素子20の撮像面の構成を示す図である。撮像素子20の撮像面には、撮像領域RAと黒色画素領域BAとが設けられる。撮像領域RAには、複数の撮像画素21P(hi)がm行n列のマトリックスを形成するように並べられる。なお、撮像画素21P(hi)は撮像領域RAの下端を1行目、左端を1列目としたh行目i列目に配置される。
【0022】
黒色画素領域BAには、黒色画素21B(1、1)、…、21B(1、i)、…、21B(1、n)が、h行目の撮像画素21P(h、1)、…、21P(h、n)の形成する行と平行な行に並べられる。なお、第i列目に配列された撮像画素21P(h、i)と黒色画素21B(1、i)とは、一直線上に並べられる。
【0023】
第i列目に配列された黒色画素21B(1、i)及び撮像画素21P(1、i)、…、21P(m、i)は第iの垂直信号線24(i)に接続される。第iの垂直信号線24(i)は、第iの列選択トランジスタ25(i)を介して水平信号線26に接続される。
【0024】
それぞれの撮像画素21P(h、i)において、被写体像を形成する光の受光量に応じた信号電荷である画像信号が生成される。一方、黒色画素21B(1、i)の撮像面は遮光膜(図示せず)によって遮光されており、それぞれの黒色画素21B(1、i)において黒色に相当する信号電荷である黒色画像信号が生成される。
【0025】
撮像画素21P(h、i)では、撮像装置50をONにしてから1回目の画像信号生成のタイミングで第h行第i列の画像信号PS(h、i)、1が、2回目の生成のタイミングで第h行第i列の画像信号PS(h、i)、2が、…、s回目のタイミングで第h行第i列の画像信号PS(h、i)、sが生成される。
【0026】
黒色画素21B(1、i)では、撮像装置50をONにしてから1回目の黒色画像信号生成のタイミングで第i列の黒色画像信号BS(1、i)、1が、2回目の生成のタイミングで第i列の黒色画像信号BS(1、i)、2が、…、t回目のタイミングで第i列の黒色画像信号BS(1、i)、tが生成される。
【0027】
撮像画素21P(h、i)、黒色画素21B(1、i)、及び第iの列選択トランジスタ25(i)はそれぞれ、タイミングコントローラ(TC)40に接続される。それぞれの撮像画素21P(h、i)及び黒色画素21B(1、i)において生成した画像信号及びは黒色画像信号を出力するタイミングは、TC40によって制御される。
【0028】
撮像装置50をONにすると、TC40によって、すべての黒色画素21B(1、1)、…、21B(1、n)が選択される。選択された黒色画素21B(1、1)、…、21B(1、n)において1回目のタイミングの黒色画像信号BS(1、1)、1、…、BS(1、n)、1が生成され、それぞれ第1、…、第nの垂直信号線24(1)、…、24(n)に出力される。
【0029】
次に、第1、…、第nの列選択トランジスタ25(1)、…、25(n)が、順番にTC40によって選択される。第1の列選択トランジスタ25(1)が選択されることにより、第1の垂直信号線24(1)に出力された黒色画像信号BS(1、1)、1が、水平信号線26と出力部22とを介して撮像素子20の外部に出力される。
【0030】
同様に、第2、…、第nの列選択トランジスタ25(2)、…、25(n)が選択されることにより、第2、…、第nの垂直信号線24(2)、…、24(n)に出力された黒色画像信号BS(1、2)、1、…、BS(1、n)、1が順番に出力される。
【0031】
黒色画像信号BS(1n)1の出力が終わると、再び、すべての黒色画素21B(1、1)、…、21B(1、n)が選択される。選択された黒色画素21B(1、1)、…、21B(1、n)において2回目のタイミングの黒色画像信号BS(1、1)、2、…、BS(1、n)、2が生成され、それぞれ第1、…、第nの垂直信号線24(1)、…、24(n)に出力される。
【0032】
1回目に生成された黒色画像信号BS(1、1)、1、…、BS(1、n)、1と同様に、2回目に生成された黒色画像信号BS(1、1)、2、…、BS(1、n)、2も順番に水平信号線26と出力部22とを介して撮像素子20の外部に出力される。
【0033】
TC40はノイズ除去装置に設けられるカウンタ15(図1参照)に接続される。カウンタ15によって、すべての黒色画素21B(1、1)、…、21B(1、n)から演算回路12への黒色画像信号の入力回数が数えられる。
【0034】
なお、すべての黒色画像信号BS(1、1)、s、…、BS(1、n)、sが入力されたときを1回の入力として、カウンタ15において入力回数が数えられる。
【0035】
カウンタ15により、黒色画像信号の入力回数が所定の回数α回目に達するまで、TC40の制御により、1、2回目のタイミングと同様に黒色画素21B(1、1)、…、21B(1、n)において生成する黒色画像信号が出力される。
【0036】
黒色画像信号の入力回数がα回に達すると、次に受光動作が開始される。1回目のタイミングの受光動作において、黒色画素領域BAのすべての黒色画素21B(1、1)、…、21B(1、n)において(α+1)回目のタイミングの黒色画像信号の生成及び出力の後、撮像領域RAのすべての撮像画素において1回目のタイミングの画像信号の生成及び出力が実行される。
【0037】
1回目タイミングの受光動作について、さらに詳細に説明する。第n列の黒色画素21B(1、n)においてα回目のタイミングに生成された黒色画像信号BS(1、n)、αの出力が終わると、再び黒色画素21B(1、1)、…、21B(1、n)において(α+1)回目のタイミングの黒色画像信号BS(1、1)、(α+1)、…、BS(1、n)、(α+1)が生成され、撮像素子20の外部に出力される。
【0038】
第n列の黒色画素21B(1n)において(α+1)回目のタイミングに生成された黒色画像信号BS(1、n)、(α+1)の出力が終わると、撮像領域RAの第1行目の撮像画素21P(1、1)、…、21P(1、n)が選択される。選択された撮像画素21P(1、1)、…、21P(1、n)において1回目の画像信号PS(1、1)、1、…、PS(1、n)、1が生成され、第1、…、第nの垂直信号線24(1)、…、24(n)に出力される。
【0039】
次に、第1、…、第nの列選択トランジスタ25(1)、…、25(n)が、順番にTC40によって選択される。第1の列選択トランジスタ25(1)が選択されることにより、第1の垂直信号線24(1)に出力された画像信号PS(1、1)、1が水平信号線26と出力部22とを介して撮像素子20の外部に出力される。
【0040】
同様に、第2、…、第nの列選択トランジスタ25(2)、…、25(n)が選択されることにより、第2、…、第nの垂直信号線24(2)、…、24(n)に出力された画像信号PS(1、2)、1、…、PS(1、n)、1が順番に撮像素子20から出力される。
【0041】
撮像画素21P(1、n)において1回目に生成された画像信号PS(1、n)、1の出力が終わると、1回目のタイミングで生成した第1行の画像信号PS(1、i)、1、…、PS(1、n)、1と同様にして、第2行、…、第m行の撮像画素21P(2、1)、…、21P(2、n)、…、21P(m、1)、…、21P(m、n)において1回目のタイミングの画像信号PS(2、1)、1、…、PS(2、n)、1、…、PS(m、1)、1、…、PS(m、n)、1が生成され、順番に撮像素子20の外部に出力される。
【0042】
したがって撮像素子20からは、黒色画像信号BS(1、1)、(α+1)、…、BS(1、n)、(α+1)、画像信号PS(1、1)、1、…、PS(1、n)、1、…、PS(m、1)、1、…、PS(m、n)、1が、順番に出力される。
【0043】
1回目のタイミングで生成された第m行n列の画像信号PS(m、n)、1の出力後、再び、黒色画素21B(1、1)、…、21B(1、n)が選択され、以後同様に(α+2)回目タイミングの黒色画像信号BS(1、1)、(α+2)、…、BS(1、n)、(α+2)、及び2回目の画像信号PS(1、1)、2、…、PS(1、n)、2、…、PS(m、1)、2、…、PS(m、n)、2が順に出力される。
【0044】
以後、同様にs回目の受光動作では、黒色画像信号BS(1、1)、(α+s)、…、BS(1、n)、(α+s)、画像信号PS(1、1)、s、…、PS(1、n)、s、…、PS(m、1)、s、…、PS(m、n)、sが、順番に出力される。
【0045】
なお、第iの垂直信号線24(i)に出力される黒色画像信号BS(1、i)、(α+s)は、同じタイミングsの受光動作で、同一の垂直信号線に出力される画像信号PS(1、i)、s、…、PS(m、i)、sから固定パターンノイズの除去を行う基準となる信号としてそれぞれの画像信号PS(1、i)、s、…、PS(m、i)、sに対応している。
【0046】
例えば、第1列の黒色画像信号BS(1,1)、(α+s)は、同じsのタイミングの受光動作で第1の垂直信号線24(1)に出力される第1列の画像信号PS(1、1)、s、…、PS(m、1)、sに対応している。
【0047】
図1において、ノイズ除去装置10は、受信部11、演算回路12(演算部)、RAM13(記憶手段)、及び減算回路14(除去部)によって構成される。
【0048】
受信部11は撮像素子20に接続される。受信部11において画像信号及び黒色画像信号が読出される。また、受信部11において読出された画像信号及び黒色画像信号はA/Dコンバータ(図示せず)によってA/D変換される。
【0049】
受信部11の出力端は演算回路12に接続される。演算回路12はTC40に接続される。受信部11から黒色画像信号が入力されるように、演算回路12はTC40によって制御される。また、演算回路12は温度センサ23に接続される。前述のように、温度センサ23により検出された面温度に相当する温度信号が、演算回路12に出力される。
【0050】
演算回路12は、RAM13に接続される。図3に示すように、RAM13には黒色画像信号を格納する領域13Bと後述する基準除去信号を格納する領域13Sとが設けられる。また、黒色画像信号を格納する領域13Bには、1回目、…、α回目のタイミングで生成される黒色画像信号BS(1、1)、1、…、BS(1、n)、1、…、BS(1、1)、α、…、BS(1、n)、αがそれぞれ格納される領域が定められる。
【0051】
撮像装置50がONとなると、1回目のタイミングで黒色画像信号BS(1、1)、1、…、BS(1、n)、1が生成され、演算回路12に順番に入力される。第1列の黒色画像信号BS(1、1)、1が演算回路12に入力されると、黒色画像信号BS(1、1)、1は演算回路12により、RAM13における定められた領域に格納される。
【0052】
同様に、第2列、…、第n列の黒色画像信号BS(1、2)、1、…、BS(1、n)、1がRAM13においてそれぞれ定められた領域に格納される。
【0053】
次に、2回目のタイミングで黒色画像信号BS(1、1)、2、…、BS(1、n)、2が生成される。その後、1回目のタイミングで生成した黒色画像信号BS(1、1)、1、…、BS(1、n)、1と同様に、2回目のタイミングで生成した黒色画像信号はBS(1、1)、2、…、BS(1、n)、2は演算回路12を介してRAM13においてそれぞれ定められた領域に格納される。
【0054】
以後、同様にして、3回目、…、α回目のタイミングで生成した黒色画像信号BS(1、1)、3、…、BS(1、n)、3、…、BS(1、1)、α、…、BS(1、n)、αが,RAM13においてそれぞれ定められた領域に格納される。
【0055】
次に、RAM13に格納した黒色画像信号に基づいて、演算回路12において基準除去信号が生成される。なお、基準除去信号は、黒色画素と撮像画素とによって形成される列毎に求められる。第i列の基準除去信号SS(i)は、第i列の黒色画素21B(1、i)と、撮像画素21P(h、i)とに対応付けられる。
【0056】
基準除去信号の生成について説明する。まず、1回目、…、α回目のタイミングに生成した第1列の黒色画像信号BS(1、1)、1、…、BS(1、n)、αが、RAM13から演算回路12に読出される。読出した黒色画像信号BS(1、1)、1、…、BS(1、n)、αの平均値を求めることにより、演算回路12において、第1列の基準除去信号SS(1)が生成される。
【0057】
図3に示すように、基準除去信号を格納する領域13Sにおいて第1列、…、第n列の基準除去信号SS(1)、…、SS(n)を格納する領域が定められている。生成された第1列目の基準除去信号SS(1)は、RAM13において定められた領域に格納される。
【0058】
同様に、第2、…、第n列の基準除去信号SS(2)、…、SS(n)が、演算回路12において生成され、それぞれRAM13の定められた領域に格納される。
【0059】
第(α+1)回目のタイミングで第i列の黒色画像信号BS(1、i)、(α+1)が受信部11に入力されると、黒色画像信号BS(1、i)、(α+1)は受信部11から演算回路12に入力される。
【0060】
また、RAM13からは、対応する第i列の基準除去信号SS(i)が演算回路12に読出される。演算回路12において、黒色画像信号BS(1、i)、(α+1)と基準除去信号SS(i)とに基づいて基準除去信号の更新が行われる。
【0061】
基準除去信号の更新は、黒色画像信号BS(1、i)、(α+1)に対してRAM13に格納されていた基準除去信号SS(i)より大きな重み付けを施した荷重平均値を求めることにより行なわれる。更新された基準除去信号は、RAM13の定められた領域に格納される。
【0062】
また、基準除去信号SS(i)と黒色画像信号BS(1、i)、(α+1)とへの重み付けは、黒色画像信号BS(1、i)、(α+1)が入力されるときの面温度に応じてそれぞれ変更される。演算回路12に接続されるROM(図示せず)には、検出された面温度に応じた重み付けが記憶されている。
【0063】
演算回路12によって、温度センサ23から出力された温度信号に対応する重み付けが選択される。選択された重み付けを用いて、基準除去信号SS(i)との更新が行なわれる。なお、面温度が高くなるほど、基準除去信号SS(i)より黒色画像信号BS(1、i)、(α+1)への重み付けが大きくなるように定められる。
【0064】
以後、第(α+s)回目のタイミングで生成した黒色画像信号BS(1、i)、(α+s)が受信部11に入力されるたびに、基準除去信号SS(i)は更新され,RAM13に格納される。
【0065】
演算回路12は、減算回路14に接続される。また、減算回路14は受信部11の出力端に接続される。第s回目のタイミングで第i列の画像信号PS(h、i)、sが撮像素子20から受信部11に送信されると、画像信号PS(h、i)、sはそのまま減算回路14に入力される。
【0066】
第i列の画像信号PS(h、i)、sが減算回路14に入力されるのと同じタイミングで、第i列の画像信号PS(h、i)、sに対応する第i列の基準除去信号SS(i)がRAM13から演算回路12に読出され、減算回路14に出力される。演算回路12によるRAM13からの読出し、及び減算回路14への出力の動作は、TC40によって制御される。
【0067】
減算回路14において、第i列の画像信号PS(h、i)、sから第i列の基準除去信号SS(i)を減算することにより、第i列の画像信号PS(h、i)、sに含まれる固定パターンノイズが除去される。
【0068】
次に、上述のような構成であるノイズ除去装置10の動作について図4、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0069】
ノイズ除去装置10を含めた撮像装置50がONになることにより、ノイズ除去装置10によるノイズ除去の処理が開始する。まず、ステップS100において、カウンタ15における入力回数をゼロ回にリセットする。
【0070】
次のステップS101において、撮像素子20から送られる第i列の黒色画像信号BS(1、i)、sを受信部11を介して演算回路12に入力する。また、入力された黒色画像信号をRAM13の定められた領域に格納する。
【0071】
次のステップS102では、入力された黒色画像信号の列が第n列であるか否か判断する。第n列でない場合は、ステップS101に戻り、ステップS101、ステップS102の処理を繰返す。ステップS102において第n列であると判断すると、次のステップS103に進む。
【0072】
ステップS103では、カウンタ15の入力回数に1回分加算して、ステップS104に進む。ステップS104において、カウンタ15における入力回数が、所定のα回以上であるか否か確認する。α回未満である場合はステップS101に戻り、カウンタ15における入力回数がα回以上になるまで、ステップS101〜ステップS104の処理を繰返す。
【0073】
ステップS104において、α回以上である場合は次のステップS105に進む。ステップS105では、RAM13に格納された1回目、…、α回目のタイミングで生成された黒色画像信号を列毎に、RAM13から読出す。次のステップS106では、読出した黒色画像信号の平均値を算出することにより、すべての列の基準除去信号SS(1)、…、SS(n)を生成する。
【0074】
次にステップS107に進み、生成した基準除去信号をRAM13の定められた領域に格納する。全列の基準除去信号の格納が終わると、ステップS108に進み受光動作の処理が始まる。
【0075】
ステップS108では、列毎に黒色画像信号BS(1、i)、(α+s)を演算回路12に入力する。黒色画像信号BS(1、i)、(α+s)が入力されると、ステップS109において、温度センサ23において検出される温度信号TS(1、i)、(α+s)を演算回路12に入力する。さらに、ステップS110において、演算回路12に入力された黒色画像信号に対応する基準除去信号SS(i)を、RAM13から演算回路12に読み出す。
【0076】
次のステップS111では、演算回路12に入力された黒色画像信号BS(1、i)、(α+s)、基準除去信号SS(i)、及び温度信号TS(1、i)、(α+s)に基づいて、基準除去信号SS(i)を再生成、すなわち基準除去信号の更新を行う。ステップS111において、全列の基準除去信号SS(1)、…、SS(n)の再度の生成が終了すると、ステップS112に進む。
【0077】
ステップS112では、ステップS111において再度、生成した基準除去信号SS(1)、…、SS(n)それぞれをRAM13の定められた領域に格納する。次のステップS113では、撮像画素21P(1、1)、…、21P(1、n)、…、21P(m、1)、…、21P(m、n)において生成する画像信号PS(1、1)、s、…、PS(1、n)、s、…、PS(m、1)、s、…、PS(m、n)、sを順番に受信部11から減算回路14に入力する。
【0078】
次のステップS114において、減算回路14への第i列の画像信号PS(h、i)、sの入力に対して、第i列の基準除去信号SS(i)をRAM13から読出して、減算回路14に入力する。ステップS115では、基準除去信号SS(i)を画像信号PS(h、i)、sから減算することにより、画像信号に含まれる固定パターンノイズを除去する。
【0079】
次のステップS116では、ノイズ除去を行った画像信号の列が第m行第n列であるか否か判断する。第m行第n列でない場合は、ステップS108に戻り、別の行または別の列の画像信号からノイズ除去を行うためにステップS108〜ステップS116の処理を繰返す。ステップS116において、第m行第n列である場合は、ステップS117に進む。
【0080】
ステップS117では、ノイズ除去装置10の動作がOFF、すなわち電源がOFFに切替えられるか否か確認する。ノイズ除去装置10の動作がOFFでない場合は、ステップS108に戻り、OFFになるまでステップS108〜ステップS117の処理を繰返す。ステップS117において、ノイズ除去装置10の動作がOFFに切替えられる場合は、本実施形態におけるノイズ除去処理を終了する。
【0081】
以上のような構成である本実施形態を適用したノイズ除去装置によれば、撮像素子20の画像信号に含まれる固定パターンノイズを除去するための基準除去信号を以前に取得した黒色画像信号を含む複数の黒色画像信号に基づいて生成するため、安定した基準除去信号を得ることが可能になる。
【0082】
従って、単一の黒色画像信号を基準除去信号として固定パターンノイズの除去に用いる場合に比べて、突発的に黒色画像信号に混入する電気的または光学的ノイズの影響を低減させることが可能になる。
【0083】
また、新たに演算回路12に入力される黒色画像信号に対してRAM13から入力される基準除去信号より大きな重み付けをすることにより、黒色画像信号の変化を基準除去信号に早期に反映させることが可能になる。
【0084】
また、黒色画像信号は撮像面の温度に応じて変化するが、撮像面の温度に応じて重み付けを変えることにより、黒色画像信号を生成したとき使用環境の違いにより面温度が異なっていても、適正な基準除去信号を求めることが可能である。
【0085】
次に、第2の実施形態を適用したノイズ除去装置について説明する。第2の実施形態は、RAMの構成と演算回路の機能とが第1の実施形態と異なる。以後、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能を有する部位は同じ符号をつけている。
【0086】
画像信号及び黒色画像信号が受信部11において撮像素子20から読出され、A/D変換されることは、第1の実施形態と同じである。受信部11から黒色画像信号が、温度センサ23から温度信号が、演算回路12に入力されることは第1の実施形態と同じである。
【0087】
本実施形態では、RAM130における、信号を格納する領域の構成が第1の実施形態と異なる。図6に示すように、RAM130には黒色画像信号を格納する領域130Bと温度信号を格納する領域130Tとが設けられる。
【0088】
黒色画像信号を格納する領域130Bには、新たに演算回路12に入力された黒色画像信号BS(1、1)、(s-1)、…、BS(1、n)、(s-1)、1回前のタイミングで入力された黒色画像信号BS(1、1)、(s-2)、…、BS(1、n)、(s-2)、…、(α−1)回前のタイミングで入力された黒色画像信号BS(1、1)、(s-α)、…、BS(1、n)、(s-α)がそれぞれ格納される領域である第1、第2、…、第α黒信号領域130B(s-1)、130B(s-2)、…、130B(s-α)が定められる。
【0089】
また、温度信号を格納する領域130Tには、新たに演算回路12に入力された黒色画像信号BS(1、1)、(s-1)、…、BS(1、n)、(s-1)を生成したときの温度信号TS(1、1)、(s-1)、…、TS(1、n)、(s-1)、1回前のタイミングで入力された黒色画像信号BS(1、1)、(s-2)、…、BS(1、n)、(s-2)を生成したときの温度信号TS(1、1)、(s-2)、…、TS(1、n)、(s-2)、…、(α−1)回前のタイミングで入力された黒色画像信号BS(1、1)、(s-α)、…、BS(1、n)、(s-α)を生成したときの温度信号TS(1、1)、(s-α)、…、TS(1、n)、(s-α)がそれぞれ格納される領域である第1、第2、…、第α温度信号領域130T(s-1)、130T(s-2)、…、130T(s-α)が定められる。
【0090】
撮像装置50がONとなると、黒色画像信号BS(1、1)、1〜BS(1、n)、1が演算回路12に順番に入力されることは、第1の実施形態と同じである。1回目のタイミングで生成した黒色画像信号BS(1、1)、1、…、BS(1、n)、1は、RAM130の第1黒信号領域130B(s-1)に格納される(図7参照)。
【0091】
また、黒色画像信号が生成されるタイミングと同じときに温度センサにおいて検出される温度信号が、演算回路12に順番に入力される。1回目のタイミングで生成した温度信号TS(1、1)、1、…、TS(1、n)、1は、RAM130の第1温度信号領域130T(s-1)に格納される。
【0092】
次に、2回目のタイミングで生成した黒色画像信号BS(1、1)、2、…、BS(1、n)、2が演算回路12に入力されると、第1黒信号領域130B(s-1)に格納されている1回目のタイミングで生成した黒色画像信号BS(1、1)、1、…、BS(1、n)、1は、第2黒信号領域130B(s-2)に格納される。新たに演算回路12に入力された2回目のタイミングで生成した黒色画像信号BS(1、1)、2、…、BS(1、n)、2は、第1黒信号領域130B(s-1)に格納される。
【0093】
また、2回目のタイミングで生成した温度信号TS(1、1)、2、…、TS(1、n)、2が演算回路12に入力されると、第1温度信号領域130T(s-1)に格納されている1回目のタイミングで生成した温度信号TS(1、1)、1、…、TS(1、n)、1は、第2温度信号領域130T(s-2)に格納される。新たに演算回路12に入力された2回目のタイミングで生成した温度信号TS(1、1)、2、…、TS(1、n)、2は、第1温度信号領域130TS(s-1)に格納される。
【0094】
以後、同様に演算回路12に黒色画像信号が入力されるたびに、第1、…、第(α−1)黒信号領域130B(s-1)、…、130B(s-α+1)に格納されていた黒色画像信号は、それぞれ第2、…、第α黒信号領域130B(s-2)、…、130B(s-α)に格納される。また、新たに演算回路12に入力された黒色画像信号は、第1黒信号領域130B(s-1)に格納される。
【0095】
すなわち、第2…、第α黒信号領域130B(s-2)、…、130B(s-α)に格納される黒色画像信号は、第1、…、第(α−1)黒信号領域130B(s-1)、…、130B(s-α+1)に格納されていた黒色画像信号によって更新される。また、第1黒信号領域130B(s-1)に格納される黒色画像信号は、新たに演算回路12に入力された黒色画像信号によって更新される。
【0096】
また、同様に演算回路12に温度信号が入力されるたびに、第1、…、第(α−1)温度信号領域130T(s-1)、…、130T(s-α+1)に格納されていた黒色画像信号は、それぞれ第2、…、第α温度信号領域130T(s-2)、…、130T(s-α)に格納される。また、新たに演算回路12に入力された温度信号は、第1温度信号領域130T(s-1)に格納される。
【0097】
(α+1)回目のタイミングで生成した黒色画像信号BS(1、1)、(α+1)、…、BS(1、n)、(α+1)を第α黒信号領域130B(s-α)に、温度信号TS(1、1)、(α+1)、…、TS(1、n)、(α+1)を第α温度信号領域130T(s-α)に格納した後に、演算回路12において基準除去信号が生成される。
【0098】
まず、第1、…、第α黒信号領域130B(s-1)、…、130B(s-α)に格納されている第1列の黒色画像信号BS(1、1)、2、…、BS(1、1)、(α+1)がRAM130から演算回路12に読出される。
【0099】
また、第1、…、第α温度信号領域130T(s-1)、…、130T(s-α)に格納されている第1列の黒色画素21B(1、1)において黒色画像信号を生成したときに検出した第1列の温度信号TS(1、1)、2、…、TS(1、1)、(α+1)がRAM130から演算回路12に読出される。
【0100】
基準除去信号は、演算回路12に黒色画像信号が読込まれたタイミングと黒色画像信号を生成するときの温度とによって重み付けを施した黒色画像信号BS(1、1)、2、…、BS(1、1)、(α+1)の荷重平均値として生成される。重み付けは、RAM130に格納したタイミングが過去に遡るほど、あるいは黒色画像信号を生成したときの面温度が低いほど低くなるように定められる。
【0101】
例えば、重み付けは、重み付けのタイミング成分と面温度成分とを乗ずることによって求められる。
【0102】
第1黒信号領域130B(s-1)に格納された黒色画像信号BS(1、1)、2のタイミング成分は1に、第2黒信号領域130B(s-2)に格納された黒色画像信号BS(1、1)、3のタイミング成分は1/2に、…、第α黒信号領域130B(s-α)に格納された黒色画像信号BS(1、1)、(α-1)のタイミング成分は1/αに定められる。また、温度信号に対応する面温度に応じて大きくなる面温度成分FTが定められる。
【0103】
したがって、第1黒信号領域130B(s-1)に格納された黒色画像信号に対して施される重み付けとしてFT(s-1)/1が、第2黒信号領域130B(s-2)に格納された黒色画像信号に対して施される重み付けとしてFT(s-2)/2が、…、第α黒信号領域130B(s-α)に格納された黒色画像信号に対して施される重み付けとしてFT(s-α)/αが求められる。
【0104】
演算回路12において、黒色画像信号とそれぞれの重み付けに基づいて第1列の基準除去信号SS(1)が生成される。生成した第1列の基準除去信号SS(1)が減算回路14に出力される。なお、第1列の画像信号21P(h、1)が減算回路14に入力されるタイミングと同じタイミングで、第1列の基準除去信号SS(1)の生成と減算回路14への出力が行なわれる。
【0105】
同様に、第1、…、第α黒信号領域130B(s-1)、…、130B(s-α)に格納されている第2列の黒色画像信号BS(1、2)、2、…、BS(1、2)、(α+1)がRAM130から演算回路12に読出される。
【0106】
また、第1、…、第α温度信号領域130T(s-1)、…、130T(s-α)に格納されている第2列の黒色画素21B(1、2)において黒色画像信号を生成したときに生成した第2列の温度信号TS(1、2)、2、…、TS(1、2)、(α+1)がRAM130から演算回路12に読出される。
【0107】
RAM130から読み出した第2列の黒色画像信号BS(1、2)、2、…、BS(1、2)、(α+1)と温度信号TS(1、2)、2、…、TS(1、2)、(α+1)とに基づいて、演算回路12において第2列の基準除去信号SS(2)が生成される。生成された基準除去信号は、減算回路14に出力される。
【0108】
以後、同様にして第3、…、第n列の基準除去信号SS(3)、…、SS(n)が演算回路12において生成され、減算回路14に出力される。
【0109】
以上のように、減算回路14には、第i列の撮像素子21P(h、i)において生成する画像信号PS(h、i)、sと第i列の基準除去信号SS(i)とが入力される。減算回路14において画像信号PS(h、i)、sから第i列の基準除去信号SS(i)を減算される。減算により、画像信号に含まれる固定パターンノイズが除去されることは第1の実施形態と同じである。
【0110】
次に、本実施形態のノイズ除去装置10の動作について図8のフローチャートを用いて説明する。
【0111】
ノイズ除去装置10を含めた撮像装置50がONになることにより、ノイズ除去装置10によるノイズ除去の処理が開始する。まず、ステップS200において、カウンタ15における入力回数をゼロ回にリセットする。次のステップS201において、撮像素子20から送られる第i列の黒色画像信号BS(1、i)、sを、受信部11を介して演算回路12に入力する。
【0112】
次にステップS202に進み、第2、…、第α黒信号領域130B(s-2)、…、130B(s-α)に格納されている第iの黒色画像信号BS(1、i)、(s-2)、…、BS(1、i)、(s-α)を第1、…、第(α−1)黒信号領域130B(s-2)、…、130B(s-α)に格納されていた黒色画像信号BS(1、i)、(s-1)、…、BS(1、i)、(s-α+1)に更新する。また、第1黒色信号領域130B(s-1)に格納されていた第iの黒色画像信号BS(1、i)、(s-1)を新たに演算回路12に入力された黒色画像信号BS(1、i)、sに更新する。
【0113】
次のステップS203では、温度センサ23から送られる第i列の温度信号TS(1、i)、sを、演算回路12に入力して、ステップS204に進む。
【0114】
ステップS204では、第2、…、第α温度信号領域130T(s-2)、…、130T(s-α)に格納されている第iの温度信号TS(1、i)、(s-2)、…、TS(1、i)、(s-α)を第1、…、第(α−1)温度信号領域130T(s-1)、…、130T(s-α+1)に格納されていた温度信号TS(1、i)、(s-1)、…、TS(1、i)、(s-α+1)に更新する。また、第1温度信号領域130T(s-1)に格納されていた第iの温度信号TS(1、i)、(s-1)を新たに演算回路12に入力された温度信号TS(1、i)、sに更新する。
【0115】
更新を終えるとステップS205に進み、入力された黒色画像信号の列が第n列であるか否か確認する。第n列でない場合は、ステップS201に戻り、ステップS201〜ステップS205の処理を繰返す。ステップS205において、第n列である場合は、次のステップS206に進む。
【0116】
ステップS206では、カウンタ15の入力回数に1回分加算して、ステップS207に進む。ステップS207では、カウンタ15の入力回数が(α+1)回以上であるか否か確認する。(α+1)回未満である場合は、ステップS201に戻り、再びステップS201〜ステップS207の処理を繰返す。ステップS207において、(α+1)回以上である場合は、ステップS208に進む。
【0117】
ステップS208では、第i列の黒色画像信号BS(1、i)、s、…、BS(1、i)、(s-α+1)と温度信号TS(1、i)、s、…、TS(1、i)、(s-α+1)とをRAM130から、演算回路12に読出し、ステップS209に進む。ステップS209において、読出した第i列の黒色画像信号BS(1、i)、s、…、BS(1、i)、(s-α+1)と温度信号TS(1、i)、s、…、TS(1、i)、(s-α+1)とに基づいて第i列の基準除去信号SS(i)を生成する。
【0118】
次にステップS210に進み、第i列の基準除去信号SS(i)を減算回路14に入力する。次のステップS211では、受信部11に読出される第h行第i列の画像信号PS(h、i)、sを減算回路14に出力して、ステップS212に進む。
【0119】
ステップS212において、第i列の基準除去信号SS(i)を第i列の画像信号PS(h、i)、sから減算することにより、画像信号に含まれる固定パターンノイズを除去する。ノイズ除去後、ステップS213に進み、ノイズ除去を行った画像信号の列が第m行第n列であるか否か判断する。
【0120】
第m行第n列でない場合は、ステップS208に戻り、別の行または別の列の画像信号からノイズ除去を行うためにステップS208〜ステップS213の処理を繰返す。ステップS213において第m行第n列である場合は、ステップS214に進む。
【0121】
次のステップS214では、ノイズ除去装置10の動作がOFF、すなわち電源がOFFに切替えられるか否か確認する。ノイズ除去装置10の動作がOFFでない場合は、ステップS201に戻り、OFFになるまでステップS201〜ステップS214の処理を繰返す。ステップS214において、ノイズ除去装置10の動作がOFFに切替えられる場合は、本実施形態におけるノイズ除去処理を終了する。
【0122】
以上のように、本実施形態によっても、画像信号に含まれる固定パターンノイズを除去するための基準除去信号を以前に取得した黒色画像信号を含む複数の黒色画像信号に基づいて生成するため、安定した基準除去信号を得ることが可能になる。
【0123】
また、本実施形態によれば、現在からα回分前に生成した黒色画像信号までしか用いないため、例えば、過去に黒色画像信号に突発的なノイズが発生した場合にも、その影響は時間の経過とともに完全に消滅させることが可能になる。
【0124】
また、本実施形態においても直近の黒色画像信号に対してより大きな重み付けを施すことにより黒色画像信号の変化を基準除去信号に早期に反映させることが可能である。また、撮像面の温度に応じて重み付けを変えることにより、黒色画像信号を生成したときタイミングの違いにより面温度が異なっていても、適正な基準除去信号を求めることが可能である。
【0125】
なお、第1、第2の実施形態において、基準除去信号と黒色画像信号と、或いは複数の黒色画像信号の荷重平均値を基準除去信号として生成する構成であるが、算術平均値として生成してもよいし、過去に入力された黒色画像信号が反映されるいかなる基準除去信号を生成しても、第1、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0126】
また、第1、第2の実施形態において、第i列の画像信号に対応する黒色画像信号は、同じ列の黒色画像信号であって、同じタイミングの受光動作、すなわち前のタイミングであって直近に生成された黒色画像信号であったが、1つ前でも2つ前のタイミングで生成された黒色画像信号であってもよいし、反対に後のタイミングで生成された黒色画像信号であってもよい。
【0127】
また、第1、第2の実施形態において列毎に単一の黒色画素を備える構成であったが、列毎に複数の黒色画素を備える構成であってもよい。複数の黒色画素を備える構成の場合は、同一の列に配置された複数の黒色画素それぞれにおいて生成される黒色画像信号の平均値をその列の撮像画素のノイズ除去のための黒色画素信号として用いればよい。
【0128】
また、第1、第2の実施形態において撮像素子にCMOSイメージセンサを適用したが、例えばCCDなどであってもよく、画像を形成する光の受光量に応じた画像信号と画像信号に含まれる固定パターンノイズを除去するためのノイズ除去信号、例えば黒色画像信号などとを出力可能な、いかなる撮像素子であってもよい。
【0129】
また、第1、第2の実施形態では、列毎に黒色画素を設ける構成であるが、行毎に黒色画素を設ける構成であってもよい。ただし、行毎に黒色画素を設ける場合は、第1、第2の実施形態において行なわれた動作の行と列を入れ替えた動作を行なうことにより、第1、第2の実施形態と同様の効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の第1の実施形態を適用したノイズ除去装置を含む撮像装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】撮像素子の概略構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態のRAMの構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態を適用したノイズ除去装置におけるノイズ除去の処理を説明するための第1のフローチャートである。
【図5】第1の実施形態を適用したノイズ除去装置におけるノイズ除去の処理を説明するための第2のフローチャートである。
【図6】第2の実施形態のRAMの構成を示す図である。
【図7】第2の実施形態を適用したノイズ除去装置の始動初期におけるRAMに対する格納動作を説明するための図である。
【図8】第2の実施形態を適用したノイズ除去装置におけるノイズ除去の処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0131】
10 ノイズ除去装置
11 受信部
12 演算回路
13、130 RAM
14 減算回路
20 撮像素子
21P(h、m) 撮像画素
21B(1、m) 黒色画素
22 出力部
30 信号処理回路
40 タイミングコントローラ(TC)
50 撮像装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する光の受光量に応じた画像信号と前記画像信号に含まれる固定パターンノイズを除去するためのノイズ除去信号とを生成する撮像体から、前記画像信号及び前記ノイズ除去信号を読出す受信部と、
前記受信部に第sのタイミングで読出される第sの画像信号に対応する第sのノイズ除去信号と、前記第sの画像信号の前のタイミングで読出される第(s−1)の画像信号に対応する第(s−1)のノイズ除去信号とに基づいて第sの基準除去信号を生成する演算部と、
前記第sの基準除去信号に基づいて、前記第sの画像信号から固定パターンノイズを除去する除去部とを備える
ことを特徴とするノイズ除去装置。
【請求項2】
前記第sの基準除去信号を格納する記憶手段を備え、
前記記憶手段から出力した前記第sの基準除去信号と、前記第sの画像信号の後に読出される第(s+1)の画像信号に対応する第(s+1)のタイミングで読出される第(s+1)のノイズ除去信号とに基づいて、前記演算部は前記第(s+1)の基準除去信号を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズ除去装置。
【請求項3】
前記第(s+1)の基準除去信号は、前記記憶手段から出力される前記第sの基準除去信号と前記第(s+1)のノイズ除去信号との平均値を求めることにより得られることを特徴とする請求項2に記載のノイズ除去装置。
【請求項4】
前記第(s+1)の基準除去信号は、前記第(s+1)のノイズ除去信号に対して前記第sの基準除去信号よりも大きな重み付けを施した荷重平均値を求めることにより得られることを特徴とする請求項2に記載のノイズ除去装置。
【請求項5】
前記撮像体の撮像面の温度である面温度を測定する温度検出手段から、前記面温度に相当する温度信号を前記演算部が取得し、
前記演算部は、前記面温度が大きくなるほど、前記第(s+1)のノイズ除去信号に対して前記第sの基準除去信号よりも大きな重み付けを施す
ことを特徴とする請求項4に記載のノイズ除去装置。
【請求項6】
前記受信部に読出される前記第(s−1)のノイズ除去信号を格納する記憶手段を備え、
前記記憶手段から出力した前記第(s−1)のノイズ除去信号と、前記演算部に入力された前記第sのノイズ除去信号とに基づいて、前記演算部が前記第sの基準除去信号を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズ除去装置。
【請求項7】
前記記憶手段は、前記第sの画像信号の前に前記受信部によって時間差をおいて読出される複数の画像信号に対応する複数のノイズ除去信号を格納し、
前記記憶手段から出力される前記複数のノイズ除去信号に基づいて、前記演算部が前記第sの基準除去信号を生成する
ことを特徴とする請求項6に記載のノイズ除去装置。
【請求項8】
前記第sの基準除去信号は、前記記憶手段から出力される前記複数のノイズ除去信号と、前記第sのノイズ除去信号との平均値を求めることにより得られることを特徴とする請求項7に記載のノイズ除去装置。
【請求項9】
前記第sの基準除去信号は、前記受信部における読込みのときが前記第sのノイズ除去信号の読込みのときに近いほど大きな重み付けを前記複数のノイズ除去信号に対して施した荷重平均値を求めることにより得られることを特徴とする請求項7に記載のノイズ除去装置。
【請求項10】
前記撮像体の撮像面の温度である面温度を測定する温度検出手段から、前記面温度に相当する温度信号を前記演算部が取得し、
前記演算部は、前記面温度に応じた重み付けを前記複数のノイズ除去信号に対して施す
ことを特徴とする請求項9に記載のノイズ除去装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−295666(P2006−295666A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115243(P2005−115243)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】