ノズル洗浄用ヘッド、洗浄装置及びインクジェット記録装置
【課題】液体吐出ヘッドのノズル内を効率的に洗浄することができるノズル洗浄用ヘッド、洗浄装置及びインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】ノズル洗浄用ヘッド(20)は、液体吐出ヘッド(10)のノズル面(14)に密着させる洗浄ヘッド面(24)を有する。洗浄ヘッド面(24)に形成された洗浄ノズル(22)は、液体吐出ヘッド(10)に形成されたノズル(12)の開口面積以上の開口面積を有し、液体吐出ヘッド(10)のノズル孔の個々に対応して配置される。液体吐出ヘッド(10)のノズル(12)と洗浄ノズル(22)を連結させた状態でノズル洗浄用ヘッド(20)の吐出エネルギー発生素子を駆動して、洗浄ノズル(22)から洗浄液を吐出し、又は、液体吐出ヘッド(10)から吐出した液をノズル(12)内に逆流させて、液体吐出ヘッド(10)のノズル(12)内を洗浄する。
【解決手段】ノズル洗浄用ヘッド(20)は、液体吐出ヘッド(10)のノズル面(14)に密着させる洗浄ヘッド面(24)を有する。洗浄ヘッド面(24)に形成された洗浄ノズル(22)は、液体吐出ヘッド(10)に形成されたノズル(12)の開口面積以上の開口面積を有し、液体吐出ヘッド(10)のノズル孔の個々に対応して配置される。液体吐出ヘッド(10)のノズル(12)と洗浄ノズル(22)を連結させた状態でノズル洗浄用ヘッド(20)の吐出エネルギー発生素子を駆動して、洗浄ノズル(22)から洗浄液を吐出し、又は、液体吐出ヘッド(10)から吐出した液をノズル(12)内に逆流させて、液体吐出ヘッド(10)のノズル(12)内を洗浄する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はノズル洗浄用ヘッド、洗浄装置及びインクジェット記録装置に係り、特に、インクジェットヘッドなどの液体吐出ヘッドにおける液滴の吐出口(ノズル)及びノズル近傍のノズル面のクリーニングに好適なヘッド洗浄技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、装置の連続稼働やヘッドメンテナンス不良によって、描画ヘッドのノズル内にインク残渣等の異物が堆積すると、吐出液滴の飛翔曲がりによる着弾精度の低下や吐出体積の変動により、濃度ムラが発生する。通常のインクジェト記録装置は、ノズルの目詰まりやノズル面への異物の付着等による描画品質の劣化を防止するために描画ヘッドの吐出性能を維持・回復させるメンテナンス機構を備えている(特許文献1〜3)。
【0003】
ノズル面やノズル内部の洗浄方法として、ノズル面に洗浄液を吹き付ける方法や、ブレードやウエブによってノズル面をワイプする方法が知られている。特許文献1には、液滴吐出ヘッドの複数のノズル孔にそれぞれ対応して配置された複数の凹部からなる微小キャップ群を有する吸引キャップが提案されている。特許文献1の吸引キャップは、1つのノズル孔から吸い出される液量を凹部の微小容積に制限しつつ、各微小キャップによってノズル孔相互間を隔離して隣接ノズル間の液体汚染を防止する。
【0004】
特許文献2は、洗浄液に超音波振動を与えてのズルを洗浄する技術が記載されている。特許文献3には、洗浄液又はインクを吐出ノズルに逆流させ、ノズルを洗浄する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−254351号公報
【特許文献2】特開2001−130015号公報
【特許文献3】特開平11−58776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のメンテナンス方法では、ノズル内部の付着物を完全に取り去ることが困難である。また、ノズル面のワイプにより、ノズル内部へ過度に気泡を混入させてしまったり、ノズル面に付着していた周辺残渣をノズル内に掻き入れてしまったりといった問題が生じ、却って描画品質を低下させることになりかねない。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、描画ヘッドのノズル内を効率的に洗浄することができるノズル洗浄用ヘッド、洗浄装置及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために以下の発明態様を提供する。
【0009】
(発明1):発明1に係るノズル洗浄用ヘッドは、液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドのノズル面に密着させる洗浄ヘッド面と、前記洗浄ヘッド面に、前記ノズルの開口面積以上の開口面積を有して開口し、前記複数のノズル孔のうち少なくとも一部のノズル孔の個々に対応して配置された複数の洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルから洗浄液及び前記液体のうち少なくとも一方の液を前記液体吐出ヘッドの前記ノズルに向けて吐出する吐出エネルギー発生手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、液体吐出ヘッドとは別のノズル洗浄用ヘッドを用意し、ノズル洗浄用ヘッドの洗浄ノズルと、液体吐出ヘッドのノズル(以下、「描画ノズル」と記載する場合がある。)の位置を合わせて、液体吐出ヘッドのノズル面にノズル洗浄用ヘッドを密着させる。1つの描画ノズルに対して1つの洗浄ノズルが連結された状態で、洗浄ノズルから洗浄液を押し出し、描画ノズル内を洗浄する。洗浄液に代えて、描画に用いる液体(以下、「描画液体」という。)を用いることも可能である。例えば、描画液体と同種の液体を洗浄液として利用し、ノズル洗浄用ヘッドの洗浄ノズルから吐出させることができる。また、液体吐出ヘッドのノズルから吐出された液体を、描画ノズル内に逆流させることも可能である。この発明によれば、液体吐出ヘッドのノズル内を個別に効率的に洗浄することができる。
【0011】
発明1において、好ましくは、洗浄ノズルの開口面積を描画ノズルの開口面積よりも大きくする。洗浄ノズルの開口面積を描画ノズルの開口面積よりも大きくすることにより、アライメント誤差を吸収できるとともに、描画ノズル近傍のノズル面に付着した異物を除去することができる。
【0012】
(発明2):発明2に係るノズル洗浄用ヘッドは、発明1に記載のノズル洗浄用ヘッドにおいて、前記洗浄ヘッド面の前記描画ヘッドとの密着領域は、前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面よりも硬度が低いことを特徴とする。
【0013】
液体吐出ヘッドのノズル面には撥液膜が形成されていることが多い。発明2によれば、液体吐出ヘッドに対するノズル洗浄用ヘッドの密着動作及び剥離動作に伴う液体吐出ヘッドのノズル面(撥液膜)へのダメージを低減することができる。
【0014】
(発明3):発明3に係るノズル洗浄用ヘッドは、発明2に記載のノズル洗浄用ヘッドにおいて、前記洗浄ヘッド面の前記液体吐出ヘッドとの密着領域には、前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面よりも硬度が低い膜が形成されていることを特徴とする。
【0015】
例えば、液体吐出ヘッドのノズル面よりも軟らかい材料の膜を洗浄ヘッド面に形成する。
【0016】
(発明4):発明4に係るノズル洗浄用ヘッドは、発明1から3のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッドにおいて、前記洗浄ノズルは、前記液体吐出ヘッドの各ノズルについて一対一の対応関係で設けられていることを特徴とする。
【0017】
液体吐出ヘッドの各ノズルを洗浄する洗浄ノズルをノズル毎に個別に設けることにより、ヘッドの全ノズルを一斉に、効率よく洗浄することができる。また、液体吐出ヘッドのヘッド単位、或いは、液体吐出ヘッドを構成するヘッドモジュール単位でノズル洗浄用ヘッドを設けることにより、洗浄時間の短縮を図ることができる。
【0018】
(発明5):発明5に係るノズル洗浄用ヘッドは、発明1から4のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッドにおいて、前記洗浄ノズルから当該ノズル洗浄用ヘッド内に流入した液を回収する回収流路を備えることを特徴とする。
【0019】
かかる態様によれば、ノズル内或いはその近傍に付着した異物を、ノズル洗浄用ヘッド側に流して回収、排出することができる。
【0020】
(発明6):発明6に係る洗浄装置は、発明1から5のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッドと、前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドに接触させる動作及び前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドから離間させる動作を行うヘッド移動手段と、前記ノズル洗浄用ヘッドの前記吐出エネルギー発生素子の駆動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
発明6の洗浄装置によれば、液体吐出ヘッドの各ノズルを個別に効率よく洗浄することができる。
【0022】
(発明7):発明7に係る洗浄装置は、発明6に記載の洗浄装置において、前記制御手段は、前記吐出エネルギー発生素子をMHzオーダーの超音波領域の周波数で駆動することを特徴とする。
【0023】
かかる態様によれば、描画ノズル内、或いはその近傍に付着した固着物(汚れ)が超音波振動(高周波振動)によって除去しやすくなる。
【0024】
(発明8):発明8に係るインクジェット記録装置は、発明1から5のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッドと、前記液体吐出ヘッドと、前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドに接触させる動作及び前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドから離間させる動作を行うヘッド移動手段と、前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面に前記ノズル洗浄用ヘッドの前記洗浄ヘッド面を密着させた状態で前記液体吐出ヘッド及び前記ノズル洗浄用ヘッドを交互に吐出駆動させる制御を行う制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0025】
かかる態様によれば、描画ノズルと洗浄ノズルの連結部分では、描画ノズルから吐出した液体と洗浄ノズルから吐出した洗浄液とが混在し得る。液体吐出ヘッドとノズル洗浄用ヘッドを交互に吐出駆動させることにより、描画ノズルと洗浄ノズルの連結部分で液の流れを反転させながら、描画ノズルを個別集中的に洗浄できる。また、かかる態様によれば、描画液体や洗浄液が無駄に流出しないため、液の節約にもなる。
【0026】
(発明9):発明9に係るインクジェット記録装置は、発明8に記載のインクジェット記録装置において、前記交互の吐出駆動により前記液体吐出ヘッドの前記ノズルと前記ノズル洗浄用ヘッドの前記洗浄ノズルの間で液を往き来させることを特徴とする。
【0027】
かかる態様によれば、描画ノズルを効率よく洗浄できるとともに、描画液体や洗浄液の消費量も節約できる。
【0028】
(発明10):発明10に係るインクジェット記録装置は、発明8又は9に記載のインクジェット記録装置において、前記交互の吐出駆動により前記液体吐出ヘッドから吐出される液体量が前記ノズル洗浄用ヘッドから吐出される液体量よりも多いことを特徴とする。
【0029】
かかる態様によれば、描画ノズルと洗浄ノズルの間で液が往き来しながらも、全体としては描画ノズル側から洗浄ノズル側へと液が流れていく。これにより、描画ノズル内又はその近傍に付着した異物を液体吐出ヘッドからノズル洗浄用ヘッド側へ移動させることが可能である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、液体吐出ヘッドのノズル内を効率的に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は本発明の実施形態に係るノズル洗浄用ヘッドの斜視図である。
【図2】図2(a)は描画ヘッドのノズル面におけるノズル配置の例を模式的に示した平面図、図2(b)は洗浄ヘッドのノズル面におけるノズル配置の例を模式的に示した平面図である。
【図3】図3(a)は1つの描画ノズルとこれに対応する洗浄ノズルに注目した拡大断面図、図3(b)は描画ノズルを洗浄している様子を示す拡大断面図である。
【図4】図4は比較例の説明図である。
【図5】図5は本発明の実施形態に係る洗浄ヘッドの内部流路構造を模式的に示した平面図である。
【図6】図6は洗浄ヘッドの内部の概略構造を示す縦断面図である。
【図7】図7は洗浄ヘッドの他の内部流路構造例を模式的に示した縦断面図である。
【図8】図8は図7中の矢印8A方向から見た圧電素子の平面図である。
【図9】図9は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成例を示す図である。
【図10】図10(a),(b)はインクジェットヘッドの構成例を示す平面図である。
【図11】図11はインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0033】
<第1実施形態>
図1は本発明の実施形態に係るノズル洗浄用ヘッドの斜視図である。図1において、符号10はインクジェット記録装置の描画ヘッド(「液体吐出ヘッド」に相当)、符号20は描画ヘッド10のノズル12を洗浄するための洗浄ヘッド(「ノズル洗浄用ヘッド」に相当)である。描画ヘッド10には、インク滴を吐出するための複数のノズル12が形成されている。ここでは、複数のノズル12がマトリクス状に二次元配置されているノズル面14を有する描画ヘッド10(マトリクスヘッド)を例示する。ただし、ノズル12の配列形態は特に限定されない。例えば、複数のノズルが直線的に一列に並んだノズル配列(1次元配列)や、複数のノズルが折れ線状に並んだノズル配列などもあり得る。
【0034】
描画ヘッド10はインク供給用の供給管路16を介してインク供給タンク(不図示)に接続される。インク供給タンクから供給管路16を通って描画ヘッド10にインク(「描画用の液体」に相当)が供給される。また、描画ヘッド10はインク回収用の循環管路18を介して図示せぬインク回収タンクに接続される。描画ヘッド10の内部には、各ノズル12に供給したインクを循環させるための循環流路が形成されている。描画ヘッド10内のインクを常時循環させることにより、非吐出時におけるノズル近傍のインクの増粘を防止することができる。
【0035】
一方、洗浄ヘッド20には、描画ヘッド10のノズル12を個別に洗浄するための洗浄ノズル22が複数形成されている。なお、以下の説明において、用語の混乱を避けるために、描画ヘッド10のノズル12を「描画ノズル12」と記載する場合がある。また、描画ヘッド10のノズル面14を「描画ノズル面14」、洗浄ヘッド20のノズル面24を「洗浄ヘッド面24」と記載する場合がある。
【0036】
洗浄ヘッド面24には、描画ヘッド10の描画ノズル12に対応して複数の洗浄ノズル22が形成されている(図2参照)。洗浄ノズル22の開口面積(開口サイズ)は、描画ノズル12の開口面積以上の大きさである。好ましくは、洗浄ノズル22の開口面積は描画ノズル12の開口面積よりも大きいものとする。本例では、図示のように、洗浄ノズル22の開口径が描画ノズル12の開口径よりも大きくなっている。
【0037】
洗浄ノズル22及び描画ノズル12の各ノズル孔の開口形状は、円形に限らず、様々な形状が可能である。例えば、四角形、多角形、多角形の角部を面取りした形状、多角形の角部を円弧状に丸めた(いわゆる「R付き」)形状などの開口形状も可能である。洗浄ノズル22の開口形状は、描画ノズル12の開口形状と相似形であることが好ましい。
【0038】
洗浄ヘッド20は洗浄液供給用の供給管路26を介して図示せぬ洗浄液供給タンクに接続される。洗浄液供給タンクから供給管路26を通って洗浄液が洗浄ヘッド20に供給される。また、洗浄ヘッド20は洗浄液回収用の循環管路28を介して図示せぬ洗浄液回収タンクに接続される。洗浄ヘッド20の内部には、各洗浄ノズル22に供給した洗浄液を回収・循環させるための循環流路が形成されている。
【0039】
本例の洗浄ヘッド20は、描画ヘッド10で記録媒体(不図示)に描画録を行う描画エリアの外側の領域に設けられたメンテナンス部に設置される。描画ヘッド10は、図示せぬキャリッジに搭載されており、記録媒体に描画するための描画位置と、メンテナンスを行うためのメンテナンス位置との間を移動可能である。描画前、描画後、或いは描画の中断時など、適宜のタイミングで描画ヘッド10を描画エリア外のメンテナンス位置に退避させ、ノズル洗浄その他のメンテナンスを行うことができる。なお、メンテナンス動作には、例えば、ノズル面のワイピング、パージ(予備吐出)、ノズル吸引、ノズル洗浄、或いはこれらの適宜の組み合わせ、などがある。メンテナンス手段として、本例の洗浄ヘッド20の他、例えば、ノズル面をワイピングするワイピング手段(ウエブを用いる態様、ブレードを用いる態様、これらを組み合わせた態様)、パージ(予備吐出)液を受ける液受け部、ノズル吸引のための吸引キャップ、吸引ポンプ、或いは、これらの適宜の組み合わせ、を採用することができる。
【0040】
洗浄ヘッド20は、図示せぬ移動機構に支持されており、描画ヘッド10に対して相対的に移動可能となっている。洗浄ヘッド20を図1の上方向(+z方向)に移動させることにより、洗浄ヘッド面24を描画ノズル面14に接触させることができる。また、洗浄ヘッド20を図1の下方向(−z方向)に移動させることにより、洗浄ヘッド20を描画ヘッド10から離間させることができる。さらに、洗浄ヘッド20は、必要に応じてz軸と直交するxy面内で移動させることができる。また、洗浄ヘッド20は、xyz軸の直交軸に沿った平行移動に限らず、適宜の回転軸による回転移動を可能に構成してもよい。
【0041】
描画ノズル12を洗浄する際には、洗浄ノズル22の位置と描画ノズル12の位置を一致させて、洗浄ヘッド面24を描画ノズル面14に接触させる。洗浄ヘッド20の洗浄ヘッド面24を描画ヘッド10のノズル面14に密着させた状態で、洗浄ノズル22から描画ノズル12に洗浄液が吐出され、描画ノズル12の内部及び描画ノズル12近傍の描画ノズル面14が洗浄される。描画ノズル12に供給された洗浄液と描画ノズル12から押し出されたインクは、洗浄ノズル22を介して洗浄ヘッド20内に取り込まれ、循環管路28を通って洗浄液回収タンクに回収される。
【0042】
図2(a)は、描画ヘッド10のノズル面14におけるノズル配列を模式的に示した平面図である。図2(b)は、洗浄ヘッド20のノズル面24におけるノズル配列を模式的に示した平面図である。
【0043】
図示のとおり、描画ノズル12の配列ピッチ及び配列形態(図2(a))と、洗浄ノズル22の配列ピッチ及び配列形態(図2(b))とは一致している。描画ノズル12の位置に合わせて洗浄ノズル22が配置される。描画ノズル12と洗浄ノズル22が一対一で対応する関係となっている。
【0044】
なお、図2では、描画ノズル12の個数と、洗浄ノズル22の個数を同数としているが、描画ノズル12の個数に対して洗浄ノズル22の個数を少なくする構成も可能である。洗浄ノズル22の個数が少ない場合には、洗浄ヘッド20を移動させて、洗浄対象の描画ノズル12を変更し、複数回に分けて描画ヘッド10の各ノズル12を洗浄すればよい。
【0045】
図3(a)は、1つの描画ノズル12とこれに対応する洗浄ノズル22に注目した拡大断面図である。図3(a)は、洗浄ヘッド20を描画ヘッド10に接触させる前の状態を示している。図3(b)は、洗浄ヘッド20を描画ヘッド10に接触させて描画ノズル12を洗浄している状態を示している。
【0046】
図3(a)に示すように、描画ヘッド10のノズル面14には、撥液膜15が形成されている。一方、洗浄ヘッド20の洗浄ヘッド面24における描画ヘッド10との密着領域には、撥液膜15よりも軟らかい樹脂膜25が形成されている。
【0047】
図3(a)に示した状態から、洗浄ヘッド20を上昇させ、描画ノズル面14に洗浄ヘッド面24を接触させる。このとき、ヘッド間に液体薄膜が介在することにより、毛管接着効果による密着性が高まる。
【0048】
描画ヘッド10に洗浄ヘッド20を接触させる際、各ノズル(12,22)の位置を合わせる際のアライメント誤差がある。これを吸収するために、洗浄ノズル22の開口面積を描画ノズル12の開口面積よりも大きくすることが好ましい。本例では、描画ヘッド10に洗浄ヘッド20を密着させる際のアライメントの容易性、並びに、描画ノズル12の効果的な個別洗浄を行う観点から、1つの洗浄ノズル22の開口面積内に2つ以上の描画ノズル12が包含されない範囲で、洗浄ノズル22の開口面積を描画ノズル12の開口面積よりも大きいものとしている。
【0049】
また、洗浄ヘッド20のノズル面24は、描画ヘッド10の撥液膜15よりも硬度が低くなるような成膜処理が施されている。このため、洗浄ヘッド20を描画ヘッド10に接触させる際、及び洗浄ヘッド20を描画ヘッド10から引き剥がす(離間させる)際に撥液膜15へのダメージを減らすことができる。
【0050】
<ノズル洗浄のためのヘッド駆動方法>
図3(b)のように、両ヘッドを密着させた状態で、描画ヘッド10と、洗浄ヘッド20を交互に駆動する。例えば、洗浄ヘッド20の各洗浄ノズル22に対応した吐出エネルギー発生素子(圧電素子など)を駆動して洗浄ノズル22から洗浄液を押し出す。その後、描画ヘッド10の吐出エネルギー発生素子を駆動して描画ノズル12からインク及び洗浄液を押し出す。このような吐出動作が交互に繰り返される。描画ノズル12と洗浄ノズル22の間を液体が往き来することにより、描画ノズル12内部及び描画ノズル12近傍のノズル面14が洗浄される。
【0051】
このとき、洗浄ヘッド20側からの液体の押し出し量(吐出体積)に比べて、描画ヘッド10からの液体の押し出し量(吐出体積)の方が多くなるように、吐出体積が調整される。このように吐出体積の比率が調整されることにより、両ヘッドの交互駆動を繰り返しながら、描画ヘッド10から洗浄ヘッド20に液体が流れていく。こうすることで、描画ノズル12やその近傍に付着した異物は、洗浄ヘッド20の洗浄ノズル22へと流れ込んで、描画ヘッド10外に排出される。
【0052】
<比較例>
図4は、図3(b)と対比される比較例の図である。図4では、洗浄ノズル622の開口面積が、描画ノズル612の開口面積よりも小さい場合の図である。この場合、描画ノズル612と洗浄ノズル622の位置を合わせる際のアライメント誤差を吸収することができない。また、図4のように、描画ノズル612の出口付近に付着している異物617は、両ノズル(612,622)の連結部分の流路における澱み点に存在することになる。このため、このような澱み点に存在する異物617を効率的に洗い流すことができない。
【0053】
<洗浄ヘッド20の内部構造例>
図5は、本発明の実施形態に係る洗浄ヘッド20の内部流路構造を模式的に示した平面図である。洗浄ノズル22は、ヘッドの長手方向に対して所定の角度傾斜した直線に沿って複数個のノズルが並ぶノズル列を1単位とし、この斜めのノズル列単位がヘッドの長手方向に沿って一定ピッチで多数並列して配置される。図5では図示の便宜上、6個のノズルが並ぶノズル列を1単位として、これが多数並列されたノズル配置を例示しているが、ノズル数、ノズル配列形態はこの例に限定されない。
【0054】
洗浄ヘッド20は、各洗浄ノズル22に洗浄液を循環させて供給する循環型の液滴吐出ヘッドである。洗浄ヘッド20は、各洗浄ノズル22に対応する圧力室34に洗浄液を供給する供給流路40と、洗浄ノズル22から液体(洗浄液及び描画ノズル12から取り込んだインク)を回収する回収流路50を備えている。
【0055】
供給流路40は、供給流路本流42と、その供給流路本流42から分岐して形成される複数の供給流路支流(共通供給流路)44と、その供給流路支流44からさらに分岐して形成される複数の個別供給流路46とで構成される。
【0056】
供給流路本流42は、ヘッド長手方向に沿って配置される。供給流路本流42の一端には、液体供給口48が設けられている。液体供給口48は図1で説明したインク供給管路16に連結され、液体供給口48からヘッド内に洗浄液が供給される。
【0057】
供給流路支流44は、ヘッド長手方向に対して所定角度傾斜した直線に沿って並ぶ洗浄ノズル22の列と平行に配置される。図5では、斜めのノズル列の列毎に供給流路支流44が設けられているが、複数本のノズル列に対して1本の供給流路支流を設ける態様も可能である。例えば、1本の供給流路支流44に対して、異なる2列のノズル列の各圧力室が接続される構造を採用し、1本の供給流路支流44から2列分のノズル列にインクを供給する形態も可能である。
【0058】
個別供給流路46は、供給流路支流44に沿って並ぶ圧力室34と供給流路支流44とを連通する流路であり、圧力室34毎に個別に設けられる。
【0059】
回収流路50は、回収流路本流52と、その回収流路本流52から分岐して形シアされる複数の回収流路支流(共通回収流路)54と、回収流路支流54からさらに分岐して形成される複数の個別回収流路56とで構成される。
【0060】
回収流路本流52は、ヘッドの長手方向に沿って配置される。この回収流路本流52の一端には、液体回収口58が設けられている。液体回収口58からヘッド外に洗浄液等が排出される。
【0061】
回収流路支流54は、ヘッドの長手方向に対して所定角度傾斜した直線に沿って並ぶ洗浄ノズル22と平行に配置される。図5では、斜めのノズル列の列毎に回収流路支流54が設けられているが、複数本のノズル列に対して1本の回収流路支流54を設ける態様も可能である。例えば、1本の回収流路支流54に対して、異なる2列のノズル列の各ノズルが接続される構造を採用し、1本の回収流路支流54に2列分のノズル列から液体を流入させる形態も可能である。
【0062】
個別回収流路56は、回収流路支流54に沿って並ぶ洗浄ノズル22と回収流路支流54とを連通する流路であり、洗浄ノズル22毎に個別に設けられる。
【0063】
図6は、洗浄ヘッドの内部の概略構造を示す縦断面図である。図6において、図5で説明した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付した。図6中の符号36は圧力室34から洗浄ノズル22に繋がるノズル流路である。図6における符号60はノズルプレート、64は流路基板、66は振動板、68は吐出エネルギー発生素子としてのピエゾアクチュエータ(圧電素子)である。符号70はピエゾアクチュエータ68の可動空間72を確保しつつ、ピエゾアクチュエータ68の周囲を封止するカバープレートである。図6には示されていないが、このカバープレート70の上方に供給側液室及び回収側液室(循環室)が形成され、それぞれ不図示の連通路を介して、洗浄液供給タンク、洗浄液回収タンクに連結されている。
【0064】
供給流路支流44から個別供給流路46を介して圧力室34に供給された洗浄液は、ノズル流路36を通って洗浄ノズル22から押し出される。また、吐出に使用されない余剰洗浄液並びに洗浄ノズル22から流入した液体(描画ヘッド10から押し出されたインクを含む)は、ノズル流路36から個別回収流路56を通って回収流路支流54に回収される。
【0065】
なお、描画ヘッド10(図1参照)については、図6で説明した洗浄ヘッド20と同様の構造を採用することができる。洗浄ヘッド20及び描画ヘッド10における各ノズルから液体を吐出させるための吐出用の圧力(吐出エネルギー)を発生させる手段は、図5に例示した圧電アクチュエータ(圧電素子)に限定されない。例えば、サーマル方式(ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させる方式)におけるヒータ(加熱素子)や、静電方式による電極対など、各種の吐出方式による各種の吐出エネルギー発生素子を適用し得る。ヘッドの吐出方式に応じて、相応のエネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
【0066】
<他のヘッド構造例>
図7は、洗浄ヘッド20の他の内部流路構造例を模式的に示した縦断面図である。図7では、MHzオーダーの超音波領域の高周波振動を利用して吐出を行う洗浄ヘッド120の基本構成を示す断面図である。図7に示した洗浄ヘッド120において、図6で説明した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。同図では、1つの洗浄ノズル22に対応した液室ユニット(1チャンネル分の吐出素子)の断面図を示したが、洗浄ヘッド120には、同様の吐出素子が複数配置された構造となっている。
【0067】
図7において、符号134は洗浄液が満たされる液室、符号166は絶縁性の樹脂フィルム、符号168は圧電素子である。液室134の内周面は放物面形状を成し、当該放物面134Aの焦点位置Fに洗浄ノズル22の液室134側開口径の中心が位置するように液室形成プレート164とノズルプレート60とが接合されている。この放物面134Aは圧電素子168が発生する超音波を反射する反射板となるため、高反射率の観点から液室形成プレート164に金属材料を用いることが好ましい。
【0068】
樹脂フィルム166は、液室形成プレート164を挟んでノズルプレート60と反対側に配置されており、液室134の一部の面(図7において底面)を封止する構成で液室形成プレート164に接合されている。供給流路支流44(インクの共通流路)から個別供給流路46を通じて導入されたインクは、放物面134Aと樹脂フィルム166面及びノズルプレート60により囲まれた空間(液室134)に充填される。
【0069】
樹脂フィルム166の液室134と反対側の面(図7において下側の面)には、振動子として機能する圧電素子168が接合されている。図8に圧電素子168の平面図(図7中の矢印8A方向から見た図)を示す。図8に示したように、圧電素子168は、放物面134Aの上流側開口134Bを覆う大きさの面積を有する。同図では、放物面134Aの上流側開口134Bよりも大きな面積を有する略正方形状の圧電素子168を例示したが、圧電素子168の平面形状は、正方形に限定されず、長方形、菱形などに代表される四角形、六角形、八角形、その他の多角形、或いは円、楕円など、多様な形態があり得る。なお、図8において符号134Cで示した破線円は、放物面134Aの下流側開口(ノズルプレート60に接する開口の縁)である(図7参照)。
【0070】
図7に示したとおり、圧電素子168は、圧電体168Aを挟んでその両面に電極168B,168Cが形成された構造を有する。図7の例では、樹脂フィルム166に接合される側の電極168Bが共通電極であり、他方の電極168Cが素子毎に独立した駆動電極(以下、「個別電極」という。)となっている。かかる構成において、圧電素子168の個別電極168CにMHzオーダーの高周波の駆動信号(駆動電圧)を印加することによって圧電素子168を振動させ、超音波を発生させる。樹脂フィルム166はその柔軟性によって圧電素子168とともに振動し、樹脂フィルム166を介して液中に超音波が放射される。
【0071】
圧電素子168から洗浄液中に放射された超音波は、洗浄液を媒質として液室134内を伝播し、放物面134Aでの反射によって焦点位置F付近(洗浄ノズル22の中央部付近)に集束する。図7では、超音波の振動数を持った圧力波の波面の進行方向を破線によって模式的に示している。この集束された超音波のエネルギーによって洗浄ノズル22から液が吐出される。かかる態様によれば、超音波振動によって、描画ノズル22内及びその近傍のノズル面12に強固に付着した汚れを除去することが可能である。
【0072】
なお、超音波集束方式のヘッドは、リフレクタ(放物面134A)を有するため、吐出用ヘッドとしては高解像度化が困難であると考えられる。しかしながら、洗浄用のヘッドであれば、描画ヘッドほどの微細ノズルは必要なく、また、洗浄時に洗浄ヘッドを移動させながら洗浄位置を移動させるように運用すればよいため、描画ヘッドと全く同様の高密度ノズル配置にする必要もない。
【0073】
<インクジェット記録装置の説明>
図9は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置200の構成例を示す図である。インクジェット記録装置200は、主として、給紙部212、処理液付与部214、描画部216、乾燥部218、定着部220、及び排紙部222を備えて構成される。このインクジェット記録装置200は、描画部216の圧胴(描画ドラム270)に保持された記録媒体224(便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド(「描画ヘッドに相当」)272M,272K,272C,272Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成するオンデマンドドロップ方式の画像形成装置である。
【0074】
(給紙部)
給紙部212には、枚葉紙である記録媒体224が積層されている。給紙部212の給紙トレイ250から記録媒体224が一枚ずつ処理液付与部214に給紙される。本例では、記録媒体224として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
【0075】
(処理液付与部)
処理液付与部214は、記録媒体224の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部216で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
【0076】
処理液付与部214は、給紙胴252、処理液ドラム254、及び処理液塗布装置256を備えている。処理液ドラム254は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)255を備え、この保持手段255の爪と処理液ドラム254の周面の間に記録媒体224を挟み込むことによって記録媒体224の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム254は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体224を処理液ドラム254の周面に密着保持することができる。
【0077】
処理液ドラム254の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置256が設けられる。処理液塗布装置256は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム254上の記録媒体224に圧接されて計量後の処理液を記録媒体224に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置256によれば、処理液を計量しながら記録媒体224に塗布することができる。本実施形態では、ローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
【0078】
処理液付与部214で処理液が付与された記録媒体224は、処理液ドラム254から中間搬送部226を介して描画部216の描画ドラム270へ受け渡される。
【0079】
(描画部)
描画部216は、描画ドラム270、用紙抑えローラ274、及びインクジェットヘッド272M,272K,272C,272Yを備えている。描画ドラム270は、処理液ドラム254と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)271を備える。本例の描画ドラム270では、回転方向について180度の間隔で周面の2箇所にグリッパー271が設けられ、1回転で2枚の記録媒体224が搬送できるように構成されている。
【0080】
描画ドラム270の周面には、図示しない吸着穴が所定のパターンで多数形成されており、この吸着穴からエアが吸引されることにより、記録媒体224が描画ドラム270の周面に吸着保持される。なお、負圧吸引によって記録媒体224を吸引吸着する構成に限らず、例えば、静電吸着により、記録媒体224を吸着保持する構成とすることもできる。
【0081】
インクジェットヘッド272M,272K,272C,272Yはそれぞれ、記録媒体224における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の描画ヘッドであり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド272M,272K,272C,272Yは、記録媒体224の搬送方向(描画ドラム270の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
【0082】
描画ドラム270上に密着保持された記録媒体224の記録面に向かって各インクジェットヘッド272M,272K,272C,272Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部214で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体224上での色材流れなどが防止され、記録媒体224の記録面に画像が形成される。
【0083】
描画ドラム270によって記録媒体224を一定の速度で搬送し、この搬送方向について、記録媒体224と各インクジェットヘッド272M,272K,272C,272Yを相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録媒体224の画像形成領域に画像を記録することができる。かかるフルライン型(ページワイド)ヘッドによるシングルパス方式の画像形成は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドによるマルチパス方式を適用する場合に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
【0084】
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0085】
描画部216で画像が形成された記録媒体224は、描画ドラム270から中間搬送部228を介して乾燥部218の乾燥ドラム276へ受け渡される。
【0086】
(乾燥部)
乾燥部218は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、乾燥ドラム276、及び溶媒乾燥装置278を備えている。乾燥ドラム276は、処理液ドラム254と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)277を備える。溶媒乾燥装置278は、乾燥ドラム276の外周面に対向する位置に配置され、複数のハロゲンヒータ280と、各ハロゲンヒータ280の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル282とで構成される。各温風噴出しノズル282から記録媒体224に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各ハロゲンヒータ280の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。
【0087】
乾燥部218で乾燥処理が行われた記録媒体224は、乾燥ドラム276から中間搬送部230を介して定着部220の定着ドラム284へ受け渡される。
【0088】
(定着部)
定着部220は、定着ドラム284、ハロゲンヒータ286、定着ローラ288、及びインラインセンサ290構成される。定着ドラム284は、処理液ドラム254と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)285を備える。
【0089】
定着ドラム284の回転により、記録媒体224は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ286による予備加熱と、定着ローラ288による定着処理と、インラインセンサ290による検査が行われる。
【0090】
定着ローラ288は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体224を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ288は、定着ドラム284に対して圧接するように配置されており、定着ドラム284との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体224は、定着ローラ288と定着ドラム284との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
【0091】
また、定着ローラ288は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(例えば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体224を加熱することによって、インクに含まれるラテックスのTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、ラテックス粒子が溶融される。これにより、記録媒体224の凹凸に押し込み定着が行われるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
【0092】
一方、インラインセンサ290は、記録媒体224に形成された画像(不吐出検出用のテストパターンや濃度補正用のテストパターン、印刷画像なども含む)について、吐出不良チェックパターンや画像の濃度、画像の欠陥などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
【0093】
なお、高沸点溶媒及びポリマー微粒子(熱可塑性樹脂粒子)を含んだインクに代えて、UV露光にて重合硬化可能なモノマー成分を含有していてもよい。この場合、インクジェット記録装置200は、ヒートローラによる熱圧定着部(定着ローラ288)の代わりに、記録媒体224上のインクにUV光を露光するUV露光部を備える。このように、UV硬化性樹脂などの活性光線硬化性樹脂を含んだインクを用いる場合には、加熱定着の定着ローラ288に代えて、UVランプや紫外線LD(レーザダイオード)アレイなど、活性光線を照射する手段が設けられる。
【0094】
(排紙部)
定着部220に続いて排紙部222が設けられている。排紙部222は、排出トレイ292を備えており、この排出トレイ292と定着部220の定着ドラム284との間に、これらに対接するように渡し胴294、搬送ベルト296、張架ローラ298が設けられている。記録媒体224は、渡し胴294により搬送ベルト296に送られ、排出トレイ292に排出される。搬送ベルト296による用紙搬送機構の詳細は図示しないが、印刷後の記録媒体224は無端状の搬送ベルト296間に渡されたバー(不図示)のグリッパーによって用紙先端部が保持され、搬送ベルト296の回転によって排出トレイ292の上方に運ばれてくる。
【0095】
また、図9には示されていないが、本例のインクジェット記録装置200には、上記構成の他、各インクジェットヘッド272M,272K,272C,272Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部214に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド272M,272K,272C,272Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引、ノズル洗浄等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体224の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
【0096】
<インクジェットヘッドの構成例>
図10(a)は、インクジェットヘッド(272M、272K、272C、272Y)の構成例を示す平面透視図、図10(b)は他の構造例を示す平面透視図である。各色のヘッドの構造は共通しているので、これらを代表して符号272でヘッドを示す。
【0097】
図10(a)に示すように、本例のインクジェットヘッド272は、インク吐出口であるノズル351と、各ノズル351に対応する圧力室352、インク供給口(個別供給路)354等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)353をマトリクス状に二次元配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影(正射影)される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。複数のノズル351が二次元に配列された短尺のヘッドモジュール350’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録媒体224の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドが構成される。
【0098】
また、図10(b)に示すように、ヘッドモジュール350”を一列に並べて繋ぎ合わせる態様もある。
【0099】
図1で説明した洗浄ヘッド20は、インクジェットヘッド272(ページワイドのバーヘッド)の全ノズル351を一度に洗浄できるように、全ノズル351に対応した洗浄ノズル22(図1参照)を有する構成としてもよいし、ヘッドモジュール350’、350”の単位で洗浄を行う構成でもよい。
【0100】
ヘッドモジュール350’、350”内のノズル数と同数の洗浄ノズル22を有する洗浄ヘッドや、ヘッドモジュール350’、350”内のノズル数よりも少ない個数の洗浄ノズルを有する洗浄ヘッドを用いて、洗浄ヘッドを移動させながら、インクジェットヘッド272の各ノズルを洗浄するように構成してもよい。
【0101】
<制御系の説明>
図11は、インクジェット記録装置200のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置200は、インク供給部302から描画ヘッド10にインクを送り出すための供給用ポンプ304と、描画ヘッド10からインク回収部312にインクを排出させるための回収用ポンプ314と、これらポンプを駆動するポンプ駆動回路316と、描画ヘッド10の移動機構320を駆動するための動力を発生させるモータ322と、該モータ322の駆動回路324と、通信インターフェース370、システムコントローラ(制御回路)372、メモリ374、ROM375、プリント制御部380、描画ヘッド駆動回路384を備えている。
【0102】
通信インターフェース370は、ホストコンピュータ386から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース370にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ386から送り出された画像データは通信インターフェース370を介してインクジェット記録装置200に取り込まれ、一旦メモリ374に記憶される。
【0103】
メモリ374は、通信インターフェース370を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ372を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ374は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0104】
システムコントローラ372は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置200の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。ROM375には各種制御プログラムや各種のパラメータ等が格納されており、システムコントローラ372の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。メモ374は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
【0105】
プリント制御部380は、システムコントローラ372の制御に従い、メモリ374内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドット画像データ)を描画ヘッド駆動回路384に供給する制御部である。
【0106】
ドット画像データは、入力された多階調の画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(例えば、RGB各色について8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置200で使用するインクの各色の色データ(本例では、KCMYの色データ)に変換する処理である。
【0107】
ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色の色データに対して、誤差拡散法で各色のドットデータ(本例では、KCMYのドットデータ)に変換する処理である。
【0108】
プリント制御部380において所要の信号処理が施され、得られたドットデータに基づいて、描画ヘッド駆動回路384を介して描画ヘッド10(図9のインクジェットヘッド272M,272K,272C,272Y)のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。プリント制御部380とシステムコントローラ372とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0109】
描画ヘッド駆動回路384は、アンプ回路を含み、プリント制御部380から与えられるノズル制御データ(ドットデータ)及び駆動波形の信号に基づき、印字内容に応じて描画ヘッド10の各ノズル12に対応する吐出エネルギー発生素子(例えば圧電素子)を駆動するための駆動電圧信号を出力する。描画ヘッド駆動回路384にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0110】
本例に示すインクジェット記録装置200は、各色のヘッド毎(或いは、ヘッドモジュール毎)に複数のピエゾアクチュエータに対して、共通の駆動波形電圧信号を印加し、各ピエゾアクチュエータの吐出タイミングに応じて各ピエゾアクチュエータの個別電極に接続されたスイッチ素子(不図示)のオンオフを切り換えることで、各ピエゾアクチュエータに対応する描画ノズルからインクを吐出させる駆動方式が採用されている。画像データから生成された各色毎の印字データ(ノズル制御データ)は、各ピエゾアクチュエータの個別電極に接続されたスイッチ素子のオンオフ制御に利用される。
【0111】
描画ヘッド駆動回路384から出力された駆動電圧信号が描画ヘッド10に加えられることによって、該当するノズル12からインクが吐出される。記録媒体224の搬送速度に同期して描画ヘッド10からのインク吐出を制御することにより、記録媒体224上に画像が形成される。
【0112】
本例のインクジェット記録装置200は、洗浄液供給部402から洗浄ヘッド20に洗浄液を送り出すための供給用ポンプ404と、洗浄ヘッド20から洗浄液回収部412にインク及び洗浄液を排出させるための回収用ポンプ414と、これらポンプを駆動するポンプ駆動回路416と、洗浄ヘッド20の移動機構420を駆動するための動力を発生させるモータ422と、該モータ422の駆動回路424と、洗浄ヘッド駆動回路484を備えている。なお、図5及び図6で説明した洗浄ヘッド20に代えて、図7で説明した洗浄ヘッド120を採用することも可能である。
【0113】
図11のシステムコントローラ372は、所定のプログラムに従ってポンプ駆動回路416を制御し、洗浄ヘッド20に対する洗浄液の供給、並びに、洗浄ヘッド20からの液体の回収を制御する。また、システムコントローラ372は、モータ駆動回路424を制御して、描画ヘッド10に対する洗浄ヘッド20の接触動作、及び描画ヘッド10からの洗浄ヘッド20の剥離動作を制御する。
【0114】
さらに、システムコントローラ372は、図3(b)で説明したように、ノズル洗浄の際に、描画ヘッド10の吐出駆動と洗浄ヘッド20の吐出駆動を交互に実施するように、洗浄ヘッド駆動回路484と描画ヘッド駆動回路384とを制御する。
【0115】
図11において、システムコントローラ372及びプリント制御部380の組み合わせが「制御手段」に相当する。洗浄ヘッド移動機構420、モータ422及びモータ駆動回路424の組み合わせが「ヘッド移動手段」に相当する。
【0116】
<記録媒体について>
「記録媒体」は、描画ヘッド(液体吐出ヘッド)から吐出された液滴によってドットが記録される媒体の総称であり、印字媒体、被記録媒体、被画像形成媒体、受像媒体、被吐出媒体など様々な用語で呼ばれるものが含まれる。本発明の実施に際して、記録媒体の材質や形状等は、特に限定されず、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フィルム、布、不織布、配線パターン等が形成されるプリント基板、ゴムシート、その他材質や形状を問わず、様々な媒体に適用できる。
【0117】
<ヘッドと用紙を相対移動させる手段について>
上述の実施形態では、停止した描画ヘッド(「記録ヘッド」、「印字ヘッド」、「プリントヘッド」などと呼ばれる場合もある)に対して記録媒体を搬送する構成を例示したが、本発明の実施に際しては、停止した記録媒体に対してヘッドを移動させる構成も可能である。なお、シングルパス方式のフルライン型の描画ヘッドは、通常、記録媒体の送り方向(搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿ってヘッドを配置する態様もあり得る。
【0118】
<ヘッド構成の変形例について>
上記実施形態では、記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、シリアル型(シャトルスキャン型)ヘッドなど、短尺の描画ヘッドを移動させながら、複数回のヘッド走査により画像記録を行うインクジェット記録装置についても本発明を適用可能である。
【0119】
<本発明の応用例について>
上記の実施形態では、グラフィック印刷用のインクジェット記録装置への適用を例に説明したが、本発明の適用範囲はこの例に限定されない。例えば、電子回路の配線パターンを描画する配線記録装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルター製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを描画するインクジェットシステムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0120】
10…描画ヘッド(液体吐出ヘッド)、12…ノズル(描画ノズル)、14…ノズル面(描画ノズル面)、15…撥液膜、20…洗浄ヘッド(ノズル洗浄用ヘッド)、22…洗浄ノズル、24…洗浄ヘッド面、25…樹脂膜、40…供給流路、50…回収流路、68…ピエゾアクチュエータ、120…洗浄ヘッド(ノズル洗浄用ヘッド)、168…圧電素子、200…インクジェット記録装置、224…記録媒体、270…描画ドラム、272M,272K,272C,272Y…インクジェットヘッド(描画ヘッド)、350’,350”…ヘッドモジュール、351…ノズル、372…システムコントローラ(制御回路)、380…プリント制御部、420…洗浄ヘッド移動機構
【技術分野】
【0001】
本発明はノズル洗浄用ヘッド、洗浄装置及びインクジェット記録装置に係り、特に、インクジェットヘッドなどの液体吐出ヘッドにおける液滴の吐出口(ノズル)及びノズル近傍のノズル面のクリーニングに好適なヘッド洗浄技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、装置の連続稼働やヘッドメンテナンス不良によって、描画ヘッドのノズル内にインク残渣等の異物が堆積すると、吐出液滴の飛翔曲がりによる着弾精度の低下や吐出体積の変動により、濃度ムラが発生する。通常のインクジェト記録装置は、ノズルの目詰まりやノズル面への異物の付着等による描画品質の劣化を防止するために描画ヘッドの吐出性能を維持・回復させるメンテナンス機構を備えている(特許文献1〜3)。
【0003】
ノズル面やノズル内部の洗浄方法として、ノズル面に洗浄液を吹き付ける方法や、ブレードやウエブによってノズル面をワイプする方法が知られている。特許文献1には、液滴吐出ヘッドの複数のノズル孔にそれぞれ対応して配置された複数の凹部からなる微小キャップ群を有する吸引キャップが提案されている。特許文献1の吸引キャップは、1つのノズル孔から吸い出される液量を凹部の微小容積に制限しつつ、各微小キャップによってノズル孔相互間を隔離して隣接ノズル間の液体汚染を防止する。
【0004】
特許文献2は、洗浄液に超音波振動を与えてのズルを洗浄する技術が記載されている。特許文献3には、洗浄液又はインクを吐出ノズルに逆流させ、ノズルを洗浄する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−254351号公報
【特許文献2】特開2001−130015号公報
【特許文献3】特開平11−58776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のメンテナンス方法では、ノズル内部の付着物を完全に取り去ることが困難である。また、ノズル面のワイプにより、ノズル内部へ過度に気泡を混入させてしまったり、ノズル面に付着していた周辺残渣をノズル内に掻き入れてしまったりといった問題が生じ、却って描画品質を低下させることになりかねない。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、描画ヘッドのノズル内を効率的に洗浄することができるノズル洗浄用ヘッド、洗浄装置及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために以下の発明態様を提供する。
【0009】
(発明1):発明1に係るノズル洗浄用ヘッドは、液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドのノズル面に密着させる洗浄ヘッド面と、前記洗浄ヘッド面に、前記ノズルの開口面積以上の開口面積を有して開口し、前記複数のノズル孔のうち少なくとも一部のノズル孔の個々に対応して配置された複数の洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルから洗浄液及び前記液体のうち少なくとも一方の液を前記液体吐出ヘッドの前記ノズルに向けて吐出する吐出エネルギー発生手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、液体吐出ヘッドとは別のノズル洗浄用ヘッドを用意し、ノズル洗浄用ヘッドの洗浄ノズルと、液体吐出ヘッドのノズル(以下、「描画ノズル」と記載する場合がある。)の位置を合わせて、液体吐出ヘッドのノズル面にノズル洗浄用ヘッドを密着させる。1つの描画ノズルに対して1つの洗浄ノズルが連結された状態で、洗浄ノズルから洗浄液を押し出し、描画ノズル内を洗浄する。洗浄液に代えて、描画に用いる液体(以下、「描画液体」という。)を用いることも可能である。例えば、描画液体と同種の液体を洗浄液として利用し、ノズル洗浄用ヘッドの洗浄ノズルから吐出させることができる。また、液体吐出ヘッドのノズルから吐出された液体を、描画ノズル内に逆流させることも可能である。この発明によれば、液体吐出ヘッドのノズル内を個別に効率的に洗浄することができる。
【0011】
発明1において、好ましくは、洗浄ノズルの開口面積を描画ノズルの開口面積よりも大きくする。洗浄ノズルの開口面積を描画ノズルの開口面積よりも大きくすることにより、アライメント誤差を吸収できるとともに、描画ノズル近傍のノズル面に付着した異物を除去することができる。
【0012】
(発明2):発明2に係るノズル洗浄用ヘッドは、発明1に記載のノズル洗浄用ヘッドにおいて、前記洗浄ヘッド面の前記描画ヘッドとの密着領域は、前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面よりも硬度が低いことを特徴とする。
【0013】
液体吐出ヘッドのノズル面には撥液膜が形成されていることが多い。発明2によれば、液体吐出ヘッドに対するノズル洗浄用ヘッドの密着動作及び剥離動作に伴う液体吐出ヘッドのノズル面(撥液膜)へのダメージを低減することができる。
【0014】
(発明3):発明3に係るノズル洗浄用ヘッドは、発明2に記載のノズル洗浄用ヘッドにおいて、前記洗浄ヘッド面の前記液体吐出ヘッドとの密着領域には、前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面よりも硬度が低い膜が形成されていることを特徴とする。
【0015】
例えば、液体吐出ヘッドのノズル面よりも軟らかい材料の膜を洗浄ヘッド面に形成する。
【0016】
(発明4):発明4に係るノズル洗浄用ヘッドは、発明1から3のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッドにおいて、前記洗浄ノズルは、前記液体吐出ヘッドの各ノズルについて一対一の対応関係で設けられていることを特徴とする。
【0017】
液体吐出ヘッドの各ノズルを洗浄する洗浄ノズルをノズル毎に個別に設けることにより、ヘッドの全ノズルを一斉に、効率よく洗浄することができる。また、液体吐出ヘッドのヘッド単位、或いは、液体吐出ヘッドを構成するヘッドモジュール単位でノズル洗浄用ヘッドを設けることにより、洗浄時間の短縮を図ることができる。
【0018】
(発明5):発明5に係るノズル洗浄用ヘッドは、発明1から4のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッドにおいて、前記洗浄ノズルから当該ノズル洗浄用ヘッド内に流入した液を回収する回収流路を備えることを特徴とする。
【0019】
かかる態様によれば、ノズル内或いはその近傍に付着した異物を、ノズル洗浄用ヘッド側に流して回収、排出することができる。
【0020】
(発明6):発明6に係る洗浄装置は、発明1から5のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッドと、前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドに接触させる動作及び前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドから離間させる動作を行うヘッド移動手段と、前記ノズル洗浄用ヘッドの前記吐出エネルギー発生素子の駆動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
発明6の洗浄装置によれば、液体吐出ヘッドの各ノズルを個別に効率よく洗浄することができる。
【0022】
(発明7):発明7に係る洗浄装置は、発明6に記載の洗浄装置において、前記制御手段は、前記吐出エネルギー発生素子をMHzオーダーの超音波領域の周波数で駆動することを特徴とする。
【0023】
かかる態様によれば、描画ノズル内、或いはその近傍に付着した固着物(汚れ)が超音波振動(高周波振動)によって除去しやすくなる。
【0024】
(発明8):発明8に係るインクジェット記録装置は、発明1から5のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッドと、前記液体吐出ヘッドと、前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドに接触させる動作及び前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドから離間させる動作を行うヘッド移動手段と、前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面に前記ノズル洗浄用ヘッドの前記洗浄ヘッド面を密着させた状態で前記液体吐出ヘッド及び前記ノズル洗浄用ヘッドを交互に吐出駆動させる制御を行う制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0025】
かかる態様によれば、描画ノズルと洗浄ノズルの連結部分では、描画ノズルから吐出した液体と洗浄ノズルから吐出した洗浄液とが混在し得る。液体吐出ヘッドとノズル洗浄用ヘッドを交互に吐出駆動させることにより、描画ノズルと洗浄ノズルの連結部分で液の流れを反転させながら、描画ノズルを個別集中的に洗浄できる。また、かかる態様によれば、描画液体や洗浄液が無駄に流出しないため、液の節約にもなる。
【0026】
(発明9):発明9に係るインクジェット記録装置は、発明8に記載のインクジェット記録装置において、前記交互の吐出駆動により前記液体吐出ヘッドの前記ノズルと前記ノズル洗浄用ヘッドの前記洗浄ノズルの間で液を往き来させることを特徴とする。
【0027】
かかる態様によれば、描画ノズルを効率よく洗浄できるとともに、描画液体や洗浄液の消費量も節約できる。
【0028】
(発明10):発明10に係るインクジェット記録装置は、発明8又は9に記載のインクジェット記録装置において、前記交互の吐出駆動により前記液体吐出ヘッドから吐出される液体量が前記ノズル洗浄用ヘッドから吐出される液体量よりも多いことを特徴とする。
【0029】
かかる態様によれば、描画ノズルと洗浄ノズルの間で液が往き来しながらも、全体としては描画ノズル側から洗浄ノズル側へと液が流れていく。これにより、描画ノズル内又はその近傍に付着した異物を液体吐出ヘッドからノズル洗浄用ヘッド側へ移動させることが可能である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、液体吐出ヘッドのノズル内を効率的に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は本発明の実施形態に係るノズル洗浄用ヘッドの斜視図である。
【図2】図2(a)は描画ヘッドのノズル面におけるノズル配置の例を模式的に示した平面図、図2(b)は洗浄ヘッドのノズル面におけるノズル配置の例を模式的に示した平面図である。
【図3】図3(a)は1つの描画ノズルとこれに対応する洗浄ノズルに注目した拡大断面図、図3(b)は描画ノズルを洗浄している様子を示す拡大断面図である。
【図4】図4は比較例の説明図である。
【図5】図5は本発明の実施形態に係る洗浄ヘッドの内部流路構造を模式的に示した平面図である。
【図6】図6は洗浄ヘッドの内部の概略構造を示す縦断面図である。
【図7】図7は洗浄ヘッドの他の内部流路構造例を模式的に示した縦断面図である。
【図8】図8は図7中の矢印8A方向から見た圧電素子の平面図である。
【図9】図9は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成例を示す図である。
【図10】図10(a),(b)はインクジェットヘッドの構成例を示す平面図である。
【図11】図11はインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0033】
<第1実施形態>
図1は本発明の実施形態に係るノズル洗浄用ヘッドの斜視図である。図1において、符号10はインクジェット記録装置の描画ヘッド(「液体吐出ヘッド」に相当)、符号20は描画ヘッド10のノズル12を洗浄するための洗浄ヘッド(「ノズル洗浄用ヘッド」に相当)である。描画ヘッド10には、インク滴を吐出するための複数のノズル12が形成されている。ここでは、複数のノズル12がマトリクス状に二次元配置されているノズル面14を有する描画ヘッド10(マトリクスヘッド)を例示する。ただし、ノズル12の配列形態は特に限定されない。例えば、複数のノズルが直線的に一列に並んだノズル配列(1次元配列)や、複数のノズルが折れ線状に並んだノズル配列などもあり得る。
【0034】
描画ヘッド10はインク供給用の供給管路16を介してインク供給タンク(不図示)に接続される。インク供給タンクから供給管路16を通って描画ヘッド10にインク(「描画用の液体」に相当)が供給される。また、描画ヘッド10はインク回収用の循環管路18を介して図示せぬインク回収タンクに接続される。描画ヘッド10の内部には、各ノズル12に供給したインクを循環させるための循環流路が形成されている。描画ヘッド10内のインクを常時循環させることにより、非吐出時におけるノズル近傍のインクの増粘を防止することができる。
【0035】
一方、洗浄ヘッド20には、描画ヘッド10のノズル12を個別に洗浄するための洗浄ノズル22が複数形成されている。なお、以下の説明において、用語の混乱を避けるために、描画ヘッド10のノズル12を「描画ノズル12」と記載する場合がある。また、描画ヘッド10のノズル面14を「描画ノズル面14」、洗浄ヘッド20のノズル面24を「洗浄ヘッド面24」と記載する場合がある。
【0036】
洗浄ヘッド面24には、描画ヘッド10の描画ノズル12に対応して複数の洗浄ノズル22が形成されている(図2参照)。洗浄ノズル22の開口面積(開口サイズ)は、描画ノズル12の開口面積以上の大きさである。好ましくは、洗浄ノズル22の開口面積は描画ノズル12の開口面積よりも大きいものとする。本例では、図示のように、洗浄ノズル22の開口径が描画ノズル12の開口径よりも大きくなっている。
【0037】
洗浄ノズル22及び描画ノズル12の各ノズル孔の開口形状は、円形に限らず、様々な形状が可能である。例えば、四角形、多角形、多角形の角部を面取りした形状、多角形の角部を円弧状に丸めた(いわゆる「R付き」)形状などの開口形状も可能である。洗浄ノズル22の開口形状は、描画ノズル12の開口形状と相似形であることが好ましい。
【0038】
洗浄ヘッド20は洗浄液供給用の供給管路26を介して図示せぬ洗浄液供給タンクに接続される。洗浄液供給タンクから供給管路26を通って洗浄液が洗浄ヘッド20に供給される。また、洗浄ヘッド20は洗浄液回収用の循環管路28を介して図示せぬ洗浄液回収タンクに接続される。洗浄ヘッド20の内部には、各洗浄ノズル22に供給した洗浄液を回収・循環させるための循環流路が形成されている。
【0039】
本例の洗浄ヘッド20は、描画ヘッド10で記録媒体(不図示)に描画録を行う描画エリアの外側の領域に設けられたメンテナンス部に設置される。描画ヘッド10は、図示せぬキャリッジに搭載されており、記録媒体に描画するための描画位置と、メンテナンスを行うためのメンテナンス位置との間を移動可能である。描画前、描画後、或いは描画の中断時など、適宜のタイミングで描画ヘッド10を描画エリア外のメンテナンス位置に退避させ、ノズル洗浄その他のメンテナンスを行うことができる。なお、メンテナンス動作には、例えば、ノズル面のワイピング、パージ(予備吐出)、ノズル吸引、ノズル洗浄、或いはこれらの適宜の組み合わせ、などがある。メンテナンス手段として、本例の洗浄ヘッド20の他、例えば、ノズル面をワイピングするワイピング手段(ウエブを用いる態様、ブレードを用いる態様、これらを組み合わせた態様)、パージ(予備吐出)液を受ける液受け部、ノズル吸引のための吸引キャップ、吸引ポンプ、或いは、これらの適宜の組み合わせ、を採用することができる。
【0040】
洗浄ヘッド20は、図示せぬ移動機構に支持されており、描画ヘッド10に対して相対的に移動可能となっている。洗浄ヘッド20を図1の上方向(+z方向)に移動させることにより、洗浄ヘッド面24を描画ノズル面14に接触させることができる。また、洗浄ヘッド20を図1の下方向(−z方向)に移動させることにより、洗浄ヘッド20を描画ヘッド10から離間させることができる。さらに、洗浄ヘッド20は、必要に応じてz軸と直交するxy面内で移動させることができる。また、洗浄ヘッド20は、xyz軸の直交軸に沿った平行移動に限らず、適宜の回転軸による回転移動を可能に構成してもよい。
【0041】
描画ノズル12を洗浄する際には、洗浄ノズル22の位置と描画ノズル12の位置を一致させて、洗浄ヘッド面24を描画ノズル面14に接触させる。洗浄ヘッド20の洗浄ヘッド面24を描画ヘッド10のノズル面14に密着させた状態で、洗浄ノズル22から描画ノズル12に洗浄液が吐出され、描画ノズル12の内部及び描画ノズル12近傍の描画ノズル面14が洗浄される。描画ノズル12に供給された洗浄液と描画ノズル12から押し出されたインクは、洗浄ノズル22を介して洗浄ヘッド20内に取り込まれ、循環管路28を通って洗浄液回収タンクに回収される。
【0042】
図2(a)は、描画ヘッド10のノズル面14におけるノズル配列を模式的に示した平面図である。図2(b)は、洗浄ヘッド20のノズル面24におけるノズル配列を模式的に示した平面図である。
【0043】
図示のとおり、描画ノズル12の配列ピッチ及び配列形態(図2(a))と、洗浄ノズル22の配列ピッチ及び配列形態(図2(b))とは一致している。描画ノズル12の位置に合わせて洗浄ノズル22が配置される。描画ノズル12と洗浄ノズル22が一対一で対応する関係となっている。
【0044】
なお、図2では、描画ノズル12の個数と、洗浄ノズル22の個数を同数としているが、描画ノズル12の個数に対して洗浄ノズル22の個数を少なくする構成も可能である。洗浄ノズル22の個数が少ない場合には、洗浄ヘッド20を移動させて、洗浄対象の描画ノズル12を変更し、複数回に分けて描画ヘッド10の各ノズル12を洗浄すればよい。
【0045】
図3(a)は、1つの描画ノズル12とこれに対応する洗浄ノズル22に注目した拡大断面図である。図3(a)は、洗浄ヘッド20を描画ヘッド10に接触させる前の状態を示している。図3(b)は、洗浄ヘッド20を描画ヘッド10に接触させて描画ノズル12を洗浄している状態を示している。
【0046】
図3(a)に示すように、描画ヘッド10のノズル面14には、撥液膜15が形成されている。一方、洗浄ヘッド20の洗浄ヘッド面24における描画ヘッド10との密着領域には、撥液膜15よりも軟らかい樹脂膜25が形成されている。
【0047】
図3(a)に示した状態から、洗浄ヘッド20を上昇させ、描画ノズル面14に洗浄ヘッド面24を接触させる。このとき、ヘッド間に液体薄膜が介在することにより、毛管接着効果による密着性が高まる。
【0048】
描画ヘッド10に洗浄ヘッド20を接触させる際、各ノズル(12,22)の位置を合わせる際のアライメント誤差がある。これを吸収するために、洗浄ノズル22の開口面積を描画ノズル12の開口面積よりも大きくすることが好ましい。本例では、描画ヘッド10に洗浄ヘッド20を密着させる際のアライメントの容易性、並びに、描画ノズル12の効果的な個別洗浄を行う観点から、1つの洗浄ノズル22の開口面積内に2つ以上の描画ノズル12が包含されない範囲で、洗浄ノズル22の開口面積を描画ノズル12の開口面積よりも大きいものとしている。
【0049】
また、洗浄ヘッド20のノズル面24は、描画ヘッド10の撥液膜15よりも硬度が低くなるような成膜処理が施されている。このため、洗浄ヘッド20を描画ヘッド10に接触させる際、及び洗浄ヘッド20を描画ヘッド10から引き剥がす(離間させる)際に撥液膜15へのダメージを減らすことができる。
【0050】
<ノズル洗浄のためのヘッド駆動方法>
図3(b)のように、両ヘッドを密着させた状態で、描画ヘッド10と、洗浄ヘッド20を交互に駆動する。例えば、洗浄ヘッド20の各洗浄ノズル22に対応した吐出エネルギー発生素子(圧電素子など)を駆動して洗浄ノズル22から洗浄液を押し出す。その後、描画ヘッド10の吐出エネルギー発生素子を駆動して描画ノズル12からインク及び洗浄液を押し出す。このような吐出動作が交互に繰り返される。描画ノズル12と洗浄ノズル22の間を液体が往き来することにより、描画ノズル12内部及び描画ノズル12近傍のノズル面14が洗浄される。
【0051】
このとき、洗浄ヘッド20側からの液体の押し出し量(吐出体積)に比べて、描画ヘッド10からの液体の押し出し量(吐出体積)の方が多くなるように、吐出体積が調整される。このように吐出体積の比率が調整されることにより、両ヘッドの交互駆動を繰り返しながら、描画ヘッド10から洗浄ヘッド20に液体が流れていく。こうすることで、描画ノズル12やその近傍に付着した異物は、洗浄ヘッド20の洗浄ノズル22へと流れ込んで、描画ヘッド10外に排出される。
【0052】
<比較例>
図4は、図3(b)と対比される比較例の図である。図4では、洗浄ノズル622の開口面積が、描画ノズル612の開口面積よりも小さい場合の図である。この場合、描画ノズル612と洗浄ノズル622の位置を合わせる際のアライメント誤差を吸収することができない。また、図4のように、描画ノズル612の出口付近に付着している異物617は、両ノズル(612,622)の連結部分の流路における澱み点に存在することになる。このため、このような澱み点に存在する異物617を効率的に洗い流すことができない。
【0053】
<洗浄ヘッド20の内部構造例>
図5は、本発明の実施形態に係る洗浄ヘッド20の内部流路構造を模式的に示した平面図である。洗浄ノズル22は、ヘッドの長手方向に対して所定の角度傾斜した直線に沿って複数個のノズルが並ぶノズル列を1単位とし、この斜めのノズル列単位がヘッドの長手方向に沿って一定ピッチで多数並列して配置される。図5では図示の便宜上、6個のノズルが並ぶノズル列を1単位として、これが多数並列されたノズル配置を例示しているが、ノズル数、ノズル配列形態はこの例に限定されない。
【0054】
洗浄ヘッド20は、各洗浄ノズル22に洗浄液を循環させて供給する循環型の液滴吐出ヘッドである。洗浄ヘッド20は、各洗浄ノズル22に対応する圧力室34に洗浄液を供給する供給流路40と、洗浄ノズル22から液体(洗浄液及び描画ノズル12から取り込んだインク)を回収する回収流路50を備えている。
【0055】
供給流路40は、供給流路本流42と、その供給流路本流42から分岐して形成される複数の供給流路支流(共通供給流路)44と、その供給流路支流44からさらに分岐して形成される複数の個別供給流路46とで構成される。
【0056】
供給流路本流42は、ヘッド長手方向に沿って配置される。供給流路本流42の一端には、液体供給口48が設けられている。液体供給口48は図1で説明したインク供給管路16に連結され、液体供給口48からヘッド内に洗浄液が供給される。
【0057】
供給流路支流44は、ヘッド長手方向に対して所定角度傾斜した直線に沿って並ぶ洗浄ノズル22の列と平行に配置される。図5では、斜めのノズル列の列毎に供給流路支流44が設けられているが、複数本のノズル列に対して1本の供給流路支流を設ける態様も可能である。例えば、1本の供給流路支流44に対して、異なる2列のノズル列の各圧力室が接続される構造を採用し、1本の供給流路支流44から2列分のノズル列にインクを供給する形態も可能である。
【0058】
個別供給流路46は、供給流路支流44に沿って並ぶ圧力室34と供給流路支流44とを連通する流路であり、圧力室34毎に個別に設けられる。
【0059】
回収流路50は、回収流路本流52と、その回収流路本流52から分岐して形シアされる複数の回収流路支流(共通回収流路)54と、回収流路支流54からさらに分岐して形成される複数の個別回収流路56とで構成される。
【0060】
回収流路本流52は、ヘッドの長手方向に沿って配置される。この回収流路本流52の一端には、液体回収口58が設けられている。液体回収口58からヘッド外に洗浄液等が排出される。
【0061】
回収流路支流54は、ヘッドの長手方向に対して所定角度傾斜した直線に沿って並ぶ洗浄ノズル22と平行に配置される。図5では、斜めのノズル列の列毎に回収流路支流54が設けられているが、複数本のノズル列に対して1本の回収流路支流54を設ける態様も可能である。例えば、1本の回収流路支流54に対して、異なる2列のノズル列の各ノズルが接続される構造を採用し、1本の回収流路支流54に2列分のノズル列から液体を流入させる形態も可能である。
【0062】
個別回収流路56は、回収流路支流54に沿って並ぶ洗浄ノズル22と回収流路支流54とを連通する流路であり、洗浄ノズル22毎に個別に設けられる。
【0063】
図6は、洗浄ヘッドの内部の概略構造を示す縦断面図である。図6において、図5で説明した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付した。図6中の符号36は圧力室34から洗浄ノズル22に繋がるノズル流路である。図6における符号60はノズルプレート、64は流路基板、66は振動板、68は吐出エネルギー発生素子としてのピエゾアクチュエータ(圧電素子)である。符号70はピエゾアクチュエータ68の可動空間72を確保しつつ、ピエゾアクチュエータ68の周囲を封止するカバープレートである。図6には示されていないが、このカバープレート70の上方に供給側液室及び回収側液室(循環室)が形成され、それぞれ不図示の連通路を介して、洗浄液供給タンク、洗浄液回収タンクに連結されている。
【0064】
供給流路支流44から個別供給流路46を介して圧力室34に供給された洗浄液は、ノズル流路36を通って洗浄ノズル22から押し出される。また、吐出に使用されない余剰洗浄液並びに洗浄ノズル22から流入した液体(描画ヘッド10から押し出されたインクを含む)は、ノズル流路36から個別回収流路56を通って回収流路支流54に回収される。
【0065】
なお、描画ヘッド10(図1参照)については、図6で説明した洗浄ヘッド20と同様の構造を採用することができる。洗浄ヘッド20及び描画ヘッド10における各ノズルから液体を吐出させるための吐出用の圧力(吐出エネルギー)を発生させる手段は、図5に例示した圧電アクチュエータ(圧電素子)に限定されない。例えば、サーマル方式(ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させる方式)におけるヒータ(加熱素子)や、静電方式による電極対など、各種の吐出方式による各種の吐出エネルギー発生素子を適用し得る。ヘッドの吐出方式に応じて、相応のエネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
【0066】
<他のヘッド構造例>
図7は、洗浄ヘッド20の他の内部流路構造例を模式的に示した縦断面図である。図7では、MHzオーダーの超音波領域の高周波振動を利用して吐出を行う洗浄ヘッド120の基本構成を示す断面図である。図7に示した洗浄ヘッド120において、図6で説明した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。同図では、1つの洗浄ノズル22に対応した液室ユニット(1チャンネル分の吐出素子)の断面図を示したが、洗浄ヘッド120には、同様の吐出素子が複数配置された構造となっている。
【0067】
図7において、符号134は洗浄液が満たされる液室、符号166は絶縁性の樹脂フィルム、符号168は圧電素子である。液室134の内周面は放物面形状を成し、当該放物面134Aの焦点位置Fに洗浄ノズル22の液室134側開口径の中心が位置するように液室形成プレート164とノズルプレート60とが接合されている。この放物面134Aは圧電素子168が発生する超音波を反射する反射板となるため、高反射率の観点から液室形成プレート164に金属材料を用いることが好ましい。
【0068】
樹脂フィルム166は、液室形成プレート164を挟んでノズルプレート60と反対側に配置されており、液室134の一部の面(図7において底面)を封止する構成で液室形成プレート164に接合されている。供給流路支流44(インクの共通流路)から個別供給流路46を通じて導入されたインクは、放物面134Aと樹脂フィルム166面及びノズルプレート60により囲まれた空間(液室134)に充填される。
【0069】
樹脂フィルム166の液室134と反対側の面(図7において下側の面)には、振動子として機能する圧電素子168が接合されている。図8に圧電素子168の平面図(図7中の矢印8A方向から見た図)を示す。図8に示したように、圧電素子168は、放物面134Aの上流側開口134Bを覆う大きさの面積を有する。同図では、放物面134Aの上流側開口134Bよりも大きな面積を有する略正方形状の圧電素子168を例示したが、圧電素子168の平面形状は、正方形に限定されず、長方形、菱形などに代表される四角形、六角形、八角形、その他の多角形、或いは円、楕円など、多様な形態があり得る。なお、図8において符号134Cで示した破線円は、放物面134Aの下流側開口(ノズルプレート60に接する開口の縁)である(図7参照)。
【0070】
図7に示したとおり、圧電素子168は、圧電体168Aを挟んでその両面に電極168B,168Cが形成された構造を有する。図7の例では、樹脂フィルム166に接合される側の電極168Bが共通電極であり、他方の電極168Cが素子毎に独立した駆動電極(以下、「個別電極」という。)となっている。かかる構成において、圧電素子168の個別電極168CにMHzオーダーの高周波の駆動信号(駆動電圧)を印加することによって圧電素子168を振動させ、超音波を発生させる。樹脂フィルム166はその柔軟性によって圧電素子168とともに振動し、樹脂フィルム166を介して液中に超音波が放射される。
【0071】
圧電素子168から洗浄液中に放射された超音波は、洗浄液を媒質として液室134内を伝播し、放物面134Aでの反射によって焦点位置F付近(洗浄ノズル22の中央部付近)に集束する。図7では、超音波の振動数を持った圧力波の波面の進行方向を破線によって模式的に示している。この集束された超音波のエネルギーによって洗浄ノズル22から液が吐出される。かかる態様によれば、超音波振動によって、描画ノズル22内及びその近傍のノズル面12に強固に付着した汚れを除去することが可能である。
【0072】
なお、超音波集束方式のヘッドは、リフレクタ(放物面134A)を有するため、吐出用ヘッドとしては高解像度化が困難であると考えられる。しかしながら、洗浄用のヘッドであれば、描画ヘッドほどの微細ノズルは必要なく、また、洗浄時に洗浄ヘッドを移動させながら洗浄位置を移動させるように運用すればよいため、描画ヘッドと全く同様の高密度ノズル配置にする必要もない。
【0073】
<インクジェット記録装置の説明>
図9は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置200の構成例を示す図である。インクジェット記録装置200は、主として、給紙部212、処理液付与部214、描画部216、乾燥部218、定着部220、及び排紙部222を備えて構成される。このインクジェット記録装置200は、描画部216の圧胴(描画ドラム270)に保持された記録媒体224(便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド(「描画ヘッドに相当」)272M,272K,272C,272Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成するオンデマンドドロップ方式の画像形成装置である。
【0074】
(給紙部)
給紙部212には、枚葉紙である記録媒体224が積層されている。給紙部212の給紙トレイ250から記録媒体224が一枚ずつ処理液付与部214に給紙される。本例では、記録媒体224として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
【0075】
(処理液付与部)
処理液付与部214は、記録媒体224の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部216で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
【0076】
処理液付与部214は、給紙胴252、処理液ドラム254、及び処理液塗布装置256を備えている。処理液ドラム254は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)255を備え、この保持手段255の爪と処理液ドラム254の周面の間に記録媒体224を挟み込むことによって記録媒体224の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム254は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体224を処理液ドラム254の周面に密着保持することができる。
【0077】
処理液ドラム254の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置256が設けられる。処理液塗布装置256は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム254上の記録媒体224に圧接されて計量後の処理液を記録媒体224に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置256によれば、処理液を計量しながら記録媒体224に塗布することができる。本実施形態では、ローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
【0078】
処理液付与部214で処理液が付与された記録媒体224は、処理液ドラム254から中間搬送部226を介して描画部216の描画ドラム270へ受け渡される。
【0079】
(描画部)
描画部216は、描画ドラム270、用紙抑えローラ274、及びインクジェットヘッド272M,272K,272C,272Yを備えている。描画ドラム270は、処理液ドラム254と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)271を備える。本例の描画ドラム270では、回転方向について180度の間隔で周面の2箇所にグリッパー271が設けられ、1回転で2枚の記録媒体224が搬送できるように構成されている。
【0080】
描画ドラム270の周面には、図示しない吸着穴が所定のパターンで多数形成されており、この吸着穴からエアが吸引されることにより、記録媒体224が描画ドラム270の周面に吸着保持される。なお、負圧吸引によって記録媒体224を吸引吸着する構成に限らず、例えば、静電吸着により、記録媒体224を吸着保持する構成とすることもできる。
【0081】
インクジェットヘッド272M,272K,272C,272Yはそれぞれ、記録媒体224における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の描画ヘッドであり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド272M,272K,272C,272Yは、記録媒体224の搬送方向(描画ドラム270の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
【0082】
描画ドラム270上に密着保持された記録媒体224の記録面に向かって各インクジェットヘッド272M,272K,272C,272Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部214で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体224上での色材流れなどが防止され、記録媒体224の記録面に画像が形成される。
【0083】
描画ドラム270によって記録媒体224を一定の速度で搬送し、この搬送方向について、記録媒体224と各インクジェットヘッド272M,272K,272C,272Yを相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録媒体224の画像形成領域に画像を記録することができる。かかるフルライン型(ページワイド)ヘッドによるシングルパス方式の画像形成は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドによるマルチパス方式を適用する場合に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
【0084】
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0085】
描画部216で画像が形成された記録媒体224は、描画ドラム270から中間搬送部228を介して乾燥部218の乾燥ドラム276へ受け渡される。
【0086】
(乾燥部)
乾燥部218は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、乾燥ドラム276、及び溶媒乾燥装置278を備えている。乾燥ドラム276は、処理液ドラム254と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)277を備える。溶媒乾燥装置278は、乾燥ドラム276の外周面に対向する位置に配置され、複数のハロゲンヒータ280と、各ハロゲンヒータ280の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル282とで構成される。各温風噴出しノズル282から記録媒体224に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各ハロゲンヒータ280の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。
【0087】
乾燥部218で乾燥処理が行われた記録媒体224は、乾燥ドラム276から中間搬送部230を介して定着部220の定着ドラム284へ受け渡される。
【0088】
(定着部)
定着部220は、定着ドラム284、ハロゲンヒータ286、定着ローラ288、及びインラインセンサ290構成される。定着ドラム284は、処理液ドラム254と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)285を備える。
【0089】
定着ドラム284の回転により、記録媒体224は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ286による予備加熱と、定着ローラ288による定着処理と、インラインセンサ290による検査が行われる。
【0090】
定着ローラ288は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体224を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ288は、定着ドラム284に対して圧接するように配置されており、定着ドラム284との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体224は、定着ローラ288と定着ドラム284との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
【0091】
また、定着ローラ288は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(例えば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体224を加熱することによって、インクに含まれるラテックスのTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、ラテックス粒子が溶融される。これにより、記録媒体224の凹凸に押し込み定着が行われるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
【0092】
一方、インラインセンサ290は、記録媒体224に形成された画像(不吐出検出用のテストパターンや濃度補正用のテストパターン、印刷画像なども含む)について、吐出不良チェックパターンや画像の濃度、画像の欠陥などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
【0093】
なお、高沸点溶媒及びポリマー微粒子(熱可塑性樹脂粒子)を含んだインクに代えて、UV露光にて重合硬化可能なモノマー成分を含有していてもよい。この場合、インクジェット記録装置200は、ヒートローラによる熱圧定着部(定着ローラ288)の代わりに、記録媒体224上のインクにUV光を露光するUV露光部を備える。このように、UV硬化性樹脂などの活性光線硬化性樹脂を含んだインクを用いる場合には、加熱定着の定着ローラ288に代えて、UVランプや紫外線LD(レーザダイオード)アレイなど、活性光線を照射する手段が設けられる。
【0094】
(排紙部)
定着部220に続いて排紙部222が設けられている。排紙部222は、排出トレイ292を備えており、この排出トレイ292と定着部220の定着ドラム284との間に、これらに対接するように渡し胴294、搬送ベルト296、張架ローラ298が設けられている。記録媒体224は、渡し胴294により搬送ベルト296に送られ、排出トレイ292に排出される。搬送ベルト296による用紙搬送機構の詳細は図示しないが、印刷後の記録媒体224は無端状の搬送ベルト296間に渡されたバー(不図示)のグリッパーによって用紙先端部が保持され、搬送ベルト296の回転によって排出トレイ292の上方に運ばれてくる。
【0095】
また、図9には示されていないが、本例のインクジェット記録装置200には、上記構成の他、各インクジェットヘッド272M,272K,272C,272Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部214に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド272M,272K,272C,272Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引、ノズル洗浄等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体224の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
【0096】
<インクジェットヘッドの構成例>
図10(a)は、インクジェットヘッド(272M、272K、272C、272Y)の構成例を示す平面透視図、図10(b)は他の構造例を示す平面透視図である。各色のヘッドの構造は共通しているので、これらを代表して符号272でヘッドを示す。
【0097】
図10(a)に示すように、本例のインクジェットヘッド272は、インク吐出口であるノズル351と、各ノズル351に対応する圧力室352、インク供給口(個別供給路)354等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)353をマトリクス状に二次元配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影(正射影)される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。複数のノズル351が二次元に配列された短尺のヘッドモジュール350’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録媒体224の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドが構成される。
【0098】
また、図10(b)に示すように、ヘッドモジュール350”を一列に並べて繋ぎ合わせる態様もある。
【0099】
図1で説明した洗浄ヘッド20は、インクジェットヘッド272(ページワイドのバーヘッド)の全ノズル351を一度に洗浄できるように、全ノズル351に対応した洗浄ノズル22(図1参照)を有する構成としてもよいし、ヘッドモジュール350’、350”の単位で洗浄を行う構成でもよい。
【0100】
ヘッドモジュール350’、350”内のノズル数と同数の洗浄ノズル22を有する洗浄ヘッドや、ヘッドモジュール350’、350”内のノズル数よりも少ない個数の洗浄ノズルを有する洗浄ヘッドを用いて、洗浄ヘッドを移動させながら、インクジェットヘッド272の各ノズルを洗浄するように構成してもよい。
【0101】
<制御系の説明>
図11は、インクジェット記録装置200のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置200は、インク供給部302から描画ヘッド10にインクを送り出すための供給用ポンプ304と、描画ヘッド10からインク回収部312にインクを排出させるための回収用ポンプ314と、これらポンプを駆動するポンプ駆動回路316と、描画ヘッド10の移動機構320を駆動するための動力を発生させるモータ322と、該モータ322の駆動回路324と、通信インターフェース370、システムコントローラ(制御回路)372、メモリ374、ROM375、プリント制御部380、描画ヘッド駆動回路384を備えている。
【0102】
通信インターフェース370は、ホストコンピュータ386から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース370にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ386から送り出された画像データは通信インターフェース370を介してインクジェット記録装置200に取り込まれ、一旦メモリ374に記憶される。
【0103】
メモリ374は、通信インターフェース370を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ372を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ374は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0104】
システムコントローラ372は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置200の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。ROM375には各種制御プログラムや各種のパラメータ等が格納されており、システムコントローラ372の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。メモ374は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
【0105】
プリント制御部380は、システムコントローラ372の制御に従い、メモリ374内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドット画像データ)を描画ヘッド駆動回路384に供給する制御部である。
【0106】
ドット画像データは、入力された多階調の画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(例えば、RGB各色について8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置200で使用するインクの各色の色データ(本例では、KCMYの色データ)に変換する処理である。
【0107】
ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色の色データに対して、誤差拡散法で各色のドットデータ(本例では、KCMYのドットデータ)に変換する処理である。
【0108】
プリント制御部380において所要の信号処理が施され、得られたドットデータに基づいて、描画ヘッド駆動回路384を介して描画ヘッド10(図9のインクジェットヘッド272M,272K,272C,272Y)のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。プリント制御部380とシステムコントローラ372とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0109】
描画ヘッド駆動回路384は、アンプ回路を含み、プリント制御部380から与えられるノズル制御データ(ドットデータ)及び駆動波形の信号に基づき、印字内容に応じて描画ヘッド10の各ノズル12に対応する吐出エネルギー発生素子(例えば圧電素子)を駆動するための駆動電圧信号を出力する。描画ヘッド駆動回路384にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0110】
本例に示すインクジェット記録装置200は、各色のヘッド毎(或いは、ヘッドモジュール毎)に複数のピエゾアクチュエータに対して、共通の駆動波形電圧信号を印加し、各ピエゾアクチュエータの吐出タイミングに応じて各ピエゾアクチュエータの個別電極に接続されたスイッチ素子(不図示)のオンオフを切り換えることで、各ピエゾアクチュエータに対応する描画ノズルからインクを吐出させる駆動方式が採用されている。画像データから生成された各色毎の印字データ(ノズル制御データ)は、各ピエゾアクチュエータの個別電極に接続されたスイッチ素子のオンオフ制御に利用される。
【0111】
描画ヘッド駆動回路384から出力された駆動電圧信号が描画ヘッド10に加えられることによって、該当するノズル12からインクが吐出される。記録媒体224の搬送速度に同期して描画ヘッド10からのインク吐出を制御することにより、記録媒体224上に画像が形成される。
【0112】
本例のインクジェット記録装置200は、洗浄液供給部402から洗浄ヘッド20に洗浄液を送り出すための供給用ポンプ404と、洗浄ヘッド20から洗浄液回収部412にインク及び洗浄液を排出させるための回収用ポンプ414と、これらポンプを駆動するポンプ駆動回路416と、洗浄ヘッド20の移動機構420を駆動するための動力を発生させるモータ422と、該モータ422の駆動回路424と、洗浄ヘッド駆動回路484を備えている。なお、図5及び図6で説明した洗浄ヘッド20に代えて、図7で説明した洗浄ヘッド120を採用することも可能である。
【0113】
図11のシステムコントローラ372は、所定のプログラムに従ってポンプ駆動回路416を制御し、洗浄ヘッド20に対する洗浄液の供給、並びに、洗浄ヘッド20からの液体の回収を制御する。また、システムコントローラ372は、モータ駆動回路424を制御して、描画ヘッド10に対する洗浄ヘッド20の接触動作、及び描画ヘッド10からの洗浄ヘッド20の剥離動作を制御する。
【0114】
さらに、システムコントローラ372は、図3(b)で説明したように、ノズル洗浄の際に、描画ヘッド10の吐出駆動と洗浄ヘッド20の吐出駆動を交互に実施するように、洗浄ヘッド駆動回路484と描画ヘッド駆動回路384とを制御する。
【0115】
図11において、システムコントローラ372及びプリント制御部380の組み合わせが「制御手段」に相当する。洗浄ヘッド移動機構420、モータ422及びモータ駆動回路424の組み合わせが「ヘッド移動手段」に相当する。
【0116】
<記録媒体について>
「記録媒体」は、描画ヘッド(液体吐出ヘッド)から吐出された液滴によってドットが記録される媒体の総称であり、印字媒体、被記録媒体、被画像形成媒体、受像媒体、被吐出媒体など様々な用語で呼ばれるものが含まれる。本発明の実施に際して、記録媒体の材質や形状等は、特に限定されず、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フィルム、布、不織布、配線パターン等が形成されるプリント基板、ゴムシート、その他材質や形状を問わず、様々な媒体に適用できる。
【0117】
<ヘッドと用紙を相対移動させる手段について>
上述の実施形態では、停止した描画ヘッド(「記録ヘッド」、「印字ヘッド」、「プリントヘッド」などと呼ばれる場合もある)に対して記録媒体を搬送する構成を例示したが、本発明の実施に際しては、停止した記録媒体に対してヘッドを移動させる構成も可能である。なお、シングルパス方式のフルライン型の描画ヘッドは、通常、記録媒体の送り方向(搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿ってヘッドを配置する態様もあり得る。
【0118】
<ヘッド構成の変形例について>
上記実施形態では、記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、シリアル型(シャトルスキャン型)ヘッドなど、短尺の描画ヘッドを移動させながら、複数回のヘッド走査により画像記録を行うインクジェット記録装置についても本発明を適用可能である。
【0119】
<本発明の応用例について>
上記の実施形態では、グラフィック印刷用のインクジェット記録装置への適用を例に説明したが、本発明の適用範囲はこの例に限定されない。例えば、電子回路の配線パターンを描画する配線記録装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルター製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを描画するインクジェットシステムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0120】
10…描画ヘッド(液体吐出ヘッド)、12…ノズル(描画ノズル)、14…ノズル面(描画ノズル面)、15…撥液膜、20…洗浄ヘッド(ノズル洗浄用ヘッド)、22…洗浄ノズル、24…洗浄ヘッド面、25…樹脂膜、40…供給流路、50…回収流路、68…ピエゾアクチュエータ、120…洗浄ヘッド(ノズル洗浄用ヘッド)、168…圧電素子、200…インクジェット記録装置、224…記録媒体、270…描画ドラム、272M,272K,272C,272Y…インクジェットヘッド(描画ヘッド)、350’,350”…ヘッドモジュール、351…ノズル、372…システムコントローラ(制御回路)、380…プリント制御部、420…洗浄ヘッド移動機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドのノズル面に密着させる洗浄ヘッド面と、
前記洗浄ヘッド面に、前記ノズルの開口面積以上の開口面積を有して開口し、前記複数のノズル孔のうち少なくとも一部のノズル孔の個々に対応して配置された複数の洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルから洗浄液及び前記液体のうち少なくとも一方の液を前記液体吐出ヘッドの前記ノズルに向けて吐出する吐出エネルギー発生手段と、
を備えたことを特徴とするノズル洗浄用ヘッド。
【請求項2】
前記洗浄ヘッド面の前記液体吐出ヘッドの密着領域は、前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面よりも硬度が低いことを特徴とする請求項1に記載のノズル洗浄用ヘッド。
【請求項3】
前記洗浄ヘッド面の前記液体吐出ヘッドとの密着領域には、前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面よりも硬度が低い膜が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のノズル洗浄用ヘッド。
【請求項4】
前記洗浄ノズルは、前記液体吐出ヘッドの各ノズルについて一対一の対応関係で設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッド。
【請求項5】
前記洗浄ノズルから当該ノズル洗浄用ヘッド内に流入した液を回収する回収流路を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッドと、
前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドに接触させる動作及び前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドから離間させる動作を行うヘッド移動手段と、
前記ノズル洗浄用ヘッドの前記吐出エネルギー発生素子の駆動を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記吐出エネルギー発生素子をMHzオーダーの超音波領域の周波数で駆動することを特徴とする請求項6に記載の洗浄装置。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドと、
前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドに接触させる動作及び前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドから離間させる動作を行うヘッド移動手段と、
前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面に前記ノズル洗浄用ヘッドの前記洗浄ヘッド面を密着させた状態で前記液体吐出ヘッド及び前記ノズル洗浄用ヘッドを交互に吐出駆動させる制御を行う制御手段と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記交互の吐出駆動により前記液体吐出ヘッドの前記ノズルと前記ノズル洗浄用ヘッドの前記洗浄ノズルの間で液を往き来させることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記交互の吐出駆動により前記液体吐出ヘッドから吐出される液体量が前記ノズル洗浄用ヘッドから吐出される液体量よりも多いことを特徴とする請求項8又は9に記載のインクジェット記録装置。
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドのノズル面に密着させる洗浄ヘッド面と、
前記洗浄ヘッド面に、前記ノズルの開口面積以上の開口面積を有して開口し、前記複数のノズル孔のうち少なくとも一部のノズル孔の個々に対応して配置された複数の洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルから洗浄液及び前記液体のうち少なくとも一方の液を前記液体吐出ヘッドの前記ノズルに向けて吐出する吐出エネルギー発生手段と、
を備えたことを特徴とするノズル洗浄用ヘッド。
【請求項2】
前記洗浄ヘッド面の前記液体吐出ヘッドの密着領域は、前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面よりも硬度が低いことを特徴とする請求項1に記載のノズル洗浄用ヘッド。
【請求項3】
前記洗浄ヘッド面の前記液体吐出ヘッドとの密着領域には、前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面よりも硬度が低い膜が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のノズル洗浄用ヘッド。
【請求項4】
前記洗浄ノズルは、前記液体吐出ヘッドの各ノズルについて一対一の対応関係で設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッド。
【請求項5】
前記洗浄ノズルから当該ノズル洗浄用ヘッド内に流入した液を回収する回収流路を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッドと、
前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドに接触させる動作及び前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドから離間させる動作を行うヘッド移動手段と、
前記ノズル洗浄用ヘッドの前記吐出エネルギー発生素子の駆動を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記吐出エネルギー発生素子をMHzオーダーの超音波領域の周波数で駆動することを特徴とする請求項6に記載の洗浄装置。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載のノズル洗浄用ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドと、
前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドに接触させる動作及び前記ノズル洗浄用ヘッドを前記液体吐出ヘッドから離間させる動作を行うヘッド移動手段と、
前記液体吐出ヘッドの前記ノズル面に前記ノズル洗浄用ヘッドの前記洗浄ヘッド面を密着させた状態で前記液体吐出ヘッド及び前記ノズル洗浄用ヘッドを交互に吐出駆動させる制御を行う制御手段と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記交互の吐出駆動により前記液体吐出ヘッドの前記ノズルと前記ノズル洗浄用ヘッドの前記洗浄ノズルの間で液を往き来させることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記交互の吐出駆動により前記液体吐出ヘッドから吐出される液体量が前記ノズル洗浄用ヘッドから吐出される液体量よりも多いことを特徴とする請求項8又は9に記載のインクジェット記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−96464(P2012−96464A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246447(P2010−246447)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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