説明

ノルボルネニルメチルフルオロアルキルエーテル

ビシクロ(2,2,1)ヘプタ−5−エン−2−メタノールと、フルオロ(アルキルビニルエーテル)との反応によって作製される、新規のモノマーであるノルボルネニルメチルフルオロアルキルエーテルが記載される。これらのモノマーは、フォトレジスト用の、特に193nm光を用いた液浸リソグラフィーによるフォトイメージングに使用するための疎水性の耐加水分解性ポリマーなどのポリマーを作製するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビシクロ(2.2.1)ヘプタ−5−エン−2−メタノール(CAS番号95−12−5)(本明細書において5−ノルボルネン−2−メタノールと呼ばれる)と、フルオロ(アルキルビニルエーテル)とを反応させることによって作製される新規なモノマーに関し、このモノマーは、フォトレジスト用のポリマーを作製するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
集積回路を作製するためのフォトイメージング(photoimaging)の際には、フォトレジストを、フォトマスクを介して特定の波長の光に露光することにより、フォトレジストの溶解度を変化させる。この変化の通常の機構は、光酸発生剤と光子との反応により、酸が生成され、次にこの酸がフォトレジストのポリマーと反応して、その溶解度を変化させるというものである。この溶解度の変化により、フォトレジストの選択的除去が可能になり、フォトレジストが選択的に除去される領域においてシリコン基板をエッチングすることが可能になる。フォトレジストは、大抵の場合、用いられる波長の光に対して透過性でなければならず、このため、フォトレジストのポリマーは典型的にはアモルファス、すなわち、非晶質であり、示差走査熱量測定(DSC)にかけたときに溶融吸熱を示さない。フォトレジストはまた、光に露光されると溶解度を変更するための機構を有し、高いガラス転移温度(Tg)を有するのが好ましい。ノルボルネンなどの環状構造は、その環構造により高いTgに寄与するが、特に193nmの光の吸収に作用する機能性をもたらさない。
【0003】
ますます微細化している構造を作製するのに用いられるフォトレジストの能力は、液浸リソグラフィーと呼ばれる技術を用いて拡張されてきた。目標屈折率を有する浸漬液が、より小さい(より微細な)特徴部を作製するための波長の光に焦点を合わせることができる。主な浸漬液は水であり、これには、疎水性および耐加水分解性といった、フォトレジストに対するさらなる要件が追加される。液浸リソグラフィーの際に、フォトレジストは、浸漬液によって膨張されたり(swollen)溶解されたりしてはならない。
【0004】
ノルボルネニルモノマー上のフッ化炭素置換基が疎水性を与える。記載したように、かかる置換基は、ポリマーにおける加水分解攻撃(hydrolytic attack)によって失われにくいことが望ましい。米国特許公報(特許文献1)には、シクロペンタジエンおよび部分的にフッ素化されたビニル化合物、ビニルエステル、およびビニルエーテルのディールス・アルダー付加によって作製されるノルボルネニルモノマーが開示されている。
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,751,168号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/011509号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
入手可能な出発物質から容易に合成可能な、さらなる部分的にフッ素化されたノルボルネンモノマーが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、本発明は、R−CH2−O−C2ab−O−Cxyzn(式中、Rがビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニルであり、かつ5位においてメチレン基に結合され;a=1〜3かつb=1〜3であり、a+b=4であり;x=1〜10であり、y=0〜2x+1であり、z=0〜2x+1であり、y+z=2x−1または2x+1であり;そしてn=0〜8であり、ただし、酸素がエーテル酸素である)に関する。第2の実施形態では、本発明は、重合されたR−CH2−O−C2ab−O−Cxyzn(式中、Rがビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニルであり、かつ5位においてメチレン基に結合され;a=1〜3かつb=1〜3であり、a+b=4であり;x=1〜10であり、y=0〜2x+1であり、z=0〜2x+1であり、y+z=2x−1または2x+1であり;そしてn=0〜8であり、ただし、酸素がエーテル酸素である)に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のノルボルネニルメチルフルオロアルキルエーテルは、ノルボルネニルメタノール、特に5−ノルボルネン−2−メタノール(I)と、フルオロ(アルキルビニルエーテル)とを反応させることによって作製される。(I)のヒドロキシル基が、フルオロ(アルキルビニルエーテル)のビニル基に付加される。
【0009】
【化1】

【0010】
この反応は、(Norb−OHがアルコール(I)であり、そしてCF2=CF−ORがフルオロ(アルキルビニルエーテル)である)下式の通りに表され得る:
Norb−OH+CF2=CF−OR→Norb−O−CF2−CHF−OR
示されるように、反応生成物は、本明細書において「付加物」と呼ばれ得る。この反応は、塩基に触媒され、穏和な条件下で進行する。この反応は発熱性であり、室温(約25℃)以下で行われるのが好ましい。ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)(沸点35〜36℃)がビニルエーテルであるときの好ましい温度範囲は20〜25℃である。ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)はより低沸点(7°C)であるが、好ましい温度範囲をなお満たしている。ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)は室温で気体(沸点−22°C)であり、これはオートクレーブ中で最良に反応される。しかしながら、苛性アルカリによる付加物の脱フッ化水素などの望ましくない二次反応により、ビニルエーテルが生成されるのを防止するために、温度を25℃未満に保持するのがなお望ましい。望ましくない脱フッ化水素反応は以下の通りである:
Norb−O−CF2−CFH−O−R+KOH→Norb−O−CF=CF−O−R+KF+H2
反応温度を25℃未満に保持することによって、脱フッ化水素が効果的に抑制される。
【0011】
冷水または氷水による反応容器の冷却が、反応温度を維持するのに役立つ。温度はまた、あるいはさらに、反応温度が所望の点に維持され得るような速度で、フルオロ(アルキルビニルエーテル)を5−ノルボルネン−2−メタノールに添加することによって制御されてもよい。フルオロ(アルキルビニルエーテル)から空気(酸素)を遠ざけることがさらに好ましい(これらのエーテルは酸素と反応するためである)。窒素などの不活性ガスで反応容器を一掃して(sweeping)から不活性ガスを行き渡らせることにより、酸素がビニルエーテルと反応するのが十分に防止されるであろう。非プロトン性極性溶媒が用いられるのが好ましい。ジメチルスルホキシド(DMSO)がかかる好ましい溶媒である。
【0012】
好ましい反応手順は、DMSOおよび苛性アルカリ水溶液(aqueous caustic)、好ましくは水酸化カリウム水溶液(少なくとも約25重量%のKOH、好ましくは少なくとも約35重量%、より好ましくは少なくとも約40重量%、好ましくは約55重量%以下、より好ましくは約50重量%以下、最も好ましくは約45重量%)、および5−ノルボルネン−2−メタノールを反応容器に仕込み、容器の内容物を好ましくは氷水中で所望の反応温度未満まで冷却し、次いで、ややモル過剰(好ましくは約10モル%)の純フルオロ(アルキルビニルエーテル)を滴下で(PPVEおよびPEVEの場合と同様に液体である場合)添加するか、またはフルオロ(アルキルビニルエーテル)を(PMVEの場合のように気体である場合)圧力容器中にある反応混合物中に入れることである。反応が進行するにつれて、生成物(付加物)が、反応容器の底に第2の液体相(生成物層)として分離する。すなわち、付加物はより重い層にある。反応の終わりに、生成物層を分離し、水で洗浄し、任意に乾燥させ、そして真空蒸留する。
【0013】
5−ノルボルネン−2−メタノールがNorb−OHとして表される場合、PPVEとの反応の生成物(付加物)は、Norb−O−CF2−CFH−O−C37である。
【0014】
5−ノルボルネン−2−メタノールと、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)PPVE、PEVE、およびPMVEとの上記の反応からの付加物の化学名は以下の通りである:
PPVEとの反応の場合:5−[(1,1,2,4,4,5,5,6,6,6−デカフルオロ−3−オキサヘキソキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
PEVEとの反応の場合:5−[(1,1,2,4,4,5,5,5−オクタフルオロ−3−オキサペントキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
PMVEとの反応の場合:5−[(1,1,2,4,4,4−ヘキサフルオロ−3−オキサブトキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン
【0015】
PPVE、PEVE、およびPMVEが好ましいフルオロ(アルキルビニルエーテル)であるが、PPVEがより好ましく、他のフルオロ(アルキルビニルエーテル)を用いてもよい。例えば、アルキル基は、10個までの炭素原子を有してもよく、エーテル結合として1個以上の酸素を含んでもよく、直鎖状、分枝状、または環式であってもよく、フッ素化されていないか、部分的にフッ素化されているか、または過フッ素化されていてもよい。部分的にフッ素化されている場合、アルキル基はそれ以外には水素置換されているのが好ましい。フルオロ(アルキルビニルエーテル)のビニル基は、ビニル炭素上に少なくとも1個のフッ素原子、好ましくは少なくとも2個のフッ素原子、より好ましくはビニル基の末端炭素上に少なくとも2個のフッ素原子を有し、最も好ましくは、フルオロ(アルキルビニルエーテル)のビニル基は3個のフッ素原子を有し、すなわち、ビニル基は最も好ましくは過フッ素化されている。上記のフルオロ(ビニルアルキルエーテル)の一般式は、C2ab−O−Cxyznであり、式中、a=1〜3かつb=0〜2であり、a+b=3であり;x=1〜10であり、y=0〜2x+1であり、z=0〜2x+1であり、y+z=2x−1または2x+1であり;そしてn=0〜8であり、ただし、酸素がエーテル酸素である。
【0016】
上記の、5−ノルボルネニル−2−メタノールとフルオロ(アルキルビニルエーテル)との反応の生成物は、5−ノルボルネニル−2−メタノールとフルオロ(アルキルビニルエーテル)との付加物とも呼ばれ得る。この付加物の一般式はR−CH2−O−C2ab−O−Cxyznであり、式中、Rがビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニルであり、かつ5位においてメチレン基に結合され;a=1〜3かつb=1〜3であり、a+b=4であり;x=1〜10であり、y=0〜2x+1であり、z=0〜2x+1であり、y+z=2x−1または2x+1であり;そしてn=0〜8であり、ただし、酸素がエーテル酸素である。好ましい付加物はR−CH2−O−C24−O−Cxynであり、式中、Rがビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニルであり、かつ5位においてメチレン基に結合され;x=1〜10であり、y=2x−1または2x+1であり;そしてn=0〜8であり、ただし、酸素がエーテル酸素である。
【0017】
モノマーは、ホモポリマーへと、および1種以上のコモノマーを含む多種多様なコポリマーへと重合可能である。本特許出願における一般に5−ノルボルネニル−2−メタノールとフルオロ(アルキルビニルエーテル)との特定の付加物または複数の付加物に関連する「重合された」という用語は、付加物から作製されるホモポリマーおよび1種以上のコモノマーを含むコポリマーの両方を指すように意図されている。これらのポリマーには、多種多様な可能な最終用途があり、5−ノルボルネニル−2−メタノールとフルオロ(アルキルビニルエーテル)との付加物を用いるある種のコポリマーは、フォトレジストに使用するのに適している。5−ノルボルネニル−2−メタノールとフルオロ(アルキルビニルエーテル)との付加物と重合するためのコモノマーとしては、ノルボルネンおよび置換されたノルボルネンとの重合に有用なコモノマーが挙げられる。例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン、ペルフルオロアルキルエチレン、フルオロビニルエーテル、フッ化ビニル(VF)、およびフッ化ビニリデン(VF2)といったフルオロオレフィンなどのフルオロモノマーを用いることができる。テトラフルオロエチレンが特に有用なコモノマーである。コポリマー中のTFEの量は、結晶化度をもたらすほど多くてはならない。さらなるコモノマーとしては、アクリル酸およびメタクリル酸エステルなどの非フッ素化モノマーが挙げられる。この付加物とともに使用するのに必要であるように適合された、ノルボルネンおよび置換されたノルボルネンのための公知の重合法が、本発明にしたがってポリマーを作製するのに有用である。好適な重合手順が、例えば米国特許公報(特許文献1)および(特許文献2)に記載されている。実施例4を参照されたい。
【実施例】
【0018】
ビシクロ(2.2.1)ヘプタ−5−エン−2−メタノール(5−ノルボルネン−2−メタノールと呼ばれる)が、米国ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company,Milwaukee Wisconsin USA)から、純度98%で、エキソ型およびエンド型異性体の混合物として入手可能である。この物質はさらに精製せずに使用される。
【0019】
ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)(最小純度98%)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)(最小純度99%)、およびPMVE(最小純度99%)が、米国フロリダ州アラチュアのシンクエスト・ラボラトリーズ(SynQuestLabs,Alachua Florida USA)から入手可能である。それらはさらに精製せずに使用される。
【0020】
ヒドロキシアダマンチルアクリレートが、米国カリフォルニア州ミルピタスのオーカ・アメリカ(OHKA America,Milipatas California USA)から入手可能である。
【0021】
(実施例1)
(5−[(1,1,2,4,4,5,5,6,6,6−デカフルオロ−3−オキサヘキソキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンの合成)
1リットルの三つ口丸底フラスコに、テフロン(Teflon)(登録商標)でコーティングされた磁気スピンバー、温度計、および均圧滴下漏斗を装着する。ジメチルスルホキシド(DMSO)(220g)、5−ノルボルネン−2−メタノール(80.6g、0.65モル)および水酸化カリウム水溶液(4.2gの45%溶液)を上記フラスコに添加し、PPVE(194.0g、0.729モル)を添加漏斗に添加する。このフラスコを氷と水との混合物中で10℃に冷却し、PPVEを少量ずつ1時間20分にわたって添加する。PPVE添加の速度を、反応温度が22℃を超えないように制御する。添加されたPPVEが合計で63gになったとき、および添加されたPPVEの合計が144gに達したときにも、さらなる量の水酸化カリウム水溶液(それぞれ4.2g)を反応混合物に添加する。反応が進行するにしたがい、この混合物は濁った琥珀色に変わり、その後、第2の液相を形成する。より密度の高い相の重量は267.1gであり、ガスクロマトグラフィー(GC)分析によれば、92.4重量%の生成物である異性体、5.8重量%の未反応PPVE、および0.2重量%のDMSOを含有する。275mLの水で洗浄した後、217.1gの生成物が得られる。この生成物を、68℃で0.9mm Hg(120Pa)において真空蒸留して、無色透明の非粘稠液を生じさせる。蒸留された生成物の収率は、5−ノルボルネン−2−メタノールを基準にして64%である。
【0022】
この生成物の構造をNMRによって確認する。
19F NMR(CDCl3、CFCl3内部標準)−81.95ppm、三重項、3F,F=7Hz、3F;−85.05ppm、ABパターン、2F,F=146Hz、1F;−87.51ppm、ABパターン、2F,F=146Hz、1F;−89.39ppm、ABパターン、2F,F=145Hz、4H,F=7Hz、1F;−90.54ppm、ABパターン、2F,F=145Hz、4H,F=7Hz、4H,F=3Hz;−130.31ppm、一重項;−145.00ppm、多重項の二重項、2H,F=54Hz。
【0023】
13C NMR(エキソ型主異性体、CDCl3、トリメチルシラン(TMS)内部標準)28.98ppm、二重項、3Hz;38.47ppm、二重項、2Hz;42.62ppm、一重項;43.98ppm、二重項、2Hz;49.65ppm、一重項;68.23ppm、二重項の二重項、5Hz;98.49ppm、三重項の三重項の二重項、244、42および4Hz;107.11ppm、四重項の三重項、268および38Hz;116.17ppm、三重項の三重項、286および33Hz;117.63ppm、三重項の四重項、286および33Hz;117.90ppm、二重項の三重項、266および28Hz;132.25ppm、一重項;138.17ppm、一重項。
【0024】
13C NMR(エンド型副異性体、CDCl3、TMS内部標準)29.62ppm、二重項、2Hz;38.68ppm、一重項;41.96ppm、一重項;43.74ppm、一重項;45.15ppm、一重項;68.97ppm、三重項、5Hz;117.70ppm、二重項の三重項、267および29Hz;136.49ppm、一重項;−137.36ppm、一重項。
【0025】
(実施例2)
(5−[(1,1,2,4,4,5,5,5−オクタフルオロ−3−オキサペントキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンの合成)
1リットルの三つ口丸底フラスコに、テフロン(Teflon)(登録商標)でコーティングされた磁気スピンバー、温度計、均圧滴下漏斗を装着する。DMSO(230g)、5−ノルボルネン−2−メタノール(80.0g、0.656モル)および水酸化カリウム水溶液(4.5gの45%溶液)を上記フラスコに添加し、PEVE(152.0g、0.704モル)を添加漏斗に添加する。PEVEを、1時間の期間で上記実施例の通りに添加する。添加の際にさらに4.5gの水酸化カリウム水溶液を添加する。反応混合物は、272.7gの暗褐色のより密度の低い相および162.6gの淡褐色のより密度の高い相からなる。より密度の低い相を、等容積の水で2回洗浄して、114.0gの生成物を生じさせ、この生成物を50〜52℃で3mm Hg(400Pa)において真空蒸留して、無色透明の非粘稠液を生じさせる。収率は、5−ノルボルネン−2−メタノールを基準にして39%である。
【0026】
この生成物の構造をNMRによって確認する。
19F NMR(CDCl3、CFCl3内部標準)−86.53ppm、一重項;3F;−89.16ppm、ABパターン、2F,F=145および9Hz、1F;−89.30ppm、ABパターン、2F,F=145Hz、1F;−90.24ppm、ABパターン、2F,F=146、3F,H=29Hz、3F,F=8Hzおよび4F,H=3Hz、1F;−91.28ppm、ABパターン、2F,F=146Hz、1F;−144.67ppm、多重項。
【0027】
(実施例3)
(5−[(1,1,2,4,4,4−ヘキサフルオロ−3−オキサブトキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンの合成)
600mLの真空オートクレーブに、DMSO(230g)、5−ノルボルネン−2−メタノール(80.4g、0.659モル)および水酸化カリウム水溶液(9.0gの45%溶液)を仕込む。PMVE(118.2g、0.712モル)を気体として添加して、50psig(450kPa)の圧力を保持する。1日後に、反応混合物を分液漏斗に移す。反応混合物は、393.5gの暗褐色のより密度の低い相および24.3gのより密度の高い相からなる。合わせた相を等容積の水で2回洗浄する。少量の硫酸を添加することによって分離を促進する。より密度の低い相153.6gを、38〜42℃で1mm Hg(130Pa)において真空蒸留する。収率は、5−ノルボルネン−2−メタノールを基準にして63%である。
【0028】
この生成物の構造をNMRによって確認する。
19F NMR(CDCl3、CFCl3内部標準)−60.44ppm、二重項、3Hz、3F;−89.54ppm、ABパターン多重項、2F,F=145Hz、1F;−90.17ppm、ABパターン二重項の二重項の二重項、2F,F=145Hz、3F,H=24Hz、3F,F=7Hzおよび4F,H=2Hz 1F;−145.48ppm(副異性体)、多重項の二重項、2F,H=53Hz;−145.57ppm(主異性体)多重項の二重項、2F,H=54。
【0029】
(実施例4)
(5−[(1,1,2,4,4,5,5,6,6,6−デカフルオロ−3−オキサヘキソキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンの重合)
(特許文献2)の実施例2に開示された一般手順にしたがって、5−[(1,1,2,4,4,5,5,6,6,6−デカフルオロ−3−オキサヘキソキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを、テトラフルオロエチレン(TFE)およびヒドロキシアダマンチルアクリレート(HAA)と重合させるが、ここで、ヘキサフルオロイソプロパノールで置換されたノルボルネン(NB−F−OH)の代わりに5−[(1,1,2,4,4,5,5,6,6,6−デカフルオロ−3−オキサヘキソキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを用いている。13C NMR分析によれば、得られるポリマーが、約25:25:50の比率のTFE、HAA、および5−[(1,1,2,4,4,5,5,6,6,6−デカフルオロ−3−オキサヘキソキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンから誘導される単位を含有することが示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
R−CH2−O−C2ab−O−Cxyzn(式中、Rがビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニルであり、かつ5位においてメチレン基に結合され;a=1〜3かつb=1〜3であり、a+b=4であり;x=1〜10であり、y=0〜2x+1であり、z=0〜2x+1であり;y+z=2x−1または2x+1であり;そしてn=0〜8であり、ただし、酸素がエーテル酸素である)。
【請求項2】
R−CH2−O−C24−O−Cxyn(式中、Rがビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニルであり、かつ5位においてメチレン基に結合され;x=1〜10であり、y=2x−1または2x+1であり;そしてn=0〜8であり、ただし、酸素がエーテル酸素である)。
【請求項3】
5−[(1,1,2,4,4,5,5,6,6,6−デカフルオロ−3−オキサヘキソキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン。
【請求項4】
5−[(1,1,2,4,4,5,5,5−オクタフルオロ−3−オキサペントキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン。
【請求項5】
5−[(1,1,2,4,4,4−ヘキサフルオロ−3−オキサブトキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン。
【請求項6】
重合されたR−CH2−O−C2ab−O−Cxyzn(式中、Rがビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニルであり、かつ5位においてメチレン基に結合され;a=1〜3かつb=1〜3であり、a+b=4であり;x=1〜10であり、y=0〜2x+1であり、z=0〜2x+1であり、y+z=2x−1または2x+1であり;そしてn=0〜8であり、ただし、酸素がエーテル酸素である)。
【請求項7】
重合された5−[(1,1,2,4,4,5,5,6,6,6−デカフルオロ−3−オキサヘキソキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン。
【請求項8】
重合された5−[(1,1,2,4,4,5,5,5−オクタフルオロ−3−オキサペントキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン。
【請求項9】
重合された5−[(1,1,2,4,4,4−ヘキサフルオロ−3−オキサブトキシ)メチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン。

【公表番号】特表2009−526781(P2009−526781A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554446(P2008−554446)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/004128
【国際公開番号】WO2007/095361
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】