説明

ハイパースペクトル画像を解析するための方法および装置

少なくとも2つの波長で一連の画像を作成することができる少なくとも1つのセンサ(1)と、2状態による分類関係に応じて画像の画素を分類することができる計算手段(2)であって、その画像はセンサ(1)から受け取られる、計算手段(2)と、計算手段(2)から受け取るデータを処理することに由来する少なくとも1つの画像を表示することができる表示手段(3)とを含む、ハイパースペクトル画像を解析するための装置。計算手段(2)は、センサ(1)からデータを受け取る、トレーニング画素を決定するための手段(4)と、ハイパースペクトル画像のスペクトルの自動細断を行うことができる射影追跡を計算するための手段(5)と、大きなマージンの分離を作り出すための手段(6)とを含む。計算手段(2)は、分類済み画素が識別可能なデータを作成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像解析に関し、より詳細には、画像の画素を統計的に分類することに関する。本発明は、より具体的には座瘡、黒皮症、酒さなどの皮膚損傷を見つけることを目的として画像の画素を統計的に分類することに関する。
【背景技術】
【0002】
化学物質および化学元素は、所与の波長の放射にさらされるとき、多かれ少なかれ異なるように反応する。様々な範囲の放射を走査することにより、相互作用の違いに応じて対象物の組成にかかわる物質を区別することが可能である。この原理は、風景または対象物の一部分に汎用化することができる。
【0003】
同一シーンの写真に由来する様々な波長の1組の画像を、ハイパースペクトル画像またはハイパースペクトルキューブと呼ぶ。
【0004】
ハイパースペクトル画像は、観察シーンが放射と相互作用する強度の特性を各画素が示す1組の画像で構成される。様々な放射に対する物質の相互作用プロファイルを知ることにより、存在する物質を割り出すことが可能である。物質という用語は、固体物質、液体物質、およびガス物質だけでなく、分子または高分子の純粋な化学元素および複合体構造も範囲に含む広い意味で理解すべきである。
【0005】
ハイパースペクトル画像を取得することは、複数の方法に従って行うことができる。
【0006】
ハイパースペクトル画像を取得するためのスペクトル走査として知られる方法は、CCDセンサを使用して空間画像を作成すること、および画像ごとに波長を選択するためにセンサの前で様々なフィルタを利用することからなる。様々なフィルタ技術が、そのような撮像装置の諸要件を満たすことを可能にする。例えば、水晶の電気的刺激により波長を隔離する液晶フィルタや、電位の差によりプリズムを変形させること(圧電効果)により波長を選択する音響光学フィルタを引用することができる。これらの2つのフィルタは、往々にして光学系のもろさの原因である可動部品を有さないという利点を提供する。
【0007】
ハイパースペクトル画像を取得するための空間走査と呼ばれる方法は、CCDセンサ上でスペクトルの波長のすべてを同時に取得するまたは「撮像する」ことを目標とする。スペクトルの分解を実施するために、センサの前にプリズムを配置する。その後、完全なハイパースペクトルキューブを作成するためにラインごとの空間走査を実行する。
【0008】
ハイパースペクトル画像を取得するための時間的走査と呼ばれる方法は、相互作用の測定を実行すること、およびその相互作用の測定値に対して高速フーリエ変換(FFT)を実行することによりスペクトルを再構成することからなる。相互作用は、時間的オフセットとともにビームに自らを相互作用させるマイケルソン系を使用して実施される。
【0009】
ハイパースペクトル画像を取得するための最後の方法は、スペクトル走査と空間走査とを組み合わせることを目標とする。したがって、CCDセンサがブロック状に区分化される。その結果、各ブロックは同じ空間領域だが異なる波長を有する空間領域を処理する。次いで、スペクトル走査および空間走査が、完全なハイパースペクトル画像を構成することを可能にする。
【0010】
このようにして得られる、とりわけヒト組織の損傷または病気を見つけるためのハイパースペクトル画像を解析し、分類するための複数の方法が存在する。
【0011】
国際公開第99/44010号パンフレットは、皮膚の組織を特徴付けるためのハイパースペクトルイメージングのための方法および装置を記載する。この文献は黒色腫を見つけることに関する。この方法は、皮膚の関心領域の状態を特徴付けるための方法であり、この方法では、様々な周波数域における光の吸収および拡散が皮膚の状態に依存する。この方法は、少なくとも3つのスペクトルバンドで、関心領域を含む皮膚のデジタル画像を生成することを含む。この方法は、損傷の分類および特徴付けを実施する。この方法は、波長に応じた損傷の異なる吸収に応じて損傷と正常組織とを区別する役割を果たす区分化ステップ、および肌理、対称性、輪郭などのパラメータを解析することによって損傷を特定することを含む。最後に、分類自体を分類パラメータLに基づいて実施する。
【0012】
米国特許第5,782,770号明細書は、癌組織のための診断装置、ならびに組織サンプルのハイパースペクトル画像を生成すること、および光源との相互作用を促進する特定の媒介物(agent)を導入することなしに癌を診断するために、そのハイパースペクトル画像を基準画像と比較することを含む診断方法について記載する。
【0013】
国際公開第2008/103918号パンフレットは、皮膚の癌を見つけるためにイメージング分光測定を使用することについて記載する。この文献は、画像の補正、画像のひずみの問題、または機械部品の動きを回避することにより高解像度画像を速く取得することを可能にする、ハイパースペクトルイメージングシステムを提案する。このシステムは、診断しようとする皮膚の区域に光を当てるマルチスペクトル光源と、画像センサと、皮膚区域から光を受け取り、様々な領域の境界を定める光のマッピングを画像センサ上にもたらす光学系と、様々な領域のスペクトルを画像センサ上に射影するために画像センサと光学系との間に配置される分散プリズムとを含む。画像プロセッサがスペクトルを受け取り、癌性の異常を特定するためにそのスペクトルを解析する。
【0014】
国際公開第02/057426号パンフレットは、患者の子宮頚の走査画像を表す3次元のハイパースペクトルデータのキューブに基づき、2次元の組織学的マップを生成するための機器について記載する。この機器は、ハイパースペクトルデータのキューブから収集した蛍光スペクトル信号を正規化し、そのスペクトル信号から頸部組織の区分を示す画素を抽出する入力プロセッサを含む。この機器はさらに、各画素に組織カテゴリを割り当てる分類装置と、その分類装置に接続され、子宮頚の組織の区分を表す色コーディングを用いてコード化された領域を含む画素に基づいて子宮頚の2次元画像を生成する画像プロセッサとを含む。
【0015】
米国特許出願公開第2006/0247514号明細書は、ハイパースペクトル画像を用いて癌を見つけ、評価するための医療機器および方法について記載する。この医療機器は、組織に光を当てる第1の光学ステップと、スペクトル分離器と、1つまたは複数のポラライザと、画像検出器と、診断プロセッサと、フィルタ制御インターフェイスとをとりわけ含む。この方法は、カメラを用いて接触することなしに使用することができ、情報をリアルタイムで得ることを可能にする。この方法は、ハイパースペクトル情報を前処理すること、視像を構成すること、組織の関心領域を画定すること、ハイパースペクトル画像の強度を光学密度単位に変換すること、および画素ごとのスペクトルを複数の独立成分に分解することをとりわけ含む。
【0016】
米国特許出願公開第2003/0030801号明細書は、画像ごとに加重基準スペクトル分布を用いてターゲットサンプルに光を当てることにより、未知のサンプルの1つまたは複数の画像を得ることを可能にする方法について記載する。この方法は、結果として生じる1つまたは複数の画像を解析し、ターゲットの特性を明らかにする。このようにして生成される加重スペクトル関数は、基準画像サンプルに基づいて得ることができ、例えばその主成分を解析することによって、射影追跡によって、または独立成分解析ICAによって求めることができる。この方法は、生物組織のサンプルを解析するために使用することができる。
【0017】
これらの文献では、各画素のスペクトルを得るために、ハイパースペクトル画像を個々に処理すべき画像の集まりとして、またはハイパースペクトルキューブを分割することによって処理すべき画像の集まりとして扱い、その後、そのスペクトルを基準ベースと比較する。当業者ならこれらの方法の欠点を、方法論および処理速度の両方の観点から明確に認識されよう。
【0018】
さらに、CIEL*a*b表現法およびスペクトル解析法に基づく方法、とりわけ反射率測定に基づく方法および吸収スペクトル解析に基づく方法を引用することができる。しかし、これらの方法はハイパースペクトル画像およびハイパースペクトル画像を特徴付けるデータの量に適合されていない。
【0019】
したがって、射影追跡と大きなマージンの分離(large−margin separation)との組合せが、産業的に適用できるほど十分短い計算時間のうちにハイパースペクトル画像の信頼できる解析を得ることを可能にしたと指摘されている。
【0020】
技術的現状によれば、射影追跡を使用する場合、データの区分化を一定の刻みで実施する。したがって、ハイパースペクトルキューブでは、スペクトルデータを射影しようとする部分空間の大きさを選び、その後、各グループ内に同数のバンドが存在するような方法でキューブを分割する。
【0021】
この技法には、スペクトルの物理的特性に従わない任意の分割を行うという短所がある。G.Rellierは、自身の論文原稿(G.Rellier. Analyse de texture dans l’espace hyper−spectral par des methodes probabilistes[Texture analysis in the hyper−spectral space using probabilistic methods].Doctoral Thesis,University of Nice Sophia Antipolis,2002年11月)の中で可変刻みによる分割を提案している。したがって、バンドのグループ数を常に選択するが、この事例では、各グループ内の分散(variance)を最小限にするためにそれらのグループの境界を可変刻みで選ぶ。
【0022】
同じ刊行物の中で、一定の刻みによる分割に基づいてグループのそれぞれの関数Isを最小化する反復アルゴリズムが提案されている。この方法は、スペクトルの物理的特性に応じて区分化を実行することを可能にするが、グループ数の選択はユーザによって定められるままである。
【0023】
この方法は、処理すべき画像が幅広い多様性を示す事例、またはグループ数Kを定めるのが困難な事例、またはユーザがグループ数を測定できない事例に適合されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
したがって、十分短い計算時間のうちにハイパースペクトル画像の信頼できる解析を行うことができ、分類する前にハイパースペクトル画像を縮小ハイパースペクトル画像(reduced hyper−spectral image)へと自動的に縮小することができる方法に対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本特許出願の主題は、ハイパースペクトル画像を解析するための方法である。
【0026】
本特許出願のもう1つの主題は、ハイパースペクトル画像を解析するための装置である。
【0027】
本特許出願のもう1つの主題は、その解析装置を皮膚損傷の解析に応用することである。
【0028】
ハイパースペクトル画像を解析するための装置は、少なくとも2つの波長で一連の画像を作成することができる少なくとも1つのセンサと、2状態の分類関係(classing relation)に応じて画像の画素を分類することができる計算手段であって、その画像はセンサから受け取られる、計算手段と、計算手段から受け取るデータを処理することに由来する少なくとも1つの画像を表示することができる表示手段とを含む。
【0029】
計算手段は、センサからデータを受け取る、2状態の分類関係に結び付けられるトレーニング画素(training pixel)を決定するための手段と、トレーニング画素を決定するための手段からデータを受け取り、ハイパースペクトル画像のスペクトルの自動分割を行うことができる射影追跡を計算するための手段と、射影追跡を計算するための手段からデータを受け取る、大きなマージンの分離を作り出すための手段とを含み、大きなマージンの分離の後に得られる画素が2状態の分類関係による分類に応じて識別可能である少なくとも1つの高度画像に関係するデータを作成することができる。
【0030】
解析装置は、トレーニング画素を決定するための手段に結び付けられる分類済み画素のマッピングを含むことができる。
【0031】
射影追跡を計算するための手段は、第1の分割手段と、第2の分割手段と、射影ベクトルを探索するための手段とを含むことができる。
【0032】
射影追跡を計算するための手段は、一定のバンド数を用いる分割手段と、射影ベクトルを探索するための手段とを含むことができる。
【0033】
射影追跡を計算するための手段は、一定のバンド数を用いる分割手段に由来する各グループの境界をシフトするための手段を含むことができ、そのシフト手段は、各グループの内分散を最小限にすることができる。
【0034】
射影追跡を計算するための手段は、所定の閾値に応じたバンド数の自動決定を用いる分割手段と、射影ベクトルを探索するための手段とを含むことができる。
【0035】
トレーニング画素を決定するための手段は、トレーニング画素を閾値に最も近い画素として決定することができ得る。
【0036】
大きなマージンの分離を作り出すための手段は、超平面を決定するための手段と、その超平面までの距離に応じて画素を分類するための手段とを含むことができる。
【0037】
計算手段は、センサから受け取るハイパースペクトル画像および大きなマージンの分離を作り出すための手段から受け取るデータに応じて、表示手段によって表示可能な画像を作成することができ得る。
【0038】
別の態様によれば、少なくとも2つの波長で一連の画像を作成することができる少なくとも1つのセンサから生じるハイパースペクトル画像を解析するための方法であって、センサによりハイパースペクトル画像を取得するステップと、2状態の分類関係に従い、センサから受け取るハイパースペクトル画像の画素の分類を計算するステップとを含み、少なくとも1つの高度画像を表示することが、ハイパースペクトル画像を取得するステップからのデータおよびハイパースペクトル画像の画素の分類を計算するステップからのデータを処理することに由来する、方法が定められる。
【0039】
計算するステップは、2状態の分類関係に結び付けられるトレーニング画素を決定するステップと、トレーニング画素を含むハイパースペクトル画像の射影追跡を計算するステップであって、前記ハイパースペクトル画像のスペクトルの自動分割を含む、射影追跡を計算するステップと、大きなマージンの分離ステップとを含み、大きなマージンの分離の後に得られる画素が2状態の分類関係による分類に応じて識別可能である少なくとも1つの高度画像を作成することができる。
【0040】
トレーニング画素を決定するステップは、マッピングからのデータに応じてトレーニング画素を決定することを含むことができ、センサから受け取るハイパースペクトル画像の中に前記トレーニング画素を導入することをさらに含む。
【0041】
射影追跡を計算するステップは、トレーニング画素を決定するステップに由来するデータに関係する第1の分割ステップ、および射影ベクトルを探索するステップを含むことができる。
【0042】
射影追跡を計算するステップは、第1の分割ステップに由来する2つの画像間の距離が第1の閾値を上回る場合、または第1の分割ステップに由来する2つの画像間の距離の最大値が第2の閾値を上回る場合、第2の分割ステップを含むことができる。
【0043】
射影追跡を計算するステップは、一定のバンド数を用いる分割を含むことができる。
【0044】
一定のバンド数を用いる分割に由来する各グループの境界は、各グループの内分散を最小限にするためにシフトすることができる。
【0045】
射影追跡を計算するステップは、所定の閾値に応じたバンド数の自動決定を用いる分割を含むことができる。
【0046】
トレーニング画素を決定するステップは、トレーニング画素を閾値に最も近い画素として決定することを含むことができる。
【0047】
大きなマージンの分離ステップは、超平面を決定するステップと、その超平面までの距離に応じて画素を分類するステップとを含むことができ、超平面を決定するステップは、射影追跡を計算するステップに由来するデータに関係する。
【0048】
別の態様によれば、人間の皮膚損傷を見つけるためにこの解析装置を応用し、前に解析したテンプレートに由来するトレーニング画素に応じて超平面を決定する。
【0049】
専ら非限定的な例として与えられ、添付図面に関して示す以下の説明を読むことにより、他の目的、特徴、および利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ハイパースペクトル画像を解析するための装置を示す図である。
【図2】ハイパースペクトル画像を解析するための方法を示す図である。
【図3】300nmから1000nmまでの間の波長の、ヘモグロビンおよびメラニンの吸収バンドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
上記に示したように、ハイパースペクトル画像を得るためのいくつかの方法がある。しかし、取得方法に関係なく、取得されたままのハイパースペクトル画像に対して直接分類を行うことはできない。
【0052】
ハイパースペクトルキューブは、それぞれが所与の波長で作成される1組の画像であることを忘れてはならない。各画像は2次元であり、それらの画像は、それらの画像に対応する波長の変化に応じて第3の方向に従ってスタックされる。3次元構造が得られるため、この組はハイパースペクトルキューブと呼ばれる。同じエンティティを指すために、ハイパースペクトル画像という呼称も使用することができる。
【0053】
ハイパースペクトルキューブは、かなりの量のデータを含む。しかしそのようなキューブは、情報の観点から空である大きな空間と、大量の情報を含む部分空間とを含む。したがって、より小さなサイズの空間内でデータを射影することは、縮小された空間内で有用な情報を集めることを可能にし、極めて少ない情報消失をもたらす。したがって、この空間を縮小することは分類のために重要である。
【0054】
分類することの目的は、ハイパースペクトル画像を構成する1組の画素の中で、2状態の分類関係に肯定的にまたは否定的に反応する画素を決定することであることを忘れてはならない。したがって、ある特性または物質を示すシーンの部分を明らかにすることができる。
【0055】
最初のステップは、トレーニング画素をハイパースペクトル画像の中に統合することである。実際には分類を行うために、所謂教師あり法(supervised method)を使用する。したがって、画像を全体として分類するために、この教師あり法は、クラスに関連する一定数の画素を使用することからなる。それらの画素がトレーニング画素である。その後、画像を全体として分類するために、それらの画素についてクラスセパレータを計算する。
【0056】
トレーニング画素は、ハイパースペクトル画像が含む情報量に比べて非常に数が少ない。したがって、少数のトレーニング画素を有するハイパースペクトルデータのキューブに対して分類を直接行う場合、Hughes現象によりその分類の結果は粗末になる可能性が高い。したがって、解析するハイパースペクトル画像のサイズを縮小する価値がある。
【0057】
トレーニング画素は、その分類が既に知られている画素に相当する。したがってトレーニング画素には、大きなマージンの分離中にハイパースペクトル平面を決定する役目を果たす、クラスyi=1またはyi=−1が与えられる。
【0058】
言い換えれば、画像の一部が水に関係するかどうかを判定する試みでは、分類基準は「水」であり、ある分布は「水」なしの区域の特徴を示し、別の分布は「水」ありの区域の特徴を示し、その画像のすべての区域はこれらの分布の一方または他方に属する。この分類法を初期設定するには、「水」ありの区域の特徴を示すトレーニング画素の分布、および「水」なしの区域の特徴を示すトレーニング画素の分布を提示する必要がある。するとこの方法は、「水」ありの、または「水」なしの区域を見つけるために、ハイパースペクトル画像の残りのすべての画素を処理することができる。あるハイパースペクトル画像に対して実行したトレーニングを、類似性を示す他のハイパースペクトル画像に補外することも可能である。
【0059】
ハイパースペクトル画像の画素は、2つのあり得る分布のうちの一方に属する。解析を行うために選択する2状態の分類基準にそれらの分布の分類が陽性に反応するかどうかに応じて、一方にクラスyi=1を与え、他方にクラスyi=−1を与える。
【0060】
したがって、ここで示す射影追跡は、スペクトルによってもたらされる最大量の情報を保持することを可能にするハイパースペクトルキューブの縮小を達成し、大きなマージンのセパレータ(LMS)により、状況に合わせた分類を適用することを目的とする。
【0061】
射影追跡は、ハイパースペクトル画像のスペクトルを区分化する射影ベクトルを含む、縮小されたハイパースペクトル画像を作成することを目的とする。複数の区分化法を使用することができる。しかし、どの場合においてもトレーニング画素間の距離を最適化しなければならない。最適化を行うために、統計的距離を求めることができなければならない。指標Iが、2つの点の分布間のこの統計的距離を求めることを可能にする。選択する指標Iは、カルバック・ライブラー指標である。
【0062】
【数1】

【0063】
ただし、μ1およびμ2は2つの分布の平均であり、Σ1およびΣ2は2つの分布と
【0064】
【数2】

【0065】
との共分散行列であり、tr(M)は行列Mのトレースに相当し、MTは転置行列Mに相当し、Idは恒等行列に相当する。
【0066】
射影追跡法は、スペクトルを複数のグループに区分化することと、その後に続く各グループ内の射影ベクトルを決定すること、および対応する射影ベクトルに対してそのグループのベクトルを射影することを含む。
【0067】
スペクトルを区分化することは、連続したバンド間の距離Iを測定する関数FIによる自動分割法を用いて行う。この関数FIの解析により、射影指標Iの観点から見たスペクトルの不連続性が探索され、互いに異なるグループの境界としてそれらの不連続点が選択される。
【0068】
関数FIは離散関数であり、Nbがスペクトルのバンド数である1からNb−1までの指標kごとに、2つの連続したバンド間の距離の値を推定する。したがって、スペクトルの不連続性は、この関数FIの極大値であるものとして現れる。
【0069】
I(k)=I(image(k),image(k+1)) (式2)
ただしIは、2つの画像間の距離または指標である。
【0070】
スペクトルを分割する最初のステップは、有意の極大値、すなわち一定の閾値を上回る極大値を探すことである。この閾値は、関数FIの平均値の一定の割合に等しい。したがって、この最初の分割は、スペクトルの不連続性ごとに新たなグループを作成することを可能にする。
【0071】
しかし、この極大値を解析することは精細かつ信頼できるスペクトル分割を行うには不十分であり、そのため第2のステップの目的は、第1の分割の結果生じるグループを解析することである。よって、過大な数のバンドを含むグループを複数のグループに分割するか、またはそのままにしておくために、過大な数のバンドを含むグループに関心をしぼる。
【0072】
この第2のステップの必要性の一例を、精細なスペクトルサンプリングのステップを含むハイパースペクトル画像の例によって示す。このサンプリングステップのために、バンド間の物理的特性が徐々に変化する。その結果、関数FIは、多数の連続したバンドにわたり第1の分割の閾値を下回りがちになる。様々な物理的特性、したがってリスクを含むバンドが同じグループ内に存在する。そのため、第1のステップの結果として定めたグループを再分割する必要がある。逆に、より大きなサンプリングステップの場合、この種の再分割は不要である。グループを分割する方法は、それ自体が当業者に知られている。
【0073】
グループを再分割するかどうかを決める、いくつかの理由がある。最初の目的は、グループを2つに分けるたびに射影空間に次元を追加することにより、第1の分割によって選択されなかった情報を回復することである。
【0074】
ただし、別の区域に比べてある区域の情報を優先しないように、および多過ぎるグループを含む分割を行わないように、特定のグループを2つに分割しないことに決めることもできる。
【0075】
第2の分割を管理するために、第2の閾値を定め、第2の分割をそれに基づいて実行する。
【0076】
この分割は、関数FIの作用に応じて異なるように実行される。
【0077】
関数FIが、検討する間隔にわたり均一であり、曲線が最大限になる点を示し、I(image(a),image(b))>threshold1が成立する場合、その間隔の最大限の曲線点において分割を行う。
【0078】
関数FIが、検討する間隔にわたり均一かつ線形であり、I(image(a),image(b))>threshold1が成立する場合、その間隔の中央で分割を行う。
【0079】
関数FIが、検討する間隔にわたり均一ではなく、極大値を示さず、I(image(a),image(b))>threshold1が成立する場合、その間隔の中央で分割を行う。
【0080】
関数FIが、検討する間隔にわたり均一ではなく、極大値を示し、かつ
【0081】
【数3】

【0082】
が成立する場合、この極大値の位置において分割を行う。
【0083】
threshold1=mean(FI)*Cを定め、ただし、Cは概ね2に等しい。
【0084】
threshold2=threshold1*C’を定め、ただし、C’は概ね3分の2に等しい。
【0085】
第1の分割および第2の分割は、取得されるグループにスペクトルを区分することを可能にし、各グループはハイパースペクトル画像の複数の画像を含む。
【0086】
射影ベクトルの探索は、初期空間をサブグループに分割することに基づいて射影ベクトルを計算することを可能にする。射影ベクトルを探索するために、射影ベクトルVk0の任意の初期設定を行う。この初期設定を行うために、各グループk内で、そのグループの極大値に対応するベクトルを射影ベクトルVk0として選択する。
【0087】
次いで、他のベクトルを一定に保つことにより射影指標Iを最小化する、ベクトルV1を計算する。したがって、V1は射影指標を最大化することによって計算される。同じことをK−1の他のベクトルに対して行う。こうすることで1組のベクトルVk1がもたらされ、ただし、0<k<Kである。
【0088】
上記に記載したプロセスは、新たに計算されるベクトルが所定の閾値を超えて変化しなくなるまで反復する。
【0089】
射影ベクトルは、ハイパースペクトル画像に含まれる所与の波長の画像と等価である。
【0090】
射影ベクトル探索法の後、各射影ベクトルは、検討する射影ベクトルに隣接するハイパースペクトル画像に含まれる画像の線形結合に等しいものとして表すことができる。
【0091】
1組の射影ベクトルが、縮小されたハイパースペクトル画像を形成する。
【0092】
縮小されたハイパースペクトル画像の画素を分類するために、大きなマージンのセパレータ(LMS)を使用することを提案する。上記に示したように、分類基準を支持する部分、およびその同じ分類基準を支持しない部分を求めて画像内で探索を行う。縮小されたハイパースペクトル画像は、K次元の空間に対応する。
【0093】
したがって、縮小されたハイパースペクトル画像は、K次元の空間内の点群と比較することができる。点群を2つのクラスに分けることからなるLMS分類法を、この点群に適用する。そのために、点群の空間を2つに分ける超平面を探索する。この超平面の片側に位置する点はあるクラスに関連し、反対側に位置する点は他のクラスに関連する。
【0094】
したがって、このLMS法は2つのステップに細分される。第1のステップであるトレーニングは、分離超平面の式を求めることからなる。この計算は、クラス(yi)が知られている一定数のトレーニング画素を必要とする。第2のステップは、第1のステップ中に計算した超平面に対するその位置に応じて画像の各画素にクラスを割り当てることである。
【0095】
したがって、優れた分類の条件は、2つの点群を最良の方法で分けるように最適な超平面を探すことである。そのために、分離超平面と2つのトレーニング群の点との間のマージンを最適化する試みを行う。
【0096】
したがって、最大化されるマージンが
【0097】
【数4】

【0098】
で表される場合、分離超平面の式はω.x+b=0として表され、ただし、ωおよびbは求めるべき未知数である。最後に、クラス(yi=+1およびyi=−1)を導入することにより、分離超平面の探索が
【0099】
【数5】

【0100】
を最小化するように再開され、それにより次式が成立する。
【0101】
【数6】

【0102】
この式(式3)によって示される超平面の最適化の問題は、それ自体解決が困難(intractable)である。ラグランジュ多項式を導入することにより、次のように双対問題が得られ、
【0103】
【数7】

【0104】
が成立し、Nはトレーニング画素の数である。この式(式4)は、LMSに固有ではない二次最適化問題を示し、よって数学者によく知られている。この最適化を行うことを可能にする様々なアルゴリズムが存在する。
【0105】
実データを処理する場合によくあることだが、画素の2つのクラス間に線形超平面がない場合、関数Φにより、点群はより大きな空間内に入れられる。この新たな空間において、分離超平面を求めることが可能になる。導入した関数Φは、非常に複雑な関数である。しかし、双対空間内の最適化式に戻る場合、Φは計算されず、むしろ2つの異なる点におけるΦの内積を計算する。
【0106】
【数8】

【0107】
が成立する。
【0108】
この内積をコア関数と呼び、
【0109】
【数9】

【0110】
で表す。文献の中で、数多くのコア関数を見つけることができる。本発明の応用例では、実際によく利用され、良好な結果をもたらすガウスコアを使用する。
【0111】
【数10】

【0112】
するとσが補正パラメータとして現れる。
【0113】
分離超平面の計算中、トレーニング画素ごとに係数λを計算する((式5)を参照されたい)。この係数λは、トレーニング画素の大部分でゼロである。λがゼロでないトレーニング画素は分離超平面を定める画素なので、これらの画素をサポートベクトルと呼ぶ。
【0114】
【数11】

【0115】
各xiに対応するλiを計算するためにアルゴリズムが1組のトレーニング画素の終わりまで実行されると、ガウスコアの幅に対応するガウスコアのパラメータσが、対応するλiを計算するために考慮に入れられる、関係している画素xiの近接の程度を求めることを可能にする。
【0116】
次いで、次式を解くことにより超平面の未知数bを求める。
【0117】
【数12】

【0118】
超平面を決定すると、その超平面は、分離超平面に対する各画素の位置に応じて画像を全体として分類し続ける。そのために、以下のように決定関数を使用する。
【0119】
【数13】

【0120】
この関係は、各画素に関連するクラスyiを、超平面までの距離に応じて決定することを可能にする。その後、それらの画素は分類されているとみなす。
【0121】
縮小されたハイパースペクトル画像の画素は、センサによってもたらされるハイパースペクトル画像の画素にもはや対応しないので、表示可能な画像を容易に再構成することはできない。しかし、縮小されたハイパースペクトル画像の各画素の空間座標は、センサによってもたらされるハイパースペクトル画像の座標に依然として対応する。すると、縮小されたハイパースペクトル画像の画素の分類を、センサによってもたらされるハイパースペクトル画像に移すことが可能である。
【0122】
次いで、例えばRGB座標を求めることにより、コンピュータによって表示可能な画像を求めるためにスペクトルの一部を統合することで、ユーザに提示する高度画像を生成する。可視スペクトルの中でセンサが少なくとも部分的に動作する場合、写真に近い画像をもたらす成分R、G、およびBを忠実な方法で求めるために離散波長を統合することが可能である。
【0123】
センサが可視スペクトルの外側で動作する場合、または可視スペクトルの小部分の中で動作する場合、擬似カラー画像を得ることを可能にするR、G、およびB成分を求めることができる。
【0124】
図1は、ハイパースペクトル画像を解析するための装置の主な要素を示す。ハイパースペクトルセンサ1、計算手段2、および表示装置3を図示する。
【0125】
計算手段2は、ハイパースペクトルセンサに対する入力において接続され、射影追跡を計算するための手段5への出力において接続される、トレーニング画素を決定するための手段4を含む。
【0126】
射影追跡を計算するための手段5は、大きなマージンの分離を作り出すための手段6への出力において接続され、大きなマージンの分離を作り出すための手段6は、表示装置3への出力において接続される。さらに、トレーニング画素を決定するための手段4は、分類済み画素のマッピング7に対する入力において接続される。
【0127】
大きなマージンの分離を行うための手段6は、超平面を決定するための手段12と、超平面までの距離に応じて画素を分類するための手段13とを含む。超平面を決定するための手段12は、大きなマージンの分離を行うための手段6の入力部に対する入力において、および画素を分類するための分類手段13への出力において接続される。画素を分類するための手段13は、大きなマージンの分離を作り出すための手段6の出力部への出力において接続される。
【0128】
射影追跡を計算するための手段5は、それ自体が第2の分割手段11に接続される第1の分割手段10と、射影ベクトルを探索するための手段8とを含む。
【0129】
その動作中、解析装置はセンサ1のおかげでハイパースペクトル画像を作成する。センサ1は、単一のハイパースペクトルセンサ、モノスペクトルセンサの集合、またはマルチスペクトルセンサの組合せを意味すると理解されることを指摘しておく。トレーニング画素を決定するための手段4が、ハイパースペクトル画像を受け取り、その手段4は、分類済み画素のマッピング7に応じて各画像内にトレーニング画素を挿入する。これらのトレーニング画素については、マッピング内に存在する値により分類情報が与えられる。トレーニング画素ではないハイパースペクトル画像の画素は、この段階では分類に関係するいかなる情報も有さない。
【0130】
分類済み画素のマッピング7は、ハイパースペクトル画像に含まれる画像と形式の点で類似し、画素のすべてまたは一部が2状態の分類関係に対応する2つの分布の一方もしくは他方に分類されている1組の画像を意味すると理解される。
【0131】
次いで、射影追跡を計算するための手段5が、トレーニング画素を備えるハイパースペクトル画像を処理する。
【0132】
射影追跡を計算するための手段5内に含まれる第1の分割手段10および第2の分割手段11は、それぞれがスペクトルの一部を含む縮小画像の組を形成するために、スペクトルに応じた方向に従ってハイパースペクトル画像を分割する。そのために、第1の分割手段10が式(式2)を適用する。第2の分割手段11は、値threshold1およびthreshold2に関連して先に記載した規則に従い、第1の分割手段10から受け取るデータを新たに分割し、さもなければ、第2の分割手段11は非活性状態にある。
【0133】
射影追跡を計算するための手段5内に含まれる射影ベクトルを探索するための手段8は、第1の分割手段10および/または第2の分割手段11から受け取るデータに応じて1組の射影ベクトルを任意の初期設定し、式(式1)を適用することにより、前記射影ベクトルと他の射影ベクトルとの間の距離Iを最小化する射影ベクトルの座標を決定する。他の射影ベクトルに対しても同じ計算を行う。上記の計算ステップは、各ベクトルの座標が所定の閾値を超えて変化しなくなるまで反復する。次いで、縮小されたハイパースペクトル画像を射影ベクトルから形成する。
【0134】
縮小されたハイパースペクトル画像は、超平面を決定するための手段12によって処理され、その後、超平面までの距離に応じて画素を分類するための手段13によって処理される。
【0135】
超平面を決定するための手段12が、超平面の座標を決定するために式(式4)から(式8)を適用する。
【0136】
超平面までの距離に応じて画素を分類するための手段13が、式(式9)を適用する。超平面までの距離に応じて画素は分類され、クラスyi=−1またはyi=+1を与えられる。つまり、画素を2状態の分類関係、大抵コンポーネントまたは特性の有無に従って分類する。
【0137】
次いで、表示手段3が、座標(x;y)、および画素のクラスを含むデータを処理し、それにより画素をその画素のクラスに従って、またはそれらのクラスの一方もしくは他方を運ぶ画素を含む区域を区切る輪郭の境界を定めることにより、例えば擬似カラー内で区別することができる。
【0138】
皮膚科学的な応用例の場合、ハイパースペクトルセンサ1が、可視周波数範囲および赤外線周波数範囲の特徴を示す。さらに、2状態の分類関係は所与の種類の皮膚損傷の存在に関連することができ、その場合、分類済み画素のマッピング7はそれらの前記損傷に関連する。この実施形態によれば、マッピング7は、損傷した区域を確認するために皮膚科医によって解析される、患者の皮膚のハイパースペクトル画像の画素で構成される。製図7は、分類されたハイパースペクトル画像の画素だけを、または他の分類されたハイパースペクトル画像の画素を、またはその2つの組合せを含むことができる。作成される高度画像は、損傷した区域を表示する、スーパーインポーズされた患者の画像に相当する。
【0139】
図2は、解析方法を示し、ハイパースペクトル画像を取得するステップ14と、その後に続くトレーニング画素を決定するステップ15と、その後に続く射影追跡ステップ16と、大きなマージンの分離を作り出すステップ17と、表示ステップ18とを含む。
【0140】
射影ベクトルを決定するステップ16は、連続する、第1の分割ステップ20、第2の分割ステップ21、および射影ベクトルを決定するステップ19を含む。
【0141】
大きなマージンの分離を作り出すためのステップ17は、連続する、超平面を決定するサブステップ22、および超平面までの距離に応じて画素を分類するサブステップ23を含む。
【0142】
ハイパースペクトル画像の分類の別の例は、皮膚のスペクトル解析に関する。
【0143】
皮膚のスペクトル解析は、病気を定量化するような方法で発色団の量を評価するために皮膚科医にとって重要である。マルチスペクトル画像およびハイパースペクトル画像は、病気にかかった区域のスペクトル特性および空間情報の両方を考慮に入れることを可能にする。文献の中で、複数の皮膚解析法において、スペクトルの関心領域を選択するように提案されている。病気が、少数のスペクトルバンドに応じて定量化される。マルチスペクトル画像とハイパースペクトル画像との差は、様々な波長において行われる取得の回数にしかないことを忘れてはならない。一般的に、15回から20回を超える取得からなるデータキューブがハイパースペクトル画像を構成すると認められている。逆に、15回から20回を下回る取得からなるデータキューブは、マルチスペクトル画像を構成する。
【0144】
図3は、メラニンが概して線形の吸収度を示す600nmから1000nmの間の区域内で、ヘモグロビン吸収のq帯およびソーレー帯が最高点を示すことを図示する。これらの方法の本旨は、ヘモグロビンの吸収がメラニンの吸収に比べて低い700nmあたりに位置するバンドによりq帯の吸収におけるメラニンの影響を補償することにより、マルチスペクトルデータを使用してヘモグロビンの量を評価することである。この補償を以下の式によって示し、
hemoglobin=−log(Iq-band/I700)(式10)
ただし、Ihemoglobinはヘモグロビンの影響を主に表す取得される画像であり、Iq-bandは2つのq帯の一方においてとられる画像であり、I700は700nmの波長においてとられる画像である。
【0145】
メラニンを表すマッピングを抽出するために、G.N.Stamatas、B.Z.Zmudzka、N.Kollias、およびJ.Z.Beerにより、「Non−invasive measurements of skin pigmentation in situ」,Pigment cell res,vol.17,pp.618−626,2004の中で、600nmから700nmの間の線形反応としてメラニンの反応をモデリングすることからなる方法が提案されている。
m=aλ+b (式11)
ただし、
m:メラニンの吸収度
λ:波長
aおよびb:線形係数
である。
【0146】
トレーニング技法に基づく本手法では、Hughes現象を回避するためにデータ整理を使用する。データ整理とLMSによる分類との組合せは、良好な結果をもたらすことが知られている。
【0147】
その変化が物理的現象に関係する多次元データの解析との関連で、データ整理のために射影追跡を使用する。射影追跡を使用してデータをK個のグループにマージする。射影追跡を初期設定するために得られるK個のグループは、異なる数のバンドを含むことができる。グループごとにグレースケール画像を得るために、射影追跡が各グループを単一ベクトル上に射影する。これは、射影されるグループ間の指標Iを最大化することによって行われる。
【0148】
健康な皮膚と病気の皮膚との分類が捜し求められるとすれば、L.O.JimenezおよびD.A Landgrebeの著作物「Hyperspectral data analysis and supervised feature reduction via projection pursuit」,IEEE Trans. on Geoscience and Remote Sensing,vol.37,pp.2653−2667,1999の中で提唱されるように、射影されるグループ内のクラス間でこの指標Iは最大化される。
【0149】
射影追跡のための指標として、カルバック・ライブラー距離を一般的に使用する。iおよびjが、区別すべきクラスを表す場合、クラスiとクラスjとの間のカルバック・ライブラー距離は次式で表すことができ、
【0150】
【数14】

【0151】
が成立し、fiおよびfjは2つのクラスの分布である。
【0152】
ガウス分布では、指標Iおよびカルバック・ライブラー距離を次式で表すことができ、
【0153】
【数15】

【0154】
ただし、μおよびΣは、各クラスの平均値および共分散行列をそれぞれ表す。
【0155】
このようにして、指標Iは、2つのバンドまたは2つのグループ間の変化を測定できるようにする。気付くことができるように、指標Iの式は、先の式1の一般化である。
【0156】
データ整理の目的は、バンドの冗長情報をまとめることである。皮膚の吸収の変化に応じてスペクトルを分割する。分割方法は実施形態によって異なり得る。第1の実施形態に関して記載した分割方法に加え、一定でない区分化または一定の区分化と、その後に続く各グループの内分散
【0157】
【数16】

【0158】
を最小限にすることを可能にする、各グループの境界をシフトすることを引用することができる。グループ内の内分散は、以下の式によって特徴付けられ、
【0159】
【数17】

【0160】
ただし、Zkはk番目のグループの上方境界である。
【0161】
したがって、データ整理のために射影追跡を使用し、分類のために大きなマージンのセパレータ(LMS)を使用することにより、データを分類するために様々な初期設定を使用することができる。
【0162】
第1の初期設定はK、スペクトルバンドの冗長情報グループの所要数である。第2の初期設定は、LMSのための1組のトレーニング画素に対応する。
【0163】
皮膚の画像が人によって様々な特徴を明らかにし、病気の特徴がスペクトルにわたって広がる場合があるとすれば、各画像について2つの初期設定を定める必要がある。
【0164】
グループ数Kに関係する制約を取り除くために、関数FIを使用してスペクトルを区分化する。
I(k)=I(k−1,k) (式16)
ただし、k=2,...,Nbであり、kは関係しているバンドの指標であり、Nbはスペクトルのバンドの総数である。
【0165】
関数FIの解析は、スペクトルバンドの吸収変化が現れる場所を割り出すことを可能にする。グループの境界は、関数FIの最高極大値に対応するようにスペクトルの区分化中に決められる。スペクトルに沿った指標Iの変化がガウス分布であるとみなされる場合、分布の平均値および標準偏差を使用してFIの最上位の極大値を求めることができる。
【0166】
したがって、K個のスペクトルグループの境界は、閾値T1までのFIの最大値および閾値T2までのFIの最小値に対応するバンドであり、
【0167】
【数18】

【0168】
ただし、
【0169】
【数19】

【0170】
はそれぞれ、FIの平均値および標準偏差であり、tはパラメータである。
【0171】
パラメータtは、1組のデータ全部を処理するために一度選択される。画像ごとに様々な数のグループを提供するので、グループの数を決めるよりもこの種のパラメータを選択することが好ましく、様々な数のグループを提供することは、様々なスペクトル変化を有する画像の場合に有用であることが分かり得る。
【0172】
この区分化法は、カルバック・ライブラー相関または距離など、どんな指標を使っても適用することができる。
【0173】
このスペクトル解析法に空間的指標を導入することにより、LMSを初期設定することができる。事実、隣接するバンド間で決定される、ISで示す空間的指標の「閾値化(thresholding)」は、バンドごとに空間的変化をマッピングする画像を作成することを可能にする。
【0174】
この応用例では、皮膚の色素過剰区域が特定のパターンを示さない。これが、一部の実施形態で指標ISなどの空間的勾配を、νで示す3×3平方の空間域上で求める理由である。各スペクトルバンドが運ぶ空間情報を抽出するために、以下の式によって定める空間的指標Isを使用し、
【0175】
【数20】

【0176】
ただし、Nは区域ν内の画素数を示し、κは学習された(studied)バンドまたは射影されるグループの指標であり、
【0177】
【数21】

【0178】
が成立する。Sは、空間位置(i,j)において、およびスペクトルバンドk内に位置する画素の強度である。νは、3×3画素の画素(i,j)に隣接する区域である。
【0179】
実際には、3×3画素の各空間域の指標ISは、2つのバンドの差の平均値である。指標ISに対する閾値は、2つの連続したバンド間の空間的変動を表す2値画像を得ることを可能にする。したがって、バンドk−1からバンドkへの移行中に画素の強度が大幅に変化した場合、2値画像は画素の座標において値1を含む。逆の場合、2値画像は値0を含む。その結果、空間的指標Isに対する閾値は、有意とみなされるIsの値の変化レベルを定めることを可能にするパラメータに相当する。次いで、取得した2値画像から、LMSのトレーニングを行うのに最適な画像を選択する。選択される2値画像は、関数FISの最大値を与える画像またはスペクトルの関心区域の画像とすることができる。計算時間を最適化するために、LMSのトレーニングを行うために2値画像の一部分だけを選択することが好ましい。
【0180】
この空間的指標は、スペクトルを区分化するために使用することもできる。関数FISは、以下の形式で定められ、
【0181】
【数22】

【0182】
ただし、k=2,...,Nbであり、Aは、変化が検出された画素によって表される領域である。
【0183】
閾値化によりIs(k−1,k)から得られる2値画像ごとに、k内の関数FISは、変化が検出されている区域の範囲(area)である実数を計算する。したがって、関数FISと、カルバック・ライブラー距離(式12)などの非空間的指標を有する関数FIとは同次である。上記に記載したFIを解析するための方法は、スペクトルグループの境界をもう一度得ることを可能にする。
【0184】
最後に、関数FIおよび空間的指標ISを用いたスペクトルの解析は、自動分類プロセスを得るために二重の初期設定(double initialization)を可能にする。要約すれば、自動分類プロセスは以下の通りである。
1.射影追跡のための複数のグループへとデータを区分化するためのスペクトル解析、およびLMSのためのトレーニングセットの抽出
2.データを減らすための射影追跡、および
3.LMSによる分類。
【0185】
言い換えれば、この解析方法は、冗長情報を減らし、関心区域の形態(form)を全体的に抽出するような方法でスペクトルを自動解析することを含む。射影追跡によって低減されるデータキューブに適用されるLMSのトレーニングのために得た関心区域を使用することにより、皮膚の色素過剰を厳密に分類することを達成する。この例は皮膚の色素過剰に関連して説明するが、皮膚の色素過剰は、色および/またはコントラストの変化としてのみ記載の方法に関与するものとして当業者を逃すものではない。したがってこの方法は、修正することなしに、コントラストをもたらす他の皮膚病変にも適用することができる。
【0186】
この際、色素過剰区域が特定のパターンを一切示さない場合、先験的知識なしの指標をスペクトル解析に使用する。関心区域が特定のパターンを示す場合、所定の形式を含む空間的指標を使用することができる。これは例えば血管を見つける場合であり、空間的指標は線形形式(linear form)を含む。
【0187】
このスペクトル解析法の計算時間は、スペクトルバンドの数に比例する。とは言え、空間的指標ISが局所的な空間的近接の変化を推定できるようにするので、この方法に対応するアルゴリズムを容易に並列処理にすることができる。
【0188】
マルチスペクトル画像を分類するための方法の命令は、ハイパースペクトル画像に適用することができる。事実、ハイパースペクトル画像がマルチスペクトル画像とバンド数によってのみ区別されることを考えれば、スペクトルバンド間の間隔はより小さい。したがって、あるバンドから別のバンドへの変化も同様により小さい。ハイパースペクトル画像をスペクトル解析するための方法は、変化をより敏感に検出することを含む。ハイパースペクトル画像の処理中に複数の画像ISを統合することにより、検出感度を改善することも可能である。この種の統合は、LMSのトレーニングのために選択されるグループ内のスペクトル変化をマージすることを可能にする。
【0189】
別の実施形態は、マルチスペクトルデータを処理することを含み、マルチスペクトルデータ内の変化は物理的現象に関係する。上記に開示したのと同様の手法によれば、マルチスペクトルデータの処理は、ハイパースペクトルデータの処理に適用することができ、マルチスペクトル画像とハイパースペクトル画像とは様々な波長において取得される画像の数によってのみ区別される。
【0190】
データ整理を行うために射影追跡を使用することができる。一実施形態によれば、射影追跡アルゴリズムが、等しい数のバンドを含むK個のグループにデータをマージし、その後、射影されるグループ間の指標Iを最大化することにより、各グループが単一ベクトル上に射影されることを忘れてはならない。その場合、Kはパラメータである。
【0191】
通常、スペクトルを区分化するのに必要なグループ数Kは、分類問題の解析の後に手動で定められる。データは、スペクトルの吸収の変化に応じて区分化することができる。それぞれが同じ数のバンドを含むK個のグループを用いて初期設定した後、各グループの内分散を最小限にするために、各グループの境界を反復的方法で再評価する。グループ数Kに対する制約を取り除くために、関数FIを使用してスペクトルを区分化する。このスペクトル解析法は、内分散やカルバック・ライブラー距離(式1)など、指標Iを用いてスペクトルの波長を走査するために使用する。したがって、この方法は、スペクトルの興味のある部分を指標Iの変化から推論することを可能にする。
【0192】
I(k)が閾値T1を超えるか、または閾値T2を下回る場合、変化を含むスペクトルの区域が検出される。閾値T1およびT2は、先に定義した閾値threshold1およびthreshold2と似ている。言い換えれば、スペクトルの区分化は関数FIの解析から推論される。閾値T1およびT2までの関数FIの極大値が各グループの境界になる。したがって、スペクトルを区分化するために、パラメータKよりも、T1およびT2(式17)を定義するパラメータtを選ぶことができる。
【0193】
スペクトルの興味のあるバンドは病気に応じて変更することができるので、本発明者らは、数Kを定めることなしにスペクトルの区分化を達成できることを発見した。統計的指標を用いたスペクトル解析は、分類のためのトレーニングセットを得ることを可能にしない。
【0194】
それぞれのボクセルの近接性についての空間的指標ISは、スペクトル変化の空間マッピングを示すことができる。この方法では、色素過剰を示す組織が特定の肌理を示さない。したがって検出は、その根本にある原因から独立して、コントラストの変化を検出することに基づくように見える。
【0195】
スペクトル勾配Isおよび関数FISを先に定義している(式18および式19)。
【0196】
ISは、3次元関数である。一対のバンドごとに、関数FISは、スペクトル変化の空間マッピングを求めることを可能にする。関数FISの式から明らかなように、関数Aが関数FIに適用される。関数Aは、先の実施形態に関係する式19によって示す関数と同様の方法で画素変化区域を定量化する。
【0197】
次に、関数FISから1組のトレーニング画素を抽出することを可能にする方法について説明する。
【0198】
この方法は、データ整理のための射影追跡を含む。概して、射影追跡により射影部分空間を決定するために、1組の射影されるグループにわたり指標Iを最大化する。当該応用例では、健常組織または病理組織の分類が予期される。射影されるクラス間の指標Iの最大化が決定される。射影追跡指標Iとして、カルバック・ライブラー距離を慣例的に使用する。カルバック・ライブラー距離は、先に記載した形式(式1)により表すことができる。
【0199】
スペクトル解析によって得られるスペクトルの区分化を用いて射影追跡を初期設定し、トレーニングセットによって定められる2つのクラス間のカルバック・ライブラー距離を最大化することにより、射影部分空間を決定する。
【0200】
LMSのトレーニングセットは、スペクトル解析から抽出される。先に定義したように、LMSは、とりわけ2クラス分類の教師付き分類アルゴリズムである。2つのクラスを定めるトレーニングセットを使用し、最適なクラスセパレータを決定する。このセパレータに対する距離に応じて各データポイントを分類する。
【0201】
LMSのトレーニングセットを得るために、指標Iにより得られるスペクトル解析を使用することを提案する。上記に記載したように、空間的指標を用いたスペクトル解析は、2つの連続したバンド間のスペクトル変化の空間マッピングを得ることを可能にする。LMSのトレーニングのために、空間的指標を用いてFI(k)によって得られるこれらの空間マッピングのうちの1つを選択する。選択されるマッピングは、全スペクトルにわたり最大の変化を示すマッピング、例えば興味のある部分にわたる、または全スペクトルにわたる関数FISの極値を含むマッピングとすることができる。
【0202】
空間マッピングFIS(k)を選択すると、LMSのトレーニングのために閾値T1またはT2に最も近いN画素を抽出する。N個のトレーニング画素の半分を閾値未満で選び、残りの半分を閾値より高く選ぶ。
【0203】
上記に記載した方法は、平均の刻みが25nmを示す405nmから970nmまでの18バンドを含むマルチスペクトル画像に適用された。これらの画像の大きさは、約900×1200画素である。スペクトルを区分化するために、スペクトル解析関数Fを空間的指標ISと併せて使用した。健全な皮膚組織および色素過剰の皮膚組織の両方に関するデータキューブの18バンドのうち、スペクトル解析は5に等しい数Kをもたらした。
【0204】
色素過剰の影響を受ける皮膚の画像を分類するこの例では、抽出されるトレーニングセットは、閾値T2に最も近い50画素を含む。
【0205】
上記に示した例とは別に、記載した方法はハイパースペクトルデータに、すなわちさらに多くのスペクトルバンドを含むデータに適用することができる。
【0206】
関数FIにおける有意の変化を測定するのにスペクトルバンド間の刻みが十分なので、本明細書に示すスペクトル解析法は、マルチスペクトル画像の解析に適合される。この方法をハイパースペクトル画像の処理に適合させるためには、連続したバンド間ではなく、オフセットnを示す2つのバンド間の変化を測定するような方法で関数FI内にパラメータnを導入する必要がある。すると関数FIは以下のようになり、
I=IS(k−n,k) (式20)
ただし、k=n+1,...,Nbである。
【0207】
パラメータnは、とりわけ関係するバンドの数に応じて手動でまたは自動で適合させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイパースペクトル画像を解析するための装置であって、少なくとも2つの波長で一連の画像を作成することができる少なくとも1つのセンサ(1)と、
2状態の分類関係に応じて画像の画素を分類することができる計算手段(2)であって、前記画像は前記センサ(1)から受け取られる、計算手段(2)と、
前記計算手段(2)から受け取るデータを処理することに由来する少なくとも1つの画像を表示することができる表示手段(3)と、
を含み、
前記計算手段(2)が、
センサ(1)からデータを受け取る、前記2状態の分類関係に結び付けられるトレーニング画素を決定するための手段(4)と、
前記トレーニング画素を決定するための手段(4)からデータを受け取り、前記ハイパースペクトル画像のスペクトルの自動分割を行うことができる射影追跡を計算するための手段(5)と、
前記射影追跡を計算するための手段(5)からデータを受け取る、大きなマージンの分離を作り出すための手段(6)と、
を含み、前記大きなマージンの分離の後に得られる前記画素が前記2状態の分類関係による分類に応じて識別可能である少なくとも1つの高度画像に関係するデータを作成することができることを特徴とする、解析装置。
【請求項2】
前記トレーニング画素を決定するための手段(4)に結び付けられる分類済み画素のマッピング(7)を含む、請求項1に記載の解析装置。
【請求項3】
前記射影追跡を計算するための手段(5)が、第1の分割手段(10)と、第2の分割手段(11)と、射影ベクトルを探索するための手段(8)とを含む、請求項1または2のいずれか一項に記載の解析装置。
【請求項4】
前記射影追跡を計算するための手段(5)が、一定のバンド数を用いる分割手段と、射影ベクトルを探索するための手段とを含む、請求項1に記載の解析装置。
【請求項5】
前記射影追跡を計算するための手段(5)が、一定のバンド数を用いる前記分割手段に由来する各グループの境界をシフトするための手段を含み、前記シフト手段は、各グループの内分散を最小限にすることができる、請求項4に記載の解析装置。
【請求項6】
前記射影追跡を計算するための手段(5)が、所定の閾値に応じた前記バンド数の自動決定を用いる分割手段と、射影ベクトルを探索するための手段とを含む、請求項1に記載の解析装置。
【請求項7】
前記トレーニング画素を決定するための手段(4)が、前記トレーニング画素を前記閾値に最も近い前記画素として決定することができる、請求項6に記載の解析装置。
【請求項8】
前記大きなマージンの分離を作り出すための手段(6)が、超平面を決定するための手段(12)と、前記超平面までの距離に応じて画素を分類するための手段(13)とを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の解析装置。
【請求項9】
前記計算手段(2)が、センサ(1)から受け取る前記ハイパースペクトル画像および前記大きなマージンの分離を作り出すための手段(6)から受け取る前記データに応じて、前記表示手段(3)によって表示可能な画像を作成することができる、請求項1から8のいずれか一項に記載の解析装置。
【請求項10】
少なくとも2つの波長で一連の画像を作成することができる少なくとも1つのセンサ(1)から生じるハイパースペクトル画像を解析するための方法であって、
センサ(1)によりハイパースペクトル画像を取得するステップと、
2状態の分類関係に従い、センサ(1)から受け取るハイパースペクトル画像の画素の分類を計算するステップと、
を含み、
少なくとも1つの高度画像を表示することが、前記ハイパースペクトル画像を取得するステップからのデータおよび前記ハイパースペクトル画像の前記画素の前記分類を計算するステップからのデータを処理することに由来する、方法において、
前記計算するステップが、
前記2状態の分類関係に結び付けられるトレーニング画素を決定するステップと、
前記トレーニング画素を含む前記ハイパースペクトル画像の射影追跡を計算するステップであって、前記ハイパースペクトル画像の前記スペクトルの自動分割を含む、射影追跡を計算するステップと、
大きなマージンの分離ステップと、
を含み、
前記大きなマージンの分離の後に得られる前記画素が前記2状態の分類関係による分類に応じて識別可能である少なくとも1つの高度画像を作成することができることを特徴とする、解析方法。
【請求項11】
前記トレーニング画素を決定するステップが、マッピングからのデータに応じて前記トレーニング画素を決定することを含み、センサから受け取る前記ハイパースペクトル画像の中に前記トレーニング画素を導入することをさらに含む、請求項10に記載の解析方法。
【請求項12】
前記射影追跡を計算するステップが、
前記トレーニング画素を決定するステップに由来するデータに関係する第1の分割ステップ、および射影ベクトルを探索するステップ(8)を含む、請求項10または11に記載の解析方法。
【請求項13】
前記射影追跡を計算するステップは、前記第1の分割ステップに由来する2つの画像間の距離が第1の閾値を上回る場合、または前記第1の分割ステップに由来する2つの画像間の前記距離の最大値が第2の閾値を上回る場合、第2の分割ステップを含む、請求項12に記載の解析方法。
【請求項14】
前記射影追跡を計算するステップが、一定のバンド数を用いる分割を含む、請求項10に記載の解析方法。
【請求項15】
前記一定のバンド数を用いる分割に由来する各グループの境界は、各グループの内分散を最小限にするためにシフトすることができる、請求項14に記載の解析方法。
【請求項16】
前記射影追跡を計算するステップが、所定の閾値に応じたバンド数の自動決定を用いる分割を含む、請求項10に記載の解析方法。
【請求項17】
前記トレーニング画素を決定するステップが、前記トレーニング画素を前記閾値に最も近い前記画素として決定することを含む、請求項16に記載の解析方法。
【請求項18】
前記大きなマージンの分離ステップが、超平面を決定するステップと、前記超平面までの距離に応じて前記画素を分類するステップとを含み、前記超平面を決定するステップが、前記射影追跡を計算するステップに由来するデータに関係する、請求項10から17のいずれか一項に記載の解析方法。
【請求項19】
人間の皮膚損傷を見つけるために請求項1から9のいずれか一項に記載の解析装置を応用することであって、前に解析したテンプレートに由来するトレーニング画素に応じて超平面を決定する、応用すること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−509629(P2013−509629A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535824(P2012−535824)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066341
【国際公開番号】WO2011/051382
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【出願人】(505026125)インリア・インスティテュート・ナショナル・ドゥ・ルシェルチェ・アン・インフォマティック・エ・アン・アートマティック (10)
【氏名又は名称原語表記】INRIA INSTITUT NATIONAL DE RECHERCHE EN INFORMATIQUE ET EN AUTOMATIQUE
【Fターム(参考)】