説明

ハイブリッドバッテリシステム

本発明は、バッテリシステムのためのエネルギー変換器であって、それぞれが第1の入力口及び第2の入力口(32−1、32−2)並びに第1の出力口及び第2の出力口(33−1、33−2)を有する複数のDC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)を備えた上記エネルギー変換器に関する。DC/DCコンバータのうちの第1のDC/DCコンバータ(21−1、41−1)の第1の出力口(33−1)は、エネルギー変換器の第1の出力口(23−1、43−1)と接続され、及び、DC/DCコンバータのうちの最終コンバータ(21−n、41−n)の第2の出力口(33−2)は、エネルギー変換器の第2の出力口(23−2、43−2)と接続される。第1の入力口及び第2の入力口(32−1、32−2)は、バッテリモジュール(20−1、20−2、20−n、30、40−1、40−2、40−n)の接続のために構成される。DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)は出力側で直列に接続される。エネルギー変換器は、複数の第1のダイオード(22−2、22−n、42−2、42−n)であって、当該第1のダイオードのそれぞれが、DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)のうちの1のDC/DCコンバータの第1の入力口(32−1)と接続された陽極と、他のDC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)の第2の入力口(32−2)と接続された陰極と、を有し、従って、DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)は入力側で直列に接続される、上記複数の第1のダイオードと、DC/DCコンバータのうちの第1のDC/DCコンバータ(21−1、41−1)の第1の入力口(32−1)と接続された陽極と、エネルギー変換器の第1の出力口(23−1、43−1)と接続された陰極と、を有する第2のダイオード(22−1、42−1)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドバッテリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電所及び緊急電力システムのような定置型の適用において及び車両において使用すべきバッテリシステムに対する需要が大きくなっている。これら全ての適用は、確実性及び信頼性に対する要求度が高い。その理由は、バッテリシステムによる電圧供給の完全な故障がシステム全体の故障に繋がりうるからである。従って、風力発電所の場合には、強風の際に動翼の位置を変更し、風力発電所に損害を与え又は破壊する可能性のある機械的な過負荷から当該発電所を護るために、バッテリが使用される。電気自動車のバッテリの故障の場合、電気自動車は走行に適さないであろう。他方また、緊急電力システムは、例えば病院の中断することのない稼動を保障すべきであり、従ってシステム自体は可能な限り故障しえないべきである。
【0003】
各適用のために必要とされる電力及びエネルギーを提供しうるために、個々のバッテリセルが直列に接続され、部分的に追加的に並列に接続される。図1は、バッテリの直列接続についての簡略化された回路図を示す。例えば乗用車内で電動機のために必要とされる高い駆動電圧を、個別セル10−1、・・・、10−nの電圧を合計することによって得るために、複数のバッテリセル10−1〜10−nは直列に接続されている。高い駆動電圧は、出力側のスイッチ11−1及び11−2によって、インバータのような図示されない後続のパワーエレクトロニック(leistungselektronisch)素子から分離されうる。バッテリの総出力電力は、バッテリセル10−1、・・・、10−nの直列接続に基づいて、各バッテリセル10−1、・・・、10−n内を流れるが、その際、バッテリセル10−1、・・・、10−n内での電気化学過程による電荷転送が起こるため、極端な場合には、個々のバッテリセルの故障は、構成全体がもはや電力及び電気的なエネルギーを提供しえないということを意味する。バッテリセル10−1、・・・、10−nの差し迫った故障を適時に検出しうるために、通常では所謂バッテリ管理システム12が利用され、このバッテリ管理システム12は、各バッテリセル10−1、・・・、10−nの2つの極と接続され又は接続可能であり、定期的又は選択可能な間隔で、各バッテリセル10−1、・・・、10−nの電圧及び温度のような駆動パラメータを決定し、これに基づいて、当該バッテリセルの充電状態(State of Charge、SoC)を決定する。このことは、バッテリシステムの電気的な駆動データのフレキシビリティ(Flexibilitaet)が低い際に、高いコストが掛かることを意味する。
【0004】
複数のバッテリセルの直列接続の更なる別の欠点は、以下のとおりである。
1.個々の要請を満たすために本来必要であろうよりも大きな数のバッテリセルが接続される場合には、バッテリにより駆動される素子の様々な駆動状態のために、提供される駆動電圧、最大電力、及び、蓄えられたエネルギーについての条件が出され、当該条件が1つにまとめられる。このことにより、値段、及び、特に、電気自動車の場合に障害となるバッテリシステムの重量及び体積が増加する。
【0005】
2.バッテリの組立、即ち、個々のセルの相互接続は、直列接続により合計される個別のバッテリセルの電圧のために、1000Vまでの高い電圧において行われ、従って、バッテリ、個々セル、又はモジュールの交換は地方の工場では行われず、又は、定置型の適用の場合には、特殊工具を用いて特別に要請された専門家によって行われうる。これにより、故障時のバッテリシステムのメンテナンスのためにロジスティック的な高いコストが発生する。
【0006】
3.バッテリシステムをゼロ電位で(spannungsfrei)接続するために、即ち、本来のバッテリを負荷から遮断するために、典型的に接触器として実現され、予期される高い電圧及び電流のため非常に高価である電力スイッチ11−1及び11−2を設ける必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の従来技術の欠点を克服しうる装置を提示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点は、バッテリシステムのためのエネルギー変換器であって、それぞれが第1の入力口及び第2の入力口並びに第1の出力口及び第2の出力口を有する複数のDC/DCコンバータを備えた上記エネルギー変換器に関する。DC/DCコンバータのうちの第1のDC/DCコンバータの第1の出力口は、エネルギー変換器の第1の出力口と接続され、及び、DC/DCコンバータのうちの最終コンバータの第2の出力口は、エネルギー変換器の第2の出力口と接続される。DC/DCコンバータの第1の入力口及び第2の入力口は、バッテリモジュールの接続のために構成される。DC/DCコンバータは出力側で直列に接続される。本発明によれば、エネルギー変換器は、複数の第1のダイオードであって、当該第1のダイオードのそれぞれが、DC/DCコンバータのうちの1のDC/DCコンバータの第1の入力口と接続された陽極、及び、他のDC/DCコンバータの第2の入力口と接続された陰極を有し、従って、DC/DCコンバータは入力側で直列に接続される、上記複数の第1のダイオードと、DC/DCコンバータのうちの第1のDC/DCコンバータの第1の入力口と接続された陽極、及び、エネルギー変換器の第1の出力口と接続された陰極を有する第2のダイオードと、を有する。
【0009】
本発明は、バッテリモジュールが第1のダイオードを介して直列に接続され、直列に接続されたバッテリモジュールが、第2のダイオードを介して、DC/DCコンバータに対して並列に接続されるという利点を有する。これにより、大抵の駆動状態にとっては十分な僅かな電力消費のために、DC/DCコンバータの寸法を決定することが可能となり、これにより、DC/DCコンバータがより軽量で安価となる。高い電力が消費される場合には、直列に接続されたDC/DCコンバータにより形成される出力電圧が低下し、直列に接続されたバッテリモジュールの電圧以下に下がる。これにより、バッテリモジュールは、第2のダイオードを介して接続され、出力電圧を再び安定させる。従って本発明により、異なる駆動状態のために提供される電力に対する様々な要請の良い妥協が可能となる。さらに、駆動状態に従った適切な総電圧の選択は、DC/DCコンバータの対応する制御による十分に低い電力消費を前提として可能である。また、電力消費が低い際には、出力電圧は、一次側(primaerseitig)に接続されたバッテリセルの数に依存しなくなる。これにより、バッテリシステムの構成が、純粋にエネルギー又は電力基準に従って、各適用のために必要とされる総電圧に依存せずに行われうる。本構成の更なる別の利点は、バッテリ出力口の高電圧を、DC/DCコンバータの停止によって簡単な方法で停止しうるため、高価な接触器11−1及び11−2が省略されうることである。
【0010】
エネルギー変換器は、複数の第1の分離スイッチを有し、当該第1の分離スイッチのうちの各第1の分離スイッチを介して、バッテリモジュールはDC/DCコンバータと接続可能である。第1の分離スイッチによって、バッテリモジュールを各DC/DCコンバータから分離し、従って、当該DC/DCコンバータをゼロ電位で接続することが可能となる。これにより、バッテリモジュールが、DC/DCコンバータの接続状態に従って短絡することが防止される。好適に、第1の分離スイッチは継電器として実現される。
【0011】
エネルギー変換器は、第1の分離スイッチに加えて、複数の第2の分離スイッチを有し、上記複数第2の分離スイッチのうちの各第2の分離スイッチは、第1のダイオード又は第2のダイオードと直列に接続される。第2の分離スイッチは、各DC/DCコンバータの第1の出力口を、各DC/DCコンバータの第1の入力口から分離し、又は、各DC/DCコンバータの第2の入力口を、最後のDC/DCコンバータを除いて、各DC/DCコンバータの第2の出力口から分離するように構成される。第2の分離スイッチは、好適に高速スイッチとして実現され、第1の分離スイッチが切り替わらず又は非常にゆっくり切り替わる場合には、バッテリモジュールの分離を保障する。このことは、非常にゆっくりと切り替わる継電器として第1の分離スイッチが実現される場合には特に有利である。
【0012】
DC/DCコンバータは、特に好適に、非絶縁型の双方向DC/DCコンバータ、特に昇圧型コンバータ/降圧型コンバータ、又は、バック−ブーストコンバータとして実現される。
【0013】
エネルギー変換器の好適な実現において、DC/DCコンバータはそれぞれ、コイルと、第1〜第4のスイッチと、第1〜第4のスイッチの制御のためのコントローラと、を有し、第1のスイッチは、第1の入力口とコイルの第1の端子とを接続し、第2のスイッチは、コイルの第1の端子と第2の入力口とを接続し、第3のスイッチは、コイルの第2の端子と第2の入力口とを接続し、第4のスイッチは、コイルの第2の端子と第1の出力口とを接続する。バック−ブーストコンバータのこの構成は回路技術的にはより複雑性が低く、形成される出力電圧の容易な制御を可能とする。
【0014】
ここでは、特に好適に、各コントローラが、第1の制御信号のための第1の制御入力口を有し、第1の制御信号の受信に応じて、第3のスイッチと第4のスイッチの閉鎖により、DC/DCコンバータの第1の出力口を、DC/DCコンバータの第2の出力口と電気的に接続し、かつ、第1のスイッチの開放により、DC/DCコンバータの第1の入力口を分離するように構成される。本実施形態により、例えば、入力側に接続されたバッテリモジュールが破損しているために、DC/DCコンバータを駆動中に選択的に停止することが可能となる。第3のスイッチの閉鎖によって、故障したDC/DCコンバータの第1の出力口と第2の出力口とが導電的に互いに接続され、従って、構成全体を、引き続いて出力電流が流れうる。バッテリモジュールを、コイルを介して短絡させないために、バッテリモジュールは同時に第1のスイッチの開放によって分離される。従って本実施形態によって、1つ又は複数のバッテリセルの故障にも関わらず、装置を続けて駆動することが可能となる。さらに、場合によっては、駆動中にもバッテリモジュールの交換が可能となり、その際に、総電圧の形成を中断する必要はない。
【0015】
上記の2つの変形例の更なる発展形態において、DC/DCインバータのそれぞれは、第2の制御信号のための第2の制御入力口を有し、第2の制御信号の受信に応じて、DC/DCコンバータの第1の出力口と第2の出力口との間の電圧を上げるように構成される。これによって、既に記載した個々のDC/DCコンバータの停止による総電圧の低下を妨げることが可能であり、従って更に、少なくとも近似的に不変の総電圧が、低減された数のDC/DCコンバータによって提供される。また、DC/DCコンバータの数が同じままで総電圧を上げ、他の駆動状態に対して調整することも可能である。
【0016】
本発明の第2の観点は、本発明の第1の観点にかかるエネルギー変換器と、複数のバッテリモジュールと、を備えたバッテリシステムを導入する。各バッテリモジュールは、少なくとも1つのバッテリセルを有する。バッテリモジュールのバッテリ端子は、エネルギー変換器のDC/DCコンバータの第1の入力口及び第2の入力口のうちの対応する入力口と着脱可能に接続される。
【0017】
本発明の第3の観点は、本発明の第1の観点にかかるエネルギー変換器を備えた車両に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、以下、実施形態を用いてより詳細に解説される。
【図1】従来技術によるバッテリ管理システムを備えたバッテリを示す。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す。
【図3】バック−ブーストコンバータとして実現されたDC/DCコンバータの回路図を示す。
【図4】本発明の第2の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図2は、本発明の第1の実施例を示す。複数のDC/DCコンバータ21−1、21−2、・・・、21−nが入力側で、複数のダイオード22−2〜22−nを介して直列に接続される。さらに、各DC/DCコンバータンバータ21−1、21−2、・・・、21−nは入力側で、バッテリモジュール20−1、20−2、・・・、20−nであって、1つのバッテリセル又は直列に接続された複数のバッテリセルをそれぞれが有する上記バッテリモジュールと接続される。図2で分かるように、DC/DCコンバータ21−1、21−2、・・・、21−nの出力口は直列に接続され、従って、本構成の出力口23−1と23−2との間の総電圧が、DC/DCコンバータ21−1、21−2、・・・、21−nにより形成される個別の電圧の合計として生じる。DC/DCコンバータ21−1、21−2、・・・、21−nは、公知の方法で組み立てられ、かつ、各DC/DCコンバータ21−1、21−2、・・・、21−nの第1の出力口及び第2の出力口に印加される出力電圧の調整、又は、DC/DCコンバータ21−1、21−2、・・・、21−nの停止も可能とし、従って、DC/DC変換がもはや行われない。これにより、出力口23−1及び23−2での総電圧が各駆動状況に対してフレキシブルに調整されうるが、このことは、本発明の利点に相当する。DC/DCコンバータ21−1、21−2、・・・、21−n内の点線は、DC/DCコンバータ21−1、21−2、・・・、21−nの入力口と出力口の間の可能な導電接続を示す。バッテリモジュール20−1、20−2、・・・、20−nは、第1のダイオード22−2、・・・、22−n及び第1の分離スイッチ24−1、24−2、・・・、24−nを介して直列に接続され、第2のダイオード22−1を介して、第1のDC/DCコンバータ21−1の第1の出力口と並列に接続される。これにより、直列に接続されたDC/DCコンバータ21−1、21−2、・・・、21−nと並行して、バッテリモジュールが相互接続されたバッテリが提供される。このことによって、比較的わずかな電力消費のためのDC/DCコンバータ21−1、21−2、・・・、21−nを構成することが可能となり、これにより、DC/DCコンバータ21−1、21−2、・・・、21−nはより小型で、より軽量で、より安価となる。より高い電力が提供される必要がある通常ではめったに発生しない駆動状態のために、先に述べた並列に接続されたバッテリは、直接的に電源として機能しうる。このようなより高い電力が消費される場合には、第2のダイオード22−1が順方向バイアスにおいて極性が与えられるまで、出力口23−1と23−2との間のDC/DCコンバータ21−1、21−2、・・・、21−nにより形成される電圧が下がる。その後、第2のダイオード22−1が接続し、バッテリは、出力口23−1と23−2との間の電圧を安定させる。従って、本発明は、使用されるバッテリセルの数に依存せずに、出力電圧の可変的な生成という利点を、さらに最大で提供される高い出力電圧と組み合わせ、その際に、比較的より小さな回路コストが掛かりうる。第1の分離スイッチ(Abkopppelschalter)24−1、24−2、・・・、24−nは、各バッテリモジュール20−1、20−2、・・・、20−nを、対応するDC/DCコンバータ21−1、21−2、・・・、21−nから分離し、当該DC/DCコンバータをゼロ電位で接続することを可能とする。このことは特に、バッテリモジュール20−1、20−2、・・・、20−nの破損の場合に有用である。このような場合には、構成全体の更なる別の機能が保障されるために、追加的に、対応するDC/DCコンバータ21−1、21−2、・・・、21−nを停止し、当該DC/DCコンバータの出力口を短絡させる(kurzschliessen)べきであろう。追加的又は代替的に、DC/DCコンバータの入力側のための対応するバイパス回路も可能であるが、DC/DCコンバータ21−1、21−2、・・・、21−nが、第2の入力口と第2の出力口との間の導電接続を有する場合には省略されうる。
【0020】
図3は、バック−ブーストコンバータ(Buck−Boost−Konverter)として実現された公知のDC/DCコンバータ31の回路図を示す。第1の入力口32−1と、第2の入力口32−2との間で、バッテリモジュール30は、1つ又は複数のバッテリセル30−1〜30−nと着脱可能に(loesbar)接続されうる。DC/DCコンバータ31は、第1〜第4のスイッチS1、S2、S3、S4と、コイルL1と、を有する。DC/DCコンバータは、第1の出力口及び第2の出力口33−1、33−2を有し、かつ、直流電圧であって、公知の方法では第1〜第4のスイッチS1、S2、S3、S4の接続期間の選択によって、バッテリモジュール30の直流電圧に依存せずに、その値が調整されうる上記直流電圧を、出力口33−1、33−2の間に形成するように構成される。最も簡単な場合には、バック−ブーストコンバータは、交互に2つの異なる状態で駆動される。1の充電状態において、第1のスイッチS1と第3のスイッチS3とは閉鎖され(即ち導電状態に置かれ)、第2のスイッチS2と第4のスイッチS4は開放される(即ち、非導電状態に置かれる)。結果的に、バッテリモジュール30から、コイルL1内で磁場を形成する電流が、コイルL1を通って流れる。放電プロセスにおいては、第1のスイッチS1と第3のスイッチS3が開放され、第2のスイッチS2と第4のスイッチS4が閉鎖される。これにより、バッテリモジュール30はコイルL1から分離され、当該コイルの入力口は、バッテリモジュール30の負極と接続され、当該コイルの出力口は第1の出力口33−1と接続される。コイルL1は、自身を通って流れる電流の変化を防げるため、コイルL1は、自身の磁場から出力電流を蓄えて、出力電流を遮断する。このプロセスが迅速に反復される場合に、その値が特に反復の頻度に依存する直流電圧が、出力口33−1、33−2間に調整される。
【0021】
スイッチS1〜S4のクロック(Taktung)を、駆動状態に対して調整するコントローラは示されていない。また通常では、出力口33−1、33−2に印加される出力電圧が決定されてスイッチS1〜S4のクロックの調整のために利用されるフィードバックが設けられ、従って、可能限り安定した出力電圧が形成される。出力電圧のより良好な平滑化のために、出力口33−1、33−2の間に、バッファコンデンサ(Pufferkondensator)が設けられうる。本発明の範囲において、DC/DCコンデンサの本特徴は、本発明にかかる構成、駆動状態ごとに望まれる総電圧の調整、又は、1つ若しくは全てのDC/DCコンバータの停止も可能とする。特に有利に、DC/DCコンバータ31は、スイッチS3及びS4が閉鎖され、スイッチS1及びS2が開放されることで、停止される。
【0022】
図4は、第1の実施形態と同様に構成され対応して機能する、本発明の第2の実施形態を示す。唯一の違いは、追加的に第2の分離スイッチ45−1、45−2、45−3が挿入されたことであり、当該第2の分離スイッチは、バッテリモジュール40−1、40−2、・・・、40−nの破損により、DC/DCコンバータ41−1、41−2、・・・、41−nを先に記載したように停止する場合のために、DC/DCコンバータ41−1、41−2、・・・、41−n内の点線によって示されるDC/DCコンバータ41−1、41−2、・・・、41−nの第2の入力口と第2の出力口との間の導電接続を遮断するものである。ここでは、第2の分離スイッチは好適に、例えば電力トランジスタのような高速スイッチとして構成され、好適に比較的遅い継電器として実現された第1の分離スイッチ44−1、44−2、・・・、44−nのうちの1つが開放されず、又は十分に迅速に開放されない場合には、バッテリモジュール40−1、40−2、・・・、40−nを分離しうる。第2の分離スイッチは、最終のDC/DCコンバータ41−nのためには必要ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリシステムのためのエネルギー変換器であって、前記エネルギー変換器は、それぞれが第1の入力口及び第2の入力口(32−1、32−2)並びに第1の出力口及び第2の出力口(33−1、33−2)を有する複数のDC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)を備え、前記DC/DCコンバータのうちの第1のDC/DCコンバータ(21−1、41−1)の前記第1の出力口(33−1)は、前記エネルギー変換器の第1の出力口(23−1、43−1)と接続され、及び、前記DC/DCコンバータのうちの最終コンバータ(21−n、41−n)の前記第2の出力口(33−2)は、前記エネルギー変換器の第2の出力口(23−2、43−2)と接続され、前記第1の入力口及び第2の入力口(32−1、32−2)は、バッテリモジュール(20−1、20−2、20−n、30、40−1、40−2、40−n)の接続のために構成され、前記DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)は出力側で直列に接続される、前記エネルギー変換器において、
複数の第1のダイオード(22−2、22−n、42−2、42−n)であって、前記複数の第1のダイオードのそれぞれが、前記DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)のうちの1のDC/DCコンバータの前記第1の入力口(32−1)と接続された陽極、及び、他のDC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)の前記第2の入力口(32−2)と接続された陰極を有し、従って、前記DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)は入力側で直列に接続される、前記複数の第1のダイオードと、
前記DC/DCコンバータのうちの前記第1のDC/DCコンバータ(21−1、41−1)の前記第1の入力口(32−1)と接続された陽極、及び、前記エネルギー変換器の前記第1の出力口(23−1、43−1)と接続された陰極を有する第2のダイオード(22−1、42−1)と、
を特徴とする、エネルギー変換器。
【請求項2】
複数の第1の分離スイッチ(24−1、24−2、24−n、44−1、44−2、44−n)であって、前記バッテリモジュール(20−1、20−2、20−n、30、40−1、40−2、40−n)は、前記第1の分離スイッチ(24−1、24−2、24−n、44−1、44−2、44−n)のうちの各第1の分離スイッチを介して、前記DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)と接続可能である、前記複数の第1の分離スイッチを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー変換器。
【請求項3】
前記第1の分離スイッチ(24−1、24−2、24−n、44−1、44−2、44−n)は、継電器として実現される、請求項2に記載のエネルギー変換器。
【請求項4】
複数の第2の分離スイッチ(45−1、45−2、45−3)であって、前記複数の第2の分離スイッチのうちの各第2の分離スイッチは、第1のダイオード(22−2、22−n、42−2、42−n)及び第2のダイオード(22−1、42−1)と直列に接続され、かつ、各DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)の第1の出力口(33−1)を、前記各DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)の前記第1の入力口(32−1)から分離するように構成される、前記複数の第2の分離スイッチを特徴とする、請求項2又は3に記載のエネルギー変換器。
【請求項5】
前記DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)は、非絶縁型の双方向DC/DCコンバータ、好適に昇圧型コンバータ/降圧型コンバータ、又は、バック−ブーストコンバータとして実現される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエネルギー変換器。
【請求項6】
前記DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)はそれぞれ、コイル(L1)と、第1〜第4のスイッチ(S1、S2、S3、S4)と、前記第1〜第4のスイッチ(S1、S2、S3、S4)の制御のためのコントローラと、を有し、前記第1のスイッチ(S1)は、前記DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)の第1の入力口(32−1)と、前記コイル(L1)の第1の端子と、を接続し、第2のスイッチ(S2)は、前記コイル(L1)の前記第1の端子と、前記DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)の前記第2の入力口(32−2)と、を接続し、第3のスイッチ(S3)は、前記コイル(L1)の第2の端子と、前記DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)の前記第2の入力口(32−2)と、を接続し、第4のスイッチ(S4)は、前記コイル(L1)の前記第2の端子と、前記DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)の前記第1の出力口(33−1)と、を接続する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエネルギー変換器。
【請求項7】
各コントローラは、第1の制御信号のための第1の制御入力口を有し、前記第1の制御信号の受信に応じて、前記第3のスイッチ(S3)と前記第4のスイッチ(S4)の閉鎖により、前記DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)の前記第1の出力口(33−1)を、前記DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)の前記第2の出力口(33−2)と電気的に接続し、かつ、前記第1のスイッチ(S1)の開放により、前記DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)の前記第1の入力口(32−1)を分離するように構成される、請求項6に記載のエネルギー交換器。
【請求項8】
各コントローラは、第2の制御信号のための第2の制御入力口を有し、前記第2の制御信号の受信に応じて、前記DC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)の前記第1の出力口と前記第2の出力口(33−1、33−2)との間の電圧を上げるように構成される、請求項6又は7に記載のエネルギー変換器。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のエネルギー変換器と、複数のバッテリモジュール(20−1、20−2、20−n、30、40−1、40−2、40−n)と、を備えるバッテリシステムであって、前記複数のバッテリモジュールはそれぞれ、少なくとも1つのバッテリセル(30−1、30−2、・・・、30−n)を有し、自身のバッテリ端子が、前記エネルギー変換器のDC/DCコンバータ(21−1、21−2、21−n、31、41−1、41−2、41−n)の前記第1の入力口及び前記第2の入力口(32−1、32−2)のうちの対応する入力口と着脱可能に接続される、バッテリシステム。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のエネルギー変換器を備えた車両。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−533979(P2012−533979A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520981(P2012−520981)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058973
【国際公開番号】WO2011/009690
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(311017728)エス・ビー リモーティブ カンパニー リミテッド (9)
【出願人】(311017740)エス・ビー リモーティブ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (9)
【Fターム(参考)】