説明

ハイブリッド構造の組立てサポート

乗用車及び小型トラックのフロントエンドのための組立てサポートは、アッパクロスメンバ(1)と、下に向かってこのアッパクロスメンバに接続する、車両サイドビームの前端に結合するためのフランジプレート(3)を有するサイドメンバ(2)と、このサイドメンバ(2)の下部(2.1)を結合するロアクロスメンバ(4)とを備える。ロアクロスメンバ(4)の領域の組立てサポートを補強するため、ロアクロスメンバ(4)は、その周縁部に沿って延在する、外方に突出するフランジ(5.1)を有するシェルボディ(5)と、その周縁領域(6.1)が合致して前記フランジに取り付けられる閉鎖部分(6)とから成る。シェルボディ(5)と閉鎖部分(6)は、高剛性の材料から成り、シェルボディ(5)のフランジ(5.1)と閉鎖部分(6)の周縁領域(6.1)は、ハイブリッド構造のために使用される合成樹脂によって周囲を被覆され、これにより、互いに結合され、サイドメンバ(2)に結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念の特徴による組立てサポートに関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車及び小型トラックのフロントエンド用に設定されるこの方式のハイブリッド構造の組立てサポートは、近年の車体では普通であり、従って一般的に公知である。このようなハイブリッド部品は、剛性及び/又は強度のような技術特性に対して相対的に重要性を低く見られる良好な使用特性によって際立っている。更に、ハイブリッド部品は、射出成形プロセスでの安価な製造を可能にする。公知の構成では、組立てサポートは、シェル形式のハイブリッド構造を備え、その中空側に、補強用の合成樹脂リブが設けられている。これにより得られるそれぞれの組立てサポートの剛性は、例えばエンジンマウントによって大きな力が導入される領域では未だ不十分である。これは、組立てサポートの下の領域、特にそのロアクロスメンバに該当する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の根本にある課題は、ロアクロスメンバの領域を更に補強する、冒頭で述べた方式の組立てサポートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、前記方式の組立てサポートでは、請求項1を特徴付ける特徴によって解決される。
【0005】
本発明による組立てサポートにとって重要なのは、ロアクロスメンバが、閉じた補強成形体として形成されており、これが、高剛性の材料、特に金属、から成り、互いに対応する2つの部分、即ちシェルボディと閉鎖部分、を備え、これら両部分が、ハイブリッド構造のために使用される合成樹脂によって互いに結合され、組立てサポートのこれらに隣接する領域に固定結合されていることである。従って、組立てサポートのロアクロスメンバが、高い捩り荷重及び/又は曲げ荷重を吸収できるばかりでなく、ロアクロスメンバに接続するサイドメンバを介して組立てサポート全体も補強する。従って、好ましい形成では、サイドメンバが、下から、車両サイドビームとの結合のために使用されるフランジプレートにメタルインサートが移行する領域に向かって、ロアクロスメンバと同様に構成されている。
【0006】
本発明の別の有利な形成の特徴は、従属請求項に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施例を図示した図面を基にして本発明を以下で更に詳細に説明する。
【0008】
図1に図示した組立てサポートにおいて、下に向かってサイドメンバ2に接続するアッパクロスメンバ1が詳細に認められる。アッパクロスメンバ1は、両端に固定アーム1.1を備え、これら固定アームは、サイドメンバ2の接続領域を超えるようにアッパクロスメンバを延長する。サイドメンバ2にフランジプレート3が統合され、このフランジプレートは、車両サイドビームの前端部にある相手側フランジプレートとねじ固定するための貫通穴3.1を備えている。フランジプレート3には、下に向かうようにサイドメンバ2の下部2.1が接続し、両下部間にロアクロスメンバ4が延在する。
【0009】
図1に図示した組立てサポートは、ハイブリッド部品であり、これは、高剛性の要素、即ちスチールから成る要素、と、これら要素を互いに結合し、領域的に補強する合成樹脂とから成る。その詳細は、図2に記載されている。組立てサポートのアッパクロスメンバ1は、背面が開放した中空成形体をから成る金属メンバ1.2を備える。金属メンバ1.2は、合成樹脂ウェブ1.3と、金属メンバ1.2の中空領域に配設された合成樹脂リブ1.4によって補強されている。合成樹脂ジャケット又は合成樹脂エッジング10は、合成樹脂ウェブ1.3及び合成樹脂リブ1.4と一体的であり、これについては、図2に、本質的にその線状の推移を認めることができる。この合成樹脂領域については、以下で図3及び4を基にして詳細に説明する。
【0010】
更に、図2には、組立てサポート1のサイドメンバ2とロアクロスメンバ4の荷重伝達部を構成する金属部分が図示されている。サイドメンバ2の金属部分は、その上部領域が、同様にシェル状の中空ボディとして形成されており、これらは、合成樹脂ウェブもしくは合成樹脂リブ1.5によって補強されている。これら合成樹脂部分は、ハイブリッド部品の別の合成樹脂領域と一体的である。
【0011】
鋼板から成形されたロアクロスメンバ4の荷重伝達を行なう金属部分には、中空メンバとして形成され、ほぼU字形の横断面を有する第1のシェルボディ5が付属する。シェルボディ5の互いに向かい合う側壁部には、図3に詳細に記載したように、外方に曲げた突出するフランジ5.1がある。中空のシェルボディ5は、その開放側が、閉鎖部分6によって閉鎖されており、この閉鎖部分は、同様にスチールから成り、貫通部6.2を有する平坦なプレート状の部品として形成されている。従って、閉鎖部分6は、シェルボディ5のフランジ5.1に面で当接する周縁領域6.1を備える。閉鎖部分6の両端には、上方に突出する別の閉鎖部分8が配設されており、これら閉鎖部分は、基本的に独立して設けるか、第1の閉鎖部分6に固定取付けすることができる。図示した好ましい構成では、両閉鎖部分6及び8が、一貫して互いに一体的であり、第1の閉鎖部分6の周縁領域6.1は、第2の閉鎖部分8の周縁領域8.1に接続する。
【0012】
第2の閉鎖部分8は、第2のシェルボディ7に適合されており、これら第2のシェルボディは、フランジプレート3も構成するサイドメンバ2の鋼板部分の下部領域に形成されている。第2のシェルボディ7は、第1のシェルボディ5と同様に、外方に突出する周縁部のフランジ7.1を備え、これらフランジは、第2の閉鎖部分8の周縁領域8.1に面で当接する。第2のシェルボディ7の上部は、組立てサポートのアッパクロスメンバ1にまで達する。
【0013】
シェルボディ5及び7と閉鎖部分6及び8の結合は、合成樹脂ジャケット又は合成樹脂エッジング10を介して行なわれ、これは、閉鎖部分6,8の周縁領域6.1,8.1とこれらに当接する閉鎖ボディ5,7のフランジ5.1,7.1を外側から包囲するために、幅広の部分を越えて横断面がU字形である。間隔を置いて、隣接するこれら周縁領域6.1,8.1とフランジ5.1,7.1に、いわゆる充填箇所が構成されるが、その詳細は、図3及び4に記載されている。これら充填箇所のために、フランジ5.1,7.1と周縁領域6.1,8.1に互いに面が一致する貫通部11が設けられており、これら貫通部は、種々に形成することができる。充填箇所では、図2に10.1で図示したように、合成樹脂により結合ボルト又は結合ウェブが形成される。
【0014】
図3及び図4に図示したように、閉鎖ボディ5,7のフランジ5.1,7.1は、その周縁領域を変形させた円形穴の形態の貫通部11を有する。これにより、貫通部11.1の周囲に、フランジ5.1,7.1の、閉鎖部分6,8の周縁領域6.1,8.1が当接する側に突出するホールカラー12が構成されている。これら周縁領域6.1,8.1の第2の貫通部11.2は、同様に円形の穴であり、ホールカラー12の外径よりも大きい内径を有する。従って、ジャケット10を構成する合成樹脂は、シェルボディ5,7のフランジ5.1,7.1の第1の貫通部11.1に入るだけでなく、ホールカラー12の外周と閉鎖部分6,8の周縁部6.1,8.1の第2の貫通部11.2の内面の間にある環状間隙も埋める。これは、特に明確に図4に図示されている。前記のように、充填箇所の形成は、このようなシェルボディ結合に適するだけでない。むしろ、このような充填部は、金属インサートや、合成樹脂射出成形法で製造されたハイブリッド部品で固化した材料から成るその他のインサートの結合を問題にする場合には必ず適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】乗用車のフロントエンド用の組立てサポートの前面から見た斜視図を示す。
【図2】図1の組立てサポートの金属部分と合成樹脂領域の斜視分解図を示す。
【図3】図1の組立てサポートのロアクロスメンバの断面図を拡大図で示す。
【図4】図3のクロスメンバの両金属部分の結合領域の別の拡大図を示す。
【符号の説明】
【0016】
1 アッパクロスメンバ
1.1 固定アーム
1.2 金属メンバ
1.3 合成樹脂ウェブ
1.4 合成樹脂リブ
1.5 合成樹脂ウェブもしくは合成樹脂リブ
2 サイドメンバ
2.1 下部
3 フランジプレート
3.1 貫通穴
4 ロアクロスメンバ
5 第1のシェルボディ
5.1 フランジ
6 第1の閉鎖部分
6.1 周縁領域
6.2 貫通部
7 第2のシェルボディ
7.1 フランジ
8 第2の閉鎖部分
8.1 周縁領域
10 合成樹脂ジャケット又は合成樹脂エッジング
11 貫通部
11.1 第1の貫通部
11.2 第2の貫通部
12 ホールカラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂と、この合成樹脂で周囲を被覆した、スチールのような高剛性の材料の部品とから成るハイブリッド構造で構成され、アッパクロスメンバ(1)と、下に向かってこのアッパクロスメンバに接続する、車両サイドビームの前端に結合するためのフランジプレート(3)を有するサイドメンバ(2)と、このサイドメンバ(2)の下部(2.1)を結合するロアクロスメンバ(4)とを備えた、乗用車及び小型トラック用のフロントエンドのための組立てサポートにおいて、
ロアクロスメンバ(4)が、その周縁部に沿って延在する、外方に突出するフランジ(5.1)を有するシェルボディ(5)と、その周縁領域(6.1)が合致して前記フランジに取り付けられる閉鎖部分(6)とから成り、シェルボディ(5)と閉鎖部分(6)が、高剛性の材料から成り、シェルボディ(5)のフランジ(5.1)と閉鎖部分(6)の周縁領域(6.1)が、ハイブリッド構造のために使用される合成樹脂によって周囲を被覆され、これにより、互いに結合され、サイドメンバ(2)に結合されていることを特徴とする組立てサポート。
【請求項2】
同様に、サイドメンバ下部(2.1)が、それぞれ、その周縁部に沿って延在する、外方に突出するフランジ(7.1)を有するシェルボディ(7)と、その周縁領域(8.1)が合致して前記フランジに取り付けられる閉鎖部分(8)とから成り、シェルボディ(7)と閉鎖部分(8)が、高剛性の材料から成り、シェルボディ(7)のフランジ(7.1)と閉鎖部分(8)の周縁領域(8.1)が、ハイブリッド構造のために使用される合成樹脂によって周囲を被覆され、これにより、互いに結合され、サイドメンバ(2)の別の領域とロアクロスメンバ(4)に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の組立てサポート。
【請求項3】
ロアクロスメンバ(4)とサイドメンバ(2)の下部(2.1)が、それぞれ独立したシェルボディ(5,7)を備え、これらシェルボディ(5,7)に合成樹脂によって結合された閉鎖部分(6,8)が、互いに一体的であることを特徴とする請求項2に記載の組立てサポート。
【請求項4】
ロアクロスメンバ(4)のシェルボディ(5)用の閉鎖部分(6)及び/又はサイドメンバ下部(2.1)のシェルボディ(7)用の閉鎖部分(8)が、プレート状の平坦な部品として形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の組立てサポート。
【請求項5】
ロアクロスメンバ(4)のシェルボディ(5)用の閉鎖部分(6)及び/又はサイドメンバ下部(2.1)のシェルボディ(7)用の閉鎖部分(8)が、シェル状の成形部分として形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の組立てサポート。
【請求項6】
シェルボディ(5,7)のフランジ(5.1,7.1)と、ロアクロスメンバ(4)とサイドメンバ(2)の閉鎖部分(6,8)の周縁領域(6.1,8.1)が、それぞれ共に平坦ウェブ(9)を構成し、この平坦ウェブのところで、周囲に被覆され結合をする合成樹脂が、横断面がU字形のジャケット(10)を構成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の組立てサポート。
【請求項7】
一方でシェルボディ(5,7)のフランジ(5.1,7.1)が、他方でロアクロスメンバ(4)とサイドメンバ(2)の閉鎖部分(6,8)の周縁領域(6.1,8.1)が、合成樹脂が充填された互いに合致する貫通部(11)を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の組立てサポート。
【請求項8】
互いに対応する貫通部(11)からシェルボディ(5,7)のフランジ(5.1,7.1)と閉鎖部分(6,8)の周縁領域(6.1,8.1)にかけて、第1の貫通部(11.1)が、第2の貫通部(11.2)内に達する、変形により突出するホールカラー(12)を形成する周縁部を有し、第2の貫通部(11.2)が、ホールカラー(12)の外径よりも拡大された内径を備えることを特徴とする請求項7に記載の組立てサポート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−516618(P2009−516618A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541638(P2008−541638)
【出願日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011225
【国際公開番号】WO2007/059954
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(507340256)ハー・ベー・ペー・オー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (3)
【Fターム(参考)】