説明

ハイブリッド車両のエンジン停止制御装置

【課題】エンジンを始動性の良好なクランク角で停止させ得るようにし、その制御中も、モータ/ジェネレータによる回生エネルギーの吸収が可能となるようにする。
【解決手段】アクセル開度APOの図示する低下に呼応してt2〜t3間におけるようにエンジンを停止させる(Ne=0となす)に際し、第1クラッチ(CL1)の締結状態保持と、第2クラッチ(CL2)のスリップ締結状態とで、エンジン停止クランク角をエンジン始動性に優れたクランク角となすのに必要な目標モータ回転数tNmにモータ/ジェネレータの回転数Nmが追従するようモータ/ジェネレータを回転数制御する。よって、エンジン停止クランク角が始動性に優れたクランク角になるのを保証し得て、エンジン始動性の安定化を実現可能である。また、このエンジン停止クランク角制御中に第2クラッチ(CL2)をスリップ締結状態にしておくため、この間もモータ/ジェネレータによる回生制動を行い得て、エネルギー回収効率を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン、第1クラッチ、モータ/ジェネレータ、第2クラッチおよび駆動車輪を伝動経路の配列順とし、第1クラッチおよび第2クラッチの締結・解放制御により、モータ/ジェネレータのみによる電気走行を行うか、エンジンおよびモータ/ジェネレータの双方によるハイブリッド走行を行うかを選択可能なハイブリッド車両のエンジン停止制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のようなハイブリッド車両としては、例えば特許文献1に記載のように、エンジンおよび駆動車輪間にモータ/ジェネレータを結合して介在させ、エンジンおよびモータ/ジェネレータ間を第1クラッチにより断接可能となし、モータ/ジェネレータおよび駆動車輪間を第2クラッチにより断接可能となした、所謂1モータ2クラッチ型パラレル式ハイブリッド車両が知られている。
【0003】
このハイブリッド車両は、第1クラッチを解放し、第2クラッチを締結するとき、モータ/ジェネレータのみによる電気(EV)走行を行うEVモードを選択することができ、第1クラッチおよび第2クラッチの双方を締結することにより、モータ/ジェネレータおよびエンジンの協調によるハイブリッド(HEV)走行を行うHEVモードを選択することができる。
【0004】
この1モータ2クラッチ型パラレル式ハイブリッド車両にあっては、EVモードで第1クラッチの解放によりエンジンが車輪駆動系から切り離されているため、フューエルカット(燃料供給の停止)により停止状態にされているエンジンを引きずることがなく、つまりエンジンフリクションによる動力損失を生ずることがなく、EV走行時の電力消費を減じてEV走行距離を伸ばすことができる。
【0005】
また同じ理由から、車両のアクセルペダルを釈放した減速時に、モータ/ジェネレータによるエネルギー回生量がエンジンフリクション分だけ多くなり、エネルギー効率の向上を図ることができる。
【0006】
一方、1モータ2クラッチ型パラレル式ハイブリッド車両のエンジン停止制御技術としては従来、例えば特許文献2に記載のようなものが知られている。
このエンジン停止制御技術は、走行中に運転者がアクセルペダルを釈放したことによるエンジン停止に際し、第2クラッチを締結したまま第1クラッチを解放すると共に、エンジンの停止操作を行うというものである。
【0007】
しかし当該エンジン停止制御技術では、第1クラッチの解放状態でエンジンが自己のフリクションにより回転速度を落として停止することとなり、
エンジン停止クランク角が成り行きによって決まるため、特定のクランク角でエンジンを停止させることができない。
【0008】
ところで、モータ/ジェネレータのみでは動力不足になる場合(アクセルペダル踏み込み時)とか、バッテリを蓄電状態の低下で充電する必要が生じた場合に、エンジンを再始動させる時におけるエンジン始動の容易さ(エンジン始動性)は、エンジン停止時のクランク角(エンジン停止クランク角)によって大いに異なる。
【0009】
このため、特許文献2に記載のエンジン停止制御技術のように、エンジン停止クランク角が成り行きによって決まるのでは、
エンジン始動性の良い特定のクランク角でエンジンを停止させ得るという保証がなく、エンジンの始動性が安定しないという問題があった。
【0010】
なお特許文献3には、エンジンに直結した発電機の制動力を用いて、エンジン停止クランク角をエンジン始動が容易なクランク角となるよう制御し、これによりエンジンの始動性を改善する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−117206号公報
【特許文献2】特開2007−083796号公報
【特許文献3】特開2001−027171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献1,2所載の1モータ2クラッチ型パラレル式ハイブリッド車両に特許文献3のエンジン停止クランク角制御技術を用いる場合、
エンジンの停止に際し、第1クラッチを締結したまま第2クラッチを解放し、エンジン停止までモータ/ジェネレータの回転速度をエンジン回転速度と同じになるよう制御することとなる。
【0013】
このことは、第2クラッチの解放によりモータ/ジェネレータが駆動車輪から切り離された状態でエンジン停止クランク角制御が行われることを意味し、
その結果エンジン停止クランク角制御中、モータ/ジェネレータによる回生制動が行われ得ず、エネルギー回収効率が悪化するという問題を生ずる。
【0014】
本発明は、モータ/ジェネレータと駆動車輪との間を切り離さない状態でエンジン停止クランク角制御を行うようにすることにより、上記エネルギー回収効率の悪化に関する問題を生ずることなく、所定のエンジン停止クランク角制御を行い得るようにしたハイブリッド車両のエンジン停止制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的のため、本発明によるハイブリッド車両のエンジン停止制御装置は、これを以下のような構成とする。
【0016】
先ず、前提となるハイブリッド車両を説明するに、これは、
エンジン、第1クラッチ、モータ/ジェネレータ、第2クラッチおよび駆動車輪を伝動経路の配列順とし、上記第1クラッチおよび第2クラッチの締結・解放制御により、上記エンジンおよびモータ/ジェネレータのうち、モータ/ジェネレータのみによる電気走行を行うか、エンジンおよびモータ/ジェネレータの双方によるハイブリッド走行を行うかを選択可能なものである。
【0017】
本発明は、かかるハイブリッド車両におけるエンジンの停止に際し、上記第1クラッチの完全締結状態と、上記第2クラッチのスリップ締結状態とで、上記モータ/ジェネレータにより上記エンジンの停止位置を制御する構成に特徴づけられる。
【発明の効果】
【0018】
上記した本発明によるハイブリッド車両のエンジン停止制御装置によれば、
第1クラッチの完全締結状態と、第2クラッチのスリップ締結状態とで、モータ/ジェネレータによりエンジンの停止位置を制御するため、
第2クラッチがスリップ締結によりモータ/ジェネレータを駆動車輪に結合した状態で、エンジン停止位置制御を行わせ得ることとなる。
【0019】
従って、エンジン停止位置制御中もモータ/ジェネレータによる回生制動を行うことができ、前記したエネルギー回収効率の悪化に関する問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例になるエンジン停止制御装置を具えたハイブリッド車両のパワートレーンを、その制御系とともに示す概略システム図である。
【図2】図1に示したパワートレーン制御システムのハイブリッドコントローラが実行する参考例1のエンジン停止制御プログラムを示すフローチャートである。
【図3】図1に示したパワートレーン制御システムのハイブリッドコントローラが実行する参考例2のエンジン停止制御プログラムを示すフローチャートである。
【図4】図1に示したパワートレーン制御システムのハイブリッドコントローラが実行する実施例のエンジン停止制御プログラムを示すフローチャートである。
【図5】図2に示す参考例1の制御プログラムによるエンジン停止動作を示すタイムチャートである。
【図6】図3に示す参考例2の制御プログラムによるエンジン停止動作を示すタイムチャートである。
【図7】図4に示す実施例の制御プログラムによるエンジン停止動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
<ハイブリッド車両のパワートレーン>
図1は、本発明の一実施例になるエンジン停止制御装置を具えたハイブリッド車両のパワートレーンを、その制御系とともに示す。
このハイブリッド車両は、フロントエンジン・リヤホイールドライブ車(後輪駆動車)をベース車両とし、これをハイブリッド化したものであり、
図1において、1は動力源としてのエンジン、2FL,2FRはそれぞれ左右前輪(左右従動車輪)、3RL,3RRはそれぞれ左右後輪(左右駆動車輪)を示す。
【0022】
図1に示すハイブリッド車両のパワートレーンにおいては、通常の後輪駆動車と同様にエンジン1の車両前後方向後方に自動変速機4をタンデムに配置し、エンジン1(詳しくはクランクシャフト1a)からの回転を自動変速機4の入力軸4aへ伝達する軸5に結合してモータ/ジェネレータ6(動力源)を設ける。
【0023】
モータ/ジェネレータ6は、ハウジング内に固設した環状のステータ6aと、このステータ6a内に所定のエアギャップを持たせて同心に配置したロータ6bとよりなり、運転状態の要求に応じ、電動モータ(電動機)として作用したり、ジェネレータ(発電機)として作用するもので、エンジン1および自動変速機4間に配置する。
モータ/ジェネレータ6は、ロータ6bの中心に上記の軸5を貫通して結着し、この軸5をモータ/ジェネレータ軸として利用する。
【0024】
かかるモータ/ジェネレータ6およびエンジン1間、詳しくは、モータ/ジェネレータ軸5とエンジンクランクシャフト1aとの間に第1クラッチ7(CL1)を介挿し、この第1クラッチ7によりエンジン1およびモータ/ジェネレータ6間を切り離し可能に結合する。
ここで第1クラッチ7は、伝達トルク(クラッチ締結)容量を連続的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的に制御して伝達トルク(クラッチ締結)容量を変更可能な湿式多板クラッチで構成する。
【0025】
モータ/ジェネレータ6および自動変速機4間は、モータ/ジェネレータ軸5と変速機入力軸4aとの直接結合により相互に直結させる。
自動変速機4は、周知の遊星歯車組式自動変速機と同様なものであるが、これからトルクコンバータを排除して、その代わりにモータ/ジェネレータ6を変速機入力軸4aに直接結合したものとし、
複数の変速摩擦要素(クラッチやブレーキ等)を選択的に締結させたり、解放することで、これら変速摩擦要素の締結・解放の組み合わせにより伝動経路(変速段)を決定するものとする。
【0026】
従って自動変速機4は、入力軸4aからの回転を選択変速段に応じたギヤ比で変速して出力軸4bに出力する。
この出力回転は、ディファレンシャルギヤ装置8により左右後輪3RL,3RRへ分配して伝達され、車両の走行に供される。
但し自動変速機4は、上記したような有段式のものに限られず、無段変速機であってもよいのは言うまでもない。
【0027】
なおハイブリッド車両にあっては、モータ/ジェネレータ6および駆動輪3RL,3RR を切り離し可能に結合する第2クラッチ9(CL2)が必要であるが、
本実施例においてはこの第2クラッチ9を自動変速機4の前、若しくは、後に追加して新設する構成を採用せず、
この代わりに第2クラッチ9として、自動変速機4内に既存する前記した変速摩擦要素のうち、前進変速段選択用の変速摩擦要素または後退変速段選択用の変速摩擦要素を流用する。
【0028】
ちなみに、第2クラッチ9として用いる自動変速機4内に既存の前進変速段選択用の変速摩擦要素または後退変速段選択用の変速摩擦要素はもともと、前記した第1クラッチ7と同様、伝達トルク容量(クラッチ締結容量)を連続的に変更可能なものである。
かように、第2クラッチ9として自動変速機4内に既存の前進変速段選択用の変速摩擦要素(発進用摩擦要素)または後退変速段選択用の変速摩擦要素(発進用摩擦要素)を流用する場合、第2クラッチ9が以下に説明するモード選択機能を果たすのに加えて、この機能を果たすよう締結される時に自動変速機を対応変速段への変速により動力伝達状態にすることとなり、専用の第2クラッチが不要でコスト上大いに有利である。
【0029】
以下、図1につき上述したパワートレーンのモード選択機能を説明する。
図1に示したパワートレーンにおいては、停車状態からの発進時などを含む低負荷・低車速時に用いられる電気走行(EVモード)が要求される場合、第1クラッチ7を解放し、自動変速機4を第2クラッチ9の締結により対応変速段選択状態(動力伝達可能状態)にする。
【0030】
この状態でモータ/ジェネレータ6を駆動すると、当該モータ/ジェネレータ6からの出力回転のみが変速機入力軸4aに達することとなり、自動変速機4が当該入力軸4aへの回転を、選択中の変速段に応じ変速して変速機出力軸4bより出力する。
変速機出力軸4bからの回転はその後、ディファレンシャルギヤ装置8を経て後輪3RL,3RRに至り、車両をモータ/ジェネレータ6のみによって電気走行(EV走行)させることができる。
【0031】
高速走行時や大負荷走行時などで用いられるハイブリッド走行(HEVモード)が要求される場合、第1クラッチ7を締結させると共に、自動変速機4を第2クラッチ9の締結により対応変速段選択状態(動力伝達可能状態)にする。
この状態では、エンジン1からの出力回転、または、エンジン1からの出力回転およびモータ/ジェネレータ6からの出力回転の双方が協調下に変速機入力軸4aに達することとなり、自動変速機4が当該入力軸4aへの回転を、選択中の変速段に応じ変速して、変速機出力軸4bより出力する。
変速機出力軸4bからの回転はその後、ディファレンシャルギヤ装置8を経て後輪3RL,3RRに至り、車両をエンジン1およびモータ/ジェネレータ6の双方によってハイブリッド走行(HEV走行)させることができる。
【0032】
かかるHEV走行中において、エンジン1を最適燃費で運転させるとエネルギーが余剰となる場合、この余剰エネルギーによりモータ/ジェネレータ6を発電機として作動させることで余剰エネルギーを電力に変換し、この発電電力をモータ/ジェネレータ6のモータ駆動に用いるよう蓄電しておくことでエンジン1の燃費を向上させることができる。
【0033】
以下、上記したハイブリッド車両のパワートレーンを成すエンジン1、モータ/ジェネレータ6、第1クラッチ7(CL1)、および第2クラッチ9(CL2)の制御システムを、図1に基づき概略説明する。
この制御システムは、パワートレーンの動作点を統合制御するハイブリッドコントローラ11を具え、該パワートレーンの動作点を、目標エンジントルクtTeと、目標モータ/ジェネレータトルクtTmと、第1クラッチ7の目標締結容量tTc1(第1クラッチ締結圧指令値tPc1)と、第2クラッチ9の目標締結容量tTc2(第2クラッチ締結圧指令値tPc2)とで規定する。
【0034】
ハイブリッドコントローラ11は更に、本発明が狙いとする後述のエンジン停止制御用に目標モータ/ジェネレータ回転数tNmと、目標モータ/ジェネレータ回転角tαと、目標切り替え信号とを生成する。
【0035】
ハイブリッドコントローラ11には、上記パワートレーンの動作点を決定するため、およびエンジン停止制御信号を生成するために、
エンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ12からの信号と、
モータ/ジェネレータ回転数Nmを検出するモータ/ジェネレータ回転センサ13からの信号と、
変速機入力回転数Niを検出する入力回転センサ14からの信号と、
変速機出力回転数No(車速VSP)を検出する出力回転センサ15からの信号と、
アクセルペダル踏み込み量(アクセル開度APO)を検出するアクセル開度センサ16からの信号と、
モータ/ジェネレータ6用の電力を蓄電しておくバッテリ31の蓄電状態SOCを検出する蓄電状態センサ17からの信号と、
モータ/ジェネレータ6の回転角αを検出するモータ/ジェネレータ回転角センサ18からの信号とを入力する。
【0036】
ハイブリッドコントローラ11は、上記入力情報のうちアクセル開度APO、バッテリ蓄電状態SOC、および変速機出力回転数No(車速VSP)から、運転者が希望している車両の駆動力を実現可能な運転モード(EVモード、HEVモード)を選択すると共に、目標エンジントルクtTe、目標モータ/ジェネレータトルクtTm、第1クラッチ目標締結容量tTc1、および第2クラッチ目標締結容量tTc2をそれぞれ演算する。
【0037】
目標エンジントルクtTeはエンジンコントローラ32に供給され、このエンジンコントローラ32は、センサ12で検出したエンジン回転数Neと目標エンジントルクtTeとから、エンジン回転数Neのもとで目標エンジントルクtTeを実現するためのスロットル開度制御や燃料噴射量制御などにより、エンジントルクが目標エンジントルクtTeとなるようエンジン1を制御する。
【0038】
目標モータ/ジェネレータトルクtTmはモータコントローラ33に供給され、このモータコントローラ33は、バッテリ31の電力をインバータ34により直流−交流変換して、またインバータ34による制御下でモータ/ジェネレータ6のステータ6aに供給し、モータ/ジェネレータトルクが目標モータ/ジェネレータトルクtTmに一致するようモータ/ジェネレータを制御する。
【0039】
なお目標モータ/ジェネレータトルクtTmが、モータ/ジェネレータ6に回生制動作用を要求するようなものである場合、モータコントローラ33はインバータ34を介し、センサ17で検出したバッテリ蓄電状態SOCとの関連においてバッテリ31が過充電とならないような発電負荷をモータ/ジェネレータ6に与え、
モータ/ジェネレータ6が回生制動により発電した電力を交流−直流変換してバッテリ31に蓄電する。
【0040】
第1クラッチ目標締結容量tTc1は第1クラッチコントローラ36に供給され、この第1クラッチコントローラ36は、第1クラッチ目標締結容量tTc1に対応した第1クラッチ締結圧指令値tPc1と、センサ19で検出した第1クラッチ7の締結圧Pc1との対比により、第1クラッチ7の締結圧Pc1が第1クラッチ締結圧指令値tPc1となるよう第1クラッチ締結圧制御ユニット37を介し第1クラッチ7の締結圧を制御して第1クラッチ7の締結容量制御を行う。
【0041】
第2クラッチ目標締結容量tTc2は変速機コントローラ38に供給され、
この変速機コントローラ38は、第2クラッチ目標締結容量tTc2に対応した第2クラッチ締結圧指令値tPc2と、センサ20で検出した第2クラッチ9の締結圧Pc2との対比により、第2クラッチ9の締結圧Pc2が第2クラッチ締結圧指令値tPc2となるよう第2クラッチ締結圧制御ユニット39を介し第2クラッチ9の締結圧を制御して第2クラッチ9の締結容量制御を行う。
【0042】
なお変速機コントローラ38は、センサ15で検出した変速機出力回転数No(車速VSP)およびセンサ16で検出したアクセル開度APOから予定の変速マップをもとに、現在の運転状態に好適な変速段を求め、現在の変速段からこの好適変速段への自動変速をも行うもので、
当該好適変速段を選択する変速摩擦要素の1つを上記の第2クラッチ9として、上記の締結容量制御を行うものとする。
【0043】
<エンジン停止制御>
以上は、図1の制御システムが実行する通常制御の概要であるが、
本実施例においては図1におけるハイブリッドコントローラ11が、図2,3に示す参考例1,2のエンジン停止制御プログラムに代え、図4の制御プログラムを実行することにより、本発明が狙いとするエンジン停止制御を後述のごとくに遂行するものとする。
【0044】
先ず、図2に示す参考例1のエンジン停止制御と、その問題点を説明する。
図2のエンジン停止制御は、前記した特許文献2に記載のエンジン停止制御に相当するもので、
先ずステップS11において、エンジン停止許可判定を行い、この判定に際しては、例えば図5に示すようなアクセル開度APOの0近辺への低下により、エンジン停止を許可する条件が揃ったか否かをチェックして、当該判定を行う。
ステップS12においては、ステップS11での判定結果から、エンジンの停止が許可されたか否かをチェックする。
【0045】
ステップS12でエンジンの停止が許可されたと判定する図5の瞬時t1までの間は、制御をステップS11に戻して、ここでの上記判定を繰り返して、エンジン停止許可条件が揃うまで待機する。
【0046】
ステップS12でエンジンの停止が許可されたと判定する図5の瞬時t1に、ステップS13で第1クラッチ7(CL1)の解放を指令し、ステップS14で第1クラッチ7(CL1)の解放が完了したと判定する図5の瞬時t2までの間は、ステップS13を繰り返し実行することにより、第1クラッチ7(CL1)の解放を進行させて、図5の瞬時t2に第1クラッチ7(CL1)の解放を完了させる。
【0047】
第1クラッチ7(CL1)の解放が完了する図5の瞬時t2にステップS14は制御をステップS15に進め、ここでエンジン1を、燃料カット(図1の目標エンジントルクtTe=0)により停止操作する。
この操作によりエンジン1は、その回転数Neを図5に示すごとくに低下され、ステップS16でエンジン回転数Neがエンジン停止判定値未満になったと判定する図5の瞬時t3に、制御をステップS17に進め、ここでエンジン1の停止判定を行って、エンジン停止制御を終了する。
【0048】
図2につき上述した参考例1のエンジン停止制御では、図5にも示したが、第2クラッチ9(CL2)を締結したまま第1クラッチ7(CL1)を瞬時t2に解放し(ステップS13およびステップS14)、この状態でエンジン1の停止操作(ステップS15)を行うというものである。
【0049】
しかし、図2,5に示す当該エンジン停止制御では、第1クラッチ7(CL1)の解放状態でエンジン1の停止操作(ステップS15)を行うため、エンジン1が自己のフリクションにより図5のごとく回転数Neを落として、瞬時t3に停止することとなり、
エンジン停止時のクランク角が成り行きによって決まるため、特定のクランク角でエンジンを停止させることができない。
【0050】
ところで、モータ/ジェネレータ6のみでは動力不足になるアクセルペダル踏み込み時とか、バッテリ31を蓄電状態SOCの低下で充電する必要が生じた場合に、エンジン1を再始動させる時におけるエンジン始動の容易さ(エンジン始動性)は、エンジン停止時のクランク角(エンジン停止クランク角)によって大いに異なる。
【0051】
このため、図2,5に示すエンジン停止制御のように、エンジン停止クランク角が成り行きによって決まるのでは、
エンジン始動性の良い特定のクランク角でエンジン1を停止させ得るという保証がなく、エンジン1の始動性が安定しないという問題を生ずる。
【0052】
なお前記した通り、特許文献3に記載のごとく従来より、エンジンに直結した発電機の制動力を用いて、エンジン停止クランク角をエンジン始動が容易なクランク角となるよう制御する技術が提案済みであり、
この技術を図2,5のエンジン停止技術に適用して図1のハイブリッド車両に用いる場合、エンジン停止制御は図3,6に参考例2として示すようなものとなる。
【0053】
以下、図3,6に示す参考例2のエンジン停止制御と、その問題点を説明する。
先ずステップS21において、エンジン停止許可判定を行い、この判定に際しては、例えば図6に示すようなアクセル開度APOの0近辺への低下により、エンジン停止を許可する条件が揃ったか否かをチェックして、当該判定を行う。
ステップS22においては、ステップS21での判定結果から、エンジンの停止が許可されたか否かをチェックする。
【0054】
ステップS22でエンジンの停止が許可されたと判定する図6の瞬時t1までの間は、制御をステップS21に戻して、ここでの上記判定を繰り返して、エンジン停止許可条件が揃うまで待機する。
【0055】
ステップS22でエンジンの停止が許可されたと判定する図6の瞬時t1に、制御をステップS23に進めて第2クラッチ9(CL2)の解放を指令し、ステップS24で第2クラッチ9(CL2)の解放が完了したと判定する図6の瞬時t2までの間は、ステップS23を繰り返し実行することにより、第2クラッチ9(CL2)の解放を進行させて、図6の瞬時t2に第2クラッチ9(CL2)の解放を完了させる。
【0056】
第2クラッチ9(CL2)の解放が完了する図6の瞬時t2にステップS24は制御をステップS25に進め、ここでエンジン1を、燃料カット(図1の目標エンジントルクtTe=0)により停止操作する。
この操作によりエンジン1は、その回転数Neを図6に示すごとくに低下されるが、この時におけるエンジン回転の低下を、ステップS26でのモータ回転数制御により所定の時間変化割合(速度)で行わせる。
【0057】
つまりステップS26においては、エンジン停止クランク角(モータ/ジェネレータ回転角α)をエンジン始動性に優れたクランク角(目標モータ/ジェネレータ回転角tα)となすのに必要なエンジン回転数Neの目標とすべき低下速度を実現するためのモータ/ジェネレータ6の目標MG回転数tNmを求め、モータ/ジェネレータ6の回転数Nmがこの目標MG回転数tNmに追従するようモータ/ジェネレータ6を回転数制御する。
【0058】
以上の回転数制御によるエンジン回転数Neの低下で、エンジン回転数Neがエンジン停止判定値未満になったか否かをステップS27においてチェックする。
ステップS27でエンジン回転数Neがエンジン停止判定値未満になったと判定する図6の瞬時t3に、制御をステップS28に進め、このステップS28でエンジン1の停止判定を行う。
【0059】
ステップS28でのエンジン停止判定時(t3)に、ステップS29で第1クラッチ7(CL1)の解放を指令し、ステップS31で第1クラッチ7(CL1)の解放が完了したと判定するまでの間は、ステップS29を繰り返し実行することにより、第1クラッチ7(CL1)の解放を進行させて、図6に示すごとく第1クラッチ7(CL1)の解放を完了させる。
【0060】
第1クラッチ7(CL1)の解放が完了する時、ステップS31は制御をステップS32に進め、ここでモータ/ジェネレータ6の回転数Nmを図6のごとく、所定の時間変化割合(速度)で変速機入力回転数Niまで上昇させるための回転数制御を行う。
この制御によりモータ/ジェネレータ6の回転数Nmが図6のごとく変速機入力回転数Niに接近し、両者の差回転(Ni−Nm)が設定値未満になったか否かをステップS33でチェックする。
【0061】
ステップS33で差回転(Ni−Nm)が設定値未満(Nm≒Ni)になったと判定する図6の瞬時t4に、ステップS33は制御をステップS34に進め、このステップS34で第2クラッチ9(CL2)の締結を指令し、ステップS35で第2クラッチ9(CL2)の締結が完了したと判定するまでの間は、ステップS34を繰り返し実行することにより、第2クラッチ9(CL2)の締結を進行させ、第2クラッチ9(CL2)の締結完了をもってエンジン停止制御を終了する。
【0062】
しかし、図3,6に示す当該エンジン停止制御では、エンジン1の停止に際し図6に示すごとく、第1クラッチ7(CL1)を締結したまま第2クラッチ9(CL2)を解放し、エンジン停止までモータ/ジェネレータ6の回転数Nmをエンジン回転数Neと同じになるよう制御することとなる。
【0063】
このことは、第2クラッチ9(CL2)の解放によりモータ/ジェネレータ6が駆動車輪3RL,3RRから切り離された状態でエンジン停止クランク角制御(ステップS26およびステップS27)が行われることを意味し、
その結果エンジン停止クランク角制御中、モータ/ジェネレータ6による回生制動が行われ得ず、エネルギー回収効率が悪化するという問題を生ずる。
【0064】
本実施例においては、モータ/ジェネレータ6と駆動車輪3RL,3RRとの間を切り離さない状態でエンジン停止クランク角制御を行うようにすることにより、上記エネルギー回収効率の悪化に関する問題を生ずることなく、所定のエンジン停止クランク角制御を行い得るようにすることを主旨とする。
【0065】
そのため本実施例においては、図2,3に示す参考例の制御プログラムに代えて、図4に示す制御プログラムを実行することにより、図7に示すごとくにエンジン停止制御を行うこととする。
【0066】
図4のステップS41においては、エンジン停止許可判定を行い、この判定に際しては、例えば図7に示すようなアクセル開度APOの0近辺への低下により、エンジン停止を許可する条件が揃ったか否かをチェックして、当該判定を行う。
ステップS42においては、ステップS41での判定結果から、エンジンの停止が許可されたか否かをチェックする。
【0067】
ステップS42でエンジンの停止が許可されたと判定する図7の瞬時t1までの間は、制御をステップS41に戻して、ここでの上記判定を繰り返して、エンジン停止許可条件が揃うまで待機する。
【0068】
ステップS42でエンジンの停止が許可されたと判定する図6の瞬時t1に、制御をステップS43に進めて、第2クラッチ9(CL2)の目標トルク容量tTc2を、第2クラッチ9(CL2)がスリップ締結状態となるのに必要な所定値まで低下させる。
ここで言う、第2クラッチ9(CL2)がスリップ締結状態となるのに必要な目標トルク容量tTc2の所定値は、目標回生制動トルクに相当するトルク容量である。
次のステップS44においては、目標モータトルクtTmを減少させて第2クラッチ9(CL2)がスリップ状態になるのを促す。
【0069】
ステップS45においては、第2クラッチ9(CL2)がスリップするようになったか否かをチェックし、スリップ締結状態になっていなければ制御をステップS44に戻して、目標モータトルクtTmを更に減少させる。
これにより第2クラッチ9(CL2)がスリップ締結状態になったことがステップS45で判定される図7の瞬時t2に、制御をステップS46に進めて、エンジン1を、燃料カット(図1の目標エンジントルクtTe=0)により停止操作する。
【0070】
この操作によりエンジン1は、その回転数Neを図7に示すごとくに低下されるが、この時におけるエンジン回転の低下を、ステップS47でのモータ回転数制御により所定の時間変化割合(速度)で行わせる。
つまりステップS47においては、エンジン回転数Neを上記所定の時間変化割合(速度)で低下させるのに必要なモータ/ジェネレータ6の目標MG回転数tNmを求め、モータ/ジェネレータ6の回転数Nmがこの目標MG回転数tNmに追従するよう、両者間の偏差に応じモータ/ジェネレータ6を回転数フィードバック制御する。
【0071】
ステップS47では更に、エンジン回転数Neが微小設定値未満になった時から、モータ/ジェネレータ6の制御態様を上記の回転数フィードバック制御から回転角フィードバック制御に切り替える。
この回転角フィードバック制御に当たっては、エンジン停止クランク角をエンジン始動性に優れたクランク角となすのに必要な目標モータ/ジェネレータ回転角tαを求め、モータ/ジェネレータ回転角αがこの目標モータ/ジェネレータ回転角tαに一致するよう、これら両者間の偏差に応じモータ/ジェネレータ6を回転角フィードバック制御する。
【0072】
上記したモータ/ジェネレータ6の回転数フィードバック制御によるエンジン回転数Neの低下で、エンジン回転数Neがエンジン停止判定値未満になったか否かをステップS48においてチェックする。
ステップS48でエンジン回転数Neがエンジン停止判定値未満になったと判定する図7の瞬時t3に、制御をステップS49に進め、このステップS49でエンジン1の停止判定を行う。
【0073】
ステップS49でのエンジン停止判定時(t3)に、ステップS51で第1クラッチ7(CL1)の解放を指令し、ステップS52で第1クラッチ7(CL1)の解放が完了したと判定するまでの間は、ステップS51を繰り返し実行することにより、第1クラッチ7(CL1)の解放を進行させて、図7に示すごとく第1クラッチ7(CL1)の解放を完了させる。
【0074】
第1クラッチ7(CL1)の解放が完了する時、ステップS52は制御をステップS53に進め、ここでモータ/ジェネレータ6の回転数Nmを図7のごとく、所定の時間変化割合(速度)で変速機入力回転数Niまで上昇させるべく目標モータ回転数tNmを上昇させて、これに基づくモータ/ジェネレータ6の回転数制御を行う。
この制御によりモータ/ジェネレータ6の回転数Nmが図7のごとく変速機入力回転数Niに接近し、両者の差回転(Ni−Nm)が設定値未満になったか否かをステップS54でチェックする。
【0075】
ステップS54で差回転(Ni−Nm)が設定値未満(Nm≒Ni)になったと判定する前は、制御をステップS53に戻して、モータ/ジェネレータ6の回転上昇制御を継続する。
ステップS54で差回転(Ni−Nm)が設定値未満(Nm≒Ni)になったと判定する図7の瞬時t4以降は、ステップS54がステップS55を選択して制御をステップS53に戻さなくなるため、モータ/ジェネレータ6は図7に示すごとく回転数制御から通常のトルク制御に切り替わる。
【0076】
ステップS54で差回転(Ni−Nm)が設定値未満(Nm≒Ni)になったと判定する図7の瞬時t4に上述したごとくに選択されるステップS55では第2クラッチ9(CL2)の目標トルク容量tTc2を増加させる。
かくして、ステップS43〜ステップS45でスリップ締結状態にされていた第2クラッチ9(CL2)は、元の完全締結状態へと向かうこととなる。
【0077】
ステップS56においては、第2クラッチ9(CL2)が締結完了により完全締結状態になったか否かをチェックし、第2クラッチ9(CL2)が完全締結状態になる図7の瞬時t5よりも前では、制御をステップS55へ戻すことにより第2クラッチ9(CL2)の締結を更に進行させる。
この締結進行により第2クラッチ9(CL2)が完全締結状態になる図7の瞬時t5以降は、ステップS56が制御をステップS55へ戻すことなく、図4の制御ループから外れることにより、図4のエンジン停止制御を終了する。
【0078】
<実施例の効果>
図4,7につき上述した本実施例のエンジン停止制御によれば、
図4のステップS47で、図7の瞬時t2〜t3間におけるようにエンジン1を停止させるに際し、
エンジン停止クランク角をエンジン始動性に優れたクランク角となすのに必要な目標モータ/ジェネレータ回転角tαを求め、
第1クラッチ7(CL1)の締結状態保持と、第2クラッチ9(CL2)のスリップ締結状態(図4のステップS43〜ステップS45)とで、モータ/ジェネレータ6を、その回転角αが上記の目標モータ/ジェネレータ回転角tαに一致するよう回転角フィードバック制御するため、
エンジン1の停止時におけるクランク角を確実に、エンジン始動性に優れたクランク角となすことができ、エンジン1の再始動を容易に行わせ得て、図2,5につき前述した参考例1の問題、つまりエンジン始動性が安定しないという問題を解消することができる。
【0079】
また本実施例では、上記のエンジン停止制御(エンジン停止クランク角制御)中に第2クラッチ9(CL2)をスリップ締結状態にしておくため、
モータ/ジェネレータ6と駆動車輪3RL,3RRとの間を切り離さない状態で上記のエンジン停止制御(エンジン停止クランク角制御)を行うこととなり、このエンジン停止制御(エンジン停止クランク角制御)中も、モータ/ジェネレータ6による回生制動を行い得て、図3,6につき前述した参考例2の問題、つまりエネルギー回収効率の悪化に関する問題をも解消することができる。
【0080】
更に本実施例では、第2クラッチ9(CL2)を上記のスリップ締結状態にするに際し、その締結トルク容量tTc2をステップS43につき前述した通り、走行状態に応じた目標回生制動トルクに相当する締結トルク容量とすることにより所期の目的が達成されるようにしたため、
第2クラッチ9(CL2)が、目標回生制動トルクに対し過不足のないスリップ締結状態にされ、回生制動トルクを目標通りのものにすることができて上記の効果を更に顕著なものにし得る。
【0081】
また、図7の瞬時t2〜t3間におけるエンジン1の回転数低下制御(ステップS47でのエンジン停止制御)に際し、エンジン回転数Neを所定の時間変化割合で0となす回転数フィードバック制御により、当該エンジンの停止制御を遂行するようにしたため、エンジン1の停止にかかるエンジン停止時間を管理して、その短縮を図ることができる。
【0082】
<他の実施例>
なお上記した実施例では、ハイブリッド車両が図1に示すように、左右後輪3RL,3RRを駆動するフロントエンジン・リヤホイールドライブ車である場合について説明したが、
本発明の上記したエンジン停止技術は、ハイブリッド車両が左右前輪2FL,2FRを駆動するフロントエンジン・フロントホイールドライブ車にも適用可能であり、この適用により上記の作用効果を同様に奏し得ること勿論である。
【符号の説明】
【0083】
1 エンジン
2FL,2FR 左右前輪
3RL,3RR 左右後輪(駆動車輪)
4 自動変速機
6 モータ/ジェネレータ
7 第1クラッチ
9 第2クラッチ
11 ハイブリッドコントローラ
12 エンジン回転センサ
13 モータ/ジェネレータ回転センサ
14 変速機入力回転センサ
15 変速機出力回転センサ
16 アクセル開度センサ
17 蓄電状態センサ
18 モータ/ジェネレータ回転角センサ
31 バッテリ
32 エンジンコントローラ
33 モータコントローラ
34 インバータ
36 第1クラッチコントローラ
37 第1クラッチ締結圧制御ユニット
38 変速機コントローラ
39 第2クラッチ締結圧制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン、第1クラッチ、モータ/ジェネレータ、第2クラッチおよび駆動車輪を伝動経路の配列順とし、前記第1クラッチおよび第2クラッチの締結・解放制御により、前記エンジンおよびモータ/ジェネレータのうち、モータ/ジェネレータのみによる電気走行を行うか、エンジンおよびモータ/ジェネレータの双方によるハイブリッド走行を行うかを選択可能なハイブリッド車両において、
前記エンジンの停止に際し、前記第1クラッチの完全締結状態と、前記第2クラッチのスリップ締結状態とで、前記モータ/ジェネレータにより前記エンジンの停止位置を制御するよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両のエンジン停止制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載された、ハイブリッド車両のエンジン停止制御装置において、
前記第2クラッチのスリップ締結状態は、該第2クラッチが、車両の走行状態に応じた目標回生制動トルクに相当する締結トルク容量を持つスリップ締結状態であることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン停止制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載された、ハイブリッド車両のエンジン停止制御装置において、
前記モータ/ジェネレータは、前記エンジンの回転速度を所定の時間変化割合で0となす回転速度フィードバック制御により前記エンジンの停止を遂行するものであることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン停止制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載された、ハイブリッド車両のエンジン停止制御装置において、
前記モータ/ジェネレータは、前記エンジンの回転速度が微小設定値未満になったとき、前記回転速度フィードバック制御から回転角フィードバック制御に制御態様を切り替えることにより、前記エンジンの停止位置制御を遂行するものであることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン停止制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載された、ハイブリッド車両のエンジン停止制御装置において、
前記エンジンの停止位置が、該エンジンを容易に再始動可能な位置であることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン停止制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−245913(P2012−245913A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120179(P2011−120179)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】