説明

ハイブリッド電気自動車用表示装置

【課題】電動機による蓄電池からの電力消費の情報と、電動機による蓄電池への充電の情報と、蓄電池の蓄電状態の情報と、エンジンの作動状態の情報とを、関連づけて認識させることが可能なハイブリッド電気自動車用表示装置を提供する。
【解決手段】ハイブリッド電気自動車用表示装置10は、電力により駆動力を発生する電動機2と内燃機関により駆動力を発生するエンジン4とを併用して走行するハイブリッド電気自動車1に用いられる。ハイブリッド電気自動車用表示装置10は、電動機2の作動状態を蓄電池3からの電力により駆動力を発生させる電力消費状態と蓄電池3へ充電させる充電状態とに区別して表示する第1表示器20と、蓄電池3の蓄電状態を表示する第2表示器30と、エンジン4の作動状態を表示する第3表示器40とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド電気自動車に用いられるハイブリッド電気自動車用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電力により駆動力を発生する電動機と内燃機関により駆動力を発生するエンジンとを併用して走行するハイブリッド電気自動車(ハイブリッド車両)が実用化されている。
【0003】
ハイブリッド車両では、発進時に電動機を使用し、加速時にエンジンと電動機を併用し、一定走行時にエンジンで走りながら、余剰の動力を電動機を作動させて充電する。そして、減速時に電動機により回生発電で充電を行う。このように、エンジンの苦手な走行条件で巧みに電動機を使い、エンジンを働かせているときにこれを効率よく運転して余剰の駆動力を充電に回す。
【0004】
この結果、ハイブリッド車両の走行は、エンジンのみによって走行する自動車の走行と比較して複雑に制御されるため、この複雑な走行状態を運転者へ効果的に認識させることが可能な表示装置が必要となっている。
【0005】
例えば、ハイブリッド車両用の表示装置として、車速を横軸に表示し、電動機を作動させるための蓄電池からの蓄電池出力とエンジンからのエンジン出力とを縦軸に表示することによって、これらを2次元的に表示させる表示装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【0006】
縦軸において蓄電池池出力とエンジン出力とを互いに異なる色彩で表示することによって、蓄電池出力とエンジン出力の比率を運転者に認識させるものである。エンジン出力の表示によりエンジンの作動状態を認識させることができ、蓄電池出力の表示により間接的に電動機の作動状態を認識させることができる。
【0007】
この表示装置は、ハイブリッド車両の走行状態を、蓄電池出力とエンジン出力の比率および車速として2次元的な視覚により認識させようとするものである。
【0008】
また、電動機を回生発電による充電状態と駆動力を発生させる電力消費状態(放電状態)とに区別して表示する充電/放電表示部と、蓄電池の蓄電量を表示する蓄電池表示部と、燃料の残量を表示する燃料表示部とを1個の計器として備えた表示装置が開示されている(特許文献2を参照)。
【0009】
この表示装置は、ハイブリッド車両の走行状態を、充電状態と放電状態とに区別して表示された電動機の作動状態と蓄電池の蓄電量として認識させようとするものである。
【特許文献1】特開2005−35413号公報
【特許文献2】特開2001−27321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
運転者は、ハイブリッド車両に対してエコ感(エコノミー・エコロジー感)を期待する。このエコ感は、燃料消費の低減等による省エネルギー感と低コスト感、及び、大気汚染が少ないことや騒音が小さいこと等によるクリーン感とから構成されている。このエコ感は、エンジン出力を減少させることによって、即ち、電動機からの出力を増加させることによって、即ち、蓄電池からの電力消費を増加させることによって得られ、その結果、納得感が得られる。
【0011】
しかし、蓄電池からの電力消費を増加させれば蓄電池の蓄電量が減少するため、運転者は、蓄電池の蓄電量に対して不安を感じる。
【0012】
蓄電量に対して不安を感じる場合において、運転者は、エコ感を犠牲にしてもエンジン出力を増加させて蓄電池からの電力消費を減少させることを望む。これにより、蓄電池の蓄電量を減少させないようにすることができ、エコ感を犠牲にしたことに対して納得感を得ることができる。
【0013】
さらには、電動機によって蓄電池に充電できれば、運転者は、さらに安心感を得ることができると共に、さらに納得感を得ることができる。
【0014】
即ち、運転者は、安心感が得られない状況下では、エコ感を犠牲にしても安心感を得ることを望み、この状況下で安心感が得られれば納得感を得ることができる。一方、運転者は、安心感が得られている状況下では、エコ感を得ることを望み、この状況下でエコ感が得られれば納得感を得ることができる。
【0015】
換言すると、ハイブリッド車両では、エコ感と安心感とのバランスにおいて納得感が得られている走行状態か否かを、運転者に認識させることが必要である。
【0016】
電動機による蓄電池からの電力消費の情報によってエコ感が得られている走行状態か否かを認識させることができ、蓄電池の蓄電状態の情報とエンジンの作動状態の情報と電動機による蓄電池への充電の情報とによって安心感が得られている走行状態か否かを認識させることができ、これらの全ての情報によって納得感が得られている走行状態か否かを認識させることができる。運転者は、これらの情報を関連づけて認識することによって、エコ感と安心感とのバランスにおいて納得感が得られている走行状態か否かを認識することができる。
【0017】
このため、ハイブリッド車両用の表示装置は、これらの情報を、運転者に対して、個別に認識させるのではなくて、関連づけて認識させる必要がある。
【0018】
しかし、特許文献1では、蓄電池の蓄電状態を運転者に認識させることができない。このため、エコ感が得られている走行状態であることを認識できても、蓄電状態に不安を感じ、安心感が得られている走行状態か否かを認識させることができない。
【0019】
一方、特許文献2では、エンジンの作動状態の情報を運転者に認識させることができない。このため、蓄電池表示部の表示によって蓄電量が少ない状況であることを認識した場合に、蓄電量を増加するためにエンジン出力を増加させているのか否かを認識させることができない。この結果、蓄電量が少ない状況であることを認識した場合に、安心感が得られている走行状態か否かを認識させることができない。
【0020】
また、特許文献1と特許文献2に開示されている表示装置の両方を単純に個別に並べれたのみでは、これらの情報を関連づけて認識させることが困難であり、このため、安心感が得られている走行状態か否かを認識させることが困難である。
【0021】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、電動機による蓄電池からの電力消費の情報と、電動機による蓄電池への充電の情報と、蓄電池の蓄電状態の情報と、エンジンの作動状態の情報とを、関連づけて認識させることが可能なハイブリッド電気自動車用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
【0023】
請求項1に記載のハイブリッド電気自動車用表示装置は、電力により駆動力を発生する電動機と内燃機関により駆動力を発生するエンジンとを併用して走行するハイブリッド電気自動車に用いられるハイブリッド電気自動車用表示装置であって、電動機の作動状態を蓄電池からの電力により駆動力を発生させる電力消費状態と蓄電池へ充電させる充電状態とに区別して表示する第1表示器と、蓄電池の蓄電状態を表示する第2表示器と、エンジンの作動状態を表示する第3表示器とを備えることを特徴とする。
【0024】
これにより、電動機による蓄電池からの電力消費の情報と、電動機による蓄電池への充電の情報と、蓄電池の蓄電状態の情報と、エンジンの作動状態の情報とを、関連づけて認識させることが可能なハイブリッド電気自動車用表示装置を提供することができる。
【0025】
請求項2に記載のハイブリッド電気自動車用表示装置は、第1表示器が、電動機の作動状態を電動機の回転数として表示するように構成されていることを特徴とする。
【0026】
この構成では、電動機の作動状態を電動機の回転数として表示するため、電動機の作動状態をより正確に認識させることができる。
【0027】
請求項3に記載のハイブリッド電気自動車用表示装置は、第2表示器が、蓄電池の蓄電状態を蓄電池の蓄電量として表示するように構成されていることを特徴とする。
【0028】
この構成では、第2表示器が、蓄電池の蓄電状態を蓄電池の蓄電量として表示するため、蓄電状態をより正確に認識させることができる。
【0029】
請求項4に記載のハイブリッド電気自動車用表示装置は、第3表示器が、エンジンの作動状態をエンジンの回転数として表示するように構成されていることを特徴とする。
【0030】
この構成では、第3表示器が、エンジンの作動状態をエンジンの回転数として表示するため、エンジンの作動状態をより正確に認識させることができる。
【0031】
請求項5に記載のハイブリッド電気自動車用表示装置は、第1表示器と第2表示器と第3表示器とを、1個の表示器として構成していることを特徴とする。
【0032】
この構成では、第1表示器と第2表示器と第3表示器とを、1個の表示器として構成している。これにより、電動機による蓄電池からの電力消費の情報と、電動機による蓄電池への充電の情報と、蓄電池の蓄電状態の情報と、エンジンの作動状態の情報とを、より関連づけて認識させることが可能なハイブリッド電気自動車用表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明によるハイブリッド電気自動車用表示装置を、図面に基づいて説明する。
【0034】
(構成)
図1は、本発明の一実施形態によるハイブリッド電気自動車用表示装置が搭載されるハイブリッド電気自動車であるハイブリッド車両1の主要なシステム構成を示すブロック図である。
【0035】
図2は、図1に示すハイブリッド車両1に搭載されるハイブリッド電気自動車用表示装置であるコンビネーションメータ10の正面図である。
【0036】
図3は、図2中のIII−III線断面図である。
【0037】
図4は、図2に示すコンビネーションメータ10の電気回路構成を説明する回路構成図である。
【0038】
ハイブリッド電気自動車であるハイブリッド車両1は、図1に示す主要なシステム構成を備える。ハイブリッド車両1の発進時に、電動機である電動モータ2が、蓄電池である高電圧バッテリ3からの電力により作動し、トランスミッション7を介して駆動輪8を駆動する。インバータ6は、高電圧バッテリ3からの直流の電力を、交流の電力に変換して電動モータ2を駆動させるものである。
【0039】
加速時に、エンジン4と電動モータ2の両方を作動させて駆動輪8を駆動する。エンジン4は、動力分割機構5とトランスミッション7を介して駆動輪8を駆動し、電動モータ2は、インバータ6を介して高電圧バッテリ3からの電力を受けてトランスミッション7を介して駆動輪8を駆動する。
【0040】
一定走行時に、エンジン4は、駆動輪8をトランスミッション7を介して駆動し、余剰の動力を動力分割機構5介して電動モータ2を駆動させて発電させる。電動モータ2が発電した交流の電力は、インバータ6によって直流の電力変換されて高電圧バッテリ3に充電される。動力分割機構5は、エンジン4が発生する駆動力を、駆動輪8を駆動する駆動力と電動モータ2を駆動する駆動力に2分割させるものである。
【0041】
減速時に、電動モータ2により回生発電で充電を行う。回生発電は、制動時に、ハイブリッド車両1の運動エネルギーを、電動モータ2により電気エネルギーに変換させる発電であり、これにより、高電圧バッテリ3に充電を行う。
【0042】
このように、ハイブリッド車両1では、エンジン4の苦手な走行条件で巧みに電動モータ2を使い、エンジン4を作動させているときに効率よく作動させて余剰の駆動力を充電に回す。
【0043】
これらの制御は、マイクロコンピュータ等から構成されたハイブリッド制御装置9(図4)によって行われる。
【0044】
ハイブリッド電気自動車用表示装置であるコンビネーションメータ10は、図2に示すように構成され、ハイブリッド車両1の運転席前方に配置されてハイブリッド車両1に関する各種情報を表示する。コンビネーションメータ10は、第1表示器であるモータ回転計20と、第2表示器であるバッテリ計30と、第3表示器であるエンジンインジケータ40とを備える。
【0045】
モータ回転計20は、電動モータ2の作動状態を、高電圧バッテリ3からの電力により駆動力を発生させる電力消費状態と高電圧バッテリ3へ充電させる充電状態とに区別して表示するものであり、文字盤21とその目視側前面(図3において上側の面)を回動する指針22を備える。
【0046】
文字盤21は、透光性を有する材料、例えば無色透明なポリカーボネート樹脂等の板材から形成され、その運転者側の目視側前面に、文字部21a、21b、21cと、目盛部21d(文字21aが「0」と「6」の間)と、後述するバッテリ計30の文字部31とバッテリ表示部32と、後述するエンジンインジケータ40の文字部41とエンジン表示部42とが、白色の透光状態になるように形成される。また、目盛部21d(文字21aが「6」と「8」の間)が、赤色の透光状態になるように形成され、目盛部21eが、青色の透光状態になるように形成される。
【0047】
これらの背景部は、黒色の不透光状態(または、黒色の透光性が低い状態)になるように形成される。これらは、印刷あるいはホットスタンプ等により形成される。
【0048】
文字盤21には、図3に示すように、後述するムーブメント23のシャフト23aを挿通させるための貫通孔25が設けられ、文字盤21の背後(図3の矢印が示す下側)には、ムーブメント23、発光ダイオード22b、24,33、43、ケース51、およびプリント基板52が配置される。プリント基板52は、コンビネーションメータ10の電気回路部を構成するものであり、ムーブメント23と発光ダイオード22b、24,33、43は、プリント基板52に実装される。
【0049】
ムーブメント23は、例えば交差コイル式アクチュエータ、あるいはステッピングモータ等から構成され、外部からの電気信号に対応した角度だけシャフト23aを回動させるものである。シャフト23aは、文字盤21の貫通孔25を通して目視側、つまり図3の矢印が示す上側へ延出し、その先端に指針22が固定される。
【0050】
ケース51は、発光ダイオード22bからの白色光を指針22へ導く照明室を形成すると共に、発光ダイオード24,33、43からの光を文字盤21へ導く照明室を形成する。なお、ケース51は、その内周面が白色に形成され、発光ダイオード22bの光がケース51の内周面で反射して指針22の方向に導かれ、また、発光ダイオード24,33、43の光がケース51の内周面で反射して文字盤21に導かれる。
【0051】
指針22は、アクリル樹脂等の透光性材料により形成されてその指針3の前面に白色層を有し、指針22内に入射した発光ダイオード22bの白色光によって、白色で発光表示されるように構成される。遮光キャップ22aは、発光ダイオード22bの白色光が直接運転者の目に入射しないようにするものであり、不透光性の黒色樹脂等から形成される。
【0052】
指針22は、電動モータ2が高電圧バッテリ3からの電力により駆動力を発生させる電力消費状態で作動している場合、目盛部21dに沿って、電動モータ2の回転数に応じて回動する。一方、指針22は、電動モータ2が高電圧バッテリ3へ充電させる充電状態で作動している場合、電力消費状態で作動している場合と反対の方向へ、目盛部21dに沿って電動モータ2の回転数に応じて回動する。
【0053】
バッテリ計30は、高電圧バッテリ3の蓄電状態を表示するものである。図3において、バッテリ表示部32の背後に配置された発光ダイオード33は、緑色光を発する発光ダイオードと黄色光を発する発光ダイオードと赤色光を発する発光ダイオードとから構成される。
【0054】
高電圧バッテリ3の蓄電状態を3段階に分け、蓄電状態が充分な段階では、緑色光を発する発光ダイオードを点燈させ、蓄電状態が不充分な段階では、赤色光を発する発光ダイオードを点燈させ、蓄電状態がこれらの中間段階では、黄色光を発する発光ダイオードを点燈させる。これにより、バッテリ表示部32を、蓄電状態が充分な段階で緑色で発光表示させ、蓄電状態が不充分な段階で赤色で発光表示させ、蓄電状態がこれらの中間段階で黄色で発光表示させる。
【0055】
エンジンインジケータ40は、エンジン4の作動状態を表示するものである。図3において、エンジン表示部32の背後に配置された発光ダイオード43は、橙色光を発する発光ダイオードである。
【0056】
発光ダイオード43を、エンジン4の作動状態で点燈させ、エンジン4の停止状態で消燈させる。これにより、エンジン表示部42を、エンジン4の作動状態で橙色で発光表示させ、エンジン4の停止状態で消燈させる。
【0057】
発光ダイオード22b、24,33、43の点燈・消燈制御とムーブメント23の駆動制御は、マイクロコンピュータ等から構成されたメータ制御装置53(図4)によって行われる。
【0058】
次に、以上説明した、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ10の電気回路構成について、図4に基づいて説明する。
【0059】
ハイブリッド制御装置9は、電動モータ2の作動状態の情報信号を電力消費状態と充電状態とに区別してメータ制御装置53に入力させることが可能なように、且つ、高電圧バッテリ3の蓄電状態の情報信号とエンジン4の作動状態の情報信号とをメータ制御装置53に入力させることが可能なように構成される。
【0060】
メータ制御装置53は、ハイブリッド制御装置9から入力したこれらの信号に基づいて、発光ダイオード22b、24,33、43の点燈・消燈制御とムーブメント23の駆動制御を行うように構成される。
【0061】
尚、高電圧バッテリ3は、電動モータ2を駆動させるハイブリッド車両専用のバッテリであり、一般車両用のバッテリ(図示しない)より高電圧のバッテリである。
【0062】
(作動)
上記構成において本実施形態のコンビネーションメータ10の作動を説明する。
【0063】
メータ制御装置53は、図4において、ハイブリッド制御装置9からの信号に基づいて、発光ダイオード22b、24,33、43の点燈・消燈制御とムーブメント23の駆動制御を行う。
【0064】
コンビネーションメータ10の作動を、当該ハイブリッド車両1の走行状態に分けて説明する。
【0065】
(1)発進前
メータ制御装置53は、ハイブリッド制御装置9から電動モータ2とエンジン4が停止状態の情報信号と高電圧バッテリ3の蓄電状態の情報信号を受け取り、発光ダイオード22b、24,33の点燈させ、発光ダイオード43を消燈させ、指針22が図2において文字21aの「0」を指し示すようにムーブメント23を制御する。但し、ハイブリッド制御装置9からの情報信号に基づいて、発光ダイオード33の内、緑色と黄色と赤色のいずれかの光を発する発光ダイオードを点燈し、他の色を発光する発光ダイオードを消燈する。
【0066】
点燈した発光ダイオード22bの白色光は、図3において、ケース51に導かれて指針22内に導入され、指針22を白色で発光表示させる。
【0067】
また、点燈した発光ダイオード24の白色光は、ケース51に導かれて文字部21a、21b、21c、31,41と目盛部21d、21eとを透過照明する。これにより、文字部21a、21b、21c、31,41と目盛部21d(文字21aが「0」と「6」の間)を白色で発光表示させ、目盛部21d(文字21aが「0」と「6」の間)を赤色で発光表示させ、目盛部21eを青色で発光表示させる。
【0068】
蓄電状態が充分な状態の場合、緑色光を発する発光ダイオードを点燈させ、バッテリ表示部32を緑色で発光表示させる。
【0069】
以上により、当該ハイブリッド車両1が発進する前では、図2において、黒色を背景として、文字部21a、21b、21c、31,41と目盛部21d(文字21aが「0」と「6」の間)を白色で発光表示させ、目盛部21d(文字21aが「0」と「6」の間)を赤色で発光表示させ、目盛部21eを青色で発光表示させる。
【0070】
白色で発光表示する指針が文字21aの「0」を指し示すため、運転者に電動モータ2が停止中であることを認識させることができ、バッテリ計30のバッテリ表示部32が緑色で発光表示するため、高電圧バッテリ3の蓄電状態が充分な状態であることを運転者に認識させることができる。また、エンジンインジケータ40のエンジン表示部42が発光表示していないため、運転者にエンジン4が停止中であることを認識させることができる。
【0071】
(2)発進時
メータ制御装置53は、ハイブリッド制御装置9から、電動モータ2が電力消費状態で駆動している情報の信号を受け取り、これに基づいてムーブメント23を駆動する。即ち、図2において、指針22を、目盛部21dに沿って、電動モータ2の回転数に応じて回動させる。
【0072】
この時、運転者は、バッテリ計30により高電圧バッテリ3の蓄電状態が充分な状態であることを認識しているため、安心感を得ている状況である。運転者は、この安心感をバッテリ計30により認識している状況下で、モータ回転計20により電動モータ2が電力消費状態で駆動し、且つ、エンジンインジケータ40によりエンジン4が停止中であることを関連づけて同時に認識する。このため、安心感が得られている状況下で、エコ感を得ることができて、納得感を得ることができる。
【0073】
(3)加速時
メータ制御装置53は、ハイブリッド制御装置9から、電動モータ2が電力消費状態で駆動している情報の信号とエンジン4が作動している情報の信号とを受け取り、これに基づいてムーブメント23を駆動し、且つ、橙色光を発する発光ダイオード43を点燈する。即ち、図2において、指針22を、目盛部21dに沿って、電動モータ2の回転数に応じて回動させ、エンジンインジケータ40のエンジン表示部42を、橙色で発光表示させる。
【0074】
この時、運転者は、モータ回転計20により電動モータ2が電力消費状態で駆動し、且つ、エンジンインジケータ40によりエンジン4が作動中であることを関連づけて同時に認識できる。このため、運転者は、電動モータ2とエンジン4の両者の作動によってより加速感を得ることができると認識して、納得感を得ることができる。
【0075】
(4)一定走行時
メータ制御装置53は、ハイブリッド制御装置9から、電動モータ2が充電状態で駆動している情報の信号とエンジン4が作動している情報の信号とを受け取り、これに基づいてムーブメント23を駆動し、且つ、発光ダイオード43を点燈する。即ち、図2において、指針22を、電力消費状態で作動している場合と反対の方向へ、目盛部21eに沿って電動モータ2の回転数に応じて回動させ、エンジンインジケータ40のエンジン表示部42を、橙色で発光表示させる。
【0076】
この時、運転者は、モータ回転計20により電動モータ2が充電状態で駆動していると認識し、高電圧バッテリ3の蓄電状態を増加させている状態であると認識する。特に、蓄電状態が充分でない状態の場合、即ち、バッテリ表示部32が黄色で発光表示している場合、指針22が、目盛部21eに沿って電動モータ2の回転数をより大きい方向へ回動すれば、運転者は、より安心感を得ることができる。但し、この場合、エンジン4の作動が増加するため、エコ感は犠牲にされる。
【0077】
反対に、バッテリ表示部32が緑色で発光表示している場合、指針22が、目盛部21eに沿って電動モータ2の回転数をより小さい方向へ回動すれば、即ち、エンジン4の作動が減少すれば、運転者は、よりエコ感を得ることができる。
【0078】
(5)減速時
メータ制御装置53は、ハイブリッド制御装置9から、電動モータ2が充電状態で駆動している情報の信号とエンジン4が停止している情報の信号とを受け取り、これに基づいてムーブメント23を駆動し、且つ、発光ダイオード43を消燈させる。即ち、図2において、指針22を、電力消費状態で作動している場合と反対の方向へ、目盛部21eに沿って電動モータ2の回転数に応じて回動させ、エンジンインジケータ40のエンジン表示部42を、消燈させる。
【0079】
この時、運転者は、モータ回転計20により電動モータ2が充電状態で駆動していると認識し、且つ、この充電が、ハイブリッド車両1の運動エネルギーを、電動モータ2により電気エネルギーに変換させた回生発電であることを認識する。これにより、運転者は、安心感と共にエコ感を得ることができ、より納得感を得ることができる。
【0080】
上述したように、運転者は、安心感が得られない状況下では、エコ感を犠牲にしても安心感を得ることを望み、この状況下で安心感が得られれば納得感を得ることができる。一方、運転者は、安心感が得られている状況下では、エコ感を得ることを望み、この状況下でエコ感が得られれば納得感を得ることができる。
【0081】
コンビネーションメータ10は、1個の計器として設けられているモータ回転計20とバッテリ計30とエンジンインジケータ40とによって、これらから得られる情報を、運転者に対して、個別に認識させるのではなくて、関連づけて同時に認識させることができる。この結果、コンビネーションメータ10は、エコ感と安心感とのバランスにおいて納得感が得られている走行状態か否かを、その時々の各瞬間において運転者に認識させることができる。
【0082】
(変形例)
図5は、図2に示すコンビネーションメータ10の第1変形例を示す正面図である。
【0083】
第1変形例では、図5に示すように、バッテリ計30において、高電圧バッテリ3の蓄電状態を蓄電量としてバーグラフで表示し、エンジンインジケータ40の代わりに、エンジン4の作動状態をエンジン4の回転数として表示するエンジン回転計40を設ける。
【0084】
これにより、高電圧バッテリ3の蓄電状態とエンジン4の作動状態を、より正確に運転者に認識させることができる。この結果、第1変形例によるコンビネーションメータ10は、エコ感と安心感とのバランスにおいて納得感が得られている走行状態か否かを、その時々の各瞬間において運転者に対してより正確に認識させることができる。
【0085】
また、モータ回転計20を、電力消費状態と充電状態と停止状態との3状態を表示するインジケータとして設けることも可能である。
【0086】
図6は、図2に示すコンビネーションメータ10の第2変形例を示す正面図である。
【0087】
第2変形例では、図6に示すように、上述の例と異なり、モータ回転計20とバッテリ計30とエンジンインジケータ40とを個別の計器として設け、隣接させて配置している。
【0088】
これにより、モータ回転計20とバッテリ計30とエンジンインジケータ40とから得られるそれぞれの情報を、運転者に対して、個別に認識させるのではなくて、関連づけて同時に認識させることができる。この結果、第2変形例においても、コンビネーションメータ10は、エコ感と安心感とのバランスにおいて納得感が得られている走行状態か否かを、その時々の各瞬間において運転者に認識させることができる。
【0089】
尚、上述した例では、図1において、エンジン4が電動モータ2を作動させて発電させたが、発電機を新たに設けて発電させる構成とすることも可能である。この場合、電動モータ2による充電状態は、回生発電による充電状態に限られる。
【0090】
以上、本発明によるハイブリッド電気自動車用表示装置であるコンビネーションメータ10は、電力により駆動力を発生する電動機である電動モータ2と内燃機関により駆動力を発生するエンジン4とを併用して走行するハイブリッド電気自動車であるハイブリッド車両1に用いられるコンビネーションメータ10であって、電動モータ2の作動状態を蓄電池である高電圧バッテリ3からの電力により駆動力を発生させる電力消費状態と高電圧バッテリ3へ充電させる充電状態とに区別して表示する第1表示器であるモータ回転計20と、高電圧バッテリ3の蓄電状態を表示する第2表示器であるバッテリ計30と、エンジン4の作動状態を表示する第3表示器であるエンジンインジケータ40とを備えていることを特徴とする。
【0091】
これにより、電動機による蓄電池からの電力消費の情報と、電動機による蓄電池への充電の情報と、蓄電池の蓄電状態の情報と、エンジンの作動状態の情報とを、関連づけて認識させることが可能なハイブリッド電気自動車用表示装置を提供することができる。
【0092】
尚、本発明は、上述の例に限らず、これらの組み合わせや、他の種々の変形例が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、本発明の一実施形態によるハイブリッド電気自動車用表示装置が搭載されるハイブリッド電気自動車であるハイブリッド車両1の主要なシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示すハイブリッド車両1に搭載されるハイブリッド電気自動車用表示装置であるコンビネーションメータ10の正面図である。
【図3】図3は、図2中のIII−III線断面図である。
【図4】図4は、図2に示すコンビネーションメータ10の電気回路構成を説明する回路構成図である。
【図5】図5は、図2に示すコンビネーションメータ10の第1変形例を示す正面図である。
【図6】図6は、図2に示すコンビネーションメータ10の第2変形例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0094】
1 ハイブリッド車両(ハイブリッド電気自動車)
2 電動モータ(電動機)、3 高電圧バッテリ(蓄電池)、4 エンジン
5 動力分割機構、6 インバータ、7 トランスミッション
8 駆動輪、9 ハイブリッド制御装置
10 コンビネーションメータ(ハイブリッド電気自動車用表示装置)
20 モータ回転計(第1表示器)、21 文字盤
21a、21b、21c、31、41 文字部、21d、21e 目盛部
22、34、44 指針、22a 遮光キャップ
23 ムーブメント、23a シャフト、
22b、24、33,43 発光ダイオード、25 貫通孔
30 バッテリ計(第2表示器)、32 バッテリ表示部
40 エンジンインジケータ(エンジン回転計、第3表示器)、42 エンジン表示部
51 ケース、52 プリント基板、53 メータ制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力により駆動力を発生する電動機と内燃機関により駆動力を発生するエンジンとを併用して走行するハイブリッド電気自動車に用いられるハイブリッド電気自動車用表示装置であって、
前記電動機の作動状態を、蓄電池からの電力により駆動力を発生させる電力消費状態と該蓄電池へ充電させる充電状態とに区別して表示する第1表示器と、
前記蓄電池の蓄電状態を表示する第2表示器と、
前記エンジンの作動状態を表示する第3表示器とを備え
ることを特徴とするハイブリッド電気自動車用表示装置。
【請求項2】
前記第1表示器は、前記電動機の作動状態を該電動機の回転数として表示するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド電気自動車用表示装置。
【請求項3】
前記第2表示器は、前記蓄電池の蓄電状態を該蓄電池の蓄電量として表示するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド電気自動車用表示装置。
【請求項4】
前記第3表示器は、前記エンジンの作動状態を該エンジンの回転数として表示するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のハイブリッド電気自動車用表示装置。
【請求項5】
前記第1表示器と前記第2表示器と前記第3表示器とを、1個の表示器として構成していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のハイブリッド電気自動車用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−230446(P2007−230446A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56628(P2006−56628)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】