説明

ハサミ、刃物、消毒装置およびそれを備えた切断機

【課題】刃を容易に加熱殺菌できるハサミを提供する。
【解決手段】第1の刃11および第2の刃12を備えてなるハサミ1aにおいて、第1の刃11の一部にマイクロヒータ17を備える。また、第1の刃11に取り付けられる第1の柄14の内部に、マイクロヒータ17を加熱するための電力を供給する電池18を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断用の刃を消毒する消毒装置(より詳しくは、農園芸用に用いられる切断装置、例えば剪定ハサミなどの刃を消毒する消毒装置)、および、この消毒装置を備えた切断機、ならびに刃を電気的に加熱することによって殺菌するハサミ、刃物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物は、様々な病気にかかる。感染源として、ハサミや刈り取り機等の切断用機械が挙げられる。つまり、病気の植物の果実、花、または枝等を切断した切断用機械が、別の健康な植物の果実の切断に用いられると、切断機の刃を介して、植物の茎自体にも病気が感染(二次伝染)してしまう。このため、病気の感染が、複数の植物において連鎖的に生じることになる。
【0003】
また、例えば、イモ類の栽培では、種イモを切断して植え付けるといった作業が一般に行われる。この際、種イモを切断するための包丁などを介して、病気に感染した種イモから他の健康な種イモに病気が二次伝染する場合がある。
【0004】
そこで、上記病気の二次伝染を防ぐべく、切断機の刃を消毒液に浸して刃を消毒して殺菌を行なう方法、刃を流水で洗し除菌を行なう方法、あるいは、バーナーで刃を加熱して殺菌を行なう方法等が採られている。
【0005】
なお、非特許文献1には、シソの病気であるシソ青枯病の発病特性と防除対策が記載されている。
【特許文献1】特開平7−127822号公報(公開日:1995年5月16日)
【特許文献2】特開平6−304746号公報(公開日:1994年11月1日)
【非特許文献1】「今月の農業(1995年8月号)」,化学工業日報社,1995年8月1日,p.37〜40
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記二次伝染を防ぐための3つの方法では、1つの植物の株における果実等、あるいは種イモ等の切断毎に、刃を消毒液に浸したり、流水で洗ったり、刃をバーナーで加熱しなければならない。このため、作業者の負担が大きいという問題がある。
【0007】
例えば、植物の刈り取り作業は、通常、一箇所で行なわれる作業ではなく、常に作業者の移動を伴ってなされる。このため、1つの植物の株における果実等の切断毎に、刃を消毒液に浸したり、流水で洗ったり、刃をバーナーで加熱するといった作業は、大変手間のかかる作業であり、作業者の負担が非常に大きい。
【0008】
また、例えば、ジャガイモ等の栽培農家などでは、種イモとなる大量のジャガイモ等を切断し、土壌に植えつけるといった作業が行われる。この種イモの切断作業において、切断する種イモの中に病原菌を有するものが含まれている場合、病原菌を有さない種イモにまで病原菌を二次伝染させてしまうおそれがある。このため、1つの種イモを切断するごとに、刃を消毒液に浸したり、流水で洗ったり、刃をバーナーで加熱しなければならない。したがって、大量の種イモを切断する場合には特に、作業者の負担が非常に大きい。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、刃を容易に加熱殺菌できるハサミ、刃物、ならびに刃を迅速に消毒可能な消毒装置およびこの消毒装置を備えた切断機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のハサミは、上記の課題を解決するために、相対的に回転可能に備えられた第1の刃および第2の刃を開閉することによって切断対象物を切断するハサミであって、上記第1の刃および第2の刃を閉じたときに上記第1の刃の側面と第2の刃の側面とが接触するハサミにおいて、上記第1の刃および/または第2の刃の一部に備えられ、電力を熱に変換することによって刃を加熱殺菌する加熱手段を備えていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、上記ハサミは、第1の刃および第2の刃と上記加熱手段とを備えている。したがって、ハサミ自体が加熱殺菌(消毒)機能を有することとなり、第1の刃および/または第2の刃の加熱殺菌が可能となる。また、ハサミを持ち運んだままの状態で、このハサミの刃を加熱殺菌することが可能となる。とりわけ、ハサミを屋外で用いる場合には、その場で刃の加熱殺菌が可能となり、作業効率を向上させることができる。また、上記第1の刃および第2の刃を閉じることにより、上記第1の刃の側面と第2の刃の側面とが接触するので、第1の刃および第2の刃の温度低下を抑制して高温に保つことができるという効果を奏する。
【0012】
また、上記の構成によれば、電力を熱に変換する加熱手段を用いて刃の加熱殺菌を行うので、例えば、1回の切断等の作業ごとに、刃を消毒液に浸したり、流水で洗ったり、刃をバーナーで加熱するといった作業を行うことなく、刃の加熱殺菌を行える。したがって、複数の切断対象物を切断する際などに、個々の対象物ごとに刃の殺菌を必要とする場合であっても、作業者の負担を軽減できる。
【0013】
また、本発明のハサミは、上記加熱手段に電力を供給するための電源手段を備えていてもよい。この場合、上記電源手段を備えてなるハサミを持ち運ぶことが可能となる。このため、本発明のハサミは、例えば、作物の収穫作業のように野外で広範囲に移動しながら作業する場合など、家庭用交流電源などの外部電源の供給が困難な作業に対しても、好適に用いることができる。
【0014】
また、本発明のハサミは、使用者が握るための柄を備えており、当該柄の内部または外面面に、上記電源手段が備えられていてもよい。上記の構成によれば、上記柄の内部又は外面に上記電源手段が備えられるので、持ち運びが容易になる。このため、例えば、広範囲に移動しながら切断作業を行う場合に、作業者の負担を軽減できる。
【0015】
また、本発明のハサミは、上記加熱手段に電力を供給するために、外部電源を用いてもよい。すなわち、例えば家庭用交流電源,工業用交流電源,発電機、バッテリー電源などの外部電源から供給される電力を用いて上記加熱装置を加熱するようにしてもよい。
【0016】
この場合、本発明のハサミを、安定かつ長時間の使用が可能になるとともに、大容量の電力を供給できるので、加熱手段の高出力化を図ることが容易になる。
【0017】
また、上記第1の刃および/または第2の刃に、打ち抜き部が設けられていてもよい。これにより、上記刃の体積が小さくなるので、熱容量を小さくできる。このため、打ち抜き部を設けない場合と比べて、上記加熱手段の発熱量が同じであっても、上記刃の温度を高くできる。
【0018】
また、本発明のハサミは、上記第1の刃および/または第2の刃が交換可能に備えられていてもよい。この場合、刃が劣化あるいは破損したり、加熱手段に不具合が生じた場合に、刃を交換できる。
【0019】
また、上記ハサミを構成する第1の刃および/または第2の刃の温度を、90℃以上に加熱可能としてもよい。この場合、90℃以上で殺菌可能な病原菌を有する切断対象物を切断する際、その後に切断する他の切断対象物にその病原菌が二次伝染することを確実に防止できる。例えば、シソ青枯病に感染した赤シソを切断する場合、上記第1の刃および/または第2の刃に付着した青枯菌を確実に加熱殺菌することができ、シソ青枯病に感染した赤シソを切断した後に別の健康な赤シソを切断しても、この健康な赤シソに青枯菌が二次伝染することを確実に防止できる。
【0020】
本発明の刃物は、上記の課題を解決するために、刃を有する刃物であって、上記刃の一部に、電力を熱に変換することによって当該刃を加熱殺菌する加熱手段を備えていることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、電力を熱に変換する加熱手段を用いて、刃の加熱殺菌を行える。このため、例えば、1回の切断あるいは切削等の作業ごとに、刃を消毒液に浸したり、流水で洗ったり、刃をバーナーで加熱するといった作業を行うことなく、刃の加熱殺菌を行える。したがって、複数の切断対象物を切断する際、あるいは複数の切削対象物を切削する際、個々の対象物ごとに刃の殺菌を必要とする場合であっても、作業者の負担を軽減できる。
【0022】
また、本発明の刃物は、上記加熱手段に電力を供給するための電源手段を備えていてもよい。この場合、上記電源手段を備えてなる刃物を持ち運ぶことが可能となる。このため、本発明の刃物は、例えば、作物の収穫作業のように野外で広範囲に移動しながら作業する場合など、家庭用交流電源などの外部電源の供給が困難な作業に対しても、好適に用いることができる。
【0023】
また、本発明の刃物は、使用者が握るための柄を備えており、当該柄の内部または外面面に、上記電源手段が備えられていてもよい。上記の構成によれば、上記柄の内部又は外面に上記電源手段が備えられるので、持ち運びが容易になる。このため、例えば、広範囲に移動しながら切断作業を行う場合に、作業者の負担を軽減できる。
【0024】
また、本発明の刃物は、上記加熱手段に電力を供給するために、外部電源を用いてもよい。すなわち、例えば家庭用交流電源,工業用交流電源,発電機、バッテリー電源などの外部電源から供給される電力を用いて上記加熱装置を加熱するようにしてもよい。
【0025】
この場合、本発明の刃物を、安定かつ長時間の使用が可能になるとともに、大容量の電力を供給できるので、加熱手段の高出力化を図ることが容易になる。
【0026】
また、上記刃に、打ち抜き部が設けられていてもよい。これにより、上記刃の体積が小さくなるので、熱容量を小さくできる。このため、打ち抜き部を設けない場合と比べて、上記加熱手段の発熱量が同じであっても、上記刃の温度を高くできる。
【0027】
また、本発明の刃物は、上記刃が交換可能に備えられていてもよい。この場合、刃が劣化あるいは破損したり、加熱手段に不具合が生じた場合に、刃を交換できる。
【0028】
また、本発明の刃物は、ハサミであってもよい。この場合、上記加熱手段を用いて、上記ハサミを構成する刃の加熱殺菌を行うことができる。したがって、複数の切断対象物を切断する際、個々の切断対象物ごとに刃の殺菌を必要とする場合であっても、作業者の負担を軽減できる。
【0029】
また、上記ハサミを構成する2本の刃の温度を、略90℃以上に加熱可能としてもよい。この場合、略90℃以上で殺菌可能な病原菌を有する切断対象物を切断する際、その後に切断する他の切断対象物にその病原菌が二次伝染することを確実に防止できる。例えば、シソ青枯病に感染した赤シソを切断する場合、上記刃および第2の刃に付着した青枯菌を確実に加熱殺菌することができ、シソ青枯病に感染した赤シソを切断した後に別の健康な赤シソを切断しても、この健康な赤シソに青枯菌が二次伝染することを確実に防止できる。
【0030】
また、本発明の刃物は、包丁であってもよい。この場合、上記加熱手段を用いて、この包丁における刃の加熱殺菌を行える。このため、例えば、1回の切断作業ごとに、刃を消毒液に浸したり、流水で洗ったり、刃をバーナーで加熱するといった作業を行う必要がなく、作業者の負担を軽減できる。
【0031】
本発明の消毒装置は、上記の課題を解決するため、切断用の刃を有する切断手段に取り付け可能であって、前記刃を消毒するために前記刃を加熱する加熱手段を備えていることを特徴としている。
【0032】
上記の構成によれば、上記消毒装置を切断手段に取り付けることにより、切断手段の刃を消毒することが可能となる。
【0033】
ここで、切断手段が、例えば小型のハサミである場合には、ハサミと共に消毒装置を持ち運べることになる。それゆえ、切断手段(ハサミ)を持ち運んだままの状態で、切断手段の刃を迅速に消毒することが可能となる。とりわけ、切断手段を屋外で用いる場合には、その場で刃の消毒が可能となり、作業効率を向上させることができる。
【0034】
また、上記の構成によれば、加熱手段により、刃が加熱される。したがって、切断動作により、植物から刃に病原菌が付着するような場合であっても、刃についた植物の病原菌を熱により死滅させることが可能となる。
【0035】
また、本発明の消毒装置は、上記の消毒装置において、前記加熱手段は、触媒とガスとの化学反応により、刃を加熱する構成としてもよい。
【0036】
上記の構成によれば、刃を触媒とガスとの化学反応により加熱する。したがって、電源やコードが必要でなく、持ち運びに適した消毒装置を提供することができる。また、ガスの噴射量により温度制御が可能となる。
【0037】
また、本発明の消毒装置は、上記の消毒装置において、前記切断手段はハサミであってもよい。
【0038】
上記の構成によれば、消毒装置をハサミに取り付けて用いることができる。
【0039】
本発明の切断機は、上記の課題を解決するために、切断用の刃を有する切断手段と、上記の消毒装置とを備えていることを特徴としている。
【0040】
上記の構成によれば、切断機は、切断手段と上記消毒手段とを備えている。したがって、切断機自体が消毒機能を有することとなり、切断手段の刃の消毒が可能となる。とりわけ、切断手段が、例えば小型のハサミである場合には、切断機を持ち運んだままの状態で、切断手段の刃を消毒することが可能となる。とりわけ、切断機を屋外で用いる場合には、その場で刃の消毒が可能となり、作業効率を向上させることができる。
【0041】
また、前記切断手段は、相対的に回転可能に備えられた第1の刃および第2の刃を開閉することによって切断対象物を切断するハサミであって、上記第1の刃および第2の刃を閉じたときに上記第1の刃の側面と第2の刃の側面とが接触する構成であってもよい。
【0042】
上記の構成によれば、上記第1の刃および第2の刃を閉じることにより、上記第1の刃の側面と第2の刃の側面とが接触するので、第1の刃および第2の刃の温度低下を抑制して高温に保つことができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明のハサミは、上記第1の刃および第2の刃を閉じたときに上記第1の刃の側面と第2の刃の側面とが接触するハサミにおいて、上記第1の刃および/または第2の刃の一部に備えられ、電力を熱に変換することによって刃を加熱殺菌する加熱手段を備えている。
【0044】
それゆえ、ハサミを持ち運んだままの状態で、このハサミの刃を加熱殺菌することが可能となり、作業効率を向上させることができる。また、上記第1の刃および第2の刃を閉じることにより、上記第1の刃の側面と第2の刃の側面とが接触するので、第1の刃および第2の刃の温度低下を抑制して高温に保つことができる。また、複数の切断対象物を切断する際などに、個々の対象物ごとに刃の殺菌を必要とする場合であっても、作業者の負担を軽減できる。
【0045】
本発明の刃物は、刃の一部に、電力を熱に変換することによって当該刃を加熱殺菌する加熱手段を備えている。
【0046】
それゆえ、複数の切断対象物を切断する際、あるいは複数の切削対象物を切削する際、個々の対象物ごとに刃の殺菌を必要とする場合であっても、作業者の負担を軽減できる。
【0047】
本発明の消毒装置は、切断用の刃を有する切断手段に取り付け可能であって、前記刃を消毒するために前記刃を加熱する加熱手段を備えている。
【0048】
上記の構成によれば、上記消毒装置を切断手段に取り付けることにより、切断手段の刃を消毒することが可能となり、作業効率を向上させることができる。また、切断動作により、植物から刃に病原菌が付着するような場合であっても、刃についた植物の病原菌を熱により死滅させることが可能となる。
【0049】
本発明の切断機は、切断用の刃を有する切断手段と、上記の消毒装置とを備えている。それゆえ、切断機を持ち運んだままの状態で、切断手段の刃を消毒することが可能であり、作業効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、実施の形態に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0051】
〔参考例1〕
本発明にかかる消毒装置および切断機の一参考例について、図に基づいて、説明すると以下のとおりである。なお、以下の説明においては、切断装置(切断手段)として、剪定用のハサミを例に挙げて説明する。また、後述する他の実施の形態および参考例におけるハサミについても同様とする。
【0052】
図1は、本参考例に係る切断機の概略構成を示した説明図である。
【0053】
本参考例に係る切断機1aは、同図に示すとおり、ハサミ(切断手段)2aと消毒装置3とを備えている。
【0054】
まず、ハサミ2aの一例について、同図に基づいて説明する。ハサミ2aは、第1の刃21、第2の刃22、スプリング23、第1の柄24、第2の柄25、回転軸26、および突起部27を備えている。つまり、突起部27を除けば、一般に市場で販売されている剪定用のハサミと同じ構成である。なお、販売されているハサミの中には、突起部27を既に備えているものもあるため、この場合には、通常市販されているハサミと同じ構成である。
【0055】
上記第1の刃21と第2の刃22とは、ハサミ2aの両刃を構成する刃である。また、スプリング23は、上記両刃が開くように、第1の柄24と第2の柄25とを同時に異なる方向へ付勢している。
【0056】
また、上記ハサミ2aは、第1の刃21および第1の柄24からなる部分と、第2の刃22および第2の柄25とからなる部分とを回転軸26の箇所で回転可能に組み合わせることにより構成されている。
【0057】
このハサミ2aでは、スプリング23の付勢力以上の力で、第1の柄24と第2の柄25とを手で握ることにより、第1の刃21と第2の刃22とが上記回転軸26を中心として回転する。この動作により、第1の刃21と第2の刃とにより、例えば、果実、花、および枝等を切断する。
【0058】
また、上記突起部27は、第1の柄24に対向するように、第2の柄25に形成されている。この突起部27は、ハサミ2aの両柄(24・25)を手で握った際に、後述するメインタンク33の側面部を押せるように構成されている。
【0059】
次に、上記消毒装置3について、同図に基づいて説明する。
【0060】
上記消毒装置3は、補充用タンク31、チューブ32、メインタンク33、ノズル(射出方向調整手段)34、逆止弁35、および、取付部(取付手段)36を備えている。
【0061】
なお、メインタンク33およびノズル34が射出手段に対応する。また、補充用タンク31、チューブ32、および、逆止弁35が供給手段に対応する。
【0062】
上記補充用タンク31は、例えばエタノール、イソプロピルアルコール、次亜塩素酸ソーダ水溶液(例えばケミクロン(商品名))等の消毒液を貯えることが可能なタンクであって、例えば樹脂製の容器で構成されている。また、この補充用タンク31は、樹脂製である場合には側面部を圧縮されることにより、上記チューブ32を介して、メインタンク33に消毒液を送り込む。つまり、補充用タンク31内の空気圧を高めることにより、消毒液をメインタンク33に送り込む仕組みとなっている。なお、この場合、補充用タンク31に、側面部を圧縮したときに閉じ、圧縮を解除したときに開いて外部のエアを補充用タンク31内に取り込む弁(図示せず)を設けてもよい。これにより、補充用タンク31内に適宜空気が取り込まれるので、補充用タンク31からメインタンク33への消毒液の供給をよりスムーズに行うことができる。
【0063】
上記チューブ32は、補充用タンク31とメインタンク33とを連結するものであって、上述したように、補充用タンク31の消毒液をメインタンク33へと注入するためのものである。また、上記チューブ32は、比較的柔らかい材質、例えばシリコン等で形成されている。
【0064】
また、上記チューブ32とメインタンク33とは、カプラー(図示せず)などの着脱手段で互いに着脱可能となっていることが好ましい。この構成を採用することにより、以下の利用方法が可能となる。
【0065】
つまり、メインタンク33に消毒液の補充が必要な場合にのみ、チューブ32とメインタンク33とを接続し、その他の場合には、チューブ32とメインタンク33とを互いに切り離しておく。
【0066】
このような利用方法を採ることにより、果実、花、および枝等の切断時は、ハサミ2aの移動が、チューブ32や補充用タンク31の拘束を受けずに自由となり、切断時の作業性をより向上させることが可能となる。
【0067】
上記メインタンク33は、上記ノズル34に対して消毒液を供給するためのタンクである。また、このメインタンク33も、樹脂製のタンクであり、側面部に圧力を加えることにより、タンクの形が変形する。そして、メインタンク33の側面部を圧縮することにより、ノズル34に消毒液を送り込む構成となっている。つまり、メインタンク33内の空気圧を高めることにより、消毒液をノズル34に送り込む。
【0068】
なお、このメインタンク33は、同図にも示すとおり、上記ハサミ2aの大きさや、取り扱いの容易さを考えて、適切な大きさ、容量のものを選択することが好ましい。一方、上記補充用タンク31は、メインタンク33に消毒液を供給する元のタンクとなるため、補充用タンク31には、メインタンク33よりも大きな容量の容器を用いる。ただし、補充用タンク31の可搬性を考慮する必要があるため、余りにも大きなタンクは、補充用タンク31としては不適である。また、補充用タンク31および/または切断機1a自体を、作業者のベルトに吊り下げるポケット型のウエストバッグ等に収納できるような大きさとすることが好ましい。
【0069】
また、上記逆止弁35は、同図に示すとおり、メインタンク33の内部に備えられている。また、上記逆止弁35は、上記チューブ32の先端に備え付けられている。この逆止弁35は、補充用タンク31からメインタンク33に送られてきた消毒液を、補充用タンク31に逆流させないために設けられている。なお、同図においては、上記逆止弁35は、メインタンク33内に備えられているが、メインタンク33の外部に備えられていても構わない。
【0070】
上記ノズル34は、メインタンク33に貯えられている消毒液を射出(吐出)するものである。このノズル34は、例えばシリコンゴム、エラストマーのような柔軟な材料で構成されたストレートチューブや、蛇腹状チューブなどの可撓性のチューブなどで構成された、消毒液の射出角度を自在に調整可能な、いわゆるスネークヘッド状のノズルである。つまり、一旦、ノズル34の形状を変更すると、このノズル34に外力が働かない限り、ノズル34の形状が変わらないようになっている。
【0071】
また、上記取付部36は、消毒装置3をハサミ2aに取り付けるためのものである。例えば、この取付部36は、図2に示すとおり、第1のリング部36aと第2のリング部36bとを備え、第1のリング部36aに対して上記メインタンク33をはめ込み、メインタンク33を固定できる構成となっている。また、上記第2のリング部36bは、ハサミ2aの柄の部分にはめ込むためのものである。これら、2つのリング部(36a・36b)を介して、メインタンク33がハサミ2aに取り付けられる。なお、取付部36は、上記の構成に限定されず、メインタンク33をハサミ2a(より詳しくは、ハサミ2aの第1の柄21)に取り付けられる構成であればよい。
【0072】
次に、図1を基にして、この消毒装置3のハサミ2aへの取り付け方について説明する。ここで、以下では、説明の便宜上、作業者の右手でハサミ2aを操作し、かつ、第1の柄24が親指側になるようにして用いる場合の消毒装置3の取付方について示す。また、左手で切断した果実等を受けることを前提とする。
【0073】
まず、取付部36の第1のリング部36aにメインタンク33を取り付けた後、第2のリング部36bをハサミ2aの柄に通す。そして、ノズル34からの消毒液の射出方向を調整する。
【0074】
ここで、上記ノズル34からの消毒液の射出方向について説明する。
【0075】
まず、上記ノズル34からの消毒液の射出方向が、第2の刃22の側面であって、第1の刃21とは反対側となる面(以下、第2の刃の外側面と称する)に向くように、ノズル34の形状やノズル34の取付位置を調整する。上記形状の調整は、ノズル34自体の形を変形させて行えばよい。また、上記取付位置の調整は、例えば、上記取付部36に対してメインタンク33を移動させたり、あるいは、第1の柄24に対する取付部36の取付位置を変更する等により行なえばよい。
【0076】
より好ましくは、上記第1の柄24と第2の柄25とを手で握り、メインタンク33から消毒液の射出が開始される際における、第2の刃のエッジ部22aの位置に上記射出方向が向くように、ノズル34の位置や形状を調整する。なお、エッジ部とは、刃の切り口を含んだ部分であって、実質的に切断を行なう傾斜部を含めた部分を指す。
【0077】
以上の切断機1aの構成により、以下のように消毒液が射出され、後述する効果が得られる。
【0078】
まず、作業者が果実等を枝から切り取る際に、突起部27がメインタンク33の側面を押し、上記メインタンク33内の空気圧が上昇する。これにより、メインタンク33内の消毒液が、果実等の切り取りの都度、上記第2の刃22の外側面(より、詳しくは、第2の刃のエッジ部22aの外側面)に射出される。つまり、果実等を切り取った枝側の面である、第2の刃22の外側面に射出される。
【0079】
したがって、上記切断機1aを用いれば、病気を持った植物から果実等を切り取っても、消毒液により第2の刃の外側面が消毒されるため、同じハサミ2aを用いて健康な植物の果実等を切り取っても、切り取った箇所から、健康な植物の幹側の枝を介して、植物自体が病気に感染することがなくなるという効果が得られる。
【0080】
また、刃を消毒するためにエタノール等を刃に射出すると、消毒が行われるだけでなく、果実等を切り取る際に刃に付着するヤニ等の樹皮成分が洗い流される。樹皮成分が切断手段に付着したまま放置されると、刃同士が固着して、使用できなくなってしまうので、これを防ぐことを目的として切断機1aを使用することも考えられる。この場合、消毒液は、水等の洗浄液であってもよい。
【0081】
なお、上記の説明においては、上記ハサミ2aを右手で扱い、かつ、親指が上記第1の柄24側となる場合について説明したが、仮に、上記ハサミ2aを右手で扱い、かつ、親指が上記第2の柄25側となる場合は、消毒液が、第1の刃21の側面であって、第2の刃22と反対側となる面(以下、第1の刃の外側面と称する)に射出されるように、ノズル34の形状や取付部36の取り付け位置を変更すればよい。
【0082】
また、上記ハサミ2aを左手で扱い、かつ、親指が上記第1の柄24側となる場合には、消毒液が、第1の刃21の側面であって、第2の刃22と反対側となる面(以下、第1の刃の外側面と称する)に向くように、ノズル34の配置を変更すればよい。一方、上記ハサミ2aを左手で扱い、かつ、親指が上記第2の柄25側となる場合には、消毒液が、第2の刃22の側面であって、第1の刃21とは反対側となる面(以下、第2の刃の外側面と称する)に向くように、ノズル34の配置を変更すればよい。
【0083】
また、上記ハサミ2aは、一般的に、右利き用のハサミ2aであるが、左利き用のハサミを用いた場合であっても、果実を切り取る際に幹側となる刃の外側面(第1の刃の外側面あるいは第2の刃の外側面)を消毒できるように、ノズル34の配置を変更すればよい。
【0084】
また、上記ハサミ2aにおいては、上記取付部36により、メインタンク33を第1の柄24に取り付けた構成を示したが、これに限定されるものではなく、第2の柄25に取り付けてもよい。なお、この構成の場合には、上記突起部27と同一機能を有する部材を、第2の柄25に設けておく。また、この場合には、第1の柄24に、突起部27を設ける必要はない。
【0085】
また、上記ノズル34の代わりに、図3に示す、ノズル装置40を用いてもよい。以下、このノズル装置40を用いた場合について説明する。
【0086】
上記ノズル装置40は、ノズル部41、および、チューブ42を備えている。そして、上記ノズル部41は、ノズル43とマグネット部(射出方向調整手段、取付手段)44を備えている。なお、メインタンク33およびノズル装置40が射出手段に対応する。
【0087】
上記ノズル43は、上述したノズル34と同じく、消毒液の射出角度を自在に調整可能なスネークヘッド状のノズルとすることが好ましい。ただし、これに限定されず、ノズル43自体では、消毒液の射出角度を調整できないような、単なる直線形状のノズルであってもよい。
【0088】
また、ノズル部41は、上記チューブ42を介してメインタンク33と接続されている。さらに、上記チューブ42は、比較的柔らかい材質、例えばゴム等で形成されている。
【0089】
このような構成とすることにより、ハサミ2aの刃(21・22)がマグネットに引っ付くような材質のものである場合、第1の刃21または第2の刃22に選択的にノズル部41を取り付けることができる。さらに、ノズル部41はマグネット部44により刃(21・22)に引っ付けられているため、ノズル部41の取り付け位置次第で、消毒液の射出方向も調整できる。
【0090】
これにより、ノズル部41の取付位置を移動(変更)させるといった簡単な操作で、作業者のハサミの使用方法や、右利き用および左利き用といったハサミの種類に関わらず、果実を切り取る際に幹側となる刃の外側面(第1の刃の外側面あるいは第2の刃の外側面)を消毒できるようになる。
【0091】
ノズルの取り付け位置を変更するための構成としては、この他に、ノズルを保持できるフック(射出方向調整手段、取付手段)を複数箇所に設置する方法もある。フックは、ノズルを安定して保持でき、かつ、ノズルを簡単に取り付け、取り外しできるような形状であることが望ましい。
【0092】
例えば、図4(a)に示す切断手段90では、上記ノズル34の代わりに、チューブ92とノズル部91とからなるノズル装置を使い、回転軸26の、両側のリベット部分に、ノズル91を保持できるフック29a・29bが設置されている。図4(b)に示すように、フック29a・29bは、回転軸26のリベットにて、第1の刃の外側面および第2の刃の外側面に固定されており、ノズル91をつかんで安定に保持できる形状である。そして、フック29a・29bを弾性のある金属で製造することで、ノズル91をフック29a・29bから取り外す際には、フック29a・29bの弾性を利用してフック29a・29bを押し曲げて、ノズル91の取り付け取り外しができる構造になっている。
【0093】
これにより、ノズル91を、フック29a・29bのうちの任意の方に嵌合させる、といった簡単な操作で、作業者のハサミの使用方法や、右利き用および左利き用といったハサミの種類に関わらず、果実を切り取る際に幹側となる刃の外側面(第1の刃の外側面あるいは第2の刃の外側面)を消毒できるようになる。
【0094】
なお、上記ノズル91も、上述したノズル34と同じく、消毒液の射出角度を自在に調整可能なスネークヘッド状のノズルとすることが好ましい。ただし、これに限定されず、ノズル91自体では、消毒液の射出角度を調整できないような、単なる直線形状のノズルであってもよい。また、フック29a・29bは、ノズル部を取り付けたときに、ノズルから噴射される消毒液が第1の刃21または第2の刃22の刃先に届くように向きを調整されている。
【0095】
また、ノズル91は、比較的柔らかい材質(例えばゴム等)で形成されたチューブ92を介してメインタンクと接続されているが、メインタンクのチューブ92とのカプラーが回転可能となっていることが望ましい。これにより、ノズル91を移動させる際に、ノズル91の移動と連動してチューブ92およびメインタンクのカプラーが移動し、フック29a・29bのどちらに保持されているときも、チューブ92が正常にメインタンクと接続した状態に保たれる。
【0096】
また、フック29a・29bはこのような形状のものに限られるものではなく、フックを筒状にしてノズルを挿入する方式でもよい。また、フック29に、ノズル91を取り付けたときに、ノズル91をより安定に固定するための固定部材が設けられていてもよい。
【0097】
また、上記の切断機1aにおいては、取付部36により、メインタンク33を第1の柄24に取り付ける構成としたが、これに限定されるものではない。
【0098】
例えば、第1の柄24の変わりに、図5に示すとおり、メインタンク33を内蔵可能な構成とした第1の柄24’を用いてもよい。この場合には、上記第1の柄24’に開口部28を形成しておき、採果、摘果、あるいは整枝(枝を切って全体の形バランスを整える作業)時等の切断を行なう際に、この開口部28に上記突起部27が入り込みような構成にしておく。これにより、切断に際し、メインタンク33の側面が上記突起部27により押されて、消毒液がノズル34あるいはノズル装置40に供給されることになる。
【0099】
また、上記の構成とは別に、メインタンク33は第1の柄24に埋め込まず、ノズル34のみを第1の柄24に埋め込む構成としてもよい。
【0100】
このような構成でも、ノズル34等における消毒液の射出方向を調整すれば、果実を切り取る際に幹側または茎側となる刃の外側面(第1の刃の外側面あるいは第2の刃の外側面)を消毒できるようになる。
【0101】
また、同図において、補充用タンク31、チューブ32、および逆止弁35を有しない構成としてもよい。つまり、メインタンク33の容量を比較的大きくし、補充用タンク31のような補充部材を用いずに、メインタンク33のみに消毒液を貯えておく構成としてもよい。
【0102】
また、消毒液が、消毒対象となる刃に対して、図6(a)に示すように、刃の長さ方向(刃の長手方向)に沿って広く扇状に、さらには刃の幅方向(刃の短手方向)に沿って狭い範囲に扁平状となって射出されることが好ましく、ノズル34の先端、および、ノズル部41におけるノズル43の先端部の形状としては、このように消毒液を噴霧し得るものが好ましく用いられる。なお、同図では、上記範囲をMとして示している。この場合には、消毒液が刃の広い範囲に射出され、刃の消毒を確実に行なえる。
【0103】
また、消毒液の刃面滞留時間を延ばすように、第1の刃21および/または第2の刃22に、溝を設けてもよい。これにより、刃先から消毒液が滴下することを抑制し、消毒液の刃先滞留時間を延ばすことができるので、消毒効果を高めるとともに、消毒液の消費量を削減することができる。
【0104】
例えば、図6(b)に示すように、第1の刃21における第2の刃22と接する面に溝68を設けてもよい。この場合には、消毒液によって第1の刃21と第2の刃22との潤滑性を高めることもできる。なお、溝の深さ、幅、長さ、位置、方向等は特に限定されるものではなく、刃の全体にわたって消毒液の刃先滞留時間の延長効果が適切に得られるように設定すればよい。
【0105】
〔参考例2〕
本発明にかかる消毒装置および切断機の他の参考例について、図に基づいて、説明すると以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記の参考例1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0106】
図7(a)は、本参考例に係る切断機の概略構成を示した正面図である。また、図7(b)は、上記切断機の概略構成を示した側面図である。
【0107】
本参考例に係る切断機1cは、図7(a)および図7(b)に示すとおり、ハサミ(切断手段)2bと消毒装置60とを備えている。なお、上記参考例1と同様、以下では、説明の便宜上、作業者の右手でハサミ2bを操作し、かつ、第1の柄24が親指側になるようにして用いる場合の消毒装置60の取付方について示す。また、左手で切断した果実等を受けることを前提とする。
【0108】
ここで、上記消毒装置60について、説明する。
【0109】
上記消毒装置60は、同図に示すとおり、補充用タンク31、チューブ32、押込装置53、押込装置固定部54、小型ポンプ(射出量調整手段)61、および、小型ポンプ固定部62を備えている。なお、本参考例では、上記補充用タンク31およびチューブ32が供給手段に対応する。また、上記押込装置固定部54および小型ポンプ固定部62が取付手段に対応する。
【0110】
上記小型ポンプ61は、チューブ32を介して、補充用タンク31と接続されている。また、この小型ポンプ61は、上記補充用タンク31の消毒液を吸い上げて、小型ポンプ61の射出口より外部に射出する機能を有している。また、上記小型ポンプ固定部62は、小型ポンプ61を第2の柄25に固定するためのものである。
【0111】
上記消毒液の吸い上げは、小型ポンプ61が上記押込装置53に押し込まれ、ポンプ自体が収縮することにより行なわれる。より詳しく説明すると、以下のとおりである。まず、一旦、第1の柄24と第2の柄25とを握って切断動作を行なうと、小型ポンプ61が押込まれ、小型ポンプ61内の空気が外部に押し出される。そして、小型ポンプ61の押込みが解除されると、小型ポンプ61が元の形に戻ろうとし、この際に一定量の消毒液が小型ポンプ61内に吸い上げられる。
【0112】
この状態で、再度、両柄(24・25)を握って切断動作を行なうと、消毒液が、小型ポンプ61から射出されることになる。そして、小型ポンプ61の押込みを解除すると、小型ポンプ61が元の形に戻ろうとし、この際に消毒液が小型ポンプ61内に吸い上げられる。この結果、切断動作の度に、消毒液が小型ポンプ61から射出されることになる。
【0113】
また、本参考例においても、上記消毒液の射出方向を、参考例1で述べた方向とする。
【0114】
以上により、上記切断機1cを用いれば、病気を持った植物から果実等を切り取っても、消毒液により第2の刃の外側面が消毒されるため、同じハサミ2bを用いて健康な植物の果実等を切り取っても、切り取った箇所から、健康な植物の幹側の枝を介して、植物自体が病気に感染することがなくなる。
【0115】
また、本参考例の場合には、一回の切断動作で射出される消毒液の量は、小型ポンプ61の容量等によって決まる。したがって、ハサミ2bを握っている間、消毒液が消毒液ボンベ51から射出され続けることがない。それゆえ、コスト面で有利な消毒装置を提供することが可能となる。
【0116】
なお、上記の説明においては、上記ハサミ2bを右手で扱い、かつ、親指が上記第1の柄24側となる場合について説明したが、参考例1で述べたように、作業者のハサミの使用方法や、右利き用および左利き用といったハサミの種類に応じて、消毒装置60の取付位置を適宜設定すれば、常に、果実を切り取る際に幹側となる刃の外側面(第1の刃の外側面あるいは第2の刃の外側面)を消毒できるようになる。
【0117】
また、消毒液が、消毒対象となる刃に対して、上記参考例1と同様に、刃の長さ方向(刃の長手方向)に沿って広く扇状に、さらには刃の幅方向(刃の短手方向)に沿って狭い範囲に扁平状となって射出されることが好ましい(図6参照)。この場合には、消毒液が刃の広い範囲に射出されることになる。それゆえ、刃の消毒を確実に行なえる。
【0118】
また、本参考例では、小型ポンプ固定部62により小型ポンプ61が第2の柄25に固定され、かつ、小型ポンプ61が押込装置53によりに押込まれて小型ポンプ61が収縮する構成を説明したが、例えば、以下のような構成とすることも可能である。
【0119】
つまり、小型ポンプ61を、第1の柄24と第2の柄25とに挟まれた領域に配置すると共に、小型ポンプ61を第2の柄25に取り付け、切断時には第1の柄24により小型ポンプ61が押込まれる構成としてもよい。また、小型ポンプ61を第1の柄24または第2の柄25に固定してもよく、この場合、小型ポンプ61を第1の柄24または第2の柄25に脱着可能に備えてもよい。
【0120】
〔参考例3〕
本発明にかかる消毒装置および切断機の他の参考例について、図に基づいて、説明すると以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記の各参考例の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0121】
図8(a)は、本参考例に係る切断機の概略構成を示した側面図である。また、図8(b)は、上記切断機の概略構成を示した平面図である。図8(c)は、上記切断機の概略構成を示した斜視図である。
【0122】
本参考例に係る切断機1fは、図8(a)ないし図8(c)に示すとおり、ハサミ(切断手段)2fと消毒装置3fとを備えている。なお、上記参考例1および2と同様、以下では、説明の便宜上、作業者の右手でハサミ2fを操作し、かつ、第1の柄24が親指側になるようにして用いる場合の消毒装置3fの取付方について示す。また、左手で切断した果実等を受けることを前提とする。
【0123】
ここで、上記消毒装置3fについて、説明する。
【0124】
上記消毒装置3fは、補充用タンク31、チューブ32、メインタンク33’、チューブ42’、ノズル(射出方向調整手段)43’、および、逆止弁35を備えている。
【0125】
なお、メインタンク33’、チューブ42’およびノズル43’が射出手段に対応する。また、補充用タンク31、チューブ32、および、逆止弁35が供給手段に対応する。ここで、補充用タンク31、チューブ32、および、逆止弁35については、参考例1と同様のものである。また、本参考例では、メインタンク33’およびチューブ42’が第2の柄24”に内蔵され、ノズル43’が第2の柄24”に接合しているか、またははめ込まれている。
【0126】
上記メインタンク33’は、上記ノズル43’に対して消毒液を供給するためのタンクである。また、このメインタンク33’は、図9(a)の平面図、図9(b)の側面図のように、側面部に蛇腹状の、一定容量(例えば0.5cc)の小型ポンプ部33aを備えている。そして、小型ポンプ部33aに圧力を加えることにより、小型ポンプ部33aが収縮し、一定量(例えば0.5cc)の消毒液を、メインタンク33’からチューブ42’を介してノズル43’に送り込む構成となっている。
【0127】
このとき、小型ポンプ33aの押圧は、ハサミ2fの、第1の柄24”と第2の柄25とを握る動作、つまり採果、摘果、あるいは整枝等の切断動作と連動して行なわれる。したがって、小型ポンプ33aは、第2の柄25の突起部27があたるように、かつ、突起部27が押す方向に収縮するように、第1の柄24”に設置されている。このように、小型ポンプ33aとして蛇腹状のものを用いることで、小さな握力で、消毒液の射出が可能となる。
【0128】
ポンプの動作をより詳しく説明すると、以下のとおりである。まず、一旦、第1の柄24”と第2の柄25とを握って切断動作を行なうと、小型ポンプ33aが押込まれ、小型ポンプ33a内の空気が外部に押し出される。そして、小型ポンプ33aの押込みが解除されると、小型ポンプ33aが元の形に戻ろうとし、この際に一定量の消毒液が小型ポンプ33a内に吸い上げられる。
【0129】
この状態で、再度、両柄(24”・25)を握って切断動作を行なうと、消毒液が、小型ポンプ33aから射出されることになる。そして、小型ポンプ33aの押込みを解除すると、小型ポンプ33aが元の形に戻ろうとし、この際に消毒液が小型ポンプ33a内に吸い上げられる。この結果、切断動作の度に、消毒液が小型ポンプ33aから射出されることになる。
【0130】
また、本参考例の場合には、一回の切断動作で射出される消毒液の量は、小型ポンプ33aの容量等によって決まる。したがって、ハサミ2bを握っている間、消毒液が射出され続けることがない。それゆえ、コスト面で有利な消毒装置を提供することが可能となる。
【0131】
また、メインタンク33’は半透明の材質にて形成し、中の消毒液の残量が見えるようになっている。そして、メインタンク33’が第2の柄24”に内蔵される場合は、メインタンク33’にメモリ入りの凸状部33bを設け、第2の柄24”に凸状部33bがはめ込まれる開口部24aを設けることが好ましい。これによれば、メインタンク33’が第2の柄24”に固定されるとともに、外から消毒液の残量を確認できる窓が形成される。
【0132】
なお、このメインタンク33’は、上記ハサミ2fの柄に内蔵されているが、これに限られるものではなく、柄に外装されていてもよい。また、メインタンク33’の大きさや形状、容量は、取り扱いの容易さや必要となる消毒液の量を考えて、適切なのものを選択することが好ましい。
【0133】
また、チューブ42’は、例えばシリコンゴム、エラストマーのような柔軟な材料で構成されたストレートチューブや、蛇腹状チューブなどの可撓性のチューブなどで構成されており、メインタンク33’から送り込まれた消毒液をノズル43’へ供給する。チューブ42’は、第2の柄24”の内部に形成されている。
【0134】
上記ノズル43’は、第2の柄24”に接合、またははめ込まれており、メインタンク33に貯えられている消毒液を射出(吐出)するものである。このノズル43’は、図8(b)および図8(c)に示されるように、チューブ42’から二股に分かれて、第1の刃の外側面および第2の刃の外側面の両方にノズルの射出口を配置しており、握る動作により、第1の刃の外側面あるいは第2の刃の外側面の両方を同時に消毒できる。これにより、作業者のハサミの使用方法や、右利き用および左利き用といったハサミの種類に関わらず、果実を切り取る際に幹側となる刃の外側面が消毒されるようになる。
【0135】
なお、本参考例においても、上記消毒液の射出方向を、参考例1で述べた方向とする。
【0136】
以上により、上記切断機1fを用いれば、病気を持った植物から果実等を切り取っても、消毒液により第2の刃の外側面が消毒されるため、同じハサミ2fを用いて健康な植物の果実等を切り取っても、切り取った箇所から、健康な植物の幹側の枝を介して、植物自体が病気に感染することがなくなる。
【0137】
また、切断装置1fを使用しないときは、図10(a)の側面図のように閉じた状態で固定できる構成であってもよい。すなわち、閉じた状態で、第1の柄24”に設けられたリング状のストッパー39を第2の柄25に設けられた溝部に掛けて留めることで、固定してもよい。このストッパー39は、使用時には、図8(a)のように第1の柄24”自身に設けられた溝に掛けて留められる構成とすることで、使用中も邪魔にならない。
【0138】
また、消毒液が、消毒対象となる刃に対して、上記参考例1と同様に、刃の長さ方向(刃の長手方向)に沿って広く扇状に、さらには刃の幅方向(刃の短手方向)に沿って狭い範囲に扁平状となって射出されることが好ましい(図6参照)。この場合には、消毒液が刃の広い範囲に射出されることになる。それゆえ、刃の消毒を確実に行なえる。
【0139】
また、小型ポンプ33a(または小型ポンプ33aを含むメインタンク33’)を、第1の柄24”と第2の柄25とに挟まれた領域に配置すると共に、小型ポンプ33aを第2の柄25に取り付け、切断時には第1の柄24により小型ポンプ33aが押込まれる構成としてもよい。
【0140】
以上、小型ポンプとして、蛇腹状で、押圧されることにより収縮するもの(蛇腹ポンプ)を用いたものを例に挙げて説明してきたが、小型ポンプは、この形態に限られるものではなく、ピストンポンプ(水鉄砲式ポンプ)等を用いてもよい。
【0141】
ピストンポンプを用いた切断機1gについて、図11を用いて説明する。本参考例に係る切断機1gは、図11に示すとおり、ハサミ(切断手段)2gと消毒装置3gとを備えている。なお、図11では、作業者の左手でハサミ2gを操作し、かつ、第1の柄24が親指側になるようにして用いる場合の消毒装置3gの取付方について示す。また、右手で切断採取した果実等を受けることを前提とする。
【0142】
ここで、上記消毒装置3gについて、説明する。
【0143】
上記消毒装置3gは、補充用タンク(図示せず)、チューブ32g、メインタンク33g、小型ポンプ37、チューブ42g、ノズル(射出方向調整手段)43g、および、逆止弁35、ポンプ弁38a,38bを備えている。
【0144】
なお、メインタンク33g、チューブ42g,ノズル43g,逆止弁38a,38bが射出手段に対応する。また、補充用タンク、チューブ32g、および、逆止弁35が供給手段に対応する。ここで、補充用タンク、チューブ32g、および、逆止弁35については、参考例1と同様のものである。また、本参考例では、メインタンク33gおよび小型ポンプ37が第1の柄25の内側に外装されているが、これに限られるものではなく、第1の柄25に内蔵されていてもよい。
【0145】
上記メインタンク33gは、小型ポンプ37、チューブ42gを介して、上記ノズル43gに消毒液を供給するためのタンクである。
【0146】
小型ポンプ37は、シリンダ37aと、シリンダ37a内の流体に圧力を加えるピストン37cと、ピストン37cを押し上げるバネ部37bからなる。そして、ピストン部37cは、第2の柄24に向かって伸びる受け部を有しており、握ったときに第2の柄24の凸部27に押される位置に配置されている。これにより、ハサミの握りに連動して第2の柄24の凸部27によってピストン部37cがシリンダ37a内に押し込まれ、小型ポンプ部37内の流体に圧力が加わって、一定量の消毒液を、メインタンク33gからチューブ42gを介してノズル43gに送り込むことができる。このように、小型ポンプ37としてピストン式のものを用いることで、小さな握力で、消毒液の射出が可能となる。
【0147】
ここで、上記バネ部37bは、ハサミの両刃が開くように、第1の柄24と第2の柄25とを同時に異なる方向へ付勢する役割を果たしており、言い換えると、参考例1のスプリング23の役割を兼ねている。
【0148】
なお、小型ポンプ37は、メインタンク33gとコネクション55を介して接続しているが、小型ポンプ37からメインタンク33gへの逆流を防ぐため、コネクション55には、逆止弁であるポンプ弁38aが備えられている。同様に、小型ポンプ37とチューブ42gとの接続部にもポンプ弁38bが設けられている。しかし、コネクション55のポンプ弁38aは必ずしも必要ではない。これは、ポンプ弁38aがない場合も、補充用タンクからのチューブ32gとメインタンク33gとのコネクターが逆止弁35となっているため、ハサミの握り動作によってメインタンク33gの内圧がかかったとき、逆止弁35が閉じ、メインタンク33gからチューブ32gへの逆流が起こらなくなり、したがって、小型ポンプ37からメインタンク33gへの逆流は起こらなくなるからである。
【0149】
小型ポンプ37の動作をより詳しく説明すると、以下のとおりである。まず、一旦、第1の柄24と第2の柄25とを握って切断動作を行なうと、ピストン部37cがシリンダ37aに押込まれ、小型ポンプ37内の空気が外部に押し出される。そして、ピストン部37cの押込みが解除されると、バネ部37bの作用によりピストン部37cが押し上げられ、この際に一定量の消毒液がメインタンク33gから小型ポンプ37内に吸い上げられる。
【0150】
この状態で、再度、両柄(24・25)を握って切断動作を行なうと、消毒液が、小型ポンプ37から射出されることになる。そして、ピストン部37cの押込みを解除すると、再びバネ部37bがピストン部37cを押し上げ、この際に新たに消毒液が小型ポンプ37内に吸い上げられる。この結果、切断動作の度に、消毒液が小型ポンプ37から射出されることになる。
【0151】
また、本参考例の場合には、一回の切断動作で射出される消毒液の量は、小型ポンプ37のシリンダ37aの容量によって決まる。したがって、ハサミ2bを握っている間、消毒液が射出され続けることがない。それゆえ、コスト面で有利な消毒装置を提供することが可能となる。
【0152】
なお、上記ノズル43gは、図4と同様に、ハサミの両面に設置されたフックに嵌合させて取り付けられるようになっている。これにより、作業者のハサミの使用方法や、右利き用および左利き用といったハサミの種類に関わらず、果実を切り取る際に幹側となる刃の外側面が消毒されるようになる。図11では、上述したようにして左手でハサミ2gを扱う場合に、果実を切り取る際に幹側となる刃の外側面が消毒されるように、紙面手前側にノズル43gを取り付けている。一方、作業者の右手でハサミ2gを操作し、かつ、第1の柄24が親指側になるようにして用いる場合は、ノズル43gを図11の紙面奥側の面に取り付けることで、果実を切り取る際に幹側となる刃の外側面が消毒されるようになる。
【0153】
また、メインタンクを第2の柄25あるいは小型ポンプ37に対して脱着可能な構成としてもよい。例えば、図12に示すように、小型ポンプ37に対して、図示しない着脱手段によって取付けられる、カートリッジ式(カセット式)のメインタンク33iを用いる構成としてもよい。この構成では、メインタンク33i内の消毒液は、図11と同様、コネクション55を介して小型ポンプ37に送られる。
【0154】
なお、上記の着脱手段の構成は特に限定されるものではなく、例えば、ネジ式、嵌合式等であってもよく、磁石や粘着テープ、面状ファスナなどによって取り付けられるものであってもよい。
【0155】
また、コネクション55の構成は特に限定されるものではないが、例えば、メインタンク33iを樹脂で形成するとともに、小型ポンプ37iに筒状の突起を設け、メインタンク33iの一部をこの突起に突き刺すことで、メインタンク33iから小型ポンプ37への消毒液の受け渡しを行うコネクション55として機能させてもよい。また、上記のネジ式、嵌合式等の脱着手段が、コネクション55の機能を兼ねる構成としてもよい。例えば、メインタンク33iおよび小型ポンプ37に、対をなすカップラをそれぞれ設け、このカップラを接続することで、上記の脱着手段としての機能とコネクション55として機能とを実現するようにしてもよい。
【0156】
また、カートリッジ式のメインタンクを用いる場合、図12に示したメインタンク33iのように、逆止弁35を備えず、チューブ32gも接続されないメインタンクを用いる構成としてもよい。この場合、例えば、カータリッジ状のメインタンクを複数個用意しておき、メインタンク内の消毒液を吐出し終える毎に、メインタンクを取り替えるようにすればよい。なお、この場合、メインタンク33iの一部にエア供給孔、あるいはエア供給弁を設けてもよい。すなわち、エアタンク33i内の消毒液が射出されることによってエアタンク33i内が負圧になることを防止するため、エアタンク33i内に外気を取り入れるためのエア供給孔や、消毒液の射出時に閉じ、射出後に開くエア供給弁などを設けてもよい。
【0157】
また、メインタンクの形状は図12に示したような棒状の形状に限るものではない。また、大きさや容量についても、取り扱いの容易さや必要となる消毒液の量を考えて、適切なのものを選択することができる。例えば、図13に示すように、第1の柄24および第2の柄25を握って閉じたときに、これらの柄に対して刃と反対側となる部分を、屈曲させて延長し、いわゆるピストル型の形状としてもよい。あるいは、第1の柄24および/または第2の柄25を中空構造とし、これらの内部にカートリッジ式のメインタンク33iを取替え可能に備える構成としてもよい。
【0158】
また、メインタンク33iのみをカートリッジ式とする構成に限らず、例えば、メインタンク33iと小型ポンプ37とを一体として取替え可能な構成としてもよい。なお、この場合、小型ポンプ37は、メインタンクの内部に備えられていても、メインタンクの外面に備えられていてもよい。
【0159】
また、ピストン型の小型ポンプを、メインタンクの内部に形成する構成としてもよい。この場合は、図14に示す切断機1hのように、メインタンク33hの内部に、開口部37gと逆止弁38gを有するピストン型の小型ポンプ37hを設ける。そして、小型ポンプ37hと、チューブ42hとを接続させ、この接続部に逆止弁であるポンプ弁38hを設ける。
【0160】
これにより、上記した小型ポンプ37と同様の仕組みで、消毒液を射出できる。すなわち、まず、一旦、第1の柄24と第2の柄25とを握って切断動作を行なうと、小型ポンプ37hのピストン部37dが押込まれ、小型ポンプ37h内の空気が外部に押し出される。そして、ピストン部37dの押込みが解除されると、バネ部37eの作用によりピストン部37dが押し上げられ、この際に一定量の消毒液がメインタンク33hから小型ポンプ37hの開口部を介して吸い上げられる。
【0161】
この状態で、再度、両柄(24・25)を握って切断動作を行なうと、消毒液が、小型ポンプ37hからチューブ42h側に押し出され、ノズル43hから射出される。このとき、メインタンク33hの消毒液は、逆止弁35によりチューブ32に流れないようになっているので、消毒液が小型ポンプ37hから開口部37gを介してメインタンク33hへ流れることはない。そして、ピストン部37dの押込みを解除すると、再びバネ部37eがピストン部37dを押し上げ、この際に新たに消毒液が小型ポンプ37h内に吸い上げられる。この結果、切断動作の度に、消毒液が小型ポンプ37hから射出されることになる。
【0162】
なお、図14でも、図11と同様、作業者の左手でハサミ2gを操作し、かつ、第1の柄24が親指側になるようにして用い、右手で切断採取した果実等を受けることを前提として、ノズル43hを紙面手前側に取り付けている。
【0163】
また、メインタンクが、第1の柄または第2の柄に内蔵されていてもよく、あるいは、第1の柄または第2の柄がメインタンクの機能を兼ねる構成であってもよい。図15は、第1の柄24がメインタンクの機能を兼ねる構成の切断機1jを示している。
【0164】
図15に示す切断機1jは、ハサミ(切断手段)2jと消毒装置3jとを備えている。
【0165】
消毒装置3jは、メインタンク33j、小型ポンプ37、チューブ42j、ノズル(射出方向調整手段)43j、薬液充填カプラー66j、ポンプ弁38a,38b、射出量調整ピン63を備えている。
【0166】
第1の柄24は中空構造となっており、メインタンク33jとして機能する。また、第1の柄24は、刃と反対側の部分が略への字型に屈曲されて延長されており、いわゆるピストル型の形状となっている。これにより、メインタンク33jの容量が増加させ、内部に蓄える消毒液の量を増加させている。
【0167】
メインタンク33jは、小型ポンプ37、チューブ42jを介して、上記ノズル43jに消毒液を供給するためのタンクである。
【0168】
小型ポンプ37は、シリンダ37aと、シリンダ37a内の流体に圧力を加えるピストン部37cと、ピストン37cを押し上げるバネ部37bからなる。
【0169】
第2の柄25には、ポンプ圧干渉ボール27jと、第1の柄24および第2の柄25を握ったときに、ポンプ圧干渉ボール27jをピストン37c方向に付勢するバネ部27kとを備えている。そして、握ったときに第2の柄25のポンプ圧干渉ボール27jによってピストン37cが押されるようになっている。これにより、ハサミの握りに連動して第2の柄25のポンプ圧干渉ボール27jによってピストン部37cがシリンダ37a内に押し込まれ、小型ポンプ部37内の流体に圧力が加わって、一定量の消毒液を、メインタンク33jからチューブ42jを介してノズル43jに送り込むことができる。このように、小型ポンプ37としてピストン式のものを用いることで、小さな握力で、消毒液の射出が可能となる。
【0170】
なお、ポンプ圧干渉ボール27j、バネ部27k、および、小型ポンプ37を取り付ける位置は、図15に示した位置に限るものではなく、ハサミの握りに連動してポンプ圧干渉ボール27jによってピストン部37cをシリンダ37a内に押し込むことができる位置に取り付ければよい。また、例えば、図11と同様、突起部27を設け、これによってピストン部37cをシリンダ37a内に押し込む構成としてもよい。
【0171】
メインタンク33jには、薬液充填カプラー66jを取り付けるための円筒状のネジ部64jが設けられている。また、ネジ部64jにおける薬液充填カプラー66jを挿入する側の端部(開口部)から、この開口部とメインタンク33j側の端部との中間付近までが切り込まれた、エア抜き溝65が設けられている。
【0172】
薬液充填カプラー51jは、円筒形状からなり、この円筒部分の内部に、メインタンク33jに備えられたネジ部64jに取り付けるためのネジ部(雌ネジ部)が形成されている。また、上記の円筒部分にはエア抜き口67が形成されている。これにより、エア抜き口67をネジ部64jのエア抜き溝65の位置に合わせることで、メインタンク33j内のエアを排出することができるようになっている。
【0173】
また、薬液充填カプラー66jには、内部に逆止弁を備えた接続部67が設けられており、この接続部76に補助タンクに蓄えられた消毒液を供給するためのチューブを接続できるようになっている。
【0174】
射出量調整ピン63は、チューブ42jの口径を調整することにより、1回の切断動作あたりの射出量を調整するためのものである。
【0175】
このような構成からなる切断機1jにおいても、上記した他の切断機と同様、切断動作と連動して消毒液の吐出を行うことができる。なお、図15では、第1の柄24がメインタンク33jの機能を兼ねる構成について説明したが、これに限らず、例えばメインタンク33jを第1の柄24の内部に別途備える構成であってもよい。また、メインタンク33jを取替え可能な構成としてもよい。また、図15では、第1の柄24(メインタンク33j)を、刃と反対側の部分が略への字型に屈曲されて延長された形状としているが、こえに限るものではない。取り扱いの容易さや必要となる消毒液の量などを考えて、適切な形状、大きさ、容量を決定すればよい。
【0176】
〔参考例4〕
次に、本発明にかかる消毒装置および切断機の他の参考例について、図に基づいて、説明すると以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記の参考例の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0177】
本参考例では、1つの刃からなる切断手段を用いている。本参考例の切断機1iを図16に示す。
【0178】
切断機1iは、包丁(切断手段)2iと消毒装置3iとからなる。
【0179】
包丁2iは、刃56と柄57とからなり、柄57を握り、刃56の端部を押し付けることにより、例えば種芋等を切断する。柄57にはレバー58が備えられており、切断のために刃56を押し付けるときに、柄57を力を入れて握ると、レバー58が後述する小型ポンプ37iを押すように構成されている。
【0180】
次に、上記消毒装置3iについて、図16に基づいて説明する。
【0181】
上記消毒装置3iは、タンク(図示せず)、チューブ32i、小型ポンプ37i、チューブ42i、ノズル(射出方向調整手段)43i、逆止弁35iを備えている。消毒液は、タンク、チューブ32i、小型ポンプ37i、チューブ42i、ノズル43iの順に供給され、射出される。なお、本参考例では、消毒装置3iが射出手段に対応する。
【0182】
小型ポンプ37iは、シリンダ37jと、シリンダ37j内の流体に圧力を加えるピストン37lと、ピストン37lをシリンダ37jから押し出すように付勢するバネ部37kからなる。そして、ピストン部37lは柄57から離れる方向に伸びる受け部を有しており、この受け部が切断動作時の柄57を力を入れて握る動作に連動して作動するレバー58により押されることで、ピストン部37lがシリンダ37j内に押し込まれる。これにより、切断動作に連動してピストン部37lが押され、小型ポンプ37i内の流体に圧力が加わって、一定量の消毒液を、チューブ42iを介してノズル43iに送り込むことができる。また、このように、小型ポンプ37としてピストン式のものを用いることで、小さな握力で、消毒液の射出が可能となる。
【0183】
なお、小型ポンプ37iは、チューブ32iを介して接続しているが、小型ポンプ37iからタンクへの逆流を防ぐため、接続部には、逆止弁であるポンプ弁35iが備えられている。同様に、小型ポンプ37iとチューブ42iとの接続部にもポンプ弁38bが設けられている。
【0184】
ポンプの動作をより詳しく説明すると、以下のとおりである。まず、一旦、レバー58を握ると、ピストン部37lが押込まれ、小型ポンプ37i内の空気が外部に押し出される。そして、ピストン部37lの押込みが解除されると、バネ部37kの作用によりピストン部37lが押し戻され、この際に一定量の消毒液がタンクからチューブ32iを介して小型ポンプ37内に吸い上げられる。
【0185】
この状態で、再度、レバー58を握って切断動作を行なうと、消毒液が、小型ポンプ37iから射出されることになる。そして、ピストン部37lの押込みを解除すると、再びバネ部37kがピストン部37lを押し上げ、この際に新たに消毒液が小型ポンプ37i内に吸い上げられる。この結果、切断動作の度に、消毒液が小型ポンプ37iから射出されることになる。
【0186】
また、本参考例の場合には、一回の切断動作で射出される消毒液の量は、小型ポンプ37iのシリンダ37jの容量によって決まる。それゆえ、コスト面で有利な消毒装置を提供することが可能となる。
【0187】
なお、上記ノズル43iは、刃56の背側(切断を行わない側の端部)から刃56の先端部に向けて消毒液が噴射されるように柄58に取り付けられている。さらに、ノズル43iは、消毒液が図13に示すような扇状に噴射させるような形状であることが望ましい。これにより、刃56全体に消毒液を噴射できる。
【0188】
また、切断手段が包丁である場合も、上記参考例と同様、蛇腹ポンプ等により射出する構成であってもよい。さらに、タンクは、柄57に内蔵される構成であっても構わない。
【0189】
また、切断手段が包丁である場合も、上記参考例と同様、消毒液の滞留時間を延ばすための溝を形成してもよい。
【0190】
〔実施の形態1〕
本発明にかかる消毒装置および切断機の実施の形態について、図に基づいて、説明すると以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記の各参考例の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0191】
図17は、本発明に係る切断機の概略構成を示した説明図である。本実施の形態に係る切断機1dは、図17に示すとおり、ハサミ(切断手段)2cと消毒装置(加熱手段)70とを備えている。なお、上記参考例1と同様、以下では、説明の便宜上、作業者の右手でハサミ2cを操作し、かつ、第1の柄24が親指側になるようにして用いる場合の消毒装置70の取付方について示す。また、左手で切断した果実等を受けることを前提とする。
【0192】
上記ハサミ2cは、第1の刃21、第2の刃22、スプリング23、第1の柄24、第2の柄25’、および、回転軸26を備えている。つまり、参考例1のハサミ2aと比較すると、第2の柄が異なっている。
【0193】
この第2の柄25’は、柄の内部に消毒装置70を内蔵可能な構成となっている。また、第2の柄25’は、消毒装置70の着脱が可能な構成となっている。例えば、第2の柄25’における刃(21・22)とは反対側の端部25’aから消毒装置70を挿入し、この消毒装置70を挿入位置で固定するような固定部材(図示せず)を設けておけばよい。また、第2の柄25’は、後述する開口部25’bを備えている。
【0194】
次に、上記消毒装置70について説明する。
【0195】
上記消毒装置70は、従来から知られているガス燃焼装置により構成されている。このガス燃焼装置の一例としては、特許文献1に開示されているガス燃焼装置が挙げられる。
【0196】
このガス燃焼装置は、液化ガス(例えば、液化ブタンガス)を燃料ガスとして用い、この燃料ガスと空気との混合ガスを燃焼させた触媒に送って、上記混合ガスを無炎燃焼させる装置である。そして、このガス燃焼装置は、ハンダゴテのコテ先を加熱するのに用いられている。
【0197】
本実施の形態では、上記ガス燃焼装置を、上記特許文献1のようにハンダゴテのコテ先を加熱するために用いるのではなく、主として、上記第2の刃22を加熱することに用いる。具体的には、第2の刃22の根元部22b(つまり、第2の柄25側の部分)を、上記ガス燃焼装置で熱する。これにより、熱が第2の刃22の全体に伝導することになる。
【0198】
なお、第2の刃22の温度としては、蛋白質の変性に伴う変化を引き起こす温度(つまり、病気の元となっている病原菌を死滅させる温度)となるように、ガス燃焼装置の燃焼を制御する。具体的には、40℃から100℃の間の温度となることが好ましい。
【0199】
また、上記ガス燃焼装置の電源の入り切りが簡単にできるように、第2の柄25’に開口部25’bを設け、この開口部25’bから電源の入り切りができるようにしておく。
【0200】
以上により、上記切断機1dを用いれば、病気を持った植物から果実等を切り取っても、熱により第2の刃が消毒(殺菌)されるため、同じハサミ2cを用いて健康な植物の果実等を切り取っても、切り取った箇所から、健康な植物の幹側の枝を介して、植物自体が病気に感染することがなくなる。
【0201】
なお、上記の説明においては、消毒装置70が、第2の柄25’から着脱可能な構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、上記第2の柄25’に組み込まれており、この第2の柄25’から消毒装置を取り外すことができない構成であってもよい。この場合には、ガスを注入するための開口を、第2の柄25’に別途設けておく必要がある。
【0202】
なお、上記の説明においては、上記ハサミ2cを右手で扱い、かつ、親指が上記第1の柄24側となる場合についての切断機1dの構成について説明した。しかしながら、左手でハサミ2cを扱う場合であっても、第2の刃22を介して第1の刃21に熱が伝導するため、上記切断機1dの利用が可能となる。
【0203】
〔実施の形態2〕
本発明にかかる消毒装置および切断機の実施の他の形態について、図に基づいて、説明すると以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記の各参考例および実施の形態の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0204】
図18は、本発明に係る切断機の概略構成を示した説明図である。本実施の形態に係る切断機1eは、図18に示すとおり、ピストル型をしており、ハサミ(切断手段)2dと、消毒装置80とを備えている。なお、上記実施の形態1と同様、以下では、説明の便宜上、作業者の右手でハサミ2dを操作し、かつ、後述する引き金部を親指以外の指で引くようにして用いる場合の消毒装置(加熱手段)80の取付方について示す。また、左手で切断した果実等を受けることを前提とする。
【0205】
上記消毒装置80は、上記実施の形態1と同様に、ガス燃焼装置より構成されている。そして、この消毒装置80は、後述する第2の刃22’を加熱する。なお、加熱方法および加熱温度については、上記実施の形態1で示した方法および温度と同じである。また、ガス燃焼装置の電源の入り切りをできるように、後述するグリップ部93にスイッチを設けている。
【0206】
上記ハサミ2dは、第1の刃21’、第2の刃22’、連動部91、引き金部92、グリップ部93、スプリング23’、回転軸26、および、回転軸94を備えている。
【0207】
上記第2の刃22’は、上記消毒装置80に固定されている。また、上記第1の刃21’は、回転軸26を中心として、回転可能となっている。また、上記連動部91は、上記第1の刃21’の端部21’aと引き金部92の根元側の端部92aとに接続されており、例えば金属線(ワイヤー)で形成されている。なお、上記第1の刃21’の端部21’aは、同図に示すとおり、回転軸26に対して、刃の先端部である刃先(切っ先)と反対側に位置している。
【0208】
上記引き金部92は、スプリング23’により、グリップ部93と一定角度をなした位置に付勢されている。また、この引き金部92は、上記回転軸94を中心に回転可能となっている。ここで、引き金部92をグリップ部93の方向へ引くと、引き金部92が回転軸94を中心に回転し、連動部91が引っ張られる。この動作により、上記第1の刃21’が、上記回転軸26を中心に回転し、第1の刃21’と第2の刃22’とにより、果実等が切断される。
【0209】
以上により、上記切断機1eを用いれば、病気を持った植物から果実等を切り取っても、熱により第2の刃が消毒(殺菌)されるため、同じハサミ2dを用いて健康な植物の果実等を切り取っても、切り取った箇所から、健康な植物の幹側の枝を介して、植物自体が病気に感染することがなくなる。
【0210】
なお、上記の説明においては、上記ハサミ2dを右手で扱う場合についての切断機1eの構成について説明した。しかしながら、左手でハサミ2dを扱う場合であっても、第2の刃22’を介して第1の刃21’に熱が伝導するため、上記切断機1eの利用が可能となる。
【0211】
また、このような熱消毒についても、切断手段として包丁のような一枚の刃からなるものを用いてもよい。なお、包丁に加熱式の消毒装置を取り付ける場合は、消毒装置を棒状にし、包丁の柄の内部または延長上ないし柄そのものとして取り付ければよい。例えば、図16の柄57の内部に加熱式の消毒装置を内蔵し、柄に設けられたスイッチにて加熱のオン・オフを行ってもよい。
【0212】
また、図17および図18では、第2の刃22の根元部(つまり、第2の柄側の部分)を、ガス燃焼装置で熱することにより、熱が第2の刃の全体に伝導する構成としているが、これに限るものではない。例えば、第1の刃21および/または第2の刃22の刃先あるいはその近傍を直接加熱する構成としてもよい。
【0213】
図19(a)に、第2の刃22の刃先部分を直接加熱する構成の切断機2kを示す。この切断機2kは、ハサミ(切断手段)2kと消毒装置(加熱手段)71とを備えている。
【0214】
消毒装置71は、第2の柄25の一部に取り付けられており、燃料ガスが充填されるボンベ(カセット)部72、燃料ガスが燃焼される燃焼部73、燃焼ガスが排出されるホットブロー部(熱排気孔)74を備えている。
【0215】
燃焼部73は、ボンベ部72から供給される燃料ガスを燃焼させて、ホットブロー部74に送る。ホットブロー部74は、燃焼部73から送られた燃焼ガスを、第2の刃22の刃先に向けて排出する。これにより、燃焼ガスによって第2の刃22の刃先が直接加熱することができ、第2の刃22を効率的に加熱することができる。
【0216】
なお、この構成では、消毒装置71の全部または一部を着脱可能な構成としてもよい。例えば、ボンベ部72を取替え可能な構成としてもよい。
【0217】
また、この構成では、燃料ガスを供給する手段として、カセット方式(カートリッジ方式)のボンベを用いたコードレスホットブロー方式としている。これにより、取り扱いが容易であり、作業性を向上させることができる。ただし、これに限るものではなく、コード(ホース)等を用いて燃料ガスを供給する構成としてもよい。
【0218】
また、ホットブロー部74の形状は、図19(a)に示したような先細形状に限らず、例えば図19(b)に示すようにストレート形状としてもよく、あるいは図19(c)に示すように扇型形状としてもよい。
【0219】
また、消毒装置71を取り付ける位置は、図19(a)の位置に限らず、切断動作の支障とならず、かつ、第1の刃21および/または第2の刃25の加熱を適切に行える位置であればよい。また、消毒装置71を複数備えてもよい。この場合、第1の刃21および第2の刃25を、それぞれ別の消毒装置71によって加熱してもよい。
【0220】
また、ホットブロー部74は、燃焼部73から供給される燃焼ガスを方向を変えずに排出するストレート型のものであってもよく、先端部を屈曲させ、燃焼ガスの排出方向を変化させる屈曲型のものであってもよい。したがって、ホットブロー部74の形状は、刃先を適切に加熱するために適した形状となるように決定すればよい。
【0221】
また、上記参考例1においては、第1の刃21および第2の刃22の周囲に、ノズル34またはノズル部41を設け、このノズル34またはノズル部41から消毒液が射出される構成とした。さらに、上記参考例2においても、第1の刃21および第2の刃22の周囲に、消毒ボンベ51あるいは小型ポンプ61を配置し、消毒ボンベ51の消毒液射出口あるいは小型ポンプの消毒液射出口から、消毒液が射出される構成とした。
【0222】
つまり、上記参考例1および2の何れにおいても、消毒の対象となる刃に対して、刃の外部から消毒液を射出する構成を挙げて説明した。しかしながら、このような構成に限定されるものではなく、刃の内部に消毒液用の通路を設け、この通路に対して消毒液を供給し、この通路を介して消毒液が刃の表面に滲み出すような構成としてもよい。
【0223】
また、上記参考例1においては、ハサミ2aに、ノズル34を1つだけ備えた構成を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ハサミ2aにノズル34を2つ備え、第1の刃21および第2の刃22の両刃に対して消毒液を噴霧する構成としてもよい。
【0224】
この場合には、一方のノズルにより、第1の刃21の側面であって第2の刃22と反対側となる面(第1の刃の外側面)に消毒液が射出され、他方のノズルによって、第2の刃22の側面であって第1の刃21と反対側となる面(第2の刃の外側面)に向けて消毒液が射出されるように、各ノズルを設ければよい。
【0225】
また、ノズル34の変わりにノズル装置40を用いる場合も同様である。つまり、ハサミ2aにノズル装置40を2つ設け、一方のノズル装置により、消毒液が第1の刃の外側面に射出され、他方のノズル装置により、消毒液が第2の刃の外側面に射出されるように、各ノズル装置を配置すればよい。
【0226】
このように、ハサミ2aにノズル34あるいはノズル装置40を2つ設けることにより、ハサミ2aを左右どちらの手で扱う場合にも、他の植物への病原菌の感染を防ぐことが可能となる。
【0227】
また、上記参考例1および2において、射出される消毒液は、例えば霧状となって射出(つまり、噴霧)されるように、ノズル34、ノズル43、先端押込部51aの射出口、または、小型ポンプ61の射出口を形成することが好ましい。
【0228】
〔参考例5〕
塗布装置および植物切断機の参考例について説明すると以下のとおりである。本参考例の塗布装置は植物の切断面に効率的に有用物質を塗布するためのものであり、本参考例の植物切断機は、この塗布装置を備えた切断機である。
【0229】
本参考例では、参考例1ないし4における消毒装置3,60,3f,3iを塗布装置3,60,3f,3iとして用い、これらの塗布装置を切断手段2a,2b,2f,2iとそれぞれ組み合わせて用いる植物切断機(切断機)1a,1c,1f,1iについて説明する。なお、説明の便宜上、上記の参考例1ないし4の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、特に断らない限り、参考例1ないし4で述べた各部材の変形例と同様の変形が可能であるものとする。
【0230】
まず、参考例1における消毒装置3を塗布装置3として用い、この塗布装置3を参考例1における切断手段2aと組み合わせた植物切断機(切断機)1aについて説明する。
【0231】
植物切断機1aでは、参考例1における切断機1aとは異なり、補充用タンク31に、シュードモナス菌等の拮抗菌、具体的にはトリコデルマ・アトロビリデ、非病原性エルビニア・カロトボーラ、シュードモナス・フルオレッセンス、タラロマイセス・フラバス等の拮抗菌を有用物質として貯える。あるいは、次亜塩素酸ソーダ等の殺菌剤や、ワックス等の保護材を有用物質として貯えてもよい。
【0232】
また、植物切断機1aでは、ノズル34からの有用物質の射出方向の調整方法が、参考例1における切断機1aと一部異なる。ここで、上記ノズル34からの有用物質の射出方向について説明する。
【0233】
有用物質は、切断後の植物体の切り口に付着すれば、導管を通って植物内部に引き込まれるので、塗布方法は限られるものではなく、最終的に切り口に付着しさえすればよい。したがって、有用物質は、植物体の切り口に向かって直接射出されていてもよく、また、刃に射出し、間接的に切り口に塗布されるようにしてもよい。
【0234】
有用物質を植物体の切り口に直接射出する場合は、第2の刃22の側面であって、第1の刃21とは反対側となる面(以下、第2の刃の外側面と称する)にノズル34を取り付け、射出方向が第2の刃22の外側面と平行か、あるいは刃と離れる方向に射出されるように調整すればよい。一方、刃に射出し、間接的に切り口に塗布する場合は、第2の刃22の側面であって、第1の刃21とは反対側となる面(以下、第2の刃の外側面と称する)にノズル34を取り付け、上記ノズル34からの有用物質の射出方向が、第2の刃22の側面であって、第1の刃21とは反対側となる面(以下、第2の刃の外側面と称する)に向くように、調整すればよい。
【0235】
なお、射出方向の調整は、ノズル34の形状やノズル34の取付位置を変える事で調整することができる。上記形状の調整は、ノズル34自体の形を変形させて行えばよい。また、上記取付位置の調整は、例えば、上記取付部36に対してメインタンク33を移動させたり、あるいは、第1の柄24に対する取付部36の取付位置を変更する等により行なえばよい。
【0236】
以上の植物切断機1aの構成により、以下のように有用物質が射出され、後述する効果が得られる。
【0237】
まず、作業者が果実等を枝から切り取る際に、突起部27がメインタンク33の側面を押し、上記メインタンク33内の空気圧が上昇する。これにより、メインタンク33内の有用物質が、果実等の切り取りの都度、上記射出方向に射出される。つまり、果実等を切り取った枝の切り口、または植物切断機1aの枝側の面である、第2の刃22の外側面、もしくはその両方にかかるように射出される。
【0238】
したがって、上記植物切断機1aを用いれば、切断動作と同時に、枝や茎を切り取った後の切り口に、有用物質が塗布され、切り口からすばやく有用物質が吸収される。よって、有用物質の塗布作業を別に行うことなく、植物の切断面から有用物質を取り込ませることができる。
【0239】
植物に取り込ませる有用物質としては、例えば、病原体に対する拮抗作用がある微生物(菌・ウィルス等)が好ましい。果実を採取後や、剪定後の植物体の切り口は、病原体が入りやすく、ここから病原体の繁殖が起こりやすい。しかし、本発明の切断機により、この切り口に拮抗菌を塗布して切断面付近に拮抗菌を接種させておけば、入り込んだ病原体の増殖を抑えることができ、有効に病気の発症を抑えることができる。病原体に対する拮抗作用がある微生物としては、シュードモナス菌等の拮抗菌、具体的にはトリコデルマ・アトロビリデ、非病原性エルビニア・カロトボーラ、シュードモナス・フルオレッセンス、タラロマイセス・フラバス等の拮抗菌が挙げられる。
【0240】
また、有用物質として、次亜塩素酸ソーダ等の殺菌剤を用いると、植物体の切り口に付着した病原体を殺菌でき、感染を防ぐことができる。また、有用物質としてワックスなどの保護剤を植物体の切り口に付着させると、植物体の切り口が直接外界と接触しなくなるので、病原体の侵入を防ぐことができる。
【0241】
なお、植物切断機1aは、植物体あるいは植物体と接触する刃(植物体側となる刃の外側(植物体側)面)に向けて有用物質を射出できる構成であればよく、ノズル34の形状や取付部36の取り付け位置、ノズル34の配置、有用物質の射出角度、メインタンク33の取り付け位置、あるいはその他の構成を、参考例1と同様、適宜変更してもよい。また、参考例1と同様、ノズル34の代わりに、ノズル装置40やチューブ92とノズル部91とからなるノズル装置などを用いてもよい。
【0242】
なお、有用物質を植物体の切り口に直接射出する場合は、より広範囲に噴霧できる形状であることが好ましく、ノズル34の先端、ノズル部41におけるノズル43の先端部、ノズル91の先端部の形状としては、このように有用物質を噴霧し得るものが好ましく用いられる。このようにすることで、より確実に有用物質を植物の切り口へ塗布できる。
【0243】
次に、参考例2の図7における消毒装置60を塗布装置60として用い、この塗布装置60を参考例2における切断手段2bと組み合わせた植物切断機(切断機)1cについて説明する。
【0244】
この構成では、参考例2における消毒液に代えて、上記した拮抗菌を含む液体、殺菌剤、保護剤等の有用物質を用いることになる。
【0245】
また、このような構成とする場合においても、有用物質の射出方向を、上記した植物切断機1aの場合と同様の方向とする。
【0246】
これにより、植物切断機1cを用いれば、切断の動作によって有用物質が射出され、切断された植物の切断面に有用物質が塗布される。
【0247】
また、一回の切断動作で射出される有用物質の量は、小型ポンプ61の容量等によって決まるので、ハサミ2bを握っている間、有用物質がボンベ51から射出され続けることがない。それゆえ、コスト面で有利な塗布装置を提供することが可能となる。
【0248】
なお、有用物質が上記した射出方向へ射出される構成、すなわち、果実を切り取る際に幹の切り口または幹側となる刃の外側面(第1の刃の外側面あるいは第2の刃の外側面)に有用物質を射出できる構成であれば、各部材の構成を参考例2と同様に変更してもよい。
【0249】
また、有用物質を幹側となる刃に射出し、間接的に植物に取り込ませる場合は、前記刃に対して、上記参考例1と同様に、刃の長さ方向(刃の長手方向)に沿って広く扇状に、さらには刃の幅方向(刃の短手方向)に沿って狭い範囲に扁平状となって射出されることが好ましい(図6参照)。この場合には、有用物質が扇状に射出され、有用物質が刃の広い範囲に射出されることになる。それゆえ、刃の全面に有用物質が付着し、有用物質の取り込みを確実に行なえる。
【0250】
また、有用物質を植物体の切り口に直接射出する場合は、より広範囲に噴霧できる形状であることが好ましく、ノズル34の先端、および、ノズル部41におけるノズル43の先端部の形状としては、このように有用物質を噴霧し得るものが好ましく用いられる。このようにすることで、より確実に有用物質を切り口へ塗布できる。
【0251】
次に、参考例3における消毒装置3fを塗布装置3fとして用い、この塗布装置3fを参考例3における切断手段2fと組み合わせた植物切断機(切断機)1fについて説明する。
【0252】
この構成では、参考例3における消毒液に代えて、上記した拮抗菌を含む液体、殺菌剤、保護剤等の有用物質を用いることになる。
【0253】
なお、チューブ42’を、例えばシリコンゴム、エラストマーのような柔軟な材料で構成し、メインタンク33’から送り込まれた有用物質をノズル43’へ供給するようにしてもよい。また、チューブ42’は、第1の柄24”の内部に形成されていてもよい。
【0254】
また、塗布装置3fおよび植物切断機(切断機)1fを用いる場合、上記有用物質の射出方向を、上記した植物切断機1aと同様の方向とする。
【0255】
これにより、上記植物切断機1fを用いれば、切断動作と同時に、枝や茎を切り取った後の切り口に、有用物質が塗布され、切り口からすばやく有用物質が吸収される。よって、有用物質の塗布作業を別に行うことなく有用物質を取り込ませることができる。
【0256】
また、有用物質を幹側となる刃に射出し、間接的に植物に取り込ませる場合は、前記刃に対して、上記参考例1と同様に、刃の長さ方向(刃の長手方向)に沿って広く扇状に、さらには刃の幅方向(刃の短手方向)に沿って狭い範囲に扁平状となって射出されることが好ましい(図6参照)。この場合には、有用物質が扇状に射出され、有用物質が刃の広い範囲に射出されることになる。それゆえ、刃の全面に有用物質が付着し、有用物質の取り込みを確実に行なえる。
【0257】
また、有用物質を植物体の切り口に直接射出する場合は、より広範囲に噴霧できる形状であることが好ましく、ノズル部43’の先端部の形状としては、このように有用物質を噴霧し得るものが好ましく用いられる。このようにすることで、より確実に有用物質を切り口へ塗布できる。
【0258】
また、参考例3と同様、小型ポンプとして、ピストンポンプ(水鉄砲式ポンプ)等を用いてもよい。この場合にも、有用物質の射出方向を、上記した方向とすればよい。
【0259】
次に、参考例4における消毒装置3iを塗布装置3iとして用い、この塗布装置3iを参考例4における切断手段2iと組み合わせた植物切断機(切断機)1iについて説明する。
【0260】
この構成では、参考例4における消毒液に代えて、上記した拮抗菌を含む液体、殺菌剤、保護剤等の有用物質を用いることになる。
【0261】
この場合、ノズル43iは、刃56の背側(切断を行わない側の端部)から刃56の先端部に向けて有用物質が噴射されるように柄58に取り付けられる。さらに、ノズル43iは、有用物質が図13に示すような扇状に噴射させるような形状であることが望ましい。これにより、刃56全体に有用物質を噴射でき、切断対象物に有用物質が付着しやすくなる。
【0262】
また、切断手段が包丁である場合も、上記参考例と同様、蛇腹ポンプやピストンポンプ等により射出する構成であってもよい。さらに、タンクは、柄57に内蔵される構成であっても構わない。
【0263】
また、上記参考例1における消毒装置3を塗布装置3として用い、切断機1aを植物切断機(切断機)1aとして用いる構成においては、第1の刃21および第2の刃22の周囲に、ノズル34またはノズル部41を設け、このノズル34またはノズル部41から有用物質が射出される構成とした。さらに、参考例2における消毒装置60および切断機1cを、塗布装置60および植物切断機(切断機)1cとして用いる構成においても、第1の刃21および第2の刃22の周囲に、ボンベ51あるいは小型ポンプ61を配置し、消毒ボンベ51の有用物質射出口あるいは小型ポンプ61の有用物質射出口から、有用物質が射出される構成とした。
【0264】
つまり、上記植物切断機1a〜1cを用いる何れの構成においても、射出の対象物に対して、外部から有用物質を射出する構成を挙げて説明した。しかしながら、このような構成に限定されるものではなく、刃の内部に有用物質用の通路を設け、この通路に対して有用物質を供給し、この通路を介して有用物質が刃の表面に滲み出すような構成とし、滲み出した有用物質が切断動作とともに切断面に付着するようにしてもよい。
【0265】
また、上記植物切断機1aを用いる構成においては、ハサミ2aに、ノズル34を1つだけ備えた構成を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ハサミ2aにノズル34を2つ備え、第1の刃21および第2の刃22の両刃に対して有用物質を噴霧する構成としてもよい。
【0266】
この場合には、一方のノズルにより、第1の刃21の側面であって第2の刃22と反対側となる面(第1の刃の外側面)に有用物質が射出され、他方のノズルによって、第2の刃22の側面であって第1の刃21と反対側となる面(第2の刃の外側面)に向けて有用物質が射出されるように、各ノズルを設ければよい。
【0267】
また、ノズル34の変わりにノズル装置40を用いる場合も同様である。つまり、ハサミ2aにノズル装置40を2つ設け、一方のノズル装置により、有用物質が第1の刃の外側面に射出され、他方のノズル装置により、有用物質が第2の刃の外側面に射出されるように、各ノズル装置を配置すればよい。
【0268】
このように、ハサミ2aにノズル34あるいはノズル装置40を2つ設けることにより、ハサミ2aを左右どちらの手で扱う場合にも、植物の切断面に有用物質を塗布することが可能となる。
【0269】
また、上記植物切断機1a〜1cを用いる構成において、射出される有用物質は、例えば霧状となって射出(つまり、噴霧)されるように、ノズル34、ノズル部43、43’、先端押込部51aの射出口、または、小型ポンプ61の射出口を形成することが好ましい。
【0270】
〔実施の形態3〕
本発明にかかる刃物の一実施の形態について、図を用いて説明する。図20は、本実施の形態に係る刃物であるハサミ101aの概略構成を示す斜視平面図である。なお、本実施の形態では、このハサミ101aを、植物の剪定用、特に、「赤シソ」の刈り取り用に用いる例について説明する。
【0271】
図20に示すように、ハサミ101aは、第1の刃111、第2の刃112、スプリング113、第1の柄114、第2の柄115、回転軸116、マイクロヒータ(加熱手段)117、電池(電源手段)118、電気配線119を備えている。
【0272】
また、ハサミ101aは、第1の刃111および第1の柄114からなる部分と、第2の刃112および第2の柄115とからなる部分とを回転軸116の箇所で回転可能に組み合わせることにより構成されている。
【0273】
第1の刃111と第2の刃112とは、ハサミ101aの両刃を構成する刃である。第1の刃111および第2の刃112は工具鋼からなるが、これに限らず、ステンレスなどの他の金属材料、あるいはセラミックスなどの非金属材料からなる刃を用いてもよい。ただし、第1の刃111および第2の刃112には、熱伝導率の高い材料を用いることが好ましい。
【0274】
また、第1の刃111には溝部(図示せず)が設けられており、この溝部には、マイクロヒータ117が埋め込まれている。なお、マイクロヒータ117を溝部に埋め込んだ後、この溝部は耐熱性樹脂でシールされている。
【0275】
マイクロヒータ117は、第1の柄114の内部に備えられた電池118から供給される電力によって、第1の刃111を加熱するものである。また、マイクロヒータ117によって第1の刃111に伝導された熱は、第1の刃111と第2の刃112との接触面および回転軸116を介して第2の刃112にも伝導される。したがって、マイクロヒータ117による加熱によって、第1の刃111および第2の刃112の温度が上昇するようになっている。
【0276】
なお、ハサミ101aでは、マイクロヒータ117として、特許文献2における図3,図4に記載されている発熱体を用いている。図21はマイクロヒータ117の透視平面図であり、図22はマイクロヒータ117の断面図である。これらの図に示すように、マイクロヒータ117は、芯材120、発熱線121、先端電極部127、基端電極部128、空気抜き穴122、耐熱性絶縁層124を備えている。
【0277】
芯材120は、ムライト系,コーディエライト系あるいはアルミナ質等のセラミックスを用いて円筒状に形成されている。
【0278】
発熱線121は、芯材120の外周面に設けられた螺旋状の溝(図示せず)に沿って巻設されている。なお、発熱線121は、白金あるいは白金−ロジウム,白金−インジウム等の白金合金で形成されており、正の抵抗温度特性が得られるようになっている。この発熱線121の両端部121aは、芯材120の両端部に装着固定した先端電極部127および基端電極部128の内面に、スポット溶接や銀等を配合した導電性接着剤等を用いて接続固定されている。
【0279】
先端電極部127および基端電極部128は、ニッケル,ステンレス鋼あるいは銀等の板材をプレス加工してキャップ状に形成されており、その中心部には、芯材120内の空気抜き孔122がそれぞれ設けられている。
【0280】
耐熱性絶縁層124は、先端電極部127の外面および基端電極部128の基端面123を除くマイクロヒータ117の外面に設けられている。この耐熱性絶縁層124は、ガラスペーストやセラミックスコーティング材等の耐熱性を有する電気絶縁材をコーティングし、焼成して形成されている。これにより、マイクロヒータ117と、第1の刃111に設けられた溝との間を確実に絶縁するようになっている。
【0281】
図20に示すように、先端電極部127および基端電極部128の一方は、電池118の陽極に電気的に接続された電気配線119と接続され、他方は、電池118の陰極に電気的に接続された電気配線(図示せず)と接続される。これにより、電池118から供給される電力によってマイクロヒータ117が第1の刃111を加熱する。なお、これらの電気配線は、電気的接続が必要な部分以外は、ポリイミドチューブに内包されている。
【0282】
なお、第1の刃111が電気伝導性を有する材料で形成されている場合、電池118の一方の電極とマイクロヒータ117の一方の電極部との間を、第1の刃111によって電気的に接続するようにしてもよい。すなわち、第1の刃111をマイクロヒータ117に給電するための導体として用いてもよい。また、この場合、上記導体となる部分のうち、切断動作に支障を生じさせない範囲を、電気絶縁層によって覆うことにより、漏電を防止するようにしてもよい。
【0283】
電池118は、水素リチュウムイオン電池(3.6V/本)であり、ハサミ101aではこの電池118を2本備えている。
【0284】
第1の柄114および第2の柄115は、スチールからなる。このため、ハサミ101aでは、第1の刃111および第2の刃112が加熱された場合に、第1の柄114および第2の柄115の温度が上昇することを抑制する処置が施されている。
【0285】
図23(a)および図23(b)は、ハサミ101aにおける第1の刃111および第1の柄114の構成を示す透視平面図および断面図である。これらの図に示すように、第1の刃111と第1の柄114とは、両者の間に熱絶縁物131を挟持するように、熱絶縁性を有するリベット132によって固定されている。熱絶縁物131の材質は特に限定されないが、例えば、空気を内包したシリコン樹脂などを用いることができる。これにより、第1の刃111が加熱された場合でも、第1の柄114の温度が上昇することを抑制している。
【0286】
なお、図23(a)に示すように、電池118の電極とマイクロヒータ117の電極とを電気的に接続するための電気配線119は、両電極との接続部以外の部分をポリイミドチューブ133に覆われている。また、電気配線119は、マイクロヒータ117の電極部にスポット溶接によって接続されている。また、マイクロヒータ117および電気配線119を内包したポリイミドチューブ133と、第1の刃111における溝との間には、セラミックス接着剤(図示せず)が充填されており、これによってマイクロヒータ117およびポリイミドチューブ133が第1の刃111に接着(装着)されている。また、第1の柄114の外表面は、熱収縮チューブ134によって覆われている。また、第1の刃111には、第2の刃との回転軸116が貫通される回転軸孔116aが設けられている。
【0287】
なお、第1の刃111および第1の柄114と同様に、第2の刃112および第2の柄114は、熱絶縁物を挟持するように、熱絶縁性を有するリベットによって固定されている。
【0288】
スプリング113は、第1の刃111および第2の刃112が開くように、第1の柄114と第2の柄115とを同時に異なる方向へ付勢している。そして、使用者が、スプリング113の付勢力以上の力で、第1の柄114と第2の柄115とを握ることにより、第1の刃111と第2の刃112とが上記回転軸116を中心として回転し、第1の刃111と第2の刃112とによって、例えば、果実、花、および枝等を切断できるとうになっている。
【0289】
次に、第1の刃111および第2の刃112の温度と、赤シソを刈り取る場合における青枯病の二次感染抑制効果との関係について説明する。
【0290】
表1は、「赤シソ」に発生する青枯病菌(シソ青枯病菌)の温度による菌濃度の変化に関する、愛媛県農業試験場の試験成績を示している。より詳細には、シソ青枯病発病株から分離した青枯菌を26℃に保ったPPGA(Potato Peptone Glucose Agar)培地で3日間インキュベート(培養)し、細菌懸濁液を作成した。そして、この細菌懸濁液1mlを滅菌試験管に入れ、40℃〜90℃の10℃間隔の各設定温度に設定したウォーターパス中に置いた。その後、試験管中の細菌懸濁液が設定温度になった時点で試験管をウォーターパスから取り出して冷却後、希釈平板法(26℃、3日間)により懸濁液濃度を測定した。表1はその結果を示している。
【0291】
【表1】

【0292】
この表に示すように、細菌懸濁液の温度が40℃の場合には菌密度は変化しなかったが、細菌懸濁液の温度が高くなるほど菌密度が低下し、90℃では青枯病菌は検出されなかった。
【0293】
表2は、刃の一部をアルコールランプで加熱したカッターで接種源植物である青枯病発病株(赤シソ)の茎を切断し、そのカッターで試験用植物(赤シソ)の一部を切断した場合の、刃の加熱温度と二次伝染抑制効果との関係に関する、愛媛県農業試験場の試験成績を示している。より詳細には、60℃〜100℃の10℃間隔の各設定温度に加熱したカッターで青枯病発病株を切断し、試験用植物である赤シソの茎を第3葉の上部3cm程度の位置で切断することにより試験用植物に青枯病菌を接種し、接種後の試験用植物をガラス室で管理した。なお、試験用植物として、園芸用育苗培土を充填した9cmポットを用いてガラス室で育苗し、播種44日目の第5葉展開期の赤シソを用い、各設定温度について15株の試験用植物(供試株)に青枯病菌を接種した。また、刃の温度測定には、デジタル表面温度計を用いた。そして、接種5日後,7日後,10日後に、萎れの有無により発病株を調査した。表2はその結果を示している。また、表2には、比較のために、刃の温度が32℃のカッターを用いて上記の接種作業を行った場合の結果も示している。
【0294】
【表2】

【0295】
この表に示すように、刃(刈刃)の温度が高くなるほど発病株数が減少しており、刃の温度が90℃以上の場合には発病株数は0であった。したがって、刈り取り時の刃の温度が90℃以上であれば、二次伝染による青枯病の発病を抑制することが可能であることがわかる。
【0296】
次に、本実施の形態にかかるハサミ101aにおける、マイクロヒータ117への通電時間と、第1の刃111および第2の刃112の温度との関係について説明する。
【0297】
図24(a)は、ハサミ101aにおける温度測定位置を示す斜視図である。この図に示すA〜Dの各位置の温度を、熱電対(φ0.32)で測定した。なお、Aは第1の刃111における先端付近、Bは第1の刃111における第2の刃112との接合部(回転軸16)付近、Cは第2の刃112における先端付近、Dは第2の刃112における第1の刃111との接合部(回転軸16)付近である。
【0298】
図24(b)は、ハサミ101aを開いた状態におけるマイクロヒータ117への通電時間とA〜Dの各部の温度との関係を示すグラフである。図24(c)は、ハサミ101aを閉じた状態におけるマイクロヒータ117への通電時間とA〜Dの各部の温度との関係を示すグラフである。
【0299】
図24(c)に示すように、ハサミ101aでは、刃を閉じている場合、第1の刃111および第2の刃112の温度を90℃以上に約90分間保つことができる。また、図24(b)に示すように、刃を開いた状態でも、第1の刃111の温度を100℃以上に約90分間保つことができる。
【0300】
なお、刃を開いている場合、第2の刃112における測定点Cの温度は約70℃に低下する。しかしながら、通常、植物の刈り取り作業では刃の開閉を繰り返す。このため、通常の使用時には、刈り取り(切断)時における第2の刃112の温度を約90℃以上に保つことができる。また、刈り取る直前までは刃を閉じておき、刈り取り時にのみ刃を開閉させるようにすれば、第1の刃111および第2の刃112の温度を確実に90℃以上に保つことができる。したがって、ハサミ101aを用いることにより、青枯病に感染した赤シソを刈り取る場合でも、二次伝染を防止することができる。
【0301】
以上のように、本実施の形態にかかるハサミ101aでは、マイクロヒータ117によって第1の刃111および第2の刃112を加熱し殺菌(加熱殺菌)する。これにより、青枯病に感染した赤シソを刈り取った後、他の健康な赤シソを刈り取る場合でも、青枯病が二次伝染することを防止できる。なお、上記した青枯病の接種実験の結果から明らかなように、ハサミ101aにおける第1の刃111および第2の刃112の温度を90℃以上とすることにより、瞬時(例えば2,3秒)の切断連続作業(切断動作)においても第1の刃111および第2の刃112に付着した青枯菌を死滅させ、感染力を失活させることができる。
【0302】
なお、本実施の形態では、ハサミ101aが赤シソの刈り取り用であって、青枯病の二次感染を防止するためのものである場合について説明したが、ハサミ101aの用途はこれに限るものではない。例えば、他の植物における二次伝染、あるいは他の病原菌による二次伝染を防止するために用いてもよい。この場合、対象とする病原菌等の特性に合わせて、第1の刃111および第2の刃112の温度が適切な温度となるように、マイクロヒータ117の構成,マイクロヒータ117への供給電圧などを適宜変更すればよい。
【0303】
また、ハサミ101aは、植物の剪定用に限らず、複数の切断対象物を続けて切断する場合に、個々の切断対象物ごとに刃の殺菌を必要とする、あらゆる用途に適用できる。例えば、刃先を加熱することによって植物病原菌の殺菌消毒を行い、それによって剪定、整枝、採果、種苗調整作業などにおいて、二次伝染を防止できる。あるいは、調理用のハサミなどに適用してもよい。この場合、例えば、O157やインフルエンザなどの各種病原菌の二次伝染を防止できる。また、本発明は、ハサミに限らず、複数の対象物を続けて切断したり切削したりする場合に、個々の対象物ごとに刃の殺菌を必要とする、あらゆる刃物に適用できる。例えば、鎌,鋸,斧,鉈,包丁,ナイフ,バリカンなどの切断機、あるいは、ドリル,キリなどの切削機などに適用してもよい。
【0304】
また、本実施の形態におけるハサミ101aでは、加熱手段として、図21および図22に示したマイクロヒータ117を用いているが、加熱手段の構成はこれに限るものではない。例えば、特許文献2の図9に記載されている発熱体からなるマイクロヒータ117aを用いていもよい。図25は、マイクロヒータ117aの平面図である。
【0305】
この図に示すように、マイクロヒータ117aは、磁気半導体発熱体145、先端電極部146、基端電極部147、耐熱性絶縁層148を備えている。
【0306】
磁気半導体発熱体145は、正の抵抗温度特性を示すセラミックヒータである。先端電極部146および基端電極部147は、磁気半導体145の長手方向両端部に、アルミニウム、ニッケル、銀あるいは金等を溶射,メッキあるいは接着等によってコーティングされてなる。耐熱絶縁層148は、先端電極部146の外面および基端電極部147の基端面を除く磁気半導体発熱体145の外面を被覆するように設けられている。なお、耐熱絶縁層148には、上記したマイクロヒータ117における耐熱絶縁層124と同様の材質を用いればよい。このような構成からなるマイクロヒータ117aを、マイクロヒータ117に代えて用いることによって、マイクロヒータ117を用いる場合と略同様の効果を奏する。
【0307】
また、ハサミ101aに適用できる加熱手段は、上記したマイクロヒータ117やマイクロヒータ117aに限らず、ハサミ101aにおける切断動作に支障を生じさせない位置に格納あるいは装着でき、第1の刃111および第2の刃112の温度を所定の温度以上に加熱できるものであればよい。例えば、ハサミ101aでは、第1の刃111に設けた溝にマイクロヒータ117を埋め込んでいるが、このような溝を設けずに、第1の刃111の表面における、ハサミ101aの切断動作に支障を生じせない位置に、マイクロヒータ117を取り付けるようにしてもよい。
【0308】
また、本実施の形態におけるハサミ101aでは、第1の刃111にのみマイクロヒータ117が設けられているが、これに限らず、第1の刃111および第2の刃112の双方にマイクロヒータ117を備えるようにしてもよい。この場合、第1の刃111および第2の刃112における温度を、より確実に所定の温度に昇温させることができる。なお、この場合、第1の柄114および第2の柄115の双方に、電池118等の電源手段を備えるようにしてもよい。
【0309】
また、本実施の形態におけるハサミ101aは、上記したように、電池118として水素リチュウムイオン電池(3.6V/本)を2本備えている。これにより、図24(b)および図24(c)に示すように、ハサミ101aを90分間以上加熱し続けることができる。ただし、電池(電源手段)118は、水素リチュウムイオン電池に限るものではなく、第1の刃111および第2の刃112の温度を所定の温度以上に、所定の時間以上加熱できる電源手段であればよい。
【0310】
また、電池118は、必ずしもハサミ101aにおける第1の柄111の内部あるいは外面に備える必要はない。例えば、電源手段をハサミとは別体とし、この電源手段とハサミとをコード(電気配線)を介して電気的に接続するようにしてもよい。つまり、電源手段をハサミ101aに備えるビルドイン方式であっても、電源手段をハサミ101aとは別体に設ける外付け方式であってもよい。なお、電源手段を外付けにする場合、ハサミ101aと、それと別体に設けられた電源手段とによって本発明の刃物を構成することになる。また、ビルドイン方式とする場合、持ち運びが容易になるので、例えば、広範囲に移動しながら切断作業を行う場合に、作業者の負担を軽減できる。
【0311】
また、本実施の形態にかかるハサミ101aは、電源手段を備えている。このため、ハサミ101aは、例えば作物の収穫作業のように野外で広範囲に移動しながら作業する場合など、家庭用交流電源などの外部電源の供給が困難な作業に対しても、好適に用いることができる。
【0312】
なお、ハサミ101aに電源手段を備える場合には特に、発熱効率が高い加熱手段を刃先(刃)に組み込んで用いることが好ましい。加熱手段の発熱効率が低い場合、必要な電力が増大するので、電源手段が大型化,重量化してしまい、持ち運びが困難になる。これに対して、発熱効率が高い加熱手段を用いることにより、電源手段を小型化,軽量化でき、ポータブルに扱うことが可能になる。これにより、例えば、広範囲に移動しながら作業する場合であっても、ハサミ101aをポータブルに扱えるので、作業性を大きく向上させることができる。
【0313】
また、ハサミ101aに電源手段を備えず、マイクロヒータ117を加熱するために、家庭用交流電源,工業用交流電源,発電機などの外部電源から供給される電力を用いるようにしてもよい。また、例えば、自動車や自動二輪車(バイク)などに用いられるバッテリーから供給される電力を用いてもよい。この場合、例えば、これらのバッテリーを作業者の腰などに装着して作業を行うこともできる。
【0314】
これらの外部電源を用いる場合、安定かつ長時間の使用が可能になるとともに、マイクロヒータ117の高出力化(高加熱力化)を図ることが容易になる。なお、ハサミ101aにおいて、ビルドイン方式または外付け方式の電源手段と、外部電源との双方を利用可能としてもよい。この場合、外部電源からの電力を充電池に充電して用いるものであってもよく、外部電源からの電力を直接用いるものであってもよい。
【0315】
図26(a)および図26(b)は、電池18の配置の変形例を示す平面図および斜視図である。これらの図に示すように、第1の柄114における端部に電池118を収容する電池パック118aを備えるようにしてもよい。なお、電池パック118aの構成は特に限定されるものではないが、図26(a)および図26(b)に示した電池パック118aでは、電池118を2本、横に並べて装着するようになっている。
【0316】
また、例えば、図27(a)および図27(b)に示すように、第1の柄114を環状に形成し、この環状部分における、使用者がハサミ101aを握った際に手の甲側となる部分に電池パック118aを備えるようにしてもよい。なお、この場合、使用者がハサミ101aを握る際に支障とならない位置であれば、電池パック118aを上記の環状部分の内側に備えても、外側に備えてもよい。また、第1の柄114の形状は環状に限らず、例えばコの字型に設けてもよい。
【0317】
また、例えば、図28(a)および図28(b)に示すように、第1の柄114を環状に形成し、この環状部分における第1の刃111とは反対側の部分、すなわち、使用者がハサミ101aを握った際に手の小指側となる部分に電池パック118aを備えるようにしてもよい。
【0318】
また、例えば、図29(a)および図29(b)に示すように、第1の柄114を環状に形成し、この環状部分における、使用者がハサミ101aを握ったときに支障を生じない位置に、図示しない電池装着手段によって複数の電池118をそれぞれ異なる位置に備えるようにしてもよい。
【0319】
図30(a)は、外付けの電源手段に対して電気的に接続するためのコードを備えたハサミ(刃物)101bの一例を示す平面図である。図30(b)は、外付けの電源手段の一例である充電池ユニット150および充電池118aの斜視図である。
【0320】
図30(a)に示すハサミ101bでは、先端電極部127および基端電極部118にそれぞれ電気的に接続された2本の電気配線119aが、コネクタ(プラグ)119bに接続されている。なお、マイクロヒータ117と電源手段との接続部の構造が異なる以外は、ハサミ101bの構造はハサミ101aの構造と同様である。
【0321】
また、図30(b)に示すように、充電池ユニット150は、充電池118b、充電池118bが収容される開口部156を備えたソケット部151、ハサミ101b側のコネクタ119bが挿入されるジャック152、ハサミ101bへの電源供給をオン/オフするためのスイッチ153、ハサミ101bへの供給電流に応じて発光するLED154、充電池ユニット150を使用者の腕等に装着するためのバンド155、図示しない放電停止回路を備えている。なお、充電池118bは、図示しない充電器によって、家庭用交流電源を用いて充電できるようになっている。
【0322】
そして、ハサミ101bに備えられたコネクタ119bを、充電池ユニット150に設けられたジャック152に挿入するとともに、スイッチ153をオンにすることにより、充電池118bからハサミ101bに、マイクロヒータ117を加熱するための電力が供給される。
【0323】
なお、充電池ユニット150には、この充電池ユニット150を使用者の腕等に任意の締め付け力で装着するためのバンド155が備えられている。これにより、例えば使用者が作業位置を移動する場合であっても、作業性が低下しない。なお、バンド155は腕に装着するためのものに限らない。例えば、腰に巻きつけて装着させるものであってもよい。あるいは、バンド155に代えて、使用者のベルトや衣服のポケット等に引っ掛けて装着するフックを設けてもよい。また、充電池ユニット150に、充電池118bが充電池ユニット150から脱落することを防止するための、バンド等の脱落防止手段(図示せず)を設けてもよい。
【0324】
また、充電池ユニット150の形状・構造は、使用する充電池118bの仕様に応じて適宜変更すればよい。また、充電池118bに代えて、市販の乾電池を使用するようにしてもよい。
【0325】
また、本実施の形態では、ハサミ101aにおける第1の柄111および第2の柄112は、スチールからなるとしたが、これに限るものではない。例えば、熱絶縁性に優れたプラスチックからなる柄を用いてもよい。この場合、第1の刃111と第1の柄114との間、および、第2の刃112と第2の柄115との間に、必ずしも熱絶縁物131を設けなくてもよい。
【0326】
また、第1の刃111および第2の刃112における表面のうち、切断動作に支障とならず、切断時に青枯菌が付着しない部分を、熱絶縁層(図示せず)によって覆ってもよい。これにより、第1の刃111および第2の刃112から外気への放熱を抑制でき、第1の刃111および第2の刃112の温度をより高温に保つことができる。
【0327】
また、図30(a)および図30(b)では、外付けの電源手段に対して電気的に接続するためのコード(電気配線119a)およびコネクタ(プラグ)119bがハサミ101bに備えられており、このコネクタ119が充電池ユニット150のソケット部151に挿入される構成について説明したが、これに限るものではない。
【0328】
例えば、図31(a)に示すように、第1の柄14の内部に、ジャック119cを設け、このジャック119cを、2本の電気配線119aに接続するようにしてもよい。この場合、図31(b)に示すように、図30(b)の充電池ユニット150におけるジャック152に代えて、電気配線152bおよびプラグ152cを設け、このプラグ152cをハサミ101bにおけるジャック119cに挿入することによって、ハサミ101bと充電池ユニット150とを電気的に接続すればよい。
【0329】
また、第1の刃111および第2の刃112を交換可能に備えるようにしてもよい。図32(a)および図32(b)は、図30(a)に示したハサミ101bにおいて、第1の刃111を交換可能に備える場合の、第1の刃111および第1の柄114の構成例を示す透視平面図および断面図である。なお、これらの図は、第1の柄114が熱絶縁性を有する材質からなり、熱絶縁物131を備えない場合を示している。
【0330】
この図に示す例では、第1の刃111における一方の面に第1の柄114が対向しており、他方の面には、柄ハサミ押さえ161が備えられるようになっている。そして、第1の柄114と第1の刃111と柄ハサミ押さえ161とを、ネジ162によって締め付けることにより、第1の刃111を第1の柄114に対して交換可能に取り付けられるようになっている。なお、第2の刃112についても同様に、柄ハサミ押さえと第2の刃112と第2の柄115とを、ネジによって締め付けることにより、交換可能に取り付けられるようになっている。
【0331】
また、この図に示す例では、第1の刃111における柄ハサミ押さえ161と対向する部分にハサミ電極163が備えられている。そして、第1の刃111をネジ162によって取り付ける際、このハサミ電極163と電気配線119aの一方に接続された第1電極164とが接触するように、ハサミ電極163と柄ハサミ押さえ161との間に第1電極164が挟持される。なお、第1の柄114における第1の刃111と対向する部分には、電気配線119aの他方に接続された第2電極165が備えられており、第1の刃111を取り付けた場合に、この第2電極165が第1の刃111の表面に接触するようになっている。すなわち、この場合、第1の刃111が電源手段からの電力をマイクロヒータ117に供給するための導体として機能する。
【0332】
また、第1の刃111および第2の刃112の一部を打ち抜いてなる打ち抜き部(図示せず)を設けてもよい。この場合、第1の刃111および第2の刃112の体積が小さくなり、熱容量が小さくなる。このため、打ち抜き部を設けない場合と比べて、マイクロヒータ117の発熱量が同じであっても第1の刃111および第2の刃112の温度が高くなるようになっている。
【0333】
〔実施の形態4〕
本発明にかかる刃物の他の実施の形態について、図に基づいて説明する。図33は、本実施の形態に係る刃物である包丁201aの概略構成を示す斜視平面図である。なお、本実施の形態では、この包丁201aを、種イモを切断する種イモ切り包丁として用いる場合について説明する。
【0334】
図33に示すように、包丁201aは、刃211、柄212、充電池(電源手段)213、マイクロヒータ(加熱手段)117、電気配線215aおよび215b、スイッチ216を備えている。
【0335】
刃211は工具鋼からなるが、これに限らず、ステンレスなどの他の金属材料、あるいはセラミックスなどの非金属材料からなる刃を用いてもよい。ただし、刃211には、熱伝導率の高い材料を用いることが好ましい。また、刃211には溝部(図示せず)が設けられており、この溝部には、マイクロヒータ117が埋め込まれている。
【0336】
マイクロヒータ117は、実施の形態3に記載したマイクロヒータ117と同様のものである。なお、これに限らず、実施の形態3に記載した各加熱手段のいずれかを用いてもよい。
【0337】
柄212には、刃211の一端部が固定されている。また、柄212の内部には、充電池ユニット213が内蔵されている。なお、充電池ユニット213は充電池(図示せず)を内蔵しており、この充電池が、図示しないACアダプターによって家庭用交流電源に電気的に接続され、充電されるようになっている。
【0338】
また、上記充電池における両電極に電気的に接続された2本の電気配線215aおよび215bが、マイクロヒータ117における両電極部にそれぞれ電気的に接続されており、これによってマイクロヒータ117を加熱するための電力が供給されるようになっている。
【0339】
また、柄212の上部には、スイッチ216が備えられている。このスイッチ216は、充電池ユニット213からマイクロヒータ117への電源供給をオン/オフするものである。
【0340】
また、刃211には、打ち抜き部217が複数設けられており、これによって、熱効率の向上が図られている。すなわち、打ち抜き部217を設けることによって刃211の熱容量を小さくし、打ち抜き部217を設けない場合と比べて、マイクロヒータ117の発熱量が同じであっても刃211の温度が高くなるようになっている。
【0341】
なお、打ち抜き部217の形状および配置は、図33に示した構成に限るものではなく、切断作業に必要とされる強度を保てればよい。例えば、図34に示すように、円形あるいは楕円形からなる打ち抜き部217を複数設けてもよい。
【0342】
以上のような構成からなる包丁201aによれば、マイクロヒータ117によって刃211を加熱殺菌する。これにより、病原菌に感染した種イモを切断した後、病原菌に感染していない健康な種イモを切断する場合でも、この病原菌が二次伝染することを防止できる。なお、刃211の温度が、対象とする病原菌を次の種イモを切断するまでに殺菌するのに必要な温度となるように、マイクロヒータ117の構成,マイクロヒータ117へ電力を供給する電源手段の構成などを適宜変更すればよい。
【0343】
なお、本実施の形態では、包丁201aが種イモの切断用の包丁である場合について説明したが、包丁201aの用途はこれに限るものではない。包丁201aは、複数の切断対象物を続けて切断する場合に、個々の切断対象物ごとに刃の殺菌を必要とする、あらゆる用途に適用できる。例えば、調理用の包丁などに適用してもよい。この場合、例えば、O157やインフルエンザなどの各種病原菌の二次伝染を防止できる。

また、包丁201aに備えられる加熱手段および電源手段は、実施の形態3と同様の変更が可能である。例えば、充電池ユニット213を備えず、家庭用交流電源を直接用いてマイクロヒータ117を加熱する構成としてもよい。
【0344】
また、包丁201aにおける刃211を交換可能に設けてもよい。なお、この場合、電気配線215a,215bが、刃211の交換後においても、刃211におけるマイクロヒータ117に電力を供給するための適切な位置に電気的に接続される構成とすればよい。
【0345】
また、刃211が加熱された場合であっても、柄212の温度が上昇しないような構成とすることが好ましい。例えば、熱絶縁性を有する材質で柄212を形成してもよく、あるいは、柄212と刃211との間に熱絶縁物を挟持させるようにしてもよい。
【0346】
また、上記の説明では、電気配線205aおよび205bによって、充電ユニット213とマイクロヒータ117とを接続するものとしたが、これに限るものではない。例えば、一方の電気配線に代えて、刃211を用いてマイクロヒータ117に電力供給するようにしてもよい。つまり、刃211を電力供給のための導体として用いてもよい。なお、この場合、刃211からの漏電を抑制するために、切断に支障を生じさせない範囲で、刃211の表面を絶縁膜で覆う(コーティングする)ようにしてもよい。
【0347】
また、刃211における表面のうち、切断動作に支障とならず、切断時に病原菌等が付着しない部分を、熱絶縁層(図示せず)によって覆ってもよい。これにより、刃211から外気への放熱を抑制でき、刃211の温度をより高温に保つことができる。
【0348】
また、本発明は、包丁に限らず、複数の対象物を続けて切断したり切削したりする場合に、個々の対象物ごとに刃の殺菌を必要とする、あらゆる刃物に適用できる。例えば、鎌,包丁,ナイフ,鋸,斧,鉈,バリカンなどの切断機、あるいは、ドリル,キリなどの切削機などに適用してもよい。
【0349】
本発明を鎌に適用する場合、例えば図35に示す構成としてもよい。この図に示す鎌301aは、刃311、柄312、充電池(電源手段)313、マイクロヒータ(加熱手段)117、電気配線315aを備えている。
【0350】
刃311は工具鋼からなるが、これに限らず、ステンレスなどの他の金属材料、あるいはセラミックスなどの非金属材料からなる刃を用いてもよい。ただし、刃311には、熱伝導率の高い材料を用いることが好ましい。
【0351】
また、刃311には刃311のエッジに沿って湾曲する溝部(図示せず)が設けられており、この溝部にマイクロヒータ117が埋め込まれている。
【0352】
マイクロヒータ117は、実施の形態3に記載したマイクロヒータ117と同様のものである。なお、これに限らず、実施の形態3に記載した各加熱手段のいずれかを用いてもよい。
【0353】
柄312の内部には、充電池313が内蔵される。また、柄312には、刃311の一端部付近にはネジ部320が設けられており、このネジ部320によって刃311を柄312に脱着可能に装着でき、刃311を容易に交換できるようになっている。
【0354】
また、刃311を柄312に装着した状態では、刃311の一端部311aが、柄312の内部に突出した状態となる。そして、この一端部311aが柄312内に備えられる充電池313の一方の電極に当接する。
【0355】
また、刃311を柄312に装着した状態において、充電チ313における他方の電極に端子316を介して電気的に接続された電気配線315bが、マイクロヒータ117における一方の電極部に電気的に接続された電気配線315aと電気的に接続される。これにより、マイクロヒータ117を加熱するための電力が供給されるようになっている。
【0356】
なお、鎌301aでは電源手段として充電池313を用いている。また、鎌301aには、家庭用交流電源,工業用交流電源,発電機、自動車等のバッテリー等の外部電源に接続可能な接続手段(図示せず)を備えている。これにより、これらの外部電源から供給される電力を用いて、充電地313を充電できる。
【0357】
また、充電池313を備える構成に限らず、例えば乾電池を用いる構成としてもよい。あるいは、乾電池や充電池を内蔵する構成に限らず、鎌313aとは別に備えられる充電池ユニットや家庭用交流電源,工業用交流電源,発電機、自動車等のバッテリー等の外部電源に接続し、これらの電源から供給される電力を直接用いる構成としてもよい。
【0358】
また、マイクロヒータ117への電力供給経路に、電力供給をオン/オフするスイッチを設けてもよい。
【0359】
また、刃311に、熱効率を高めるための打ち抜き部を設けてもよい。
【0360】
このような構成からなる鎌301aによれば、マイクロヒータ117によって刃311を加熱殺菌することができる。
【0361】
なお、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態あるいは参考例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。すなわち、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0362】
本発明の消毒装置および切断機は、切断用の刃を迅速に消毒できるので、農園芸用に用いられる切断装置、例えば剪定ハサミなどの刃を消毒する消毒装置、および、この消毒装置を備えた切断機に適用できる。
【0363】
本発明の刃物は、刃を容易に加熱殺菌することができるので、複数の対象物を切断する場合に、個々の対象物ごとに刃の殺菌を必要とする、あらゆる刃物に好適である。例えば、鎌,鋸,斧,鉈,包丁,ナイフ,ハサミ,バリカンなどの切断機、あるいは、ドリル,キリなどの切削機などに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0364】
【図1】本発明の一参考例に係る切断機(または植物切断機)の概略構成を示した図である。
【図2】上記切断機(または植物切断機)における消毒装置(または塗布装置)の取付部を示した概略図である。
【図3】消毒装置(または塗布装置)のノズル装置を示した概略図である。
【図4(a)】上記切断機(または植物切断機)の変形例の概略構成を示したの側面図である。
【図4(b)】図4に示した切断機の要部の断面図である。
【図5】上記切断機(または植物切断機)の変形例の概略構成を示した図である。
【図6(a)】上記切断機(または植物切断機)の刃に対する消毒液(または有用物質)の射出範囲の一例を示した図である。
【図6(b)】上記切断機(または植物切断機)の刃に消毒液(または有用物質)の刃先滞留時間を延ばすための溝を設ける場合の一例を示した図である。
【図7(a)】他の参考例に係る切断機(または植物切断機)の概略構成を示した正面図である。
【図7(b)】図7(a)に示した切断機の側面図である。
【図8(a)】さらに他の参考例に係る切断機(または植物切断機)の概略構成を示した側面図である。
【図8(b)】図8(a)に示した切断機の平面図である。
【図8(c)】図8(a)に示した切断機の斜視図である。
【図9(a)】図8(a)〜図8(c)に示したの切断機の(または植物切断機)メインタンクを示した平面図である。
【図9(b)】図9(a)に示したメインタンクの側面図である。
【図10(a)】図8(a)〜図8(c)に示した切断機(または植物切断機)の非使用時の状態を示すの側面図である。
【図10(b)】図10(a)に示した切断機の正面図である。
【図11】さらに他の参考例に係る切断機(または植物切断機)の概略構成を示した図である。
【図12】さらに他の参考例に係る切断機(または植物切断機)の概略構成を示した図である。
【図13】さらに他の参考例に係る切断機(または植物切断機)の概略構成を示した図である。
【図14】さらに他の参考例に係る切断機(または植物切断機)の概略構成を示した図である。
【図15】さらに他の参考例に係る切断機(または植物切断機)の概略構成を示した図である。
【図16】さらに他の参考例に係る切断機(または植物切断機)の概略構成を示した図である。
【図17】本発明の一実施の形態に係る切断機(または植物切断機)の概略構成を示した図である。
【図18】本発明の他の実施の形態に係る切断機(または植物切断機)の概略構成を示した図である。
【図19(a)】さらに他の実施の形態に係る切断機(または植物切断機)の概略構成を示した図である。
【図19(b)】図19(a)の切断機における、熱排気孔の形状の一変形例を示す図である。
【図19(c)】図19(a)の切断機における、熱排気孔の形状の他の変形例を示す図である。
【図20】本発明の一実施の形態に係る刃物の概略構成を示した斜視平面図である。
【図21】本発明の一実施の形態に係る刃物に備えられる加熱手段の一構成例を示す透視平面図である。
【図22】図21に示した加熱手段の断面図である。
【図23(a)】本発明の一実施の形態に係る刃物における刃および柄の透視平面図である。
【図23(b)】図23(a)に示した刃および柄の断面図である。
【図24(a)】本発明の一実施の形態に係る刃物の温度測定実験における温度測定位置を示す斜視図である。
【図24(b)】本発明の一実施の形態に係る刃物であるハサミを閉じた状態における加熱手段への通電時間と各部の温度との関係を示すグラフである。
【図24(c)】上記ハサミを閉じた状態における加熱手段への通電時間と各部の温度との関係を示すグラフである。
【図25】本発明の一実施の形態に係る刃物に備えられる加熱手段の変形例を示す平面図である。
【図26(a)】本発明の一実施の形態に係る刃物における電源手段の変形例を示す平面図である。
【図26(b)】図26(a)に示した電源手段の斜視図である。
【図27(a)】本発明の一実施の形態に係る刃物における電源手段の他の変形例を示す平面図である。
【図27(b)】図27(a)に示した電源手段の斜視図である。
【図28(a)】本発明の一実施の形態に係る刃物における電源手段のさらに他の変形例を示す平面図である。
【図28(b)】図28(a)に示した電源手段の斜視図である。
【図29(a)】本発明の一実施の形態に係る刃物における電源手段のさらに他の変形例を示す平面図である。
【図29(b)】図29(a)に示した電源手段の斜視図である。
【図30(a)】本発明の一実施の形態に係る刃物において、電源手段を刃および柄とは別体に設ける場合の刃および柄の構成例を示す斜視図である。
【図30(b)】本発明の一実施の形態に係る刃物において、電源手段を刃および柄とは別体に設ける場合の電源手段の構成例を示す斜視図である。
【図31(a)】本発明の一実施の形態に係る刃物において、電源手段を刃および柄とは別体に設ける場合の刃および柄の構成例を示す斜視図である。
【図31(b)】本発明の一実施の形態に係る刃物において、電源手段を刃および柄とは別体に設ける場合の電源手段の構成例を示す斜視図である。
【図32(a)】本発明の一実施の形態に係る刃物において、刃を交換可能に設ける場合の構成例を示す透視平面図である。
【図32(b)】図32(a)に示した刃物の断面図である。
【図33】本発明の他の実施の形態に係る刃物の概略構成を示した斜視平面図である。
【図34】本発明の他の実施の形態に係る刃物の変形例を示した斜視平面図である。
【図35】本発明の他の実施の形態に係る刃物の変形例を示した斜視平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に回転可能に備えられた第1の刃および第2の刃を開閉することによって切断対象物を切断するハサミであって、上記第1の刃および第2の刃を閉じたときに上記第1の刃の側面と第2の刃の側面とが接触するハサミにおいて、
上記第1の刃および/または第2の刃の一部に備えられ、電力を熱に変換することによって刃を加熱殺菌する加熱手段を備えていることを特徴とするハサミ。
【請求項2】
上記加熱手段に電力を供給するための電源手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のハサミ。
【請求項3】
使用者が握るための柄を備えており、当該柄の内部または外面に、上記電源手段が備えられていることを特徴とする請求項2に記載のハサミ。
【請求項4】
上記加熱手段に電力を供給するために、外部電源を用いることを特徴とする請求項1に記載のハサミ。
【請求項5】
上記第1の刃および/または第2の刃に、打ち抜き部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハサミ。
【請求項6】
上記第1の刃および/または第2の刃が、交換可能に備えられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハサミ。
【請求項7】
上記第1の刃および/または第2の刃の温度を、90℃以上に加熱可能であることを特徴とする請求項1に記載のハサミ。
【請求項8】
刃を有する刃物であって、上記刃の一部に、電力を熱に変換することによって当該刃を加熱殺菌する加熱手段を備えていることを特徴とする刃物。
【請求項9】
上記加熱手段に電力を供給するための電源手段を備えていることを特徴とする請求項8に記載の刃物。
【請求項10】
使用者が握るための柄を備えており、当該柄の内部または外面に、上記電源手段が備えられていることを特徴とする請求項9に記載の刃物。
【請求項11】
上記加熱手段に電力を供給するために、外部電源を用いることを特徴とする請求項8に記載の刃物。
【請求項12】
上記刃に、打ち抜き部が設けられていることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の刃物。
【請求項13】
上記刃が、交換可能に備えられていることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の刃物。
【請求項14】
上記刃物は、ハサミであることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の刃物。
【請求項15】
上記ハサミを構成する2本の刃の温度を、90℃以上に加熱可能であることを特徴とする請求項14に記載の刃物。
【請求項16】
上記刃物は、包丁であることを特徴とする請求項8〜15のいずれか1項に記載の刃物。
【請求項17】
切断用の刃を有する切断手段に取り付け可能であって、前記刃を消毒するために前記刃を加熱する加熱手段を備えていることを特徴とする消毒装置。
【請求項18】
前記加熱手段は、触媒とガスとの化学反応により前記刃を加熱することを特徴とする請求項17に記載の消毒装置。
【請求項19】
前記切断手段はハサミであることを特徴とする請求項17または18に記載の消毒装置。
【請求項20】
切断用の刃を有する切断手段と、請求項17〜19の何れか1項に記載の消毒装置とを備えていることを特徴とする切断機。
【請求項21】
前記切断手段は、相対的に回転可能に備えられた第1の刃および第2の刃を開閉することによって切断対象物を切断するハサミであって、上記第1の刃および第2の刃を閉じたときに上記第1の刃の側面と第2の刃の側面とが接触することを特徴とする請求項20に記載の切断機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図8(c)】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19(a)】
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【図19(b)】
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【図19(c)】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23(a)】
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【図23(b)】
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【図24(a)】
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【図24(b)】
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【図24(c)】
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【図25】
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【図26(a)】
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【図26(b)】
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【図27(a)】
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【図27(b)】
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【図28(a)】
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【図28(b)】
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【図29(a)】
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【図29(b)】
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【図30(a)】
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【図30(b)】
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【図31(a)】
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【図31(b)】
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【図32(a)】
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【図32(b)】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2007−611(P2007−611A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105703(P2006−105703)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【分割の表示】特願2006−512718(P2006−512718)の分割
【原出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(599049794)株式会社 イージーエス (5)
【Fターム(参考)】