説明

ハニカムフィルタの欠陥の検査方法、及び、ハニカムフィルタの欠陥の検査装置

【課題】短時間での検査が可能な、ハニカムフィルタの欠陥を検査する方法、及び、ハニカムフィルタの欠陥の検査装置を提供する。
【解決手段】一端面100bから他端面100tに向かう複数の流路110を形成する隔壁112、及び、複数の流路110のいずれか一端を閉鎖する封口部114を有するハニカムフィルタ100の一端面100bにガスを供給する工程と、ハニカムフィルタ100の他端面100tから排出されるガスを、他端面100tと対向するように配置され、かつ、加熱された、ガス受け部材10に供給する工程と、ガス受け部材10の温度分布を測定する工程と、を備えるハニカムフィルタの欠陥の検査方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムフィルタの欠陥の検査方法、及び、ハニカムフィルタの欠陥の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ディーゼルパティキュレートフィルタとして用いられるハニカムフィルタの欠陥検査方法が知られている。例えば、特許文献1には、140℃程度の高温のガス流をハニカムフィルタの入口端面に供給し、ハニカムフィルタの出口端面の温度を赤外線カメラで測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−58119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、以下のような問題点があった。すなわち、ハニカムフィルタはセラミクス製であるので熱伝導性が悪く、入口端面にガスを供給し始めてからハニカムフィルタの出口端面の温度が変化するまでに数十秒以上の時間を要してしまう。さらに、測定後にハニカムフィルタが高温になっているため、後工程を行う前に加熱されたハニカムフィルタを冷却するための時間も長時間必要となる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、短時間での検査が可能な、ハニカムフィルタの欠陥を検査する方法、及び、ハニカムフィルタの欠陥の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るハニカムフィルタの欠陥の検査方法は、
一端面から他端面に向かう複数の流路を形成する隔壁、及び、前記各流路のいずれか一端を閉鎖する封口部を有するハニカムフィルタの前記一端面にガスを供給する工程と、
前記ハニカムフィルタの他端面から排出されるガスを、前記他端面と対向するように配置され、かつ、加熱された、ガス受け部材に供給する工程と、
前記ガス受け部材の温度分布を測定する工程と、を備える。
【0007】
本発明に係るハニカムフィルタの欠陥の検査装置は、
一端面から他端面に向かう複数の流路を形成する隔壁、及び、前記各流路のいずれか一端を閉鎖する封口部を有するハニカムフィルタの一端面にガスを供給する供給部と、
前記ハニカムフィルタの他端面と対向するように配置されたガス受け部材と、
前記ガス受け部材を加熱するヒータと、
前記ガス受け部材の温度分布を測定する温度測定部と、を備える。
【0008】
本発明によれば、隔壁欠損等の欠陥部位がある流路からは、他の正常部位にくらべて多量のガスが流出するため、ガス受け部材の内、当該部位に対向する部分の温度が他の部分に比べて下がる。従って、ガス受け部材の温度低下部を検知することによって、ハニカムフィルタの欠陥を迅速に測定することができ、ハニカムフィルタが不必要に加熱されることもない。
【0009】
ここで、前記ガス受け部材の温度分布を赤外線カメラにより測定することが好ましい。これによれば、温度分布を簡単に測定できる。
【0010】
また、前記ガス受け部材は、ガスを透過させるべく複数の孔を有することが好ましく、特に、金属網、金属多孔板、又は、金属多孔質板であることが好ましい。
【0011】
また、ハニカムフィルタの一端面に供給するガスは50℃以下のガスであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、短時間での検査が可能な、ハニカムフィルタの欠陥を検査する方法、及び、ハニカムフィルタの欠陥の検査装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1の(a)は検査対象となるハニカムフィルタ100の斜視図、図1の(b)は(a)のIb−Ib矢視図である。
【図2】図2は、ハニカムフィルタ100の欠陥の検査装置400の概略断面図である。
【図3】図3は、図2の装置400のガス流検知部50の一形態を示す上面図である。
【図4】図4は、図2の装置400のガス流検知部50の他の形態を示す上面図である。
【図5】図5は、図2の装置400のガス流検知部50の他の形態を示す上面図である。
【図6】図6の(a),(b)は、それぞれ、図2の装置400の赤外線カメラが測定したガス受け部材の温度分布画像の例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、発明の実施形態について説明する。まず、本実施形態で検査対象となるハニカムフィルタ100について説明する。このハニカムフィルタ100は、例えば、ディーゼルパティキュレートフィルタとして用いることのできるものである。
【0015】
本実施形態において対象となるハニカムフィルタ100は、図1の(a)及び(b)に示すように、一端面100bから他端面100tに向かい互いに平行に伸びる複数の流路110を形成する隔壁112、及び、複数の流路110の内の一部の一端(図1の(b)の左端)、及び、複数の流路110の内の残部の他端(図1の(b)の右端)を閉鎖する封口部114を有する円柱体である。
【0016】
ハニカムフィルタ100の流路110が延びる方向の長さは特に限定されないが、例えば、30〜500mmとすることができる。また、ハニカムフィルタ100の外径も特に限定されないが、例えば、30〜500mmとすることできる。流路110の断面のサイズは、例えば、正方形の場合一辺0.5〜2.5mmとすることができる。隔壁112の厚みは、0.05〜0.5mmとすることができる。
【0017】
ハニカムフィルタ100の隔壁112の材質は、多孔性セラミクス(焼成体)である。セラミクスは特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、コーディエライト、ガラス、チタン酸アルミニウム等の酸化物、シリコンカーバイド、窒化珪素、金属等が挙げられる。なお、チタン酸アルミニウムは、さらに、マグネシウム及び/又はケイ素を含むことができる。
【0018】
封口部114の材質としては、ハニカムフィルタ100と同様のセラミクス材料を用いることができる。上述の「複数の流路110のうちの一部」と「複数の流路110のうちの残部」とは、好ましくは、図1の(a)に示すように、それぞれ、端面側から見て行列状に配列された複数の流路の内の、縦方向及び横方向それぞれ1つおきに選択された流路の組合せである。
【0019】
図1の(b)に示すように、このようなハニカムフィルタ100に対して流路110の左端から供給されたガスは、隔壁112を通過して隣の流路110に到達し、流路110の右端から排出される。このとき、流入したガス中の粒子が、隔壁112によって除去されてフィルタとして機能する。
【0020】
このようなハニカムフィルタ100は例えば以下のようにして製造することができる。
【0021】
まず、無機化合物源粉末と、有機バインダと、造孔剤と、溶媒と、必要に応じて添加される添加物を用意する。そして、これらを混練機等により混合して原料混合物を得、得られた原料混合物を隔壁の形状に対応する出口開口を有する押出機から押し出し、所望の長さに切断後、公知の方法で乾燥することにより、グリーンハニカム成形体を得る。そして、グリーンハニカム成形体の流路の端部を公知の方法によって封口材で封口してから焼成する、または、グリーンハニカム成形体を焼成してから公知の方法によって流路の端部を封口すればよい。
【0022】
続いて、図2及び図3を参照して、ハニカムフィルタ100の検査装置について説明する。
【0023】
この検査装置400は、空気を提供するブロア14、ブロア14から供給される空気をハニカムフィルタ100の一端面(以下、下端面と呼ぶことがある)100bに導く空気供給部56と、ガス流検知部50、赤外線カメラ220と、を備える。
【0024】
空気供給部56は、ブロア14に接続された配管54、配管54の先端に接続されたフィルタ接続部53を有している。フィルタ接続部53は、ハニカムフィルタ100の下端部を外側から包囲してシールする筒状シール部51と、下端面100bと対向する部分に空間Vを形成する空間形成部52とを有する。ハニカムフィルタ100に対して供給する空気の流量は特に限定されないが、例えば、100〜500L/minとすることができる。流入側の流路の開口面における平均線速度が、0.01〜10m/sとなるようにすることができる。
【0025】
ガス流検知部50は、ガス受け部材10、ガス受け部材10を平面状態に保持する枠部材20、及び、ガス受け部材10を加熱するヒータ30を有する。
【0026】
ガス流検知部50は、ガス受け部材10が、ハニカムフィルタ100の他端面(以下、上端面と呼ぶことがある)100tと対向する位置に配置され、上端面100tから排出されるガスがガス受け部材10に当たるように、ハニカムフィルタ100に対して保持されている。ガス受け部材10と、ハニカムフィルタ100の上端面100tとの距離は特に限定されないが、欠陥検出精度を高めるべく、1〜50mmとすることが好ましい。
【0027】
ガス受け部材10の材料は、熱伝導性に優れることが好ましく、ステンレス、真鍮等の金属が好ましい。
ガス受け部材10は、ガスを通過可能とさせるべく、複数の孔を有することが好ましい。ガス受け部材10の孔は、ガス受け部材10の孔でない部分が、ハニカムフィルタ100の他端面100tに開放された各流路110の開口と対向していることが好ましい。
【0028】
具体的には、ガス受け部材10として、金属網、金属多孔板、金属多孔質板が好ましいい。金属網とは、金属ワイヤを編んだものであり、ワイヤ間に所定の大きさの複数の開口(目)を有する。開口率は、例えば、20〜80%である。例えば、図3に示すように、縦ワイヤ11a及び横ワイヤ11bとを編んだ金属網11を使用することができる。金属網の目開きは、例えば、37〜2830μmとすることができる。メッシュ数で言えば、400メッシュ〜7メッシュとすることができる。
【0029】
金属網11を用いる場合には、図3に示すように、縦ワイヤ11aと横ワイヤ11bとの交点11cが、それぞれ開放されている流路110と対向して配置されることが好ましい。なお、網の交点11cが、封口部114と対向する必要はない。また、開放されている流路110以外の部分と交点11cが対向していてもかまわない。
【0030】
金属多孔板とは、金属板に、表裏を直線的に貫く複数の貫通孔が、正方配列や、千鳥配列等により形成された板であり、パンチング、エッチング、エレクトロフォーミング等の方法により貫通孔を形成できる。貫通孔の径は、0.1〜2.5mmとすることができる。開口率は、例えば、20〜80%である。貫通孔の形状、大きさ、および、配置は、図4に示すように、少なくとも、開放されている流路110と対向する部分に、それぞれ貫通孔ではない部分12cが位置するようにすることが好ましい。本実施例では、流路の110の開口の形状及び大きさと同じ貫通孔12aが、流路110のピッチと同じピッチで配置されている。
【0031】
金属多孔質板とは、図5に示すように、表裏を連通する複数の細孔13aが形成されたスポンジ状の金属板であり、発泡金属板とも呼ばれる。細孔の径は、例えば、1〜100μmとすることができる。気孔率は、10〜99%が好ましい。
【0032】
なお、図3や図4とは異なり、金属網の開口や金属多孔板の貫通孔の径、及びこれらのピッチが、ハニカムフィルタの流路の径やピッチよりも十分小さく、これによってハニカムフィルタ100の開放された流路110それぞれと対向して、ガス受け部材10の複数の開口や貫通孔が配置される態様も可能である。
【0033】
ハニカムフィルタ100の流路の断面形状や、ガス受け部材10の孔の断面形状が円でない場合には、径とは、断面積を円に換算した径で定義できる。
【0034】
ガス受け部材10の厚みは特に限定されないが、例えば、0.01〜30mm程度とすることができる。
【0035】
ガス受け部材10の外形形状は、ハニカムフィルタ100の上端面を覆うことができる大きさであれば特に限定されず、円形、矩形等特に制限されない。本実施形態では、図3〜5に示すように円形としている。
【0036】
枠部材20は、ガス受け部材10を保持できれば形状や構造は特に限定されない。特に図2、3等に示すように、ガス受け部材10の外周部を挟むように配置されたリング状であることが好ましい。枠部材20は、ヒータからの熱をガス受け部材10に良好に伝えるべく、金属製であることが好ましい。
【0037】
ヒータ30は、枠部材20の外周を取り囲むように配置されている。ヒータ30の種類は特に限定されず、リボンヒータ、フレキシブルヒータ等の電力制御により容易に加熱量や温度制御可能なヒータが好ましい。ヒータ30は、ガス受け部材10を均一に所定の温度に維持するように配置、制御を行うことが好ましい。
【0038】
赤外線カメラ(温度測定部)220は、ガス受け部材10の上面に対向配置され、ガス受け部材10から出射する赤外線の強さを検知し、ガス受け部材10の温度分布画像を取得する。このような赤外線カメラは、サーモグラフィー装置とも呼ばれる。赤外線カメラ220には、画像処理を行うコンピュータ230が接続されている。コンピュータ230は、赤外線カメラ220が撮影した画像を画像解析し、温度が相対的に低い部分を検出する。例えば、画像から所定のしきい値に比べて温度が低い部分を抽出し、この部分を欠陥がある場所とすればよい。コンピュータは、必要に応じて、この部分の座標を取得し、出力する。
【0039】
続いて、上述の検査装置400を使用したハニカムフィルタ100の検査方法について説明する。
【0040】
ここでは、一例として、図2に示すように、ハニカムフィルタ100の隔壁112には、欠陥として、上端が封口された流路110xと、下端が封口された流路110yとを連通させる孔hがあるものとする。
【0041】
まず、フィルタ接続部53をハニカムフィルタ100の下部に装着する。また、ヒータ30を駆動して、ガス受け部材10を加熱する。加熱温度は特に限定されないが、100〜500℃とすることが好ましく、200〜400℃とすることが好ましい。このとき、ハニカムフィルタ100の上端面100tの近傍においては、雰囲気ガスの流れが殆ど無い状態、例えば、流速1m/s以下としておくことが好ましい。また、実験の容易さから、雰囲気ガスの温度は0〜30℃であることが好ましい。雰囲気ガスは空気であることが好ましい。
【0042】
次に、ブロア14を駆動して、常温の空気を、空気供給部56を介してハニカムフィルタ100の下端面100bに供給する(供給工程)。供給する空気の温度は0〜50℃であることが好ましく、0〜30℃であることがより好ましい。
【0043】
これにより、ハニカムフィルタ100の上端面100tからガスが流出する。そして、流路110間に図2に示すような孔hが存在する場合、流路110x、孔h、及び、流路110yによって上端面100tと下端面100bとを結ぶ直通流路が形成されるため、矢印Gに示すように、当該欠陥がある流路110yの上端から、空気が他の流路110に比べて高い流量や流速で集中的に流出する。封口部114が欠落している場合や、封口部114と流路110との間に隙間が生じている等の欠陥がある場合も同様に空気が集中的に流出する。
【0044】
そして、ハニカムフィルタ100の上端面100tから流出するガスはガス受け部材10を通過して流れることとなるが、ガス受け部材10におけるガスの流量や流速の高い部分の温度が他の部分に比べて強く冷却されることになる。これによって、ガス受け部材10に温度ムラができることとなる。そしてこの温度ムラを、赤外線カメラ220によって検出することができる(温度分布検出工程)。
【0045】
このとき、図6の(a)に示すように、ハニカムフィルタ100に欠陥がない場合には、赤外線カメラの画像において、ガス受け部材10に対応する領域Aに温度ムラはほとんど見られないが、ハニカムフィルタ100に孔hがある場合には、図6の(b)に示すように、ガス受け部材10に対応する領域A中に、温度の低い領域Bが観察され、したがって、欠陥の有無及びその場所の特定が可能となる。欠陥の有無の判定や場所の特定は、コンピュータ230により公知の画像処理方法を用いて自動化することもできる。なお、図6では、色が濃いほど温度が高いことを示す。
【0046】
本発明によれば、欠陥がある流路では、正常な流路に比べてガスの量が増えるので、ガス受け部材10が他の部分に比べて強く冷却されガス受け部材に温度ムラを生じる。そして、ガス受け部材の温度分布を検出することにより、流路の欠陥の有無や場所を容易に検出できる。また、ハニカムフィルタ100を加熱する必要がなく、ハニカムフィルタ100を検査後に冷却する必要もないので、検査を迅速に行える。
【0047】
さらに、ガス受け部材10として金属を用いると、熱伝導性が高いので、ガス受け部材10の加熱を迅速に行える上に、ハニカムフィルタ100の欠陥部位に基づくガス受け部材10の冷却も迅速に行われる。したがって、より迅速な検査が可能である。
【0048】
また、ガス受け部材10として、複数の穴が開いた板を用いると、ガスを透過させることができるので、欠陥部位の位置検出精度も向上する。
【0049】
本発明は上記実施形態に限定されずさまざまな変形態様が可能である。
例えば、上記実施形態では、ハニカムフィルタ100に供給するガスは空気であるが空気以外のガス、例えば、窒素等を用いても実施可能である。
【0050】
また、ガス受け部材10として、金属ワイヤを編んだ網でなく、一方向に互いに平行に延びるワイヤ群の上に、他方向に互いに平行に延びるワイヤ群を重ねて配置したものや、一方向に互いに平行に延びるワイヤ群のみを有する物でも実施は可能である。
【0051】
また、上記実施形態では、ガス受け部材10として、複数の穴が開いた部材を用いているが、穴の開いていない板を用いても実施は可能である。
【0052】
また、ガス受け部材10が十分な強度を有する場合などには、枠部材20を使用しなくてもよい。
【0053】
また、ヒータ30は、枠部材20を介してではなく、直接ガス受け部材10に接触してガス受け部材を加熱してもよい。また、例えば、網のワイヤ自体に通電してこれを加熱するヒータを用いることも可能である。
【0054】
また、上記実施形態では、赤外線カメラによりガス受け部材の温度分布を非接触に測定しているが、例えば、熱電対等の温度センサをガス受け部材に配置して温度分布を測定しても実施は可能である。
【0055】
また、上記実施形態では、ガス受け部材10を所定温度に加熱してから、ガス受け部材10にハニカムフィルタ100からのガスを当てているが、これに限定されず、ハニカムフィルタ100からのガスをガス受け部材10に当てている状態で、ガス受け部材10の加熱を初めても実施は可能であり、これらを同時に開始しても実施は可能である。
【0056】
また、上記実施形態では、ハニカムフィルタは、隔壁が多孔質である焼成体であるが、焼成前でありかつ封口済みの非多孔質のグリーン体でも実施は可能である。この場合、欠陥の無い流路からのガスの流出は無い。
【0057】
また、上記実施形態では、雰囲気ガスが空気であるが、他のガスを雰囲気ガスとしてもよいことは言うまでも無い。
【0058】
また、上記実施形態では、ハニカムフィルタ100の流路110が上下方向に配置されているが、水平方向等、いずれの方向を向いても実施可能である。
【0059】
また、上記実施形態では、流路110の断面形状は、略正方形であるがこれに限定されず、矩形、円形、楕円形、3角形、6角形、8角形等にすることができる。また、流路110には、径の異なるもの、断面形状の異なるものが混在してもよい。また、流路の配置も、図1では正方形配置であるが、これに限定されず、断面において流路の中心軸が正三角形の頂点に配置される正三角形配置、千鳥配置等にすることができる。さらに、ハニカムフィルタの外形も、円柱に限られず、例えば3角柱、4角柱、6角柱、8角柱等とすることができる。
【符号の説明】
【0060】
10…ガス受け部材、11…金属網、12…金属多孔板、13…金属多孔質板、30…ヒータ、53…供給部、100…ハニカムフィルタ、100t…ハニカムフィルタの他端面、100b…ハニカムフィルタの一端面、110…流路、112…隔壁、114…封口部、220…赤外線カメラ(温度測定部)、400…検査装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端面から他端面に向かう複数の流路を形成する隔壁、及び、前記各流路のいずれか一端を閉鎖する封口部を有するハニカムフィルタの前記一端面にガスを供給する工程と、
前記ハニカムフィルタの他端面から排出されるガスを、前記他端面と対向するように配置され、かつ、加熱された、ガス受け部材に供給する工程と、
前記ガス受け部材の温度分布を測定する工程と、を備えるハニカムフィルタの欠陥の検査方法。
【請求項2】
前記ガス受け部材の温度分布を赤外線カメラにより測定する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ガス受け部材は複数の孔を有する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ガス受け部材は、金属網、金属多孔板、又は、金属多孔質板である請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
ハニカムフィルタの一端面に供給するガスは50℃以下のガスである請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
一端面から他端面に向かう複数の流路を形成する隔壁、及び、前記各流路のいずれか一端を閉鎖する封口部を有するハニカムフィルタの一端面にガスを供給する供給部と、
前記ハニカムフィルタの他端面と対向するように配置されたガス受け部材と、
前記ガス受け部材を加熱するヒータと、
前記ガス受け部材の温度分布を測定する温度測定部と、を備えるハニカムフィルタの欠陥の検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−83258(P2012−83258A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230595(P2010−230595)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】