ハニカム成形体の成形装置及び成形方法、並びにハニカム成形体
【課題】品質及び生産性の向上を図ることができるハニカム成形体の成形装置及び成形方法、並びにその成形方法により成形したハニカム成形体を提供すること。
【解決手段】ハニカム成形体の成形方法は、セラミック材料よりなる材料塊10を作製する材料作製工程と、材料塊10の外形に合致する内形形状を有するシリンダ3内に材料塊10を配置する材料配置工程と、材料塊10をシリンダ3により径方向に拘束すると共に、材料塊10の両端面101、102を一対のピストン43、53により挟持しながら、セルに対応する形状を呈する複数のピン42、52をそれぞれピストン43、53に設けた貫通穴431、531に貫通させて材料塊10の両端面101、102から挿入し、押圧前進させることにより材料塊10を変形させる成形工程と、材料塊10からピン42、52を引き抜くことにより材料塊10内にセルを形成する成形完了工程とを有する。
【解決手段】ハニカム成形体の成形方法は、セラミック材料よりなる材料塊10を作製する材料作製工程と、材料塊10の外形に合致する内形形状を有するシリンダ3内に材料塊10を配置する材料配置工程と、材料塊10をシリンダ3により径方向に拘束すると共に、材料塊10の両端面101、102を一対のピストン43、53により挟持しながら、セルに対応する形状を呈する複数のピン42、52をそれぞれピストン43、53に設けた貫通穴431、531に貫通させて材料塊10の両端面101、102から挿入し、押圧前進させることにより材料塊10を変形させる成形工程と、材料塊10からピン42、52を引き抜くことにより材料塊10内にセルを形成する成形完了工程とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム成形体を成形するための成形装置及び成形方法、並びにその成形方法により成形したハニカム成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、セラミック製のハニカム構造体は、内燃機関より排出される排ガスの浄化を行う排ガス浄化用触媒担体、ディーゼルエンジン用排ガス浄化フィルタ(DPF)等として広く用いられている。
例えば、ハニカム構造体を触媒担体として適用する場合には、セラミック材料を成形して、隔壁をハニカム状に配して多数のセルを設けた成形体(ハニカム成形体)を作製し、その後、乾燥、焼成することによって製造される。また、ハニカム構造体をDPFとして適用する場合には、上記ハニカム成形体を成形した後、セルの一方の端部を閉塞する栓部を設け、乾燥、焼成することによって製造される。
【0003】
ハニカム成形体を成形する方法としては、一般的に押出成形が用いられる。例えば、押出スクリュー等を備えた押出成形装置を用いて、材料を成形型から押し出すことにより、ハニカム成形体を成形する(特許文献1参照)。
しかしながら、押出成形装置等を用いて成形する場合には、材料を成形型から押し出す際の圧力分布・流速分布等が不均一となるため、成形したハニカム成形体の密度にばらつきが生じ、品質の低下を招いてしまう。また、これを焼成した場合には、内部にクラック等の不具合が発生する。一方、材料の圧力分布・流速分布の安定化を図るためには、押出成形装置の調整に多くの時間を要し、生産性が低下してしまう。
【0004】
また、ハニカム構造体をDPFとして適用する場合には、セルの一方の端部を閉塞する栓部を設ける。そのため、ハニカム成形体を成形後、栓部の材料である栓詰め用スラリーにディッピングし、栓詰めすべき部分に栓部を設ける栓詰め工程が必要となる。
しかしながら、この栓詰め工程では、スラリーの状態やハニカム成形体の寸法精度の影響を受けるため、栓部を精度良く設けることが困難である。さらに、これを焼成した場合には、栓部付近に割れ等の不具合が発生し、品質の低下を招いてしまう。
【0005】
このようなことから、ハニカム成形体の品質及び生産性の向上を図ることができるハニカム成形体の成形装置及び成形方法が望まれている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−260116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、ハニカム成形体の品質及び生産性を向上させることができるハニカム成形体の成形装置及び成形方法、さらには、その成形方法により成形したハニカム成形体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する成形装置であって、
セラミック材料よりなる材料塊の外形に合致する内形形状を呈する筒状のシリンダと、
該シリンダ内を軸方向に相対移動可能に設けられた一対のセル形成治具とを有し、
上記各セル形成治具は、上記シリンダ内を移動可能な基体と、該基体から立設された断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンと、該各ピンに対応する複数の貫通穴にそれぞれ上記ピンを摺動可能に貫通させると共に上記シリンダ内を摺動可能なピストンとを有し、
上記材料塊を上記シリンダ内に配置して径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を互いに対向する上記一対のセル形成治具の上記両ピストンにより挟持しながら、互いの上記基体が接近するよう相対移動させ、上記ピンを上記材料塊の両端面から挿入して押圧前進させることにより上記材料塊を変形させ、その後、上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成することができるよう構成されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置にある(請求項1)。
【0009】
本発明のハニカム成形体の成形装置は、上記のごとく、シリンダと一対のセル形成治具とを有し、該各セル形成治具は、基体と複数のピンとピストンとを有する。
そして、上記各セル形成治具に設けられた上記複数のピンは、断面形状が軸方向に同一であり、上記セルに対応する形状を呈している。そのため、上記ピンを上記材料塊に挿入して押圧前進させた後、引き抜くことにより、上記材料塊内に所望の形状の上記セルを形成することができる。
【0010】
また、上記複数のピンは、上記基体に立設されており、上記各ピンに対応する上記ピストンの上記貫通穴にそれぞれ摺動可能に貫通させて設けてある。そのため、上記基体を移動させることによって上記複数のピンの互いの位置関係を維持したまま同時に移動させることができる。これにより、上記複数のピンの位置精度を確保した状態で、該ピンの曲がりを抑制しながら、挿入・引き抜きを行うことができる。それ故に、上記セルを精度良く形成することができる。
【0011】
また、上記成形装置は、上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を上記一対のセル形成治具の上記両ピストンにより挟持しながら、上記ピンを上記材料塊の両端面から挿入して押圧前進させることができるよう構成されている。そのため、上記シリンダ及び上記両ピストンによって、上記材料塊の外周面及び両端面の形状を形成すると共にその形状を維持しながら、上記材料塊を軸方向に精度良く変形させることができる。
【0012】
また、上記材料塊を変形させるに当たっては、従来のように押出成形装置等を用いて押出成形した場合に比べて小さい圧力しか必要ないため、上記材料塊に密度のばらつきを生じさせることなく、均質な状態で変形させることができる。
よって、上記成形装置を用いることにより、寸法精度の高い、均質なハニカム成形体を成形することができる。また、成形後において乾燥・焼成しても、割れ等の不具合の発生を抑制し、優れた品質を維持することができる。それ故に、ハニカム成形体の品質の向上を図ることができる。
【0013】
また、上記成形装置を用いることにより、上記材料塊を最終的な形状のハニカム成形体に成形することができる。つまり、従来の押出成形装置等を用いて押出成形した場合のように、成形後にハニカム成形体を最終的な形状(長さ)に加工(切断)する工程を必ずしも必要とせず、省略することが可能となる。これにより、ハニカム成形体の生産性の向上を図ることができる。
【0014】
このように、本発明の成形装置によれば、ハニカム成形体の品質及び生産性を向上させることができる。
【0015】
第2の発明は、外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する成形装置であって、
セラミック材料よりなる材料塊の外形に合致する内形形状を呈する筒状のシリンダと、
該シリンダ内を軸方向に移動可能に設けられたセル形成治具と、
上記シリンダ内の一端を閉塞する当接部材とを有し、
上記セル形成治具は、上記シリンダ内を移動可能な基体と、該基体から立設された断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンと、該各ピンに対応する複数の貫通穴にそれぞれ上記ピンを摺動可能に貫通させると共に上記シリンダ内を摺動可能なピストンとを有し、
上記材料塊を上記シリンダ内に配置して径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を互いに対向する上記セル形成治具の上記ピストンと上記当接部材とにより挟持しながら、上記基体と上記当接部材とが接近するよう相対移動させ、上記ピンを上記材料塊の一方の端面から挿入して上記当接部材の表面に当接する位置まで押圧前進させることにより上記材料塊を変形させ、その後、上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成することができるよう構成されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置にある(請求項10)。
【0016】
本発明のハニカム成形体の成形装置は、上記のごとく、シリンダとセル形成治具と当接部材とを有し、上記セル形成治具は、基体と複数のピンとピストンとを有する。
そして、上記成形装置は、上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を上記セル形成治具の上記ピストンと上記当接部材とにより挟持しながら、上記ピンを上記材料塊の一方の端面から挿入して押圧前進させることができるよう構成されている。そのため、上記シリンダ、上記ピストン及び上記当接部材によって、上記材料塊の外周面及び両端面の形状を形成すると共にその形状を維持しながら、上記材料塊を軸方向に精度良く変形させることができる。
その他は、上述した第1の発明と同様の作用効果を得ることができ、ハニカム成形体の品質及び生産性を向上させることができる。
【0017】
第3の発明は、外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する方法であって、
セラミック材料よりなる材料塊を作製する材料作製工程と、
上記材料塊の外形に合致する内形形状を有するシリンダ内に上記材料塊を配置する材料配置工程と、
上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を一対のピストンにより挟持しながら、断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンをそれぞれ上記ピストンに設けた貫通穴に貫通させて上記材料塊の両端面から挿入し、押圧前進させることにより上記材料塊を変形させる成形工程と、
上記材料塊から上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成する成形完了工程とを有することを特徴とするハニカム成形体の成形方法にある(請求項16)。
【0018】
本発明のハニカム成形体の成形方法は、上記のごとく、材料作製工程と材料配置工程と成形工程と成形完了工程とを行う。
そして、上記成形工程及び上記成形完了工程では、断面形状が軸方向に同一であり、上記セルに対応する形状を呈する上記複数のピンを上記材料塊に挿入して押圧前進させた後、引き抜く。これにより、上記材料塊内に所望の形状の上記セルを形成することができる。
【0019】
また、上記複数のピンをそれぞれ上記ピストンに設けた貫通穴に貫通させて上記材料塊に挿入する。そのため、上記複数のピンの互いの位置関係を維持したまま、上記材料塊に挿入することができる。これにより、上記複数のピンの位置精度を確保した状態で、該ピンの曲がりを抑制しながら、挿入・引き抜きを行うことができる。それ故に、上記セルを精度良く形成することができる。
【0020】
また、上記成形工程では、上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を上記一対のピストンにより挟持しながら、上記ピンを上記材料塊の両端面から挿入して押圧前進させる。そのため、上記シリンダ及び上記一対のピストンによって、上記材料塊の外周面及び両端面の形状を形成すると共にその形状を維持しながら、上記材料塊を軸方向に精度良く変形させることができる。
【0021】
また、上記材料塊を変形させるに当たっては、従来のように押出成形等の方法を用いた場合に比べて小さい圧力しか必要ないため、上記材料塊に密度のばらつきを生じさせることなく、均質な状態で変形させることができる。
よって、上記成形方法を用いることにより、寸法精度の高い、均質なハニカム成形体を成形することができる。また、成形後において乾燥・焼成しても、割れ等の不具合の発生を抑制し、優れた品質を維持することができる。それ故に、ハニカム成形体の品質の向上を図ることができる。
【0022】
また、上記成形方法を用いることにより、上記材料塊を最終的な形状のハニカム成形体に成形することができる。つまり、従来の押出成形等の方法を用いて成形した場合のように、成形後にハニカム成形体を最終的な形状(長さ)に加工(切断)する工程を必ずしも必要とせず、省略することが可能となる。これにより、ハニカム成形体の生産性の向上を図ることができる。
【0023】
このように、本発明の成形方法によれば、ハニカム成形体の品質及び生産性を向上させることができる。
【0024】
第4の発明は、外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する方法であって、
セラミック材料よりなる材料塊を作製する材料作製工程と、
上記材料塊の外形に合致する内形形状を有するシリンダ内に上記材料塊を配置する材料配置工程と、
上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面をピストンと上記シリンダ内の一端を閉塞する当接部材とにより挟持しながら、断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンをそれぞれ上記ピストンに設けた貫通穴を貫通させて上記材料塊の一方の端面から挿入し、上記当接部材の表面に当接する位置まで押圧前進させることにより上記材料塊を変形させる成形工程と、
上記材料塊から上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成することを特徴とするハニカム成形体の成形方法にある(請求項15)。
【0025】
本発明のハニカム成形体の成形方法は、上記のごとく、材料作製工程と材料配置工程と成形工程と成形完了工程とを行う。
そして、上記成形工程では、上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を上記ピストンと上記当接部材とにより挟持しながら、上記ピンを上記材料塊の一方の端面から挿入して押圧前進させる。そのため、上記シリンダ、上記ピストン及び上記当接部材によって、上記材料塊の外周面及び両端面の形状を形成すると共にその形状を維持しながら、上記材料塊を軸方向に精度良く変形させることができる。
その他は、上述した第3の発明と同様の作用効果を得ることができ、ハニカム成形体の品質及び生産性を向上させることができる。
【0026】
第5の発明は、請求項17に記載のハニカム成形体の成形方法により成形してなるハニカム成形体であって、
上記外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた上記隔壁と該隔壁により仕切られた上記複数のセルとを有し、
該セルの一方の端部には、その部分を栓詰めする栓部が設けられており、該栓部と上記外周壁及び上記隔壁とは一体的に形成されていることを特徴とするハニカム成形体にある(請求項22)。
【0027】
本発明のハニカム成形体は、上記セルの一方の端部を栓詰めする上記栓部を予め設けたものである。そのため、従来のように栓部を別工程で設ける必要がなく、生産性に優れたものとなる。また、上記ハニカム成形体は、上記栓部と上記外周壁及び上記隔壁とが一体的に形成された、寸法精度の高い、均質なものである。そのため、成形後において乾燥・焼成しても、割れ等の不具合の発生を抑制し、優れた品質を維持することができる。
このように、本発明のハニカム成形体は、品質及び生産性を向上させたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
上記第1の発明においては、上記一対のセル形成治具の相対移動限は、上記ピンが対向する上記ピストンの表面から所定距離手前の位置に設定することができる(請求項2)。
この場合には、上記ピンの前進を所定距離に制御することにより、上記材料塊内において上記ピンを押圧前進させずに残した部分、つまり上記セルの一方の端部に、その部分を栓詰めする栓部を形成した上記ハニカム成形体を得ることができる。そのため、従来のように栓部を別工程で設ける必要がなくなり、生産性の向上を図ることができる。
また、成形した上記ハニカム成形体は、上記栓部と上記外周壁及び上記隔壁とが一体的に形成された均質なものとなる。そのため、成形後において乾燥・焼成しても、上記栓部付近における割れ等の発生を抑制することができる。
【0029】
また、上記一対のセル形成治具の相対移動限は、上記ピンが対向する上記ピストンの表面に当接する位置に設定することができる(請求項3)。
この場合には、上記ピンを上記ピストンの表面に当接する位置まで押圧前進させることにより、上記ピンを上記材料塊に貫通させることができる。そして、上記ピンを上記材料塊から引き抜くことにより、上記セルを軸方向に貫通させて形成した上記ハニカム成形体を得ることができる。
なお、ここでいう貫通とは、上記ピンが上記材料塊を完全に貫通する状態のみをいうのではなく、一部貫通している状態や、上記ピンと上記ピストンとの間に上記材料塊が少量残留しているがほぼ貫通していて、実質的に貫通しているとみなされる状態をも含む。以下、同様の意味で用いる。
【0030】
また、上記成形装置は、上記材料塊の両端面を上記両ピストンにより挟持して上記材料塊に与圧を加えながら、上記ピンを引き抜くことができるよう構成されていることが好ましい。
この場合には、上記ピンを引き抜く際の上記材料塊の変形・破損等を抑制することができる。
【0031】
また、上記一対のセル形成治具は、上記ピンを互い違いに対向させていることが好ましい(請求項4)。すなわち、一方のセル形成治具に設けたピンと、他方に設けたピンとが、軸方向に直交する方向において交互に配置されるよう構成されていることが好ましい。
この場合には、上記ピンを上記材料塊の両端面から円滑に挿入して押圧前進させることができる。これにより、上記材料塊を軸方向にさらに精度良く、均質な状態で変形させることができる。
【0032】
また、上記成形装置は、上記シリンダと上記ピストンとの間のクリアランスを上記材料塊が通り抜けできないように、上記シリンダの内周形状及びその寸法と、上記ピストンの外周形状及びその寸法とを設定してあることが好ましい。また、上記ピストンの上記貫通穴と上記ピンとの間のクリアランスを上記材料塊が通り抜けできないように、上記貫通穴の内周形状及びその寸法と、上記ピンの外周形状及びその寸法とを設定してあることが好ましい。
この場合には、上記材料塊を上記両ピストンにより挟持しながら、上記両ピストンの間において軸方向に精度良く変形させることができる。
【0033】
上記第2の発明においては、上記成形装置を用いて成形を行い、上記ピンを上記ピストンに当接する位置まで押圧前進させることにより、上記ピンを上記材料塊に貫通させることができる。そして、上記ピンを上記材料塊から引き抜くことにより、上記セルを軸方向に貫通させて形成した上記ハニカム成形体を得ることができる。
【0034】
また、上記成形装置は、上記材料塊の両端面を上記ピストンと上記当接部材とにより挟持して上記材料塊に与圧を加えながら、上記ピンを引き抜くことができるよう構成されていることが好ましい。
この場合には、上記ピンを引き抜く際の上記材料塊の変形・破損等を抑制することができる。
【0035】
また、上記成形装置は、上記シリンダと上記ピストン及び上記当接部材との間のクリアランスを上記材料塊が通り抜けできないように、上記シリンダの内周形状及びその寸法と、上記ピストン及び上記当接部材の外周形状及びその寸法とを設定してあることが好ましい。また、上記ピストンの上記貫通穴と上記ピンとの間のクリアランスを上記材料塊が通り抜けできないように、上記貫通穴の内周形状及びその寸法と、上記ピンの外周形状及びその寸法とを設定してあることが好ましい。
この場合には、上記材料塊を上記ピストンと上記当接部材とにより挟持しながら、両者の間において軸方向に精度良く変形させることができる。
【0036】
上記第1及び第2の発明においては、上記ピンの断面形状は、四角形又は六角形であることが好ましい(請求項5、11)。
この場合には、上記材料塊に断面形状が四角形又は六角形の上記セルを形成することができる。
さらに、上記ピンの外周面は、対向する面が略平行であることが好ましい。これにより、上記ピンの曲がりをさらに抑制しながら、上記材料塊に挿入することができる。
【0037】
また、上記ピンの表面には、硬質クロムめっきが施されていることが好ましい(請求項6、12)。
この場合には、上記ピンの挿入・引き抜きを容易にすることができる。これにより、上記セルをより一層精度良く形成することができる。
【0038】
また、上記硬質クロムめっきの厚みは、2〜20μmであることが好ましい(請求項7、13)。
上記硬質クロムめっきの厚みが2μm未満の場合には、上記ピンの挿入・引き抜きを容易にするという効果を充分に発揮することができないおそれがある。一方、20μmを超える場合には、上記ピンの形状精度が低下し、形成する上記セルに歪みが生じるおそれがある。また、上記ピンの強度が不足し、挿入・引き抜き時に折損するおそれがある。
【0039】
また、上記シリンダの内側の断面形状は、円形、楕円形又は多角形であることが好ましい(請求項8、14)。
この場合には、断面形状が円形、楕円形又は多角形のハニカム成形体を成形することができる。なお、ここでいう楕円とは、幾何学上の楕円に限らず、半円と直線とを組み合わせたいわゆるレーストラック形状を含む概念である。また、多角形としては、三角形、四角形、六角形、八角形等がある。
【0040】
また、上記シリンダは、径方向に複数に分割できるよう構成されていることが好ましい(請求項9、15)。
この場合には、成形したハニカム成形体を上記シリンダ内から取り出し易くすることができる。また、取り出す際にハニカム成形体の外周面に変形や破損等が生じることを抑制することができる。
【0041】
上記第3の発明においては、上記成形工程では、上記ピンを対向する上記ピストンの表面から所定距離手前の位置まで押圧前進させることができる(請求項17)。
この場合には、上記成形工程において上記ピンの前進を所定距離に制御することにより、上記材料塊内において上記ピンを押圧前進させずに残した部分、つまり上記セルの一方の端部に、その部分を栓詰めする栓部を形成した上記ハニカム成形体を得ることができる。そのため、従来のように栓部を別工程で設ける必要がなくなり、生産性の向上を図ることができる。
また、成形した上記ハニカム成形体は、上記栓部と上記外周壁及び上記隔壁とが一体的に形成された均質なものとなる。そのため、成形後において乾燥・焼成しても、上記栓部付近における割れ等の発生を抑制することができる。
【0042】
また、上記成形工程では、上記ピンを対向する上記ピストンの表面に当接する位置まで押圧前進させることができる(請求項18)。
この場合には、上記成形工程において上記ピンを上記ピストンの表面に当接する位置まで押圧前進させることにより、上記ピンを上記材料塊に貫通させることができる。そして、上記成形完了工程において上記ピンを上記材料塊から引き抜くことにより、上記セルを軸方向に貫通させて形成した上記ハニカム成形体を得ることができる。
【0043】
また、上記成形工程は、上記第1の発明のハニカム成形体の成形装置を用いて行うことが好ましい(請求項19)。
この場合には、寸法精度の高い、均質なハニカム成形体を成形することができ、品質の向上を図ることができる。また、上記材料塊を最終的な形状のハニカム成形体に成形することができるため、生産性の向上を図ることができる。
【0044】
上記第4の発明においては、上記成形方法を用いて成形を行い、上記成形工程において上記ピンを上記ピストンの表面に当接する位置まで押圧前進させることにより、上記ピンを上記材料塊に貫通させることができる。そして、上記成形完了工程において上記ピンを上記材料塊から引き抜くことにより、上記セルを軸方向に貫通させて形成した上記ハニカム成形体を得ることができる。
【0045】
また、上記成形工程は、上記第2の発明のハニカム成形体の成形装置を用いて行うことが好ましい(請求項21)。
この場合には、寸法精度の高い、均質なハニカム成形体を成形することができ、品質の向上を図ることができる。また、上記材料塊を最終的な形状のハニカム成形体に成形することができるため、生産性の向上を図ることができる。
【0046】
上記第1〜第4の発明においては、上記シリンダの内側の断面積は、400〜90000mm2であることが好ましい。
上記シリンダの内側の断面積が400mm2未満の場合には、上記材料塊の変形時において圧力及び流速に分布が生じ、成形する上記隔壁に破断が生じるおそれがある。一方、90000mm2を超える場合には、形成する上記セルに歪みが生じ、形状精度を充分に得ることができないおそれがある。
【0047】
また、上記ピンの断面積は、0.01〜12mm2であることが好ましい。
上記ピンの断面積が0.01mm2未満の場合には、形成する上記セルに歪みが生じ、形状精度を充分に得ることができないおそれがある。一方、12mm2を超える場合には、上記材料塊の変形時において抵抗が大きくなり、成形する上記隔壁に破断が生じるおそれがある。
【0048】
また、上記ピンの長さは、10〜350mmであることが好ましい。
上記ピンの長さが10mm未満の場合には、上記材料塊の変形時において変形のばらつきが大きく、上記セルの歪みや上記セル壁の破断が生じるおそれがある。一方、350mmを超える場合には、形成する上記セルに歪みが生じ、形状精度を充分に得ることができないおそれがある。
【0049】
また、上記ハニカム成形体の材料となる上記材料塊は、上記ピンを挿入して押圧前進させることによって容易に変形可能な粘度を有していることが好ましい。
また、上記材料塊を構成する上記セラミック材料としては、少なくともセラミック粒子、樹脂成分及び溶媒を含有したものを用いることができる。
【0050】
また、上記セラミック粒子としては、チタン酸アルミニウム、ムライト、チタン酸カリウム、リチウムアルミノシリケート、コーディエライト、PZT、酸化チタン、酸化スズ、ガリウム砒素、炭化ケイ素、酸化クロム、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、炭化繊維、ケイ酸カルシウム、FRC、結晶化ガラス、無定形炭素、炭化タングステン、炭化チタン、ケイ化鉄、黒鉛、チタニア、炭素繊維、シリカ、窒化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ガリウム燐、酸化タングステン、硫化カドミウム、ITO等のうち、1種又は2種以上、又は焼成によりこれらの材質となる原料粒子を用いることができる。特に、焼成によりコーディエライト化する粒子を用いることが好ましい。
【0051】
また、上記樹脂成分としては、メチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド等のうち、1種又は2種以上を用いることができる。特に、メチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
また、上記溶媒としては、高い表面張力を有する水が好ましい。
【0052】
また、成形した上記ハニカム成形体において、上記セルの一方の端部を栓詰めする上記栓部を設けた上記ハニカム成形体については、その後乾燥・焼成することによって、ディーゼルエンジン用排ガス浄化フィルタ(DPF)として適用することができる。
また、上記セルを軸方向に貫通させて設けた上記ハニカム成形体については、その後乾燥・焼成することによって、排ガス浄化用触媒担体として適用することができる。
【実施例】
【0053】
(実施例1)
本発明の実施例について、図を用いて説明する。
本例において成形するハニカム成形体1は、図1、図2に示すごとく、外周壁13と、該外周壁13の内側においてハニカム状に設けられた隔壁12と、該隔壁12により仕切られた断面形状が四角形である複数のセル11とを有する。ハニカム成形体1は、コーディエライト化原料を含むセラミック材料より構成されており、円筒形状を呈している。
【0054】
また、同図に示すごとく、セル11は、一方の端部をハニカム成形体1のどちらか一方の端面101、102において開口させており、もう一方の端部を栓部14によって閉塞させている。本例においては、セル11の端部を開口する開口部19と閉塞する栓部14とは交互に配置されており、いわゆる市松模様を形成している。また、栓部14と隔壁12及び外周壁13とは、一体的に設けられている。
また、本例のハニカム成形体1のサイズは、直径160mm、長さ100mmであり、セルサイズは、隔壁厚さ0.3mm、セルピッチ1.4mmである。
【0055】
なお、本例のハニカム成形体1は、その後の乾燥、焼成によって、多孔質の隔壁を有するコーディエライトセラミック製のハニカム構造体となるものである。また、このハニカム構造体は、自動車等の排ガスの浄化を行うディーゼルエンジン用排ガス浄化フィルタ(DPF)として適用されるものである。
【0056】
次に、本例のハニカム成形体1の成形に用いる成形装置について説明する。
本例の成形装置2は、図5に示すごとく、円筒状のシリンダ3と該シリンダ3内を軸方向に移動可能に設けられた一対のセル形成治具4、5とを有している。また、各セル形成治具4、5は、本体41、51と複数のピン42、52とピストン43、53とを有している。
【0057】
シリンダ3は、図6に示すごとく、ハニカム成形体1の材料となる後述の材料塊10及び最終的に得ようとするハニカム成形体1の外形に合致する内形形状を呈しており、その断面形状は円形である。また、シリンダ3は、径方向に分割することができる4つの分割部材31を組み合わせて構成されている。
【0058】
セル形成治具4、5の基体41、51は、図5に示すごとく、シリンダ3内を軸方向に同期させて移動できるように、図示しない移動装置に連結されて設けられている。
また、複数のピン42、52は、他方のセル形成治具4、5に対向させて、基体41、51から軸方向に互い違いに立設されている。すなわち、セル形成治具4に設けたピン42とセル形成治具5に設けたピン52とが、軸方向に直交する方向において交互に配置されている。また、ピン42、52は、断面形状が軸方向に同一であり、最終的に得ようとするハニカム成形体1のセル11に対応する四角形状を呈している。また、ピン42、52は、表面に厚み2μmの硬質クロムめっきが施されている。
【0059】
また、ピストン43、53は、同図に示すごとく、各ピン42、52に対応する複数の貫通穴431、531を有している。そして、貫通穴431、531にピン42、52を摺動可能に貫通させている。また、ピストン43、53は、シリンダ3内を摺動可能に設けられている。
また、基体41、51とピストン43、53との間には、リング状のストッパー32、33がシリンダ3の内周面全周に渡って固定して取り付けられている。
【0060】
なお、本例の成形装置2は、シリンダ3とピストン43、53との間のクリアランスを材料塊10が通り抜けできないように、シリンダ3の内径とピストン43、53の外径とを設定してある。また、ピストン43、53の貫通穴431、531とピン42、52との間のクリアランスを材料塊10が通り抜けできないように、貫通穴431、531の内周形状及びその寸法とピン42、52の外周形状及びその寸法とを設定してある。
【0061】
また、シリンダ3のサイズは、内径160mmである。また、シリンダ3の内側の断面積は20096mm2である。
また、セル形成治具4、5の各部材のサイズは、基体41、51:外径160mm、長さ30mm、ピン42、52:長さ160mm、ピストン43、53:外径160mm、長さ10mmである。また、ピン42、52の断面積は1.21mm2である。
また、ストッパー32、33のサイズは、外径160mm、内径154mm、厚み10mmである。
【0062】
次に、成形装置2を用いたハニカム成形体1の成形方法について説明する。
本例の成形方法は、図3〜図11に示すごとく、材料作製工程、材料配置工程、成形工程、及び成形完了工程を行う。
【0063】
材料作製工程は、セラミック材料よりなる材料塊10を作製する工程である。
材料配置工程は、シリンダ3内に材料塊10を配置する工程である。
成形工程は、材料塊10をシリンダ3により径方向に拘束すると共に、材料塊10の両端面101、102を一対のピストン43、53により挟持しながら、ピン42、52を材料塊10の両端面101、102から挿入し、押圧前進させることにより材料塊10を変形させる工程である。
成形完了工程は、材料塊10からピン42、52を引き抜くことにより材料塊10内にセル11を形成する工程である。
以下、これを詳説する。
【0064】
<材料作製工程>
まず、カオリン、溶融シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルク等を含有するコーディエライト化原料を水に混合し、バインダ樹脂としてのメチルセルロース、焼成により焼失して細孔を形成する造孔材としてのカーボン等を添加して混練し、所定の粘度を有する粘土質のセラミック材料よりなる円柱状の材料塊10を得た。なお、材料塊10のサイズは、直径160mm、長さ40mmである。
【0065】
<材料配置工程>
次いで、図3、図4に示すごとく、4つの分割部材31を組み合わせて円筒状のシリンダ3を形成し、そのシリンダ3内に一対のセル形成治具4、5をセットすると共に、セル形成治具4、5の間に材料塊10を配置した。このとき、セル形成治具4、5を互いのピン42、52が対向するようにセットした。
【0066】
これにより、図5、図6に示すごとく、シリンダ3内に材料塊10を配置した。なお、シリンダ3の内形形状と材料塊10の外形形状とは合致しているため、シリンダ3と材料塊10の外周面100との間に大きなクリアランスを形成することなく、材料塊10が配置される。
【0067】
<成形工程>
次いで、図7に示すごとく、ピン42、52の先端にピストン43、53を配置した状態で、セル形成治具4、5を上記移動装置により材料塊10の両端面101、102に向けて移動させ、ピストン43、53を材料塊10の両端面101、102に当接させた。そして、材料塊10の両端面101、102をピストン43、53により挟持した。
【0068】
次いで、図8に示すごとく、材料塊10をシリンダ3により径方向に拘束すると共に、材料塊10の両端面101、102をピストン43、53により挟持した状態で、セル形成治具4、5の基体41、51を互いに接近するように移動させた。それと共に、ピン42、52をピストン43、53の貫通穴431、531を貫通させて材料塊10の両端面101、102から挿入した。
【0069】
次いで、同図に示すごとく、ピン42、52を材料塊10内において押圧前進させ、ピン42、52が挿入された体積分だけ材料塊10を軸方向に変形させた。このとき、材料塊10の両端面101、102を挟持しているピストン43、53は、材料塊10の軸方向への変形と共に、材料塊10の軸方向寸法の増大に追従するよう挟持状態を維持したまま移動した。
【0070】
次いで、図9に示すごとく、ピン42、52を対向するピストン43、53の表面から所定距離手前の位置まで、すなわち材料塊10に貫通させずに途中まで押圧前進させた後、その前進を停止させた。そして、材料塊10の変形を終了した。
【0071】
<成形完了工程>
次いで、同図に示すごとく、変形させた材料塊10の両端面101、102をピストン43、53により挟持した状態で、基体41、51を互いに遠ざかる方向に移動させ、材料塊10からピン42、52を引き抜いた。このとき、ピストン43、53は、ストッパー32、33によってピン42、52の引き抜き方向への移動を規制されている。そのため、材料塊10に与圧を加えながら、ピン42、52の引き抜きを行った。
【0072】
そして、図10、図11に示すごとく、ピン42、52を完全に引き抜き、材料塊10内にセル11を形成してなるハニカム成形体1(図1、図2参照)を成形した。その後、シリンダ3を4つの分割部材31に分割し、材料塊10の外周面100から取り外した。
以上により、ハニカム成形体1の成形を終了した。
【0073】
次に、本例のハニカム成形体1の成形方法における作用効果について説明する。
本発明の成形方法において、成形工程及び成形完了工程では、断面形状が軸方向に同一であり、セル11に対応する形状を呈する複数のピン42、52を材料塊10に挿入して押圧前進させた後、引き抜く。これにより、材料塊10内に所望の形状のセル11を形成することができる。
【0074】
また、複数のピン42、52をそれぞれピストン43、53に設けた貫通穴431、531に貫通させて材料塊10に挿入する。そのため、複数のピン42、52の互いの位置関係を維持したまま、ピン42、52を材料塊10に挿入することができる。これにより、ピン42、52の位置精度を確保した状態で、ピン42、52の曲がりを抑制しながら、挿入・引き抜きを行うことができる。それ故に、セル11を精度良く形成することができる。
【0075】
また、成形工程では、材料塊10をシリンダ3により径方向に拘束すると共に、材料塊10の両端面101、102を一対のピストン43,53により挟持しながら、ピン42、52を材料塊10の両端面101、102から挿入して押圧前進させる。そのため、シリンダ3及びピストン43、53によって、材料塊10の外周面100及び両端面101、102の形状を形成すると共にその形状を維持しながら、材料塊10を軸方向に精度良く変形させることができる。
【0076】
また、材料塊10を変形させるに当たっては、従来のように押出成形等の方法を用いた場合に比べて小さい圧力しか必要ないため、材料塊10に密度のばらつきを生じさせることなく、均質な状態で変形させることができる。
よって、本例の成形方法を用いることにより、寸法精度の高い、均質なハニカム成形体1を成形することができる。また、成形後において乾燥・焼成しても、割れ等の不具合の発生を抑制し、優れた品質を維持することができる。それ故に、ハニカム成形体1の品質の向上を図ることができる。
【0077】
また、本例の成形方法を用いることにより、材料塊10を最終的な形状のハニカム成形体1に成形することができる。つまり、従来の押出成形等の方法を用いて成形した場合のように、成形後にハニカム成形体を最終的な形状(長さ)に加工(切断)する工程を必ずしも必要とせず、省略することが可能である。これにより、ハニカム成形体1の生産性の向上を図ることができる。
【0078】
また、本例の成形方法においては、成形工程では、ピン42、52を対向するピストン43、53の表面から所定距離手前の位置まで押圧前進させる。すなわち、成形工程においてピン42、52の前進を所定距離に制御することにより、材料塊10内においてピン42、52を押圧前進させずに残した部分、つまりセル11の一方の端部に、その部分を栓詰めする栓部14を形成したハニカム成形体1を得ることができる。そのため、従来のように栓部を別工程で設ける必要がなくなり、生産性の向上を図ることができる。
また、成形したハニカム成形体1は、栓部14と外周壁13及び隔壁12とが一体的に形成された均質なものとなる。そのため、成形後において乾燥・焼成しても、栓部14付近における割れ等の発生を抑制することができる。
【0079】
また、本例の成形装置2においては、一対のセル形成治具4、5は、ピン42、52を互い違いに対向させている。そのため、ピン42、52を材料塊10の両端面101、102から円滑に挿入して押圧前進させることができる。これにより、材料塊10を軸方向にさらに精度良く、均質な状態で変形させることができる。
【0080】
また、ピン42、52の表面には、厚み2μmの硬質クロムめっきが施されている。そのため、ピン42、52の挿入・引き抜きを容易にすることができる。これにより、セル11をより一層精度良く形成することができる。
【0081】
また、成形装置2は、材料塊10の両端面101、102をピストン43、53により挟持した状態で、かつ、ストッパー32、33によってピン42、52の引き抜き方向へのピストン43、53の移動を規制した状態で、材料塊10からピン42、52を引き抜くことができるように構成されている。そのため、材料塊10に与圧を加えながら、ピン42、52を引き抜くことができる。これにより、ピン42、52を引き抜く際の材料塊10の変形・破損等を抑制することができる。
【0082】
また、シリンダ3は、径方向に複数に分割できるように構成されている。そのため、成形したハニカム成形体1をシリンダ3内から取り出し易くすることができる。また、取り出しの際にハニカム成形体1の外周面100に変形や破損等が生じることを抑制することができる。
【0083】
このように、本例の成形方法によれば、ハニカム成形体の品質及び生産性を向上させることができる。
【0084】
(実施例2)
本例は、実施例1の成形方法における成形工程において、ピン42、52を材料塊10に挿入して押圧前進させる距離を変更し、異なる構造のハニカム成形体1を成形した例である。
【0085】
本例において成形するハニカム成形体1は、図12、図13に示すごとく、外周壁13と、該外周壁13の内側においてハニカム状に設けられた隔壁12と、該隔壁12により仕切られていると共に軸方向に貫通する複数のセル11とを有する。セル11は、両方の端部をハニカム成形体1の両端面101、102において開口部19により開口させている。
その他は、実施例1と同様の構造である。
【0086】
なお、本例のハニカム成形体1は、その後の乾燥、焼成によって、コーディエライトセラミック製のハニカム構造体となるものである。このハニカム構造体は、自動車等の排ガスの浄化を行う排ガス浄化用触媒担体として適用されるものである。
【0087】
次に、本例の成形方法について説明する。
本例では、成形工程において、図14に示すごとく、ピン42、52を対向するピストン43、53の表面に当接する位置まで押圧前進させた後、その前進を停止させた。そして、材料塊10の変形を終了した。
その他は、実施例1と同様の工程を行う。
【0088】
この場合には、成形工程において、ピン42、52をピストン43、53の表面に当接する位置まで押圧前進させることにより、ピン42、52を材料塊10にほぼ貫通させた状態とすることができる。そして、その後の成形完了工程において、ピン42、52を材料塊10から引き抜くことにより、セル11を軸方向に貫通させて形成してなる、図12、図13に示したハニカム成形体1を得ることができる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0089】
(実施例3)
本例は、実施例1の成形装置2において、一方のセル形成治具5を他の部材に変更し、構造の異なるハニカム成形体1を成形した例である。
なお、本例において成形するハニカム成形体1は、実施例2と同様の構造である。
【0090】
まず、本例の成形装置2について説明する。
成形装置2は、図15に示すごとく、円筒状のシリンダ3と該シリンダ3内を軸方向に移動可能に設けられたセル形成治具4とシリンダ3内の一端を閉塞する当接部材6とを有している。
セル形成治具4に設けられた複数のピン42は、当接部材6に対向させて、本体41から軸方向に立設されている。また、基体41とピストン43との間には、リング状のストッパー32がシリンダ3の内周面全周に渡って固定して取り付けられている。また、当接部材6は、シリンダ3内において固定されている。
【0091】
また、成形装置2は、シリンダ3とピストン43及び当接部材6との間のクリアランスを材料塊10が通り抜けできないように、シリンダ3の内径とピストン43及び当接部材6との外径とを設定してある。
その他は、実施例1と同様の構成である。
【0092】
次に、本例の成形方法について説明する。
本例では、材料配置工程において、図15に示すごとく、円筒状のシリンダ3内にセル形成治具4及び当接部材6をセットすると共に、セル形成治具4と当接部材6との間に材料塊10を配置した。このとき、セル形成治具4のピン42と当接部材6とが対向するようにセットした。
【0093】
また、成形工程において、図16に示すごとく、材料塊10をシリンダ3により径方向に拘束すると共に、材料塊10の両端面101、102をピストン43及び当接部材6により挟持した状態で、セル形成治具4の基体41を当接部材6に接近するように移動させた。それと共に、ピン42をピストン43の貫通穴431を貫通させて材料塊10の一方の端面101から挿入した。
【0094】
次いで、同図に示すごとく、ピン42を材料塊10内において押圧前進させ、ピン42が挿入された体積分だけ材料塊10を軸方向のセル形成治具4側に変形させた。このとき、材料塊10の軸方向への変形と共に、材料塊10の一方の端面101に当接しているピストン43も、その状態を維持したまま移動する。
次いで、図17に示すごとく、ピン42を対向する当接部材6の表面に当接する位置まで押圧前進させた後、その前進を停止させた。そして、材料塊10の変形を終了した。
【0095】
また、成形完了工程において、同図に示すごとく、変形させた材料塊10の両端面101、102をピストン43及び当接部材6により挟持した状態で、材料塊10からピンを引き抜いた。このとき、ピストン43は、ストッパー32によってピン42の引き抜き方向へ移動を規制されている。また。当接部材6は、シリンダ3内に固定されている。そのため、材料塊10に与圧を加えながら、ピン42の引き抜きを行った。そして、ピン42を完全に引き抜き、材料塊10内にセル11を形成した。
その他は、実施例1と同様の工程を行う。
【0096】
この場合には、成形工程において、ピン42を当接部材6の表面に当接する位置まで押圧前進させることにより、ピン42を材料塊10にほぼ貫通させた状態とすることができる。そして、その後の成形完了工程において、ピン42を材料塊10から引き抜くことにより、セル11を軸方向に貫通させて形成してなる、図12、図13に示したハニカム成形体1を得ることができる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0097】
(実施例4)
本例は、実施例1の成形方法を用いて成形したハニカム成形体1を評価した例である。
本例では、実施例1の成形装置・成形方法により成形したハニカム成形体を乾燥・焼成した焼成体(試料E)について、内部クラック発生率、栓高さ及び外径寸法を測定した。
【0098】
なお、成形したハニカム成形体は、100℃で4分間乾燥させた後、室温から500℃まで15℃/時間で昇温して脱脂し、次いで1400℃まで80℃/時間で昇温し、次いで1400℃で10時間保持し、次いで70℃/時間で降温することにより焼成し、これを焼成体とした。
【0099】
また、比較例として、従来のように押出成形装置を用いて押出成形した後、栓詰め工程を行って作製したハニカム成形体を準備し、これを乾燥・焼成した焼成体(試料C)についても同様の評価を行った。
なお、ハニカム成形体の構造・サイズ、乾燥・焼成の条件等は、試料Eと同様である。
【0100】
次に、内部クラック発生率、栓高さ及び外径寸法の測定方法について説明する。
内部クラック発生率は、焼成後のハニカム成形体(焼成体)の一方の端面から軸方向に光を当て、もう一方の端面から目視により観察した。内部クラックが発生している場合、内部クラック発生箇所のセル壁が他のセル壁よりも厚みが大きく透過されることを利用して、内部クラックの検出を行い、その発生率を求めた。なお、試料E及び試料CのN数は、それぞれ100、1000である。
【0101】
また、栓高さは、焼成体において、栓高さを測定する栓部が形成されたセルの中心を通るように軸方向に切断し、栓部の切断面の最大高さ(長さ)を測定することによって求めた。なお、試料E及び試料CのN数は、それぞれ10である。
また、外径寸法は、焼成体の一方の端面から軸方向に50mm入った位置の直径を、径方向に45°ずつ位置をずらしながら合計4箇所測定し、それらの値を平均することによって求めた。なお、試料E及び試料CのN数は、それぞれ100、1000である。
【0102】
次に、測定結果を示す。
図18は、内部クラック発生率の測定結果を示したものである。同図から知られるように、試料Cでは内部クラック発生率が7.6%であったのに対して、試料Eではほぼ0%と内部クラックの発生がほとんどみられなかった。
図19は、栓高さの測定結果を示したものである。同図から知られるように、試料Eは、試料Cに比べて栓部の栓高さのばらつきが小さい。
図20は、外径寸法の測定結果を示したものである。同図から知られるように、試料Eは、試料Cに比べてハニカム成形体の焼成品の外径寸法のばらつきが小さい。
【0103】
以上により、本例の成形方法を用いて成形したハニカム成形体は、寸法精度の高い、均質なものであることがわかる。また、成形後において乾燥・焼成しても、割れ等の不具合の発生を抑制し、優れた品質が維持されることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】実施例1における、ハニカム成形体の斜視図。
【図2】実施例1における、ハニカム成形体の断面説明図。
【図3】実施例1における、材料配置工程を示す説明図。
【図4】図3のA−A矢視断面図。
【図5】実施例1における、材料配置工程を示す説明図。
【図6】図5のB−B矢視断面図。
【図7】実施例1における、成形工程を示す説明図。
【図8】実施例1における、成形工程を示す説明図。
【図9】実施例1における、成形工程を示す説明図。
【図10】実施例1における、成形完了工程を示す説明図。
【図11】図10のC−C矢視断面図。
【図12】実施例2における、ハニカム成形体の斜視図。
【図13】実施例2における、ハニカム成形体の断面説明図。
【図14】実施例2における、成形工程を示す説明図。
【図15】実施例3における、成形工程を示す説明図。
【図16】実施例3における、成形工程を示す説明図。
【図17】実施例3における、成形工程を示す説明図。
【図18】実施例4における、内部クラック発生率の測定結果を示す説明図。
【図19】実施例4における、栓高さの測定結果を示す説明図。
【図20】実施例4における、外径寸法の測定結果を示す説明図。
【符号の説明】
【0105】
1 ハニカム成形体
10 材料塊
101、102 端面
3 シリンダ
4、5 セル形成治具
42、52 ピン
43、53 ピストン
431、531 貫通穴
6 当接部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム成形体を成形するための成形装置及び成形方法、並びにその成形方法により成形したハニカム成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、セラミック製のハニカム構造体は、内燃機関より排出される排ガスの浄化を行う排ガス浄化用触媒担体、ディーゼルエンジン用排ガス浄化フィルタ(DPF)等として広く用いられている。
例えば、ハニカム構造体を触媒担体として適用する場合には、セラミック材料を成形して、隔壁をハニカム状に配して多数のセルを設けた成形体(ハニカム成形体)を作製し、その後、乾燥、焼成することによって製造される。また、ハニカム構造体をDPFとして適用する場合には、上記ハニカム成形体を成形した後、セルの一方の端部を閉塞する栓部を設け、乾燥、焼成することによって製造される。
【0003】
ハニカム成形体を成形する方法としては、一般的に押出成形が用いられる。例えば、押出スクリュー等を備えた押出成形装置を用いて、材料を成形型から押し出すことにより、ハニカム成形体を成形する(特許文献1参照)。
しかしながら、押出成形装置等を用いて成形する場合には、材料を成形型から押し出す際の圧力分布・流速分布等が不均一となるため、成形したハニカム成形体の密度にばらつきが生じ、品質の低下を招いてしまう。また、これを焼成した場合には、内部にクラック等の不具合が発生する。一方、材料の圧力分布・流速分布の安定化を図るためには、押出成形装置の調整に多くの時間を要し、生産性が低下してしまう。
【0004】
また、ハニカム構造体をDPFとして適用する場合には、セルの一方の端部を閉塞する栓部を設ける。そのため、ハニカム成形体を成形後、栓部の材料である栓詰め用スラリーにディッピングし、栓詰めすべき部分に栓部を設ける栓詰め工程が必要となる。
しかしながら、この栓詰め工程では、スラリーの状態やハニカム成形体の寸法精度の影響を受けるため、栓部を精度良く設けることが困難である。さらに、これを焼成した場合には、栓部付近に割れ等の不具合が発生し、品質の低下を招いてしまう。
【0005】
このようなことから、ハニカム成形体の品質及び生産性の向上を図ることができるハニカム成形体の成形装置及び成形方法が望まれている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−260116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、ハニカム成形体の品質及び生産性を向上させることができるハニカム成形体の成形装置及び成形方法、さらには、その成形方法により成形したハニカム成形体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する成形装置であって、
セラミック材料よりなる材料塊の外形に合致する内形形状を呈する筒状のシリンダと、
該シリンダ内を軸方向に相対移動可能に設けられた一対のセル形成治具とを有し、
上記各セル形成治具は、上記シリンダ内を移動可能な基体と、該基体から立設された断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンと、該各ピンに対応する複数の貫通穴にそれぞれ上記ピンを摺動可能に貫通させると共に上記シリンダ内を摺動可能なピストンとを有し、
上記材料塊を上記シリンダ内に配置して径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を互いに対向する上記一対のセル形成治具の上記両ピストンにより挟持しながら、互いの上記基体が接近するよう相対移動させ、上記ピンを上記材料塊の両端面から挿入して押圧前進させることにより上記材料塊を変形させ、その後、上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成することができるよう構成されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置にある(請求項1)。
【0009】
本発明のハニカム成形体の成形装置は、上記のごとく、シリンダと一対のセル形成治具とを有し、該各セル形成治具は、基体と複数のピンとピストンとを有する。
そして、上記各セル形成治具に設けられた上記複数のピンは、断面形状が軸方向に同一であり、上記セルに対応する形状を呈している。そのため、上記ピンを上記材料塊に挿入して押圧前進させた後、引き抜くことにより、上記材料塊内に所望の形状の上記セルを形成することができる。
【0010】
また、上記複数のピンは、上記基体に立設されており、上記各ピンに対応する上記ピストンの上記貫通穴にそれぞれ摺動可能に貫通させて設けてある。そのため、上記基体を移動させることによって上記複数のピンの互いの位置関係を維持したまま同時に移動させることができる。これにより、上記複数のピンの位置精度を確保した状態で、該ピンの曲がりを抑制しながら、挿入・引き抜きを行うことができる。それ故に、上記セルを精度良く形成することができる。
【0011】
また、上記成形装置は、上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を上記一対のセル形成治具の上記両ピストンにより挟持しながら、上記ピンを上記材料塊の両端面から挿入して押圧前進させることができるよう構成されている。そのため、上記シリンダ及び上記両ピストンによって、上記材料塊の外周面及び両端面の形状を形成すると共にその形状を維持しながら、上記材料塊を軸方向に精度良く変形させることができる。
【0012】
また、上記材料塊を変形させるに当たっては、従来のように押出成形装置等を用いて押出成形した場合に比べて小さい圧力しか必要ないため、上記材料塊に密度のばらつきを生じさせることなく、均質な状態で変形させることができる。
よって、上記成形装置を用いることにより、寸法精度の高い、均質なハニカム成形体を成形することができる。また、成形後において乾燥・焼成しても、割れ等の不具合の発生を抑制し、優れた品質を維持することができる。それ故に、ハニカム成形体の品質の向上を図ることができる。
【0013】
また、上記成形装置を用いることにより、上記材料塊を最終的な形状のハニカム成形体に成形することができる。つまり、従来の押出成形装置等を用いて押出成形した場合のように、成形後にハニカム成形体を最終的な形状(長さ)に加工(切断)する工程を必ずしも必要とせず、省略することが可能となる。これにより、ハニカム成形体の生産性の向上を図ることができる。
【0014】
このように、本発明の成形装置によれば、ハニカム成形体の品質及び生産性を向上させることができる。
【0015】
第2の発明は、外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する成形装置であって、
セラミック材料よりなる材料塊の外形に合致する内形形状を呈する筒状のシリンダと、
該シリンダ内を軸方向に移動可能に設けられたセル形成治具と、
上記シリンダ内の一端を閉塞する当接部材とを有し、
上記セル形成治具は、上記シリンダ内を移動可能な基体と、該基体から立設された断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンと、該各ピンに対応する複数の貫通穴にそれぞれ上記ピンを摺動可能に貫通させると共に上記シリンダ内を摺動可能なピストンとを有し、
上記材料塊を上記シリンダ内に配置して径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を互いに対向する上記セル形成治具の上記ピストンと上記当接部材とにより挟持しながら、上記基体と上記当接部材とが接近するよう相対移動させ、上記ピンを上記材料塊の一方の端面から挿入して上記当接部材の表面に当接する位置まで押圧前進させることにより上記材料塊を変形させ、その後、上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成することができるよう構成されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置にある(請求項10)。
【0016】
本発明のハニカム成形体の成形装置は、上記のごとく、シリンダとセル形成治具と当接部材とを有し、上記セル形成治具は、基体と複数のピンとピストンとを有する。
そして、上記成形装置は、上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を上記セル形成治具の上記ピストンと上記当接部材とにより挟持しながら、上記ピンを上記材料塊の一方の端面から挿入して押圧前進させることができるよう構成されている。そのため、上記シリンダ、上記ピストン及び上記当接部材によって、上記材料塊の外周面及び両端面の形状を形成すると共にその形状を維持しながら、上記材料塊を軸方向に精度良く変形させることができる。
その他は、上述した第1の発明と同様の作用効果を得ることができ、ハニカム成形体の品質及び生産性を向上させることができる。
【0017】
第3の発明は、外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する方法であって、
セラミック材料よりなる材料塊を作製する材料作製工程と、
上記材料塊の外形に合致する内形形状を有するシリンダ内に上記材料塊を配置する材料配置工程と、
上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を一対のピストンにより挟持しながら、断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンをそれぞれ上記ピストンに設けた貫通穴に貫通させて上記材料塊の両端面から挿入し、押圧前進させることにより上記材料塊を変形させる成形工程と、
上記材料塊から上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成する成形完了工程とを有することを特徴とするハニカム成形体の成形方法にある(請求項16)。
【0018】
本発明のハニカム成形体の成形方法は、上記のごとく、材料作製工程と材料配置工程と成形工程と成形完了工程とを行う。
そして、上記成形工程及び上記成形完了工程では、断面形状が軸方向に同一であり、上記セルに対応する形状を呈する上記複数のピンを上記材料塊に挿入して押圧前進させた後、引き抜く。これにより、上記材料塊内に所望の形状の上記セルを形成することができる。
【0019】
また、上記複数のピンをそれぞれ上記ピストンに設けた貫通穴に貫通させて上記材料塊に挿入する。そのため、上記複数のピンの互いの位置関係を維持したまま、上記材料塊に挿入することができる。これにより、上記複数のピンの位置精度を確保した状態で、該ピンの曲がりを抑制しながら、挿入・引き抜きを行うことができる。それ故に、上記セルを精度良く形成することができる。
【0020】
また、上記成形工程では、上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を上記一対のピストンにより挟持しながら、上記ピンを上記材料塊の両端面から挿入して押圧前進させる。そのため、上記シリンダ及び上記一対のピストンによって、上記材料塊の外周面及び両端面の形状を形成すると共にその形状を維持しながら、上記材料塊を軸方向に精度良く変形させることができる。
【0021】
また、上記材料塊を変形させるに当たっては、従来のように押出成形等の方法を用いた場合に比べて小さい圧力しか必要ないため、上記材料塊に密度のばらつきを生じさせることなく、均質な状態で変形させることができる。
よって、上記成形方法を用いることにより、寸法精度の高い、均質なハニカム成形体を成形することができる。また、成形後において乾燥・焼成しても、割れ等の不具合の発生を抑制し、優れた品質を維持することができる。それ故に、ハニカム成形体の品質の向上を図ることができる。
【0022】
また、上記成形方法を用いることにより、上記材料塊を最終的な形状のハニカム成形体に成形することができる。つまり、従来の押出成形等の方法を用いて成形した場合のように、成形後にハニカム成形体を最終的な形状(長さ)に加工(切断)する工程を必ずしも必要とせず、省略することが可能となる。これにより、ハニカム成形体の生産性の向上を図ることができる。
【0023】
このように、本発明の成形方法によれば、ハニカム成形体の品質及び生産性を向上させることができる。
【0024】
第4の発明は、外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する方法であって、
セラミック材料よりなる材料塊を作製する材料作製工程と、
上記材料塊の外形に合致する内形形状を有するシリンダ内に上記材料塊を配置する材料配置工程と、
上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面をピストンと上記シリンダ内の一端を閉塞する当接部材とにより挟持しながら、断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンをそれぞれ上記ピストンに設けた貫通穴を貫通させて上記材料塊の一方の端面から挿入し、上記当接部材の表面に当接する位置まで押圧前進させることにより上記材料塊を変形させる成形工程と、
上記材料塊から上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成することを特徴とするハニカム成形体の成形方法にある(請求項15)。
【0025】
本発明のハニカム成形体の成形方法は、上記のごとく、材料作製工程と材料配置工程と成形工程と成形完了工程とを行う。
そして、上記成形工程では、上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を上記ピストンと上記当接部材とにより挟持しながら、上記ピンを上記材料塊の一方の端面から挿入して押圧前進させる。そのため、上記シリンダ、上記ピストン及び上記当接部材によって、上記材料塊の外周面及び両端面の形状を形成すると共にその形状を維持しながら、上記材料塊を軸方向に精度良く変形させることができる。
その他は、上述した第3の発明と同様の作用効果を得ることができ、ハニカム成形体の品質及び生産性を向上させることができる。
【0026】
第5の発明は、請求項17に記載のハニカム成形体の成形方法により成形してなるハニカム成形体であって、
上記外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた上記隔壁と該隔壁により仕切られた上記複数のセルとを有し、
該セルの一方の端部には、その部分を栓詰めする栓部が設けられており、該栓部と上記外周壁及び上記隔壁とは一体的に形成されていることを特徴とするハニカム成形体にある(請求項22)。
【0027】
本発明のハニカム成形体は、上記セルの一方の端部を栓詰めする上記栓部を予め設けたものである。そのため、従来のように栓部を別工程で設ける必要がなく、生産性に優れたものとなる。また、上記ハニカム成形体は、上記栓部と上記外周壁及び上記隔壁とが一体的に形成された、寸法精度の高い、均質なものである。そのため、成形後において乾燥・焼成しても、割れ等の不具合の発生を抑制し、優れた品質を維持することができる。
このように、本発明のハニカム成形体は、品質及び生産性を向上させたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
上記第1の発明においては、上記一対のセル形成治具の相対移動限は、上記ピンが対向する上記ピストンの表面から所定距離手前の位置に設定することができる(請求項2)。
この場合には、上記ピンの前進を所定距離に制御することにより、上記材料塊内において上記ピンを押圧前進させずに残した部分、つまり上記セルの一方の端部に、その部分を栓詰めする栓部を形成した上記ハニカム成形体を得ることができる。そのため、従来のように栓部を別工程で設ける必要がなくなり、生産性の向上を図ることができる。
また、成形した上記ハニカム成形体は、上記栓部と上記外周壁及び上記隔壁とが一体的に形成された均質なものとなる。そのため、成形後において乾燥・焼成しても、上記栓部付近における割れ等の発生を抑制することができる。
【0029】
また、上記一対のセル形成治具の相対移動限は、上記ピンが対向する上記ピストンの表面に当接する位置に設定することができる(請求項3)。
この場合には、上記ピンを上記ピストンの表面に当接する位置まで押圧前進させることにより、上記ピンを上記材料塊に貫通させることができる。そして、上記ピンを上記材料塊から引き抜くことにより、上記セルを軸方向に貫通させて形成した上記ハニカム成形体を得ることができる。
なお、ここでいう貫通とは、上記ピンが上記材料塊を完全に貫通する状態のみをいうのではなく、一部貫通している状態や、上記ピンと上記ピストンとの間に上記材料塊が少量残留しているがほぼ貫通していて、実質的に貫通しているとみなされる状態をも含む。以下、同様の意味で用いる。
【0030】
また、上記成形装置は、上記材料塊の両端面を上記両ピストンにより挟持して上記材料塊に与圧を加えながら、上記ピンを引き抜くことができるよう構成されていることが好ましい。
この場合には、上記ピンを引き抜く際の上記材料塊の変形・破損等を抑制することができる。
【0031】
また、上記一対のセル形成治具は、上記ピンを互い違いに対向させていることが好ましい(請求項4)。すなわち、一方のセル形成治具に設けたピンと、他方に設けたピンとが、軸方向に直交する方向において交互に配置されるよう構成されていることが好ましい。
この場合には、上記ピンを上記材料塊の両端面から円滑に挿入して押圧前進させることができる。これにより、上記材料塊を軸方向にさらに精度良く、均質な状態で変形させることができる。
【0032】
また、上記成形装置は、上記シリンダと上記ピストンとの間のクリアランスを上記材料塊が通り抜けできないように、上記シリンダの内周形状及びその寸法と、上記ピストンの外周形状及びその寸法とを設定してあることが好ましい。また、上記ピストンの上記貫通穴と上記ピンとの間のクリアランスを上記材料塊が通り抜けできないように、上記貫通穴の内周形状及びその寸法と、上記ピンの外周形状及びその寸法とを設定してあることが好ましい。
この場合には、上記材料塊を上記両ピストンにより挟持しながら、上記両ピストンの間において軸方向に精度良く変形させることができる。
【0033】
上記第2の発明においては、上記成形装置を用いて成形を行い、上記ピンを上記ピストンに当接する位置まで押圧前進させることにより、上記ピンを上記材料塊に貫通させることができる。そして、上記ピンを上記材料塊から引き抜くことにより、上記セルを軸方向に貫通させて形成した上記ハニカム成形体を得ることができる。
【0034】
また、上記成形装置は、上記材料塊の両端面を上記ピストンと上記当接部材とにより挟持して上記材料塊に与圧を加えながら、上記ピンを引き抜くことができるよう構成されていることが好ましい。
この場合には、上記ピンを引き抜く際の上記材料塊の変形・破損等を抑制することができる。
【0035】
また、上記成形装置は、上記シリンダと上記ピストン及び上記当接部材との間のクリアランスを上記材料塊が通り抜けできないように、上記シリンダの内周形状及びその寸法と、上記ピストン及び上記当接部材の外周形状及びその寸法とを設定してあることが好ましい。また、上記ピストンの上記貫通穴と上記ピンとの間のクリアランスを上記材料塊が通り抜けできないように、上記貫通穴の内周形状及びその寸法と、上記ピンの外周形状及びその寸法とを設定してあることが好ましい。
この場合には、上記材料塊を上記ピストンと上記当接部材とにより挟持しながら、両者の間において軸方向に精度良く変形させることができる。
【0036】
上記第1及び第2の発明においては、上記ピンの断面形状は、四角形又は六角形であることが好ましい(請求項5、11)。
この場合には、上記材料塊に断面形状が四角形又は六角形の上記セルを形成することができる。
さらに、上記ピンの外周面は、対向する面が略平行であることが好ましい。これにより、上記ピンの曲がりをさらに抑制しながら、上記材料塊に挿入することができる。
【0037】
また、上記ピンの表面には、硬質クロムめっきが施されていることが好ましい(請求項6、12)。
この場合には、上記ピンの挿入・引き抜きを容易にすることができる。これにより、上記セルをより一層精度良く形成することができる。
【0038】
また、上記硬質クロムめっきの厚みは、2〜20μmであることが好ましい(請求項7、13)。
上記硬質クロムめっきの厚みが2μm未満の場合には、上記ピンの挿入・引き抜きを容易にするという効果を充分に発揮することができないおそれがある。一方、20μmを超える場合には、上記ピンの形状精度が低下し、形成する上記セルに歪みが生じるおそれがある。また、上記ピンの強度が不足し、挿入・引き抜き時に折損するおそれがある。
【0039】
また、上記シリンダの内側の断面形状は、円形、楕円形又は多角形であることが好ましい(請求項8、14)。
この場合には、断面形状が円形、楕円形又は多角形のハニカム成形体を成形することができる。なお、ここでいう楕円とは、幾何学上の楕円に限らず、半円と直線とを組み合わせたいわゆるレーストラック形状を含む概念である。また、多角形としては、三角形、四角形、六角形、八角形等がある。
【0040】
また、上記シリンダは、径方向に複数に分割できるよう構成されていることが好ましい(請求項9、15)。
この場合には、成形したハニカム成形体を上記シリンダ内から取り出し易くすることができる。また、取り出す際にハニカム成形体の外周面に変形や破損等が生じることを抑制することができる。
【0041】
上記第3の発明においては、上記成形工程では、上記ピンを対向する上記ピストンの表面から所定距離手前の位置まで押圧前進させることができる(請求項17)。
この場合には、上記成形工程において上記ピンの前進を所定距離に制御することにより、上記材料塊内において上記ピンを押圧前進させずに残した部分、つまり上記セルの一方の端部に、その部分を栓詰めする栓部を形成した上記ハニカム成形体を得ることができる。そのため、従来のように栓部を別工程で設ける必要がなくなり、生産性の向上を図ることができる。
また、成形した上記ハニカム成形体は、上記栓部と上記外周壁及び上記隔壁とが一体的に形成された均質なものとなる。そのため、成形後において乾燥・焼成しても、上記栓部付近における割れ等の発生を抑制することができる。
【0042】
また、上記成形工程では、上記ピンを対向する上記ピストンの表面に当接する位置まで押圧前進させることができる(請求項18)。
この場合には、上記成形工程において上記ピンを上記ピストンの表面に当接する位置まで押圧前進させることにより、上記ピンを上記材料塊に貫通させることができる。そして、上記成形完了工程において上記ピンを上記材料塊から引き抜くことにより、上記セルを軸方向に貫通させて形成した上記ハニカム成形体を得ることができる。
【0043】
また、上記成形工程は、上記第1の発明のハニカム成形体の成形装置を用いて行うことが好ましい(請求項19)。
この場合には、寸法精度の高い、均質なハニカム成形体を成形することができ、品質の向上を図ることができる。また、上記材料塊を最終的な形状のハニカム成形体に成形することができるため、生産性の向上を図ることができる。
【0044】
上記第4の発明においては、上記成形方法を用いて成形を行い、上記成形工程において上記ピンを上記ピストンの表面に当接する位置まで押圧前進させることにより、上記ピンを上記材料塊に貫通させることができる。そして、上記成形完了工程において上記ピンを上記材料塊から引き抜くことにより、上記セルを軸方向に貫通させて形成した上記ハニカム成形体を得ることができる。
【0045】
また、上記成形工程は、上記第2の発明のハニカム成形体の成形装置を用いて行うことが好ましい(請求項21)。
この場合には、寸法精度の高い、均質なハニカム成形体を成形することができ、品質の向上を図ることができる。また、上記材料塊を最終的な形状のハニカム成形体に成形することができるため、生産性の向上を図ることができる。
【0046】
上記第1〜第4の発明においては、上記シリンダの内側の断面積は、400〜90000mm2であることが好ましい。
上記シリンダの内側の断面積が400mm2未満の場合には、上記材料塊の変形時において圧力及び流速に分布が生じ、成形する上記隔壁に破断が生じるおそれがある。一方、90000mm2を超える場合には、形成する上記セルに歪みが生じ、形状精度を充分に得ることができないおそれがある。
【0047】
また、上記ピンの断面積は、0.01〜12mm2であることが好ましい。
上記ピンの断面積が0.01mm2未満の場合には、形成する上記セルに歪みが生じ、形状精度を充分に得ることができないおそれがある。一方、12mm2を超える場合には、上記材料塊の変形時において抵抗が大きくなり、成形する上記隔壁に破断が生じるおそれがある。
【0048】
また、上記ピンの長さは、10〜350mmであることが好ましい。
上記ピンの長さが10mm未満の場合には、上記材料塊の変形時において変形のばらつきが大きく、上記セルの歪みや上記セル壁の破断が生じるおそれがある。一方、350mmを超える場合には、形成する上記セルに歪みが生じ、形状精度を充分に得ることができないおそれがある。
【0049】
また、上記ハニカム成形体の材料となる上記材料塊は、上記ピンを挿入して押圧前進させることによって容易に変形可能な粘度を有していることが好ましい。
また、上記材料塊を構成する上記セラミック材料としては、少なくともセラミック粒子、樹脂成分及び溶媒を含有したものを用いることができる。
【0050】
また、上記セラミック粒子としては、チタン酸アルミニウム、ムライト、チタン酸カリウム、リチウムアルミノシリケート、コーディエライト、PZT、酸化チタン、酸化スズ、ガリウム砒素、炭化ケイ素、酸化クロム、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、炭化繊維、ケイ酸カルシウム、FRC、結晶化ガラス、無定形炭素、炭化タングステン、炭化チタン、ケイ化鉄、黒鉛、チタニア、炭素繊維、シリカ、窒化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ガリウム燐、酸化タングステン、硫化カドミウム、ITO等のうち、1種又は2種以上、又は焼成によりこれらの材質となる原料粒子を用いることができる。特に、焼成によりコーディエライト化する粒子を用いることが好ましい。
【0051】
また、上記樹脂成分としては、メチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド等のうち、1種又は2種以上を用いることができる。特に、メチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
また、上記溶媒としては、高い表面張力を有する水が好ましい。
【0052】
また、成形した上記ハニカム成形体において、上記セルの一方の端部を栓詰めする上記栓部を設けた上記ハニカム成形体については、その後乾燥・焼成することによって、ディーゼルエンジン用排ガス浄化フィルタ(DPF)として適用することができる。
また、上記セルを軸方向に貫通させて設けた上記ハニカム成形体については、その後乾燥・焼成することによって、排ガス浄化用触媒担体として適用することができる。
【実施例】
【0053】
(実施例1)
本発明の実施例について、図を用いて説明する。
本例において成形するハニカム成形体1は、図1、図2に示すごとく、外周壁13と、該外周壁13の内側においてハニカム状に設けられた隔壁12と、該隔壁12により仕切られた断面形状が四角形である複数のセル11とを有する。ハニカム成形体1は、コーディエライト化原料を含むセラミック材料より構成されており、円筒形状を呈している。
【0054】
また、同図に示すごとく、セル11は、一方の端部をハニカム成形体1のどちらか一方の端面101、102において開口させており、もう一方の端部を栓部14によって閉塞させている。本例においては、セル11の端部を開口する開口部19と閉塞する栓部14とは交互に配置されており、いわゆる市松模様を形成している。また、栓部14と隔壁12及び外周壁13とは、一体的に設けられている。
また、本例のハニカム成形体1のサイズは、直径160mm、長さ100mmであり、セルサイズは、隔壁厚さ0.3mm、セルピッチ1.4mmである。
【0055】
なお、本例のハニカム成形体1は、その後の乾燥、焼成によって、多孔質の隔壁を有するコーディエライトセラミック製のハニカム構造体となるものである。また、このハニカム構造体は、自動車等の排ガスの浄化を行うディーゼルエンジン用排ガス浄化フィルタ(DPF)として適用されるものである。
【0056】
次に、本例のハニカム成形体1の成形に用いる成形装置について説明する。
本例の成形装置2は、図5に示すごとく、円筒状のシリンダ3と該シリンダ3内を軸方向に移動可能に設けられた一対のセル形成治具4、5とを有している。また、各セル形成治具4、5は、本体41、51と複数のピン42、52とピストン43、53とを有している。
【0057】
シリンダ3は、図6に示すごとく、ハニカム成形体1の材料となる後述の材料塊10及び最終的に得ようとするハニカム成形体1の外形に合致する内形形状を呈しており、その断面形状は円形である。また、シリンダ3は、径方向に分割することができる4つの分割部材31を組み合わせて構成されている。
【0058】
セル形成治具4、5の基体41、51は、図5に示すごとく、シリンダ3内を軸方向に同期させて移動できるように、図示しない移動装置に連結されて設けられている。
また、複数のピン42、52は、他方のセル形成治具4、5に対向させて、基体41、51から軸方向に互い違いに立設されている。すなわち、セル形成治具4に設けたピン42とセル形成治具5に設けたピン52とが、軸方向に直交する方向において交互に配置されている。また、ピン42、52は、断面形状が軸方向に同一であり、最終的に得ようとするハニカム成形体1のセル11に対応する四角形状を呈している。また、ピン42、52は、表面に厚み2μmの硬質クロムめっきが施されている。
【0059】
また、ピストン43、53は、同図に示すごとく、各ピン42、52に対応する複数の貫通穴431、531を有している。そして、貫通穴431、531にピン42、52を摺動可能に貫通させている。また、ピストン43、53は、シリンダ3内を摺動可能に設けられている。
また、基体41、51とピストン43、53との間には、リング状のストッパー32、33がシリンダ3の内周面全周に渡って固定して取り付けられている。
【0060】
なお、本例の成形装置2は、シリンダ3とピストン43、53との間のクリアランスを材料塊10が通り抜けできないように、シリンダ3の内径とピストン43、53の外径とを設定してある。また、ピストン43、53の貫通穴431、531とピン42、52との間のクリアランスを材料塊10が通り抜けできないように、貫通穴431、531の内周形状及びその寸法とピン42、52の外周形状及びその寸法とを設定してある。
【0061】
また、シリンダ3のサイズは、内径160mmである。また、シリンダ3の内側の断面積は20096mm2である。
また、セル形成治具4、5の各部材のサイズは、基体41、51:外径160mm、長さ30mm、ピン42、52:長さ160mm、ピストン43、53:外径160mm、長さ10mmである。また、ピン42、52の断面積は1.21mm2である。
また、ストッパー32、33のサイズは、外径160mm、内径154mm、厚み10mmである。
【0062】
次に、成形装置2を用いたハニカム成形体1の成形方法について説明する。
本例の成形方法は、図3〜図11に示すごとく、材料作製工程、材料配置工程、成形工程、及び成形完了工程を行う。
【0063】
材料作製工程は、セラミック材料よりなる材料塊10を作製する工程である。
材料配置工程は、シリンダ3内に材料塊10を配置する工程である。
成形工程は、材料塊10をシリンダ3により径方向に拘束すると共に、材料塊10の両端面101、102を一対のピストン43、53により挟持しながら、ピン42、52を材料塊10の両端面101、102から挿入し、押圧前進させることにより材料塊10を変形させる工程である。
成形完了工程は、材料塊10からピン42、52を引き抜くことにより材料塊10内にセル11を形成する工程である。
以下、これを詳説する。
【0064】
<材料作製工程>
まず、カオリン、溶融シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルク等を含有するコーディエライト化原料を水に混合し、バインダ樹脂としてのメチルセルロース、焼成により焼失して細孔を形成する造孔材としてのカーボン等を添加して混練し、所定の粘度を有する粘土質のセラミック材料よりなる円柱状の材料塊10を得た。なお、材料塊10のサイズは、直径160mm、長さ40mmである。
【0065】
<材料配置工程>
次いで、図3、図4に示すごとく、4つの分割部材31を組み合わせて円筒状のシリンダ3を形成し、そのシリンダ3内に一対のセル形成治具4、5をセットすると共に、セル形成治具4、5の間に材料塊10を配置した。このとき、セル形成治具4、5を互いのピン42、52が対向するようにセットした。
【0066】
これにより、図5、図6に示すごとく、シリンダ3内に材料塊10を配置した。なお、シリンダ3の内形形状と材料塊10の外形形状とは合致しているため、シリンダ3と材料塊10の外周面100との間に大きなクリアランスを形成することなく、材料塊10が配置される。
【0067】
<成形工程>
次いで、図7に示すごとく、ピン42、52の先端にピストン43、53を配置した状態で、セル形成治具4、5を上記移動装置により材料塊10の両端面101、102に向けて移動させ、ピストン43、53を材料塊10の両端面101、102に当接させた。そして、材料塊10の両端面101、102をピストン43、53により挟持した。
【0068】
次いで、図8に示すごとく、材料塊10をシリンダ3により径方向に拘束すると共に、材料塊10の両端面101、102をピストン43、53により挟持した状態で、セル形成治具4、5の基体41、51を互いに接近するように移動させた。それと共に、ピン42、52をピストン43、53の貫通穴431、531を貫通させて材料塊10の両端面101、102から挿入した。
【0069】
次いで、同図に示すごとく、ピン42、52を材料塊10内において押圧前進させ、ピン42、52が挿入された体積分だけ材料塊10を軸方向に変形させた。このとき、材料塊10の両端面101、102を挟持しているピストン43、53は、材料塊10の軸方向への変形と共に、材料塊10の軸方向寸法の増大に追従するよう挟持状態を維持したまま移動した。
【0070】
次いで、図9に示すごとく、ピン42、52を対向するピストン43、53の表面から所定距離手前の位置まで、すなわち材料塊10に貫通させずに途中まで押圧前進させた後、その前進を停止させた。そして、材料塊10の変形を終了した。
【0071】
<成形完了工程>
次いで、同図に示すごとく、変形させた材料塊10の両端面101、102をピストン43、53により挟持した状態で、基体41、51を互いに遠ざかる方向に移動させ、材料塊10からピン42、52を引き抜いた。このとき、ピストン43、53は、ストッパー32、33によってピン42、52の引き抜き方向への移動を規制されている。そのため、材料塊10に与圧を加えながら、ピン42、52の引き抜きを行った。
【0072】
そして、図10、図11に示すごとく、ピン42、52を完全に引き抜き、材料塊10内にセル11を形成してなるハニカム成形体1(図1、図2参照)を成形した。その後、シリンダ3を4つの分割部材31に分割し、材料塊10の外周面100から取り外した。
以上により、ハニカム成形体1の成形を終了した。
【0073】
次に、本例のハニカム成形体1の成形方法における作用効果について説明する。
本発明の成形方法において、成形工程及び成形完了工程では、断面形状が軸方向に同一であり、セル11に対応する形状を呈する複数のピン42、52を材料塊10に挿入して押圧前進させた後、引き抜く。これにより、材料塊10内に所望の形状のセル11を形成することができる。
【0074】
また、複数のピン42、52をそれぞれピストン43、53に設けた貫通穴431、531に貫通させて材料塊10に挿入する。そのため、複数のピン42、52の互いの位置関係を維持したまま、ピン42、52を材料塊10に挿入することができる。これにより、ピン42、52の位置精度を確保した状態で、ピン42、52の曲がりを抑制しながら、挿入・引き抜きを行うことができる。それ故に、セル11を精度良く形成することができる。
【0075】
また、成形工程では、材料塊10をシリンダ3により径方向に拘束すると共に、材料塊10の両端面101、102を一対のピストン43,53により挟持しながら、ピン42、52を材料塊10の両端面101、102から挿入して押圧前進させる。そのため、シリンダ3及びピストン43、53によって、材料塊10の外周面100及び両端面101、102の形状を形成すると共にその形状を維持しながら、材料塊10を軸方向に精度良く変形させることができる。
【0076】
また、材料塊10を変形させるに当たっては、従来のように押出成形等の方法を用いた場合に比べて小さい圧力しか必要ないため、材料塊10に密度のばらつきを生じさせることなく、均質な状態で変形させることができる。
よって、本例の成形方法を用いることにより、寸法精度の高い、均質なハニカム成形体1を成形することができる。また、成形後において乾燥・焼成しても、割れ等の不具合の発生を抑制し、優れた品質を維持することができる。それ故に、ハニカム成形体1の品質の向上を図ることができる。
【0077】
また、本例の成形方法を用いることにより、材料塊10を最終的な形状のハニカム成形体1に成形することができる。つまり、従来の押出成形等の方法を用いて成形した場合のように、成形後にハニカム成形体を最終的な形状(長さ)に加工(切断)する工程を必ずしも必要とせず、省略することが可能である。これにより、ハニカム成形体1の生産性の向上を図ることができる。
【0078】
また、本例の成形方法においては、成形工程では、ピン42、52を対向するピストン43、53の表面から所定距離手前の位置まで押圧前進させる。すなわち、成形工程においてピン42、52の前進を所定距離に制御することにより、材料塊10内においてピン42、52を押圧前進させずに残した部分、つまりセル11の一方の端部に、その部分を栓詰めする栓部14を形成したハニカム成形体1を得ることができる。そのため、従来のように栓部を別工程で設ける必要がなくなり、生産性の向上を図ることができる。
また、成形したハニカム成形体1は、栓部14と外周壁13及び隔壁12とが一体的に形成された均質なものとなる。そのため、成形後において乾燥・焼成しても、栓部14付近における割れ等の発生を抑制することができる。
【0079】
また、本例の成形装置2においては、一対のセル形成治具4、5は、ピン42、52を互い違いに対向させている。そのため、ピン42、52を材料塊10の両端面101、102から円滑に挿入して押圧前進させることができる。これにより、材料塊10を軸方向にさらに精度良く、均質な状態で変形させることができる。
【0080】
また、ピン42、52の表面には、厚み2μmの硬質クロムめっきが施されている。そのため、ピン42、52の挿入・引き抜きを容易にすることができる。これにより、セル11をより一層精度良く形成することができる。
【0081】
また、成形装置2は、材料塊10の両端面101、102をピストン43、53により挟持した状態で、かつ、ストッパー32、33によってピン42、52の引き抜き方向へのピストン43、53の移動を規制した状態で、材料塊10からピン42、52を引き抜くことができるように構成されている。そのため、材料塊10に与圧を加えながら、ピン42、52を引き抜くことができる。これにより、ピン42、52を引き抜く際の材料塊10の変形・破損等を抑制することができる。
【0082】
また、シリンダ3は、径方向に複数に分割できるように構成されている。そのため、成形したハニカム成形体1をシリンダ3内から取り出し易くすることができる。また、取り出しの際にハニカム成形体1の外周面100に変形や破損等が生じることを抑制することができる。
【0083】
このように、本例の成形方法によれば、ハニカム成形体の品質及び生産性を向上させることができる。
【0084】
(実施例2)
本例は、実施例1の成形方法における成形工程において、ピン42、52を材料塊10に挿入して押圧前進させる距離を変更し、異なる構造のハニカム成形体1を成形した例である。
【0085】
本例において成形するハニカム成形体1は、図12、図13に示すごとく、外周壁13と、該外周壁13の内側においてハニカム状に設けられた隔壁12と、該隔壁12により仕切られていると共に軸方向に貫通する複数のセル11とを有する。セル11は、両方の端部をハニカム成形体1の両端面101、102において開口部19により開口させている。
その他は、実施例1と同様の構造である。
【0086】
なお、本例のハニカム成形体1は、その後の乾燥、焼成によって、コーディエライトセラミック製のハニカム構造体となるものである。このハニカム構造体は、自動車等の排ガスの浄化を行う排ガス浄化用触媒担体として適用されるものである。
【0087】
次に、本例の成形方法について説明する。
本例では、成形工程において、図14に示すごとく、ピン42、52を対向するピストン43、53の表面に当接する位置まで押圧前進させた後、その前進を停止させた。そして、材料塊10の変形を終了した。
その他は、実施例1と同様の工程を行う。
【0088】
この場合には、成形工程において、ピン42、52をピストン43、53の表面に当接する位置まで押圧前進させることにより、ピン42、52を材料塊10にほぼ貫通させた状態とすることができる。そして、その後の成形完了工程において、ピン42、52を材料塊10から引き抜くことにより、セル11を軸方向に貫通させて形成してなる、図12、図13に示したハニカム成形体1を得ることができる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0089】
(実施例3)
本例は、実施例1の成形装置2において、一方のセル形成治具5を他の部材に変更し、構造の異なるハニカム成形体1を成形した例である。
なお、本例において成形するハニカム成形体1は、実施例2と同様の構造である。
【0090】
まず、本例の成形装置2について説明する。
成形装置2は、図15に示すごとく、円筒状のシリンダ3と該シリンダ3内を軸方向に移動可能に設けられたセル形成治具4とシリンダ3内の一端を閉塞する当接部材6とを有している。
セル形成治具4に設けられた複数のピン42は、当接部材6に対向させて、本体41から軸方向に立設されている。また、基体41とピストン43との間には、リング状のストッパー32がシリンダ3の内周面全周に渡って固定して取り付けられている。また、当接部材6は、シリンダ3内において固定されている。
【0091】
また、成形装置2は、シリンダ3とピストン43及び当接部材6との間のクリアランスを材料塊10が通り抜けできないように、シリンダ3の内径とピストン43及び当接部材6との外径とを設定してある。
その他は、実施例1と同様の構成である。
【0092】
次に、本例の成形方法について説明する。
本例では、材料配置工程において、図15に示すごとく、円筒状のシリンダ3内にセル形成治具4及び当接部材6をセットすると共に、セル形成治具4と当接部材6との間に材料塊10を配置した。このとき、セル形成治具4のピン42と当接部材6とが対向するようにセットした。
【0093】
また、成形工程において、図16に示すごとく、材料塊10をシリンダ3により径方向に拘束すると共に、材料塊10の両端面101、102をピストン43及び当接部材6により挟持した状態で、セル形成治具4の基体41を当接部材6に接近するように移動させた。それと共に、ピン42をピストン43の貫通穴431を貫通させて材料塊10の一方の端面101から挿入した。
【0094】
次いで、同図に示すごとく、ピン42を材料塊10内において押圧前進させ、ピン42が挿入された体積分だけ材料塊10を軸方向のセル形成治具4側に変形させた。このとき、材料塊10の軸方向への変形と共に、材料塊10の一方の端面101に当接しているピストン43も、その状態を維持したまま移動する。
次いで、図17に示すごとく、ピン42を対向する当接部材6の表面に当接する位置まで押圧前進させた後、その前進を停止させた。そして、材料塊10の変形を終了した。
【0095】
また、成形完了工程において、同図に示すごとく、変形させた材料塊10の両端面101、102をピストン43及び当接部材6により挟持した状態で、材料塊10からピンを引き抜いた。このとき、ピストン43は、ストッパー32によってピン42の引き抜き方向へ移動を規制されている。また。当接部材6は、シリンダ3内に固定されている。そのため、材料塊10に与圧を加えながら、ピン42の引き抜きを行った。そして、ピン42を完全に引き抜き、材料塊10内にセル11を形成した。
その他は、実施例1と同様の工程を行う。
【0096】
この場合には、成形工程において、ピン42を当接部材6の表面に当接する位置まで押圧前進させることにより、ピン42を材料塊10にほぼ貫通させた状態とすることができる。そして、その後の成形完了工程において、ピン42を材料塊10から引き抜くことにより、セル11を軸方向に貫通させて形成してなる、図12、図13に示したハニカム成形体1を得ることができる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0097】
(実施例4)
本例は、実施例1の成形方法を用いて成形したハニカム成形体1を評価した例である。
本例では、実施例1の成形装置・成形方法により成形したハニカム成形体を乾燥・焼成した焼成体(試料E)について、内部クラック発生率、栓高さ及び外径寸法を測定した。
【0098】
なお、成形したハニカム成形体は、100℃で4分間乾燥させた後、室温から500℃まで15℃/時間で昇温して脱脂し、次いで1400℃まで80℃/時間で昇温し、次いで1400℃で10時間保持し、次いで70℃/時間で降温することにより焼成し、これを焼成体とした。
【0099】
また、比較例として、従来のように押出成形装置を用いて押出成形した後、栓詰め工程を行って作製したハニカム成形体を準備し、これを乾燥・焼成した焼成体(試料C)についても同様の評価を行った。
なお、ハニカム成形体の構造・サイズ、乾燥・焼成の条件等は、試料Eと同様である。
【0100】
次に、内部クラック発生率、栓高さ及び外径寸法の測定方法について説明する。
内部クラック発生率は、焼成後のハニカム成形体(焼成体)の一方の端面から軸方向に光を当て、もう一方の端面から目視により観察した。内部クラックが発生している場合、内部クラック発生箇所のセル壁が他のセル壁よりも厚みが大きく透過されることを利用して、内部クラックの検出を行い、その発生率を求めた。なお、試料E及び試料CのN数は、それぞれ100、1000である。
【0101】
また、栓高さは、焼成体において、栓高さを測定する栓部が形成されたセルの中心を通るように軸方向に切断し、栓部の切断面の最大高さ(長さ)を測定することによって求めた。なお、試料E及び試料CのN数は、それぞれ10である。
また、外径寸法は、焼成体の一方の端面から軸方向に50mm入った位置の直径を、径方向に45°ずつ位置をずらしながら合計4箇所測定し、それらの値を平均することによって求めた。なお、試料E及び試料CのN数は、それぞれ100、1000である。
【0102】
次に、測定結果を示す。
図18は、内部クラック発生率の測定結果を示したものである。同図から知られるように、試料Cでは内部クラック発生率が7.6%であったのに対して、試料Eではほぼ0%と内部クラックの発生がほとんどみられなかった。
図19は、栓高さの測定結果を示したものである。同図から知られるように、試料Eは、試料Cに比べて栓部の栓高さのばらつきが小さい。
図20は、外径寸法の測定結果を示したものである。同図から知られるように、試料Eは、試料Cに比べてハニカム成形体の焼成品の外径寸法のばらつきが小さい。
【0103】
以上により、本例の成形方法を用いて成形したハニカム成形体は、寸法精度の高い、均質なものであることがわかる。また、成形後において乾燥・焼成しても、割れ等の不具合の発生を抑制し、優れた品質が維持されることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】実施例1における、ハニカム成形体の斜視図。
【図2】実施例1における、ハニカム成形体の断面説明図。
【図3】実施例1における、材料配置工程を示す説明図。
【図4】図3のA−A矢視断面図。
【図5】実施例1における、材料配置工程を示す説明図。
【図6】図5のB−B矢視断面図。
【図7】実施例1における、成形工程を示す説明図。
【図8】実施例1における、成形工程を示す説明図。
【図9】実施例1における、成形工程を示す説明図。
【図10】実施例1における、成形完了工程を示す説明図。
【図11】図10のC−C矢視断面図。
【図12】実施例2における、ハニカム成形体の斜視図。
【図13】実施例2における、ハニカム成形体の断面説明図。
【図14】実施例2における、成形工程を示す説明図。
【図15】実施例3における、成形工程を示す説明図。
【図16】実施例3における、成形工程を示す説明図。
【図17】実施例3における、成形工程を示す説明図。
【図18】実施例4における、内部クラック発生率の測定結果を示す説明図。
【図19】実施例4における、栓高さの測定結果を示す説明図。
【図20】実施例4における、外径寸法の測定結果を示す説明図。
【符号の説明】
【0105】
1 ハニカム成形体
10 材料塊
101、102 端面
3 シリンダ
4、5 セル形成治具
42、52 ピン
43、53 ピストン
431、531 貫通穴
6 当接部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する成形装置であって、
セラミック材料よりなる材料塊の外形に合致する内形形状を呈する筒状のシリンダと、
該シリンダ内を軸方向に相対移動可能に設けられた一対のセル形成治具とを有し、
上記各セル形成治具は、上記シリンダ内を移動可能な基体と、該基体から立設された断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンと、該各ピンに対応する複数の貫通穴にそれぞれ上記ピンを摺動可能に貫通させると共に上記シリンダ内を摺動可能なピストンとを有し、
上記材料塊を上記シリンダ内に配置して径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を互いに対向する上記一対のセル形成治具の上記両ピストンにより挟持しながら、互いの上記基体が接近するよう相対移動させ、上記ピンを上記材料塊の両端面から挿入して押圧前進させることにより上記材料塊を変形させ、その後、上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成することができるよう構成されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項2】
請求項1において、上記一対のセル形成治具の相対移動限は、上記ピンが対向する上記ピストンの表面から所定距離手前の位置に設定されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項3】
請求項1において、上記一対のセル形成治具の相対移動限は、上記ピンが対向する上記ピストンの表面に当接する位置に設定されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、上記一対のセル形成治具は、上記ピンを互い違いに対向させていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、上記ピンの断面形状は、四角形又は六角形であることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、上記ピンの表面には、硬質クロムめっきが施されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項7】
請求項6において、上記硬質クロムめっきの厚みは、2〜20μmであることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項において、上記シリンダの内側の断面形状は、円形、楕円形又は多角形であることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項において、上記シリンダは、径方向に複数に分割できるよう構成されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項10】
外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する成形装置であって、
セラミック材料よりなる材料塊の外形に合致する内形形状を呈する筒状のシリンダと、
該シリンダ内を軸方向に移動可能に設けられたセル形成治具と、
上記シリンダ内の一端を閉塞する当接部材とを有し、
上記セル形成治具は、上記シリンダ内を移動可能な基体と、該基体から立設された断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンと、該各ピンに対応する複数の貫通穴にそれぞれ上記ピンを摺動可能に貫通させると共に上記シリンダ内を摺動可能なピストンとを有し、
上記材料塊を上記シリンダ内に配置して径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を互いに対向する上記セル形成治具の上記ピストンと上記当接部材とにより挟持しながら、上記基体と上記当接部材とが接近するよう相対移動させ、上記ピンを上記材料塊の一方の端面から挿入して上記当接部材の表面に当接する位置まで押圧前進させることにより上記材料塊を変形させ、その後、上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成することができるよう構成されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項11】
請求項10において、上記ピンの断面形状は、四角形又は六角形であることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項12】
請求項10又は11のいずれか1項において、上記ピンの表面には、硬質クロムめっきが施されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項13】
請求項12において、上記硬質クロムめっきの厚みは、2〜20μmであることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか1項において、上記シリンダの内側の断面形状は、円形、楕円形又は多角形であることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか1項において、上記シリンダは、径方向に複数に分割できるよう構成されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項16】
外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する方法であって、
セラミック材料よりなる材料塊を作製する材料作製工程と、
上記材料塊の外形に合致する内形形状を有するシリンダ内に上記材料塊を配置する材料配置工程と、
上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を一対のピストンにより挟持しながら、断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンをそれぞれ上記ピストンに設けた貫通穴に貫通させて上記材料塊の両端面から挿入し、押圧前進させることにより上記材料塊を変形させる成形工程と、
上記材料塊から上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成する成形完了工程とを有することを特徴とするハニカム成形体の成形方法。
【請求項17】
請求項16において、上記成形工程では、上記ピンを対向する上記ピストンの表面から所定距離手前の位置まで押圧前進させることを特徴とするハニカム成形体の成形方法。
【請求項18】
請求項16において、上記成形工程では、上記ピンを対向する上記ピストンの表面に当接する位置まで押圧前進させることを特徴とするハニカム成形体の成形方法。
【請求項19】
請求項16において、上記成形工程は、請求項1〜9のいずれか1項に記載のハニカム成形体の成形装置を用いて行うことを特徴とするハニカム成形体の成形方法。
【請求項20】
外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する方法であって、
セラミック材料よりなる材料塊を作製する材料作製工程と、
上記材料塊の外形に合致する内形形状を有するシリンダ内に上記材料塊を配置する材料配置工程と、
上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面をピストンと上記シリンダ内の一端を閉塞する当接部材とにより挟持しながら、断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンをそれぞれ上記ピストンに設けた貫通穴を貫通させて上記材料塊の一方の端面から挿入し、上記当接部材の表面に当接する位置まで押圧前進させることにより上記材料塊を変形させる成形工程と、
上記材料塊から上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成することを特徴とするハニカム成形体の成形方法。
【請求項21】
請求項20において、上記成形工程は、請求項10〜15のいずれか1項に記載のハニカム成形体の成形装置を用いて行うことを特徴とするハニカム成形体の成形方法。
【請求項22】
請求項17に記載のハニカム成形体の成形方法により成形してなるハニカム成形体であって、
上記外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた上記隔壁と該隔壁により仕切られた上記複数のセルとを有し、
該セルの一方の端部には、その部分を栓詰めする栓部が設けられており、該栓部と上記外周壁及び上記隔壁とは、一体的に形成されていることを特徴とするハニカム成形体。
【請求項1】
外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する成形装置であって、
セラミック材料よりなる材料塊の外形に合致する内形形状を呈する筒状のシリンダと、
該シリンダ内を軸方向に相対移動可能に設けられた一対のセル形成治具とを有し、
上記各セル形成治具は、上記シリンダ内を移動可能な基体と、該基体から立設された断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンと、該各ピンに対応する複数の貫通穴にそれぞれ上記ピンを摺動可能に貫通させると共に上記シリンダ内を摺動可能なピストンとを有し、
上記材料塊を上記シリンダ内に配置して径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を互いに対向する上記一対のセル形成治具の上記両ピストンにより挟持しながら、互いの上記基体が接近するよう相対移動させ、上記ピンを上記材料塊の両端面から挿入して押圧前進させることにより上記材料塊を変形させ、その後、上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成することができるよう構成されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項2】
請求項1において、上記一対のセル形成治具の相対移動限は、上記ピンが対向する上記ピストンの表面から所定距離手前の位置に設定されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項3】
請求項1において、上記一対のセル形成治具の相対移動限は、上記ピンが対向する上記ピストンの表面に当接する位置に設定されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、上記一対のセル形成治具は、上記ピンを互い違いに対向させていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、上記ピンの断面形状は、四角形又は六角形であることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、上記ピンの表面には、硬質クロムめっきが施されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項7】
請求項6において、上記硬質クロムめっきの厚みは、2〜20μmであることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項において、上記シリンダの内側の断面形状は、円形、楕円形又は多角形であることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項において、上記シリンダは、径方向に複数に分割できるよう構成されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項10】
外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する成形装置であって、
セラミック材料よりなる材料塊の外形に合致する内形形状を呈する筒状のシリンダと、
該シリンダ内を軸方向に移動可能に設けられたセル形成治具と、
上記シリンダ内の一端を閉塞する当接部材とを有し、
上記セル形成治具は、上記シリンダ内を移動可能な基体と、該基体から立設された断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンと、該各ピンに対応する複数の貫通穴にそれぞれ上記ピンを摺動可能に貫通させると共に上記シリンダ内を摺動可能なピストンとを有し、
上記材料塊を上記シリンダ内に配置して径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を互いに対向する上記セル形成治具の上記ピストンと上記当接部材とにより挟持しながら、上記基体と上記当接部材とが接近するよう相対移動させ、上記ピンを上記材料塊の一方の端面から挿入して上記当接部材の表面に当接する位置まで押圧前進させることにより上記材料塊を変形させ、その後、上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成することができるよう構成されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項11】
請求項10において、上記ピンの断面形状は、四角形又は六角形であることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項12】
請求項10又は11のいずれか1項において、上記ピンの表面には、硬質クロムめっきが施されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項13】
請求項12において、上記硬質クロムめっきの厚みは、2〜20μmであることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか1項において、上記シリンダの内側の断面形状は、円形、楕円形又は多角形であることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか1項において、上記シリンダは、径方向に複数に分割できるよう構成されていることを特徴とするハニカム成形体の成形装置。
【請求項16】
外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する方法であって、
セラミック材料よりなる材料塊を作製する材料作製工程と、
上記材料塊の外形に合致する内形形状を有するシリンダ内に上記材料塊を配置する材料配置工程と、
上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面を一対のピストンにより挟持しながら、断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンをそれぞれ上記ピストンに設けた貫通穴に貫通させて上記材料塊の両端面から挿入し、押圧前進させることにより上記材料塊を変形させる成形工程と、
上記材料塊から上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成する成形完了工程とを有することを特徴とするハニカム成形体の成形方法。
【請求項17】
請求項16において、上記成形工程では、上記ピンを対向する上記ピストンの表面から所定距離手前の位置まで押圧前進させることを特徴とするハニカム成形体の成形方法。
【請求項18】
請求項16において、上記成形工程では、上記ピンを対向する上記ピストンの表面に当接する位置まで押圧前進させることを特徴とするハニカム成形体の成形方法。
【請求項19】
請求項16において、上記成形工程は、請求項1〜9のいずれか1項に記載のハニカム成形体の成形装置を用いて行うことを特徴とするハニカム成形体の成形方法。
【請求項20】
外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた隔壁と該隔壁により仕切られた複数のセルとを有するハニカム成形体を成形する方法であって、
セラミック材料よりなる材料塊を作製する材料作製工程と、
上記材料塊の外形に合致する内形形状を有するシリンダ内に上記材料塊を配置する材料配置工程と、
上記材料塊を上記シリンダにより径方向に拘束すると共に、上記材料塊の両端面をピストンと上記シリンダ内の一端を閉塞する当接部材とにより挟持しながら、断面形状が軸方向に同一で上記セルに対応する形状を呈する複数のピンをそれぞれ上記ピストンに設けた貫通穴を貫通させて上記材料塊の一方の端面から挿入し、上記当接部材の表面に当接する位置まで押圧前進させることにより上記材料塊を変形させる成形工程と、
上記材料塊から上記ピンを引き抜くことにより上記材料塊内に上記セルを形成することを特徴とするハニカム成形体の成形方法。
【請求項21】
請求項20において、上記成形工程は、請求項10〜15のいずれか1項に記載のハニカム成形体の成形装置を用いて行うことを特徴とするハニカム成形体の成形方法。
【請求項22】
請求項17に記載のハニカム成形体の成形方法により成形してなるハニカム成形体であって、
上記外周壁と該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた上記隔壁と該隔壁により仕切られた上記複数のセルとを有し、
該セルの一方の端部には、その部分を栓詰めする栓部が設けられており、該栓部と上記外周壁及び上記隔壁とは、一体的に形成されていることを特徴とするハニカム成形体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−143140(P2008−143140A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336122(P2006−336122)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]