説明

ハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスの処理方法

【課題】 1,2ジクロロエタン、塩化ビニルなどのハロゲン化脂肪族炭化水素を含むガス中のハロゲン化脂肪族炭化水素を、低温で、副生物の生成を抑えて分解処理する方法を提供する。
【解決手段】 上記ハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスを、温度250℃、塩化ビニル濃度1000ppm及び空間速度5000hr−1における塩化ビニルの分解活性が50〜80%の分解触媒(A)と接触せしめる第一分解工程により処理し、次いで、処理されたハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスを、前記塩化ビニルの分解活性が80%を超える分解触媒(B)と接触せしめる第二分解工程とを含む。分解触媒(A)は、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化チタンなどの金属酸化物が挙げられ、分解触媒(B)は、上記金属酸化物と、元素周期表における第二、第三遷移系列元素の塩化物との複合触媒が使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化脂肪族炭化水素ガスの新規な処理方法に関する。詳しくは、ハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスを分解触媒と接触せしめて、含有されるハロゲン化脂肪族炭化水素の分解を行うに際し、副生物の生成を著しく低減することができ、且つ、高い分解率を達成することが可能な、ハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスの処理方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニルモノマーの製造プラントにおいて、1,2−ジクロロエタンや塩化ビニルは、各種の有用な中間原料、製品として生産される。上記製造工程において、排ガス中に含有される1,2−ジクロロエタンや塩化ビニルが、工程の排ガス中に残存することもあり、これらのハロゲン化脂肪族炭化水素を排ガスから除去するための技術が検討されている。
【0003】
従来、排ガス中のハロゲン化脂肪族炭化水素を除去する技術としては、吸着法、直接燃焼法、触媒燃焼法が知られている。
【0004】
しかしながら、上記吸着法の場合、高濃度のハロゲン化脂肪族炭化水素の除去には有効であるが、低濃度の場合除去効率が悪い。また、直接燃焼の場合、通常800℃以上の高温が必要なため経済的ではなく、しかも、窒素酸化物の生成による2次公害も懸念される。
【0005】
一方、ハロゲン化脂肪族炭化水素を分解する方法として、近年、分解触媒を使用した処理方法が提案されている。例えば、モルデナイトと白金族元素(金属)或いは金属酸化物からなる担持触媒、金属元素、金属酸化物からなる複合触媒を使用する方法である(特許文献1〜4参照)。この方法は、高活性の触媒を使用することにより、前記燃焼法に比べて低い温度でハロゲン化脂肪族炭化水素の高い分解率を達成することができ、窒素酸化物の生成防止に対しても効果が認められる。
【0006】
しかしながら、上記分解温度は、低いといっても400℃以上であり、特に、1,2−ジクロロエタンを分解処理した場合、塩化ビニル、クロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素系の副生物が生成し、結果的に、得られる排ガス中のハロゲン化脂肪族炭化水素の濃度を十分低くすることが困難となるという問題があった。
【0007】
【特許文献1】特公平6−59388公報
【特許文献2】特開平11−47603公報
【特許文献3】特許第3760090号
【特許文献4】2001−246230公報
【特許文献5】2005−144321公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、350℃以下、特に、300℃未満という、より低い温度で、ハロゲン化脂肪族炭化水素を高度に分解処理することができるハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスの処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、分解反応の前段において、ハロゲン化脂肪族炭化水素の分解活性を特定の範囲に低く抑えた分解触媒を使用して、主として酸化分解と部分的脱塩化水素反応を行い、後段において、上記分解活性が高い分解触媒を使用して、完全脱塩化水素反応と酸化分解反応を主として行うことにより、特に、低温域での反応においても効率の良い分解性能を発揮すると共に副生有機ハロゲン化合物の生成を極めて効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、ハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスを分解触媒と接触せしめて含有されるハロゲン化脂肪族炭化水素を分解する方法であって、上記ハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスを、温度250℃、塩化ビニル濃度1000ppm及び空間速度5000hr−1における塩化ビニルの分解活性が50〜80%の分解触媒(A)と接触せしめる第一分解工程と、上記第一分解工程にて処理されたハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスを、温度250℃、塩化ビニル濃度1000ppm及び空間速度5000hr−1における塩化ビニルの分解活性が80%を超える分解触媒(B)と接触せしめる第二分解工程とを含むことを特徴とするハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスの処理方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法によれば、後述するように、350℃以下、更には300℃以下という低温度領域においても、ハロゲン化脂肪族炭化水素を効率よく分解することが可能であり、その結果、副生物の生成を極めて効果的に抑制しながらハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスの処理を行うことが可能となった。
【0012】
従って、本発明の分解方法は、塩化ビニルの製造プラントなどにおいて、排ガス中に含有される1,2−ジクロロエタンや塩化ビニルについて十分な濃度低減化効果が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の分解方法の対象とするガスは、ハロゲン化脂肪族炭化水素を含有するガスである。かかるハロゲン化脂肪族炭化水素は、炭化水素分子構造中にハロゲン元素である塩素、フッ素、臭素、ヨウ素のうち、少なくとも1種の元素を1つ以上有する脂肪族炭化水素である。具体的には、クロロホルム、ジクロロメタン、トリタロロメタン、四塩化炭素、臭化メチル、1,2−ジクロロエタン、塩化ビニル、フロン類等が挙げられる。そのうち、本発明の方法は、特に、塩化ビニル、又は、1,2−ジタロロエタンの分解に対して有効である。
【0014】
また、前記ハロゲン化脂肪族炭化水素を含むガスとしては、塩化ビニルの製造プラントから排出される、1,2−ジクロロエタンや塩化ビニルを含む排ガスが代表的である。
【0015】
更に、前記ハロゲン化脂肪族炭化水素を含むガスは、水、酸素、水素、塩化水素、窒素酸化物、硫黄酸化物、脂肪族炭化水素、微粒子などを含んでいてもよい。
【0016】
本発明の特徴は、前記ハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスを、触媒活性の異なる、第一分解工程及び第二分解工程を含む分解工程により、順次処理することにある。即ち、第一分解工程は、分解触媒(A)の低い触媒活性を利用して、ハロゲン化脂肪族炭化水素の酸化分解反応と部分的脱塩化水素反応を行うことを目的とし、第二分解工程では、分解触媒(B)の高い触媒活性を利用して、ハロゲン化脂肪族炭化水素の完全脱塩化水素反応と酸化分解反応を行うことを目的としてするものである。そして、かかる組み合せにより、低温度領域での反応において、効率の良い分解性能を発揮するとともに新たに副生するハロゲン化脂肪族炭化水素の生成を低減するものである。
【0017】
上記本発明の方法に対して、分解触媒(A)又は分解触媒(B)のみを使用したハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスの分解では、350℃以下の低温においては、分解性能の低下を引き起こし、一方、分解温度を高温にすると分解性能は向上するものの、副生物が多量に生成する。
【0018】
本発明において、第一分解工程に使用する分解触媒(A)は、250℃、空間速度5000hr−1の条件での塩化ビニルの分解活性(α)が50〜80%、好ましくは、55〜75%の活性を有する触媒である。即ち、上記分解触媒(A)の分解活性が、50%より小さい場合、或いは、80%を超える場合、ハロゲン化脂肪族炭化水素の酸化分解反応と部分的脱塩化水素反応を十分行うことができず、続く第二分解工程との組み合わせにおいて、ガス中のハロゲン化脂肪族炭化水素を十分低減することができない。
【0019】
上記分解触媒を具体的に例示すれば、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化チタンより選ばれた少なくとも一種の金属酸化物を含有してなる触媒が挙げられる。これらの金属酸化物は、それぞれ単独でも、前記分解活性を発することもできるが、好ましくは、これらの金属酸化物を組み合せた複合酸化物の形態が好ましい。例えば、酸化チタン60重量%〜99重量%、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化モリブデンから選ばれた少なくとも一種以上からなる金属酸化物40重量%〜1重量%の組成が好適である。上記酸化チタンの割合が、99重量%を超える場合、ハロゲン化脂肪族炭化水素の酸化分解除去性能が低下する傾向があり、また、60重量%より少ない場合、分解性能は良いが触媒が高価となりすぎる。
【0020】
尚、上記複合酸化物を得る方法は、公知の方法が特に制限なく採用される。例えば、例えば、共沈法、ゾルゲル法、混練法等が挙げられる。
【0021】
また、分解触媒(A)の形状は特に制限されないが、分解触媒自体を粒状、ペレット状、ハニカム型、モノリス型等に成型しても良く、また、分解触媒をコージェライト等の耐火性基材からなるハニカム成型体、不活性繊維状成型体等の基材の表面に付着せしめて使用することもできる。
【0022】
一方、第二分解工程に使用する分解触媒(B)は、前記塩化ビニルの分解活性(α)が80%を超える触媒である。
【0023】
本発明において、上記分解触媒(B)の分解活性が、80%より小さい場合、ハロゲン化脂肪族炭化水素の完全脱塩化水素反応と酸化分解反応を十分行うことができず、前の第一分解工程との組み合わせにおいて、ガス中のハロゲン化脂肪族炭化水素を十分低減することができない。
【0024】
上記分解触媒を具体的に例示すれば、元素周期表における第二、第三遷移系列元素の塩化物(以下、特定塩化物ともいう。)と、前記分解触媒(A)で例示した金属酸化物及びシリカを単独、或いは複合酸化物としたものを含有する触媒が挙げられる。
【0025】
上記特定塩化物としては、具体的に、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、レニウム(Re)等の塩化物、ハライドクラスターを挙げることができ、中でも、塩化ルテニウムが好ましい。また、上記特定塩化物は、単独、又は、組合せて使用することができる。
【0026】
これらの特定塩化物と酸化物を含有する分解触媒(B)の形態は、複合体の形態が好ましい。例えば、金属酸化物70重量%〜99.8重量%、上記特定塩化物20重量%〜0.2重量%の範囲で複合化されたものが挙げられる。上記特定塩化物が0.2重量%より少ない場合、分解活性を80%を超えて十分高く上げることができず、ハロゲン化脂肪族炭化水素の分解除去性能が低下する傾向があり、また、30重量%を越えると分解性能は良いが触媒が高価となりすぎるとともに副生物が増加する傾向が見られる。
【0027】
前記分解触媒(B)において、分解触媒を構成する態様は特に制限されない。例えば、前記特定塩化物を酸化物に担持させる方法、前記複合酸化物の形成時に特定塩化物を存在させておき、共沈法、ゾルゲル法、混練法等により調製する方法等が挙げられる。
【0028】
また、分解触媒(B)の形状は、前記分解触媒(A)と同様な形状を採用することができる。
【0029】
前記第一分解工程、第二分解工程において、触媒の使用する方法において、成形方法は公知の方法が特に制限なく採用される。例えば、混合粉末にバインダーを加えて所定の形状に成形した後、焼成する方法が挙げられる。また、前記基材に分解触媒を付着せしめる方法は、分解触媒を懸濁状、ペースト状とし、その表面に塗布し、乾燥、焼成する方法が好適である。
【0030】
また、前記酸化物に特定塩化物を担持させる方法は、公知の方法が特に制限無く採用される。例えば、酸化物の成形体に特定塩化物の水溶液、懸濁液を含浸せしめた後、乾燥、必要に応じて焼成する方法が挙げられる。
【0031】
上述の触媒の調製方法において、焼成温度は、得られる分解触媒の機能を低下させない温度が適宜選択される。一般には、150〜500℃、特に、200〜350℃であることが好ましい。
【0032】
本発明において、前記それぞれの分解工程において、ハロゲン化脂肪族炭化水素を分解する際の条件は特に制限されないが、好適な条件を例示すれば、分解触媒へのハロゲン化脂肪族炭化水素の反応温度は、150〜350℃、好ましくは、170〜300℃であることが好ましい。かかる反応温度が150℃未満、特に170℃未満ではハロゲン化脂肪族炭化水素の分解除去性能が低下し、300℃、特に350℃を超える場合は、副生物が増加する傾向があると共に、エネルーギー消費量が増大する。
【0033】
上記反応温度の調整は、反応器に供給するガス温度を調整する方法、反応器の加熱温度を調整する方法等を適宜採用することができる。
【0034】
また、反応器内の空間速度は、100〜50000h−1、好ましくは、150〜40000h−1が適当である。
【0035】
本発明において、第一分解工程と第二分解工程とにおけるハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスの処理時間の比率は特に制限されないが、後述の分解触媒を充填した充填塔を使用して反応を行う場合、第一分解工程触媒と第二分解工程触媒のそれぞれの分解触媒の充填量比が、重量比で、0.9/0.1〜0.1/0.9で好ましくは0.8/0.2〜0.2/0.8となるように調整することが好ましい。
【0036】
本発明において、ハロゲン化脂肪族炭化水素の分解に使用される反応装置は、処理されるガス(ハロゲン化脂肪族炭化水素)と分解触媒との接触を行うことのできる構造を有するものであれば特に制限されない。例えば、分解触媒が粉末状、粒状であれば、充填型の固定床方式で流通式反応器、側流式反応器および流動床式反応器が使用される。この場合、分解触媒をかかる反応器に充填し、形成された触媒充填層にハロゲン化脂肪族炭化水素を含有するガスを流し触媒に接触させる方法が採用される。
【0037】
また、前記分解触媒の形状が繊維状、モノリス状およびハニカム状を成す場合、流通式の反応器が使用される。この場合、繊維状、モノリス状、ハニカム状の触媒を反応器内に配置し、ハロゲン化脂肪族炭化水素を含有する触媒内にガスを通過させる方法が採用される。
【0038】
本発明の第一分解工程と、第二分解工程の実施に際して、それぞれの反応に使用する分解触媒を、同一の反応器内にガスの流れ方向に順次充填して行ってもよいし、第一分解工程と、第二分解工程としての別々の反応器に触媒を充填し直列に接続して行ってもよいが、分解触媒が粒状、粉末状の場合、分解触媒の混合を避けるため、第一分解工程、第二分解工程は別個の反応器を準備し、ハロゲン化脂肪族炭化水素ガスとの接触を行うのが一般的である。
【0039】
また、各分解工程において、更に反応器内に多段に分解触媒を存在せしめて反応を行うことができるのは、言うまでもない。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を更に具体的に説明するため、実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
尚、実施例、比較例において、使用した分解触媒の塩化ビニルの分解活性は以下の方法により測定した。
【0042】
(塩化ビニルの分解活性α)
固定床方式の流通式反応器に触媒を充填し、250℃、空間速度5000hr−1で塩化ビニル濃度1000ppmを含有してなる空気を触媒層に通過させ、反応器出口の塩化ビニル濃度を測定し、下記(1)式より分解活性αを求めた。
【0043】
α=(1000−VCM出口濃度(ppm))×100/1000 (1)
実施例1
<第一分解工程触媒>
酸化バナジウム(和光純薬)6重量%、酸化タングステン(和光純薬)2重量%、酸化チタン(SSPM堺化学工業製)92重量部を混練し、400℃空気下で焼成し目的とする粉末状触媒を得た。
【0044】
得られた触媒の分解活性は、75.6であった。
<第二分解工程触媒>
500℃で焼成した酸化チタン(CS300S 堺化学工業製)100重量部を、塩化ルテニウム(RuCl・nHO Ru含有量40%)(和光純薬)5重量部を100重量部の純水に溶解して調製した水溶液に含浸し、室温で12時間放置した。触媒と水を分離した後、窒素気流下、100℃で乾燥した。500ml/分の窒素気流下電気炉で室温から300℃に30分間で昇温し、2時間焼成することにより塩化ルテニウム1.9重量%を含有する粉末状酸化チタン担持塩化ルテニウムを得た。
【0045】
得られた触媒の250℃でのVCM分解活性は、99.9以上であった。
<触媒性能評価>
上記方法によって得られた各触媒をそれぞれ平均粒径100〜150μmの大きさの粉体とした。上記のようにして得られた分解触媒を常圧固定床流通式反応装置に、総触媒量0.6ml、第一分解工程触媒と第二分解工程触媒の重量比が1:1となるように充填した。
【0046】
先ず、前処理として、空気気流下300℃で1時間前処理をした。その後、1、2ジクロロエタン5000ppm、酸素7%、窒素をバランスとした組成のガスを100ml/分、空間速度10000hr−1となるように通過させ、分解を実施した。
【0047】
尚、実験は、第一分解工程、第二分解工程共に、反応温度を、250℃300℃、350℃の各温度に変えた場合についてそれぞれ行った。結果を表1に併せて示す。
【0048】
実施例2
<第一分解工程触媒>
実施例1の第一分解工程で使用した分解触媒を使用した。
<第二分解工程触媒>
塩化パラジウム(PdCl)(和光純薬)2重量部と500℃で焼成した酸化チタン(CS300S 堺化学工業製)98重量部を混練し、500ml/分の窒素気流下電気炉で室温から300℃に30分間で昇温し、2時間焼成することにより塩化パラジウム2重量%を含有する粉末状酸化チタン担持塩化パラジウムを得た。
【0049】
得られた触媒の分解活性は、97.5であった。
<触媒性能評価>
実施例1と同様な方法により触媒性能評価を実施した。結果を表1に併せて示す。
【0050】
実施例3
<第一分解工程触媒>
触媒として酸化タングステン(和光純薬)8重量%、酸化バナジウム0.5重量%と酸化チタン91重量%(SCN204 堺化学工業製)を粉砕し粉末状として使用した。
【0051】
得られた触媒の分解活性は、71.1であった。
<第二分解工程触媒>
実施例1の第一分解工程触媒である塩化ルテニウム1.9重量%を含有する粉末状酸化チタン担持塩化ルテニウムを使用した。
【0052】
得られた触媒の分解活性は、99.9以上であった。
<触媒性能評価>
実施例1と同様な方法により触媒性能評価を実施した。結果を表1に併せて示す。
【0053】
比較例1
<第一分解工程触媒>
実施例1の二段触媒の塩化ルテニウム1.9重量%を含有する粉末状酸化チタン担持塩化ルテニウムを用いた。
【0054】
得られた触媒の分解活性は、99.9以上であった。
<第二分解工程触媒>
実施例1の第一分解工程で使用した分解触媒を使用した。
<触媒性能評価>
実施例1と同様な方法により触媒性能評価を実施した。結果を表1に併せて示す。
【0055】
比較例2
実施例1の第一分解工程で使用した分解触媒の酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化チタン触媒と、実施例1の第二分解工程で使用した分解触媒の酸化チタン担持塩化ルテニウム触媒とを、重量比1:1の割合で、小型ミキサーにより混合して触媒とした。
<触媒性能評価>
実施例1と同様な方法により触媒性能評価を実施した。結果を表1に併せて示す。
【0056】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスを分解触媒と接触せしめて含有されるハロゲン化脂肪族炭化水素を分解する方法であって、上記ハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスを、温度250℃、塩化ビニル濃度1000ppm及び空間速度5000hr−1における塩化ビニルの分解活性が50〜80%の分解触媒(A)と接触せしめる第一分解工程と、上記第一分解工程にて処理されたハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスを、温度250℃、塩化ビニル濃度1000ppm及び空間速度5000hr−1における塩化ビニルの分解活性が80%を超える分解触媒(B)と接触せしめる第二分解工程とを含むことを特徴とするハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスの処理方法。
【請求項2】
分解触媒(A)が、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化チタンより選ばれた少なくとも一種の金属酸化物を含有する請求項1記載のハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスの処理方法。
【請求項3】
分解触媒(B)が、元素周期表における第二、第三遷移系列元素の塩化物より選ばれた少なくとも一種の金属塩化物と、酸化チタン、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム、よりなる群より選ばれた少なくとも一種の金属酸化物とを含有する請求項1記載のハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスの処理方法。
【請求項4】
前記第一分解工程及び第二分解工程において、ハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスを150〜350℃の温度で触媒と接触させる、請求項1〜3の何れか1項に記載のハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスの処理方法。
【請求項5】
ハロゲン化脂肪族炭化水素が、1,2−ジクロロエタン及び/又は塩化ビニルである、請求項1〜4の何れか1項に記載のハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスの処理方法。
【請求項6】
第一分解工程に供給するハロゲン化炭化水素含有ガス中のハロゲン化脂肪族炭化水素の濃度が50〜20000ppmである請求項1〜5の何れか1項に記載のハロゲン化脂肪族炭化水素含有ガスの処理方法。

【公開番号】特開2008−246437(P2008−246437A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93712(P2007−93712)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)
【Fターム(参考)】