説明

ハンディーターミナル

【課題】第1のユニットと第2のユニットとの連結回動部分の大型化を招来することなく、当該部分でフレキシブルケーブルを断線しにくくする。
【解決手段】第1の操作面を有して第1の回路基板を内蔵する第1のユニット102と第2の操作面116を有して第2の回路基板125を内蔵する第2のユニット103とをヒンジで回動開閉自在に連結して両ユニット102、103を回動開閉自在とし、フレキシブルケーブル122で第1の回路基板と第2の回路基板125とを電気的に接続し、第2のユニット103と一体で回動するように設けたケーブル案内体127によって両ユニットが閉じられた状態から開かれた状態に状態遷移する過程でフレキシブルケーブル122の屈曲方向を反転させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共に操作面を有する第1のユニットと第2のユニットとを見開き状態で回動開閉可能にしたハンディーターミナルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、共に操作面を有する第1のユニットと第2のユニットとを見開き状態で回動開閉可能にしたハンディーターミナルが普及している(特許文献1参照)。これらの第1のユニットと第2のユニットとは、操作面での操作に応じて入力された情報を処理するために、いずれも回路基板を内蔵しており、これらの二つの回路基板間でのデータ通信を実現するためにそれらの回路基板をフレキシブルケーブルで電気的に接続している。このような構造上、フレキシブルケーブルは、第1のユニットと第2のユニットとの間の回動連結部を通される。
【0003】
このような見開き構造を有するハンディーターミナルでは、第1のユニットと第2のユニットとが閉じられた状態と見開き状態とに状態遷移するために、このような状態遷移に応じて両ユニットが内蔵する二つの回路基板を電気的に接続するためのフレキシブルケーブルの這い回し長さが変動する。つまり、第1のユニットと第2のユニットとが開かれた状態で丁度良い長さに設定されたフレキシブルケーブルは、第1のユニットと第2のユニットとが閉じられると長さ余りとなってしまう。そこで、従来のハンディーターミナルでは、例えば特許文献1に記載されているように、第1のユニットと第2のユニットとの間のヒンジ部においてフレキシブルケーブルを巻回して保持するようなことが一般に行なわれている。このようにすれば、第1のユニットと第2のユニットとが見開き状態から閉じられた状態に状態遷移することによって生ずるフレキシブルケーブルの長さ余りは、フレキシブルケーブルの巻回径の増大によって吸収される。
【0004】
【特許文献1】特開2005−347345公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、第1のユニットと第2のユニットとの間のヒンジ部においてフレキシブルケーブルを巻回して保持するような構造を採用すると、フレキシブルケーブルが断線し易くなるという問題がある。
【0006】
これを避けるためにはフレキシブルケーブル巻回径をできるだけ大きくすることが望ましいが、それでは第1のユニットと第2のユニットとの連結回動部分が大型化してしまうという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、第1のユニットと第2のユニットとの連結回動部分の大型化を招来することなく、当該部分でフレキシブルケーブルを断線しにくくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のハンディーターミナルは、第1の操作面を有して第1の回路基板を内蔵する第1のユニットと、第2の操作面を有して第2の回路基板を内蔵する第2のユニットと、前記第1のユニットと前記第2のユニットとを回動開閉自在に連結して前記第1の操作面と前記第2の操作面とを互いに対面した状態と見開き状態とに状態遷移可能とするヒンジと、前記第1の回路基板から前記第1の操作面の方向に立ち上がり前記第1のユニットと前記第2のユニットとの間の連結位置を通って前記第2のユニットの側部から前記第2の回路基板に連結し、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを電気的に接続するフレキシブルケーブルと、前記第2のユニットに当該第2のユニットと一体で回動するように設けられ、前記第2のユニットの側部から延出する位置で前記フレキシブルケーブルに干渉することで、前記第1のユニットと前記第2のユニットとが閉じられた状態から開かれた状態に状態遷移する過程で前記フレキシブルケーブルの屈曲方向を反転させるケーブル案内体と、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1のユニットと第2のユニットとが開かれた状態から閉じられた状態に状態遷移することによってフレキシブルケーブルに生ずる長さ余りをフレキシブルケーブルの屈曲として吸収することができるようにしたので、その構造上、フレキシブルケーブルを巻回する必要がなく、したがって、第1のユニットと第2のユニットとの連結回動部分の大型化を防止することができ、また、第1のユニットと第2のユニットとが閉じられた状態から開かれた状態に状態遷移するに際してフレキシブルケーブルに生じていた屈曲の屈曲方向をケーブル案内体で反転させることができるようにしたので、第1のユニットと第2のユニットとが閉じられた状態から開かれた状態に状態遷移する過程でフレキシブルケーブルの屈曲部分が両ユニットに挟まれてしまうことを防止することができ、したがって、当該部分でフレキシブルケーブルを断線しにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の一形態を図1ないし図8に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明実施の一形態を示すハンディーターミナルが閉じられた状態を示す斜視図である。本実施の形態のハンディーターミナル101は、回動開閉自在に連結された第1のユニット102と第2のユニット103とによって構成されている。第1のユニット102と第2のユニット103とを回動開閉自在に連結しているのは、ヒンジ104である。ヒンジ104は、第1のユニット102の一側部においてその両端部に円筒形状に設けられた一対の第1のヒンジ体105と、第2のユニット103の一側部において第1のヒンジ体105の内側に配置されるように円筒形状に設けられた一対の第2のヒンジ体106と、第1のヒンジ体105及び第2のヒンジ体106を回動自在に連結する一対の連結ピン107とによって構成されている。つまり、第1のヒンジ体105には連結ピン107よりも僅かに大径のケーブル挿通孔(図示せず)が形成され、第2のヒンジ体106には連結ピン107の圧入を可能とする径のケーブル挿通孔(図示せず)が形成されている。そこで、第1のヒンジ体105と第2のヒンジ体106とを互いのケーブル挿通孔が位置合わせされるように配置した状態で、一方の連結ピン107を一方の第1のヒンジ体105に挿通させてこれと隣接する一方の第2のヒンジ体106に圧入状態で貫通させる。同様に、もう一方の連結ピン107をもう一方の第1のヒンジ体105に挿通させてこれと隣接するもう一方の第2のヒンジ体106に圧入状態で貫通させる。これにより、第1のユニット102と第2のユニット103とがヒンジ104によって回動開閉自在に連結される。
【0012】
一対の第2のヒンジ体106の間には、回動案内体108が回動自在に連結されている。この回動案内体108は、一対の連結ピン107よりも僅かに大径の挿通孔109(図3及び図5参照)を有しており、この挿通孔109に一対の第2のヒンジ体106を貫通した一対の連結ピン107の先端部が僅かに挿入されることで、ヒンジ104の回動中心と同軸上を回動するように第1のユニット102に回動自在に取り付けられている。回動案内体108については、後に詳述する。
【0013】
第2のユニット103の外装面110には、回動案内体108の取り付け位置の近傍に位置させて指退避部111が取り付けられている。この指退避部111は、矩形形状に形成された弾力性を持つ材料によって形成されている。弾力性を持つが故に、指退避部111は、この指退避部111が設けられた第2のユニット103の外装面110よりも摩擦係数が大きい。そして、指退避部111は、その厚み分だけ、外装面110よりも突出している。
【0014】
第1のユニット102には、ヒンジ104が設けられている一側部に位置させて、ヒンジ104に沿うようにして一筋の指退避突部112が突出形成されている。
【0015】
図2は、ハンディーターミナル101が見開かれた状態を示す斜視図である。第1のユニット102は、第2のユニット103によって閉じられる面に第1の操作面113を有する。第1の操作面113には液晶表示パネル114が取り付けられ、この液晶表示パネル114にはタッチパネル115が積層して取り付けられている。第2のユニット103は、第1のユニット102に対して閉じられる面に第2の操作面116を有する。第2の操作面116は、メンブレンキーボード117によって形成されている。
【0016】
第1のユニット102と第2のユニット103とには、互いに接合する部分に位置させて緩衝部材118が貼付されている。これらの緩衝部材118は、第1のユニット102に対して第2のユニット103が閉じられる際に生ずる衝突による衝撃を和らげる役割を担っている。
【0017】
図3は、回動案内体108の斜視図である。回動案内体108は、円筒形状をしており、その中心に前述した挿通孔109が形成されている。回動案内体108は、両端部分に円筒部119を有して中央部分に切欠部120を有する。円筒部119には、切欠部120を介して対面する対向面121が形成されている。切欠部120は、後述するフレキシブルケーブル122を位置付けるために用いられ、一対の対向面121はフレキシブルケーブル122の両側方に位置付けられる。一対の対向面121の離反間隔は、フレキシブルケーブル122の幅よりも僅かに広く設定されている。このような回動案内体108は、その両端に一対の係合溝123を有している。これらの係合溝123は、挿通孔109の軸方向と同一方向に長く形成され、第2のユニット103の回動動作に回動案内体108を連動させるための構造として設けられている。係合溝123の詳細については、図5に基づいて後述する。
【0018】
図4は、第1のユニット102と第2のユニット103との回動連結部分を示す縦断側面図である。第1のユニット102は、その内部に第1の回路基板124を内蔵している。この第1の回路基板124は、第1の操作面113に設けられている液晶表示パネル114を駆動制御し、タッチパネル115からの入力信号を処理する。第2のユニット103は、その内部に第2の回路基板125を内蔵している。第2の回路基板125は、第2の操作面116に設けられているメンブレンキーボード117からの入力信号を処理する。
【0019】
このような第1のユニット102に内蔵されている第1の回路基板124と第2のユニット103に内蔵されている第2の回路基板125とは、フレキシブルケーブル122で電気的に接続されている。フレキシブルケーブル122は、第1の回路基板124から第1の操作面113の方向に立ち上がり第1のユニット102と第2のユニット103との間の連結位置を通って第2のユニット103の側部から第2の回路基板125に連結し、第1の回路基板124と第2の回路基板125とを電気的に接続する。このようなフレキシブルケーブル122は、第1の回路基板124から第1の操作面113の方向に立ち上がる部分において、第1のユニット102に取り付けられた防水パッキング126によって防水処理されている。そして、フレキシブルケーブル122は、第1のユニット102と第2のユニット103との間の連結位置では、前述した回動案内体108に設けられた切欠部120の位置に位置付けられている。
【0020】
回動案内体108は、切欠部120の位置にケーブル案内体127を有している。つまり、一対の円筒部119をケーブル案内体127が連結するようにそれらの円筒部119とケーブル案内体127とが一体形成されており、これによって回動案内体108が構成されている。ケーブル案内体127は、図4に示すように、回動案内体108の軸方向から見た断面形状が曲面形状である。そして、図4に示すように、ケーブル案内体127は、第1の操作面113と第2の操作面116とが見開き状態となるように第1のユニット102と第2のユニット103とが回動した状態で、第2のユニット103の側部から延出する位置でフレキシブルケーブル122に干渉すると共に、その位置から湾曲し、第1のユニット102から立ち上がり切欠部120に至るフレキシブルケーブル122には干渉しないような形状に形成されている。更に、ケーブル案内体127は、第2の回路基板125に対面する部分において補助肉部127aを有している。補助肉部127aは、図4中、第2の回路基板125から延出するフレキシブルケーブル122を僅かに持ち上げるような形状を有している。
【0021】
ここで、図4に示すように、回動案内体108に設けられている一対の対向面121は、互いに対面する対面投影領域からフレキシブルケーブル122を突出させないように形成されている。そして、一対の対向面121の互いに対面する対面投影領域からフレキシブルケーブル122が突出しない状態は、第1のユニット102と第2のユニット103との回動開閉動作の全過程にわたり継続するように形成されている。
【0022】
以上説明したようなケーブル案内体127によるフレキシブルケーブル122の案内については、図6ないし図8に基づいて後に詳述する。
【0023】
図5は、第1のユニット102と第2のユニット103との回動連結部分を断面にして示す斜視図である。図3に参照して説明したように、回動案内体108は、その両端に一対の係合溝123を有している。これらの係合溝123は、第1のユニット102に対する第2のユニット103の回動連結部分に対面する位置に形成されている。そこで、第2のユニット103には、それらの係合溝123に嵌合する一対の係合部129が形成されている。これらの係合部129は係合溝123に嵌合し、第2のユニット103の回動動作を回動案内体108に伝達する。したがって、回動案内体108は第2のユニット103の回動動作に連動して回動することになる。
【0024】
ここで重要なことは、第2のユニット103に形成された係合部129は回動案内体108に形成された係合溝123に遊びなく嵌合しているということである。
ここに、第2のユニット103の回動動作に伴い回動案内体108も回動するように第2のユニット103と回動案内体108とを遊びなく連結する連動機構130が構成されている。
【0025】
このような構成において、第1のユニット102に対して第2のユニット103は回動開閉自在であり、その回動動作によって第1の操作面113と第2の操作面116とを互いに対面した状態と見開き状態とに状態遷移させることができる。そして、本実施の形態では、第1のユニット102に対して第2のユニット103が全閉状態(図1参照)と見開き状態(図2参照)との間を回動開閉する工程において、回動案内体108がフレキシブルケーブル122を案内する。この点について、図6ないし図8に基づいて詳述する。
【0026】
図6(a)は、第1のユニット102に対して第2のユニット103が全閉状態から見開き状態に開く際の回動案内体108の回動状態を示す模式図である。図7は、第1のユニット102に対して第2のユニット103が全閉状態から見開き状態に状態遷移する際の回動案内体108の回動状態とフレキシブルケーブル122の移動状態とを示す縦断側面図である。
【0027】
図6中では、第1のユニット102に対して第2のユニット103が全閉である状態(図1参照)を0°として表わし、第1のユニット102に対して第2のユニット103が見開いた状態(図2参照)を180°として表わしている。そして、図6は、第1のユニット102に対する第2のユニット103の45°刻みの回動状態での回動案内体108の回動角度を明示している。図6中、回動案内体108は図4と共通する向きから見た回動案内体108を示している。
【0028】
図6(a)及び図7(a)に示すように、第1のユニット102に対して第2のユニット103が全閉状態である場合の回動案内体108(0°の状態)は、図4に示す状態と同様に、ケーブル案内体127が、第2のユニット103の側部から延出する位置でフレキシブルケーブル122に干渉すると共に、第1のユニット102から立ち上がり切欠部120に至るフレキシブルケーブル122には干渉しない状態となっている。この際、第1の回路基板124と第2の回路基板125とを電気的に接続するフレキシブルケーブル122は、図7(a)に示すように、長さ余りとなるために屈曲状態で保持される。この際、前述したように、回動案内体108に設けられている一対の対向面121が互いに対面する対面投影領域からフレキシブルケーブル122が突出しない。これにより、フレキシブルケーブル122は、屈曲はしながらも、回動案内体108から外部に飛び出してしまうようなことがない。
【0029】
第1のユニット102に対して第2のユニット103を回動開放させると、回動案内体108は第2のユニット103に連れ回される。つまり、図5に示すように、第2のユニット103に形成された係合部129が回動案内体108に形成された係合溝123に嵌合しているので、第2のユニット103を回動させれば回動案内体108も連動して回動する。この際、前述したように、第2のユニット103に形成された係合部129は回動案内体108に形成された係合溝123に遊びなく嵌合しているので、第2のユニット103の回動角と同一の角度を持って回動する。
【0030】
図6(a)及び図7(b)〜(e)に示すように、第2のユニット103が回動すると回動案内体108が第2のユニット103に連れ回される。その結果、第2のユニット103が見開き状態まで回動すると(180°の状態)、回動案内体108も0°から180°まで回動する。このような過程において注目すべきは、回動案内体108が45°〜135°まで回動する過程でのケーブル案内体127によるフレキシブルケーブル122の案内動作である(図7(b)〜(d)参照)。ケーブル案内体127は、第1の操作面113と第2の操作面116とが見開き状態となるように第1のユニット102と第2のユニット103とが回動した状態で、第2のユニット103の側部から延出する位置でフレキシブルケーブル122に干渉している(図7(a)参照)。そして、この状態で、ケーブル案内体127の補助肉部127aは、第2の回路基板125から延出するフレキシブルケーブル122を僅かに持ち上げている。そこで、第2のユニット103が45°程度回動することで回動案内体108も45°程度回動すると、ケーブル案内体127とフレキシブルケーブル122との間の干渉の度合いがより強まる(図7(b)参照)。この状態から第2のユニット103が更に回動して90°程度回動し回動案内体108も90°程度回動すると、ケーブル案内体127とフレキシブルケーブル122との間の干渉の度合いが益々強まって、ある段階に至ると、ケーブル案内体127はフレキシブルケーブル122の屈曲方向を反転させようとする(図7(c)参照)。第2のユニット103が135°程度回動することで回動案内体108も135°程度回動した状態では、フレキシブルケーブル122の屈曲方向が完全に反転する(図7(d)参照)。その結果、第1の回路基板124から延出して第1の操作面113の方向に立ち上がるフレキシブルケーブル122は、回動案内体108が0°から135°まで回動する過程で、回動案内体108に設けられている一対の対向面121が互いに対面する対面投影領域から飛び出し、第1のユニット102と第2のユニット103との間に巻き込まれてしまうことがない。これにより、フレキシブルケーブル122が第1のユニット102と第2のユニット103との間に巻き込まれてしまうことによるフレキシブルケーブル122の断線が防止される。
【0031】
図8は、回動案内体108がないと仮定した場合における第1のユニット102に対して第2のユニット103が全閉状態から見開き状態に状態遷移する際のフレキシブルケーブル122の移動状態を示す縦断側面図である。前述したように、回動案内体108に設けられているケーブル案内体127は、第2のユニット103が回動して回動案内体108も回動する過程でフレキシブルケーブル122の屈曲方向を反転させ(図7(c)参照)、フレキシブルケーブル122が第1のユニット102と第2のユニット103との間に巻き込まれてしまうことを防止する。これに対して、もしもケーブル案内体127が設けられていないとすると、図8(b)〜(d)に示すように、フレキシブルケーブル122はその屈曲方向を反転する機会を失う。これにより、第2のユニット103が見開き状態まで回動すると(180°の状態)、フレキシブルケーブル122が回動案内体108に設けられている一対の対向面121が互いに対面する対面投影領域から飛び出し、第1のユニット102と第2のユニット103との間に巻き込まれてしまう可能性が生ずる。
【0032】
なお、回動案内体108のケーブル案内体127が有する補助肉部127aは、第2の回路基板125から延出するフレキシブルケーブル122が下方に回り込み、ケーブル案内体127に案内される箇所で大きく屈曲することを抑制している。これにより、フレキシブルケーブル122と第2の回路基板125との間の接続部分の機械疲労を抑制し、第2の回路基板125からのフレキシブルケーブル122の脱落を防止することができる。
【0033】
図6(b)は、第1のユニット102に対して第2のユニット103が見開き状態から全閉状態に閉じる際の回動案内体108の回動状態を示す模式図である。第1のユニット102に対して第2のユニット103が見開き状態から全閉状態に閉じる際の回動案内体108の回動動作に際しては、基本的には、全閉状態から見開き状態に状態遷移する場合の既に説明した工程と反対の工程が辿られる。但し、相違するのは、ケーブル案内体127の助けを借りることなく、フレキシブルケーブル122は自ずとその屈曲方向を反転させることである。これは、フレキシブルケーブル122が第2のユニット103の側部から略真直ぐに第2の回路基板に連結しているので、第2のユニット103の閉じる動作に伴いその屈曲方向が自ずと反転させられる方向に導かれるからである(図7(c)参照)。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1のユニット102と第2のユニット103とが開かれた状態から閉じられた状態に状態遷移することによってフレキシブルケーブル122に生ずる長さ余りをフレキシブルケーブル122の屈曲として吸収することができる。これにより、例えば特許文献1に記載されているような、第1のユニット102と第2のユニット103との連結回動部分におけるフレキシブルケーブル122の巻回保持構造の採用を回避することができ、第1のユニット102と第2のユニット103との連結回動部分の大型化を防止することができる。
【0035】
また、第1のユニット102と第2のユニット103とが閉じられた状態から開かれた状態に状態遷移するに際して、フレキシブルケーブル122に生じていた屈曲の屈曲方向をケーブル案内体127で反転させることができる。これにより、第1のユニット102と第2のユニット103とが閉じられた状態から開かれた状態に状態遷移する過程でフレキシブルケーブル122の屈曲部分が第1のユニット102と第2のユニット103との間に挟まれてしまうことを防止することができ、当該部分でフレキシブルケーブル122を断線しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明実施の一形態を示すハンディーターミナルが閉じられた状態を示す斜視図である。
【図2】ハンディーターミナルが見開かれた状態を示す斜視図である。
【図3】回動案内体の斜視図である。
【図4】第1のユニットと第2のユニットとの回動連結部分を示す縦断側面図である。
【図5】第1のユニットと第2のユニットとの回動連結部分を断面にして示す斜視図である。
【図6】(a)は第1のユニットに対して第2のユニットが全閉状態から見開き状態に開く際の回動案内体の回動状態を示す模式図、(b)は第1のユニットに対して第2のユニットが見開き状態から全閉状態に閉じる際の回動案内体の回動状態を示す模式図である。
【図7】第1のユニットに対して第2のユニットが全閉状態から見開き状態に開く際の回動案内体の回動状態とフレキシブルケーブルの移動状態とを示す縦断側面図である。
【図8】回動案内体がないと仮定した場合における第1のユニットに対して第2のユニットが全閉状態から見開き状態に開く際のフレキシブルケーブルの移動状態を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
【0037】
102…第1のユニット、103…第2のユニット、104…ヒンジ、108…回動案内体、113…第1の操作面、116…第2の操作面、121…対向面、122…フレキシブルケーブル、124…第1の回路基板、125…第2の回路基板、127…ケーブル案内体、130…連動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の操作面を有して第1の回路基板を内蔵する第1のユニットと、
第2の操作面を有して第2の回路基板を内蔵する第2のユニットと、
前記第1のユニットと前記第2のユニットとを回動開閉自在に連結して前記第1の操作面と前記第2の操作面とを互いに対面した状態と見開き状態とに状態遷移可能とするヒンジと、
前記第1の回路基板から前記第1の操作面の方向に立ち上がり前記第1のユニットと前記第2のユニットとの間の連結位置を通って前記第2のユニットの側部から前記第2の回路基板に連結し、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを電気的に接続するフレキシブルケーブルと、
前記第2のユニットに当該第2のユニットと一体で回動するように設けられ、前記第2のユニットの側部から延出する位置で前記フレキシブルケーブルに干渉することで、前記第1のユニットと前記第2のユニットとが閉じられた状態から開かれた状態に状態遷移する過程で前記フレキシブルケーブルの屈曲方向を反転させるケーブル案内体と、
を具備するハンディーターミナル。
【請求項2】
前記フレキシブルケーブルの両側方で当該フレキシブルケーブルを介して対面配置され、前記第1のユニットと前記第2のユニットとの回動開閉動作の全過程にわたり互いに対面する対面投影領域から前記フレキシブルケーブルを突出させない一対の対向面を更に備え、
前記ケーブル案内体は、前記一対の対向面間の長さにわたり配置されている、
請求項1記載のハンディーターミナル。
【請求項3】
前記フレキシブルケーブルが通過する位置に位置させて前記ヒンジの回動中心と同軸上を回動するように前記第1のユニットに回動自在に取り付けられ、前記対向面と前記ケーブル案内体とが連結されて設けられている回動案内体と、
前記第2のユニットの回動動作に伴い前記回動案内体が回動するように前記第2のユニットと前記回動案内体とを連結する連動機構と、
を更に備える請求項2記載のハンディーターミナル。
【請求項4】
前記ケーブル案内体は、前記フレキシブルケーブルに接触する部分の断面形状が曲面形状である、請求項1ないし3のいずれか一記載のハンディーターミナル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−293213(P2008−293213A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137082(P2007−137082)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】