説明

ハンドルスイッチ装置

【課題】
防水性を十分に確保しつつ光源の光を揺動スイッチノブに良好に導くことができるハンドルスイッチ装置を提供する。
【解決手段】
車両のハンドルバーに固定されるスイッチケース1と、該スイッチケース1に形成された揺動軸Lを中心に揺動可能なディマースイッチノブ2とを具備し、ディマースイッチノブ2の揺動に伴い車両が具備する所定の電装品を操作するハンドルスイッチ装置において、スイッチケース1内に固定され、ディマースイッチノブ2に向かって光を照射し得る光源5と、一端6aが光源5をシールしつつ当該光源5近傍に固定され、揺動軸L近傍を通ってディマースイッチノブ2内に延設されることにより、当該光源5から照射された光をディマースイッチノブ2まで導くとともに、当該ディマースイッチノブ2の揺動動作により撓むことが可能とされた導光体6とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車等の車両のハンドルバーに固定されて、当該車両が具備する所定の電装品を操作し得る揺動型スイッチノブを有したハンドルスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、二輪車が具備する操舵用のハンドルバー先端には、運転者が走行中把持し得る把持グリップ又はスロットルグリップが取り付けられており、これら把持グリップ又はスロットルグリップに隣接した位置にはハンドルスイッチ装置が固定されている。かかるハンドルスイッチ装置は、二輪車が搭載する各種電装品を操作するための複数のスイッチノブ又はボタン等が形成されている。
【0003】
また、ハンドルスイッチ装置のスイッチノブ又はボタンの操作面には、その操作内容を示す文字や記号等が表示されている。然るに、自動車等のインパネに配設されたパネルスイッチ等においては、その操作面の表示を光源からの光により発光させて視認性を向上させたものが提供されるに至っており、二輪車のハンドルスイッチ装置に対しても、表示の発光による視認性向上のニーズが高まっているのが実情である。尚、請求項に係る発明と関連性を有する技術の蓄積がなく、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、二輪車のハンドルスイッチ装置においては、自動車のパネルスイッチ等とは異なり、極めて高い防水性が要求されるため、特に、揺動軸を中心として揺動する揺動型スイッチノブ又はその操作面の表示を発光させようとした場合、揺動動作を確保するための隙間が必要となり、内部に配設された光源の防水性を確保するのが困難であった。
【0005】
また、二輪車等のハンドルスイッチ装置における揺動型スイッチノブは、可動接点と固定接点との接触又は離間により所定の電装品の操作を行う構成であるため、タクトスイッチ等によるものと比べ、動作範囲が比較的大きくなってしまう。そのため、揺動動作を確保すべき隙間も大きくなってしまい、光源を配設した際の防水性の確保をする場合、スペース的な問題も発生するため、一層困難となっている。
【0006】
尚、揺動型スイッチノブ内に光源を配設することにより、当該揺動型スイッチノブ又はその操作面の表示を発光させることも考えられるが、その場合、光源からスイッチケース内まで配線等を延ばす必要があるため、車両の振動に加え揺動型スイッチノブの揺動動作も付与されることとなり、耐久性が悪化してしまう虞がある。また、揺動型スイッチノブ内に光源を配設した場合、製造時の作業性が悪化してしまうという不具合もあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、防水性を十分に確保しつつ光源の光を揺動スイッチノブに良好に導くことができるハンドルスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、車両のハンドルバーに固定されるスイッチケースと、該スイッチケースに形成された揺動軸を中心に揺動可能な揺動型スイッチノブとを具備し、前記揺動型スイッチノブの揺動に伴い前記車両が具備する所定の電装品を操作するハンドルスイッチ装置において、前記スイッチケース内に固定され、前記揺動型スイッチノブに向かって光を照射し得る光源と、一端が前記光源をシールしつつ当該光源近傍に固定され、前記揺動軸近傍を通って前記揺動型スイッチノブ内に延設されることにより、当該光源から照射された光を前記揺動型スイッチノブまで導くとともに、当該揺動型スイッチノブの揺動動作により撓むことが可能とされた導光体とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のハンドルスイッチ装置において、前記光源は、前記揺動型スイッチノブに向かって開口した収容空間に収容されるとともに、前記導光体の一端が当該開口をシールしつつ塞いだ状態とされたことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のハンドルスイッチ装置において、前記揺動型スイッチノブは中空状に形成されるとともに、前記導光体は、その他端が当該揺動型スイッチノブの内周壁面に倣った形状とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、一端が前記光源をシールしつつ当該光源近傍に固定され、前記揺動軸近傍を通って前記揺動型スイッチノブ内に延設されることにより、当該光源から照射された光を前記揺動型スイッチノブまで導くとともに、当該揺動型スイッチノブの揺動動作により撓むことが可能とされた導光体を具備するため、防水性を十分に確保しつつ光源の光を揺動スイッチノブに良好に導くことができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、導光体の一端が光源の収容空間の開口をシールしつつ塞いだ状態とされているので、光源に対する防水性を更に向上させることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、揺動型スイッチノブは中空状に形成されるとともに、導光体は、その他端が当該揺動型スイッチノブの内周壁面に倣った形状とされたので、光源の光をより確実且つ良好に揺動型スイッチノブ全域に到達させることができ、発光させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るハンドルスイッチ装置は、図1及び図2に示すように、スイッチケース1と、揺動操作可能な揺動型スイッチノブとしてのディマースイッチノブ2及びホーンスイッチノブ3と、光源5と、導光体6とから主に構成されている。尚、同図中符号4は、スイッチケース1に形成されたスライドスイッチとしてのターンシグナルスイッチノブを示している。
【0015】
スイッチケース1は、二輪車のハンドルバーHにおける把持グリップG近傍に固定されたものであり、その正面(運転者側)に上記ディマースイッチノブ2、ホーンスイッチノブ3及びターンシグナルスイッチノブ4が形成されている。また、スイッチケース1は、一対の半割形状部品から成るもので、ハンドルバーHを挟持させた状態で合致させ、ボルト締めにより位置決め固定されている。
【0016】
ディマースイッチノブ2は、二輪車の前照灯をハイビーム又はロービームに操作するためのもので、図5に示すように、導光体6を介装しつつホルダ7に取り付けられて一体的な構成とされている。そして、ホルダ7に一体化されたディマースイッチノブ2は、図4に示すように、スイッチケース1内に固定されるケース8a及び8bに揺動自在に取り付けられる。
【0017】
即ち、同図に示すように、ホルダ7には凸部7a及び孔部7bが形成されるとともに、ケース8aには凸部7と嵌合し得る孔部8aa、ケース8bには孔部7bに嵌合し得る凸部8baがそれぞれ形成されており、孔部8aa、7bに凸部7a、8baを嵌合してケース8a及び8bにホルダ7を取り付けることにより、ディマースイッチノブ2及びホルダ7が揺動軸Lを中心として揺動自在とされている。
【0018】
また、ホルダ7から延設された腕部7c先端には図示しない可動接点を有するローラ9が取り付けられ(図5参照)、該ローラ9は、ディマースイッチノブ2の揺動動作に伴い、ケース8aに形成された摺動スペース8ab内で移動可能とされている。かかる摺動スペース8ab内には、図示しない固定接点を有する接点板10が配設され(図3参照)、ローラ9が接点板10上を摺動し得るよう構成されている。これにより、ディマースイッチノブ2を操作して揺動させると、ローラ9が接点板10上を摺動して可動接点と固定接点とで形成される所定回路の切換が行われ、前照灯におけるハイビームとロービームとを切り換え可能としている。
【0019】
一方、ケース8bには、光を照射し得るLED等から成る光源5が延設されており、該光源5は当該ケース8bとケース8aとで形成された収容空間S内に収容されるよう構成されている。かかる収容空間Sには、ディマースイッチノブ2に向かって形成された開口Saを有しており、この開口Saに導光体6の一端6aが圧入されている。即ち、収容空間Sの開口Saは、導光体6の一端6aによりシールされつつ塞がれた状態となっており、収容空間S内の光源5の防水が図られている。
【0020】
導光体6は、透明又は半透明の樹脂材料またはシリコンゴムを所定形状に成形し、一端6aから入った光を内部で反射させることにより他端6bまで導き、当該他端6bからディマースイッチノブ2を介して発光させ得るもので、可撓性の材料から成るものである。尚、本実施形態においては、略キノコ型(断面が略T字状)に成形されたシリコンラバー系の材料が使用されている。
【0021】
また、導光体6は、上述したように、その一端6aが収容空間Sの開口Saを塞ぐことにより光源5の近傍に固定されるとともに、揺動軸L近傍を通って他端6bがディマースイッチノブ2内に至るよう延設されている。然るに、ディマースイッチノブ2は、ホルダ7に組み付けられた状態で中空状となっており、かかる中空部の内周壁面に倣った形状に導光体6の他端6bが成形されている。
【0022】
尚、ディマースイッチノブ2の操作面(上面)には、操作内容を示す表示(ハイビームを示す「HI」及びロービームを示す「LO」なる文字及び図柄)が形成されており、かかる表示は光を透過し得るようになっている。これにより、光源5から照射された光は、導光体6の一端6aから中間部6c(揺動軸L近傍に位置する部位)を経て他端6bに至り、そこからディマースイッチノブ2の表示から発光して視認性を向上させ得るようになっている。
【0023】
上記の如き本実施形態によれば、導光体6により収容空間Sをシールして光源5に対する防水を図ることができるとともに、光源5からの光を常に良好にディマースイッチノブ2から発光させることができる。即ち、ディマースイッチノブ2が「HI」ポジションにあるとき(図6参照)及び「LO」ポジションにあるとき(図7参照)の何れにおいても、導光体6の一端6aは光源5の近傍にて固定されつつ中間部6cが撓み、光源5からディマースイッチノブ2までの光の経路を確保することができるのである。
【0024】
また、導光体6の中間部6cがディマースイッチノブ2の揺動軸L近傍を通るため、他の部位(例えばディマースイッチノブ2の端部等)を通るものに比べ、当該導光体6の撓み量を小さくさせることができ、耐久性を向上させることができるとともに、導光体として選択されるべき材料の幅を広げることができる。尚、導光体6の他端6bは、ディマースイッチノブ2の中空部の内周壁面に倣った形状とされているため、当該ディマースイッチノブ2の略全域に光を導くことができ、操作面の何れの位置に表示が形成されていても確実に発光させることができる。
【0025】
一方、本実施形態に係るハンドルスイッチ装置におけるホーンスイッチノブ3は、上記ディマースイッチノブ2と同様、揺動型のものから成り、内部に配設された導光体6’により光源5’からの光を当該ホーンスイッチノブ3まで導くよう構成されている。具体的には、ホーンスイッチノブ3は、図8に示すように、スイッチケース1内に固定されたケース11に取り付けられ、その揺動軸L’に対して揺動可能とされている。かかるケース11には、光を照射し得る光源5’及び該光源5’を収容した収容空間S’が形成されるとともに、押しボタンスイッチ12が配設されている。
【0026】
導光体6’は、その一端6’aが収容空間S’の開口S’aに圧入状態にて固定されており、当該収容空間S’を塞いでシールしているとともに、揺動軸L’近傍を通って他端6’bがホーンスイッチノブ3内に至るよう延設されている。これにより、光源5’からの光は、導光体6’に導かれて、その一端6’aから他端6’bに至り、ホーンスイッチノブ3の操作面の表示(「HORN」なる文字及び図柄)から発光して視認性を向上し得るよう構成されている。
【0027】
然るに、ホーンスイッチノブ3を押圧操作して揺動軸L’を中心に揺動させると、図9に示すように、当該ホーンスイッチノブ3先端に配設された押圧部3aが押しボタンスイッチ12を押圧してオンし、車両が具備するホーンを作動させ得るようになっている。このとき、導光体6’の一端6’aは光源5’の近傍にて固定されつつ中間部(揺動軸L’近傍に位置する部位)が撓み、光源5’からホーンスイッチノブ3までの光の経路を確保することができるのである。
【0028】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば車両が具備する所定の電装品を操作し得る他の揺動型ノブ(スイッチケース内の揺動軸を揺動可能とされたもの)にも適用することができるとともに、揺動型ノブに形成された表示のみを発光させるものの他、当該揺動型ノブ全体を発光させるものにも適用することができる。
【0029】
揺動型ノブ内に位置する導光体の他端は、発光させるべき部位に応じて種々変形させることができ、例えば導光体の全体形状が一端から他端まで一直線状のもの、或いはL字状のものとしてもよい。更に、本実施形態においては、二輪車に配設されたハンドルスイッチ装置に適用されているが、ハンドルバーを有した他の車両(バギーやスノーモービル等)においても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
一端が光源をシールしつつ当該光源近傍に固定され、揺動軸近傍を通って揺動型スイッチノブ内に延設されることにより、当該光源から照射された光を揺動型スイッチノブまで導くとともに、当該揺動型スイッチノブの揺動動作により撓むことが可能とされた導光体を具備したハンドルスイッチ装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたものにも適用することができる。また、ハンドルスイッチ以外の車両用のパネルスイッチ等にも転用でき、更には車両以外の防水性を必要とされるスイッチへの利用も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係るハンドルスイッチ装置を示す正面図
【図2】図1におけるII−II線断面模式図
【図3】同ハンドルスイッチ装置における揺動型スイッチノブとしてのディマースイッチノブ及び光源近傍の構成を示す縦断面図
【図4】同ディマースイッチノブ及び光源近傍の構成を示す横断面図
【図5】同ディマースイッチノブ、導光体及びホルダを分解した状態を示す側面図
【図6】同ディマースイッチノブが「HI」ポジションにある状態を示す断面模式図
【図7】同ディマースイッチノブが「LO」ポジションにある状態を示す断面模式図
【図8】本発明の実施形態に係るハンドルスイッチ装置における揺動型スイッチノブとしてのホーンスイッチ及び光源近傍の構成を示す断面図
【図9】同ホーンスイッチを揺動動作させた状態を示す断面図
【符号の説明】
【0032】
1 スイッチケース
2 ディマースイッチノブ
3 ホーンスイッチノブ
4 ターンシグナルスイッチノブ
5、5’ 光源
6、6’ 導光体
6a、6’a 一端
6b、6’b 他端
6c 中間部
7 ホルダ
8a、8b ケース
9 ローラ
10 接点板
11 ケース
12 押しボタンスイッチ
L、L’ 揺動軸
S、S’ 収容空間
Sa、S’a 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のハンドルバーに固定されるスイッチケースと、
該スイッチケースに形成された揺動軸を中心に揺動可能な揺動型スイッチノブと、
を具備し、前記揺動型スイッチノブの揺動に伴い前記車両が具備する所定の電装品を操作するハンドルスイッチ装置において、
前記スイッチケース内に固定され、前記揺動型スイッチノブに向かって光を照射し得る光源と、
一端が前記光源をシールしつつ当該光源近傍に固定され、前記揺動軸近傍を通って前記揺動型スイッチノブ内に延設されることにより、当該光源から照射された光を前記揺動型スイッチノブまで導くとともに、当該揺動型スイッチノブの揺動動作により撓むことが可能とされた導光体と、
を備えたことを特徴とするハンドルスイッチ装置。
【請求項2】
前記光源は、前記揺動型スイッチノブに向かって開口した収容空間に収容されるとともに、前記導光体の一端が当該開口をシールしつつ塞いだ状態とされたことを特徴とする請求項1記載のハンドルスイッチ装置。
【請求項3】
前記揺動型スイッチノブは中空状に形成されるとともに、前記導光体は、その他端が当該揺動型スイッチノブの内周壁面に倣った形状とされたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のハンドルスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−85949(P2006−85949A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267271(P2004−267271)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000213954)朝日電装株式会社 (184)
【Fターム(参考)】