説明

ハードコートフィルム

【課題】優れたハードコート性、帯電防止性、透明性を備え、ハードコート層表面の白化を抑えたハードコートフィルムを提供するものである。
【解決手段】透明基材の少なくとも片面に、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に有する多官能性モノマーを含有する電離放射線硬化型樹脂と、ATO、ITO、Sb、TiO、ZnO、Ceの金属酸化物粒子のうち少なくとも1種類以上を含有する導電性材料に、透明基材を溶解または膨潤させる一種類以上の溶剤1と、導電性材料が安定に分散される溶剤2により混合調液された塗布液と、フッ素系レベリング剤を用いて形成されており、ハードコート層の中心線平均高さ(Ra)が0.010μm以下であり、且つ、凹凸の平均間隔(Sm)が0.15mm以上であることを特徴とするハードコートフィルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたハードコート層と反射防止層を備え、帯電防止性、透明性に優れるハードコートフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種ディスプレイに用いられる透明基材に硬度を付帯させる為にアクリル系UV樹脂等をコーティングし、ハードコート性を付帯させる方法が用いられてきた。しかし、これに伴い透明基材およびアクリル系樹脂が帯電しやすく、作業時あるいは使用時に塵やほこりが付着するという問題がある。
【0003】
この問題点を改良するために各種導電性材料を添加することが行われている。このため、透明基材上にハードコート層を備えるフィルムにおいて、ハードコート層に帯電防止機能を付与する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−92750号公報
【特許文献2】特開平7−314619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
透明基材上にアクリル系樹脂等をコーティングし、硬化させる際に、アクリル系樹脂の希釈溶剤を揮発させる必要があるが、この際、気化熱により樹脂表面付近の空気が冷やされ、空気中の水分が凝集する。この水分が樹脂表面に取り込まれてしまい、樹脂が硬化する際に、樹脂表面が荒れてしまい、表面に微小な凹凸ができてしまう。この凹凸により外部からの光が散乱し、フィルムが白化して見えてしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、優れたハードコート性、帯電防止性、透明性を備え、ハードコート層表面の白化を抑えたハードコートフィルムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1に係る発明としては、透明基材の少なくとも片面に、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に有する多官能性モノマーを含有する電離放射線硬化型樹脂と、ATO、ITO、Sb、TiO、ZnO、Ceの金属酸化物粒子のうち少なくとも1種類以上を含有する導電性材料に、透明基材を溶解または膨潤させる一種類以上の溶剤1と、導電性材料が安定に分散される溶剤2により混合調液された塗布液と、フッ素系レベリング剤を用いて形成されていることを特徴とするハードコートフィルムである。
【0008】
また、請求項2に係る発明としては、前記フッ素系レベリング剤が、ハードコート層形成樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部の範囲内で用いられていることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルムである。
【0009】
また、請求項3に係る発明としては、前記ハードコート層の中心線平均高さ(Ra)が0.010μm以下であり、且つ、凹凸の平均間隔(Sm)が0.15mm以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項2に記載のハードコートフィルムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成のハードコートフィルムとすることにより、優れたハードコート性、帯電防止性、透明性を備え、ハードコート層表面の白化を抑えたハードコートフィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例のハードコートフィルムの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、本発明のハードコートフィルムの構成の一例とする断面図を示す。
【0013】
本発明の一実施例としてのハードコートフィルムは、透明基材(11)の少なくとも片面に、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に含有する多官能性モノマーを主成分とする電離放射線硬化型樹脂(121)と導電性材料(122)を主成分とするハードコート層(12を順次積層した積層体であって、前記ハードコート層(12)が、透明基材(11)を溶解または膨潤させる一種類以上の溶剤1及び導電性材料(122)が安定に分散される溶剤2及びフッ素系レベリング剤を含む塗布液を用いて形成される。
【0014】
本発明で用いられる透明基材(11)としては、トリアセチルセルロースフィルム等のセルロース系フィルムが用いられる。複屈折が少なく、透明性、屈折率、分散などの光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、耐久性などの諸物性の点に優れており、更に溶剤によって容易に溶解または膨潤する為、本発明においては他のフィルムよりも好ましい。
【0015】
前記透明基材(11)には、各種安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等が添加されていても良い。また、透明基材の厚さは特に限定されるものではないが、20μm以上200μm以下が好ましい。さらにトリアセチルセルロースフィルムである場合には、40μm以上80μm以下が好ましい。
【0016】
本発明で用いられる電離放射線硬化型樹脂(121)とは、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂も包含するものであって、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に含有する多官能性モノマーを主成分とする。
【0017】
多官能性モノマーとしては、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビスβ‐(メタ)アクリロイルオキシプロピネート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2,3‐ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル[2.2.1]ヘプタン、ポリ1,2−ブタジエンジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルヘキサン、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカンエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、10−デカンジオール(メタ)アクリレート、3,8−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.10]デカン、水素添加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、ヒドロキシピバリンサンエステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エポキシ変成ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。多官能モノマーは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。また、必要で有れば単官能モノマーと併用して共重合させることもできる。
【0018】
また、本発明にて好ましい多官能性モノマーとしてウレタンアクリレートも挙げられ、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に水酸基を有するアクリレートモノマーを反応させ容易に形成されるものを挙げることができる。
【0019】
具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどを用いることができる。また、これらの単量体は、1種または2種以上を混合して使用することができる。また、これらは塗液においてモノマーであってもよいし、一部が重合したオリゴマーであってもかまわない。
【0020】
光重合開始剤としては、例えば、2,2−エトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン等が挙げられる。これらを単独、もしくは2種類以上合わせて用いても良い。
【0021】
光増感剤としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール等の3級アミン、トリフェニルホスフィン等のアルキルフォスフィン系、β−チオジグリコール等のチオエーテル系をあげることが出来、これらを1種類あるいは2種類以上を混合して使用することもできる。
【0022】
また、本発明のハードコートフィルムにあっては、フッ素系レベリング剤が、ハードコート層形成樹脂100重量部に対して0.05〜5.0重量部用いられていることを特徴とする。透明基材上にアクリル系樹脂等をコーティングし、硬化させる際に、アクリル系樹脂の希釈溶剤を揮発させる必要があるが、この際、気化熱により樹脂表面付近の空気が冷やされ、空気中の水分が凝集する。この水分が樹脂表面に取り込まれてしまい、樹脂が硬化する際に、樹脂表面に微小な凹凸が発生してしまう。フッ素系レベリング剤が、ハードコート層形成樹脂100重量部に対して0.05重量部に満たない場合、ハードコート層表面のレベリング性が弱く、この表面の微細な凹凸を平滑にすることができない。また、フッ素系レベリング剤が、ハードコート層形成樹脂100重量部に対して5.0重量部を超える場合、透明基材との間にハジキが発生してしまう。
【0023】
さらに、性能改良のため、泡消剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤等を含有することもできる。
【0024】
また、本発明のハードコートフィルムにあっては、ハードコート層のJIS−B0601−1994に規定される中心線平均粗さ(Ra)が0.010μm以下であり、且つ、凹凸の平均間隔(Sm)が0.15mm以上であることを特徴とする。ハードコート層の中心線平均粗さ(Ra)が0.010μmを超え、且つ、凹凸の平均間隔(Sm)が0.15mmを満たさない場合、ハードコート層表面の凹凸により外部からの光が散乱し、フィルム表面が白化してしまい、フィルムの透明性が低くなってしまう。
【0025】
導電性材料(122)としては、ATO(酸化アンチモン/酸化スズ)、ITO(酸化インジウム/酸化スズ)、Sb、TiO、ZnO、Ce等の金属酸化物微粒子が挙げられる。その中でも導電性に優れたATO微粒子の使用が望ましい。
【0026】
本発明の光学積層体におけるハードコート層(4)は、電離放射線硬化型樹脂(121)は、90重量部から99重量部に対し、導電性材料(122)は、10重量部から1重量部の範囲が好ましい。
【0027】
ハードコート層における導電性材料が1重量部以下であると、十分な導電性を発現せず、10重量部以上であると金属酸化物微粒子による着色、光学散乱が発生してしまい、光学積層体としての十分な機能を発現しなくなる。
【0028】
ハードコート層(12)の形成方法としては、ウェットコーティング法とされる、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーティング法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、マイクログラビアコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等などにより透明基材の少なくとも片面に塗布することにより形成することができる。特に薄く、均一に層を形成する必要性があることより、マイクログラビアコーティング法を用いることが好ましい。また、厚い層を構成する必要が生じた場合には、ダイコーティング法を用いることも可能である。
【0029】
ハードコート層(12)を形成する際の硬化方法としては、例えば、紫外線照射、加熱等を用いることができる。紫外線照射の場合、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フュージョンランプ等を使用することができる。紫外線照射量は、通常100mJ/cm2以上800mJ/cm2以下である。
【0030】
また、ハードコート層の膜厚は3μm以上あれば十分な強度となるが、塗工精度、取扱いから5μm以上10μm以下の範囲が好ましい。10μm以上では硬化収縮による基材の反り、ゆがみ、基材折れが発生してしまうためである。さらに、膜厚としては、5μm以上7μm以下の範囲であるとハードコート層としては非常に好ましい。
【0031】
溶剤1としては、セルロース系フィルム表面を溶解または膨潤させる溶剤として、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等のエーテル類、またアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等のケトン類、また蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン等のエステル類、さらにメチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類が挙げられる。これらを単独、もしくは2種類以上合わせて用いても良い。また、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセトン、シクロヘキサノンのうち少なくとも1種類を用いることが好ましい。
【0032】
溶剤2としては、金属酸化物微粒子の凝集等を起こすことなく安定した塗液状態を維持することを目的としており、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール類、またメチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、さらにメチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類が挙げられる。これらを単独、もしくは2種類以上合わせて用いても良い。また、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ペンタノール、エチレングリコール、メチ
ルセロソルブ、セロソルブのうち少なくとも1種類を用いることが好ましい。
【0033】
これら溶剤1及び溶剤2は、溶剤1は70重量部から95重量部及び、溶剤2は30重量部から5重量部であり、溶剤1と溶剤2を合わせた時に100重量部となるように調液することが好ましい。
【0034】
溶剤1が70重量部以下であると、セルロース系フィルム表面を溶解・膨潤させるのに十分でなく、ハードコート層の密着性低下を引き起こしてしまう。一方、溶剤1が95重量部以上であると、導電性材料が塗液中にて不安定になってしまい、微粒子の凝集等の不具合がおこってしまう。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
図1に示すように、透明基材(11)としては、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用意した。
【0036】
透明基材(11)上に、ハードコート層処方を撹拌混合した塗布液を、バーコーティング法により乾燥後の膜厚が5μm程度になるように塗布、乾燥させ、高圧水銀灯により600mJ/cm2の紫外線を照射し、ハードコート層を形成した。
【0037】
前記ハードコート層処方においては、ウレタンアクリレート:UV−1700B(日本合成化学社製)80重量部と導電性金属酸化物(五酸化アンチモン、屈折率n=1.60)10重量部、光重合開始剤イルガキュアー184(チバ・ジャパン社製)3重量部、フッ素系レベリング剤BYK−340(ビックケミー社製)0.2重量部を混合したものを、アセトン80重量部、エタノール20重量部の混合溶剤で希釈した。
【0038】
(実施例2)は、(実施例1)のハードコート層について、フッ素系レベリング剤添加量を1.0重量部に変化させた例である。
【0039】
(比較例1)は、(実施例1)のハードコート層について、フッ素系レベリング剤添加量を0.01重量部に変化させた例である。
【0040】
(比較例2)は、(実施例1)のハードコート層について、フッ素系レベリング剤添加量を10重量部に変化させた例である。
【0041】
前記(実施例1)、(実施例2)及び(比較例1)、(比較例2)で作製したハードコートフィルムを以下に示す試験・評価によりおこなう。
【0042】
「ヘイズ値測定」
得られたハードコートフィルムについて、写像性測定器(日本電色工業社製、NDH−2000)を使用して、JIS−K7105−1981に準拠して、ヘイズ値を測定した。
【0043】
「表面抵抗」
得られたハードコートフィルムについて、高抵抗抵抗率計(株式会社ダイアインスツルメンツ社製、ハイレスターMCP−HT260)を使用して、JIS−K6911−1994に準拠して、表面抵抗値を測定した。
【0044】
「鉛筆硬度試験」
得られたハードコートフィルムについて、クレメンス型引掻き硬度試験機(テスター産業株式会社製、HA−301)を用いて、JIS−K5400−1990に準拠して、ハードコート層表面に500gの荷重をかけた硬度3Hの鉛筆(三菱UNI)を用い、試験を行い、キズによる外観の変化を目視で評価した。ハードコート層表面にキズが発生していないものを丸印(○)、ハードコート層表面にキズが発生しているものをバツ印(×)で示した。
【0045】
「ハードコート層表面の中心線平均高さ(Ra)」
得られたハードコートフィルムについて、高精度微細形状測定器(小坂研究所製サーフコーダーET4000A)を用い、JIS−B0601−1994に準拠して、ハードコート層表面の中心線平均高さ(Ra)を測定した(カットオフ=0.8mm、評価長さ=2.4mm、走査速度=0.2mm/sec)。
【0046】
「ハードコート層表面凹凸の平均間隔(Sm)」
得られたハードコートフィルムについて、高精度微細形状測定器(小坂研究所製サーフコーダーET4000A)を用い、JIS−B0601−1994に準拠して、ハードコート層表面凹凸の平均間隔(Sm)を測定した(カットオフ=0.8mm、評価長さ=2.4mm、走査速度=0.2mm/sec)。
【0047】
「白化」
得られたハードコートフィルムに蛍光灯の光を当て、ハードコート層表面の光の拡散具合を評価した。光の拡散具合が小さく、ハードコート層表面が白化していないものを丸印(○)、ハードコート層表面が白化しているものをバツ印(×)で示した。
【0048】
「ハジキ」
得られたハードコート層表面のハジキの有無を評価した。ハードコート層表面にハジキが発生していないものを丸印(○)、ハードコート層表面にハジキが発生しているものをバツ印(×)で示した。
【0049】
以上の試験・評価について、ハードコートフィルムの性能評価結果を(表1)に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
(表1)より、(実施例1)、(実施例2)で得られた本発明のハードコートフィルムは、耐擦傷性に優れ、帯電防止性、透明性を備え、ハードコート層表面の白化を抑えたものである。
【0052】
これに対して、(比較例1)で得られた本発明のハードコートフィルムは、ハードコートフィルム表面に白化の発生が認められた。また、(比較例2)で得られた本発明のハードコートフィルムは、ハードコートフィルム表面にハジキの発生が認められた。
【符号の説明】
【0053】
1 ・・・ハードコートフィルム
11 ・・・透明基材
12 ・・・ハードコート層
121 ・・・電離放射線硬化型樹脂
122 ・・・導電性材料(導電性粒子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材の少なくとも片面に、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を分子中に有する多官能性モノマーを含有する電離放射線硬化型樹脂と、ATO、ITO、Sb、TiO、ZnO、Ceの金属酸化物粒子のうち少なくとも1種類以上を含有する導電性材料に、透明基材を溶解または膨潤させる一種類以上の溶剤1と、導電性材料が安定に分散される溶剤2により混合調液された塗布液と、フッ素系レベリング剤を用いて形成されていることを特徴とするハードコートフィルム。
【請求項2】
前記フッ素系レベリング剤が、ハードコート層形成樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部の範囲内で用いられていることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項3】
前記ハードコート層の中心線平均高さ(Ra)が0.010μm以下であり、且つ、凹凸の平均間隔(Sm)が0.15mm以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項2に記載のハードコートフィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2011−174974(P2011−174974A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37119(P2010−37119)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】