ハード・オン・ハードのシール表面を伴う回転せん断バルブアセンブリ
【解決手段】実質的に金属製又はセラミック製のステータデバイス(21)と、実質的に金属製又はセラミック製のロータデバイス(25)とを有する多位置回転せん断バルブアセンブリ(20)が提供される。ステータデバイス(21)が、実質的に平坦なステータ面(22)と、対応するステータポート(23)においてステータ面(22)と流体連通している少なくとも2本又は3本以上のステータチャネルとを画定する一方で、ロータデバイス(25)は、1本又は2本以上のロータチャネルを画定する実質的に平坦なロータ面(26)を含む。ロータ面(26)上及びステータ面(22)上のうちの少なくとも一方に、トライボロジコーティングが配され、これは、2つ又は3つ以上のロータ位置の間における、ロータ−ステータ界面におけるロータ面(26)とステータ面(25)との間の実質的に流体密で選択的な相対的回転を可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、2009年7月13日に出願された同時係属米国仮特許出願第61/225,1434号、2010年2月4日に出願された同時係属米国仮特許出願第61/301,516号、及び2010年4月27日に出願された同時係属米国仮特許出願第61/328,594号の優先権を主張する。これらの出願は、いずれも、Towerを発明者として「ROTARY SHEAR VALVE ASSEMBLY WITH HARD-ON-HARD SEAL SURFACES(ハード・オン・ハードのシール表面を伴う回転せん断バルブアセンブリ)」と題され、いずれも、参照によって本明細書に全体を組み込まれる。
【0002】
本発明は、回転せん断バルブに関するものであり、特に、ハード・オン・ハードの(硬質材料と硬質材料とが接する)シール表面を取り入れたせん断バルブに関するものである。
【背景技術】
【0003】
現在の高圧液体クロマトグラフィせん断バルブは、金属性の要素と、ロータ/ステータ界面に流体密シールを形成するポリマ材料で構成されたロータデバイスとを用いるのが通例である。この組み合わせは、成果があるとわかっている一方で、圧力定格及びバルブ寿命において限界がある。例えば、15Kpsi(およそ1.03×108Pa)を超える高圧及び約10Kサイクルを超える寿命を要する用途は、たとえこの組み合わせを使用しても、始終達成して持続させることはできない。
【0004】
したがって、約15Kpsi(およそ1.03×108Pa)を超える圧力を保持可能であるとともに50Kサイクルを超えるバルブ寿命を期待できるせん断面バルブを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、実質平坦なステータ面と、対応するステータポートにおいてステータ面と流体連通している少なくとも2本又は3本以上のステータチャネルとを画定するステータデバイスを含む回転せん断バルブアセンブリを提供する。ステータ面は、実質金属性又はセラミックの材料で構成される。バルブアセンブリは、また、1本又は2本以上のロータチャネルを画定する実質平坦なロータ面を含むロータデバイスも含む。ロータ面も、同様に、実質金属性又はセラミックの材料で構成される。本発明にしたがうと、バルブアセンブリは、ロータ面上及びステータ面上のうちの少なくとも一方に配されたトライボロジ(潤滑)コーティングを含む。ロータデバイスは、2つ又は3つ以上のロータ位置の間における、ロータ−ステータ界面におけるロータ面とステータ面との間の流体密で且つ選択的な相対的回転を可能にするように、回転軸周りに回転式に装着される。
【0006】
したがって、トライボロジコーティングの適用を通じて、高流体圧用途(すなわち、15Kpsi(およそ1.03×108Pa)から約25Kpsi(およそ1.72×108Pa))用のメタル・オン・メタル(金属と金属とが接する)ステータデバイス/ロータデバイスを実現することができる。ゆえに、ロータ/ステータ界面に流体密シールを維持可能であるのみならず、バルブは、高いライフサイクル上限(すなわち、少なくとも約75Kサイクル)も維持可能である。そのうえ、このようなトライボロジコーティングは、更に、これら2つの対向接触面の間の摩擦を軽減する働きもする。
【0007】
本発明の一態様において、トライボロジコーティングは、ダイヤモンド・ライク・コーティング(DLC)によって提供される。
【0008】
別の具体的な一構成において、トライボロジコーティングは、ステータ面上に配される。
【0009】
更に別の具体的な一実施形態において、ロータ面及びステータ面は、鋼又はチタンなどの金属性の材料で構成される。
【0010】
本発明の別の一態様において、ロータデバイスは、実質平坦なロータ面を包含する金属性のロータ要素を含む。バルブアセンブリは、更に、実質平坦なロータ面をステータデバイスの実質平坦なステータ面に対して実質平行に且つ実質同一平面に方向付けるようにロータデバイスと協働するコンプライアンスアセンブリを含む。
【0011】
具体的な一実施形態において、ロータデバイスは、ロータ面と反対を向いた基部側向き接触表面を画定し、コンプライアンスアセンブリは、ロータデバイスのこの接触表面に対して支持的に接合接触するコンプライアント要素を含む。
【0012】
別の具体的な一構成は、バルブアセンブリの回転軸を中心として回転するように構成されたバルブシャフトと、該バルブシャフトの末端に配されたヘッド部分とを含むロータアセンブリを提供する。ヘッド部分は、その末端側着座表面を画定する。コンプライアント要素は、接触表面と反対を向いた基部側向き表面を画定する。コンプライアント要素は、ロータデバイスの接触表面及びヘッド部分の末端側着座表面に接合接触するように、それらの表面の間に配される。
【0013】
更に別の具体的な一実施形態において、コンプライアント要素は、着座表面によって底部を画定される受入ソケットを画定する。受入ソケットは、ロータデバイスのロータ要素と位置合わせされて、ロータ要素を滑動式に軸方向に受け入れるように形成及び寸法決定される。受入ソケットは、更に、ロータ要素の外周壁をプレス嵌めによって受け入れるとともに該外周壁に接触するように形成及び寸法決定された内部側壁によっても画定される。
【0014】
更に別の一実施形態において、内部側壁とロータ外周壁は、それらがキー係合によって位置合わせされるように協働する。より具体的には、内部側壁及びロータ外周壁は、D字型である。
【0015】
更に別の具体的な一構成は、バルブアセンブリの回転軸を中心として回転するように構成されたバルブシャフトと、該バルブシャフトの末端に配されたヘッド部分とを含むロータアセンブリを提供する。コンプライアンスアセンブリは、ロータアセンブリのヘッド部分とロータ要素との間に配されたボールベアリング部材を含み、ボールベアリング部材を中心としたロータ面の微小で且つコンプライアントな枢動運動を可能にする。
【0016】
更に別の一実施形態は、ボールベアリング部材の一部分をその中に受け入れるように形成及び寸法決定されたドーム状ソケットを画定する末端側着座表面を有するヘッド部分を提供する。ロータ要素は、ロータ面と反対を向いた基部側向き接触表面を有し、該接触表面は、ボールベアリング部材の別の一部分をその中に枢動式に受け入れるように形成及び寸法決定されたドーム状ボールソケットを画定する。
【0017】
この構成において、コンプライアンスアセンブリは、更に、ヘッド部分の着座表面に隣接して配されたドライブリングを含む。ドライブリングは、ロータ要素をその中に軸方向に滑動式に受け入れるように形成及び寸法決定された中央通し通路を画定する内壁を含む。許容差は、ボールベアリング部材上における微小な枢動運動が許されるような大きさである。
【0018】
具体的な一実施形態において、コンプライアンスアセンブリは、更に、ロータ要素とドライブリングとを位置合わせして協働させるように構成された位置合わせ構造を含む。ロータ要素は、ロータ面と接触表面との間に伸びる実質円筒状の側壁を含む。側壁は、回転軸に実質平行に方向付けられるとともに側壁の中央部分から接触表面へ軸方向に伸びる2本又は3本以上の細長い受入スロットを画定する。位置合わせ構造は、ドライブリングの内壁から半径方向に内向きに伸びる2本又は3本以上の対応するガイドピンを含む。ガイドピンは、対応する受入スロットに滑動式に軸方向に受け入れられるようにサイズ決定及び寸法決定されている。
【0019】
本発明の別の一態様において、実質平坦なステータ面と、対応するステータポートにおいてステータ面と流体連通している少なくとも2本又は3本以上のステータチャネルとを画定する金属性のステータデバイスを有する回転せん断バルブアセンブリが提供される。実質平坦なロータ面を画定する金属性のロータ要素を有するロータデバイスも含まれる。バルブアセンブリは、更に、実質平坦なロータ面をステータデバイスの実質平坦なステータ面に対して実質平行に且つ実質同一平面に方向付けるようにロータ要素と協働するコンプライアンスアセンブリを含む。このようなコンプライアンスは、2つ又は3つ以上のロータ位置において、ロータ−ステータ界面におけるロータ面とステータ面との間の流体密で選択的な相対的回転を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明のアセンブリは、添付の図面を併せたときに、発明を実施するための最良の形態の以下の説明と添付の特許請求の範囲とから更に容易に明らかになるその他の目的及び有利な特性を有する。
【0021】
【図1】本発明にしたがって設計された金属性のロータ要素及び金属性のステータ要素の両方を取り入れたマイクロ流体バルブアセンブリの上面斜視図である。
【0022】
【図2】図1のマイクロ流体バルブアセンブリの底面斜視図である。
【0023】
【図3】図1のマイクロ流体バルブアセンブリの上面斜視図であり、ステータリング及びステータ要素を取り外した状態でロータ要素を示している。
【0024】
【図4】図1のマイクロ流体バルブアセンブリを、ステータリングを取り外した状態で示した側面斜視図である。
【0025】
【図5】図1のマイクロ流体バルブアセンブリのロータアセンブリ及びステータ要素を示した分解上面斜視図である。
【0026】
図5は、図1のマイクロ流体バルブアセンブリのロータアセンブリ及びステータ要素を示した分解上面斜視図である。
【0027】
【図6】図5のロータアセンブリの拡大上面斜視図である。
【0028】
【図7】本発明にしたがって構築されたコンプライアンスアセンブリを取り入れた図6のロータアセンブリの部分分解上面斜視図である。
【0029】
【図8】図1のマイクロ流体バルブアセンブリの縮小分解底面斜視図である。
【0030】
【図9】代替の一実施形態のコンプライアンスアセンブリを取り入れたロータアセンブリの上面斜視図である。
【0031】
【図10】図9のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの部分分解上面斜視図である。
【0032】
【図11】図9のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリをステータ要素とともに示した分解上面斜視図である。
【0033】
【図12】図10のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解底面斜視図である。
【0034】
【図13】図9のコンプライアンスアセンブリを取り入れた図1のマイクロ流体バルブアセンブリを断面で示した拡大部分側面図である。
【0035】
【図14】図13のコンプライアンスアセンブリを断面で示した側面図である。
【0036】
【図15】別の代替の一実施形態のコンプライアンスアセンブリを取り入れたロータアセンブリの上面斜視図である。
【0037】
【図16】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解上面斜視図である。
【0038】
【図17】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解底面斜視図である。
【0039】
【図18】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリを断面で示した側面図である。
【0040】
【図19】図15のコンプライアンスアセンブリを取り入れた図1のマイクロ流体バルブアセンブリを断面で示した側面図である。
【0041】
【図20】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの部分分解側面斜視図である。
【0042】
【図21】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解底面斜視図である。
【0043】
【図22】図15のコンプライアンスアセンブリの拡大分解底面斜視図である。
【0044】
【図23】図15のコンプライアンスアセンブリの拡大分解上面斜視図である。
【0045】
【図24】図15のコンプライアンスアセンブリの拡大上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、幾つかの具体的な実施形態を参照にして説明されるが、説明は、発明を例示したものであり、発明を限定するものと解釈されるべきでない。当業者ならば、添付の特許請求の範囲に定められた発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく好ましい実施形態に対して様々な変更を加えることができる。より良い理解のために、各種図面を通して類似の構成要素が類似の参照符号によって示されることに留意せよ。
【0047】
概して図1〜8を参照すると、実質的に金属製又はセラミック製で実質的に平坦なステータ面22を有するステータデバイス21を含む回転せん断バルブアセンブリ20が提供される。ステータデバイスは、対応するステータポート23においてステータ面と流体連通している少なくとも2本又は3本以上のステータチャネルを画定する。バルブアセンブリ20は、更に、実質的に金属製又はセラミック製で実質的に平坦なロータ面26を有するロータデバイス25を含む。本発明にしたがうと、ロータ面上及びステータ面上のうちの少なくとも一方にトライボロジコーティングが配される。したがって、ロータ−ステータ界面におけるロータ面とステータ面との間の選択的な相対的回転のために、ロータデバイス25が回転軸周りに回転式に装着されたときは、2つ又は3つ以上のロータ位置の間における相対的回転の最中に、2つの金属性の面の間に流体密シールが形成される。
【0048】
したがって、一部にはトライボロジコーティングのおかげで、高いライフサイクル上限(すなわち、少なくとも約75サイクル)も維持可能な高圧用途(すなわち、15Kpsi(およそ1.03×108Pa)から約25Kpsi(およそ1.72×108Pa))用のメタル・オン・メタルの流体密シールがロータ/ステータ界面に形成される。ロータ面上及び/又はステータ面上のうちの少なくとも一方に対するこのようなトライボロジコーティングは、ステータデバイスとロータデバイスとの間の必然的な高圧圧縮圧力下において流体密で且つ低摩擦の耐久性シールを形成可能にする。
【0049】
説明されるように、少なくともロータ面26及びステータ面22は、ともに、高圧縮力下における耐久性を高めるために比較的剛性の材料で構成される。その他の構成では、ロータデバイス25及びステータデバイス21の全体が、実質的に剛性の材料で構成される。
【0050】
好ましくは、ロータデバイス及びステータデバイスは、ともに、316ステンレス鋼、二相ステンレス鋼、チタン、合金鋼、又は工具鋼組成などの、金属組成で構成される。しかしながら、高いライフサイクル上限を伴う同様な高圧能力を生み出すことを見いだされたその他の適切な剛性材料も、ロータ面26上及び/又はステータ面22上のうちの少なくとも一方に適切なトライボロジコーティングが配される限り適用可能である。このような適切な材料群の1つは、例えば、アルミナ、SSIC、ジルコニアなどの、セラミックである。ただし、ロータ及びステータが金属材料又はセラミック材料のいずれで構成されるにせよ、その材料は、トライボロジ材料をコーティング可能でなければならないことがわかる。
【0051】
ステータ面及び/又はロータ面のうちの少なくとも一方のコーティングは、これらの高圧用途においてロータ/ステータ界面に流体密の低摩擦シールを形成するために必要であることを見いだされた。上述された所要の理由ゆえに、ロータ面及びステータ面は、実質的に剛性の材料組成を有するので、これらの剛性材料は、当然ながら、比較的非コンプライアブル(非柔軟性)である。
【0052】
ただし、このようなコーティングは、これらの高流体圧高圧縮力条件下における高いライフサイクルのために十分な構造的完全性も示さなければならない。対向する剛性表面界面間における加圧流体密シールの形成にとって適切で且つ効果的なコーティングの1つが、トライボロジコーティングである。これらのコーティングは、高い強度(強靭性)及び低い摩擦性を示すとともに、液体クロマトグラフィにおいて使用される大半の化学物質に対して耐性であることを見いだされている。
【0053】
この用途に特に適した具体的なトライボロジコーティングの1つは、バルザース・エリコン(Balzers Oerlikon)によって提供されるSTAR(登録商標)DLC及びBALINIT(登録商標)DLC、又はイオンボンド(Ionbond)によって提供されるaDLCなどの、ダイヤモンドライクコーティング(DLC)である。ただし、これらの特性を示すその他のトライボロジコーティングも適用可能である。
【0054】
本発明にしたがうと、ステータ面及びロータ面26は、そのうちの少なくとも一方が、又はそれらの両方が、トライボロジ材料でコーティングされる。具体的な一実施形態では、特定の条件下において、ステータボス27のステータ面22へのトライボロジコーティングの適用が、より強く且つより長持ちする流体密シールをロータ−ステータ界面に提供するのにとりわけ有利であることを見いだされた(図8)。例えば、高流体圧用途(すなわち、約18Kpsi(およそ1.24×108Pa)を超える)の場合は、流体密シールを維持するために、より高い軸圧縮力がロータ面26とステータ面22との間に必要である。バルブがセットされたときに(すなわち、圧力調整ナットが、或る減衰速度が達成されるまで調整されたとき。この速度は、通例、0.3μL/分である。流体圧は、ステータポート/ロータシール溝を通じてバルブに加えられる。バルブは、0.3μL/分の漏出速度において所要の圧力(この事例では15〜25Kpsi(およそ1.03×108〜1.72×108Pa))を保持したときに、「セット」される)、ばねアセンブリ30(調整ナット31及びばね座金32を含む(図8))によってシールに加えられる高圧は、ステータボス27の周縁部分によってコーティングシールの凹みを引き起こすことがある。したがって、もし、ロータ面26が(例えば、ロータ面単独で又はステータ面とともに)コーティングされる場合、これらの事例では、コーティングの亀裂、又はバルブの作動に伴った縁部分における剥離ゆえに、一貫性のない結果及び部品の損傷が観測されている。
【0055】
この凹みは、バルブの作動に伴って、凹み付近においてコーティングをロータシールから「剥がれさせる」又は剥離させると考えられる。このコーティングが除去されるのに伴って、残骸及び場合によっては未コーティングの金属が、残りのコーティングに傷跡を付け、ステータボス上のコーティングの完全性を低下させ、ステータ上のコーティングを損なうことが観測されている。ひとたびこの劣化が始まると、ロータ/ステータ界面における流体密シールは、圧力を保持することができなくなる。
【0056】
ステータ面のみがトライボロジコーティングをコーティングされるときは、これらの高圧用途下においてこの劣化は観測されない。更に、より低圧(3〜6Kpsi(およそ2.07×107〜4.14×107Pa))では、ステータシール及びロータシールがともにコーティング(DLC又はそれ以外)されて優れたシールを提供可能であると考えられる。なぜならば、ハード・オン・ハードバルブは、このような圧力において動作するからである。シールに加えられるこれらの圧力の低さゆえに、ロータシールが凹んでコーティングを損なう事態は生じにくい。
【0057】
次に、代表的なせん断バルブアセンブリ20を図解された図1〜5及び図8を参照する。簡単に言うと、図8に最も良く示されるように、せん断バルブアセンブリは、通例、ロータアセンブリ29を回転式にその中に配されるケースアセンブリ33(基本的に、バルブケースとステータリングとからなる)を含む。ロータアセンブリ29は、ドライブシャフト35と、ロータデバイス25をその上に着座させるように構成された末端側のヘッドアセンブリ36とを含む。力の集中と、ロータデバイスがヘッドアセンブリ36上において枢動する能力とを助長するために、ヘッドアセンブリは、その末端側表面38から僅かに直立している隆起した台又はパッド34を含む。この直立シャフトパッド34は、好ましくは円盤状であり、ロータデバイス25の接触表面40に直接接触して着座するように構成された実質的に平坦な着座表面39を有する。ただし、図5、図7、及び図8は、これらの表面の間に、以下で詳しく説明される薄いコンプライアント要素すなわちシム部材44を配された状態で示されていることがわかる。
【0058】
この直立パッド34の直径は、ロータデバイスの接触表面40の直径よりも小さいことが好ましい。しかしながら、この直径は、ロータデバイスの直径の約45%程度以上でもあることが好ましく、このような小さい直径は、ロータ面とステータ面とが完全に接触するようにロータデバイスが微小なぐらつきを生じることを可能にする。したがって、以下で更に詳しく説明されるように、ロータデバイス25の接触表面40と、直立シャフトパッド34の着座表面39とは、互いに実質的に同一平面で接触する必要はない。具体的な一実施形態では、直立パッドの直径は、約0.200インチ(およそ5.08mm)から約0.368インチ(およそ9.35mm)の範囲で、より好ましくは約0.230インチ(およそ5.84mm)であってよく、一方で、ロータデバイスの直径は、約0.600インチ(およそ15.2mm)から約0.625インチ(およそ15.9mm)の範囲であってよい。
【0059】
代表的な一構成では、戦略的に方向付けられた3本の合わせピン37が、ヘッドアセンブリ36の末端側表面38から遠位に伸びている(図5〜7)。これらの合わせピン37は、円盤状のロータデバイス25をドライブシャフト35に対して装着及び位置合わせする働きをするロータデバイス25内の対応する通し穴41に、滑動式に受け入れられる。更に、これらの合わせピン37は、トルク伝達と、それゆえの、回転軸を中心としたドライブシャフト35の回転に伴うロータデバイス25の回転とを可能にする。
【0060】
ステータデバイス21は、ステータボスのステータ面22をロータデバイス25のロータ面26に隣接及び接触するように位置決めするようにナット43を介してケースアセンブリ33の末端側部分42に装着される。ロータ−ステータ界面においてロータデバイス25とステータデバイス21との間に圧縮力を生じさせるために、ケースアセンブリ33とドライブシャフト35のヘッドアセンブリとの間にばねアセンブリ30が組み込まれる。簡単に言うと、ケースアセンブリ33の基部側部分に、圧力調整ナット31が螺合される。圧力調整ナットの末端がばねスタック(すなわち、スタック状のばね座金32の)を圧縮してヘッドアセンブリ36に押し付けるのに伴って、ロータデバイス25は、圧縮によってステータボス27へと駆り立てられる。近年は、バルブの再構築という大きな利点のある、圧力調整アセンブリを取り入れた更に新しい超高圧流体用途用のマイクロ流体バルブが開発されている。これらのアセンブリは、2010年6月14日に出願され、「REBUILDABLE MICRO-FLUIDIC VALVE ASSEMBLY(再構築可能なマイクロ流体バルブアセンブリ)」と題されたTower et al.への我々の米国特許出願第12/815,265号に開示されており、その全体が参照によって組み込まれる。
【0061】
次に、図3〜7を参照する。本発明にしたがうと、ステータデバイス21及びロータデバイス25は、ともに、金属製の材料で構成されて、メタル・オン・メタルのステータ−ロータ界面を形成している。もちろん、トライボロジコーティング(好ましくはDLC)が、真のメタル・オン・メタル接触を隔てて、より高圧の状況下において流体密シールを形成する働きをしている。上記のように、約15Kpsi(およそ1.03×108Pa)を超える用途の場合は、ステータ面22がコーティングされることが好ましく、一方で、約3Kpsi(およそ2.07×107Pa)から約6Kpsi(およそ4.14×107Pa)未満の範囲の用途の場合は、ステータ面22、ロータ面26、又はそれらの面の両方、のうちのいずれかをコーティングすることができる。
【0062】
このコーティングされたメタル・オン・メタル構成では、これらのせん断面バルブ部品の剛性及び硬さゆえに、ステータデバイス及びロータデバイスの実質的に平坦な面を互いに実質的に平行に方向付けることが大いに有益である。しかしながら、このような実質的に平行な方向付けは、実現可能である一方で、法外な費用がかかる恐れがあり、ゆえに、実用的でない。部品公差の積もり重なりによって、金属ロータ面26は、実質的に平坦なステータ面に対して平らにすなわち実質的に平行で且つ同一平面に密着しない恐れがある、又はステータは、最初の場所で完全に平坦にならない恐れがある。
【0063】
したがって、本発明の別の態様にしたがうと、ロータアセンブリ29は、実質的に平坦なロータ面26をステータ面22に対して実質的に平行に方向付けるためにそのロータ面26と協働するロータ面コンプライアンスアセンブリ45を取り入れている。コンプライアンスアセンブリ45は、例えば、ヘッドアセンブリ36とロータデバイス25(又は図9〜13の実施形態のロータ素子46などの、金属製若しくはセラミック製の、ロータデバイス25の少なくとも一部分)との間に配されて実質的に平坦なロータ面26をステータ面22に対して実質的に平行に方向付けることを可能にするように圧縮可能であるコンプライアント要素(例えば、図5〜8の実施形態のシム部材44、又は図9〜13の実施形態のサポートデバイス50)を含む。特定の一実施形態では、上記のように、コンプライアント要素は、隆起した台34の末端側着座表面39とロータアセンブリ29の接触表面40との間に配されたコンプライアントシム部材44によって提供される。したがって、ロータデバイス25に対するヘッドアセンブリ36の圧縮、及びそれゆえの、ステータ面に対するロータ面の圧縮の際に、実質的によりコンプライアント(柔軟)であるシム44は、ロータ面をステータ面に対してより同一平面で且つ平行に着座させる。上記のように、ロータデバイス25の接触表面40と直立シャフトパッド34の着座表面39との間における完全に同一平面での着座の必要性は、ロータ面とステータ面との間における同一平面で且つ密着した接触を保証するためにそれほど必要でない。
【0064】
シム部材44の直径は、好ましくは、ロータデバイス25の接触表面40の直径未満であるが、ただし、ヘッドアセンブリ36の末端側表面38から遠位に伸びる合わせピン37を受け入れて同ピン37と協働するように戦略的に位置合わせされた通し穴48を組み入れていなければならない(図5〜7)。ロータデバイス25と同様に、これらの合わせピン37は、シム44をヘッドアセンブリ36に対して装着、固定、及び位置合わせするために、シム44内の対応する通し穴48に滑動式に受け入れられる。
【0065】
図5、図7、及び図8に最も良く示されるように、シムは、多様な形状で構成可能である。例えば、シムは、従来の円形(図8)であってよい、又は効率的で且つ微小な三角形(図5及び図7)であってよい。
【0066】
シム44の材料組成は、ロータデバイスとステータデバイスとの間に加えられる大きな圧縮力に耐えるのに十分な構造的完全性を有することが望ましい。しかしながら、材料は、圧縮が作用される際に、ロータ面をステータ面に対して実質的に同一平面で着座させることを可能にするのに十分にコンプライアブル(柔軟)でもなければならない。例えば、圧縮弾性率κは、約250kpsi(およそ1.72×109Pa)から約300kpsi(およそ2.07×109Pa)の範囲であることが好ましい。特定の一実施形態では、シム44の材料組成は、約0.010インチ(およそ0.254mm)から約0.040インチ(およそ1.016mm)の範囲の厚さを有するポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)又はポリエルテル若しくはポリカーボネートで構成されてよい。
【0067】
図9〜12に示されるような、別の具体的な一実施形態のコンプライアンスアセンブリ45では、ロータデバイス25は、コンプライアントサポートデバイス50によって受け入れられて支持される金属製又はセラミック製の(挿入可能な)ロータ要素46を含む。この実施形態では、サポートデバイス50は、コンプライアント要素として機能し、したがって、挿入されたロータ要素46の裏側(すなわち、基部側の面)に対するコンプライアントな裏当てを提供する。図10〜12は、金属製のロータ要素46が、ロータ溝47を含むとともに実質的に平坦な末端側向きロータ面26を有する円盤状であると好ましいことを、最も良く示している。
【0068】
サポートデバイス50は、その大部分が、図5〜7の実施形態にあるような代表的なロータデバイス25と同様に成形されている。サポートデバイスの末端側の面は、しかしながら、受入ソケット51を画定し、該ソケットの周縁の内部側壁は、ロータ要素46の基部側の面54が受入ソケット51の末端側のソケット面55に接触してそれによって支持されるまでロータ要素46の外周のすなわち周縁の壁53をプレス嵌めによって受け入れるように形成及び寸法決定される。
【0069】
コンプライアントな裏当て材料を提供することによって、少なくとも軸方向において、サポートデバイス50の接触表面は、ロータデバイス25とステータ面22との間に圧縮力が印加される際に幾らかのコンプライアンス(変形)又は圧縮を有するはずである。このような圧縮コンプライアンスは、実質的に平坦なロータ面26が実質的に平坦なステータ面に対して実質的に平行な向きに僅かに位置を移すことを可能にする。要するに、コンプライアント材料は、金属ロータ要素の裏側との接触ゆえに「移動」又は圧縮し、ポリマがロータ面とステータボスのステータ面との間の任意のずれを吸収することを可能にする。ロータ面26は、すると、ステータボス面22に対して平らに且つ実質的に平行に密着及び合わさることができる。
【0070】
具体的な一実施形態では、サポートデバイス50は、好ましくは、約0.100インチ(およそ2.54mm)から約0.200インチ(およそ5.08mm)の厚さで、約4000kpsi(およそ2.76×1010Pa)から約5000kpsi(およそ3.45×1010Pa)の範囲の圧縮弾性率κを有し、高い引張強度及び圧縮強度を示すポリマ材料で構成される。これらその他の特性を示すこのようなコンプライアント材料は、微小なコンプライアンスを許容しつつ、軸方向におけるロータ要素46のロータ面26への高圧縮力の伝達を更に可能にする。図13及び図14に最も良く示されるように、ロータ要素の周縁において約1°又は約0.005インチ(およそ0.127mm)の程度のコンプライアンスが実現可能である。
【0071】
使用されるポリマ材料は、様々な用途に応じて可変である。用途が高圧用途だとみなされるなかで低い方の範囲(例えば3〜6Kpsi(およそ2.07×107〜4.14×107Pa))であるかどうかによって、PEEKTM又はナイロンなどの、より軟質の未充填ポリマが適用されてよい。反対に、より高圧の用途(例えば15〜25Kpsi(およそ1.03×108〜1.72×108Pa))の場合は、ポリマの引張強度及び圧縮強度を大幅に高めるカーボン充填ポリマ材料が必要とされるであろう。
【0072】
このような高強度ポリマサポート材料の1つは、PEEKTMとカーボンファイバとのエンジニアードブレンド(例えばカーボン20〜30%のPEEKTMブレンド)である。このポリマ材料は、カーボンを充填されており、必須とされる高い引張強度及び圧縮強度を生み出す。したがって、バルブを密着させるために必要とされるばね座金32の高圧ゆえに、このPEEKTMブレンドは、現時点において好ましい材料である。しかしながら、その他のポリマベースの材料、又はひいては更に高強度のエラストマが使用されてもよいことがわかる。
【0073】
次に、図10及び図11を見ると、円盤状のロータ要素46は、概してキー係合される。これは、ロータ面26をドライブシャフト35に対して位置合わせするのみならず、サポートデバイス50の回転の際におけるロータ要素へのトルク伝達を促す働きもする。機械加工を容易にするために、ロータ要素46は、「D字」型であり、雌の受入ソケット51は、平らな部分の隅にエンドミルの半径ぶんの逃げをつけた変形「D字」型である。これら2つのパーツは、アーバープレスを使用して組み立てられる。アーバープレスは、2つのパーツをプレス嵌め(0.002インチ(およそ0.0508mm)のプレス嵌め)して合体させる。もちろん、外周縁は、金属シールインサートがポリマ裏当てにプレス嵌めされることを可能にする任意の形状であってよいことがわかる。
【0074】
次に、図16〜24を参照すると、ロータアセンブリ29は、対向するロータ面とステータ面とがステータボス27上で互いに密着する及び同一平面で合わさることを可能にする向きにロータ面を「搖動」及び/又は「枢動」させることを可能にする代替の一実施形態のロータ面コンプライアンスアセンブリ45を取り入れている。
【0075】
この構成では、簡単に説明すると、(図16及び図20〜23の実施形態において提供されるのと同様な)円盤状で金属製のロータ要素60が、ボールベアリング61上に枢動式に着座され、該ボールベアリング61は、更に、ドライブシャフト35のヘッドアセンブリ36の末端上に着座される。したがって、ドライブシャフト35に圧縮力が加えられるのに伴って、その力は、ボールベアリング61を介してロータ要素60に伝達される。ロータ/ステータ界面において、隣り合う対向する接触間の圧力が増大されると、ロータ要素60は、ロータ面をステータ面に対して実質的に平行になるように再方向付け及び位置合わせすることを目指して微小な搖動又は枢動を生じる。
【0076】
枢動するロータ要素60の支持を容易にするために、ドライブリング62が提供される。該リングは、やはり、それが取って代わる従来のロータデバイスと同様に成形される。図16及び図17は、このドライブリングが軸方向に伸びる受入孔63を含んでおり、その受入孔63に挿入されるロータ要素60をその中で「浮遊」可能にすると同時に、該ロータ要素60を回転軸を中心とした回転のためにドライブリング62に対して回転式に固定するように軸方向に受け入れるように受入孔63が形成されていることを、最も良く示している。
【0077】
したがって、受入孔63を画定する内部側壁66の内径は、ロータ要素60の微小な枢動を許容するために、ロータ要素60の外周壁67の直径よりも僅かに大きい。明瞭さを期するために、例えば、シールインサートの内径と、ドライブリングの内径との間は、約0.020インチ(およそ0.508mm)(各側0.010インチ(およそ0.254mm))である。これは、シールインサートがドライブリング内において各側0.010インチ(およそ0.254mm)ぶん側方に行き来することを可能にする。
【0078】
ボールベアリング61上における着座を支持するために、ロータ要素60の基部側向き表面は、ボールベアリングの一部分を受け入れるように形成、サイズ決定、及び寸法決定されたドーム状のボールソケット68を含む。この構成は、ボールベアリングを中心とした且つドライブリング62に相対的な枢動を支持する役割も担っている。
【0079】
ドライブシャフト軸を中心としたドライブリング62の回転に伴って、軸方向に浮遊するロータ要素60にトルクを伝達するために、ドライブリング62の内部側壁66から半径方向に孔63の中へ複数のガイドピン70が伸びている。これらの半径方向のガイドピン70は、ロータ要素の外周壁67に沿って軸方向に伸びる対応する細長い受入スロット71に滑動式に軸方向に受け入れられるように形成される。したがって、ドライブリングの回転に伴って、ガイドピン70は、この回転運動をロータ要素に直接伝達する。
【0080】
精密で且つ正確な、ロータ要素の回転変位及び回転運動のためには、ガイドピン70の直径と、対応する受入スロットの幅との間の許容差は、したがって、比較的小さいことが望ましい。具体的な一実施形態では、例えば、ガイドピンの直径とスロットの幅との間の許容差は、およそ0.002インチ(およそ0.0508mm)(各側0.001インチ(およそ0.0254mm))である。例えば、もし、ガイドピンの直径が約0.029〜0.031インチ(およそ0.737〜0.787mm)であるように選択されたならば、ロータ要素内のガイドスロット71の幅は、約0.031〜0.033インチ(およそ0.787〜0.838mm)の範囲であるように選択されることが望ましい。このような比較的小さな許容差は、駆動シャフト軸を中心としたドライブリング62の回転を実質直ちにロータ要素60に直接伝達することを可能にする。したがって、ステータポート23に対するロータシール溝47の相対的位置を正確に決定することが可能である。
【0081】
半径方向に相隔てられたこれらのガイドスロット71は、しかしながら、ガイドピン70の半径方向の長さを僅かに上回る深さぶん、ロータ要素の外周壁67の中へ半径方向に伸びてもいる。この許容差は、上述された、駆動リングの受入孔63内におけるロータデバイスの(各側約0.010インチ(およそ0.254mm)程度の)微小な側方運動を可能にするために、ガイドピン70が、対応するガイドスロットに対して僅かに出入りすることを許容する。したがって、ロータ要素60は、ボールベアリングを中心とした微小な枢動又は転がりに伴って、ガイドピン70に沿って滑動もする。ガイドピン70の、対応する受入スロット71に軸方向に沿ったこの相対的な軸方向運動(及び非常に微小な相対的半径方向運動)は、受入孔内における側方への微小な運動と相まって、実質的に平坦なロータ面26が、ステータ面22に対して実質的に平行になるように僅かに再方向付けされることを可能にする。したがって、図18〜21の実施形態の、ポリマを裏当てされたサポートデバイス50と異なり、この枢動式の実施形態によるコンプライアンスは、ロータ面がステータボス27のステータ面22に対して実質的に平行に且つ同一平面になるように再方向付けされるまでボールベアリングを中心に「運動」及び「枢動」(すなわち転がる)するロータ要素シールインサートの能力によって提供される。
【0082】
これらのガイドピン70は、(図解されているような)ねじを有していても良く、又は、ドライブリング62の形成の際に成形若しくは圧延してもよい。更に、図では、受入孔63の内部側壁66において半径方向に相隔てられた5本のガイドピン70が示されているが、コンプライアンスアセンブリ45は、(コンプライアンスがより限られるが)1本のガイドピン及びそれに対応するスロットのみでも機能することができる。しかしながら、より高いコンプライアンスを与えるためには、最低でも3本の、半径方向に相隔てられたガイドピン及びそれに対応するガイドスロットが望ましいとされる。
【0083】
ヘッドアセンブリ36の末端側の面によって、やはり同様にボールベアリング61に接触して着座するように形成された対向するドーム状ソケット72も画定される。好ましくは、この対向するドーム状ソケット72は、ドライブシャフト35の末端における対応する通路75にプレス嵌めされる挿入可能な合わせピン73によって提供される。
【0084】
次に、図18及び図19を参照すると、ばねアセンブリ30を介した圧縮力がドライブシャフト35をステータデバイス21に向かって軸方向に駆り立てるのに伴って、合わせピン73は、ボールベアリング61を圧縮する。すると、ボールベアリング61は、この軸方向の圧縮力をロータ要素60に伝達し、ロータ−ステータ界面において流体密シールを形成する。
【0085】
ボールベアリングに加えられる高い圧縮力に適応するためには、ボールベアリングの直径は、ロータ要素60の直径の少なくとも2分の1(好ましくは3分の2)であることが望ましいことがわかる。これは、より小さい直径のボールベアリングの場合の、より集中した力分布と比べて、ロータ要素のドーム状ソケット68において、より広く圧縮力が分布されることを保証する。
【0086】
本発明は、主に、高いライフサイクル上限を要する高圧用途用のせん断面バルブ(例えばHPLC機器プラットフォーム/設計)に適用するものとして説明されているが、本技術は、全てのせん断バルブプラットフォーム/設計(AI(分析化学)及びIVD(生体外診断))に適用可能であることがわかる。
【0087】
更に、本発明は、発明を実施する好ましい形態及びその変更に関連して説明されているが、当業者ならば、以下の特許請求の範囲内においてその他の多くの変更が可能であることを理解している。したがって、発明の範囲は、いかなる形であれ上記の説明によって限定されることを意図されず、むしろ、専ら以下の特許請求の範囲を参照することによって決定される。
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、2009年7月13日に出願された同時係属米国仮特許出願第61/225,1434号、2010年2月4日に出願された同時係属米国仮特許出願第61/301,516号、及び2010年4月27日に出願された同時係属米国仮特許出願第61/328,594号の優先権を主張する。これらの出願は、いずれも、Towerを発明者として「ROTARY SHEAR VALVE ASSEMBLY WITH HARD-ON-HARD SEAL SURFACES(ハード・オン・ハードのシール表面を伴う回転せん断バルブアセンブリ)」と題され、いずれも、参照によって本明細書に全体を組み込まれる。
【0002】
本発明は、回転せん断バルブに関するものであり、特に、ハード・オン・ハードの(硬質材料と硬質材料とが接する)シール表面を取り入れたせん断バルブに関するものである。
【背景技術】
【0003】
現在の高圧液体クロマトグラフィせん断バルブは、金属性の要素と、ロータ/ステータ界面に流体密シールを形成するポリマ材料で構成されたロータデバイスとを用いるのが通例である。この組み合わせは、成果があるとわかっている一方で、圧力定格及びバルブ寿命において限界がある。例えば、15Kpsi(およそ1.03×108Pa)を超える高圧及び約10Kサイクルを超える寿命を要する用途は、たとえこの組み合わせを使用しても、始終達成して持続させることはできない。
【0004】
したがって、約15Kpsi(およそ1.03×108Pa)を超える圧力を保持可能であるとともに50Kサイクルを超えるバルブ寿命を期待できるせん断面バルブを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、実質平坦なステータ面と、対応するステータポートにおいてステータ面と流体連通している少なくとも2本又は3本以上のステータチャネルとを画定するステータデバイスを含む回転せん断バルブアセンブリを提供する。ステータ面は、実質金属性又はセラミックの材料で構成される。バルブアセンブリは、また、1本又は2本以上のロータチャネルを画定する実質平坦なロータ面を含むロータデバイスも含む。ロータ面も、同様に、実質金属性又はセラミックの材料で構成される。本発明にしたがうと、バルブアセンブリは、ロータ面上及びステータ面上のうちの少なくとも一方に配されたトライボロジ(潤滑)コーティングを含む。ロータデバイスは、2つ又は3つ以上のロータ位置の間における、ロータ−ステータ界面におけるロータ面とステータ面との間の流体密で且つ選択的な相対的回転を可能にするように、回転軸周りに回転式に装着される。
【0006】
したがって、トライボロジコーティングの適用を通じて、高流体圧用途(すなわち、15Kpsi(およそ1.03×108Pa)から約25Kpsi(およそ1.72×108Pa))用のメタル・オン・メタル(金属と金属とが接する)ステータデバイス/ロータデバイスを実現することができる。ゆえに、ロータ/ステータ界面に流体密シールを維持可能であるのみならず、バルブは、高いライフサイクル上限(すなわち、少なくとも約75Kサイクル)も維持可能である。そのうえ、このようなトライボロジコーティングは、更に、これら2つの対向接触面の間の摩擦を軽減する働きもする。
【0007】
本発明の一態様において、トライボロジコーティングは、ダイヤモンド・ライク・コーティング(DLC)によって提供される。
【0008】
別の具体的な一構成において、トライボロジコーティングは、ステータ面上に配される。
【0009】
更に別の具体的な一実施形態において、ロータ面及びステータ面は、鋼又はチタンなどの金属性の材料で構成される。
【0010】
本発明の別の一態様において、ロータデバイスは、実質平坦なロータ面を包含する金属性のロータ要素を含む。バルブアセンブリは、更に、実質平坦なロータ面をステータデバイスの実質平坦なステータ面に対して実質平行に且つ実質同一平面に方向付けるようにロータデバイスと協働するコンプライアンスアセンブリを含む。
【0011】
具体的な一実施形態において、ロータデバイスは、ロータ面と反対を向いた基部側向き接触表面を画定し、コンプライアンスアセンブリは、ロータデバイスのこの接触表面に対して支持的に接合接触するコンプライアント要素を含む。
【0012】
別の具体的な一構成は、バルブアセンブリの回転軸を中心として回転するように構成されたバルブシャフトと、該バルブシャフトの末端に配されたヘッド部分とを含むロータアセンブリを提供する。ヘッド部分は、その末端側着座表面を画定する。コンプライアント要素は、接触表面と反対を向いた基部側向き表面を画定する。コンプライアント要素は、ロータデバイスの接触表面及びヘッド部分の末端側着座表面に接合接触するように、それらの表面の間に配される。
【0013】
更に別の具体的な一実施形態において、コンプライアント要素は、着座表面によって底部を画定される受入ソケットを画定する。受入ソケットは、ロータデバイスのロータ要素と位置合わせされて、ロータ要素を滑動式に軸方向に受け入れるように形成及び寸法決定される。受入ソケットは、更に、ロータ要素の外周壁をプレス嵌めによって受け入れるとともに該外周壁に接触するように形成及び寸法決定された内部側壁によっても画定される。
【0014】
更に別の一実施形態において、内部側壁とロータ外周壁は、それらがキー係合によって位置合わせされるように協働する。より具体的には、内部側壁及びロータ外周壁は、D字型である。
【0015】
更に別の具体的な一構成は、バルブアセンブリの回転軸を中心として回転するように構成されたバルブシャフトと、該バルブシャフトの末端に配されたヘッド部分とを含むロータアセンブリを提供する。コンプライアンスアセンブリは、ロータアセンブリのヘッド部分とロータ要素との間に配されたボールベアリング部材を含み、ボールベアリング部材を中心としたロータ面の微小で且つコンプライアントな枢動運動を可能にする。
【0016】
更に別の一実施形態は、ボールベアリング部材の一部分をその中に受け入れるように形成及び寸法決定されたドーム状ソケットを画定する末端側着座表面を有するヘッド部分を提供する。ロータ要素は、ロータ面と反対を向いた基部側向き接触表面を有し、該接触表面は、ボールベアリング部材の別の一部分をその中に枢動式に受け入れるように形成及び寸法決定されたドーム状ボールソケットを画定する。
【0017】
この構成において、コンプライアンスアセンブリは、更に、ヘッド部分の着座表面に隣接して配されたドライブリングを含む。ドライブリングは、ロータ要素をその中に軸方向に滑動式に受け入れるように形成及び寸法決定された中央通し通路を画定する内壁を含む。許容差は、ボールベアリング部材上における微小な枢動運動が許されるような大きさである。
【0018】
具体的な一実施形態において、コンプライアンスアセンブリは、更に、ロータ要素とドライブリングとを位置合わせして協働させるように構成された位置合わせ構造を含む。ロータ要素は、ロータ面と接触表面との間に伸びる実質円筒状の側壁を含む。側壁は、回転軸に実質平行に方向付けられるとともに側壁の中央部分から接触表面へ軸方向に伸びる2本又は3本以上の細長い受入スロットを画定する。位置合わせ構造は、ドライブリングの内壁から半径方向に内向きに伸びる2本又は3本以上の対応するガイドピンを含む。ガイドピンは、対応する受入スロットに滑動式に軸方向に受け入れられるようにサイズ決定及び寸法決定されている。
【0019】
本発明の別の一態様において、実質平坦なステータ面と、対応するステータポートにおいてステータ面と流体連通している少なくとも2本又は3本以上のステータチャネルとを画定する金属性のステータデバイスを有する回転せん断バルブアセンブリが提供される。実質平坦なロータ面を画定する金属性のロータ要素を有するロータデバイスも含まれる。バルブアセンブリは、更に、実質平坦なロータ面をステータデバイスの実質平坦なステータ面に対して実質平行に且つ実質同一平面に方向付けるようにロータ要素と協働するコンプライアンスアセンブリを含む。このようなコンプライアンスは、2つ又は3つ以上のロータ位置において、ロータ−ステータ界面におけるロータ面とステータ面との間の流体密で選択的な相対的回転を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明のアセンブリは、添付の図面を併せたときに、発明を実施するための最良の形態の以下の説明と添付の特許請求の範囲とから更に容易に明らかになるその他の目的及び有利な特性を有する。
【0021】
【図1】本発明にしたがって設計された金属性のロータ要素及び金属性のステータ要素の両方を取り入れたマイクロ流体バルブアセンブリの上面斜視図である。
【0022】
【図2】図1のマイクロ流体バルブアセンブリの底面斜視図である。
【0023】
【図3】図1のマイクロ流体バルブアセンブリの上面斜視図であり、ステータリング及びステータ要素を取り外した状態でロータ要素を示している。
【0024】
【図4】図1のマイクロ流体バルブアセンブリを、ステータリングを取り外した状態で示した側面斜視図である。
【0025】
【図5】図1のマイクロ流体バルブアセンブリのロータアセンブリ及びステータ要素を示した分解上面斜視図である。
【0026】
図5は、図1のマイクロ流体バルブアセンブリのロータアセンブリ及びステータ要素を示した分解上面斜視図である。
【0027】
【図6】図5のロータアセンブリの拡大上面斜視図である。
【0028】
【図7】本発明にしたがって構築されたコンプライアンスアセンブリを取り入れた図6のロータアセンブリの部分分解上面斜視図である。
【0029】
【図8】図1のマイクロ流体バルブアセンブリの縮小分解底面斜視図である。
【0030】
【図9】代替の一実施形態のコンプライアンスアセンブリを取り入れたロータアセンブリの上面斜視図である。
【0031】
【図10】図9のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの部分分解上面斜視図である。
【0032】
【図11】図9のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリをステータ要素とともに示した分解上面斜視図である。
【0033】
【図12】図10のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解底面斜視図である。
【0034】
【図13】図9のコンプライアンスアセンブリを取り入れた図1のマイクロ流体バルブアセンブリを断面で示した拡大部分側面図である。
【0035】
【図14】図13のコンプライアンスアセンブリを断面で示した側面図である。
【0036】
【図15】別の代替の一実施形態のコンプライアンスアセンブリを取り入れたロータアセンブリの上面斜視図である。
【0037】
【図16】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解上面斜視図である。
【0038】
【図17】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解底面斜視図である。
【0039】
【図18】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリを断面で示した側面図である。
【0040】
【図19】図15のコンプライアンスアセンブリを取り入れた図1のマイクロ流体バルブアセンブリを断面で示した側面図である。
【0041】
【図20】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの部分分解側面斜視図である。
【0042】
【図21】図15のロータアセンブリ及びコンプライアンスアセンブリの分解底面斜視図である。
【0043】
【図22】図15のコンプライアンスアセンブリの拡大分解底面斜視図である。
【0044】
【図23】図15のコンプライアンスアセンブリの拡大分解上面斜視図である。
【0045】
【図24】図15のコンプライアンスアセンブリの拡大上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、幾つかの具体的な実施形態を参照にして説明されるが、説明は、発明を例示したものであり、発明を限定するものと解釈されるべきでない。当業者ならば、添付の特許請求の範囲に定められた発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく好ましい実施形態に対して様々な変更を加えることができる。より良い理解のために、各種図面を通して類似の構成要素が類似の参照符号によって示されることに留意せよ。
【0047】
概して図1〜8を参照すると、実質的に金属製又はセラミック製で実質的に平坦なステータ面22を有するステータデバイス21を含む回転せん断バルブアセンブリ20が提供される。ステータデバイスは、対応するステータポート23においてステータ面と流体連通している少なくとも2本又は3本以上のステータチャネルを画定する。バルブアセンブリ20は、更に、実質的に金属製又はセラミック製で実質的に平坦なロータ面26を有するロータデバイス25を含む。本発明にしたがうと、ロータ面上及びステータ面上のうちの少なくとも一方にトライボロジコーティングが配される。したがって、ロータ−ステータ界面におけるロータ面とステータ面との間の選択的な相対的回転のために、ロータデバイス25が回転軸周りに回転式に装着されたときは、2つ又は3つ以上のロータ位置の間における相対的回転の最中に、2つの金属性の面の間に流体密シールが形成される。
【0048】
したがって、一部にはトライボロジコーティングのおかげで、高いライフサイクル上限(すなわち、少なくとも約75サイクル)も維持可能な高圧用途(すなわち、15Kpsi(およそ1.03×108Pa)から約25Kpsi(およそ1.72×108Pa))用のメタル・オン・メタルの流体密シールがロータ/ステータ界面に形成される。ロータ面上及び/又はステータ面上のうちの少なくとも一方に対するこのようなトライボロジコーティングは、ステータデバイスとロータデバイスとの間の必然的な高圧圧縮圧力下において流体密で且つ低摩擦の耐久性シールを形成可能にする。
【0049】
説明されるように、少なくともロータ面26及びステータ面22は、ともに、高圧縮力下における耐久性を高めるために比較的剛性の材料で構成される。その他の構成では、ロータデバイス25及びステータデバイス21の全体が、実質的に剛性の材料で構成される。
【0050】
好ましくは、ロータデバイス及びステータデバイスは、ともに、316ステンレス鋼、二相ステンレス鋼、チタン、合金鋼、又は工具鋼組成などの、金属組成で構成される。しかしながら、高いライフサイクル上限を伴う同様な高圧能力を生み出すことを見いだされたその他の適切な剛性材料も、ロータ面26上及び/又はステータ面22上のうちの少なくとも一方に適切なトライボロジコーティングが配される限り適用可能である。このような適切な材料群の1つは、例えば、アルミナ、SSIC、ジルコニアなどの、セラミックである。ただし、ロータ及びステータが金属材料又はセラミック材料のいずれで構成されるにせよ、その材料は、トライボロジ材料をコーティング可能でなければならないことがわかる。
【0051】
ステータ面及び/又はロータ面のうちの少なくとも一方のコーティングは、これらの高圧用途においてロータ/ステータ界面に流体密の低摩擦シールを形成するために必要であることを見いだされた。上述された所要の理由ゆえに、ロータ面及びステータ面は、実質的に剛性の材料組成を有するので、これらの剛性材料は、当然ながら、比較的非コンプライアブル(非柔軟性)である。
【0052】
ただし、このようなコーティングは、これらの高流体圧高圧縮力条件下における高いライフサイクルのために十分な構造的完全性も示さなければならない。対向する剛性表面界面間における加圧流体密シールの形成にとって適切で且つ効果的なコーティングの1つが、トライボロジコーティングである。これらのコーティングは、高い強度(強靭性)及び低い摩擦性を示すとともに、液体クロマトグラフィにおいて使用される大半の化学物質に対して耐性であることを見いだされている。
【0053】
この用途に特に適した具体的なトライボロジコーティングの1つは、バルザース・エリコン(Balzers Oerlikon)によって提供されるSTAR(登録商標)DLC及びBALINIT(登録商標)DLC、又はイオンボンド(Ionbond)によって提供されるaDLCなどの、ダイヤモンドライクコーティング(DLC)である。ただし、これらの特性を示すその他のトライボロジコーティングも適用可能である。
【0054】
本発明にしたがうと、ステータ面及びロータ面26は、そのうちの少なくとも一方が、又はそれらの両方が、トライボロジ材料でコーティングされる。具体的な一実施形態では、特定の条件下において、ステータボス27のステータ面22へのトライボロジコーティングの適用が、より強く且つより長持ちする流体密シールをロータ−ステータ界面に提供するのにとりわけ有利であることを見いだされた(図8)。例えば、高流体圧用途(すなわち、約18Kpsi(およそ1.24×108Pa)を超える)の場合は、流体密シールを維持するために、より高い軸圧縮力がロータ面26とステータ面22との間に必要である。バルブがセットされたときに(すなわち、圧力調整ナットが、或る減衰速度が達成されるまで調整されたとき。この速度は、通例、0.3μL/分である。流体圧は、ステータポート/ロータシール溝を通じてバルブに加えられる。バルブは、0.3μL/分の漏出速度において所要の圧力(この事例では15〜25Kpsi(およそ1.03×108〜1.72×108Pa))を保持したときに、「セット」される)、ばねアセンブリ30(調整ナット31及びばね座金32を含む(図8))によってシールに加えられる高圧は、ステータボス27の周縁部分によってコーティングシールの凹みを引き起こすことがある。したがって、もし、ロータ面26が(例えば、ロータ面単独で又はステータ面とともに)コーティングされる場合、これらの事例では、コーティングの亀裂、又はバルブの作動に伴った縁部分における剥離ゆえに、一貫性のない結果及び部品の損傷が観測されている。
【0055】
この凹みは、バルブの作動に伴って、凹み付近においてコーティングをロータシールから「剥がれさせる」又は剥離させると考えられる。このコーティングが除去されるのに伴って、残骸及び場合によっては未コーティングの金属が、残りのコーティングに傷跡を付け、ステータボス上のコーティングの完全性を低下させ、ステータ上のコーティングを損なうことが観測されている。ひとたびこの劣化が始まると、ロータ/ステータ界面における流体密シールは、圧力を保持することができなくなる。
【0056】
ステータ面のみがトライボロジコーティングをコーティングされるときは、これらの高圧用途下においてこの劣化は観測されない。更に、より低圧(3〜6Kpsi(およそ2.07×107〜4.14×107Pa))では、ステータシール及びロータシールがともにコーティング(DLC又はそれ以外)されて優れたシールを提供可能であると考えられる。なぜならば、ハード・オン・ハードバルブは、このような圧力において動作するからである。シールに加えられるこれらの圧力の低さゆえに、ロータシールが凹んでコーティングを損なう事態は生じにくい。
【0057】
次に、代表的なせん断バルブアセンブリ20を図解された図1〜5及び図8を参照する。簡単に言うと、図8に最も良く示されるように、せん断バルブアセンブリは、通例、ロータアセンブリ29を回転式にその中に配されるケースアセンブリ33(基本的に、バルブケースとステータリングとからなる)を含む。ロータアセンブリ29は、ドライブシャフト35と、ロータデバイス25をその上に着座させるように構成された末端側のヘッドアセンブリ36とを含む。力の集中と、ロータデバイスがヘッドアセンブリ36上において枢動する能力とを助長するために、ヘッドアセンブリは、その末端側表面38から僅かに直立している隆起した台又はパッド34を含む。この直立シャフトパッド34は、好ましくは円盤状であり、ロータデバイス25の接触表面40に直接接触して着座するように構成された実質的に平坦な着座表面39を有する。ただし、図5、図7、及び図8は、これらの表面の間に、以下で詳しく説明される薄いコンプライアント要素すなわちシム部材44を配された状態で示されていることがわかる。
【0058】
この直立パッド34の直径は、ロータデバイスの接触表面40の直径よりも小さいことが好ましい。しかしながら、この直径は、ロータデバイスの直径の約45%程度以上でもあることが好ましく、このような小さい直径は、ロータ面とステータ面とが完全に接触するようにロータデバイスが微小なぐらつきを生じることを可能にする。したがって、以下で更に詳しく説明されるように、ロータデバイス25の接触表面40と、直立シャフトパッド34の着座表面39とは、互いに実質的に同一平面で接触する必要はない。具体的な一実施形態では、直立パッドの直径は、約0.200インチ(およそ5.08mm)から約0.368インチ(およそ9.35mm)の範囲で、より好ましくは約0.230インチ(およそ5.84mm)であってよく、一方で、ロータデバイスの直径は、約0.600インチ(およそ15.2mm)から約0.625インチ(およそ15.9mm)の範囲であってよい。
【0059】
代表的な一構成では、戦略的に方向付けられた3本の合わせピン37が、ヘッドアセンブリ36の末端側表面38から遠位に伸びている(図5〜7)。これらの合わせピン37は、円盤状のロータデバイス25をドライブシャフト35に対して装着及び位置合わせする働きをするロータデバイス25内の対応する通し穴41に、滑動式に受け入れられる。更に、これらの合わせピン37は、トルク伝達と、それゆえの、回転軸を中心としたドライブシャフト35の回転に伴うロータデバイス25の回転とを可能にする。
【0060】
ステータデバイス21は、ステータボスのステータ面22をロータデバイス25のロータ面26に隣接及び接触するように位置決めするようにナット43を介してケースアセンブリ33の末端側部分42に装着される。ロータ−ステータ界面においてロータデバイス25とステータデバイス21との間に圧縮力を生じさせるために、ケースアセンブリ33とドライブシャフト35のヘッドアセンブリとの間にばねアセンブリ30が組み込まれる。簡単に言うと、ケースアセンブリ33の基部側部分に、圧力調整ナット31が螺合される。圧力調整ナットの末端がばねスタック(すなわち、スタック状のばね座金32の)を圧縮してヘッドアセンブリ36に押し付けるのに伴って、ロータデバイス25は、圧縮によってステータボス27へと駆り立てられる。近年は、バルブの再構築という大きな利点のある、圧力調整アセンブリを取り入れた更に新しい超高圧流体用途用のマイクロ流体バルブが開発されている。これらのアセンブリは、2010年6月14日に出願され、「REBUILDABLE MICRO-FLUIDIC VALVE ASSEMBLY(再構築可能なマイクロ流体バルブアセンブリ)」と題されたTower et al.への我々の米国特許出願第12/815,265号に開示されており、その全体が参照によって組み込まれる。
【0061】
次に、図3〜7を参照する。本発明にしたがうと、ステータデバイス21及びロータデバイス25は、ともに、金属製の材料で構成されて、メタル・オン・メタルのステータ−ロータ界面を形成している。もちろん、トライボロジコーティング(好ましくはDLC)が、真のメタル・オン・メタル接触を隔てて、より高圧の状況下において流体密シールを形成する働きをしている。上記のように、約15Kpsi(およそ1.03×108Pa)を超える用途の場合は、ステータ面22がコーティングされることが好ましく、一方で、約3Kpsi(およそ2.07×107Pa)から約6Kpsi(およそ4.14×107Pa)未満の範囲の用途の場合は、ステータ面22、ロータ面26、又はそれらの面の両方、のうちのいずれかをコーティングすることができる。
【0062】
このコーティングされたメタル・オン・メタル構成では、これらのせん断面バルブ部品の剛性及び硬さゆえに、ステータデバイス及びロータデバイスの実質的に平坦な面を互いに実質的に平行に方向付けることが大いに有益である。しかしながら、このような実質的に平行な方向付けは、実現可能である一方で、法外な費用がかかる恐れがあり、ゆえに、実用的でない。部品公差の積もり重なりによって、金属ロータ面26は、実質的に平坦なステータ面に対して平らにすなわち実質的に平行で且つ同一平面に密着しない恐れがある、又はステータは、最初の場所で完全に平坦にならない恐れがある。
【0063】
したがって、本発明の別の態様にしたがうと、ロータアセンブリ29は、実質的に平坦なロータ面26をステータ面22に対して実質的に平行に方向付けるためにそのロータ面26と協働するロータ面コンプライアンスアセンブリ45を取り入れている。コンプライアンスアセンブリ45は、例えば、ヘッドアセンブリ36とロータデバイス25(又は図9〜13の実施形態のロータ素子46などの、金属製若しくはセラミック製の、ロータデバイス25の少なくとも一部分)との間に配されて実質的に平坦なロータ面26をステータ面22に対して実質的に平行に方向付けることを可能にするように圧縮可能であるコンプライアント要素(例えば、図5〜8の実施形態のシム部材44、又は図9〜13の実施形態のサポートデバイス50)を含む。特定の一実施形態では、上記のように、コンプライアント要素は、隆起した台34の末端側着座表面39とロータアセンブリ29の接触表面40との間に配されたコンプライアントシム部材44によって提供される。したがって、ロータデバイス25に対するヘッドアセンブリ36の圧縮、及びそれゆえの、ステータ面に対するロータ面の圧縮の際に、実質的によりコンプライアント(柔軟)であるシム44は、ロータ面をステータ面に対してより同一平面で且つ平行に着座させる。上記のように、ロータデバイス25の接触表面40と直立シャフトパッド34の着座表面39との間における完全に同一平面での着座の必要性は、ロータ面とステータ面との間における同一平面で且つ密着した接触を保証するためにそれほど必要でない。
【0064】
シム部材44の直径は、好ましくは、ロータデバイス25の接触表面40の直径未満であるが、ただし、ヘッドアセンブリ36の末端側表面38から遠位に伸びる合わせピン37を受け入れて同ピン37と協働するように戦略的に位置合わせされた通し穴48を組み入れていなければならない(図5〜7)。ロータデバイス25と同様に、これらの合わせピン37は、シム44をヘッドアセンブリ36に対して装着、固定、及び位置合わせするために、シム44内の対応する通し穴48に滑動式に受け入れられる。
【0065】
図5、図7、及び図8に最も良く示されるように、シムは、多様な形状で構成可能である。例えば、シムは、従来の円形(図8)であってよい、又は効率的で且つ微小な三角形(図5及び図7)であってよい。
【0066】
シム44の材料組成は、ロータデバイスとステータデバイスとの間に加えられる大きな圧縮力に耐えるのに十分な構造的完全性を有することが望ましい。しかしながら、材料は、圧縮が作用される際に、ロータ面をステータ面に対して実質的に同一平面で着座させることを可能にするのに十分にコンプライアブル(柔軟)でもなければならない。例えば、圧縮弾性率κは、約250kpsi(およそ1.72×109Pa)から約300kpsi(およそ2.07×109Pa)の範囲であることが好ましい。特定の一実施形態では、シム44の材料組成は、約0.010インチ(およそ0.254mm)から約0.040インチ(およそ1.016mm)の範囲の厚さを有するポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)又はポリエルテル若しくはポリカーボネートで構成されてよい。
【0067】
図9〜12に示されるような、別の具体的な一実施形態のコンプライアンスアセンブリ45では、ロータデバイス25は、コンプライアントサポートデバイス50によって受け入れられて支持される金属製又はセラミック製の(挿入可能な)ロータ要素46を含む。この実施形態では、サポートデバイス50は、コンプライアント要素として機能し、したがって、挿入されたロータ要素46の裏側(すなわち、基部側の面)に対するコンプライアントな裏当てを提供する。図10〜12は、金属製のロータ要素46が、ロータ溝47を含むとともに実質的に平坦な末端側向きロータ面26を有する円盤状であると好ましいことを、最も良く示している。
【0068】
サポートデバイス50は、その大部分が、図5〜7の実施形態にあるような代表的なロータデバイス25と同様に成形されている。サポートデバイスの末端側の面は、しかしながら、受入ソケット51を画定し、該ソケットの周縁の内部側壁は、ロータ要素46の基部側の面54が受入ソケット51の末端側のソケット面55に接触してそれによって支持されるまでロータ要素46の外周のすなわち周縁の壁53をプレス嵌めによって受け入れるように形成及び寸法決定される。
【0069】
コンプライアントな裏当て材料を提供することによって、少なくとも軸方向において、サポートデバイス50の接触表面は、ロータデバイス25とステータ面22との間に圧縮力が印加される際に幾らかのコンプライアンス(変形)又は圧縮を有するはずである。このような圧縮コンプライアンスは、実質的に平坦なロータ面26が実質的に平坦なステータ面に対して実質的に平行な向きに僅かに位置を移すことを可能にする。要するに、コンプライアント材料は、金属ロータ要素の裏側との接触ゆえに「移動」又は圧縮し、ポリマがロータ面とステータボスのステータ面との間の任意のずれを吸収することを可能にする。ロータ面26は、すると、ステータボス面22に対して平らに且つ実質的に平行に密着及び合わさることができる。
【0070】
具体的な一実施形態では、サポートデバイス50は、好ましくは、約0.100インチ(およそ2.54mm)から約0.200インチ(およそ5.08mm)の厚さで、約4000kpsi(およそ2.76×1010Pa)から約5000kpsi(およそ3.45×1010Pa)の範囲の圧縮弾性率κを有し、高い引張強度及び圧縮強度を示すポリマ材料で構成される。これらその他の特性を示すこのようなコンプライアント材料は、微小なコンプライアンスを許容しつつ、軸方向におけるロータ要素46のロータ面26への高圧縮力の伝達を更に可能にする。図13及び図14に最も良く示されるように、ロータ要素の周縁において約1°又は約0.005インチ(およそ0.127mm)の程度のコンプライアンスが実現可能である。
【0071】
使用されるポリマ材料は、様々な用途に応じて可変である。用途が高圧用途だとみなされるなかで低い方の範囲(例えば3〜6Kpsi(およそ2.07×107〜4.14×107Pa))であるかどうかによって、PEEKTM又はナイロンなどの、より軟質の未充填ポリマが適用されてよい。反対に、より高圧の用途(例えば15〜25Kpsi(およそ1.03×108〜1.72×108Pa))の場合は、ポリマの引張強度及び圧縮強度を大幅に高めるカーボン充填ポリマ材料が必要とされるであろう。
【0072】
このような高強度ポリマサポート材料の1つは、PEEKTMとカーボンファイバとのエンジニアードブレンド(例えばカーボン20〜30%のPEEKTMブレンド)である。このポリマ材料は、カーボンを充填されており、必須とされる高い引張強度及び圧縮強度を生み出す。したがって、バルブを密着させるために必要とされるばね座金32の高圧ゆえに、このPEEKTMブレンドは、現時点において好ましい材料である。しかしながら、その他のポリマベースの材料、又はひいては更に高強度のエラストマが使用されてもよいことがわかる。
【0073】
次に、図10及び図11を見ると、円盤状のロータ要素46は、概してキー係合される。これは、ロータ面26をドライブシャフト35に対して位置合わせするのみならず、サポートデバイス50の回転の際におけるロータ要素へのトルク伝達を促す働きもする。機械加工を容易にするために、ロータ要素46は、「D字」型であり、雌の受入ソケット51は、平らな部分の隅にエンドミルの半径ぶんの逃げをつけた変形「D字」型である。これら2つのパーツは、アーバープレスを使用して組み立てられる。アーバープレスは、2つのパーツをプレス嵌め(0.002インチ(およそ0.0508mm)のプレス嵌め)して合体させる。もちろん、外周縁は、金属シールインサートがポリマ裏当てにプレス嵌めされることを可能にする任意の形状であってよいことがわかる。
【0074】
次に、図16〜24を参照すると、ロータアセンブリ29は、対向するロータ面とステータ面とがステータボス27上で互いに密着する及び同一平面で合わさることを可能にする向きにロータ面を「搖動」及び/又は「枢動」させることを可能にする代替の一実施形態のロータ面コンプライアンスアセンブリ45を取り入れている。
【0075】
この構成では、簡単に説明すると、(図16及び図20〜23の実施形態において提供されるのと同様な)円盤状で金属製のロータ要素60が、ボールベアリング61上に枢動式に着座され、該ボールベアリング61は、更に、ドライブシャフト35のヘッドアセンブリ36の末端上に着座される。したがって、ドライブシャフト35に圧縮力が加えられるのに伴って、その力は、ボールベアリング61を介してロータ要素60に伝達される。ロータ/ステータ界面において、隣り合う対向する接触間の圧力が増大されると、ロータ要素60は、ロータ面をステータ面に対して実質的に平行になるように再方向付け及び位置合わせすることを目指して微小な搖動又は枢動を生じる。
【0076】
枢動するロータ要素60の支持を容易にするために、ドライブリング62が提供される。該リングは、やはり、それが取って代わる従来のロータデバイスと同様に成形される。図16及び図17は、このドライブリングが軸方向に伸びる受入孔63を含んでおり、その受入孔63に挿入されるロータ要素60をその中で「浮遊」可能にすると同時に、該ロータ要素60を回転軸を中心とした回転のためにドライブリング62に対して回転式に固定するように軸方向に受け入れるように受入孔63が形成されていることを、最も良く示している。
【0077】
したがって、受入孔63を画定する内部側壁66の内径は、ロータ要素60の微小な枢動を許容するために、ロータ要素60の外周壁67の直径よりも僅かに大きい。明瞭さを期するために、例えば、シールインサートの内径と、ドライブリングの内径との間は、約0.020インチ(およそ0.508mm)(各側0.010インチ(およそ0.254mm))である。これは、シールインサートがドライブリング内において各側0.010インチ(およそ0.254mm)ぶん側方に行き来することを可能にする。
【0078】
ボールベアリング61上における着座を支持するために、ロータ要素60の基部側向き表面は、ボールベアリングの一部分を受け入れるように形成、サイズ決定、及び寸法決定されたドーム状のボールソケット68を含む。この構成は、ボールベアリングを中心とした且つドライブリング62に相対的な枢動を支持する役割も担っている。
【0079】
ドライブシャフト軸を中心としたドライブリング62の回転に伴って、軸方向に浮遊するロータ要素60にトルクを伝達するために、ドライブリング62の内部側壁66から半径方向に孔63の中へ複数のガイドピン70が伸びている。これらの半径方向のガイドピン70は、ロータ要素の外周壁67に沿って軸方向に伸びる対応する細長い受入スロット71に滑動式に軸方向に受け入れられるように形成される。したがって、ドライブリングの回転に伴って、ガイドピン70は、この回転運動をロータ要素に直接伝達する。
【0080】
精密で且つ正確な、ロータ要素の回転変位及び回転運動のためには、ガイドピン70の直径と、対応する受入スロットの幅との間の許容差は、したがって、比較的小さいことが望ましい。具体的な一実施形態では、例えば、ガイドピンの直径とスロットの幅との間の許容差は、およそ0.002インチ(およそ0.0508mm)(各側0.001インチ(およそ0.0254mm))である。例えば、もし、ガイドピンの直径が約0.029〜0.031インチ(およそ0.737〜0.787mm)であるように選択されたならば、ロータ要素内のガイドスロット71の幅は、約0.031〜0.033インチ(およそ0.787〜0.838mm)の範囲であるように選択されることが望ましい。このような比較的小さな許容差は、駆動シャフト軸を中心としたドライブリング62の回転を実質直ちにロータ要素60に直接伝達することを可能にする。したがって、ステータポート23に対するロータシール溝47の相対的位置を正確に決定することが可能である。
【0081】
半径方向に相隔てられたこれらのガイドスロット71は、しかしながら、ガイドピン70の半径方向の長さを僅かに上回る深さぶん、ロータ要素の外周壁67の中へ半径方向に伸びてもいる。この許容差は、上述された、駆動リングの受入孔63内におけるロータデバイスの(各側約0.010インチ(およそ0.254mm)程度の)微小な側方運動を可能にするために、ガイドピン70が、対応するガイドスロットに対して僅かに出入りすることを許容する。したがって、ロータ要素60は、ボールベアリングを中心とした微小な枢動又は転がりに伴って、ガイドピン70に沿って滑動もする。ガイドピン70の、対応する受入スロット71に軸方向に沿ったこの相対的な軸方向運動(及び非常に微小な相対的半径方向運動)は、受入孔内における側方への微小な運動と相まって、実質的に平坦なロータ面26が、ステータ面22に対して実質的に平行になるように僅かに再方向付けされることを可能にする。したがって、図18〜21の実施形態の、ポリマを裏当てされたサポートデバイス50と異なり、この枢動式の実施形態によるコンプライアンスは、ロータ面がステータボス27のステータ面22に対して実質的に平行に且つ同一平面になるように再方向付けされるまでボールベアリングを中心に「運動」及び「枢動」(すなわち転がる)するロータ要素シールインサートの能力によって提供される。
【0082】
これらのガイドピン70は、(図解されているような)ねじを有していても良く、又は、ドライブリング62の形成の際に成形若しくは圧延してもよい。更に、図では、受入孔63の内部側壁66において半径方向に相隔てられた5本のガイドピン70が示されているが、コンプライアンスアセンブリ45は、(コンプライアンスがより限られるが)1本のガイドピン及びそれに対応するスロットのみでも機能することができる。しかしながら、より高いコンプライアンスを与えるためには、最低でも3本の、半径方向に相隔てられたガイドピン及びそれに対応するガイドスロットが望ましいとされる。
【0083】
ヘッドアセンブリ36の末端側の面によって、やはり同様にボールベアリング61に接触して着座するように形成された対向するドーム状ソケット72も画定される。好ましくは、この対向するドーム状ソケット72は、ドライブシャフト35の末端における対応する通路75にプレス嵌めされる挿入可能な合わせピン73によって提供される。
【0084】
次に、図18及び図19を参照すると、ばねアセンブリ30を介した圧縮力がドライブシャフト35をステータデバイス21に向かって軸方向に駆り立てるのに伴って、合わせピン73は、ボールベアリング61を圧縮する。すると、ボールベアリング61は、この軸方向の圧縮力をロータ要素60に伝達し、ロータ−ステータ界面において流体密シールを形成する。
【0085】
ボールベアリングに加えられる高い圧縮力に適応するためには、ボールベアリングの直径は、ロータ要素60の直径の少なくとも2分の1(好ましくは3分の2)であることが望ましいことがわかる。これは、より小さい直径のボールベアリングの場合の、より集中した力分布と比べて、ロータ要素のドーム状ソケット68において、より広く圧縮力が分布されることを保証する。
【0086】
本発明は、主に、高いライフサイクル上限を要する高圧用途用のせん断面バルブ(例えばHPLC機器プラットフォーム/設計)に適用するものとして説明されているが、本技術は、全てのせん断バルブプラットフォーム/設計(AI(分析化学)及びIVD(生体外診断))に適用可能であることがわかる。
【0087】
更に、本発明は、発明を実施する好ましい形態及びその変更に関連して説明されているが、当業者ならば、以下の特許請求の範囲内においてその他の多くの変更が可能であることを理解している。したがって、発明の範囲は、いかなる形であれ上記の説明によって限定されることを意図されず、むしろ、専ら以下の特許請求の範囲を参照することによって決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転せん断バルブアセンブリであって、
金属材料及びセラミック材料のうちのいずれかで実質的に構成された実質的に平坦なステータ面と、対応するステータポートにおいて前記ステータ面と流体連通している少なくとも2本又は3本以上のステータチャネルと、を画定するステータデバイスと、
金属材料及びセラミック材料のうちのいずれかで実質的に構成されて1本又は2本以上のロータチャネルを画定する実質的に平坦なロータ面を有するロータデバイスと、
前記ロータ面上及び前記ステータ面上のうちの少なくとも一方に配されたトライボロジコーティングと、
を備え、
前記ロータデバイスは、2つ又は3つ以上のロータ位置の間において、ロータ−ステータ界面における前記ロータ面と前記ステータ面との間の流体密で選択的な相対的回転を可能にするように回転軸周りに回転式に装着される、バルブアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、ダイヤモンドライクコーティング(DLC)である、バルブアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、前記ステータ面上に配される、バルブアセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータ面及び前記ステータ面は、ともに、実質的に金属材料で構成される、バルブアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータ面及び前記ステータ面の前記金属材料は、鋼及びチタンのうちの一方で構成される、バルブアセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、前記ステータ面上に配される、バルブアセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、ダイヤモンドライクコーティング(DLC)である、バルブアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、
前記ステータデバイス及び前記ロータデバイスは、前記ロータ−ステータ界面において約3Kpsi(およそ2.07×107Pa)から約25Kpsi(およそ1.72×108Pa)の範囲の圧縮圧力を発生させるように押し合わされる、バルブアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、更に、
前記実質的に平坦なロータ面を前記ステータデバイスの前記実質的に平坦なステータ面に対して実質的に平行に且つ実質的に同一平面に方向付けるように前記ロータデバイスと協働するコンプライアンスアセンブリを備えるバルブアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータデバイスは、前記ロータ面と反対を向いた基部側向き接触表面を画定し、
前記コンプライアンスアセンブリは、前記ロータデバイスの前記接触表面に対して支持的に接合接触するコンプライアント要素を含む、バルブアセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のバルブアセンブリであって、更に、
前記バルブアセンブリの回転軸を中心として回転するように構成されたバルブシャフトと、前記バルブシャフトの末端に配され、前記ロータデバイスをその上に着座させるように構成された末端側着座表面を画定するヘッド部分と、を含むロータアセンブリを備え、
前記コンプライアント要素は、前記接触表面と反対を向いた基部側向き表面を画定し、前記ロータデバイスの前記接触表面及び前記ヘッド部分の前記末端側着座表面に接合接触するようにそれらの表面の間に配される、バルブアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素は、約250kpsi(およそ1.72×109Pa)から約300kpsi(およそ2.07×109Pa)の範囲の圧縮弾性率κを有する比較的薄いシム部材を含む、バルブアセンブリ。
【請求項13】
請求項11に記載のバルブアセンブリであって、
前記ヘッド部分は、前記着座表面を画定して前記ヘッド部分の末端側表面から遠位に伸びるシャフトパッドを有する、バルブアセンブリ。
【請求項14】
請求項11に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素は、前記着座表面によって底部を画定されるとともに前記ロータデバイスのロータ要素と位置合わせされて前記ロータ要素を滑動式に軸方向に受け入れるように形成及び寸法決定された受入ソケットを画定する、バルブアセンブリ。
【請求項15】
請求項14に記載のバルブアセンブリであって、
前記受入ソケットは、更に、前記ロータ要素の外周壁をプレス嵌めによって受け入れるとともに前記外周壁に接触するように形成及び寸法決定された内部側壁によって画定される、バルブアセンブリ。
【請求項16】
請求項15に記載のバルブアセンブリであって、
前記内部側壁及び前記ロータ外周壁は、それらがキー係合によって位置合わせされるように協働する、バルブアセンブリ。
【請求項17】
請求項16に記載のバルブアセンブリであって、
前記内部側壁及び前記ロータ外周壁は、D字型である、バルブアセンブリ。
【請求項18】
請求項9に記載のバルブアセンブリであって、更に、
前記バルブアセンブリの回転軸を中心として回転するように構成されたバルブシャフトと、前記バルブシャフトの末端に配され、前記ロータデバイスの金属性ロータ要素をその上に着座させるように構成された末端側着座表面を画定するヘッド部分と、を含むロータアセンブリを備え、
前記コンプライアンスアセンブリは、前記ロータアセンブリの前記ヘッド部分と前記ロータ要素との間に配されたボールベアリング部材を含み、前記ボールベアリング部材を中心とした前記ロータ面の微小で且つコンプライアントな枢動運動を可能にする、バルブアセンブリ。
【請求項19】
請求項18に記載のバルブアセンブリであって、
前記ヘッド部分は、前記ボールベアリング部材の一部分をその中に受け入れるように形成及び寸法決定されたドーム状ソケットを画定する末端側着座表面を有し、
前記ロータ要素は、前記ロータ面と反対を向いた基部側向き接触表面を有し、前記接触表面は、前記ボールベアリング部材の別の一部分をその中に枢動式に受け入れるように形成及び寸法決定されたドーム状ボールソケットを画定する、バルブアセンブリ。
【請求項20】
請求項19に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアンスアセンブリは、更に、前記ヘッド部分の前記着座表面に隣接して配されたドライブリングを含み、前記ドライブリングは、前記ボールベアリング部材上における微小な枢動運動を可能にするように前記ロータ要素をその中に軸方向に滑動式に受け入れるように形成及び寸法決定された中央通し通路を画定する内壁を有する、バルブアセンブリ。
【請求項21】
請求項20に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアンスアセンブリは、更に、前記ロータ要素と前記ドライブリングとを位置合わせして協働させるように構成された位置合わせ構造を含む、バルブアセンブリ。
【請求項22】
回転せん断バルブアセンブリであって、
金属材料及びセラミック材料のうちのいずれかで実質的に構成された実質的に平坦なステータ面と、対応するステータポートにおいて前記ステータ面と流体連通している少なくとも2本又は3本以上のステータチャネルと、を画定するステータデバイスと、
金属材料及びセラミック材料のうちのいずれかで実質的に構成された実質的に平坦なロータ面を有し、回転軸周りに回転式に装着される、ロータデバイスと、
2つ又は3つ以上のロータ位置において、ロータ−ステータ界面における前記ロータ面と前記ステータ面との間の流体密で選択的な相対的回転のために、前記実質的に平坦なロータ面を前記ステータデバイスの前記実質的に平坦なステータ面に対して実質的に平行に且つ実質的に同一平面に方向付けるように前記ロータ要素と協働するコンプライアンスアセンブリと、
を備えるバルブアセンブリ。
【請求項23】
請求項22に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータデバイスは、前記ロータ面と反対を向いた基部側向き接触表面を画定し、
前記コンプライアンスアセンブリは、前記ロータデバイスの前記接触表面に対して支持的に接合接触するコンプライアント要素を含む、バルブアセンブリ。
【請求項24】
請求項23に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータアセンブリは、前記バルブアセンブリの回転軸を中心として回転するように構成されたバルブシャフトと、前記バルブシャフトの末端に配されて末端側着座表面を画定するヘッド部分と、を含み、
前記コンプライアント要素は、前記接触表面と反対を向いた基部側向き表面を画定し、前記ロータデバイスの前記接触表面及び前記ヘッド部分の前記末端側着座表面に接合接触するようにそれらの表面の間に配される、バルブアセンブリ。
【請求項25】
請求項24に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素は、約250kpsi(およそ1.72×109Pa)から約300kpsi(およそ2.07×109Pa)の範囲の圧縮弾性率κを有する比較的薄いシム部材を含む、バルブアセンブリ。
【請求項26】
請求項25に記載のバルブアセンブリであって、
前記シム部材は、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)及びポリエルテル又はポリカーボネートのうちのいずれかで構成される、バルブアセンブリ。
【請求項27】
請求項26に記載のバルブアセンブリであって、
前記シム部材の厚さは、約0.010インチ(およそ0.254mm)から約0.040インチ(およそ1.016mm)の範囲である、バルブアセンブリ。
【請求項28】
請求項24に記載のバルブアセンブリであって、
前記ヘッド部分は、前記着座表面を画定して前記ヘッド部分の末端側表面から遠位に伸びるシャフトパッドを有する、バルブアセンブリ。
【請求項29】
請求項24に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータ面及び前記ステータ面は、ともに、実質的に金属材料で構成される、バルブアセンブリ。
【請求項30】
請求項24に記載のバルブアセンブリであって、
前記ステータデバイス及び前記ロータデバイスは、それぞれ、鋼及びチタンのうちの一方で構成される、バルブアセンブリ。
【請求項31】
請求項24に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素は、前記着座表面によって底部を画定されるとともに前記ロータ要素と位置合わせされて前記ロータ要素を滑動式に軸方向に受け入れるように形成及び寸法決定された受入ソケットを画定する、バルブアセンブリ。
【請求項32】
請求項31に記載のバルブアセンブリであって、
前記受入ソケットは、更に、前記ロータ要素の外周壁をプレス嵌めによって受け入れるとともに前記外周壁に接触するように形成及び寸法決定された内部側壁によって画定される、バルブアセンブリ。
【請求項33】
請求項32に記載のバルブアセンブリであって、
前記内部側壁及び前記ロータ外周壁は、それらがキー係合によって位置合わせされるように協働する、バルブアセンブリ。
【請求項34】
請求項33に記載のバルブアセンブリであって、
前記内部側壁及び前記ロータ外周壁は、D字型である、バルブアセンブリ。
【請求項35】
請求項31に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素は、約4000kpsi(およそ2.76×1010Pa)から約5000kpsi(およそ3.45×1010Pa)の範囲の圧縮弾性率κを有する、バルブアセンブリ。
【請求項36】
請求項35に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素は、より軟質の未充填ポリマ材料、及びカーボン充填ポリマ材料のうちのいずれかで構成される、バルブアセンブリ。
【請求項37】
請求項36に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素は、PEEKTM材料、ナイロン材料、及びカーボン20〜30%のPEEKTMブレンドのうちのいずれかで構成される、バルブアセンブリ。
【請求項38】
請求項37に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素の厚さは、約0.100インチ(およそ2.54mm)から約0.200インチ(およそ5.08mm)の範囲である、バルブアセンブリ。
【請求項39】
請求項21に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータアセンブリは、前記バルブアセンブリの回転軸を中心として回転するように構成されたバルブシャフトと、前記バルブシャフトの末端に配され、前記ロータデバイスの金属性ロータ要素をその上に着座させるように構成された末端側着座表面を画定するヘッド部分と、を含み、
前記コンプライアンスアセンブリは、前記ロータアセンブリの前記ヘッド部分と前記ロータ要素との間に配されたボールベアリング部材を含み、前記ボールベアリング部材を中心とした前記ロータ面の微小で且つコンプライアントな枢動運動を可能にする、バルブアセンブリ。
【請求項40】
請求項39に記載のバルブアセンブリであって、
前記ヘッド部分は、前記ボールベアリング部材の一部分をその中に受け入れるように形成及び寸法決定されたドーム状ソケットを画定する末端側着座表面を有し、
前記ロータ要素は、前記ロータ面と反対を向いた基部側向き接触表面を有し、前記接触表面は、前記ボールベアリング部材の別の一部分をその中に枢動式に受け入れるように形成及び寸法決定されたドーム状ボールソケットを画定する、バルブアセンブリ。
【請求項41】
請求項40に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアンスアセンブリは、更に、前記ヘッド部分の前記着座表面に隣接して配されたドライブリングを含み、前記ドライブリングは、前記ボールベアリング部材上における微小な枢動運動を可能にするように前記ロータ要素をその中に軸方向に滑動式に受け入れるように形成及び寸法決定された中央通し通路を画定する内壁を有する、バルブアセンブリ。
【請求項42】
請求項41に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアンスアセンブリは、更に、前記ロータ要素と前記ドライブリングとを位置合わせして協働させるように構成された位置合わせ構造を含む、バルブアセンブリ。
【請求項43】
請求項42に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータ要素は、前記ロータ面と前記接触表面との間に伸びる実質円筒状の側壁を有し、前記側壁は、前記回転軸に実質平行に方向付けられるとともに前記側壁の中央部分から前記接触表面へ軸方向に伸びる2本又は3本以上の細長い受入スロットを画定し、
前記位置合わせ構造は、前記ドライブリングの前記内壁から半径方向に内向きに伸びる2本又は3本以上の対応するガイドピンを含み、前記ガイドピンは、対応する受入スロットに滑動式に軸方向に受け入れられるようにサイズ決定及び寸法決定される、バルブアセンブリ。
【請求項1】
回転せん断バルブアセンブリであって、
金属材料及びセラミック材料のうちのいずれかで実質的に構成された実質的に平坦なステータ面と、対応するステータポートにおいて前記ステータ面と流体連通している少なくとも2本又は3本以上のステータチャネルと、を画定するステータデバイスと、
金属材料及びセラミック材料のうちのいずれかで実質的に構成されて1本又は2本以上のロータチャネルを画定する実質的に平坦なロータ面を有するロータデバイスと、
前記ロータ面上及び前記ステータ面上のうちの少なくとも一方に配されたトライボロジコーティングと、
を備え、
前記ロータデバイスは、2つ又は3つ以上のロータ位置の間において、ロータ−ステータ界面における前記ロータ面と前記ステータ面との間の流体密で選択的な相対的回転を可能にするように回転軸周りに回転式に装着される、バルブアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、ダイヤモンドライクコーティング(DLC)である、バルブアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、前記ステータ面上に配される、バルブアセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータ面及び前記ステータ面は、ともに、実質的に金属材料で構成される、バルブアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータ面及び前記ステータ面の前記金属材料は、鋼及びチタンのうちの一方で構成される、バルブアセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、前記ステータ面上に配される、バルブアセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載のバルブアセンブリであって、
前記トライボロジコーティングは、ダイヤモンドライクコーティング(DLC)である、バルブアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、
前記ステータデバイス及び前記ロータデバイスは、前記ロータ−ステータ界面において約3Kpsi(およそ2.07×107Pa)から約25Kpsi(およそ1.72×108Pa)の範囲の圧縮圧力を発生させるように押し合わされる、バルブアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、更に、
前記実質的に平坦なロータ面を前記ステータデバイスの前記実質的に平坦なステータ面に対して実質的に平行に且つ実質的に同一平面に方向付けるように前記ロータデバイスと協働するコンプライアンスアセンブリを備えるバルブアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータデバイスは、前記ロータ面と反対を向いた基部側向き接触表面を画定し、
前記コンプライアンスアセンブリは、前記ロータデバイスの前記接触表面に対して支持的に接合接触するコンプライアント要素を含む、バルブアセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のバルブアセンブリであって、更に、
前記バルブアセンブリの回転軸を中心として回転するように構成されたバルブシャフトと、前記バルブシャフトの末端に配され、前記ロータデバイスをその上に着座させるように構成された末端側着座表面を画定するヘッド部分と、を含むロータアセンブリを備え、
前記コンプライアント要素は、前記接触表面と反対を向いた基部側向き表面を画定し、前記ロータデバイスの前記接触表面及び前記ヘッド部分の前記末端側着座表面に接合接触するようにそれらの表面の間に配される、バルブアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素は、約250kpsi(およそ1.72×109Pa)から約300kpsi(およそ2.07×109Pa)の範囲の圧縮弾性率κを有する比較的薄いシム部材を含む、バルブアセンブリ。
【請求項13】
請求項11に記載のバルブアセンブリであって、
前記ヘッド部分は、前記着座表面を画定して前記ヘッド部分の末端側表面から遠位に伸びるシャフトパッドを有する、バルブアセンブリ。
【請求項14】
請求項11に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素は、前記着座表面によって底部を画定されるとともに前記ロータデバイスのロータ要素と位置合わせされて前記ロータ要素を滑動式に軸方向に受け入れるように形成及び寸法決定された受入ソケットを画定する、バルブアセンブリ。
【請求項15】
請求項14に記載のバルブアセンブリであって、
前記受入ソケットは、更に、前記ロータ要素の外周壁をプレス嵌めによって受け入れるとともに前記外周壁に接触するように形成及び寸法決定された内部側壁によって画定される、バルブアセンブリ。
【請求項16】
請求項15に記載のバルブアセンブリであって、
前記内部側壁及び前記ロータ外周壁は、それらがキー係合によって位置合わせされるように協働する、バルブアセンブリ。
【請求項17】
請求項16に記載のバルブアセンブリであって、
前記内部側壁及び前記ロータ外周壁は、D字型である、バルブアセンブリ。
【請求項18】
請求項9に記載のバルブアセンブリであって、更に、
前記バルブアセンブリの回転軸を中心として回転するように構成されたバルブシャフトと、前記バルブシャフトの末端に配され、前記ロータデバイスの金属性ロータ要素をその上に着座させるように構成された末端側着座表面を画定するヘッド部分と、を含むロータアセンブリを備え、
前記コンプライアンスアセンブリは、前記ロータアセンブリの前記ヘッド部分と前記ロータ要素との間に配されたボールベアリング部材を含み、前記ボールベアリング部材を中心とした前記ロータ面の微小で且つコンプライアントな枢動運動を可能にする、バルブアセンブリ。
【請求項19】
請求項18に記載のバルブアセンブリであって、
前記ヘッド部分は、前記ボールベアリング部材の一部分をその中に受け入れるように形成及び寸法決定されたドーム状ソケットを画定する末端側着座表面を有し、
前記ロータ要素は、前記ロータ面と反対を向いた基部側向き接触表面を有し、前記接触表面は、前記ボールベアリング部材の別の一部分をその中に枢動式に受け入れるように形成及び寸法決定されたドーム状ボールソケットを画定する、バルブアセンブリ。
【請求項20】
請求項19に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアンスアセンブリは、更に、前記ヘッド部分の前記着座表面に隣接して配されたドライブリングを含み、前記ドライブリングは、前記ボールベアリング部材上における微小な枢動運動を可能にするように前記ロータ要素をその中に軸方向に滑動式に受け入れるように形成及び寸法決定された中央通し通路を画定する内壁を有する、バルブアセンブリ。
【請求項21】
請求項20に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアンスアセンブリは、更に、前記ロータ要素と前記ドライブリングとを位置合わせして協働させるように構成された位置合わせ構造を含む、バルブアセンブリ。
【請求項22】
回転せん断バルブアセンブリであって、
金属材料及びセラミック材料のうちのいずれかで実質的に構成された実質的に平坦なステータ面と、対応するステータポートにおいて前記ステータ面と流体連通している少なくとも2本又は3本以上のステータチャネルと、を画定するステータデバイスと、
金属材料及びセラミック材料のうちのいずれかで実質的に構成された実質的に平坦なロータ面を有し、回転軸周りに回転式に装着される、ロータデバイスと、
2つ又は3つ以上のロータ位置において、ロータ−ステータ界面における前記ロータ面と前記ステータ面との間の流体密で選択的な相対的回転のために、前記実質的に平坦なロータ面を前記ステータデバイスの前記実質的に平坦なステータ面に対して実質的に平行に且つ実質的に同一平面に方向付けるように前記ロータ要素と協働するコンプライアンスアセンブリと、
を備えるバルブアセンブリ。
【請求項23】
請求項22に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータデバイスは、前記ロータ面と反対を向いた基部側向き接触表面を画定し、
前記コンプライアンスアセンブリは、前記ロータデバイスの前記接触表面に対して支持的に接合接触するコンプライアント要素を含む、バルブアセンブリ。
【請求項24】
請求項23に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータアセンブリは、前記バルブアセンブリの回転軸を中心として回転するように構成されたバルブシャフトと、前記バルブシャフトの末端に配されて末端側着座表面を画定するヘッド部分と、を含み、
前記コンプライアント要素は、前記接触表面と反対を向いた基部側向き表面を画定し、前記ロータデバイスの前記接触表面及び前記ヘッド部分の前記末端側着座表面に接合接触するようにそれらの表面の間に配される、バルブアセンブリ。
【請求項25】
請求項24に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素は、約250kpsi(およそ1.72×109Pa)から約300kpsi(およそ2.07×109Pa)の範囲の圧縮弾性率κを有する比較的薄いシム部材を含む、バルブアセンブリ。
【請求項26】
請求項25に記載のバルブアセンブリであって、
前記シム部材は、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)及びポリエルテル又はポリカーボネートのうちのいずれかで構成される、バルブアセンブリ。
【請求項27】
請求項26に記載のバルブアセンブリであって、
前記シム部材の厚さは、約0.010インチ(およそ0.254mm)から約0.040インチ(およそ1.016mm)の範囲である、バルブアセンブリ。
【請求項28】
請求項24に記載のバルブアセンブリであって、
前記ヘッド部分は、前記着座表面を画定して前記ヘッド部分の末端側表面から遠位に伸びるシャフトパッドを有する、バルブアセンブリ。
【請求項29】
請求項24に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータ面及び前記ステータ面は、ともに、実質的に金属材料で構成される、バルブアセンブリ。
【請求項30】
請求項24に記載のバルブアセンブリであって、
前記ステータデバイス及び前記ロータデバイスは、それぞれ、鋼及びチタンのうちの一方で構成される、バルブアセンブリ。
【請求項31】
請求項24に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素は、前記着座表面によって底部を画定されるとともに前記ロータ要素と位置合わせされて前記ロータ要素を滑動式に軸方向に受け入れるように形成及び寸法決定された受入ソケットを画定する、バルブアセンブリ。
【請求項32】
請求項31に記載のバルブアセンブリであって、
前記受入ソケットは、更に、前記ロータ要素の外周壁をプレス嵌めによって受け入れるとともに前記外周壁に接触するように形成及び寸法決定された内部側壁によって画定される、バルブアセンブリ。
【請求項33】
請求項32に記載のバルブアセンブリであって、
前記内部側壁及び前記ロータ外周壁は、それらがキー係合によって位置合わせされるように協働する、バルブアセンブリ。
【請求項34】
請求項33に記載のバルブアセンブリであって、
前記内部側壁及び前記ロータ外周壁は、D字型である、バルブアセンブリ。
【請求項35】
請求項31に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素は、約4000kpsi(およそ2.76×1010Pa)から約5000kpsi(およそ3.45×1010Pa)の範囲の圧縮弾性率κを有する、バルブアセンブリ。
【請求項36】
請求項35に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素は、より軟質の未充填ポリマ材料、及びカーボン充填ポリマ材料のうちのいずれかで構成される、バルブアセンブリ。
【請求項37】
請求項36に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素は、PEEKTM材料、ナイロン材料、及びカーボン20〜30%のPEEKTMブレンドのうちのいずれかで構成される、バルブアセンブリ。
【請求項38】
請求項37に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアント要素の厚さは、約0.100インチ(およそ2.54mm)から約0.200インチ(およそ5.08mm)の範囲である、バルブアセンブリ。
【請求項39】
請求項21に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータアセンブリは、前記バルブアセンブリの回転軸を中心として回転するように構成されたバルブシャフトと、前記バルブシャフトの末端に配され、前記ロータデバイスの金属性ロータ要素をその上に着座させるように構成された末端側着座表面を画定するヘッド部分と、を含み、
前記コンプライアンスアセンブリは、前記ロータアセンブリの前記ヘッド部分と前記ロータ要素との間に配されたボールベアリング部材を含み、前記ボールベアリング部材を中心とした前記ロータ面の微小で且つコンプライアントな枢動運動を可能にする、バルブアセンブリ。
【請求項40】
請求項39に記載のバルブアセンブリであって、
前記ヘッド部分は、前記ボールベアリング部材の一部分をその中に受け入れるように形成及び寸法決定されたドーム状ソケットを画定する末端側着座表面を有し、
前記ロータ要素は、前記ロータ面と反対を向いた基部側向き接触表面を有し、前記接触表面は、前記ボールベアリング部材の別の一部分をその中に枢動式に受け入れるように形成及び寸法決定されたドーム状ボールソケットを画定する、バルブアセンブリ。
【請求項41】
請求項40に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアンスアセンブリは、更に、前記ヘッド部分の前記着座表面に隣接して配されたドライブリングを含み、前記ドライブリングは、前記ボールベアリング部材上における微小な枢動運動を可能にするように前記ロータ要素をその中に軸方向に滑動式に受け入れるように形成及び寸法決定された中央通し通路を画定する内壁を有する、バルブアセンブリ。
【請求項42】
請求項41に記載のバルブアセンブリであって、
前記コンプライアンスアセンブリは、更に、前記ロータ要素と前記ドライブリングとを位置合わせして協働させるように構成された位置合わせ構造を含む、バルブアセンブリ。
【請求項43】
請求項42に記載のバルブアセンブリであって、
前記ロータ要素は、前記ロータ面と前記接触表面との間に伸びる実質円筒状の側壁を有し、前記側壁は、前記回転軸に実質平行に方向付けられるとともに前記側壁の中央部分から前記接触表面へ軸方向に伸びる2本又は3本以上の細長い受入スロットを画定し、
前記位置合わせ構造は、前記ドライブリングの前記内壁から半径方向に内向きに伸びる2本又は3本以上の対応するガイドピンを含み、前記ガイドピンは、対応する受入スロットに滑動式に軸方向に受け入れられるようにサイズ決定及び寸法決定される、バルブアセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2012−533041(P2012−533041A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520688(P2012−520688)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/041612
【国際公開番号】WO2011/008657
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(512009528)アイデックス・ヘルス・アンド・サイエンス・リミテッド ライアビリティ カンパニー (4)
【氏名又は名称原語表記】IDEX HEALTH & SCIENCE LLC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/041612
【国際公開番号】WO2011/008657
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(512009528)アイデックス・ヘルス・アンド・サイエンス・リミテッド ライアビリティ カンパニー (4)
【氏名又は名称原語表記】IDEX HEALTH & SCIENCE LLC
【Fターム(参考)】
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