説明

バイオセンサ及びバイオセンサチップ

【課題】使用する際に再調整することなく簡便に使用することができるバイオセンサを提供する。
【解決手段】カンチレバー10、カンチレバーを振動させるアクチュエータ14、カンチレバーの振動状態を検出するようにカンチレバーに設けられた歪み抵抗素子16、歪み抵抗素子で検出された振動状態に基づいて、カンチレバーが共振するようにアクチュエータを制御する正帰還回路20、カンチレバーが共振するように制御されている状態で、歪み抵抗素子で検出された振動状態の変化に基づいて、カンチレバーに付着した物質の付着量を検出するコンピュータ26で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗原抗体反応及び蛋白質等を高感度で測定することができるバイオセンサ及びバイオセンサチップに係り、特に、片持ち張り(カンチレバー)を用いて液体中に溶解している物質を高感度で測定することができるバイオセンサ及びこのバイオセンサに用いられるバイオセンサチップに関する。
【背景技術】
【0002】
バイオセンサとしては、手軽で簡易型な高感度のセンサが要求されている。その1つとして、水晶発振子を使用したバイオセンサが開発されている。このバイオセンサの検出感度は、約30pg/Hzであり、バイオセンサとして使用するためには不充分な感度である。
【0003】
一方、原子間力電子顕微鏡で用いられているカンチレバーは、共振点を持ち、外部から受ける力により共振点がシフトすることを利用して微小な力であるpN(ピコニュートン)単位の力を計測できるセンサとして利用されている。さらに、最近、このセンサは、カンチレバーに付着する物質によりカンチレバーの重量が変化し、共振点が変化することが分かっており、この共振点の変化を利用してバイオセンサへ応用することが検討されている。
【0004】
カンチレバーをバイオセンサとして利用した論文としては、ラング等が発表したセンサ(非特許文献1)が知られている。
【0005】
このセンサは、図9に示すように、光てこを利用して小さなカンチレバー1の共振周波数の変化を検出し、物理量、化学量、温度、または応力等を検出するセンサである。このセンサには、半導体レーザ2から照射されたレーザ光をレンズを利用してカンチレバー1の背面に集光し、カンチレバーで反射されたレーザ光をホトダイオード等で構成された位置検出器3に入射させる光学系が必要になる。なお、図9において、4はカンチレバーを振動させるアクチュエータ、5は検出回路、6はアクチュエータの駆動回路、7は検出回路出力に基づいて物理量等を演算するコンピュータで構成された演算回路である。
【非特許文献1】”人工ノーズ”(アナリティカ ケミカ アクタ Analytica Chamica Acta 第393巻(1999年)59頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のバイオセンサでは、半導体レーザを含む光学系が必要になるため、空気中で光学系の光軸調整を行なった後空気中と屈折率が異なる液中等に浸漬して使用する場合等には、光路長が変化することから再度光軸調整をする必要があり、簡易に使用することができない、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、使用する際に再調整することなく簡便に使用することができるバイオセンサ及びこのバイオセンサに使用可能なバイオセンサチップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明のバイオセンサは、カンチレバーと、前記カンチレバーを振動させるアクチュエータと、前記カンチレバーの振動状態を検出するように前記カンチレバーに設けられたセンサと、前記センサで検出された振動状態に基づいて、前記カンチレバーが共振するように前記アクチュエータを制御する制御手段と、前記カンチレバーが共振するように制御されている状態で、前記センサで検出された振動状態の変化に基づいて、前記カンチレバーに付着した物質の付着量を検出する検出手段と、を含んで構成されている。
【0009】
本発明によれば、カンチレバーが共振するように制御されている状態で、カンチレバーに物質が付着するとカンチレバーの共振周波数等の振動状態が変化する。この振動状態の変化とカンチレバーに付着した物質の質量とは相関があるため、センサで検出された振動状態の変化に基づいて、カンチレバーに付着した物質の付着量を検出することができる。
【0010】
本発明のセンサは、カンチレバーに設けられているので自己検知型であり、このためバイオセンサを使用する際に再度調整する必要がなく、簡便に使用することができる。バイオセンサのカンチレバーは、反応液等の液中で使用することができる。
【0011】
本発明のカンチレバーには、絶縁体薄膜、検出対象の物質が付着可能な薄膜、または前記絶縁体薄膜と該絶縁体薄膜に被覆された前記検出対象の物質が付着可能な薄膜との積層膜を被覆することができる。絶縁膜を被覆することにより、液中等でバイオセンサを使用する場合の電流のリークを防止することができ、検出対象の物質が付着可能な薄膜を被覆することにより目的とする物質の質量を検出することができる。
【0012】
本発明のアクチュエータは、圧電素子、静電容量素子、または電磁誘導素子で構成することができ、センサは、カンチレバーの振動に応じて抵抗が変化する歪み抵抗素子、カンチレバーの振動に応じて静電容量が変化する静電容量素子、またはカンチレバーの振動に応じて電圧を発生する圧電素子あるいは電磁誘導素子を含んで構成することができる。
【0013】
また、本発明のバイオセンサチップは、表面が、絶縁体薄膜、検出対象の物質が付着可能な薄膜、または前記絶縁体薄膜と該絶縁体薄膜に被覆された前記検出対象の物質が付着可能な薄膜との積層膜で被覆された半導体で構成されたカンチレバーと、前記カンチレバーの振動状態を検出するように前記カンチレバーに内蔵されたセンサと構成されている。このバイオセンサチップは、半導体素子の一部に可動する機械部分を含むシステムであるMEMS (Micro Electro Mechanical Systems)を製造し得る技術を用いて作成することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、カンチレバーにカンチレバーの振動を検知する自己検知型のセンサを設けたので、バイオセンサを使用する際に再度調整する必要がなく、簡便に使用することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1に示すように、第1の実施の形態のバイオセンサチップは、台座12に連続するように形成された薄板状のカンチレバー10を備えている。カンチレバー10の形状は、図9に示したように基端部を2つに分離しかつ先端部を連結してV字型に形成した形状でもよく、1枚の三角形状や細長状に形成してもよい。
【0016】
台座12には、台座を加振することによりカンチレバー10を振動させる圧電素子で構成されたアクチュエータ14が取り付けられている。アクチュエータ14は、台座に接着または機械的に接合させて台座と一体化するように取り付けられている。また、アクチュエータを取り付ける位置は、カンチレバーをカンチレバーの厚み方向に振動されることができる位置であればよく、図示したたように台座のカンチレバーが形成されていない側、またはカンチレバーが形成されている側に取り付けられる。
【0017】
また、カンチレバー10の台座12との境界部分を含む所定領域には、自己検知型のセンサである歪み抵抗素子16が形成されている。アクチュエータによりカンチレバーを厚み方向に振動させることにより、カンチレバーの台座との境界部分に引張り及び圧縮応力が生じ、歪み抵抗素子16の抵抗値が変化するため、この抵抗値の変化からカンチレバーの振動状態を検出することができる。
【0018】
カンチレバー10は、シリコン等の半導体基板を台座に相当する部分を残存させて薄板状にエッチングすることにより、台座と一体的に形成することができる。また、歪み抵抗素子16は、カンチレバーの台座との境界部分に半導体技術で一対の電極を形成し、ボロン等の不純物原子を電極間にイオン打ち込みすることにより歪み抵抗パターンを形成して作成することができる。歪み抵抗の抵抗値は、2kΩ以下が望ましい。なお、カンチレバーと台座とは、シリコン基板で形成することが好ましいが、イオン打ち込みすることなく、電極を形成して歪み抵抗素子を貼着するようにしてもよい。
【0019】
歪み抵抗素子16の電極には、歪み抵抗素子の抵抗値の変化を検出するための検出回路18が接続されている。検出回路18は、歪み抵抗素子16と共にホイートストンブリッジを構成するブリッジ回路、及びブリッジ回路に電圧を印加する電源とを備えており、歪み抵抗素子16の抵抗変化を電圧変化として検出し、検出した信号を出力する。この検出回路18は、アクチュエータ14を駆動してカンチレバー10を共振させるための正帰還回路20、及び周波数を電圧に変換するF−V変換回路(FM復調回路)22に接続されている。F−V変換回路22には、データ処理及び表示を行なうパーソナルコンピュータ26が接続されている。
【0020】
次に、本実施の形態のカンチレバーに付着した物質の質量を検知するための原理について説明する。カンチレバーは、外力が加わると撓み、共振している状態で質量が変化すると共振周波数が変化する。カンチレバーを調和振動子として考えると、カンチレバーの動作は以下の(1)式の力の方程式で表すことができる。
【0021】
【数1】

【0022】
なお、mはカンチレバーの有効質量、Zはカンチレバーの歪み量、kはカンチレバーのばね定数、ξはカンチレバーが浸漬されている液体等の粘性、Fはアクチュエータの加振力、ωはアクチュエータ、すなわちカンチレバーの振動数である。
【0023】
上記(1)式より、カンチレバー10の共振周波数ω0は、カンチレバーの有効質量m及びばね定数kを用いて以下の(2)式で表される。
【0024】
【数2】

【0025】
ここで、カンチレバーが周波数ω0で共振している状態で、カンチレバーの質量がΔm増加すると、上記(1)式は、以下の(3)式のように表される。
【0026】
【数3】

【0027】
これらの式を共振周波数の変化Δωで表すと、次の(4)式が得られる。
【0028】
【数4】

【0029】
したがって、上記(4)式より、カンチレバーの周波数の変化を検出することにより、カンチレバーの質量の変化、すなわちカンチレバーに付着した物質の質量を検知することができる。周波数の変化を1Hz以下の精度で計測できることから、上記(4)式ではピコグラムまたはフェムトグラムでカンチレバーの質量の変化が計測できることを意味する。例えば、ばね定数kを1N/m、共振周波数ω0を100kHz、カンチレバーの有効質量mを10ngとすると、約1pg/Hzの感度でカンチレバーに付着した物質の質量を検出することができる。
【0030】
また、上記(4)式は、下記(5)式のように記載できるので、カンチレバーの質量を小さくすること、及び共振周波数を高くすることの少なくとも一方を行なうことにより、検出感度をより高くすることができる。
【0031】
【数5】

【0032】
カンチレバーの質量を小さくするには、マイクロマシーンプロセスを使用することができる。
【0033】
本実施の形態によれば、カンチレバーへの付着物の質量が大きくなると共振周波数が徐々に小さくなるので、歪み抵抗素子で構成された振動検出センサで検出された共振周波数の変化からカンチレバーへ付着した付着物の質量、従って重量を検出することができる。
【0034】
以下、本実施の形態のバイオセンサを用いた計測方法について説明する。正帰還回路20から加振信号がアクチュエータ14に入力されると、台座12が加振され、これによってカンチレバー10がカンチレバーの厚み方向に加振される。容器24中の反応溶液にカンチレバー10を浸漬すると、カンチレバーに反応溶液が付着すると共に反応溶液の粘性の影響によってカンチレバーの振動数が若干減少する。しかしながら、このとき種々の振動モードが発生するので、カンチレバーは当初の共振周波数とは異なる周波数で共振する。このときのカンチレバーと台座との動きが一体ではないので、歪み抵抗素子に引張り及び圧縮応力が発生し、歪み抵抗素子の抵抗が変化するため歪み抵抗素子に一定電圧を印加していると電流がカンチレバーの振動に応じて変化する。この電流変化を検出回路のブリッジ回路で電圧変化として検出することにより、カンチレバーの周波数を検出することができ、これによりカンチレバーの振動状態を検出することができる。
【0035】
検出回路18で検出された電圧変化は、正帰還回路20で増幅され、位相が揃えられ、アクチュエータに入力される。これによって、カンチレバーは共振周波数で振動される。また、検出回路で検出された電圧変化は、F−V変換器でアナログ信号(出力V)に変換され、コンピュータ26に入力される。
【0036】
次に、コンピュータによる演算処理について図2を参照して説明する。ステップ100では、F−V変換器から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して取り込み、ステップ102において出力Vをコンピュータのメモリに記憶する。
【0037】
次のステップ104では、前回取り込んだ出力を今回取り込んだ出力とを比較し、出力の変化量ΔVを演算し、ステップ106で出力Vが変化したか否かを判断し、変化したと判断されたときはステップ108において上記(4)式に基づいてカンチレバーに付着した物質の質量を演算する。これにより、カンチレバーに付着した物質の質量の時間変化を検出することができる。また、この質量の時間変化を所定時間にわたって積算することにより、所定時間内にカンチレバーに付着した物質の総量を検出することができる。このよにして検出したカンチレバーに付着した物質の質量は、コンピュータに接続されているLCD等の表示装置に表示される。この他にコンピュータでは、ノイズ除去や反応速度等を処理、演算することができる。
【0038】
本実施の形態のバイオセンサを抗原抗体反応の検出に利用するには、最初に抗体をカンチレバーの表面に付着してカンチレバーを反応溶液に浸漬し、その後抗原を持つ測定試料を反応容器24の反応溶液中に投入する。これにより、アレルギー等の要因を持つ体質か否かが明らかになる。また、このような場合と逆に、最初に抗体を反応容器に入れてから抗原を投入すると、人間の体内にアレルギー物質が生成しているのが分かる。
【0039】
本実施の形態では、アクチュエータとして圧電素子を用いた例について説明したが、本実施の形態においては図3に示すように圧電素子14の電極部分の各々に絶縁皮膜28を被覆し、電気的に絶縁するようにしてもよい。この場合においても、上記と同様に、アクチュエータの一方の絶縁皮膜を台座に接着または機械的に接合させてアクチュエータを台座とを一体化させる。アクチュエータの電極が絶縁皮膜28により被覆されているため、このカンチレバーを反応溶液に浸漬することにより直ちに計測を開始することができる。
【0040】
また、図4に示すように、カンチレバー及び台座を絶縁皮膜28で被覆するようにしてもよい。この場合には、アクチュエータは図3に示したように絶縁皮膜により被覆してもよいし、被覆しないようにしてもよい。これにより、カンチレバーを反応溶液中に浸漬したときに、カンチレバー表面にリーク電流が流れるのを防止し、検出回路によって正確に電流を計測することができる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、共振周波数の変化を検出するセンサとして第1の実施の形態の歪み抵抗素子に代えて、カンチレバーの振動に応じて静電容量が変化する静電容量素子を使用するものである。本実施の形態では、図5に示すように、カンチレバー10と対向して平行になるように対向電極30が台座12に固定され、対向電極30によりカンチレバー10との間に静電容量素子が構成されている。そして、カンチレバー10及び対向電極30は、上記と同様に静電容量素子と共にホイーストンブリッジを構成するブリッジ回路を備えた検出回路18に接続されている。これにより、カンチレバーが振動すると静電容量素子の静電容量が周期的に変化するため、検出回路のブリッジ回路によってカンチレバーの振動を検出し、振動信号を出力することができる。
【0042】
本実施の形態によれば、検出回路から出力される振動信号から共振周波数の変化を検出し、この共振周波数の変化から上記と同様にカンチレバーに付着した物質の質量の時間変化等を検出することができる。
【0043】
次に、図6を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第2の実施の形態の対向電極をアクチュエータとして使用するようにしたものである。カンチレバーの振動を検出するセンサとしては、第1の実施の形態と同様の歪み抵抗素子が用いられている。
【0044】
歪み抵抗素子16は、第1の実施の形態と同様に、検出回路18のブリッジ回路に接続されている。また、カンチレバー10の基端側は接地され、静電容量素子を構成する対向電極30は、正帰還回路20に接続されている。
【0045】
本実施の形態によれば、歪み抵抗素子16の電圧変化を検出回路18のブリッジ回路で検出し、検出した信号が正帰還回路20に入力され、対向電極30に加振信号として入力されるので、カンチレバー10が共振振動するように制御される。また、検出回路18のブリッジ回路で検出された信号は、F−V変換回路22を介してコンピュータ26に入力され、コンピュータ26において共振周波数の変化から上記と同様にカンチレバーに付着した物質の質量の時間変化等が検出される。
【0046】
次に、図7を参照して本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第3の実施の形態の静電誘導アクチュエータに代えて、電磁誘導型アクチュエータを用いたものである。本実施の形態では、カンチレバー10と対向して略並行になるように電磁誘導コイル32が台座12に固定され、カンチレバー10の表面側には磁性材で構成された磁性薄膜34がコーティングされている。カンチレバーの振動を検出するセンサとしては、第1の実施の形態と同様の歪み抵抗素子が用いられている。
【0047】
本実施の形態によれば、上記と同様に歪み抵抗素子16からの信号を検出回路18のブリッジ回路で検出し、検出した信号が正帰還回路20に入力され、電磁誘導コイル32に加振信号として入力されるので、カンチレバー10が共振振動される。また、検出回路18のブリッジ回路で検出された信号は、上記と同様にF−V変換回路22を介してコンピュータ26に入力され、コンピュータ26において共振周波数の変化からカンチレバーに付着した物質の質量の時間変化等が検出される。図7では片面だけにコーティングしたが、両面にコーティングしてもよく、図7と反対の面にコーティングしてもよい。
【0048】
図8は、本発明の第5の実施の形態を示すものであるり、図3に示したカンチレバーの絶縁皮膜に、検出対象の物質を付着させるために、特別な化学反応基を付着させるための金等で構成された薄膜36を被覆したものである。薄膜の種類は、付着させる物質に応じて適宜選択される。これにより、チオール基等を介在して人為的に選択された蛋白質、DNA、抗体、または抗原等のカンチレバーに付着した物質の質量の時間変化等を検出することができる。
【0049】
なお、上記の実施の形態では、自己検知素子として、歪み抵抗素子または静電容量素子を用いた例について説明したが、圧電素子、電磁誘導素子、または温度検知素子等を用いるようにしてもよい。また、アクチュエータとしても圧電素子、静電駆動の静電容量素子に代えて、温度駆動のアクチュエータ、または光駆動のアクチュエータ等を用いるようにしてもよい。さらに、カンチレバーを絶縁皮膜で被覆した例について説明したが、自然酸化膜で覆うようにしてもよい。検出回路から出力される信号の周波数シフト量の検出には、PLL回路、クォードラチャ復調回路等を用いてもよい。
【0050】
また、上記では、1つのカンチレバーを用いる例について説明したが、台座に複数のカンチレバーを設けて、各カンチレバーに付着した物質を計測するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態のバイオセンサを示す概略図である。
【図2】第1の実施の形態のカンチレバーに付着した物質を検出する処理ルーチンを示す流れ図である。
【図3】第1の実施の形態の変形例を示す概略図である。
【図4】第1の実施の形態の他の変形例を示す概略図である。
【図5】第2の実施の形態を示す概略図である。
【図6】第3の実施の形態を示す概略図である。
【図7】第4の実施の形態を示す概略図である。
【図8】第5の実施の形態を示す概略図である。
【図9】従来の光てこを利用したバイオセンサの概略図である。
【符号の説明】
【0052】
10 カンチレバー
12 台座
14 圧電素子
16 抵抗素子
18 検出回路
20 正帰還回路
22 変換回路
24 反応容器
26 コンピュータ
28 絶縁皮膜
30 対向電極
32 電磁誘導コイル
34 磁性薄膜
36 薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンチレバーと、
前記カンチレバーを振動させるアクチュエータと、
前記カンチレバーの振動状態を検出するように前記カンチレバーに設けられたセンサと、
前記センサで検出された振動状態に基づいて、前記カンチレバーが共振するように前記アクチュエータを制御する制御手段と、
前記カンチレバーが共振するように制御されている状態で、前記センサで検出された振動状態の変化に基づいて、前記カンチレバーに付着した物質の付着量を検出する検出手段と、
を含むバイオセンサ。
【請求項2】
前記カンチレバーを液中に浸漬した請求項1記載のバイオセンサ。
【請求項3】
前記カンチレバーを、絶縁体薄膜、検出対象の物質が付着可能な薄膜、または前記絶縁体薄膜と該絶縁体薄膜に被覆された前記検出対象の物質が付着可能な薄膜との積層膜で被覆した請求項1または請求項2記載のバイオセンサ。
【請求項4】
前記アクチュエータを、圧電素子、静電容量素子、または電磁誘導素子で構成した請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のバイオセンサ
【請求項5】
前記センサを、前記カンチレバーの振動に応じて抵抗が変化する歪み抵抗素子、前記カンチレバーの振動に応じて静電容量が変化する静電容量素子、または前記カンチレバーの振動に応じて電圧を発生する圧電素子あるいは電磁誘導素子を含んで構成した請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のバイオセンサ。
【請求項6】
表面が、絶縁体薄膜、検出対象の物質が付着可能な薄膜、または前記絶縁体薄膜と該絶縁体薄膜に被覆された前記検出対象の物質が付着可能な薄膜との積層膜で被覆された半導体で構成されたカンチレバーと、前記カンチレバーの振動状態を検出するように前記カンチレバーに内蔵されたセンサとを有するバイオセンサチップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−214744(P2006−214744A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25021(P2005−25021)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年9月1日から4日 社団法人応用物理学会主催の「2004(平成16年)秋季 第65回応用物理学会学術講演会」において文書をもって発表
【出願人】(504145364)国立大学法人群馬大学 (352)
【出願人】(000151520)株式会社東京測器研究所 (29)
【Fターム(参考)】