説明

バイオディーゼル燃料用添加剤

【課題】環境負荷が小さく軽油代替燃料として有用であるバイオディーゼル燃料を、低温でも好適に使用することができるものとするバイオディーゼル燃料用添加剤、低温でも好適に使用することができる適用範囲の広いバイオディーゼル燃料を提供する。
【解決手段】環状部位及び長鎖炭化水素基を有する化合物を含むバイオディーゼル燃料用添加剤であって、該化合物は、長鎖炭化水素基がエステル結合及び/又はエーテル結合を介して環状部位に結合した構造を有するバイオディーゼル燃料用添加剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオディーゼル燃料用添加剤に関する。より詳しくは、種々の用途に好適に用いることのできる有用なバイオディーゼル燃料用添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオディーゼル燃料(Biodiesel Fuel:BDF)とは一般に植物油(ナタネ油、大豆油、パーム油、及び、これらの廃食油)をメチルエステル化したものである。
【0003】
【化1】

【0004】
バイオディーゼル燃料は硫黄分の含量が低く、燃焼過程で生じる二酸化硫黄が非常に僅かであることが報告されている。また、植物由来の燃料であるゆえに炭酸ガスの排出量がゼロカウントであるため、環境負荷の少ない軽油代替燃料として注目され、欧米では既に規格等も整備され、大豆やナタネ油から年間250万トン以上生産されている。また、今後需要が増大すると期待されているバイオディーゼル燃料の原料油としてパーム油が注目されている。バーム油は他の油に比べ収穫量が多く(ナタネ油の6倍)、また、バーム油BDFは燃料特性がよい(着火性がよく、COx、NOx発生量が少ない)、酸化安定性が高いなど優れた特徴を有している。
しかし、バイオディーゼル燃料はその低温特性により使用時期、場所などが制限される。
バイオディーゼル燃料の低温特性としては、結晶が析出する温度である曇り点(CP)、フィルターが目詰まりをおこす温度である目詰まり点(CFPP)、油全体が流動性を失い、固化するときの温度である流動点(PP)が知られている。例えば、ナタネ油では、曇り点が−3℃、流動点が−4℃であり、大豆油では、それぞれ2℃、−1℃であり、パーム油では、それぞれ18℃、14℃である(例えば、非特許文献1参照)。このような低温特性を有することから、寒冷地でバイオディーゼル燃料を用いると、エンジンの配管内で固化し閉塞したり、フィルターの目詰まりを起こしてしまうおそれがある。特に、パーム油BDFは流動点が14℃と非常に高く、寒冷地では使用できない。
【0005】
バイオディーゼル燃料の低温特性を改善するために、長鎖アルキル基を有するくし形のポリマー(アルキル(メタ)アクリレート系コポリマーなど)が添加剤として使用することが提案されている。具体的には、重合度の異なる二種類のアルキル(メタ)アクリレートのポリマーを混合(例えば、特許文献1参照。)したものや、(A)エチレン−アルキルアクリレートコポリマー+(B)α−オレフィン−アルキル(アクリレート、ビニルエステル、ビニルエーテル、アクリルアミド)のくし型ポリマーの混合物(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。しかしながら、これらは、二種類のポリマーを別に合成し混合するため操作が煩雑であり、効果を充分なものとすることが求められている。また、アクリル(メタ)アクリレート、フマレート、マレエートのブロックコポリマーが開示されている(例えば、特許文献3参照。)が、BDFへの使用例は報告されていない。
【0006】
その他の流動点降下剤としては、植物油をオゾン処理により改質し、改質した剤を流動点降下剤として使用し、ナタネ油BDF、大豆油BDF、ひまわり油BDF、パーム油BDFに実施したことが開示されている(例えば、特許文献4参照。)が、不飽和脂肪酸含量の低いBDFに、充分に高い効果を発揮するものとすることが望まれている。また、Palm Oil based Polyol(パーム油由来のポリオール)をパーム油BDFに実施することが開示されている(例えば、非特許文献2参照。)。しかしながら、過酸を使ってエポキシ化後、アルコールを添加することから、剤の合成が煩雑である。また、過酸を使用するため、製造時の安全性をより向上させる工夫の余地があった。
【特許文献1】特開2005−350629号公報
【特許文献2】特開2005−133095号公報
【特許文献3】特開2005−516430号公報
【特許文献4】国際公開第2005/033252号パンフレット
【非特許文献1】坂志郎「バイオディーゼルのすべて」2006.1.30.アイシービー出版部発行
【非特許文献2】Ming等、“Strategies for decreasing the pour point and cloud point of palm oil products”、“European Journal of Lipid Science and Technology” 2005年、第107巻、第7−8号、p.505−512
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、環境負荷が小さく軽油代替燃料として有用であるバイオディーゼル燃料を、低温でも好適に使用することができるものとするバイオディーゼル燃料用添加剤、低温でも好適に使用することができる適用範囲の広いバイオディーゼル燃料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、バイオディーゼル燃料用添加剤について種々検討したところ、バイオディーゼル燃料中の飽和脂肪酸(特にパルミチン酸メチル及びステアリン酸メチル)が結晶化することによりバイオディーゼル燃料の結晶化が生じ、低温特性が発現することに着目し、バイオディーゼル燃料用添加剤として、特定の構造を有する化合物を含むものとすると、飽和脂肪酸の結晶化を効果的に抑制できることを見いだした。また、バイオディーゼル燃料や、バイオディーゼル燃料とそれ以外の燃料とを含む混合燃料に、バイオディーゼル燃料用添加剤を特定量含むものとすると、これらの燃料の低温特性が改善され、例えば、寒波が来ても固まらない、取り扱いやすい燃料とすることができることを見いだした。更に、特定の構造を有する新規な高分子化合物も見いだし、本発明に到達したものである。
【0009】
すなわち本発明は、環状部位及び長鎖炭化水素基を有する化合物を含むバイオディーゼル燃料用添加剤であって、上記化合物は、長鎖炭化水素基がエステル結合及び/又はエーテル結合を介して環状部位に結合した構造を有するバイオディーゼル燃料用添加剤である。
以下に本発明を詳述する。
【0010】
本発明のバイオディーゼル燃料用添加剤は、環状部位及び長鎖炭化水素基を有する化合物を含むものである。環状部位を有するとは、環状構造の部分が該化合物中に含まれるものであることを意味する。環状部位としては、環を構成する原子がすべて同種の原子である同素環式化合物、2種以上の異なった種類の原子で環が構成された複素環式化合物のいずれに由来するものであってもよいが、同素環式化合物である場合は炭素原子からなる炭素環式化合物が好ましい。また、炭素環式化合物である場合は、脂環式化合物、芳香族化合物のいずれであってもよい。また、複素環式化合物の場合、炭素原子及び酸素原子からなるものが好ましい。このような環式化合物は、長鎖炭化水素基がエステル結合及び/又はエーテル結合を介して結合した構造のものであり、長鎖炭化水素基を含む構造を官能基(置換基)として有するものである。環式化合物は、単官能、多官能のいずれであってもよいが、多官能であることが好ましい。すなわち、長鎖炭化水素基(例えば、長鎖アルキル基)を複数個(2個以上)有することが好ましい。一つの環状構造に結合する官能基の数としては、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。一つの環状構造に複数の官能基が結合する場合は、1種又は2種以上の官能基(長鎖炭化水素基)を用いることができる。このような官能基(置換基)が多いほど、バイオディーゼル燃料の流動点を降下する効果が大きい。また、環式化合物は、長鎖炭化水素基がエステル結合及び/又はエーテル結合を介して結合した構造を有する限りその他の置換基を有していてもよく、上記長鎖炭化水素基以外の基を有する構造であってもよく、長鎖炭化水素基が直接環構造に結合した構造であってもよい。
上記環状部位を構成する環構造としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アズレン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、テトラヒドロフラン環、ピラン環、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、ピラノース環、フラノース環等が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、ピラノース環、フラノース環がより好ましく、更に好ましくは、ベンゼン環、シクロヘキサン環、ピラノース環、フラノース環である。
【0011】
上記長鎖炭化水素基としては、長鎖アルキル基、長鎖アルケニル基、アルキニル基等が好ましい。長鎖アルキル基、長鎖アルケニル基がより好ましく、更に好ましくは長鎖アルキル基である。また長鎖炭化水素基は直鎖構造、分岐構造のどちらでもよい。
上記長鎖炭化水素基の炭素数としては、10個から22個が好ましく、14個から18個がより好ましく、更に好ましくは16個である。
上記化合物は、長鎖炭化水素基がエステル結合及び/又はエーテル結合を介して環状部位に結合した構造を有するものである。上記化合物は合成が容易であり、バイオディーゼル燃料への溶解性に優れた構造を有している。長鎖炭化水素基と環状部位との結合形態としては、エステル結合及び/又はエーテル結合の中でも、エステル結合を有する(エステル結合、エステル結合及びエーテル結合)ものであることが好ましい。より好ましくは、エステル結合である。
すなわち、上記構造としては、脂肪酸と環状構造を有するアルコールとがエステル結合した構造、脂肪族アルコールと環状構造を有するカルボン酸とがエステル結合した構造、脂肪族アルコールと環状構造を有するアルコールとがエーテル結合した構造が好ましい。なお、上記化合物としては、後述する環状部位及び長鎖炭化水素基を複数有する高分子化合物(ポリマータイプ)であってもよい。
【0012】
上記炭化水素基を構成する脂肪酸の具体例としては、デカン酸(C10)、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、アラキン酸(C20)、ベヘン酸(C22)、オレイン酸(C18、不飽和結合数:1)、リノール酸(C18、不飽和結合数:2)、リノレン酸(C18、不飽和結合数:3)、エルカ酸(C22、不飽和結合数:1)等が好ましい。より好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸であり、更に好ましくはパルミチン酸、ステアリン酸である。特にパルミチン酸基がバイオディーゼル燃料の流動点を降下する効果が大きい。
上記環状構造を有するアルコールの具体例としては1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、レゾルシノール、ヒドロキノン、カテコール、フェノール、イノシトール、1,3,5−シクロヘキサントリオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、1,3−アダマンタンジオール、1−アダマンタノール、グルコピラノース、フルクトピラノース、ガラクトピラノース、マンノピラノース、マルトース、ラクトース、スクロース、シクロデキストリン、オリゴ糖、及び、でんぷん、アミロース、アミノペクチン、セルロースなどの多糖が好ましい。より好ましくは1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、レゾルシノール、ヒドロキノン、カテコール、イノシトール、1,3,5−シクロヘキサントリオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−アダマンタンジオール、マルトース、ラクトース、スクロースであり、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、スクロースが更に好ましい。
また、上記脂肪族アルコールの具体例としてはデカノール(C10)、ラウリルアルコール(C12)、ミリスチルアルコール(C14)、セチルアルコール(C16)、ステアリルアルコール(C18)、オレイルアルコール(C18、不飽和結合数:1)等の高級アルコール等が好ましい。より好ましくはセチルアルコール、ステアリルアルコールであり、更に好ましくはセチルアルコールである。
【0013】
上記環状構造を有するカルボン酸としてはピロメリット酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、安息香酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸が好ましい。より好ましくはピロメリット酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、安息香酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸であり、ピロメリット酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸が更に好ましい。
【0014】
上記化合物の具体例を以下に示す。なお、パーム油BDFに1wt%添加したときの流動点の降下温度(℃)を括弧で示した。化合物が無添加の条件でのパーム油BDFの流動点は13.6℃であり、特に記載されていない場合、RCOO−は、パルミチン酸基を示す。つまり、R=n−C1531を示す。
1,3,5−トリヒドロキシベンゼンのトリエステル(添加剤A:ΔT=2.1℃):
【0015】
【化2】

【0016】
レゾルシノールのジエステル(添加剤B:ΔT=1.3℃):
【0017】
【化3】

【0018】
フェノールのモノエステル(添加剤C:ΔT=0.8℃):
【0019】
【化4】

【0020】
1,3−シクロへキサンジオールのジエステル(添加剤D:ΔT=1.1℃):
【0021】
【化5】

【0022】
シクロヘキサノールのモノエステル(添加剤E:ΔT=0.6℃):
【0023】
【化6】

【0024】
1,3,5−ベンゼントリカルボン酸とセチルアルコールのトリエステル(添加剤F:ΔT=1.6℃):
【0025】
【化7】

【0026】
環状化合物+脂肪酸エステルのポリマータイプ(添加剤G:連結剤:ジカルボン酸)(ΔT=2.4℃):
【0027】
【化8】

【0028】
ショ糖脂肪酸エステル(添加剤H:ΔT=1.5℃:脂肪酸=ラウリン酸、添加剤I:ΔT=3.0℃:脂肪酸=パルミチン酸/ラウリン酸、添加剤J:ΔT=2.8℃:脂肪酸=パルミチン酸/オレイン酸):
【0029】
【化9】

【0030】
1,3,5−トリヒドロキシベンゼンとセチルアルコールのトリエーテル(添加剤K):
【0031】
【化10】

【0032】
上記化合物の製造方法としては、上述のアルコールと上述のカルボン酸を脱水縮合してエステル化する方法、又は、上述のアルコールと上述のカルボン酸の酸塩化物とを反応させてエステル化する方法により得られる。
上記化合物は、バイオディーゼル燃料用添加剤に含まれるものであるが、バイオディーゼル燃料用添加剤100質量%中1〜100%含まれることが好ましい。5〜99%含まれることがより好ましく、更に好ましくは10〜98%である。
上記化合物以外のバイオディーゼル燃料用添加剤に含まれる成分(その他の成分)としては、本発明の作用効果を損なわないものである限り特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、灯油、軽油などの溶剤に溶解して使用することができる。
上記添加剤は単独で使用しても、他の流動点降下剤、酸化防止剤、セタン価向上剤、界面活性剤、消泡剤、腐食防止剤などの添加剤と一緒でも使用することができる。
【0033】
上記化合物は、バイオディーゼル燃料に添加することにより、バイオディーゼル中の結晶成分(飽和脂肪酸、特にパルミチン酸メチル&ステアリン酸メチル)の結晶成長を阻害、結晶を微細化し、バイオディーゼル燃料の流動点を下げる。このような流動点を降下させるメカニズムとしては、以下のように考えられている。軽油など石油からの蒸留で得られる鉱油では一般的に、ろう成分(長鎖のn−アルカン)を有し、この成分が冷却時に結晶化し沈殿する。本発明の長鎖炭化水素基(例えば、アルキル基)が成長するパラフィン結晶中に取り込まれ、結晶成長を妨害すると考えられている。このように、本発明のバイオディーゼル燃料用添加剤、具体的には、該添加剤に含まれる上記環状部位及び長鎖炭化水素基を有する化合物(例えば、環状化合物のエステル)は、バイオディーゼル燃料の流動点(PP)、曇り点(CP)、目詰まり点(CFPP)等の低温特性を効果的に改善することができるものであり、燃料として用いる際に問題となる流動点を降下させることができる。このように、環状部位及び長鎖炭化水素基を有する化合物を含むバイオディーゼル燃料用添加剤であって、該化合物は、長鎖炭化水素基がエステル結合及び/又はエーテル結合を介して環状部位に結合した構造を有するバイオディーゼル燃料用流動点降下剤もまた、本発明の好ましい形態の一つである。上記流動点の降下は、JIS K−2269(原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法)の方法に従い測定することができる。具体的には、低温特性は添加前後の流動点の差で評価することができる。
【0034】
本発明はまた、上記バイオディーゼル燃料用添加剤が添加されたバイオディーゼル燃料でもある。このようなバイオディーゼル燃料は、バイオディーゼル燃料用添加剤の添加量が100ppm〜50000ppmであることが好ましい。添加量が100ppm未満と少ない場合は効果が低く、また添加量が50000ppmを超えて多くなっても効果が頭打ちし、コスト面でも不利となるおそれがある。バイオディーゼル燃料用添加剤の添加量として好ましくは、1000ppm〜15000ppmであり、更に好ましくは、5000ppm〜12500ppmである。添加量と流動点を降下する効果の観点から、10000ppm(1wt%)であることが、特に好ましい。
上記バイオディーゼル燃料としては、ナタネ油、大豆油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、桐油、サフラワー油、綿実油、とうもろこし油、アマニ油、ゴマ油、米油、オリーブ油、落花生油、ヒマシ油、ヤシ油、クルカス油、魚油、牛脂、豚脂、及び、これらの廃食油等から誘導されるバイオディーゼル燃料が好適である。また、その他の動物又は植物油から誘導されるバイオディーゼル燃料も挙げることができる。また、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0035】
本発明は更に、バイオディーゼル燃料とそれ以外の燃料とを含む混合燃料であって、上記バイオディーゼル燃料用添加剤が添加された混合燃料でもある。
上記混合燃料としては、上記バイオディーゼル燃料の1種又は2種以上と上記それ以外の燃料の1種又は2種以上を含むものであればよい。上記混合燃料に含まれるバイオディーゼル燃料としては、上述と同様のものが好適である。上記それ以外の燃料としては、本発明の作用効果が発揮されるものである限り特に限定されないが、軽油、灯油、暖房用油などの鉱油が好ましく、より好ましくは軽油、灯油であり、更に好ましくは軽油である。
上記混合燃料は、バイオディーゼル燃料用添加剤が添加されたものである。このような混合燃料に含まれるバイオディーゼル燃料用添加剤としては、上記と同様であることが好ましい。また、バイオディーゼル燃料用添加剤の添加量としては、混合燃料中、100ppm〜50000ppmであることが好ましい。添加量が100ppm未満と少ない場合は効果が低く、また添加量が50000ppmを超えて多くなっても効果が頭打ちし、コスト面でも不利となるおそれがある。バイオディーゼル燃料用添加剤の添加量としてより好ましくは、1000ppm〜15000ppmであり、更に好ましくは、5000ppm〜12500ppmである。
【0036】
本発明はそして、環状部位及び長鎖炭化水素基を複数有する高分子化合物であって、該高分子化合物は、長鎖炭化水素基がエステル結合及び/又はエーテル結合を介して環状部位に結合した構造を有する環状部位及び長鎖炭化水素基含有高分子化合物でもある。
上記環状部位及び長鎖炭化水素基含有高分子化合物は、上述した長鎖炭化水素基がエステル及び/又はエーテル結合を介して環状部位に結合した構造を有する化合物を構成単位とし、連結部位によって高分子化された構造を有するものである。
上記化合物は、環状部位と長鎖炭化水素基及び環状部位と連結部位とを、エステル化して得るものであることが好ましい。環状部位及び長鎖炭化水素基としては、上述の環状部位及び長鎖炭化水素基と同様であることが好ましい。また、長鎖炭化水素基と環状部位との結合形態としては上述と同様であることが好ましい。このようなエステル化物はカルボン酸とアルコールとを脱水縮合してエステル化する方法もしくはカルボン酸塩化物とアルコールとを反応させてエステル化することにより得ることができる。
【0037】
すなわち上記高分子化合物の構造としては、長鎖炭化水素基として脂肪酸と環状部位として環状構造を有する多価アルコールのエステル化物を構成単位とし、連結剤として多価カルボン酸を用いて連結した構造を有するもの、長鎖炭化水素基として脂肪族アルコールと環状部位として環状構造を有する多価カルボン酸のエステル化物を構成単位とし、連結剤として多価アルコールを用いて連結した構造を有するものが好ましい。
上記脂肪酸としては上述の脂肪酸が好ましい。上記環状構造を有する多価アルコールとしては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、レゾルシノール、ヒドロキノン、カテコール、イノシトール、1,3,5−シクロヘキサントリオール、1,2−シクロへキサンジオール、1,3−シクロへキサンジオール、1,4−シクロへキサンジオール、1,3−アダマンタンジオール、グルコピラノース、フルクトピラノース、ガラクトピラノース、マンノピラノース、マルトース、ラクトース、スクロース、シクロデキストリン、オリゴ糖、及び、でんぷん、アミロース、アミノペクチン、セルロースなどの多糖が好ましい。より好ましくは1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、イノシトール、1,3,5−シクロへキサントリオール、マルトース、ラクトース、スクロースであり、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンが更に好ましい。また、上記連結剤としての多価カルボン酸としては、ピロメリット酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,2−シクロへキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スべリン酸、ノナンニ酸、デカンニ酸、ドデカンニ酸が好ましい。より好ましくはピロメリット酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、スべリン酸、デカンニ酸、ドデカンニ酸であり、ピロメリット酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、アジピン酸、ドデカンニ酸が更に好ましい。
【0038】
上記脂肪族アルコールとしては上述の脂肪族アルコールが好ましい.環状構造を有する多価カルボン酸としては、ピロメリット酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,2−シクロへキサンジカルボン酸、1,3−シクロへキサンジカルボン酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸が好ましい。
より好ましくは、ピロメリット酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸であり、ピロメリット酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸が更に好ましい。また、連結剤としての上記多価アルコールとしては、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、レゾルシノール、ヒドロキノン、カテコール、1,3,5−シクロへキサントリオール、1,2−シクロへキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−アダマンタンジオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましい。より好ましくは1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ヒドロキノン、1,3,5−シクロへキサントリオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールであり、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,4−シクロへキサンジオール、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、1,6−へキサンジオール、1,12−ドデカンジオールが更に好ましい。
【0039】
上記高分子化合物は、環状部位及び長鎖炭化水素基は高分子1分子あたり、環状部位が2〜30個含まれることが好ましい。より好ましくは2〜20個であり、2〜10個含まれることが更に好ましい。また、高分子1分子あたり、長鎖炭化水素基が2〜32個含まれることが好ましい。より好ましくは3〜22個であり、4〜12個含まれることが更に好ましい。
このように、環状部位及び長鎖炭化水素基含有高分子化合物は、環状部位及び長鎖炭化水素基を複数個有する高分子化合物であって、該高分子化合物は、長鎖炭化水素基と環状部位とをエステル化させてなるものである環状部位及び長鎖炭化水素基含有高分子化合物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記環状部位及び長鎖炭化水素基含有高分子化合物の具体例としては、環状化合物+脂肪酸エステルのポリマータイプ(添加剤G:連結剤:ジカルボン酸)(ΔT=2.4℃):
【0040】
【化11】

【0041】
等が好ましい。
上記環状部位及び長鎖炭化水素基含有高分子化合物の重量平均分子量(Mw)としては、1000〜100000であることが好ましい。より好ましくは1500〜50000であり、2000〜10000であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は下記の測定方法により求めた。
【0042】
<重量平均分子量(Mw)の測定方法>
上記環状部位及び長鎖炭化水素基含有高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、商品名「HLC−8220GPC」を用い、下記の条件で測定することができる。
【0043】
(重量平均分子量の測定条件)
カラム:東ソー社製「TSK−GEL SUPER HZM−M 6.0*150」
溶離液:クロロホルム
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
【0044】
上記高分子化合物の製造方法としては、長鎖炭化水素基として脂肪酸の酸塩化物と環状部位として環状構造を有する多価アルコールと連結部位として多価カルボン酸の酸塩化物とを公知の方法を用いてエステル化することにより得るのが好ましい。脂肪酸の酸塩化物としては、上述の脂肪酸の酸塩化物が好ましい。環状構造を有するアルコールの環状部位を構成する環構造としては上述の環構造が好ましい。また環状構造を有するアルコールとしては、上述の多価アルコールが好ましい。多価カルボン酸の酸塩化物としては上述の多価カルボン酸の酸塩化物が好ましい。
【0045】
上記環状部位及び長鎖炭化水素基含有高分子化合物の好適な合成例のスキームを以下に示す。なお下記高分子化合物中、隣接するベンゼン環をつなぐ直線棒は、連結部位を示し、並線は長鎖炭化水素基を示す。
本発明のバイオディーゼル用燃料添加剤はバイオディーゼル用の流動点降下剤としての用途のほか、その他燃料油用の添加剤、乳化剤、界面活性剤として用いることもできる。
【0046】
【化12】

【発明の効果】
【0047】
本発明のバイオディーゼル燃料用添加剤は、上述の構成よりなり、環境負荷が小さく軽油代替燃料として有用であるバイオディーゼル燃料の適用範囲を広げ、低温でも好適に使用することができるものとするバイオディーゼル燃料用添加剤、該添加剤が添加されたバイオディーゼル燃料を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0049】
実施例1
1,3,5−トリヒドロキシベンゼンのトリエステル(添加剤A、1,3,5−トリスヘキサデカノイルヒドロキシベンゼン)の合成と評価
窒素雰囲気下、300mLの四つ口フラスコにジクロロメタン100mLを仕込み、この中に1,3,5−トリヒドロキシベンゼン2.5gを懸濁させた。ついでトリエチルアミン7.1gを加えた。パルミチン酸クロリド19.2gをジクロロメタン40mLに溶解し、この酸クロリド溶液を上記溶液に約30分で滴下が終了する速度で加えた。添加後、室温で4時間攪拌した。4時間の反応後、トリエチルアミンの塩酸塩をろ過し、ろ液を水で2回洗浄した。ついで希炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、溶媒を減圧乾燥した。その後、カラムクロマトグラフィーで単離精製し、白色固体を得た。なお、合成した化合物の同定は、H−NMR、13C−NMRで行った(使用機器:Unity Plus 400(Varian社製))。
続いて、合成した添加剤Aをパーム油BDFに対し10000ppmの濃度になるように混合し、流動点を測定したところ11.5℃であり、添加剤なし(比較例1)に比べて2.1℃流動点が降下した。流動点はJIS K−2269(原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法)の方法に従い測定した。
【0050】
実施例2〜実施例6
実施例1と同様にして上記添加剤BからFをそれぞれ合成し、パーム油BDFに添加し流動点を測定した。結果を表1に示す。
【0051】
実施例7
ポリマータイプ(添加剤G)の合成と評価
窒素雰囲気下、100mLの四つ口フラスコにジクロロメタン15mLを仕込み、この中に1,3,5−トリヒドロキシベンゼン0.5gを懸濁させた。ついでトリエチルアミン1.2gを加えた。パルミチン酸クロリド1.2g及びドデカン酸ジクロリド1.0gをジクロロメタン15mLに溶解し、この酸クロリド溶液を上記溶液に約30分で滴下が終了する速度で加えた。添加後、室温で4時間攪拌した。4時間の反応後、トリエチルアミンの塩酸塩をろ過し、ろ液を水で2回洗浄した。ついで希炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、溶媒を減圧乾燥し、白色固体を得た。得られた化合物の分子量をGPCにて測定したところ重量平均分子量が3470であった。
続いて、合成した添加剤Gをパーム油BDFに10000ppm添加し流動点を測定したところ11.2℃であり、添加剤なし(比較例1)に比べて2.4℃流動点が降下した。
【0052】
実施例8
添加剤H(ショ糖脂肪酸エステル:三菱化学フーズ社製 リョートーシュガーエステルL−195)をパーム油BDFに添加し流動点を測定した。なお、ショ糖脂肪酸エステルにおける脂肪酸はラウリン酸を用いた。結果を表1に示す。
【0053】
実施例9
ショ糖パルミチン酸エステル(三菱化学フーズ社製 リョートーシュガーエステルP−170)とラウリン酸クロリドとを実施例1と同様の方法を用いて反応させてショ糖パルミチン酸エステルの残水酸基がラウリン酸エステルとなったショ糖パルミチン/ラウリン酸エステルを合成した。
合成した添加剤Iをパーム油BDFに10000ppm添加し流動点を測定したところ、10.6℃であり、添加剤なし(比較例1)に比べて3.0℃流動点が降下した。
実施例10
実施例9と同様にしてショ糖パルミチン/オレイン酸エステル(添加剤J)を合成し、パーム油BDFに添加し流動点を測定した。結果を表1に示す。
【0054】
実施例11
添加剤Kを公知の方法を用いて合成し、パーム油BDFに添加したが、添加剤Kはパーム油BDFに対する溶解性が低く、明白な流動点の降下は認められなかった。
【0055】
比較例1
パーム油BDFに何も添加せず流動点を実施例1と同様の方法で測定したところ13.6℃であった。
【0056】
比較例2〜4
添加剤として下記非環状のエステル化合物を用いた以外は実施例1と同様にして、流動点を測定した。結果を表1及び括弧内に示す。なお、RCOO−はパルミチン酸基を示す。つまり、R=n−C1531を示す。
ヘキサンジオールのジエステル(添加剤L:パーム油BDFに不溶):
【0057】
【化13】

【0058】
パルミチン酸エチル(添加剤M:ΔT=0.1℃):
【0059】
【化14】

【0060】
パルミチン酸イソプロピル(添加剤N:ΔT=0.2℃)
【0061】
【化15】

【0062】
【表1】

【0063】
実施例12
添加剤Aをナタネ油BDF、大豆油BDF及びパーム油BDFをそれぞれモデル化したBDF(モデルBDF)に10000ppm添加し実施例1と同様にして流動点を測定した。結果を表2に示す。なお、モデルBDFの組成は、飽和脂肪酸としてパルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、不飽和成分としてオレイン酸メチル、リノール酸メチル、リノレン酸メチルの5成分を下記表3の割合で混合したモデルBDFを使用した(非特許文献1参照)。
【0064】
比較例5及び6
バイオディーゼル燃料用添加剤を用いずに(比較例5)、又は、バイオディーゼル燃料用添加剤としてアクルーブ133(アルキルメタクリレート系コポリマー/三洋化成:添加剤O)を用いた(比較例6)以外は、実施例12と同様にして流動点を測定した。結果を表2に示す。
【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
実施例13
バイオディーゼル燃料用添加剤として添加剤Cを用いた以外は、実施例12と同様にして流動点を測定した。結果を表4に示す。
【0068】
【表4】

【0069】
なお、上述した実施例では、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン及びパルミチン酸を用いて環状部位及び長鎖炭化水素基を有する化合物、及び、環状部位及び長鎖炭化水素基含有高分子化合物を調製しているが、環状部位及び長鎖炭化水素基を有する化合物又は高分子である限り、BDFの流動点を下げ、低温特性を改善する機構は同様である。したがって、環状部位及び長鎖炭化水素基を有し、該長鎖炭化水素基がエステル結合及び/又はエーテル結合を介して環状部位に結合した構造を有する化合物又は高分子であれば、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。また、表2に示したように1,3,5−トリヒドロキシベンゼンのパルミチン酸トリエステルは、ナタネ油、大豆油など種々のBDFに対しても効果が高いことが明らかになった。バイオディーゼル燃料中の飽和脂肪酸(パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル)が結晶化することによりバイオディーゼル燃料の結晶化を生じ、低温特性が発現することは既に述べたが、バイオディーゼル燃料中の飽和脂肪酸の量が添加剤の効果発現にも影響していることを見いだした。つまり飽和脂肪酸の量が多いほど添加剤の効果は小さくなる。実施例1〜13では、パーム油BDF及びモデルBDF(ナタネ油、大豆油、パーム油)を用いているが、低温特性が改善する機構はパーム油BDF、モデルBDF及びそれ以外の各種BDFでも同様である。したがってバイオディーゼル燃料中の飽和脂肪酸の量により添加剤の添加効果が発現するため、パーム油BDF、モデルBDF以外の各種BDFであっても、効果が発現することは確実であるといえる。
少なくとも、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン及びパルミチン酸を用いてバイオディーゼル燃料用添加剤を調製する場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状部位及び長鎖炭化水素基を有する化合物を含むバイオディーゼル燃料用添加剤であって、
該化合物は、長鎖炭化水素基がエステル結合及び/又はエーテル結合を介して環状部位に結合した構造を有することを特徴とするバイオディーゼル燃料用添加剤。
【請求項2】
請求項1記載のバイオディーゼル燃料用添加剤が添加されたことを特徴とするバイオディーゼル燃料。
【請求項3】
バイオディーゼル燃料とそれ以外の燃料とを含む混合燃料であって、
請求項1記載のバイオディーゼル燃料用添加剤が添加されたことを特徴とする混合燃料。
【請求項4】
環状部位及び長鎖炭化水素基を複数有する高分子化合物であって、
該高分子化合物は、長鎖炭化水素基がエステル結合及び/又はエーテル結合を介して環状部位に結合した構造を有することを特徴とする環状部位及び長鎖炭化水素基含有高分子化合物。

【公開番号】特開2008−101163(P2008−101163A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286573(P2006−286573)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】