説明

バイオフィルム除去に使用する内視鏡を含むバイオフィルム除去のシステムと方法

【課題】バイオフィルム除去内視鏡を使って標的部位から細菌性バイオフィルムを除去するシステムと方法とを提供する。
【解決手段】内視鏡は、視認窓部で終わる撮像通路と、ノズルで終わる洗浄剤通路とを含む挿入部分を有する。撮像通路と洗浄剤通路とは、互いに対して恒久的に貼り付けられる。挿入部分は、作業端部を標的部位に近接して配設されて、患者の中に挿入される。標的部位は撮像され、流体の流れはノズルを介して分注されて、細菌性バイオフィルムを標的部位から機械的に除去する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
細菌性バイオフィルムは、例えば、中耳等の耳腔や、前頭洞(frontal sinus)や上顎洞(maxillary sinus)等の鼻腔を含む多様な人体の空洞(bodily cavities)内に発生する。いったん細菌の成長が定着すると、細菌はしばしば集合し、分裂を停止し、多糖類マトリックス(polysaccharide matrices)で構成される細菌性保護バイオフィルム層、即ち、「粘膜層(slime layers)」を形成し始める。
【0002】
細菌性保護バイオフィルムは、伝統的な治療方法を妨げるのと同様に、人体の自然の免疫反応を妨げる。特に、細菌は、人体の免疫系を刺激して白血球で反応させる外毒素(exotoxins)を出す。しかしながら、細菌性バイオフィルムは、細菌を攻撃するという白血球の能力の効力を妨げる。バイオフィルムはまた、抗生物質や他の薬剤の局所的な(topical)投与に対抗する障壁として作用することもある。バイオフィルムを形成する細菌はまた、分裂しつつある細菌を殺すように作用する伝統的な抗生物質による治療に障害を与える。特に、バイオフィルムを形成する状態にある細菌は、既に細胞分裂を停止し、そのような抗生物質をほとんど効力のないものにする。
【0003】
例えば、慢性副鼻腔炎(chronic rhinosmusitis)や他の類似の病気に関して、鼻の中の細菌は、連続体(continuum)として診ることができる。細菌の中には、丈夫なバイオフィルムを形成するもの(例えば、シュードモナス菌(pseudomonas)や黄色ブドウ球菌(staph aureus)のある品種)がある。比較的緩いバイオフィルムを形成する細菌(例えばインフルエンザ菌(h. flu))もある。バイオフィルムは、真菌(fungi)を含んでいる場合もあるし、含んでいない場合もある。これらの微生物(microbes)の各々は、幾分違っていたり、或いは、補足的な炎症経路(inflammatory pathway)を有し、宿主の免疫系と様々に影響し合う。例えば、黄色ブドウ球菌は、抗原として作用し、宿主の反応を引き起こすリポ多糖類マトリックス(lipopolysaccharide matrix)を生成し、また、抗原性であり、抗原性を超えた(hyperantigenic)(炎症性を超えた(hyperinflammatory))とも言える反応をひき起こすことがある毒素(例えば、ブドウ状球菌の毒素AとB、毒素性ショック症候群毒素(toxic shock syndrome toxin)1型と2型)を生成する。他の微生物の中には、炎症を引き起こす毒素を生成するものもある。
【0004】
機能的な内視鏡洞手術(functional endoscopic sinus surgery)(FESS)は、洞(sinuses)の感染症(an infection)である慢性副鼻腔炎の治療に使われる侵襲が最小の外科手術である。FESSは、洞の空気を入れる房室(air cell)と洞の孔(ostia)(開口部)とを内視鏡によって補助された器具で開ける。洞の外科的方法としてのFESSの使用は、今や幅広く受け入れられている。
【0005】
FESSの目的は、一般に洞の通常の排液を回復することであり、それは、孔を通る通気を必要とする。特に、粘液繊毛輸送過程(muco-cihary transport process)は、粘液(mucus)の流れを孔に向かわせるように作用する繊毛上皮層(ciliated epithelium layer)の毛髪類似の繊毛で、洞から粘液の一定の流れを維持する。通気が不充分なところや粘液が移動するところは、慢性副鼻腔炎として既知の条件を満たし、感染症や炎症(inflammation)が起こり得る。慢性副鼻腔炎はしばしば、上顎洞と前頭洞とが鼻の近くで集まる部位での感染症、或いは、時として、歯の感染症から発現する。何れにせよ、慢性副鼻腔炎のせいで、繊毛は更に非効率的に働き、洞の粘膜(mucous membranes)が充血して孔が閉塞するという結果となる。通気と排液ができないことが続くと、バイオフィルムを形成する細菌を含む細菌性感染症のせいで化膿する(ripe)条件を生み出す。上記したように、そのような細菌性バイオフィルムはしばしば、慢性副鼻腔炎のような細菌性感染症の効率的治療を妨げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の背景により、慢性副鼻腔炎のような再発性で慢性の炎症性疾患の効率的治療は、細菌性感染症や細菌性バイオフィルムに関連して詳述される治療を必要とすると仮定されてきた。この結果、これらの治療を成し遂げるために使用される内視鏡と関連する方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態は、患者の標的部位から細菌性バイオフィルムを除去する方法に関する。バイオフィルム除去内視鏡を含む細菌性バイオフィルム除去システムが提供される。内視鏡は、作業端部で終わる挿入部分を有する。挿入部分は、他の方法で作業端部に配設された視認窓部で終わる撮像通路(imaging channel)を更に形成する。更に、挿入部分は、他の方法で作業端部に運ばれたノズルで終わる洗浄剤通路(irrigation channel)を形成する。これに関して、撮像通路と洗浄剤通路とは、互いに対して恒久的に貼り付けられる。挿入部分は患者の中に挿入され、作業端部は標的部位に近接して配設される。これに関して、標的部位は、表面に付着した細菌性バイオフィルム層を含む。標的部位は、視認窓部を介して内視鏡を使って撮像される。流体の流れが内視鏡ノズルを介して標的部位に向けて分注され、表面から細菌性バイオフィルム層の実質的に一部分を機械的に除去する。いくつかの実施形態では、挿入部分は、可撓性を有する遠位セグメントを含み、方法は、遠位セグメントにおいて曲げを遂行することで標的部位に対してノズルの攻撃角度を調節する工程を更に含む。他の実施形態は、内視鏡に備えられた吸引通路(aspiration channel)を介して、除去された細菌性バイオフィルムを吸引する工程を含む。
【0008】
他の実施形態は、患者の標的部位から細菌性バイオフィルムを除去する細菌性バイオフィルム除去システムに関する。システムは、ハンドルと挿入部分とを有するバイオフィルム除去内視鏡を含む。挿入部分は身体への挿入に適し、撮像通路と洗浄剤通路とを形成する。撮像通路は、他の方法で標的部位の撮像を容易にする視認窓部で終わる。洗浄剤通路は、視認窓部を越えて遠位方向に突き出たノズルで終わる。この構成で、内視鏡は、洗浄剤通路を通って放出される加圧流体がノズルによって振り向けられ、標的部位で細菌性バイオフィルム層に衝撃を与えるように構成される。いくつかの実施形態では、挿入部分は、除去された細菌性バイオフィルムを吸引するための遠位口で終わる吸引通路を更に形成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本開示の特徴に従った外科的なバイオフィルム除去システムの概略図である。
【図2】図1のシステムで有益なバイオフィルム除去内視鏡の側面図である。
【図3A】図2のバイオフィルム除去内視鏡の遠位端部分の拡大透視図である。
【図3B】図3Aの先端部の断面図である。
【図4】本開示の原理に従ったヒトの解剖に対する細菌性バイオフィルム除去の方法を図示する。
【図5A】本開示の原理に従った他のバイオフィルム除去内視鏡の簡略化した平面図である。
【図5B】図5Aのバイオフィルム除去内視鏡の挿入部分の端部の図である。
【図6A】2つの異なる状態の本開示の原理に従った他のバイオフィルム除去内視鏡の簡略化した平面図である。
【図6B】2つの異なる状態の本開示の原理に従った他のバイオフィルム除去内視鏡の簡略化した平面図である。
【図6C】図6Aのバイオフィルム除去内視鏡の挿入部分の端部の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の原理に従った外科用の細菌性バイオフィルム除去システム20が図1に示される。システム20は、バイオフィルム除去内視鏡22と光源24と撮像装置26と流体源28と(一般に参照される)真空源30とコントローラ32とを含む。一般用語では、バイオフィルム除去内視鏡22は、従来型の内視鏡と同様に、光源24及び撮像装置26と共に動作し、外科的領域の視認性を容易にする。加えて、流体源28は、流体、即ち、洗浄剤をバイオフィルム除去内視鏡22に、例えば流体コネクタ34(配管等)を介して提供する。これとは逆に、真空源28は、真空の流れ、即ち、吸引の流れを内視鏡22に、例えば真空コネクタ36(配管等)を介して提供する。コントローラ32は細菌性バイオフィルム除去処置を実行してシステム20の操作の局面を制御し、一般にバイオフィルム除去内視鏡22及び流体源28に関連して示される。
【0011】
バイオフィルム除去内視鏡22(即ち、「内視鏡」)は図2に更に詳細に示されるが、内部の身体的構造を撮像するのに他の方法で有用な様々な従来型の構成要素を含む。例えば、一般用語では、内視鏡22は、ハンドル40と撮像組立部42と挿入部分44とを含む。撮像組立体42はハンドル40に維持されてハンドル40から近位方向に延伸し、これに対して、挿入部分44はハンドル40から遠位方向に延伸する。これに関して、挿入部分44は身体への挿入に適した大きさにされ、1又は2以上の通路、即ち、(図2では隠れている)内腔(lumens)を形成して、標的部位の撮像、並びに、以下に記述するバイオフィルムの除去を容易にする。
【0012】
ハンドル40は、バイオフィルム除去処置を実行する際に、ユーザによる内視鏡22の便利な取り扱いを促進するのに適し、その結果、様々な形状と大きさとを取ることがある。ハンドル40は、以下に記述するように、他の内部の構成要素と同様に、撮像組立体42及び挿入部分44を維持する。例えば、ハンドル40は、バイオフィルム除去内視鏡22への洗浄剤の流体流れのユーザ制御の活性化及び不活性化を許容するのに適した(一般に参照される)トリガー組立体46を維持する。
【0013】
トリガー組立体46は様々な形状を取ることがあり、一般に、移動可能なトリガー48とセンサ(不図示)とコネクタ49とを含む。センサは、(例えばユーザに押し下げられるときの)トリガー48の動きを検知し、センサに検知された情報を順番に信号化するコントローラ32(図1)にコネクタ49で電気的に接続している。その結果、コネクタ49は、洗浄剤の放出を促進する(或いは、洗浄剤の放出における減衰を促進する)。コネクタ49は、例えば配管、ワイヤ、ワイヤレスコネクタ等、様々な形状を取ることがある。
【0014】
撮像組立体42は従来型の構成を有し、一般に、アイピース50及び焦点リング52と、(一般に参照される)接続組立体54とを含む。アイピース50は(以下に記述するように)標的部位で生成される画像情報を提供する。「撮像(Imaging)」、「撮像に適した(adapted to image)」や類似の用語は、例えば撮像装置26(図1)や他の電気機器を使用した、電気的な撮像を介した電気的視認性、及び/又は、データ解析と同様、内視鏡22の光学的構成要素を通して直接的な視認性のすべてを含むように理解されるべきである。これに留意して、焦点リング52はアイピース50の周りに配され、画像や画像データを焦点に合わせるように作用可能である。接続組立体54は、本技術分野で公知のように、撮像組立体42と撮像装置26との間の電気接続を確立するのに適する。代替的には、撮像組立体42は、他の様々な形状を取ることがあり、アイピース50、及び/又は、焦点リング52を省くことが可能である。
【0015】
挿入部分44は、侵襲を最小限にして身体に挿入するために大きさが定められた細長の形状を有する。これに関して、挿入部分44は、互いに貼り付けられた1又は2以上の構造で構成され、或いは、単一で均質な本体で構成されることがある。それにも関わらず、挿入部分44は、一般的に近位セグメント60と遠位セグメント62とによって画定される。近位セグメント60はハンドル40から延伸するが、遠位セグメント62は近位セグメント60から延伸し、作業端部即ち遠位端部66を形成する先端部64で終わる。他の方法で作業端部66で容易にされた内視鏡22の様々な特徴が以下に記述される。いくつかの実施形態では、近位セグメント60は、剛体、或いは、実質的に剛体であり、一方、遠位セグメント62は、可撓性を有し、或いは、関節動作可能(articulatable)であり、ハンドル40に対して先端部64のユーザ制御の動きを可能にする。例えば、遠位セグメント62は、各々が可撓性を有する材料、一連のリンク、椎骨(vertebrae)で形成された1又は2以上の本体を含むことがあり、或いは、遠位セグメント62は他の方法で遠位セグメント62を選択して曲げることを容易にするのに好適である。これに関して、内視鏡22は遠位セグメント62を関節動作させる(articulate)ため、(引きワイヤ等)当業者に公知のものを含む構成要素を含み、ハンドル40に維持されユーザが操作可能な(一般に参照される)制御組立体70を含んで、遠位セグメント62を曲げ、その結果、先端部64/作業端部66を所望の方向に「狙いを定める」ことを遂行する。この構成を備えて、それから、遠位セグメント62は、図2の透視図に示されるように、様々な方向に関節動作可能であり、或いは、曲げ可能である。代替的には、以下に更に詳細に記載されるように、挿入部分44は、遠位セグメント62を含むが、更に剛体の構造を有することがあり、及び/又は、可鍛な材料(malleable material)で形成されて、ユーザが遠位セグメント62を所望の曲げ角度に操作し、それから、使用中この形状を固定して維持することを可能にする。
【0016】
内視鏡22、特に挿入部分44の更なる特徴が、その特徴以外に先端部64を更に詳細に図示する図3Aに示されている。作業端部66は、挿入部分44の半径方向の、即ち、横方向の面として一般に画定される。これに留意して、挿入部分44は、視認窓部82と照明ポート84とノズル86と吸引口88とを含む。視認窓部82は作業端部66内に形成され、本技術分野で公知の種類のものである。特に、視認窓部82は画像データや情報の取得を容易にし、その結果、以下に記載されるように、撮像組立体42(図2)に光学的に接続される。照明ポート84は、同様に、作業端部66内に形成され、内視鏡22から光が出射される地点として機能する(serve)。これに関して、照明ポート84は、以下に記載されるように、光源24(図1)に光学接続される。ノズル86は作業端部66から遠位方向に突き出ており、標的部位に向けて加圧流体や洗浄剤を分注するのに適している。最後に、吸引口88は作業端部66に形成され、使用中に標的部位から流体と他の物質の吸引(aspiration)や排出(evacuation)を促進する。構成要素82−88の各々は、挿入部分44によって形成される1又は2以上の通路を介して、システム20(図1)の対応する他の構成要素に接続される。例えば、図3Bを参照すれば、挿入部分44は、撮像通路100と照明通路102と流体通路104と吸引通路106とを含む。いくつかの実施形態では、通路100−106は、一体化された均質体108内に形成された内腔として備わっている。代替的には、1又は2以上の通路100−106は、チューブや、他の方法でそのまま残る通路100−106を画定する1又は2以上の他の本体に似せられた類似の構造によって画定されることが可能である。それにもかかわらず、通路100−106は互いに対して恒久的に貼り付けられて、その結果、バイオフィルム除去内視鏡22の一部として各々提供される。
【0017】
図2乃至図3Bを一体として参照すれば、撮像通路100は、視認窓部82を撮像組立体42に光学接続する。それから、従来から知られているように、撮像組立体42は視認窓部82と撮像通路100とを介して作業端部66にて画像情報を取得することが可能である。これに関して、挿入部分44は(図3Bに概略的に示された)ファイバ光学ストランド(fiber optical strands)即ち束110を含み、これは、知られるように、視認窓部82と撮像組立体42との間の光学接続を確立するために、撮像通路100内に配設されてハンドル40を通って延伸する。
【0018】
照明通路102は、照明ポート84を光源24(図1)に光学接続する。これに関して、(図3Bに概略的に示された)光ファイバの束112は照明通路102内に配設されて、挿入部分44を通ってハンドル40へ延伸する。この構造で、内視鏡22は、囲われた光ファイバ112を光源24に接続する光ポスト114(図2)や類似の構造を更に含む。代替的には、照明を作業端部66/照明ポート84へ放出するのに適した他の任意の構造もまた許容される。更に、2以上の照明ポート84と照明通路102とが提供されることもある。
【0019】
流体通路104はノズル86に流体的に接続され、挿入部分44を通って延伸する。以下に述べるように、流体通路104は、いくつかの実施形態における挿入部分本体108によって画定された内腔である。このアプローチで、ハンドル40は、内腔に流体接続した配管(不図示)を内部に維持する。代替的には、流体通路104は、挿入部分44に沿ってハンドル40内へ延伸する、可撓性を有して曲げ可能な配管とすることも可能である。それにもかかわらず、ハンドル40は、洗浄剤配管34(図1)に流体接続するのに適した洗浄剤ポート120(図3A)を含むか、形成する。
【0020】
図3Aを特に参照すれば、ノズル86は、ノズル86へ放出される流体の洗浄剤がそこを通って分注される開口部122を形成する。ノズル86は様々な形態を取ることが可能であるが、いくつかの実施形態では、ノズル86は、扇型類似の噴射パターン(fan-like spray pattern)を生成するように構成され、作業端部66によって回転可能に維持されるか、或いは、作業端部66に組み立てられる。参照点として、本開示のいくつかの特徴に従えば、バイオフィルム除去内視鏡22はノズル86を通過して製造されるとき、流体の流れでバイオフィルムを機械的に破壊する(disrupt)ように提供される。これに関して、ノズル86はシンプルなオリフィス型ノズルであることもあるが、扇型の噴射タイプのノズル構造はバイオフィルムの除去に関連して予期しない利点を提供することもあるということを、驚くべきことに発見した。オリフィス型ノズルはオリフィス径に概ね等しい合焦された流れを生成する。このことは、替わって、使用中に組織の比較的小さな領域に機械的破壊を生成する。より広い領域でバイオフィルムの除去を遂行するには、それから、オリフィス型ノズルは他の領域を処置するために空間の中で同様に関節動作させなければならない。しかしながら、図3Aの1つの構造では、ノズル86は、組織の「線」上に機械的破壊を生成する扇型の噴射タイプのノズルである。ノズル86が(以下に述べるように)その軸周りに回転するとき、この線は、そのとき、組織のかなり大きな領域を吹き飛ばす(sweep out)ことができる。
【0021】
上記のことに留意すれば、ノズル86は管状タイプの本体で、作業端部66に組み立てられた(一般に参照される)本体端部124と、開口部122がV字カットの形態をなしている反対側の主要な半球状の端部126とを画定する。いくつかの実施形態では、V字カットの開口部122は、ノズル86の側面128に沿って延伸するように形成されて、側方監視の噴射パターン(a side-lookmg spray pattern)を生成する(そしてその結果、以下に記載されるように、ノズル86の回転で更に多くの領域を覆う)。代替的には、V字カットの開口部122はノズル86の軸に対して中央に形成されることもある。それにも関わらず、ノズル86は作業端部66に組み立てられ、その結果、ノズル86の主要端部126は作業端部66を越えて遠位方向に突き出ており、その結果、開口部122によって、又は、開口部122を通過して生成される噴射パターンは、作業端部66によって衝撃を受けない。
【0022】
上に示すように、いくつかの実施形態では、ノズル86は作業端部66に対して可動となるように組み立てられる。これに関して、ノズル86は、ノズル86のユーザ制御の回転を遂行するための構成要素を更に含む内視鏡22と共に、作業端部66に支承可能に取り付けられることがある。例えば、流体通路104は、ノズル86に貼り付けられた堅いが曲げ可能な管(例えば、肉薄の金属管)である場合があり(或いは、その中に配されることがあり)、挿入部分44の残りの部分に対して回転可能に組み立てられ、ハンドル40(図2)の中へ延伸する。この構成で、流体通路/管104(例えば、ハンドル40に維持されたユーザ操作のノズルコントローラ130に備えられたギア付きインターフェイス(不図示))が回転するとき、ノズル86は回転する。ノズル86のユーザ制御の回転を遂行可能な他の様々な構成も許容される。代替的には、ノズル86は作業端部66に対して恒久的に貼り付けられることが可能であり、その結果、ノズル86は挿入部分44の残りの部分に対して回転可能ではない。
【0023】
図2乃至図3Bに戻って、吸引通路106は吸引口88に流体接続され、挿入部分44を通って延伸する。上に述べた流体通路104に関して、吸引通路106は挿入部分44を通ってハンドル40内へ延伸する管によって画定されることがあり、或いは、内腔に流体接続された別の管(不図示)を順番に維持するハンドル40と共に、挿入部分本体108によって形成される内腔であることがある。図2に示されるように、ハンドル40は、吸引通路106に流体接続された吸引ポート132を更に含むか、形成する。吸引ポート132は、以前に記載したように、例えば、真空配管36(図1)を介した真空源30(図1)への流体接続に適する。それにもかかわらず、吸引通路106は吸引口88を介した真空源30への流体の吸引や除去を容易にする。
【0024】
上記の説明に留意すれば、最終的に組み立てられたとき、バイオフィルム除去内視鏡22は、合焦され加圧された噴射や流体の流れを挿入部分44からノズル86を介して放出することと同様に、従来の内視鏡を使った撮像を実行するように構成されている。これに関して、洗浄流体の供給は流体通路104を介して提供される。先端部64の空間的で角度を有した方向付け(spatial, angular orientation)、そしてその結果として、ノズル86の空間的で角度を有した方向付けは、ユーザによって制御組立体70を介して選択され、改められることが可能である。その結果、バイオフィルムの標的部位に対するノズル86の「攻撃角度(angle of attack)」は、ユーザによって所望なように調節されることが可能である。更に、内視鏡22は吸引口88/吸引通路106を介して標的部位から除去されたバイオフィルムの(同様に他の液体や物質も)排出を容易にする。
【0025】
図1に戻って、システム20の他の構成要素は様々な形態を取ることが可能である。例えば、光源24は照射光を照明ポート84へ順番に振り向けさせる内視鏡22に提供され、内部の身体的構造や撮像されている他の標的部位を照明し、関連する像や画像データと共に、作業端部66から(特に視認窓部82から)内視鏡22を介して撮像装置26へ戻って透過する。これに留意して、撮像装置は選択的にはイメージセンサであり、例えば、ビデオカメラ、ディスプレイ、及び/又は、内視鏡を使った処置に関連して一般に使用されるものを含む他の撮像電子機器である。撮像装置26は独立型の構成要素の場合もあり、或いは、コントローラ32に連結されることもある。それにもかかわらず、従来から知られるように、撮像装置26と内視鏡22とは、内視鏡22を使用するバイオフィルム除去処置の前、処置の最中、及び/又は、処置の後に、撮像に使用される。
【0026】
流体源28は、リザーバ142に接続されたポンプ140を含むことがある。いくつかの実施形態では、ポンプ140は、例えば、外科処置に関連して一般に使用されるような蠕動ポンプ(peristaltic pump)であり、以下に記載されるように、ポンプ140はリザーバ142から内視鏡22への流体の流れを加圧するように作用する。リザーバ142は、例えば、2006年5月10日出願の「バイオフィルム細胞外多糖類溶媒化(EPS)システム(Biofilm Extracellular Polysaccharide Solvating (EPS) System)」という表題の米国特許出願番号11/431,495号に記載された洗浄流体を含む、洗浄剤で満たされた、1又は2以上のIVバッグを含むことがある。この出願の内容は、参照されて本出願に組み込まれる。いくつかの実施形態では、洗浄剤は、薬剤、細菌性バイオフィルムの再生を妨げるのに適した薬剤、界面活性剤(surfactants)、ゲル、抗菌薬、ステロイド、成長ホルモン、バイオフィルムの癒着力(biofilm adhesion force)を減らす化学薬品、その他を含む。
【0027】
流体源28は、いくつかの実施形態では配管セットである流体コネクタ34を介して内視鏡22に接続される。例えば、流体コネクタ34は例えば洗浄剤ポート120(図2)を介して流体通路104(図3B)に流体的に連通した状態にある(或いは、流体通路104の一部分として形成されることがある)。更に、流体コネクタ34は、例えば上述した薬剤など、流体源28から洗浄剤(不図示)へ薬剤を導入する予備的な口又はポート(不図示)を含むことがある。
【0028】
(一般に参照される)真空源30は真空コネクタ36を介して内視鏡22への吸引又は真空の流れを提供するのに適している。真空源30は負圧源(不図示)を真空コネクタ36へ流体接続するキャニスタ150を含むことがある。真空コネクタ36は吸引通路106(図3B)及び負圧源30に流体的に連通するように配置されるか、あるとすればその一部として形成される。端部では、吸引ポート130は真空コネクタ36を吸引通路106に流体接続するように機能する(serve)ことがある。この方法では、吸引口88(図3A)は真空源30と流体的な連通状態となり、その結果、吸引の流れは吸引通路106を通って「引かれる」ことがある。付加的には、そして、いくつかの実施形態では、キャニスタ150は、外科処置中に一般に使用されるそれらを含むバイオフィルム除去内視鏡22の使用中に吸引される残骸(debris)や他の物体を収集するための廃棄処理手段、例えば、廃棄処理タンクとして機能する。
【0029】
以前に参照されたように、コントローラ32は選択的には独立型の装置、又は、システムの他の任意の構成要素と物理的に関連しているが、コントローラ32はシステム20の操作を制御し、流体源28と物理的に関連するように設計される。コントローラ32は多様な機能を実行可能な様々な形態を取ることが可能であり、マイクロチップ、メモリ、及び/又は、適切なコントローラの電子部品を含むことがある。
【0030】
コントローラ32はバイオフィルム除去内視鏡22及び流体源28と連通状態に置かれる。コントローラ32は他の方法でトリガー組立体46(図2)に関連しているコネクタ49を介して内視鏡22に電気接続されることが可能である。コントローラ32はまた、ワイヤや、例えばワイヤレスの送信機及び受信機を使用した適切な他の手段を介して、流体源28及び/又は真空源30に直接又は間接に連通状態に置かれることもある。それにもかかわらず、いくつかの実施形態では、トリガー組立体46の作用は、順番に流体源28を作動させて、所望なように内視鏡22への洗浄剤の流れを提供するコントローラ32へ信号を送る。いくつかの実施形態では、コントローラ32は更に直接又は間接のいずれかで真空源30の動作を操作を制御することが可能である。これらの線に沿って、他の構成では、コントローラ32は所望の様々な洗浄プロフィール、及び/又は、勾配作動(ramp actuation)、時間遅延、変化された流れパターンその他を含む吸引プロフィールに従って、システム20を操作するようにプログラムされるか適合することがある。例えば、いくつかの実施形態では、システム20は更に、足スイッチ(foot switch)180、或いは、ユーザ(不図示)によって操作され、内視鏡22、流体源28、及び/又は、真空源30の操作を制御する足スイッチ180を備えたコントローラ32に電気接続された類似の装置を含む。他の実施形態では、足スイッチ180はそこで操作を制御するための真空源30に直接に接続されることがある。
【0031】
システム20は、患者の解剖学上の多様な箇所に様々な処置を実行するのに採用されることがある。ほんの1つの例示する目的で、図4は、例えば鼻孔(nares)314a,314bを通ってアクセスする上顎洞310a,310b、及び、前頭洞312a,312bのような洞腔(sinus cavity)を含む患者の内部の身体的構造を図示する。鼻孔314a,314bを含む患者の外部の特徴は破断線で示されていることは記載されるべきである。システム20が有益ないくつかの処置のために(例えば、慢性副鼻腔炎に罹っている患者)、第1の標的部位316は、バイオフィルム層(不図示)を実質的に除去する外科的方法論の記載のために、上顎洞310aの表面と関連付けられて指摘されることがある。しかしながら、類似の原理が、例えば洞腔(例えば上顎前頭の蝶形骨(sphenoid)等)、耳洞(中耳他)等のような様々な内部の身体的構造に関連した様々な標的部位を含んで、実施形態の全体に適用されることは理解されるべきである。このことに留意して、いくつかの実施形態では、第1の標的部位は、関連のある細菌層及び関連のあるバイオフィルム(不図示)を有する上顎洞310aの繊毛上皮である。他の実施形態では、標的部位316は、例えば洞塞栓(sinus packing)、又は、細菌性バイオフィルム層に覆われたステント(stent)のような人工的な構造(不図示)である。
【0032】
図1及び図4を関連付けて参照すれば、標的部位316から細菌性バイオフィルムを除去することにシステム20を使用することは、従来から知られているように、バイオフィルム除去内視鏡22を光源24及び撮像装置26に接続することを含む。流体源28及び真空源30も同様に、上述のように、内視鏡22に接続される。例えば覆いをかけている、或いは、外科的処置、及び/又は、内視鏡を使った処置に共通に使用される他のもののような(図1において概略的に図示された)無菌バリア320は、いくつかの実施形態では、内視鏡22及び患者の周りに配置され、無菌の手術環境を維持することを助ける。
【0033】
挿入部分44は、それから、患者の中に挿入される標的部位316に振り向ける。これに関して、撮像装置26は(光源24も)、挿入部分44を標的部位316に対して適切に配置するために採用される。これらと同じ線に沿って、機能的な内視鏡の洞外科手術(FESS)はまた、挿入部分44の放出に先立って、或いは、並行して実行されることがある。
【0034】
上で参照されるように、バイオフィルム層を除去するために標的部位上に作用するいくつかの実施形態は上顎洞310a及び標的部位316を参照して記述されるが、洞腔や中耳の洞(不図示)を含む他の標的部位、及び/又は、洞でのバイオフィルム除去は実質的に類似の方法で進むことがあるということは理解されるであろう。このことに留意して、バイオフィルム除去内視鏡22は、初期的には、バイオフィルム除去処置の実行において、システム20の操作に先立って、操作の最中に、及び/又は、操作に続いて、標的部位316(又は他の内部の身体的構造)を撮像するように操作される。
【0035】
図4に示されるように、内視鏡22の挿入部分44は鼻孔314aを介して上顎洞310aの中へ挿入され、先端部64/作業端部66を標的部位316に向けて、又は、その近くに振り向ける。これに関して、作業端部66(そしてその結果、ノズル86)を標的部位316に案内し、及び/又は、「狙いを定める」ことに関して開業医(practitioner)を助けるために、撮像装置26及び内視鏡22は、挿入部分44の挿入に先立って、挿入の最中に、又は、挿入の後に、像を取得するように操作される。
【0036】
遠位セグメント62はそれから、ユーザによって(制御組立体70を介して)選択的に曲げられ又は関節動作され、標的部位316に対して作業端部66/ノズル86を所望の方向に「狙いを定め」、及び/又は、挿入部分44を上顎洞310aの中へ振り向けることを容易にする。先端部64が標的部位316に近づくとき、遠位セグメント62は更に、作業端部66、特にノズル86によって画定された標的部位316に対する攻撃角度に取り組む(address)ために関節動作する。これに関して、開業医は、作業端部66/ノズル86が適切に「狙いを定め」ているか、或いは、作業端部66/ノズル86がその他の方法で内視鏡22/撮像装置26の操作を介して標的部位316に対して配設されるかを評価することがある。いくつかの実施形態では、開業医は、バイオフィルム層の存在/配置を観察すること、例えば撮像装置26上に表示される像を評価することで、標的部位316を特定することが可能である。
【0037】
いったん所望の通りに配置されると、それから、開業医は標的部位316への洗浄剤の加圧された流れの放出を促進し、トリガー組立体46と調整(interface)することで標的部位316から細菌性バイオフィルムのかなりの量の除去(removal)又は根絶(eradication)を遂行する。この調整又は作動に反応して、流体通路104(図3B)とその結果としてノズル86を通過する洗浄剤の流れを供給するために、順番に流体源28の作動を促進するコントローラ32へ、信号が送られる。洗浄剤の流れは、約2ミリリットル毎秒から約12ミリリットル毎秒の流速を含む様々な実施形態に従った様々な流速で、ノズル86を通って振り向けられることが考えられる。いくつかの実施形態では、システム20はノズル86を通過するパルス流を引き起こすのに適し、他の実施形態では実質的に継続的な流れを、更に別の実施形態ではパルス流又は実質的に継続的な流れ以外の流れパターンを引き起こすのに適している。
【0038】
ノズル86から分注された洗浄剤の流れは、標的部位316に直接衝突する(impinge upon)か、その他の方法で直接ぶつかって(strike)、バイオフィルムの実質的に一部分又は実質的に全部を機械的に動かす(agitate)か除去する。言い換えれば、以前に記述したように、ノズル86が挿入部分44によって充分にアクセスするとき、ノズル86は標的部位316にて直接に狙いを定めることができ、その結果、機械的な「こすり荒いする(scrubbing)」動きが達成される。洗浄剤の圧力、及び/又は、流速は、例えば繊毛上皮層のような下の組織に実質的に損傷を与えることなく、バイオフィルムの機械的な除去を促進するように選択されることは記載されるべきである。他の圧力もまた許容されることがあるが、例えば約50psi以下の圧力が選択されることが可能である。
【0039】
加圧された洗浄剤のノズル86からの継続的な流れで、以前に記述したように、開業医は定期的及び/又は継続してノズル86を回転する。このアプローチで、ノズル86は、掃かれた扇型の噴射パターン(fan spray pattern)を標的部位316全体に遂行する。特に、この掃かれた噴射パターンのために、作動端部66/ノズル86を標的部位316に対して正確に配置する能力は、ノズル86から放出される加圧洗浄剤によって相対的に大きな表面領域が作動されることが可能であるという点であまり重要ではない。しかしながら、代替的には、ノズル86は他の非常に多様な構成を取ることが可能であり、及び/又は、作業端部66に対してノズル86を回転させる能力が提供される必要はない。
【0040】
いくつかの実施形態では、除去された細菌性バイオフィルム、細菌、粘液質(mucous)、分泌物(secretions)、死んだ組織(dead tissue)、他の望まない物体の吸引は、例えば標的部位316に対する洗浄剤の分注の最中、及び/又は、分注後に吸引口88(図3A)を使って達成される。バイオフィルム除去内視鏡22は、例えば洗浄剤と並行して、及び/又は、いくらかの時間差(例えば洗浄の前後)で、トリガー組立体46及び/又は足スイッチ180を操作するユーザに応じて、選択的に又は継続して真空源30を作動させるように操作される。その望まない物体は標的部位316から除去され、その他の方法で真空源30に関連付けられた生物収集キャニスタ(biological collection canister)150に振り向けられることがある。
【0041】
上述のシステム及び方法は、多様な異なる及び解剖学上の箇所や標的部位に関連した様々な疾病(maladies)の外科的治療に非常に有益である。例えば、洞及び内耳の標的部位に加えて、本開示のシステム及び方法は、患者の肺(例えば、肺の嚢胞性繊維症(cystic fibrosis)及び気道上皮(respiratory epithelium))、泌尿器関連(urological)、及び/又は、婦人科関連の(gynecological)の部位(尿路感染症(urinary tract infections))等を治療するために使用され得る。
【0042】
本開示のシステム及び方法は、例えば慢性副鼻腔炎等の様々な病気を治療するために使用された以前の技術及び装置に著しい改善を提供する。合焦された加圧流体を使ってバイオフィルムの根絶を遂行させることで、更に完全な治療が、侵襲を最小限にする基礎に基づいて、患者に提供される。更に、洞と他の応用とで排水経路が回復され、治療部位の換気(ventilation)が提供され(その結果、バイオフィルムの再生の機会は最小にされ)、他の機能的で内視鏡を使った洞外科治療が提供され得る(例えば、薬剤や洗浄剤の局所的な適用等)。
【0043】
上記の見地から、バイオフィルム除去内視鏡22を使用して、内部の身体的な洞の中の標的部位から細菌性バイオフィルムを根絶する方法が、いくつかの実施形態に従って提供される。これに関して、内視鏡22は可撓性を有する遠位セグメント62を有するとして記載してきたが、他の実施形態では、更に剛性を有する構造が提供されることもある。
【0044】
例えば、図5A及び図5Bは、上述されたシステム20(図1)で有益な、別の実施形態のバイオフィルム除去内視鏡400を概略的に図示する。内視鏡400はバイオフィルム除去内視鏡22(図1)に実質的に類似し、ハンドル402及び挿入部分404を含む対応する構成要素を備えている。他の構成要素(例えば、撮像組立体)は図5に示されていない。それにもかかわらず、挿入部分404は相対的に剛性を有し、第1、第2、第3の配管406−410で構成される。配管406−410は互いに恒久的に貼り付けられており、ひとまとめに挿入部分404を画定し、1又は2以上の曲げ部412を有する。挿入部分404の剛性を有する構造は、曲げ部412が独立して維持されて、内視鏡400の通常の使用の間に変わらない程である。その結果、曲げ部412の程度及び場所は、特別の処置を実行する点で、バイオフィルム除去内視鏡400の使用のために予め画定される。
【0045】
上記の点に留意して、第1の配管406は撮像と照明の通路414(ひとまとめに参照される)を画定し、その通路の中で、必要な光学的構成要素(不図示)は、以前に記述したように、標的部位の内視鏡を使った撮像を実行するために維持される。その結果、例えば第1の配管406は視認窓部(不図示)で終わることがあり、照明ポート(不図示)は挿入部分404の遠位の作業端部416で終わることがある。
【0046】
第2の配管408は第1の配管406に貼り付けられて、洗浄剤を放出するのに適した流体通路418を形成する。これに関して、挿入部分404は他の方法で第2の配管408に流体接続され、作業端部416から遠位方向に突き出ていると以前に記述したノズル86(図3A)に類似のノズル(不図示)を更に含む。第2の配管408の反対側の端部は流体源28(図1)への流体接続に適した洗浄剤ポート420に流体接続され、及び/又は、洗浄剤ポート420を形成する。
【0047】
第3の配管410は同様に第1の配管406に貼り付けられ、作業端部416に形成された吸引口422と真空源30(図1)との間の流体接続を確立するのに適した吸引通路422を形成する。これに関して、第3の配管410は他の方法で真空源30への流体接続に利用可能な吸引ポート424に流体接続され、及び/又は、吸引ポート424を形成することがある。
【0048】
バイオフィルム除去内視鏡400は、以前に記述したように、バイオフィルム除去システム20(図1)と接続されて使用されることがある。これに関して、ノズル(不図示)は挿入部分404の作業端部416に対して回転可能に組み立てられることがあり、或いは、しっかりと貼り付けられることがある。それにもかかわらず、標的部位に対する作業端部416、特にノズルの所望の配置は、内視鏡400の撮像能力を介して開業医によって視覚的に確認されることがある。いったん所望のように配置されると、ノズルから放出される加圧流体がバイオフィルム除去を遂行するために採用され、除去された物質の吸引が後に続く、及び/又は、吸引に並行して行われる。
【0049】
図6A乃至図6Cは、システム20(図1)と共に、有用な別の実施形態のバイオフィルム除去内視鏡500を図示する。以前の実施形態と同様に、内視鏡500はハンドル502及び挿入部分504を含む。挿入部分504は第1、第2、第3の配管506−510で構成され、各々は剛性を有するが可鍛の材料(例えば、肉薄の金属管)で形成される。この構成で、挿入部分504は開業医に操作されることがあり、例えば、図6A及び図6Bの比較によって示されるように、いわゆる曲げ部を使用中に独立して維持する挿入部分504で、所望の箇所に様々な所望の曲げ部を取ることができる。図5のバイオフィルム除去内視鏡400に類似して、第1の配管506は標的部位の内視鏡を使った撮像を遂行するのに必要な様々な光学的構成要素を維持するのに適した通路514を形成する。これに関して、挿入部分504は、それの作業端部516にて、例えば視認窓部(不図示)及び照明ポート(不図示)を含む第1の配管506に光学接続された、必要な光学的構成要素を含むことがある。
【0050】
第2の配管508は作業端部516に流体接続され、そこから突き出たノズル(不図示)に洗浄剤を放出するのに適した流体通路518を形成する。第3の配管510は例えば吸引口522を介して作業端部516から流体や他の物質を吸引するのに適した吸引通路520を形成する。それにもかかわらず、配管506−510は互いに対して恒久的に貼り付けられる。
【0051】
使用中、バイオフィルム除去内視鏡500は、以前の記述と非常に類似の方法で、システム20に接続して動作する。しかしながら、図6A乃至図6Cの実施形態では、使用に先立って、挿入部分504は、開業医によって、実行されるべき処置に相応しい所望の形状に曲げられる。作業端部516は、それから、内視鏡を使って取得した像に対する参照に基づいて、標的部位へ放出される。
【0052】
内視鏡20(図1)、400(図5A,図5B)、500は、各々が洗浄剤通路及び吸引通路を含むように記述してきたが、他の実施形態では、通路の1つが内視鏡から除去されて別個の装置の一部として提供されることがある。その結果、例えば、別の実施形態では、本開示の原理に従ったバイオフィルム除去内視鏡は、内視鏡を使った撮像に必要な構成要素/通路と(例えば、撮像通路/視認窓部、及び、照明通路/照明ポートである。他の実施形態では照明はバイオフィルム除去内視鏡とは別の機器によって提供されることがある)、他の方法で撮像通路に対して恒久的に貼り付けられる更に1つの通路とを含む。更に1つの通路を通して、流体の放出や吸引の一方が実行される。
【0053】
本開示は、好適な実施形態を参照して記述したが、本技術分野の当業者は本開示の精神及び範囲から逸脱することなく形状及び詳細において変更がなされ得ることを認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の標的部位から細菌性バイオフィルムを除去する方法であって、
作業端部にて終わる挿入部分を有するバイオフィルム除去内視鏡であって、当該挿入部分が当該作業端部に配設された視認窓部で終わる撮像通路を形成する、バイオフィルム除去内視鏡と、
前記作業端部に運ばれたノズルで終わる洗浄剤通路であって、前記撮像通路及び当該洗浄剤通路が互いに対して恒久的に貼り付けられた、洗浄剤通路と
を有する細菌性バイオフィルム除去システムを提供する工程と、
前記挿入部分を患者内に挿入する工程と、
前記作業端部を前記標的部位に近接して配設する工程であって、当該標的部位が表面に付着した細菌性バイオフィルム層を含む、工程と、
前記標的部位を前記視認窓部を介して前記バイオフィルム除去内視鏡で撮像する工程と、
前記表面から前記細菌性バイオフィルム層の実質的に一部分を機械的に除去するために、前記バイオフィルム除去内視鏡で前記ノズルを介して前記標的部位に向けた流体の流れを分注する工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記挿入部分は可撓性を有する遠位セグメントを含み、更に、
前記作業端部を前記標的部位に近接して配設する工程は、前記ノズルの攻撃角度を改めるために、前記内視鏡のハンドルに対して前記遠位セグメントを空間的に関節動作させる工程を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記遠位セグメントを空間的に関節動作させる工程は、
前記作業端部を前記標的部位に対する第1の配置へ放出する工程と、
取得した像に基づいてバイオフィルム除去の処置を続けて実行するに際して、前記ノズルの前記第1の配置の妥当性を評価する工程と、
前記遠位セグメントにおける曲げを遂行して前記標的部位に対する前記ノズルの攻撃角度を第1の攻撃角度から第2の攻撃角度へと改めるために、患者の外部のアクチュエータを動作させる工程と
を含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記標的部位から前記除去された細菌性バイオフィルムを吸引する工程を更に有する、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
流体の流れを分注する工程と、前記除去された細菌性バイオフィルムを吸引する工程とは、同時に起こる、方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法において、
前記内視鏡の前記挿入部分は、前記吸引口で終わる吸引通路であって、前記撮像通路及び前記洗浄剤通路に対して恒久的に貼り付けられる吸引通路を前記作業端部に更に形成し、更に、
前記除去されたバイオフィルムの吸引は、前記吸引口を介して前記バイオフィルム除去内視鏡によって容易にされる、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
前記細菌性バイオフィルム層の実質的にすべてが、前記分注された流体で前記標的部位から除去される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
細菌性バイオフィルムの再生を妨げるのに適した薬剤を、前記洗浄剤通路を通して前記標的部位に適用する工程を更に有する、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
前記薬剤は、界面活性剤、ゲル、抗菌薬、ステロイド、成長ホルモン、それの結合剤からなるグループから選択される、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
前記流体の流れは、約2ミリリットル毎秒から約12ミリリットル毎秒までの流速で、前記ノズルを通して振り向けられる、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
前記標的部位は、洞腔内にある、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、
前記標的部位は、繊毛上皮を含む、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、
前記方法は、慢性副鼻腔炎の治療において実行される、方法。
【請求項14】
患者の標的部位から細菌性バイオフィルムを除去するためのシステムであって、
前記システムは、バイオフィルム除去内視鏡を有し、
前記バイオフィルム除去内視鏡は、
ハンドルと、
身体への挿入に適した挿入部分であって、
前記標的部位の撮像を容易にする視認窓部で終わる撮像通路と、
前記視認窓部を越えて遠位方向に突き出たノズルで終わる洗浄剤通路と
を形成する挿入部分と
を含み、
前記内視鏡は、前記洗浄剤通路を通って放出される加圧流体が前記ノズルによって前記視認窓部から離れて振り向けられて、前記標的部位で細菌性バイオフィルム層上に衝撃を与えるように構成されている、システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムにおいて、
前記洗浄剤通路及び前記撮像通路は、互いに対して恒久的に貼り付けられる、システム。
【請求項16】
請求項14に記載のシステムにおいて、
前記挿入部分は、可撓性を有する遠位セグメントを含む、システム。
【請求項17】
請求項14に記載のシステムにおいて、
前記挿入部分の少なくともセグメントは、当該挿入部分が前記ハンドルに対して選択的に曲げ可能なように実質的に可鍛であり、更に、
前記ノズルは、当該ノズルが前記挿入部分の曲げで所望の方向に狙いを定められるように前記作業端部に取り付けられる、システム。
【請求項18】
請求項14に記載のシステムにおいて、
前記挿入部分は、前記視認窓部に近接して形成される吸引口で終わる吸引通路を更に形成する、システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記洗浄剤通路に流体接続された加圧流体源と、
前記吸引通路に流体接続された真空源と
を更に有する、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公表番号】特表2010−519962(P2010−519962A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551779(P2009−551779)
【出願日】平成20年2月11日(2008.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/053530
【国際公開番号】WO2008/106298
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(504101304)メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】