説明

バイオマスプラスチック材料及びバイオマスプラスチック成形物の製造方法

【課題】 ブロー成形に適し優れた成形性を備えるとともに、化石燃料への依存度を低減し高い生分解性を備えることで環境へ十分な配慮がされ、低コスト化を実現したバイオマスプラスチック材料及びバイオマスプラスチック成形物の製造方法を提供する。
【解決手段】 バイオマスプラスチック材料は、生分解性を備えた米デンプンを主材とし、これにポリプロピレン等の非架橋性ポリマーを加えて溶融混練した混合物に、電子線を照射することにより架橋処理を施した架橋性ポリマーを加えて生成したバイオマスプラスチック材料を再度溶融混練し、ブロー成形を行うことにより、生分解性樹脂バイオマスプラスチック成形物が製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスプラスチック材料及びバイオマスプラスチック成形物の製造方法に関し、特に、植物由来の原料を主材とする環境に配慮したバイオマスプラスチック材料及びバイオマスプラスチック成形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量な上に安価で成形性もよいことから、化石燃料由来のプラスチック製品が、多岐にわたって利用されている。例えば、ポリエチレンテレフタレートを主材とする飲料用ボトルは、ガラス製のものと比べて非常に軽量であることから持ち運びに便利であり、大量に生産され、消費者の生活や流通の面で大きく貢献している。
【0003】
しかしながら、上記のように多岐・大量に利用された結果、石油を初めとする化石燃料の枯渇の問題や、生分解性に乏しいために使用後にゴミが大量に発生するといった環境問題が生じ、これらの問題を解決することが世界中において重要な課題となっている。
【0004】
上記のような自然環境保護の見地から、従来から用いられているプラスチック製品に代わって、化石燃料への依存性が低く、生分解性に優れた素材による製品の開発が強く望まれている。
このような従来のプラスチック製品に代わるものとして、ポリ乳酸を主材とする生分解性プラスチック製品が提案されている。
このポリ乳酸を主材とするプラスチックは、トウモロコシやじゃがいも等の植物から大量に抽出可能な所謂バイオマスプラスチックであり、従来のプラスチックと比べて、石油等の化石燃料への依存度が低いという優れた面を持ち合わせている。また、原料となる植物が生育中に二酸化炭素を吸収することから、近年問題となっている地球温暖化の防止にも有益である。さらに、大半が土中で分解される高い生分解性を備えるものであるので、環境に配慮した製品として好意的に受け入れられている。
【0005】
しかしながら、昨今の生分解性プラスチック及びバイオ燃料の需要の増大により、ポリ乳酸の市場への供給が追いつかないという実情がある。このため、ポリ乳酸の確保が困難となるとともに、価格の高騰といった問題も引き起こしている。
従って、現実的な問題として、さらに上記ポリ乳酸に代わる素材による製品の実用化が望まれている。
【0006】
このようなポリ乳酸に代わるものとして、植物に含有されるデンプン由来のバイオマスプラスチックが開発されている。このデンプンを主材とするバイオマスプラスチックは、ポリ乳酸と同様に植物由来であることから、化石燃料の枯渇、地球温暖化及びゴミ問題といった諸問題を解決可能となっている。また、ポリ乳酸のものと比べて容易に生成できることから、安価で大量供給が可能な材料として期待されている。
【0007】
このようなデンプンを主材とするバイオマスプラスチックに関するものとして、特許文献1に開示する米配合ポリオレフィン樹脂組成物、その製造方法、そのフィルム成形品及びこの成形品の成形方法が提案されている。
この特許文献1に開示される米配合ポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂及び米を主材としたものであり、処分に困っている余剰米を利用することにより、化石燃料から製造されるポリオレフィン樹脂の使用量を低減させることが可能となっている。また、この米配合ポリオレフィン樹脂組成物の成形品は、焼却処分しても燃焼熱や二酸化炭素の発生量を抑え、埋立処分しても分解されやすいので、地球環境の保全に大きく貢献することができる。
【特許文献1】特開2005−330402
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記米配合ポリオレフィン樹脂組成物は、耐熱性や強度の点で問題が多く、その流動性が高いため、全ての成形品の成形方法に適しているとは言い難い。特に、一般によく行われるブロー成形により成形を行う場合には、その成形性が問題となる。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ブロー成形に適し優れた成形性を備えるとともに、化石燃料への依存度を低減し高い生分解性を備えることで環境へ十分な配慮がされ、低コスト化を実現したバイオマスプラスチック材料及びバイオマスプラスチック成形物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、本発明は、ブロー成形に使用される樹脂材料であって、米デンプン、非架橋性ポリマー及び架橋処理を施した架橋性ポリマーを溶融混練して生成されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明におけるバイオマスプラスチック材料は、非架橋性ポリマーとしてポリプロピレン、架橋性ポリマーとして直鎖状低密度ポリエチレンを用い、米デンプンを40〜80重量%、ポリプロピレンを10〜30重量%、架橋処理を施した直鎖状低密度ポリエチレンを10〜30重量%混合されて生成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明によれば、架橋処理は、電離性放射線を照射する照射架橋法又は有機過酸化物を架橋剤として使用する化学架橋法を用いることを特徴とする。
【0013】
また、本発明におけるバイオマスプラスチック成形物の製造方法は、架橋性ポリマーに架橋処理を施す架橋工程と、米デンプン、架橋処理を施した架橋性ポリマー及び非架橋性ポリマーを溶融混練した後に冷却して固形物を生成する固形物生成工程と、固形物生成工程により生成した固形物を溶融混練し、ブロー成形を行う成形工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明によれば、固形物生成工程は、非架橋性ポリマーとしてポリプロピレン、架橋性ポリマーとして直鎖状低密度ポリエチレンを用い、米デンプンを40〜80重量%、ポリプロピレンを10〜30重量%、直鎖状低密度ポリエチレンを10〜30重量%であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明によれば、成形工程は、架橋した固形物を160〜170℃で溶融混練して押出し、成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、生分解性に優れた米デンプン及び非架橋性ポリマーの混合物に対し、電子線を照射することにより架橋処理を施した架橋性ポリマーを加えることにより、生分解性、耐強度、耐熱性及びブロー成形性に優れたバイオマスプラスチック材料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<本実施の形態の概要>
本発明の実施の形態では、生分解性とともに、所定以上の耐強度及び耐熱性を備え、さらにブロー成形に適した優れた成形性を備えたバイオマスプラスチック材料を生成し、このバイオマスプラスチック材料をブロー成形等により成形を行って、ボトル容器等のバイオマスプラスチック成形物を製造する。
以下、「バイオマスプラスチック材料の組成」及び「バイオマスプラスチック成形物の製造方法」について詳細に説明し、さらに、本実施形態の具体例(実施例1,2,3)について説明を進める。
【0018】
<バイオマスプラスチック材料の組成>
まず、本発明の実施の形態におけるバイオマスプラスチック材料の組成について説明する。
本実施の形態におけるバイオマスプラスチック材料は、生分解性を備えた米デンプンを主材とし、これにポリプロピレン等の非架橋性ポリマーを溶融混練した混合物に、電子線を照射したポリエチレン等の架橋性ポリマーを加えて生成するものである。

このバイオマスプラスチック材料は、生分解性を備え、入手が容易な米デンプンを主材としているので、環境に配慮した樹脂材料を容易に提供することが可能となっている。
また、このバイオマスプラスチック材料は、電子線照射により架橋する架橋性ポリマーを含有するので、成形後のバイオマスプラスチック成形物の耐強度及び耐熱性を向上させることが可能となっている。
さらに、このバイオマスプラスチック材料は、電子線照射後でも所定の延伸度を保つ非架橋性ポリマーを含有するので、ブロー成形に適した、優れた成形性を有している。
【0019】
本実施の形態におけるバイオマスプラスチック材料の主材である米デンプンは、架橋性ポリマー及び非架橋性ポリマーとの相溶性を高めるために、生米を水に浸漬させて煮沸させたり、水蒸気で生米を蒸したりして、水分含有量が17%以上かつα化(糊化)したものが好ましい。
【0020】
上記非架橋性ポリマーは、エチレン性二重結合などのラジカル重合性官能基を持たないポリマーであって、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、又はポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)の1つ又は2種以上の混合物が用いられる。
【0021】
また、上記架橋性ポリマーは、電子線照射等により架橋反応が生起するポリマーであって、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(HPPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等の各種ポリエチレンの1つ又は2種以上の混合物、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、又はエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のエチレン系の共重合体、並びにポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、芳香族ジカルボン酸系ポリエステルエストラマー等の1つ又は2種以上の混合物が用いられる。
【0022】
また、米デンプンに高熱を加えると茶色に変色することから、非架橋性ポリマー及び架橋性ポリマーは、融点が150℃以下のものが好ましい。例えば、非架橋性ポリマーとしてはポリプロピレン、架橋性ポリマーとしては直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが好ましい。
【0023】
また、米デンプンと前述の各種樹脂との相溶化性を高めるために、相溶化剤を適宜添加することが好ましい。
この相溶化剤としては、例えば、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸又はその誘導体が用いられる。この相溶化剤は、米デンプン、架橋性ポリマー及び非架橋性ポリマーの合計量100重量%に対し、0.1〜20重量%程度添加することが好ましい。
【0024】
また、架橋性ポリマー及び非架橋性ポリマーに生分解性を付与するために、生分解性付与剤を適宜添加するようにしてもよい。この生分解性付与剤としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース等の単糖類、マルトース、ラクトース、スクロース等の二糖類、デンプン、デキストリン、セルロース、イヌリン、アガロース、フルクタン等の多糖類、キチン、キトサン、アミカシン、シソマクシン等のアミノ糖、アルドース、ケトース、ヘプトース等の還元糖、デトリトール、ペンチトール等の糖アルコール等を挙げることができる。
【0025】
<バイオマスプラスチック成形物の製造方法>
次に、本実施の形態におけるバイオマスプラスチック成形物の製造方法について説明する。
なお、本実施の形態では、一例として、ダイレクトブロー成形方法を用いて、ボトル容器の成形を行うものとする。
【0026】
まず、前述のα化した米デンプン及び非架橋性ポリマーを130〜200℃、好ましくは150〜190℃で、20秒〜30分間、好ましくは30秒〜20分間、一軸又は二軸押出機等で加熱混練する。
このとき、必要に応じて、この米デンプン及び非架橋性ポリマーの混合物に適宜添加剤を加えることができる。例えば、この添加剤として、α化した米デンプン及び非架橋性ポリマーの界面における親和性を向上させるための相溶化剤と、その非架橋性ポリマー及び後述する架橋性ポリマーに生分解性を付与するための生分解性付与剤等とを添加する。
【0027】
上記米デンプン及び非架橋性ポリマー等の混合物を押出機等で溶融混練すると、米デンプンは、熱流動している非架橋性ポリマーのマトリックス中で微細化して、均一に分散した状態が得られる。この状態から例えばペレット状又は粒状に成形して室温まで冷却すると固形化し、米デンプンと非架橋性ポリマーの混合材が得られる。
【0028】
次に、ペレット状又は粒状の固形の架橋性ポリマーに10〜50kGyの電子線を照射して架橋処理を施す。
【0029】
次に、その架橋処理を施したペレット状又は粒状の固形の架橋性ポリマーと、同じくペレット状又は粒状の固形の前述の混合材とを所定の比率で混合する。
以上で、ブロー成形に優れた適性を有するバイオマスプラスチック材料が得られる。
【0030】
次に、前述のように得られたバイオマスプラスチック材料を以下のようにブロー成形して、バイオマスプラスチック成形物を得る。
【0031】
まず、前述のバイオマスプラスチック材料を押出機で加熱及び混練して、未溶融の無い状態で、この溶融混合物の温度を融点〜融点+10℃、好ましくは融点+5℃の範囲に保ちながら、溶融パリソンとして連続的に押出す。
【0032】
連続的に押し出された溶融パリソンは、成形用の開いた割金型に供給され、割金型を閉じて溶融パリソンを首部でクランプ(保持)するとともに、底面は溶融パリソンをピンチオフ(溶融切断)することで、容器底部となるパリソン底部が形成される。
なお、溶融パリソンは、割金型にてクランプした際に、カットオフ性並びにクランプ性を高める等の意味合いから、少し膨らませてもよい(プリブロー)。
【0033】
次に、割金型にクランプされた溶融パリソンが、溶融パリソンの吹き込み用の口に押し当てられ、圧縮空気等のガスが吹き込まれて溶融パリソンがブローアップされると、膨張と同時に冷却固化して、例えば円筒形状のバイオマスプラスチック成形物が形成される。
そして、吹き込み用ノズルが離れてガス圧力が開放され、割金型が開いてバイオマスプラスチック成形物が取り出される。
以上で、バイオマスプラスチック成形物が完成する。
【0034】
本実施の形態によれば、生分解性に優れた米デンプン及びポリプロピレン等の非架橋性ポリマーの混合物に対し、電子線を照射することにより架橋処理を施した架橋性ポリマーを加えてバイオマスプラスチック材料を製造しているので、耐強度及び耐熱性に優れたこのバイオマスプラスチック材料を得ることが可能となる。
【0035】
これに加えて、本実施の形態によれば、バイオマスプラスチック材料には、ポリプロピレン等の非架橋性ポリマーが含有されていることから、所定の延伸度を有している。
従って、本実施の形態におけるバイオマスプラスチック材料は、前述の優れた耐強度及び耐熱性を有するとともに、このバイオマスプラスチック材料を用いた溶融パリソンは所定の形状安定性及び延伸度を備えブロー成形に適した成形性を有しているので、膜厚が均等で見た目が美しく、亀裂やピンホール等の欠陥も少ない品質に優れたバイオマスプラスチック成形物を製造することが可能となる。
【0036】
また、本実施の形態では、米デンプンと非架橋性ポリマーとの混合材及び架橋性ポリマーの双方ともペレット状又は粒状の乾燥状態の固形物であるので、目的に応じた比率での混合が容易である。
例えば、非架橋性ポリマーとしてポリプロピレン、架橋性ポリマーとして直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いる場合には、その配合比は、乾燥状態(ペレット状又は粒状成形時)で、米デンプンを40〜80重量%、ポリプロピレンを10〜30重量%、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を10〜30重量%であり、好ましくは、米デンプンを56重量%、ポリプロピレンを24重量%、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を20重量%である。
【0037】
また、一般に、プラスチックの成形工場では、管理上・経済上の理由から電子線の照射施設を設置することが困難であるが、本実施の形態のように、成形後に電子線を照射するのではなく、成形前の材料の段階で電子線を照射してプラスチックの成形工場に供給することにより、電子線の照射施設をもたない成形工場等においても、耐強度及び耐熱性に優れたバイオマスプラスチック成形物を成形することが可能となる。
【0038】
なお、本実施の形態におけるバイオマスプラスチック成形物は、前述の通り、ダイレクトブロー成形により成形するものであるが、共押し出しされた多層パリソンを分割形式の金型で挟み、上記パリソン内に加圧流体を導入して膨張させる、いわゆる共押し出し多層ブロー成形によりバイオマスプラスチック成形物を成形することもできる。
この多層ブロー成形品を成形するときには、その外層に本実施の形態におけるバイオマスプラスチック材料を用い、内層(芯層)にその用途に応じた材質を用いて成形を行う。例えば、食品の密封容器等、規則等により極めて高いガスバリヤ性を要求されている場合には、その食品等の内容物に直接接する内層にその規則等に定められたポリエチレン等の樹脂を用い、外層に本実施の形態におけるバイオマスプラスチック材料を用いる。
このように、容器の材質にポリエチレン等の非バイオマスプラスチックが指定されている場合であっても、その部分を最小限に留め、その他の部分をバイオマスプラスチック材料とすることで、環境に配慮した成形物を成形することができる。
【0039】
また、本実施の形態におけるバイオマスプラスチック成形物は、インジェクションブロー成形により成形することもできる。この場合には、本実施の形態におけるバイオマスプラスチック材料を用いてプリフォームをインジェクションにて成形し、この成形したプリフォームに空気を吹き込んでブロー成形を行う。
【0040】
なお、本実施の形態におけるバイオマスプラスチック成形物は、ブロー成形、多層ブロー成形又はインジェクションブロー成形により作成される例について説明したが、その成形方法は、これらに限定されず、他の成形方法により成形することもできる。
また、バイオマスプラスチック材料を用いて、ボトルのキャップ部分等を成形する場合には、射出成形(インジェクション成形)又はインジェクションブロー成形等により成形されることが好ましい。
【実施例】
【0041】
(実施例1)
1.バイオマスプラスチック材料の生成条件
米デンプンと非架橋性ポリマーとの混合材として、α化した生米にポリプロピレンを混合し、これに相溶化剤及び生分解性付与剤を添加したもの(アグリウッド資源米タイプ(SRP70−3F):アグリフューチャー・じょうえつ製)を用いた。この米混合剤は、生米を70重量%、ポリプロピレンを27重量%、相溶化剤を2.2重量%、生分解性付与剤を0.8%混合及び添加したものであった。
【0042】
次に、上記混合材80重量%に対し、架橋性ポリマーとして、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(UE−320:日本ポリケム製)を20重量%混合した。
そして、この混合物に対し、空気を除いた不活性雰囲気下で電子加速器(加速電圧2MeV,電流値1mA)により30kGyの電子線を照射して、バイオマスプラスチック材料を得た。
【0043】
2.バイオマスプラスチック成形物の製造条件
上記のようにして得られたバイオマスプラスチック材料をブロー成形してバイオマスプラスチック成形物を得た。
なお、本実施例では、以下に示すように押出機から樹脂を金型に押し出した。
まず、樹脂をホッパと呼ばれる投入口から樹脂の融点以上に調整されたシリンダ内に投入し、そのシリンダ内で溶融混練した後、フランジを経てヘッド、ダイスの順に通過させ、押出機の最先端のリップから金型に押し出した。
シリンダは、押出方向の上流側から下流側にかけて、3つのシリンダ1,2,3から構成されるものを用いた。本実施例においては、各シリンダで独立して温度調整を行った。
【0044】
本実施例における成形条件は、以下の通りであった。
成形機械(押出機+金型):VTD−250(明和商工製)
溶融混練温度:シリンダ1 160℃
:シリンダ2 165℃
:シリンダ3 170℃
:フランジ 160℃
:ヘッド 170℃
:ダイス 165℃
:リップ 40℃
吹込時間 14秒
【0045】
なお、上記のように、シリンダ内の温度は、押出方向に向かって、160℃→165℃→170℃と段階的に高温となるようにシリンダ1〜3の温度の設定を行った。
以上のように、成形機械(押出機)の温度を設定し、吹込時間を調整することにより、美麗でガスバリヤ性の高い樹脂成形品を得ることができた。
【0046】
3.バイオマスプラスチック材料のMFR(メルトフローレイト)の計測結果
上記のようにして得たバイオマスプラスチック材料のMFRを計測し、このバイオマスプラスチック材料を用いてブロー成形を行う際の成形性について検討した。
MFRは、日本工業規格(JIS)により指定された「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレート(MVR)の試験法」(JIS−K7210)により測定された物性値を指す。具体的には、プラスチックが流動する温度域で荷重を印加し、一定時間中に流出する樹脂量(g)で規定される物質量であり、以下の式1により表される。
【0047】
(式1)

【0048】
refは流出する樹脂(バイオマスプラスチック材料)を計測する基準時間(600秒=10分)、tは樹脂の切取り時間間隔(秒)、mは時間t秒間中に流出した樹脂量(g)である。
【0049】
本MFR計測は、以下の条件で行った。
測定機器は、IMC−1540C(井元製作所製)を用いた。
この測定機器において垂直に設けられたシリンダ内に挿入したバイオマスプラスチック材料を、おもりを載せたピストンによって加重し、ダイ(小さな穴空きの出口治具)から押出してMFRを計測した。
上記ダイは、長さが8.000mm±0.025mmのタングステンカーバイトであり、直径は公称値2.095mmの0.005mm以内であった。また、シリンダ内の温度を230℃とし、ピストン荷重を2.16kgfとした。
また、本実例のバイオマスプラスチック材料とともに、比較例として以下の樹脂材料を用いた。
比較例1:高密度ポリエチレン(HDPE)(8300A:東ソー製),電子線未照射
比較例2:高密度ポリエチレン(HDPE)(8300A:東ソー製),電子線照射済
比較例3:直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(UE−320:日本ポリケム製),電子線未照射
比較例4:直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(UE−320:日本ポリケム製),電子線照射済
本実施例のバイオマスプラスチック材料及び比較例1〜4の各樹脂のMFRの計測結果を以下の表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
一般に、ブロー成形には、MFRが0.100〜2.000(g/10min)程度の樹脂を用いることができ、特に、MFRが0.300〜0.500(g/10min)程度の樹脂を用いることが好ましい。
上記表の計測結果に示すように、本実施例におけるバイオマスプラスチック材料のMFRは、0.340(g/10min)であって、ブロー成形に非常に適した流動性(MFR)を有していることがわかった。
従って、このバイオマスプラスチック材料を用いて容器等の成形を行ったとき、優れた延伸性を備え、かつ自重でドローダウンすることのない所謂「コシがある」溶融パリソンを得ることができた。
また、高密度ポリエチレンのMFRは、0.404(g/10min)であり、直鎖状低密度ポリエチレンのMFRは、1.040(g/10min)であった。この計測結果から、本実施例におけるバイオマスプラスチック材料は、100%化石燃料由来の樹脂である高密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンと比べて、ほぼ同様又はより優れた成形性を有していることがわかった。
【0052】
4.バイオマスプラスチック成形物の耐熱性の比較
次に、ボトル型容器に成形した、バイオマスプラスチック成形物及び比較例となる他の樹脂材料の耐熱性を測定し、比較をした。
図1は、このバイオマスプラスチック成形物及び比較例となる他の樹脂材料の耐熱性を測定する際に使用する耐熱性検査冶具10の側面図である。
図に示すように、耐熱性検査冶具10は、その耐熱性の測定対象である容器20を載置する板状のベース板11と、このベース板11上において容器20の測定位置の位置決めを行うガイド12と、そのベース板11に対して略垂直に立設する棒状部材であって後述する荷重バー15の高さを調整するための高さ調整バー13と、この高さ調整バー13に対し略垂直(ベース板11に対し略水平)に設けられる複数の軸材14と、これら複数の軸材14のいずれかに軸着され図中の矢印A方向に回動してベース板11上の容器20に荷重をかける荷重バー15と、前述の高さ調整バー13と同様ベース板11上に略垂直に立設し高さを示す目盛りが設けられている測定バー16とを有して構成される。
【0053】
上記のように構成される耐熱性検査冶具10を用いて、以下の方法により、各樹脂材料による成形されたボトル型の容器20の耐熱性の測定実験を行った。
まず、ガイド12をベース板11上で矢印B方向でスライドさせて所定の位置で固定し、そのガイド12に密着させつつベース板11上にボトル型の容器20を寝かせて載置して、ベース板11上における容器20の位置決めを行った。
次に、一端に所定重量の重りが設けられた総重量5kgの荷重バー15の他端をベース板11の容器20の高さよりもやや高い位置の軸材14に軸着し、そのまま容器20に接触するまで垂直下方に回動させ、容器20に荷重をかけた。
この加重の開始とともに、測定バー16の目盛りを読んで、ベース板11上に載置した容器20の高さを測定した。
そして、荷重をかけたまま1分経過後に、測定バー16の目盛りを読んで、ベース板11上に載置した容器20の高さを測定し、荷重バー15を上方へ回動させて加重を終了した。
次に、前述の加重開始時の測定値から加重終了時の測定値を減じて、その差分を算出した。
【0054】
以上説明した計測方法により、複数の温度条件下で上記差分の算出値を各樹脂でそれぞれ求めた。すなわち、本測定実験においては、上記の算出値が低ければ低いほど、その測定温度条件下においてボトル型容器が変形しづらく、優れた耐熱性を備えているということができる。
【0055】
本測定実験において、本実例におけるバイオマスプラスチック成形物とともに、樹脂材料をボトル型容器に成形した以下の比較例1〜5の耐熱性の測定を行った。
本実施例におけるバイオマスプラスチック成形物:架橋性ポリマーとして高密度ポリエチレン(HDPE)(8300A:東ソー製)を20%,米デンプン及び非架橋性ポリマーの混合物としてアグリウッド資源米タイプSRP70−3F:アグリフューチャー・じょうえつ製を80%用いた。
比較例1:高密度ポリエチレン(HDPE)(8300A:東ソー製),電子線未照射
比較例2:ポリ乳酸含有樹脂(フォゼアスJ9503J:三菱化学製),電子線未照射
比較例3:ポリ乳酸含有樹脂(フォゼアスJ9503JT:三菱化学製),成形後に電子線照射,TAIC(トリアリルイソシアヌレート)3%混合
比較例4:米デンプン含有樹脂(アグリウッド資源米タイプSRP70−3F:アグリフューチャー・じょうえつ製),電子線未照射
比較例5:米デンプン含有樹脂(アグリウッド資源米タイプSRP70−3F:アグリフューチャー・じょうえつ製),成形後に電子線照射,TAIC3%ドライブレンド
なお、ドライブレンドとは、乾燥状態で粒状又は粉状の樹脂同士を均一に混合することをいう。
これら本測定実験に用いた試料をまとめたものが、以下に示す表2である。
【0056】
【表2】

【0057】
まず、前述の本実施例におけるバイオマスプラスチック成形物及び比較例1〜5のボトル型容器のキャップを取り外して開蓋した状態で、外気温が20℃と60℃の2種類の温度条件下で前述の耐熱性の測定実験を行った。
この測定実験結果をまとめたものが、以下の表3である。
【0058】
【表3】

【0059】
表3に示すように、本実施例におけるバイオマスプラスチック成形物の差分の算出値は、外気温が常温(20℃)から高温(60℃)へ移行しても変化はなく、高温時であっても常温時と変わらない優れた耐熱性を備えていることがわかった。
また、本実施例におけるバイオマスプラスチック成形物の差分の算出値は、常温時及び高温時ともに、比較例1〜5と比べて略等しい又は低い値を示しており、その他の樹脂によるボトル型容器と比べて、同様又はより優れた耐熱性を備えていることがわかった。
【0060】
次に、前述の本実施例におけるバイオマスプラスチック成形物及び比較例1〜5のボトル型容器に15℃と95℃の2種類の温度の水(湯)を注入し、キャップを取り付けて閉蓋した状態で、耐熱性の測定実験を行った。
この測定実験結果をまとめたものが、以下の表4である。
【0061】
【表4】

【0062】
表4に示すように、本実施例におけるバイオマスプラスチック成形物の差分の算出値は、その成形物内の水温が、常温(15℃)の場合と高温(95℃)の場合とでほとんど変化はなく、高温時であっても常温時と変わらない優れた耐熱性を備えていることがわかった。
また、本実施例におけるバイオマスプラスチック成形物の差分の算出値は、常温時及び高温時ともに、比較例1〜5と比べて略等しい又は低い値を示しており、その他の樹脂によるボトル型容器と比べて、同様又はより優れた耐熱性を備えていることがわかった。
【0063】
以上の耐熱性の計測実験の結果から、本実施例におけるバイオマスプラスチック成形物は、あらゆる温度条件下において、環境に配慮した生分解性や成形容易性を備えつつ、他の化石燃料由来の樹脂等による成形品と同様又はより優れた耐熱性を備えていることがわかった。
【0064】
(実施例2)
実施例1では、米デンプンとポリプロピレンとの混合材80重量%に、直鎖状低密度ポリエチレン20重量%を混合してバイオマスプラスチック材料を生成するものであった。
本実施例では、混合する直鎖状低密度ポリエチレンを10重量%に減じ、ポリブチレンサクシネート(PBS)をこの減じた分10重量%混合し、バイオマスプラスチック材料を製造した。
このポリブチレンサクシネートとしては、PBS系生分解性樹脂ビオノーレ(昭和高分子製)を用いた。
その他の製造条件については実施例1と同様であった。
本実施例におけるバイオマスプラスチック材料についても、実施例1と同様に、優れた耐強度及び耐熱性を備え、ブロー成形にとって良好な成形性を有するものであった。
さらに、実施例1と比較すると、直鎖状低密度ポリエチレンの混合量を減じた分、生分解性に富んだポリブチレンサクシネートを混合したので、バイオマスプラスチック材料全体としての生分解性を向上させることが可能となった。
【0065】
(実施例3)
本実施例では、実施例2におけるポリブチレンサクシネート(PBS)の代わりに、生分解性に優れた芳香族ジカルボン酸系ポリエステルエラストマーを用い、米デンプンとポリプロピレンとの混合材80重量%に、直鎖状低密度ポリエチレンを10重量%及び芳香族ジカルボン酸系ポリエステルエラストマー10重量%を加えて架橋処理を行い、バイオマスプラスチック材料を生成した。
この芳香族ジカルボン酸系ポリエステルエラストマーとしては、エコフレックス(BASF社製)を用いた。
その他の製造条件については実施例1と同様であった。
本実施例におけるバイオマスプラスチック材料についても、実施例1,2と同様に、優れた耐強度及び耐熱性を備え、ブロー成形にとって良好な成形性を有するものであった。
さらに、実施例1と比較すると、直鎖状低密度ポリエチレンの混合量を減じた分、生分解性に富んだ芳香族ジカルボン酸系ポリエステルエラストマーを混合したので、バイオマスプラスチック材料全体としての生分解性を向上させることが可能となった。
【0066】
<実施形態のまとめ>
本実施の形態によれば、生分解性に優れた米デンプン及びポリプロピレン等の非架橋性ポリマー等の混合物に対し、電子線を照射することにより架橋処理を施した架橋性ポリマーを加えてバイオマスプラスチック材料を製造しているので、生分解性、耐強度、耐熱性及びブロー成形性に優れたバイオマスプラスチック材料を提供することが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態におけるバイオマスプラスチック材料は、比較的入手しやすい米デンプンを主材としているので、古米、古古米として大量に残っている米を有効利用して、環境に配慮したブロー成形用材料を提供することができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、バイオマスプラスチック成形物の成形前に電子線を照射することにより、電子線の照射施設をもたない成形工場等においても、耐強度及び耐熱性に優れたバイオマスプラスチック成形物を成形することが可能となる。
また、成形の度に電子線の照射を行う必要がないので、結果として、電子線照射の合計回数を最小限に抑えることができ、電子線放射によるコストを低減するとともに、バイオマスプラスチック成形物の製造工程の簡略化を行うことが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、米デンプン及び非架橋性ポリマーに、さらに電子線照射した架橋性ポリマーを加え、溶融してパリソンを形成するので、自重でドローダウンすることの少ない安定した形状の、所謂「コシのある」溶融パリソンを押し出すことが可能となる。このとき加える架橋性ポリマーとして、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いたときには、特に優れたドローダウン性の溶融パリソンが得られる。
【0070】
なお、上記の実施例は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施例は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。
【0071】
本実施の形態によれば、米デンプン及び非架橋性ポリマーの混合材をまず生成し、この混合材に架橋処理を行った架橋性ポリマーを加えてバイオマスプラスチック材料を生成するものであるが、米デンプン及び架橋処理を行った架橋性ポリマーの混合材をまず生成し、この混合材に非架橋性ポリマーを加えるようにしてもよい。
また、米デンプン、非架橋性ポリマー及び架橋処理を行った架橋性ポリマーを同時に溶融混練した後に冷却してペレット状又は粒状に成形してもよい。
【0072】
また、本実施の形態では、架橋方法として電子線照射を用いるが、これに限定されず、他の方法により架橋するようにしてもよい。
例えば、他の架橋方法としては、X線、γ線、陽子線、重陽子線、α線、β線等の他の電離性放射線を照射する照射架橋法を用いるようにしてもよい。また、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(第三ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物を架橋剤として使用する化学架橋法を用いるようにしてもよい。
【0073】
また、本実施の形態におけるバイオマスプラスチック材料の主材は、米デンプンであるが、その他、生分解性を備え、非化石燃料由来のものでなければ、同様の効果を得ることができる。
例えば、米デンプンに加え、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、小麦デンプン、米デンプン、タピオカデンプン、ソルガムデンプンなど各種植物から得られるデンプンの1つ又は2種以上の混合物を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態におけるバイオマスプラスチック成形物及び比較例となる他の樹脂材料の耐熱性を測定する際に使用する耐熱性検査冶具の側面図である。
【符号の説明】
【0075】
10 耐熱性検査冶具
11 ベース板
12 ガイド
13 高さ調整バー
14 軸材
15 荷重バー
16 測定バー
20 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形に使用される樹脂材料であって、
米デンプン、非架橋性ポリマー及び架橋処理を施した架橋性ポリマーを溶融混練して生成されることを特徴とするバイオマスプラスチック材料。
【請求項2】
前記非架橋性ポリマーとしてポリプロピレン、前記架橋性ポリマーとして直鎖状低密度ポリエチレンを用い、米デンプンを40〜80重量%、ポリプロピレンを10〜30重量%、架橋処理を施した直鎖状低密度ポリエチレンを10〜30重量%混合されて生成されることを特徴とする請求項1記載のバイオマスプラスチック材料。
【請求項3】
前記架橋処理は、電離性放射線を照射する照射架橋法又は有機過酸化物を架橋剤として使用する化学架橋法を用いることを特徴とする請求項1又は2記載のバイオマスプラスチック材料。
【請求項4】
架橋性ポリマーに架橋処理を施す架橋工程と、
米デンプン、前記架橋処理を施した架橋性ポリマー及び非架橋性ポリマーを溶融混練した後に冷却して固形物を生成する固形物生成工程と、
前記固形物生成工程により生成した固形物を溶融混練し、ブロー成形を行う成形工程と、
を有することを特徴とするバイオマスプラスチック樹脂成形物の製造方法。
【請求項5】
前記固形物生成工程は、前記非架橋性ポリマーとしてポリプロピレン、前記架橋性ポリマーとして直鎖状低密度ポリエチレンを用い、米デンプンを40〜80重量%、ポリプロピレンを10〜30重量%、直鎖状低密度ポリエチレンを10〜30重量%であることを特徴とする請求項4記載のバイオマスプラスチック成形物の製造方法。
【請求項6】
前記成形工程は、前記固形物を混練し、160〜170℃で溶融混練して押出し、成形することを特徴とする請求項4又は5記載のバイオマスプラスチック成形物の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−70684(P2010−70684A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241318(P2008−241318)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【出願人】(303066390)株式会社日本興産 (4)
【Fターム(参考)】