説明

バイオマス由来の含酸素物をコークス堆積物含有粒子で処理する方法

COとHとの混合物(合成ガス)を製造する方法が開示される。該方法は、コークス堆積物を含有する粒子をバイオマス由来の含酸素分子と接触させる段階を含む。好まれる実施態様では、該粒子は触媒粒子である。該方法は、慣用の流動接触分解(FCC)装置の再生器中で実施されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスおよびバイオマス由来の分子(たとえば、糖、デンプン、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、グリセロール、およびトリグリセリド)を水またはCOとともに流動接触分解(FCC)装置の再生器中に供給することによって、合成ガス(水素、一酸化炭素)を製造する方法に関する。
【0002】
欧州委員会(European Commission)は、2010年までにEU内の輸送用燃料の5.75%をバイオ燃料にするという目標を設定した。バイオ燃料を石油に基づいた燃料にブレンドすることは、輸入される原油への依存を低減し、温室効果ガスの排出を低減し、かつ農業の経済性を改善するだろう。
【背景技術】
【0003】
酸加水分解、熱分解および液化によって、固形バイオマスを液体に転化する方法は周知である(非特許文献1)。これらの反応から広範囲の生成物、たとえばセルロース、ヘミセルロース、リグニン、多糖類、単糖類(たとえば、グルコース、キシロース、ガラクトース)、フルフラール、多糖類およびリグニン由来のアルコール(クマリル、コニフェリルおよびシナピルアルコール)が製造される。300を超える様々な化合物の混合物であるバイオ油は、液化または急速熱分解によって製造されることもできる(非特許文献2)。
【0004】
流動接触分解(クラッキング)(FCC)は、原油をガソリンおよび他の炭化水素に転化するために最も広く使用されている方法である。FCC法は、図1に示されたように互いに連結された2の容器から成る。第一の反応器において、熱い粒子状触媒がライザー反応器中で炭化水素供給原料と接触されて、該供給原料を分解し、それによって分解生成物および使用済みコークス付着触媒を生成する。該分解反応が行われた後、触媒は大部分、コークスによって失活される。コークス付着触媒は、分解生成物から分離され、スチームストリッピングによって下降流反応器中で一連のバッフルによって残留油を除去され、そしてそれから再生器中でコークス付着触媒からコークスを燃焼除去することによって再生される。再生工程は650〜760℃および約3気圧の圧力において行われて、コークスを燃焼除去する。熱い触媒は次にさらなる分解のためにライザー反応器にリサイクルされる。
【0005】
FCC法のために、様々なプロセス構成および触媒が開発された。FCC触媒は通常、シリカアルミナマトリクスの内部にY型ゼオライトの混合物を含有しているが、もっとも、他の組成物も当業者に知られている。バイオマスの転化のためにFCC法を使用することは、石油製油所に既にFCCプラントが設置されているので、大幅な設備投資を要求しない。したがって、バイオマス由来分子を燃料および化学製品に転化するためにFCC法を使用する効率的な方法が開発されるならば、それは最新の技術水準におけるかなりの進歩を意味するだろう。
【0006】
ゼオライト触媒を使用してバイオマス由来分子を液体燃料に転化するいくつかの方法が報告されている。ChenおよびKoenigは特許文献1および2(Mobil社)において、500℃において水性流をゼオライト触媒上に通すことによって、バイオマス由来の炭水化物、デンプンおよびフルフラールを液状炭化水素生成物、COおよびコークスに転化する方法を報告している(非特許文献3および特許文献1)。キシロース、グルコース、デンプンおよびスクロースが500℃においてZSM−5触媒上に供給されると、炭素の40〜66%がコークスに転化することを、彼らは観察した(非特許文献3)。生成された他の生成物は、炭化水素、COおよびCOを含む。水性炭水化物流にメタノールを混合すると、より低いレベルのコークスおよびより高いレベルの炭化水素をもたらすことも、彼らは報告している。
【0007】
バイオマスから急速熱分解または液化によって製造されるバイオ油は、300超の化合物の混合物である。バイオ油は熱的に不安定であり、燃料として使用されることになるのであれば、品質を向上(アップグレーディング)される必要がある。バイオ油、したがってバイオ油成分は、ゼオライト触媒を使用して、より安定な燃料に転化されることができる(非特許文献4)。この方法に使用される反応条件は、350〜500℃の温度、大気圧および約2の気体時空間速度である。この反応からの生成物は、炭化水素(芳香族、脂肪族)、水溶性有機物、水、油溶性有機物、ガス(CO、CO、軽質アルカン)およびコークスを含む。この方法の間、多数の反応、たとえば脱水、分解、重合、脱酸素、および芳香族化が起きる。しかし、一般に不十分な炭化水素収率およびコークスの高生成率が反応条件下に生じ、ゼオライトによるアップグレーディング法の有用性を限定する。
【0008】
Bakhshiおよび共同研究者らは、木材由来の急速熱分解バイオ油のゼオライトアップグレーディングを検討し、該バイオ油の30〜40重量%がコークスまたは炭化物(チャー)を生成することを観察した(非特許文献5、6および7)。ZSM−5触媒は、全ての試験された触媒の中で最も高い量(供給原料の34重量%)の液状有機生成物を製造した。有機炭素の生成物は、ZSM−5の場合ほとんど芳香族であり、SiO−Alの場合脂肪族であった。ガス状生成物は、CO、CO、軽質アルカン、および軽質オレフィンを含んでいた。バイオ油は熱的に不安定であり、ゼオライトアップグレーディングの間に熱分解反応が起きる。Bakhshiおよび共同研究者らは2反応器方法も開発し、該方法では第一の空の反応器中では熱反応のみが起き、そして触媒を内蔵する第二の反応器中で接触反応が起きる(非特許文献8)。2反応器系の利点は、触媒上に堆積されるコークスの量を低減することによって、触媒寿命を改良することである。
【0009】
バイオ油のモデル化合物、たとえばアルコール、フェノール、アルデヒド、ケトン、酸、および混合物の変換が、HZSM−5触媒上で検討された(非特許文献9、10および11)。アルコールが約200℃の温度においてオレフィンに、次に250℃においてより高級のオレフィンに、それに続いて350℃においてパラフィンおよび小さい割合の芳香族に転化された(非特許文献9)。フェノールはHZSM−5上で低い反応性を有し、少量のプロピレンおよびブタンを生成するのみである。2−メトキシフェノールも炭化水素への低い反応性を有し、熱的に分解してコークスを生成する。アセトアルデヒドはZSM−5触媒上で低い反応性を有し、これも熱分解を起こしてコークス生成問題をもたらす(非特許文献10)。アセトンはアルコールよりも低度に反応性であり、350℃超の温度においてC5+オレフィンに転化する。これらのオレフィンは次にC5+パラフィン、芳香族および軽質アルケンに転化される。酢酸はまずアセトンに転化され、そしてそれが次に上記のように反応する。酢酸およびアセトンのゼオライトアップグレーディングからの生成物は、アルコール供給原料からの生成物よりもかなり多くのコークスを与える。酸性ゼオライト触媒上を通されると、バイオマス由来分子の大部分は大量のコークスを製造する。したがって、バイオマス由来のコークスを高付加価値生成物に転化する効率的な方法が開発されるならば、それは最新の技術水準におけるかなりの進歩を意味するだろう。
【0010】
石油供給原料が6.0重量%より大きいレベルのコンラドソン(Conradson)炭素を含有するときは、FCC再生器において特別の変更が要求される。1980年代に、Ashland Oil社のHettingerらは、高いレベルの(6.0重量%より大きい)コンラドソン炭素を有する石油供給原料を転化するためのFCC法に関する2の特許を公表した(特許文献3、特許文献4および非特許文献12)。これらの供給原料は高い炭素レベルをもたらし、高いレベルの炭素がFCC触媒上に存在するならば、再生器における温度は850℃超に上昇するだろう。再生器における温度が850℃超であるならば、ゼオライト構造の滅失の故に触媒の活性および選択性の急速な減損が生じる。これらの問題を克服するために、触媒再生器中でコークスの一部をCOで改質することを、彼らは提案した。コークスと反応したCOはCOおよびHOを生成する。FCCプロセスの間に放出される大量のCOを低減するためにもこの方法は使用されることができるだろうと、彼らは構想した(非特許文献12)。彼らは2段階再生器系を提案し、該系では第一段階においてコークス上のほとんどの水素および一部の炭素を除去するためにCOが使用され、そして第二の再生器でも同じことが可能と考えられ、該第二の再生器は分解反応のための十分な熱を放出するだろう。第二段階からのCOは第一段階にリサイクルされるだろう。20重量%までのコンラドソン炭素値を有する供給原料をリサイクルするのにこの方法は使用されることができると、Hettingerらは特許請求した。
【0011】
該特許において、715〜800℃の温度においてCO2改質は行われることができるだろうと彼らは述べている。CO2改質反応は吸熱反応であり、このことは再生器内の温度を下げる。該特許において、以下の金属、酸化物または塩、すなわちLi、Na、K、Sr、V、Ta、Mo、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、SnおよびBiを0.5〜5重量%の範囲において添加することによって、触媒のCO改質能力は改良されることができると彼らは特許請求している。CO2改質のための種々の添加物の能力を試験するために、彼らは上記の金属を1重量%のレベルでゼオライト触媒に添加した。それから彼らは該触媒に1.1重量%のレベルまでコークス付着させ、コークス付着された触媒上に746℃で20分間COを通し、そしてコークスのレベルを測定した。彼らは次に、高活性(コークス転化率45〜60%)、中活性(コークス転化率30〜35%)および低活性(コークス転化率10〜25%)に従って金属を分類した。高活性を有する触媒はLi〜Na>Re〜Fe〜Co〜Ni〜Ru〜Rh〜Pd〜Os〜Ir〜Pt>Cu〜Ag〜Au〜Srを包含していた。中活性を有する触媒はV>Sn〜Bi〜Moを包含していた。最も低い活性を有する金属触媒はTi〜Zr〜Hf〜Cr〜W〜アクチニド系列>K〜Rb〜Cs〜Mg〜Ca〜Ba〜Sc〜Y〜La〜Mn〜Zn〜Cd〜Hg〜B〜Ga〜In〜ランタニド系列>As〜Sb〜Se〜Teを包含していた。平衡FCC触媒とは、FCC法の間に金属がその中に堆積されたものであるが、これも試験され、そしてこれはCO改質に高活性を有していた。
【0012】
水蒸気改質も、コークス付着されたFCC触媒を再生する方法として報告されている。特許文献における、FCC反応器中のコークスを水蒸気改質して合成ガスを製造することについての最初の言及は、Phillips Petroleum社に付与された特許として1950年に現われる(特許文献5)。この特許の実験の部は2の実験を有し、そこではコークス付着されたFCC触媒が空気を用いてまたは水蒸気/酸素混合物を用いて650℃で再生された。空気を用いて再生された触媒からの出口ガスは、主にN、CO、COおよびOを含有していた。水蒸気−酸素混合物を用いて再生された触媒からの出口ガスは、(体積%単位で)CO38%、CO30%、およびH33%を含有していた。この特許はそれから、該合成ガスがフィッシャー・トロプシュ合成によってアルカンを製造するために使用されるべきことを提言している。触媒再生は、永久的な触媒失活を引き起こすことなく許容される最高温度で行われるべきことを著者らは提言した。540〜980℃の温度範囲ならびに酸素10〜80体積%および水蒸気90〜20体積%の再生ガスを、彼らは提言した。これは9:1〜1:4の水蒸気対酸素比である。
【0013】
1980年代にさらにいくつかの特許が、FCC触媒再生器における炭素の水蒸気改質についての文献中に現われた。Phillips Petroleum社のRalph W.Bradshawは、FCC再生器中に供給される空気流または酸素流に水蒸気を添加することによって、FCC再生器中で合成ガスを製造する方法を特許取得した(特許文献6)。この合成ガスは次に水性ガスシフト反応器に送られて、水素を生成し、これは水素化分解および他のプロセス操作に使用されることになる。この特許には実験結果は提示されていなかった。
【0014】
Exxon社に付与されたもう一つの特許が、80年代初期にGrenobleおよびWeissmanによって書かれた(特許文献7)。タンタル、ハフニウム、クロム、チタンおよびジルコニウムと混合されたタングステンまたはニオブの酸化物から成り、Al上に担持された触媒を、彼らは試験した。彼らは、固定床反応器中のFCCについての触媒活性を試験し、触媒再生の2の異なった様式、すなわち(1)部分燃焼してCOに富む低BTUガスを製造すること、および(2)水蒸気添加してHに富むガスを製造することを特許請求している。該特許は、コークスからの合成ガス製造に関する何らの実験も含んでいなかった。この特許の目標は、触媒表面上に高いコークスレベルをもたらす大量のコンラドソン炭素を含有する供給原料を改質することであった。該発明者らの研究手法は、高温度水蒸気処理下にその構造を維持する新規な物質を開発することであった。従来のFCC触媒が不可逆失活によって劣化する領域である760〜1500℃までの温度において安定である新規なFCC触媒を開発したと、この特許中で彼らは主張している。
【0015】
Texaco社のHsingおよびMudraによって1994年に書かれた、もう一つのより最近の特許は、水蒸気改質によってFCC触媒上の炭素をCO、CO、CH、およびHのガス状混合物に転化する様式を検討した(特許文献8)。温度540〜650℃、水蒸気と炭素とのモル比0.5〜20および反応時間0.5〜30分間の反応条件を、彼らは報告している。これらの水蒸気処理によって炭素の10〜40%が除去されることができることを、彼らは報告している。残りの炭素は、空気を用いる第二の再生処理によって触媒から除去される。流動接触パイロットプラントにおいて、590〜650℃の温度で酸素の不存在においてスチームストリッパー中に、水蒸気が注入された。オフガスは大量のH(32〜50体積%)、CO2(10〜19%)ならびにCO、CHおよびHSを含有していた。スチームストリッパーにおいて炭素の一部を除去することは、再生器の温度を下げた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】Chen,N.Y.およびL.R.Koenig、「セルロース物質を炭化水素生成物に転化する方法」、1990年、米国特許第4933283号明細書、米国、Mobil Oil社
【特許文献2】米国特許第4549031号明細書(米国、Mobil Oil社)
【特許文献3】Hettinger,W.P.、S.M.Kovachら、炭素−金属油転化の間に触媒物質上に堆積されたコークスの吸熱除去、1984年、米国特許第4450241号明細書、米国、Ashland Oil社
【特許文献4】Hettinger,W.P.、S.M.Kovachら、炭素−金属油転化の間に触媒物質上に堆積されたコークスの吸熱除去、1984年、米国特許第4425259号明細書、米国、Ashland Oil社
【特許文献5】Guyer,J.A.、「一体となった炭化水素転化−炭化水素合成の方法」、1950年、米国特許第2518775号明細書、米国、Phillips Petroleum社
【特許文献6】Bradshaw,R.W.、一体となった炭化水素分解、水素製造および水素化分解、1980年、米国特許第4207167号明細書、米国、Phillips Petroleum社
【特許文献7】Grenoble,D.C.およびW.Weissman、低BTU燃料ガス製造および触媒再生を同時に行う接触分解法、1981年、米国特許第4244811号明細書、米国、Exxon Research and Engineering社
【特許文献8】Hsing,H.-H.およびJ.Mudra、水素を生成する流動接触分解法、1994年、米国特許第5362380号明細書、米国、Texaco社
【特許文献9】Chen,N.Y.、石油タイプ炭化水素への炭水化物物質の転化、1976年、米国特許第3936353号明細書、米国、Mobil Oil社
【特許文献10】Corma,A.、F.Meloら、国際公開第90/12317号パンフレット、1990年、仏国、Vinci Technologies社
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Klass,D.L.、再生可能エネルギー、燃料および化学製品のためのバイオマス、1998年、米国、San Diego、Academic Press社
【非特許文献2】Elliott,D.C.、D.Beckmanら、「バイオマスの直接熱化学的液化における進歩:1983〜1990年」、1991年、Energy and Fuels、第5巻、399〜410ページ
【非特許文献3】Chen,N.Y.、J.T.F.Degnanら、「炭水化物からの液体燃料」、1986年、Chemtech、第16巻、506〜511ページ
【非特許文献4】Bridgwater,A.V.、「熱的バイオマス転化における触媒反応」、1994年、Appl.Catal.A、第116巻、5〜47ページ
【非特許文献5】Sharma,R.K.およびN.N.Bakhshi、「熱分解油の接触アップグレーディング」、1993年、Energy and Fuels、第7巻、306〜314ページ
【非特許文献6】Katikaneni,S.P.R.、J.D.Adjayeら、「木材由来油および植物油から炭化水素を製造するためのアルミノホスフェートモレキュラーシーブ触媒の性能」、1995年、Energy and Fuels、第9巻、1065〜1078ページ
【非特許文献7】Adjaye,J.D.、S.P.R.Katikaneniら、「炭化水素へのバイオ燃料の接触転化:生成物分布へのHZSM−5とシリカ−アルミナとの混合物触媒の影響」、1996年、Fuel Processing Technology、第48巻、115〜143ページ
【非特許文献8】Srinivas,S.T.、A.K.Dalaiら、「複反応系におけるバイオマス由来油の熱的および接触的アップグレーディング」、2000年、Canadian Journal of Chemical Engineering、第78巻、343〜354ページ
【非特許文献9】Gayubo,A.G.、A.T.Aguayoら、「HZSM−5ゼオライト上のバイオマス熱分解の含酸素物成分の変換I.アルコールおよびフェノール」、2004年、Ind.Eng.Chem.Res.、第43巻、2610〜2618ページ
【非特許文献10】Gayubo,A.G.、A.T.Aguayoら、「HZSM−5ゼオライト上のバイオマス熱分解油の含酸素物成分の変換II.アルデヒド、ケトン、および酸」、2004年、Ind.Eng.Chem.Res.、第43巻、2619〜2626ページ
【非特許文献11】Gayubo,A.G.、A.T.Aguayoら、「HZSM−5ゼオライト触媒上のバイオマス熱分解油の炭化水素への変換における望まれていない成分」、2005年、Journal of Chemical Technology and Biotechnology、第80巻、1244〜1251ページ
【非特許文献12】Hettinger,W.P.、「流動接触分解における触媒反応の課題:過去およびより最近の貢献の49年間の個人的報告、ならびになおさらなる改良のためのいくつかの考えられる新規および将来的な方向」、1999年、Catalysis Today、第53巻、367〜384ペ〜ジ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
FCC触媒上のコークス堆積物を合成ガスタイプの組成物に転化するためのいくつかの方法が提案されているけれども、FCC再生プロセスに外部炭素源を供給する試みは報告されていない。特に、酸素に富む炭素源、たとえばバイオマス由来のものがこの目的のために使用されることができることの示唆を、従来の技術は含んでいない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、COとHとのガス状混合物を製造する方法であって、コークス堆積物を含有する粒子をバイオマス由来の含酸素物と接触させる段階を含む方法に関する。バイオマス由来の含酸素物は、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、多糖類、単糖類(たとえば、グルコース、キシロース、ガラクトース)、フルフラール、多糖類およびリグニン由来のアルコール(クマリル、コニフェリルおよびシナピルアルコール)、ならびにこれら列挙された分子から誘導された分子を包含する。これらの化合物の混合物、たとえば熱分解または液化から誘導されたバイオ油の中に見出されるものも、バイオマス由来の含酸素物の定義に包含される。
【0020】
粒子は、好ましくは触媒粒子である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の方法は、従来の流動接触分解(FCC)反応器中で実施されることができる。
【0022】
FCC反応器および再生器中の触媒は、ゼオライトおよびゼオライト混合物から成る従来のFCC触媒または変性されたFCC触媒を包含することができる。これらの変性されたFCC触媒は、0.01〜10重量%の範囲内の金属または金属酸化物が添加されている従来のFCC触媒を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の特長および利点は、以下の図面を参照して理解されるであろう。
【図1】典型的なFCC法の流れ図である。典型的なFCC装置はライザー反応器1、ストリッパー2、および再生器3を含んでいる。炭化水素供給原料、たとえば減圧軽油(VGO)が4から導入される。分解された炭化水素生成物は5からストリッパーを出て行く。使用済み触媒は6からライザー1を出て行き、7において反応器中に再循環される。空気が8から再生器中に導入され、COおよび窒素が9から再生器を出て行く。
【図2】バイオマス由来化合物の水蒸気改質およびCO改質が関与する反応の熱力学を示すグラフである。
【図3】水性グルコース溶液を含浸されたNi2重量%/FCC1触媒を用いた、Heの温度プログラムされた反応を示すグラフである。
【図4A】水性グルコース溶液を含浸されたFCC触媒を用いた、水で飽和されたHeの温度プログラムされた反応を示すグラフである。グラフAは水蒸気処理された商用のFCC触媒(FCC1)である。
【図4B】水性グルコース溶液を含浸されたFCC触媒を用いた、水で飽和されたHeの温度プログラムされた反応を示すグラフである。グラフBはNi2重量%/FCC1触媒である。
【図5】商用のNi水蒸気改質用触媒(Haldor Topsoe R−67−7H)上に水性グルコース溶液が含浸されたものを用いた、水で飽和されたHeの温度プログラムされた反応を示すグラフである。
【図6】グルコースとNi2重量%/FCC1との物理的混合物(該物理的混合物はグルコース21重量%および触媒79重量%である。)を用いた、水で飽和されたHeの温度プログラムされた反応を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、バイオマス由来の含酸素物を水またはCOとともに、コークス堆積物を有する粒子を内蔵する反応器中に供給することによって、合成ガス(H、CO)を製造する方法である。
【0025】
該粒子は、不活性の粒子、たとえば砂の粒子等であることができる。好まれる実施態様では、粒子は触媒活性を有し、たとえばアルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、粘土、ハイドロタルサイト、またはゼオライトの粒子である。さらに好まれる実施態様では、粒子は、石油製油所の流動接触分解(FCC)法に使用された触媒粒子である。
【0026】
バイオマス由来の含酸素物は、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、多糖類、単糖類(たとえば、グルコース、キシロース、ガラクトース)、フルフラール、多糖類およびリグニン由来のアルコール(クマリル、コニフェリルおよびシナピルアルコール)、ならびにこれら列挙された分子から誘導された分子を包含する。これらの化合物の混合物、たとえば急速熱分解または液化から誘導されたバイオ油の中に見出されるものも、バイオマス由来の含酸素物の定義に包含される。
【0027】
1の実施態様では、本発明の方法は、一連の2段階反応を含む。第一段階では、バイオマスまたは一次バイオマス由来物、たとえばバイオ油が穏やかな接触分解(接触クラッキング)に付される。「穏やかな接触分解」の語は、石油製油所で使用される従来の分解触媒と比較して相対的に穏やかな分解活性を有する触媒を使用することをいう。好適な触媒物質は、粘土または耐火性酸化物、たとえばシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ジルコニア等を包含する。ゼオライトも適しているが、ただし、従来の流動接触分解(「FCC」)反応器中で典型的に使用されるゼオライトよりもこれらが有意により少ない酸性部位を含んでいることを条件とする。一般に、10超のSARを有するゼオライトが、該一連の反応のこの第一段階に使用されることが好まれる。より好まれるのは、15超のSARを有するゼオライトである。特に好まれるのはZSM−5であり、これは20超のSARを有する。あとで、変性されたFCC触媒の使用の文脈においてより詳細に説明されるように、金属または金属化合物0.01〜10重量%を付加混合しまたは取り込むことによって、触媒粒子の触媒活性を目的に合わせることが好都合であることができる。
【0028】
1の実施態様では、金属はニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、コバルト、鉄、オスミウム、およびこれらの混合物から成る群から選択される。他の実施態様では、金属はLi、Na、K、Sr、V、Ta、Mo、Re、Fe、Co、Ni、Sn、およびBiならびにこれらの混合物から成る群から選択される。好まれるのは、第IIB族金属、第VIIb族金属、およびこれらの混合物から成る群から選択された金属である。
【0029】
コークス堆積物を含有する触媒粒子をバイオマス由来の含酸素分子と接触させる段階の前に、金属は触媒に添加されることができ、または金属はこの段階の間に添加されてもよい。
【0030】
この穏やかな分解反応の間に、バイオマスまたは一次バイオマス由来物は、供給原料よりも低い分子量の液状およびガス状生成物に転化される。同時にチャーおよびコークスが触媒粒子上に堆積される。
【0031】
第二段階において、触媒粒子上のチャーおよびコークス堆積物は、水および/またはCOとともにバイオマス由来の含酸素物と反応することによって、合成ガスに転化される。この第二の段階は、あとで、FCC再生の文脈においてより詳細に説明されるように実施される。
【0032】
他の実施態様では、本発明の方法は、鉱油留分の従来のFCC分解と一体化される。上で議論したように、従来のFCC法は、第一段階として実際の接触分解反応を含んでおり、この間にコークスがFCC触媒粒子上に堆積される。分解生成物が触媒粒子から脱着された後、コークス堆積物を燃焼除去することによって触媒は再生される。本発明のこの特定の実施態様では、コークス堆積物含有FCC触媒粒子をバイオマス由来の含酸素物ならびに水および/またはCOと接触させることによって合成ガスを生成する段階によって、従来のFCC再生段階が置き換えられる。
【0033】
FCC反応器および再生器中の触媒は、ゼオライトおよびゼオライト混合物から成る従来のFCC触媒または変性されたFCC触媒を包含することができる。これらの変性された触媒は従来のFCC触媒を包含し、その場合、0.01〜10重量%の範囲内の金属または金属酸化物が従来のFCC触媒に添加されることができる。該金属または金属酸化物は、反応の前におよび/またはその間に酸化物、塩または有機金属化合物の形で添加されることができる。FCC触媒に添加されることができる元素は、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Ce、W、Re、Ox、Ir、Pt、Auを包含する遷移金属から選択された金属または金属酸化物を含んでいる。第1B族金属および第IIB族金属、金属酸化物またはこれらの化合物と遷移金属との混合物が、FCC触媒に添加されてもよい。
【0034】
触媒粒子に金属成分を添加することに加えてまたはその代りに、製造されるガス状混合物のCO/CO比およびH/CO比を調整するために添加物を供給することも望ましいことがある。好適な添加物は、担持されたNi触媒粒子を包含する。
【0035】
FCC再生器に、HOまたはCOとともにバイオマスを添加する間に、いくつかの反応、たとえば合成ガスへのバイオマスの分解、コークスの生成、コークスの水蒸気改質、コークスのCO改質、および水性ガスシフト反応が生じていることができる。本明細書で本発明者らは、バイオマス由来の含酸素物の代表としてエチレングリコールを使用する。エチレングリコールは分解して合成ガスに(式1)または炭素および水に(式2)なることができる。二酸化炭素改質またはブードアール(Boudouard)反応は、式3に示されるようにコークスがCOと反応してCOを生成する反応に関わる。コークスの水蒸気改質は、式4に示されるようにコークスが水と反応してCOおよびHを生成する反応に関わる。この方法に同様に関わることができる2の他の反応は、それぞれ下の式5および6に示される水性ガスシフト反応(WGS)およびメタン化である。コークスはいくらかの水素も含んでいることができる。したがって、本発明者らは、それぞれ式7および8のようなベンゼン(水素化されたコークスを表すモデル)の水蒸気改質およびCO改質を報告する。
→ 2CO + 3H (1)
→ 2C + 3HO (2)
C + CO → 2CO (3)
C + HO → CO + H (4)
CO + HO → CO + H (5)
CO + 3H → CH + HO (6)
+ 6HO → 6CO + 9H (7)
+ 6CO → 12CO + 3H (8)
【0036】
式1および2の熱力学は、両反応とも−10kJ/炭素モル未満の標準ギブス自由エネルギー(G/RT)を持ち、200〜900℃の温度において熱力学的に有利であるような熱力学である。このことは、これらの条件においてエチレングリコール(および同様にグルコース)から合成ガスおよびコークスが実際に製造されることができることを示す。図2は、炭素のCO改質(式3)、炭素のHO改質(式4)、水性ガスシフト反応(式5)、およびメタン化(式6)についての標準ギブス自由エネルギーを示す。コークスは水素を含有することができるので、本発明者らは(それぞれ式7および8で示された)ベンゼンのHO改質およびCO改質をこの図に含めた。図3の全ての値は炭素1モル当たりに正規化されている。図3に示されたように、炭素のHO改質およびCO改質は、700℃超の温度において熱力学的に有利である。ベンゼンの改質は、HO改質およびCO改質についてそれぞれ450℃超および500℃超の温度において熱力学的に有利である。全てのCO改質反応およびHO改質反応は吸熱反応であり、反応温度が上がるとギブス自由エネルギーが増加する。
【0037】
水性ガスシフト反応およびメタン化反応は発熱反応であり、反応温度が上がるとギブス自由エネルギーが減少する。水性ガスシフト反応は、800℃未満の温度において熱力学的に有利である。目標が水素の製造であるならば、COをHに転化するために、より低い温度の追加の水性ガスシフト反応器が要求されるだろう。メタン化反応は600℃未満の温度において熱力学的に有利であり、したがってCHレベルは700℃超の温度においては低くなる。これらの熱力学の計算は、バイオマスをFCC再生器中に供給することによって、HOの存在において合成ガスを製造することが実際に可能であることを示す。
【0038】
バイオマス由来の含酸素分子は、コークス堆積物を含有する粒子に、たとえば水性溶液の形でまたは固形粒子の形で接触されることができる。含酸素分子が液体(たとえば、バイオ油)の形態をしているならば、それは液体の小滴の形で該粒子に接触されることができる。
【0039】
含酸素分子は、化学転化が殆んどまたは全く関与しない方法で、または本格的な化学転化が関与する方法でバイオマスから誘導されることができる。前者の場合、含酸素分子はセルロースもしくはセルロース誘導体;ヘミセルロースもしくはヘミセルロース誘導体;および/またはリグニンもしくはリグニン由来の生成物を含んでいることができる。油に富むバイオマスは、含酸素分子をトリグリセリドまたはトリグリセリド由来の生成物の形で含んでいる。
【0040】
後者の場合、含酸素分子は、急速熱分解または液化、熱転化または水熱転化、接触転化、酵素転化等のようなプロセスの生成物であることができる。このような分子の例は、多糖類、多糖類の誘導体、単糖類(特にグルコース、キシロース、フルクトース、ガラクトース、およびこれらの混合物)、グリセロールおよびグリセロールのアルキルエステル等を含む。
【0041】
特定の実施態様では、含酸素分子は、炭水化物の脱水生成物、たとえばフルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール、またはレブリン酸を含んでいる。
【0042】
本発明の方法で製造される合成ガスの所望の組成に応じて、コークス堆積物を含有する触媒粒子を含酸素分子と接触させる段階の間に、水蒸気および/またはCOが注入されることができる。
【0043】
本発明の方法は、少なくとも2の領域、すなわち各領域に異なった反応条件を有する第一の領域および第二の領域を有する1の反応器中で実施されることができる。好都合には、第一の領域は高い水蒸気レベル、高いCOレベルおよび低い酸素レベルを有することができ、かつ第二の領域は低い水蒸気レベル、低いCOレベルおよび高い酸素レベルを有することができる。この文脈における「高い」および「低い」の語は相対的な語であり、第一の領域における条件を第二の領域のそれと比較するものである。
【0044】
以下の実施例は、主題の発明のより完全な開示を提供するためにのみ含まれている。したがって、以下の実施例は本発明の本質を例示する役割をするが、いかなる様式であれここに開示され特許請求された本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0045】
金属を含有しないシリカ−アルミナマトリクス中にY型ゼオライトを含有する商用のFCC触媒(FCC1)が、水蒸気雰囲気下に816℃において5時間、実験室的失活をされた。該FCC1はシリカとアルミナとの比(SAR)13、およびBET表面積290m/gを有していた。FCC1表面上に硝酸Ni水和物の水性溶液をインシピエントウェットネス(incipient wetness)法で含浸させることによって、Ni2重量%/FCC1触媒が調製された。調製手順は以下の段階、すなわち(1)硝酸Ni水和物(Aldrich Chemicals社)を水性溶液中に溶解する段階、(2)硝酸Ni溶液をFCC1上に滴下する段階、および(3)得られた物質を500℃において空気中3時間カ焼する段階を含んでいた。
【実施例2】
【0046】
合成ガスがFCC触媒上でバイオマスから製造されることができるか否かを検証するために、温度プログラムされた実験が実施された。これらの実験のためにグルコースの水性溶液(グルコース30重量%)が、溶液0.75グラムとこの実験前の触媒1.00グラムとの重量比で触媒上に含浸された。グルコース−触媒混合物300mgがそれから、温度プログラムされた脱着試験機Micrometrics AutoChem 2910においてHe流またはHOで飽和されたHe流中で加熱された。生成物が質量分析法(ファラデー(Faraday)およびチャンネルトロン(Channeltron)検出器を備えたBalzers社のOmnistar分析計)によって分析され、そして観察された主要生成物はH、CO、COおよびHOであった。触媒および反応物はガス流中で室温から900℃まで10℃/分の速度で昇温され、そして900℃に30分間保たれた。反応後、残留する触媒の炭素含有量が元素分析計(Fisons Instruments社のEA1108 CHNS−0)を用いて分析された。(実施例1に記載された)FCC1、(実施例1に記載された)Ni2重量%/FCC1、および商用のNi水蒸気改質触媒(Haldor Topsoe社のR−67−7H)を含む3の触媒が試験された。図3は、Heのみがガスとして使用され、触媒がNi2重量%/FCC1であるときの、プログラム制御された温度による実験の結果を示す。400〜900℃の温度においてこの触媒を用いて少量のH、COおよびCOが製造される。この実験の間、炭素の36パーセントが気相生成物として触媒から除去された
【0047】
図4は、FCC1触媒およびNi2重量%/FCC1触媒についてHeガスが水で飽和されたときの、プログラム制御された温度による実験を示す。400〜900℃の温度においてHおよびCOを表す大きいピークが観察される。この温度領域において水の消費もメタンおよびエチレンを含めて観察される。この方法では少量の炭化水素が観察される。Ni含有触媒の場合にHおよびCOのピークは有意により高く、このことはNi、たとえばFCC操作の間に触媒上に堆積されたNiがこの反応を促進することを示す。HOが供給原料に添加されないときの図5ではこのピークは観察されない。標準的なFCC触媒および変性されたFCC触媒を使用してバイオマス由来の化合物(グルコース)から合成ガスが製造されることができることを、これらの実験は示す。
【実施例3】
【0048】
図6は、実施例2に記載された方法を使用してグルコース溶液を含浸された商用のNi水蒸気改質触媒(Haldor Topsoe社のR−67−7H)上の、水で飽和されたHeの、温度プログラムされた実験である。この触媒の場合、300℃超の温度においてHが製造される。低いレベルのCOが観察され、このことはこの触媒がより高い水性ガスシフト活性を有することを示す。この触媒の場合600〜900℃においてHピークも観察される。この実験の間、炭素の99.5%が気相生成物(主にCOおよびCO)に転化された。
【実施例4】
【0049】
図6に示されたように、グルコース21重量%と、(実施例1に記載された)Ni2重量%/FCC1の79重量%との物理的混合物を用いて、水で飽和されたHeを用いて、プログラム制御された温度による実験が行われた。この実施例における温度プログラム制御は、実施例2で報告されたのと同じである。この実験の間、炭素の81%が気相生成物に転化された。水素、COおよびCOがこの反応における主要な気相生成物であり、かつ水が消費された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
COおよびHを含んでいるガス状混合物を製造する方法であって、コークス堆積物を含有する粒子をバイオマス由来の含酸素分子と接触させる段階を含む方法。
【請求項2】
コークス堆積物を含有する粒子が触媒粒子である、請求項1に従う方法。
【請求項3】
コークス堆積物を含有する粒子をバイオマス由来の含酸素分子と接触させる段階の前に、粒子を一次バイオマス由来物と接触させる段階が先行し、それによって触媒粒子上にコークス堆積物が形成される、請求項1または2に従う方法。
【請求項4】
コークス堆積物を含有する触媒粒子が、一連のFCC反応のクラッキング段階において既に使用されたFCC触媒粒子である、請求項2に従う方法。
【請求項5】
バイオマス由来の含酸素分子が、コークス堆積物を含有する粒子と水性溶液の形で接触される、請求項1〜4のいずれか1項に従う方法。
【請求項6】
バイオマス由来の含酸素分子が、コークス堆積物を含有する粒子と固形粒子の形で接触される、請求項1〜4のいずれか1項に従う方法。
【請求項7】
バイオマス由来の含酸素分子が、セルロースまたはセルロース誘導体を含んでいる、請求項1〜6のいずれか1項に従う方法。
【請求項8】
バイオマス由来の含酸素分子が、ヘミセルロースまたはヘミセルロース誘導体を含んでいる、請求項1〜7のいずれか1項に従う方法。
【請求項9】
バイオマス由来の含酸素分子が、リグニンまたはリグニン由来の生成物を含んでいる、請求項1〜8のいずれか1項に従う方法。
【請求項10】
バイオマス由来の含酸素分子が、急速熱分解または液化によってバイオマスから生成されたバイオ油を含んでいる、請求項1〜6のいずれか1項に従う方法。
【請求項11】
バイオマス由来の含酸素分子が、トリグリセリドまたはトリグリセリド由来の生成物を含んでいる、請求項1〜10のいずれか1項に従う方法。
【請求項12】
バイオマス由来の含酸素分子が、多糖類または多糖類の誘導体を含んでいる、請求項1〜11のいずれか1項に従う方法。
【請求項13】
バイオマス由来の含酸素分子が、単糖類を含んでいる、請求項1〜12のいずれか1項に従う方法。
【請求項14】
単糖類が、グルコース、キシロース、フルクトース、ガラクトース、またはこれらの混合物を含んでいる、請求項13に従う方法。
【請求項15】
バイオマス由来の含酸素分子が、グリセロールまたはグリセロールのアルキルエステルを含んでいる、請求項1〜14のいずれか1項に従う方法。
【請求項16】
バイオマス由来の含酸素分子が、炭水化物の脱水生成物を含んでいる、請求項1〜15のいずれか1項に従う方法。
【請求項17】
炭水化物の脱水生成物が、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラールまたはレブリン酸を含んでいる、請求項16に従う方法。
【請求項18】
コークス堆積物を含有する触媒粒子をバイオマス由来の含酸素分子と接触させる段階が、水蒸気の注入をさらに含む、請求項1〜17のいずれか1項に従う方法。
【請求項19】
コークス堆積物を含有する触媒粒子をバイオマス由来の含酸素分子と接触させる段階が、COの注入をさらに含む、請求項1〜18のいずれか1項に従う方法。
【請求項20】
コークス堆積物を含有する触媒粒子をバイオマス由来の含酸素分子と接触させる段階が、直列の2の別々の反応器中で実施され、それにより水蒸気および/またはCOが第一の反応器中に注入され、そして空気が第二の反応器中に注入される、請求項1〜19のいずれか1項に従う方法。
【請求項21】
触媒粒子が、耐火性酸化物またはゼオライトを含んでいる、請求項1〜20のいずれか1項に従う方法。
【請求項22】
触媒粒子が、さらに金属0.01〜10重量%を、その金属の形でまたは酸化物、塩もしくは有機金属化合物の形で含んでいる、請求項21に従う方法。
【請求項23】
金属が、ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、コバルト、鉄、オスミウム、およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項22に従う方法。
【請求項24】
金属が、Li、Na、K、Sr、V、Ta、Mo、Re、Fe、Co、Ni、Sn、およびBiならびにこれらの混合物から成る群から選択される、請求項22に従う方法。
【請求項25】
金属が、第IIB族金属、第VIIb族金属、およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項22に従う方法。
【請求項26】
コークス堆積物を含有する触媒粒子をバイオマス由来の含酸素分子と接触させる段階の前に、金属が触媒に添加される、請求項21〜25のいずれか1項に従う方法。
【請求項27】
コークス堆積物を含有する触媒粒子をバイオマス由来の含酸素分子と接触させる段階の間に、金属が触媒に添加される、請求項21〜25のいずれか1項に従う方法。
【請求項28】
コークス堆積物を含有する触媒粒子をバイオマス由来の含酸素分子と接触させる段階が、高い水蒸気レベル、高いCOレベルおよび低い酸素レベルを有する第一の領域、ならびに低い水蒸気レベル、低いCOレベルおよび高い酸素レベルを有する第二の領域を有する1の反応器中で実施され、かつバイオマス由来の含酸素分子が当該第一の領域中に導入される、請求項1〜27のいずれか1項に従う方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−543924(P2009−543924A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519956(P2009−519956)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057257
【国際公開番号】WO2008/006904
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(508328877)バイオイーコン インターナショナル ホールディング エヌ.ブイ. (11)
【Fターム(参考)】