説明

バイオメトリクス・イメージングシステムおよび方法

走査像の紋品質を判断するステップと、走査像中の紋を検出するステップと、走査像が取り込み可能な状態にあるかどうかを判断するステップとを包含する、バイオメトリクス紋イメージを高信頼度をもって取り込む方法。この方法は、走査像をフィルタするステップ、そのフィルタ像を二値化するステップ、その二値化像の紋域、紋コントラストおよび紋形状を検出するステップ、これらの紋域、紋コントラストおよび紋形状に基づいて紋像を個々の紋像に分離するステップを含む。個々の各紋像は所定の品質閾値に基づいて区分され、個々の各紋像の品質区分が表示される。この方法には、所定の取り込み遅延期間、品質保持期間およびスキャナタイムアウト期間がある。オペレータは、紋像の欠落、拒絶品質の紋像に関する問題があれば、注釈を付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、バイオメトリクス・イメージングシステムに関するものである。より詳しくは、本発明は、高品質のバイオメトリクス紋像を高信頼度をもって取得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオメトリクス(生物計測技術)は、生物学的特性の分析を伴う科学である。紋の取り込みおよび認識は、重要なバイオメトリクス技術である。法の執行、銀行業務、投票およびその他の業務では、本人性の情報を記憶し、本人性を認識あるいは確認するためのバイオメトリクス特徴として紋に依拠する傾向がますます強まりつつある。これに関しては、例えば、Gary Roethenbaugh著、「Biometrics Explained(バイオメトリクス解説)」(Computer Security Association Inc.)(1998)年の1〜34ページ参照。一般に、バイオメトリクス特徴とは、登録されたバイオメトリクス参照テンプレート(例えば、バイオメトリクス測定を表すデータ)を持つ者の本人性を認識するため、あるいはその者について主張された本人性を確認するために使用される測定可能な身体的特徴あるいは個人的な行動特徴を言う。
【0003】
バイオメトリクス・イメージングシステムには、異なるいくつかの類型がある。例えば、バイオメトリクス・イメージングシステムの1つの類型は、紋スキャナ(ライブスキャナとも呼ばれる)である。紋スキャナは、しばしば自動指紋識別システム(AFIS)の入力装置の役割を果たす。自動指紋識別システムは、犯罪容疑者が逮捕されたとき、法執行のためそれらの容疑者から紋像を収集するために使用することができる。
【0004】
紋スキャナの1つのタイプに、テンプリントスキャナがある。通常、テンプリントスキャナは、各々の指の像をロール紋法を用いて撮像することを必要とする。フラット紋法またはスラップ(slap)紋法を用いることも可能である。不都合なことに、これら従来の技術では、スキャナータイミングの故、または指を正しく置くことが厄介なために、高品質紋を得ることが困難な場合がある。例えば、AFIS入力装置のオペレータは、使用者がスキャナプラテン上に指を正しく置いてくれないと、その都度入力装置をリセットし、かつまたは再走査しなければならないことが起こり得る。あるいは、別の例として、オペレータは、スキャナが像を取り込む前に使用者が指を正しい位置に置けないと、その都度入力装置をリセットし、かつまたは再走査しなければならないこともある。紋品質が劣ること、あるいは指が正しい位置に置かれないことは、取り込まれた一連の紋がAFISにより拒絶される原因になる。このような問題に対処しなければならない結果として、取り込み時または背景チェック時におけるような紋取得のプロセスが比較的複雑で時間を食うものとなる。
【0005】
現在のところ、バイオメトリクス・イメージングシステムは、高信頼度をもって品質バイオメトリクス紋像を取得する能力に欠けている。したがって、高品質および無欠性を持つバイオメトリクス紋像を効率的に取り込むシステムおよび方法が必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要約)
本発明のいくつかの実施形態によれば、データおよび紋像の無欠性を確保しつつ、高信頼度をもって高品質の紋像を処理して取り込むことができるバイオメトリクス・イメージングシステムおよび方法が得られる。本発明のシステムおよび方法を使用することによって、紋像を単一像として取り込み、その単一像を分割して個別の像を生成し、さらに処理することができる。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態では、スキャナ内のカメラ動作を起動するステップと、バイオメトリクスオブジェクトを走査して走査紋像を得るステップと、該走査像を処理するステップと、該走査像中の個別の紋像の紋品質を判断するステップと、該走査像中の紋を検出するステップと、見込みの紋検出数およびそれらの紋像の品質に基づいて、該走査像が取り込み可能な状態にあるかどうかを判断するステップと、を包含する方法を提供する。この方法は、走査紋像を取り込むステップ、その取り込み紋像を処理するステップ、およびその取り込み紋像をコンピュータに転送するステップを含む。この方法はさらに、オペレータが、欠落しているかまたは拒絶品質の個別紋像についての情報のように、取り込み紋像に関する品質上の問題に関して注釈を付けることを可能にするステップを含む。また、この方法は、紋像が検出されずに所定のスキャナタイムアウト期間が過ぎたとき、スキャナをタイムアウトにするステップをも含む。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態では、走査像をフィルタしてフィルタ像を得るステップと、該フィルタ像を二値化して二値化像を得るステップと、該二値化像に基づいて紋域を検出するステップと、検出された該紋域および該走査像に基づいて紋コントラストを検出するステップと、該二値化像に基づいて紋形状を検出するステップと、検出された該紋域、紋コントラストおよび紋形状に基づいて、紋像を個別の紋像に分離するステップと、を包含する方法を提供する。また、この方法は、パターン細部のような個別の紋像から抽出した特徴点データに基づいて、個々の各紋像の紋像品質を判断するステップをも含む。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態では、個々の各紋像を所定の品質閾値に基づいて区分するステップと、個々の紋像の品質区分をオペレータに対して表示するステップと、を包含する方法を提供する。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の方法の効果に寄与する所定の取り込み遅延期間、品質保持期間(quality time period)およびスキャナタイムアウト期間の使用を伴う方法を提供する。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態は、高信頼度をもって紋像を処理して取り込むためのバイオメトリクス紋イメージングシステムを指向した者である。このシステムは、前述の方法の実施形態における方法ステップをもたらす手段を備える。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態は、高信頼度をもって紋像を取り込むバイオメトリクス紋像スキャナシステムを指向したものである。このシステムは、バイオメトリクスオブジェクトの紋像を走査するスキャナを備える。このスキャナは、走査紋像が取り込み可能になったときそのことを判断する紋キャプチャマネージャを備える。また、このシステムは、取り込み紋像に関するデータを保存し、表示するコンピュータを備える。このコンピュータは、オペレータが取り込み紋像に関する注釈を入力することを可能にする。また、このシステムは、コンピュータとスキャナとの間で取り込み紋像に関するデータの転送を可能にする通信リンクを備える。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態は、紋像を検出するセンサを持つスキャナと、オペレータに対して走査紋像に関する情報を表示する出力装置と、該センサと、紋キャプチャマネージャと該出力装置との間の相互動作を制御するコントローラと、を備える。センサは、指または親指のようなバイオメトリクスオブジェクトを受けるプラテン、およびバイオメトリクスオブジェクトの紋像を走査するカメラを備える。出力装置は、個別の各紋像にそれぞれ対応した個別の品質インジケータを有する。これら個別の品質インジケータは、個々の各紋像の品質区分を表す記号、陰影、または色によって強調表示される液晶表示装置(LCD)のエリアである。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態は、取り込み紋像に関するデータを保存するメモリを持つコンピュータを備える。また、コンピュータは、オペレータに取り込み紋像データを表示し、オペレータが取り込み紋像に関する注釈を入力することを可能にするオペレータインタフェースを有する。オペレータインタフェースは、オペレータが取り込み紋像情報を見ることができるモニタ、およびオペレータが注釈を入力することができる入力装置を備える。
【0015】
本発明のさらなる実施形態、特徴、および長所、並びにこれら本発明の様々な実施形態の構造および動作については、以下に添付図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
添付図面は、明細書の一部をなすものとして本願に組み込まれ、本発明について図解説明をするためのものであって、発明の詳細な説明と共に、本発明の原理を明らかにしかつ関連技術分野の当業者が本発明を実施できるようにするために役立つものである。
【0017】
本発明の特徴および長所については、以下に記載する詳細な説明を図画と共に解釈することによりいっそう明らかとなろう(全図面を通して、図中同様の参照符号はそれぞれ対応する要素を特定的に指示する)。またこれらの図面において、同様の参照番号は総じて、同一の機能的に類似したかつまたは構造的に類似した要素を指示する。各要素が最初に図示される図面の番号は、対応する参照番号の最左端の数字により指示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本願においては、本発明を特定の用途における例示のための実施形態との関連で説明するが、ここで、本発明は、それらの実施形態に限定されるものではないということを理解するべきである。本願の教示内容を入手可能な当業者ならば、その範囲内、並びに本発明が有意な実用性を持つと思われる他の分野において、さらなる修正態様、応用形態、および実施形態が可能なことは理解されよう。
【0019】
用語の定義
本発明をさらに明確に説明するために、本願明細書においては、全体を通じ、できる限り一貫して下記の用語の定義に従う。
【0020】
「指」という用語は、親指、人差し指、中指、薬指、または小指を含め、手の任意の指を意味するが、これに限定されない。
【0021】
「紋」という用語は、1以上の指、掌、足指、足、手などの全部または一部の紋を含め、任意の形体の紋を意味し得るが、これに限定されない。また、紋は、ロール紋(rolled print)、フラット紋、またはスラップ紋(slap print)であってもよい。
【0022】
「紋像(print image)」という用語は、紋を表す様々な任意の形式の像データを意味し、グレースケールデータ、バイナリーデータ、あるいはその他の形式の生の、あるいは処理した像データを含み得るが、これに限定されない。
【0023】
「バイオメトリクスデータ」または「バイオメトリクス情報」という用語は、本願明細書全体を通して、バイオメトリクス情報(例えば、ビットマップまたはその他のファイル)、バイオメトリクスに関する抽出デジタル情報あるいはその他の情報を持つバイオメトリクス像、デジタル像またはその他の像(例えば、特徴点の詳細に基づくテンプレート)を表す任意のデータなどを意味し得る。これらのデータは、例えば紋の境界、コントラスト、または稜線模様の情報を含み得る。
【0024】
「特徴点(minutiae)」という用語は、紋についての特異で測定可能な物理的特性の意味を含む。指紋の場合、特徴点は、紋の特徴部分の中における稜線の始点と終点および稜線の交点を含む。
【0025】
「走査」という用語は、任意の形体の紋像を紋スキャナにより取得することを意味する。走査は、指、指ロール、平置き指、4本の指のスラップ紋、親指の指紋、またはプラテン上に置かれた1以上の手あるいは1以上の掌の指および/または親指からなる組みのような指の組合せの走査をふくむが、これに限定されない。
【0026】
走査では、左手または右手あるいは両手の1以上の指あるいは掌がスキャナのプラテン上に置かれる。各特定の用途によって異なる形体の紋像が検出される。例えば、フラット紋は、プラテンに対して平たく押しつけられた指(親指またはそれ以外の指)の指紋像よりなる。ロール紋は、指(親指またはそれ以外の指)をプラテン表面上に押し当てて一方の側面からもう一方の側面まで転がす際に得られるそれらの指(親指またはそれ以外の指)の像よりなる。フラット紋(slap print)は、プラテンに対して平たく押しつけた4本の指の平らな状態の像よりなる。プラテンは、各特定のスキャナのタイプおよびスキャナによって取り込まれる紋の形体によって可動型でも固定型でもよい。
【0027】
「バイオメトリクス・イメージングシステム」、「スキャナ」、「指紋スキャナ」および「紋スキャナ」という用語は、互換性をもって使用され、ライブスキャンにおいて1以上の指、掌、足指、足、手などの全部または一部の像を得ることができる任意のタイプのスキャナを意味する。これにより得られる像は、連邦捜査局(FBI)、州、あるいは国際テンプリントフォーマットを含む(ただし、これに限定されない)任意のフォーマットで組み合わせることができる。
【0028】
バイオメトリクス・イメージングシステム
本発明のいくつかの実施形態では、バイオメトリクス・イメージングシステムおよび方法を提供する。明細書および/または特許請求の範囲の記載を通して、テンプリント取り込みおよび4指スラップ取り込みが好適なシステムおよび方法であるが、本発明の範囲内で、利用可能な任意の数の指および/または親指を使用することについても考慮がなされているものと理解するべきである。したがって、上記の用語の定義を使用するとき、指および/または親指が上記より少ない場合も含み得る。さらに、掌、手、足指、足などを含め、紋を有する他のバイオメトリクスオブジェクトについても、本発明の範囲内で考慮がなされているものと理解するべきである。
【0029】
このバイオメトリクス・イメージングシステムは、バイオメトリクス像の形の紋を高信頼度をもって取り込む簡単な方法を提供することができる。例えば、4指スラップ紋像を単一像として取り込めるようにすることによって、指紋を取り込むことができる。すると、単一つの像として同時に取り込んだ片手の4本の指の紋像を分割して、最大4つの別個の像を生成することができる。両手の指の指紋を取り込んだならば、両手の親指の指紋を同時に取り込むことができる。次に、各個の抽出像を指紋カード上の対応する指および/または親指の指紋ボックスに入れて、将来の身分証明あるいは本人確認のために保存することができる。このような紋取り込みおよび分離のプロセスの例が、米国特許出願第10/345,420号および第10/345,366号により詳しく記載されている。
【0030】
プラテン上に置いたバイオメトリクスオブジェクト(例えば、指および/または親指の指紋)の正しい順序付けはソフトウェア分析および/またはプラテンの物理特性を用いて行なうことができる。また、プラテンは物理的に指を分離しやすくするために、指ガイドを備えることが可能である。このプロセスについては、米国特許出願第10/345,420号および第10/345,366号により詳しく記載されている。
【0031】
バイオメトリクス紋像は、パソコンに接続したモニタのような画面に表示して、リアルタイムの品質チェックおよび修正を伴う補助作業を行えるようにすることができる。これについて、以下図1A、1Bおよび図2を参照しつつさらに説明する。
【0032】
図1Aは、本発明の一実施形態によるバイオメトリクス・イメージングシステム100を図解した上位レベルのブロック図である。バイオメトリクス・イメージングシステム100は、コンピュータ102、スキャナ104およびインタフェースリンク106を備える。一実施形態において、インタフェースリンク106は1394シリアルインタフェースバスであり、スキャナ104をコンピュータ102に接続する。なお、1394は、高速データ転送を行うべく設計された高性能シリアルバスのIEEE規格である。1394方式は、カメラ、カムコーダ、VCR、ビデオディスク、スキャナなどのような、データ集約型用途からのリアルタイム情報を共用するための費用効果の高い方法である。本発明は、この1394インタフェースに限定されるものではない。任意の形式のインタフェースを使用して、スキャナ104とコンピュータ102を接続することができる。インタフェースリンク106経由の通信は、単方向または双方向通信で行うことができる。
【0033】
コンピュータ102は、任意の市販の既製コンピュータを使用することができる。例えば、コンピュータ102はパーソナルコンピュータ(PC)であってもよい。コンピュータ102の一実施例が、米国特許出願第10/345,420号および第10/345,366号に記載されている。この明細書を読み終えた後においては、関連技術分野の当業者にとって、他のコンピュータシステムおよび/またはコンピュータアーキテクチャを使用して本発明を実施する方法は自明となろう。
【0034】
コンピュータ102はメモリ110を備える。メモリ110は、好ましくはランダムアクセスメモリ(RAM)であるが、ハードディスク装置、またはフロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、光ディスクなどのような取り外し可能記憶装置を含め、他の類型の記憶装置を使用することも可能である。取り外し可能記憶装置は、取り外し可能な記憶装置駆動機構によって読み取り・書き込みを行う。容易に理解できるように、ハードディスク装置および取り外し可能記憶装置は各々、コンピュータソフトウェアおよび/またはデータを記憶したコンピュータ可用記憶媒体を備えることが可能である。
【0035】
図1Bにおいて、メモリ110には、コンピュータプログラム(コンピュータ制御論理またはソフトウェアとも呼ばれる)(図示省略)が記憶される。このようなコンピュータプログラムは、実行されると、コンピュータ102が本願で説明する本発明の1以上の機能を実行することを可能にする。したがって、このようなコンピュータプログラムは、コンピュータ102の制御手段としての役割を果たす。特に、コンピュータプログラムは、実行されると、オペレータがスキャナ104からコンピュータ102が受け取った取り込みバイオメトリクス紋像に関連した注釈を入力できるようにするオペレータインタフェース108をイネーブル(使用可能)状態にする。これについて、以下図5を参照しつつより詳しく説明する。関連技術分野の当業者には明白であるように、本発明のいくつかの実施形態は、主としてハードウェアの形で実施することも可能であり、あるいはハードウェアとソフトウェアの両方を組み合わせた形で実行することも可能である。
【0036】
本発明の一実施形態においては、オペレータインタフェース108がモニタ(図示省略)および入力装置(例えば、キーボードおよび/またはマウス)(図示省略)を備える。例えば、このモニタは、オペレータにカレントの取り込みバイオメトリクス紋像に関するリアルタイムフィードバックを行うために使用することができる。さらに、入力装置は、オペレータが取り込みバイオメトリクス紋像に関する注釈を入力するために使用することができる。
【0037】
本発明の一実施形態において、スキャナ104は、センサ114、コントローラ116および出力装置118を備える。コントローラ116は、紋キャプチャマネージャ117を備える。スキャナ104は、1以上の指を受けるためのプラテン(図示省略)のエリアを照明する。一実施形態においては、センサ114はデジタルカメラのようなカメラである。センサ114は、プラテン上にある紋の紋像を検出する。コントローラ116は、センサ114、紋キャプチャマネージャ117および出力装置118の相互動作を制御する。本発明の一実施形態においては、紋キャプチャマネージャ117は、以下に図3A乃至3Cを参照してさらに詳しく説明するようにして紋像を取り込む。指紋像および指紋像に関するすべての関連情報はスキャナ104からコンピュータ102へ転送することができる。同様に、指紋像に関する情報またはフィードバックは、出力装置118に転送してオペレータに表示することができる。
【0038】
上に説明した制御機能は、紋キャプチャマネージャ117の機能の全部または一部を含め、テンプリントスキャナのようなスキャナ、スキャナに接続されたコンピュータによって実行することができ、あるいはスキャナとコンピュータの両方に分散させて備えることができる。以上、本発明システムの実施形態をデジタルカメラを含む(ただし、これに限定されない)カメラとの関連で説明した。これは本発明を限定しようとするものではなく、本発明は、当技術分野で周知のように、任意の類型のセンサ、検出器、あるいはカメラを使用して紋像を走査し、取り込むことができる。
【0039】
リアルタイムフィードバック品質インジケータ
本発明の一実施形態において、出力装置118は、バイオメトリクス紋像の品質を表示する。このフィードバックは、走査されたすべての像についてシステムによりリアルタイムで与えられる。例えば、出力装置118は、1つ以上の品質インジケータを備えることもでき、その場合はおそらく、それぞれの品質インジケータを4スラップ指紋像の各特定の指と関連づけることになる。本発明の一実施形態において、出力装置118は、発光ダイオード(LED)からなる1以上のインジケータを備える。他の実施形態においては、インジケータは多色LEDからなる。その実施形態では、例えば、赤LEDは低品質を示し、緑LEDは合格または許容品質を示し、黄LEDはなんとか許容可能な品質を示す。他の実施形態では、インジケータは棒グラフLEDインジケータであり、バーのレベルが品質の許容可否を示す。さらに他の実施形態においては、インジケータは、当業者には周知のように、ある状態について使用者に警報を出すことが知られている任意の電気装置、機械装置、あるいは音響装置または信号である。一実施形態では、図2に示すように、液晶ディスプレイ(LCD)上で異なる符号用いることにより品質レベルを表示する。品質インジケータフィールド200は、4スラップ紋像の最大4本の指に対応する品質インジケータを形成する。インジケータ220は、チェックマークによって、インジケータ220に対応する指の像が良好な品質を持つことを示している。同様に、インジケータ222は、“X”マークによって、インジケータ222に対応する指の像が良好な品質ではないことを示している。次に、この実施形態について、図4Aおよび4Bを参照しつつさらに詳しく説明する。ここで、他の記号や、色、陰影、形状、あるいは言葉のような他の指標を用いて品質レベルを表示することが可能であることは理解されよう。
【0040】
図4Aは、テンプリントスキャナ400の一部を示す。テンプリントスキャナ400を使うには、使用者は自分の指484または親指486をプラテン488上に置く。次に、スキャナ104がプラテン488のエリアを照明して、プラテン488のそのエリアから情報を収集し、その収集した情報を指紋像に変換する。収集した情報は、プラテン488で反射した光に基づく情報である。走査は、通常1ミリ秒に1回以下程度の速さで繰り返し行われる。出力装置118上のインジケータフィールド200は、各走査像についてリアルタイムフィードバックを行う。例えば、図4Aでは、インジケータフィールド200はスキャナ104上のLCD画面の一部である。図4Aでは、各々個別の指484に対応する4つのインジケータ490はすべて、各指484の個別の紋像が良好な品質であることを示すチェックマークになっている。これとは対照的に、図4Bでは、人差し指484に対応するインジケータ492が“X”になっていて、この人差し指484の紋像が良好な品質ではないことを示している。このように、インジケータフィールド200は、オペレータが品質の良い紋像を得るのにプラテン488上の指484の位置を調整する必要があるかどうかを即座に判断することができるという点で、スキャナ104のオペレータにとって非常に有用である。
【0041】
品質表示は、バイオメトリクス・イメージングシステムの別のディスプレイに表示することもできる。例えば、外部コンピュータ102は、紋像の品質を示す種々の表示をモニタ上に出力することができる。
【0042】
紋像を処理して取り込む方法
図3Aは、本発明の一実施形態によるバイオメトリクス紋像の取り込みのためのルーチン300(ステップ330〜358)を図解したものである。説明の都合上、図示のルーチン300は、イメージングシステム100、特に紋キャプチャマネージャ117との関連において説明する。しかしながら、ルーチン300をこの実施形態あるいは構成に限定することを意図するものではない。ステップ330で、紋キャプチャマネージャ117はスキャナ104内部のカメラ動作を開始させる。ステップ332では、バイオメトリクスオブジェクトを走査して、走査紋像を得る。紋キャプチャマネージャ117は、各走査像を処理して(ステップ334)、出力オペレータに対してリアルタイム品質表示を出力する(ステップ336)。処理ステップ334および品質表示ステップ336については、それぞれ図3Bおよび3Cを参照してさらに詳しく説明する。リアルタイム品質表示についても、本願中に図4Aおよび4Bを参照して既に説明した。
【0043】
ステップ338で、紋キャプチャマネージャ117が紋を検出せず、ステップ340で所定タイムアウト期間中に紋を検出しなかった場合、紋キャプチャマネージャ117がステップ342でスキャナ104に制御信号タイムアウトを出し、ルーチン300はステップ358で終了する。この所定タイムアウト期間の目的は、紋がその時間中に検出されなかったことが確認された場合に、スキャナ104をタイムアウトさせることである。例えば、オペレータがイメージングシステム100を始動しても、所定タイムアウト期間に誰もプラテン上に指を置かなければ、スキャナ104はタイムアウトする。あるいは、使用者が走査のために指をプラテン上に置くが、その後指を取り去り、所定タイムアウト期間取り去ったままであると、スキャナ104はタイムアウトする。本発明の一実施形態では、この所定タイムアウト期間は60秒である。しかしながら、この所定タイムアウト期間は調整可能である。スキャナタイムアウトは、通常必然的にカメラ動作の停止を伴う。紋がステップ338で検出されず、ステップ340の所定タイムアウト期間が切れなかった場合、ルーチンはステップ332に戻って、バイオメトリクスオブジェクトを走査することにより次の紋像を得る。
【0044】
本発明の一実施形態においては、紋キャプチャマネージャ117は、4指スラップ像に対して4紋を見込み、あるいは親指の像に対して2紋を見込む。ステップ338で紋が検出されると、紋キャプチャマネージャ117は、見込んだ紋数および走査紋像の品質に基づいて走査像が取り込み可能な状態にあるかどうかを判断する。見込んだ紋のすべてが必ずしも走査紋像中になければ、あるいは見込んだ紋のすべてが必ずしも良好な品質でなければ、ルーチンは続けてステップ348へ進む。
【0045】
ステップ348で、紋キャプチャマネージャ117は、所定品質保持期間が切れたかどうかを判断する。本発明の一実施形態では、この所定品質保持期間は5秒である。しかしながら、この所定品質保持期間は調整可能である。例えば、本発明の一実施形態においては、見込んだ紋のすべてが必ずしも走査紋像中にない場合、あるいは見込んだ紋のすべてが必ずしも良好な品質ではない場合、システムは、この5秒の所定品質保持期間にこの一組の紋を取り込もうと試みたかどうかを判断する。ステップ348で所定品質保持期間が切れなかった場合、ルーチンはステップ332に戻り、バイオメトリクスオブジェクトを走査して次の紋像を得る。他方、ステップ348で、イメージングシステム100が所定の品質保持期間が切れたと判断すると、ルーチンは続けてステップ350へ進む。
【0046】
ステップ350では、最新の走査紋像を取り込む。ステップ352で、取り込み像を処理する。この処理ステップ352については、後ほど図3Dを参照してさらに詳しく説明する。ステップ354で、取り込み像を転送する。本発明の一実施形態においては、取り込み像は、図1Aおよび1Bを参照して既に説明したように、コンピュータ102に転送されて、さらに処理され、メモリ110に保存される。例えば、次のステップ356で、オペレータは個別の紋像に関する問題点について注釈を付ける機会を与えられる。一実施形態では、この注釈入力はコンピュータ102のオペレータインタフェース108を通して行われる。図5は、本発明の一実施形態による注釈スクリーン500の一例を示す。文594は、オペレータのコメントを必要とする紋品質上の問題の説明文である。チェックボックス596は、どの指がさらに詳細なコメントを必要としているかをオペレータが示すことを可能にする。そして、オペレータは注釈フィールド598にコメントを書き込む機会が与えられる。再び図3Aに戻って、オペレータがステップ356で個別の紋像に関する問題点について注釈を付ける機会を与えられた後、ルーチン300はステップ358で終了する。
【0047】
再びステップ344に戻って、見込んだ紋がすべて走査像中にあり、かつすべて良好な品質である場合、紋キャプチャマネージャ117は、ステップ346で紋が所定の取り込み遅延期間の間この状態に保たれたかどうかを判断する。本発明の一実施形態では、この所定の取り込み遅延期間は2分の1秒である。しかしながら、この所定の取り込み遅延期間は調整可能である。ステップ346で紋が所定の取り込み遅延期間の間この状態に保たれていた場合、ルーチンは続けてステップ350へ進む。ステップ350では、最新の走査像を取り込む。ステップ352で取り込み像を処理する。処理ステップ352については、後ほど図3Dを参照してさらに詳しく説明する。ステップ354で、取り込み像を転送する。本発明の一実施形態においては、取り込み像は、図1Aおよび1Bを参照して既に説明したように、コンピュータ102に転送されて、さらに処理され、メモリ110に保存される。次に、ルーチンはステップ358で終了する。
【0048】
再びステップ346に戻って、所定の取り込み遅延期間の間、見込んだ紋が存在し続けないか、あるいはすべて良好な品質に保たれない場合、ルーチンは続けてステップ348へ進む。ステップ348については、本願で既に説明した。
【0049】
図3Bは、さらに、走査像を処理するステップ334のプロセスが図解してあり、このプロセスはステップ360から直ちに開始される。ステップ360では、走査像をフィルタして、指の稜線と谷との間の遷移部に対応するすべて高周波成分を除去する。例えば、走査した指紋像は、指紋域の輪郭をはっきり示すために、フィルタして稜線と谷との間の遷移部をすべて除去する。
【0050】
ステップ362では、二値化プロセスを実行する。二値化プロセスは、グレー部分をすべて取り除き、それらの部分を白黒の閾値点に基づいて白画素または黒画素で置換する。一実施形態では、二値化プロセスは、まずフィルタ像の平均グレースケール値を取ることから始まる。この場合、この平均グレースケール値が白黒の閾値点になる。この実施形態では、平均グレースケール値を超える画素値はすべて白画素で置き換え、平均グレースケール値以下の画素値はすべて黒画素で置き換える。その結果得られる像は、紋域、紋コントラストおよび紋形状を明確に定める全黒と全白の画素で構成される。
【0051】
ステップ364では、紋域を検出する。通常、像の黒エリアは紋の周りに集中する。そこで、この検出ステップは、黒画素が集中したエリアを検出する。ステップ366では、紋コントラストを検出する。紋コントラストは、紋域を示すさらなる根拠となる。例えば、コントラストが低いことが明らかになった場合、低コントラストのそのエリアは紋像に対応してさえいないことがある。ステップ368では、プリント形状を検出する。例えば、指紋の形状は卵形であり得る。プリント形状検出ステップでは、卵形をなすよう黒画素が集中したエリアを検出する。ステップ370では、検出した紋域、紋コントラストおよび紋形状に基づいて紋像を個別の紋像に分離する。ステップ372は、走査像を処理するためのルーチンは終了し、呼び出しルーチンが、中断した元のルーチンの箇所に戻ることを可能にする。
【0052】
図3Cは、さらに、紋品質表示ステップ336のプロセスが図解してあり、このプロセスはステップ374から直ちに開始される。ステップ374では、各個の紋像を所定の品質閾値に基づいて区分する。ここで、品質閾値レベルは変更可能であり、顧客の要求条件に基づいて設定可能であることは理解されるはずである。例えば、ある顧客の要求条件は許容品質閾値を90%に、拒絶品質閾値を10%に設定することであるかもしれない。また、別の顧客の要求条件は、それほど厳格ではなく、ただ合格品質閾値を80%、拒絶品質閾値を20%とするよう求める程度であるかもしれない。本発明の一実施形態では、品質区分は許容(すなわち、良好)品質、あるいは許容不可能品質がある。ステップ376で、個々の各紋像の品質区分はオペレータにリアルタイムで表示される。リアルタイム品質表示についても、本願中に図4Aおよび4Bを参照して既に説明した。ステップ378で、ルーチンは、前述のステップ338を続けて行う。
【0053】
図3Dは、さらに、取り込み像処理ステップ352のプロセスが図解してあり、このプロセスはステップ334から直ちに開始される。ステップ334のプロセスは、図3Bを参照して上に説明した走査像を処理するプロセスとまったく同じである。次に、ルーチンはステップ380を続けて行う。ステップ380では、個別の紋像から抽出した特徴点データに基づいて品質判断を行う。「特徴点」という用語は、紋の特徴部分の中における稜線の始点と終点および稜線の交点を含め、紋についての特異で測定可能な特徴を意味する。ステップ382で、ルーチンは、前述したステップ354を続けて行う。
【0054】
図3Aのステップ354に関して前に説明したように、本発明の一実施形態においては、取り込み像は、図1Aおよび1Bを参照して既に説明したように、コンピュータ102に転送されて、さらに処理され、メモリ110に保存される。一実施形態において、このコンピュータによるさらなる処理は、各個の紋を順序づけるステップを含む。例えば、犯罪容疑者のような人の指紋を取る際には、本発明のシステムは、左右それぞれの手について一組をなす4指スラップ紋と親指の指紋を取り込んだ後、再度各指について別々にロール紋走査を行うよう要求する。このシステムは、特定の順序で各指の走査を求めると共に、各ロール紋を前に得たスラップ紋像の対応する個々の紋像と比較して、各指がそれぞれ正しい指であることを確実ならしめる。比較した指が正しくなければ、オペレータに訂正するよう要求する。この順序付け技術によれば、例えば、それぞれの指紋を指紋カード上に正しく配置することが可能になる。このようにして、指紋データは、その品質だけではなくその無欠性をも保持し、それ故、FBIのような関係当局や同様の政府機関が身分証明あるいは本人確認様に容易に利用することが可能である。
【0055】
結語
以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例示説明のためのものであり、本発明に対して限定的な意味を有するものではないと解すべきである。この技術分野の当業者ならば、特許請求の範囲に記載する本発明の精神および範囲を逸脱することなく形式においても詳細構成においても本発明に種々の修正・変更をなすことが可能なことは理解されよう。故に、本発明の広さおよび範囲は上に説明したいずれの実施形態によっても限定されず、特許請求の範囲の記載およびその均等物によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1A】図1Aは、本発明の一実施形態による典型的バイオメトリクス・イメージングシステムを示すブロック図である。
【図1B】図1Bは、図1Aの典型的バイオメトリクス・イメージングシステムをより詳細に示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態による紋像品質インジケータを示す説明図である。
【図3A】図3Aは、本発明の一実施形態によるバイオメトリクス紋像の取り込みルーチンを示すフローチャートである。
【図3B】図3Bは、本発明の一実施形態による像処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図3C】図3Cは、本発明の一実施形態による紋像品質表示ルーチンを示すフローチャートである。
【図3D】図3Dは、本発明の一実施形態による処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施形態で使用するテンプリントスキャナの一部を示す斜視図で、すべての紋像の品質が良好であることを示すフィードバック状態が表示されている。
【図4B】図4Bは、本発明の一実施形態で使用するテンプリントスキャナの一部を示す斜視図で、1つの紋像の品質が良好でないことを示すフィードバック状態が表示されている。
【図5】図5は、オペレータが個別の紋像に関する注釈を入れることができるオペレータインタフェース画面を示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紋像を高信頼度を持って取り込む方法であって:
(a)スキャナ内のカメラ動作を起動するステップと;
(b)バイオメトリクスオブジェクトを走査して走査像を得るステップと;
(c)該走査像を処理するステップと;
(d)該走査像中の個別の紋像の紋品質を判断するステップと;
(e)該走査像中の紋を検出する検出ステップと;
(f)該ステップ(e)における見込みの紋検出数および該ステップ(d)で判断された該紋像の品質に基づいて、該走査像が取り込み可能な状態にあるかどうか判断する判断ステップと;
を包含する、方法。
【請求項2】
走査像を処理する前記ステップ(c)が:
(c1)前記走査像をフィルタするステップと;
(c2)フィルタ像を二値化して二値化像を得るステップと;
(c3)該二値化像に基づいて紋域を検出するステップと;
(c4)該ステップ(c3)で検出された該紋域および該走査像に基づいて紋コントラストを検出するステップと;
(c5)該二値化像に基づいて紋形状を検出するステップと;
(c6)検出された該紋域、紋コントラストおよび紋形状に基づいて、該二値化像を個別の紋像に分離するステップと;
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
紋品質を判断する前記ステップ(d)が:
(d1)個々の各紋像を所定の品質閾値に基づいて区分するステップと;
(d2)該区分ステップに基づいて該個々の紋像の品質区分を表示するステップと;
を包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって:
(g)前記走査像を取り込んで取り込み像を得るステップと;
(h)該取り込み像を処理するステップと;
(i)該走査像をコンピュータに転送するステップと;
(j)前記判断ステップ(f)において、
該走査像中に見込んだ紋数がないという条件;および
該見込んだ紋のすべてが必ずしも良好な品質ではなくかつ所定品質保持期間が切れたという条件;の中の少なくとも1つの条件が存在すると判断されたとき、
オペレータが前記個別の紋像に関する品質上の問題について注釈を加えることを可能にするステップと;
を包含する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、さらに:
(g)前記バイオメトリクスオブジェクトを走査して次の走査像を得るステップと;
(h)該走査像を処理するステップと;
(i)該走査像中の個別の紋像の紋品質を判断するステップと;
(j)該走査像中の紋を検出するステップと;
(k)前記検出ステップ(e)において、紋が検出されずかつ所定タイムアウト期間が切れたことが確認されたとき、該ステップ(j)における見込みの紋検出数および該ステップ(i)で判断された該紋像の品質に基づいて、該走査像が取り込み可能な状態にあるかどうか判断するステップと;
を包含する、方法。
【請求項6】
さらに、前記検出ステップ(e)で、紋が検出されず、かつ所定タイムアウト期間が切れたことが確認されたとき、前記スキャナをタイムアウトさせるステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、さらに:
(g)前記バイオメトリクスオブジェクトを走査して次の走査像を得るステップと;
(h)該走査像を処理するステップと;
(i)該走査像中の個別の紋像の紋品質を判断するステップと;
(j)該走査像中の紋を検出するステップと;
(k)前記判断ステップ(f)において、
該走査像中に見込んだ紋数がないという条件;および
該見込んだ紋のすべてが必ずしも良好な品質ではなくかつ所定品質保持期間が切れたという条件;の中の少なくとも1つの条件が存在すると判断されたとき、
該ステップ(j)における見込みの紋検出数および該ステップ(i)で判断された該紋像の品質に基づいて、該走査像が取り込み可能な状態にあるかどうか判断するステップと;
を包含する、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、さらに:
(g)前記走査像を取り込んで取り込み像を得るステップと;
(h)該取り込み像を処理するステップと;
(i)前記判断ステップ(f)において、
該走査像中に見込んだ紋数がないという条件;および
該見込んだ紋のすべてが必ずしも良好な品質ではなくかつ所定品質保持期間が切れたという条件;の中の少なくとも1つの条件が存在すると判断されたとき、
該取り込み像をコンピュータに転送するステップと;
を包含する、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、さらに:
(j)オペレータが前記取り込み像に関する品質上の問題について注釈を加えることを可能にするステップ;を包含する、方法。
【請求項10】
取り込み像を処理する前記ステップ(h)が:
(h1)該取り込み像をフィルタするステップと;
(h2)フィルタ像を二値化して二値化取り込み像を得るステップと;
(h3)該二値化取り込み像に基づいて紋域を検出するステップと;
(h4)該ステップ(h3)で検出された該紋域および該取り込み像に基づいて紋コントラストを検出するステップと;
(h5)該二値化取り込み像に基づいて紋形状を検出するステップと;
(h6)検出された該紋域、紋コントラストおよび紋形状に基づいて、該二値化取り込み像を個別の紋像に分離するステップと;
を包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、さらに:
(h7)個別の紋像から抽出した特徴点データに基づいて、個々の各紋像の紋像品質を判断するステップ;を包含する、方法。
【請求項12】
前記判断ステップ(f)で、前記走査像中に見込んだ紋数があり、かつ見込んだ紋がすべて良好な品質であると確認されたとき、その状態が所定の取り込み遅延期間中に変化するかどうかを判断するステップをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、さらに:
(g)前記走査像を取り込んで取り込み像を得るステップと;
(h)該取り込み像を処理するステップと;
(i)所定の取り込み遅延期間中に前記状態が変化しないとき、該取り込み像をコンピュータに転送するステップと;
を包含する、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、さらに:
(g)前記バイオメトリクスオブジェクトを走査して次の走査像を得るステップと;
(h)該走査像を処理するステップと;
(i)該走査像中の個別の紋像の紋品質を判断するステップと;
(j)該走査像中の紋を検出する検出ステップと;
(k)所定取り込み遅延期間中に前記状態が変化せず、所定品質保持期間が切れていないとき、該ステップ(j)における見込みの紋検出数および該ステップ(i)で判断された該紋像の品質に基づいて、該走査像が取り込み可能な状態にあるかどうか判断するステップと;
を包含する、方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、さらに:
(g)前記走査像を取り込んで取り込み像を得るステップと;
(h)該取り込み像を処理するステップと;
(i)所定取り込み遅延期間中に前記状態が変化せずに、所定品質保持期間が切れたとき、該取り込み像をコンピュータに転送するステップと;
を包含する、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、さらに:
(j)オペレータが前記取り込み像に関する品質上の問題について注釈を加えることを可能にするステップ;を包含する、方法。
【請求項17】
紋像を高信頼度を持って取り込むためのシステムであって:
紋キャプチャマネージャを備えた紋像を走査するスキャナであって、該紋キャプチャマネージャが、所定の取り込み遅延期間内で、見込んだ紋数が走査像中にありかつ見込んだ紋がすべて良好な品質であるとき、該走査像は取り込み可能な状態にあると判断する、スキャナと;
取り込んだ紋像に関するデータを保存し、表示すると共に、オペレータが該取り込み紋像に関する注釈を入力することを可能にするコンピュータと;
コンピュータとスキャナとの間にあって、該取り込み紋像に関するデータの転送を可能にする通信リンクと;
を備えた、システム。
【請求項18】
前記紋キャプチャマネージャが、走査像中に見込みの紋数がないとき、または見込んだ紋のすべてが必ずしも良好な品質ではなく、かつ所定の品質保持期間が切れたとき、該走査像は取り込み可能な状態にあると判断する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記スキャナが:
走査を通して紋像を検出するセンサと;
オペレータに走査紋像に関する情報を表示する出力装置と;
該センサと、該紋キャプチャマネージャと該出力装置との間の相互動作を制御するコントローラと;
を備えた、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記スキャナが:
バイオメトリクスオブジェクトを受けるプラテンと;
該バイオメトリクスオブジェクトの紋像を走査するカメラと;を備えた、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記出力装置が、個別の紋像に対応した個別の品質インジケータを備えた、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記個別のインジケータが、各像の品質区分を表す符号により強調表示される液晶ディスプレイ(LCD)のエリアである、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記個別のインジケータが、各像の品質区分を表す陰影または色により強調表示される液晶ディスプレイ(LCD)のエリアである、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記コンピュータが:
前記取り込み紋像に関するデータを記憶するメモリと;
オペレータに取り込み紋像に関するデータを表示し、オペレータが取り込み紋像に関する注釈を入力することを可能にするオペレータインタフェースと;
を備えた、請求項17に記載のシステム。
【請求項25】
前記オペレータインタフェースが:
オペレータが前記取り込み紋像の情報を見ることができるモニタと;
オペレータが注釈を入力することができる入力装置と;
を備えた、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
紋像を高信頼度を持って取り込むためのシステムであって:
スキャナ内のカメラ動作を起動するための手段と;
バイオメトリクスオブジェクトを走査して走査像を得るための手段と;
該走査像を処理するための手段と;
該走査像中の個別の紋像の紋品質を判断するための手段と;
該走査紋像中の紋を検出するための手段と;
該走査像が取り込み可能な状態にあるかどうかを判断するための手段であって、
所定の取り込み遅延期間内において、該走査像中に見込んだ紋数がありかつ見込んだ紋がすべて良好な品質であるという条件と;
該走査像中に見込んだ紋数がないか、または見込みの紋のすべてが必ずしも良好な品質ではなく、かつ所定の品質保持期間が切れたという条件;の中の少なくとも1つの条件が満たされたとき、
該走査像は取り込み可能な状態にある、手段と;
を備えた、システム。
【請求項27】
請求項26記載のシステムであって、さらに:
紋が検出されずに所定のスキャナタイムアウト期間が切れたとき、該スキャナをタイムアウトさせるための手段;を備えた、システム。
【請求項28】
請求項26記載のシステムであって、さらに:
前記走査像を取り込んで取り込み像を得るための手段と;
該走査像を処理するための手段と;
該走査像が取り込み可能な状態にあると判断されたとき、該取り込み画像をコンピュータに転送するための手段と;
を備えた、システム。
【請求項29】
請求項28記載のシステムであって、さらに:
すべてではなく一部の見込んだ紋が検出されたとき、あるいは、
前記取り込み像中に見込んだすべての紋があって良好な品質であるが、所定の取り込み遅延期間の間存在し続けないか、あるいはすべて良好な品質に保たず、かつ所定の品質保持期間が切れたとき、
オペレータが該取り込み像に関する品質上の問題について注釈を加えることができるようするための手段;を備えた、システム。
【請求項30】
紋像を高信頼度を持って取り込む方法であって:
(a)スキャナ内のカメラ動作を起動するステップと;
(b)バイオメトリクスオブジェクトを走査して走査像を得るステップと、
(c)該走査像を処理するステップと;
(d)該走査像中の個別の紋像の紋品質を判断するステップと;
(e)該走査紋像中の紋を検出するステップと;
(f)該ステップ(e)における見込んだ紋検出数および該ステップ(d)で判断された該紋像の品質に基づいて、該走査像が取り込み可能な状態にあるかどうか判断するステップであって、見込んだ紋数が該走査像中にあり、かつ見込んだ紋がすべて所定の取り込み遅延期間中良好な品質であるとき、該走査像は取り込み可能な状態にある、ステップと;
を包含する、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、さらに:
(g)前記走査像中に見込みの紋数がないとき、または見込んだ紋のすべてが必ずしも良好な品質ではなく、かつ所定の品質保持期間が切れたとき、該走査像は取り込み可能な状態にあると判断するステップ;を包含する、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−501465(P2007−501465A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522618(P2006−522618)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/024416
【国際公開番号】WO2005/013184
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(501495178)クロス マッチ テクノロジーズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】