説明

バイオメトリック・セキュリティ装置

本発明は、少なくとも一つの真正性確認装置(17)と評価・比較モジュール(10)とを備えたセキュリティ装置に関し、ロック装置(18)と真正性確認装置(17)との間に通信接続(21)がある。センサ(2)はバイオメトリックデータ及び/又は皮膚及び皮膚下組織層の特別な特性を検出する薄膜センサとして構成される。通信接続(21)は、真正性確認装置(17)が決定した混同不能な利用者コードを安全に無線で伝送するように構成され、通信接続の有効範囲は短距離、特に50cm未満に制限される。ロック装置(18)は、利用者コードが該ロック装置に対応する識別コードに一致すると非アクティブ化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部外者の利用又は部外者のアクセスから技術装置を守るためのセキュリティ装置に関する。セキュリティ装置は、少なくとも1つの真正性確認装置とロック装置とを含んでおり、真正性確認装置は少なくとも1つのセンサと評価・比較モジュールとを含んでおり、そしてロック装置と真正性確認装置との間には通信接続が存在している。
【背景技術】
【0002】
技術機器又は技術装置、例えばセキュリティ領域、セキュリティ・ドア、データ処理装置、及び火器は、部内者つまり権限を与えられた者だけが装置を規定に従って利用できること、又はこのような者だけにアクセスが許されることを保証するための処置を必要とする。このような種類の装置を用いる場合大抵は、セキュリティが極めて重要である情報、又は機密保持されるべき情報が管理及び/又は保管されるか、又はこの装置の利用によって、利用者自身にとって若しくは周囲及び他の人物にとって特別な危険が生じるので、セキュリティ装置が部内者に対する一義的認識に関して特に高い信頼性を提供しなければならない。特にこのような種類のセキュリティ装置には、利用者の識別のために、一義的であり且つ改ざん若しくは不正操作が全くできないか又は極めて困難であるような特徴を使用することが必要とされる。
【0003】
従来技術から、部内者を識別するためにバイオメトリック・データを使用するいくつかの方法が知られている。
【0004】
欧州特許第0 691 822号明細書には、人の手の甲のバイオメトリック特徴を検出するための装置が開示されている。利用者は硬く手を握り、これによって手の甲の表面に静脈及び腱の構造がはっきり見られるようになる。手の甲の表面は、光学捕捉システム、特にカメラによって捕捉され、ここから、画像付与法によって、特徴的な調査データが算出される。このような特徴的なパターンは、基準値として記憶され、後から行われる照合問い合わせ時に、一致に関する比較のためのベースとして役立つ。画像付与法及び差分画像形成によって、真正性確認のために提示された手の甲のパターン及び基準パターンから差分画像が決定され、この差分画像には、基準パターンと新たに提示されたパターンとの全ての偏差が示されている。したがって、可能な限りの一致が生じたときに、利用者本人であることが信頼性高く証明される。
【0005】
また、国際公開第88/04153号パンフレットに開示された装置の場合、手の甲の表面構造、特に静脈構造が利用者の一義的識別のために使用される。この文書が開示するところによれば、利用者は一方の手を装置内に挿入し、そしてカメラが手の甲の表面画像を捕捉する。画像付与法によって、そこからやはり表面構造又は静脈構造が算出され、相関関数が基準パターンとの一致を指し示す。
【0006】
米国特許第6,799,726号明細書には、腕時計の形態のセキュリティ装置が開示されている。バイオメトリック・センサが腕時計内に組み込まれており、そしてこれは静脈構造を捕捉するように形成されている。腕時計は、センサに電気エネルギーを供給し、検出されたバイオメトリック生データを相応に処理し、そしてバイオメトリック識別特徴を無線通信接続を介して評価装置に伝送する。
【0007】
従来技術から公知の方法の欠点は、例えば、利用者の手を例えば装置内に挿入しなければならないため、これらの方法が移動式の使用のためには全く又は制限付きでしか適していないことにある。さらに、バイオメトリック・センサが別の装置、例えば腕時計内に組み込まれている場合も不都合である。日常の使用において、特に汚れ、埃、及び高い機械負荷を計算に入れなければならない環境条件下では、セキュリティ装置を規定に従って使用したときに、バイオメトリック・センサが容易に損傷されるおそれがある。バイオメトリック・センサがここで腕時計内に組み込まれている場合には、腕時計は、環境条件に耐えることができ、そしてさらに、容易に清浄化され得るように、保護された状態で形成されていなければならない。しかし、バイオメトリック・センサが損傷している場合には、腕時計全体を交換しなければならず、このことはコスト高であり面倒である。それというのも、記憶済のバイオメトリック基準値を伝送しなければならないか、又は新たなバイオメトリック基準値を確定しなければならないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、一義的なバイオメトリック・データを評価し、そして権限を与えられた利用者を認識すると、装置の利用又は装置へのアクセスを許すセキュリティ装置にある。さらに本発明の課題は、簡単且つ低廉に製造することができ、そして環境の影響及び機械負荷に対して高い耐久性を有する、バイオメトリック・データを検出するためのセンサをセキュリティ装置に設けることである。さらに本発明の課題は、欠陥又は欠点のある構成部分を簡単且つ低廉に交換できるように、セキュリティ装置をモジュール式に組み立てることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題は、センサがバイオメトリック・データ又は皮膚のスペクトル特性、及び皮膚の下に位置する組織層を検出するための薄膜センサとして形成されていること、そして通信接続が、真正性確認装置によって決定された混同不能な利用者コードを安全に無線伝送するように形成されていて、通信接続の動作範囲が、近接領域、特に50cm未満に制限されていること、そしてロック装置が、利用者コードと、ロック装置に対応する識別コードとが一致すると非アクティブ化されること、によって解決される。
【発明の効果】
【0010】
薄膜センサは、公知のバイオメトリック・センサと比較して低廉に、そして著しく広い面積で製造可能であり、これによって、バイオメトリック特徴を有する身体部位のより大きい部分を検出することができる。さらに、薄膜センサは印刷法によっても蒸着法によっても、またこれら両方法の組み合わせによっても製造することができる。例えば、印刷法で製造されたセンサの利点は、具体的な構成を、意図された用途に個々に適合させる得ることである。他方において蒸着法の利点は、印刷が全くできないか又は難しい材料を被着することができ、殊に、特別に薄い層を形成できることである。
【0011】
一義的な利用者コードを伝送することによって、又は近接領域に制限することによって、利用者コードを後の不正使用のために探ることが十分に防止される。制限された動作範囲の更なる利点は、隣接するロック装置が不所望にアクティブ化されるおそれがないことである。
【0012】
さらに、利用者コードと識別コードとの一致が確定されたときにだけ、ロック装置が非アクティブ化されることも有利である。特にこのことの利点は、一義的な対応関係が失われたときに、ロック装置が自動的にアクティブ化され、そしてロックされた装置の利用又は装置へのアクセスが阻止されることである。
【0013】
センサが、有機半導体材料、無機半導体材料、ナノ粒子を含む群の少なくとも1種の材料から形成されていると、特に有利な構成が得られる。これらの材料の特別な利点は、印刷法又は蒸着法において使用することができ、これによって、センサの特に効率的で低廉な製造が可能なことである。特に、請求項に基づいて形成されたセンサは、弾性的且つフレキシブルに変形可能であり、これによって、損傷のおそれなしに、センサを身体部位の表面に極めて良好に適合させ得るという利点を有している。従来のセンサの場合と比較して、製造するために必要なエネルギーが著しく少なく、またセンサの廃棄問題が著しく小さく、これによって、このようなセンサを特に使い捨てセンサとして使用できることも、請求項に基づいた構成の利点である。
【0014】
全部を主張するわけではないが、使用可能な更なる材料として次のものを挙げる。カーボン・ナノチューブ、PPV(ポリ−フェニル−ビニル)。例えば、有機及び無機半導体の有利な特性を組み合わせるために、材料混合形態も考えられる。
【0015】
利用者固有の特徴を確実に信頼性高く検出することに関して、検出されたバイオメトリック・データが、静脈構造、皮膚表面構造、組織構造を含む群から形成されていると、極めて有利である。
【0016】
バイオメトリック識別特徴としては、しばしば指紋が利用される。厳しい環境条件を有する環境、特に汚れを計算に入れなければならない環境においてセキュリティ装置を使用したい場合、指の構造が一義的に認識され得るには余りにも汚れていることが容易に起こり得る。したがって、大きい面積のバイオメトリック特徴を一義的な識別のために利用できることは、特に有利である。皮膚の表面構造又は静脈は、面積がより大きく、またより僅かな分解能で走査することができ、これによって、皮膚表面が汚れているときにも、固有の特徴を信頼性高く検出することがなおも可能である。
【0017】
重要なのは、組織の種々異なるスペクトル特性を目的に合わせて活用することによって、1つの捕捉位置で、複数の一義的なバイオメトリック特徴を捕捉できる点である。特に、種々異なるスペクトル部分における反射値及び/又は透過値が評価される。
【0018】
センサが少なくとも1つの線源と、少なくとも1つの量子検出器とを含む更なる構成も有利である。それというのも、これによって、バイオメトリック特徴の検出が、周囲光又は付加的な外部照明手段とは無関係になり、また、線源及び量子検出器のスペクトル感度を互いに調和させることができるからである。
【0019】
有利な別の構成において、表面への照明は、目的に合わせて種々異なるバイオメトリック特徴を検出できるように制御することができる。
【0020】
線源が、350nm〜780nmの波長を有する電磁線を放出するように形成されている構成によって、皮膚の表面構造を検出することができる。請求項に基づく電磁線は可視光領域内にあり、したがって有利には、皮膚の表面構造を検出するのに特に良く適している。
【0021】
線源が、750nm〜1.4μmの波長を有する電磁線を放出するように形成されていると、さらに別の有利な構成が得られる。このような波長の電磁線は表皮層を貫通し、ひいてはより深くに位置する特徴、特に静脈構造への照明を可能にする。より大きい侵入深さは、場合によっては皮膚表面上に存在する不純物が、より深くに位置する特徴への照明を全く又は取るに足らない程度にしか妨げないという更なる利点をも有している。
【0022】
有利な別の構成において、線源は例えば、特に650nmから1.4μmまで、その都度調整可能に形成されていてよく、これによって、電磁線の組織内への侵入深さを目的に合わせて制御することができる。したがって、相応にスペクトル選択的な量子検出器によって、唯1つのセンサを用いて、複数のバイオメトリック特徴を検出することが可能である。また、その都度異なる深さで特徴を複数回検出することもできる。
【0023】
量子検出器が、複数の感光性素子が配置されたものとして形成されていると、種々異なる形式でバイオメトリック特徴を検出することができる。例えば、複数の検出器同士を接続することによって、第1検出動作において感度を高め、皮膚表面又は静脈の粗構造を検出することができ、次いで更なる検出動作において、感光性要素同士を別の形式で接続することによって、高分解された詳細特徴を検出することができる。
【0024】
別の構成において、量子検出器は、スペクトルに対して異なる感度を有する素子によって形成されていてよい。個々の素子はセンサの支持体層上に交互に配置されていてよく、これによって、各配置が、異なる波長領域内で固有の特徴を検出するように形成されている。これによって、線源が相応に形成されていると、皮膚の表面構造の検出と、より深くに位置する静脈構造の検出とを同時に行うことが可能である。
【0025】
量子検出器が、有機又は無機フォトダイオード、有機又は無機フォトトランジスタ、フォトレジスタを含む群から形成されていると、重要な利点が得られる。それというのは、この群から成る構成部分は、印刷法又は蒸着法によって、及びこれらの方法の組み合わせによって、迅速且つ低廉に製造することができる。電磁線が光学領域内で作用すると、構成部分の少なくとも1つの電気的特性値を変化させることになる。
【0026】
できる限り全身的な使用、及び迅速且つ簡単なサービス又はセンサの交換に関して、センサがシート、特に粘着シートとして形成されていると、有利である。これによって、請求項に基づいて形成されたセンサは、簡単にそして付加的な保持装置なしで、身体に装着した装置に組み込むことができる。
【0027】
できる限り全身的な使用に関しては、センサが、アーム・バンド、頭の被り物、額ストラップ、喉マイクロホン、眼鏡、チェスト・ストラップを含む群のうちの装置内に組み込まれているか、又はこの装置に配置されていると、特に有利である。このような装置は、装備品の一部であるので、日常の使用において広く普及しており、又は人々によって必要とされ及び/又は使用される。センサをこのように全身的に配置し、又は組み込むことができることによって、バイオメトリック特徴を検出するためにセンサを装着するのに際して、手間のかかる、又は付加的な装置は必要とならない。また、このような装置は、人体に特に良好に適合させることができ、これによって、特に良い着け心地が得られ、また運動自由度の制限は極めて僅かに過ぎない。
【0028】
真正性確認装置がエネルギー供給装置を含んでいると、特に有利に、エネルギー自給自足運転が可能である。利用者によって担持されるべき、すなわち携行されるべき外部エネルギー源によって、真正性確認装置にエネルギーを供給することは必要でなく、これによって、利用者の動きやすさ及び運動自由度は制限されることがない。
【0029】
エネルギー供給装置が、電気化学的素子、特にバッテリー又は蓄電池によって、及び/又は容量性エネルギー蓄積器によって形成されていてよく、このことの利点は、このような種類のエネルギー供給装置が広く普及しており、既に多様に使用されており、ひいては、エネルギー供給装置の特に低廉な構成が可能であることである。
【0030】
有利な別の構成において、エネルギー供給装置は、化学的素子によって形成されていてよく、この化学的素子は、一回のアクティブ化後、既定の技術的に制限された時間にわたって、電気エネルギーを放出する。センサはこうしてアクティブ化アクションによって運転状態になり、その後、エネルギー供給装置の供給時間に応じて、バイオメトリック・データを検出し、そして運転時間終了後に廃棄され、新しいセンサと取り換えられる。まさしくセンサが汚されるおそれがある点に関して、この構成は、常に最適に働くセンサが使用され、そしてバイオメトリック・データが信頼性高く検出されるという利点を有している。本発明によるセンサは特にエネルギー節約的に形成されていてよいので、場合によっては、センサに電気エネルギーを供給するには、容量性エネルギー蓄積器、例えば二重層コンデンサで十分である。
【0031】
エネルギー供給装置が、太陽電池、特に有機太陽電池によって形成されていると、特に有利な別の構成が得られる。太陽電池によって、長期にわたるエネルギー自給自足的なセンサの運転が可能である。
【0032】
有機太陽電池の更なる特別な利点は、機械的にフレキシブルであり、ひいては、身体部位の表面に良好に適合させ得るセンサを形成できることである。また、有機太陽電池は低廉に製造可能であり、そして廃棄に関してほとんど問題を招かないことも有利であり、このことは使い捨てセンサにとって極めて有利である。
【0033】
特に、測定中に電磁線源にエネルギーを供給するように、エネルギー供給装置を形成することができる。このような測定動作は好ましくは周期的に実施され、そして場合によっては、極めて短い時間だけが利用されるので、エネルギー供給装置は、真正性確認装置、特に電磁線源に、測定中にエネルギーを供給するためだけに形成されていなければならない。測定間の時間中に、エネルギー供給装置は、外部エネルギー源によって充電することができる。このことは例えば太陽電池によって行うことができる。しかしながら、利用者が容量の大きいエネルギー源を携行し、そしてこのようなエネルギー源が、利用者の皮膚を介した近接場伝送によって、測定休止中にエネルギー供給装置を充電することも考えられる。特に、このような構成は、真正性確認装置を特にコンパクトに組み立てることができるという、まさに決定的な利点を有している。
【0034】
バイオメトリック・データは、人体の複数部位で検出することができるが、しかし、センサが手の領域内、又は、前腕の、手に向いた部位の領域内に配置されているような構成が有利である。それというのも、このような部分では、極めて特徴的な表面構造が検出可能であり、又は高密度の静脈が存在するからである。このように、小さな面積のセンサでも、多数の固有の特徴を検出することができ、そして信頼性高い識別特徴を突き止めることができる。
【0035】
しかしながら、本発明によるセキュリティ装置は、センサが請求項に基づく部分に配置されることに限定されてはいない。それというのも、有利な別の構成と組み合わせても、センサは、特徴的なバイオメトリック・データを検出することができる場所の至る所に配置することができるからである。可能な配置部位の一例としては、前腕又は上腕、頭の領域、及び上半身の領域が挙げられる。
【0036】
センサが足首関節の領域内に配置されている構成の利点は、このような領域内では衣服部分によって機械負荷及び汚染からセンサを良好に保護できることである。別の重要な利点は、このように配置されたセンサが着用者の運動自由度をほとんど制限せず、そして衣服部分によってセンサを良好に隠すことができることである。
【0037】
センサが弾性的に復元するように変形可能であると、特に有利な別の構成が得られる。それというのも、このようなセンサはこうして、検出しようとする表面に良好に適合され、しかも場合によって生じる変形によりセンサが損傷されるおそれがないからである。特にこの構成は、身体の動きによって連続的に変形させられ、又は歪まされるセンサが身体部位に装着されると、有利である。センサはこのような場合、表面に良好に適合することができるので、バイオメトリック・データの誤検出のおそれ、ひいてはセキュリティ装置の間違った解放又は遮断のおそれが大幅に低減される。
【0038】
当業者には周知のことと仮定するが、弾性的に復元可能な変形は、材料固有の限界値以内にとどまり、つまり、加えられた歪みが不可逆的な材料損傷を招くことはない。
【0039】
センサが生体信号を検出するように形成されていると、特に有利な別の構成が得られる。着用者の一義的な識別の他に、請求項によれば、生命に重要なバイタルサインの測定も可能である。したがって、真正性の確認は生きている人に関してのみ可能であり、これによって、偽造されたバイオメトリック特徴を提示することによる擦り抜けの試みが信頼性高く阻止される。
【0040】
別の構成において、検出された生体信号は、生命を脅かす状態であることを着用者に警告するために使用することもできる。検出された生体信号を観測室に伝送することによって、そこで監視又は分析を行うような構成も考えられる。
【0041】
セキュリティ装置のコンパクトな構造にとって、評価・比較モジュールとセンサとが一体的に配置されていると、有利である。請求項に基づいて形成された真正性確認装置の利点は、真正性確認装置が特に良好に一体化可能であり、環境の影響から特に良好に保護され得ることである。特に、周知の一体化法の技術的可能性によって、特にコンパクトで頑丈な装置又はモジュールを形成することができる。更なる利点は、請求項に基づいて形成された真正性確認装置がバイオメトリック・データの検出及び評価を行い、この動作の結果として、混同不能な利用者コードが送出されることである。
【0042】
有利な別の構成において、評価・比較モジュールが有機半導体構成部分から形成されており、これにより、特に一回だけの使用という見地から、有機半導体の利点が真正性確認装置にも、もたらされる。
【0043】
特に、請求項によれば、例えば有機半導体が印刷され、そして無機半導体構成部分がボンディングされるような構成も一緒に含まれる。しかしながら、有機半導体構成部分と無機半導体構成部分との別の組み合わせも、請求項に基づく構成によって一緒に含まれている。
【0044】
評価・比較作業を実施するために、評価・比較モジュールが記憶装置を含んでいると有利である。それというのも、この記憶装置内には、検出されたバイオメトリック・データと、評価・比較法の中間結果とを記憶することができるからである。
【0045】
記憶装置内に、バイオメトリック基準データが記憶されていると、特に有利な別の構成が得られる。真正性を確認するためには、検出されたバイオメトリック・データを、その利用者を一義的に特徴付ける基準データと比較しなければならない。これらの基準データが、評価・比較モジュールの記憶装置内に直接に記憶されていると、このことは、真正性確認のセキュリティの面で、重要な利点をもたらす。検出されたバイオメトリック・データ又は基準データを伝送するためのどの通信接続も、伝送が妨害又は変造され得るという危険をはらんでいる。したがって、請求項に基づく構成は、バイオメトリック・データの検出から、基準データとの評価・比較まで、セキュリティ上重大なぜい弱個所は存在していないというまさに決定的な利点を有している。
【0046】
姿勢及び/又は運動に基づき、センサの位置は僅かに変化し、ひいては、検出されたバイオメトリック・データが僅かに異なっていることがあるので、記憶装置内には複数の基準データが記憶されている。検出されたバイオメトリック・データを、記憶されたいくつかの基準データと比較することによって、利用者が本人であることを確実且つ信頼性高く見極めることが可能であり、セキュリティ装置の誤った解放又は遮断のおそれが有利に低減する。
【0047】
セキュリティ装置の必要とされるセキュリティ機能に応じて、評価・比較モジュールが連続的及び/又は時間離散的に、皮膚のバイオメトリック・データを検出すると有利である。高感度の領域又は装置、例えば携帯火器若しくはデータ処理装置を守るためには、頻繁な真正性確認が望まれるのに対して、アクセス制御を実施するためには、より少ない反復率での真正性確認で十分である。
【0048】
別の構成において、真正性確認は、アクティブ化動作によって開始することもできる。例えば、真正性確認装置には作動素子が設けられていてよく、この作動素子によって、真正性確認動作が開始される。ロック装置は遠隔作用素子を備えていてもよく、この遠隔作用素子は、真正性確認装置がロック装置に接近すると、真正性確認動作を開始する。
【0049】
複雑な真正性確認計算を行うために、評価・比較モジュールが計算ユニットを含んでいると有利である。
【0050】
計算ユニットが、センサによって検出されたバイオメトリック・データを評価するように形成されていると、又は、計算ユニットが、評価されたバイオメトリック・データを、該記憶装置内に記憶された基準データと比較するように形成されていると、有利な別の構成が得られる。
【0051】
これらの有利な別の構成は、真正性確認装置の特にコンパクトな構造を可能にする。それというのも、バイオメトリック・データを検出・評価するための全ての方法は、評価・比較モジュールによって実施されるからである。
【0052】
更なる構成において、評価・比較モジュールが、記憶装置内に記憶された基準データを連続的に改善又は拡大することによって、認識確実性を更に高めるように形成されていてよい。特に、これによって、センサの位置決めが不正確である場合の認識確実性が改善される。着用者の真正性確認が行われた後、確定可能な時間間隔を置いて、バイオメトリック特徴を検出し、そしてこれを基準データと比較することができる。一義的な一致を判定できない場合には、新たに検出されたバイオメトリック特徴が別の基準として記憶装置内に記憶される。
【0053】
利用者真正性確認のできる限り高い確実性を得るために、真正性確認装置が、混同不能な利用者コードを連続的及び/又は時間離散的に送出するように形成されていると有利である。このような利用者コードは真正性確認装置からロック装置へ伝送されなければならず、これによって、セキュリティ技術的なぜい弱部分が生じるので、変造又は不正操作が信頼性高く阻止されるように利用者コードが形成されていると、まさに決定的に有意義である。例えば利用者コードは、一方向コードに基づくエンコーディング法によって形成されていてよい。既に述べたように、種々異なるセキュリティ要件が、連続的及び/又は時間離散的な真正性確認を必要とし得る。
【0054】
通信接続は不正操作又は変造のための攻撃点となるので、通信接続を介して伝送されるデータが、データの変造又は不正操作が十分に阻止されるように、及び/又はこのような悪用動作がロック装置によって信頼性高く認識されるように守られると有利である。特に、このことは、悪用を意図して記録された伝送が、新たな伝送時に悪用として認識され、又は拒絶されることを意味する。
【0055】
真正性確認装置は、できる限り長い使用時間という点で、真正性確認装置が、エネルギー節約運転状態を有しており、エネルギー節約運転状態では、エネルギー消費量が500μW未満であると有利である。まさにエネルギーが自給自足的に供給される装置の場合には、装置がアクティブ状態であるときだけ、つまり真正性確認の実施時にだけエネルギーを消費し、残りの時間はできる限り少ないエネルギーを消費すると、決定的に有意義である。
【0056】
真正性確認装置が、測定を実施するために周期的にのみアクティブ運転状態にさせられ、そして残りの運転時間は、エネルギー節約運転状態に固持され、これによって、運転時間を著しく長くすることができると、特に有利である。
【0057】
このような僅かなエネルギー消費は、特に人体が負荷する電磁界が許容範囲内であることを考えると、有利である。有利な別の構成によれば、真正性確認装置のエネルギー蓄積器が測定休止中に再び充電されるので、真正性確認装置の自己消費量は請求項に基づいて小さいと、特に有利である。それというのはこうなっていれば、皮膚によって形成された通信接続を介して十分にエネルギーを真正性確認装置のエネルギー蓄積器内に伝送することができ、しかもこの場合、人に危害を加えることがないからである。国際放射線防護学会(IRPA)は、これに関して、人体に作用することが許される電磁界の限界値を定めている。特に、比吸収率(SAR)に対して限界値80mW/kgが、また電流密度(S)に対して限界値250mA/m2(rms)が定められている。
【0058】
真正性確認装置の請求項に基づいて僅かな自己エネルギー消費によって、人体にとって安全でありしかも十分な、真正性確認装置のエネルギー供給装置による電気エネルギー供給がもたらされる。
【0059】
信頼性高い真正性確認にとって、真正性確認装置が無線位置測定システムを有していると有利である。例えば、これはGPS又はdGPSによって形成されていてよいが、しかしいかなる他の無線位置測定システムも使用可能である。真正性確認を必要とするいくつかの装置を有する領域において、真正性確認装置は、実際の滞在位置の知識によって、目的に合わせて1つの特定の装置で真正性確認を始動することができる。例えば請求項によれば、着用者は一回の真正性確認後に、対応関係を失うことなしに、規定された領域内で動くことが可能である。
【0060】
しかし、別の構成において、真正性確認装置の位置を連続的に監視することによって、例えば運動経過を記録し、又は領域からの退去及び/又は領域への接近時に警戒警報を発動することも考えられる。
【0061】
真正性確認装置とロック装置との間の通信接続の他に、真正性確認装置はさらに、ネットワーク通信モジュールを有することができる。このネットワーク通信モジュールは、データ対応ステーションとの通信接続を生成するように形成されていてよい。こうして、検出されたバイオメトリック・データはこのような、好ましくは無線の、通信接続を介して、管理又は監視装置に伝送することができる。
【0062】
有利な別の構成によれば、検出された生体信号は、このような通信接続を介して、管理又は監視装置に伝送することもできる。
【0063】
真正性確認装置が、トリガ信号を送出するように形成された閉鎖要素を有していると、特に有利な別の構成が得られる。身体部位に真正性確認装置を装着すると、真正性確認装置は、閉鎖要素のアクティブ化又はロックによって、摩擦結合的又は形状結合的に固定される。アクティブ化又はロックはまた、真正性確認動作をトリガする。
【0064】
エネルギー節約の面では、バイオメトリック特徴の検出が連続的には実施されないと、決定的に有利である。トリガによって、着用者が真正性確認装置、特にバイオメトリック特徴が検出されたセンサを特定したことが確認される。その後、バイオメトリック特徴が一義的に検出され、そして一義的に認識されると、ロック装置との対応関係が設定される。閉鎖要素がアクティブ化又はロックされている限り、バイオメトリック特徴は連続的に検出される必要はなく、例えば周期的な検出で十分である。しかし、真正性確認装置を取り外すまで真正性確認が得られ続けること、つまり更なる検出が必要でないことも可能である。
【0065】
真正性確認装置が真正性特徴を有していると、悪用に対する付加的な保護が得られる。例えば、センサによって検出されたデータを記録し、そして評価のために評価・比較モジュールに提示することによって、ロック装置に対する悪用による対応関係を得ることができる。真正性特徴は、真正性確認装置におけるいかなる不正操作も一義的に認識可能であり、例えば真正性特徴が不正操作時に再び形成できないように破壊されるように形成されていると有利である。
【0066】
有利な別の構成において、真正性特徴は、真正性確認装置における不正操作が評価・比較モジュールの破壊、特に、有利な別の構成によれば、記憶装置内に記憶された基準データの破壊を生じさせるように形成されていてよい。
【0067】
真正性確認装置が長さ測定装置を有していると、着用者の一義的な真正性確認のための別の特徴が得られる。真正性確認装置は、身体の一部に摩擦結合的又は形状結合的に配置され、場合によっては身体の一部の周りを取り囲まなければならない。取り囲むべき長さの測定は、着用者の一義的な真正性確認のための更なる特徴として利用することができる。長さ測定装置は、2点の間隔の測定又は間隔の変更に適した、真正性確認装置に配置できる装置によって形成されていてよい。
【0068】
例えば、長さ測定装置は、抵抗作用性測定ベルトとして形成されていてよく、この測定ベルトの場合、長さの変化が全抵抗の変化として現れる。
【0069】
通信接続の作用領域は近接領域に制限されているので、通信接続を形成するために、複数の種々異なる技術又は通信モジュール、例えばBluetooth(登録商標)、RFID(登録商標)、IrDAを利用することができる。このような通信技術は広く普及しており、標準化されており、ひいては大抵の場合低廉に使用可能である。また、場合によっては必要となる付加的な構成部分も低廉に利用可能である。
【0070】
通信接続が利用者の皮膚の近接界によって形成されていると、まさに決定的な利点が得られる。このような通信接続の場合、第三者による影響又は不正操作が十分に阻止されている。それというのも、通信接続はロック装置と利用者の皮膚との間に、例えば守るべき装置を含むことによる物理的接触を必要とするからである。このような物理的接触は、例えば、守られている装置のロック解除状態を、その装置が利用者によって触れられている間だけ維持するために利用することができる。このことは、例えば携帯火器を守る場合に、例えば火器が第三者によって盗まれたときに、利用者がロック装置の近接領域内にとどまっていても、火器はロックされたままであるか、又はロックされるという利点を有することになる。
【0071】
有利な別の構成において、皮膚による通信接続は、無接触伝送のためにも形成されていてよい。皮膚上に、この場合には電界が形成されており、この電界は、例えば50cmまでの近接領域内で通信接続として使用可能である。これにより、ロック装置の近接領域内に利用者が滞在していることで、1つの対応関係には十分である。
【0072】
通信接続の動作範囲が調節可能であると、極めて有利な別の構成が得られる。それというのも、これにより、ロック装置と真正性確認装置との間隔がどれくらいあれば、これらの両装置間の一義的な対応関係が可能であるかが一義的に確定可能であるからである。特に、どれほどの距離よりも大きくなるとこの対応関係が取り消されるかが一義的に確定可能である。有利な別の構成において、例えば1つの対応関係を生成するために、真正性確認装置がロック装置の直接的な近接領域内に位置することが必要とされていてよい。対応関係が生成された後、利用者はロック装置を中心とした円内で、この対応関係が失われることなしに動くことができる。
【0073】
しかし、例えば接近認識も可能であり、この場合には、真正性確認は、ロック装置への接近時に自動的に行われる。
【0074】
伝送された利用者コードを守るという面では、真正性確認装置及びロック装置がエンコード及び/又はデコード・ユニットを有していると、さらに有利である。請求項に基づく構成の場合、伝送されたデータは、場合によっては別の通信技術セキュリティ法に加えて、通信を悪用のために記録した場合でも、通信の内容を逆推論することは全くできないか又は極めて困難であるように、例えば一方向コード又は公開鍵システムによって保護される。
【0075】
伝送された利用者コードは、ロック装置内で検査され、そして識別コードと一致すると、請求項によれば、真正性確認装置に対するロック装置の時間限定された対応関係が生成される。請求項に基づく構成の利点は、一度形成された対応関係が自動的に再び消され、これによって、守られている装置への新たな介入時に、新たな真正性確認が必要になることである。したがってこのような構成は、ロック解除された装置が意図されずに、また監視されない状態でロック解除されたままとなることはなく、ひいては第三者による不正操作にさらされることもないことを有利に保証する。利用者が、守られている装置に対する対応関係を生成し、次いでこの装置から、特に通信接続の動作範囲から離れると、装置は調節可能な時間後に自動的にロックされ、ひいては第三者による不正操作が阻止される。
【0076】
有利な別の構成において、ロック装置は、対応関係を失う前にそのことを利用者に示唆するように形成されていてよく、これにより利用者は、例えば新たな真正性確認を始動させることができる。別の構成において、ロック装置は、リモート作用手段によって、又は真正性確認装置からの通信接続を介して、新たな真正性確認を要求するように形成されていてよい。
【0077】
対応関係が生成されると、利用者は、解放された装置に調節を施し、また、この装置をその要件に適合させることができる。このような変更又は適合を誤って失わないようにするために、1つの対応関係がアクティブな場合、更なる真正性確認装置の対応が可能でないと有利である。真正性確認されて解放された装置を、こうして、1人の利用者によってのみ同時に使用することができる。対応する利用者はしたがって、別の利用者に装置を解放するために、その対応関係をアクティブに取り消さなければならない。
【0078】
固定要素と駆動手段とを含むロック装置の利点は、対応関係が生成されていないと、固定要素の一義的な休止位置を形成できることである。好ましくは、ロック装置は、休止状態においてロック装置が非アクティブであるように、すなわち、装置がロックされており、ひいてはアクセス若しくは介入は許されておらず、又は、装置の使用が可能でないように形成されている。このことは極めて有利である。それというのもこれによって、ロック装置の意図的な不正操作による悪用が阻止されるからである。したがって例えば、解放されたロック装置のエネルギー供給を中断することによって、持続的に守られていない状態を悪意によって作り出すことは可能でない。
【0079】
固定要素は好ましくは固定ピンによって形成されているが、しかし、機械的なロック又は固定を可能にするあらゆる固定要素を使用することができる。駆動手段は例えば調節駆動装置によって形成されていてよいが、しかし、固定要素の運動に適したあらゆる構成もここでは考えられる。
【0080】
しかし別の構成において、ロック装置は電子的又はデータ技術的なロック要素によって、例えば真正性確認が行われた後初めてアクセスを可能にするログイン・スクリーンによって形成されていてもよい。
【0081】
有利な別の構成において、ロック装置の駆動手段は、ロック位置とロック解除位置との間で固定要素を動かすように形成されている。運動可能な固定要素は、この固定要素を不正操作及び悪用操作から特に良好に保護できるという決定的な利点をもたらす。特に、この固定要素は、外部空間から達することができないように、守るべき装置内に配置されていてよい。真正性確認が成功裡に行われると、固定要素はロック位置からロック解除位置に動かされ、ひいては守られている装置を解放し、又はアクセスが許される。
【0082】
火器、特に拳銃の更なる開発の中で、機械的な発射動作も徐々にその座を他に奪われつつある。したがって、別の構成によれば、ロック装置は電子発射装置によって形成されている。このことのまさに特別な利点は、発射動作のために運動させられる部分が全く又はほとんど必要ないため、極めて高い連射率を実現できることである。関係者による使用のセキュリティが著しく高められると同時に、このような高い発射速度が得られることは、請求項による構成のまさに特別な利点である。従来必要であった多数の構成部分が省かれるため、ロック装置を著しくコンパクトに構成できることが著しく有利である。このことは信頼性の面でも特に有利である。
【0083】
有利な構成において、ロック装置は、部外者によって悪用が試みられると保護メカニズムを発動するように形成されていてもよい。このことは例えばロック装置を使用不能にすることができ、又は、部外者に痛みを伴う応答、例えば電気ショックを発することもできる。
【0084】
ロック装置が状態表示を有していると、顕著なセキュリティ上の利益が得られる。本発明によるセキュリティ装置の利用者にとって、ロック装置のロック状態が明白、迅速、且つ一義的に認識可能であると有利である。拳銃の例では、請求項による構成は、例えば、強指向型光線を発する、銃身端部に設けられた照明装置によって形成されていてよい。このような光線は例えば標的補助として利用することができ、そしてこの場合、ロック装置が非アクティブ化されていると光線はアクティブである。悪用されたときには、武器は例えば権限を与えられた者に向けられるおそれがあり、そのときに、権限を与えられた者は、請求に基づく構成により、ロック装置がアクティブであるか又は非アクティブであるかを迅速に認識することができ、ひいては、対応する防衛措置を講じることができる。
【0085】
図面に示された実施態様により、本発明を以下に詳しく説明する。
【0086】
図面はそれぞれ概略的に単純化された状態で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、本発明によるセキュリティ装置を示すブロック線図を示す図である。
【図2】図2は、バイオメトリック・データを検出するためのセンサを配置するのに可能な、人体の位置を示す図である。
【図3a】図3aは、真正性確認装置の可能な構成を示す正面図である。
【図3b】図3bは、真正性確認装置の可能な構成を示す背面図である。
【図4a】図4aは、真正性確認装置の別の可能な構成を示す正面図である。
【図4b】図4bは、真正性確認装置の別の可能な構成を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
念のため述べておくが、種々異なるものとして記載される実施態様において、同一部分には同一参照符号又は同一構成部分符号を付す。説明全体に含まれる開示内容は、同一参照符号又は同一構成部分符号を有する同一部分に、意味に即して転用することができる。また、説明において選択された位置の記述、例えば上、下、側方などは、直接に説明され図示された図面に関するものであり、そして位置が変化したときには、新しい位置に意味に即して転用することができる。さらに、図示され説明された種々異なる実施態様の個々の特徴又は特徴の組み合わせも、それ自体独立した、本発明の、又は本発明による解決手段であり得る。
【0089】
当該記述における値範囲に関する全ての数値は、これらの任意の、及び全ての部分範囲を一緒に含むように理解されるべきである。例えば、数値1〜10は、下限値1及び上限値10から出発する全ての部分範囲が一緒に含まれるように、すなわち、全ての部分領域が下限値1以上で始まり、そして上限値10以下で終わる、例えば1〜1.7、又は3.2〜8.1、又は5.5〜10であるように理解されるべきである。
【0090】
図1は、本発明によるセキュリティ装置1を示すブロック線図を示す図である。電磁線源3と量子検出器4とを含むセンサ2が、身体部位5上に配置されている。好ましくは、センサ2は、複数の特徴的バイオメトリック・データが存在する身体部位の上に配置される。例えば前腕6の領域内では、特徴的な皮膚表面構造7及び/又は特徴的な静脈構造8を検出することができる。
【0091】
センサ2及び評価・比較モジュール10は、エネルギー供給装置11によって電気エネルギーを供給される。場合によっては、センサ2及び評価・比較モジュール10に別々にエネルギー供給するための2つの独立したエネルギー供給装置が設けられていてもよい。センサによって決定されたバイオメトリック・データは、評価・比較モジュール10に伝送され、そして計算装置12によって評価される。評価されたバイオメトリック・データは、比較モジュール13によって、記憶装置15内に記憶されているバイオメトリック基準データ14と比較される。一致すると、保管された個人固有データ16から、一義的な混同不能な利用者コードが作られる。
【0092】
真正性確認装置17及びロック装置18はそれぞれ1つの通信モジュール19を有している。この通信モジュールは場合によって付加的にエンコード及び/又はデコード・モジュール20を有していてよい。通信モジュール19は、真正性確認装置17、特に評価・比較モジュール10と、ロック装置18との間に、無線近接領域通信接続21を生成するように形成されている。ロック装置18は、さらに1つの評価モジュール22を有しており、この評価モジュールは、通信接続21を介して伝送された、一義的で混同不能な利用者コードを、ロック装置に対応する識別コードと比較し、そして一致すると、駆動手段23を、これが固定要素24をロック位置からロック解除位置に動かすように制御する。
【0093】
バイオメトリック・データの検出時、特に連続的又は周期的な検出時に、センサ2を身体部位の表面形状にできる限り良好に適合させることによって、皮膚表面構造7又は静脈構造8のバイオメトリック・データを一義的に検出できるようにしなければならない。本発明によって形成された薄膜フィルムの大きな利点は、ここでは、薄膜フィルムがフレキシブル且つ弾性的に復元できるように変形可能であり、これによって、検出しようとする身体部位の表面形状に特に良好に適合することが可能であることである。有利な別の構成において、センサ2、特に線源3及び量子検出器4は、有機半導体材料から形成されており、これによって、センサは特に低廉に製造することができる、特にいわゆる使い捨てセンサが形成可能である。特に、厳しい環境条件においてセンサを使用することを考えると、例えば汚れがひどく発生することを計算に入れるならば、環境に対する問題なしに、バイオメトリック・データを検出するためのセンサを1回の使用後に廃棄することができ、そして新しい低廉なセンサと交換することができると、特に有利である。
【0094】
検出されるべきバイオメトリック特徴に応じて、線源3から所定の波長を有する電磁線が放出される。皮膚表面構造7の検出のためには、光学的に視認可能な領域内で、特に650nm〜780nmの波長領域で皮膚を照明するので十分である。しかしながら、皮膚内により深く位置する静脈構造8を検出したい場合には、照明のために、より長い波長の電磁線、特に750nm〜1.4μmの領域の電磁線を使用しなければならない。それというのもこのような波長の電磁線は、さらに皮膚内に侵入することができ、ひいてはより深くに位置する静脈構造を照明することができるからである。量子検出器4は好ましくは、例えば市松模様状に配置された複数の感光性素子によって形成されている。個々の感光性素子の大きさは、最大限達成可能な分解能を決定する。場合によっては、線源3は複数の個々の電磁線放出素子によって形成されていてもよい。これらの電磁線放出素子は、検出器素子と交互に配置されてよい。このような配置の利点は、検出されるべき部分が、分配された光素子によって同時に照明されることにある。線源及び検出器の更なる配置可能性を図3において説明する。
【0095】
センサ2に電気エネルギーを供給するためには、エネルギー源11は好ましくはセンサ2に配置されており、そして化学的素子によって形成されている。有利な別の構成において、このようなエネルギー源11は、太陽電池、特に有機太陽電池として形成されていてもよい。更に別の構成では、化学的素子は例えば1回だけの使用のために形成されていてもよい。この場合、化学的素子は、アクティブ化手段によってアクティブ化され、そして次いで、技術的に限定された時間にわたって、電気エネルギーを提供する。センサの1回だけの使用ということを考えると、このような構成は特に有利である。
【0096】
別の構成において、エネルギー源11は、評価・比較モジュール10と一緒にセンサ2に配置されていてよく、これによって、極めてコンパクトで高度に一体化された真正性確認装置17を形成することができるので有利である。
【0097】
評価・比較モジュール10の記憶装置15内には好ましくは、いくつかのバイオメトリック基準データ14が保管されている。センサの異なる位置及び変化する支持圧力に基づき、検出されるバイオメトリック・データは僅かに変化することがあるので、比較モジュール13が複数のバイオメトリック基準データ14を比較対象として利用することができる。このような基準データは例えば学習動作において、センサ2が検出部分内で特定した場所に決定され、そしてその都度僅かに変化する位置又は僅かに変化する圧着圧力に対して基準パターンが捕捉される。
【0098】
加えて、評価・比較モジュール10内、特に記憶装置15内には、個人固有データセット16が記憶されていてよい。検出されたバイオメトリック特徴が、記憶された基準データと一致すると、個人固有データセットから一義的な混同不能な利用者識別情報、特に利用者コードが生成される。このような利用者コードは、一方では一義的な真正性確認が可能であるように、また他方ではコードの変造又は不正操作が阻止されるように形成されている。真正性確認装置17とロック装置18との間に、好ましくは無線の通信接続21があるので、伝送された利用者コードが第三者によって記録され、次いでロック装置18に対する対応関係を生成しようという悪用の意図で使用されるおそれがある。しかしながら、コードの特別な特性によって、第三者による悪用目的の対応関係は信頼性高く阻止される。
【0099】
通信接続21は好ましくは、近接領域内で作用する通信接続、例えばBluetooth(登録商標)、IrDA、RFID(登録商標)のような周知の技術によって形成されている。無線通信接続には第三者がアクセス可能であり、ひいては第三者による変造だけでなく不都合な影響も生じ得るので、場合によっては、伝送されたデータは、付加的にエンコード及び/又はデコード・モジュールによってエンコーディングされて、伝送されたデータを悪用目的で記録して分析しても、伝送された情報の内容を逆推論できないようにすることもできる。このようなエンコーディングは一方向コードによって、またいわゆる公開鍵システムによって形成されていてよい。
【0100】
特に好ましいのは、通信接続21が、利用者の皮膚を介した近接界通信として形成されていることである。このような構成の利点は、その人がロック装置を中心とした所定の円内に滞在していなければならないか、又はロック装置に触れていなければならないことである。さらに、第三者による伝送への影響に対する特に良好な保護が提供されている。それというのも、伝送パラメータを好適に選択することにより、伝送有効距離を良好に制限することができるからである。
【0101】
ロック装置18は、休止位置においては、つまり真正性確認された利用者のアクティブな対応関係がない状態では、又は、対応関係が失われているときには、固定要素24はロック位置にある。評価モジュール22の仕事は、伝送された利用者コードを分析し、そして識別コードと相応に一致したときには、固定要素24がロック解除位置にもたらされるように、駆動手段23を制御することである。権限リリース又は識別コードは例えば評価モジュール22内に記憶されていてよく、そしてどの利用者コードがロック装置との対応関係を生成してよいかを決定する。
【0102】
図2は、センサ又は真正性確認装置を配置するのに可能な位置を示す図である。前腕6に配置することの利点は、このような部位では、種々異なる構造を有する高い静脈密度、及び多数の種々異なる皮膚表面構造が検出可能であることである。しかしながら、このような位置では、機械負荷が高まるおそれがあり、さらに、汚れ又は埃の作用を計算に入れなければならない。
【0103】
上腕25に配置することは、機械負荷がより小さいこと、又は汚染のおそれがより少ないことが期待されるので有利である。
【0104】
センサ及び/又は真正性確認装置が人の頭部の領域内に配置されているような配置状態も有利である。例えば喉マイクロホン26又は眼保護具27のつるに配置することが可能である。利用者が頭の被り物、例えばヘルメット又はキャップを着用している場合には、保持ストラップ28又は頭の被り物29の内側に配置することが可能である。さらに、センサ又は真正性確認装置がベルト30に配置されていることも可能であり、このようなベルトは、例えばチェスト・ストラップとしても着用される。
【0105】
考えられる配置位置のこのような列挙を制限的なものと見るべきではなく、特に、センサ又は真正性確認装置は、特徴的なバイオメトリック・データを検出することができる人体のあらゆる区分に配置されていてよい。
【0106】
図3a及び3bは、真正性確認装置17の構成例を示している。図3aは、センサ2を示しており、この側は通常、皮膚表面上に載置されている。
【0107】
真正性確認装置17は図示の構成では、一種のカフとして形成されている。カフは身体部位、例えば腕にフレキシブルに巻き付けることができる。閉鎖要素31によって、カフは身体部分の周りに固定される。図3aはさらに、センサ2、特に電磁線源3及び量子検出器4の配置の一例を示している。これらはフィンガ状に互いに組まれて配置されている。線源3のそれぞれ1つのフィンガは、検出器4によって検出された隣接部分を照らす。このような配置例の他に、身体部位の1皮膚表面部分が線源によって照らされ、そして照明された部分の像が量子検出器によって捕捉されるような、全ての他の配置も考えられる。特に、検出された部分ができる限り均一に照らされ、線源の配置によって検出器領域にもたらされる影響又は制限ができる限り僅かであるような、配置関係が有利である。
【0108】
第2の表面上には、図3bに示されているように、例えばエネルギー供給装置11が配置されている。場合によっては、評価・比較モジュール10が更に配置されていてもよいが、しかし有利な別の構成では、評価・比較モジュールはカフ内で保護された状態で配置されていてもよい。エネルギー供給装置11は、特に有利な別の構成によれば、有機太陽電池によって形成されていてよい。このような構成の利点は、真正性確認装置17のエネルギー自給自足運転ができることである。有機太陽電池の有意義な利点は、これらがフレキシブルであり、ひいてはカフの装着時に、身体部位の表面形状に極めて良好に適合させ得ることである。有機太陽電池、特に全ての構成部分が有機半導体材料から成る有機太陽電池の更なる利点は、その廃棄が引き起こす問題が、無機半導体材料から成る装置又は構成部分の廃棄の場合よりも著しく少ないことである。
【0109】
別の構成の場合、センサ及び評価・比較モジュール、特にこれらの個々の素子は、互いに別々に配置されていてもよい。例えば、装備品に評価・比較モジュールを配置することも考えられ、検出されたバイオメトリック・データは、好ましくは無線の通信手段を介して、センサから評価・比較モジュールに伝送される。センサが損傷又は汚染されると、センサは新しいものと簡単に面倒なしに交換される。また、バイオメトリック基準データが記憶されている記憶装置がカップリング可能に評価・比較モジュールに接続されている構成も考えられる。このような構成も、真正性確認装置の障害時に、記憶装置が、記憶された基準データと一緒にカップリング解除され、そして新しい真正性確認装置内に導入されるという利点を有している。これにより、欠陥のある真正性確認装置の迅速な、そして面倒でない交換が可能であり、しかもこの場合バイオメトリック基準データを新たに学習せずに済む。
【0110】
図4a及び4bは、真正性確認装置17の別の構成例を示している。図4aは、センサ2を示しており、この側は通常、皮膚表面上に載置されている。真正性確認装置17は、身体部分を取り囲むように形成されたカフとして形成されており、そして閉鎖要素31の両部分31’,31’’の結合によってこの身体部分に摩擦結合的又は形状結合的に固定される。
【0111】
閉鎖要素31は、閉鎖手段31の両部分31’,31’’の閉鎖又は係合によって、いわゆるトリガが発せられる。このようなトリガによって、真正性確認動作が開始され、そしてバイオメトリック特徴が検出される。記憶装置15内に記憶されている基準値との一致が突き止められた後、ロック装置との対応関係が生成され、次いで連続的及び/又は時間離散的に、混同不能な利用者コードが伝送される。閉鎖要素31が閉じられているか又は係合状態のままである限り、バイオメトリック特徴の更なる検出は必要でない。閉鎖要素が解除されると、トリガが発せられる。このトリガは例えば、ロック装置に対する対応を取り消すために使用することができる。トリガを発する装置は例えば、接触型でも無接触型でも働く種類のスイッチ又はパルス発生器によって形成されていてよい。
【0112】
バイオメトリック特徴の検出及び評価は電気エネルギーを必要とするが、しかし電気エネルギーはコンパクトな真正性確認装置において限定された範囲でしか利用することができないので、このような構成によれば、有意な量のエネルギーが節約され、これによって、真正性確認装置の運転時間が著しく長くなる。
【0113】
ロックすなわち閉鎖され、そして成功裡に真正性確認された真正性確認装置17が、例えば閉鎖要素31の閉鎖状態又は係合状態を保ちながら、装置を切り離すことによって悪用されるのを阻止するために、真正性確認装置17内に真正性特徴32が配置されていてよい。このような真正性特徴32は、真正性確認装置17の悪用若しくは不正装置の使用が阻止されるか、又はありのままに認識可能であるように形成されている。特に、認識された不正操作時に形成された、ロック装置に対する対応関係が取り消される。好ましいのは、真正性特徴がトリガ信号をも発することができるような構成である。
【0114】
さらに評価・比較モジュール10の記憶装置15内には、悪用の余地を残す基準データ14が記憶されているので、別の構成において、真正性特徴32は、不正操作の試みがこのような基準データの復帰不能の破壊をもたらすように形成されていてよい。
【0115】
真正性確認装置が配置された身体部位の周りの長さを、固有の特徴として見なすこともできる。閉鎖要素31は例えば長さ測定装置33を有しており、この長さ測定装置は、閉鎖要素31が閉じられているときに、取り囲まれた周りの長さを測定する。周りの長さが、記憶されている周りの長さと一致すると、このことは、低いセキュリティ段階にとっては既に真正性確認として十分である。しかし例えば、このような一致はトリガとしても役立ち、バイオメトリックな真正性確認動作を開始することもできる。長さ測定装置33は、例えば機械的な影響を受けることができる可変抵抗によって形成されていてよいが、しかし、光学的距離検出手段を使用することもできる。当業者には、長さを測定するためのいくつかのコンパクトな装置又は方法が知られている。
【0116】
位置測定装置34が、管理又は監視ステーションによって真正性確認装置17の位置を測定することを可能にし、又は、真正性確認装置が領域内部における位置を自動的に検出するのを可能にする。好ましくは、位置測定装置34は、例えばGPS又はd−GPSによって無線で形成されている。
【0117】
ネットワーク通信モジュール35によって、好ましくは無線通信モジュールによって、真正性確認装置17は例えば管理及び/又は監視ステーションのデータと交換することができる。有利な別の構成によれば、センサ2は生体信号を検出するように形成されており、検出された生体信号は、ネットワーク通信モジュール35の通信接続を介して管理及び/又は監視ステーションに伝送することができる。したがって、管理及び/又は監視ステーションは、着用者の健康状態をいつでも監視することができる。特に、真正性確認が、バイタルサインを有する人間に関してだけ行われることを保証することができる。
【0118】
これらの実施態様は、セキュリティ装置の可能な実施変更形を示す。ここでは、本発明は具体的に示された実施変更形に限定されることはなく、むしろ個々の実施変更形の種々の組み合わせが互いに可能であり、そしてこのような変更は、この技術分野で活動する当業者の能力範囲内で、本発明による技術的行為のための教示内容に基づいて可能であることに留意されたい。つまり、上記実施変更形の個々の詳細を組み合わせることにより可能になる、考えられ得る全体的な実施変更形も、権利範囲に含まれる。
【0119】
規則上最後に述べておくが、セキュリティ装置の構造をより良く理解するために、セキュリティ装置又はその構成部分は部分的に一定の尺度でなく、及び/又は拡大し、及び/又は縮小して示した。
【0120】
独立した本発明の解決手段の根底を成す課題は、明細書から明らかである。
【0121】
とりわけ、図1〜4に示された実施態様における個々のものが、独立した本発明の解決手段の対象を形成することができる。これに関する本発明による課題及び手段は、これらの図面の詳細な説明から明らかである。
【符号の説明】
【0122】
1 セキュリティ装置
2 センサ
3 電磁線源
4 電磁線検出器
5 身体部位
6 前腕
7 皮膚表面構造
8 静脈構造
10 評価・比較モジュール
11 エネルギー供給装置
12 計算装置
13 比較モジュール
14 バイオメトリック基準データ
15 記憶装置
16 個人固有データセット
17 真正性確認装置
18 ロック装置
19 通信モジュール
20 エンコード及び/又はデコード・モジュール
21 通信接続
22 評価モジュール
23 駆動手段
24 固定要素
25 上腕
26 喉マイクロホン
27 眼保護具
28 保持ストラップ
29 頭の被り物/ヘルメット
30 支持ベルト
31 閉鎖手段
32 真正性特徴
33 長さ測定装置
34 位置測定装置
35 ネットワーク通信モジュール
36 足首関節

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの真正性確認装置(17)とロック装置(18)とを含むセキュリティ装置(1)であって、前記真正性確認装置(17)が少なくとも1つのセンサ(2)と評価・比較モジュール(10)とを含んでおり、そして前記ロック装置(18)と前記真正性確認装置(17)との間に通信接続(21)が存在している形式のものにおいて、前記センサ(2)がバイオメトリック・データ又は皮膚のスペクトル特性、及び該皮膚の下に位置する組織層を検出するための薄膜センサとして形成されていること、そして前記通信接続(21)が、前記真正性確認装置(17)によって決定された混同不能な利用者コードを安全に無線伝送するように形成されていて、前記通信接続の作用領域が、近接領域、特に50cm未満に制限されていること、そして前記ロック装置(18)が、利用者コードと、該ロック装置に対応する識別コードとが一致すると非アクティブ化されることを特徴とする、セキュリティ装置。
【請求項2】
前記センサ(2)が、有機半導体材料、無機半導体材料、ナノ粒子を含む群の少なくとも1種の材料から形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のセキュリティ装置。
【請求項3】
前記の検出されたバイオメトリック・データが、静脈構造、皮膚表面構造、組織構造を含む群から形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のセキュリティ装置。
【請求項4】
前記センサ(2)が少なくとも1つの線源(3)と、少なくとも1つの量子検出器(4)とを含んでいることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項5】
前記線源(3)が、350nm〜780nmの波長を有する電磁線を放出するように形成されていることを特徴とする、請求項4に記載のセキュリティ装置。
【請求項6】
前記線源(3)が、750nm〜1.4μmの波長を有する電磁線を放出するように形成されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載のセキュリティ装置。
【請求項7】
前記量子検出器(4)が、複数の感光性素子が配置されたものとして形成されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項8】
前記量子検出器(4)が、有機又は無機フォトダイオード、有機又は無機フォトトランジスタ、フォトレジスタを含む群から形成されていることを特徴とする、請求項7に記載のセキュリティ装置。
【請求項9】
前記センサ(2)がシート、特に粘着シートとして形成されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項10】
前記センサ(2)が、アーム・バンド、頭の被り物、額ストラップ、喉マイクロホン、眼鏡、チェスト・ストラップ(26,28,29,30)を含む群のうちの装置内に組み込まれているか、又は前記装置に配置されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項11】
前記真正性確認装置(17)がエネルギー供給装置(11)を含んでいることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項12】
前記エネルギー供給装置(11)が、電気化学的素子、特にバッテリー又は蓄電池によって、及び/又は容量性エネルギー蓄積器によって形成されていることを特徴とする、請求項11に記載のセキュリティ装置。
【請求項13】
前記エネルギー供給装置(11)が、太陽電池、特に有機太陽電池によって形成されていることを特徴とする、請求項11又は12に記載のセキュリティ装置。
【請求項14】
前記センサ(2)が手の領域内、又は、前腕(6)の、手に向いた部位の領域内に配置されていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項15】
前記センサが足首関節(36)の領域内に配置されていることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項16】
前記センサ(2)が弾性的に復元するように変形可能であることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項17】
前記センサ(2)が、生体信号を検出するように形成されていることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項18】
前記評価・比較モジュール(10)と前記センサ(2)とが一体的に配置されていることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項19】
前記評価・比較モジュール(10)が記憶装置(15)を含んでいることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項20】
前記記憶装置(15)内に、バイオメトリック基準データ(14)が記憶されていることを特徴とする、請求項19に記載のセキュリティ装置。
【請求項21】
前記評価・比較モジュール(10)が連続的及び/又は時間離散的に、皮膚のバイオメトリック・データを検出することを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項22】
前記評価・比較モジュール(10)が計算装置(12)を含んでいることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項23】
前記計算装置(12)が、センサ(2)によって検出されたバイオメトリック・データを評価するように形成されていることを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項24】
前記計算装置(12)が、前記の評価されたバイオメトリック・データを、前記記憶装置(15)内に記憶された基準データ(14)と比較するように形成されていることを特徴とする、請求項1から23までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項25】
前記真正性確認装置(17)が、混同不能な利用者コードを連続的及び/又は時間離散的に送出するように形成されていることを特徴とする、請求項1から24までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項26】
前記真正性確認装置(17)が、エネルギー節約運転状態を有しており、該エネルギー節約運転状態では、エネルギー消費量が500μW未満であることを特徴とする、請求項1から25までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項27】
前記真正性確認装置(17)が、無線位置測定システム(34)を有していることを特徴とする、請求項1から26までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項28】
前記真正性確認装置(17)が、ネットワーク通信モジュール(35)を有していることを特徴とする、請求項1から27までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項29】
前記真正性確認装置(17)が、トリガ信号を送出するように形成された閉鎖要素(31)を有していることを特徴とする、請求項1から28までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項30】
前記真正性確認装置(17)が、真正性特徴(32)を有していることを特徴とする、請求項1から29までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項31】
前記真正性確認装置(17)が、長さ測定装置(33)を有していることを特徴とする、請求項1から30までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項32】
前記真正性確認装置(17)及び前記ロック装置(18)が通信モジュール(19)を有しており、該通信モジュールが前記通信接続(21)を生成するように形成されており、そしてBluetooth(登録商標)、RFID(登録商標)、IrDAを含む群の技術によって形成されていることを特徴とする、請求項1から31までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項33】
前記通信接続(21)が、利用者の皮膚の近接界によって形成されていることを特徴とする、請求項1から32までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項34】
前記通信接続(21)の動作範囲が調節可能であることを特徴とする、請求項1から33までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項35】
前記真正性確認装置(17)及び前記ロック装置(18)がエンコード及び/又はデコード・ユニット(20)を有していることを特徴とする、請求項1から34までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項36】
前記ロック装置(18)が、前記真正性確認装置(17)に対する時間限定されたデータ技術的な対応関係を生成するように形成されていることを特徴とする、請求項1から35までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項37】
1つのロック装置(18)に、正確に唯1つの真正性確認装置(17)が対応可能であることを特徴とする、請求項1から36までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項38】
前記ロック装置(18)が固定要素(24)、特に固定ピンと、駆動手段(23)とを含んでいることを特徴とする、請求項1から37までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項39】
前記駆動手段(23)が、ロック位置とロック解除位置との間で前記固定要素(24)を動かすように形成されていることを特徴とする、請求項1から38までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項40】
前記ロック装置(18)が電子発射装置によって形成されていることを特徴とする、請求項1から39までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。
【請求項41】
前記ロック装置(18)が、状態表示を有していることを特徴とする、請求項1から39までのいずれか1項に記載のセキュリティ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【公表番号】特表2011−510369(P2011−510369A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541656(P2010−541656)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【国際出願番号】PCT/AT2009/000004
【国際公開番号】WO2009/086576
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(509130170)ナノアイデント テクノロジーズ アクチェンゲゼルシャフト (8)
【Fターム(参考)】