説明

バソプレッシンのアンタゴニスト活性を阻害するトリアゾール誘導体

Hetが2−ピリジニルまたは2−ピリミジニルを表し、RがH、C1〜3アルキル、または5個もしくは6個の環原子を有する含窒素複素環を表し、RがH、ベンジル、またはC1〜3アルキルを表し、RがH、メチル、メトキシ、またはクロロを表す式(I)の化合物または薬学的に許容できるその誘導体は、不安、心血管疾患(狭心症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(乗り物酔いを含む)、子宮内発育不全、炎症(関節リウマチを含む)、中間痛、子癇前症、早漏、早産(早期分娩)、およびレイノー病の治療に有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療に有用な新規な化合物およびそのような化合物の調製方法に関する。また、そのような化合物を含有する組成物、その使用、およびその調製で使用する中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
WO01/87855は、グリシン輸送体活性の阻害剤としてのトリアゾール誘導体を開示している。WO01/58880および特開2000−63363は、アルギニンバソプレッシンV1A受容体アンタゴニストとして有用なトリアゾール誘導体を開示している。Kakefudaら、Bioorg.Med.Chem.第10巻(2002年)1905〜1912ページ、およびKakefudaら、J.Med.Chem.、2002年、第45巻、2589〜2598ページでは、ヒトV1A受容体の選択的アンタゴニストとしての4,5−ジエニル−1,2,4−トリアゾール誘導体の有用性が論述され、4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール構造がV1Aの親和性において不可欠な役割を担うことが解説されている。
【0003】
本発明の化合物は、有用な薬学的性質を有することがわかっている。本発明の化合物は、攻撃性、アルツハイマー病、神経性食欲不振症、不安、不安障害、喘息、アテローム性動脈硬化症、自閉症、心血管疾患(狭心症(angina)、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、白内障、中枢神経系疾患、脳血管虚血、硬変、認知障害、クッシング病、抑うつ症、糖尿病、月経困難症(原発性および続発性)、嘔吐(乗り物酔いを含む)、子宮内膜症、胃腸疾患、緑内障、婦人科疾患、心臓疾患、子宮内発育不全、炎症(関節リウマチを含む)、虚血、虚血性心疾患、肺腫瘍、排尿障害、中間痛、新生物、腎毒性、インスリン非依存性糖尿病、肥満、強迫性障害、高眼圧、子癇前症、早漏、早産(早期分娩)、肺疾患、レイノー病、腎疾患、腎不全、男性もしくは女性の性機能障害、敗血症性ショック、睡眠障害、脊髄損傷、血栓症、尿生殖管感染、または尿石症の治療に使用することができる。
【0004】
特に重要なものは、以下の疾患または障害、すなわち、
不安、心血管疾患(狭心症(angina)、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(乗り物酔いを含む)、子宮内発育不全、炎症(関節リウマチを含む)、中間痛、子癇前症、早漏、早産(早期分娩)、およびレイノー病である。
【0005】
特に、本発明の化合物は、バソプレッシンアンタゴニスト活性を示し、月経困難症(原発性および続発性)の治療に使用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
月経障害分野のニーズは極端に満たされておらず、月経のある全女性の90%までもが多少は影響を受けていると推測される。42%もの女性が月経痛のために仕事または他の活動を果たせず、米国ではその結果として毎年約60億時間の仕事時間を損失していると推定されている{Coco,A.S.(1999年)、「Primary dysmenorrhoea」、[総説][参照文献30]、American Family Physician、第60巻、489〜96ページ}。
【0007】
下腹部の月経痛は、子宮筋の活動機能亢進および子宮血流の減少によって引き起こされる。これらの病態生理学的変化は、背中および脚へと広がる腹痛をもたらす。これによって、女性は吐き気および頭痛を催し、不眠症になることになる。この状態は、月経困難症と呼ばれ、原発性月経困難症または続発性月経困難症として分類することができる。
【0008】
原発性月経困難症の診断は、その状態を引き起こす異常が特定されないときに下される。女性人口の最高で50%がこの状態を患っている{Coco,A.S.(1999年)、「Primary dysmenorrhoea」、[総説][参照文献30]、American Family Physician、第60巻、489〜96ページ};Schroeder,B.&Sanfilippo,J.S.(1999年)、「Dysmenorrhoea and pelvic pain in adolescents」、[総説][参照文献78]、Pediatric Clinics of North America、第46巻、555〜71ページ}。子宮内膜症、骨盤内炎症性疾患(PID)、筋腫、癌などの婦人科の障害が根底に存在する場合では、続発性月経困難症の診断が下される。続発性月経困難症は、月経困難症に罹患している女性のわずか約25%で診断される。月経困難症は、月経過多と共に生じることがあり、これは婦人科外来部門に回された患者の約12%を占める。
【0009】
現在のところ、原発性月経困難症に罹患している女性は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)または経口避妊薬による治療を受ける。続発性月経困難症の場合では、根底にある婦人科障害を正常化するために手術が行われる場合もある。
【0010】
月経困難症に罹患している女性は、循環バソプレッシンレベルが、健康な女性で月経周期の同じ時期に認められるものより高くなっている。子宮バソプレッシン受容体でのバソプレッシン薬理作用の阻害は、月経困難症を予防し得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、次式(I)の化合物または薬学的に許容できるその誘導体が提供される。
【0012】
【化1】

[式中、
Hetは、2−ピリジニルまたは2−ピリミジニルを表し、
は、H、C1〜3アルキル、または含窒素複素環を表し、
は、H、ベンジル、またはC1〜3アルキルを表し、
は、H、メチル、メトキシ、またはクロロを表す]
【0013】
先の規定では、3個の炭素原子を含むアルキル基は、指示がある場合を除き、非分枝鎖でも分枝鎖でもよい。アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、およびi−プロピルが含まれる。
【0014】
別段の記述がない限り、用語複素環式の環、複素環式、または複素環とは、N、S、およびOから選択された1個または複数のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和、または芳香族の5員もしくは6員環を意味する。好ましい複素環には、先の定義の範囲内で、トリアゾリル、ピペリジニル、およびモルホリニルが含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の好ましい態様は、以下で述べるとおりである。
(i)Hetが2−ピリジニルを表す、式(I)による化合物、
(ii)Rが1,2,3−トリアゾリルを表す、式(I)または態様1による化合物、
(iii)RがHまたはメチルを表す、式(I)または態様(i)もしくは(ii)による化合物、
(iv)Rがクロロを表す、式(I)または態様(i)〜(iii)のいずれかによる化合物、
(v)R、R、およびRの少なくとも1つがH以外の基を表す、式(I)または態様(iii)による化合物、
(vi)Rが1,2,3−トリアゾリルを表し、かつ/またはRがクロロを表す、式(I)による化合物。
【0016】
本発明による好ましい化合物は、
2−{4−[4−(2−エチル−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル}−ピリミジン;
2−{4−[5−メチル−4−(2−プロピル−フェニル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル}−ピリミジン;
2−{4−[4−(2−イソプロピル−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル}−ピリミジン
4−(5−モルホリン−4−イルメチル−4−フェニル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(5−ブチル−4−フェニル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−フェニル−5−ピペリジン−1−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(5−メチル−4−フェニル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−クロロ−2−メチル−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(5−メチル−4−o−トリル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−クロロ−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−o−トリル−5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−クロロ−2−メチル−フェニル)−5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−フェニル−5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−クロロ−フェニル)−5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(5−メチル−4−p−トリル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(2,4−ジメチル−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−クロロ−2−メチル−フェニル)−5−モルホリン−4−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;および
薬学的に許容できるこれらの誘導体である。
【0017】
本発明による式(I)の化合物の薬学的に許容できる誘導体には、式(I)の化合物の塩、溶媒和化合物、錯体、多形体、プロドラッグ、立体異性体、幾何異性体、互変異性体、および同位体変形形態が含まれる。化合物(I)の薬学的に許容できる誘導体は、式(I)の化合物の塩、溶媒和化合物、エステル、およびアミドからなることが好ましい。式(I)の化合物の薬学的に許容できる誘導体は、塩および溶媒和化合物であることがより好ましい。
【0018】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩には、その酸付加塩および塩基の塩が含まれる。
【0019】
適切な酸付加塩は、非毒性の塩を形成する酸から生成される。例としては、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩(edisylate)、エシレート、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩(gluceptate)、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、D−およびL−乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシレート、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩(naphthylate)、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、サッカレート、シテアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、D−およびL−酒石酸塩、トシレート、およびトリフルオロ酢酸塩が挙げられる。特に適切な塩は、本発明の化合物のベシル酸塩誘導体である。
【0020】
適切な塩基の塩は、非毒性の塩を形成する塩基から生成される。例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オールアミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、および亜鉛の塩が挙げられる。
【0021】
適切な塩の総説については、StahlおよびWermuth、「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use」、Wiley−VCH、ドイツWeinheim(2002年)を参照されたい。式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、式(I)の化合物の溶液と所望の酸もしくは塩基の溶液とを適宜混ぜ合わせて容易に調製することができる。塩は、溶液から沈殿すれば濾過によって収集してもよいし、または溶媒を蒸発させて回収してもよい。塩のイオン化の度合いは、完全にイオン化しているものからほとんどイオン化していないものまで様々でよい。
【0022】
本発明の化合物は、溶媒和していない形と溶媒和した形のどちらで存在してもよい。用語「溶媒和化合物」は、本明細書では、本発明の化合物と、1種または複数の薬学的に許容できる溶媒分子、たとえばエタノールとを含む分子錯体を述べるのに使用する。用語「水和物」は、前記溶媒が水であるときに用いる。本発明の範囲内に含まれるのは、クラスレート、すなわち、前述の溶媒とは対照的に、薬物とホストが化学量論量または化学量論量で存在する薬物−ホスト包接錯体などの錯体である。化学量論量でも非化学量論量でもよいが、2種以上の有機および/または無機の構成要素を含む薬物の錯体も含まれる。得られる錯体は、イオン化していても、部分的にイオン化していても、またはイオン化していなくてもよい。このような錯体の総説については、J Pharm Sci、第64巻(8)、1269〜1288ページ、Haleblian(1975年8月)を参照されたい。
【0023】
以下では、式(I)の化合物および薬学的に許容できる誘導体への言及はすべて、その塩、溶媒和化合物、および錯体、ならびにその塩の溶媒和化合物および錯体への言及を含む。
【0024】
本発明の化合物には、先に規定した式(I)の化合物、以下で規定するその多形体、プロドラッグ、および異性体(光学、幾何、および互変異性体を含む)、ならびに同位体標識された式(I)の化合物が含まれる。
【0025】
述べたとおり、本発明は、先に規定した式(I)の化合物のすべての多形体を含む。
【0026】
式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も、本発明の範囲内である。したがって、それ自体は少ししかまたは全く薬理活性のない式(I)の化合物のある種の誘導体は、身体に投与されたときに、たとえば加水分解による切断によって所望の活性を有する式(I)の化合物に変換される。このような誘導体を「プロドラッグ」と呼ぶ。プロドラッグの使用に関するこれ以上の情報は、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、ACS Symposium Series第14巻(T HiguchiおよびW Stella)および「Bioreversibie Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987年(E B Roche、American Pharmaceutical Association編)で見ることができる。
【0027】
本発明によるプロドラッグは、たとえば、式(I)の化合物中に存在する適切な官能基を、たとえば、H Bundgaardによる「Design of Prodrugs」(Elsevier、1985年)に記載されているように、当業者に「前駆部分」として知られているある種の部分で置換することによって生成できる。
【0028】
本発明によるプロドラッグの一部の例には、以下のものが含まれる。すなわち、
(i)式(I)の化合物がカルボン酸官能基(−COOH)を含む場合ではそのエステル、たとえば、水素を(C〜C)アルキルで置換、
(ii)式(I)の化合物がアルコール官能基(−OH)を含む場合ではそのエーテル、たとえば、水素を(C〜C)アルカノイルオキシメチルで置換、および
(iii)式(I)の化合物が第一級または第二級アミノ官能基(−NHまたは−NHR(R≠Hである))を含む場合ではそのアミド、たとえば、一方または両方の水素を(C〜C10)アルカノイルで置換。
【0029】
先の例に従う置換基のそれ以上の例、および他のプロドラッグ型の例は、前述の参照文献で見ることができる。
【0030】
最後に、ある種の式(I)の化合物は、それ自体が他の式(I)の化合物のプロドラッグとして働く場合がある。
【0031】
また、式(I)の化合物の代謝産物も、式(I)の化合物の投与後にin vivoで生成するとき、本発明の範囲内である。
【0032】
1個または複数の不斉炭素原子を含む式(I)の化合物は、2種以上の立体異性体として存在し得る。式(I)の化合物がアルケニル基またはアルケニレン基を含む場合では、シス/トランス(またはZ/E)幾何異性体が考えられ、化合物が、たとえばケト基、オキシム基、または芳香族部分を含む場合では、互変異性が生じ得る。これは当然、単一の化合物が1種類に止まらない異性を示し得ることになる。
【0033】
1種類に止まらない異性を示す化合物を含めて式(I)の化合物のすべての立体異性体、幾何異性体、および互変異性体、ならびにこれらの1種または複数の混合物が本発明の範囲内に含まれる。対イオンが光学活性を有するもの、たとえば、D−乳酸やL−リシンであり、またはラセミであるもの、たとえば、DL−酒石酸やDL−アルギニンである酸付加塩または塩基の塩も含まれる。シス/トランス異性体は、当業者によく知られている従来の技術、たとえば、分別結晶化およびクロマトグラフィーによって分離することができる。個々の鏡像異性体を調製/単離するための従来の技術としては、光学的に純粋な適切な前駆体からのキラル合成、またはたとえばキラルHPLCを使用するラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が挙げられる。あるいは、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を、光学活性のある適切な化合物、たとえばアルコール、または式(I)の化合物が酸性もしくは塩基性の部分を含む場合では酒石酸や1−フェニルエチルアミンなどの酸または塩基と反応させてもよい。得られるジアステレオ異性体混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶化によって分離し、ジアステレオ異性体の一方または両方を、当業者によく知られている手段によって対応する純粋な鏡像異性体に変換することができる。
【0034】
本発明のキラル化合物(およびそのキラルな前駆体)は、0〜50%、通常は2〜20%のイソプロパノールおよび0〜5%のアルキルアミン、通常は0.1%のジエチルアミンを含む炭化水素、通常はヘプタンまたはヘキサンからなる移動相を用いる、不斉樹脂でのクロマトグラフィー、通常はHPLCを使用して、鏡像異性体を豊富に含む形で得ることができる。溶離液の濃度が、濃縮された混合物をもたらす。
【0035】
立体異性体の集成物は、当業者に知られている従来の技術によって分離することができるが、たとえば、E L Elielによる「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley、米国ニューヨーク、1994年)を参照されたい。
【0036】
本発明は、1個または複数の原子が、原子番号が同じであるが、原子質量または質量数が自然界で通常見られる原子質量または質量数と異なっている原子で置換されている、式(I)の化合物の薬学的に許容できるすべての同位体変形形態も含む。
【0037】
本発明の化合物に含めるのに適する同位体の例としては、HやHなどの水素、11C、13C、14Cなどの炭素、13Nや15Nなどの窒素、15O、17O、18Oなどの酸素、32Pなどのリン、35Sなどの硫黄、18Fなどのフッ素、123Iや125Iなどのヨウ素、および36Clなどの塩素の各同位体が挙げられる。
【0038】
ある種の同位体標識された式(I)の化合物、たとえば、放射性同位体が組み込まれている化合物は、薬物および/または基質分布調査において有用である。放射性同位体三重水素、すなわちH、および炭素14、すなわち14Cは、取り込まれやすく、検出手段がすぐに用立てられることから、この目的のために特に有用である。
【0039】
重水素、すなわちHなどのより重い同位体による置換は、より高度な代謝安定性、たとえば、in vivo半減期の延長や投与必要量の縮小のために得られる特定の治療利点をもたらす場合があり、したがってある状況において好ましいことがある。
【0040】
11C、18F、15O、13Nなどの陽電子を発する同位体による置換は、基質受容体占有率を調べるための陽電子放射形断層撮影(PET)調査で有用となり得る。
【0041】
同位体標識された式(I)の化合物は、一般に、当業者に知られている従来の技術によって、または以前から用いられている標識されていない試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用しながら後続の実施例および調製例に記載のものと類似した方法によって調製することができる。
【0042】
本発明による薬学的に許容できる溶媒和化合物には、結晶化の溶媒が同位体によって置換されているもの、たとえばDO、d−アセトン、d−DMSOでよいものが含まれる。
【0043】
本明細書では、別段の規定がない限り、
EtNはトリエチルアミン、
AcOHは酢酸、
MeOHはメタノール、EtOHはエタノール、EtOAcは酢酸エチル、
THFはテトラヒドロフラン、DCMはジクロロメタン、DMFはN,N−ジメチルホルムアミド、NMPはN−メチル−2−ピロリジノン、
Bocはt−ブトキシカルボニル、CBzはベンジルオキシカルボニル、
Meはメチル、Etはエチル、Buはブチル、Clはクロロ、OHはヒドロキシ、LGは適切な脱離基、
p−TSAはp−トルエンスルホン酸、
Pd(Dba)はビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、
NMMはN−メチルホルホリン、
WSCDIは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、
DCCはN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、
HOATは1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール、
HOBTは1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物、
PyBOP(登録商標)はベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、
PyBrOP(登録商標)はブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、
向山試薬はヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム、
Hunig塩基はN−エチルジイソプロピルアミン、
Protは保護基、
TFAはトリフルオロ酢酸、
haloはハロゲン、
無水トリフルは無水トリフルオロメタンスルホン酸
を意味する。
【0044】
以下のスキーム1.0から6.2は、式(I)の化合物の調製を説明するものであるが、HETおよびR〜Rは、上で規定したとおりである。
【0045】
【化2】

【0046】
化合物(III)としての使用に適するアミンは、市販品として入手可能であり、または文献で知られている。
【0047】
【化3】

【0048】
Protは、窒素の適切な保護基を表す。教本(たとえば、T.W.GreeneおよびP.Wutzによる「Protecting Groups in Organic Synthesis」)の中で見られるものなどの、窒素保護基用の標準の方法を使用する。LGは、ハロゲン、好ましくはBrなどの脱離基を表す。化合物(VII)としての使用に適する化合物は、市販品として入手可能であり、または文献で知られている。
【0049】
ステップ(a):アミン(III)をオキサジアゾール(IIおよびIV)と反応させて、式(I)の化合物を得る。この反応は、キシレンやトルエンなどの激しく沸騰している溶媒を場合により使用し、p−TSA、トリフルオロ酢酸、塩化マグネシウムなどのルイス酸触媒といった適切な触媒を用い、出発材料を、場合により高圧をかけて、または場合によりマイクロ波を照射しながら、15分間〜18時間かけて100〜200℃などの高温に加熱することで実施する。好ましい条件は、0.1当量の塩化マグネシウムを用い1.5当量のアミン(Ill)を場合により高圧をかけて150℃で4〜18時間、またはキシレン中で0.25当量のpTSAを用い3〜4当量のアミン(III)を150℃で18時間、またはキシレンもしくはトルエン中で1当量のTFAを用い2当量のアミン(III)を110〜150℃の間である。
【0050】
ステップ(b):化合物(V)の脱保護は、T.W.GreeneおよびP.Wutzによる「Protecting Groups in Organic Synthesis」に記載されているような標準の方法を使用して行う。ProtがBocであるとき、好ましい方法は、1,4−ジオキサンなどの適切な溶媒中の塩化水素を室温で1〜16時間、またはトリフルオロ酢酸のジクロロメタン溶液を1〜2時間使用する。ProtがCBzであるとき、好ましい方法は、エタノールなどの溶媒中で適切なパラジウム触媒を使用する水素化分解である。Protがカルバミン酸アリルであるとき、好ましい条件は、テトラヒドロフラン中でチオ安息香酸、およびPd(Dba)などの適切なパラジウム触媒を1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンなどの適切なホスフェン添加剤と共に20分間使用する。
【0051】
ステップ(c):化合物(VI)のアリール化は、適切な塩基(t−BuONa)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルなどの触媒量の適切な添加剤、および適切なパラジウム触媒を使用する、化合物(VII)との、パラジウムを触媒とするクロスカップリング反応によって実施することができる。高温の不活性雰囲気においてトルエン中で1〜24時間反応を実施して、化合物(I)を得る。あるいは、化合物(I)は、DMF、NMP、1,4−ジオキサンなどの適切な溶媒中で、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、Hunig塩基などの塩基の存在下、アミン(VI)と化合物(VII)とを50℃〜140℃などの高温で約1〜48時間反応させて調製することができる。好ましい条件は、N,N−ジメチルホルムアミド中で1.3当量のハロゲン化物(VII)、1〜2当量の炭酸カリウムを60℃で4〜18時間である。
【0052】
化合物(II)および(IV)としての使用に適する化合物は、文献で知られており、またはスキーム3.1および3.2に示すとおりに調製することができる。
【0053】
【化4】

【0054】
化合物(VIII)/(VIII’)および(IX)は、市販品として入手可能であり、または対応するエステルの加水分解などの方法で知られている(調製例1を参照のこと)。
【0055】
ステップ(d):カルボン酸(VIII/VIII’)とヒドラジド(IX)との反応は、標準の方法によって実施することができる。結合反応は、
(i)酸(VIII/VIII’)のアシル塩化物誘導体+ヒドラジド(IX)を適切な溶媒中で過剰の酸受容体と共に使用し、または
(ii)場合により触媒の存在下、従来のカップリング剤を加えた酸(VIII/VIII’)+ヒドラジド(IX)を適切な溶媒中で過剰の酸受容体と共に使用して行うことができる。通常、条件は次のとおり、すなわち、
(i)(その場で生成した)酸(VIII/VIII’)の酸塩化物、過剰のヒドラジドをDCMまたはTHF中で場合によりEtN、Hunig塩基、NMMなどの過剰の第三級アミンと共に加熱せずに1〜24時間、あるいは
(ii)酸(VIII/VIII’)、WSCDI/DCC、およびHOST/HOAT、過剰のヒドラジドをTHF、DCM、もしくはEtOAc中で過剰のNMM、EtN、Hunig塩基と共に室温で4〜48時間、または酸(VIII/VIII’)、PYBOP(登録商標)/PyBrOP(登録商標)/向山試薬、過剰のヒドラジドをTHF、DCM、もしくはEtOAc中で過剰のNMM、EtN、Hunig塩基と共に室温で4〜24時間である。
【0056】
好ましい条件は、1〜1.2当量のN−メチルモルホリンの存在下、DCM中で(その場で生成した)酸(VIII/VIII’)の酸塩化物、1.2〜2当量のヒドラジド(IX)を室温で18時間、または
ジクロロメタン中で、カルボン酸(VIII/VIII’)、1当量のHOBT、1当量のWSCDI、1.2当量のヒドラジド(IX)を室温で18時間である。
【0057】
ステップ(e):化合物(X/X’)の閉環は、適切な脱水条件下、最高で18時間かけて高温で実施する。通常、ポリリン酸、オキシ塩化リン、トリフリック酸無水物などの脱水剤を、場合によりジクロロメタンなどの適切な溶媒中でピリジンと共に50℃〜120℃で5分間〜12時間使用する。反応は、場合により不活性雰囲気中で実施することができる。あるいは、オキサジアゾール(IIおよびIV)は、Rigoら、Synth.Commun.第16巻(13)、1665ページ、1986年の方法に従って調製してもよい。好ましい条件は、オキシ塩化リンを100〜110℃で1〜2時間使用する。
【0058】
化合物(X/X’)への代替経路を以下のスキーム4.1および4.2で示す。
【0059】
【化5】

【0060】
先に(X/X’)の調製について述べた条件を使用して、カルボン酸(VIII/VIII’)と保護されたヒドラジン(Protは通常Bocである)とを結合させると、化合物(XIII/XIII’)を得ることができる。次いで、ステップ(b)で述べた標準の方法を使用してProtを除去して(XII/XII’)を得る。次いで、ステップ(d)について以前に記載した条件下でヒドラジド(XII/XII’)とカルボン酸もしくはその誘導体[RC(O)X(XはOHまたはClである]とを結合させて、化合物(X/X’)を得ることができる。
【0061】
化合物(XII/XII’)への代替経路を以下のスキーム5.1および5.2で示す。
【0062】
【化6】

【0063】
ステップ(f):メタノールなどの適切な溶媒中でエステル(XIV/XIV’)をヒドラジンと高温で反応させて、ヒドラジド(XII/XII’)を得ることができる。好ましい条件は、還流下のメタノール中で3当量のヒドラジンを18時間である。
【0064】
が(以下のスキームで
【0065】
【化7】

と表される)窒素を含む複素環式の環を表すとき、スキーム6.1および6.2に記載の経路に従って式(I/V’)の化合物を調製することができる。
【0066】
【化8】

【0067】
化合物(XIII)および(XVI)としての使用に適する化合物は、市販品として入手可能であり、または文献で知られている。
【0068】
ステップ(d):化合物(XIII)のヒドラジド(XII/XII’)との結合は、先に概略を述べた標準の方法を使用して実施することができる。
【0069】
ステップ(e):オキサジアゾール(XV/XV’)を得るための化合物(XIV/XIV’)の脱水および閉環は、先に概略を述べた方法によって実現する。
【0070】
ステップ(g):トリエチルアミン、Hunig塩基、炭酸カリウムなどの、プロトン受容体としての過剰の塩基の存在下、化合物(XV/XV’)をアミン(XVI)と反応させて、化合物(XVII/IV’)を得る。反応は、トルエンやDMFなどの激しく沸騰している適切な溶媒中で、50℃〜100℃の温度で1〜24時間行う。あるいは、不活性雰囲気中、還流下のトルエン中で適切な塩基(t−BuONa)、トリn−ブチルホスフェンなどの触媒量の適切な添加剤、および適切なパラジウム触媒を使用して、パラジウムを触媒とするクロスカップリング反応を12〜24時間実施することができる。好ましい条件は、DMF中で1当量のアミン、2当量の炭酸カリウムを60℃で3〜4時間使用する。
【0071】
ステップ(a):化合物(I/V’)を得るための化合物(XVII/IV’)のアミノ化は、先に概略を述べた方法を使用して実施する。
【0072】
当業者ならば、適切なときには、ステップ(a)と(g)の順序が逆でもよいことを理解されよう。化合物(V’)は、次いで、スキーム2に記載の反応に従って式(I)の化合物に変換することができる。
【0073】
当業者には、式(I/V’)の化合物の合成の際、敏感な官能基を保護し、脱保護する必要があり得ることは明白であろう。これは、たとえば、T W GreeneおよびP G M Wutsの「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley and Sons Inc、1991年に記載されているような従来の技術によって実現することができる。
【0074】
本発明の化合物は、動物において薬理活性を有するので有用である。特に、攻撃性、アルツハイマー病、神経性食欲不振症、不安、不安障害、喘息、アテローム性動脈硬化症、自閉症、心血管疾患(狭心症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、白内障、中枢神経系疾患、脳血管虚血、硬変、認知障害、クッシング病、抑うつ症、糖尿病、月経困難症(原発性および続発性)、嘔吐(乗り物酔いを含む)、子宮内膜症、胃腸疾患、緑内障、婦人科疾患、心臓疾患、子宮内発育不全、炎症(関節リウマチを含む)、虚血、虚血性心疾患、肺腫瘍、排尿障害、中間痛、新生物、腎毒性、インスリン非依存性糖尿病、肥満、強迫性障害、高眼圧、子癇前症、早漏、早産(早期分娩)、肺疾患、レイノー病、腎疾患、腎不全、男性もしくは女性の性機能障害、敗血症性ショック、睡眠障害、脊髄損傷、血栓症、尿生殖管感染、または尿石症を含むいくつかの症状の治療で有用である。特に重要なものは、月経困難症(原発性または続発性)、より詳細には原発性月経困難症である。
【0075】
したがって、本発明の別の態様によれば、月経困難症の治療方法であって、不安、心血管疾患(狭心症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(乗り物酔いを含む)、子宮内発育不全、炎症(関節リウマチを含む)、中間痛、子癇前症、早漏、早産(早期分娩)、またはレイノー病に罹患している患者への治療有効量の本発明の化合物の投与を含む方法が提供される。不安、心血管疾患(狭心症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(乗り物酔いを含む)、子宮内発育不全、炎症(関節リウマチを含む)、中間痛、子癇前症、早漏、早産(早期分娩)、またはレイノー病、特に月経困難症を治療するための、本発明の化合物の医薬としての使用、および医薬の製造における使用も提供する。
【0076】
医薬としての使用を目的とした本発明の化合物は、結晶質または非晶質の製品として投与することができる。これらは、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、蒸発乾燥などの方法によって、たとえば固体充填物、粉末、またはフィルムとして得ることができる。この目的のためにマイクロ波乾燥または高周波乾燥を使用してもよい。
【0077】
本発明の化合物は、単独で投与してもよいし、1種または複数の他の本発明の化合物または1種または複数の他の薬物と併せて(またはこれらの任意の組合せとして)投与してもよい。本発明の化合物は、経口避妊薬と併せて投与してもよい。したがって、本発明の別の態様では、V1aアンタゴニストと経口避妊薬とを含む、月経困難症の治療で同時、別々、または逐次に使用するための混合製剤としての医薬品が提供される。
【0078】
本発明の化合物は、PDE5阻害剤と併せて投与してもよい。したがって、本発明の別の態様では、本発明によるV1aアンタゴニストとPDEV阻害剤とを含む、月経困難症の治療で同時、別々、または逐次に使用するための混合製剤としての医薬品が提供される。
【0079】
V1aアンタゴニストと組み合わせるのに有用なPDEV阻害剤には、その限りでないが、
(i)国際特許出願公開WO03/000691、WO02/64590、WO02/28865、WO02/28859、WO02/38563、WO02/36593、WO02/28858、WO02/00657、WO02/00656、WO02/10166、WO02/00658、WO01/94347、WO01/94345、WO00/15639、およびWO00/15228で言及されているPDE5阻害剤、
(ii)米国特許第6143746号、同第6143747号、および同第6043252号で言及されているPDE5阻害剤、
(iii)EP−A−0463756で開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−0526004で開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン類、公開国際特許出願WO93/06104で開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、公開国際特許出願WO93/07149で開示されている異性体のピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン、公開国際特許出願WO93/12095で開示されているキナゾリン−4−オン、公開国際特許出願WO94/05661で開示されているピリド[3,2−d]ピリミジン−4−オン、公開国際特許出願WO94/00453で開示されているプリン−6−オン、公開国際特許出願WO98/49166で開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、公開国際特許出願WO99/54333で開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−0995751で開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン、公開国際特許出願WO00/24745で開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−0995750で開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン、公開国際出願WO95/19978で開示されているヘキサヒドロピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン、WO00/27848で開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン、EP−A−1092719および公開国際出願WO99/24433で開示されているイミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−オンおよび公開国際出願WO93/07124で開示されている二環式化合物、公開国際出願WO01/27112で開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、公開国際出願WO01/27113で開示されているピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、EP−A−1092718で開示されている化合物およびEP−A−1092719で開示されている化合物、EP−A−1241170で開示されている三環式化合物、公開国際出願WO02/074774で開示されているアルキルスルホン化合物、公開国際出願WO02/072586で開示されている化合物、公開国際出願WO02/079203で開示されている化合物およびWO02/074312で開示されている化合物、
(iv)好ましくは、1−[[3−(6,7−ジヒドロ−1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ジピリミジン−5−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−メチルピペラジンとしても知られている5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(たとえばViagra(登録商標)として販売されているシルデナフィル)(EP−A−0463756参照)、5−(2−エトキシ−5−モルホリノアセチルフェニル)−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(EP−A−0526004参照)、3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−n−プロポキシフェニル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO98/49166参照)、3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO99/54333参照)、3−エチル−5−{5−[4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル]−2−([(1R)−2−メトキシ−1−メチルエチル]オキシ)ピリジン−3−イル}−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オンとしても知られている(+)−3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシ−1(R)−メチルエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO99/54333参照)、1−{6−エトキシ−5−[3−エチル−6,7−ジヒドロ−2−(2−メトキシエチル)−7−オキソ−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−3−ピリジルスルホニル}−4−エチルピペラジンとしても知られている5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113、実施例8参照)、5−[2−イソ−ブトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113、実施例15参照)、5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−フェニル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27113、実施例66参照)、5(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27112、実施例124参照)、5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(WO01/27112、実施例132参照);(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)ピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(タダラフィル、IC−351、Cialis(登録商標))、すなわち、公開国際出願WO95/19978の実施例78および95の化合物、ならびに実施例1、3、7、および8の化合物;1−[[3−(3,4−ジヒドロ−5−メチル−4−オキソ−7−プロピルイミダゾ[5,1−f]−as−トリアジン−2−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−エチルピペラジンとしても知られている2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル、LEVITRA(登録商標))、すなわち、公開国際出願WO99/24433の実施例20、19、337、および336の化合物;公開国際出願WO93/07124の実施例11の化合物(エーザイ);Rotella D P、J.Med.Chem.、2000年、第43巻、1257ページの化合物3および14;4−(4−クロロベンジル)アミノ−6,7,8−トリメトキシキナゾリン、N−[[3−(4,7−ジヒドロ−1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]−ピリミジン−5−イル)−4−プロポキシフェニル]スルホニル]−1−メチル2−ピロリジンプロパンアミド[「DA−8159」(WO00/27848の実施例68)]、ならびに7,8−ジヒドロ−8−オキソ−6−[2−プロポキシフェニル]−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリンおよび1−[3−[1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−7,8−ジヒドロ−8−オキソ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−6−イル]−4−プロポキシフェニル]カルボキサミド、
(v)4−ブロモ−5−(ピリジルメチルアミノ)−6−[3−(4−クロロフェニル)−プロポキシ]−3(2H)ピリダジノン、1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キナゾリニル]−4−ピペリジン−カルボン酸一ナトリウム塩、(+)−シス−5,6a,7,9,9,9a−ヘキサヒドロ−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニルメチル−5−メチル−シクロペンタ−4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4(3H)オン、フラズロシリン(furazlocillin)、シス−2−ヘキシル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクラヒドロシクロペンタ[4,5]−イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン、3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート、3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート、4−ブロモ−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−6−(3−(4−クロロフェニル)プロポキシ)−3−(2H)ピリダジノン、1−メチル−5(5−モルホリノアセチル−2−n−プロポキシフェニル)−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ(4,3−d)ピリミジン−7−オン、1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キナゾリニル]−4−ピペリジンカルボン酸一ナトリウム塩、ファーマプロジェクト番号4516(Glaxo Wellcome)、ファーマプロジェクト番号5051(Bayer)、ファーマプロジェクト番号5064(協和発酵、WO96/26940を参照)、ファーマプロジェクト番号5069(Schering Plough)、GF−196960(Glaxo Wellcome)、E−8010およびE−4010(エーザイ)、Bay−38−3045および38−9456(Bayer)、FR229934およびFR226807(藤沢薬品)、およびSch−51866
が含まれる。
【0080】
公開特許出願および雑誌論文の中身、特に治療活性のある請求項の化合物の一般式およびその中で実例となる化合物は、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0081】
PDEV阻害剤は、シルデナフィル、タダラフィル、バラデナフィル、DA−8159、および5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オンから選択されることが好ましい。
【0082】
PDE5阻害剤は、シルデナフィルおよび薬学的に許容できるその塩であることが最も好ましい。クエン酸シルデナフィルが好ましい塩である。
【0083】
本発明の化合物は、NO供与体と併せて投与してもよい。したがって、本発明の別の態様では、本発明によるV1aアンタゴニストとNO供与体とを含む、月経困難症の治療で同時、別々、または逐次に使用するための混合製剤としての医薬品が提供される。
【0084】
本発明の化合物は、L−アルギニンと併せて、またはアルギン酸塩として投与してもよい。したがって、本発明の別の態様では、本発明によるV1aアンタゴニストとL−アルギニンとを含む、月経困難症の治療で同時、別々、または逐次に使用するための混合製剤としての医薬品が提供される。
【0085】
本発明の化合物は、COX阻害剤と併せて投与してもよい。したがって、本発明の別の態様では、本発明によるV1aアンタゴニストとCOX阻害剤とを含む、月経困難症の治療で同時、別々、または逐次に使用するための混合製剤としての医薬品が提供される。
【0086】
本発明の化合物と組み合わせるのに有用なCOX阻害剤には、その限りでないが、
(i)イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラポプロフェン(prapoprofen)、ミロプロフェン(miroprofen)、チオキサプロフェン(tioxaprofen)、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン(fluprofen)、ブクロキス酸(bucloxic acid)、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク(fenclofenec)、アルシオフェナク(alciofenac)、イブフェナク(ibufenac)、イソキセパク(isoxepac)、フロフェナク(furofenac)、チオピナク(tiopinac)、ジドメタシン(zidometacin)、アセチルサリチル酸、インドメタシン、プロキシカム、テノキシカム、ナブメトン、ケトロラク、アザプロパゾン、メフェナム酸、トルフェナム酸、ジフルニサル、ポドフィロトキシン誘導体、アセメタシン、ドロキシカム(droxicam)、フロクタフェニン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、プログルメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク(oxipinac)、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、フルフェニサール(flufenisal)、スドキシカム(sudoxicam)、エトドラク、ピプロフェン(piprofen)、サリチル酸、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サリチレート、ベノリレート(benorylate)、フェンチアザク、クロピナク(clopinac)、フェプラゾン、イソキシカム(isoxicam)、および2−フルオロ−a−メチル[1,1’−ビフェニル]−4−酢酸4−(ニトロオキシ)ブチルエステル(Wenkら、Europ.J.Pharmacol.第453巻:319〜324ページ(2002年)参照)、
(ii)メロキシカム(CAS登録番号71125−38−7、米国特許第4233299号に記載されている)または薬学的に許容できるその塩もしくはプロドラッグ、
(iii)米国特許第6271253に記載の置換ベンゾピラン誘導体、また米国特許第6034256号および同第6077850号と国際公開WO98/47890およびWO00/23433に記載のベンゾピラン誘導体、
(iv)米国特許第6077850号および米国特許第6034256号に記載のクロメンCOX2選択的阻害剤、
(v)国際特許出願公開WO95/30656、WO95/30652、WO96/38418、およびWO96/38442に記載の化合物と、欧州特許出願公開第799823号に記載の化合物、ならびに薬学的に許容できるこれらの誘導体、
(vi)セレコキシブ(米国特許第5466823号)、バルデコキシブ(米国特許第5633272号)、デラコキシブ(deracoxib)(米国特許第5521207号)、ロフェコキシブ(米国特許第5474995号)、エトリコキシブ(国際特許出願公開98/03484)、JTE−522(特開平09−052882)、または薬学的に許容できるこれらの塩もしくはプロドラッグ、
(vii)(米国特許第5633272号に記載の)三環系Cox−2選択的阻害剤バルデコキシブの治療上有効なプロドラッグである(米国特許第5932598号に記載の)パレコキシブ、特にパレコキシブナトリウム、
(viii)(国際特許出願公開WO00/24719に記載の)ABT−963、
(ix)(米国特許第3840597号に記載の)ニメスリド、(J.Carter,Exp.Opin.Ther.Patents、第8巻(1)、21〜29ページ(1997年)で論じられている)フロスリド、(米国特許第4885367で開示されている)NS−398、(米国特許第6034256号に記載の)SD8381、(米国特許第6180651号に記載の)BMS−347070、(欧州特許出願第595546号に記載の)S−2474、および(米国特許第5968974号に記載の)MK−966、
(x)米国特許第6395724号、米国特許第6077868号、米国特許第5994381号、米国特許第6362209号、米国特許第6080876号、米国特許第6133292号、米国特許第6369275号、米国特許第6127545号、米国特許第6130334号、米国特許第6204387号、米国特許第6071936号、米国特許第6001843号、米国特許第6040450号、国際特許出願公開WO96/03392、国際特許出願公開WO96/24585、米国特許第6340694号、米国特許第6376519号、米国特許第6153787号、米国特許第6046217号、米国特許第6329421号、米国特許第6239137号、米国特許第6136831号、米国特許第6297282号、米国特許第6239173号、米国特許第6303628号、米国特許第6310079号、米国特許第6300363号、米国特許第6077869号、米国特許第6140515号、米国特許第5994379号、米国特許第6028202号、米国特許第6040320号、米国特許第6083969号、米国特許第6306890号、米国特許第6307047号、米国特許第6004948号、米国特許第6169188号、米国特許第6020343号、米国特許第5981576号、米国特許第6222048号、米国特許第6057319号、米国特許第6046236号、米国特許第6002014号、米国特許第5945539号、米国特許第6359182号、国際特許出願公開WO97/13755、国際特許出願公開WO96/25928、国際特許出願公開WO96/374679、国際特許出願公開WO95/15316、国際特許出願公開WO95/15315、国際特許出願公開96/03385、国際特許出願WO95/00501、国際特許出願94/15932、国際特許出願公開WO95/00501、国際特許出願公開WO94/27980、国際特許出願公開WO96/25405、国際特許出願公開WO96/03388、国際特許出願公開WO96/03387、米国特許第5344991号、国際特許出願公開WO95/00501、国際特許出願公開WO96/16934、国際特許出願公開WO96/03392、国際特許出願公開WO96/09304、国際特許出願公開WO98/47890、および国際特許出願公開WO00/24719に記載の化合物および薬学的に許容できる誘導体
が含まれる。
【0087】
特許出願のいずれかの中身、特に治療活性のある請求項の化合物の一般式およびその中で実例となる化合物は、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0088】
一般に、本発明の化合物は、1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤と合わさった製剤として投与される。用語「賦形剤」は、本明細書では、本発明の化合物以外の任意の成分を述べるのに使用する。賦形剤の選択は、大部分は、特定の投与モード、その賦形剤による溶解性および安定性に対する影響、剤形の種類などの要因に応じて決まる。
【0089】
本発明の化合物の送達に適する医薬組成物およびその調製法は、当業者には容易に理解されよう。そうした組成物およびその調製法は、たとえば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995年)で見ることができる。
【0090】
したがって、本発明の別の態様によれば、式(I)の化合物が薬学的に許容できる佐剤、希釈剤、または担体と混和されたものを含む医薬製剤が提供される。
【0091】
本発明の化合物は、経口投与することができる。経口投与は、化合物が消化管に侵入するように飲み込まれるものでよいし、あるいは化合物が口から直接に血流に侵入する頬側または舌下投与を使用してもよい。
【0092】
経口投与に適する製剤には、錠剤、粒子、液体、もしくは粉末を含むカプセル剤、トローチ剤(液体充填型を含む)、咀嚼錠、多粒子、ナノ粒子などの固体製剤、ゲル、固溶体、リポソーム、フィルム(粘膜付着製剤を含む)、膣坐剤、スプレー、ならびに液体製剤が含まれる。
【0093】
液体製剤には、懸濁液、溶液、シロップ、およびエリキシルが含まれる。このような製剤は、軟または硬カプセルの充填剤として使用することができ、通常は、担体、たとえば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、もしくは適切な油と、1種または複数の乳化剤および/もしくは懸濁化剤とを含む。液体製剤は、たとえば小袋から出した固体を再形成することで調製してもよい。
【0094】
本発明の化合物は、LiangおよびChenのExpert Opinion in Therapeutic Patents、第11巻(6)、981〜986ページ(2001年)に記載のものなどの、急速溶解急速崩壊剤形にして使用することもできる。
【0095】
錠剤剤形では、用量に応じて、薬物が剤形の1重量%〜80重量%、より典型的には剤形の5重量%〜60重量%を占めて差し支えない。錠剤は、薬物に加え、一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、ナトリウムデンプングリコレート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスプビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶セルロース、低級アルキル置換されたヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、ゼラチン化デンプン、およびアルギン酸ナトリウムが含まれる。一般に、崩壊剤は、剤形の1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を占める。
【0096】
結合剤は、一般に、錠剤製剤に粘着性の性質を与えるために使用する。適切な結合剤には、微結晶セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成のゴム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶セルロース、デンプン、および第二リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤も含有して差し支えない。
【0097】
錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムやポリソルベート80などの界面活性剤、および二酸化ケイ素やタルクなどの滑剤(glidant)を場合により含んでもよい。存在するとき、界面活性剤は錠剤の0.2重量%〜5重量%を占めてよく、滑剤は錠剤の0.2重量%〜1重量%を占めてよい。
【0098】
錠剤は、一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物などの滑沢剤も含有して差し支えない。滑沢剤は、一般に、錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%を占める。
【0099】
考えられる他の成分としては、抗酸化剤、着色剤、着香剤、保存剤、および矯味剤(taste−masking agent)が挙げられる。
【0100】
好例となる錠剤は、約80%までの薬物、約10重量%〜約90wt%の結合剤、約0重量%〜約85重量%の希釈剤、約2重量%〜約10重量%の崩壊剤、および約0.25重量%〜約10重量%の滑沢剤を含有する。
【0101】
錠剤配合物は、直接に、またはローラーによって錠剤に圧縮することができる。あるいは、錠剤ブレンドまたは等分されたブレンドを、打錠前に、湿式、乾式、もしくは溶融造粒、溶融凝固、または押出の処理にかけてもよい。最終製剤は、一重または複数の層を備えていてもよく、コーティングされていてもされていなくてもよい上に、カプセルに封入することもできる。
【0102】
錠剤の製剤については、H.LiebermanおよびL.Lachmanの「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1」、Marcel Dekker、米国ニューヨーク、1980年(ISBN0−8247−6918−X)で論述されている。
【0103】
経口投与用の固体製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0104】
本発明の目的に適する変更型放出製剤は、米国特許第6106864号に記載されている。高エネルギー分散系や浸透性コーティング粒子などの他の適する放出技術の詳細は、Vermaら、Pharmaceutical Technology On−line、第25巻(2)、1〜14ページ(2001年)で見られるはずである。制御放出を実現するためのチューイングガムの使用は、WO00/35298に記載されている。
【0105】
本発明の化合物は、血流、筋肉、または内部臓器中に直接に投与してもよい。非経口投与に適する手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、クモ膜下、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、および皮下が含まれる。非経口投与に適する装置としては、(微細針を含む)針注射器、無針注射器、および注入技術が挙げられる。
【0106】
非経口製剤は、通常、塩、炭水化物、緩衝剤(好ましくはpHが3〜9になるまで)などの賦形剤を含有することもある水溶液であるが、一部の適用例では、無菌の非水性溶液として、または発熱性物質を含まない無菌水などの適切なベヒクルと共に使用するための乾燥形態として、より好適に製剤する場合もある。たとえば凍結乾燥による、無菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準の製薬技術を使用して容易に実現することができる。
【0107】
非経口溶液の調製で使用する式(I)の化合物の溶解性は、適切な処理、たとえば、高エネルギー噴霧乾燥分散系(WO01/47495を参照)の使用によって、かつ/または溶解性増強剤の使用などの適切な製剤技術の使用によって増大させることができる。
【0108】
非経口投与用の製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が含まれる。したがって、本発明の化合物は、活性化合物の変更型放出をもたらす植込デポー剤として投与するために固体、半固体、またはチキソトロープ液体として製剤することができる。そのような製剤の例としては、薬物をコーティングしたステントやPGLAマイクロスフェアが挙げられる。
【0109】
本発明の化合物は、皮膚上にまたは経皮的に、皮膚または粘膜に局所投与してもよい。この目的のための典型的な製剤には、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散粉剤、包帯剤、フォーム、フィルム、皮膚パッチ、オブラート、植込錠、スポンジ、繊維質、帯具、およびマイクロエマルジョンが含まれる。リポソームを使用してもよい。典型的な担体としては、アルコール、水、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが挙げられる。浸透強化剤を混ぜてもよく、たとえば、FinninおよびMorganのJ.Pharm.Sci.、第88巻(10)、955〜958ページ(1999年10月)を参照されたい。
【0110】
局所投与の他の手段としては、イオン導入法、電気穿孔法、音波泳動法、超音波導入法、ならびに微細針もしくは無針(たとえば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が挙げられる。
【0111】
局所投与用の製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0112】
本発明の化合物は、通常は、(単独で、混合物として、たとえばラクトースとの乾燥配合物にして、またはたとえばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合された混合型成分粒子としてのいずれかの)乾燥粉末の形で乾燥粉末吸入器から、あるいはエアロゾルスプレーとして加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、電気水力学を利用して細かい霧を出すアトマイザー)、またはネブライザーから、1,1,1,2−テトラフルオロエタンや1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用し、または使用せずに、鼻腔内投与または吸入による投与もできる。鼻腔内の使用では、粉末は、生体接着剤、たとえば、キトサンやシクロデキストリンを含んでも差し支えない。
【0113】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、たとえば、エタノール、エタノール溶液、または活性物を分散させ、可溶化し、もしくはその放出を拡張するのに適する代わりとなる薬品、すなわち溶媒としての噴射剤、ならびにトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、オリゴ乳酸などのオプションの界面活性剤を含む、本発明の化合物の溶液または懸濁液を含有する。
【0114】
懸濁液製剤の乾燥粉末に使用する前に、薬物製品を吸入による送達に適する大きさ(通常、5ミクロン未満)に超微粉砕する。これは、スパイラルジェット微粉砕、流動床ジェット微粉砕、ナノ粒子を生成するための超臨界流体処理、高圧ホモジナイズ、噴霧乾燥などの任意の適切な微粉砕法によって実現することができる。
【0115】
吸入器または注入器に入れて使用する(たとえば、ゼラチンまたはHPMCからできた)カプセル、ブリスター、およびカートリッジは、本発明の化合物の粉末混合物、ラクトースやデンプンなどの適切な粉末基剤、およびl−ロイシン、マンニトール、ステアリン酸マグネシウムなどの性能改質剤を含むように製剤することができる。ラクトースは、無水でも一水和物の形でもよいが、後者が好ましい。他の適切な賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが含まれる。電気水力学を利用して細かい霧を出すアトマイザーに使用するのに適する溶液製剤は、1噴霧あたり1μg〜20mgの本発明の化合物を含有して差し支えなく、噴霧体積は1μl〜100μlと様々でよい。典型的な製剤は、式(I)の化合物、プロピレングリコール、無菌水、エタノール、および塩化ナトリウムを含むものでよい。プロピレングリコールの代わりに使用することのできる代替溶媒としては、グリセロールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0116】
メントールやレボメントールなどの適切な着香剤、またはサッカリンやサッカリンナトリウムなどの甘味剤を、吸入/鼻腔内投与を目的とするこれら本発明の製剤に加えてもよい。
【0117】
吸入/鼻腔内投与のための製剤は、たとえばDL−乳酸/グリコール酸共重合体(PGLA)を使用して、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0118】
本発明の化合物は、たとえば、坐剤、膣坐剤、または浣腸の形で直腸投与または経膣投与することができる。カカオ脂が伝統的な坐剤基剤であるが、様々な代替材料を適宜使用してよい。
【0119】
直腸/経膣投与用の製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0120】
本発明の化合物は、通常は、pHを調製した等張性無菌生理食塩水中の微粉化懸濁液または溶液の滴剤の形で、眼または耳に直接に投与してもよい。眼および耳への投与に適する他の製剤としては、軟膏、生分解性(たとえば、吸収されるゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(たとえばシリコーン)の植込錠、オブラート、レンズ、ならびにニオソームやリポソームなどの粒子系もしくは小胞系が含まれる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸などの重合体、セルロースポリマー、たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、たとえばゲランガムを、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と共に混ぜることができる。このような製剤は、イオン導入法によって送達してもよい。
【0121】
眼/耳への投与のための製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、またはプログラム放出が含まれる。
【0122】
本発明の化合物は、シクロデキストリンやポリエチレングリコールを含むポリマーなどの可溶性の高分子実在物と合体させて、前述の投与モードのいずれかでの使用に向けてその溶解性、溶解速度、味感遮断性、生物学的利用能、および/または安定性を向上させることができる。
【0123】
たとえば、薬物−シクロデキストリン錯体は、大抵の剤形および投与経路にとって一般に有用であることがわかっている。包接錯体および非包接錯体のどちらを使用してもよい。薬物との直接の錯体形成に代わる方法として、シクロデキストリンを補助添加剤、すなわち担体、希釈剤、または可溶化剤として使用することもできる。こうした目的で最も一般的に使用されるのは、α、β、およびγシクロデキストリンであり、その例は、国際特許出願WO91/11172、WO94/02518、およびWO98/55148で見ることができる。
【0124】
たとえば、特定の疾患または状態を治療する目的で活性化合物の組合せを投与することが望ましい場合もあるので、その少なくとも1種が本発明による化合物を含有する2種以上の医薬組成物を、これら組成物の共投与に適するキットの形で好都合に合体させてよいことは、本発明の範囲内である。
【0125】
したがって、本発明のキットは、その少なくとも1種が本発明による式(I)の化合物を含有する2種以上の別々の医薬組成物と、容器、分割されたボトル、分割されたホイル製小包装などの前記組成物を別々に保持する手段とを含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤などの包装に使用されるなじみのブリスターパックである。
【0126】
本発明のキットは、異なる剤形、たとえば経口剤形と非経口剤形の投与、別個の組成物の異なる投与間隔での投与、または別個の組成物の互いの滴定に特に適する。服薬遵守を援助するために、キットは、通常は投与についての説明書を含み、いわゆる記憶補助具を添えて提供することができる。
【0127】
ヒト患者への投与では、本発明の化合物の合計1日用量は、通常、投与方式に応じて約0.01〜約15mg/kg体重の範囲である。合計1日用量は、1回で投与しても、またはその日を通して数回に分けて投与してもよい。これらの投与量は、体重が約65kg〜70kgの普通のヒト対象に基づくものである。医師は、幼児や高齢者などの、体重がこの範囲外になる対象のための用量を容易に決定できるであろう。
【0128】
本明細書では、用語「治療する」および「治療すること」とは、症状を緩和し、原因を一時的もしくは永続的に解消し、または症状の出現を予防または緩慢化することを意味する。用語「治療」は、原発性および/または続発性の月経困難症に関連する症状および疾患の緩和、その原因の(一時的もしくは永続的な)解消、または予防を含む。治療は、症状が出た時点での治療だけでなく前処置である場合もある。
【0129】
本発明の化合物は、以下で述べる選別法で試験することができる。
【0130】
1.0 V1Aフィルター結合アッセイ
1.1 膜の調製
受容体結合アッセイを、ヒトV1A受容体を安定して発現させるCHO細胞(CHO−hV1A)から調製した細胞膜で実施した。CHO−hV1A細胞系は、米国オハイオ州クリーヴランドにあるCase Western Reserve University医学部医学科のMarc Thibonnierの好意により、使用許諾契約のもとに提供を受けた。5%のCOを含む37℃の加湿雰囲気の中、CHO−hV1A細胞を、10%のウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、15mMのHEPES、および400μg/mlのG418を補充したDMEM/Hams F12 Nutrient Mix中で常法どおりに維持した。細胞ペレットを量産するために、10の%ウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、および15mMのHEPESを補充したDMEM/Hams F12 Nutrient Mixからなる培地を含む850cmのローラーボトル中で、付着性のCHO−hV1A細胞を90〜100%の集密度に増殖させた。集密なCHO−hV1A細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、氷冷PBS中に収集し、1000rpmでの遠心分離にかけた。細胞ペレットは、使用するまで−80℃で貯蔵した。細胞ペレットを氷上で解凍し、50mMのトリス−HCl(pH7.4)、5mMのMgClからなり、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)が補充された膜調製用緩衝液中でホモジナイズした。細胞ホモジネートを4℃で10分間、1000rpmでの遠心分離にかけ、上清を除去し、氷上で保存した。残っているペレットをホモジナイズし、前のように遠心分離にかけた。上清をプールし、4℃で30分間、25000×gでの遠心分離にかけた。ペレットを50mMのトリス−HCl(pH7.4)、5mMのMgCl、および20%のグリセロールからなる凍結用緩衝液に再懸濁し、使用するまで少量ずつに等分して−80℃で貯蔵した。Bradford試薬および標準物質としてのBSAを使用して、タンパク質濃度を測定した。
【0131】
1.2 V1Aフィルター結合
新しい膜のバッチそれぞれについて、タンパク質の線形性分析の後に飽和結合分析を実施した。曲線の線形部分上にある特異的な結合を示す膜濃度を選択した。次いで、様々な濃度の[H]−アルギニンバソプレッシン、すなわち[H]−AVP(0.05nM〜100nM)を使用して、飽和結合分析を実施し、KおよびBmaxを決定した。
【0132】
化合物がCHO−hV1A膜への[H]−AVP結合に及ぼす影響を試験した(H−AVP、特異的活性65.5Ci/mmol、NEN Life Sciences)。化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶化し、50mMのトリス−HCl(pH7.4)、5mMのMgCl、および0.05%のBSAを含有するアッセイ用緩衝液でDMSO 10%の作用濃度に希釈した。25μlの化合物および25μlの[H]AVP(膜バッチに対して決定されK以下での最終濃度、通常は0.5nM〜0.6nM)を96ウェル丸底ポリプロピレン製プレートに加えた。200μlの膜を加えて結合反応を開始し、プレートを室温で60分間穏やかに振盪した。Cell Harvester(Packard Instruments)を使用しながら、ペプチドの固着を防ぐために0.5%のポリエチレンイミンに予浸しておいた96ウェルGF/B UniFilterプレートでの急速濾過にかけて、反応を停止した。50mMのトリス−HCl(pH7.4)および5mMのMgClを含有する氷冷洗浄用緩衝液1mlでフィルターを3回洗浄した。プレートを乾燥させ、各ウェルに50μlのMicroscint−0(Packard instruments)を加えた。プレートを密閉し、TopCountマイクロプレートシンチレーションカウンター(Packard Instruments)でカウントした。非特異的結合(NSB)は、1μMの未標識d(CH2)5Tyr(Me)AVP([β−メルカプト−β,β−シクロペンタメチレンプロピオニル,0−Me−Tyr,Arg]−バソプレッシン)(βMCPVP)(Sigma)を使用して測定した。放射リガンド結合データは、4パラメーターのロジスティック式を使用して、最小値を0%として分析した。傾きを自由に適合させると、−0.75と−1.25の間で妥当な曲線にかかった。平均合計cpmから平均NSBを引いて、特異的結合を算出した。試験化合物では、受容体に結合したリガンドの量は、%結合=(サンプルcpm−平均NSBcpm)/特異的結合cpm×100で表した。%結合を試験化合物の濃度に対してプロットし、S字状曲線を適合させた。Cheng−Prusoff式:K=IC50/(1+[L]/K)(ここで、[L]は、ウェル中に存在するリガンドの濃度であり、Kは、スキャッチャードプロット分析で得られた放射リガンドの解離定数である)を使用して、阻害解離定数(K)を算出した。
【0133】
2.0 V1A機能アッセイ:FLIPR(蛍光画像化プレートリーダー)(Molecular Devices)によるAVP/V1A−Rが関与するCa2+動員の阻害
カルシウム、ひいては受容体活性化の迅速な検出を可能にするFLIPRを使用して、CHO−hV1A細胞で細胞内のカルシウム放出を測定した。CHO−hV1A細胞系は、米国オハイオ州クリーヴランドにあるCase Western Reserve University医学部医学科のMarc Thibonnierの好意により、使用許諾契約のもとに提供を受けた。5%のCOを含む37℃の加湿雰囲気の中、CHO−V1A細胞を、10%のウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、15mMのHEPES、および400μg/mlのG418を補充したDMEM/Hams F12 Nutrient Mix中で常法どおりに維持した。アッセイを行う前の午後に、底が透明な黒色の無菌96ウェルプレートにウェルあたり20000細胞の密度で細胞を播いて、各ウェルの底から細胞を観察し、蛍光を測定できるようにした。ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)および2.5mMのプロベネシドを含有する洗浄用緩衝液と、4μMのFluo−3−AM(DMSOおよびプルロン酸に溶解させたもの)(Molecular Probes)および2.5mMのプロベネシドを含有する細胞培養培地からなる添加色素は、アッセイ日に新たに調製した。化合物をDMSOに可溶化し、1%のDMSOを含有するDPBS、0.1%のBSA、および2.5mMのプロベネシドからなるアッセイ用緩衝液で希釈した。5%のCOを含む加湿雰囲気中で、ウェルあたり100μlの添加色素と共に細胞を37℃で1時間インキュベートした。色素を添加した後、Denleyプレート洗浄機を使用して、細胞を100μlの洗浄用緩衝液で3回洗浄した。100μlの洗浄用緩衝液は各ウェルに残した。FLIPRを使用して細胞内の蛍光を測定した。蛍光の読みを2秒間隔で確認し、30秒後に50μlの試験化合物を加えた。次いで、2秒間隔での追加の155回の測定を行って、化合物のアンタゴニスト活性を検出した。次いで、50μlのアルギニンバソプレッシン(AVP)を加えて、最終アッセイ体積が200μlになるようした。その先の蛍光の読みは、1秒間隔で120秒間収集した。応答をピーク蛍光強度(FI)として測定した。薬理学的な特徴付けについては、各蛍光応答から基底FIを差し引いた。AVP用量応答曲線については、各応答を、その列で最も高いAVP濃度に対する応答の%として示した。IC50の決定については、各応答をAVPに対する応答の%として示した。アゴニスト濃度[A]、アゴニストのEC50、および傾きを考慮に入れたCheng−Prusoff式:K=IC50/(2+[A]/A501/n−1(ここで、[A]は、AVPの濃度であり、A50は、用量応答曲線からのAVPのEC50であり、n=AVP用量応答曲線の傾きである)を使用して、IC50値を修正K値に変換した。
【0134】
本発明の化合物は、従来技術の化合物よりも強力であり、作用期間が長く、活性の範囲が広く、安定であり、副作用が少ないもしくは選択的であり、またはより有用な他の特性を有するという点で有利であるといえる。
【0135】
本発明を以下の調製例および実施例によって例示する。
【実施例】
【0136】
調製例1:2−[4−(5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−ピペリジン−1−イル]−ピリミジン
【0137】
【化9】

2−ブロモピリミジン(207mg、1.3ミリモル)および炭酸カリウム(207mg、1.5ミリモル)のN,N−ジメチルホルムアミド(0.5mL)溶液に、4−(5−メチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−ピペリジン塩酸塩(203mg、1ミリモル)(参照文献WO0039125、調製例43参照)を加えた。溶液を4時間かけて60℃に加熱した後、冷却し、室温で18時間攪拌した。減圧下で溶媒を蒸発させ、残渣を水とジクロロメタンとに分配した。水層をジクロロメタンでの抽出にかけ、有機層を合わせてブラインで洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸発にかけた。ジクロロメタンおよびメタノール(97.5:2.5)を溶離液とするシリカゲル(25g)でのクロマトグラフィーによって残渣を精製して、表題化合物を結晶性の固体(75mg)として得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ1.76〜1.92(m,2H)、2.02〜2.17(m,2H)、2.45(s,3H)、3.05〜3.19(m,3H)、4.63〜4.76(m,2H)、6.44(t,1H)、8.26(d,2H);LRMS:m/z ES246[M+H]
【0138】
調製例2:3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸
【0139】
【化10】

3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸エチルエステル(5.8g、24ミリモル)(参照文献Farmaco,1993,第48巻(10)、1439ページ参照)の1,4−ジオキサン(100mL)溶液に水酸化ナトリウム溶液(5M、24.8ml、0.12モル)を滴下した。混合物を室温で72時間攪拌し、次いで減圧下で蒸発にかけた。メタノール:0.88アンモニア:水(0:0:100〜0:5:95〜5:5:90の勾配)を溶離液として使用するDowex(登録商標)50WX8樹脂でのイオン交換クロマトグラフィーによって残渣を精製した。得られた材料をジエチルエーテルで摩砕して表題化合物(4.42g)を得た。LCMS:m/z ES288[M+H]
【0140】
調製例3:3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸N’−(2−モルホリン−4−イル−アセチル)−ヒドラジド
【0141】
【化11】

調製例2の酸(0.5g、2.4ミリモル)を、N,N−ジメチルホルムアミド(2滴)を含むジクロロメタン(20mL)に懸濁させ、ジクロロメタン(5mL)中塩化オキサリル(1.27mL、14ミリモル)を滴下した。混合物を室温で2時間攪拌し、次いで減圧下で蒸発にかけた。黄色の固体をジクロロメタン(5mL)に懸濁させ、N−メチルモルホリン(0.32mL、2.9ミリモル)を慎重に加えた。モルホリン−4−イル−酢酸ヒドラジド(462mg、2.9ミリモル)(参照文献Bull.Soc.Chim.Fr.1962年、250ページを参照)を加え、次いで混合物を室温で18時間攪拌した。反応液をジクロロメタン(100mL)に加えて希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。水層をジクロロメタンでの抽出にかけ、有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発にかけた。残渣を酢酸エチルで摩砕して、表題化合物を固体(306mg)として得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ1.94(m,4H)、2.60(s,5H)、2.79(s,2H)、2.99(m,2H)、3.72(m,4H)、4.33(d,2H)、6.63(m,1H)、6.73(d,1H)、7.51(m,1H)、8.14(m,1H)、8.82(s,1H)、9.22(広幅s,1H);LRMS m/z ES348[M+H]
【0142】
調製例4:4−(5−モルホリン−4−イルメチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル
【0143】
【化12】

調製例3のヒドラジド(200mg、0.58ミリモル)にオキシ塩化リン(1.0mL、10.73ミリモル)を加え、懸濁液を90分間かけて110℃に加熱した。冷却した後、アセトニトリルを加えて褐色の溶液を得、これに水を加え、次いで炭酸ナトリウム水溶液を使用して塩基性にした。次いで、混合物を酢酸エチル(2×100mL)での抽出にかけ、抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発にかけた。残渣を酢酸エチルおよびペンタンから結晶化して、表題化合物を砂状の有色固体として得た。
H NMR(400MHz,CDOD):δ1.91(m,2H)、2.16(m,2H)、2.57(m,4H)、3.11(m,2H)、3.30(m,1H)、3.70(m,4H)、3.80(s,2H)、2.24(m,2H)、6.64(m,1H)、6.86(m,1H)、7.56(m,1H)、8.05(m,1H);LRMS m/z ES330[M+H]
【0144】
調製例5:3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸N’−アセチル−ヒドラジド
【0145】
【化13】

調製例2の酸(8.0g、38.79ミリモル)のジクロロメタン(150mL)中懸濁液に、0℃で塩化オキサリル(17mL、0.18モル)を滴下した。混合物を室温で2.5時間攪拌した。塩化オキサリルおよびジクロロメタンを減圧下で蒸発させた。残渣をジクロロメタン(200mL)に溶解させ、酢酸ヒドラジド(3.45g、45.57ミリモル)、続いてN−メチルモルホリン(4.26mL、38.75ミリモル)を少量ずつ加えた。次いで、混合物を室温で18時間攪拌した。混合物を減圧下で蒸発にかけ、残渣を酢酸エチルと塩酸水溶液(3M)とに分配した。水層を酢酸エチルで洗浄し、次いで水酸化ナトリウムペレットでpH10に塩基性化した後、酢酸エチルでの抽出にかけた。有機層を合わせて減圧下で蒸発にかけ、得られる白色の固体をジエチルエーテルで摩砕して表題化合物(4.6g)を得た。
H NMR(400MHz,CDOD):δ1.70〜1.82(m,2H)、1.90(m,2H)、1.98(s,3H)、2.53(m,1H)、2.90(t,2H)、4.29(d,2H)、6.63(m,1H)、6.83(d,1H)、7.53(m,1H)、8.05(m,1H);LRMS:m/z APCI263[M+H]
【0146】
調製例6:4−(5−メチル−[1,3,4]オキサジアオール−2−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル
【0147】
【化14】

表題化合物は、調製例5のヒドラジド(1.81g、6.9ミリモル)およびオキシ塩化リン(12mL、128ミリモル)から、調製例4に記載の手順に従って黄色の固体(1.38g、収率82%)として得た。得られた残渣は、20gのIsolute(登録商標)カートリッジを使用し、ジクロロメタン:メタノール(体積で100:0〜95:5)からなる勾配をかけた溶媒を溶離液とするフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
H NMR(400MHz,CDOD):δ1.88(m,2H)、2.15(m,2H)、2.52(s,3H)、3.09(t,2H)、3.23(m,1H)、4.27(d,2H)、6.66(m,1H)、6.86(d,1H)、7.55(m,1H)、8.08(m,1H);LRMS:m/z APCI245[M+H]
【0148】
調製例7:3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸N’−ペンタノイル−ヒドラジド
【0149】
【化15】

調製例2のカルボン酸(1.5g、7.3ミリモル)を、N,N−ジメチルホルムアミド(2滴)を含むジクロロメタン(40mL)に懸濁させ、ジクロロメタン(5mL)中塩化オキサリル(1.27mL、14ミリモル)を滴下した。混合物を室温で5時間攪拌し、次いで減圧下で蒸発にかけた。残渣をヘキサンに懸濁させ、蒸発にかけた(3×20mL)。残渣をジクロロメタンに溶解させ、0℃に冷却し、ペンタン酸ヒドラジド(1.7g、14,6ミリモル)を加えた。1−メチル−ピロリジン−2−オン(1.6mL、14.6ミリモル)の入ったジクロロメタン(10mL)を滴下し、混合物を室温で16時間攪拌した。減圧下で溶媒を蒸発させ、残渣をジエチルエーテルで摩砕した。得られた材料を水に溶解させ、2N塩酸を加えてpH2に酸性化した。酸性の溶液を濾過し、濾液を酢酸エチル(3×20mL)で洗浄し、次いで炭酸ナトリウムで塩基性化した。生成した固体をジエチルエーテルで摩砕し、濾過によって単離して、表題化合物を白色の固体(0.68g)として得た。
LCMS:m/z ES303[M−H]
【0150】
調製例8:4−(5−ブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル
【0151】
【化16】

調製例7のヒドラジド(2.5g、8.71ミリモル)をオキシ塩化リン(25mL)と合わせ、2時間かけて100℃に加熱し、その後混合物を注意深く氷上に注いだ。次いで、この混合物を酢酸エチルでの抽出にかけ、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させた。残渣を減圧下で蒸発にかけてベージュ色の固体を得、これを酢酸エチルで摩砕し、次いで、勾配をかけた酢酸エチル:ペンタン(20:80〜25:75)を溶離液とするシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製した。表題化合物をオフホワイトの固体(500mg)として得た。
LRMS:m/z ES287[M+H]
【0152】
調製例9:3,4,5,6−テトラヒドロ−2H[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸ヒドラジド
【0153】
【化17】

3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸エチルエステル(35g、150ミリモル)(参照文献Farmaco,1993,第48巻(10)、1439ページ参照)を、ヒドラジン水和物(34mL、150ミリモル)を含むメタノール(700mL)に溶解させ、18時間加熱還流した。その後、ヒドラジン水和物(22.7mL、100ミリモル)をさらに加え、混合物をさらに18時間攪拌した。混合物を室温に冷却し、減圧下で蒸発にかけた。生成した固体を酢酸エチルで摩砕して、表題化合物を白色の固体として得た。
H NMR(400MHz,CDOD):δ1.99(m,4H)、2.20(m,1H)、2.85(t,2H)、4.50(d,2H)、6.30(m,1H)、7.30(d,1H)、7.70(t,1H)、8.40(d,1H)。
【0154】
調製例10:3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−4−カルボン酸N’−(2−クロロ−アセチル)−ヒドラジド
【0155】
【化18】

調製例9のヒドラジド(23.6g、0.11モル)をジクロロメタン(500mL)に懸濁させ、4−メチルモルホリン(17.7mL、0.16モル)を加えた。氷浴を使用して混合物を冷却し、塩化クロロアセチル(12.8mL、0.16モル)を適下した。反応液を室温に温め、3時間攪拌した。生成した固体を濾過によって単離し、ジクロロメタンおよびジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥させて表題化合物(20.4g)を得た。
LCMS:m/z ES297[M+H]
【0156】
調製例11:4−(5−クロロメチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル
【0157】
【化19】

調製例10のヒドラジド(20.4g、69ミリモル)を100℃で4時間かけてオキシ塩化リン(150mL)に懸濁させた。混合物を冷却し、減圧下で溶媒を蒸発させた。残渣を酢酸エチルに溶解させ、水に加えた。固体の炭酸水素ナトリウムを加えて水層を塩基性にし、相を分離した。水相を酢酸エチル(2回)での抽出にかけ、有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸発にかけた。単離された材料をジエチルエーテルで摩砕して、表題化合物をベージュ色の固体(15g)として得た。
H NMR(400MHz,CDOD):δ1.91(m,2H)、2.19(m,2H)、3.14(m,2H)、3.30(m,1H)、4.29(m,2H)、4.86(s,2H)、6.69(m,1H)、6.89(d,1H)、7.58(m,1H)、8.08(d,1H)
【0158】
調製例12:4−(5−ピペリジン−1−イルメチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル
【0159】
【化20】

ピペリジン(0.18mL、1.8ミリモル)および炭酸カリウム(0.5g、3.6ミリモル)の入ったN,N−ジメチルホルムアミド(8mL)に、調製例11のクロロメチル化合物(0.5g、1.8ミリモル)を加え、混合物を60℃で3時間加熱した。反応混合物を減圧下で蒸発にかけ、残渣を水と酢酸エチルとに分配した。有機溶液を水、次いで2N塩酸で洗浄し、水溶液を合わせ、固体の炭酸水素ナトリウムで塩基性にした。水性混合物を酢酸エチル(3回)での抽出にかけ、有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸発にかけた。メタノール:0.88アンモニア:ジクロロメタン(2:0.25:98)を溶離液として使用するシリカゲルでのクロマトグラフィーによって残渣を精製して、表題化合物を淡いピンク色の固体(0.48g)として得た。
LCMS:m/z ES328[M+H]
【0160】
調製例13:4−(5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル
【0161】
【化21】

調製例11のクロロメチル化合物(5g、17.9ミリモル)を、炭酸カリウム(4.97g、36.0ミリモル)、1,2,3−トリアゾール(1.04mL、17.9ミリモル)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(70mL)と合わせ、次いで攪拌しながら4時間かけて60℃に加熱した。減圧下で溶媒を蒸発させ、残渣をジクロロメタンと水とに分配した。水層をジクロロメタンで洗浄し、有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで減圧下で蒸発にかけて橙色の油を得た。この油を、ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(体積で98:2:0.25〜97:3:0.25)からなる勾配をかけた溶媒を溶離液とするシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ジエチルエーテルで摩砕した後、表題化合物を白色の固体(2.0g)として得た。
H NMR(400MHz,CDOD):δ1.82(m,2H)、2.11(m,2H)、3.07(t,2H)、3.23(m,1H)、4.22(d,2H)、4.80(s,2H)、6.64(d,1H)、6.84(d,1H)、7.54(t,1H)、7.76(s,2H)、8.07(d,1H)。
LRMS:m/z APCI312[M+H]
【0162】
(実施例1)
2−{4−[4−(2−エチル−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル}−ピリミジン
【0163】
【化22】

密閉容器中で調製例1のオキサジアゾール(100mg、0.41ミリモル)を2−エチルフェニルアミン(0.075mL、0.61ミリモル)および塩化マグネシウム(II)(10mg、0.10ミリモル)と合わせ、18時間かけて150℃に加熱した。反応混合物をジクロロメタンに溶解させ、クエン酸(10%水溶液)および炭酸水素ナトリウム(飽和水溶液)で洗浄した。有機層を減圧下で蒸発にかけ、Isco Systems Combifiash(登録商標)Sg100cをIsco Systems Redisep 10gカートリッジで使用し、ジクロロメタンおよびメタノール(100:0〜95:5の勾配)を溶離液として、残渣をシリカゲルで精製した。これによって表題化合物(43.6mg)が得られた。
H NMR(400MHz,CDCl):δ1.15(t,3H)、1.76〜1.89(m,3H)、2.00〜2.12(m,1H)、2.16(s,3H)、2.28(q,2H)、2.56(m,1H)、2.85(q,2H)、4.71(dd,2H)、6.42(t,1H)、7.09(d,1H)、7.37(t,1H)、7.49(m,2H)、8.24(d,2H);LRMS:m/z ES349[M+H]
【0164】
(実施例2〜7)
次の一般式
【0165】
【化23】

を有する表にまとめた以下の実施例の化合物は、適切なオキサジアゾール出発材料と対応するアニリンを使用して、実施例1と類似した方法によって調製した。
【0166】
【表1−1】

【0167】
【表1−2】

【0168】
(実施例8)
4−[4−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル
【0169】
【化24】

調製例6のオキサジアオール(250mg、1.025ミリモル)を、4−メトキシ−2−メチルアニリン(0.39mL、3.07ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物(50mg、0.26ミリモル)、およびキシレン(3mL)と合わせた。混合物を攪拌しながら18時間かけて150℃に加熱した。次いで、減圧下で溶媒を蒸発させ、次いで酢酸エチル:メタノール(90:10)を溶離液とするシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。ジエチルエーテルで摩砕した後、表題化合物を無色のゴム(257mg)として得た。
H NMR(400MHz,CDOD):δ1.81(m,2H)、1.90(m,2H)、1.97(s,3H)、2.12(s,3H)、2.63(m,1H)、2.79(m,2H)、3.85(s,3H)、4.24(m,2H)、6.61(m,1H)、6.79(d,1H)、6.98(m,1H)、7.04(s,1H)、7.33(d,1H)、7.51(m,1H)、8.03(m,1H);LRMS:m/z ES364[M+H]
【0170】
(実施例9〜20)
次の一般式
【0171】
【化25】

を有する表にまとめた以下の実施例の化合物は、適切なオキサジアゾール出発材料と対応するアニリンを使用して、以下の表の脚注に記載のとおりに、実施例8と類似した方法によって調製した。
【0172】
【表2−1】

【0173】
【表2−2】

【0174】
【表2−3】

【0175】
先に例示した化合物はすべて、上述の選別法1.0(V1Aフィルター結合アッセイ)で試験したとき、400nM未満のKi値を示した。詳細な化合物の例を以下の表2に示す。
【0176】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I)の化合物または薬学的に許容できるその誘導体。
【化1】

[式中、
Hetは、2−ピリジニルまたは2−ピリミジニルを表し、
は、H、C1〜3アルキル、または5個もしくは6個の環原子を有する含窒素複素環を表し、
は、H、ベンジル、またはC1〜3アルキルを表し、
は、H、メチル、メトキシ、またはクロロを表す]
【請求項2】
Hetが2−ピリジニルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が1,2,3−トリアゾリルを表す、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
がHまたはメチルを表す、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
がクロロを表す、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
、R、およびRの少なくとも1つがH以外の基を表す、請求項1または4に記載の化合物。
【請求項7】
が1,2,3−トリアゾリルを表し、かつ/またはRがクロロを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
2−{4−[4−(2−エチル−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル}−ピリミジン;
2−{4−[5−メチル−4−(2−プロピル−フェニル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル}−ピリミジン;
2−{4−[4−(2−イソプロピル−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル}−ピリミジン
4−(5−モルホリン−4−イルメチル−4−フェニル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(5−ブチル−4−フェニル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−フェニル−5−ピペリジン−1−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(5−メチル−4−フェニル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−クロロ−2−メチル−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(5−メチル−4−o−トリル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−クロロ−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−o−トリル−5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−クロロ−2−メチル−フェニル)−5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(4−フェニル−5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−クロロ−フェニル)−5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−(5−メチル−4−p−トリル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(2,4−ジメチル−フェニル)−5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;
4−[4−(4−クロロ−2−メチル−フェニル)−5−モルホリン−4−イルメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル;および
薬学的に許容できるこれらの誘導体から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の化合物の医薬としての使用。
【請求項10】
不安、心血管疾患(狭心症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(乗り物酔いを含む)、子宮内発育不全、炎症(関節リウマチを含む)、中間痛、子癇前症、早漏、早産(早期分娩)、およびレイノー病から選択される障害の治療方法であって、このような障害に罹患している患者に、請求項1から8のいずれかに記載の化合物を治療有効量投与することを含む方法。
【請求項11】
障害が月経困難症(原発性または続発性)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
障害が原発性月経困難症である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
不安、心血管疾患(狭心症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、月経困難症(原発性および続発性)、子宮内膜症、嘔吐(乗り物酔いを含む)、子宮内発育不全、炎症(関節リウマチを含む)、中間痛、子癇前症、早漏、早産(早期分娩)、およびレイノー病から選択される障害の治療のための医薬の製造における請求項1から8のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項14】
障害が月経困難症(原発性および続発性)である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
障害が原発性月経困難症である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
請求項1から8のいずれかに記載の化合物もしくは薬学的に許容できるその誘導体と、薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、もしくは担体とを含む医薬製剤。
【請求項17】
請求項1から8のいずれかに記載のV1aアンタゴニストが、(a)経口避妊薬、(b)PDE5阻害剤、(c)NO供与体、(d)L−アルギニン、または(e)COX阻害剤から選択された化合物と組み合わされたものを含む、月経困難症の治療で同時、別々、または逐次に使用するための混合製剤としての医薬品。

【公表番号】特表2007−518788(P2007−518788A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550326(P2006−550326)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000079
【国際公開番号】WO2005/079808
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】