説明

バックドア開口部廻りのボデー構造

【課題】バックドア開口部廻りの捩り剛性、NV性能を向上させ、且つ、バックドア開口部廻りに配置されるボデーパネルの精度管理を容易化することを目的とする。
【解決手段】バックドア開口部30廻りに配置されるリアヘッダ14A、アッパバック14B、Cピラー14C、14D等の複数のボデーパネルをFRPで一体成形してアンダーボデー16に組み付けることで、バックドア開口部30廻りに配置される複数のボデーパネルから接合部を無くす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックドアにより開閉されるバックドア開口部廻りのボデー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バックドアにより開閉されるバックドア開口部廻りに配置されたリアヘッダ、左右のリアピラー、及びアッパバック等の複数のボデーパネルが、通常のプレス品の場合、該ボデーパネルのアンダーボデーへの組付けは、リアヘッダ、左右のリアピラー、及びアッパバック等の複数のボデーパネルを溶接等で接合してアッセンブリー品にした後、アンダーボデーと一体化することにより行われていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この場合、ボデーパネル間の接合部に応力が集中し易くなるので、バックドア開口部廻りの捩り剛性が低下する。また、ボデーパネル間の接合部によりバックドア開口部廻りの剛性が低下されるので、バックドア開口部廻りのNV性能(ノイズバイブレーション性能)が低下する。さらに、アッセンブリー品の構成部品の数の多少によっては、アッセンブリー品の精度管理が困難になる。
【特許文献1】特開2002−337736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、バックドア開口部廻りの捩り剛性、NV性能を向上させ、且つ、バックドア開口部廻りに配置されるボデーパネルの精度管理を容易化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のバックドア開口部廻りのボデー構造は、バックドアにより開閉されるバックドア開口部廻りに配置される複数のボデーパネルをFRPで一体成形して、車両のアンダーボデーに組付けたことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載のバックドア開口部廻りのボデー構造では、バックドアにより開閉されるバックドア開口部廻りに配置される複数のボデーパネルが、FRPで一体成形されて車両のアンダーボデーに組付けられる。
【0007】
これによって、バックドア開口部廻りに配置される複数のボデーパネルの接合部を無くすことが出来る。従って、バックドア開口部廻りから応力集中箇所を無くすことができ、バックドア開口部廻りの捩り剛性が向上する。また、バックドア開口部廻りの剛性が向上するので、バックドア開口部廻りのNV性能が向上する。また、従来と比較して、バックドア開口部廻りの構成部品の数を削減でき、バックドア開口部廻りに配置されるボデーパネルの精度管理を容易化できる。
【0008】
請求項2に記載のバックドア開口部廻りのボデー構造は、請求項1に記載のバックドア開口部廻りのボデー構造であって、センターピラー部も含めてFRPで一体成形したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のバックドア開口部廻りのボデー構造では、センターピラー部も含めてバックドア開口部廻りに配置される複数のボデーパネルがFRPで一体成形されている。これによって、バックドア開口部廻りに配置された複数のボデーパネルに入力される荷重がセンターピラー部に分散されるので、バックドア開口部廻りの捩り剛性がさらに向上する。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、バックドア開口部廻りの捩り剛性、NV性能を向上させることができ、且つ、バックドア開口部廻りに配置されるボデーパネルの精度管理を容易化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明のバックドア開口部廻りのボデー構造の一実施形態を図1、図2に従って説明する。
なお、図中矢印FRは車両前方方向を、矢印UPは車両上方方向を、矢印INは車幅内側方向を示す。
図1、図2には、クーペタイプの車体12の車両後側を示している。図示するように、車体12の車両後側では、バックドアオープニングパネル14及びセンターピラー部(Bピラー部)32が、アンダーボデー16の車両後側の上部に組み付けられている。アンダーボデー16の車両後側は、車室18及びトランクルーム20に跨るフロアパネル22と、フロアパネル22の車幅両端部に立設された壁部24とで構成されている。フロアパネル22は、車室18からトランクルーム20へかけて車幅方向の長さを減少させており、壁部24は、車室18とトランクルーム20との境界において屈曲している。
【0012】
また、バックドアオープニングパネル14は、バックドア(図示省略)により開閉される矩形状のバックドア開口部30が形成されたCFRP(炭素繊維強化樹脂)製のボデーパネルであり、車室18の車両後側とトランクルーム20との車両上側に、車両前方から車両後方へかけて車両下側へ傾斜するように配設されている。
【0013】
バックドア開口部30の上辺30A及び下辺30Bは、車幅方向に沿って延在しており、また、バックドアオープニングパネル14の上辺であるリアヘッダ14A及び下辺であるアッパバック14Bも、車幅方向に延在している。また、バックドア開口部30の車両後側から見て左側の側辺30C、右側の側辺30Dは、車両上下方向及び車両前後方向に沿って延在しており、また、バックドアオープニングパネル14の車両後側から見て左側の側辺であるリアピラー部(Cピラー部)14C、右側の側辺であるリアピラー部14Dも、車両上下方向及び車両前後方向に沿って延在している。
【0014】
また、バックドア開口部30廻りには、凹部34が形成されており、この凹部34の内側にバックドアが収まるようになっている。また、バックドア開口部30の周縁部には、車両上側に屈曲したフランジ14Eが形成されており、バックドア開口部30廻りの剛性が向上されている。
【0015】
また、アッパバック14Bの車両後側の縁辺、及び、Cピラー部14C、14Dの車両後側且つ車幅外側の縁辺には、アンダーボデー16側に屈曲したフランジ14Fが形成されている。一方、壁部24の車両後端側の上部には、フランジ14Fを接合するための接合部26が形成されている。この接合部26は、両側の壁部24の車両後端部の上側に接合されて車幅方向へ延在する梁状の第1接合部26Aと、壁部24の車両後端側の上部に形成された凹部である第2接合部26Bとで構成されている。
【0016】
ここで、接合部26は、フランジ14Fの内側と嵌合するようになっており、接合部26とフランジ14Fとの間に介在する接着剤、及び、リベットによって、接合部26とフランジ14Fとが接合されている。
【0017】
また、バックドアオープニングパネル14の車両前端部の両側には、センターピラー部32が一体で形成されている。センターピラー部32は、バックドアオープニングパネル14から車両上下方向及び車幅方向に沿って延在しており、反バックドアオープニングパネル14側の端部32Aを、壁部24の車両上側端部に接着剤やリベット等により接合されている。
【0018】
次に、本実施形態による作用について説明する。
【0019】
本実施形態では、バックドア開口部30廻りに配置されるリアヘッダ14A、アッパバック14B、Cピラー14C、14D等の複数のボデーパネルがCFRPで一体成形されてアンダーボデー16に組み付けられるので、バックドア開口部30廻りに配置される複数のボデーパネルから、接合部を無くすことが出来る。
【0020】
従って、バックドア開口部30廻りから応力集中箇所を無くすことができ、バックドア開口部30廻りの捩り剛性が向上する。また、バックドア開口部30廻りの剛性が向上するので、バックドア開口部30廻りのNV性能が向上する。また、従来と比較して、バックドア開口部30廻りの構成部品の数を削減でき、バックドア開口部30廻りに配置されるボデーパネルの精度管理を容易化できる。
【0021】
また、本実施形態では、センターピラー部32も含めてバックドア開口部30廻りに配置される複数のボデーパネルがFRPで一体形成されており、バックドア開口部30廻りに配置されるボデーパネルに入力される荷重がセンターピラー部32に分散されるので、バックドア開口部30廻りの捩り剛性がさらに向上する。
【0022】
以上、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、本実施形態は、本発明のバックドア開口部構造を囲むパネルをCFRP製としたが、GFRP等の他のFRP製としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係るバックドア開口部構造を備える車体の車両後側を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るバックドア開口部構造を備える車体の車両後側を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
14A リアヘッダ(ボデーパネル)
14B アッパバック(ボデーパネル)
14C リアピラー部(ボデーパネル)
14D リアピラー部(ボデーパネル)
16 アンダーボデー
30 バックドア開口部
32 センターピラー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックドアにより開閉されるバックドア開口部廻りに配置される複数のボデーパネルをFRPで一体成形して、車両のアンダーボデーに組付けたことを特徴とするバックドア開口部廻りのボデー構造。
【請求項2】
センターピラー部も含めてFRPで一体成形したことを特徴とする請求項1に記載のバックドア開口部廻りのボデー構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−37122(P2008−37122A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209705(P2006−209705)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】