説明

バッテリの内部抵抗成分推定方法及び充電容量推定方法

【課題】 内部抵抗推定値の精度を向上することができ、ひいてはバッテリ容量であるSOCの算出精度を向上できるバッテリの内部抵抗成分推定方法を提供すること。
【解決手段】 複数の単位電池で構成したバッテリ5の内部抵抗成分推定方法であって、バッテリ5の内部抵抗成分に、バッテリ5の内部でのイオン物質の拡散移動による偏在で生じる電圧を考慮した拡散分極抵抗を設定し、拡散物質の濃度の時間変化を用いて、拡散分極抵抗を推定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単位電池セルで構成したバッテリの内部抵抗成分推定方法及び充電容量推定方法の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来では、二次電池を起電力、電解液抵抗、正負極を合わせた電極抵抗、電極のコンデンサ成分よりなる等価回路で表し、コンデンサ成分に充分電荷が蓄えられ無視できる状態で、直流抵抗成分のみを算出している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、複数回の測定で蓄積した各セルごとの電流値及び電圧値を用いて、各セルの内部抵抗値を、直流抵抗成分のみで算出しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
また、充放電を行う際に、電流及び電圧の一方を階段状又は矩形波状に変化させ、二次電池の内部抵抗でコンデンサ成分を測定しているものもある(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−1333322号公報(第2−4頁、全図)
【特許文献2】特開2004−28861号公報(第2−9頁、全図)
【特許文献3】特開2006−162283号公報(第2−29頁、全図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来にあっては、内部抵抗の算出誤差が大きく、ひいては内部抵抗を用いて算出されるバッテリ容量であるSOC(State of charge、以下SOCと省略する)の算出誤差が大きくなっていた。
また、上記従来公報の特開2006−162283号公報により内部抵抗を正確に測定することは、作動時では電流と電圧の変動により困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、内部抵抗推定値の精度を向上することができ、ひいてはバッテリ容量であるSOCの算出精度を向上できるバッテリの内部抵抗成分推定方法及び充電容量推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明では、複数の単位電池セルで構成したバッテリの内部抵抗成分推定方法であって、前記バッテリの内部抵抗成分に、前記バッテリ内部でのイオン物質の拡散移動による偏在で生じる電圧を考慮した拡散分極抵抗を設定し、拡散物質の濃度の時間変化を用いて、前記拡散分極抵抗を推定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
よって、本発明にあっては、内部抵抗推定値の精度を向上することができ、ひいてはバッテリ容量であるSOCの算出精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1のバッテリの内部抵抗成分推定方法及び充電容量推定方法を用いたバッテリ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1のバッテリの内部抵抗成分推定方法を用いたバッテリ容量SOCの計算処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS9における拡散分極電圧の算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】バッテリ内部で生じている拡散状態の説明図である。
【図5】時間の経過に対する拡散状態の説明図である。
【図6】ΔVoとL/D0.5を決める実験波形の一例を示す図である。
【図7】物質濃度が拡散と反応により時間とともに減少する状態の説明図である。
【図8】補正前と補正後の曲線の関係を示すグラフ図である。
【図9】補正係数を決める実験波形の一例を示す説明図である。
【図10】温度とアレニウス則から算出した温度係数の関係を示すグラフ図である。
【図11】センサで測定した電池電流変化の例を示すグラフ図である。
【図12】センサで測定した電池電流から算出した平均電流を示すグラフ図である。
【図13】平均電流とΔVoの関係を示すグラフ図である。
【図14】平均電流と拡散方程式の解から算出した分極電圧を示すグラフ図である。
【図15】分極電圧の算出状態を示すグラフ図である。
【図16】平均電流と補正係数の関係の例を示すグラフ図である。
【図17】ΔVと拡散方程式の解から算出した分極電圧(ΔVb)の説明グラフ図である。
【図18】分極電圧(ΔVb)を算出する状態のグラフ図である。
【図19】分極電圧ΔVの算出状態を示す説明図である。
【図20】内部抵抗を含んだ電池の回路の説明図である。
【図21】電流電圧特性の説明図である。
【図22】バッテリ開放電圧とSOCの関係を示すグラフ図である。
【図23】分極抵抗を含む電池の等価回路の図である。
【図24】分極抵抗を含む電流電圧特性を示すグラフ図である。
【図25】リチウムイオン2次電池内部の状態を示す説明図である。
【図26】直流内部抵抗測定時の電流と電圧の変化状態を示すグラフ図である。
【図27】電池の直流内部抵抗と測定回路の説明図である。
【図28】サンプリング時間を考慮した場合の直流内部抵抗測定時の電流と電圧の変化状態を示すグラフ図である。
【図29】図2のステップS9で実行される直流抵抗R部分の算出処理を示すフローチャートである。
【図30】直流抵抗のみのバッテリの等価回路を示す図である。
【図31】分極抵抗成分を追加したバッテリの等価回路を示す図である。
【図32】バッテリの等価回路と電圧変化の違いを示すタイムチャートである。
【図33】バッテリの等価回路とEo推定値の違いを示すタイムチャートである。
【図34】拡散分極が解消して行く特性を示すタイムチャートである。
【図35】実施例2においてセンサで測定した電池電流変化の例を示すグラフ図である。
【図36】実施例2においてセンサで測定した電池電流から算出した平均電流を示すグラフ図である。
【図37】実施例2の平均電流と時間の関係を示すグラフ図である。
【図38】実施例2の分極電圧の算出状態を示すグラフ図である。
【図39】実施例2において平均電流と拡散方程式の解から算出分極電圧を算出した状態を示すグラフ図である。
【図40】実施例2におけるΔVと拡散方程式の解から算出した分極電圧(ΔVb)の説明グラフ図である。
【図41】実施例2における分極電圧(ΔVb_n)を算出する状態のグラフ図である。
【図42】実施例2における分極で電圧ΔVの算出状態を示す説明図である。
【図43】実施例2における分極電圧ΔV_nの算出状態を示す説明図である。
【図44】実施例3のバッテリの内部抵抗成分推定方法及び放電容量推定方法を用いたバッテリ装置の構成を示すブロック図である。
【図45】実施例3のバッテリの内部抵抗成分推定方法及び放電容量推定方法を実行する制御構成を示すブロック図である。
【図46】実施例3のバッテリコントローラ2で実行される使用可能時間の算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図47】実施例3における電池容量算出電圧Vcの算出状態を示す説明図である。
【図48】実施例3における使用可能電池フル容量の算出状態を示す説明図である。
【図49】実施例3における20℃での放電曲線を示すグラフ図である。
【図50】実施例3における0℃での放電曲線を示すグラフ図である。
【図51】内部抵抗が直流抵抗のみの回路を示す説明図である。
【図52】内部抵抗が直流抵抗のみを考慮した場合の放電曲線を示すグラフ図である。
【図53】内部抵抗が直流抵抗と分極抵抗からなる実施例3で設定している回路を示す説明図である。
【図54】内部抵抗が分極抵抗を含む実施例3の場合の放電曲線のグラフ図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のバッテリの内部抵抗成分推定方法を実現する実施の形態を、請求項1〜6、8に係る発明に対応する実施例1と、請求項1〜8に係る発明に対応する実施例2と、請求項1〜7、9に係る発明に対応する実施例3に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1のバッテリの内部抵抗成分推定方法及び充電容量推定方法を用いたバッテリ装置の構成を示すブロック図である。
実施例1のバッテリ装置1は、バッテリコントローラ2、電圧センサ3、電流センサ4、バッテリ5、負荷6、温度センサ7を備えている。
バッテリコントローラ2は、バッテリ5の全体の容量(バッテリ容量)や、入出力可能電力などを計算する。
電圧センサ3は、バッテリ5から出力される電圧を測定する。
電流センサ4は、バッテリ5から出力される電流を測定する。
バッテリ5は、単位電池セルを複数、例えば数十個を接続してバッテリとしたものであり、以下本明細書では、バッテリ5として説明する。実施例1では、リチウムイオンバッテリとする。
温度センサ7は、バッテリ5の電池温度を測定する。
【0012】
作用を説明する。
[バッテリ容量SOCの計算処理]
図2に示すのは、実施例1のバッテリの内部抵抗成分推定方法を用いたバッテリ容量SOCの計算処理の流れを示すフローチャートであり、以下各ステップについて説明する。
ステップS1では、電圧センサ3と電流センサ4から、電圧値V、電流値Iを入力する。尚、電流センサは放電電流を負、充電電流を正の値として検出する。
【0013】
ステップS2では、内部抵抗R、分極で生じる電圧降下である拡散分極電圧ΔVを算出できる電流変化があったかどうかを判断し、充分な電流変化があったならばステップS9へ進み、充分な電流変化がないならばステップS3へ進む。
【0014】
ステップS3では、予め実験等によって求めて不図示のメモリに記録されたバッテリ5の新品時の内部抵抗値を読み出し、読み出した新品時のバッテリの内部抵抗に劣化係数及び温度係数を乗算した値をバッテリの内部抵抗値R'として算出し、ステップS4へ進む。尚、劣化係数は複数回サンプリングした電圧値V及び電流値Iを直線近似したI−V直線から求めることが可能であり、また温度係数は予め実験によって求めた温度と温度係数との相関に基づいて求めることができる。
【0015】
ステップS4では、ステップS1で入力した電圧値V、電流値I、ステップS3で算出された内部抵抗値R'、又は後述するステップS9で算出された内部抵抗Rと、拡散分極電圧ΔVから下式に基づいてバッテリの開放電圧を計算する。
(数1)
Eo=V−IR−ΔV (ΔVの符号はIと同じ)
【0016】
ステップS5では、テーブル参照によりバッテリ開放電圧Eoからリセット目標SOC(%)を計算する。尚、テーブルは予め実験等によって求められたバッテリ開放電圧EoとバッテリSOC(%)との相関関係を示すテーブルである。
【0017】
ステップS6では、センサ電流を積算し、電流積算SOC(%)を計算する。すなわち、システム起動時の充放電電流が0の時(すなわちバッテリが無負荷時)の電圧を検出し、検出した電圧を開放電圧Eoとして、ステップS5で用いたテーブルを参照してSOC(%)を求め、以降はシステム起動時からのセンサ電流の積算値をSOC(%)に換算した値を、システム起動時のSOC(%)から加減算して電流積算SOCを求める。
【0018】
ステップS7では、SOCリセット処理として、電流積算SOC(%)を増減し、リセット目標SOC(%)に近づける。すなわち、電流積算SOCとリセット目標SOCとに差がある場合には、所定の上限補正値以下の範囲で、電流積算SOCをリセット目標SOCに近づく様に補正する。
【0019】
ステップS8では、ステップS7で算出したバッテリ容量SOC(%)を、入出力可能電力を算出する入出力管理部(不図示)へ出力する。
【0020】
ステップS9では、電流と電圧変化より内部抵抗Rを算出し、前回の充放電の切り替わり(充電から放電又は放電から充電への切り替わり)から今回の充放電の切り替わりまでの平均電流より分極電圧が増加方向へ変化する分ΔVaを計算し、平均電流より分極電圧が減少方向へ変化する分ΔVbを計算し、ΔVaとΔVbから拡散分極電圧ΔVを算出する。
【0021】
ステップS10では、算出した内部抵抗Rからバッテリの劣化状態を判定するとともに、内部抵抗Rをバッテリコントローラ2の内部メモリ等に記憶する。
【0022】
ステップS11では、SOCの計算処理を終了するシャットダウン処理を行うかどうかを判断し、シャットダウン処理を行うならば、SOCの計算処理を終了し、シャットダウン処理を行わないならば、ステップS1へ戻る。
【0023】
[拡散分極電圧の算出処理]
図3に示すのは、図2のステップS9における拡散分極電圧の算出処理の流れを示すフローチャートであり、以下各ステップについて説明する。
【0024】
ステップS91では、センサ電流の変化から、電流の符号が同じ時間を計算する。例えば、後に説明する図11のt1、t2、t3、t4等である。
【0025】
ステップS92では、時間txの間の平均電流を算出し、Iaとする。例えば時間txは、例えば、後に説明する図11のt1、t2、t3、t4等である。
【0026】
ステップS93では、平均電流Iaから、f(t)を使って時間txでのΔVaを算出する。
【0027】
ステップS94では、ΔVbは、ΔVの前回値(tx−1)を初期値としてf(t)を使って算出する。
【0028】
ステップS95では、時間tx間でのΔVを算出する。なお、時間txが複数得られている場合は、これに対応してステップS93→S94→S95を繰り返す。例えば、図11の場合のt1〜t4についてそれぞれΔVを算出する。
【0029】
[拡散分極電圧の算出]
実施例1のバッテリの内部抵抗成分推定方法では、拡散分極電圧ΔVを算出する。
拡散分極電圧ΔVは、バッテリ5であるリチウムイオンバッテリにおいて、リチウムイオンの拡散で濃度差を生じることによる分極電圧を拡散分極電圧ΔVとし、この電圧降下を生じさせる抵抗成分を分極抵抗とする。そして、バッテリの内部抵抗成分として、この分極抵抗を考慮することにより、推定精度を向上させる。
【0030】
まず、拡散について説明する。
図4はバッテリ内部で生じている拡散状態の説明図である。
例えば、図4に示すように拡散物質が初期位置を濃度算出位置とし、初期濃度cとなっているとし、距離2Lを限界距離にしているとする。
すると、物質は拡散し時間の経過とともに均一に向かうことになる(図4(a)〜(c)参照)。
【0031】
図5は時間の経過に対する拡散状態の説明図である。
物質の拡散を時間軸に対して考え、図4の濃度算出位置における濃度変化を時間に対して表現し、濃度値を初期濃度で割って(除算)、初期値を1とすると、図5(a)のようになり、f(t)の関数として設定できる。
【0032】
ここで、拡散方程式とその解から拡散分極を求めることについて説明する。
cを濃度(g/m)、Dを拡散係数(m/t)、xは位置(m)、tは時間(s)とすると拡散方程式は、次のようになる。
【0033】
【数2】

そして、濃度算出位置Lでの近似解は、
【0034】
【数3】

として、
【0035】
(数4)
c=c(1-exp(-4×z/π))0.5
【0036】
となる。
【0037】
拡散分極電圧ΔVは、濃度に比例するため、
【0038】
(数5)
ΔV=ΔVo(1-exp(-4×z/π))0.5
【0039】
となる。
【0040】
また、
【0041】
(数6)
f(t)=(1-exp(-4×z/π))0.5
【0042】
とおく。
【0043】
図6はΔVoとL/D0.5を決める実験波形の一例を示す図である。
ここで、ΔVoは図6のように実験で、波形を求めておき、電流Iにより決定する値である。図6のような実験を行い、測定した電圧の結果とΔVの近似解において、Dを10−8〜10−10として電池の電極厚みを考慮しながら、フィッティングにより、L/D0.5を決定する。もしくは、電池電極材料や電極の厚み、多孔度などにより、LとDを算出できる場合は、その値を用いる。
【0044】
次に反応により濃度が減少する拡散の場合について説明する。
図7は物質濃度が拡散と反応により時間とともに減少する状態の説明図である。
図7において、拡散する距離が2Lの位置で反応が起き拡散物質が消費される場合は、その場所で物質の濃度が0になる。バッテリ5では反応と拡散が同時に起こるため、上記説明した拡散方程式の解を補正する必要がある。
【0045】
図8は補正前と補正後の曲線の関係を示すグラフ図である。図9は補正係数を決める実験波形の一例を示す説明図である。
拡散方程式の解を図示すると、図8のf(t)のようになるが、図9のような一定電流を流す実験データと比較すると、電流が大きくなるにつれて、ずれが生じる。このため、図9のような実験によりフィッティングを行って、補正係数と電流の関係を算出する。補正係数でf(t)をべき乗することで補正後の曲線を算出することができる。この曲線は図9の電流Iから決まるΔVoを掛ける(乗算)と、補正前の曲線に比べて図9のΔV曲線に近い値となる。
【0046】
図10は温度とアレニウス則から算出した温度係数の関係を示すグラフ図である。
さらに、ΔVはアレニウス則に従うものとすると、25℃を温度係数の基準にした場合、温度係数は次の式のようになる。
【0047】
(数7)
温度係数=exp(-U/kT)/(exp(-U/k×298))
【0048】
となり、上記拡散係数Dの補正した値をD'とすると、
【0049】
(数8)
D'=D×温度係数
【0050】
上記の数式8から計算したD'を(数3〜4)へ代入すると、温度補正を行ったΔVを算出できる(図10参照)。なお、Tは電池温度(K)、Uは正極材料の活性化エネルギー(eV)、1eVは1.602×10−19(J)であり、kは1.380×10−23(J/K)として、温度係数を算出する。
【0051】
次に、拡散分極電圧の算出について説明する。なお、以下の方法は、バッテリ動作中で時間が経過し、電流積算から算出した開放電圧Eoに誤差が生じており、平均電流を用いる方法である。
図11はセンサで測定した電池電流変化の例を示すグラフ図である。図12はセンサで測定した電池電流から算出した平均電流を示すグラフ図である。
図11のようにセンサ電流の符号が変わるまでの時間をカウントしていく。なお、0Aになった場合も符号が変化したとみなす(ステップS91)。
つまり、電源供給する負荷6により、測定する電池電流は符号の反転を繰り返すものとなったり、0Aと所定値を繰り返すものとなったりする。ここでは、電流の符号変化が0Aになった場合を含むようにして、様々な負荷6への電源供給状態において、平均電流を演算できるようにしている。
【0052】
電流の測定間隔をtc(s)とし、電流符号変化でリセットする時間カウントtx(s)とすると、平均電流Ia(A)は、次の式で算出できる(ステップS92、図12参照)。
【0053】
【数9】

なお、時間カウントは、電流の符号が変化したら0にする。
図13は平均電流とΔVoの関係を示すグラフ図である。図14は平均電流と拡散方程式の解から算出した分極電圧を示すグラフ図である。図15は分極電圧の算出状態を示すグラフ図である。
図16は平均電流と補正係数の関係の例を示すグラフ図である。
補正係数は、一定電流充電または放電後に電流を0Aにした場合の電圧変化を測定し、基本曲線f(t)と平均電流を用いて予め算出しておいた値を使用する(図16参照)。
【0054】
次に、ΔVaの算出方法を説明する。図13のような関係を予め算出しておき、時間txでの平均電流からΔVoを算出する。ΔVoは飽和分極電圧となる。そして、拡散方程式の解から算出した基本曲線f(t)を補正したカーブと、図13と図16の関係から、電流の符号が変化する直前までのΔVaを以下の式により算出する(ステップS93、図14、図15、図16参照)。
【0055】
(数10)
ΔVa=ΔVo×{1−f(t)}補正係数
【0056】
次にΔVbの算出について説明する。
図17はΔVと拡散方程式の解から算出した分極電圧(ΔVb)の説明グラフ図である。図18は分極電圧(ΔVb)を算出する状態のグラフ図である。
拡散方程式の解から算出した基本曲線f(t)を補正したカーブから、電流の符号が変化する直前までのΔVbを以下の式により算出する(ステップS94、図18参照)。なお、f(t)は拡散方程式の解から算出した基本曲線であり、補正係数はΔVを用いて、図13の関係でΔVoをΔVとし平均電流を決定し、その平均電流と図16の関係から算出した値である。
【0057】
(数11)
ΔVb=ΔV×{1−f(t)}補正係数
【0058】
次に、tx間のΔVを算出する。
図19は分極電圧ΔVの算出状態を示す説明図である。
【0059】
ΔVaとΔVbを用いて、次の式によりtx間のΔVを算出する(ステップS95)。
【0060】
(数12)
ΔV=ΔVa+ΔVb
【0061】
電流の符号が変わり、時間カウントがリセットされる直前で算出されるΔVは、ΔVbの計算をするために用いられる(ΔVbの初期値となる)。また、電流0Aが継続している場合は、ΔVa=0のため、ΔVbの変化から電圧(電流)測定時間間隔でΔVを算出できる。
【0062】
[バッテリ容量SOCを算出する作用]
図20は内部抵抗を含んだ電池の回路の説明図である。図21は電流電圧特性の説明図である。
電池の直流内部抵抗について説明する。直流抵抗の場合、電池から流れる電流Iに応じて、内部抵抗Rによる電流低下IRが生じる(図21参照)。Eoは電池に内部抵抗が存在しない場合の理想の電池電圧で、回路の電流Iが0の場合に測定することができる。これを開放電圧(開放起電力)と呼ぶ(図21参照)。
【0063】
図22に示すのは、バッテリ開放電圧とSOCの関係を示すグラフ図である。
リチウムイオン電池の場合、図21に示すようなバッテリ開放電圧とSOCの関係があるため、開放電圧を測定することによって、SOCを知ることができる。
バッテリ作動時には、電流が流れているため開放電圧を電圧センサ等によって直接測定する事は容易には出来ないが、バッテリの端子電圧V、電流I、内部抵抗Rと開放電圧Eoには図22に示す関係があるので内部抵抗値が動作時に検出できれば、開放電圧を計算することができる。
【0064】
図23は分極抵抗を含む電池の等価回路の図である。図24は分極抵抗を含む電流電圧特性を示すグラフ図である。
図23に電池の直流抵抗以外の成分を含む場合の内部抵抗等価回路の一例を示す。図23において、抵抗Rは電池の接続線による接触抵抗や電解液中をイオンが通過する時の抵抗、セパレータと電極接合界面をイオンが通過する時の抵抗(すなわち定常成分)である。抵抗Rは、電極反応の速度に起因する抵抗(例えば、Liイオンとeの反応)と、イオン又は、ガスの拡散速度に起因する抵抗から形成され、すなわち過渡時に表れる過渡成分である。
【0065】
この分極抵抗で生じる電圧降下をΔVとすると、図24のような電流電圧特性となり、抵抗Rの直流抵抗、抵抗Rの分極抵抗による電圧降下が分かれば、正確なEoを算出することができる。これにより正確なSOCの算出が可能となる。
【0066】
図25はリチウムイオン2次電池内部の状態を示す説明図である。
図25にはリチウムイオン2次電池において、放電が持続した場合の電池内部の状態を示す。放電の場合、正極の近傍でリチウムイオンの濃度が増加している。これは充電(放電)が続くことにより電極反応が安定し、リチウムイオンの拡散が律速になっているためである。このように生じるリチウムイオン濃度勾配が、分極電圧(抵抗)の一つである濃度分極電圧(抵抗)として現れることになる。
【0067】
図26は直流内部抵抗測定時の電流と電圧の変化状態を示すグラフ図である。図27は電池の直流内部抵抗と測定回路の説明図である。
【0068】
図27に示すような内部抵抗を有する電池において、図26に示すような電流の変化があった場合、直流内部抵抗値は次の式により算出できる。
【0069】
【数13】

図28はサンプリング時間を考慮した場合の直流内部抵抗測定時の電流と電圧の変化状態を示すグラフ図である。
実際は、電流と電圧、温度の測定において、サンプリング時間間隔でデータが取得されるので、図28に示すようになる。従って、計算は、次の式のようになるが、直流抵抗Rを算出することができる。
【0070】
【数14】

図29に示すのは、図2のステップS9で実行される直流抵抗R部分の算出処理を示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
なお、このフローチャートでは、実際のデータがサンプリング時間間隔で取得されることを考慮し、電圧センサ3で検出される電圧をVi、電流センサ4で検出される電流をIi、温度センサ7で検出される温度をTiとする。ここで、iは、取得するデータ数とともに増加していく数とする。
【0071】
ステップS101では、nを1、内部抵抗の抵抗値R(平均)を前回測定した抵抗値R、iを0、I0を0、VoをI0=0での電池電圧とする初期値の設定を行う。
【0072】
ステップS102では、i=i+1の演算を行い、次のデータを入力するためのカウントアップを行う。
【0073】
ステップS103では、|Ii−Ii−1|>=X(閾値)の条件式の演算を行い、条件成立ならばステップS104へ進む、条件不成立ならばステップS102へ戻る。この処理では、電流変化に閾値Xを持たすことによって、電流変化が小さい場合は、抵抗値Rが大きな値になることを防ぎ、大きい場合はより正確な抵抗値Rを計算できる。
【0074】
ステップS104では、数式14によって、内部抵抗の抵抗値Rを算出する。
【0075】
ステップS105では、R>0の条件式の演算を行い、条件成立ならばステップS106に進み、条件不成立ならばステップS102へ戻る。この処理では、R=0と異常値、つまりR<0を除く処理を行う。
【0076】
ステップS106では、内部抵抗の抵抗値Rを温度係数で除算(割り算)する温度補正を行う。抵抗値Rは温度に依存(アレニウス則)するため、温度補正を行って同じ温度(例えば25℃)条件の値に換算する。
【0077】
ステップS107では、R(平均)=(R(平均)+R)/nの演算を行い、抵抗値Rの平均値を算出する。加重平均をとることにより、急激な変化を防ぐことも有効である。なお、ここでは例として、1/2平均の演算を示す。
【0078】
ステップS108では、車両停止かどうかを判断し、停止ならばステップS109へ進み、停止でないならばステップS102へ戻る。ここで、停止は、イグニッションオフもしくは、降車時とする。なお、降車は、ドアの開閉の検出、シートの荷重などにより検出される。
【0079】
ステップS109では、抵抗値R(平均)を内部抵抗値としてメモリにバックアップする。バックアップした内部抵抗値Rは、電池劣化判定や入出力電力の算出に用いられる。
【0080】
以上の処理により、実際にはサンプリング時間間隔で得られるデータをカウント数iとし、数式14を用いた処理により内部抵抗値Rを算出することができる。
また、異常値を除去し、温度補正を行った抵抗値に対して加重平均を取るようにして内部抵抗値Rを算出するので、より正確な値となり、電池劣化判定や入出力電力の算出精度を高める。
【0081】
図30は直流抵抗(R、r)のみのバッテリの等価回路を示す図である。図31は分極抵抗成分を追加したバッテリの等価回路を示す図である。図32はバッテリの等価回路と電圧変化の違いを示すタイムチャートである。図33はバッテリの等価回路とEo推定値の違いを示すタイムチャートである。
例えば、バッテリの充電容量計算に用いている内部抵抗の値として、図30に示すような等価回路の直流抵抗Rと抵抗rのみのものを考えることができる。
【0082】
内部抵抗を直流抵抗(R、r)のみとすると、電流がステップ状に変化した場合の電圧変化は図32(b)のようになる。しかしながら、実際の電圧は図32(c)のように変化するため、過渡的な分極成分の影響が現れると考えることができる(図31参照)。
開放電圧Eoは、内部抵抗を使って電圧センサ3で測定する測定電圧Vから算出するので、直流抵抗のみを考えると図33(a)のようになる。従って、直流抵抗のみを考えると、リセット用SOCを算出するために必要な開放電圧Eoを、正確に算出できず、バッテリ容量計に誤差を大きく生じることになる。
これに対して、実施例1のように分極抵抗成分を考慮した内部抵抗を使って、開放電圧Eoを算出すると、図33(b)のようになり、図32(c)のEoに近い誤差の少ない推定を行うことができる。
【0083】
言い換えて説明する。
図30のような直流抵抗のみを考慮した等価回路を考えると、Eo=V−IR−Irとなる。
しかし実際には、図32(c)のように差が生じるため、図31に示すように分極成分を考慮したものを考える。
ここで、I(A)を測定電流、V(v)を端子間測定電圧、R(Ω)を直流成分の内部抵抗、ΔV(v)を拡散分極電圧、Eo(v)をバッテリ開放電圧とする。
この場合には、Eo=V−ΔVとなる。ここで、ΔVは時間tの関数であり、I=0のときは、ΔVは拡散方程式の解として与えられる曲線にしたがって減少する。
つまり、拡散分極電圧が算出できれば、バッテリ開放電圧Eoの推定精度が向上することになる。
【0084】
実施例1では、実験等により推定に用いるようにフィッティングし、精度を高めた拡散方程式の解を用いて、時間の経過による拡散で、拡散分極が進み生じる拡散分極電圧ΔVaと、時間の経過による拡散物質の反応で、拡散物質が解消することにより生じる拡散分極電圧Vbを演算する。そして、両者を合わせて拡散分極抵抗による拡散分極電圧ΔVを演算する。
直流成分(R)は、上記図26、図27、数12により精度よく求めることができるため、バッテリの内部抵抗を精度よく推定できることになる。
【0085】
図34は拡散分極が解消して行く特性を示すタイムチャートである。
実施例1では、図34のように分極電圧の影響でバッテリ電圧がゆっくり変化する期間であっても、分極電圧を考慮することで、開放電圧Eoの算出制度が向上し、バッテリ充電容量を精度よく計算することができる。
【0086】
次に、効果を説明する。
実施例1のバッテリの内部抵抗成分推定方法にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0087】
(1)複数の単位電池セルで構成したバッテリ5の内部抵抗成分推定方法であって、バッテリ5の内部抵抗成分に、バッテリ5の内部でのイオン物質の拡散移動による偏在で生じる電圧を考慮した拡散分極抵抗を設定し、拡散物質の濃度の時間変化を用いて、拡散分極抵抗を推定するため、内部抵抗推定値の精度を向上することができ、ひいてはバッテリ容量であるSOCの算出精度を向上できる。
【0088】
(2)上記(1)において、拡散物質の濃度の時間変化を、拡散方程式を用いて推定するため、電池内部で電圧を発生させる電極反応のために移動するイオンの濃度の時間変化を拡散方程式を用いて精度よく推定し、拡散分極により生じる電圧差を精度よく推定するので、内部抵抗推定値の精度を向上することができ、ひいてはバッテリ容量であるSOCの算出精度を向上できる。
【0089】
(3)上記(1)又は(2)において、バッテリ5の内部抵抗成分に、拡散分極抵抗と、直列して電圧降下を生じる直流内部抵抗を設定し、検出電流の変化、端子間電圧から内部抵抗成分を推定するため、直流内部抵抗により、バッテリ5の接続線による接触抵抗や、電解液接電解液中をイオンが通過する時の抵抗、セパレータと電極接合界面をイオンが通過する時の抵抗を考慮でき、拡散分極抵抗により、イオン又は、ガスの拡散速度に起因する抵抗を考慮できるようにして、内部抵抗推定値の精度を向上することができ、ひいてはバッテリ容量であるSOCの算出精度を向上できる。
【0090】
(4)上記(1)〜(3)において、拡散分極抵抗は、バッテリ5が供給する電流値を検出し、検出電流の符号変化で複数の時間間隔txに区切り、それぞれの時間間隔txにおける平均電流Iaを演算し、予め求めた関係から平均電流Iaの飽和分圧電圧Voを算出し、拡散方程式の解から算出した曲線f(t)を用いて、時間経過に従って電位差が正又は負の大きい方向で且つ飽和分圧電圧Voへ向かう拡散分極の進行変化を、時間間隔txの検出電流の符号が変化する直前までの拡散分極電圧ΔVaとして演算し、推定を行うため、進行して拡散分極電圧が大きくなる現象を精度よく推定し、内部抵抗推定値の精度を向上することができ、ひいてはバッテリ容量であるSOCの算出精度を向上できる。
【0091】
(5)上記(4)において、拡散分極抵抗は、前の時間間隔の拡散分極電圧ΔVaと前の時間間隔の拡散分極電圧ΔVbからΔVを計算し、次の時間間隔で、このΔVと拡散方程式の解から算出した曲線f(t)を用いて、時間経過に従って電位差が小さくなる方向へ向かう拡散分極の解消変化を、時間間隔ごとの検出電流の符号が変化する直前までの拡散分極電圧ΔVbとして演算し、同じ時間間隔における検出電流の符号が変化する直前までの拡散分極電圧ΔVaと拡散分極電圧ΔVbを加算して拡散分極電圧ΔVを算出し、推定を行うため、拡散分極が電極反応により解消する現象を精度よく推定し、内部抵抗推定値の精度を向上することができ、ひいてはバッテリ容量であるSOCの算出精度を向上できる。
【0092】
(6)上記(4)又は(5)において、検出される所定値の電流を充電後又は放電後に、検出される電流値を0Aにした場合の電圧変化を測定し、前記曲線f(t)を補正する補正係数を求め、曲線f(t)の補正を行うため、電流値(電圧値)が大きくなるにつれて、反応により生じる拡散の解消分が大きくなり曲線f(t)から乖離する実際の現象を考慮するよう補正されることになり、曲線f(t)を用いた推定の精度を向上させて、内部抵抗推定値の精度を向上することができ、ひいてはバッテリ容量であるSOCの算出精度を向上できる。
【0093】
(8)バッテリの非動作状態では、開放電圧Eoを測定し、バッテリが動作状態では、上記(1)〜(6)により推定した内部抵抗成分と、検出電流から開放電圧Eoを推定演算し、予め求めた関係により動作状態にかかわらず開放電圧Eoからバッテリの充電容量を算出するため、精度よく推定された内部抵抗推定値により、バッテリ容量であるSOCの算出精度を向上できる。また、例えば分極電圧の影響でバッテリ電圧がゆっくり変化する期間でも、分極電圧を考慮することで、開放電圧Eoの算出精度が向上し、SOCを精度よく計算することができる。
【実施例2】
【0094】
実施例2は、拡散分極電圧の算出の際に、時間カウントtx(s)を、センサ電流変化が規定値より小さい期間とした例である。
構成は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
作用を説明する。
【0095】
[拡散分極電圧の算出]
本実施例2では、バッテリ動作中で時間が経過し、電流積算から算出した開放電圧Eoに誤差が生じており、平均電流を用いる方法である。
図35は実施例2においてセンサで測定した電池電流変化の例を示すグラフ図である。図36は実施例2においてセンサで測定した電池電流から算出した平均電流を示すグラフ図である。
実施例2では、センサ電流変化が規定値より小さい期間の時間をカウントしていく。なお、図35では、例として規定値を10Aとしている。
そして、カウントした時間カウントtx(s)と、数式9から、平均電流Ia(A)を算出できる(図36参照)。
【0096】
なお、時間カウントtx(s)は、電流の変化が規定値を超えたら、最初(1×tc)から再度カウントする。また、カウント開始の電流はI1とし、電流の測定間隔をtcとする。
図37は実施例2の平均電流と時間の関係を示すグラフ図である。なお図37(b)は、図37(a)の一部拡大説明図である。図38は実施例2の分極電圧の算出状態を示すグラフ図である。図39は実施例2において平均電流と拡散方程式の解から算出分極電圧を算出した状態を示すグラフ図である。
算出された平均電流Ia(A)と時間の関係は、時間t_nとすると、測定間隔tcから、図37(b)のように表すことができる。
【0097】
次に、図13(実施例1と同様)のような平均電流とΔVo関係を予め算出しておき、時間t_nでの平均電流Ia_nからΔVo_nを算出する。
そして、拡散方程式の解から算出した基本曲線f(t)を補正したカーブと、図13(実施例1と同様)の関係から、電流の変化が規定値を超えるまでのΔVaを以下の式により算出する(図38、図39参照)。
【0098】
(数15)
ΔVa_n=ΔVo_n×{1−f(t)}補正係数
補正係数は、一定電流充電または放電後に電流を0Aにした場合の電圧変化を測定し、基本曲線f(t)と平均電流を用いて予め算出しておいた値を使用する(実施例1の図16と同様のため図を省略する)。
【0099】
次にΔVb_nの算出について説明する。
図40は実施例2におけるΔVと拡散方程式の解から算出した分極電圧(ΔVb)の説明グラフ図である。図41は実施例2における分極電圧(ΔVb_n)を算出する状態のグラフ図である。なお、図41は、図40のA1部分の拡大図である。
拡散方程式の解から算出した基本曲線f(t)を補正したカーブから、電流の変化が規定値を超えるまでのΔVb_nを以下の式により算出する(図41参照)。なお、f(t)は拡散方程式の解から算出した基本曲線であり、補正係数は以下で計算するΔV_nを用いて、図13(実施例1と同様)の関係でΔVo_nをΔV_nとし平均電流を決定し、その平均電流と図13(実施例1と同様)の関係から算出した値である。
【0100】
(数16)
ΔVb_n=ΔV_n×f(t)補正係数
【0101】
次に、時間tnでのΔV_nを算出する。
図42は実施例2における分極で電圧ΔVの算出状態を示す説明図である。図43は実施例2における分極電圧ΔV_nの算出状態を示す説明図である。なお、図42のA2部分の拡大図は、図39と同様となり、図42のA3部分の拡大図は、図43となる。
時間t_n間において、算出したΔVa_nとΔVb_nを用いて、次の式によりtnでのΔV_nを算出する。
【0102】
(数17)
ΔV_n=ΔVa_n+ΔVb_n
図43に示すように分極電圧ΔV_nは、ΔV_1〜ΔV_4に示すように、拡散方程式が考慮されたΔVa_nとΔVb_nにより算出されている。
時間カウントがリセットされる直前で算出されるΔV_nは、ΔVb_nの計算をするために用いられる(ΔVb_nの初期値となる)。また、電流が0Aを継続している場合は、ΔVb_nの変化から電圧(電流)測定時間間隔でΔV_nを算出できる(ΔVa_n=0のため)。
【0103】
効果を説明する。実施例2のバッテリの内部抵抗成分推定方法では、上記(1)〜(6),(8)に加えて、以下の効果を有する。
(7)平均電流Iaを演算する時間間隔txは、バッテリ5が供給する電流値を検出し、検出電流の符号変化で複数に区切るのに加えて、同じ符号における電流変化量が規定値より小さい期間で複数に区切るため、変動の少ない複数データの平均として平均電流Iaが演算されるようにし、データとの乖離が生じないように正確な平均電流Iaとなるようにすることで、精度を向上させ、これにより内部抵抗推定値の精度を向上することができ、ひいてはバッテリ容量であるSOCの算出精度を向上できる。
その他作用効果は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0104】
実施例3はバッテリの内部抵抗成分推定方法により、放電容量であるDODを算出し、使用可能時間を算出する例である。
構成を説明する。
図44は実施例3のバッテリの内部抵抗成分推定方法及び放電容量推定方法を用いたバッテリ装置の構成を示すブロック図である。
実施例3のバッテリ装置1は、バッテリコントローラ2、電圧センサ3、電流センサ4、バッテリ5、負荷6、温度センサ7、出力制限装置8、使用可能時間表示装置9を備えている。
【0105】
出力制限装置8は、バッテリ5から負荷6への電力供給が、放電停止電圧以下で供給されないよう出力を停止することをリレー等で行うものである。なお、放電停止電圧は、充放電を繰り返すバッテリ5の性能に支障のない電圧として予め設定されるものとする。
使用可能時間表示装置9は、バッテリ5が連続的に放電する使用状態の際に、あとどれくらい使用可能かを時間で表示する。なお、使用可能時間表示装置9は、他の表示装置の一部であっても、他の表示装置が機能として備えるものであってもよい。
【0106】
図45は実施例3のバッテリの内部抵抗成分推定方法及び放電容量推定方法を実行する制御構成を示すブロック図である。
図45のブロック構成は、バッテリコントローラ2の内部にプログラムや回路として構成される。
このブロック構成は、直流抵抗計算部21、拡散分極電圧計算部22、電池容量算出電圧計算部23、使用可能時間計算部24を備えている。
そして、図45のブロック構成では、電圧センサ3で検出するバッテリ電圧V、電流センサ4で検出する電流値I、温度センサ7で検出するバッテリ温度Tが入力される。
【0107】
直流抵抗計算部21は、バッテリ電圧V,電流値I、バッテリ温度Tから直流抵抗R部分を算出し、電池容量算出電圧計算部23へ出力する。
拡散分極電圧計算部22は、電流値I、バッテリ温度Tから拡散分極電圧ΔVを算出し、電池容量算出電圧計算部23へ出力する。
電池容量算出電圧計算部23は、直流抵抗R、バッテリ電圧V,電流値I、拡散分極電圧ΔVから、電池容量算出電圧Vcを算出し、使用可能時間計算部24へ出力する。
使用可能時間計算部24は、電池容量算出電圧Vcから使用可能時間を算出し、使用可能時間表示装置9へ出力する。
その他構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0108】
作用を説明する。
[バッテリの使用可能時間の算出処理]
図46に示すのは、実施例3のバッテリコントローラ2で実行される使用可能時間の算出処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0109】
ステップS31では、バッテリコントローラ2が、電圧センサ3で検出するバッテリ電圧V、電流センサ4で検出する電流値I、温度センサ7で検出するバッテリ温度Tを入力し、SOC(%)を演算する。SOCの算出は、実施例1及び実施例2と同様とする。
【0110】
ステップS32では、直流抵抗計算部21が、直流抵抗Rを算出する。算出処理の内容は、実施例1と同様とする。そして、直流抵抗Rの補正値をR'とし、R'=R×温度係数から、25℃相当の抵抗値に温度補正を行う。さらに、補正値R'の補正値をR''とし、R''=R'×容量係数によりSOCの0%相当になるよう補正を行う。
【0111】
ステップS33では、拡散分極電圧計算部22が、分極抵抗電圧降下分である電圧ΔVを算出する。分極抵抗による電圧降下ΔVの処理内容は実施例1と同様とする。そして、前記拡散係数Dの補正値をD'としD'=D×温度係数(25℃相当)から算出した電圧降下ΔVの補正値ΔV'により25℃相当に温度補正を行う。さらに補正値ΔV'の補正値をΔV''とし、ΔV''=ΔV'×容量係数によりSOCの0%相当になるよう補正を行う。
【0112】
ステップS34では、電池容量算出電圧計算部23が、電池容量算出電圧Vc=放電停止電圧−I×R''−ΔV''により電池容量算出電圧Vc(V)を算出する。
【0113】
ステップS35では、使用可能時間計算部24が、開放電圧Eo曲線から、電圧VcでのDODであるDOD_VCを算出する。
【0114】
ステップS36では、使用可能時間計算部24が、DODが0%でのバッテリ5のAh容量であるバッテリ5のフル容量(Ah)をCF(Ah)とし、放電可能フル容量(Ah)=CF×DOD_VC/100により、放電可能フル容量を算出する。
【0115】
ステップS37では、使用可能時間計算部24が、放電可能容量(Ah)=放電可能フル容量×SOC/100により、放電可能容量を算出する。
これまでの説明はバッテリの劣化を無視した場合で、DOD100%での放電容量(Ah)=フル容量(Ah)となっている。実際、フル容量(Ah)は、電池の使用期間や高温での保存、充放電サイクルにより減少するが、これは別途劣化して容量の減少したバッテリにおいて充放電試験を行い、DOD100%で定めるフル容量を測定して、バッテリの劣化状態に応じてフル容量の値を更新しておくことで、同様に放電可能フル容量が計算できる。
【0116】
ステップS38では、使用可能時間計算部24が、使用可能時間(h)=放電可能容量(Ah)/I(A)により、使用可能時間を算出する。
【0117】
ステップS39では、使用可能時間の算出処理を終了するかどうかを判断し、終了するならば処理を終了し、終了しないならばステップS31へ戻る。例えば、バッテリの充放電状態の切替え、車両の使用停止等によるもので終了すればよい。
【0118】
[DOD及び使用可能時間の算出作用]
図47は実施例3における電池容量算出電圧Vcの算出状態を示す説明図である。図48は実施例3における使用可能電池フル容量の算出状態を示す説明図である。
直流抵抗R、分極抵抗電圧ΔVの算出については、実施例1、実施例2と同様のため、説明を省略する。実施例3では、さらに、実施例1の図10と同様に、アレニウス則から算出した温度係数による温度補正と、SOC0%相当への補正を行っている(ステップS32、S33)。
【0119】
そして、ステップS34の処理により、電池容量算出電圧計算部23が、電池容量算出電圧Vc(V)を算出する。
ここで、図47を参照して説明すると、電池容量算出電圧Vcは、満充電電圧と放電停止電圧の間の値を取ることになり、その値は、放電停止電圧−I×R''−ΔV''により算出される。(ここでも、I<0ならΔV<0となる。)
【0120】
そして、使用可能時間計算部24が行うステップS35の使用可能電池フル容量の算出について、図48を参照して説明する。横軸にDODを取ると、満充電電圧から放電停止電圧までの開放電圧Eo曲線は、図47に示すようになる。この特性曲線と、ステップS34の処理で求めた電池容量算出電圧Vcから、使用可能電池フル容量となるDOD_VCを求めるようにする。
なお、図48に示すように、DOD_VCから、放電停止電圧のDOD(放電容量)、つまりDOD=100%からDOD_VCを引くとΔSOCを示すことになる。なお、抵抗値R''、電圧ΔV''に、温度補正と容量補正を行うことにより、予め実験等により求め、設定した図48に示す開放電圧EoとSOCの関係を用いることができる。
【0121】
このようにして求めたDOD_VCから、放電可能フル容量、放電可能容量を算出する。放電可能容量はAhであるので、電流値I(A)で除算することにより、使用可能時間を算出する。
このように実施例3では、拡散分極抵抗により、精度よく内部抵抗推定値を得ることにより、使用可能なDOD(DOD_VC)の精度を向上させ、ひいては使用可能時間を精度よく算出、表示させる。
【0122】
さらに説明する。
図49は実施例3における20℃での放電曲線を示すグラフ図である。図50は実施例3における0℃での放電曲線を示すグラフ図である。
20℃のバッテリ5は、図49に示すように曲線で放電する。ここで、図49に、バッテリの電流値Iが0.2C(360mA)、1.0C(1800mA)、2.0C(3600mA)の場合の放電曲線を示す。バッテリ5の電流が大きくなるにつれ、放電容量が減少することがわかる。また、図50には、0℃のバッテリ5の放電曲線を示す。バッテリ5の温度が減少すると、放電容量も減少することが分かる。これはバッテリ5の直流抵抗や分極抵抗の影響で、電池の端子電圧が降下し、放電停止電圧に達するのが早くなるためである。
【0123】
実施例3では、この直流抵抗や分極抵抗の影響を、考慮できているので、電流や温度における放電容量を正確に算出し、バッテリ5の使用可能な時間を精度よく算出する。
【0124】
実施例3の作用を明確にするために、以下にさらに説明を加える。
図51は内部抵抗が直流抵抗のみの回路を示す説明図である。図52は内部抵抗が直流抵抗のみを考慮した場合の放電曲線を示すグラフ図である。図52にでは、電流値が0.2C(360mA)、0.5C(900mA)、1.0C(1800mA)、2.0C(3600mA)の場合の放電曲線を示す。
【0125】
内部抵抗を考慮して、放電曲線を推定する場合には、図51に示すように内部抵抗に直流抵抗を考慮することが考えられる。図51に示すように、内部抵抗が直流抵抗のみの場合には、電流が変化しても、放電容量の変化が小さいため、流す電流が増加すると放電末期に近づくにつれ、使用可能な時間表示に誤差を生じてしまう。このため、使用者はバッテリ5で駆動される機器の使用可能な時間を正確に把握できない。
【0126】
図53は内部抵抗が直流抵抗と分極抵抗からなる実施例3で設定している回路を示す説明図である。図54は内部抵抗が分極抵抗を含む実施例3の場合の放電曲線のグラフ図である。
図53に示すように、実施例3では内部抵抗が直流抵抗と分極抵抗を考慮しているので、放電曲線は図54のようになる。図54の放電曲線では、電流が変化すると分極抵抗の影響が現れ、電流が増加した場合でも放電容量をより正確に算出できる。このため、使用者はバッテリ5で駆動される機器の使用可能な時間を正確に把握する。
【0127】
さらに説明を加える。
バッテリの状態表示には、充電容量(SOC)や、充放電回数、使用可能時間などを考えることができる。バッテリ5は、劣化やバッテリ温度の低下により、取り出せるエネルギーが減少するため、同じ出力をした場合でも使用状況によって放電時間が変化する。
つまり、バッテリ5は、現在の使用状況やそれまでの使い方により、内部状態が変化するため、使用可能なバッテリ容量を算出するが難しい。しかしながら、例えば、車両の駆動に用いる場合や、車両の評価に影響する車室温度環境に用いられる空調機器など重要度のある場合は、より正確な使用可能時間の表示が求められる。実施例3では、分極抵抗の影響を考慮することにより精度の高い使用可能時間を提供している。
【0128】
効果を説明する。実施例3にあっては、上記(1)〜(7)に加えて、以下の効果を有する。
(9)上記(1)〜(7)により推定した内部抵抗成分による電圧降下ΔVと、検出電流Iと直流成分Rとの積と、満充電電圧から放電容量の限界として予め設定される放電停止電圧へ到る放電特性に基づいて放電停止電圧までの使用可能な放電可能容量DOD_VCを推定演算し、検出電流Iと放電可能容量DOD_VCから、現在のバッテリの使用状態が継続した場合におけるバッテリの使用可能な時間を推定演算するため、精度よく推定された内部抵抗推定値により、バッテリ使用時間の算出精度を向上できる。
【0129】
以上、本発明のバッテリの内部抵抗成分推定方法を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、実際に推定したい値をEoとしているため、拡散分極抵抗成分による電圧降下分ΔVを求めているが、用い方によっては、拡散分極抵抗を求めるようにすればよい。
バッテリは、1次電池、2次電池、単電池を直列や並列に組合せた場合を含む。
【符号の説明】
【0130】
1 バッテリ装置
2 バッテリコントローラ
3 電圧センサ
4 電流センサ
5 バッテリ
6 負荷
7 温度センサ
8 出力制限装置
9 使用可能時間表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位電池セルで構成したバッテリの内部抵抗成分推定方法であって、
前記バッテリの内部抵抗成分に、前記バッテリ内部でのイオン物質の拡散移動による偏在で生じる電圧を考慮した拡散分極抵抗を設定し、
拡散物質の濃度の時間変化を用いて、前記拡散分極抵抗を推定することを特徴とするバッテリの内部抵抗成分推定方法。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリの内部抵抗成分推定方法において、
拡散物質の濃度の時間変化を、拡散方程式を用いて推定する、
ことを特徴とするバッテリの内部抵抗成分推定方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のバッテリの内部抵抗成分推定方法において、
前記バッテリの内部抵抗成分に、前記拡散分極抵抗と、直列して電圧降下を生じる直流内部抵抗を設定し、
検出電流の変化、端子間電圧から前記内部抵抗成分を推定することを特徴とするバッテリの内部抵抗成分推定方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のバッテリの内部抵抗成分推定方法において、
前記拡散分極抵抗は、前記バッテリが供給する電流値を検出し、検出電流の符号変化で複数の時間間隔に区切り、それぞれの時間間隔における平均電流Iaを演算し、予め求めた関係から前記平均電流Iaの飽和分圧電圧Voを算出し、前記拡散方程式の解から算出した曲線f(t)を用いて、時間経過に従って電位差が正又は負の大きい方向で且つ飽和分圧電圧Voへ向かう拡散分極の進行変化を、前記時間間隔ごとの前記検出電流の符号が変化する直前までの拡散分極電圧ΔVaとして演算し、推定を行う、
ことを特徴とするバッテリの内部抵抗成分推定方法。
【請求項5】
請求項4に記載のバッテリの内部抵抗成分推定方法において、
前記拡散分極抵抗は、前の時間間隔の拡散分極電圧ΔVが、次の時間間隔で、前記拡散方程式の解から算出した曲線f(t)を用いて、時間経過に従って電位差が小さくなる方向へ向かう拡散分極の解消変化を、前記時間間隔ごとの前記検出電流の符号が変化する直前までの拡散分極電圧ΔVbとして演算し、同じ時間間隔における前記検出電流の符号が変化する直前までの前記拡散分極電圧ΔVaと前記拡散分極電圧ΔVbを加算して拡散分極電圧ΔVを算出し、推定を行う、
ことを特徴とするバッテリの内部抵抗成分推定方法。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のバッテリの内部抵抗成分推定方法において、
検出される所定値の電流を充電後又は放電後に、検出される電流値を0Aにした場合の電圧変化を測定し、前記曲線f(t)を補正する補正係数を求め、曲線f(t)の補正を行う、
ことを特徴とするバッテリの内部抵抗成分推定方法。
【請求項7】
請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のバッテリの内部抵抗成分推定方法において、
平均電流Iaを演算する時間間隔は、前記バッテリが供給する電流値を検出し、検出電流の符号変化で複数に区切るのに加えて、同じ符号における電流変化量が所定値より小さい期間で複数に区切る、
ことを特徴とするバッテリの内部抵抗成分推定方法。
【請求項8】
前記バッテリの非動作状態では、開放電圧Eoを測定し、
前記バッテリが動作状態では、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のバッテリの内部抵抗成分推定方法により推定した内部抵抗成分と、検出電流から前記開放電圧Eoを推定演算し、
予め求めた関係により動作状態にかかわらず開放電圧Eoから前記バッテリの充電容量を算出する、
ことを特徴とする前記バッテリの充電容量推定方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のバッテリの内部抵抗成分推定方法により推定した内部抵抗成分と、検出電流と、
満充電電圧から放電容量の限界として予め設定される放電停止電圧へ到る放電特性と、
に基づいて前記放電停止電圧までの使用可能な放電可能容量を推定演算し、
検出電流と前記放電可能容量から、現在のバッテリの使用状態が継続した場合におけるバッテリの使用可能な時間を推定演算する、
ことを特徴とするバッテリの使用可能時間推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【公開番号】特開2010−175484(P2010−175484A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21025(P2009−21025)
【出願日】平成21年1月31日(2009.1.31)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】