説明

バリ取り装置

【課題】 常時良好な研磨性能が得られるとともに、効率よくバリ取りを行うことができるバリ取り装置を提供すること。
【解決手段】 平板状とされかつ一対の表面にそれぞれ研磨ベルト9が配置される研磨部10と、前記研磨部10の各表面にそれぞれ研磨ベルト9を供給する供給部21A,21Bと、前記研磨部10を前記表面に沿った方向へ振動させる加振部30と、を有し、前記研磨部10は、所定間隔で平行に配置された一対の保持プレート11と、前記保持プレート11の先端側に設置された転回部12と、前記保持プレート11の基端側の内面側に設置された導入部13と、前記保持プレート11の基端側の外面側に設置された送出部14とを有し、一対の前記研磨ベルト9は、前記供給部21A,21Bから前記導入部13に供給され、前記保持プレート11の間を通して前記転回部12で転回され、前記保持プレート11の外側に沿って送られ、前記送出部14から回収部21C,21Dに回収されるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨ベルトにより製品のバリ取りを行うとともに、研磨ベルトを順次送って研磨面の更新を行うバリ取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械製品は製造工場において様々な加工を施される。切削等の加工が行われた被加工物(ワーク)には、製品の辺縁や角隅に加工残りの材料(いわゆるバリ)が付着していることがある。このため、ワークを次工程に送る前に、ワークのバリ取りを行うバリ取り装置が用いられている。
バリ取り装置としては、研磨材を塗布した研磨ベルトを連続的に送っていわゆるベルトサンダーのようにワークを研磨するもの(特許文献1)のほか、研磨ベルトとワークとを接触させた状態で面方向の振動を加えることにより研磨するものが知られている(特許文献2)。
このような振動式のバリ取り装置では、研磨ベルトの表面のうち特定の研磨領域でバリ取りを行う。研磨領域においては、バリ取りの進行に伴って研磨性能が低下する。このような場合、研磨ベルトを研磨領域分以上送ることで研磨領域に配置される研磨材を新鮮なものに更新し、これにより研磨性能を回復させることがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−24901号公報
【特許文献2】特開2000−218485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した特許文献2の装置では、ワークをベルトコンベアで搬送し、上方からバリ取り用の研磨ベルトを接触させている。このため、ワークの表裏などの多方向のバリ取りを一括して行うことができない。
これに対し、近年多用されている多関節ロボットアームによりワークを持ち上げ、その表裏を順次研磨ベルトに接触させるようにすれば、多方向のバリ取りを一括して行うことが可能となる。
しかし、ロボットアームでワークを裏返すためには、研磨ベルトから一旦大きく離れてワークを裏返しに転回させる等の煩雑な動作が必要になり、処理時間も長くなるという問題があった。
【0005】
本発明の主な目的は、常時良好な研磨性能が得られるとともに、効率よくバリ取りを行うことができるバリ取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のバリ取り装置は、平板状とされかつ一対の表面にそれぞれ研磨ベルトが配置される研磨部と、前記研磨部を前記表面に沿った方向へ振動させる加振部と、前記研磨部と前記加振部との間に設置され、前記研磨ベルトを前記研磨部に供給しかつ前記研磨部から回収する収容部と、を有し、前記収容部は、前記研磨部の各表面にそれぞれ前記研磨ベルトを供給する供給部と、前記研磨部の各表面から前記研磨ベルトを回収する回収部と、を有し、前記研磨部は、所定間隔で平行に配置されて互いの内面が向かい合いかつ外面が外向きとされた一対の保持プレートと、前記保持プレートの前記加振部とは反対側に設置された転回部と、前記保持プレートの前記加振部側に設置され、前記供給部から前記研磨ベルトが導入される導入部と、前記保持プレートの前記加振部側に設置され、前記回収部へ前記研磨ベルトを送出する送出部とを有し、一対の前記研磨ベルトは、前記供給部から前記導入部に供給されて前記保持プレートに沿って送られ、前記転回部で転回されて前記保持プレートに沿って戻され、前記送出部から前記回収部に回収されるように配置されていることを特徴とする。
【0007】
このような本発明では、収容部の供給部から研磨部に研磨ベルトを供給し、この状態で研磨部を加振部で振動させ、ロボットアーム等でワークを研磨ベルトに接触させることで、振動研磨によるバリ取りを行うことができる。
この際、研磨部では一対の表面にそれぞれ研磨ベルトが配置されるため、一方の表面でワークの表面を研磨し、ワークの裏面を反対側の表面で研磨することができる。つまり、ワークの表裏のバリ取りを行う場合でも、ワークを裏返しに転回させる必要がなく、効率よくバリ取りを行うことができる。
また、研磨ベルトは、供給部から研磨部に供給しつつ回収部で回収することで順次更新することができるため、研磨部において常時良好な研磨性能を得ることができる。特に、研磨ベルトを一対2系統とし、研磨部の各表面にそれぞれ新鮮な研磨ベルトを供給することができるため、一対の表面の何れにおいても常時良好な研磨性能を得ることができる。
【0008】
本発明において、前記導入部は、前記保持プレートの前記加振部側の前記内面側に設置され、前記送出部は、前記保持プレートの前記加振部側の前記外面側に設置され、前記供給部は、前記回収部よりも前記加振部寄りに設置され、一対の前記研磨ベルトは、前記供給部から前記導入部に導入され、前記保持プレートの前記内面側間を通して送られ、前記転回部で転回され、前記保持プレートの前記外面側に沿って戻され、前記送出部から送出され、前記回収部に回収されるように配置されていることが望ましい。
【0009】
このような配置とすることで、研磨ベルトは、研磨部の内側つまり一対の保持プレートの間を通るのが新鮮な研磨ベルトとされ、研磨部の外側表面に沿って戻る研磨ベルトによりバリ取りが行われる配置であるため、一対の保持プレートの間で研磨ベルトに付着したバリ等が周囲と干渉して動作が停止する等の可能性を回避でき、効率よいバリ取り作業を行うことができる。
【0010】
本発明において、前記供給部は、新鮮な前記研磨ベルトが巻かれた供給リールを有し、前記回収部は、回収された前記研磨ベルトを巻き取る回収リールを有することが望ましい。
このような供給リールおよび回収リールを用いることで、研磨ベルトの取り扱い性能を高めることができる。供給リールおよび回収リールに同じ規格のリールを用いることで、順次使い回しを行うことができる。
【0011】
本発明において、前記転回部は、それぞれ研磨ベルトに転動するローラを用いることが望ましい。このようなローラにより、研磨ベルトの円滑なガイドが可能となる。
本発明において、前記導入部および前記回収部には、研磨ベルトを保持プレートに沿わせるための構成を用いることが望ましい。導入部としては、保持プレートの端部それ自体をガイドのように用いてもよく、近接ないし離れた位置にガイドローラ等を設置してもよい。回収部としては、ローラもしくは抑え部材等を用いることができ、着脱式の抑え部材を用いて研磨ベルトを保持プレートに押さえつけることで、研磨時の安定性を高めることができる。
【0012】
本発明において、前記研磨部の外側となる前記保持プレートの外面にはクッション材が張られていることが望ましい。
このような本発明では、ワークを研磨ベルトの表面側に接触させると、背面側がクッション材であるために研磨ベルトが僅かに窪み、研磨ベルトとワークの辺縁等との接触が十分に得られ、バリ取り性能を高めることができる。
【0013】
本発明において、前記研磨部を支持するフローティング機構を有し、前記フローティング機構は、前記研磨部を前記保持プレートの厚み方向に変位可能に支持する支持体と、前記研磨部を前記厚み方向の両側へ付勢する一対の付勢体とを有し、前記一対の付勢体は前記研磨部を前記支持体の変位範囲の略中央に保持する付勢力に調整されていることが望ましい。
このような本発明では、研磨部がフローティング支持されているため、研磨ベルトにワークを押し付けた際に研磨部が適宜逃げ、研磨ベルトに対するワークの接触圧力を略一定に維持することができる。このため、過剰な接触圧力によるワークの過剰研磨を回避できるとともに、一定の接触圧力による適切なバリ取りを行うことができる。また、ワークの接触に従ってフローティング機構が適宜変位することができ、ワークの微少な寸法のばらつき等があっても、これを許容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態を示す側面図。
【図2】前記実施形態を示す平面図。
【図3】前記実施形態の3−3断面を示す断面図。
【図4】前記実施形態の3−3断面より先を省略した拡大正面図。
【図5】前記実施形態の要部を示す斜視図。
【図6】前記実施形態の保持プレートを示す側面図。
【図7】前記実施形態の保持プレートを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、図2、図3および図4において、本実施形態のバリ取り装置1は、平板状の研磨部10と、研磨部10に研磨ベルトを供給する収容部20と、研磨部10を振動させる加振部30と、を有する。収容部20は研磨部10の上流側に設けられ、加振部30は収容部20の上流側に設けられている。なお、ここでは、研磨ベルトが収容部20から研磨部10へ供給されるので、研磨部10側に対して収容部20側を上流側としている。
研磨部10および収容部20は、地面上に設置された基台2に固定された前フレーム3に支持されている。加振部30は、前フレーム3とは独立し、前フレーム3の上流側に設けられた後フレーム4を介して基台2に固定されている。
【0016】
前フレーム3は、平行に配置された一対のフレーム板3Aを有し、これらのフレーム板3Aの上端には天板3Bが固定されている。なお、フレーム板3Aは、地面に対して垂直な状態で(板厚方向が地面と平行になるように)配置されており、天板3Bは、地面に対して水平な状態で、フレーム板3Aの上端に固定されている。
天板3Bの上面には加振部30から研磨部10へ向かう方向に延びる一対のガイドレール41が設置され、このガイドレール41にはガイドプレート42が摺動自在に支持されている(図3および図4参照)。これらのガイドレール41およびガイドプレート42によりガイド機構40が構成されている。
【0017】
ガイドプレート42の上面には持ち出し部材43が固定され、その研磨部10側の先端43Aは1段低く形成されている。この部分には研磨部10の厚み方向に延びるフローティングレール51が設置され、このフローティングレール51にはフローティングプレート52が摺動自在に支持されている(図1および図4参照)。
【0018】
図4において、持ち出し部材43の先端には一対のピン53,54が固定され、フローティングプレート52の先端側から下方に延びる部分52Aには同様なピン55が固定されている。ピン53とピン55との間およびピン54とピン55との間には、それぞれエラストマ製のリング状コード56,57が張られ、これらのコード56,57の張力によりピン55は両側から引っ張り方向の付勢力を受けている。コード56,57の張力は略等しくされ、従って、ピン55は両側からの張力が釣り合うピン53,54の中間位置に保持される。
ここで、フローティングレール51およびフローティングプレート52により本発明の支持体が構成され、コード56,57が本発明の付勢体に相当し、これらの支持体および付勢体により本発明のフローティング機構50が構成され、フローティングプレート52は変位可能な方向の外力を受けない限りフローティングレール51の略中間位置に維持される。
【0019】
図1、図2および図4に示すように、研磨部10はフローティング機構50およびガイド機構40を介して前フレーム3に支持されている。
図5にも示すように、研磨部10は、平板状とされかつ一対の表面にそれぞれ研磨ベルト9が配置されるものであり、所定間隔で平行に、且つ、地面に対して垂直な状態(板厚方向が地面に対して水平となる状態)で配置された一対の保持プレート11と、保持プレート11の先端側(下流側の先端部分)に設置された転回部12と、保持プレート11の基端側(上流側の先端部分)の内面側に設置された導入部13と、保持プレート11の基端側の外面側に設置された送出部としてのクランプ14とを有する。
【0020】
保持プレート11は、フローティングプレート52の上面に一対が背中合わせに固定され、各々の間には研磨ベルト9を2枚重ねて挿通することが可能な間隔が設けられている。
図6および図7に示すように、保持プレート11は、全体が金属製の板材とされて、一方の面には基端側(図中右側)3/5の部分から先端側(図中左側)にかけて凹部11Aが形成され、この凹部11A内にはシート状のクッション材11Bが張られている。なお、クッション材11Bは、全体が合成樹脂材料の発泡体等で形成されるが、表面に低摩擦性材料からなる表面フィルムを有し、研磨ベルト9との摺動抵抗を少なくできるように構成されている。
【0021】
図5に戻って、研磨部10には、前述のような保持プレート11を2枚、クッション材11Bが外面側となるように、互いに背中合わせにして固定されている。
転回部12は、保持プレート11の先端側に装着されたガイドローラ12Aで構成され、一対の保持プレート11の内側を通って先端側に到達した研磨ベルト9を逆向きに転回させ、各保持プレート11の外側の表面(クッション材11Bが張られている表面)に沿って送り出すことができる。
【0022】
導入部13は、一対の保持プレート11の基端側の向かい合った端縁により構成され、この一対の保持プレート11の端縁によって形成される隙間に収容部20(後述する供給部である供給リール21A,21B)から研磨ベルト9が供給される。
送出部であるクランプ14は、一対の保持プレート11の基端側の外面側に設置された抑え部材14Aを備えている。抑え部材14Aは、持ち出し部材43の上面に固定されたソレノイドあるいはエアシリンダ等による駆動源14Bにより駆動され、一対の保持プレート11の基端側の外面に圧接または離隔することが可能である。研磨部10において、研磨ベルト9を送る際には抑え部材14Aを離隔させ、研磨を行う際には抑え部材14Aで研磨ベルト9を抑えることで、研磨ベルト9を保持プレート11に密着させることができる。
【0023】
収容部20は、研磨部10で研磨に供される2本の研磨ベルト9を収容しておくものであり、これを研磨部10の各側に供給および回収して収容するものである。このために、収容部20は、供給部として2本の新鮮な研磨ベルト9を供給する(巻き出す)一対の供給リール21A,21Bを備えるとともに、回収部として2本の使用済の研磨ベルト9を回収する(巻き取る)一対の回収リール21C,21Dを備えている。
供給リール21Bは供給リール21Aに対して、また、回収リール21Dは回収リール21Cに対して、バリ取り装置1の幅方向(研磨ベルト9の供給方向と直交する方向)の中心線に対して対称に配置されている。また、供給リール21A,21Bは加振部30の下流側近傍に配置され、回収リール21C、21Dはリール21A,21Bの下流側に配置されている。
【0024】
巻き出し側のリール21A,21Bと導入部13との間の経路途中には、ガイドローラ22A,22Bが設置され、供給リール21A,21Bから導入部13へ供給される一対の研磨ベルト9間の幅寸法を、導入部13の隙間のサイズに合わせて近づけておくことができる。
巻き取り側のリール21C,21Dとクランプ14との間の経路途中には、ガイドローラ22C,22Dが設置され、クランプ14から回収リール21C,21Dへ回収される一対の研磨ベルト9間の幅寸法を、クランプ14の幅(クランプ14を構成する一対の抑え部材14A間の隙間のサイズ)に維持した状態でリール21C,21Dの近傍まで案内することができる。
【0025】
前述した供給リール21A,21B、回収リール21C,21Dは、それぞれ前フレーム3の側面に支持された駆動モータ23A〜23D(図1および図3参照)により駆動される。
研磨ベルト9を送る際には、供給リール21A,21B、回収リール21C,21Dをそれぞれ回転駆動するが、研磨ベルト9に適宜な張力が得られるように、回収リール21C,21Dの回転トルクを供給リール21A,21Bよりもやや強くすることが望ましい。
また、研磨部10において一対の研磨ベルト9の送りが等速になるように、回収リール21C,21Dおよび供給リール21A,21Bはそれぞれ回転を同期させることが望ましい。
【0026】
加振部30は、研磨部10をその表面に沿った方向へ振動させるものである。
図1に示すように、加振部30は、電動モータ等を用いた円筒状の振動発生装置31を有し、この振動発生装置31は、バリ取り装置1の幅方向の中心線に直交する方向を軸としてバリ取り装置1の幅方向の両端を回転自在に後フレーム4に支持されるとともに、背面の上下2点の当接ボルト32A,32Bの突き出し量を調整することで、振動軸線方向を調整可能である。
通常、振動発生装置31の振動軸線方向はガイド機構40のガイドレール41の方向に合わせて調整される。
振動発生装置31の出力軸31Aはガイド機構40のガイドプレート42に連結され、振動発生装置31が発生した振動はガイドプレート42からフローティング機構50を経て研磨部10に伝達される。
このような加振部30からの振動により、研磨部10はその表面に沿った方向に振動を生じ、研磨ベルト9にワークを押し付けることでワークの振動研磨を行うことができる。
【0027】
以上に述べた実施形態によれば、収容部20から研磨部10に研磨ベルト9を供給し、この状態で研磨部10を加振部30で振動させ、ロボットアーム等でワークを研磨ベルト9に接触させることで、振動研磨によるバリ取りを行うことができる。
この際、研磨部10では一対の表面にそれぞれ研磨ベルト9が配置されるため、一方の表面でワークの表面を研磨し、ワークの裏面を反対側の表面で研磨することができる。つまり、ワークの表裏のバリ取りを行う場合でも、ワークを裏返しに転回させる必要がなく、効率よくバリ取りを行うことができる。
【0028】
また、研磨ベルト9は、収容部20の供給部(供給リール21A,21B)および回収部(回収リール21C,21D)により順次更新することができるため、常時良好な研磨性能を得ることができる。特に、研磨ベルト9を一対2系統とし、研磨部10の一つの表面にそれぞれ新鮮な研磨ベルト9を供給することができるため、何れの表面においても常時良好な研磨性能を得ることができる。この際、研磨ベルト9は、研磨部10の内側つまり一対の保持プレート11の間(互いに向かい合う内面の間)を通るのが新鮮な研磨ベルトとされ、研磨部10の外面に沿って戻る研磨ベルト9によりバリ取りが行われる配置であるため、一対の保持プレート11の間で研磨ベルト9に付着したバリ等が周囲と干渉して動作が停止する等の可能性を回避でき、効率よいバリ取り作業を行うことができる。
【0029】
さらに、収容部20においては、新鮮な研磨ベルト9が巻かれた供給リール21A,21Bと、回収された研磨ベルト9を巻き取る回収リール21C,21Dと、を用いることで、研磨ベルト9の交換や運搬や貯蔵など、取り扱い性能を高めることができる。また、供給リール21A,21Bおよび回収リール21C,21Dに同じ規格のリールを用いることで、順次使い回しを行うことができる。
【0030】
転回部12においては、それぞれ研磨ベルト9に転動するガイドローラ12Aを用いたので、研磨ベルト9を大きく折り返す場合でも円滑なガイドを行うことができる。
導入部13においては、保持プレート11の端部それ自体をガイドのように用いたため、簡単な構造でありながら、内側に送り込まれる研磨ベルト9を保持プレート11に沿わせることができる。
送出部であるクランプ14においては、着脱式の抑え部材14Aを用いて研磨ベルト9を保持プレート11に押さえつけるようにしたため、研磨時の安定性を高めることができる。
【0031】
研磨部10の外側となる保持プレート11の外面にはクッション材11Bが張られているため、ワークを研磨ベルト9の表面に接触させると研磨ベルト9が僅かに窪み、研磨ベルト9とワークの辺縁等との接触が十分に得られ、バリ取り性能を高めることができる。
研磨部10を支持するフローティング機構50を採用したため、研磨ベルト9にワークを押し付けた際に研磨部10が適宜逃げ、研磨ベルト9に対するワークの接触圧力を略一定に維持することができる。このため、過剰な接触圧力によるワークの過剰研磨を回避できるとともに、ワーク寸法のばらつきにも対応でき、一定の接触圧力による適切なバリ取りを行うことができる。
【0032】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲の変形等は本発明に含まれるものである。
例えば、収容部20において、供給部および回収部に同じ規格のリール21A〜21Dを用いることは必須ではなく、異なる種類のリールを用いてもよい。また、リールではなく、供給部においては折り畳んだ状態の研磨ベルト9を引き出すようにしてもよく、回収部においては研磨ベルト9を直ちに裁断して廃棄してもよい。
また、リール21A〜21Dを駆動する駆動モータ23A〜23D、全てが必須ではなく、少なくとも巻き取り側から引っ張るように研磨ベルト9を駆動できればよい。但し、円滑な動作のためには全ての駆動モータ23A〜23Dを用いることが望ましい。
【0033】
前記実施形態では、ガイドレール41を有するガイド機構40により、振動する方向を規制したが、加振部30による振動方向が確実に規制できればこの限りではなく、ガイド機構は単なる摺動板等であってもよい。
前記実施形態では、フローティング機構50により研磨部10をフローティング支持したが、クッション材11Bの調圧性能が高い場合など、フローティング支持を省略してもよい。
フローティング機構50において、付勢手段はコード56,57に限らず、コイルばね等であってもよく、磁力等を利用するものであってもよい。あるいは、保持プレート11を支持する部分に弾性体を用いてワークの接触に対する逃げを可能としてもよい。
【0034】
前記実施形態では、保持プレート11にクッション材11Bを張ったが、保持プレート11自体をクッション性のある弾性体で形成してもよく、ワークの接触により研磨ベルト9が適宜窪むような構成とすることができればよい。
【符号の説明】
【0035】
1…バリ取り装置
2…基台
3…前フレーム
4…後フレーム
9…研磨ベルト
10…研磨部
11…保持プレート
11B…クッション材
12…転回部
12A…ガイドローラ
13…導入部
14…送出部であるクランプ
14A…抑え部材
14B…駆動源
20…収容部
21A,21B…供給部である供給リール
21C,21D…回収部である回収リール
22A〜22D…ガイドローラ
23A〜23D…駆動モータ
30…加振部
31…振動発生装置
40…ガイド機構
41…ガイドレール
42…ガイドプレート
50…フローティング機構
51…フローティングレール
52…フローティングプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状とされかつ一対の表面にそれぞれ研磨ベルトが配置される研磨部と、前記研磨部を前記表面に沿った方向へ振動させる加振部と、前記研磨部と前記加振部との間に設置され、前記研磨ベルトを前記研磨部に供給しかつ前記研磨部から回収する収容部と、を有し、
前記収容部は、前記研磨部の各表面にそれぞれ前記研磨ベルトを供給する供給部と、前記研磨部の各表面から前記研磨ベルトを回収する回収部と、を有し、
前記研磨部は、所定間隔で平行に配置されて互いの内面が向かい合いかつ外面が外向きとされた一対の保持プレートと、前記保持プレートの前記加振部とは反対側に設置された転回部と、前記保持プレートの前記加振部側に設置され、前記供給部から前記研磨ベルトが導入される導入部と、前記保持プレートの前記加振部側に設置され、前記回収部へ前記研磨ベルトを送出する送出部とを有し、
一対の前記研磨ベルトは、前記供給部から前記導入部に供給されて前記保持プレートに沿って送られ、前記転回部で転回されて前記保持プレートに沿って戻され、前記送出部から前記回収部に回収されるように配置されていることを特徴とするバリ取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載したバリ取り装置において、
前記導入部は、前記保持プレートの前記加振部側の前記内面側に設置され、
前記送出部は、前記保持プレートの前記加振部側の前記外面側に設置され、
前記供給部は、前記回収部よりも前記加振部寄りに設置され、
一対の前記研磨ベルトは、前記供給部から前記導入部に導入され、前記保持プレートの前記内面側間を通して送られ、前記転回部で転回され、前記保持プレートの前記外面側に沿って戻され、前記送出部から送出され、前記回収部に回収されるように配置されていることを特徴とするバリ取り装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載したバリ取り装置において、
前記研磨部の外側となる前記保持プレートの外面にはクッション材が張られていることを特徴とするバリ取り装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載したバリ取り装置において、
前記研磨部を支持するフローティング機構を有し、前記フローティング機構は、前記研磨部を前記保持プレートの厚み方向に変位可能に支持する支持体と、前記研磨部を前記厚み方向の両側へ付勢する一対の付勢体とを有し、前記一対の付勢体は前記研磨部を前記支持体の変位範囲の略中央に保持する付勢力に調整されていることを特徴とするバリ取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−218132(P2012−218132A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89488(P2011−89488)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】