説明

バルブコネクタ

【課題】タイヤバルブへの接続前に圧縮空気及び液剤が飛散し周囲を汚損することを防止することができ、且つ、タイヤバルブから取り外す際に圧抜きすることができるバルブコネクタを提供すること。
【解決手段】圧縮空気及び液剤が圧送される耐圧ホース16とタイヤバルブ2とを接続するバルブコネクタ20において、耐圧ホース側とタイヤバルブ側とを連通する連通路26と、連通路26を閉じる閉位置と連通路26を開く開位置との間で移動可能な可動部30と、可動部30を開位置から閉位置へ付勢する付勢部40と、可動部30を開位置で係止する係止部50とを備える。タイヤバルブ2に接続されるとき、タイヤバルブ2により付勢部40の付勢力に抗して可動部30を閉位置から開位置へ移動する。また、タイヤバルブ2から取り外されたとき、係止部50により可動部30を開位置で係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気及び液剤が圧送される耐圧ホースとタイヤバルブとを接続するバルブコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、圧縮空気及び液剤(シーリング剤)をタイヤ内へ供給し、パンクしたタイヤを応急的に修理するシーリング・ポンプアップ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置は、圧縮空気及びシーリング剤が圧送される耐圧ホースとタイヤバルブとを接続するバルブコネクタを備える。
【0003】
上記特許文献1記載のバルブコネクタは、耐圧ホース側とタイヤバルブ側とを連通する連通路と、連通路を閉じる閉位置と連通路を開く開位置との間で移動可能な可動部とを備える。このバルブコネクタは、タイヤバルブへの接続前に可動部が連通路を閉じているので、タイヤバルブへの接続前に圧縮空気及びシーリング剤が飛散し周囲を汚損することを防止することができる。
【0004】
また、上記特許文献1記載のバルブコネクタは、圧抜きバルブが設置された交換用部品を備える。この交換用部品は、圧縮空気のみをタイヤ内へ供給する場合に使用される。
【特許文献1】特開2007−182036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載のバルブコネクタは、圧縮空気のみをタイヤ内へ供給した場合に圧抜きすることでタイヤの内圧を微調整することについて説明するが、圧縮空気及びシーリング剤を圧送した後に圧抜きすることについて不要であるとしている。
【0006】
このため、圧縮空気及びシーリング剤を圧送した後にバルブコネクタをタイヤバルブから取外すと、可動部が閉位置に再帰し連通路が閉じられるので、耐圧ホース、液剤ボトル、及びバルブコネクタ内に圧縮空気が充填されたままとなる。そうすると、例えば耐圧ホース、液剤ボトル、及びバルブコネクタをリサイクルしたり廃棄することが困難になる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タイヤバルブへの接続前に圧縮空気及び液剤が飛散し周囲を汚損することを防止することができ、且つ、タイヤバルブから取り外す際に圧抜きすることができるバルブコネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、圧縮空気及び液剤が圧送される耐圧ホースとタイヤバルブとを接続するバルブコネクタにおいて、
耐圧ホース側とタイヤバルブ側とを連通する連通路と、
前記連通路を閉じる閉位置と前記連通路を開く開位置との間で移動可能な可動部と、
前記可動部を前記開位置から前記閉位置へ付勢する付勢部と、
前記可動部を前記開位置で係止する係止部とを備え、
前記タイヤバルブに接続されるとき前記タイヤバルブにより前記付勢部の付勢力に抗して前記可動部を前記閉位置から前記開位置へ移動し、前記タイヤバルブから取り外されたとき前記係止部により前記可動部を前記開位置で係止する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タイヤバルブへの接続前に圧縮空気及び液剤が飛散し周囲を汚損することを防止することができ、且つ、タイヤバルブから取り外す際に圧抜きすることができるバルブコネクタが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施例のバルブコネクタが搭載されたシーリング・ポンプアップ装置を示す斜視図である。シーリング・ポンプアップ装置10は、圧縮空気及びシーリング剤をタイヤ内へ供給し、パンクしたタイヤを応急的に修理するものである。パンクしたタイヤ内に圧縮空気及びシーリング剤を注入した後、車両を走行させてタイヤを回転させることにより、タイヤ周方向全周にわたりシーリング剤を供給して、パンクしたタイヤを応急的に修理する。
【0012】
シーリング・ポンプアップ装置10は、圧縮空気を供給する圧縮空気源12と、シーリング剤を収容する液剤ボトル14と、圧縮空気源12と液剤ボトル14とを接続する接続管(図示せず)とを備える。
【0013】
圧縮空気源12は、例えば高圧ガスボンベやコンプレッサ(圧縮機)が用いられる。コンプレッサの場合、圧縮空気源12は、車載バッテリから供給される電力をエネルギー源として駆動する。
【0014】
液剤ボトル14は、1回のパンク修理に必要な量のシーリング剤を収容しており、接続管に対して着脱可能に構成されている。液剤ボトル14の吐出口には、耐圧ホース16が装着されている。耐圧ホース16の先端には、タイヤバルブ2(図3参照)へ接続可能とされたバルブコネクタ20が設けられている。
【0015】
シーリング・ポンプアップ装置10は、圧縮空気源12から液剤ボトル14へ圧縮空気を供給することで、液剤ボトル14に収容されているシーリング剤をタイヤ内へ圧送した後、引き続いて圧送される圧縮空気によって、タイヤの内圧を走行可能な圧力まで高める。
【0016】
次に、バルブコネクタ20の構成について図2を参照して説明する。図2は、バルブコネクタ20の耐圧ホース16への接続状態を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のA−A線に沿った断面図である。
【0017】
バルブコネクタ20は、圧縮空気及びシーリング剤が圧送される耐圧ホース16とタイヤバルブ2(図3参照)とを接続するものであって、バルブ接続部22と、ホース接続部24と、タイヤバルブ側と耐圧ホース側とを連通する連通路26とを備える。
【0018】
バルブ接続部22は、タイヤバルブ2を接続するためのものである。例えば、バルブ接続部22は、筒状の形状であって、内周面にネジ溝を有する。即ち、バルブ接続部22は、タイヤバルブ2をネジ止め可能なネジ孔22aを有する。
【0019】
ネジ孔22aの軸方向寸法は、比較的短く設定されている。このため、詳しくは後述するが、ネジ孔22aをタイヤバルブ2へ螺合させながら、タイヤバルブ2をネジ孔22a内に挿入していくと、タイヤバルブ2が可動部30を押圧する。
【0020】
ホース接続部24は、耐圧ホース16を接続するためのものである。例えば、ホース接続部24は、筒状の形状であって、内部に流路24aを有し、外周面で耐圧ホース16の内周面を支持する。
【0021】
連通路26は、ネジ孔22aと流路24aとを連通する。連通路26は、例えばネジ孔22a及び流路24aより大径の断面円状とされている。
【0022】
また、バルブコネクタ20は、連通路26を閉じる閉位置と連通路26を開く開位置との間で移動可能な可動部30と、可動部30を開位置から閉位置へ付勢する付勢部40と、可動部30を開位置で係止する係止部50とを備える。
【0023】
可動部30は、ネジ孔22aの軸方向に移動可能とされ、ネジ孔22aより小径の小径部32と、ネジ孔22aより大径の大径部34とを備える。
【0024】
小径部32は、ネジ孔22aから連通路26へ出入りするものであって、例えば円板状である。
【0025】
大径部34は、ネジ孔22aと連通路26との間を開閉するものであって、例えば円板状である。大径部34は、小径部32と同軸的に一体化されている。
【0026】
付勢部40は、連通路26内に設置され、例えばホース接続部24と可動部30との間に介装され、可動部30を開位置から閉位置へ付勢する。付勢部40は、例えばゴムやコイルスプリングが用いられる。
【0027】
付勢部40の付勢力により、通常、可動部30は連通路26を閉じる閉位置にある。従って、タイヤバルブ2への接続前に誤って圧縮空気源12から液剤ボトル14へ圧縮空気を供給した場合であっても、圧縮空気及びシーリング剤が飛散し周囲を汚損することを防止することができる。
【0028】
係止部50は、連通路26内の内壁面に突設され、可動部30の軸方向一端面34c(図3参照)に係合して開位置から閉位置への移動を規制する。例えば、係止部50は、連通路26の内壁面に周方向に等ピッチで4つ突設されている。
【0029】
係止部50は、例えば、可動部30の移動方向(軸方向)に対して垂直方向に突出する山状の板片である。閉位置側の辺52は可動部30の移動方向に対し鋭角をなしているが、開位置側の辺54は可動部30の移動方向に対し略直角をなしている。これにより、可動部30の開位置から閉位置への移動を確実に規制すると共に、可動部30の閉位置から開位置への移動への移動を許容する。
【0030】
次に、バルブコネクタ20の作用・機能について図3を参照して説明する。図3は、バルブコネクタ20の動作を示す断面図である。図3(A)は、バルブコネクタ20のタイヤバルブ2への接続完了前の状態、即ち可動部30が閉位置にあるときの状態を示す断面図である。また、図3(B)は、バルブコネクタ20のタイヤバルブ2への接続完了時の状態、即ち可動部30が開位置にあるときの状態を示す断面図である。
【0031】
バルブコネクタ20をタイヤバルブ2へ接続する場合、図3(A)に示すように、バルブコネクタ20のネジ孔22aにタイヤバルブ2を螺挿する。このとき、タイヤバルブ2の流路4内に設けられた開閉ボタン6がネジ孔22a内にある可動部30の小径部32を押圧し、可動部30が付勢部40の付勢力に抗して閉位置から開位置へ移動される。
【0032】
可動部30が閉位置から開位置へ移動される途中で、可動部30の大径部34の軸方向一端面34aの外縁に係止部50の閉位置側の辺52が当接する。更に、可動部30が閉位置から開位置へ移動されると、係止部50が押圧され弾性的に撓む。大径部34の外周面34bが係止部50の頂点56を通過する間、係止部50は最も撓む。大径部34の外周面34bが係止部50の頂点56を通過し終わると、係止部50に対する押圧がなくなり、係止部50が弾性復元して、係止部50の開位置側の辺54が大径部34の軸方向一端面34cに面接触する。
【0033】
このようにして、係止部50が可動部30を開位置で係止する。このとき、図3(B)に示すように、連通路26とタイヤバルブ2の流路4との間が開放される。また、このとき、開閉ボタン6が小径部32によって押圧され、タイヤバルブ2の流路4が開かれる。その結果、バルブコネクタ20の連通路26と、タイヤ内とが連通される。
【0034】
この状態で、圧縮空気源12から液剤ボトル14へ圧縮空気を供給することで、液剤ボトル14に収容されているシーリング剤をタイヤ内へ圧送した後、引き続いて圧送される圧縮空気によって、タイヤの内圧を走行可能な圧力まで高める。その後、圧縮空気源12から液剤ボトル14への圧縮空気の供給を停止する。
【0035】
続いて、バルブコネクタ20をタイヤバルブ2から取外す場合、バルブコネクタ20のネジ孔22aからタイヤバルブ2を螺脱する。このとき、係止部50が可動部30を開位置で係止するので、開閉ボタン6に対する押圧がなくなり、タイヤバルブ2の流路4が再び閉じられる。これにより、タイヤの内圧を保持する。
【0036】
バルブコネクタ20をタイヤバルブ2から取り外したとき、係止部50が可動部30を開位置で係止するので、連通路26とネジ孔22aとの間が開放され、連通路26と外部とが連通される。これにより、耐圧ホース16や液剤ボトル14、バルブコネクタ20内を圧抜きすることができる。その結果、例えば耐圧ホース16、液剤ボトル14、及びバルブコネクタ20をリサイクルしたり廃棄することができる。尚、耐圧ホース16、液剤ボトル14、及びバルブコネクタ20は、セットで交換される。
【0037】
このように、本実施例のバルブコネクタ20によれば、タイヤバルブ2への接続前に可動部30が連通路26を閉じているので、タイヤバルブ2への接続前に圧縮空気及びシーリング剤が飛散し周囲を汚損することを防止することができる。また、バルブコネクタ20をタイヤバルブ2から取り外したとき、係止部50が可動部30を開位置で係止するので、耐圧ホース16、液剤ボトル14、及びバルブコネクタ20内を圧抜きすることができる。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0039】
例えば、上述した実施例において、係止部50は、連通路26の内壁面に周方向に等ピッチで4つ突設されているとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、係止部50は不等ピッチで設けられてもよい。また、係止部50の設置数に特段の制限はない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施例のバルブコネクタが搭載されたシーリング・ポンプアップ装置を示す斜視図である。
【図2】バルブコネクタ20の耐圧ホース16への接続状態を示す図である。
【図3】バルブコネクタ20の動作を示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
2 タイヤバルブ
10 シーリング・ポンプアップ装置
12 圧縮空気源
14 液剤ボトル
16 耐圧ホース
20 バルブコネクタ
26 連通路
30 可動部
40 付勢部
50 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気及び液剤が圧送される耐圧ホースとタイヤバルブとを接続するバルブコネクタにおいて、
耐圧ホース側とタイヤバルブ側とを連通する連通路と、
前記連通路を閉じる閉位置と前記連通路を開く開位置との間で移動可能な可動部と、
前記可動部を前記開位置から前記閉位置へ付勢する付勢部と、
前記可動部を前記開位置で係止する係止部とを備え、
前記タイヤバルブに接続されるとき前記タイヤバルブにより前記付勢部の付勢力に抗して前記可動部を前記閉位置から前記開位置へ移動し、前記タイヤバルブから取り外されたとき前記係止部により前記可動部を前記開位置で係止するバルブコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−127439(P2010−127439A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305376(P2008−305376)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】