バルブスプール組み付け装置
【課題】バルブボディに形成された収容孔の内部をバルブスプールが落下する速度を精度良く制御することが可能であり、ひいてはバルブスプールおよびバルブボディの変形を防止することが可能なバルブスプール組み付け装置を提供する。
【解決手段】バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する組み付け装置100に、自重で落下するバルブスプール3を収容孔2の開口部に導くフローティングガイド10と、フローティングガイド10に水平方向の振動を付与する加振装置20と、バルブスプール3の先端部が収容孔2の開口部に嵌合する時点を基準時点とし、基準時点以前は第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与させ、基準時点以後は第二周波数N2の振動をフローティングガイド10に付与させる制御装置151と、を具備した。
【解決手段】バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する組み付け装置100に、自重で落下するバルブスプール3を収容孔2の開口部に導くフローティングガイド10と、フローティングガイド10に水平方向の振動を付与する加振装置20と、バルブスプール3の先端部が収容孔2の開口部に嵌合する時点を基準時点とし、基準時点以前は第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与させ、基準時点以後は第二周波数N2の振動をフローティングガイド10に付与させる制御装置151と、を具備した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブボディにバルブスプールを組み付ける装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バルブボディにバルブスプールを組み付ける装置としては、フローティングガイドを具備する装置が知られている。
フローティングガイドはガイドブッシュと呼ばれる筒状の部材を備え、所定の構造体に移動可能に支持される。
【0003】
上記装置によるバルブスプールの組み付けは、以下の手順で行われる。
まず、ベルトコンベア等の搬送装置に設けられた所定の治具にバルブボディが固定される。このとき、バルブボディに形成された収容孔(バルブスプールを摺動可能に収容する孔)の開口部は上方に向けられる。
次に、搬送装置を動作させることによりバルブボディをフローティングガイドの下方となる位置まで移動させ、当該位置で停止させる。バルブボディの移動が停止した時点ではフローティングガイドのガイドブッシュの下端部はバルブボディに形成された収容孔の開口部の直上に配置される。なお、フローティングガイドのガイドブッシュには、予めバルブスプールが収容されている。
続いて、バルブスプールをガイドブッシュの下端部からバルブボディの収容孔に向かって落下させることにより、バルブスプールをバルブボディに組み付ける(収容孔に収容する)。
【0004】
一般に、自動車の自動変速機等の油圧制御を行うバルブには高い加工精度が要求されるので、バルブボディに形成された収容孔の内周面とバルブスプールの外周面との隙間(クリアランス)は非常に小さい。
そのため、上記装置によるバルブスプールの組み付けを行う際にバルブボディとフローティングガイドとの間の位置精度が低い場合には、平面視でガイドブッシュの中心と収容孔の中心とが重ならず(ガイドブッシュと収容孔とが上下方向において一直線に並ばず)、ガイドブッシュから落下したバルブスプールが収容孔の開口部に引っ掛かり、収容孔にスムーズに収容されないという問題がある。
【0005】
バルブボディとフローティングガイドとの間の位置精度を向上させる方法としては搬送装置の動作精度を向上させることが考えられるが、設備コストの上昇を招くといったデメリットを有する。
また、バルブボディを固定する治具あるいはフローティングガイドに位置調整機能を付加することも考えられるが、治具あるいはフローティングガイドの製造コストが増大すること、これらの位置調整作業を別途行う必要が生じ作業工数が増加すること、といったデメリットを有する。
【0006】
このような問題を解消する技術としては、特許文献1から特許文献4に記載の装置および方法が知られている。
【0007】
特許文献1に記載の方法は、バルブボディを治具に固定し、バルブボディおよび治具をこれらの固有振動数またはその付近の振動数で水平方向に振動させることにより、バルブボディに形成された段付き孔であるバルブ孔の奥の部分にスプールバルブを嵌入する。
【0008】
特許文献2に記載の装置は、バルブボディに形成された嵌入孔と対向させて配設され、プラグをスプリングの付勢力に抗して押圧する手段と、バルブボディに形成されたリテーナ挿入孔と対向させて配設され、リテーナをリテーナ挿入孔を介して嵌入孔内に進入させ、プラグに形成されたリテーナ挿入溝内に挿入する手段と、嵌入孔と対向させて配設され、スプールを導入するためのバルブガイドと、リテーナを導入するためのリテーナガイドと、バルブボディを上下方向に振動させる加振機と、を有し、バルブガイドおよびリテーナガイドにはスプールの位置およびリテーナの位置を検出する手段がそれぞれ配設される。
特許文献2に記載の装置は、加振機がバルブボディを上下方向に振動させることにより、嵌入孔の開口部(面取りされている部分)に載っているスプールが求心運動し、平面視で嵌入孔の中心とスプールの中心とが一致したときにスプールの自重および振動力でスプールが嵌入孔に嵌入される。
【0009】
特許文献1および特許文献2は、バルブボディを水平方向あるいは上下方向に振動させることにより、バルブボディに形成されたバルブ孔(嵌入孔)の位置精度(加工精度)が良くない場合でもスプールバルブ(スプール)をバルブ孔(嵌入孔)にスムーズに挿入することが可能である。
しかし、特許文献1に記載の方法および特許文献2に記載の装置は、スプールバルブ(スプール)をバルブ孔(嵌入孔)にスムーズに挿入することのみを目的としており、スプールバルブがバルブ孔の内部を落下し、スプールバルブがバルブ孔の底部に衝突したときに発生する打痕あるいは傷を防止することについては記載も示唆も無い。
【0010】
スプールバルブがバルブ孔の底部に衝突することにより発生する打痕あるいは傷の発生は、バルブの加工精度および耐久性を低下させる要因と成り得るが、特にバルブ孔の全長が大きい場合あるいはスプールバルブの重量が大きい場合にはこのような問題が顕著になる。
【0011】
特許文献3に記載の装置は、コントロールバルブボディに形成された挿入孔の上方に配設され、バルブスプールを挿入孔の方へ案内するガイドと、ガイドを介して挿入孔の内部に挿入可能で、回転可能かつ上下スライド可能な吸引ノズルと、吸引ノズルを回転する回転手段と、吸引ノズルをスライド自由に支持する支持手段と、吸引ノズル内側に吸引エアを導入させる吸引エア導入手段と、から構成される。
特許文献3に記載の装置は、吸引ノズルを回転させつつ吸引ノズル内側に吸引エアを導入することによりバルブスプールを吸引ノズルに吸引保持(吸着)してバルブスプールを回転させ、さらにこの状態から吸引ノズルを下方にスライドさせることによりバルブスプールを挿入孔に挿入する。
また、特許文献3に記載の装置は、バルブスプールが挿入孔の途中に引っ掛かった場合には支持手段を上下方向に往復動作させ、ひいては吸引ノズルを上下方向に振動させることにより、バルブスプールを挿入孔にスムーズに挿入する。
【0012】
特許文献4に記載の装置は、部材(バルブボディ)に形成された挿入孔の上方に配置され、部品(バルブスプール)を挿入孔の方へ案内するガイドと、ガイド内に部品を導入する部品導入手段と、部材を支持する部材支持部材と、圧力空気を挿入孔内に横方向から斜め上方へ噴出させて供給するよう前記挿入孔に対して傾斜して配設された圧力空気供給手段と、部材支持部材に上下方向に振動を与える加振手段と、を備える。
特許文献4に記載の装置は、圧力空気を挿入孔の開口部から噴出させて部品に浮力を与えるとともに部品を上下方向に振動させることにより、挿入孔に対して部品を精度良くセンタリングする(平面視で挿入孔の中心線と部品の中心線とを一致させる)。
【0013】
特許文献3および特許文献4に記載の装置は、圧力空気をバルブスプールに作用させることにより、バルブスプールが挿入孔の内部を落下する速度(バルブスプールの落下速度)をある程度低下させることが可能である。バルブスプールの落下速度を低下させることにより、スプールバルブがバルブ孔の底部に衝突したときに発生する打痕あるいは傷を防止することが可能である。
しかし、特許文献3および特許文献4に記載の装置は、バルブスプールに振動を付与する加振装置に加えて圧力空気を発生させる装置(コンプレッサ等)を必要とし、装置が複雑化するという問題を有する。
【0014】
特許文献3に記載の装置の場合、バルブスプールが挿入孔の内部を落下する速度を精度良く低下させるためにはバルブスプールを吸引ノズルに強固に吸着する必要があるが、このような状態ではバルブスプールに振動を加えてもバルブスプールが水平方向に移動し難いため、バルブスプールを挿入孔にスムーズに挿入することが困難となる。
【0015】
特許文献4に記載の装置の場合、搬送装置にバルブボディを固定するための治具に圧力空気を供給する必要があるため、圧力空気の供給経路が複雑となる(ガイドの下方に移動してきた治具と圧力空気の供給経路とを接続し、切り離す機構を要する)。
また、特許文献4に記載の装置の場合、圧力空気を用いて落下速度を精度良く低下させることは困難である。
これは、圧力空気を供給する経路の中途部(特に、バルブボディおよびこれを固定する治具との間)に漏れが発生しやすく、また発生する漏れの大きさが一定でないことによる。
このような漏れを防止するためにはバルブボディを治具に精度良く固定する作業を要し、当該作業は煩雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2006−26781号公報
【特許文献2】特許第2774316号公報
【特許文献3】特開平7−96423号公報
【特許文献4】特許第2919869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、バルブボディに形成された収容孔の内部をバルブスプールが落下する速度(バルブスプールの落下速度)を精度良く制御することが可能であり、ひいてはバルブスプールおよびバルブボディの変形(打痕、傷等)を防止することが可能なバルブスプール組み付け装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0019】
即ち、請求項1においては、
バルブボディに形成された収容孔にバルブスプールを収容するバルブスプール組み付け装置であって、
前記収容孔の開口部が上方に向けられた姿勢で保持された前記バルブボディの上方に配置され、自重で落下する前記バルブスプールを前記収容孔の開口部に導くフローティングガイドと、
前記フローティングガイドに水平方向の振動を付与する加振装置と、
前記加振装置が前記フローティングガイドに付与する水平方向の振動の周波数を制御する制御装置と、
を具備し、
前記制御装置は、
前記フローティングガイドにより前記収容孔の開口部に導かれるバルブスプールの先端部が前記収容孔の開口部に嵌合する時点を基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第一周波数よりも大きい第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させるものである。
【0020】
請求項2においては、
前記フローティングガイドは、
前記バルブスプールを上下方向に摺動可能に収容し、下端部が前記収容孔の開口部の上方に配置されるガイド筒と、
前記ガイド筒を水平方向に相対移動可能に支持する支持部材と、
を具備し、
前記加振装置は、
前記支持部材に水平方向の振動を付与するものである。
【0021】
請求項3においては、
前記フローティングガイドは、
前記ガイド筒の下端部を開閉する開閉装置を具備するものである。
【0022】
請求項4においては、
前記ガイド筒の下端部および前記収容孔の開口部で挟まれる位置に到達した前記バルブスプールを検出する検出装置を具備し、
前記制御装置は、
前記検出装置が前記バルブスプールを検出した時点から予め設定された待ち時間が経過した時点を前記基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させるものである。
【0023】
請求項5においては、
前記収容孔の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に到達した前記バルブスプールを検出する検出装置を具備し、
前記制御装置は、
前記検出装置が前記バルブスプールを検出した時点を前記基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させるものである。
【0024】
請求項6においては、
前記制御装置は、
前記開閉装置が前記ガイド筒の下端部を開いた時点から予め設定された待ち時間が経過した時点を前記基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させるものである。
【0025】
請求項7においては、
前記ガイド筒の内周面の上端部には上方に向かって拡径するテーパ面が形成されるものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、バルブボディに形成された収容孔の内部をバルブスプールが落下する速度を精度良く制御することが可能であり、ひいてはバルブスプールおよびバルブボディの変形を防止することが可能である、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第一実施形態を示す全体図。
【図2】組み付け作業開始前の本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第一実施形態を示す要部正面断面図。
【図3】検出装置がバルブスプールの下端部を検出したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第一実施形態を示す要部正面断面図。
【図4】検出装置がバルブスプールの上端部を検出したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第一実施形態を示す要部正面断面図。
【図5】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第一実施形態における振動の周波数の変化を示す図。
【図6】振動の周波数とバルブスプールの落下速度との関係を示す図。
【図7】バルブスプールの重量と、衝突時の落下速度と、変形(傷)の発生の有無と、の関係を示す図。
【図8】振動の周波数とバルブスプールの落下速度との関係の別実施例を示す図。
【図9】同じく振動の周波数とバルブスプールの落下速度との関係の別実施例を示す図。
【図10】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第二実施形態を示す全体図。
【図11】組み付け作業開始前の本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第二実施形態を示す要部正面断面図。
【図12】検出装置がバルブスプールの下端部を検出したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第二実施形態を示す要部正面断面図。
【図13】検出装置がバルブスプールの下端部を検出してから所定時間経過したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第二実施形態を示す要部正面断面図。
【図14】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第二実施形態における振動の周波数の変化を示す図。
【図15】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第三実施形態を示す全体図。
【図16】組み付け作業開始前の本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第三実施形態を示す要部正面断面図。
【図17】検出装置がバルブスプールの下端部を検出したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第三実施形態を示す要部正面断面図。
【図18】検出装置がバルブスプールの上端部を検出したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第三実施形態を示す要部正面断面図。
【図19】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第三実施形態における振動の周波数の変化を示す図。
【図20】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第四実施形態を示す全体図。
【図21】組み付け作業開始前の本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第四実施形態を示す要部正面断面図。
【図22】バルブスプールが落下を開始してから所定の待ち時間が経過したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第四実施形態を示す要部正面断面図。
【図23】バルブスプールが落下を開始してから所定の待ち時間が経過し、さらに所定時間が経過したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第四実施形態を示す要部正面断面図。
【図24】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第四実施形態における振動の周波数の変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、図1から図9を用いて本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第一実施形態である組み付け装置100について説明する。
図1に示す組み付け装置100は、バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置である。
【0029】
なお、現実の組み付け作業では多くの場合、バルブボディに形成された収容孔に、バルブスプールを収容孔の開口部に向かって付勢するスプリングと、バルブスプールと、収容孔の開口部を閉塞するプラグと、を合わせたもの(集合物)を収容するが、以下の記載および図面においては説明の便宜上、スプリングおよびプラグを省略する。
従って、以下の説明における「バルブスプール」は、適宜「スプリングと、バルブスプールと、プラグと、を合わせたもの」と読み替えることが可能である。
【0030】
バルブボディ1は本発明に係るバルブボディの実施の一形態である。
本実施形態のバルブボディ1は自動車の自動変速機の動作を制御する用途に用いられるコントロールバルブの主たる構造体を成す部材であり、金属材料からなるブロック状の部材の内部に適宜油路(作動油の移動経路)が形成されたものである。
なお、本発明に係るバルブボディは独立した部材(他の部材とは別体となる部材)に限定されない。例えば、バルブとは異なる機能を有する部材に収容孔および油路が適宜形成されることによりバルブボディとしての機能を兼ねる場合には、当該部材も本発明に係るバルブボディに含まれる。
【0031】
図1および図2に示す収容孔2は本発明に係る収容孔の実施の一形態であり、バルブスプール3を摺動可能に収容する孔である。収容孔2はバルブボディ1に形成された油路の一部を成す。
本実施形態の収容孔2の一端部はバルブボディ1の外表面に開口している。以後、バルブボディ1の外表面に開口している収容孔2の一端部を「収容孔2の開口部」という。
収容孔2の開口部に面取り加工が施されることにより、収容孔2の開口部には奥部から開口部に向かって拡径するテーパ面2aが収容孔2の内周面に連なって形成される。
【0032】
バルブスプール3は本発明に係るバルブスプールの実施の一形態であり、収容孔2に摺動可能に収容される。
バルブスプール3は収容孔2の内部で摺動する(ひいては、収容孔2の内部における位置が変化する)ことによりバルブボディ1に形成された油路の接続状態を切り替える部材である。
図2に示す如く、本実施形態のバルブスプール3は略円柱形状の第一大径部3a、第一小径部3b、第二大径部3cおよび第二小径部3dを有し、これらが順に積層された形状を有する。
第一大径部3aおよび第二大径部3cの直径は第一小径部3bおよび第二小径部3dの直径よりも大きく、第一大径部3aおよび第二大径部3cの外周面が収容孔2の内周面に摺動可能に当接する。
【0033】
なお、本発明に係るバルブスプールは本実施形態のバルブスプール3の如き構成(第一大径部3a、第一小径部3b、第二大径部3cおよび第二小径部3dが順に積層された構成)に限定されるものではない。
すなわち、バルブスプールの大径部(収容孔の内周面に当接する部分)および小径部(大径部よりも直径が小さい部分)の個数および配置は用途に応じて適宜選択される。
【0034】
図1に示す如く、本実施形態ではバルブボディ1は治具4の上面にボルト等を用いて固定される。
搬送装置5は治具4、ひいてはバルブボディ1を所定の搬送方向(本実施形態では前後方向であり、図1において紙面に垂直な方向に相当する)に移動させるとともに所定の位置(作業位置)で停止させる装置である。
また、搬送装置5はバルブボディ1を所定の搬送方向に搬送するとき、バルブボディ1の姿勢(角度)を一定に保持する。
バルブボディ1が治具4に固定されているとき、バルブボディ1に形成された収容孔2の開口部は上方に向いており、収容孔2の長手方向(軸線方向)は上下方向に対して平行である。
従って、作業位置で停止している治具4に固定されたバルブボディ1は、収容孔2の開口部が上方に向けられた姿勢で保持される。
【0035】
図1に示す如く、組み付け装置100は、フローティングガイド10、加振装置20、開閉装置30、検出装置140および制御ユニット150を具備する。
【0036】
フローティングガイド10は本発明に係るフローティングガイドの実施の一形態であり、自重で落下するバルブスプール3を収容孔2の開口部に導く部材である。
フローティングガイド10は作業位置に保持されたバルブボディ1の上方に配置される。
【0037】
図2に示す如く、フローティングガイド10はガイドブッシュ11、支持板12、ボール13・13・・・、押さえ板14、弾性リング15を具備する。
【0038】
ガイドブッシュ11は本発明に係るガイド筒の実施の一形態である。
ガイドブッシュ11は概ね円筒形状の部材であり、ガイドブッシュ11の長手方向(軸線方向)が上下方向に対して平行となるように支持板12に支持される。
ガイドブッシュ11には両端部(上端部および下端部)まで貫通する孔(貫通孔)が形成されており、ガイドブッシュ11の両端部はいずれも開口している。
図1および図2に示す如く、バルブボディ1が作業位置に保持されているとき、ガイドブッシュ11の下端部は収容孔2の開口部の上方に配置される。
なお、ガイドブッシュ11の下端部から収容孔2の開口部までの上下方向の距離は、バルブスプール3を収容孔2の開口部に精度良く導く観点からは極力短いことが望ましい。
【0039】
図2に示す如く、ガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面はストレート面11a、第一テーパ面11b、中間面11cおよび第二テーパ面11dで構成され、これらが下方から上方に向かって順に連なっている。
【0040】
ストレート面11aはガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面のうち最下部を成す面であり、ガイドブッシュ11の下端部から上半部までに対応する。
ストレート面11aの内径はバルブスプール3の外径(より厳密には、第一大径部3aおよび第二大径部3cの外径)よりもわずかに大きく、かつ、ガイドブッシュ11の長手方向(上下方向)において変化しない(一定である)。
従って、ガイドブッシュ11は(バルブスプール3の外周面がストレート面11aに当接した状態で)バルブスプール3を収容することが可能であり、かつ、バルブスプール3をガイドブッシュ11の長手方向(上下方向)に摺動させることが可能である。
【0041】
第一テーパ面11bはガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面のうちストレート面11aの上端部に連なる面である。第一テーパ面11bは上方に向かって拡径している(徐々に内径が大きくなっている)。
【0042】
中間面11cはガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面のうち第一テーパ面11bの上端部に連なる面である。中間面11cの内径はストレート面11aよりもやや大きく、ガイドブッシュ11の長手方向(上下方向)において変化しない(一定である)。
【0043】
第二テーパ面11dはガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面のうち最上部を成す面であり、中間面11cの上端部に連なる面である。第二テーパ面11dは上方に向かって拡径している(徐々に内径が大きくなっている)。
【0044】
本実施形態では、図1に示すロボット6がバルブスプール3の一端部(第一大径部3a)を把持し、バルブスプール3をガイドブッシュ11の上方に移動させ、バルブスプール3の他端部(第二小径部3d)をガイドブッシュ11の上端部に差し込み、バルブスプール3の一端部(第一大径部3a)を把持した状態を解除する、という一連の作業を行う。
これら一連の作業により、バルブスプール3はガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面に当接しつつ落下(下方に向かって摺動)し、バルブスプール3がガイドブッシュ11の内部に収容される(図2参照)。
【0045】
図2に示す如く、本実施形態ではガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面の上端部には上方に向かって拡径するテーパ面(第一テーパ面11bおよび第二テーパ面11d)が形成されている。
また、ガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面の上端部にテーパ面が形成されることにより、ガイドブッシュ11に形成された貫通孔(バルブスプール3を収容する孔)の上端部における開口部の内径がバルブスプール3の外径よりもかなり大きく設定することが可能である。
【0046】
そのため、ロボット6がバルブスプール3をガイドブッシュ11の上方に移動させるときの位置精度がそれ程高くない場合でもバルブスプール3の他端部(第二小径部3d)をガイドブッシュ11の上端部に確実に差し込むことが可能であり、ひいてはバルブスプール3をガイドブッシュ11の内部に容易かつ確実に収容することが可能である。
また、ロボット6によるバルブスプール3の供給動作の高速化、ひいてはバルブスプール3の組み付け作業に要する時間の短縮(生産性の向上)、および設備コストの削減(動作後の位置精度が高いロボットを用いる必要が無い)に寄与する。
【0047】
本実施形態ではガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面の上端部に形成されるテーパ面が第一テーパ面11bおよび第二テーパ面11dの二つからなり、これらが中間面11cで連結される。
ガイドブッシュ11の上方から落下してきたバルブスプール3の姿勢は、第一テーパ面11b、中間面11cおよび第二テーパ面11dに順に当接する過程で徐々に修正される(バルブスプール3の長手方向がガイドブッシュ11の長手方向に平行になる)。
その結果、ガイドブッシュ11はバルブスプール3を途中で引っ掛けることなくスムーズに落下させ、バルブスプール3を確実にガイドブッシュ11の下半部(ストレート面11aに当接する位置)に収容することが可能である。
【0048】
本実施形態ではロボット6がバルブスプール3をガイドブッシュ11に供給する(ガイドブッシュ11に落下させる)が、本発明はこれに限定されない。
例えば、作業者が手でバルブスプール3をガイドブッシュ11に供給しても良い。
【0049】
ガイドブッシュ11の外周面の中途部には段差面11eが形成される。ガイドブッシュ11のうち段差面11eよりも上側の外径は段差面11eよりも下側の外径よりも大きい。
ガイドブッシュ11の外周面のうち段差面11eよりも上側となる部分の上下方向における中途部にはフランジ部11fが形成される。フランジ部11fはガイドブッシュ11の半径方向(長手方向に垂直な方向)に突出したリング状の突起である。
【0050】
ガイドブッシュ11の下端部にはガイドブッシュ11の外周面から内周面(厳密には、ストレート面11a)まで貫通する孔11gが形成される。
【0051】
支持板12は本発明に係る支持部材の実施の一形態であり、ガイドブッシュ11を水平方向(本実施形態では、前後方向および左右方向)に相対移動可能に支持する部材である。
本実施形態の支持板12は平行な一対の板面を有する板状の部材であり、図示せぬ構造体に移動可能に支持される。
当該構造体に対する支持板12の移動はエアシリンダ等のアクチュエータ(不図示)により行われ、支持板12は「作業位置の上方となる位置」と「作業位置の上方となる位置から退避した位置」との間で移動することが可能である。
当該構造体に支持された支持板12は、支持板12の一対の板面がそれぞれ上方および下方に向いた姿勢で保持される。
以下、支持板12は平行な一対の板面のうち上方に向いた面を「支持板12の上面」、下方に向いた面を「支持板12の下面」という。
【0052】
支持板12には支持板12の上面から下面まで貫通する貫装孔12aが形成される。貫装孔12aはガイドブッシュ11を貫装するための孔である。
貫装孔12aの内周面は上側ストレート面12b、段差面12cおよび下側ストレート面12dで構成され、これらが上方から下方に向かって順に連なる。
【0053】
上側ストレート面12bは支持板12の内周面の上半部を成す面である。
上側ストレート面12bの内径はガイドブッシュ11のフランジ部11fの外径よりも大きく、かつ、上下方向において変化しない(一定である)。
【0054】
段差面12cは貫装孔12aの内周面のうち上側ストレート面12bの下端部に連なる面である。段差面12cは支持板12の上面および下面に平行な平面視リング状の平面である。
【0055】
下側ストレート面12dは支持板12の内周面の下半部を成す面である。
下側ストレート面12dの内径はガイドブッシュ11のフランジ部11fの外径よりも小さく、ガイドブッシュ11の外径(より厳密には、ガイドブッシュ11の外周面のうち段差面11eよりも上側となる部分の外径)よりも大きく、かつ、上下方向において変化しない(一定である)。
【0056】
複数のボール13・13・・・は球状の部材であり、段差面12cの上に載置される。
ガイドブッシュ11が上方から貫装孔12aに貫装されたとき、ガイドブッシュ11のフランジ部11fの下側の端面がボール13・13・・・に当接する。
その結果、ガイドブッシュ11はボール13・13・・・を介して支持板12に支持される。
【0057】
上側ストレート面12bの内径はガイドブッシュ11のフランジ部11fの外径よりも大きく、かつ下側ストレート面12dの内径はガイドブッシュ11の外径(より厳密には、ガイドブッシュ11の外周面のうち段差面11eよりも上側となる部分の外径)よりも大きい。
そのため、ガイドブッシュ11は支持板12に対して水平方向に相対移動可能である。
【0058】
また、本実施形態ではガイドブッシュ11はボール13・13・・・を介して支持板12に支持される。
そのため、ボール13・13・・・が転動することにより支持板12に対するガイドブッシュ11の水平方向の移動が滑らかになる。
【0059】
押さえ板14は平行な一対の板面を有し、これらの板面の中央部を貫通する貫通孔が形成された略円盤形状の部材である。
押さえ板14の外径は貫装孔12aの上側ストレート面12bの内径よりも大きい。また、押さえ板14に形成された貫通孔の内径はガイドブッシュ11のフランジ部11fの外径よりも小さく、かつガイドブッシュ11の外径(より厳密には、ガイドブッシュ11の外周面のうち段差面11eよりも上側となる部分の外径)よりも大きい。
押さえ板14は、押さえ板14に形成された貫通孔にガイドブッシュ11の上端部を貫装した状態で、支持板12に(例えば、ボルトにより)固定される。
【0060】
仮にガイドブッシュ11が上方に移動してもフランジ部11fが押さえ板14に干渉し、ガイドブッシュ11がそれ以上上方に移動することができないので、ガイドブッシュ11が支持板12から脱落することが防止される。
なお、押さえ板14に形成された貫通孔の内径はガイドブッシュ11の外径(より厳密には、ガイドブッシュ11の外周面のうち段差面11eよりも上側となる部分の外径)よりも大きいので、支持板12に対するガイドブッシュ11の水平方向の移動を許容する(阻害することはない)。
【0061】
弾性リング15は平行な一対の板面を有し、これらの板面の中央部を貫通する貫通孔が形成された略円盤形状の部材である。本実施形態の弾性リング15は弾性変形し得る材料(例えば、ゴム、プラスチック等の樹脂材料)からなる。
【0062】
弾性リング15は支持板12の貫装孔12aに貫装されたガイドブッシュ11に下方から嵌装され、弾性リング15の上面がガイドブッシュ11の外周面に形成された段差面11eに当接する。
弾性リング15に形成された貫通孔の直径はガイドブッシュ11の外径(より厳密には、ガイドブッシュ11の外周面のうち段差面11eよりも下側となる部分の外径)よりも僅かに小さいので、弾性リング15は弾性変形し、弾性リング15の貫通孔の内周面はガイドブッシュ11の外周面に強く当接する。
従って、弾性リング15が自重で下方に移動してガイドブッシュ11から脱落することはない。
【0063】
ガイドブッシュ11が支持板12の貫装孔12aに貫装されているとき、ガイドブッシュ11の段差面11eと支持板12の下面とが面一となる(平行かつ上下方向における高さが同じとなる)。
また、弾性リング15の外径は貫装孔12aの下側ストレート面12dの内径よりも大きい。
そのため、ガイドブッシュ11に嵌装された弾性リング15の上面の外縁部は支持板12の下面(より厳密には、支持板12の下面のうち貫装孔12aの開口部の周縁部)に軽く当接する。
従って、弾性リング15およびガイドブッシュ11のフランジ部11fは、ボール13・13・・・および支持板12を挟持する形となり、支持板12に対するガイドブッシュ11の上下方向の移動が規制される。
【0064】
なお、弾性リング15の上面の外縁部と支持板12の下面とは軽く当接しているので、これらが当接している部分に大きな摩擦力は発生せず、支持板12に対するガイドブッシュ11の水平方向の移動は許容される(阻害されることはない)。
【0065】
ガイドブッシュ11に外力が作用してガイドブッシュ11が支持板12に対して傾斜した姿勢となった場合(本実施形態ではガイドブッシュ11の長手方向が上下方向に対して平行でない姿勢となった場合)、弾性リング15が弾性変形することによりガイドブッシュ11に作用した外力が吸収される。
弾性リング15に吸収された外力の一部は弾性リング15の復元力(弾性リング15が元の形状に戻ろうとする力)として解放され、当該復元力によりガイドブッシュ11の姿勢が元の状態(ガイドブッシュ11の長手方向が上下方向に対して平行な状態)に戻される。
【0066】
本実施形態の支持板12は図示せぬ構造体に移動可能に支持されるが、本発明はこれに限定されない。
例えば、バルブボディ1の収容孔2にバルブスプール3を収容する作業と収容孔2の開口部にプラグを固定する作業とがそれぞれ別の作業位置で行われる場合には、フローティングガイド10を所定の構造体に固定し、収容孔2にバルブスプール3を収容する作業を行う作業位置の上方に固定しても良い。
【0067】
加振装置20は本発明に係る加振装置の実施の一形態であり、フローティングガイド10に水平方向の振動を付与する装置である。
図1に示す如く、加振装置20は振動子21およびアンプ22を具備する。
【0068】
振動子21は振動を発生するものである。本実施形態の振動子21はいわゆるアンバランスマス型の振動子であり、図2に示す如く、電気式モータ21aと、電気式モータ21aの駆動軸に固定された偏心マス(電気式モータの駆動軸の軸線上からずれた位置に重心がある錘)21bと、電気式モータ21aおよび偏心マス21bを収容するケース21cと、を備える。
振動子21は支持板12の上面に固定される。支持板12に固定された電気式モータ21aの駆動軸の軸線方向は上下方向に平行である。
電気式モータ21aに通電することにより電気式モータ21aの駆動軸および偏心マス21bが回転し、偏心マス21bに作用する遠心力に振り回される形で振動子21が電気式モータ21aの駆動軸の半径方向に(電気式モータ21aの回転数に応じた周波数で)振動する。
その結果、振動子21に通電することにより支持板12が水平方向に振動し、ひいては支持板12に対して水平方向に相対移動可能に支持されるガイドブッシュ11も水平方向に振動する。
ガイドブッシュ11が水平方向に振動することにより、ガイドブッシュ11に(一部が)収容されているバルブスプール3も水平方向に振動し、バルブスプール3の下端部が収容孔2の開口部に嵌合しやすくなる。
【0069】
アンプ22は振動子21に接続され、振動子21に電力を供給する(通電する)ものである。アンプ22は振動子21に供給する電力の周波数を変化させることが可能である。
アンプ22が振動子21に供給する電力の周波数が変化することにより、電気式モータ21aの回転数、ひいては振動子21が支持板12に付与する水平方向の振動の周波数が変化する。
【0070】
本実施形態の加振装置20はアンバランスマス型の振動子21およびアンプ22を具備するが、本発明はこれに限定されず、他の方式の加振装置でも良い。
本発明に係る加振装置の他の実施例としては、油圧型の加振装置(油圧で作動するピストンの往復運動により振動を発生させるもの)、動電型の加振装置(磁界中に配置されたコイルに電流を流すことにより発生する力(ローレンツ力)により振動を発生させるもの)等が挙げられる。
【0071】
開閉装置30は本発明に係る開閉装置の実施の一形態であり、ガイドブッシュ11の下端部を開閉するものである。
図1および図2に示す如く、開閉装置30は落下防止ピン31およびエアシリンダ32を具備する。
【0072】
図2に示す如く、落下防止ピン31は軸部31aおよび頭部31bを具備する。
軸部31aおよび頭部31bはいずれも略円柱形状の部分であり、軸部31aの一端部(基部)に頭部31bが連なっている。
軸部31aの外径は頭部31bの外径よりも小さい。また、軸部31aの外径はガイドブッシュ11に形成された孔11gの内径よりも小さく、頭部31bの外径は孔11gの内径よりも大きい。
【0073】
図1および図2に示すエアシリンダ32は空圧により伸長および収縮するアクチュエータであり、シリンダ本体およびシリンダロッドを有する。エアシリンダ32のシリンダロッドの先端部は落下防止ピン31の頭部31bに固定される。エアシリンダ32のシリンダ本体は図示せぬ構造体に固定される。
【0074】
図1および図2に示す如く、エアシリンダ32が伸長しているとき、落下防止ピン31の軸部31aは孔11gを貫通してガイドブッシュ11の内部に挿入される。
落下防止ピン31の軸部31aがガイドブッシュ11の内部に挿入された状態では、ガイドブッシュ11の下端部が閉じられた状態となる。
すなわち、落下防止ピン31の軸部31aがガイドブッシュ11に収容されたバルブスプール3に当接(干渉)するため、バルブスプール3はガイドブッシュ11の下端部から落下することが出来ない。
【0075】
一方、図3および図4に示す如く、エアシリンダ32が収縮しているとき、落下防止ピン31の軸部31aは孔11gから引き抜かれ、ガイドブッシュ11の外部に退避する。
落下防止ピン31の軸部31aがガイドブッシュ11の外部に退避した状態では、ガイドブッシュ11の下端部は開いた状態となる。
すなわち、落下防止ピン31の軸部31aはガイドブッシュ11に収容されたバルブスプール3に当接(干渉)しないので、バルブスプール3はガイドブッシュ11の下端部から落下することが出来る。
【0076】
本実施形態の開閉装置30は落下防止ピン31およびエアシリンダ32を具備するが、本発明はこれに限定されず、他の形式の開閉装置でも良い。
すなわち、フローティングガイドのガイド筒に収容されたバルブスプールが自重で落下不能な状態(下端部が保持された状態)と、バルブスプールが自重で落下可能な状態と、を切り替え可能な装置であれば良い。
【0077】
図1および図2に示す検出装置140は本発明に係る検出装置の第一実施形態であり、ガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に到達したバルブスプール3を検出するものである。
本実施形態の検出装置140はいわゆる透過型の光学式センサであり、投光部141および受光部142を具備する。
【0078】
投光部141は例えば半導体からなる発光素子で構成され、電圧が印加されることにより所定の波長のレーザ光を所定の方向に投光(照射)する。
本実施形態では、投光部141はガイドブッシュ11の左側方かつガイドブッシュ11の下端部からバルブボディ1の上面までの高さとなる位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
【0079】
受光部142は例えば半導体からなる受光素子で構成され、受光した光の強度に応じた電圧の電気信号を出力することにより受光の有無を検出することが可能である。
本実施形態では、受光部142はガイドブッシュ11の右側方かつガイドブッシュ11の下端部からバルブボディ1の上面までの高さとなる位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
【0080】
投光部141が投光した所定の波長のレーザ光(図2中の二点鎖線参照)は、正面視でガイドブッシュ11の下端部とバルブボディ1の上面とで挟まれる位置、かつ平面視でガイドブッシュ11に形成された貫通孔(バルブスプール3を収容する孔)およびバルブボディ1に形成された収容孔2を横切る位置を通って受光部142に到達し、受光部142に受光される。
投光部141と受光部142との間の光路(投光部141が投光したレーザ光が受光部142に受光されるまでに通る経路)はバルブボディ1の上面に形成された収容孔2の開口部の直上、すなわちガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置を通過する。
【0081】
バルブスプール3がガイドブッシュ11の下端部から落下した場合、図3に示す如く投光部141が投光した所定の波長のレーザ光がバルブスプール3により遮られるため、受光部142が受光する光の強度(受光強度)が低下する。
このように、検出装置140は、受光部142の受光強度の変化に基づいてガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に到達したバルブスプール3を検出することが可能である。
【0082】
本実施形態の検出装置140は投光部141および受光部142を具備する透過型の光学式センサであるが、バルブスプールがガイド筒の下端部および収容孔の開口部で挟まれる位置に到達したことを検出可能であれば他の構成でもよい。
他の構成の具体例としては、反射型の光学式センサ(投光部および受光部が一体となったセンサ部を具備し、検出対象物によってはさらにレーザ光を反射するミラーを具備するもの)、静電容量式センサ、接触式センサ(タッチセンサ)等が挙げられる。
【0083】
図1に示す如く、制御ユニット150は制御装置151、入力装置152および表示装置153を備える。
【0084】
制御装置151は本発明に係る制御装置の第一実施形態であり、加振装置20がフローティングガイド10に付与する水平方向の振動の周波数を制御する装置である。
制御装置151は種々のプログラム等を格納し、これらのプログラム等を展開し、これらのプログラム等に従って所定の演算を行い、当該演算の結果等を記憶することができる。
【0085】
制御装置151は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であっても良く、ワンチップのLSI等からなる構成であっても良く、あるいはフリップフロップ回路からなる構成であっても良い。
本実施形態の制御装置151は専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等に上記プログラム等を格納したもので達成することも可能である。
制御装置151による演算(振動周波数制御)の詳細については後述する。
【0086】
制御装置151は加振装置20のアンプ22に接続される。
制御装置151は、アンプ22のON/OFFを指令する電気信号であるON/OFF信号、およびアンプ22が振動子21に供給する電力の周波数を指令する電気信号である周波数信号をアンプ22に送信することが可能である。
アンプ22は、制御装置151から受信したON/OFF信号に従ってアンプ22ひいては加振装置20のON/OFFを行うとともに、制御装置151から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整する(変化させる)。
【0087】
制御装置151は開閉装置30のエアシリンダ32(より厳密には、エアシリンダ32に圧縮空気を供給するエア配管の中途部に設けられた電磁弁)に接続される。
制御装置151はエアシリンダ32が伸長する旨の電気信号である閉信号およびエアシリンダ32が収縮する旨の電気信号である開信号をエアシリンダ32(より厳密には、エアシリンダ32に圧縮空気を供給するエア配管の中途部に設けられた電磁弁)に送信することが可能である。
エアシリンダ32は制御装置151から閉信号を受信した場合には伸長し、制御装置151から開信号を受信した場合には収縮する。
【0088】
制御装置151は検出装置140の受光部142に接続される。
制御装置151は受光部142の受光強度、ひいてはバルブスプール3がガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に到達したことを示す電気信号(検出信号)を受信することが可能である。
【0089】
入力装置152は制御装置151に接続され、作業者がバルブスプール組み付け装置100による組み付け作業に係る種々のデータ、指示等を制御装置151に入力するものである。
本実施形態の入力装置152は専用品であるが、市販のキーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、スイッチ等を用いても同様の目的を達成することが可能である。
【0090】
表示装置153は入力装置152から制御装置151への入力内容、バルブスプール組み付け装置100の動作状況等を表示するものである。
本実施形態の表示装置153は専用品であるが、市販のモニターや液晶ディスプレイ等を用いても同様の目的を達成することが可能である。
本実施形態では入力装置152および表示装置153は別体であるが、例えばタッチパネル等を用いることによりこれらを一体とすることも可能である。
【0091】
以下では、制御装置151による振動周波数制御(フローティングガイド10に付与される水平方向の振動の周波数の制御)の詳細について説明する。
制御装置151による振動周波数制御は、制御装置151に格納されたプログラム(振動周波数制御プログラム)に従って行われる。
【0092】
図2に示す如く、制御装置151による振動周波数制御が開始される前の時点では、バルブボディ1は治具4の上面に固定された状態で作業位置(フローティングガイド10の下方)に配置され、バルブスプール3はガイドブッシュ11に収容され、開閉装置30はガイドブッシュ11の下端部を閉じている。
【0093】
まず、制御装置151は加振装置20のアンプ22にON信号を送信するとともに、第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する(図5中の時間t11参照)。
アンプ22は制御装置151から受信したON信号に従って起動し、制御装置151から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0094】
次に、制御装置151は開閉装置30のエアシリンダ32(より厳密には、エアシリンダ32に圧縮空気を供給するエア配管の中途部に設けられた電磁弁)に開信号を送信する(図5中の時間t12参照)。
その結果、エアシリンダ32は収縮し、ガイドブッシュ11の下端部が開いた状態となるので、バルブスプール3は落下を開始する。
【0095】
本発明の発明者は、ガイドブッシュ11の形状およびバルブスプール3の形状(バルブスプール3の重量、ガイドブッシュ11の内周面とバルブスプール3の外周面との間の隙間の大きさ)、並びにガイドブッシュ11の水平方向の振幅(ガイドブッシュ11と支持板12との間の隙間の大きさにより定まる)が予め定まっている場合、図6に示す如く「ガイドブッシュ11からバルブスプール3が落下する速度はガイドブッシュ11の水平方向の振動の周波数が大きい程小さくなる」という現象が起こることを実験により確認している。
このような現象は、ガイドブッシュ11の水平方向の振動の周波数が大きい程バルブスプール3の外周面がガイドブッシュ11の内周面に当接する回数(ひいては当接している時間)が増加し、バルブスプール3とガイドブッシュ11とが当接している部分に作用する上下方向の摩擦力がバルブスプール3の落下を阻害する効果が大きくなることにより起こると考えられる。
本発明は、上記の現象を利用することにより、バルブスプールの落下速度を制御する。
【0096】
図5に示す如く、バルブスプール3が落下を開始した時点(時間t12)ではガイドブッシュ11は第一周波数N1で水平方向に振動している。
本実施形態では、ガイドブッシュ11が第一周波数N1で水平方向に振動しているとき、バルブスプール3は落下速度V1で落下する(図6参照)。
【0097】
図3に示す如く、落下速度V1で落下しているバルブスプール3の下端部が投光部141と受光部142との間の光路を遮ったとき(図5中の時間t13参照)、制御装置151は受光部142から検出信号を受信する(厳密には、制御装置151は受光部142から受信する電気信号の電圧が低下したことを検知する)。
制御装置151は、検出信号を受信した時点から「待ち時間」が経過した時点(図5中の時間t14参照)を「基準時点」とし、当該基準時点で加振装置20のアンプ22に第二周波数N2の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
なお、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は、基準時点以前は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0098】
ここで、制御装置151が検出信号を受信した時点ではなく基準時点でアンプ22に第二周波数N2の振動を付与する旨の周波数信号を送信するのは、バルブスプール3の下端部が投光部141と受光部142との間の光路を遮ってから実際に収容孔2の開口部に嵌合する(収容孔2の内部に向かって落下可能な状態となる)までにある程度の時間を要するからである。
また、バルブスプール3の下端部が投光部141と受光部142との間の光路を遮ってから実際に収容孔2の開口部に嵌合するまでに要する時間(待ち時間)はバルブボディ1に形成されている収容孔2の位置精度あるいは第一周波数N1の大きさ等によっても変動し得るので、これらの状況を勘案して予め実験的に求められ、設定される。
【0099】
アンプ22は制御装置151から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第二周波数N2で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は、基準時点以後は第二周波数N2で水平方向に振動する。
【0100】
図6に示す如く、第二周波数N2は第一周波数N1よりも大きい(N2>N1)ので、第二周波数N2で水平方向に振動するガイドブッシュ11からバルブスプール3が落下する速度V2は、第一周波数N1で水平方向に振動するガイドブッシュ11からバルブスプール3が落下する速度V1よりも小さい(V2<V1)。
本実施形態では、基準時点以後のバルブスプール3は、基準時点以前の落下速度V1よりも小さい落下速度V2で収容孔2の内部を落下する。
【0101】
図4に示す如く、落下速度V2で落下しているバルブスプール3の上端部が投光部141と受光部142との間の光路よりも下方に位置し、当該光路を遮らなくなったとき(図5中の時間t15参照)、制御装置151は受光部142から受信する電気信号の電圧が上昇したことを検知する。
制御装置151は、受光部142から受信する電気信号の電圧が上昇したことを検知した時点で加振装置20のアンプ22に第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
アンプ22は制御装置151から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、フローティングガイド10は、受光部142から受信する電気信号の電圧が上昇した時点以後は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0102】
この後、作業者の目視によりバルブスプール3が収容孔2に適正に(奥まで)収容されたか否か、誤って異なる種類のバルブスプールが収容孔2に収容されたか否か、等の確認が行われる。
バルブスプール3が収容孔2に適正に収容されていない場合(バルブスプール3が途中で引っ掛かっている場合)、あるいは異なる種類のバルブスプールが収容孔2に収容されている場合には、作業者が手でバルブスプール3を収容孔2に収容する。
【0103】
受光部142から受信する電気信号の電圧が上昇した時点では既にバルブスプール3はガイドブッシュ11から完全に脱落しているため、ガイドブッシュ11の振動の周波数を変更してもバルブスプール3の落下速度を制御することは出来ない。
しかし、本実施形態では搬送装置5によって作業位置に搬送されてくる次のバルブボディ1の収容孔2に次のバルブスプール3を収容するための準備として、フローティングガイド10を受光部142から受信する電気信号の電圧が上昇した時点以後も第一周波数N1で水平方向に振動している。
なお、次のバルブボディ1が作業位置に搬送されてこない場合には、受光部142から受信する電気信号の電圧が上昇した時点で加振装置20をOFFにし、フローティングガイド10の振動を停止する制御を行っても良い(図5中の太い点線参照)。
【0104】
以下では、第一周波数N1の設定方法について説明する。
第一周波数N1は、実質的にはバルブスプール3が落下を開始する前からバルブスプール3の下端部が実際に収容孔2の開口部に嵌合するまでの間におけるフローティングガイド10(ガイドブッシュ11)の水平方向の振動の周波数である。
【0105】
組み付け装置100がバルブボディ1の収容孔2にバルブスプール3を収容する作業、すなわち組み付け作業を連続して(繰り返し)行う場合、サイクルタイム(一回の組み付けに要する時間)を極力短くすることが組み付け作業の効率(生産性)を向上する観点から望ましい。
このような観点からは、第一周波数N1を極力小さく設定し、バルブボディ1の落下速度を極力大きくすることが望ましい。
【0106】
(a)第一周波数N1が過小である場合にはバルブスプール3が単位時間当たりに水平方向に移動する距離(回数)が小さくなるためなかなか収容孔2に嵌合しない。
(b)第一周波数N1が過大である場合にはバルブスプール3が過度に激しく移動するため却って収容孔2に嵌合しにくい。上記(a)および(b)を考慮した場合、第一周波数N1を適切な値に設定することにより、バルブスプール3がバルブボディ1の収容孔2の開口部に到達(当接)してから実際に収容孔2に嵌合するまでの時間を極力短くすることが望ましい。
【0107】
通常、ガイドブッシュ11の下端部から収容孔2の開口部までの距離(落差)は、この間をバルブスプール3が移動する時間を極力短くする観点、およびバルブスプール3が収容孔2の開口部に衝突することによる衝突部位の変形(傷)を防止する観点から極力短く設定される。
従って、第一周波数N1を大きい値に設定することによりバルブスプール3の落下速度を小さく抑えることは必要性に乏しい。
【0108】
また、発明者は、上記の如き事情に鑑みて実験を行った結果、バルブスプール3がバルブボディ1の収容孔2の開口部に到達(当接)してから実際に収容孔2に嵌合するまでの時間を極力短くすることが可能な周波数は比較的小さい(低い)周波数帯に分布することを確認している。
【0109】
以上の考察から、バルブスプール3がバルブボディ1の収容孔2の開口部に到達(当接)してから実際に収容孔2に嵌合するまでの時間を極力短くすることが可能な周波数帯のうちで極力小さい周波数を第一周波数N1として設定することが望ましい。
このようにして設定された第一周波数N1は制御装置151に予め記憶され、制御装置151による振動周波数制御に用いられる。
【0110】
以下では、第二周波数N2の設定方法について説明する。
第二周波数N2は、実質的にはバルブスプール3の下端部が実際に収容孔2の開口部に嵌合してからバルブスプール3がガイドブッシュ11から完全に脱落するまでの間におけるフローティングガイド10(ガイドブッシュ11)の水平方向の振動の周波数である。
【0111】
バルブスプール3がガイドブッシュ11から完全に脱落した後はバルブスプール3はほぼ自由落下の状態となるため、バルブスプール3の下端部が収容孔2の底部に衝突するまで落下速度が上昇し続けることとなる。
バルブスプール3の重量をMとし、バルブスプール3の落下速度がVのときにバルブスプール3の下端部が収容孔2の底部に衝突した場合、衝突時の力積はMとVとの積(=M×V)で表される。
バルブスプール3および収容孔2の底部の形状が一定である(衝突箇所の形状の影響を考慮しない)場合、変形(傷)の発生の有無は衝突時の衝撃の大きさに依存し、衝突時の衝撃の大きさは衝突時の力積との間に比例関係を有する。そして、衝突時の衝撃の大きさが所定の閾値以上となった場合に変形が発生する。
従って、バルブスプール3の形状(ひいては重量)を変更することが出来ない場合、バルブスプール3の下端部および収容孔2の底部の変形(傷)を防止する観点からはバルブスプール3の下端部が収容孔2の底部に衝突する瞬間の落下速度を極力小さくすることが望ましい。
結果として、第二周波数N2を極力大きく設定することにより、バルブスプール3がガイドブッシュ11から完全に脱落する瞬間の落下速度を極力小さくすることが望ましい。
【0112】
一方、組み付け作業のサイクルタイムを極力短くする観点からは、第二周波数N2を極力小さく設定することが望ましい。
【0113】
以上の考察から、バルブスプール3の下端部および収容孔2の底部の変形(傷)を回避(防止)可能な範囲内で極力小さい周波数を第二周波数N2として設定することが望ましい。
なお、予めそれぞれ重量の異なる複数のバルブスプールを用意し、これらをガイドブッシュから落下させる実験を行うことにより「バルブスプールの重量」と、「バルブスプールの落下速度(振動の周波数)」と、「バルブスプールおよび収容孔の底部の変形の発生の有無」と、の関係(図7参照)を明らかにし、当該実験結果に基づいて第二周波数N2を設定することが望ましい。
このようにして設定された第二周波数N2は制御装置151に予め記憶され、制御装置151による振動周波数制御に用いられる。
【0114】
以上の如く、組み付け装置100は、
バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置であって、
収容孔2の開口部が上方に向けられた姿勢で保持されたバルブボディ1の上方に配置され、自重で落下するバルブスプール3を収容孔2の開口部に導くフローティングガイド10と、
フローティングガイド10に水平方向の振動を付与する加振装置20と、
加振装置20がフローティングガイド10に付与する水平方向の振動の周波数を制御する制御装置151と、
を具備し、
制御装置151は、
フローティングガイド10により収容孔2の開口部に導かれるバルブスプール3の先端部が収容孔2の開口部に嵌合する時点(本実施形態では制御装置151が受光部142から検出信号を受信した時点から「待ち時間」が経過した時点でバルブスプール3の先端部が収容孔2の開口部に嵌合したものとみなす)を基準時点とし、基準時点以前は加振装置20に第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与させ、基準時点以後は加振装置20に第一周波数N1よりも大きい第二周波数N2の振動をフローティングガイド10に付与させる。
このように構成することにより、バルブボディ1に形成された収容孔2の内部をバルブスプール3が落下する速度(落下速度)を精度良く制御することが可能であり、ひいてはバルブスプール3およびバルブボディ1の変形を防止することが可能である。
また、基準時点以前は加振装置20に第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与することにより、収容孔2にバルブスプール3を収容する作業(組み付け作業)に要する時間(サイクルタイム)を極力短くすることが可能である。
【0115】
また、組み付け装置100のフローティングガイド10は、
バルブスプール3を上下方向に摺動可能に収容し、下端部が収容孔2の開口部の上方に配置されるガイドブッシュ11と、
ガイドブッシュ11を水平方向に相対移動可能に支持する支持板12と、
を具備し、
加振装置20は、
支持板12に水平方向の振動を付与する。
このように構成することにより、簡便な構成でガイドブッシュ11を水平方向に振動させることが可能である。
【0116】
また、組み付け装置100のフローティングガイド10は、
ガイドブッシュ11の下端部を開閉する開閉装置30を具備する。
このように構成することにより、ガイドブッシュ11に収容されたバルブスプール3が収容孔2の開口部に向かって落下するタイミングを制御することが可能である。
【0117】
また、組み付け装置100は、
ガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に到達したバルブスプール3を検出する検出装置140を具備し、
制御装置151は、
検出装置140がバルブスプール3を検出した時点から予め設定された待ち時間が経過した時点を基準時点とし、基準時点以前は加振装置20に第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与させ、基準時点以後は加振装置20に第二周波数N2の振動をフローティングガイド10に付与させる。
このように構成することは、以下の利点を有する。
バルブスプール3が収容孔2の開口部に嵌合するまでは比較的小さい(低い)周波数である第一周波数N1をフローティングガイド10に付与することによりバルブスプール3の落下速度を大きくするとともに迅速にバルブスプール3を収容孔2の開口部に嵌合することが可能である。
また、バルブスプール3が収容孔2の開口部に嵌合した後は比較的大きい(高い)周波数である第二周波数N2をフローティングガイド10に付与することによりバルブスプール3の落下速度を抑え、バルブスプール3およびバルブボディ1の変形を防止することが可能である。
従って、バルブスプール3およびバルブボディ1の変形を防止しつつ組み付け作業のサイクルタイムの短縮(生産性の向上)に寄与する。
【0118】
また、組み付け装置100のガイドブッシュ11の内周面の上端部には上方に向かって拡径するテーパ面(第一テーパ面11bおよび第二テーパ面11d)が形成される。
このように構成することにより、バルブスプール3をガイドブッシュ11の内部に容易かつ確実に収容することが可能である。
【0119】
本実施形態では図5に示す如く、基準時点(時間t14)を境界として加振装置20がフローティングガイド10に付与する振動の周波数を第一周波数N1から一気に第二周波数N2まで上昇させるが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図8に示す如く、基準時点(時間t14)経過後に加振装置20がフローティングガイド10に付与する振動の周波数を第一周波数N1から徐々に第二周波数N2まで上昇させても良い。
また、図9に示す如く、基準時点(時間t14)経過後に加振装置20がフローティングガイド10に付与する振動の周波数を第一周波数N1から段階的に第二周波数N2まで上昇させても良い。
【0120】
本実施形態ではバルブスプール3がガイドブッシュ11に収容された状態で上下方向に摺動するが、本発明に係る上下方向は鉛直方向(重力が作用する方向)に完全に平行な方向のみを指すものではない。
すなわち、本発明に係る「上下方向」は、バルブスプールが自重で落下して収容孔の開口部に到達するのを阻害しない範囲において、鉛直方向に対して完全に平行な方向から傾斜した方向を含む。
【0121】
本実施形態では加振装置20がフローティングガイド10に水平方向の振動を付与するが、本発明に係る水平方向は「鉛直方向に対して垂直な方向」に対して完全に平行な方向のみを指すものではない。
すなわち、本発明に係る「水平方向」は、振動の周波数を変化させることによりバルブスプールの落下速度を変化させることが可能な範囲において、「鉛直方向に対して垂直な方向」に対して完全に平行な方向から傾斜した方向を含む。
【0122】
以下では、図10から図14を用いて本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第二実施形態である組み付け装置200について説明する。
図10に示す組み付け装置200は、バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置である。
組み付け装置200に供されるバルブボディ1には、ピン孔7が形成される。
ピン孔7はバルブボディ1を貫通し、かつ収容孔2の中途部に連通する孔であり、収容孔2を閉塞するプラグ(不図示)を係止するためのピンを嵌入する孔である。
本実施形態では、バルブボディ1が作業位置に停止しているとき、ピン孔7の長手方向が左右方向に対して平行となる。
【0123】
図10に示す如く、組み付け装置200は、フローティングガイド10、加振装置20、開閉装置30、検出装置240および制御ユニット250を具備する。
【0124】
ここで、本実施形態の組み付け装置200におけるフローティングガイド10、加振装置20および開閉装置30の基本的な構成は図1に示す組み付け装置100におけるフローティングガイド10、加振装置20および開閉装置30の基本的な構成と略同じであるため、説明を省略する。
【0125】
図10および図11に示す検出装置240は本発明に係る検出装置の第二実施形態であり、収容孔2の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に到達したバルブスプール3を検出するものである。
本実施形態の検出装置240はいわゆる透過型の光学式センサであり、投光部241および受光部242を具備する。
【0126】
投光部241は例えば半導体からなる発光素子で構成され、電圧が印加されることにより所定の波長のレーザ光を所定の方向に投光(照射)する。
本実施形態では、投光部241は作業位置に配置されたバルブボディ1に形成されたピン孔7の左側の開口部に対向する位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
【0127】
受光部242は例えば半導体からなる受光素子で構成され、受光した光の強度に応じた電圧の電気信号を出力することにより受光の有無を検出することが可能である。
本実施形態では、受光部242は作業位置に配置されたバルブボディ1に形成されたピン孔7の右側の開口部に対向する位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
【0128】
投光部241が投光した所定の波長のレーザ光(図11中の二点鎖線参照)は、収容孔2の中途部、すなわち収容部2の開口部から所定高さだけ下となる部分を横切り、ピン孔7を貫通して受光部242に到達し、受光部242に受光される。
【0129】
バルブスプール3が収容部2の開口部に嵌合し、さらに所定高さだけ落下した場合、図12に示す如く投光部241が投光した所定の波長のレーザ光がバルブスプール3により遮られるため、受光部242が受光する光の強度(受光強度)が低下する。
このように、検出装置240は、受光部242の受光強度の変化(低下)に基づいて収容孔2の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に到達したバルブスプール3を検出することが可能である。
【0130】
図10に示す如く、制御ユニット250は制御装置251、入力装置252および表示装置253を備える。
本実施形態の制御装置251、入力装置252および表示装置253のハードウェアとしての構成は図1に示す制御装置151、入力装置152および表示装置153のハードウェアとしての構成と略同じであるため、説明を省略する。
【0131】
以下では、制御装置251による振動周波数制御(フローティングガイド10に付与される水平方向の振動の周波数の制御)の詳細について説明する。
制御装置251による振動周波数制御は、制御装置251に格納されたプログラム(振動周波数制御プログラム)に従って行われる。
【0132】
図11に示す如く、制御装置251による振動周波数制御が開始される前の時点では、バルブボディ1は治具4の上面に固定された状態で作業位置(フローティングガイド10の下方)に配置され、バルブスプール3はガイドブッシュ11に収容され、開閉装置30はガイドブッシュ11の下端部を閉じている。
【0133】
まず、制御装置251は加振装置20のアンプ22にON信号を送信するとともに、第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する(図14中の時間t21参照)。
アンプ22は制御装置251から受信したON信号に従って起動し、制御装置251から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0134】
次に、制御装置251は開閉装置30のエアシリンダ32(より厳密には、エアシリンダ32に圧縮空気を供給するエア配管の中途部に設けられた電磁弁)に開信号を送信する(図14中の時間t22参照)。
その結果、エアシリンダ32は収縮し、ガイドブッシュ11の下端部が開いた状態となるので、バルブスプール3は落下を開始する。
【0135】
図14に示す如く、バルブスプール3が落下を開始した時点(時間t22)ではガイドブッシュ11は第一周波数N1で水平方向に振動している。
本実施形態では、ガイドブッシュ11が第一周波数N1で水平方向に振動しているとき、バルブスプール3は落下速度V1で落下する(図6参照)。
【0136】
図12に示す如く、落下速度V1で落下しているバルブスプール3が収容孔2の開口部に嵌合し、その後所定高さだけ落下した位置に到達することにより投光部241と受光部242との間の光路を遮ったとき(図14中の時間t23参照)、制御装置251は受光部242から検出信号を受信する(厳密には、制御装置251は受光部242から受信する電気信号の電圧が低下したことを検知する)。
制御装置251は、検出信号を受信した時点(図14中の時間t23参照)を「基準時点」とし、当該基準時点で加振装置20のアンプ22に第二周波数N2の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
なお、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は、基準時点以前は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0137】
アンプ22は制御装置251から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第二周波数N2で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は基準時点以後は第二周波数N2で水平方向に振動し、基準時点以後のバルブスプール3は基準時点以前の落下速度V1よりも小さい落下速度V2で収容孔2の内部を落下する。
【0138】
図13に示す如く、基準時点から所定時間経過した時点では、バルブスプール3の下端部が収容孔2の底部に到達している。
制御装置251は、基準時点から所定時間経過した時点(図14中の時間t24参照)で(バルブスプール3の下端部が収容孔2の底部に到達したとみなして)加振装置20のアンプ22に第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
ここで、「所定時間(本実施形態では、時間t24と時間t23との差分)」は、第二周波数N2の振動が付与されているときのバルブスプール3の落下速度V2、収容孔2の深さ等に基づいて予め実験的に定められる。
アンプ22は制御装置251から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、フローティングガイド10は、基準時点から所定時間経過した時点以後は第一周波数N1で水平方向に振動する。
なお、次のバルブボディ1が作業位置に搬送されてこない場合には、基準時点から所定時間経過した時点で加振装置20をOFFにし、フローティングガイド10の振動を停止する制御を行っても良い(図14中の太い点線参照)。
【0139】
以上の如く、組み付け装置200は、
バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置であって、
収容孔2の開口部が上方に向けられた姿勢で保持されたバルブボディ1の上方に配置され、自重で落下するバルブスプール3を収容孔2の開口部に導くフローティングガイド10と、
フローティングガイド10に水平方向の振動を付与する加振装置20と、
収容孔2の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に到達したバルブスプール3を検出する検出装置240と、
加振装置20がフローティングガイド10に付与する水平方向の振動の周波数を制御する制御装置251と、
を具備し、
制御装置251は、
検出装置240がバルブスプール3を検出した時点を基準時点とし、基準時点以前は加振装置20に第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与させ、基準時点以後は加振装置20に第二周波数N2の振動をフローティングガイド10に付与させる。
このように構成することにより、バルブスプール3およびバルブボディ1の変形を防止しつつ組み付け作業のサイクルタイムの短縮(生産性の向上)に寄与する。
【0140】
本実施形態では、検出装置240の投光部241により投光された光がピン孔7を通って受光部242に受光されるが、本発明はこれに限定されない。
例えば、投光部により投光された光が収容孔に連通する油路を通って受光部に受光される構成でも良い。
【0141】
以下では、図15から図19を用いて本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第三実施形態である組み付け装置300について説明する。
図20に示す組み付け装置300は、バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置である。
組み付け装置300に供されるバルブボディ1には、ピン孔7が形成される。
ピン孔7はバルブボディ1を貫通し、かつ収容孔2の中途部に連通する孔であり、収容孔2を閉塞するプラグ(不図示)を係止するためのピンを嵌入するための孔である。
本実施形態では、バルブボディ1が作業位置に停止しているとき、ピン孔7の長手方向が左右方向に対して平行となる。
【0142】
図15に示す如く、組み付け装置300は、フローティングガイド10、加振装置20、開閉装置30、検出装置340および制御ユニット350を具備する。
【0143】
ここで、本実施形態の組み付け装置300におけるフローティングガイド10、加振装置20および開閉装置30の基本的な構成は図1に示す組み付け装置100におけるフローティングガイド10、加振装置20および開閉装置30の基本的な構成と略同じであるため、説明を省略する。
【0144】
図15および図16に示す検出装置340は本発明に係る検出装置の第三実施形態であり、収容孔2の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に到達したバルブスプール3を検出するものである。
本実施形態の検出装置340はいわゆる透過型の光学式センサであり、第一投光部341、第一受光部342、第二投光部343および第二受光部344を具備する。
【0145】
第一投光部341および第二投光部343は例えば半導体からなる発光素子で構成され、電圧が印加されることにより所定の波長のレーザ光を所定の方向に投光(照射)する。
本実施形態では、第一投光部341はガイドブッシュ11の左側方かつガイドブッシュ11の下端部からバルブボディ1の上面までの高さとなる位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
また、第二投光部343は作業位置に配置されたバルブボディ1に形成されたピン孔7の左側の開口部に対向する位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
【0146】
第一受光部342および第二受光部344は例えば半導体からなる受光素子で構成され、受光した光の強度に応じた電圧の電気信号を出力することにより受光の有無を検出することが可能である。
本実施形態では、第一受光部342はガイドブッシュ11の右側方かつガイドブッシュ11の下端部からバルブボディ1の上面までの高さとなる位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
また、第二受光部344は作業位置に配置されたバルブボディ1に形成されたピン孔7の右側の開口部に対向する位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
【0147】
第一投光部341が投光した所定の波長のレーザ光(図16中の上側の二点鎖線参照)は、正面視でガイドブッシュ11の下端部とバルブボディ1の上面とで挟まれる位置、かつ平面視でガイドブッシュ11に形成された貫通孔(バルブスプール3を収容する孔)およびバルブボディ1に形成された収容孔2を横切る位置を通って第一受光部342に到達し、第一受光部342に受光される。
第一投光部341と第一受光部342との間の光路(第一投光部341が投光したレーザ光が第一受光部342に受光されるまでに通る経路)はバルブボディ1の上面に形成された収容孔2の開口部の直上、すなわちガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置を通過する。
【0148】
第二投光部343が投光した所定の波長のレーザ光(図16中の下側の二点鎖線参照)は、収容孔2の中途部、すなわち収容部2の開口部から所定高さだけ下となる部分を横切り、ピン孔7を貫通して第二受光部344に到達し、第二受光部344に受光される。
【0149】
バルブスプール3がガイドブッシュ11の下端部から落下した場合、図17に示す如く第一投光部341が投光した所定の波長のレーザ光がバルブスプール3の下端部により遮られるため、第一受光部342が受光する光の強度(受光強度)が低下する。
このように、検出装置340は、第一受光部342の受光強度の変化(低下)に基づいてガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に到達したバルブスプール3の下端部を検出することが可能である。
【0150】
バルブスプール3が収容部2の開口部に嵌合し、さらに所定高さだけ落下した場合、図17に示す如く第二投光部343が投光した所定の波長のレーザ光がバルブスプール3の下端部により遮られるため、第二受光部344が受光する光の強度(受光強度)が低下する。
このように、検出装置340は、第二受光部344の受光強度の変化(低下)に基づいて収容孔2の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に到達したバルブスプール3の下端部を検出することが可能である。
【0151】
バルブスプール3が収容部2の開口部に嵌合し、所定高さだけ落下した後さらに落下した場合、図18に示す如く第一投光部341が投光した所定の波長のレーザ光がバルブスプール3により遮られなくなるため、第一受光部342が受光する光の強度(受光強度)が上昇する。
このように、検出装置340は、第一受光部342の受光強度の変化(上昇)に基づいてガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に到達したバルブスプール3の上端部を検出することが可能である。
【0152】
図15に示す如く、制御ユニット350は制御装置351、入力装置352および表示装置353を備える。
本実施形態の制御装置351、入力装置352および表示装置353のハードウェアとしての構成は図1に示す制御装置151、入力装置152および表示装置153のハードウェアとしての構成と略同じであるため、説明を省略する。
【0153】
以下では、制御装置351による振動周波数制御(フローティングガイド10に付与される水平方向の振動の周波数の制御)の詳細について説明する。
制御装置351による振動周波数制御は、制御装置351に格納されたプログラム(振動周波数制御プログラム)に従って行われる。
【0154】
図16に示す如く、制御装置351による振動周波数制御が開始される前の時点では、バルブボディ1は治具4の上面に固定された状態で作業位置(フローティングガイド10の下方)に配置され、バルブスプール3はガイドブッシュ11に収容され、開閉装置30はガイドブッシュ11の下端部を閉じている。
【0155】
まず、制御装置351は加振装置20のアンプ22にON信号を送信するとともに、第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する(図19中の時間t31参照)。
アンプ22は制御装置351から受信したON信号に従って起動し、制御装置351から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0156】
次に、制御装置351は開閉装置30のエアシリンダ32(より厳密には、エアシリンダ32に圧縮空気を供給するエア配管の中途部に設けられた電磁弁)に開信号を送信する(図19中の時間t32参照)。
その結果、エアシリンダ32は収縮し、ガイドブッシュ11の下端部が開いた状態となるので、バルブスプール3は落下を開始する。
【0157】
図19に示す如く、バルブスプール3が落下を開始した時点(時間t32)ではガイドブッシュ11は第一周波数N1で水平方向に振動している。
本実施形態では、ガイドブッシュ11が第一周波数N1で水平方向に振動しているとき、バルブスプール3は落下速度V1で落下する(図6参照)。
【0158】
図17に示す如く、落下速度V1で落下しているバルブスプール3が収容孔2の開口部に嵌合し、その後所定高さだけ落下した位置に到達することにより第二投光部343と第二受光部344との間の光路を遮ったとき(図19中の時間t33参照)、制御装置351は第二受光部344から検出信号を受信する(厳密には、制御装置351は第二受光部344から受信する電気信号の電圧が低下したことを検知する)。
制御装置351は、検出信号を受信した時点(図19中の時間t33参照)を「基準時点」とし、当該基準時点で加振装置20のアンプ22に第二周波数N2の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
なお、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は、基準時点以前は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0159】
アンプ22は制御装置351から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第二周波数N2で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は基準時点以後は第二周波数N2で水平方向に振動し、基準時点以後のバルブスプール3は基準時点以前の落下速度V1よりも小さい落下速度V2で収容孔2の内部を落下する。
【0160】
図18に示す如く、落下速度V2で落下しているバルブスプール3の上端部が第一投光部341と第一受光部342との間の光路よりも下方に位置し、当該光路を遮らなくなったとき(図19中の時間t34参照)、制御装置351は第一受光部342から受信する電気信号の電圧が上昇したことを検知する。
制御装置351は、第一受光部342から受信する電気信号の電圧が上昇したことを検知した時点で加振装置20のアンプ22に第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
アンプ22は制御装置351から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、フローティングガイド10は、第一受光部342から受信する電気信号の電圧が上昇した時点以後は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0161】
以上の如く、組み付け装置300は、
バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置であって、
収容孔2の開口部が上方に向けられた姿勢で保持されたバルブボディ1の上方に配置され、自重で落下するバルブスプール3を収容孔2の開口部に導くフローティングガイド10と、
フローティングガイド10に水平方向の振動を付与する加振装置20と、
ガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に上端部が到達したバルブスプール3、および収容孔2の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に下端部が到達したバルブスプール3を検出する検出装置340と、
加振装置20がフローティングガイド10に付与する水平方向の振動の周波数を制御する制御装置351と、
を具備し、
制御装置351は、
検出装置340がガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に上端部が到達したバルブスプール3を検出した時点を基準時点とし、基準時点以前は加振装置20に第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与させ、基準時点以後は加振装置20に第二周波数N2の振動をフローティングガイド10に付与させ、さらに検出装置340がガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に上端部が到達したバルブスプール3を検出した時点以後は加振装置20に第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与させる。
このように構成することにより、バルブスプール3およびバルブボディ1の変形を防止しつつ組み付け作業のサイクルタイムの短縮(生産性の向上)に寄与する。
【0162】
本実施形態では、検出装置340の第二投光部343により投光された光がピン孔7を通って第二受光部344に受光されるが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第二投光部により投光された光が収容孔に連通する油路を通って第二受光部に受光される構成でも良い。
【0163】
以下では、図20から図24を用いて本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第四実施形態である組み付け装置400について説明する。
図20に示す組み付け装置400は、バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置である。
【0164】
図20に示す如く、組み付け装置400は、フローティングガイド10、加振装置20、開閉装置30および制御ユニット450を具備する。
【0165】
ここで、本実施形態の組み付け装置400におけるフローティングガイド10、加振装置20および開閉装置30の基本的な構成は図1に示す組み付け装置100におけるフローティングガイド10、加振装置20および開閉装置30の基本的な構成と略同じであるため、説明を省略する。
【0166】
図20に示す如く、制御ユニット450は制御装置451、入力装置452および表示装置453を備える。
本実施形態の制御装置451、入力装置452および表示装置453のハードウェアとしての構成は図1に示す制御装置151、入力装置152および表示装置153のハードウェアとしての構成と略同じであるため、説明を省略する。
【0167】
以下では、制御装置451による振動周波数制御(フローティングガイド10に付与される水平方向の振動の周波数の制御)の詳細について説明する。
制御装置451による振動周波数制御は、制御装置451に格納されたプログラム(振動周波数制御プログラム)に従って行われる。
【0168】
図21に示す如く、制御装置451による振動周波数制御が開始される前の時点では、バルブボディ1は治具4の上面に固定された状態で作業位置(フローティングガイド10の下方)に配置され、バルブスプール3はガイドブッシュ11に収容され、開閉装置30はガイドブッシュ11の下端部を閉じている。
【0169】
まず、制御装置451は加振装置20のアンプ22にON信号を送信するとともに、第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する(図24中の時間t41参照)。
アンプ22は制御装置451から受信したON信号に従って起動し、制御装置451から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0170】
次に、制御装置451は開閉装置30のエアシリンダ32(より厳密には、エアシリンダ32に圧縮空気を供給するエア配管の中途部に設けられた電磁弁)に開信号を送信する(図24中の時間t42参照)。
その結果、エアシリンダ32は収縮し、ガイドブッシュ11の下端部が開いた状態となるので、バルブスプール3は落下を開始する。
【0171】
図24に示す如く、バルブスプール3が落下を開始した時点(時間t42)ではガイドブッシュ11は第一周波数N1で水平方向に振動している。
本実施形態では、ガイドブッシュ11が第一周波数N1で水平方向に振動しているとき、バルブスプール3は落下速度V1で落下する(図6参照)。
【0172】
図22に示す如く、開閉装置30がガイドブッシュ11の下端部を開いた時点(時間t42)から「待ち時間」が経過した時点では、バルブスプール3の下端部が収容孔2の開口部に嵌合している。
制御装置451は、開閉装置30がガイドブッシュ11の下端部を開いた時点(時間t42)から所定時間経過した時点(図24中の時間t43参照)を「基準時点」とし、当該基準時点で(バルブスプール3の下端部が収容孔2の開口部に嵌合したとみなして)加振装置20のアンプ22に第二周波数N2の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
ここで、「待ち時間(本実施形態では、時間t43と時間t42との差分)」は、第一周波数N1の振動が付与されているときのバルブスプール3の落下速度V1、ガイドブッシュ11の下端部から収容孔2の開口部までの距離、バルブスプール3の下端部が収容孔2の開口部に到達してから収容孔2の開口部に嵌合するまでに要する時間等に基づいて予め実験的に定められる。
【0173】
アンプ22は制御装置451から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第二周波数N2で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は基準時点以後は第二周波数N2で水平方向に振動し、基準時点以後のバルブスプール3は基準時点以前の落下速度V1よりも小さい落下速度V2で収容孔2の内部を落下する。
【0174】
図23に示す如く、基準時点から所定時間経過した時点では、バルブスプール3の下端部が収容孔2の底部に到達している。
制御装置451は、基準時点から所定時間経過した時点(図24中の時間t44参照)で(バルブスプール3の下端部が収容孔2の底部に到達したとみなして)加振装置20のアンプ22に第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
ここで、「所定時間(本実施形態では、時間t44と時間t43との差分)」は、第二周波数N2の振動が付与されているときのバルブスプール3の落下速度V2、収容孔2の深さ等に基づいて予め実験的に定められる。
アンプ22は制御装置451から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、フローティングガイド10は、基準時点から所定時間経過した時点以後は第一周波数N1で水平方向に振動する。
なお、次のバルブボディ1が作業位置に搬送されてこない場合には、基準時点から所定時間経過した時点で加振装置20をOFFにし、フローティングガイド10の振動を停止する制御を行っても良い(図24中の太い点線参照)。
【0175】
以上の如く、組み付け装置400は、
バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置であって、
収容孔2の開口部が上方に向けられた姿勢で保持されたバルブボディ1の上方に配置され、自重で落下するバルブスプール3を収容孔2の開口部に導くフローティングガイド10と、
フローティングガイド10に水平方向の振動を付与する加振装置20と、
フローティングガイド10のガイドブッシュ11の下端部を開閉する開閉装置30と、
加振装置20がフローティングガイド10に付与する水平方向の振動の周波数を制御する制御装置451と、
を具備し、
制御装置451は、
開閉装置30がガイドブッシュ11の下端部を開いた時点から予め設定された待ち時間が経過した時点を基準時点とし、基準時点以前は加振装置20に第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与させ、基準時点以後は加振装置20に第二周波数N2の振動をフローティングガイド10に付与させる。
このように構成することは、以下の利点を有する。
バルブスプール3が収容孔2の開口部に嵌合するまでは比較的小さい(低い)周波数である第一周波数N1をフローティングガイド10に付与することによりバルブスプール3の落下速度を大きくするとともに迅速にバルブスプール3を収容孔2の開口部に嵌合することが可能である。
また、バルブスプール3が収容孔2の開口部に嵌合した後は比較的大きい(高い)周波数である第二周波数N2をフローティングガイド10に付与することによりバルブスプール3の落下速度を抑え、バルブスプール3およびバルブボディ1の変形を防止することが可能である。
従って、バルブスプール3およびバルブボディ1の変形を防止しつつ組み付け作業のサイクルタイムの短縮(生産性の向上)に寄与する。
【符号の説明】
【0176】
1 バルブボディ
2 収容孔
3 バルブスプール
10 フローティングガイド
11 ガイドブッシュ(ガイド筒の実施の一形態)
12 支持板(支持部材の実施の一形態)
20 加振装置
30 開閉装置
100 組み付け装置(バルブスプール組み付け装置の第一実施形態)
140 検出装置
151 制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブボディにバルブスプールを組み付ける装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バルブボディにバルブスプールを組み付ける装置としては、フローティングガイドを具備する装置が知られている。
フローティングガイドはガイドブッシュと呼ばれる筒状の部材を備え、所定の構造体に移動可能に支持される。
【0003】
上記装置によるバルブスプールの組み付けは、以下の手順で行われる。
まず、ベルトコンベア等の搬送装置に設けられた所定の治具にバルブボディが固定される。このとき、バルブボディに形成された収容孔(バルブスプールを摺動可能に収容する孔)の開口部は上方に向けられる。
次に、搬送装置を動作させることによりバルブボディをフローティングガイドの下方となる位置まで移動させ、当該位置で停止させる。バルブボディの移動が停止した時点ではフローティングガイドのガイドブッシュの下端部はバルブボディに形成された収容孔の開口部の直上に配置される。なお、フローティングガイドのガイドブッシュには、予めバルブスプールが収容されている。
続いて、バルブスプールをガイドブッシュの下端部からバルブボディの収容孔に向かって落下させることにより、バルブスプールをバルブボディに組み付ける(収容孔に収容する)。
【0004】
一般に、自動車の自動変速機等の油圧制御を行うバルブには高い加工精度が要求されるので、バルブボディに形成された収容孔の内周面とバルブスプールの外周面との隙間(クリアランス)は非常に小さい。
そのため、上記装置によるバルブスプールの組み付けを行う際にバルブボディとフローティングガイドとの間の位置精度が低い場合には、平面視でガイドブッシュの中心と収容孔の中心とが重ならず(ガイドブッシュと収容孔とが上下方向において一直線に並ばず)、ガイドブッシュから落下したバルブスプールが収容孔の開口部に引っ掛かり、収容孔にスムーズに収容されないという問題がある。
【0005】
バルブボディとフローティングガイドとの間の位置精度を向上させる方法としては搬送装置の動作精度を向上させることが考えられるが、設備コストの上昇を招くといったデメリットを有する。
また、バルブボディを固定する治具あるいはフローティングガイドに位置調整機能を付加することも考えられるが、治具あるいはフローティングガイドの製造コストが増大すること、これらの位置調整作業を別途行う必要が生じ作業工数が増加すること、といったデメリットを有する。
【0006】
このような問題を解消する技術としては、特許文献1から特許文献4に記載の装置および方法が知られている。
【0007】
特許文献1に記載の方法は、バルブボディを治具に固定し、バルブボディおよび治具をこれらの固有振動数またはその付近の振動数で水平方向に振動させることにより、バルブボディに形成された段付き孔であるバルブ孔の奥の部分にスプールバルブを嵌入する。
【0008】
特許文献2に記載の装置は、バルブボディに形成された嵌入孔と対向させて配設され、プラグをスプリングの付勢力に抗して押圧する手段と、バルブボディに形成されたリテーナ挿入孔と対向させて配設され、リテーナをリテーナ挿入孔を介して嵌入孔内に進入させ、プラグに形成されたリテーナ挿入溝内に挿入する手段と、嵌入孔と対向させて配設され、スプールを導入するためのバルブガイドと、リテーナを導入するためのリテーナガイドと、バルブボディを上下方向に振動させる加振機と、を有し、バルブガイドおよびリテーナガイドにはスプールの位置およびリテーナの位置を検出する手段がそれぞれ配設される。
特許文献2に記載の装置は、加振機がバルブボディを上下方向に振動させることにより、嵌入孔の開口部(面取りされている部分)に載っているスプールが求心運動し、平面視で嵌入孔の中心とスプールの中心とが一致したときにスプールの自重および振動力でスプールが嵌入孔に嵌入される。
【0009】
特許文献1および特許文献2は、バルブボディを水平方向あるいは上下方向に振動させることにより、バルブボディに形成されたバルブ孔(嵌入孔)の位置精度(加工精度)が良くない場合でもスプールバルブ(スプール)をバルブ孔(嵌入孔)にスムーズに挿入することが可能である。
しかし、特許文献1に記載の方法および特許文献2に記載の装置は、スプールバルブ(スプール)をバルブ孔(嵌入孔)にスムーズに挿入することのみを目的としており、スプールバルブがバルブ孔の内部を落下し、スプールバルブがバルブ孔の底部に衝突したときに発生する打痕あるいは傷を防止することについては記載も示唆も無い。
【0010】
スプールバルブがバルブ孔の底部に衝突することにより発生する打痕あるいは傷の発生は、バルブの加工精度および耐久性を低下させる要因と成り得るが、特にバルブ孔の全長が大きい場合あるいはスプールバルブの重量が大きい場合にはこのような問題が顕著になる。
【0011】
特許文献3に記載の装置は、コントロールバルブボディに形成された挿入孔の上方に配設され、バルブスプールを挿入孔の方へ案内するガイドと、ガイドを介して挿入孔の内部に挿入可能で、回転可能かつ上下スライド可能な吸引ノズルと、吸引ノズルを回転する回転手段と、吸引ノズルをスライド自由に支持する支持手段と、吸引ノズル内側に吸引エアを導入させる吸引エア導入手段と、から構成される。
特許文献3に記載の装置は、吸引ノズルを回転させつつ吸引ノズル内側に吸引エアを導入することによりバルブスプールを吸引ノズルに吸引保持(吸着)してバルブスプールを回転させ、さらにこの状態から吸引ノズルを下方にスライドさせることによりバルブスプールを挿入孔に挿入する。
また、特許文献3に記載の装置は、バルブスプールが挿入孔の途中に引っ掛かった場合には支持手段を上下方向に往復動作させ、ひいては吸引ノズルを上下方向に振動させることにより、バルブスプールを挿入孔にスムーズに挿入する。
【0012】
特許文献4に記載の装置は、部材(バルブボディ)に形成された挿入孔の上方に配置され、部品(バルブスプール)を挿入孔の方へ案内するガイドと、ガイド内に部品を導入する部品導入手段と、部材を支持する部材支持部材と、圧力空気を挿入孔内に横方向から斜め上方へ噴出させて供給するよう前記挿入孔に対して傾斜して配設された圧力空気供給手段と、部材支持部材に上下方向に振動を与える加振手段と、を備える。
特許文献4に記載の装置は、圧力空気を挿入孔の開口部から噴出させて部品に浮力を与えるとともに部品を上下方向に振動させることにより、挿入孔に対して部品を精度良くセンタリングする(平面視で挿入孔の中心線と部品の中心線とを一致させる)。
【0013】
特許文献3および特許文献4に記載の装置は、圧力空気をバルブスプールに作用させることにより、バルブスプールが挿入孔の内部を落下する速度(バルブスプールの落下速度)をある程度低下させることが可能である。バルブスプールの落下速度を低下させることにより、スプールバルブがバルブ孔の底部に衝突したときに発生する打痕あるいは傷を防止することが可能である。
しかし、特許文献3および特許文献4に記載の装置は、バルブスプールに振動を付与する加振装置に加えて圧力空気を発生させる装置(コンプレッサ等)を必要とし、装置が複雑化するという問題を有する。
【0014】
特許文献3に記載の装置の場合、バルブスプールが挿入孔の内部を落下する速度を精度良く低下させるためにはバルブスプールを吸引ノズルに強固に吸着する必要があるが、このような状態ではバルブスプールに振動を加えてもバルブスプールが水平方向に移動し難いため、バルブスプールを挿入孔にスムーズに挿入することが困難となる。
【0015】
特許文献4に記載の装置の場合、搬送装置にバルブボディを固定するための治具に圧力空気を供給する必要があるため、圧力空気の供給経路が複雑となる(ガイドの下方に移動してきた治具と圧力空気の供給経路とを接続し、切り離す機構を要する)。
また、特許文献4に記載の装置の場合、圧力空気を用いて落下速度を精度良く低下させることは困難である。
これは、圧力空気を供給する経路の中途部(特に、バルブボディおよびこれを固定する治具との間)に漏れが発生しやすく、また発生する漏れの大きさが一定でないことによる。
このような漏れを防止するためにはバルブボディを治具に精度良く固定する作業を要し、当該作業は煩雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2006−26781号公報
【特許文献2】特許第2774316号公報
【特許文献3】特開平7−96423号公報
【特許文献4】特許第2919869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、バルブボディに形成された収容孔の内部をバルブスプールが落下する速度(バルブスプールの落下速度)を精度良く制御することが可能であり、ひいてはバルブスプールおよびバルブボディの変形(打痕、傷等)を防止することが可能なバルブスプール組み付け装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0019】
即ち、請求項1においては、
バルブボディに形成された収容孔にバルブスプールを収容するバルブスプール組み付け装置であって、
前記収容孔の開口部が上方に向けられた姿勢で保持された前記バルブボディの上方に配置され、自重で落下する前記バルブスプールを前記収容孔の開口部に導くフローティングガイドと、
前記フローティングガイドに水平方向の振動を付与する加振装置と、
前記加振装置が前記フローティングガイドに付与する水平方向の振動の周波数を制御する制御装置と、
を具備し、
前記制御装置は、
前記フローティングガイドにより前記収容孔の開口部に導かれるバルブスプールの先端部が前記収容孔の開口部に嵌合する時点を基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第一周波数よりも大きい第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させるものである。
【0020】
請求項2においては、
前記フローティングガイドは、
前記バルブスプールを上下方向に摺動可能に収容し、下端部が前記収容孔の開口部の上方に配置されるガイド筒と、
前記ガイド筒を水平方向に相対移動可能に支持する支持部材と、
を具備し、
前記加振装置は、
前記支持部材に水平方向の振動を付与するものである。
【0021】
請求項3においては、
前記フローティングガイドは、
前記ガイド筒の下端部を開閉する開閉装置を具備するものである。
【0022】
請求項4においては、
前記ガイド筒の下端部および前記収容孔の開口部で挟まれる位置に到達した前記バルブスプールを検出する検出装置を具備し、
前記制御装置は、
前記検出装置が前記バルブスプールを検出した時点から予め設定された待ち時間が経過した時点を前記基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させるものである。
【0023】
請求項5においては、
前記収容孔の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に到達した前記バルブスプールを検出する検出装置を具備し、
前記制御装置は、
前記検出装置が前記バルブスプールを検出した時点を前記基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させるものである。
【0024】
請求項6においては、
前記制御装置は、
前記開閉装置が前記ガイド筒の下端部を開いた時点から予め設定された待ち時間が経過した時点を前記基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させるものである。
【0025】
請求項7においては、
前記ガイド筒の内周面の上端部には上方に向かって拡径するテーパ面が形成されるものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、バルブボディに形成された収容孔の内部をバルブスプールが落下する速度を精度良く制御することが可能であり、ひいてはバルブスプールおよびバルブボディの変形を防止することが可能である、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第一実施形態を示す全体図。
【図2】組み付け作業開始前の本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第一実施形態を示す要部正面断面図。
【図3】検出装置がバルブスプールの下端部を検出したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第一実施形態を示す要部正面断面図。
【図4】検出装置がバルブスプールの上端部を検出したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第一実施形態を示す要部正面断面図。
【図5】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第一実施形態における振動の周波数の変化を示す図。
【図6】振動の周波数とバルブスプールの落下速度との関係を示す図。
【図7】バルブスプールの重量と、衝突時の落下速度と、変形(傷)の発生の有無と、の関係を示す図。
【図8】振動の周波数とバルブスプールの落下速度との関係の別実施例を示す図。
【図9】同じく振動の周波数とバルブスプールの落下速度との関係の別実施例を示す図。
【図10】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第二実施形態を示す全体図。
【図11】組み付け作業開始前の本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第二実施形態を示す要部正面断面図。
【図12】検出装置がバルブスプールの下端部を検出したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第二実施形態を示す要部正面断面図。
【図13】検出装置がバルブスプールの下端部を検出してから所定時間経過したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第二実施形態を示す要部正面断面図。
【図14】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第二実施形態における振動の周波数の変化を示す図。
【図15】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第三実施形態を示す全体図。
【図16】組み付け作業開始前の本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第三実施形態を示す要部正面断面図。
【図17】検出装置がバルブスプールの下端部を検出したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第三実施形態を示す要部正面断面図。
【図18】検出装置がバルブスプールの上端部を検出したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第三実施形態を示す要部正面断面図。
【図19】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第三実施形態における振動の周波数の変化を示す図。
【図20】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第四実施形態を示す全体図。
【図21】組み付け作業開始前の本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第四実施形態を示す要部正面断面図。
【図22】バルブスプールが落下を開始してから所定の待ち時間が経過したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第四実施形態を示す要部正面断面図。
【図23】バルブスプールが落下を開始してから所定の待ち時間が経過し、さらに所定時間が経過したときの本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第四実施形態を示す要部正面断面図。
【図24】本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第四実施形態における振動の周波数の変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、図1から図9を用いて本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第一実施形態である組み付け装置100について説明する。
図1に示す組み付け装置100は、バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置である。
【0029】
なお、現実の組み付け作業では多くの場合、バルブボディに形成された収容孔に、バルブスプールを収容孔の開口部に向かって付勢するスプリングと、バルブスプールと、収容孔の開口部を閉塞するプラグと、を合わせたもの(集合物)を収容するが、以下の記載および図面においては説明の便宜上、スプリングおよびプラグを省略する。
従って、以下の説明における「バルブスプール」は、適宜「スプリングと、バルブスプールと、プラグと、を合わせたもの」と読み替えることが可能である。
【0030】
バルブボディ1は本発明に係るバルブボディの実施の一形態である。
本実施形態のバルブボディ1は自動車の自動変速機の動作を制御する用途に用いられるコントロールバルブの主たる構造体を成す部材であり、金属材料からなるブロック状の部材の内部に適宜油路(作動油の移動経路)が形成されたものである。
なお、本発明に係るバルブボディは独立した部材(他の部材とは別体となる部材)に限定されない。例えば、バルブとは異なる機能を有する部材に収容孔および油路が適宜形成されることによりバルブボディとしての機能を兼ねる場合には、当該部材も本発明に係るバルブボディに含まれる。
【0031】
図1および図2に示す収容孔2は本発明に係る収容孔の実施の一形態であり、バルブスプール3を摺動可能に収容する孔である。収容孔2はバルブボディ1に形成された油路の一部を成す。
本実施形態の収容孔2の一端部はバルブボディ1の外表面に開口している。以後、バルブボディ1の外表面に開口している収容孔2の一端部を「収容孔2の開口部」という。
収容孔2の開口部に面取り加工が施されることにより、収容孔2の開口部には奥部から開口部に向かって拡径するテーパ面2aが収容孔2の内周面に連なって形成される。
【0032】
バルブスプール3は本発明に係るバルブスプールの実施の一形態であり、収容孔2に摺動可能に収容される。
バルブスプール3は収容孔2の内部で摺動する(ひいては、収容孔2の内部における位置が変化する)ことによりバルブボディ1に形成された油路の接続状態を切り替える部材である。
図2に示す如く、本実施形態のバルブスプール3は略円柱形状の第一大径部3a、第一小径部3b、第二大径部3cおよび第二小径部3dを有し、これらが順に積層された形状を有する。
第一大径部3aおよび第二大径部3cの直径は第一小径部3bおよび第二小径部3dの直径よりも大きく、第一大径部3aおよび第二大径部3cの外周面が収容孔2の内周面に摺動可能に当接する。
【0033】
なお、本発明に係るバルブスプールは本実施形態のバルブスプール3の如き構成(第一大径部3a、第一小径部3b、第二大径部3cおよび第二小径部3dが順に積層された構成)に限定されるものではない。
すなわち、バルブスプールの大径部(収容孔の内周面に当接する部分)および小径部(大径部よりも直径が小さい部分)の個数および配置は用途に応じて適宜選択される。
【0034】
図1に示す如く、本実施形態ではバルブボディ1は治具4の上面にボルト等を用いて固定される。
搬送装置5は治具4、ひいてはバルブボディ1を所定の搬送方向(本実施形態では前後方向であり、図1において紙面に垂直な方向に相当する)に移動させるとともに所定の位置(作業位置)で停止させる装置である。
また、搬送装置5はバルブボディ1を所定の搬送方向に搬送するとき、バルブボディ1の姿勢(角度)を一定に保持する。
バルブボディ1が治具4に固定されているとき、バルブボディ1に形成された収容孔2の開口部は上方に向いており、収容孔2の長手方向(軸線方向)は上下方向に対して平行である。
従って、作業位置で停止している治具4に固定されたバルブボディ1は、収容孔2の開口部が上方に向けられた姿勢で保持される。
【0035】
図1に示す如く、組み付け装置100は、フローティングガイド10、加振装置20、開閉装置30、検出装置140および制御ユニット150を具備する。
【0036】
フローティングガイド10は本発明に係るフローティングガイドの実施の一形態であり、自重で落下するバルブスプール3を収容孔2の開口部に導く部材である。
フローティングガイド10は作業位置に保持されたバルブボディ1の上方に配置される。
【0037】
図2に示す如く、フローティングガイド10はガイドブッシュ11、支持板12、ボール13・13・・・、押さえ板14、弾性リング15を具備する。
【0038】
ガイドブッシュ11は本発明に係るガイド筒の実施の一形態である。
ガイドブッシュ11は概ね円筒形状の部材であり、ガイドブッシュ11の長手方向(軸線方向)が上下方向に対して平行となるように支持板12に支持される。
ガイドブッシュ11には両端部(上端部および下端部)まで貫通する孔(貫通孔)が形成されており、ガイドブッシュ11の両端部はいずれも開口している。
図1および図2に示す如く、バルブボディ1が作業位置に保持されているとき、ガイドブッシュ11の下端部は収容孔2の開口部の上方に配置される。
なお、ガイドブッシュ11の下端部から収容孔2の開口部までの上下方向の距離は、バルブスプール3を収容孔2の開口部に精度良く導く観点からは極力短いことが望ましい。
【0039】
図2に示す如く、ガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面はストレート面11a、第一テーパ面11b、中間面11cおよび第二テーパ面11dで構成され、これらが下方から上方に向かって順に連なっている。
【0040】
ストレート面11aはガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面のうち最下部を成す面であり、ガイドブッシュ11の下端部から上半部までに対応する。
ストレート面11aの内径はバルブスプール3の外径(より厳密には、第一大径部3aおよび第二大径部3cの外径)よりもわずかに大きく、かつ、ガイドブッシュ11の長手方向(上下方向)において変化しない(一定である)。
従って、ガイドブッシュ11は(バルブスプール3の外周面がストレート面11aに当接した状態で)バルブスプール3を収容することが可能であり、かつ、バルブスプール3をガイドブッシュ11の長手方向(上下方向)に摺動させることが可能である。
【0041】
第一テーパ面11bはガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面のうちストレート面11aの上端部に連なる面である。第一テーパ面11bは上方に向かって拡径している(徐々に内径が大きくなっている)。
【0042】
中間面11cはガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面のうち第一テーパ面11bの上端部に連なる面である。中間面11cの内径はストレート面11aよりもやや大きく、ガイドブッシュ11の長手方向(上下方向)において変化しない(一定である)。
【0043】
第二テーパ面11dはガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面のうち最上部を成す面であり、中間面11cの上端部に連なる面である。第二テーパ面11dは上方に向かって拡径している(徐々に内径が大きくなっている)。
【0044】
本実施形態では、図1に示すロボット6がバルブスプール3の一端部(第一大径部3a)を把持し、バルブスプール3をガイドブッシュ11の上方に移動させ、バルブスプール3の他端部(第二小径部3d)をガイドブッシュ11の上端部に差し込み、バルブスプール3の一端部(第一大径部3a)を把持した状態を解除する、という一連の作業を行う。
これら一連の作業により、バルブスプール3はガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面に当接しつつ落下(下方に向かって摺動)し、バルブスプール3がガイドブッシュ11の内部に収容される(図2参照)。
【0045】
図2に示す如く、本実施形態ではガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面の上端部には上方に向かって拡径するテーパ面(第一テーパ面11bおよび第二テーパ面11d)が形成されている。
また、ガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面の上端部にテーパ面が形成されることにより、ガイドブッシュ11に形成された貫通孔(バルブスプール3を収容する孔)の上端部における開口部の内径がバルブスプール3の外径よりもかなり大きく設定することが可能である。
【0046】
そのため、ロボット6がバルブスプール3をガイドブッシュ11の上方に移動させるときの位置精度がそれ程高くない場合でもバルブスプール3の他端部(第二小径部3d)をガイドブッシュ11の上端部に確実に差し込むことが可能であり、ひいてはバルブスプール3をガイドブッシュ11の内部に容易かつ確実に収容することが可能である。
また、ロボット6によるバルブスプール3の供給動作の高速化、ひいてはバルブスプール3の組み付け作業に要する時間の短縮(生産性の向上)、および設備コストの削減(動作後の位置精度が高いロボットを用いる必要が無い)に寄与する。
【0047】
本実施形態ではガイドブッシュ11に形成された貫通孔の内周面の上端部に形成されるテーパ面が第一テーパ面11bおよび第二テーパ面11dの二つからなり、これらが中間面11cで連結される。
ガイドブッシュ11の上方から落下してきたバルブスプール3の姿勢は、第一テーパ面11b、中間面11cおよび第二テーパ面11dに順に当接する過程で徐々に修正される(バルブスプール3の長手方向がガイドブッシュ11の長手方向に平行になる)。
その結果、ガイドブッシュ11はバルブスプール3を途中で引っ掛けることなくスムーズに落下させ、バルブスプール3を確実にガイドブッシュ11の下半部(ストレート面11aに当接する位置)に収容することが可能である。
【0048】
本実施形態ではロボット6がバルブスプール3をガイドブッシュ11に供給する(ガイドブッシュ11に落下させる)が、本発明はこれに限定されない。
例えば、作業者が手でバルブスプール3をガイドブッシュ11に供給しても良い。
【0049】
ガイドブッシュ11の外周面の中途部には段差面11eが形成される。ガイドブッシュ11のうち段差面11eよりも上側の外径は段差面11eよりも下側の外径よりも大きい。
ガイドブッシュ11の外周面のうち段差面11eよりも上側となる部分の上下方向における中途部にはフランジ部11fが形成される。フランジ部11fはガイドブッシュ11の半径方向(長手方向に垂直な方向)に突出したリング状の突起である。
【0050】
ガイドブッシュ11の下端部にはガイドブッシュ11の外周面から内周面(厳密には、ストレート面11a)まで貫通する孔11gが形成される。
【0051】
支持板12は本発明に係る支持部材の実施の一形態であり、ガイドブッシュ11を水平方向(本実施形態では、前後方向および左右方向)に相対移動可能に支持する部材である。
本実施形態の支持板12は平行な一対の板面を有する板状の部材であり、図示せぬ構造体に移動可能に支持される。
当該構造体に対する支持板12の移動はエアシリンダ等のアクチュエータ(不図示)により行われ、支持板12は「作業位置の上方となる位置」と「作業位置の上方となる位置から退避した位置」との間で移動することが可能である。
当該構造体に支持された支持板12は、支持板12の一対の板面がそれぞれ上方および下方に向いた姿勢で保持される。
以下、支持板12は平行な一対の板面のうち上方に向いた面を「支持板12の上面」、下方に向いた面を「支持板12の下面」という。
【0052】
支持板12には支持板12の上面から下面まで貫通する貫装孔12aが形成される。貫装孔12aはガイドブッシュ11を貫装するための孔である。
貫装孔12aの内周面は上側ストレート面12b、段差面12cおよび下側ストレート面12dで構成され、これらが上方から下方に向かって順に連なる。
【0053】
上側ストレート面12bは支持板12の内周面の上半部を成す面である。
上側ストレート面12bの内径はガイドブッシュ11のフランジ部11fの外径よりも大きく、かつ、上下方向において変化しない(一定である)。
【0054】
段差面12cは貫装孔12aの内周面のうち上側ストレート面12bの下端部に連なる面である。段差面12cは支持板12の上面および下面に平行な平面視リング状の平面である。
【0055】
下側ストレート面12dは支持板12の内周面の下半部を成す面である。
下側ストレート面12dの内径はガイドブッシュ11のフランジ部11fの外径よりも小さく、ガイドブッシュ11の外径(より厳密には、ガイドブッシュ11の外周面のうち段差面11eよりも上側となる部分の外径)よりも大きく、かつ、上下方向において変化しない(一定である)。
【0056】
複数のボール13・13・・・は球状の部材であり、段差面12cの上に載置される。
ガイドブッシュ11が上方から貫装孔12aに貫装されたとき、ガイドブッシュ11のフランジ部11fの下側の端面がボール13・13・・・に当接する。
その結果、ガイドブッシュ11はボール13・13・・・を介して支持板12に支持される。
【0057】
上側ストレート面12bの内径はガイドブッシュ11のフランジ部11fの外径よりも大きく、かつ下側ストレート面12dの内径はガイドブッシュ11の外径(より厳密には、ガイドブッシュ11の外周面のうち段差面11eよりも上側となる部分の外径)よりも大きい。
そのため、ガイドブッシュ11は支持板12に対して水平方向に相対移動可能である。
【0058】
また、本実施形態ではガイドブッシュ11はボール13・13・・・を介して支持板12に支持される。
そのため、ボール13・13・・・が転動することにより支持板12に対するガイドブッシュ11の水平方向の移動が滑らかになる。
【0059】
押さえ板14は平行な一対の板面を有し、これらの板面の中央部を貫通する貫通孔が形成された略円盤形状の部材である。
押さえ板14の外径は貫装孔12aの上側ストレート面12bの内径よりも大きい。また、押さえ板14に形成された貫通孔の内径はガイドブッシュ11のフランジ部11fの外径よりも小さく、かつガイドブッシュ11の外径(より厳密には、ガイドブッシュ11の外周面のうち段差面11eよりも上側となる部分の外径)よりも大きい。
押さえ板14は、押さえ板14に形成された貫通孔にガイドブッシュ11の上端部を貫装した状態で、支持板12に(例えば、ボルトにより)固定される。
【0060】
仮にガイドブッシュ11が上方に移動してもフランジ部11fが押さえ板14に干渉し、ガイドブッシュ11がそれ以上上方に移動することができないので、ガイドブッシュ11が支持板12から脱落することが防止される。
なお、押さえ板14に形成された貫通孔の内径はガイドブッシュ11の外径(より厳密には、ガイドブッシュ11の外周面のうち段差面11eよりも上側となる部分の外径)よりも大きいので、支持板12に対するガイドブッシュ11の水平方向の移動を許容する(阻害することはない)。
【0061】
弾性リング15は平行な一対の板面を有し、これらの板面の中央部を貫通する貫通孔が形成された略円盤形状の部材である。本実施形態の弾性リング15は弾性変形し得る材料(例えば、ゴム、プラスチック等の樹脂材料)からなる。
【0062】
弾性リング15は支持板12の貫装孔12aに貫装されたガイドブッシュ11に下方から嵌装され、弾性リング15の上面がガイドブッシュ11の外周面に形成された段差面11eに当接する。
弾性リング15に形成された貫通孔の直径はガイドブッシュ11の外径(より厳密には、ガイドブッシュ11の外周面のうち段差面11eよりも下側となる部分の外径)よりも僅かに小さいので、弾性リング15は弾性変形し、弾性リング15の貫通孔の内周面はガイドブッシュ11の外周面に強く当接する。
従って、弾性リング15が自重で下方に移動してガイドブッシュ11から脱落することはない。
【0063】
ガイドブッシュ11が支持板12の貫装孔12aに貫装されているとき、ガイドブッシュ11の段差面11eと支持板12の下面とが面一となる(平行かつ上下方向における高さが同じとなる)。
また、弾性リング15の外径は貫装孔12aの下側ストレート面12dの内径よりも大きい。
そのため、ガイドブッシュ11に嵌装された弾性リング15の上面の外縁部は支持板12の下面(より厳密には、支持板12の下面のうち貫装孔12aの開口部の周縁部)に軽く当接する。
従って、弾性リング15およびガイドブッシュ11のフランジ部11fは、ボール13・13・・・および支持板12を挟持する形となり、支持板12に対するガイドブッシュ11の上下方向の移動が規制される。
【0064】
なお、弾性リング15の上面の外縁部と支持板12の下面とは軽く当接しているので、これらが当接している部分に大きな摩擦力は発生せず、支持板12に対するガイドブッシュ11の水平方向の移動は許容される(阻害されることはない)。
【0065】
ガイドブッシュ11に外力が作用してガイドブッシュ11が支持板12に対して傾斜した姿勢となった場合(本実施形態ではガイドブッシュ11の長手方向が上下方向に対して平行でない姿勢となった場合)、弾性リング15が弾性変形することによりガイドブッシュ11に作用した外力が吸収される。
弾性リング15に吸収された外力の一部は弾性リング15の復元力(弾性リング15が元の形状に戻ろうとする力)として解放され、当該復元力によりガイドブッシュ11の姿勢が元の状態(ガイドブッシュ11の長手方向が上下方向に対して平行な状態)に戻される。
【0066】
本実施形態の支持板12は図示せぬ構造体に移動可能に支持されるが、本発明はこれに限定されない。
例えば、バルブボディ1の収容孔2にバルブスプール3を収容する作業と収容孔2の開口部にプラグを固定する作業とがそれぞれ別の作業位置で行われる場合には、フローティングガイド10を所定の構造体に固定し、収容孔2にバルブスプール3を収容する作業を行う作業位置の上方に固定しても良い。
【0067】
加振装置20は本発明に係る加振装置の実施の一形態であり、フローティングガイド10に水平方向の振動を付与する装置である。
図1に示す如く、加振装置20は振動子21およびアンプ22を具備する。
【0068】
振動子21は振動を発生するものである。本実施形態の振動子21はいわゆるアンバランスマス型の振動子であり、図2に示す如く、電気式モータ21aと、電気式モータ21aの駆動軸に固定された偏心マス(電気式モータの駆動軸の軸線上からずれた位置に重心がある錘)21bと、電気式モータ21aおよび偏心マス21bを収容するケース21cと、を備える。
振動子21は支持板12の上面に固定される。支持板12に固定された電気式モータ21aの駆動軸の軸線方向は上下方向に平行である。
電気式モータ21aに通電することにより電気式モータ21aの駆動軸および偏心マス21bが回転し、偏心マス21bに作用する遠心力に振り回される形で振動子21が電気式モータ21aの駆動軸の半径方向に(電気式モータ21aの回転数に応じた周波数で)振動する。
その結果、振動子21に通電することにより支持板12が水平方向に振動し、ひいては支持板12に対して水平方向に相対移動可能に支持されるガイドブッシュ11も水平方向に振動する。
ガイドブッシュ11が水平方向に振動することにより、ガイドブッシュ11に(一部が)収容されているバルブスプール3も水平方向に振動し、バルブスプール3の下端部が収容孔2の開口部に嵌合しやすくなる。
【0069】
アンプ22は振動子21に接続され、振動子21に電力を供給する(通電する)ものである。アンプ22は振動子21に供給する電力の周波数を変化させることが可能である。
アンプ22が振動子21に供給する電力の周波数が変化することにより、電気式モータ21aの回転数、ひいては振動子21が支持板12に付与する水平方向の振動の周波数が変化する。
【0070】
本実施形態の加振装置20はアンバランスマス型の振動子21およびアンプ22を具備するが、本発明はこれに限定されず、他の方式の加振装置でも良い。
本発明に係る加振装置の他の実施例としては、油圧型の加振装置(油圧で作動するピストンの往復運動により振動を発生させるもの)、動電型の加振装置(磁界中に配置されたコイルに電流を流すことにより発生する力(ローレンツ力)により振動を発生させるもの)等が挙げられる。
【0071】
開閉装置30は本発明に係る開閉装置の実施の一形態であり、ガイドブッシュ11の下端部を開閉するものである。
図1および図2に示す如く、開閉装置30は落下防止ピン31およびエアシリンダ32を具備する。
【0072】
図2に示す如く、落下防止ピン31は軸部31aおよび頭部31bを具備する。
軸部31aおよび頭部31bはいずれも略円柱形状の部分であり、軸部31aの一端部(基部)に頭部31bが連なっている。
軸部31aの外径は頭部31bの外径よりも小さい。また、軸部31aの外径はガイドブッシュ11に形成された孔11gの内径よりも小さく、頭部31bの外径は孔11gの内径よりも大きい。
【0073】
図1および図2に示すエアシリンダ32は空圧により伸長および収縮するアクチュエータであり、シリンダ本体およびシリンダロッドを有する。エアシリンダ32のシリンダロッドの先端部は落下防止ピン31の頭部31bに固定される。エアシリンダ32のシリンダ本体は図示せぬ構造体に固定される。
【0074】
図1および図2に示す如く、エアシリンダ32が伸長しているとき、落下防止ピン31の軸部31aは孔11gを貫通してガイドブッシュ11の内部に挿入される。
落下防止ピン31の軸部31aがガイドブッシュ11の内部に挿入された状態では、ガイドブッシュ11の下端部が閉じられた状態となる。
すなわち、落下防止ピン31の軸部31aがガイドブッシュ11に収容されたバルブスプール3に当接(干渉)するため、バルブスプール3はガイドブッシュ11の下端部から落下することが出来ない。
【0075】
一方、図3および図4に示す如く、エアシリンダ32が収縮しているとき、落下防止ピン31の軸部31aは孔11gから引き抜かれ、ガイドブッシュ11の外部に退避する。
落下防止ピン31の軸部31aがガイドブッシュ11の外部に退避した状態では、ガイドブッシュ11の下端部は開いた状態となる。
すなわち、落下防止ピン31の軸部31aはガイドブッシュ11に収容されたバルブスプール3に当接(干渉)しないので、バルブスプール3はガイドブッシュ11の下端部から落下することが出来る。
【0076】
本実施形態の開閉装置30は落下防止ピン31およびエアシリンダ32を具備するが、本発明はこれに限定されず、他の形式の開閉装置でも良い。
すなわち、フローティングガイドのガイド筒に収容されたバルブスプールが自重で落下不能な状態(下端部が保持された状態)と、バルブスプールが自重で落下可能な状態と、を切り替え可能な装置であれば良い。
【0077】
図1および図2に示す検出装置140は本発明に係る検出装置の第一実施形態であり、ガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に到達したバルブスプール3を検出するものである。
本実施形態の検出装置140はいわゆる透過型の光学式センサであり、投光部141および受光部142を具備する。
【0078】
投光部141は例えば半導体からなる発光素子で構成され、電圧が印加されることにより所定の波長のレーザ光を所定の方向に投光(照射)する。
本実施形態では、投光部141はガイドブッシュ11の左側方かつガイドブッシュ11の下端部からバルブボディ1の上面までの高さとなる位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
【0079】
受光部142は例えば半導体からなる受光素子で構成され、受光した光の強度に応じた電圧の電気信号を出力することにより受光の有無を検出することが可能である。
本実施形態では、受光部142はガイドブッシュ11の右側方かつガイドブッシュ11の下端部からバルブボディ1の上面までの高さとなる位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
【0080】
投光部141が投光した所定の波長のレーザ光(図2中の二点鎖線参照)は、正面視でガイドブッシュ11の下端部とバルブボディ1の上面とで挟まれる位置、かつ平面視でガイドブッシュ11に形成された貫通孔(バルブスプール3を収容する孔)およびバルブボディ1に形成された収容孔2を横切る位置を通って受光部142に到達し、受光部142に受光される。
投光部141と受光部142との間の光路(投光部141が投光したレーザ光が受光部142に受光されるまでに通る経路)はバルブボディ1の上面に形成された収容孔2の開口部の直上、すなわちガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置を通過する。
【0081】
バルブスプール3がガイドブッシュ11の下端部から落下した場合、図3に示す如く投光部141が投光した所定の波長のレーザ光がバルブスプール3により遮られるため、受光部142が受光する光の強度(受光強度)が低下する。
このように、検出装置140は、受光部142の受光強度の変化に基づいてガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に到達したバルブスプール3を検出することが可能である。
【0082】
本実施形態の検出装置140は投光部141および受光部142を具備する透過型の光学式センサであるが、バルブスプールがガイド筒の下端部および収容孔の開口部で挟まれる位置に到達したことを検出可能であれば他の構成でもよい。
他の構成の具体例としては、反射型の光学式センサ(投光部および受光部が一体となったセンサ部を具備し、検出対象物によってはさらにレーザ光を反射するミラーを具備するもの)、静電容量式センサ、接触式センサ(タッチセンサ)等が挙げられる。
【0083】
図1に示す如く、制御ユニット150は制御装置151、入力装置152および表示装置153を備える。
【0084】
制御装置151は本発明に係る制御装置の第一実施形態であり、加振装置20がフローティングガイド10に付与する水平方向の振動の周波数を制御する装置である。
制御装置151は種々のプログラム等を格納し、これらのプログラム等を展開し、これらのプログラム等に従って所定の演算を行い、当該演算の結果等を記憶することができる。
【0085】
制御装置151は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であっても良く、ワンチップのLSI等からなる構成であっても良く、あるいはフリップフロップ回路からなる構成であっても良い。
本実施形態の制御装置151は専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等に上記プログラム等を格納したもので達成することも可能である。
制御装置151による演算(振動周波数制御)の詳細については後述する。
【0086】
制御装置151は加振装置20のアンプ22に接続される。
制御装置151は、アンプ22のON/OFFを指令する電気信号であるON/OFF信号、およびアンプ22が振動子21に供給する電力の周波数を指令する電気信号である周波数信号をアンプ22に送信することが可能である。
アンプ22は、制御装置151から受信したON/OFF信号に従ってアンプ22ひいては加振装置20のON/OFFを行うとともに、制御装置151から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整する(変化させる)。
【0087】
制御装置151は開閉装置30のエアシリンダ32(より厳密には、エアシリンダ32に圧縮空気を供給するエア配管の中途部に設けられた電磁弁)に接続される。
制御装置151はエアシリンダ32が伸長する旨の電気信号である閉信号およびエアシリンダ32が収縮する旨の電気信号である開信号をエアシリンダ32(より厳密には、エアシリンダ32に圧縮空気を供給するエア配管の中途部に設けられた電磁弁)に送信することが可能である。
エアシリンダ32は制御装置151から閉信号を受信した場合には伸長し、制御装置151から開信号を受信した場合には収縮する。
【0088】
制御装置151は検出装置140の受光部142に接続される。
制御装置151は受光部142の受光強度、ひいてはバルブスプール3がガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に到達したことを示す電気信号(検出信号)を受信することが可能である。
【0089】
入力装置152は制御装置151に接続され、作業者がバルブスプール組み付け装置100による組み付け作業に係る種々のデータ、指示等を制御装置151に入力するものである。
本実施形態の入力装置152は専用品であるが、市販のキーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、スイッチ等を用いても同様の目的を達成することが可能である。
【0090】
表示装置153は入力装置152から制御装置151への入力内容、バルブスプール組み付け装置100の動作状況等を表示するものである。
本実施形態の表示装置153は専用品であるが、市販のモニターや液晶ディスプレイ等を用いても同様の目的を達成することが可能である。
本実施形態では入力装置152および表示装置153は別体であるが、例えばタッチパネル等を用いることによりこれらを一体とすることも可能である。
【0091】
以下では、制御装置151による振動周波数制御(フローティングガイド10に付与される水平方向の振動の周波数の制御)の詳細について説明する。
制御装置151による振動周波数制御は、制御装置151に格納されたプログラム(振動周波数制御プログラム)に従って行われる。
【0092】
図2に示す如く、制御装置151による振動周波数制御が開始される前の時点では、バルブボディ1は治具4の上面に固定された状態で作業位置(フローティングガイド10の下方)に配置され、バルブスプール3はガイドブッシュ11に収容され、開閉装置30はガイドブッシュ11の下端部を閉じている。
【0093】
まず、制御装置151は加振装置20のアンプ22にON信号を送信するとともに、第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する(図5中の時間t11参照)。
アンプ22は制御装置151から受信したON信号に従って起動し、制御装置151から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0094】
次に、制御装置151は開閉装置30のエアシリンダ32(より厳密には、エアシリンダ32に圧縮空気を供給するエア配管の中途部に設けられた電磁弁)に開信号を送信する(図5中の時間t12参照)。
その結果、エアシリンダ32は収縮し、ガイドブッシュ11の下端部が開いた状態となるので、バルブスプール3は落下を開始する。
【0095】
本発明の発明者は、ガイドブッシュ11の形状およびバルブスプール3の形状(バルブスプール3の重量、ガイドブッシュ11の内周面とバルブスプール3の外周面との間の隙間の大きさ)、並びにガイドブッシュ11の水平方向の振幅(ガイドブッシュ11と支持板12との間の隙間の大きさにより定まる)が予め定まっている場合、図6に示す如く「ガイドブッシュ11からバルブスプール3が落下する速度はガイドブッシュ11の水平方向の振動の周波数が大きい程小さくなる」という現象が起こることを実験により確認している。
このような現象は、ガイドブッシュ11の水平方向の振動の周波数が大きい程バルブスプール3の外周面がガイドブッシュ11の内周面に当接する回数(ひいては当接している時間)が増加し、バルブスプール3とガイドブッシュ11とが当接している部分に作用する上下方向の摩擦力がバルブスプール3の落下を阻害する効果が大きくなることにより起こると考えられる。
本発明は、上記の現象を利用することにより、バルブスプールの落下速度を制御する。
【0096】
図5に示す如く、バルブスプール3が落下を開始した時点(時間t12)ではガイドブッシュ11は第一周波数N1で水平方向に振動している。
本実施形態では、ガイドブッシュ11が第一周波数N1で水平方向に振動しているとき、バルブスプール3は落下速度V1で落下する(図6参照)。
【0097】
図3に示す如く、落下速度V1で落下しているバルブスプール3の下端部が投光部141と受光部142との間の光路を遮ったとき(図5中の時間t13参照)、制御装置151は受光部142から検出信号を受信する(厳密には、制御装置151は受光部142から受信する電気信号の電圧が低下したことを検知する)。
制御装置151は、検出信号を受信した時点から「待ち時間」が経過した時点(図5中の時間t14参照)を「基準時点」とし、当該基準時点で加振装置20のアンプ22に第二周波数N2の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
なお、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は、基準時点以前は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0098】
ここで、制御装置151が検出信号を受信した時点ではなく基準時点でアンプ22に第二周波数N2の振動を付与する旨の周波数信号を送信するのは、バルブスプール3の下端部が投光部141と受光部142との間の光路を遮ってから実際に収容孔2の開口部に嵌合する(収容孔2の内部に向かって落下可能な状態となる)までにある程度の時間を要するからである。
また、バルブスプール3の下端部が投光部141と受光部142との間の光路を遮ってから実際に収容孔2の開口部に嵌合するまでに要する時間(待ち時間)はバルブボディ1に形成されている収容孔2の位置精度あるいは第一周波数N1の大きさ等によっても変動し得るので、これらの状況を勘案して予め実験的に求められ、設定される。
【0099】
アンプ22は制御装置151から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第二周波数N2で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は、基準時点以後は第二周波数N2で水平方向に振動する。
【0100】
図6に示す如く、第二周波数N2は第一周波数N1よりも大きい(N2>N1)ので、第二周波数N2で水平方向に振動するガイドブッシュ11からバルブスプール3が落下する速度V2は、第一周波数N1で水平方向に振動するガイドブッシュ11からバルブスプール3が落下する速度V1よりも小さい(V2<V1)。
本実施形態では、基準時点以後のバルブスプール3は、基準時点以前の落下速度V1よりも小さい落下速度V2で収容孔2の内部を落下する。
【0101】
図4に示す如く、落下速度V2で落下しているバルブスプール3の上端部が投光部141と受光部142との間の光路よりも下方に位置し、当該光路を遮らなくなったとき(図5中の時間t15参照)、制御装置151は受光部142から受信する電気信号の電圧が上昇したことを検知する。
制御装置151は、受光部142から受信する電気信号の電圧が上昇したことを検知した時点で加振装置20のアンプ22に第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
アンプ22は制御装置151から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、フローティングガイド10は、受光部142から受信する電気信号の電圧が上昇した時点以後は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0102】
この後、作業者の目視によりバルブスプール3が収容孔2に適正に(奥まで)収容されたか否か、誤って異なる種類のバルブスプールが収容孔2に収容されたか否か、等の確認が行われる。
バルブスプール3が収容孔2に適正に収容されていない場合(バルブスプール3が途中で引っ掛かっている場合)、あるいは異なる種類のバルブスプールが収容孔2に収容されている場合には、作業者が手でバルブスプール3を収容孔2に収容する。
【0103】
受光部142から受信する電気信号の電圧が上昇した時点では既にバルブスプール3はガイドブッシュ11から完全に脱落しているため、ガイドブッシュ11の振動の周波数を変更してもバルブスプール3の落下速度を制御することは出来ない。
しかし、本実施形態では搬送装置5によって作業位置に搬送されてくる次のバルブボディ1の収容孔2に次のバルブスプール3を収容するための準備として、フローティングガイド10を受光部142から受信する電気信号の電圧が上昇した時点以後も第一周波数N1で水平方向に振動している。
なお、次のバルブボディ1が作業位置に搬送されてこない場合には、受光部142から受信する電気信号の電圧が上昇した時点で加振装置20をOFFにし、フローティングガイド10の振動を停止する制御を行っても良い(図5中の太い点線参照)。
【0104】
以下では、第一周波数N1の設定方法について説明する。
第一周波数N1は、実質的にはバルブスプール3が落下を開始する前からバルブスプール3の下端部が実際に収容孔2の開口部に嵌合するまでの間におけるフローティングガイド10(ガイドブッシュ11)の水平方向の振動の周波数である。
【0105】
組み付け装置100がバルブボディ1の収容孔2にバルブスプール3を収容する作業、すなわち組み付け作業を連続して(繰り返し)行う場合、サイクルタイム(一回の組み付けに要する時間)を極力短くすることが組み付け作業の効率(生産性)を向上する観点から望ましい。
このような観点からは、第一周波数N1を極力小さく設定し、バルブボディ1の落下速度を極力大きくすることが望ましい。
【0106】
(a)第一周波数N1が過小である場合にはバルブスプール3が単位時間当たりに水平方向に移動する距離(回数)が小さくなるためなかなか収容孔2に嵌合しない。
(b)第一周波数N1が過大である場合にはバルブスプール3が過度に激しく移動するため却って収容孔2に嵌合しにくい。上記(a)および(b)を考慮した場合、第一周波数N1を適切な値に設定することにより、バルブスプール3がバルブボディ1の収容孔2の開口部に到達(当接)してから実際に収容孔2に嵌合するまでの時間を極力短くすることが望ましい。
【0107】
通常、ガイドブッシュ11の下端部から収容孔2の開口部までの距離(落差)は、この間をバルブスプール3が移動する時間を極力短くする観点、およびバルブスプール3が収容孔2の開口部に衝突することによる衝突部位の変形(傷)を防止する観点から極力短く設定される。
従って、第一周波数N1を大きい値に設定することによりバルブスプール3の落下速度を小さく抑えることは必要性に乏しい。
【0108】
また、発明者は、上記の如き事情に鑑みて実験を行った結果、バルブスプール3がバルブボディ1の収容孔2の開口部に到達(当接)してから実際に収容孔2に嵌合するまでの時間を極力短くすることが可能な周波数は比較的小さい(低い)周波数帯に分布することを確認している。
【0109】
以上の考察から、バルブスプール3がバルブボディ1の収容孔2の開口部に到達(当接)してから実際に収容孔2に嵌合するまでの時間を極力短くすることが可能な周波数帯のうちで極力小さい周波数を第一周波数N1として設定することが望ましい。
このようにして設定された第一周波数N1は制御装置151に予め記憶され、制御装置151による振動周波数制御に用いられる。
【0110】
以下では、第二周波数N2の設定方法について説明する。
第二周波数N2は、実質的にはバルブスプール3の下端部が実際に収容孔2の開口部に嵌合してからバルブスプール3がガイドブッシュ11から完全に脱落するまでの間におけるフローティングガイド10(ガイドブッシュ11)の水平方向の振動の周波数である。
【0111】
バルブスプール3がガイドブッシュ11から完全に脱落した後はバルブスプール3はほぼ自由落下の状態となるため、バルブスプール3の下端部が収容孔2の底部に衝突するまで落下速度が上昇し続けることとなる。
バルブスプール3の重量をMとし、バルブスプール3の落下速度がVのときにバルブスプール3の下端部が収容孔2の底部に衝突した場合、衝突時の力積はMとVとの積(=M×V)で表される。
バルブスプール3および収容孔2の底部の形状が一定である(衝突箇所の形状の影響を考慮しない)場合、変形(傷)の発生の有無は衝突時の衝撃の大きさに依存し、衝突時の衝撃の大きさは衝突時の力積との間に比例関係を有する。そして、衝突時の衝撃の大きさが所定の閾値以上となった場合に変形が発生する。
従って、バルブスプール3の形状(ひいては重量)を変更することが出来ない場合、バルブスプール3の下端部および収容孔2の底部の変形(傷)を防止する観点からはバルブスプール3の下端部が収容孔2の底部に衝突する瞬間の落下速度を極力小さくすることが望ましい。
結果として、第二周波数N2を極力大きく設定することにより、バルブスプール3がガイドブッシュ11から完全に脱落する瞬間の落下速度を極力小さくすることが望ましい。
【0112】
一方、組み付け作業のサイクルタイムを極力短くする観点からは、第二周波数N2を極力小さく設定することが望ましい。
【0113】
以上の考察から、バルブスプール3の下端部および収容孔2の底部の変形(傷)を回避(防止)可能な範囲内で極力小さい周波数を第二周波数N2として設定することが望ましい。
なお、予めそれぞれ重量の異なる複数のバルブスプールを用意し、これらをガイドブッシュから落下させる実験を行うことにより「バルブスプールの重量」と、「バルブスプールの落下速度(振動の周波数)」と、「バルブスプールおよび収容孔の底部の変形の発生の有無」と、の関係(図7参照)を明らかにし、当該実験結果に基づいて第二周波数N2を設定することが望ましい。
このようにして設定された第二周波数N2は制御装置151に予め記憶され、制御装置151による振動周波数制御に用いられる。
【0114】
以上の如く、組み付け装置100は、
バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置であって、
収容孔2の開口部が上方に向けられた姿勢で保持されたバルブボディ1の上方に配置され、自重で落下するバルブスプール3を収容孔2の開口部に導くフローティングガイド10と、
フローティングガイド10に水平方向の振動を付与する加振装置20と、
加振装置20がフローティングガイド10に付与する水平方向の振動の周波数を制御する制御装置151と、
を具備し、
制御装置151は、
フローティングガイド10により収容孔2の開口部に導かれるバルブスプール3の先端部が収容孔2の開口部に嵌合する時点(本実施形態では制御装置151が受光部142から検出信号を受信した時点から「待ち時間」が経過した時点でバルブスプール3の先端部が収容孔2の開口部に嵌合したものとみなす)を基準時点とし、基準時点以前は加振装置20に第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与させ、基準時点以後は加振装置20に第一周波数N1よりも大きい第二周波数N2の振動をフローティングガイド10に付与させる。
このように構成することにより、バルブボディ1に形成された収容孔2の内部をバルブスプール3が落下する速度(落下速度)を精度良く制御することが可能であり、ひいてはバルブスプール3およびバルブボディ1の変形を防止することが可能である。
また、基準時点以前は加振装置20に第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与することにより、収容孔2にバルブスプール3を収容する作業(組み付け作業)に要する時間(サイクルタイム)を極力短くすることが可能である。
【0115】
また、組み付け装置100のフローティングガイド10は、
バルブスプール3を上下方向に摺動可能に収容し、下端部が収容孔2の開口部の上方に配置されるガイドブッシュ11と、
ガイドブッシュ11を水平方向に相対移動可能に支持する支持板12と、
を具備し、
加振装置20は、
支持板12に水平方向の振動を付与する。
このように構成することにより、簡便な構成でガイドブッシュ11を水平方向に振動させることが可能である。
【0116】
また、組み付け装置100のフローティングガイド10は、
ガイドブッシュ11の下端部を開閉する開閉装置30を具備する。
このように構成することにより、ガイドブッシュ11に収容されたバルブスプール3が収容孔2の開口部に向かって落下するタイミングを制御することが可能である。
【0117】
また、組み付け装置100は、
ガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に到達したバルブスプール3を検出する検出装置140を具備し、
制御装置151は、
検出装置140がバルブスプール3を検出した時点から予め設定された待ち時間が経過した時点を基準時点とし、基準時点以前は加振装置20に第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与させ、基準時点以後は加振装置20に第二周波数N2の振動をフローティングガイド10に付与させる。
このように構成することは、以下の利点を有する。
バルブスプール3が収容孔2の開口部に嵌合するまでは比較的小さい(低い)周波数である第一周波数N1をフローティングガイド10に付与することによりバルブスプール3の落下速度を大きくするとともに迅速にバルブスプール3を収容孔2の開口部に嵌合することが可能である。
また、バルブスプール3が収容孔2の開口部に嵌合した後は比較的大きい(高い)周波数である第二周波数N2をフローティングガイド10に付与することによりバルブスプール3の落下速度を抑え、バルブスプール3およびバルブボディ1の変形を防止することが可能である。
従って、バルブスプール3およびバルブボディ1の変形を防止しつつ組み付け作業のサイクルタイムの短縮(生産性の向上)に寄与する。
【0118】
また、組み付け装置100のガイドブッシュ11の内周面の上端部には上方に向かって拡径するテーパ面(第一テーパ面11bおよび第二テーパ面11d)が形成される。
このように構成することにより、バルブスプール3をガイドブッシュ11の内部に容易かつ確実に収容することが可能である。
【0119】
本実施形態では図5に示す如く、基準時点(時間t14)を境界として加振装置20がフローティングガイド10に付与する振動の周波数を第一周波数N1から一気に第二周波数N2まで上昇させるが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図8に示す如く、基準時点(時間t14)経過後に加振装置20がフローティングガイド10に付与する振動の周波数を第一周波数N1から徐々に第二周波数N2まで上昇させても良い。
また、図9に示す如く、基準時点(時間t14)経過後に加振装置20がフローティングガイド10に付与する振動の周波数を第一周波数N1から段階的に第二周波数N2まで上昇させても良い。
【0120】
本実施形態ではバルブスプール3がガイドブッシュ11に収容された状態で上下方向に摺動するが、本発明に係る上下方向は鉛直方向(重力が作用する方向)に完全に平行な方向のみを指すものではない。
すなわち、本発明に係る「上下方向」は、バルブスプールが自重で落下して収容孔の開口部に到達するのを阻害しない範囲において、鉛直方向に対して完全に平行な方向から傾斜した方向を含む。
【0121】
本実施形態では加振装置20がフローティングガイド10に水平方向の振動を付与するが、本発明に係る水平方向は「鉛直方向に対して垂直な方向」に対して完全に平行な方向のみを指すものではない。
すなわち、本発明に係る「水平方向」は、振動の周波数を変化させることによりバルブスプールの落下速度を変化させることが可能な範囲において、「鉛直方向に対して垂直な方向」に対して完全に平行な方向から傾斜した方向を含む。
【0122】
以下では、図10から図14を用いて本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第二実施形態である組み付け装置200について説明する。
図10に示す組み付け装置200は、バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置である。
組み付け装置200に供されるバルブボディ1には、ピン孔7が形成される。
ピン孔7はバルブボディ1を貫通し、かつ収容孔2の中途部に連通する孔であり、収容孔2を閉塞するプラグ(不図示)を係止するためのピンを嵌入する孔である。
本実施形態では、バルブボディ1が作業位置に停止しているとき、ピン孔7の長手方向が左右方向に対して平行となる。
【0123】
図10に示す如く、組み付け装置200は、フローティングガイド10、加振装置20、開閉装置30、検出装置240および制御ユニット250を具備する。
【0124】
ここで、本実施形態の組み付け装置200におけるフローティングガイド10、加振装置20および開閉装置30の基本的な構成は図1に示す組み付け装置100におけるフローティングガイド10、加振装置20および開閉装置30の基本的な構成と略同じであるため、説明を省略する。
【0125】
図10および図11に示す検出装置240は本発明に係る検出装置の第二実施形態であり、収容孔2の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に到達したバルブスプール3を検出するものである。
本実施形態の検出装置240はいわゆる透過型の光学式センサであり、投光部241および受光部242を具備する。
【0126】
投光部241は例えば半導体からなる発光素子で構成され、電圧が印加されることにより所定の波長のレーザ光を所定の方向に投光(照射)する。
本実施形態では、投光部241は作業位置に配置されたバルブボディ1に形成されたピン孔7の左側の開口部に対向する位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
【0127】
受光部242は例えば半導体からなる受光素子で構成され、受光した光の強度に応じた電圧の電気信号を出力することにより受光の有無を検出することが可能である。
本実施形態では、受光部242は作業位置に配置されたバルブボディ1に形成されたピン孔7の右側の開口部に対向する位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
【0128】
投光部241が投光した所定の波長のレーザ光(図11中の二点鎖線参照)は、収容孔2の中途部、すなわち収容部2の開口部から所定高さだけ下となる部分を横切り、ピン孔7を貫通して受光部242に到達し、受光部242に受光される。
【0129】
バルブスプール3が収容部2の開口部に嵌合し、さらに所定高さだけ落下した場合、図12に示す如く投光部241が投光した所定の波長のレーザ光がバルブスプール3により遮られるため、受光部242が受光する光の強度(受光強度)が低下する。
このように、検出装置240は、受光部242の受光強度の変化(低下)に基づいて収容孔2の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に到達したバルブスプール3を検出することが可能である。
【0130】
図10に示す如く、制御ユニット250は制御装置251、入力装置252および表示装置253を備える。
本実施形態の制御装置251、入力装置252および表示装置253のハードウェアとしての構成は図1に示す制御装置151、入力装置152および表示装置153のハードウェアとしての構成と略同じであるため、説明を省略する。
【0131】
以下では、制御装置251による振動周波数制御(フローティングガイド10に付与される水平方向の振動の周波数の制御)の詳細について説明する。
制御装置251による振動周波数制御は、制御装置251に格納されたプログラム(振動周波数制御プログラム)に従って行われる。
【0132】
図11に示す如く、制御装置251による振動周波数制御が開始される前の時点では、バルブボディ1は治具4の上面に固定された状態で作業位置(フローティングガイド10の下方)に配置され、バルブスプール3はガイドブッシュ11に収容され、開閉装置30はガイドブッシュ11の下端部を閉じている。
【0133】
まず、制御装置251は加振装置20のアンプ22にON信号を送信するとともに、第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する(図14中の時間t21参照)。
アンプ22は制御装置251から受信したON信号に従って起動し、制御装置251から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0134】
次に、制御装置251は開閉装置30のエアシリンダ32(より厳密には、エアシリンダ32に圧縮空気を供給するエア配管の中途部に設けられた電磁弁)に開信号を送信する(図14中の時間t22参照)。
その結果、エアシリンダ32は収縮し、ガイドブッシュ11の下端部が開いた状態となるので、バルブスプール3は落下を開始する。
【0135】
図14に示す如く、バルブスプール3が落下を開始した時点(時間t22)ではガイドブッシュ11は第一周波数N1で水平方向に振動している。
本実施形態では、ガイドブッシュ11が第一周波数N1で水平方向に振動しているとき、バルブスプール3は落下速度V1で落下する(図6参照)。
【0136】
図12に示す如く、落下速度V1で落下しているバルブスプール3が収容孔2の開口部に嵌合し、その後所定高さだけ落下した位置に到達することにより投光部241と受光部242との間の光路を遮ったとき(図14中の時間t23参照)、制御装置251は受光部242から検出信号を受信する(厳密には、制御装置251は受光部242から受信する電気信号の電圧が低下したことを検知する)。
制御装置251は、検出信号を受信した時点(図14中の時間t23参照)を「基準時点」とし、当該基準時点で加振装置20のアンプ22に第二周波数N2の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
なお、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は、基準時点以前は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0137】
アンプ22は制御装置251から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第二周波数N2で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は基準時点以後は第二周波数N2で水平方向に振動し、基準時点以後のバルブスプール3は基準時点以前の落下速度V1よりも小さい落下速度V2で収容孔2の内部を落下する。
【0138】
図13に示す如く、基準時点から所定時間経過した時点では、バルブスプール3の下端部が収容孔2の底部に到達している。
制御装置251は、基準時点から所定時間経過した時点(図14中の時間t24参照)で(バルブスプール3の下端部が収容孔2の底部に到達したとみなして)加振装置20のアンプ22に第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
ここで、「所定時間(本実施形態では、時間t24と時間t23との差分)」は、第二周波数N2の振動が付与されているときのバルブスプール3の落下速度V2、収容孔2の深さ等に基づいて予め実験的に定められる。
アンプ22は制御装置251から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、フローティングガイド10は、基準時点から所定時間経過した時点以後は第一周波数N1で水平方向に振動する。
なお、次のバルブボディ1が作業位置に搬送されてこない場合には、基準時点から所定時間経過した時点で加振装置20をOFFにし、フローティングガイド10の振動を停止する制御を行っても良い(図14中の太い点線参照)。
【0139】
以上の如く、組み付け装置200は、
バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置であって、
収容孔2の開口部が上方に向けられた姿勢で保持されたバルブボディ1の上方に配置され、自重で落下するバルブスプール3を収容孔2の開口部に導くフローティングガイド10と、
フローティングガイド10に水平方向の振動を付与する加振装置20と、
収容孔2の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に到達したバルブスプール3を検出する検出装置240と、
加振装置20がフローティングガイド10に付与する水平方向の振動の周波数を制御する制御装置251と、
を具備し、
制御装置251は、
検出装置240がバルブスプール3を検出した時点を基準時点とし、基準時点以前は加振装置20に第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与させ、基準時点以後は加振装置20に第二周波数N2の振動をフローティングガイド10に付与させる。
このように構成することにより、バルブスプール3およびバルブボディ1の変形を防止しつつ組み付け作業のサイクルタイムの短縮(生産性の向上)に寄与する。
【0140】
本実施形態では、検出装置240の投光部241により投光された光がピン孔7を通って受光部242に受光されるが、本発明はこれに限定されない。
例えば、投光部により投光された光が収容孔に連通する油路を通って受光部に受光される構成でも良い。
【0141】
以下では、図15から図19を用いて本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第三実施形態である組み付け装置300について説明する。
図20に示す組み付け装置300は、バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置である。
組み付け装置300に供されるバルブボディ1には、ピン孔7が形成される。
ピン孔7はバルブボディ1を貫通し、かつ収容孔2の中途部に連通する孔であり、収容孔2を閉塞するプラグ(不図示)を係止するためのピンを嵌入するための孔である。
本実施形態では、バルブボディ1が作業位置に停止しているとき、ピン孔7の長手方向が左右方向に対して平行となる。
【0142】
図15に示す如く、組み付け装置300は、フローティングガイド10、加振装置20、開閉装置30、検出装置340および制御ユニット350を具備する。
【0143】
ここで、本実施形態の組み付け装置300におけるフローティングガイド10、加振装置20および開閉装置30の基本的な構成は図1に示す組み付け装置100におけるフローティングガイド10、加振装置20および開閉装置30の基本的な構成と略同じであるため、説明を省略する。
【0144】
図15および図16に示す検出装置340は本発明に係る検出装置の第三実施形態であり、収容孔2の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に到達したバルブスプール3を検出するものである。
本実施形態の検出装置340はいわゆる透過型の光学式センサであり、第一投光部341、第一受光部342、第二投光部343および第二受光部344を具備する。
【0145】
第一投光部341および第二投光部343は例えば半導体からなる発光素子で構成され、電圧が印加されることにより所定の波長のレーザ光を所定の方向に投光(照射)する。
本実施形態では、第一投光部341はガイドブッシュ11の左側方かつガイドブッシュ11の下端部からバルブボディ1の上面までの高さとなる位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
また、第二投光部343は作業位置に配置されたバルブボディ1に形成されたピン孔7の左側の開口部に対向する位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
【0146】
第一受光部342および第二受光部344は例えば半導体からなる受光素子で構成され、受光した光の強度に応じた電圧の電気信号を出力することにより受光の有無を検出することが可能である。
本実施形態では、第一受光部342はガイドブッシュ11の右側方かつガイドブッシュ11の下端部からバルブボディ1の上面までの高さとなる位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
また、第二受光部344は作業位置に配置されたバルブボディ1に形成されたピン孔7の右側の開口部に対向する位置に配置され、図示せぬ構造体を介して支持板12に固定される。
【0147】
第一投光部341が投光した所定の波長のレーザ光(図16中の上側の二点鎖線参照)は、正面視でガイドブッシュ11の下端部とバルブボディ1の上面とで挟まれる位置、かつ平面視でガイドブッシュ11に形成された貫通孔(バルブスプール3を収容する孔)およびバルブボディ1に形成された収容孔2を横切る位置を通って第一受光部342に到達し、第一受光部342に受光される。
第一投光部341と第一受光部342との間の光路(第一投光部341が投光したレーザ光が第一受光部342に受光されるまでに通る経路)はバルブボディ1の上面に形成された収容孔2の開口部の直上、すなわちガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置を通過する。
【0148】
第二投光部343が投光した所定の波長のレーザ光(図16中の下側の二点鎖線参照)は、収容孔2の中途部、すなわち収容部2の開口部から所定高さだけ下となる部分を横切り、ピン孔7を貫通して第二受光部344に到達し、第二受光部344に受光される。
【0149】
バルブスプール3がガイドブッシュ11の下端部から落下した場合、図17に示す如く第一投光部341が投光した所定の波長のレーザ光がバルブスプール3の下端部により遮られるため、第一受光部342が受光する光の強度(受光強度)が低下する。
このように、検出装置340は、第一受光部342の受光強度の変化(低下)に基づいてガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に到達したバルブスプール3の下端部を検出することが可能である。
【0150】
バルブスプール3が収容部2の開口部に嵌合し、さらに所定高さだけ落下した場合、図17に示す如く第二投光部343が投光した所定の波長のレーザ光がバルブスプール3の下端部により遮られるため、第二受光部344が受光する光の強度(受光強度)が低下する。
このように、検出装置340は、第二受光部344の受光強度の変化(低下)に基づいて収容孔2の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に到達したバルブスプール3の下端部を検出することが可能である。
【0151】
バルブスプール3が収容部2の開口部に嵌合し、所定高さだけ落下した後さらに落下した場合、図18に示す如く第一投光部341が投光した所定の波長のレーザ光がバルブスプール3により遮られなくなるため、第一受光部342が受光する光の強度(受光強度)が上昇する。
このように、検出装置340は、第一受光部342の受光強度の変化(上昇)に基づいてガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に到達したバルブスプール3の上端部を検出することが可能である。
【0152】
図15に示す如く、制御ユニット350は制御装置351、入力装置352および表示装置353を備える。
本実施形態の制御装置351、入力装置352および表示装置353のハードウェアとしての構成は図1に示す制御装置151、入力装置152および表示装置153のハードウェアとしての構成と略同じであるため、説明を省略する。
【0153】
以下では、制御装置351による振動周波数制御(フローティングガイド10に付与される水平方向の振動の周波数の制御)の詳細について説明する。
制御装置351による振動周波数制御は、制御装置351に格納されたプログラム(振動周波数制御プログラム)に従って行われる。
【0154】
図16に示す如く、制御装置351による振動周波数制御が開始される前の時点では、バルブボディ1は治具4の上面に固定された状態で作業位置(フローティングガイド10の下方)に配置され、バルブスプール3はガイドブッシュ11に収容され、開閉装置30はガイドブッシュ11の下端部を閉じている。
【0155】
まず、制御装置351は加振装置20のアンプ22にON信号を送信するとともに、第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する(図19中の時間t31参照)。
アンプ22は制御装置351から受信したON信号に従って起動し、制御装置351から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0156】
次に、制御装置351は開閉装置30のエアシリンダ32(より厳密には、エアシリンダ32に圧縮空気を供給するエア配管の中途部に設けられた電磁弁)に開信号を送信する(図19中の時間t32参照)。
その結果、エアシリンダ32は収縮し、ガイドブッシュ11の下端部が開いた状態となるので、バルブスプール3は落下を開始する。
【0157】
図19に示す如く、バルブスプール3が落下を開始した時点(時間t32)ではガイドブッシュ11は第一周波数N1で水平方向に振動している。
本実施形態では、ガイドブッシュ11が第一周波数N1で水平方向に振動しているとき、バルブスプール3は落下速度V1で落下する(図6参照)。
【0158】
図17に示す如く、落下速度V1で落下しているバルブスプール3が収容孔2の開口部に嵌合し、その後所定高さだけ落下した位置に到達することにより第二投光部343と第二受光部344との間の光路を遮ったとき(図19中の時間t33参照)、制御装置351は第二受光部344から検出信号を受信する(厳密には、制御装置351は第二受光部344から受信する電気信号の電圧が低下したことを検知する)。
制御装置351は、検出信号を受信した時点(図19中の時間t33参照)を「基準時点」とし、当該基準時点で加振装置20のアンプ22に第二周波数N2の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
なお、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は、基準時点以前は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0159】
アンプ22は制御装置351から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第二周波数N2で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は基準時点以後は第二周波数N2で水平方向に振動し、基準時点以後のバルブスプール3は基準時点以前の落下速度V1よりも小さい落下速度V2で収容孔2の内部を落下する。
【0160】
図18に示す如く、落下速度V2で落下しているバルブスプール3の上端部が第一投光部341と第一受光部342との間の光路よりも下方に位置し、当該光路を遮らなくなったとき(図19中の時間t34参照)、制御装置351は第一受光部342から受信する電気信号の電圧が上昇したことを検知する。
制御装置351は、第一受光部342から受信する電気信号の電圧が上昇したことを検知した時点で加振装置20のアンプ22に第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
アンプ22は制御装置351から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、フローティングガイド10は、第一受光部342から受信する電気信号の電圧が上昇した時点以後は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0161】
以上の如く、組み付け装置300は、
バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置であって、
収容孔2の開口部が上方に向けられた姿勢で保持されたバルブボディ1の上方に配置され、自重で落下するバルブスプール3を収容孔2の開口部に導くフローティングガイド10と、
フローティングガイド10に水平方向の振動を付与する加振装置20と、
ガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に上端部が到達したバルブスプール3、および収容孔2の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に下端部が到達したバルブスプール3を検出する検出装置340と、
加振装置20がフローティングガイド10に付与する水平方向の振動の周波数を制御する制御装置351と、
を具備し、
制御装置351は、
検出装置340がガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に上端部が到達したバルブスプール3を検出した時点を基準時点とし、基準時点以前は加振装置20に第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与させ、基準時点以後は加振装置20に第二周波数N2の振動をフローティングガイド10に付与させ、さらに検出装置340がガイドブッシュ11の下端部および収容孔2の開口部で挟まれる位置に上端部が到達したバルブスプール3を検出した時点以後は加振装置20に第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与させる。
このように構成することにより、バルブスプール3およびバルブボディ1の変形を防止しつつ組み付け作業のサイクルタイムの短縮(生産性の向上)に寄与する。
【0162】
本実施形態では、検出装置340の第二投光部343により投光された光がピン孔7を通って第二受光部344に受光されるが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第二投光部により投光された光が収容孔に連通する油路を通って第二受光部に受光される構成でも良い。
【0163】
以下では、図20から図24を用いて本発明に係るバルブスプール組み付け装置の第四実施形態である組み付け装置400について説明する。
図20に示す組み付け装置400は、バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置である。
【0164】
図20に示す如く、組み付け装置400は、フローティングガイド10、加振装置20、開閉装置30および制御ユニット450を具備する。
【0165】
ここで、本実施形態の組み付け装置400におけるフローティングガイド10、加振装置20および開閉装置30の基本的な構成は図1に示す組み付け装置100におけるフローティングガイド10、加振装置20および開閉装置30の基本的な構成と略同じであるため、説明を省略する。
【0166】
図20に示す如く、制御ユニット450は制御装置451、入力装置452および表示装置453を備える。
本実施形態の制御装置451、入力装置452および表示装置453のハードウェアとしての構成は図1に示す制御装置151、入力装置152および表示装置153のハードウェアとしての構成と略同じであるため、説明を省略する。
【0167】
以下では、制御装置451による振動周波数制御(フローティングガイド10に付与される水平方向の振動の周波数の制御)の詳細について説明する。
制御装置451による振動周波数制御は、制御装置451に格納されたプログラム(振動周波数制御プログラム)に従って行われる。
【0168】
図21に示す如く、制御装置451による振動周波数制御が開始される前の時点では、バルブボディ1は治具4の上面に固定された状態で作業位置(フローティングガイド10の下方)に配置され、バルブスプール3はガイドブッシュ11に収容され、開閉装置30はガイドブッシュ11の下端部を閉じている。
【0169】
まず、制御装置451は加振装置20のアンプ22にON信号を送信するとともに、第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する(図24中の時間t41参照)。
アンプ22は制御装置451から受信したON信号に従って起動し、制御装置451から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は第一周波数N1で水平方向に振動する。
【0170】
次に、制御装置451は開閉装置30のエアシリンダ32(より厳密には、エアシリンダ32に圧縮空気を供給するエア配管の中途部に設けられた電磁弁)に開信号を送信する(図24中の時間t42参照)。
その結果、エアシリンダ32は収縮し、ガイドブッシュ11の下端部が開いた状態となるので、バルブスプール3は落下を開始する。
【0171】
図24に示す如く、バルブスプール3が落下を開始した時点(時間t42)ではガイドブッシュ11は第一周波数N1で水平方向に振動している。
本実施形態では、ガイドブッシュ11が第一周波数N1で水平方向に振動しているとき、バルブスプール3は落下速度V1で落下する(図6参照)。
【0172】
図22に示す如く、開閉装置30がガイドブッシュ11の下端部を開いた時点(時間t42)から「待ち時間」が経過した時点では、バルブスプール3の下端部が収容孔2の開口部に嵌合している。
制御装置451は、開閉装置30がガイドブッシュ11の下端部を開いた時点(時間t42)から所定時間経過した時点(図24中の時間t43参照)を「基準時点」とし、当該基準時点で(バルブスプール3の下端部が収容孔2の開口部に嵌合したとみなして)加振装置20のアンプ22に第二周波数N2の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
ここで、「待ち時間(本実施形態では、時間t43と時間t42との差分)」は、第一周波数N1の振動が付与されているときのバルブスプール3の落下速度V1、ガイドブッシュ11の下端部から収容孔2の開口部までの距離、バルブスプール3の下端部が収容孔2の開口部に到達してから収容孔2の開口部に嵌合するまでに要する時間等に基づいて予め実験的に定められる。
【0173】
アンプ22は制御装置451から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第二周波数N2で水平方向に振動させる。
その結果、バルブスプール3がガイドブッシュ11に収容されたフローティングガイド10は基準時点以後は第二周波数N2で水平方向に振動し、基準時点以後のバルブスプール3は基準時点以前の落下速度V1よりも小さい落下速度V2で収容孔2の内部を落下する。
【0174】
図23に示す如く、基準時点から所定時間経過した時点では、バルブスプール3の下端部が収容孔2の底部に到達している。
制御装置451は、基準時点から所定時間経過した時点(図24中の時間t44参照)で(バルブスプール3の下端部が収容孔2の底部に到達したとみなして)加振装置20のアンプ22に第一周波数N1の振動を付与する旨の周波数信号を送信する。
ここで、「所定時間(本実施形態では、時間t44と時間t43との差分)」は、第二周波数N2の振動が付与されているときのバルブスプール3の落下速度V2、収容孔2の深さ等に基づいて予め実験的に定められる。
アンプ22は制御装置451から受信した周波数信号に従って振動子21に供給する電力の周波数を調整することにより振動子21を第一周波数N1で水平方向に振動させる。
その結果、フローティングガイド10は、基準時点から所定時間経過した時点以後は第一周波数N1で水平方向に振動する。
なお、次のバルブボディ1が作業位置に搬送されてこない場合には、基準時点から所定時間経過した時点で加振装置20をOFFにし、フローティングガイド10の振動を停止する制御を行っても良い(図24中の太い点線参照)。
【0175】
以上の如く、組み付け装置400は、
バルブボディ1に形成された収容孔2にバルブスプール3を収容する装置であって、
収容孔2の開口部が上方に向けられた姿勢で保持されたバルブボディ1の上方に配置され、自重で落下するバルブスプール3を収容孔2の開口部に導くフローティングガイド10と、
フローティングガイド10に水平方向の振動を付与する加振装置20と、
フローティングガイド10のガイドブッシュ11の下端部を開閉する開閉装置30と、
加振装置20がフローティングガイド10に付与する水平方向の振動の周波数を制御する制御装置451と、
を具備し、
制御装置451は、
開閉装置30がガイドブッシュ11の下端部を開いた時点から予め設定された待ち時間が経過した時点を基準時点とし、基準時点以前は加振装置20に第一周波数N1の振動をフローティングガイド10に付与させ、基準時点以後は加振装置20に第二周波数N2の振動をフローティングガイド10に付与させる。
このように構成することは、以下の利点を有する。
バルブスプール3が収容孔2の開口部に嵌合するまでは比較的小さい(低い)周波数である第一周波数N1をフローティングガイド10に付与することによりバルブスプール3の落下速度を大きくするとともに迅速にバルブスプール3を収容孔2の開口部に嵌合することが可能である。
また、バルブスプール3が収容孔2の開口部に嵌合した後は比較的大きい(高い)周波数である第二周波数N2をフローティングガイド10に付与することによりバルブスプール3の落下速度を抑え、バルブスプール3およびバルブボディ1の変形を防止することが可能である。
従って、バルブスプール3およびバルブボディ1の変形を防止しつつ組み付け作業のサイクルタイムの短縮(生産性の向上)に寄与する。
【符号の説明】
【0176】
1 バルブボディ
2 収容孔
3 バルブスプール
10 フローティングガイド
11 ガイドブッシュ(ガイド筒の実施の一形態)
12 支持板(支持部材の実施の一形態)
20 加振装置
30 開閉装置
100 組み付け装置(バルブスプール組み付け装置の第一実施形態)
140 検出装置
151 制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブボディに形成された収容孔にバルブスプールを収容するバルブスプール組み付け装置であって、
前記収容孔の開口部が上方に向けられた姿勢で保持された前記バルブボディの上方に配置され、自重で落下する前記バルブスプールを前記収容孔の開口部に導くフローティングガイドと、
前記フローティングガイドに水平方向の振動を付与する加振装置と、
前記加振装置が前記フローティングガイドに付与する水平方向の振動の周波数を制御する制御装置と、
を具備し、
前記制御装置は、
前記フローティングガイドにより前記収容孔の開口部に導かれるバルブスプールの先端部が前記収容孔の開口部に嵌合する時点を基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第一周波数よりも大きい第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させる、
バルブスプール組み付け装置。
【請求項2】
前記フローティングガイドは、
前記バルブスプールを上下方向に摺動可能に収容し、下端部が前記収容孔の開口部の上方に配置されるガイド筒と、
前記ガイド筒を水平方向に相対移動可能に支持する支持部材と、
を具備し、
前記加振装置は、
前記支持部材に水平方向の振動を付与する、
請求項1に記載のバルブスプール組み付け装置。
【請求項3】
前記フローティングガイドは、
前記ガイド筒の下端部を開閉する開閉装置を具備する、
請求項2に記載のバルブスプール組み付け装置。
【請求項4】
前記ガイド筒の下端部および前記収容孔の開口部で挟まれる位置に到達した前記バルブスプールを検出する検出装置を具備し、
前記制御装置は、
前記検出装置が前記バルブスプールを検出した時点から予め設定された待ち時間が経過した時点を前記基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させる、
請求項2または請求項3に記載のバルブスプール組み付け装置。
【請求項5】
前記収容孔の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に到達した前記バルブスプールを検出する検出装置を具備し、
前記制御装置は、
前記検出装置が前記バルブスプールを検出した時点を前記基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させる、
請求項2または請求項3に記載のバルブスプール組み付け装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記開閉装置が前記ガイド筒の下端部を開いた時点から予め設定された待ち時間が経過した時点を前記基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させる、
請求項3に記載のバルブスプール組み付け装置。
【請求項7】
前記ガイド筒の内周面の上端部には上方に向かって拡径するテーパ面が形成される、
請求項2から請求項6までのいずれか一項に記載のバルブスプール組み付け装置。
【請求項1】
バルブボディに形成された収容孔にバルブスプールを収容するバルブスプール組み付け装置であって、
前記収容孔の開口部が上方に向けられた姿勢で保持された前記バルブボディの上方に配置され、自重で落下する前記バルブスプールを前記収容孔の開口部に導くフローティングガイドと、
前記フローティングガイドに水平方向の振動を付与する加振装置と、
前記加振装置が前記フローティングガイドに付与する水平方向の振動の周波数を制御する制御装置と、
を具備し、
前記制御装置は、
前記フローティングガイドにより前記収容孔の開口部に導かれるバルブスプールの先端部が前記収容孔の開口部に嵌合する時点を基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第一周波数よりも大きい第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させる、
バルブスプール組み付け装置。
【請求項2】
前記フローティングガイドは、
前記バルブスプールを上下方向に摺動可能に収容し、下端部が前記収容孔の開口部の上方に配置されるガイド筒と、
前記ガイド筒を水平方向に相対移動可能に支持する支持部材と、
を具備し、
前記加振装置は、
前記支持部材に水平方向の振動を付与する、
請求項1に記載のバルブスプール組み付け装置。
【請求項3】
前記フローティングガイドは、
前記ガイド筒の下端部を開閉する開閉装置を具備する、
請求項2に記載のバルブスプール組み付け装置。
【請求項4】
前記ガイド筒の下端部および前記収容孔の開口部で挟まれる位置に到達した前記バルブスプールを検出する検出装置を具備し、
前記制御装置は、
前記検出装置が前記バルブスプールを検出した時点から予め設定された待ち時間が経過した時点を前記基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させる、
請求項2または請求項3に記載のバルブスプール組み付け装置。
【請求項5】
前記収容孔の開口部に嵌合した後所定高さだけ落下した位置に到達した前記バルブスプールを検出する検出装置を具備し、
前記制御装置は、
前記検出装置が前記バルブスプールを検出した時点を前記基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させる、
請求項2または請求項3に記載のバルブスプール組み付け装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記開閉装置が前記ガイド筒の下端部を開いた時点から予め設定された待ち時間が経過した時点を前記基準時点とし、前記基準時点以前は前記加振装置に第一周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させ、前記基準時点以後は前記加振装置に前記第二周波数の振動を前記フローティングガイドに付与させる、
請求項3に記載のバルブスプール組み付け装置。
【請求項7】
前記ガイド筒の内周面の上端部には上方に向かって拡径するテーパ面が形成される、
請求項2から請求項6までのいずれか一項に記載のバルブスプール組み付け装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−5578(P2011−5578A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150207(P2009−150207)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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