説明

パイプまたは線を取り付けるためのクランプ

【課題】パイプまたは線を取り付けるための比較的高い剛性を有するクランプ。
【解決手段】パイプまたは線を取り付けるためのクランプ1は、台座2上に配置された第1の腕4と台車3上に配置された第2の腕5とを含む。台車3は台座2上に滑り可能に配置され、第1と第2の腕4、5はおたがいに接続可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、お互いに接続されることが可能な第1の腕と第2の腕とを有する、パイプまたは線を取り付けるためのクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
この型のクランプは、例えばパイプまたは線システムを取り付けるために使用される。これによって、クランプは、構造、例えば壁またはフレームを支えるため、最初に取り付けられ、続いてパイプまたは線がクランプの中に挿入される。クランプはこの後、腕を接続することによって閉められ、腕がパイプまたは線を取り囲む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
クランプの中にパイプまたは線を挿入可能とするために、クランプの比較的広い開口が必要となる。一般にクランプの腕はこの目的のため比較的高い弾性を有し、これらの自由端は、接続されることができ、お互いに比較的離れて曲げられることができる。しかしながら、これは、クランプ全体が比較的高い弾性を有し、特にパイプまたは線の固い接続を許さないという欠点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、高い剛性を有するクランプを提供する。
【0005】
この結果、上記で言及した型のクランプの中で、第1の腕が台座の上に配置され、第2の腕が台車の上に配置される。この台車は滑り可能に台座の上に配置される。
【0006】
クランプ全体、つまり腕、台座、および台車は、比較的固い手法で実装または形成される。パイプまたは線を固定するための腕の変形は必要でない。例えば、腕はお互いに向かって曲げられていて、接続された状態でお互いに円形の断面を取り囲む。台座と第1の腕に関して、第2の腕を有する台車を移動することによって、クランプは、パイプまたは線要素に適合するため、十分広く開くことができる。続いて、腕は、台車の移動によってお互いに向かって動かされ、クランプは閉じられる。このような方法で、線またはパイプの固い保持が可能となる。最終的に、高い剛性を有するクランプが得られる。
【0007】
好ましくは、これらの自由端上で腕はそれぞれ、特に固定接続が製造される接続形状を有する。従い、お互いに腕の正の接続が接続形状を介して可能となる。例えば、第1の腕の接続形状はホックとして実装または形成され、第2の腕の接続形状は凹部として実装または形成される。ホックは、クランプが閉じられるとすぐに凹部の中に固定される。高い力を吸収する非常に安定した正の接続が製造される。凹部は、本質的にU字型の縁によって取り囲まれ、これを介してホックの案内が発生する。軸方向の力は接続形状によっても吸収されることができる。同時にホックは縁によって外部の力から守られる。この結果、外部の力の効果によるホックが突発的な開くことまたは損傷は起こらない。
【0008】
効果的には、台座は、第1の腕から離れて面する台座の端に配置される取り付け部分を有する。取り付け部分は、例えば筐体の壁、屋根、床、または車両または航空機の胴体のような構造を支えるクランプを固定するために使用される。取り付け部分は、例えばねじのような取り付け道具に適合するための開口を有する。従い、クランプを取り付けることは比較的簡単である。
【0009】
好ましくは、台車は、台車の凹部を貫通するガイド上で案内される。台車は従って正に導かれる。ガイドは、台座と平行に拡張する台座の拡張として実装または形成されることもできる。ガイドは例えば、蟻継ぎガイドとして実装または形成され、この形状により凹部との相互接続が回転阻止を引き起こす。結局台車は比較的安定な手法でガイド上を導かれることができる。
【0010】
台車の底面が台座の底面と同一平面で終わることは特に効果的である。台車と台座の底面は滑らかな表面上に配置されることができる。従い、クランプの取り付けは比較的簡単になる。
【0011】
好ましくは、台車のガイド領域は、第1の腕の下の台座の凹部と部分で適合する。台車が台座に滑るとき、つまりクランプが閉じるとき、台車と台座の間の追加の正の接続が起こる。これにより、クランプの非常に高い剛性の結果となり、同時に比較的高い力が移動される。
【0012】
好ましくは、挿入部が腕の内部に配置され、挿入部は第1の材料を有する。台座、台車および腕は第2の材料を有する。2つの材料は、特にお互いに化学的粘着接続を受ける。クランプが据え付けられたとき、挿入部は、腕とパイプまたは線との間に横たわる。これにより、挿入部は例えば一定の弾性を有し、従い、台座、台車および腕の第2の材料が比較的剛性があり、曲がらない間、振動解離を引き起こす。パイプまたは線要素の周りのクランプの閉鎖の間、挿入部の第1の材料のわずかな弾性変形によって、事前負荷が第1の材料の変形によって起こされるため、パイプまたは線要素の非常に固い保持が同様に達成させられる。従い、遊びから自由な保持の結果となる。
【0013】
好ましくは、第1の材料はシリコン、より好ましくは液体シリコンを有し、第2の材料は熱可塑性材料を有する。クランプ、つまり台座、台車、および腕は、熱可塑性材料の使用により比較的高い剛性で実装または形成される。シリコンの使用は、振動減衰または振動から環境の解離を可能な状態にし、従いクランプの中のパイプまたは線要素の適合を確実にする。液体シリコンは、例えば液体の状態で与えられ、または噴霧され、シリコンは、熱可塑性材料と閉じた接続を受ける。これは腕の内部上で挿入部の非常に確実な保持の結果となる。
【0014】
好ましくは、クランプは−55℃から+260℃の温度範囲の中で使用される。これは例えば航空機の中の応用の非常に広い分野で起こる。この型の温度範囲は熱可塑性材料とシリコンの使用で実現される。
【0015】
クランプの材料が燃料耐性であることは特に効果的である。従い、クランプは化学プラントまたは例えば混合燃料線で使用されることも可能である。シリコンと同様に熱可塑性材料は燃料耐性材料である。
【0016】
本発明の実施形態は、パイプまたは線を取り付けるためのクランプに向いている。クランプは、台座上に配置された第1の腕と台車上に配置された第2の腕を含む。台車は台座上に滑り可能に配置され、第1と第2の腕はおたがいに接続可能である。
【0017】
実施形態によれば、第1と第2の腕は接続形状を有する自由端を有する。接続形状は、固定接続を製造する。
【0018】
本発明の実施形態によれば、台座は、第1の腕から離れて面する台座の端に配置された取り付け部分を有する。
【0019】
他の実施形態の中で、台車は、台車の凹部を貫通するガイドを含む。
【0020】
他の実施形態によれば、台車の底面は、台座の底面と同一平面に構成される。
【0021】
本発明のさらなる他の実施形態によれば、台車のガイド領域は、台座の凹部と部分で適合可能である。
【0022】
さらなる実施形態の中で、第1の材料を有する挿入部が腕の内部に配置される。台座、台車および腕は第2の材料を有する。第1の材料はシリコンを含み、シリコンは液体シリコンを含む。さらに、第2の材料は熱可塑性材料を有する。クランプの第1と第2の材料は、燃料耐性である。
【0023】
さらに、クランプは−55℃から+260℃の温度範囲の中で使用のため構成される。
【0024】
本発明の実施形態は、パイプまたは線を接続するために構成されたクランプに向いている。クランプは、台座に接続された第1の腕と、台座上に滑り可能に導かれた第2の腕を含み、第1と第2の腕はおたがいに滑り可能に噛み合うことができる。固定要素は第1の腕に連結され、補完的な固定要素は、第2の腕に連結され、挿入部が第1と第2の腕の内部表面上に形成される。
【0025】
実施形態によれば、挿入部は第1の材料を含み、台座と腕は第2の材料を含む。
【0026】
他の実施形態によれば、第1と第2の材料は、燃料耐性である。
【0027】
本発明のさらなる他の実施形態によれば、第1の材料はシリコンを含み、第2の材料は熱可塑性材料を含む。さらに、シリコンは液体シリコンを含む。
【0028】
他の例示的実施形態と本発明の効果は、本開示と添付の図によって確かめられる。
【0029】
本発明は、本発明の例示的実施形態の非制限例により、複数の図を参照することによって、以下の詳細な記述により記載される。図の中のいくつかを通して同じ参照番号は同じ部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】開いた状態のクランプを示す。
【図2】閉じた状態のクランプを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、詳細は例示の方法で示され、本発明の実施形態の図示的議論の目的のためのみに、本発明の原理と概念的な面をすぐに理解でき、最も効果的と信じられることを提供するために表される。このことについて、本発明の基本的理解のために必要なもの以上に、本発明のいくつかの形状が実際にどのように実装され、形成されるかを当業者に明らかにさせる、図を伴った記載以上に、本発明の構造的詳細を開示することを意図していない。
【0032】
図1の中で、パイプまたは線のための取り付けクランプとして使用されることができるクランプは、3次元表現で示される。クランプ1は、台座2、台車3、第1の腕4、第2の腕5を有する。台車3は、台座2とひとつなぎに実装または形成されたガイド6上を線形の手法で導かれる。ガイド6は台車3の凹部を貫通する。ガイド6は本質的に矩形の断面で実装または形成され、凹部は対応する断面を有し、線形の案内と同様に回転の障害が発生する。これは、ガイド6上の頂点に実装または形成されるウェブ19によって追加的に向上される。
【0033】
台座2は、取り付け道具と適合する開口8を有する取り付け部7を有する。取り付け道具、例えば、ねじまたはリベットで、クランプ1は筐体または異なった固定された要素に取り付けられることができる。クランプ1は対応する要素上で取り付け部7の底面9に置かれ、開口8を通して導かれる取り付け道具の助けで取り付けられる。
【0034】
第1の腕4は台座2とひとつなぎに実装または形成され、第2の腕5は台車3とひとつなぎに実装または形成される。ガイド6と第1の腕4を有する台座2は、第2の腕5を有する台車3と同様に、第2の材料、この場合は熱可塑性材料で作られる。2つの部分の挿入部10、11は第1の腕4と第2の腕5の間に配置される。この挿入部はそれぞれ第1の腕4または第2の腕5の内部を完全に覆い、腕4、5と同様に半円形の手法で実装または形成される。挿入部10、11は第2の材料と異なる第1の材料から作られる。
【0035】
この例の中で、挿入部10、11は、腕4、5上に噴霧されたシリコンを有する。
【0036】
接続形状14、15が、腕4、5のそれぞれの自由端12、13上に実装または形成され、腕4上の接続形状14はホックとして実装または形成され、腕5上の接続形状15は凹部として実装または形成される。接続形状15はU字型の縁16によって囲まれ、この縁は、接続形状15の凹部の中に固定された後、ホック型の接続形状14を取り囲む。縁16の上部の縁は接続形状14の頂点で終わり、接続形状14は、接続形状14、15の取り外しを引き起こす外部の力から比較的良く保護される。
【0037】
ホック形状の接続形状14は、これによって第1の腕4とひとつなぎに実装または形成される。縁16は、第2の腕5とひとつなぎに実装または形成される。
【0038】
第1の腕4の下で、台座2は凹部17を有し、この中に台車3のガイド領域18がクランプ1の閉じる間挿入される。これは、台車3と台座2の間の比較的大きい領域の接続の結果となり、クランプ1の高い剛性が得られる。
【0039】
図2は閉じられた状態での図1によるクランプを示す。台車3は台座2に対して押され、腕4、5の自由端12、13はお互いに対して置かれれ、接続形状14、15はお互いに固定される。腕4、5は従い円形の閉じた断面を囲み、閉じた断面の中に、クランプ1の開いた状態で事前に腕4、5の間の挿入されたパイプまたは線要素が保持されることができる。
【0040】
台車3の底面は台座2の底面9と同一平面で走る。クランプ1は従い滑らかな表面に簡単に取り付けられる。同時に台車3から滑らかな表面に力の移動が可能になり、最終的に非常に固い配置の結果となる。
【0041】
停止片20がウェブ19の1つの端に提供され、停止片は損失から保護するために働く。従い台車3は停止片20を超えて台座2から簡単に離れて動くことができない。クランプ1の最大の開口幅は従って事前に決定される。
【0042】
特に、第2の腕を有する台車と同様に、第1の腕とガイドを有する台座のための材料として、熱可塑性材料の使用、および挿入部のためのシリコンの使用は、高い剛性で非常に軽いクランプの結果となり、追加のケーブル紐または追加の道具なしでパイプおよび/または線システムの簡単な固定を可能の状態にする。クランプは最初に取り付けられ、続いてパイプまたは線要素がクランプの中に挿入される。台座に関して台車を有する第2の腕の単純な移動によって、クランプの簡単な閉じが、接続形状の自動的な固定で発生し、クランプの勝手な開きは妨げられる。
【0043】
シリコンの使用は、パイプシステムまたは線システムから環境への振動の移動を妨げ、これにより、パイプまたは線要素の安全な保持が確実にされる。クランプは極端な状況下、例えば航空機産業または自動車産業で使用されることができる。熱可塑性材料とシリコンの使用は、同時に起こる燃料耐性とともに、−55℃から+260℃の温度範囲でクランプの使用を許す。クランプは高い剛性と低い重さを有する。要求される状況に応じて、クランプは異なった材料で製造することができ、この結果クランプのコスト効果のある製造が可能となる。
【0044】
上記の例は、単に例示の目的のために提示されたものであり、本発明の制限として構成されるものではないことに注意すべきである。本発明は例示的な実施形態を参照し記載されたが、ここで用いられた言葉は、制限の言葉ではなく、記載と例示の言葉と理解すべきである。添付の請求項の範囲内で、本発明の範囲と概念から、その態様を逸脱することなく、ここで述べられたようにおよび補正によって、変形は可能である。本発明は、特定の手段、材料および形態に関して、ここで記載されたが、本発明は、ここで開示された特別なものに制限されない。むしろ、本発明は、添付された請求項の範囲内で機能的に同等な構成、方法および用途に拡張される。
【符号の説明】
【0045】
1 クランプ
2 台座
3 台車
4 第1の腕
5 第2の腕
6 ガイド
7 取り付け部
8 開口
9 底面
10、11 挿入部
12、13 自由端
14、15 接続形状
16 縁
17 凹部
18 ガイド領域
19 ウェブ
20 停止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座2上に配置された第1の腕4と、
台車3上に配置された第2の腕5と、
を含み、前記台車3は前記台座2上に滑り可能に配置され、前記第1と第2の腕4、5はおたがいに接続可能である、
パイプまたは線を取り付けるためのクランプ1。
【請求項2】
前記第1と第2の腕4、5は、接続形状14を有する自由端を有する請求項1に記載のクランプ1。
【請求項3】
前記接続形状14は、固定接続を製造する請求項2に記載のクランプ1。
【請求項4】
前記台座2は、前記第1の腕4から離れて面する前記台座2の端に配置された取り付け部分7を有する請求項1に記載のクランプ1。
【請求項5】
前記台車3は、前記台車3の凹部を貫通するガイド6を含む請求項1に記載のクランプ1。
【請求項6】
前記台車3の底面は、前記台座2の底面と同一平面に構成される請求項1に記載のクランプ1。
【請求項7】
前記台車3のガイド領域18は、前記台座2の凹部17と部分で適合可能である請求項1に記載のクランプ1。
【請求項8】
前記腕3、4の内部に配置された第1の材料を有する挿入部10、11をさらに含み、前記台座2、前記台車3および前記腕3、4は第2の材料を有する請求項1に記載のクランプ1。
【請求項9】
前記第1の材料はシリコンを含む請求項8に記載のクランプ1。
【請求項10】
前記シリコンは液体シリコンを含む請求項9に記載のクランプ1。
【請求項11】
前記第2の材料は熱可塑性材料を含む請求項8に記載のクランプ1。
【請求項12】
前記クランプ1の前記第1と第2の材料は、燃料耐性である請求項8に記載のクランプ1。
【請求項13】
前記クランプ1は−55℃から+260℃の温度範囲の中で使用のため構成される請求項1に記載のクランプ1。
【請求項14】
台座2に接続された第1の腕4と、
前記台座2上に滑り可能に導かれた第2の腕5と、前記第1と第2の腕4、5はおたがいに滑り可能に噛み合うことができ、
前記第1の腕4に連結された固定要素14と、
前記第2の腕5に連結された補完的な固定要素15と、
前記第1と第2の腕4、5の内部表面上に形成された挿入部10、11と、
を含むパイプまたは線を接続するために構成されたクランプ1。
【請求項15】
前記挿入部10、11は第1の材料を含み、前記台座2と前記腕4、5は第2の材料を含む請求項14に記載のクランプ1。
【請求項16】
前記第1と第2の材料は、燃料耐性である請求項15に記載のクランプ1。
【請求項17】
前記第1の材料はシリコンを含み、前記第2の材料は熱可塑性材料を含む請求項15に記載のクランプ1。
【請求項18】
前記シリコンは液体シリコンを含む請求項17に記載のクランプ1。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−96576(P2013−96576A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−232646(P2012−232646)
【出願日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【出願人】(591044393)ノルマ ジャーマニー ゲーエムベーハー (43)
【Fターム(参考)】