説明

パウチ容器の製造装置

【課題】自立型のパウチ容器を、より好適に製造でき得る製造装置を提供する。
【解決手段】パウチ容器の製造装置は、シート材Mを折り畳むことで、胴部前面、胴部後面、底ガセット、天ガセットを構成する前シート部、後シート部、底シート部、天シート部を形成する送出手段を備える。また、製造装置は、底ガセットの周縁と胴部前後面の下縁とのヒートシール部であるボトムシール部Sbを形成するために、底シート部同士が重ならないように当該底シート部の折り畳みを解除した状態で、底シート部と前シート部の下縁、および、底シート部と胴部後面に相当する後シート部の下縁、をそれぞれ挟持しつつ加熱する第一シールユニットも備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに対向する胴部前面および胴部後面の下部に、二つに折り畳まれた底ガセットがヒートシールされた自立型のパウチ容器の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、1以上のシート材を、適宜、折り畳み、接合することにより袋状に形成したパウチ容器が広く知られている。こうしたパウチ容器の中には、胴部前面および胴部後面の下部に内側に二つ折りにした底ガセットを接合した自立型のパウチ容器、いわゆる、スタンディングパウチがある。かかるスタンディングパウチは、容器に収容した商品を、スタンディング状態で陳列できるなどの利便性から、様々な商品において多用されている。
【0003】
このスタンディングパウチは、例えば、特許文献1−4などに開示の技術で製造することができる。この特許文献1−4記載の技術は、細部において若干異なるものの、基本的には、次のようなものである。まず、1枚または複数枚のシート材を折り畳んで、互いに対向する胴部前面および胴部後面の下部に内側に二つ折りにした底ガセットを配置した状態にする。そして、その状態で、胴部前面および胴部後面に、シール部分に対応した形状のヒータや加熱したシールバー等を押し当てて、胴部の両側縁および底ガセットの周縁をヒートシールしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/096392号パンフレット
【特許文献2】特開2004−249514号公報
【特許文献3】特開2004−338362号公報
【特許文献4】特開2001−206384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
つまり、従来技術では、底ガセットを折り畳んだ状態でシート材を加熱していた。この場合、底ガセット周辺では、四枚のシート材が重なった状態で加熱されることになり、熱が効率的に伝達できないという問題があった。また、四枚のシート材が重なった底ガセット周辺と、二枚のシート材が重なった胴部の両側縁周辺では厚みに差が出てしまい、底ガセット周辺と胴部両側縁との境界において段差が生じることになる。かかる段差は、両ヒートシール部に伝わる熱や圧力の相違、ひいては、接合度合いの相違を招いたり、当該段差部分における気泡を招いたりしていた。こうした問題を解決するために、特許文献2−4では、特殊形状のシールバーを用いていた。しかし、いかに特殊形状のシールバーを用いたとしても、段差そのものはなくならず、また、熱の伝達効率の問題も解決できないため、自立型パウチ容器を好適に製造することは困難であった。よって、同じ箇所を別ステーションにて2回加熱シールし、装置の大型化を招いていた。
【0006】
そこで、本発明では、自立型のパウチ容器を、より好適に製造でき得る製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパウチ容器の製造装置は、その両側縁が互いにヒートシールされた胴部前面および胴部後面と、内側に二つ折りされた状態で前記胴部前面および胴部後面の下部に挟持された底ガセットと、を備えたパウチ容器の製造装置であって、1以上のシート材を送出しつつ折り畳んで重ねることで、少なくとも、前記胴部前面、胴部後面および底ガセットを構成する前シート部、後シート部および底シート部を形成する送出手段と、前記折り畳んで重ねられたシート材に対して、少なくとも、前記胴部前面の両側縁と胴部後面の両側縁とのヒートシール部であるサイドシール部と、底ガセットの周縁と胴部前面および胴部後面の下縁とのヒートシール部であるボトムシール部と、を形成するシールユニットと、を備え、前記シールユニットは、前記底シート部同士が重ならないように前記底シート部の折り畳みを解除した状態で、底シート部と前シート部の下縁、および、底シート部と後シート部の下縁、をそれぞれ挟持しつつ加熱することでボトムシール部を形成する、ことを特徴とする。
【0008】
好適な態様では、前記シールユニットは、サイドシール部の形成処理と、ボトムシール部の形成処理と、を同じ位置で行う。他の好適な態様では、前記シールユニットは、前記前シート部および後シート部を重ねた状態で挟持しつつ、当該前記前シート部および後シート部の両側縁を加熱する一対のサイドブロックと、折り畳み解除された底シート部と当該底シート部に重ねられた前シート部の下縁および後シート部の下縁を、前記サイドブロックの底面と協働して挟持しつつ加熱するボトムブロックと、を備える。
【0009】
他の本発明であるパウチ容器の製造装置は、その両側縁が互いにヒートシールされた胴部前面および胴部後面と、内側に二つ折りされた状態で前記胴部前面および胴部後面の下部に挟持された底ガセットと、その周縁が胴部前面および胴部後面の上縁にヒートシールされた天ガセットと、を備えたパウチ容器の製造装置であって、1以上のシート材を送出しつつ折り畳んで重ねることで、少なくとも、前記胴部前面、胴部後面、底ガセットおよび天ガセットを構成する前シート部、後シート部、底シート部および天シート部を形成する送出手段と、前記折り畳んで重ねられたシート材に対して、少なくとも、前記胴部前面の両側縁と胴部後面の両側縁とのヒートシール部であるサイドシール部と、底ガセットの周縁と胴部前面および胴部後面の下縁とのヒートシール部であるボトムシール部と、天ガセットの周縁と前記胴部前面および胴部後面の上縁とのヒートシール部であるトップシール部と、を形成するシールユニットとを備え、前記シールユニットは、前記底シート部同士が重ならないように前記底シート部の折り畳みを解除した状態で、底シート部と前シート部の下縁、および、底シート部と後シート部の下縁、をそれぞれ挟持しつつ加熱することでボトムシール部を形成する、ことを特徴とする。この場合、前記シールユニットは、前記前シート部および後シート部を重ねた状態で挟持しつつ、当該前記前シート部および後シート部の両側縁を加熱する一対のサイドブロックと、折り畳み解除された底シート部と当該底シート部に重ねられた前シート部の下縁および後シート部の下縁を、前記サイドブロックの底面と協働して挟持しつつ加熱するボトムブロックと、天シート部と当該天シート部に重ねられた前シート部の上縁および後シート部の上縁を、前記サイドブロックの上面と協働して挟持しつつ加熱するトップブロックと、を備えることが望ましい。また、前記シールユニットは、天シート部と当該天シート部に重ねられた前シート部の上縁および後シート部の上縁を、前記サイドブロックの上面に押し当てた後に、前記サイドシール部の形成処理を実行する、ことも望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、底シート部の折り畳みが解除された状態でボトムシール部が形成されるため、底ガセットを備えた自立型のパウチ容器を、より好適に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態であるパウチ容器の製造装置の概略構成図である。
【図2】製造対象であるパウチ容器の斜視図である。
【図3】パウチ容器の上面図、正面図、X−X断面図である。
【図4】罫線形成ユニットおよびパンチングユニットでの処理内容を示す図である。
【図5】折り畳みユニットおよびスパウト装着ユニットでの処理内容を示す図である。
【図6】解除機構の一例を示す図である。
【図7】第一シールユニットに設けられた加熱機構の正面図である。
【図8】トップブロックの斜視図である。
【図9】サイドブロックの斜視図である。
【図10】ボトムブロックの斜視図である。
【図11】シール作業の流れを示す図である。
【図12】シール作業の流れを示す図である。
【図13】第一シールユニットを通過したシート材の上面図および側面図である。
【図14】従来技術と本実施形態とを比較する図である。
【図15】他の実施形態の一例を示す図である。
【図16】他の実施形態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態であるパウチ容器SPの製造装置10の概略構成図である。この製造装置10は、シート材を適宜、折り曲げて接合することによりパウチ容器SP、特に、底ガセットP3を備えた自立型のパウチ容器SP(スタンディングパウチ)を製造する装置である。
【0013】
この製造装置10の詳説に先立って、まず、当該製造装置10で製造されるパウチ容器SPについて説明する。図2は、このパウチ容器SP製造装置10で製造するパウチ容器SPの斜視図、図3は、当該パウチ容器SPの上面図、正面図、X−X断面図である。なお、この図2,3において、ハッチングを施した箇所は、シート材同士が熱により接合されたヒートシール部である。
【0014】
周知のとおり、パウチ容器SPは、シート材を袋状に貼り合わせて形成される容器で、液体や粉体など様々な収容物の収容に用いられる。このパウチ容器SPに用いられるシート材としては、片面にヒートシール性を備え、適度な可撓性を備えているのであれば、その材質や肉厚は特に限定されない。したがって、例えば、ヒートシール性に富むポリエチレンやエチレン−プロピレン共重合体などからなる内層と、印刷性やガス遮蔽性に富むポリアミドやポリエステルなどからなる外層と、を積層した複合フィルムなどを用いることができる。なお、この材質は、あくまで一例であり、パウチ容器SPとして要求される強度や、パウチ容器SP内に収容する収容物の性質などに応じて、適宜、異なる材質、肉厚のシート材が選択されてもよい。
【0015】
本実施形態が製造対象としているパウチ容器SPは、互いに対向する胴部前面P1および胴部後面P2と、胴部前面P1および胴部後面P2の上縁に接合された天ガセットP4、胴部前面P1および胴部後面P2の下縁に接合された底ガセットP3、および、天ガセットP4の略中央に接合されたスパウトQを備えている。
【0016】
胴部前面P1および胴部後面P2は、その両側縁が互いに接合され、サイドシール部Ssが形成されている。天ガセットP4は、上面視略八角形をしており、その中央にはスパウトQの挿通を許容するスパウト孔が形成されている。この天ガセットP4の周縁は、胴部前面P1および胴部後面P2の上縁に接合され、トップシール部Stを形成している。スパウトQは、パウチ容器SPの内外を連通する略筒状の部材で、天ガセットP4にヒートシールされている。なお、このスパウトQと天ガセットP4とのヒートシール部を、以下では、「スパウトシール部Sa」と呼ぶ。
【0017】
底ガセットP3は、内側に二つ折りにされた状態で、胴部前面P1および胴部後面P2の下部に挟持される部位である。この底ガセットP3の周縁は、胴部前面P1および胴部後面P2の下縁に接合され、略舟形のボトムシール部Sbを形成する。また、この底ガセットP3には、二つ折りにした状態で相互に一致する略半円状の切欠部cが形成されている。かかる切欠部cが形成されることにより、当該箇所において、胴部前面P1および胴部後面P2が、直接、接触することが可能となる。そして、この切欠部c、換言すれば、胴部前面P1および胴部後面P2の接触部を介して、胴部前面P1および胴部後面P2の下部の両側縁が接合される。
【0018】
かかる構成のパウチ容器SPは、底ガセットP3を広げることにより、図2に示すように、底部分が一定の厚みを持った安定感のある形状となり、自立することが可能となる。このような自立型のパウチ容器SPは、商品の陳列が容易であったり、容量を大きくできたりすることから、従来から広く用いられており、その製造技術も多数提案されている。しかし、従来技術では、かかる自立型パウチ容器SPを製造する製造装置10の構成が複雑かつ大型化になったり、得られるパウチ容器SPの品質が低かったりするという問題があった。本実施形態の製造装置10では、こうした問題を解決するために、ボトムシール部Sbおよびサイドシール部Ssを形成する第一シールユニット20の構成を特殊なものとしている。以下、本実施形態であるパウチ容器SPの製造装置10について詳説する。
【0019】
まず、図1を参照して、製造装置10の全体的な構成を説明する。製造装置10には、パウチ容器SPの材料となるシート材Mをロール状に巻回したシートロールRがセットされており、図示しない送出機構により、シート材Mが連続的に送出される。
【0020】
送出されたシート材Mには、罫線形成ユニット12、パンチングユニット14、折り曲げユニット16、スパウト装着ユニット18、第一シールユニット20、切除ユニット22、第二シールユニット24により、順次、所定の処理が施される。そして、複数の処理が施されたシート材Mは、最終的には、切断ユニット26により所定幅間隔で切断され、分離した個々のパウチ容器SPとして出力される。
【0021】
次に、各ユニットでの処理内容について説明する。図4は、罫線形成ユニット12およびパンチングユニット14の処理内容を示す図である。罫線形成ユニット12は、送出されてきたシート材Mに、複数本の罫線L1〜L8を連続的に形成するユニットである。この罫線は、下流での折り畳み作業を容易にするために形成されるもので、例えば、シート材Mに細幅のローラを当接させることで形成できる。
【0022】
本実施形態では、シート材Mの幅方向に間隔を空けて、8本の罫線L1〜L8を形成している。後述する折り曲げユニット16等では、この罫線L1〜L8に沿って、シート材Mが折り曲げられる。なお、シート材Mのうち、一端から第一罫線L1までの範囲が、最終的に天ガセットP4を構成する。以下では、この天ガセットP4を構成する部分を、「天シート部p4」と呼ぶ。同様に、最終的に胴部前面P1を構成する第一罫線L1から第四罫線L4までの範囲を「前シート部p1」、最終的に底ガセットP3を構成する第四罫線L4から第六罫線L6までの範囲を「底シート部p3」、最終的に胴部後面P2を構成する第六罫線L6からシート材Mの他端までの範囲を「後シート部p2」と呼ぶ。なお、本実施形態ではシート材の折り畳み処理を容易にするためにシート材に罫線を形成する例を示したが、折り畳み処理が容易にできる場合は罫線の形成を全て又は部分的に省略しても良い。具体的には、例えば、本実施形態における罫線L3、L7の形成を省略することができ、それにより、パウチ容器の胴部の美観を向上させることができる。
【0023】
パンチングユニット14は、罫線が形成されたシート材Mに、スパウト孔Hおよび一対の接合孔hを形成する。スパウト孔Hは、スパウトQが挿通される孔である。このスパウト孔Hは、天シート部p4に、パウチ容器幅W相当の間隔を空けて順次形成される。一対の接合孔hは、最終的に切欠部cを形成する孔である。この一対の接合孔hは、底シート部p3のうち第五罫線(底シートを二つ折りする際の折目線)を挟んで対称な位置であって、スパウト孔Hに対して、搬送方向にパウチ容器幅Wの半分程度の距離(1/2W)ずれた位置に形成される。
【0024】
図5は、折り曲げユニット16およびスパウト装着ユニット18の処理内容を示す図である。折り曲げユニット16は、上流側から送られてきたシート材Mを、罫線L1〜L8に沿って、シート材Mの幅方向に折り曲げる。具体的には、第五罫線L5に沿って内側に二つ折りにされた底シート部p3が、互いに対向する前シート部p1および後シート部p2の下部に挟持されるように折り曲げる。また、第一罫線L1、第二罫線L2、第八罫線L8に沿っても折り曲げ、前後シート部p1,p2の上部と、天シート部p4と、が重なるように折り曲げる。なお、図5は、前後シート部p1,p2の上部に天シート部p4を重ねた後、当該天シート部p4を起立させた状態を図示している。なお、この折り曲げユニット16および図示しない送出機構が、シート材Mを送出しつつ折り畳んで重ねることで、少なくとも、胴部前面P1、胴部後面P2、底ガセットP3、天ガセットP4を構成する前シート部p1、後シート部p2、底シート部p3、天シート部p4を形成する送出手段として機能する。
【0025】
スパウト装着ユニット18は、天シート部p4に形成されたスパウト孔Hに、スパウトQの筒部Qaを挿入するとともに、当該筒部Qaの下端から外側に張り出した鍔部Qbを天シート部p4にヒートシールする。すなわち、スパウト装着ユニット18は、スパウト孔Hが形成された天シート部p4を起立させた後、筒部Qaが外側に突出し、かつ、鍔部Qbが天シート部p4の内面に当たるように、スパウトQをスパウト孔Hに挿入する。そして、図6に示すように起立させた天シート部p4を水平に戻した後、鍔部Qbを天シート部p4におけるスパウト孔Hの周縁にヒートシールし、スパウトQをシート材Mに装着する。
【0026】
スパウトQが装着されたシート材Mは、その後、第一シールユニット20に送出される。第一シールユニット20は、送出されてきたシート材Mに対して、ヒートシール処理を施し、ボトムシール部Sb、サイドシール部Ss、トップシール部Stを形成する部位である。この第一シールユニット20は、折り畳み解除機構や、接着機構、冷却機構などを備えている。
【0027】
折り畳み解除機構は、シート材Mを、底シート部p3の折り畳みを解除して広げた折り畳み解除状態にする機構で、実際にヒートシール作業を行う接着機構より上流位置に設けられる。この折り畳み解除機構は、底シート部p3の折り畳みを解除するべく、第三罫線L3、第七罫線L7に沿ってシート材Mを折り曲げられるのであれば、その機構は特に限定されない。したがって、例えば、前シート部p1の下端および後シート部p2の下端を吸引保持しつつ離間方向に移動する一対の吸引部材などで構成されてもよい。また、より単純な構成としては、例えば、図6に示すように、折り畳み解除した底シート部p3の底面に接触する上面を備えた板材28などであってもよい。この場合、シート材Mの先端が、底シート部p3が当該板材の上面に接するように底シート部p3を広げた状態でシート材Mをセットしておけば、後続するシート材Mも自然と、当該板材28付近で折り畳み解除される。かかる折り畳み解除機構により、シート材Mは、正面視において、略I字状形状となる。
【0028】
折り畳み解除されたシート材Mは、その状態で加熱機構へと送出される。加熱機構は、シート材Mの各部を挟持加圧しつつ、加熱することでシート材Mをヒートシールする機構である。図7は、この加熱機構の正面図であり、図8〜図10は、それぞれ、当該加熱機構を構成するトップブロック30、サイドブロック32、ボトムブロック34の斜視図である。
【0029】
加熱機構は、上下に対向配置されたトップブロック30およびサイドブロック32と、当該トップブロック30およびサイドブロック32の間において左右に対向配置された一対のサイドブロック32と、これら複数のブロックを移動させる移動機構と、を備えている。
【0030】
トップブロック30は、サイドブロック32の上面と協働して、天シート部p4と当該天シート部p4と重ねられた前シート部p1および後シート部p2の上縁とを挟持加圧しつつ加熱するブロックである。このトップブロック30の底面には、トップシール部Stに対応した形状(本実施形態では略八角形)の突起40が、シート材搬送方向に三つ並んでいる。この突起40には、ヒータが内蔵されており、当該突起40に接触するシート部分をヒートシールすることが出来るようになっている。また、各八角形の中央部分には、スパウトQと当該トップブロック30との干渉を避けるための逃がし孔42が形成されている。
【0031】
サイドブロック32は、トップブロック30と対向する上面、対をなすサイドブロック32と対向する対向面、および、ボトムブロック34と対向する底面を、備えている。上面には、トップシール部Stを前後に二分割した形状の突起50が、シート材搬送方向に三つ並んでいる。換言すれば、対向する二つのサイドブロック32が近接することで、当該二つのサイドブロック32の上面に、トップシール部Stに対応した形状、換言すれば、トップブロック30に形成された突起40と同様の形状の突起が構成されるようになっている。トップシール部Stを形成する際には、このサイドブロック32上面の突起50と、トップブロック30底面の突起40とで、天シート部p4および前後シート部p1,p2を挟持しつつ加熱する。
【0032】
サイドブロック32の対向面には、当該サイドブロック32を上下に横断する突起48が、シート材搬送方向に四つ形成されている。この四つの突起48は、サイドシール部Ssに対応する位置、大きさに形成されており、各突起48の配置間隔は、パウチ容器SPの幅にほぼ等しい。また、四つの突起48のうち、最も上流側および下流側に設けられた突起48の幅は、サイドシール部Ss一つ分の幅に等しく、間に設けられた二つの突起48の幅は、サイドシール部Ss二つ分の幅に等しい。この突起48の内部にもヒータが内蔵されており、当該突起48に接触するシート部分をヒートシールすることが出来るようになっている。サイドシール部Ssを形成する場合には、この対向する一対のサイドブロック32の突起48で、前シート部p1および後シート部p2を挟持しつつ加熱する。
【0033】
サイドブロック32の底面には、ボトムシール部Sbを前後に二分割した形状の突起52が、シート材搬送方向に三つ並んでいる。換言すれば、対向する二つのサイドブロック32が近接することで、当該二つのサイドブロック32の底面に、ボトムシール部Sbに対応した形状の突起48が構成されるようになっている。ボトムシール部Sbを形成する際には、このサイドブロック32底面の突起52と、ボトムブロック34上面の突起56と、で底シート部p3および前後シート部p1,p2を挟持しつつ加熱する。
【0034】
ボトムブロック34は、サイドブロック32の底面と協働して、底シート部p3と当該底シート部p3の周縁と重ねられた前後シート部p1,p2の下縁とを挟持加圧しつつ加熱するブロックである。このボトムブロック34の底面には、ボトムシール部Sbに対応した形状の突起56が形成されている。より具体的には、この突起56は、搬送方向に長尺な二本の直線の間に略六角形が三つ配置されたような形状となっている。この突起56には、ヒータが内蔵されており、当該突起56に接触するシート部分をヒートシールすることが出来るようになっている。なお、そして、略六角形の突起56の両側であって切欠部cに対応する位置には、略三角形の窪み58が形成されている。かかる窪み58が形成されることにより、切欠部c周辺が当該突起56に接触すること(ヒートシールされること)が防止される。
【0035】
移動機構は、これら三種類のブロックを移動させるための機構である。より具体的には、移動機構は、トップブロック30およびボトムブロック34を昇降させる。また、移動機構は、一対のサイドブロック32を互いに近接または離間する方向に移動させることができる。こうした移動機構は、公知の周知技術を用いて構成することができるため、ここでの詳説は省略する。
【0036】
かかる構成の第一シールユニット20でのシール作業の流れについて図11、図12を参照して説明する。折り畳み解除された状態で送出されてきたシート材Mは、図11(a)に示すように、正面視略I字状となっている。このとき、トップブロック30およびボトムブロック34は、いずれも、このシート材Mから離間した位置で待機している。また、サイドブロック32は、前シート部p1および後シート部p2から離間しつつも、その対向距離が底シート部p3や天シート部p4の幅以下となる位置で待機している。したがって、この状態において、底シート部p3および天シート部p4の先端は、僅かに、サイドブロック32の底面および上面に重なっている。
【0037】
続いて、図11(b)に示すように、トップブロック30を下降させ、天シート部p4および前後シート部p1,p2の上縁を、サイドブロック32の上面に押し当てる。この押し当てにより、シート材Mの高さ位置が規定位置に調整される。なお、この押し当て力は、高さ調整が出来る程度であればよく、後述するサイドブロック32の移動を許容する程度に小さいことが望ましい。
【0038】
続いて、図11(c)に示すように、一対のサイドブロック32を、互いに近接する方向に移動させ、当該一対のサイドブロック32で前後シート部p1,p2を挟持加圧する。そして、その状態で、側面に設けられた突起48の加熱を開始する。この加熱により、シート材Mのうち、当該突起48に接触する部分、すなわち、サイドシール部Ssに相当する部分がヒートシールされる。
【0039】
さらに、その後、図12(a)に示すように、ボトムブロック34を上昇させ、サイドブロック32の底面と協働して、底シート部p3の周縁および前後シート部p1,p2の下縁を挟持加圧させる。また、トップブロック30も、さらに、下降させ、サイドブロック32の上面と協働して天シート部p4の周縁および前後シート部p1,p2の上縁を挟持加圧させる。そして、その状態になれば、ボトムブロック34およびトップブロック30の突起40,56の加熱も開始する。この加熱により、シート材Mのうち、これら突起40,56に接触する部分、すなわち、トップシール部Stに相当する部分およびボトムシール部Sbに相当する部分がヒートシールされる。
【0040】
そして、一定時間の加熱ができれば、図12(b)に示すように、全てのブロックをシート材Mから離間させ、当該シート材Mを、冷却機構へと送出する。冷却機構では、ヒートシールされた部分が冷却される。
【0041】
冷却後、シート材Mの底シート部p3は、再び、二つに折り畳まれる。図13は、第一シールユニット20を通過したシート材Mの上面図および側面図である。この図13に示すように、第一シールユニット20を通過したシート材Mは、トップシール部St、サイドシール部Ss、ボトムシール部Sbが形成された状態となる。
【0042】
かかるシート材Mは、続いて、切除ユニット22に送られる。切除ユニット22では、天ガセットP4に相当する部分が略八角形になるように、不要部分が切除される。具体的には、図13において、太線で囲まれた略三角形部分kが、切除される。その後、このシート材Mは、底シート部p3が折り畳まれた状態で、第二シールユニット24に送られる。
【0043】
第二シールユニット24では、接合孔h付近が、ヒータを内蔵したブロック体で挟持されつつ加熱される。そして、これにより、当該接合孔hを介して前シート部p1と後シート部p2とがヒートシールされる。第二シールユニット24を通過すれば、最後に、シート材Mは、切断ユニット26に送られる。切断ユニット26では、連続したシート材Mを、パウチ容器SPのおける胴部の側縁に相当する位置、より具体的には、サイドシール部Ssの中央位置(図13において一点鎖線で示した位置)において切断する。この切断により、互いに分離した個別のパウチ容器SPが形成される。
【0044】
以上がパウチ容器SPの製造の流れである。ここで、これまでの説明で明らかなとおり、本実施形態では、ボトムシール部Sb形成のための加圧加熱を、底シート部p3の折り畳みを解除した状態、換言すれば、底シート部p3同士が重なり合わない状態で行う。かかる状態で加圧加熱を行う理由を図14を参照して説明する。
【0045】
従来、ボトムシール部Sbを形成する際には、図14(a)に示すように、底シート部p3を二つ折りにした状態で行っていた。この場合、ボトムシール部Sbに相当する部分は、前シート部p1、二つ折りの底シート部p3、後シート部p2の計四枚のシート部が重なっており、その厚さt1は、シート材M四枚分となる。一方で、底シート部p3より上側にあるサイドシール部Ssに相当する部分では、前シート部p1と後シート部p2の二枚のシート部しか重なっておらず、その厚さt2は、シート材M二枚分となる。換言すれば、ボトムシール部Sbに相当する部分と、サイドシール部Ssに相当する部分とで、シート材M二枚分の厚みの差が生じることになる。かかる厚みの差は、シート材Mに伝わる圧力や熱量の差を招き、ひいては、接合品質の低下を招く。特に、シート材M二枚分の段差が存在しているボトムシール部Sbとサイドシール部Ssとの境界部分においては、部分的に接合されずに気泡として残存することがある。かかる気泡は、当該シール部の強度低下の原因となることが知られている。
【0046】
また、四枚のシート部を重ねた場合、底シート部p3とヒータ(シールバーなど)との間には、必ず、前シート部p1または後シート部p2が介在することになる。この場合、熱の伝達効率の低下や、前後シート部p1,p2と底シート部p3とでの伝達熱量の差などを招く。これら伝達効率の低下や、伝達熱量の不均一は、やはり、接合品質の低下を招く。
【0047】
そこで、従来から、このボトムシール部Sbを良好に形成するための技術が多数提案されている。例えば、ボトムシール部Sbとサイドシール部Ssとを厚みが異なる別個の部材、あるいは、段差を有する部材で挟持加熱することで両者の厚みの差を吸収したり、エアーの噛み込みを防ぐ特殊形状のシールバーを用いたりすることが提案されている。しかし、これらの技術のいずれであっても、ボトムシール部Sbとサイドシール部Ssとの厚みの差を無くすことは出来ておらず、また、底シート部p3をヒータに近接させることができないため、記述したようなシート材Mに伝わる圧力や熱量の差を効果的に低減することはできなかった。
【0048】
一方、本実施形態では、上述したように、また、図14(b)に示すように、底シート部p3の折り畳みを解除した状態でボトムシール部Sbおよびサイドシール部Ssをヒートシールする。この場合、ボトムシール部Sbとサイドシール部Ssとの境界部分に段差が生じることはなく、段差に起因する種々の問題を低減することができる。
【0049】
また、ボトムシール部Sbの厚みt3が、シート材二枚分であり、従来に比して薄くなり、底シートがヒータ(ヒータ内蔵した突起)に直接接触することになる。その結果、熱の伝達効率が向上し、また、底シート部p3と前後シート部p1,p2との受ける熱量を均一化でき、より良好にヒートシールすることが可能となる。また、サイドブロック上面と下面とを使用することで、熱の有効利用にも貢献できる。
【0050】
さらに、本実施形態では、サイドシール部Ssとボトムシール部Sbとトップシール部Stとの形成を並行して同じ位置で行っている。その結果、各シール部の形成を個別に行っていた従来の技術に比して、短時間に行うことができ、また、装置全体のサイズやコストも低減することができる。
【0051】
つまり、本実施形態によれば、底ガセットP3を備えた自立型のパウチ容器SPを、より好適に製造できる。なお、以上で説明した構成は、いずれも、一例であり、底シート部p3の折り畳みを解除した状態でボトムシール部Sbを形成(加圧加熱)するのであれば、他の構成は変更されてもよい。
【0052】
例えば、本実施形態では、底シート部p3を略水平に広げた状態でヒートシールを行っているが、底シート部p3同士が重ならないのであれば、図15(a)に示すように、底シート部p3を略逆V字状に広げた状態で、ヒートシールを行うようにしてもよい。また、対象となるパウチ容器SPは、底ガセットP3を備えているのであれば、天ガセットP4やスパウトQのないパウチ容器SPでもよい。さらに、本実施形態では、底シート部p3および前後シート部p1,p2を、1枚のシート材Mを折り曲げて形成しているが、2以上のシート材Mを重ねて形成してもよい。例えば、図15(a)に示すように、前シート部p1、底シート部p3、後シート部p2を、それぞれ、分離した別個のシート材Mで構成してもよい。また、図15(b)に示すように、前シート部p1、底シート部p3、後シート部p2、および天シート部p4を、全て分離した別個のシート材Mで構成してもよい。このように全てを分離した別個のシート材Mで構成する場合は、図16に示すように、四つの長尺なシート材M1〜M4を並行して送出しつつ、折り畳み、重ねあわせるようにすればよい。
【0053】
また、本実施形態では、シート材Mの高さ位置を調整するために、まず、トップブロック30で天シート部p4をサイドブロック32の上面に押し当てているが、この工程は必須ではない。したがって、トップブロック30を下降させる前に、一対のサイドブロック32でシート材Mを挟持するようにしてもよい。また、本実施形態では、サイドシール部Ssの加圧加熱を開始した後に、ボトムシール部Sbおよびトップシール部Stの加圧加熱を開始しているが、これらの順番は適宜、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 製造装置、12 罫線形成ユニット、14 パンチングユニット、16 折り畳みユニット、18 スパウト装着ユニット、20 第一シールユニット、22 切除ユニット、24 第二シールユニット、26 切断ユニット、30 トップブロック、32 サイドブロック、34 ボトムブロック、H スパウト孔、h 接合孔、M シート材、p1 前シート部、p2 後シート部、p3 底シート部、p4 天シート部、Q スパウト、Sa スパウトシール部、Sb ボトムシール部、SP パウチ容器、Ss サイドシール部、St トップシール部、P1 胴部前面、P2 胴部後面、P3底ガセット、P4 天ガセット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その両側縁が互いにヒートシールされた胴部前面および胴部後面と、内側に二つ折りされた状態で前記胴部前面および胴部後面の下部に挟持された底ガセットと、を備えたパウチ容器の製造装置であって、
1以上のシート材を送出しつつ折り畳んで重ねることで、少なくとも、前記胴部前面、胴部後面および底ガセットを構成する前シート部、後シート部および底シート部を形成する送出手段と、
前記折り畳んで重ねられたシート材に対して、少なくとも、前記胴部前面の両側縁と胴部後面の両側縁とのヒートシール部であるサイドシール部と、底ガセットの周縁と胴部前面および胴部後面の下縁とのヒートシール部であるボトムシール部と、を形成するシールユニットとを備え、
前記シールユニットは、前記底シート部同士が重ならないように前記底シート部の折り畳みを解除した状態で、底シート部と前シート部の下縁、および、底シート部と後シート部の下縁、をそれぞれ挟持しつつ加熱することでボトムシール部を形成する、
ことを特徴とするパウチ容器の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパウチ容器の製造装置であって、
前記シールユニットは、サイドシール部の形成処理と、ボトムシール部の形成処理と、を同じ位置で行う、ことを特徴とするパウチ容器の製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載のパウチ容器の製造装置であって、
前記シールユニットは、
前記前シート部および後シート部を重ねた状態で挟持しつつ、当該前記前シート部および後シート部の両側縁を加熱する一対のサイドブロックと、
折り畳み解除された底シート部と当該底シート部に重ねられた前シート部の下縁および後シート部の下縁を、前記サイドブロックの底面と協働して挟持しつつ加熱するボトムブロックと、
を備えることを特徴とするパウチ容器の製造装置。
【請求項4】
その両側縁が互いにヒートシールされた胴部前面および胴部後面と、内側に二つ折りされた状態で前記胴部前面および胴部後面の下部に挟持された底ガセットと、その周縁が胴部前面および胴部後面の上縁にヒートシールされた天ガセットと、を備えたパウチ容器の製造装置であって、
1以上のシート材を送出しつつ折り畳んで重ねることで、少なくとも、前記胴部前面、胴部後面、底ガセットおよび天ガセットを構成する前シート部、後シート部、底シート部および天シート部を形成する送出手段と、
前記折り畳んで重ねられたシート材に対して、少なくとも、前記胴部前面の両側縁と胴部後面の両側縁とのヒートシール部であるサイドシール部と、底ガセットの周縁と胴部前面および胴部後面の下縁とのヒートシール部であるボトムシール部と、天ガセットの周縁と前記胴部前面および胴部後面の上縁とのヒートシール部であるトップシール部と、を形成するシールユニットとを備え、
前記シールユニットは、前記底シート部同士が重ならないように前記底シート部の折り畳みを解除した状態で、底シート部と前シート部の下縁、および、底シート部と後シート部の下縁、をそれぞれ挟持しつつ加熱することでボトムシール部を形成する、
ことを特徴とするパウチ容器の製造装置。
【請求項5】
請求項4に記載のパウチ容器の製造装置であって、
前記シールユニットは、
前記前シート部および後シート部を重ねた状態で挟持しつつ、当該前記前シート部および後シート部の両側縁を加熱する一対のサイドブロックと、
折り畳み解除された底シート部と当該底シート部に重ねられた前シート部の下縁および後シート部の下縁を、前記サイドブロックの底面と協働して挟持しつつ加熱するボトムブロックと、
天シート部と当該天シート部に重ねられた前シート部の上縁および後シート部の上縁を、前記サイドブロックの上面と協働して挟持しつつ加熱するトップブロックと、
を備えることを特徴とするパウチ容器の製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載のパウチ容器の製造装置であって、
前記シールユニットは、天シート部と当該天シート部に重ねられた前シート部の上縁および後シート部の上縁を、前記サイドブロックの上面に押し当てた後に、前記サイドシール部の形成処理を実行する、ことを特徴とするパウチ容器の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−46082(P2011−46082A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196075(P2009−196075)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】