説明

パケット転送装置及びパケット転送方法

【課題】パケットを複数の経路に送出し、受信側で1つの経路のパケットを選択する技術において、送出するパケットを加工することなく受信側において無瞬断でパケットの選択を行う。
【解決手段】
送信側のパケット転送装置が、順次入力されるパケットにおける予め定めた数分又は予め定めた時間分のパケットを順次パケットフレームとし、各パケットフレームに順序識別情報を含む同期パケットを挿入し、パケットフレームを複製して複数の系の伝送路に送出し、受信側のパケット転送装置が、複数の系の伝送路から受信する各パケットフレームに含まれる同期パケットの順序識別情報を用いて複数の系間での同一パケットフレームを識別し、複数の系間での遅延差を判定し、前記遅延差を用いて遅延が調整された複数の系のパケットフレームの中から1つの系のパケットフレームを選択し、下流に送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP網やイーサネット網等のパケット転送ネットワークにおいて、入力されたパケットを複数の伝送路を介して伝送し、受信側において1つの伝送路のパケットを無瞬断で選択し、入力されたパケットの順序で下流に送出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のパケット転送ネットワークにおいて、パケット転送の高信頼化を図るための障害検出・回復技術として、例えばSTP(Spanning Tree Protocol)(非特許文献1)、RSTP(Rapid Spanning Tree Protocol) (非特許文献2)、Link Aggregation(非特許文献3)等がある。また、更に高速に障害検出・回復を行う技術としてFRR(Fast ReRoute)、RPR(Resilient Packet Ring) (非特許文献4)等がある。
【0003】
これらの技術は複数の伝送路の中からプライマリ、セカンダリ等の優先度に基づきパケットの転送経路を決定し、障害検出時に障害のあった転送経路から他の転送経路へ切替を行って通信を回復させる技術である。
【0004】
また、パケット損失のない故障復旧を目的としたパケット転送技術として特許文献1に記載された技術がある。この技術では、パケットにその順序を識別するための順序識別子を挿入し、当該パケットをコピーして複数のパケットを生成し、これらを複数の経路に送出し、受信側では複数の経路から受信したパケットの順序及び同一性を順序識別子に基づき識別し、同一パケットのうちの1つをパケットの順序に従って下流に転送する。
【0005】
なお、本願明細書及び特許請求の範囲において"パケット"の用語はレイヤ2ネットワークで転送される"フレーム"等の意味を含む広い意味で使用するものとする。
【非特許文献1】IEEE 802.1D Spanning Tree Protocol(STP)
【非特許文献2】IEEE 802.1w Rapid Spanning Tree(RSTP)
【非特許文献3】Link Aggregation
【非特許文献4】IEEE802.17 Resilient Packet Ring(RPR)
【特許文献1】特開2006−174406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のSTP、RSTP、FRR、RPR等により障害検出及び回復にかかる時間は最短でも50msec程度であるため、映像通信等のパケット損失を許容しない高信頼の回線を必要とするアプリケーションへの適用には問題がある。
【0007】
また、特許文献1に記載された技術では、パケットにシーケンス番号やタイムスタンプなどの順序識別子を追加するため、オーバヘッド領域が必要となり、転送可能な最大パケット長(MTU: Maximum Transfer Unit)が制限される伝送路に対しては適用できないという問題点がある。
【0008】
また、特にIP網等では、パケットが転送されることにより、パケットの到着タイミング揺らぎの発生やパケットの到着順序の逆転が発生し、パケットを利用する下流のアプリケーションに影響を及ぼすことがあるため、このような揺らぎを抑制することや順序逆転を訂正することが望まれている。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、パケットを複数の経路に送出し、受信側で1つの経路のパケットを選択する技術において、送出するパケットを加工することなく受信側において無瞬断でパケットの選択を行うことを可能とする技術を提供することを目的とする。また、本発明の更なる目的は、送出するパケットを加工することなく、パケットの送信側での入力順序に従ってパケットを下流に送出する技術を提供することである。また、本発明の更なる目的は、パケットの到着タイミングの揺らぎを吸収して、パケットが送信側で入力されたタイミングで各パケットを下流に転送する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、入力されたパケットを複製して複数の系の伝送路に送出するパケット送信手段と、複数の系の伝送路からパケットを受信し、受信したパケットのうち1つの系のパケットを選択して下流に送出するパケット受信手段とを備えたパケット転送装置であって、前記パケット送信手段は、順次入力されるパケットにおける予め定めた数分又は予め定めた時間分のパケットを順次パケットフレームとし、各パケットフレームに順序識別情報を含む同期パケットを挿入する同期パケット生成挿入手段と、前記パケットフレームを複製して複数の系の伝送路に送出するパケットフレーム送出手段と、を備え、前記パケット受信手段は、複数の系の伝送路から受信する各パケットフレームに含まれる同期パケットの順序識別情報を用いて複数の系間での同一パケットフレームを識別し、複数の系間での同一パケットフレームの遅延差を判定する遅延差判定手段と、前記遅延差判定手段で得られた前記遅延差を用いて複数の系間でパケットフレームの遅延を調整する遅延調整手段と、前記遅延調整手段により遅延が調整された複数の系のパケットフレームの中から1つの系のパケットフレームを選択するパケットフレーム選択手段と、前記パケットフレーム選択手段により選択されたパケットフレームを下流に送出するパケットフレーム送出手段と、を備えたことを特徴とするパケット転送装置により解決される。
【0011】
前記パケット送信手段における前記同期パケット生成挿入手段は、前記パケットフレームに含まれるパケットから算出した誤り検出符号を前記同期パケットに含めてもよく、この場合、前記パケット受信手段は、前記同期パケットに含まれる誤り検出符号を用いて前記パケットフレームの誤り検出を行う誤り検出手段を更に備え、前記パケットフレーム選択手段は、前記誤り検出手段により誤りが検出されたパケットフレームの系以外の系のパケットフレームを選択する。
【0012】
また、前記パケットフレーム選択手段は、複数の系間での同一パケットフレームのうち最も早く到着したパケットフレームを判定する早着判定手段を備えてもよく、当該早着判定手段により最も早く到着したと判定されたパケットフレームを下流に送出する。
【0013】
前記パケット送信手段における前記同期パケット生成挿入手段は、前記パケットフレームに含まれる各パケットの特徴値を算出し、当該パケットフレームに含まれるパケットの順序で各特徴値を前記同期パケットに含めてもよく、この場合、前記パケット受信手段におけるパケットフレーム送出手段は、受信したパケットフレームにおける各パケットの特徴値を算出し、当該特徴値と前記同期パケットに含まれる特徴値とを比較することにより、前記同期パケットに含まれる特徴値の順序で各パケットを下流に送出する手段を備える。
【0014】
また、前記パケット送信手段における前記同期パケット生成挿入手段は、前記パケットフレームに含まれる各パケットについて、そのパケットと1つ前のパケットとの間のパケット間隔時間を算出し、当該パケットフレームに含まれるパケットの順序で各パケット間隔時間を前記同期パケットに含めてもよく、この場合、前記パケット受信手段における前記パケットフレーム送出手段は、受信したパケットフレームに含まれる各パケットについて、送出しようとするパケットの1つ前のパケットを送出してから前記送出しようとするパケットに対応するパケット間隔時間の後に前記送出しようとするパケットを下流に送出する手段を備える。
【0015】
前記パケット送信手段における前記パケットフレーム送出手段は、前記複数の系のうち1つの系のパケットフレームに対して遅延を付加する手段を備えることとしてもよい。
【0016】
また、本発明によれば、入力されたパケットを伝送路に送出するパケット送信手段と、伝送路からパケットを受信し、受信したパケットを下流に送出するパケット受信手段とを備えたパケット転送装置であって、前記パケット送信手段は、順次入力されるパケットにおける予め定めた数分又は予め定めた時間分のパケットを順次パケットフレームとし、当該パケットフレームに含まれる各パケットの特徴値を算出し、前記パケットフレームに含まれるパケットの順序で各特徴値を格納した同期パケットを生成し、その同期パケットを前記パケットフレームに挿入する同期パケット生成挿入手段と、前記パケットフレームを伝送路に送出するパケットフレーム送出手段と、を備え、前記パケット受信手段は、伝送路から受信したパケットフレームから特徴値を含む同期パケットを取得する手段と、前記パケットフレームにおける各パケットの特徴値を算出し、当該特徴値と前記同期パケットに含まれる特徴値とを比較することにより、前記同期パケットに含まれる特徴値の順序で各パケットを下流に送出する手段と、を備えることを特徴とするパケット転送装置が提供される。
【0017】
更に、本発明によれば、入力されたパケットを伝送路に送出するパケット送信手段と、伝送路からパケットを受信し、受信したパケットを下流に送出するパケット受信手段とを備えたパケット転送装置であって、前記パケット送信手段は、順次入力されるパケットにおける予め定めた数分又は予め定めた時間分のパケットを順次パケットフレームとし、当該パケットフレームに含まれる各パケットについて、そのパケットと1つ前のパケットとの間のパケット間隔時間を算出し、当該パケットフレームに含まれるパケットの順序で各パケット間隔時間を格納した同期パケットを生成し、その同期パケットを前記パケットフレームに挿入する同期パケット生成挿入手段と、前記パケットフレームを伝送路に送出するパケットフレーム送出手段と、を備え、前記パケット受信手段は、伝送路から受信したパケットフレームからパケット間隔時間を含む同期パケットを取得する手段と、前記パケットフレームに含まれる各パケットについて、送出しようとするパケットの1つ前のパケットを送出してから前記送出しようとするパケットに対応するパケット間隔時間の後に前記送出しようとするパケットを下流に送出する手段と、を備えることを特徴とするパケット転送装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、パケットを複数の経路に送出し、受信側で1つの経路のパケットを選択する技術において、送出するパケットを加工することなく無瞬断でパケットの選択を行うことを可能とする技術を提供できる。また、本発明によれば、送出するパケットを加工することなく、パケットの送信側での入力順序に従ってパケットを下流に送出する技術を提供できる。更に、本発明によれば、パケットの到着タイミングの揺らぎを吸収して、パケットが送信側で入力されたタイミングで各パケットを下流に転送する技術を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
(概要)
図1は、本実施の形態におけるパケット転送システムの概要構成図である。図1に示すように、本実施の形態におけるパケット転送システムは、パケット転送装置1、及びパケット転送装置3がパケット転送網5に接続された構成を有する。パケット転送網5は、例えばIP網、イーサネット網などのパケットを転送するネットワークである。
【0021】
パケット転送装置1、3はそれぞれパケットを送信するための機能部とパケットを受信するための機能部を有するが、以下の説明ではパケット転送装置1を送信側とし、パケット転送装置2を受信側として説明する。パケット転送装置1のパケット入力側(上流と呼ぶ)及びパケット転送装置3のパケット出力側(下流と呼ぶ)のそれぞれには例えばユーザ網が接続される。
【0022】
このパケット転送システムでは、パケット転送装置1が、上流から順次受信するパケットについて、予め定めた数のパケット数のパケットもしくは予め定めた時間分のパケットを順次仮想的なフレーム(以下、パケットフレームと呼ぶ)とし、当該パケットフレームの順番を識別するための順序識別情報(シーケンス番号等)を付した同期パケットを生成して当該パケットフレームに挿入する。なお、同期パケットにはパケットの特徴値やパケット間隔時間等の種々の情報が付されるが詳細については後述する。
【0023】
パケット転送装置1は、同期パケットが挿入されたパケットフレームを複製し、同じ2つのパケットフレームのそれぞれを異なる伝送路7、9に送出する。伝送路7、9は物理的に異なる伝送路であることが望ましいが、物理的には同じであるが論理的に異なる伝送路でもよい。以下、伝送路7に対応する系を0系と呼び、伝送路9に対応する系を1系と呼ぶ。なお、本実施の形態では0系と1系の2系統の場合について説明するが、2系統より多い系統でも本発明を適用できる。
【0024】
受信側のパケット転送装置3は、伝送路7を介して伝送されたパケットフレームと伝送路9を介して伝送されたパケットフレームとを受信する。そして、パケット転送装置3は、パケットフレームに含まれる同期パケットに付された順序識別情報を利用して系間の遅延差を調整し、無瞬断で1つの系のパケットを選択し下流に送出する。また、同期パケットに含まれる特徴値とパケット間隔時間の情報を利用して、パケット転送装置1が上流から受信したパケットの順序とタイミングと同様の順序とタイミングでパケットを下流に送出することが可能である。
【0025】
(同期パケットについて)
次に、同期パケット生成の概念を図2を参照して説明する。図2は、上流からパケット転送装置1に対してパケットが順次入力され、同期パケット(斜線を付したもの)が挿入される概念を示したものである。
【0026】
図2に示す例では、3つのパケット毎にパケットフレームとし、そのパケットフレーム毎に同期パケットが生成され、挿入されている。つまり、パケット1〜3に対して同期パケット2が生成され、パケット3とパケット4の間に挿入され、パケット4〜6に対して同期パケット3が生成され、パケット6とパケット7の間に挿入されている。
【0027】
同期パケットには、それ自身のシーケンス番号が付される。また、同期パケットは、必要に応じてその同期パケットに対応するパケットフレームの各パケットの特徴値とパケット間の時間間隔を各パケットの順序で格納する。パケットの特徴値は例えば当該パケットにハッシュ演算を施して得た値である。パケット間の間隔時間はいわゆるインターフレームギャップ(IFG)と呼ばれるものである。例えば図2において、パケット間隔時間1は、パケット1の前にあるパケット0とパケット1の時間間隔である。なお、ここでの時間間隔は同期パケットが挿入される前のものであり、例えば、パケット間隔時間1は、パケット0が上流から到着してから、パケット1が上流から到着するまでの時間である。
【0028】
図3は同期パケットの一例を詳細に示した図である。なお、図3は同期パケットがIPパケットである場合の例である。
【0029】
図3に示す"タイプ"は同期パケットの種別を表す情報である。例えば、特徴値とパケット間隔を含むか含まないかでタイプを分ける。同期フレームシーケンス番号は上述した順序識別情報である。時刻情報は同期パケットが生成された絶対時刻である。この絶対時刻を用いることにより、受信側で絶対遅延を把握できる。
【0030】
フレーム内パケット数はパケットフレームに含まれる(上流から受信する)パケットの数であり、フレーム内バイト長はそれらパケットの合計バイト長である。ユーザフレーム誤り検出符号は、パケットフレーム内のパケットから算出される誤り検出符号である。送信IDは例えばユーザの識別情報であり、情報種別は例えばパケットが運ぶ情報の種類(映像等)である。送信IDと情報種別は運用上の必要に応じて様々な情報を設定できる。
【0031】
特徴値とパケット間隔については前述したとおりのものである。図3の例では特徴値の後にパケット間隔が付されているが、特徴値とパケット間隔とを交互に並べて付してもよい。フレームペイロード誤り検出符号は同期パケット自身の誤り検出符号である。
【0032】
(装置構成について)
図4に本実施の形態におけるパケット転送装置10の構成例を示す。パケット転送装置10は図1に示した0系伝送路7、1系伝送路9に接続されるものとする。図4に示すように、本実施の形態のパケット転送装置10は、上流から入力されたパケットを2つの伝送路に送信する送信機能部12と、2つの伝送路から受信したパケットのうち1つの系のパケットを選択して下流に送出する受信機能部14とを備えている。なお、1つのパケット転送装置10から見ると、上流とはユーザ網からパケットを受信する場合のユーザ網側を示し、下流とは同じユーザ網にパケットを送出する場合のユーザ網側を示す。
【0033】
(送信機能部について)
送信機能部12は、パケット受信部21、同期パケット生成挿入部23、パケットコピー部25、パケット送信部27A、27Bを備えている。
【0034】
パケット受信部21が上流から送信されたパケットを受信し、そのパケットを順次同期パケット生成挿入部23に送る。同期パケット生成挿入部23は、パケットフレーム単位に同期パケットを挿入し、パケットフレームをパケットコピー部25に渡す。パケットコピー部25はパケットのコピーを行って同じパケットを2つ生成し、パケット送信部27A、27Bに渡す。パケット送信部27A、27Bそれぞれは、パケットを伝送路7、9に送出する。このとき適宜方路識別子の付与等が行われる。
【0035】
次に、送信機能部12における同期パケット生成挿入部23をより詳細に説明する。図5に、同期パケット生成挿入部23の構成図を示す。図5に示すように、同期パケット生成挿入部23は、タイミング抽出部231、パケット特徴抽出部233、同期情報記録部235、同期情報生成部237、及び同期パケット挿入部239を備えている。
【0036】
タイミング抽出部231は、前述したパケット間隔時間を測定する機能部である。つまり、N番目のパケットとN+1番目のパケットの間隔時間をカウントし、同期情報記録部235にN+1番目のパケットのパケット間隔時間として保存する。パケット特徴抽出部233は、パケットの特徴値を抽出し、同期情報記録部235に記録する。
【0037】
同期パケットは一定のパケット数周期もしくは一定時間周期でパケット間に挿入・送出されることから、同期パケットに格納されるパケット間隔及び特徴値は同期情報記録部235に一定期間保存される。
【0038】
同期情報生成部237は、同期情報記録部235からパケット間隔時間とパケットの特徴値とを取得するとともに、同期パケットに格納するその他の情報(時刻情報、シーケンス番号、パケット誤り検出符号等)を生成し、それらを用いて同期パケットを生成する。生成された同期パケットは同期パケット挿入部239により当該同期パケットに対応するパケット間に挿入される。
【0039】
なお、同期パケット生成において、同期パケットが転送可能な最大パケット長を超える場合には同期パケットを分割して挿入してもよい。受信側では分割した同期パケットを合成して1つの同期パケットとして処理を行う。
【0040】
(受信機能部について)
受信機能部14は、パケット受信部31A、31B、故障検出部33、遅延差判定部35、遅延差調整部37、パケットフレーム選択部39、パケット送信部41を備えている。
【0041】
パケット受信部31A、31Bはそれぞれ伝送路7、9からパケットを受信する。それぞれの系のパケットは故障検出部33に入力される。
【0042】
故障検出部33は、それぞれの系で同期パケットのパケット数情報等を用いてパケットフレームを識別し、誤り検出符号を用いてパケットフレーム単位で誤り検出を行い、検出結果をパケットフレーム選択部39に通知する。また、故障検出部33は、同期パケットの誤り検出符号を用いる方法以外の方法で伝送路の故障検出を行う機能を備え、その機能で故障を検出したときにもそれをパケットフレーム選択部39に通知することとしてもよい。
【0043】
遅延差判定部35は、同じ順序識別情報を持つ同期パケットの到着時刻を用いて系の間でのパケットフレームの遅延差の判定を行う。そして、遅延差調整部37は、遅延差判定部35における遅延差の判定結果を用いて、系間での遅延を調整し、遅延が調整されたパケットフレームをパケットフレーム選択部39に送出する。パケットフレーム選択部39は2つの系のうちパケットフレームに誤りが検出されなかったほうの系を選択し、その系のパケットをパケット送信部41に送信する。
【0044】
パケット送信部41は、必要に応じてパケットの順序訂正、及び送出するパケットの時間間隔がパケットが上流から入力されるときの時間間隔となるように調整を行ってパケットを送出する。
【0045】
図6に遅延差判定部35の構成例を示す。図6に示すように、遅延差判定部35は、時刻記録部351と時間差演算部353とを有する。時刻記録部351は、各系における同期パケットの到着時刻を順序識別情報に対応付けて記録する。そして、時間差演算部353は、同一の順序識別情報について0系における到着時刻と1系における到着時刻との差分を演算し、それを遅延差として出力する。また、時刻記録部351に、各系において予め定めた数の同期パケットについて到着時刻とシーケンス番号とを記録しておき、時間差演算部353が、同一同期パケットに対する到着時刻差分の平均値を算出し、それを遅延差として出力することとしてもよい。なお、遅延差判定部35による遅延差の判定は同期パケット毎に行うこととしてもよいし、一定の時間間隔で行うこととしてもよい。
【0046】
なお、遅延差判定部35は、故障検出部33におけるパケットフレーム誤り検出結果を用いることにより、誤りがあったパケットフレームの同期パケットを遅延差判定に用いないこととしてもよい。
【0047】
図7に遅延差調整部37の構成例を示す。図7に示すように、遅延差調整部37は、0系パケットを一時蓄積するパケット格納部371A(メモリ等)と、1系パケットを一時蓄積するパケット格納部371Bと、遅延が小さい方の系(早着系と呼ぶ)に遅延を挿入する遅延挿入部373とを備えている。遅延挿入部373が挿入する遅延量は遅延差判定部35から通知された遅延差とするが、これより小さい遅延を挿入したり、遅延を挿入しないこととしてもよい。これらは設定により変更できるものとする。
【0048】
遅延差判定部35から通知された遅延差分の遅延を早着系に挿入することにより、0系と1系間での遅延差はなくなり、両系での同期がとれた状態となる。また、複数同期パケットを用いた遅延差の平均値を用いることにより、パケットフレームの揺らぎなどにより、遅延が短時間で大きく変動することを避けることができる。
【0049】
図8に、パケットフレーム選択部39の構成例を示す。パケットフレーム選択部39は、選択指示部391、選択部393、早着判定部395を有している。選択指示部391は、故障検出部33からの誤り検出情報等を受信することにより、異常のないほうの系を選択するよう選択部393に指示を送る。選択部393は、選択指示部391からの指示により1つの系のパケットフレームを選択して出力する。
【0050】
遅延差調整部37から出力されるパケットフレームにおいて系間で同期がとれていれば選択系に異常が検出されたときに正常系に系を切り替えることによりパケットロスなく系を切り替えることが可能である。
【0051】
なお、パケットフレームの誤り検出に基づき切り替えを行うタイミングは、故障検出部33によりパケットフレームに誤りがあると判断したタイミングにおける他系での同じパケットフレームがパケットフレーム選択部39から出力されるタイミングを算出し、そのタイミングを用いればよい。そのタイミングは遅延差から求めることが可能である。
【0052】
遅延差調整部37で遅延差の調整を行わない場合や、両系での同期がとれるほど早着系に遅延を挿入しない設定である場合(両系の遅延差が所定の値より大きい場合等)には、パケットフレーム選択部39には同じパケットフレームが到着するのに時間差が生じる。例えばこのような場合、遅延を少なくする観点から、図8に示すように早着判定部395を備え、早着判定部395で早着のパケットフレームを判定し、そのパケットフレームの系を選択するよう選択部393に指示する。このように、遅延差調整と早着系選択を組み合わせることにより、遅延が大きく変わることなく系の切替を行うことが可能となる。
【0053】
早着判定には種々の方法があるが、例えば、次のような方法を用いることができる。早着判定部395は下流に送出した同期パケットの順序識別情報(シーケンス番号)を記録する機能を有しており、各系から順次受信する同期パケットの順序識別情報が既に記録されたものかどうかを判定し、既に記録されていればその同期パケットのパケットフレームは送出せず、記録されていなければその同期パケットに対応するパケットフレームは早着であると判定し、それを出力するとともにその順序識別情報を記録する。また、早着判定に特徴値を用いることにより、パケット毎の早着判定を行うことも可能である。
【0054】
早着系を選択している際に、早着系のパケットフレームに異常が検出された場合には、例えば順序識別情報とともにその旨が早着系判定部395に通知され、早着系判定部395は、異常を含む当該パケットフレームを選択せず、次に受信する同一順序識別情報のパケットフレームを選択するよう選択部393に指示する。
【0055】
また、早着系のパケットフレーム自体が到着しないなどの異常の場合には、遅着系だったパケットフレームが早着となるので、早着系判定部395はその系のパケットフレームを選択する。
【0056】
さて、早着系の異常により遅着系を選択した後、早着系が復旧してパケットフレームが到着した場合、経路遅延分のバースト出力が発生したり、パケットフレームの順序が入れ替わる可能性がある。
【0057】
また、両系にパケット順序の入れ替えが発生した場合には、両系でパケットフレームの誤りが検出されることになるが、そのような場合は、系の切替を行わずに例えば早着系を選択したままとする。
【0058】
上記のように、パケット送信部41には順序の入れ替わったパケットが到着する場合がある。また、パケットの到着タイミングに揺らぎが発生し、それが下流のアプリケーションにとって好ましくない場合がある。
【0059】
パケット送信部41は、このような問題を解決するための手段を備えている。図9に、パケット送信部41の構成例を示す。
【0060】
図9に示す例のパケット送信部41は、格納演算部411、同期パケット取得部413、特徴値取得部415、パケット間隔時間取得部417、パケット/特徴値格納部419、パケット検索部421、及びパケット間隔時間調整部423を備えている。
【0061】
格納演算部411はパケットフレーム選択部39から受信したパケットフレームに含まれる各パケットについて、同期パケット生成時の特徴値演算と同じ方法で特徴値を算出し、パケットに対応付けてパケット/特徴値格納部419に格納する。また、同期パケット取得部413は、受信するパケットフレームから同期パケットを取得し、特徴値取得部415は同期パケット取得部413により取得された同期パケットから順番に特徴値を取得する。また、パケット間隔時間取得部417は特徴値取得部415が取得した特徴値に対応するパケット間隔時間を取得する。つまり、ここで取得するパケット間隔時間は、特徴値取得部415により取得された特徴値に対応するパケットの一つ前のパケットと当該特徴値に対応するパケットとの間の時間間隔である。
【0062】
特徴値取得部415はパケット検索部421に特徴値を入力する。パケット検索部421は、パケット/特徴値格納部419を検索し、入力された特徴値に対応するパケットを取得する。パケット間隔時間調整部423には、パケット検索部421に入力された特徴値に対応するパケット間隔時間がパケット間隔時間取得部417から入力される。そして、パケット間隔時間調整部423は、パケット検索部421により検索されたパケットを、その1つ前のパケットを出力してから上記パケット間隔時間の後に出力する。なお、1つ前のパケットを出力してから上記パケット間隔時間の後にパケットが検索できたときにはすぐにそのパケットを出力する。
【0063】
図10は、パケット送信部41の動作の具体例を説明するための図である。図10に示すように、パケット/特徴値格納部419に、パケット1、特徴値1、パケット3、特徴値3、パケット2、特徴値2がこの順番で格納されたものとする。また、パケット1の前にパケット0が出力されているものとする。そして、同期パケット取得部413が取得した同期パケットには図10に示す特徴値1、2、3と、パケット間隔時間1、2、3が含まれる。
【0064】
まず、同期パケットに含まれる特徴値1によりパケット/特徴値格納部419の検索が行われ、パケット1が抽出され、パケット0出力の「パケット間隔時間1」時間後にパケット1が送出される。以下同様に、同期パケットに含まれる特徴値2によりパケット/特徴値格納部419の検索が行われ、パケット2が出力され、パケット1出力の「パケット間隔時間2」時間後にパケット2が出力される。そして、同期パケットに含まれる特徴値3によりパケット/特徴値格納部419の検索が行われ、パケット3が出力され、パケット3出力の「パケット間隔時間3」時間後にパケット3が出力される。このように、パケットの順序が入れ替わっていたとしても同期パケットに含まれる特徴値を順に用いることにより正しい順番でパケットを出力できる。また、パケット間隔時間を用いることにより、上流から入力されたパケット間隔と同じ間隔でパケットを出力することができ、ネットワークの揺らぎ等の影響を吸収できる。なお、同期パケットには順序識別番号が含まれるので、パケットフレーム間でパケットの順序が入れ替わってもパケットの順序を訂正することが可能である。
【0065】
パケット送信部41は図10に示した動作を行うことができるのであればどのような構成を備えてもよい。例えば図11に示すような構成とすることも可能である。
【0066】
この例では、パケット送信部41は、格納演算部431、同期パケット取得部433、特徴値取得部435、パケット間隔時間取得部437、パケット格納メモリ439、特徴値/アドレス格納検索部441、及びパケット間隔時間調整部443を備えている。
【0067】
格納演算部431は、パケットフレーム選択部39から受信したパケットフレームに含まれる各パケットをパケット格納メモリ439に格納するとともに、そのパケットの特徴値を算出し、その特徴値を当該特徴値に対応するパケットを格納したパケット格納メモリ439のアドレスとともに特徴値/アドレス格納検索部441に格納する。
【0068】
また、同期パケット取得部433は、受信するパケットフレームから同期パケットを取得し、特徴値取得部435は同期パケット取得部433により取得された同期パケットから順番に特徴値を取得する。また、パケット間隔時間取得部437は特徴値取得部435が取得した特徴値に対応するパケット間隔時間を取得する。
【0069】
特徴値取得部435は特徴値/アドレス格納検索部441に特徴値を入力する。特徴値/アドレス格納検索部435は、入力された特徴値に対応するアドレスを出力する。当該アドレスはパケット間隔時間調整部443に入力される。パケット間隔時間調整部443はまたパケット間隔時間取得部437からパケット間隔時間を取得する。そして、パケット間隔時間調整部443は、特徴値/アドレス格納検索部441から入力されたアドレスに対応するパケットの1つ前のパケットを出力してから上記パケット間隔時間の後に上記アドレスをパケット格納メモリに入力することにより当該アドレスに対応するパケットを出力する。なお、特徴値/アドレス格納検索部441として例えば連想メモリを使用できる。
【0070】
なお、パケット送信部41におけるパケット間隔時間調整に係る機能は必要に応じて備えればよい。また、パケットの順序調整がなされているパケットを受信し、順序訂正の必要がない場合には、図12に示すようなパケット送信部41としてパケット間隔時間調整部50を用いることができる。
【0071】
図12に示すパケット間隔時間調整部50は、特徴値演算部52、パケット間隔時間取得部54、及び調整部56を備えている。特徴値演算部52は、入力されるパケットフレームにおける各パケットの特徴値を算出し、順次パケット間隔時間取得部54に渡す。パケット間隔時間取得部54は、上記パケットフレームに対応する同期パケットを取得し、特徴値演算部52から渡された特徴値に対応するパケット間隔時間を取得し、調整部56に渡す。調整部は、入力されたパケットに対応するパケット間隔時間を用い、そのパケットの1つ前のパケットを出力してから上記パケット間隔時間の後にパケットを出力する。
【0072】
なお、パケットとそれに対応するパケット間隔を識別するための他の手段があれば特徴値を用いなくてもよい。
【0073】
(時間ダイバーシティについて)
さて、本実施の形態では、パケット転送装置10における一方の系のパケット送信部のパケットに遅延を加えることにより、時間ダイバーシティを実現することが可能である。この場合、パケット送信部にバッファメモリを備え、そのバッファメモリの読み出しを遅らせることにより遅延を加える。このようにして時間ダイバーシティが可能になるケースを図13のシステム構成図を参照して説明する。
【0074】
本実施の形態では2系統の伝送路7、9を用いているが、これらは物理的には同一である場合がある。例えば、1つの光ファイバに論理的に2つのパスを設け、2つの伝送路として使用するような場合である。このような場合でも、光ファイバは物理的に異なる現用系と予備系を持っていることが多く、本例ではこのような場合を想定している。
【0075】
図13に示すとおり、パケット転送装置1とパケット転送装置3が0系伝送路7と1系伝送路9により接続されている。0系伝送路7と1系伝送路9は通常は現用系である物理伝送路100に設定されているが、物理伝送路100が故障した場合には物理伝送路200に切り替えられ、パケット転送装置1とパケット転送装置3を接続する0系伝送路7と1系伝送路9は物理伝送路200を通ることになる。
【0076】
物理伝送路100から物理伝送路200への切替時間を例えば50msであるとする。また、送信側のパケット転送装置1における1系のパケット送信部に例えば100msの遅延を挿入するものとする。このようにすることにより、図14に示すように、例えば0系からパケットフレーム1が出力されるタイミングの前後で物理伝送路100の故障があって、0系のパケット送信部からのパケットフレーム1が損失したとしても、50ms後に物理伝送路200に切り替わった後に、100ms後に出力される1系からのパケットフレーム1は伝送される。
【0077】
この場合、受信側のパケット転送装置3では物理伝送路100の故障前に0系のパケットフレームを選択していたのであればこれまでに説明した系選択処理により1系に切替を行ってパケット損失なくパケットの出力を行うことができる。
【0078】
なお、本実施の形態で説明したパケット受信機能部14におけるパケット送信部41の機能は、同期パケットを含むパケットフレームを受信する装置であれば、パケット転送装置10に限らず適用することが可能である。そのようなパケット送信部41の機能を含む装置として、例えば、次のようなパケット転送装置がある。
【0079】
当該パケット転送装置は、入力されたパケットを伝送路に送出するパケット送信手段と、伝送路からパケットを受信し、受信したパケットを下流に送出するパケット受信手段とを備えたパケット転送装置である。前記パケット送信手段は、順次入力されるパケットにおける予め定めた数分又は予め定めた時間分のパケットを順次パケットフレームとし、当該パケットフレームに含まれる各パケットの特徴値を算出し、前記パケットフレームに含まれるパケットの順序で各特徴値を格納した同期パケットを生成し、その同期パケットを前記パケットフレームに挿入する同期パケット生成挿入手段と、前記パケットフレームを伝送路に送出するパケットフレーム送出手段とを備える。
【0080】
また、前記パケット受信手段は、伝送路から受信したパケットフレームから特徴値を含む同期パケットを取得する手段と、前記パケットフレームにおける各パケットの特徴値を算出し、当該特徴値と前記同期パケットに含まれる特徴値とを比較することにより、前記同期パケットに含まれる特徴値の順序で各パケットを下流に送出する手段とを備える。また、次のようなパケット転送装置とすることも可能である。
【0081】
当該パケット転送装置は、入力されたパケットを伝送路に送出するパケット送信手段と、伝送路からパケットを受信し、受信したパケットを下流に送出するパケット受信手段とを備える。
【0082】
前記パケット送信手段は、順次入力されるパケットにおける予め定めた数分又は予め定めた時間分のパケットを順次パケットフレームとし、当該パケットフレームに含まれる各パケットについて、そのパケットと1つ前のパケットとの間のパケット間隔時間を算出し、当該パケットフレームに含まれるパケットの順序で各パケット間隔時間を格納した同期パケットを生成し、その同期パケットを前記パケットフレームに挿入する同期パケット生成挿入手段と、前記パケットフレームを伝送路に送出するパケットフレーム送出手段とを備え、前記パケット受信手段は、伝送路から受信したパケットフレームからパケット間隔時間を含む同期パケットを取得する手段と、前記パケットフレームに含まれる各パケットについて、送出しようとするパケットの1つ前のパケットを送出してから前記送出しようとするパケットに対応するパケット間隔時間の後に前記送出しようとするパケットを下流に送出する手段とを備える。上記2つのパケット転送装置における各手段の詳細は本実施の形態で説明したとおりである。
【0083】
また、本実施の形態で説明した各パケット転送装置はそれ自体単独で用いられることもあるし、回路部品として伝送装置に組み込まれて使用されることもある。
【0084】
(実施の形態の効果)
上記のような本実施の形態に係るパケット転送装置によれば、ユーザ網から入力されたパケットを加工することなく送出するので、転送可能な最大パケット長が制限される伝送路に対しても無瞬断切替が可能となる。
【0085】
また、同期パケットにパケット間隔時間を含めるので、パケットの到着タイミングを送信側から受信側に転送でき、これにより、パケットの揺らぎを抑制することが可能となり、ネットワークで発生する擾乱の影響を抑制して安定した通信を行うことが可能となる。また、パケットの到着順序を同期パケットに含めて送信側から受信側へ転送するので、順序識別子が付されていないパケットの順序訂正が可能となる。
【0086】
更に、同期パケットを用いることにより、絶対時刻、回線ID等の回線運用に必要な付加情報を転送することが可能となる。これにより、例えば、送信側で同期パケットが生成・送出された絶対時刻と受信側で同期パケットを受信した絶対時刻とを比較することにより、絶対遅延時間を把握することができる。
【0087】
また、時間方向のダイバーシティをとることが可能となるので、物理的に同一の伝送路に複数の系のパケット伝送路を設けた場合において、物理的伝送路の切替があった場合でもパケット損失を防ぐことが可能となる。
【0088】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態におけるパケット転送システムの概要構成図である。
【図2】同期パケット生成の概念を説明するための図である。
【図3】同期パケットの一例を詳細に示した図である。
【図4】パケット転送装置10の構成図である。
【図5】同期パケット生成挿入部23の構成図である。
【図6】遅延差判定部35の構成図である。
【図7】遅延差調整部37の構成図である。
【図8】パケットフレーム選択部39の構成図である。
【図9】パケット送信部41の構成図である。
【図10】パケット送信部41の動作の具体例を説明するための図である。
【図11】パケット送信部41の構成図である。
【図12】パケット間隔時間調整部50の構成図である。
【図13】時間ダイバーシティを説明するための図である。
【図14】時間ダイバーシティを説明するための図である。
【符号の説明】
【0090】
1、3、10 パケット転送装置
5 パケット転送網
7、9 伝送路
12 送信機能部
14 受信機能部
21 パケット受信部
23 同期パケット生成挿入部
231 タイミング抽出部
233 パケット特徴抽出部
235 同期情報記録部
237 同期情報生成部
239 同期パケット挿入部
25 パケットコピー部
27A、27B パケット送信部
31A、31B パケット受信部
33 故障検出部
35 遅延差判定部
351 時刻記録部
353 時間差演算部
37 遅延差調整部
371A、371B パケット格納部
373 遅延挿入部
39 パケットフレーム選択部
391 選択指示部
393 選択部
395 早着判定部
41 パケット送信部
411、431 格納演算部
413、433 同期パケット取得部
415、435 特徴値取得部
417、437 パケット間隔時間取得部
419 パケット/特徴値格納部
421 パケット検索部
423、443 パケット間隔時間調整部
439 パケット格納メモリ
441 特徴値/アドレス格納検索部
50 パケット間隔時間調整部
52 特徴値演算部
54 パケット間隔時間取得部
56 調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたパケットを複製して複数の系の伝送路に送出するパケット送信手段と、複数の系の伝送路からパケットを受信し、受信したパケットのうち1つの系のパケットを選択して下流に送出するパケット受信手段とを備えたパケット転送装置であって、
前記パケット送信手段は、
順次入力されるパケットにおける予め定めた数分又は予め定めた時間分のパケットを順次パケットフレームとし、各パケットフレームに順序識別情報を含む同期パケットを挿入する同期パケット生成挿入手段と、
前記パケットフレームを複製して複数の系の伝送路に送出するパケットフレーム送出手段と、を備え、
前記パケット受信手段は、
複数の系の伝送路から受信する各パケットフレームに含まれる同期パケットの順序識別情報を用いて複数の系間での同一パケットフレームを識別し、複数の系間での同一パケットフレームの遅延差を判定する遅延差判定手段と、
前記遅延差判定手段で得られた前記遅延差を用いて複数の系間でパケットフレームの遅延を調整する遅延調整手段と、
前記遅延調整手段により遅延が調整された複数の系のパケットフレームの中から1つの系のパケットフレームを選択するパケットフレーム選択手段と、
前記パケットフレーム選択手段により選択されたパケットフレームを下流に送出するパケットフレーム送出手段と、を備えたことを特徴とするパケット転送装置。
【請求項2】
前記パケット送信手段における前記同期パケット生成挿入手段は、前記パケットフレームに含まれるパケットから算出した誤り検出符号を前記同期パケットに含め、
前記パケット受信手段は、前記同期パケットに含まれる誤り検出符号を用いて前記パケットフレームの誤り検出を行う誤り検出手段を更に備え、
前記パケットフレーム選択手段は、前記誤り検出手段により誤りが検出されたパケットフレームの系以外の系のパケットフレームを選択する、請求項1に記載のパケット転送装置。
【請求項3】
前記パケットフレーム選択手段は、複数の系間での同一パケットフレームのうち最も早く到着したパケットフレームを判定する早着判定手段を備え、当該早着判定手段により最も早く到着したと判定されたパケットフレームを下流に送出する請求項1又は2に記載のパケット転送装置。
【請求項4】
前記パケット送信手段における前記同期パケット生成挿入手段は、前記パケットフレームに含まれる各パケットの特徴値を算出し、当該パケットフレームに含まれるパケットの順序で各特徴値を前記同期パケットに含め、
前記パケット受信手段におけるパケットフレーム送出手段は、受信したパケットフレームにおける各パケットの特徴値を算出し、当該特徴値と前記同期パケットに含まれる特徴値とを比較することにより、前記同期パケットに含まれる特徴値の順序で各パケットを下流に送出する手段を備える請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載のパケット転送装置。
【請求項5】
前記パケット送信手段における前記同期パケット生成挿入手段は、前記パケットフレームに含まれる各パケットについて、そのパケットと1つ前のパケットとの間のパケット間隔時間を算出し、当該パケットフレームに含まれるパケットの順序で各パケット間隔時間を前記同期パケットに含め、
前記パケット受信手段における前記パケットフレーム送出手段は、受信したパケットフレームに含まれる各パケットについて、送出しようとするパケットの1つ前のパケットを送出してから前記送出しようとするパケットに対応するパケット間隔時間の後に前記送出しようとするパケットを下流に送出する手段を備える請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載のパケット転送装置。
【請求項6】
前記パケット送信手段における前記パケットフレーム送出手段は、前記複数の系のうち1つの系のパケットフレームに対して遅延を付加する手段を備える請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載のパケット転送装置。
【請求項7】
入力されたパケットを伝送路に送出するパケット送信手段と、伝送路からパケットを受信し、受信したパケットを下流に送出するパケット受信手段とを備えたパケット転送装置であって、
前記パケット送信手段は、
順次入力されるパケットにおける予め定めた数分又は予め定めた時間分のパケットを順次パケットフレームとし、当該パケットフレームに含まれる各パケットの特徴値を算出し、前記パケットフレームに含まれるパケットの順序で各特徴値を格納した同期パケットを生成し、その同期パケットを前記パケットフレームに挿入する同期パケット生成挿入手段と、
前記パケットフレームを伝送路に送出するパケットフレーム送出手段と、を備え、
前記パケット受信手段は、
伝送路から受信したパケットフレームから特徴値を含む同期パケットを取得する手段と、
前記パケットフレームにおける各パケットの特徴値を算出し、当該特徴値と前記同期パケットに含まれる特徴値とを比較することにより、前記同期パケットに含まれる特徴値の順序で各パケットを下流に送出する手段と、を備えることを特徴とするパケット転送装置。
【請求項8】
入力されたパケットを伝送路に送出するパケット送信手段と、伝送路からパケットを受信し、受信したパケットを下流に送出するパケット受信手段とを備えたパケット転送装置であって、
前記パケット送信手段は、
順次入力されるパケットにおける予め定めた数分又は予め定めた時間分のパケットを順次パケットフレームとし、当該パケットフレームに含まれる各パケットについて、そのパケットと1つ前のパケットとの間のパケット間隔時間を算出し、当該パケットフレームに含まれるパケットの順序で各パケット間隔時間を格納した同期パケットを生成し、その同期パケットを前記パケットフレームに挿入する同期パケット生成挿入手段と、
前記パケットフレームを伝送路に送出するパケットフレーム送出手段と、を備え、
前記パケット受信手段は、
伝送路から受信したパケットフレームからパケット間隔時間を含む同期パケットを取得する手段と、
前記パケットフレームに含まれる各パケットについて、送出しようとするパケットの1つ前のパケットを送出してから前記送出しようとするパケットに対応するパケット間隔時間の後に前記送出しようとするパケットを下流に送出する手段と、を備えることを特徴とするパケット転送装置。
【請求項9】
入力されたパケットを複製して複数の系の伝送路に送出する送信側パケット転送装置と、前記複数の系の伝送路からパケットを受信し、受信したパケットのうち1つの系のパケットを選択して下流に送出する受信側パケット転送装置とを備えたパケット転送システムにおけるパケット転送方法であって、
前記送信側パケット転送手段が、順次入力されるパケットにおける予め定めた数分又は予め定めた時間分のパケットを順次パケットフレームとし、各パケットフレームに順序識別情報を含む同期パケットを挿入する同期パケット生成挿入ステップと、
前記送信側パケット転送手段が、前記パケットフレームを複製して前記複数の系の伝送路に送出するパケットフレーム送出ステップと、
前記受信側パケット転送装置が、前記複数の系の伝送路から受信する各パケットフレームに含まれる前記同期パケットの順序識別情報を用いて前記複数の系間での同一パケットフレームを識別し、前記複数の系間での同一パケットフレームの遅延差を判定する遅延差判定ステップと、
前記受信側パケット転送装置が、前記遅延差判定ステップで得られた前記遅延差を用いて前記複数の系間でパケットフレームの遅延を調整する遅延調整ステップと、
前記受信側パケット転送装置が、前記遅延調整ステップにより遅延が調整された前記複数の系のパケットフレームの中から1つの系のパケットフレームを選択するパケットフレーム選択ステップと、
前記受信側パケット転送装置が、前記パケットフレーム選択ステップにより選択されたパケットフレームを下流に送出するパケットフレーム送出ステップと、
を備えたことを特徴とするパケット転送方法。
【請求項10】
入力されたパケットを伝送路に送出する送信側パケット転送装置と、伝送路からパケットを受信し、受信したパケットを下流に送出する受信側パケット転送装置とを備えたパケット転送システムにおけるパケット転送方法であって、
前記送信側パケット転送装置が、順次入力されるパケットにおける予め定めた数分又は予め定めた時間分のパケットを順次パケットフレームとし、当該パケットフレームに含まれる各パケットの特徴値を算出し、前記パケットフレームに含まれるパケットの順序で各特徴値を格納した同期パケットを生成し、その同期パケットを前記パケットフレームに挿入する同期パケット生成挿入ステップと、
前記送信側パケット転送装置が、前記パケットフレームを伝送路に送出するパケットフレーム送出ステップと、
前記受信側パケット転送装置が、前記伝送路から受信したパケットフレームから前記特徴値を含む前記同期パケットを取得するステップと、
前記受信側パケット転送装置が、前記パケットフレームにおける各パケットの特徴値を算出し、当該特徴値と前記同期パケットに含まれる特徴値とを比較することにより、前記同期パケットに含まれる特徴値の順序で各パケットを下流に送出するステップと、
を備えることを特徴とするパケット転送方法。
【請求項11】
入力されたパケットを伝送路に送出する送信側パケット転送装置と、伝送路からパケットを受信し、受信したパケットを下流に送出する受信側パケット転送装置とを備えたパケット転送システムにおけるパケット転送方法であって、
前記送信側パケット転送装置が、順次入力されるパケットにおける予め定めた数分又は予め定めた時間分のパケットを順次パケットフレームとし、当該パケットフレームに含まれる各パケットについて、そのパケットと1つ前のパケットとの間のパケット間隔時間を算出し、当該パケットフレームに含まれるパケットの順序で各パケット間隔時間を格納した同期パケットを生成し、その同期パケットを前記パケットフレームに挿入する同期パケット生成挿入ステップと、
前記送信側パケット転送装置が、前記パケットフレームを伝送路に送出するパケットフレーム送出ステップと、
前記受信側パケット転送装置が、前記伝送路から受信したパケットフレームから前記パケット間隔時間を含む前記同期パケットを取得するステップと、
前記受信側パケット転送装置が、前記パケットフレームに含まれる各パケットについて、送出しようとするパケットの1つ前のパケットを送出してから前記送出しようとするパケットに対応するパケット間隔時間の後に前記送出しようとするパケットを下流に送出するステップと、
を備えることを特徴とするパケット転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−227623(P2008−227623A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59107(P2007−59107)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(399035766)エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 (321)
【Fターム(参考)】