説明

パケット送信システム、送信端末、受信端末、送信プログラム、受信プログラム

【課題】送信元のIPアドレスを指定し、マルチキャストを行う場合において、その指定されたIPアドレスを追従するサーバ装置や専用のデータベース等を新たに設けることなく、マルチキャストを継続すること。
【解決手段】送信端末200が、受信端末100からUDPアドレス通知要求パケットを受信したことを契機として、送信端末200のIPアドレスを含むUDPアドレス通知パケットをマルチキャストデータとは別に受信端末100へ送信し、受信端末100が、そのUDPアドレス通知パケットに基づいて、送信端末200のIPアドレスの変化を検出することが可能となる。そして、受信端末100が送信端末200のIPアドレスの変化を検出した場合、受信端末100は、変化後の送信端末200のIPアドレスを含んだIGMPv3等のパケットをマルチキャストルータに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチキャストに関し、特に、送信元のIP(Internet Protocol)アドレスが変更になった場合でも、受信端末側で送信元のIPアドレスの変化を検出し、ネットワーク内のルータに所定のパケットを送信することで、マルチキャストの継続を可能とする通信システムを提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マルチキャストは天気予報や監視カメラの映像、テレビ会議システムの映像や音声データなど、同じ内容のデータを複数の受信端末に同報する際に使用される。
【0003】
そして、送信端末は、どの受信端末がデータを受信するか否かに関係なく、データを配信しているため、配信されるデータの容量によっては、ネットワークの帯域が過剰に消費されることがある。さらに、データの不正取得等を目的とした受信端末により、データの盗聴等が容易に行われてしまうこともある。
【0004】
そこで、近年、送信端末のIP(Internet Protocol)アドレスを指定してマルチキャストが実施される場合がある。送信元のIPアドレスが指定されることで、送信端末は、自端末のIPアドレスに対応するデータを有する受信端末に対してのみ、データを配信することが可能となる。
【0005】
したがって、送信端末は、受信端末を限定して、データを配信することができ、マルチキャストで使用されるネットワークの帯域が低減され、更には、セキュリティを向上させることが可能となる。
【0006】
しかし、送信端末のIPアドレスを指定してマルチキャストを行っていた場合に、送信端末のIPアドレスが変更になると、受信端末がデータを受信できなくなってしまう場合がある。これについて具体的に図を挙げて説明する。図24は、送信端末のIPアドレスの変更があった場合の問題点を説明するための図である。
【0007】
図24に示すように、まず、マルチキャスト送信端末10(以下、単に送信端末10とする)は、送信元IPアドレス:A、マルチキャストアドレス:Gを含めてマルチキャストデータをマルチキャストルータ1(以下、単にルータ1とする)に送信している。
【0008】
そして、ルータ1は、マルチキャストルータ2(以下、単にルータ2とする)にマルチキャストデータを転送する。そして、ルータ2は、マルチキャスト受信端末A〜受信端末Z(以下、単に受信端末A〜受信端末Zとする)に対して、マルチキャストデータを転送するともに、転送したマルチキャストデータを保持する(ステップS1)。
【0009】
なお、マルチキャストアドレスとは、複数のマルチキャスト受信端末から構成されるグループを示すIPアドレスを示し、送信端末は、マルチキャストアドレス:Gに所属する受信端末に対してのみマルチキャストデータを送信する。
【0010】
そして、上述したように、IPアドレスが指定された送信端末10と、所定のグループに所属する各種受信端末との間でマルチキャストが行われる場合の通信経路は、代表的なマルチキャストルーティングプロトコルであるPIM−SSM(Protocol Independent Multicast-Source Specific Multicast)を用いて制御されるものとする。
【0011】
続いて、マルチキャストアドレス:Gが規定するグループに対し、新たに参加を希望するマルチキャスト受信端末20(以下、単に受信端末20とする)は、送信元IPアドレス:A、マルチキャストアドレス:Gを含めたデータを用いて、受信要求をルータ2に行う(ステップS2)。
【0012】
そして、受信要求を受信したルータ2は、受信要求をPIM−SSM JOINメッセージとして、ルータ1に送信する。このPIM−SSM JOINメッセージには、送信元フィルタアドレス:A、マルチキャストアドレス:Gが含まれる(ステップS3)。
【0013】
そして、PIM−SSM JOINメッセージを受信したルータ1は、送信端末10が送信しているマルチキャストデータをルータ2に転送し、マルチキャストデータを受信したルータ2は受信端末20に対して、マルチキャストデータを転送する。その結果、送信端末10と受信端末20との間でマルチキャストが成立する(ステップS4)。
【0014】
そして、ステップS4の状況下で、送信端末10のIPアドレスがAからBに変化した場合、ルータ1は、マルチキャストデータの転送は行わないため、受信端末20や受信端末A〜Zは、マルチキャストデータの受信を継続することができない(ステップS5)。
【0015】
以上のことから、指定されたIPアドレスを有する送信端末と受信端末との間でマルチキャストが行われていた場合に、その指定されたIPアドレスが変化すると、変化前の送信元IPアドレスでマルチキャストが成立していた受信端末は、マルチキャストを継続することができなくなるという問題があった。
【0016】
そこで、送信元IPアドレスの変更を検知するため、マルチキャストネットワーク(以下、単にネットワークとする)内に、データベース等を設置するという技術が知られている。
【0017】
具体的には、ネットワーク内のルータが、マルチキャストデータを受信した際に、受信したデータから、送信元のIPアドレスと、宛先のIPアドレスとを含むアドレスセットを取得し、取得したアドレスセットをデータベースに設定する。
【0018】
そして、受信端末が送信元にマルチキャストデータの受信を要求した際、データベースは、要求されたマルチキャストデータに対応するアドレスセットを受信端末に通知するという技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2005−236699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上述した従来の技術では、送信端末のIPアドレスを管理するためのデータベースや、既存のネットワークのルータをアドレスセットの処理に対応したルータに変更する必要があり、新たな装置の設置やルータの置き換えに伴うコスト負担が問題であった。
【0021】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、専用のデータベース等を設けることなく、既存のネットワーク機器をそのまま活用することで、送信端末のIPアドレスが変更されたとしても、マルチキャスト通信を継続することができるパケット送信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、このパケット送信システムは、パケットの送信元となる端末のアドレス情報を利用してパケットを中継する中継装置と、当該中継装置を介して受信端末にマルチキャストパケットを送信する送信端末とを有するパケット送信システムであって、前記送信端末は、前記マルチキャストパケットの他に、前記送信端末のアドレス情報を含んだアドレス通知パケットを前記受信端末に送信するパケット送信手段を有し、前記受信端末は、前記アドレス通知パケットを受信した場合に、前記アドレス通知パケットに含まれるアドレス情報を基にして、前記送信端末のアドレス情報が変化したか否かを判定するアドレス変化判定手段と、前記送信端末のアドレス情報が変化したと前記アドレス変化判定手段が判定した場合に、変化後の前記送信端末のアドレス情報を前記中継装置に通知するアドレス通知手段とを有することを要件とする。
【発明の効果】
【0023】
本願に開示したパケット送信システムによれば、送信端末と受信端末とを置き換えるだけで、受信端末が、送信端末のIPアドレスの変化を検出することができ、さらに、変化後の送信端末のIPアドレスを含んだIGMPv3(Internet Group Management Protocol ver3)等のパケットをマルチキャストルータに送信することで、マルチキャストを継続することができる。したがって、新たな装置の導入コストを抑え、既存のネットワーク機器をそのまま活用してマルチキャストを継続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、発明の概要を説明するための図である。
【図2】図2は、受信端末100の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図3は、送信端末情報テーブル101のデータ構造の一例を説明するための図である。
【図4】図4は、コンフィグ情報テーブル102のデータ構造の一例を説明するための図である。
【図5】図5は、UDPアドレス通知要求パケット50の送信を説明するための図である。
【図6】図6は、UDPアドレス通知要求パケット50のデータ構造の一例を説明するための図である。
【図7】図7は、UDPアドレス通知パケット60のデータ構造の一例を説明するための図である。
【図8】図8は、UDPアドレス通知パケット61のデータ構造の一例を説明するための図である。
【図9】図9は、アドレス通知パケット解析部106の処理を説明するための図である。
【図10】図10は、ログ管理テーブル107のデータ構造の一例を説明するための図である。
【図11】図11は、送信元のIPアドレス変化後の各種ルータの処理を説明するための図である。
【図12】図12は、送信端末200の構成を示す機能ブロック図である。
【図13】図13は、識別子ファイル203aのデータ構造の一例を説明するための図である。
【図14】図14は、通知パケット周期テーブル203bのデータ構造の一例を説明するための図である。
【図15】図15は、自端末IPアドレステーブル204のデータ構造の一例を説明するための図である。
【図16】図16は、UDPアドレス通知パケット60の送信を説明するための図である。
【図17】図17は、UDPアドレス通知パケット61の送信を説明するための図である。
【図18】図18は、マルチキャスト送信端末の切り替えを説明するための図である。
【図19】図19は、UDPアドレス通知停止パケット52のデータ構造の一例を説明するための図である。
【図20】図20は、UDPアドレス通知要求パケット53のデータ構造の一例を説明するための図である。
【図21】図21は、実施例に係る通信システムの処理を示すフローチャートである。
【図22】図22は、送信元IPアドレスの変化の検出を実行するコンピュータのハードウェア構成を示す図である。
【図23】図23は、UDPアドレス通知パケットの送信を実行するコンピュータのハードウェア構成を示す図である。
【図24】図24は、送信端末のIPアドレスの変更があった場合の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るパケット送信システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、パケット送信システムを単に通信システムとして以下説明する。
【実施例】
【0026】
まず、本実施例に係る発明の概要について説明する。本実施例に係る通信システムは、まず、受信端末が、送信端末のIP(Internet Protocol)アドレスの変化を検出するために、自端末のIPアドレスと、送信端末のIPアドレスとを含んだUDP(User Datagram Protocol)アドレス通知要求パケットを送信端末に送信する。
【0027】
そして、送信端末が、UDPアドレス通知要求パケットを受信したことを契機として、自端末のIPアドレスを含むUDPアドレス通知パケットをマルチキャストデータとは別に受信端末へ送信し、受信端末が、その受信したパケットに基づいて、送信端末のIPアドレスの変化を検出することが可能となる。
【0028】
そして、受信端末が送信端末のIPアドレスの変化を検出した場合、受信端末は、変化後の送信端末のIPアドレスを含んだIGMPv3(Internet Group Management Protocol ver3)等のパケットをマルチキャストルータに送信する。
【0029】
そして、マルチキャストルータは、受信したIGMPv3パケットを解析/保持し、マルチキャストデータを送信端末から受信端末に転送する。その結果、送信端末のIPアドレスが変化しても、受信端末はマルチキャストデータの受信の継続を可能にする。
【0030】
以下、上述した発明の概要について、図を用いて詳細に説明する。図1は、発明の概要を説明するための図である。図1では、マルチキャスト送信端末200(以下、単に送信端末200とする)が、マルチキャスト受信端末100(以下、単に受信端末100とする。受信端末101と受信端末102も同様)、受信端末101、受信端末102にマルチキャストデータ(図中の矢印)を送信している。
【0031】
また、送信端末200と受信端末100、受信端末101、受信端末102との間にルータ300が配置されており、このルータ300は、図24にて示したルータ1とルータ2に相当するものとする。
【0032】
なお、送信端末200のIPアドレスには「A」が設定されているものとし、受信端末100のIPアドレスには「X」が設定されているものとする。そして、複数ある受信端末のうち、受信端末100と送信端末200とのマルチキャストデータの送受信の継続について例を挙げて以下説明する。
【0033】
まず、受信端末100は、送信端末200のIPアドレスの変化を検出するために、送信端末200に、自端末のIPアドレス:X、送信端末のIPアドレス:Aを含んだUDPアドレス通知要求パケット50を送信する(ステップS10)。
【0034】
なお、送信端末200のIPアドレスが変化するトリガーとしては、送信端末200のIPアドレスを管理しているDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバの設定が変更された場合等が挙げられる。また、送信端末200のIPアドレスが、IPv6(Internet Protocol Version 6)で設定されており、自端末で自IPアドレスを生成している場合において、自らIPアドレスを変更する例が挙げられる。
【0035】
そして、送信端末200は、UDPアドレス通知要求パケット50を受信し、受信を契機として、マルチキャストデータとは別に、自端末のIPアドレス:Aを含むUDPアドレス通知パケット60を受信端末100に送信する(ステップS20)。
【0036】
そして、送信端末200のIPアドレスを管理しているDHCPサーバの設定変更等により、送信端末200のIPアドレス:Aが、IPアドレス:Bに変化した場合、送信端末200は、変化後の自端末のIPアドレス:Bを含むUDPアドレス通知パケット61を受信端末100に送信する(ステップS30)。
【0037】
そして、受信端末100は、送信端末200から受信したUDPアドレス通知パケット61に含まれている送信端末200のIPアドレス:Bに基づいて、送信端末200のIPアドレスが「A」から「B」に変化したことを検出する(ステップS40)。
【0038】
そして、受信端末100は、変化したIPアドレスに基づいて、IGMPv3(Internet Group Management Protocol Version 3)パケット(単に、パケット5とする)をルータ300に送信する(ステップS50)。
【0039】
そして、ルータ300は、受信したパケット5を解析し、解析した結果に基づいて、マルチキャストデータを送信端末200から受信端末100へ転送する。したがって、送信端末200のIPアドレスがAからBに変化しても、受信端末100は、送信端末200からマルチキャストデータの受信を継続する(ステップS60)。
【0040】
このように、送信端末が、受信端末から所定のパケットを受信したことを契機として、送信元のIPアドレスを含むパケットを受信端末に対して通知することで、受信端末は、送信元のIPアドレスの変化を検出することが可能となる。
【0041】
そして、受信端末が、変化後の送信元のIPアドレスを含んだIGMPv3等のパケットをマルチキャストルータに送信することで、マルチキャストルータは、送信端末が送信するマルチキャストデータを受信端末に転送する。その結果、送信端末のIPアドレスが変化しても、受信端末は、マルチキャストデータを継続して受信することができる。
【0042】
以上のことから、送信端末と受信端末とを置き換えるだけで、送信端末のIPアドレスが動的に変化しても、受信端末は、マルチキャストを継続することができる。その結果、新たな装置の導入コストを抑え、既存のネットワーク機器をそのまま活用することが可能となる。
【0043】
次に、図1に示した受信端末100の構成について図を用いて説明する。図2は、受信端末100の構成を示す機能ブロック図である。図2に示した受信端末100は、マルチキャストデータの受信以外に、図1に示したUDPアドレス通知要求パケット50の生成や、送信端末200のIPアドレスの変化を検出する装置である。
【0044】
なお、図1に示したように、送信端末200が、自端末のIPアドレス:A、マルチキャストアドレス:Gで、マルチキャストデータを受信端末100(IPアドレス:X)に送信している場合において、受信端末100が行う各種処理について以下説明する。
【0045】
そして、受信端末100は、送信端末情報テーブル101と、コンフィグ情報テーブル102と、アドレス通知要求パケット送信部103と、アドレス通知パケット受信部104と、タイマー105と、アドレス通知パケット解析部106と、ログ管理テーブル107と、PIM(Protocol Independent Multicast)パケット送信部108とを有する。
【0046】
送信端末情報テーブル101は、受信端末100にマルチキャストデータを送信する送信端末側のIPアドレスを記憶しておくテーブルで、具体的に図を用いて説明する。図3は、送信端末情報テーブル101のデータ構造の一例を説明するための図である。
【0047】
図3の送信端末情報テーブル101は、アドレス通知パケット解析部106によって作成および更新され、「送信元IPアドレス」と、「識別子」とを有する。
【0048】
送信元IPアドレスは、マルチキャストデータを送信する送信端末側のIPアドレスを示し、一例として、「A」、「AA」、「AAA」・・「D」・・「A11」が記憶されている。なお、IPアドレス「A」は、図1に示した送信端末200に対応するIPアドレスを示し、「AA」、「AAA」については、他の送信端末に設定されているIPアドレスを示すものとする。
【0049】
識別子は、各種送信端末の識別情報を示し、一例として、「fujitsu」、「fuji」、「tsu」が記憶されている。したがって、送信端末200に対応する識別子は
「fujitsu」となり、その他の送信端末に対応する識別子は、それぞれ「fuji」、「tsu」となる。
【0050】
次に、図2の説明に戻り、コンフィグ情報テーブル102について説明する。コンフィグ情報テーブル102は、受信端末100にマルチキャストデータを送信する送信端末側のIPアドレスを記憶しておくテーブルで、例えば、受信端末100の管理者によって各種データが登録される。
【0051】
このコンフィグ情報テーブル102について図を用いて説明する。図4は、コンフィグ情報テーブル102のデータ構造の一例を説明するための図である。
【0052】
送信元IPアドレスは、マルチキャストデータを送信する送信端末のIPアドレスを示し、図3に示した、送信端末情報テーブル101に記憶されているデータと同様の「A」、「AA」、「AAA」が一例として記憶されている。
【0053】
識別子も図3と同様に、各種送信端末の識別情報を示し、図3に示した、送信端末情報テーブル101に記憶されているデータと同様の「fujitsu」、「fuji」、「tsu」が一例として記憶されている。
【0054】
以上より、コンフィグ情報テーブル102に記憶されるデータの項目は、上述した送信端末情報テーブル101と同様の項目が記憶され、送信端末情報テーブル101は、アドレス通知パケット解析部106によって、作成および更新されるのに対し、コンフィグ情報テーブル102は、上述したように受信端末100の管理者によって登録・更新されるテーブルを示すものとする。
【0055】
次に、図2の説明に戻り、アドレス通知要求パケット送信部103について説明する。アドレス通知要求パケット送信部103は、送信端末情報テーブル101もしくはコンフィグ情報テーブル102から、送信元IPアドレスと、識別子とを取得し、図1に示したUDPアドレス通知要求パケット50等を生成し、送信する処理部である。
【0056】
なお、アドレス通知要求パケット送信部103が、UDPアドレス通知要求パケット50を自動生成する場合は、送信端末情報テーブル101の各種データを取得する。一方、ネットワーク管理者の設定に基づいて、UDPアドレス通知要求パケット50を生成する場合は、コンフィグ情報テーブル102の各種データを取得する。
【0057】
続いて、アドレス通知要求パケット送信部103が、UDPアドレス通知要求パケット50を送信する際の処理について図を用いて説明する。図5は、UDPアドレス通知要求パケット50の送信を説明するための図である。
【0058】
なお、アドレス通知要求パケット送信部103が、送信端末情報テーブル101に記憶されているデータに基づいて、UDPアドレス通知要求パケット50を生成する場合を例に挙げて以下説明する。
【0059】
図5に示すように、送信端末200が、送信元IPアドレス:A、マルチキャストアドレス:Gでマルチキャストデータを送信している状況において、受信端末100がUDPアドレス通知要求パケット50を送信端末200に送信する。なお、上述したように、受信端末100のIPアドレスはXとする。
【0060】
次に、このUDPアドレス通知要求パケット50のデータ構造について図を用いて説明する。図6は、UDPアドレス通知要求パケット50のデータ構造の一例を説明するための図である。
【0061】
図6に示すように、UDPアドレス通知要求パケット50は、送信元IPアドレス:X、宛先IPアドレス:A、識別子:fujitsuといった各種情報を有している。
【0062】
「送信元IPアドレス」には、UDPアドレス通知要求パケット50を送信する端末のIPアドレスが設定される。したがって、図5に示したように、UDPアドレス通知要求パケット50を送信する受信端末100には、IPアドレスが「X」に設定されていることから、アドレス通知要求パケット送信部103は、自端末に設定されているIPアドレス「X」を送信元IPアドレス「X」として、UDPアドレス通知要求パケット50に設定する。
【0063】
「宛先IPアドレス」は、UDPアドレス通知要求パケット50の宛先となる送信端末200のIPアドレスを示すものとする。したがって、アドレス通知要求パケット送信部103は、図3に示した送信端末情報テーブル101から送信元IPアドレス:Aと、送信端末200に対応する識別子:fujitsuを取得し、取得したIPアドレス:Aを宛先IPアドレスとして、また、識別子「fujitsu」をUDPアドレス通知要求パケット50に設定する。
【0064】
なお、これまで、アドレス通知要求パケット送信部103が、UDPアドレス通知要求パケット50を自動生成する場合を例に挙げて説明したが、コンフィグ情報テーブル102に記憶されている「送信元IPアドレス」と、「識別子」とに基づいて、UDPアドレス通知要求パケット50を生成する場合についても、アドレス通知要求パケット送信部103は、同様の処理を行うものとする。
【0065】
この場合、アドレス通知要求パケット送信部103は、コンフィグ情報テーブル102に記憶されている「送信元IPアドレス」に対応する送信端末を対象として、UDPアドレス通知要求パケット50を生成し、送信する。
【0066】
したがって、受信端末100は、コンフィグ情報テーブル102の「送信元IPアドレス」に記憶されていない送信端末に対して、UDPアドレス通知要求パケット50を送信することはない。
【0067】
その結果、受信端末100は、特定の送信端末のみに、UDPアドレス通知要求パケット50を送信することが可能となり、余計なUDPアドレス通知要求パケット50の送信を防ぐことが可能となる。
【0068】
次に、図2の説明に戻り、アドレス通知パケット受信部104について説明する。アドレス通知パケット受信部104は、図1にて示したUDPアドレス通知パケット60やUDPアドレス通知パケット61といった各種アドレス通知パケットを送信端末200から受信する処理部である。
【0069】
タイマー105は、日時情報(例えば日時S、日時T等)を生成して、生成した日時情報をアドレス通知パケット解析部106に出力する処理部である。そして、タイマー105が生成する日時情報に基づいて、アドレス通知パケット解析部106は、UDPアドレス通知パケット60やUDPアドレス通知パケット61等の解析処理を行う。
【0070】
アドレス通知パケット解析部106は、タイマー105が生成する日時情報に応じて、受信した各種UDPアドレス通知パケットの解析処理を行い、解析した情報に基づいて、送信端末200のIPアドレスの変化を検出するとともに、送信端末側のIPアドレスに差分がないかを判定する処理部である。
【0071】
更に、アドレス通知パケット解析部106は、各種UDPアドレス通知パケットに含まれる識別子を確認し、各種UDPアドレス通知パケットの正当性を判定する。
【0072】
まず、図1に示したUDPアドレス通知パケット60を日時T(例えば、○月×日△秒)に受信した場合に、アドレス通知パケット解析部106が行う処理について説明する。
ここで、説明の便宜上、UDPアドレス通知パケット60のデータ構造の一例について、図7を用いて提示しておく。なお、詳細な説明については、後述するものとする。
【0073】
図7に示したようにUDPアドレス通知パケット60には、送信端末200のIPアドレスに相当する情報として、自IPアドレス情報:A、送信端末200の識別子「fujitsu」が含まれている。
【0074】
そして、アドレス通知パケット解析部106は、識別子「fujitsu」をキーにして、受信したUDPアドレス通知パケット60に含まれる自IPアドレス情報:Aが、図3に示した送信端末情報テーブル101の送信元IPアドレスに記憶されているか否かを判定する。
【0075】
この場合、送信端末情報テーブル101には、送信端末200のIPアドレスとして「A」が記憶されていることから、アドレス通知パケット解析部106は、日時Tにおいて、送信端末200のIPアドレスに変化はないと判定する。
【0076】
そして、アドレス通知パケット解析部106は、ログ管理テーブル107に受信したUDPアドレス通知パケット60に含まれる送信端末200のIPアドレス:A、日時:Tをログ管理テーブル107に記憶する。このログ管理テーブル107の詳細なデータ構造については、後述にて説明する。
【0077】
続いて、日時TからX秒経過した日時S(例えば、○月×日□秒)に、アドレス通知パケット解析部106が、図1に示したUDPアドレス通知パケット61を受信した場合に行う処理について図8、9を用いて説明する。
【0078】
図8は、UDPアドレス通知パケット61のデータ構造の一例を説明するための図である。図9は、アドレス通知パケット解析部106の処理を説明するための図である。
【0079】
図8に示したようにUDPアドレス通知パケット61には、送信端末200のIPアドレスに相当する情報として、送信元IPアドレス:B、送信端末200の識別子情報「fujitsu」が含まれている。
【0080】
そして、アドレス通知パケット解析部106は、識別子「fujitsu」をキーにして、受信したUDPアドレス通知パケット61に送信元IPアドレス:Bが、図3に示した送信端末情報テーブル101の送信元IPアドレスに記憶されているか否かを判定する。
【0081】
この場合、送信端末情報テーブル101に記憶されている送信端末200のIPアドレスは、日時Tから変更はなく、IPアドレス:Aが記憶されていることから、アドレス通知パケット解析部106は、送信元IPアドレス:Bに相当するデータを参照することができない。
【0082】
したがって、図9に示すように、アドレス通知パケット解析部106は、日時Tにおける送信端末200のIPアドレスと、日時Sにおける送信端末200のIPアドレスとが異なっていると判定し、これらIPアドレス情報の差分を確認する。
【0083】
そして、アドレス通知パケット解析部106は、ログ管理テーブル107に対して、受信日時Sに、送信端末200のIPアドレスが、AからBに変化した旨を示すデータを記憶する。
【0084】
また、アドレス通知パケット解析部106は、図3に示した送信端末情報テーブル101の送信元IPアドレス:A、識別子「fujitsu」のデータを送信元IPアドレス:B、識別子「fujitsu」に更新する。
【0085】
続いて、アドレス通知パケット解析部106が行う各種UDPアドレス通知パケットの正当性を確認する処理について説明する。この「UDPアドレス通知パケットの正当性」とは、受信した各種UDPアドレス通知パケットに所定の識別子が含まれているか否かで判定する。
【0086】
例えば、図1に示したUDPアドレス通知パケット60は、送信端末200から送信されることから、送信端末200に設定されている識別子「fujitsu」が、UDPアドレス通知パケット60に含まれている場合は、アドレス通知パケット解析部106は、受信したUDPアドレス通知パケット60が正当であると判定する。
【0087】
一方、UDPアドレス通知パケット60に識別子「fujitsu」が含まれていない場合は、アドレス通知パケット解析部106は、受信したUDPアドレス通知パケット60の正当性はNGであると判定する。そして、受信したUDPアドレス通知パケット60を廃棄する。
【0088】
次に、図2の説明に戻り、ログ管理テーブル107について説明する。ログ管理テーブル107は、アドレス通知パケット受信部104が各種UDPアドレス通知パケットを受信した日時と、その受信した各種UDPアドレス通知パケットに含まれる送信元IPアドレスとを記憶するテーブルである。そして、アドレス通知パケット解析部106によって各種データの管理がされている。
【0089】
このログ管理テーブル107について、図を用いて説明する。図10は、ログ管理テーブル107のデータ構造の一例を説明するための図である。図10に示すように、ログ管理テーブル107は、「日時」と「送信元IPアドレス」との項目を有している。
【0090】
上述したように、日時Tは、受信端末100がUDPアドレス通知パケット60を受信した日時を示し、送信元IPアドレス:Aは、日時Tにおいて、UDPアドレス通知パケット60に含まれるIPアドレスを示している。
【0091】
一方、日時Sは、受信端末100が、UDPアドレス通知パケット61を受信した日時を示し、日時Sに対応する送信元IPアドレスには、IPアドレスがAからBに変化した旨を示すデータが記憶される。したがって、送信端末200のIPアドレスの変化が発生した日時を特定することが可能となる。
【0092】
次に、図2の説明に戻り、PIMパケット送信部108について説明する。PIMパケット送信部108は、送信端末情報テーブル101を参照し、送信端末側のIPアドレスが変化した場合、変化したIPアドレスに基づいて、IGMPv3パケットもしくはMLDv2(Multicast Listener Protocol Version 2)パケットを図24に示したルータ2に送信する処理部である。
【0093】
このIGMPv3やMLDv2は、マルチキャストルータと受信端末100との間で交換されるマルチキャスト管理プロトコルを示し、マルチキャストアドレスや送信元フィルタアドレスが含まれる。
【0094】
続いて、送信端末200のIPアドレスがAからBに変化した場合を例に挙げ、上述したルータ1と、図24に示したルータ2との処理について図を用いて説明する。図11は、送信元IPアドレスの変化後の各種ルータの処理を説明するための図である。
【0095】
図11に示すように、まず、ルータ2は、受信端末100から、送信元フィルタアドレス:B、マルチキャストアドレス:Gを含むIGMPv3パケットやMLDv2パケットを受信する(ステップS60)。なお、このIGMPv3パケットやMLDv2パケットは、図1にて説明したパケット5に相当するものとする。
【0096】
そして、ルータ2は、ステップS60にて受信した各種パケットを解析し、図24にて説明したPIM‐SSM JOINメッセージをルータ1に送信する(ステップS61)。
【0097】
そして、ルータ1は、受信したPIM−SSM JOINメッセージに含まれるマルチキャストアドレス:G、送信元フィルタアドレス:Bを保持する。そして、ルータ1は、送信端末200から送信されているマルチキャストデータ(送信元IPアドレス:B、マルチキャストアドレス:G)をルータ2に転送し、ルータ2は、ルータ1から受信したマルチキャストデータを受信端末100に転送する(ステップS62)。
【0098】
次に、図1に示した送信端末200について図12を用いて説明する。図12は、送信端末200の構成を示す機能ブロック図である。図12に示した送信端末200は、マルチキャストデータの送信以外に、受信したUDPアドレス通知要求パケット60の解析や、その解析結果に基づいて、図1に示したUDPアドレス通知パケット60やUDPアドレス通知パケット61といった各種UDPアドレス通知パケットの生成を行う装置である。
【0099】
そして、送信端末200は、アドレス通知要求パケット受信部201と、アドレス通知要求パケット解析部202と、コンフィグ情報記憶部203と、自端末IPアドレステーブル204と、アドレス通知パケット送信部205とを有する。
【0100】
アドレス通知要求パケット受信部201は、例えば、図6に示したUDPアドレス通知要求パケット50を受信し、受信したUDPアドレス通知要求パケット50をアドレス通知要求パケット解析部202に出力する処理部である。
【0101】
アドレス通知要求パケット解析部202は、受信したUDPアドレス通知要求パケット50に含まれる識別子の確認を行い、受信したUDPアドレス通知要求パケット50の正当性の確認を行う処理部である。
【0102】
この「UDPアドレス通知要求パケットの正当性」とは、例えば、図6に示したUDPアドレス通知要求パケット50に、識別子「fujitsu」が含まれている否かで判定される。
【0103】
したがって、アドレス通知要求パケット解析部202が、受信したUDPアドレス通知要求パケット50を解析した結果、識別子「fujitsu」が含まれていた場合は、受信したUDPアドレス通知要求パケット50が正当であると判定する。
【0104】
一方、アドレス通知要求パケット解析部202が、受信したUDPアドレス通知要求パケット50を解析した結果、識別子「fujitsu」が含まれていない場合、もしくは、識別子「fujitsu」とは異なる識別子(例えば、fuji、tsu)が含まれていた場合は、受信したUDPアドレス通知要求パケット50の正当性がNGであると判定し、受信したUDPアドレス通知要求パケット50を廃棄する。
【0105】
コンフィグ情報記憶部203は、「識別子」と、「通知パケット周期」とを記憶しておく記憶処理部で、識別子ファイル203aと、通知パケット周期テーブル203bとを有している。
【0106】
そして、これら各種データは、例えば、送信端末200の管理者によって登録される。以下、識別子ファイル203aと、通知パケット周期テーブル203bとを図13および図14を用いて説明する。
【0107】
図13は、識別子ファイル203aのデータ構造の一例を説明するための図である。図13に示した識別子ファイル203aは、「識別子」を有している。この識別子は、送信端末200(自端末)を識別する情報を示している。
【0108】
したがって、図11に示すように、送信端末200の識別情報が「fujitsu」である場合には、「識別子」に、「fujitsu」が記憶される。
【0109】
図14は、通知パケット周期テーブル203bのデータ構造の一例を示す図である。図14に示した通知パケット周期テーブル203bは、「通知パケット周期」を有している。
【0110】
この通知パケット周期は、送信端末200が各種UDPアドレス通知パケットを送信する送信間隔を示し、「20秒」、「10秒」、「5秒」が一例として記憶されている。そして、これら記憶されているデータは、上述した送信端末200の管理者によって登録される。
【0111】
例えば、送信端末200に対して、20秒間隔で、各種UDPアドレス通知パケットを送信させる場合は「20秒」が選択される。「10秒」、「5秒」についても同様である。
【0112】
したがって、送信端末200が送信する各種アドレス通知パケットの送信間隔を、通知パケット周期テーブル203bにより、カスタマイズすることが可能となり、その結果、受信端末100が、各種UDPアドレス通知パケットを受信する間隔を調整することが可能となる。結果として、受信端末100が、送信端末200のIPアドレスの変化を検出するまでの時間調整を行う事が可能となる。
【0113】
次に、図12に戻り、自端末IPアドレステーブル204について説明する。自端末IPアドレステーブル204は、送信端末200のIPアドレスを記憶するテーブルで、具体的に図を用いて説明する。
【0114】
図15は、自端末IPアドレステーブル204のデータ構造の一例を説明するための図である。図15の「自端末IPアドレス」は、送信端末200のIPアドレスを示しており、図1に示したように送信端末200には、IPアドレス:Aが設定されていることから、自端末IPアドレスに「A」が記憶されている。
【0115】
次に、図12の説明に戻り、アドレス通知パケット送信部205について説明する。アドレス通知パケット送信部205は、アドレス通知要求パケット受信部201が受信した各種UDPアドレス通知要求パケットが正当であると判定された場合に、自端末IPアドレステーブル204と、コンフィグ情報記憶部203とに基づいて、UDPアドレス通知パケット60やUDPアドレス通知パケット61といった各種UDPアドレス通知パケットを生成し、受信端末100に送信する処理部である。
【0116】
具体的に、まず、アドレス通知パケット送信部205が、UDPアドレス通知パケット60を送信する場合について図を用いて説明する。図16は、UDPアドレス通知パケット60の送信を説明するための図である。
【0117】
図16に示すように、送信端末200が、送信元IPアドレス:A、マルチキャストアドレス:Gでマルチキャストデータを送信している。そして、送信端末200が、受信端末100からUDPアドレス通知要求パケット50を受信したことを契機に、そのマルチキャストデータとは別に、アドレス通知パケット送信部205が、図1に示したUDPアドレス通知パケット60を生成し、送信する。なお、これまで説明してきたように、送信端末200のIPアドレスはAで、受信端末100のIPアドレスはXとする。
【0118】
次に、このUDPアドレス通知パケット60のデータ構造について上述した図7を用いて説明する。図7は、UDPアドレス通知パケット60のデータ構造の一例を説明するための図である。
【0119】
図7に示すように、UDPアドレス通知パケット60は、一般的なイーサネット(登録商標)のデータフレームであり、「MAC(Media Access Control)ヘッダ」、「IP(Internet Protocol)ヘッダ」、「UDP(User Datagram Protocol)ヘッダ」、「通知パケットデータ」を有している。
【0120】
MACヘッダには、宛先(例えば、受信端末100)のMACアドレス、送信元(例えば、送信端末200)のMACアドレス、およびデータ長が設定され、IPヘッダには、バージョン、ヘッダ長等が設定され、UDPヘッダには、送信元ポート番号、宛先ポート番号、データ長等が含まれる。
【0121】
通知パケットデータは、自IPアドレス情報と、宛先IPアドレスと、識別子情報とを有している。「自IPアドレス情報」には、UDPアドレス通知パケット60の送信端末のIPアドレスが設定される。
【0122】
したがって、図16に示したように、UDPアドレス通知パケット60を送信する送信端末200には、IPアドレスが「A」に設定されていることから、アドレス通知パケット送信部205は、自端末に設定されているIPアドレス「A」を自IPアドレス情報:Aとして、通知パケットデータに設定する。
【0123】
「宛先IPアドレス」は、UDPアドレス通知パケット60の宛先となる受信端末100のIPアドレスを示すものとする。したがって、アドレス通知パケット送信部205は、アドレス通知要求パケット解析部202が解析した情報から受信端末100のIPアドレス:Xを取得し、通知パケットデータに設定する。
【0124】
また、アドレス通知パケット送信部205は、図13に示した識別子ファイル203aから自端末に設定されている識別子「fujitsu」を取得し、通知パケットデータに設定する。
【0125】
さらに、アドレス通知パケット送信部205は、図14に示した通知パケット周期テーブル203bから、一例として通知パケット周期「20秒」を取得し、20秒間隔で、UDPアドレス通知パケット60を受信端末100に送信する。
【0126】
続いて、アドレス通知パケット送信部205が、UDPアドレス通知パケット61を送信する場合について図を用いて説明する。図17は、UDPアドレス通知パケット61の送信を説明するための図である。
【0127】
図17に示すように、送信端末200のIPアドレスがAからBに変化した場合、送信端末200は、マルチキャストアドレス:G、送信元IPアドレス:Bでマルチキャストデータを送信している。
【0128】
この状況において、そのマルチキャストデータとは別に、アドレス通知パケット送信部205は、図1に示したUDPアドレス通知パケット61を送信する。なお、送信端末200のIPアドレスはAからBに変化し、受信端末100のIPアドレスはXとする。
【0129】
次に、このUDPアドレス通知パケット61のデータ構造について上述した図8を用いて説明する。図8に示すように、UDPアドレス通知パケット61は、図7に示したUDPアドレス通知パケット60と同様に、一般的なイーサネット(登録商標)のデータフレームであり、「MAC(Media Access Control)ヘッダ」、「IP(Internet Protocol)ヘッダ」、「UDP(User Datagram Protocol)ヘッダ」、「通知パケットデータ」を有している。
【0130】
MACヘッダには、宛先(例えば、受信端末100)MACアドレス、送信元(例えば、送信端末200)MACアドレス、およびデータ長が設定され、IPヘッダには、バージョン、ヘッダ長等が設定され、UDPヘッダには、送信元ポート番号、宛先ポート番号、データ長、およびチェックサムが含まれる。
【0131】
通知パケットデータは、自IPアドレス情報と、送信元IPアドレス情報と、宛先IPアドレスと、識別子とを有している。「自IPアドレス情報」は、UDPアドレス通知パケット61の送信端末のIPアドレスが登録される。
【0132】
したがって、図17にて示したように、UDPアドレス通知パケット61を送信する送信端末200のIPアドレスが「A」から「B」に変化したことから、アドレス通知パケット送信部205は、自端末に設定されているIPアドレス:Bを自IPアドレス情報:Bとして、UDPアドレス通知パケット61に設定する。
【0133】
「送信元IPアドレス情報」は、UDPアドレス通知パケット61を送信する送信端末200のIPアドレスが登録される。したがって、「自IPアドレス情報」に設定されているIPアドレスと同じIPアドレス:Bが送信元IPアドレスとして設定される。
【0134】
UDPアドレス通知パケット61が「自IPアドレス情報」と、「送信元IPアドレス」とを有しているのは、自端末に設定されているIPアドレスが変化するとともに、「B」とは別のIPアドレスが送信端末200に追加される可能性があるからである。
【0135】
例えば、図17にて示したように、送信端末200に設定されているIPアドレスが「B」だけである場合には、「自IPアドレス情報」にIPアドレス:Bだけ設定される。一方、送信端末200に、IPアドレス:Bに加えて、例えば、IPアドレス:BBが設定された場合、「自IPアドレス情報」には、IPアドレス:B、IPアドレス:BBが設定される。
【0136】
この場合、「自IPアドレス情報」と「送信元IPアドレス情報」とには、異なるIPアドレスが設定されることになる。したがって、UDPアドレス通知パケット61には、「自IPアドレス情報」と、「送信元IPアドレス情報」とが設定され、図8では、「自IPアドレス情報」と、「送信元IPアドレス」とが同一の場合を例に挙げて説明している。
【0137】
「宛先IPアドレス」は、UDPアドレス通知パケット61の宛先となる受信端末100のIPアドレスを示すものとする。したがって、アドレス通知パケット送信部205は、アドレス通知要求パケット解析部202が解析した情報から受信端末100のIPアドレス:Xを取得し、通知パケットデータに設定する。
【0138】
また、アドレス通知パケット送信部205は、図13に示した識別子ファイル203aから自端末に対応する識別子「fujitsu」を取得し、通知パケットデータに設定する。
【0139】
さらに、アドレス通知パケット送信部205は、図14に示した通知パケット周期テーブル203bから、一例として通知パケット周期「5秒」を取得し、5秒間隔で、UDPアドレス通知パケット61を受信端末100に5秒間隔で送信する。
【0140】
以上のように、アドレス通知パケット送信部205は、受信端末100からアドレス通知要求パケット50を受信したことを契機として、各種アドレス通知パケットを定期的に送信する。
【0141】
ところで、図12に示した送信端末200は、受信端末100が送信するUDPアドレス通知要求パケット50の受信頻度に関係なく、各種アドレス通知パケットを受信端末100に定期的かつ継続的に送信することになる。
【0142】
したがって、図14に示した通知パケット周期テーブル203bに設定されている「通知パケット周期」によっては、各種アドレス通知パケットを毎秒ごとかつ、継続的に送信される場合があり、余計なアドレス通知パケットを送信し、ネットワーク内に輻輳が発生してしまう場合がある。
【0143】
このため、受信端末100は、送信端末200とは異なる送信端末(例えば、送信端末300)からマルチキャストデータを受信するように設定を変更する必要がある。具体的に図を用いて以下説明する。
【0144】
図18は、マルチキャスト送信端末の切り替えを説明するための図である。図18に示すように、受信端末100が、送信端末200とマルチキャストしている状況で、送信端末300からマルチキャストデータを受信するように設定を変更した場合、受信端末100は、送信端末200にUDPアドレス通知停止パケット52を送信する(ステップS70)。
【0145】
このUDPアドレス通知停止パケット52について図を用いて説明する。図19は、UDPアドレス通知停止パケット52のデータ構造の一例を説明するための図である。図19に示したUDPアドレス通知停止パケット52には、UDPアドレス通知停止パケット52を送信する受信端末100のIPアドレス:Xが「送信元IPアドレス」に記憶され、「宛先IPアドレス」には、送信端末200に設定されているIPアドレス:Aが記憶されている。
【0146】
続いて、図18に戻り、UDPアドレス通知停止パケット52を受信した送信端末200は、定期的な各種アドレス通知パケットの送信を停止する(ステップS71)。
【0147】
その後、受信端末100は、送信端末300に対して、UDPアドレス通知要求パケット53を送信する(ステップS72)。このUDPアドレス通知要求パケット53のデータ構造について図を用いて説明する。
【0148】
図20は、UDPアドレス通知要求パケット53のデータ構造の一例を説明するための図である。図20に示すように、UDPアドレス通知要求パケット53は、送信元IPアドレス:X、宛先IPアドレス:D、識別子「jitsu」といった各種情報を有している。
【0149】
「送信元IPアドレス」は、UDPアドレス通知要求パケット53の送信元のIPアドレスが登録される。したがって、図18に示したように、UDPアドレス通知停止パケット52を送信する受信端末100には、IPアドレスが「X」に設定されていることから、図2に示したアドレス通知要求パケット送信部103は、自端末に設定されているIPアドレス:Xを送信元IPアドレス:Xとして、UDPアドレス通知要求パケット53に設定する。
【0150】
「宛先IPアドレス」は、UDPアドレス通知要求パケット53の宛先となる送信端末300のIPアドレスを示すものとする。したがって、アドレス通知要求パケット送信部103は、図3に示した送信端末情報テーブル101から送信元IPアドレス:Dと、送信端末300に対応する識別子「jitsu」を取得し、取得したIPアドレス:Dを宛先IPアドレスとして、また、識別子「jitsu」をUDPアドレス通知要求パケット53に設定する。
【0151】
そして、受信端末100が、UDPアドレス通知要求パケット53を送信端末300に送信することを契機として、受信端末100は送信端末300とマルチキャストを開始することになる。その結果、ネットワーク内の輻輳を防ぐことが可能となる。
【0152】
なお、これまで、UDPアドレス通知要求パケット50や、UDPアドレス通知パケット60を例に挙げて説明してきたが、必ずしもUDPで定義されるコネクションレス型のパケットでなくても良い。例えば、送受信端末が、受信時において、各種パケットに含まれる送信元アドレスで受信可否フィルタをかけないプロトコルであれば、実施できるものとする。
【0153】
次に、実施例に係る通信システムの処理について説明する。図21は、実施例に係る通信システムの処理を示すフローチャートである。まず、受信端末100がUDPアドレス通知要求パケットを生成し(ステップS100)、生成したUDPアドレス通知要求パケットを送信端末200に対して送信する(ステップS101)。
【0154】
続いて、受信端末100が送信したUDPアドレス通知要求パケットは、図24に示したルータ1、ルータ2を経由して、送信端末200が受信する(ステップS102)。
【0155】
そして、送信端末200は、受信したUDPアドレス通知要求パケットに含まれる識別子に基づいて、受信したUDPアドレス通知要求パケットの正当性を判定する(ステップS103)。
【0156】
その後、送信端末200が、受信したUDPアドレス通知要求パケットについて正当であると判定した場合(ステップS104、Yes)、送信端末200は、UDPアドレス通知パケットを生成する(ステップS105)。
【0157】
一方、送信端末200が、受信したUDPアドレス通知要求パケットを正当でないと判定した場合(ステップS104、No)、受信したUDPアドレス通知要求パケットを廃棄する(ステップS107)。
【0158】
そして、送信端末200は、ステップS105にて生成したUDPアドレス通知パケットを受信端末100に定期的に送信する(ステップS106)。なお、送信端末200が、UDPアドレス通知パケットを送信する周期は、通知パケット周期テーブル203bに基づいて定められる。
【0159】
そして、受信端末100は、ルータ1、ルータ2を経由して、UDPアドレス通知パケットを送信端末200から受信し(ステップS108)、受信したUDPアドレス通知パケットの差分について判定する(ステップS109)。
【0160】
受信端末100が、受信したUDPアドレス通知パケットに基づいて、差分ありと判定した場合(ステップS110、Yes)、受信端末100は、受信したUDPアドレス通知パケットに含まれる識別子に基づいて、正当性を判定する(ステップS111)。
【0161】
そして、受信端末100が、受信したUDPアドレス通知パケットを正当であると判定した場合(ステップS112、Yes)、受信端末100は、IGMPv3もしくはMLDv2 Reportをルータ2に対して送信する(ステップS113)。
【0162】
そして、ルータ2は、受信端末100からIGMPv3もしくはMLDv2 Reportを受信する(ステップS114)。そして、ルータ2は、受信した各種パケットを解析した後、PIM−SSM JOINメッセージをルータ1に送信する(ステップS115)。
【0163】
そして、ルータ1は、受信したPIM−SSMJOINメッセージに含まれるマルチキャストアドレス、送信元フィルタアドレスを保持する(ステップS116)。
【0164】
そして、ルータ1は、送信端末200から送信されているマルチキャストデータをルータ2に転送し、ルータ2は、ルータ1から受信したマルチキャストデータを受信端末100に転送する。その結果、受信端末100は、送信端末200とマルチキャスト通信を継続することができる(ステップS117)。
【0165】
一方、受信端末100が、ステップS108にて受信したUDPアドレス通知パケットについて、差分ありと判定しなかった場合(ステップS110、No)、ステップS117に移行する。
【0166】
また、受信端末100が、受信したUDPアドレス通知パケットを正当でないと判定した場合(ステップS112、No)、受信したUDPアドレス通知パケットを廃棄する(ステップS118)。
【0167】
このフローチャートによれば、送信端末200のIPアドレスの変更を受信端末100が検出し、送信端末200のIPアドレスが変化しても、受信端末100はマルチキャスを継続することができる。
【0168】
上述したように、本願に開示した通信システムによれば、既存のマルチキャストネットワークにおいて、マルチキャスト送信端末とマルチキャスト受信端末とを置き換えるだけで、受信端末が送信端末のIPアドレスを追従することができ、新たな装置を設置することなく、既存ネットワークの資源をそのまま活用したネットワーク形態にて、マルチキャストの継続受信が可能となる。
【0169】
ところで、本実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部あるいは一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0170】
また、図2、図12に示した受信端末100、送信端末200の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部がCPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0171】
図22は、送信元IPアドレスの変化の検出を実行するコンピュータのハードウェア構成を示す図である。図22に示すように、このコンピュータ400は、入力装置401、ディスプレイ402、タイマー403、RAM(Random Access Memory)404、ROM(Read Only Memory)405、HDD(Hard Disk Drive)406、CPU(Central Processing Unit)407、送受信装置408、媒体読取装置409をバス410で接続している。
【0172】
そして、HDD406には、上述した受信端末100のUDPアドレス通知要求パケットの生成や送信機能と同様の機能を発揮するアドレス通知要求パケット送信プログラム406b、受信端末100のUDPアドレス通知パケットの受信機能と同様の機能を発揮するアドレス通知パケット受信プログラム406c、送信元のIPアドレスの変化を検出する機能と同様の機能を発揮するアドレス通知パケット解析プログラム406d、IGMPv3パケットもしくはMLDv2パケットを送信する機能と同様の機能を発揮するPIMパケット送信プログラム406eが記憶されている。
【0173】
そして、CPU407が、アドレス通知要求パケット送信プログラム406b、アドレス通知パケット受信プログラム406c、アドレス通知パケット解析プログラム406d、PIMパケット送信プログラム406eをそれぞれ読み出して実行することにより、アドレス通知要求パケット送信プロセス407a、アドレス通知パケット受信プロセス407b、アドレス通知パケット解析プロセス407c、PIMパケット送信プロセス407dがそれぞれ起動される。ここで、アドレス通知要求パケット送信プロセス407aは、図2に示したアドレス通知要求パケット送信部103に対応し、アドレス通知パケット受信プロセス407bは、図2に示したアドレス通知パケット受信部104に対応し、アドレス通知パケット解析プロセス407cは、図2に示したアドレス通知パケット解析部106に対応し、PIMパケット送信プロセス407dは、図2に示したPIMパケット送信部108に対応する。
【0174】
尚、各種データ406aには、各送信端末のIPアドレスや識別子、各種UDPアドレス通知パケットを受信した日時、アドレス通知要求パケット送信プロセス407aによって利用される各種データを記憶している。そして、CPU407は、各種データ406aに含まれる各種送信端末のIPアドレス、識別子等を読み出して、RAM404に格納し、RAM404に格納された各種データ404aを利用して、送信端末のIPアドレスの差分を算出し、算出した差分から送信端末のIPアドレスの変化を検出する。
【0175】
ところで、図22に示したアドレス通知要求パケット送信プログラム406b、アドレス通知パケット受信プログラム406c、アドレス通知パケット解析プログラム406d、PIMパケット送信プログラム406eは、必ずしも最初からHDDに記憶させておく必要はない。たとえば、コンピュータに挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」、または、コンピュータの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などの「固定用の物理媒体」、さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータに接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などにアドレス通知要求パケット送信プログラム406b、アドレス通知パケット受信プログラム406c、アドレス通知パケット解析プログラム406d、PIMパケット送信プログラム406eを記憶しておき、コンピュータが、アドレス通知要求パケット送信プログラム406b、アドレス通知パケット受信プログラム406c、アドレス通知パケット解析プログラム406d、PIMパケット送信プログラム406eを読み出して実行するようにしてもよい。
【0176】
図23は、UDPアドレス通知パケットの送信を実行するコンピュータのハードウェア構成を示す図である。図23に示すように、このコンピュータ500は、入力装置501、ディスプレイ502、RAM(Random Access Memory)503、ROM(Read Only Memory)504、HDD(Hard Disk Drive)505、CPU(Central Processing Unit)506、送受信装置507、媒体読取装置508をバス509で接続している。
【0177】
そして、HDD505には、上述した送信端末200のUDPアドレス通知パケットを生成し、送信する機能と同様の機能を発揮するアドレス通知パケット送信プログラム505b、UDPアドレス通知要求パケットの正当性を判定する機能と同様の機能を発揮するアドレス通知要求パケット解析プログラム505c、送信端末200のUDPアドレス通知要求パケットの受信機能と同様の機能を発揮するアドレス通知要求パケット受信プログラム505dが記憶されている。
【0178】
そして、CPU506が、アドレス通知パケット送信プログラム505b、アドレス通知要求パケット解析プログラム505c、アドレス通知要求パケット受信プログラム505dをそれぞれ読み出して実行することにより、アドレス通知パケット送信プロセス506a、アドレス通知要求パケット解析プロセス506b、アドレス通知要求パケット受信プロセス506cがそれぞれ起動される。ここで、アドレス通知パケット送信プロセス506aは、図12に示したアドレス通知パケット送信部205に対応し、アドレス通知要求パケット解析プロセス506bは、図12に示したアドレス通知要求パケット解析部202に対応し、アドレス通知要求パケット受信プログラム505dは、図12に示したアドレス通知要求パケット受信部201に対応する。
【0179】
尚、各種データ505aには、マルチキャストパケットの送信元に割り振られているIPアドレスや識別子、各種UDPアドレス通知パケットの送信周期を示す情報、アドレス通知パケット送信プロセス506aによって利用される各種データを記憶している。そして、CPU506は、各種データ505aに記憶されているマルチキャストパケットの送信元IPアドレス、識別子等を読み出して、RAM503に格納し、RAM503に格納された各種データ503aを利用して、各種UDPアドレス通知パケットを生成し、対応する送信周期に基づいて各種UDPアドレス通知パケットを生成し、送信する。
【0180】
ところで、図23に示したアドレス通知パケット送信プログラム505b、アドレス通知要求パケット解析プログラム505c、アドレス通知要求パケット受信プログラム505dは、必ずしも最初からHDDに記憶させておく必要はない。たとえば、コンピュータに挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」、または、コンピュータの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などの「固定用の物理媒体」、さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータに接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などにアドレス通知パケット送信プログラム505b、アドレス通知要求パケット解析プログラム505c、アドレス通知要求パケット受信プログラム505dを記憶しておき、コンピュータが、アドレス通知パケット送信プログラム505b、アドレス通知要求パケット解析プログラム505c、アドレス通知要求パケット受信プログラム505dを読み出して実行するようにしてもよい。
【0181】
上記の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0182】
(付記1)パケットの送信元となる端末のアドレス情報を利用してパケットを中継する中継装置と、当該中継装置を介して受信端末にマルチキャストパケットを送信する送信端末とを有するパケット送信システムであって、
前記送信端末は、
前記マルチキャストパケットの他に、前記送信端末のアドレス情報を含んだアドレス通知パケットを前記受信端末に送信するパケット送信手段を有し、
前記受信端末は、
前記アドレス通知パケットを受信した場合に、前記アドレス通知パケットに含まれるアドレス情報を基にして、前記送信端末のアドレス情報が変化したか否かを判定するアドレス変化判定手段と、
前記送信端末のアドレス情報が変化したと前記アドレス変化判定手段が判定した場合に、変化後の前記送信端末のアドレス情報を前記中継装置に通知するアドレス通知手段と、
を有するパケット送信システム。
【0183】
(付記2)前記パケット送信手段により送信される前記アドレス通知パケットは、前記送信端末のアドレス情報と、前記マルチキャストパケットの送信先となる受信端末のアドレス情報と、前記送信端末の識別情報とを含み、前記アドレス変化判定手段は、前記識別情報をキーにして前記送信端末のアドレス情報が変化したか否かを判定する付記1に記載のパケット送信システム。
【0184】
(付記3)前記アドレス変化判定手段は、前記アドレス通知パケットに前記識別情報が含まれるか否かを更に判定し、当該識別情報が含まれていない場合に、前記アドレス通知パケットを廃棄する付記1または2に記載のパケット送信システム。
【0185】
(付記4)パケットの送信元となる端末のアドレス情報を利用してパケットを中継する中継装置を介して受信端末にマルチキャストパケットを送信する送信手段と、
前記マルチキャストパケットの他に、前記マルチキャストパケットの送信元のアドレス情報を含んだアドレス通知パケットを前記受信端末に送信するパケット送信手段と、
を有する送信端末。
【0186】
(付記5)前記パケット送信手段は、前記受信端末から前記アドレス通知パケットの送信要求となるアドレス通知要求パケットを受信した後に、前記アドレス通知パケットを前記受信端末に送信する付記4に記載の送信端末。
【0187】
(付記6)前記アドレス通知要求パケットは、前記送信端末の識別情報を含み、前記パケット送信手段は、前記アドレス通知要求パケットを受信した場合に、前記送信端末に対応する識別情報が含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて前記アドレス通知パケットを前記受信端末に送信する付記5に記載の送信端末。
【0188】
(付記7)前記アドレス通知パケットを送信する周期を示す周期情報を記憶する周期情報記憶手段を更に有し、前記パケット送信手段は、前記周期情報に基づいて、前記アドレス通知パケットを定期的に前記受信端末に送信する付記4〜6のいずれか一つに記載の送信端末。
【0189】
(付記8) コンピュータに、
パケットの送信元となる端末のアドレス情報を利用してパケットを中継する中継装置を介して受信端末にマルチキャストパケットを送信する送信手順と、
前記マルチキャストパケットの他に、前記マルチキャストパケットの送信元のアドレス情報を含んだアドレス通知パケットを前記受信端末に送信するパケット送信手順と、
を実行させる送信プログラム。
【0190】
(付記9)前記パケット送信手順は、前記受信端末から前記アドレス通知パケットの送信要求となるアドレス通知要求パケットを受信した後に、前記アドレス通知パケットを前記受信端末に送信する付記8に記載の送信プログラム。
【0191】
(付記10)前記アドレス通知要求パケットは、前記マルチキャストパケットの送信元となる送信端末の識別情報を含み、前記パケット送信手順は、前記アドレス通知要求パケットを受信した場合に、前記送信端末に対応する識別情報が含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいて前記アドレス通知パケットを前記受信端末に送信する付記9に記載の送信プログラム。
【0192】
(付記11)前記アドレス通知パケットを送信する周期を示す周期情報を記憶する周期情報記憶手順を更にコンピュータに実行させ、前記パケット送信手順は、前記周期情報に基づいて、前記アドレス通知パケットを定期的に前記受信端末に送信する付記8〜10のいずれか一つに記載の送信プログラム。
【0193】
(付記12)パケットの送信元となる送信端末のアドレス情報を利用してパケットを中継する中継装置を介してマルチキャストパケットを受信する受信手段と、
前記マルチキャストパケットの他に、前記送信端末のアドレス情報を含んだアドレス通知パケットを受信するパケット受信手段と、
前記アドレス通知パケットを受信した場合に、前記アドレス通知パケットに含まれるアドレス情報を基にして、前記送信端末のアドレス情報が変化したか否かを判定するアドレス変化判定手段と、
前記送信端末のアドレス情報が変化したと前記アドレス変化判定手段が判定した場合に、変化後の前記送信端末のアドレス情報を前記中継装置に通知するアドレス通知手段と、
を有する受信端末。
【0194】
(付記13)前記パケット受信手段が受信する前記アドレス通知パケットは、前記送信端末のアドレス情報と、前記受信端末のアドレス情報と、前記送信端末の識別情報とを含み、前記アドレス変化判定手段は、前記識別情報をキーにして前記送信端末のアドレス情報
が変化したか否かを判定する付記12に記載の受信端末。
【0195】
(付記14)前記アドレス変化判定手段は、前記アドレス通知パケットに前記識別情報が含まれるか否かを更に判定し、当該識別情報が含まれていない場合に、前記アドレス通知パケットを廃棄する付記12または13に記載の受信端末。
【0196】
(付記15)前記アドレス変化判定手段の判定結果に基づいて、前記送信端末のアドレス情報が変化する度に、当該アドレス情報の変化の履歴を記憶する履歴記憶手段を更に有する付記12〜14のいずれか一つに記載の受信端末。
【0197】
(付記16)利用者に指定される特定の送信端末のアドレス情報を記憶するアドレス情報記憶手段を更に有し、前記パケット受信手段は、前記アドレス情報記憶手段に記憶された前記アドレス情報を送信元とする前記アドレス通知パケットのみを受信する付記12〜15のいずれか一つに記載の受信端末。
【0198】
(付記17)前記アドレス通知パケットの送信停止を要求する停止要求パケットを、前記マルチキャストパケットを前記受信端末に送信している送信端末に送信し、前記アドレス通知パケットの送信要求となるアドレス通知要求パケットを、他の送信端末に送信することで前記マルチキャストパケットの送信元となる送信端末を切り替える切替手段を更に有する付記12〜16のいずれか一つに記載の受信端末。
【0199】
(付記18) コンピュータに、
パケットの送信元となる送信端末のアドレス情報を利用してパケットを中継する中継装置を介してマルチキャストパケットを受信する受信手順と、
前記マルチキャストパケットの他に、前記送信端末のアドレス情報を含んだアドレス通知パケットを受信するパケット受信手順と、
前記アドレス通知パケットを受信した場合に、前記アドレス通知パケットに含まれるアドレス情報を基にして、前記送信端末のアドレス情報が変化したか否かを判定するアドレス変化判定手順と、
前記送信端末のアドレス情報が変化したと前記アドレス変化判定手順が判定した場合に、変化後の前記送信端末のアドレス情報を前記中継装置に通知するアドレス通知手順と、
を有する受信プログラム。
【0200】
(付記19)前記パケット受信手順が受信する前記アドレス通知パケットは、前記送信端末のアドレス情報と、前記アドレス通知パケットを受信する受信端末のアドレス情報と、前記送信端末の識別情報とを含み、前記アドレス変化判定手順は、前記識別情報をキーにして前記送信端末のアドレス情報が変化したか否かを判定する付記18に記載の受信プログラム。
【0201】
(付記20)前記アドレス変化判定手順は、前記アドレス通知パケットに前記識別情報が含まれるか否かを更に判定し、当該識別情報が含まれていない場合に、前記アドレス通知パケットを廃棄する付記18または19に記載の受信プログラム。
【0202】
(付記21)前記アドレス変化判定手順の判定結果に基づいて、前記送信端末のアドレス情報が変化する度に、当該アドレス情報の変化の履歴を記憶する履歴記憶手順を更にコンピュータに実行させる付記18〜20のいずれか一つに記載の受信プログラム。
【0203】
(付記22)利用者に指定される特定の送信端末のアドレス情報を記憶するアドレス情報記憶手順を更にコンピュータに実行させ、前記パケット受信手順は、前記アドレス情報記憶手順に記憶された前記アドレス情報を送信元とする前記アドレス通知パケットのみを受信する付記18〜21のいずれか一つに記載の受信プログラム。
【0204】
(付記23)前記アドレス通知パケットの送信停止を要求する停止要求パケットを、前記マルチキャストパケットを前記受信端末に送信している送信端末に送信し、前記アドレス通知パケットの送信要求となるアドレス通知要求パケットを、他の送信端末に送信することで前記マルチキャストパケットの送信元となる送信端末を切り替える切替手順を更にコンピュータに実行させる付記18〜22のいずれか一つに記載の受信プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0205】
以上のように、本発明にかかるパケット送信システム、送信端末、受信端末、送信プログラム、受信プログラムは、マルチキャスト通信に有用であり、特に、送信元のIP(Internet Protocol)アドレスが変更になった場合でも、受信端末側で送信元のIPアドレスの変化を検出し、ネットワーク内のルータに所定のパケットを送信することで、マルチキャストの継続を可能とする通信システムを提供することに適している。
【符号の説明】
【0206】
5 パケット
50 UDPアドレス通知要求パケット
60、61 UDPアドレス通知パケット
10、200 送信端末
20、100、101、102、A〜Z 受信端末
101 送信端末情報テーブル
102 コンフィグ情報テーブル
103 アドレス通知要求パケット送信部
104 アドレス通知パケット受信部
105 タイマー
106 アドレス通知パケット解析部
107 ログ管理テーブル
108 PIMパケット送信部
201 アドレス通知要求パケット受信部
202 アドレス通知要求パケット解析部
203 コンフィグ情報記憶部
203a 識別子ファイル
203b 通知パケット周期テーブル
204 自端末IPアドレステーブル
205 アドレス通知パケット送信部
300 ルータ
400、500 コンピュータ
401、501 入力装置
402、502 ディスプレイ
403 タイマー
404、503 RAM
404a、406a、503a、505a 各種データ
405、504 ROM
406、505 HDD
406b アドレス通知要求パケット送信プログラム
406c アドレス通知パケット受信プログラム
406d アドレス通知パケット解析プログラム
406e PIMパケット送信プログラム
407、506 CPU
407a アドレス通知要求パケット送信プロセス
407b アドレス通知パケット受信プロセス
407c アドレス通知パケット解析プロセス
407d PIMパケット送信プロセス
408、507 送受信装置
409、508 媒体読取装置
505b アドレス通知パケット送信プログラム
505c アドレス通知要求パケット解析プログラム
505d アドレス通知要求パケット受信プログラム
506a アドレス通知パケット送信プロセス
506b アドレス通知要求パケット解析プロセス
506c アドレス通知要求パケット受信プロセス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケットの送信元となる端末のアドレス情報を利用してパケットを中継する中継装置と、当該中継装置を介して受信端末にマルチキャストパケットを送信する送信端末とを有するパケット送信システムであって、
前記送信端末は、
前記マルチキャストパケットの他に、前記送信端末のアドレス情報を含んだアドレス通知パケットを前記受信端末に送信するパケット送信手段を有し、
前記受信端末は、
前記アドレス通知パケットを受信した場合に、前記アドレス通知パケットに含まれるアドレス情報を基にして、前記送信端末のアドレス情報が変化したか否かを判定するアドレス変化判定手段と、
前記送信端末のアドレス情報が変化したと前記アドレス変化判定手段が判定した場合に、変化後の前記送信端末のアドレス情報を前記中継装置に通知するアドレス通知手段と、
を有するパケット送信システム。
【請求項2】
前記パケット送信手段により送信される前記アドレス通知パケットは、前記送信端末のアドレス情報と、前記マルチキャストパケットの送信先となる受信端末のアドレス情報と、前記送信端末の識別情報とを含み、前記アドレス変化判定手段は、前記識別情報をキーにして前記送信端末のアドレス情報が変化したか否かを判定する請求項1に記載のパケット送信システム。
【請求項3】
前記アドレス変化判定手段は、前記アドレス通知パケットに前記識別情報が含まれるか否かを更に判定し、当該識別情報が含まれていない場合に、前記アドレス通知パケットを廃棄する請求項1または2に記載のパケット送信システム。
【請求項4】
パケットの送信元となる端末のアドレス情報を利用してパケットを中継する中継装置を介して受信端末にマルチキャストパケットを送信する送信手段と、
前記マルチキャストパケットの他に、前記マルチキャストパケットの送信元のアドレス情報を含んだアドレス通知パケットを前記受信端末に送信するパケット送信手段と、
を有する送信端末。
【請求項5】
パケットの送信元となる送信端末のアドレス情報を利用してパケットを中継する中継装置を介してマルチキャストパケットを受信する受信手段と、
前記マルチキャストパケットの他に、前記送信端末のアドレス情報を含んだアドレス通知パケットを受信するパケット受信手段と、
前記アドレス通知パケットを受信した場合に、前記アドレス通知パケットに含まれるアドレス情報を基にして、前記送信端末のアドレス情報が変化したか否かを判定するアドレス変化判定手段と、
前記送信端末のアドレス情報が変化したと前記アドレス変化判定手段が判定した場合に、変化後の前記送信端末のアドレス情報を前記中継装置に通知するアドレス通知手段と、
を有する受信端末。
【請求項6】
コンピュータに、
パケットの送信元となる端末のアドレス情報を利用してパケットを中継する中継装置を介して受信端末にマルチキャストパケットを送信する送信手順と、
前記マルチキャストパケットの他に、前記マルチキャストパケットの送信元のアドレス情報を含んだアドレス通知パケットを前記受信端末に送信するパケット送信手順と
を実行させる送信プログラム。
【請求項7】
コンピュータに、
パケットの送信元となる送信端末のアドレス情報を利用してパケットを中継する中継装置を介してマルチキャストパケットを受信する受信手順と、
前記マルチキャストパケットの他に、前記送信端末のアドレス情報を含んだアドレス通知パケットを受信するパケット受信手順と、
前記アドレス通知パケットを受信した場合に、前記アドレス通知パケットに含まれるアドレス情報を基にして、前記送信端末のアドレス情報が変化したか否かを判定するアドレス変化判定手順と、
前記送信端末のアドレス情報が変化したと前記アドレス変化判定手順が判定した場合に、変化後の前記送信端末のアドレス情報を前記中継装置に通知するアドレス通知手順と
を有する受信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−161499(P2010−161499A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1098(P2009−1098)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】