説明

パスワード入力装置、パスワード入力装置の制御方法及びプログラム

【課題】操作手段に備えられた操作部材の数が限られている場合であっても、パスワード入力時の煩わしさを低減しつつ、操作部材の数に比較して多数の文字種に基づくパスワードの認証を行うことのできるパスワード入力装置を提供する。
【解決手段】ユーザからの指示操作を受け付ける複数の操作部材を備え、入力候補文字としてパスワードに含まれる認証対象文字を含む複数の文字を取得し、複数の入力候補文字のそれぞれについて複数の操作部材のいずれかとの対応関係を示す文字入力案内画像を表示手段に表示させ、複数の操作部材のいずれかに対するユーザの操作に応じて当該操作がなされた操作部材に対応づけられた文字を入力文字として取得するパスワード入力装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザによるパスワードの入力を受け付けるパスワード入力装置、パスワード入力装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な情報処理装置において、ユーザが入力したパスワードに基づいてユーザ認証を行うユーザ認証処理が行われている。ユーザ認証処理が行われる場面の多様化に伴って、パスワードを入力するためのパスワード入力装置が、パスワードに使用可能な各文字にそれぞれ対応するキーを備えたキーボードを持たない場合も生じている。
【0003】
このような場合に応じて、表示するキー数を少数に限定したキーボード画像を画面上に表示して、タッチパネルによりユーザから認証対象文字の入力を受け付けることで、多くの文字種をパスワードに用いることを可能としつつ、一度にユーザに提示する文字数を少なくする技術がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005‐107678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記技術においては、タッチパネル等の座標入力装置を用いて、表示された文字の中から認証対象文字をユーザに選択させることを前提としている。したがって、上記技術によっても、例えば家庭用ゲーム機のコントローラのような、ボタン等の操作部材を限られた数しか持たない操作手段を用いて、多数の文字種に基づくパスワードを入力することはできない。
【0005】
一方、ゲーム機のコントローラ等を用いて多数の文字種のいずれかをユーザに入力させる場合、入力候補となる複数の文字の一覧と、当該複数の文字のいずれかを指し示すポインタ画像と、を画面上に表示させる方法がある。この方法においては、方向キー等に対するユーザの操作に応じてポインタ画像を移動させることにより、複数の文字の中からユーザに入力文字を選択させることができる。しかしながら、この方法をパスワードの入力に用いる場合、ユーザは入力する際の画面を第三者に見られないように気を遣う必要があり、パスワード入力の際に煩わしさがある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的の一つは、操作手段に備えられた操作部材の数が限られている場合であっても、パスワード入力時の煩わしさを低減しつつ、操作部材の数に比較して多数の文字種に基づくパスワードの認証を行うことのできるパスワード入力装置、パスワード入力装置の制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係るパスワード入力装置は、ユーザからの指示操作を受け付ける複数の操作部材を備える操作手段と、複数の入力候補文字のそれぞれについて、前記複数の操作部材のいずれかとの対応関係を示す文字入力案内画像を表示手段に表示させる入力案内画像表示制御手段と、前記複数の入力候補文字として、パスワードに含まれる認証対象文字を含む複数の文字を取得する入力候補文字取得手段と、前記複数の操作部材のいずれかに対するユーザの操作に応じて、当該操作がなされた操作部材に対応づけられた入力候補文字を入力文字として取得する入力文字取得手段と、を含むことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、パスワードに含まれる認証対象文字が複数の操作部材のいずれかに対応づけられていることを示す文字入力案内画像を表示させ、ユーザの操作部材に対する操作に応じて入力文字を取得することにより、操作部材の数に比較してパスワードに用いられる文字種が多い場合であっても、ユーザによる認証対象文字の入力を受け付けることができる。一方で、文字入力案内画像として、認証対象文字を含む複数の入力候補文字と操作部材との対応関係を示す画像を表示させることにより、表示されている画像を第三者に見られても、パスワードに含まれる認証対象文字を第三者に知られにくくすることができる。これにより、パスワード入力時に第三者の目に気を遣う必要性を少なくでき、パスワード入力時の煩わしさを低減できる。
【0009】
また、上記パスワード入力装置において、前記入力案内画像表示制御手段は、前記複数の操作部材と、各操作部材につきそれぞれ複数の前記入力候補文字との対応関係を示す文字入力案内画像を表示させ、前記入力文字取得手段は、前記操作がなされた操作部材に対応づけられた複数の入力候補文字を入力文字として取得することとしてもよい。この構成によれば、表示手段に表示される画像とユーザが操作を行った操作部材とを同時に第三者に知られたとしても、当該操作部材に対応づけられた入力候補文字が複数あるため、どの文字が認証対象文字であるかを知られにくくすることができ、セキュリティを向上できる。
【0010】
また、上記パスワード入力装置において、前記入力案内画像表示制御手段は、前記認証対象文字を複数含む入力候補文字について、前記各操作部材との対応関係を示す文字入力案内画像を表示させることとしてもよい。この構成によれば、ユーザは一つの文字入力案内画像が表示された状態で、複数の認証対象文字を連続して入力することができる。この構成によれば、認証対象文字の数に応じて表示手段に表示される画像が切り替わることを避けることができる。これにより、表示手段に表示される画像を第三者に見られたとしても、第三者にパスワードを構成する認証対象文字の数を知られにくくすることができ、セキュリティを向上できる。
【0011】
また、上記パスワード入力装置において、前記複数の入力候補文字として、前記認証対象文字を含まない複数の文字を取得する手段をさらに含み、前記入力案内画像表示制御手段は、前記入力候補文字に前記認証対象文字を含む前記文字入力案内画像と、前記入力候補文字に前記認証対象文字を含まない前記文字入力案内画像と、のいずれか一方を、前記複数の操作部材又は該操作部材以外の所定の表示送り用操作部材に対するユーザの操作に応じて、前記表示手段に順次表示させることとしてもよい。さらに、上記パスワード入力装置において、前記入力文字取得手段は、前記表示送り用操作部材に対してユーザの操作がなされた場合には、入力文字の取得を行わないこととしてもよい。この構成によれば、パスワードに含まれる認証対象文字が入力候補文字に含まれない文字入力案内画像を表示させた状態でユーザによる表示送り用操作部材に対する操作を受け付けることにより、入力文字の取得を行わずに画面表示を新たな文字入力案内画像に切り替えることができる。これにより、表示手段に表示される画像を第三者に見られたとしても、第三者にパスワードを構成する認証対象文字の数を知られにくくすることができ、セキュリティを向上できる。
【0012】
また、上記パスワード入力装置において、前記入力候補文字取得手段は、前記認証対象文字を含む複数の文字として、過去に当該認証対象文字を含む入力候補文字として前記入力候補文字取得手段が取得した複数の文字に基づいて決定される文字を取得することとしてもよい。この構成によれば、過去に入力候補文字として用いた文字に応じて決定される入力候補文字を用いることで、複数回にわたって入力候補文字として画面上に表示される文字を第三者に見られた場合に、第三者に認証対象文字を知られにくくすることができ、セキュリティを向上できる。
【0013】
また、本発明に係るパスワード入力装置の制御方法は、ユーザからの指示操作を受け付ける複数の操作部材を備える操作手段を含むパスワード入力装置の制御方法であって、複数の入力候補文字のそれぞれについて、前記複数の操作部材のいずれかとの対応関係を示す文字入力案内画像を表示手段に表示させるステップと、前記複数の入力候補文字として、パスワードに含まれる認証対象文字を含む複数の文字を取得するステップと、前記複数の操作部材のいずれかに対するユーザの操作に応じて、当該操作がなされた操作部材に対応づけられた入力候補文字を入力文字として取得するステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るプログラムは、ユーザからの指示操作を受け付ける複数の操作部材を備える操作手段を含むパスワード入力装置を制御するプログラムであって、複数の入力候補文字のそれぞれについて、前記複数の操作部材のいずれかとの対応関係を示す文字入力案内画像を表示手段に表示させる入力案内画像表示制御手段、前記複数の入力候補文字として、パスワードに含まれる認証対象文字を含む複数の文字を取得する入力候補文字取得手段、及び前記複数の操作部材のいずれかに対するユーザの操作に応じて、当該操作がなされた操作部材に対応づけられた入力候補文字を入力文字として取得する入力文字取得手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の一実施形態に係るパスワード入力装置1は、例えば家庭用ゲーム機などであって、図1に示すように、制御部11、記憶部12、操作部13、表示制御部14、及び通信部15を含んで構成されている。また、パスワード入力装置1は、表示装置2と接続されている。さらに、パスワード入力装置1は、通信ネットワーク3を介して認証サーバ2と相互にデータ通信可能に接続されている。ここで通信ネットワーク3は、例えばローカルエリアネットワークであってもよいし、インターネットなどの広域ネットワークを含んでもよい。この通信ネットワーク3を介して接続されたパスワード入力装置1と認証サーバ2とが、全体としてユーザの入力したパスワードに基づいてユーザ認証を行うユーザ認証システムを構成する。
【0016】
制御部11は、CPU等であって、記憶部12に記憶されたプログラムに従って動作する。本実施の形態においては、認証サーバ4より送信された情報に応じた文字入力案内画像を表示制御部14に対して出力することにより、表示装置2に当該画像を表示させる。また、操作部13から送られる制御信号を受け入れることで、ユーザの操作に応じた入力文字の情報を取得する。取得された入力文字の情報は、認証サーバ4に対して送信されることにより、認証サーバ4によるユーザ認証の成否判定に供される。本実施の形態において制御部11が実行する処理の例については、後に詳しく述べる。
【0017】
記憶部12は、制御部11によって実行されるプログラムを保持するコンピュータで読み取り可能な情報記憶媒体であって、RAMやROM等のメモリ素子とディスクデバイス等との少なくとも一方を含んで構成されている。また、記憶部12は、制御部11のワークメモリとしても動作する。
【0018】
操作部13は、ユーザからの指示操作を受け付けるボタン等の操作部材を複数備えており、当該各操作部材に対するユーザの指示操作の内容を表す制御信号を制御部11に出力する。ここでは、具体的に操作部13が家庭用ゲーム機のコントローラである場合を例として説明する。操作部13としてのコントローラは、図2に示すように、把持部20R,20Lを有している。ユーザは、これら把持部20をそれぞれ左右の手で把持する。ユーザが把持部20を把持した状態で各親指により操作可能な位置には、第1の操作部21、第2の操作部22及びアナログ操作部23R,23Lが設けられている。
【0019】
ここで第1の操作部21には、上方向指示キー21a、下方向指示キー21b、右方向指示キー21c及び左方向指示キー21dが設けられている。ユーザはこれらの方向指示キー21a,21b,21c及び21dを利用して、方向を指示することができ、例えば画面上の操作対象を特定するために用いられる。また、第2の操作部22には、三角(「△」)形状の刻印が設けられた三角ボタン22aと、バツ(「×」)形状の刻印が設けられた×ボタン22bと、丸(「○」)形状の刻印が設けられた○ボタン22cと、矩形(「□」)形状の刻印が設けられた矩形ボタン22dとが設けられている。これらのボタン22a,22b,22c及び22dは、例えば、方向指示キー21a,21b,21c及び21dにて特定された操作対象に応じて、何らかの処理を実行させるために割り当てられる。
【0020】
アナログ操作部23R,23Lは、点aを支点とした傾倒操作が可能となっており、また、このように傾倒させた状態で、支点aを通る回転軸bを中心とした回転操作が可能となっている。このアナログ操作部23R,23Lは、非傾倒操作時には、図2に示すように起立した傾きのない状態でそのポジションが保持されるようになっている。そして、アナログ操作部23R或いはアナログ操作部23Lを押圧操作しながら傾倒操作すると、上記基準ポジションに対する傾き量と傾き方向に応じたxy座標上の座標値(x,y)が検出され、この座標値が操作出力として制御部11に出力される。
【0021】
また、このコントローラは、制御部11に対してプログラムの実行を指示するためのスタートボタン24や、各種モードを切り替える指示などを行うためのセレクトボタン25及びモード選択スイッチ26を有する。例えば、このモード選択スイッチ26により、特定のモード(アナログモード)が選択されたときに、発光ダイオード(LED)27が発光制御されて、アナログ操作部23R,23Lが動作状態となる。また、別のモード(デジタルモード)が選択された場合には、発光ダイオード27が消灯制御され、アナログ操作部23R、23Lが非動作状態となる。
【0022】
さらに、このコントローラには、各把持部20R,20Lを左右の手で把持した状態において例えば各手の人差し指等で操作可能な位置に、右ボタン28及び左ボタン29が設けられている。この各ボタン28,29は、それぞれコントローラの厚さ方向に併設された、第1の右ボタン28R1、第2の右ボタン28R2、第1の左ボタン29L1及び第2の左ボタン29L2を有する。
【0023】
表示制御部14は、制御部11より出力された画像情報を映像信号に変換し、表示装置2に対して出力する。表示装置2は、例えばディスプレイ装置や家庭用テレビなどであって、本発明における表示手段に相当する。表示装置2は、表示制御部14の出力する映像信号に基づいて、画面上に映像を表示する。
【0024】
通信部15は、ネットワークインタフェースであり、制御部11からの指示に従って、通信ネットワーク3を介して認証サーバ4に対して情報を送信する。また、通信部15は、通信ネットワーク3を介して認証サーバ4より到来する情報を受信し、制御部11に出力する。
【0025】
認証サーバ4は、例えばサーバコンピュータ等であって、パスワード情報を保持しており、当該パスワード情報を用いてユーザの認証を行う。具体例として、認証サーバ4は、ユーザの認証を必要とする処理を実行する場合に、通信ネットワーク3を介してパスワード入力装置1に対してパスワード入力要求を送信する。そして、パスワード入力装置1に対してユーザが入力した入力文字の情報を、通信ネットワーク3を介して取得する。さらに認証サーバ4は、取得した入力文字の情報と、パスワード情報とを照合することで、認証の成否判定を実行する。具体的に本実施形態において認証サーバ4がパスワード入力装置1との間で送受信する情報の例については、後に説明する。
【0026】
パスワード入力装置1は、機能的には、図3に示すように、入力案内画像表示制御部31と、入力文字取得部32と、を含んで構成されている。これらの機能は、例えば制御部11が記憶部12に格納されているプログラムを実行することによって実現できる。
【0027】
入力案内画像表示制御部31は、複数の入力候補文字を取得する。そして、当該各入力候補文字のそれぞれについて、複数の操作部材のいずれかとの対応関係を示す画像(文字入力案内画像)を、表示制御部14に対して出力することにより、表示装置2に表示させる。なお、パスワードをユーザに入力させる際に入力案内画像表示制御部31が表示させる文字入力案内画像により示される入力候補文字は、パスワードに含まれる認証対象文字を含んでいるものとする。
【0028】
具体的に、例えば入力案内画像表示制御部31は、認証サーバ4から送信される入力候補文字の情報を含んだデータを受け入れることで、入力候補文字を取得する。認証サーバ4は、パスワード入力要求をパスワード入力装置1に送信する場合に、認証の対象となるパスワードに含まれる認証対象文字のそれぞれに対して、例えばランダムに決定した複数の文字を対応づけることで、複数の入力候補文字からなる入力候補文字群を生成する。ここで認証サーバ4は、入力候補文字群に含まれる入力候補文字を、互いに異なる文字であるように決定することとする。また、各入力候補文字群に含まれる入力候補文字の数は、操作部13が備える操作部材の数等に応じて予め定められているものとする。そして、認証サーバ4は、認証対象文字の数に応じた数の入力候補文字群の情報を、通信ネットワーク3を介してパスワード入力装置1に対して送信する。
【0029】
この場合、パスワード入力装置1は、送信された入力候補文字群に含まれる入力候補文字の中で、どの文字が認証対象文字であるかを識別する必要は必ずしもない。これにより、パスワード入力装置1はパスワード漏洩の危険を低減しつつ、パスワードの入力を受け付けることができる。さらに、認証サーバ4は、入力候補文字群の情報を暗号化して通信ネットワーク3経由で送信することとしてもよい。これにより、通信ネットワーク3によるパスワード漏洩の危険を低減できる。
【0030】
具体例として、パスワードに含まれる認証対象文字が順に「p」「a」「s」「s」の4文字である場合、認証サーバ4は、「p」を含む入力候補文字からなる入力候補文字群G1、「a」を含む入力候補文字群G2、「s」を含む入力候補文字群G3、「s」を含む入力候補文字群G4をそれぞれ生成する。一例として、認証サーバ4は図4に例示するような4つの入力候補文字群を生成して、パスワード入力装置1に対して送信する。
【0031】
また、認証サーバ4は入力候補文字群の情報ではなく、パスワードに含まれる認証対象文字の情報をパスワード入力装置1に対して送信することとしてもよい。この場合、認証対象文字の情報を受け入れた入力案内画像表示制御部31が、各認証対象文字に複数の文字を対応づけて入力候補文字群を生成する。なお、この場合においても、認証サーバ4は認証対象文字の情報を暗号化して送信することとしてもよい。
【0032】
さらに入力案内画像表示制御部31は、取得した入力候補文字群に含まれる入力候補文字のそれぞれについて、複数の操作部材のいずれかとの対応関係を決定するマッピング処理を行う。ここでは具体例として、入力候補文字群に含まれる8つの入力候補文字を、パスワード入力の際に用いられる操作部材である上方向指示キー21a、下方向指示キー21b、右方向指示キー21c、左方向指示キー21d、三角ボタン22a、×ボタン22b、○ボタン22c、矩形ボタン22dにそれぞれ対応づけるものとする。入力案内画像表示制御部31は、入力候補文字と操作部材との対応関係を、例えばランダムに決定してもよいし、所定の条件に基づいて決定することとしてもよい。なお、入力案内画像表示制御部31は、一つの操作部材に複数の入力候補文字を対応づけることとしてもよい。この場合のユーザ認証処理の例については、後に詳しく説明する。
【0033】
そして入力案内画像表示制御部31は、決定した対応関係を示す文字入力案内画像を表示制御部14に出力することで、表示装置2に表示させる。具体的に、例えば文字入力案内画像は、操作部13上における各操作部材の配置を模式的に表すとともに、この模式的に表された各操作部材の近傍に対応づけられた入力候補文字を配置した画像である。図5は、図4における入力候補文字群G4に対する文字入力案内画像の一例を表す図である。図5の例においては、文字入力案内画像は、図2に示す操作部13の形状を模した画像上に、入力候補文字群G4に含まれる入力候補文字を配置した画像である。この文字入力案内画像は、上方向指示キー21aと「W」、下方向指示キー21bと「2」、右方向指示キー21cと「p」、左方向指示キー21dと「s」、三角ボタン22aと「6」、×ボタン22bと「q」、○ボタン22cと「4」、矩形ボタン22dと「i」の対応関係をそれぞれ示している。
【0034】
また、入力案内画像表示制御部31は、入力候補文字が対応づけられた複数の操作部材のいずれかに対するユーザの操作に応じて、表示させる文字入力案内画像を順次切り替えて表示装置2に表示させることとする。具体的には、現在表示されている文字入力案内画像に含まれる認証対象文字の、次の認証対象文字を含んだ入力候補文字群に基づく文字入力案内画像を表示させる。例えば前述した図4の入力候補文字群の例において、入力候補文字群G1に基づく文字入力案内画像を表示させた状態でユーザの操作がなされた場合、入力案内画像表示制御部31は新たに入力候補文字群G2に基づく文字入力案内画像を表示装置2に表示させる。
【0035】
なお、例えば最後の入力候補文字群G4に基づく文字入力案内画像を表示させた状態で入力候補文字が対応づけられた操作部材に対するユーザの操作があった場合、入力案内画像表示制御部31は、ダミー案内画像を表示させることとしてもよい。ここで、ダミー案内画像は、認証対象文字を含まない入力候補文字と各操作部材との対応関係を示す文字入力案内画像である。例えば入力案内画像表示制御部31は、任意の複数の文字をランダムに決定することで、ダミーの入力候補文字群(ダミー文字群)を取得する。そして、当該ダミー文字群に含まれる各入力候補文字と各操作部材との対応関係を示す文字入力案内画像を、ダミー案内画像として表示装置2に表示させる。この方法によれば、ユーザが明示的にパスワード入力の終了を指示する指示操作を行わない限り、入力案内画像表示制御部31は順次ダミー案内画像を表示させる処理を継続することとなる。これにより、不正にユーザ認証を行おうとする第三者がパスワードを入力することで、第三者にパスワードの文字数を知られてしまうことを防ぐことができる。
【0036】
入力文字取得部32は、操作部13に備えられた複数の操作部材のいずれかに対するユーザの操作に応じて、当該操作がなされた操作部材に対応付けられた文字を入力文字として取得する。具体例として入力文字取得部32は、入力案内画像表示制御部31が文字入力案内画像を表示させている状態で、操作部13がユーザの指示操作に応じて出力する制御信号を受け付ける。そして、当該制御信号に基づいてユーザが操作を行った操作部材を特定する。さらに入力文字取得部32は、現在表示装置2に表示されている文字入力案内画像において、当該特定した操作部材に対応づけて示されている文字を、入力文字として取得する。例えば前述した図5の文字入力案内画像の例において、ユーザが上方向指示キー21aを押下した場合、入力文字取得部32は当該操作部材に対応づけられた入力候補文字「W」を入力文字として取得する。また、左方向指示キー21dが押下された場合には、入力候補文字「s」を入力文字として取得する。
【0037】
また、入力文字取得部32は、パスワードの入力が終了したと判断した場合に、これまでに順に取得した入力文字を、通信部15に対して出力することにより、認証サーバ4に送信する。認証サーバ4は、この送信された入力文字を用いて、ユーザの認証を行う。ここで、入力文字取得部32がパスワード入力の終了を判断する方法としては、例えば以下のような方法がある。すなわち、最後の入力候補文字群に基づく文字入力案内画像が表示された状態で入力文字を取得した場合に、パスワード入力が終了したと判断する。この場合には、前述した入力案内画像表示制御部31によるダミー案内画像の表示は、実行されない。あるいは、ユーザから明示的にパスワード入力の終了を指示する指示操作がなされることにより、パスワード入力の終了を判断することとしてもよい。この場合においては、操作部13に備えられた複数の操作部材のうち、入力候補文字に対応づけられていない少なくとも一つの操作部材(入力終了用操作部材)が、パスワード入力の終了を表す指示操作に対応づけられることとする。具体的に、例えばスタートボタン24が入力終了用操作部材であることとする。文字入力案内画像が表示された状態でユーザがスタートボタン24を押下した場合、入力文字取得部32は、ユーザによるパスワードの入力操作が終了したと判断する。
【0038】
次に、パスワード入力装置1及び認証サーバ4が実行するユーザ認証処理の一例について、図6のフロー図に基づいて説明する。ここでは、前述した例のように認証の対象となるパスワードが「p」「a」「s」「s」の4文字の認証対象文字からなる場合の例について説明する。
【0039】
まず、認証サーバ4が、保持しているパスワードに含まれる各認証対象文字に基づいて、図4に例示するような入力候補文字群G1,G2,G3及びG4を生成する(S1)。そして、パスワード入力装置1に対して、パスワード入力要求とともに、S1で生成した入力候補文字群の情報を送信する(S2)。
【0040】
S2で認証サーバ4が送信したパスワード入力要求を受信したパスワード入力装置1は、ユーザに対してパスワードの入力を促し、ユーザの入力する入力文字の情報を取得する。具体的には、まず入力案内画像表示制御部31が、S2で取得した入力候補文字群のひとつに基づいて、当該入力候補文字群に含まれる入力候補文字と各操作部材との対応関係を決定するマッピング処理を行い、この対応関係を示す文字入力案内画像を表示装置2に表示させる(S3)。この状態で、入力文字取得部32は、操作部13から入力される制御信号に応じて、ユーザが操作した操作部材の情報を取得する(S4)。S4で取得したユーザの操作した操作部材が入力終了用操作部材(ここではスタートボタン24)である場合、入力文字取得部32はS6の処理を実行する。一方、それ以外の入力候補文字に対応づけられた操作部材であった場合、当該操作部材に対応づけられた入力候補文字を、入力文字として取得する(S5)。
【0041】
続いて、パスワード入力装置1は、S3からS5までの処理をスタートボタン24が押下されるまで繰り返して実行する。ここで、S3の処理において入力案内画像表示制御部31が表示させる画像は、順にS2で取得した入力候補文字群G1,G2,G3及びG4に基づく画像である。また、全ての入力候補文字群に基づく文字入力案内画像を表示させた後の5回目以降に表示させる文字入力案内画像は、パスワード入力装置1がランダムに決定したダミー文字に基づくダミー案内画像であることとする。
【0042】
入力文字取得部32は、S4で取得したユーザの操作した操作部材がスタートボタン24である場合、これまでにS5の処理で取得した入力文字を取得した順序で配列した文字列からなる入力文字の情報を、通信部15に対して出力することにより、認証サーバ4に送信する(S6)。このとき、パスワード入力装置1は、当該入力文字の情報を暗号化して送信することとしてもよい。
【0043】
続いて、S6でパスワード入力装置1が送信した入力文字の情報を受信した認証サーバ4は、当該受信した入力文字の情報と、保持しているパスワードと、が一致するか否か判定するパスワード判定を行う(S7)。そして、判定結果の情報をパスワード入力装置1に対して送信する(S8)。S8で送信された情報を受信したパスワード入力装置1は、例えばパスワードの判定結果に基づく情報を表示装置2に表示させることにより、ユーザに提示する(S9)。あるいは、S7の判定により認証に成功した場合、正しく認証されたユーザ向けの処理を開始することとしてもよい。
【0044】
以上説明したユーザ認証処理によれば、ユーザが例えば一般的なパーソナルコンピュータ用のキーボード等に比較して少ない操作部材を備えた操作部13によりパスワードを構成する文字を入力する場合であっても、多様な文字種をパスワードに用いることができる。また、本実施形態においては、入力文字は操作部13の入力方式等に依存しないため、図4に例示されている英大文字、英小文字、数字だけでなく、漢字、カタカナ、ひらがな、あるいは特殊な記号等の任意の文字をパスワードに用いることができる。さらに、パスワードに使用可能な文字を表示装置2の画面上に一覧表示させてカーソル移動等によりユーザに選択させるソフトウェアキーボード等の方式を用いる場合と異なり、ユーザにとって簡易な操作で文字の入力を行うことができる。また、パスワード入力の際に画面上に表示されている映像を仮に第三者に見られたとしても、第三者にパスワードを知られにくくすることができ、セキュリティを向上できる。
【0045】
また、本実施形態に係るパスワード入力装置1は、以下に説明するように、複数の操作部材と、各操作部材につきそれぞれ複数の入力候補文字との対応関係を示す文字入力案内画像を表示させる処理を実行することとしてもよい。
【0046】
この構成によれば、例えば入力案内画像表示制御部31は、入力候補文字群を取得した後、一つの操作部材に対して複数の入力候補文字を対応づけるように、操作部材と入力候補文字との対応関係を決定する。そして、決定した対応関係を示す文字入力案内画像を表示装置2に表示させる。具体的に、入力候補文字を対応づける操作部材の数をk、各操作部材のそれぞれに対して対応させる入力候補文字の最大数をmとする。この場合、入力案内画像表示制御部31はパスワードに含まれる認証対象文字のそれぞれについて、最大で(k×m)個の入力候補文字からなる入力候補文字群を取得し、各入力候補文字をそれぞれk個の操作部材のいずれかに対応づける。
【0047】
一例として、入力案内画像表示制御部31は、図7に示すような文字入力案内画像を表示装置2に表示させる。図7の例においては、8個の操作部材に対して、それぞれ4個ずつ入力候補文字が対応づけられている。
【0048】
このような文字入力案内画像が表示された状態において、ユーザは、前述した例と同様にパスワードに含まれる認証対象文字に対応づけられた操作部材に対して操作を行う。例えば図7の例において、認証対象文字「p」を入力したい場合、ユーザは上方向指示キー21aを押下する。この場合において入力文字取得部32は、ユーザの操作がなされた操作部材に対応づけられた複数の入力候補文字を、入力文字として取得する。なお、入力文字取得部32は、取得した入力文字をそれぞれ何回目のユーザの操作に基づいて取得したかについての情報と対応づけて記録するものとする。そして、前述の例と同様に、例えばスタートボタン24が押下されることによりパスワードの入力が終了したと判定した場合、取得した入力文字の情報を認証サーバ4に送信する。
【0049】
この場合、認証サーバ4は、以下のようにしてユーザ認証の成否判定を行う。すなわち、パスワード入力装置1から受信した入力文字の情報に含まれる、1回目のユーザ操作に基づいて取得した入力文字の中に、認証の対象となるパスワードの1文字目の認証対象文字が含まれているか否かを判定する。以下同様にして、n文字目の認証対象文字が、n回目のユーザ操作に基づいて取得した入力文字の中に含まれているか否かを判定する。そして、全ての認証対象文字がそれぞれ対応する入力文字の中に含まれていると判定した場合、認証に成功したと判定する。また、それ以外の場合には、認証に失敗したと判定する。
【0050】
上記構成によれば、仮に表示装置2の画面上に表示された画像と、ユーザの操作部13に対する指示操作の内容とを同時に第三者に知られたとしても、第三者は容易にパスワードを特定することはできない。例えば図7の例に示す文字入力案内画像が表示されている状態で、ユーザが上方向指示キー21aを押下したことを第三者に知られたとしても、第三者はパスワードに含まれる認証対象文字が「p」、「w」、「6」又は「a」のいずれかであると分かるに過ぎず、認証対象文字が何であるかを特定することはできない。これにより、さらにセキュリティを向上できる。
【0051】
なお、この方法においては、各操作部材に対応させる入力候補文字の数mの値を増やせば増やすほど、第三者にユーザの操作を盗み見られた場合にパスワードが漏洩する危険を低減できる。しかしながら、mの値を増加させた場合、ユーザが入力しようとしている文字を画面上で探しにくくなってしまう。また、mの値が増加することによって、ユーザが誤った文字を入力しているつもりでも、偶然に認証の結果入力された文字がパスワードに一致すると判定されてしまう問題が起こりうる。そこでパスワード入力装置1は、操作部13が備える操作部材の数や、要求されるセキュリティのレベル、パスワードに使用可能な文字種の数などに基づいて決定したmの値を用いて、操作部材と入力候補文字との対応関係を決定することとしてもよい。
【0052】
次に、パスワードを構成する認証対象文字の文字数の漏洩を防ぐ構成について、説明する。
【0053】
一般的な情報処理装置がユーザからのパスワード入力を受け付ける場合、画面上に「*」のようなエコー文字をユーザの入力した文字数に応じて表示させることがある。しかし、本実施形態においては、第三者にパスワードに含まれる認証対象文字の文字数を知られにくくするため、画面上にエコー文字を表示させないこととしてもよい。
【0054】
さらに、より第三者にパスワードの文字数を知られにくくするため、本実施形態に係るパスワード入力装置1は、以下のような処理を実行することとしてもよい。
【0055】
例えば入力案内画像表示制御部31は、2以上の認証対象文字を含む入力候補文字のそれぞれと、複数の操作部材のいずれかとの対応関係を示す文字入力案内画像を表示させることとする。この場合、認証サーバ4は、2以上の認証対象文字に、例えばランダムに決定した複数の文字を対応づけて入力候補文字群を生成する。そして、1又は複数の入力候補文字群と、当該各入力候補文字群に含まれる認証対象文字の数と、を対応づけた情報を、パスワード入力装置1に対して送信する。入力案内画像表示制御部31は、認証サーバ4が送信した情報に基づいて、それぞれの入力候補文字群に基づく文字入力案内画像を順に表示させる。ここで、1つの入力候補文字群に含まれる認証対象文字の数は、予め定められた数であってもよいし、ランダムに決定した数であってもよい。あるいは、入力候補文字群は、パスワードに含まれる認証対象文字の全てを含むこととしてもよい。
【0056】
入力文字取得部32は、これまでに説明した例と同様に、ユーザの操作に応じて入力文字を取得する。ただし、この場合においては、入力文字を取得するごとに必ず入力案内画像表示制御部31に対して文字入力案内画像を更新させるのではなく、所定の条件を満たすまでユーザの操作に応じて入力文字を取得する処理を続ける。ここで、所定の条件は、文字入力案内画像において示されている入力候補文字群に含まれる認証対象文字の数と同じ回数だけ、ユーザの操作に応じた入力文字の取得を実行することである。
【0057】
具体例として、パスワードが「pass」であって、入力案内画像表示制御部31が表示装置2に表示させた文字入力案内画像が図5に例示するものである場合について、説明する。ここで、図5の文字入力案内画像がパスワードを構成する全ての認証対象文字を含む入力候補文字群に基づいて生成されたものであるとすると、入力案内画像表示制御部31は、図5の文字入力案内画像を表示させた後、文字入力案内画像の再表示を行わない。この状態において、ユーザは順に上方向指示キー21a、上方向指示キー21a、右方向指示キー21c、右方向指示キー21c、スタートボタン24を押下することとする。この操作に応じて、入力文字取得部32は1回目及び2回目のユーザの操作に対応づけてそれぞれ「p」「w」「6」「a」を、3回目及び4回目のユーザの操作に対応づけてそれぞれ「h」「8」「s」「j」を、入力文字として取得する。この入力文字に基づいて、認証サーバ4は、パスワード「pass」とパスワード入力装置1が取得した入力文字とが一致すると判定できる。
【0058】
なお、パスワードに用いられる文字種の数が、入力候補文字を対応づける操作部材の数kに各操作部材に対応させる入力候補文字の数mを乗じた数(k×m)以下の場合、入力案内画像表示制御部31は入力候補文字群として予め定められたパスワードに用いられる全ての文字種からなる文字群を用いてもよい。この例においては、入力案内画像表示制御部31はパスワードに用いられる可能性のある全ての文字のそれぞれについて、複数の操作部材のいずれかとの対応関係を示す文字入力案内画像を表示装置2に表示させる。この場合、入力候補文字群にはパスワードを構成する認証対象文字の全てが含まれることとなる。
【0059】
以上説明した例によれば、ユーザは1つの文字入力案内画像が表示装置2に表示された状態で、複数の認証対象文字を入力することができる。これにより、文字入力案内画像が切り替わった回数で表示装置2を見ている第三者にパスワードの文字数を知られにくくすることができ、セキュリティを向上できる。
【0060】
また、入力案内画像表示制御部31は、ユーザの指定に基づいて文字入力案内画像を切り替えることとしてもよい。この場合、操作部13の備える複数の操作部材のうち、少なくとも一つの操作部材が、画面切り替え処理に対応づけられているものとする。文字入力案内画像が表示された状態で画面切り替え処理に対応づけられた操作部材がユーザにより操作された場合、入力案内画像表示制御部31は、認証サーバ4に対して、これまでにユーザの操作に応じて入力された入力文字の数に応じて決定される、次に入力されるべき認証対象文字を含んだ入力候補文字を生成する入力候補文字再生成要求を送信する。認証サーバ4は当該送信された要求に応じて未入力の認証対象文字を含んだ入力候補文字群を新たに生成し、パスワード入力装置1に対して送信する。入力案内画像表示制御部31は、この受信した新たな入力候補文字群に含まれる入力候補文字と、各操作部材との対応関係を示す新たな文字入力案内画像を表示装置2に表示させる。なお、画面切り替え処理に対応づけられた操作部材がユーザにより操作された場合には、入力文字取得部32は、入力文字の取得を行わない。この構成によれば、ユーザは明示的に画面の切り替えを実行させることで、ユーザ認証処理の過程における画面の切り替えの回数を任意に調整できる。これにより、第三者にパスワードの文字数を知られにくくすることができ、セキュリティを向上できる。
【0061】
また、入力案内画像表示制御部31は、認証対象文字を含む文字入力案内画像を順次表示させる途中で、ダミー案内画像を表示装置2に表示させることとしてもよい。ここでダミー案内画像は、前述したように入力候補文字に認証対象文字を含まない文字入力案内画像である。この場合、操作部13の備える複数の操作部材のうち、入力候補文字に対応付けられる操作部材以外の所定の操作部材が、表示送り用操作部材として、表示送り処理に対応づけられているものとする。なお、この表示送り用操作部材は、前述した例における画面切り替え処理に対応づけられた操作部材と共通するものであってもよい。
【0062】
この例においては、入力案内画像表示制御部31は、入力候補文字に対応付けられる複数の操作部材又は表示送り用操作部材に対するユーザの操作に応じて、入力候補文字に認証対象文字を含む文字入力案内画像と、入力候補文字に認証対象文字を含まない文字入力案内画像(ダミー案内画像)と、のいずれか一方を予め定められた順序で順次切り替えて表示させる。なお、各文字入力案内画像を表示させる順序及びダミー案内画像を表示させる回数は、例えばランダムに決定される。この場合において、ダミー案内画像において示される入力候補文字はいずれも次に入力すべき認証対象文字とは異なる文字であることとする。この方法によれば、ダミー案内画像が表示された場合、ユーザは次の認証対象文字を入力しようとしても、画面上に認証対象文字が表示されていないため、認証対象文字を入力できない。そこでユーザは、表示送り用操作部材に対する操作を実行する。この操作に応じて、入力案内画像表示制御部31は、次の文字入力案内画像を表示装置2に表示させる。なお、表示送り用操作部材に対してユーザの操作がなされた場合には、入力文字取得部32は入力文字の取得を行わないこととする。この例によれば、パスワード入力装置1は、同じパスワードをユーザに入力させる場合であっても、パスワード入力の過程でダミー案内画像を1又は複数回表示させることにより、ユーザ認証処理の際に表示装置2に表示される文字入力案内画像が切り替わる回数を変化させることができる。これにより、第三者にパスワードの文字数を知られにくくすることができ、セキュリティを向上できる。
【0063】
次に、入力案内画像表示制御部31が入力候補文字を複数の操作部材のいずれかと対応づけるマッピング処理の別の例について、説明する。
【0064】
ここまでの説明においては、入力案内画像表示制御部31は、入力候補文字をパスワード入力に使用する複数の操作部材のうちランダムに決定された操作部材と対応づけることとしたが、入力案内画像表示制御部31が実行するマッピング処理はこのようなものに限られない。例えば認証サーバ4が認証対象文字の情報をパスワード入力装置1に対して送信する場合、入力案内画像表示制御部31は所定の条件に基づいて決定される過去のユーザ認証処理(例えば過去一定回数のユーザ認証処理など)において、各認証対象文字をどの操作部材に対応づけたかをマッピング情報として記憶しておくこととする。そして、入力案内画像表示制御部31は、マッピング処理を実行する際に、過去のマッピング情報に基づいて、例えば認証対象文字を過去に対応づけた操作部材と異なる操作部材に対応づけるように、入力候補文字と操作部材との対応関係を決定する。これにより、ユーザがパスワードを入力する際に操作すべき操作部材は過去のものと異なることとなり、操作すべき操作部材の順序がパターン化してしまうことを防ぐことができる。
【0065】
なお、この場合において、前述した表示送り用操作部材に対する操作の必要なダミー案内画像を表示させる順序についても、同様の方法で決定することとしてもよい。すなわち、パスワード入力装置1は、過去のユーザ認証処理においてダミー案内画像を表示させたのが何文字目の認証対象文字を含む文字入力画像を表示させた後であるかを記憶することとし、過去に表示させた順序とは異なる順序でダミー案内画像を表示させ、表示送り用操作部材をユーザに操作させることとしてもよい。
【0066】
次に、入力候補文字の決定方法の別の例について、説明する。
【0067】
ここまでの説明においては、1又は複数の認証対象文字に対して、ランダムに決定した文字を対応づけることで入力候補文字群を生成することとしたが、本実施形態に係るユーザ認証システムが入力候補文字群を生成する方法はこのようなものに限られない。例えば認証サーバ4は、入力候補文字群に含める認証対象文字以外の入力候補文字を、過去に入力案内画像表示制御部31が文字入力案内画像を表示させる際に当該認証対象文字を含む入力候補文字として使用した文字に基づいて決定することしてもよい。
【0068】
例えば認証サーバ4は、所定の条件に基づいて決定される過去のユーザ認証処理(例えば過去一定回数のユーザ認証処理など)において、生成した入力候補文字群に含めた入力候補文字を記憶しておくこととする。そして、認証サーバ4は、n文字目の認証対象文字を含む入力候補文字群を生成する際に、過去のユーザ認証処理において同じn文字目の認証対象文字を含む入力候補文字群を生成する際に用いた入力候補文字を、少なくとも一つ入力候補文字として用いて入力候補文字群を生成することとする。この方法によれば、パスワード入力装置1がn文字目の認証対象文字を入力させるための文字入力案内画像を表示させる場合、当該文字入力案内画像により示される入力候補文字のうち認証対象文字を含む2以上の入力候補文字が、過去のユーザ認証処理の際に同じn文字目の認証対象文字を入力させるために表示させた文字入力案内画像により示された入力候補文字と共通することとなる。これにより、複数回のユーザ認証処理において、第三者が表示装置2に表示される文字入力案内画像を見たような場合であっても、第三者にパスワードに含まれる認証対象文字を知られにくくすることができ、セキュリティを向上できる。
【0069】
また、同様に、前述した一つの操作部材に複数の入力候補文字を対応づける例において、パスワード入力装置1は過去のユーザ認証処理時に認証対象文字と同じ操作部材に対応づけた入力候補文字に基づいて、今回のユーザ認証処理時に認証対象文字と同じ操作部材に対応づける入力候補文字を決定することとしてもよい。この場合においては、パスワード入力装置1はユーザ認証処理の際に認証サーバ4からパスワードに含まれる認証対象文字の情報を受信する。そして、認証対象文字を含む入力候補文字群を生成し、一つの操作部材に対して複数の入力候補文字が対応づけられるように、各入力候補文字と操作部材との対応関係を決定する。その際、パスワード入力装置1は、過去のユーザ認証処理時にn文字目の認証対象文字と同じ操作部材に対応づけた入力候補文字の情報を記憶しておき、当該文字のうち少なくとも一つの文字を今回n文字目の認証対象文字を対応づけた操作部材に対応づける。
【0070】
また、この場合において、パスワード入力装置1は、認証対象文字を対応づける操作部材以外の操作部材に対応づける入力候補文字についても、過去のユーザ認証処理において一つの操作部材に共通して対応づけた複数の入力候補文字の組み合わせに基づいて、一つの操作部材に対応づける入力候補文字の組み合わせを決定することとしてもよい。例えば一つの操作部材に対応づけられる複数の入力候補文字の組み合わせは、前回のユーザ認証処理において別の操作部材に対応づけた入力候補文字の組み合わせと同じであることとしてもよい。これにより、仮に第三者が複数回繰り返して表示装置2の画面上に表示される画像と、ユーザの操作部13に対する指示操作の内容とを同時に見たような場合であっても、第三者にパスワードに含まれる認証対象文字を知られにくくすることができ、セキュリティを向上できる。
【0071】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の実施形態により実現可能である。例えば以上の説明において認証サーバ4が実行することとした処理の一部又は全部は、パスワード入力装置1が実行することとしてもよい。具体例として、パスワードを構成する認証対象文字を認証サーバ4がパスワード入力装置1に対して送信した場合には、パスワード入力装置1が入力文字とパスワードとが一致するか否かを判定するパスワード判定を行うこととしてもよい。また、パスワード入力装置1が自分自身でパスワードを保持し、単独でユーザ認証処理を実行することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態に係るパスワード入力装置を含んだユーザ認証システムの構成例を表すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るパスワード入力装置の備える操作部の一例を表す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るパスワード入力装置の機能を表す機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るパスワード入力装置の取得する入力候補文字群の一例を表す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るパスワード入力装置が表示させる文字入力案内画像の一例を表す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るパスワード入力装置によって実行される処理の一例を示すフロー図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るパスワード入力装置が表示させる文字入力案内画像の別の一例を表す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 パスワード入力装置、2 表示装置、3 通信ネットワーク、4 認証サーバ、11 制御部、12 記憶部、13 操作部、14 表示制御部、15 通信部、20 把持部、21 第1の操作部、22 第2の操作部、23 アナログ操作部、24 スタートボタン、25 セレクトボタン、26 モード選択スイッチ、27 発光ダイオード、28,29 ボタン、31 入力案内画像表示制御部、32 入力文字取得部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの指示操作を受け付ける複数の操作部材を備える操作手段と、
複数の入力候補文字のそれぞれについて、前記複数の操作部材のいずれかとの対応関係を示す文字入力案内画像を表示手段に表示させる入力案内画像表示制御手段と、
前記複数の入力候補文字として、パスワードに含まれる認証対象文字を含む複数の文字を取得する入力候補文字取得手段と、
前記複数の操作部材のいずれかに対するユーザの操作に応じて、当該操作がなされた操作部材に対応づけられた入力候補文字を入力文字として取得する入力文字取得手段と、
を含むことを特徴とするパスワード入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパスワード入力装置において、
前記入力案内画像表示制御手段は、前記複数の操作部材と、各操作部材につきそれぞれ複数の前記入力候補文字との対応関係を示す文字入力案内画像を表示させ、
前記入力文字取得手段は、前記操作がなされた操作部材に対応づけられた複数の入力候補文字を入力文字として取得する
ことを特徴とするパスワード入力装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のパスワード入力装置において、
前記入力案内画像表示制御手段は、前記認証対象文字を複数含む入力候補文字について、前記各操作部材との対応関係を示す文字入力案内画像を表示させることを特徴とするパスワード入力装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のパスワード入力装置において、
前記複数の入力候補文字として、前記認証対象文字を含まない複数の文字を取得する手段をさらに含み、
前記入力案内画像表示制御手段は、前記入力候補文字に前記認証対象文字を含む前記文字入力案内画像と、前記入力候補文字に前記認証対象文字を含まない前記文字入力案内画像と、のいずれか一方を、前記複数の操作部材又は該操作部材以外の所定の表示送り用操作部材に対するユーザの操作に応じて、前記表示手段に順次表示させることを特徴するパスワード入力装置。
【請求項5】
請求項4に記載のパスワード入力装置において、
前記入力文字取得手段は、前記表示送り用操作部材に対してユーザの操作がなされた場合には、入力文字の取得を行わないことを特徴とするパスワード入力装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパスワード入力装置において、
前記入力候補文字取得手段は、前記認証対象文字を含む複数の文字として、過去に当該認証対象文字を含む入力候補文字として前記入力候補文字取得手段が取得した複数の文字に基づいて決定される文字を取得することを特徴とするパスワード入力装置。
【請求項7】
ユーザからの指示操作を受け付ける複数の操作部材を備える操作手段を含むパスワード入力装置の制御方法であって、
複数の入力候補文字のそれぞれについて、前記複数の操作部材のいずれかとの対応関係を示す文字入力案内画像を表示手段に表示させるステップと、
前記複数の入力候補文字として、パスワードに含まれる認証対象文字を含む複数の文字を取得するステップと、
前記複数の操作部材のいずれかに対するユーザの操作に応じて、当該操作がなされた操作部材に対応づけられた入力候補文字を入力文字として取得するステップと、
を含むことを特徴とするパスワード入力装置の制御方法。
【請求項8】
ユーザからの指示操作を受け付ける複数の操作部材を備える操作手段を含むパスワード入力装置を制御するプログラムであって、
複数の入力候補文字のそれぞれについて、前記複数の操作部材のいずれかとの対応関係を示す文字入力案内画像を表示手段に表示させる入力案内画像表示制御手段、
前記複数の入力候補文字として、パスワードに含まれる認証対象文字を含む複数の文字を取得する入力候補文字取得手段、及び
前記複数の操作部材のいずれかに対するユーザの操作に応じて、当該操作がなされた操作部材に対応づけられた入力候補文字を入力文字として取得する入力文字取得手段、
としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−272718(P2007−272718A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99678(P2006−99678)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】