説明

パターンの形成方法およびテンプレートの製造方法

【課題】高精度の微細パターンを有するインプリント用のパターンの形成方法およびテンプレートの製造方法を提供する。
【解決手段】基板31にクロム薄膜41を積層し、クロム薄膜41上に重合性樹脂層33を形成して、準備した透明のインプリント用テンプレート10と石英基板31上の重合性樹脂層33とを重ね合わせて、インプリント用テンプレート10のパターンである第1のパターン13により重合性樹脂層33を賦型し、重合性樹脂層33に第1のパターンの逆型形状である凹凸で構成された第2のパターン43を形成する。第2のパターン43をマスクとして石英基板31上に第3のパターン45を形成する。第3のパターン45をマスクとして基板31の表面に凹凸で構成された第4のパターン47を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高精度の微細なパターンを形成するパターンの形成方法およびテンプレートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体等の製造分野において、フォトリソグラフィに用いるための微細なレジストパターンを効率よく形成することが望まれている。しかしながら、従来のフォトリソグラフィでは、高価な光学装置を用い、工程数や使用材料の種類の多いプロセスを経る必要がある。
【0003】
そこで、レジストパターンの形成をインプリント用テンプレート(型もしくはモールドとも称する。)で行なう、次のようなナノインプリントリソグラフィー(以下NILと称する。)が提案されている。
たとえば、『基板の表面に成形可能層を塗布する工程と、複数の突出フィーチャを有する成形表面を備えた型を提供する工程と、直接流体圧力によって成形表面および成形可能層を共に押し付け、突出フィーチャの下側の成形可能層の厚さを薄くし薄くなった領域を生成する工程と、成形可能層から型を取り去る工程とを含む、基板の表面を処理するための方法』もしくはこの方法に加えて、『選択的に基板の領域を露出させるために、薄くなった領域から成形可能層の材料を除去する工程と、基板の露出領域を選択的にさらに処理する工程とをさらに行なう方法』が提案されている(例えば、[特許文献1]参照。)。
【0004】
あるいは、『下地基板上に、液体状の光硬化性物質からなる光硬化性物質層を形成する工程と、光透過性の物質からなり、一方の面側に所定のパターンの溝が形成されたモールドを、前記一方の面側が前記下地基板の前記光硬化性物質層が形成された面側に対向するようにして、前記下地基板に圧着させる工程と、前記モールドの他方の面側から光を照射することにより前記光硬化性物質層を硬化し、前記光硬化性物質からなり、前記所定のパターンに嵌合するパターンを有するレジストパターンを形成する工程と、前記下地基板から前記モールドを脱着する工程と、前記レジストパターンをマスクとして前記下地基板をエッチングする工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法』も提案されている(例えば、[特許文献2]参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004−504718号公報
【特許文献2】特表2000−194142号公報
【0006】
上記の特許文献1および特許文献2に記載されたようなNILにおいては、テンプレートの表面に形成された凹凸パターンによってレジストパターンの成否が決まるため、テンプレートを精度よく製造することは非常に重要である。そこで、NIL用の型の製造を、フォトリソグラフィにおけるのと同様、たとえば、石英を基板としたレベンソン型位相シフトマスクの製造と同様な過程を経て行なうことが試みられた。
【0007】
即ち、石英基板上にクロム(Cr)薄膜が積層されたフォトマスクブランクを準備し、クロム薄膜をフォトリソグラフィによってパターン化した後、パターン化されたクロム薄膜をマスクとして石英基板のエッチングを行ない、エッチング後、クロム薄膜を除去することにより、石英を基板とするNIL用の型を得る方法である。石英基板は良好な紫外線透過性を有しているため、必ずしも透明ではない対象基板にNILを適用する際に、介在する樹脂が紫外線硬化性であれば、NIL用の型の側から紫外線照射を行なえる利点を有する。
【0008】
しかしながら、上記の方法による場合、クロム薄膜のエッチングは、シリコン系材料のエッチングに比較して形状制御が困難であり、微細なパターンを高精度に形成することが難しい。また、NIL用の型においては、石英基板の比較的深いエッチングが必要となるが、エッチングの深さが開口部の面積の影響を受けるため、一定にすることが難しい。また、樹脂レジストで深いエッチングを行なうには、レジストの厚みをエッチングの深さに匹敵する程度に厚くする必要があるが、レジスト形成用材料の適用、露光、および現像によって行なう際には限界があるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高精度の微細パターンを形成するパターンの形成方法およびテンプレートの製造方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために第1の発明は、ナノインプリントによる凹凸パターンの形成方法であって、透明のインプリント用テンプレートを準備する工程と、クロム薄膜が積層された石英基板上に重合性樹脂層を形成する工程と、前記インプリント用テンプレートと、前記石英基板上の前記重合性樹脂層とを重ね合わせ、前記インプリント用テンプレートのパターンである第1のパターンにより前記重合性樹脂層を賦型する工程と、前記重合性樹脂を硬化させ、前記重合性樹脂層に前記第1のパターンの逆型形状である凹凸で構成された第2のパターンを形成する工程と、前記第2のパターンをマスクとして前記石英基板上に第3のパターンを形成する工程と、前記第3のパターンをマスクとして、前記石英基板の表面に凹凸で構成された第4のパターンを形成する工程と、を具備することを特徴とするインプリント用テンプレートを用いたパターンの形成方法である。
【0011】
第1のパターンは、リソグラフィによって形成される。リソグラフィの工程においては、透明化で変動する寸法を予め補正したパターンデータを用いる。
【0012】
第2の発明は、ナノインプリントによる、ナノインプリントに用いられるテンプレートの製造方法であって、透明のインプリント用テンプレートを準備する工程と、クロム薄膜が積層された石英基板上に重合性樹脂層を形成する工程と、前記インプリント用テンプレートと、前記石英基板上の前記重合性樹脂層とを重ね合わせ、前記インプリント用テンプレートのパターンである第1のパターンにより前記重合性樹脂層を賦型する工程と、前記重合性樹脂を硬化させ、前記重合性樹脂層に前記第1のパターンの逆型形状である凹凸で構成された第2のパターンを形成する工程と、前記第2のパターンをマスクとして前記石英基板上に第3のパターンを形成する工程と、前記第3のパターンをマスクとして、前記石英基板の表面に凹凸で構成された第4のパターンを形成する工程と、を具備することを特徴とするインプリント用テンプレートを用いたテンプレートの製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の方法により、高精度な微細パターンおよびそのパターンを有するインプリント用テンプレートを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】インプリント用テンプレート10の製造方法を示すフローチャート
【図2】インプリント用テンプレート10の製造における各工程を示す図
【図3】インプリント用テンプレート10を用いて凹凸のパターンを形成する際の各工程を示す図。
【図4】インプリント用テンプレート10を用いてクロムの成膜された基板上に凹凸のパターンを形成する際の各工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下添付図面に基づいて、本発明の実施形態に係るインプリント用テンプレート10の製造方法および、インプリント用テンプレート10を用いた凹凸の形成方法について詳細に説明する。
【0016】
最初に、図1〜図2を参照しながら、インプリント用テンプレート10の製造方法について説明を行う。
【0017】
図1は、インプリント用テンプレート10の製造方法を示すフローチャートであり、図2はインプリント用テンプレート10の製造における各工程を示す図である。
【0018】
図2(a)に示すように、透明基板11上に薄膜15を形成する(ステップ101)。薄膜15はシリコン又はシリコン化合物からなる。次に図2(b)に示すように、薄膜15の表面に電子線レジストを塗布し、感光性樹脂層17を形成する(ステップ102)。次に、電子線描画装置(図示せず。)を用いて感光性樹脂層17の表面に描画を行う(ステップ103)。感光性樹脂層17の表面に電子線描画を行う際には、酸化によって生ずる寸法変動を予め補正したパターンデータを用いる。次に、図2(c)に示すように、現像し、透明基板11上に凹凸のレジストパターン21を形成する。次に、図2(d)に示すように、レジストパターン21をマスクとして、薄膜15にエッチングを施し、透明基板11上にシリコンパターン23を形成する(ステップ105)。次に、図2(e)に示すように、シリコンパターン23を酸化処理し、透明基板11の表面に酸化シリコンパターン13を形成する(ステップ106)。このようにして、透明基板11の表面に酸化シリコンパターン13の形成されたインプリント用テンプレート10が得られる。前述したように、電子線描画の際に、補正したパターンデータを用いることによって、正確な酸化シリコンパターン13が得られる。
【0019】
シリコンパターン23の酸化処理の方法としては、例えば、熱酸化による方法、酸素イオン打ち込みによる方法、加熱しながらオゾンガスを供給する方法等があげられる。熱酸化では、基板を1000℃近くの高温まで加熱する必要があるため、基板を構成する材質によっては基板にひずみ等を生ずるという懸念がある。オゾンガスを供給する方法では、比較的低温においても酸化シリコンパターン13を形成することができる。
【0020】
以上の過程を経て得られるインプリント用テンプレート10では、透明基板11上に透明の酸化シリコンパターン13が形成される。
【0021】
このように、本実施形態における製造方法によって、石英等の単一の透明素材から作製されたものと同様の透明のインプリント用テンプレート10を得ることができる。
そして、シリコン系の薄膜15上には正確に微細パターンを形成することが可能である。その理由は、インプリント用テンプレート10では、フォトリソグラフィにより微細なシリコンパターン23を形成することができる。シリコンパターン23の酸化処理によって酸化シリコンパターン13が形成されるので、酸化シリコンパターン13は、シリコンパターン23と同様微細なものとなる。従って、インプリント用テンプレート10では、透明基板11に直接エッチングを施すことなく、透明でかつ高精度な微細パターンを得ることができる。
【0022】
次に、図3を参照しながら、インプリント用テンプレート10を用いた凹凸パターンの形成方法について説明を行う。
図3は、インプリント用テンプレート10を用いて別の基板に凹凸パターンを形成する際の各工程を示す図である。
【0023】
図3(a)に示すように、凹凸を形成する対象の石英基板31を準備する。石英基板31の表面に、重合性樹脂等からなるインプリントレジスト33を塗布する。次に、図3(b)に示すように、インプリント用テンプレート10と石英基板31を重ねる。次に図3(c)に示すように、インプリント用テンプレート10をインプリントレジスト33に密着させる。インプリントレジスト33は、インプリント用テンプレート10の酸化シリコンパターン13の凹凸によって賦型される。次に、インプリント用テンプレート10と石英基板31が密着した状態で、インプリントレジスト33を硬化させる。次に、図3(d)に示すように、インプリント用テンプレート10を取り離し、インプリントレジスト33上にパターン35を形成する。次に、図3(e)に示すように、パターン35をマスクとして石英基板31にエッチング等を施し、石英基板31上にパターン37を形成する。
以上の過程を経て、インプリント用テンプレート10を用いて石英基板31上に凹凸パターンを形成する。
【0024】
図4は凹凸パターンの形成方法における別の実施形態を示す図である。図4に示すように、図3(a)の石英基板31に代えて、石英基板31にクロム薄膜41を形成したものを用いる。
まず、図4(a)に示すように、石英基板31にクロム薄膜41を積層し、クロム薄膜41上にインプリントレジスト33を塗布する。次に図4(b)に示すように、インプリント用テンプレート10と、クロム薄膜41が積層された石英基板31とを重ねる。次に、図4(c)に示すように、インプリント用テンプレート10をインプリントレジスト33に密着させる。インプリントレジスト33は、インプリント用テンプレート10の酸化シリコンパターン13の凹凸によって賦型される。次に、インプリント用テンプレート10と石英基板31が密着した状態で、インプリントレジスト33を硬化させる。次に、図4(d)に示すように、インプリント用テンプレート10を取り離し、インプリントレジスト33上にパターン43を形成する。次に、図4(e)に示すように、パターン43をマスクとしてクロム薄膜41にエッチング等を施し、石英基板31上にパターン45を形成する。次に図4(f)に示すように、パターン45をマスクとして石英基板31上にエッチングを施し、石英基板31上に凹凸のパターン47を形成する。
【0025】
このように、インプリント用テンプレート10を用いることによって、石英基板31上に高精度な凹凸パターンを形成することができる。
【0026】
以上、添付図面を参照しながら、本発明にかかるインプリント用テンプレートの製造方法等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0027】
例えば、インプリント用テンプレート10は、透明性が高く、紫外光を透過するため、光硬化インプリントにも適用される。インプリント用テンプレート10を光硬化インプリントに適用する場合には、図3(a)において、インプリントレジスト33として、光硬化性の樹脂を用いる。
【符号の説明】
【0028】
10………インプリント用テンプレート
11………透明基板
13………酸化シリコンパターン
15………薄膜
17………感光性樹脂層
19………マスク
21………レジストパターン
23………シリコンパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノインプリントによる凹凸パターンの形成方法であって、
透明のインプリント用テンプレートを準備する工程と、
クロム薄膜が積層された石英基板上に重合性樹脂層を形成する工程と、
前記インプリント用テンプレートと、前記石英基板上の前記重合性樹脂層とを重ね合わせ、前記インプリント用テンプレートのパターンである第1のパターンにより前記重合性樹脂層を賦型する工程と、
前記重合性樹脂を硬化させ、前記重合性樹脂層に前記第1のパターンの逆型形状である凹凸で構成された第2のパターンを形成する工程と、
前記第2のパターンをマスクとして前記石英基板上に第3のパターンを形成する工程と、
前記第3のパターンをマスクとして、前記石英基板の表面に凹凸で構成された第4のパターンを形成する工程と、
を具備することを特徴とするインプリント用テンプレートを用いたパターンの形成方法。
【請求項2】
ナノインプリントによる、ナノインプリントに用いられるテンプレートの製造方法であって、
透明のインプリント用テンプレートを準備する工程と、
クロム薄膜が積層された石英基板上に重合性樹脂層を形成する工程と、
前記インプリント用テンプレートと、前記石英基板上の前記重合性樹脂層とを重ね合わせ、前記インプリント用テンプレートのパターンである第1のパターンにより前記重合性樹脂層を賦型する工程と、
前記重合性樹脂を硬化させ、前記重合性樹脂層に前記第1のパターンの逆型形状である凹凸で構成された第2のパターンを形成する工程と、
前記第2のパターンをマスクとして前記石英基板上に第3のパターンを形成する工程と、
前記第3のパターンをマスクとして、前記石英基板の表面に凹凸で構成された第4のパターンを形成する工程と、
を具備することを特徴とするインプリント用テンプレートを用いたテンプレートの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−58767(P2013−58767A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−231613(P2012−231613)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【分割の表示】特願2011−104917(P2011−104917)の分割
【原出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】