説明

パターン形成体と該形成体を用いたデバイス、及び、それらの製造方法

【課題】 パターン形成体、該形成体を用いたデバイス、及び、それらの製造方法を提供する。
【解決手段】 パターン形成材料を含有した液滴3、4、5を基体1の基体表面に付着させ、液滴3、4、5を固化して形成したパターン形成部9〜14を有するパターン形成体において、パターン形成部10、11、13、14は、パターンを領域分割した領域の輪郭形状を有する凸部2を跨ってパターンが形成されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成体と該形成体を用いたデバイス、及び、それらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の基体上へのパターン形成方法としては、スクリーン印刷によりペーストをパターン状に供給し固化する方法等があるが、電子デバイス等では、高密度化に伴いパターンが微細になってきており、従来の方法ではパターンを形成することが困難になってきている。また、基体上にパターン材料層を形成しエッチングによりパターンを形成する方法もあるが、環境負荷が大きいため、エッチングによらない形成方法が検討されている。
【0003】
すなわち、基体上にパターンを微細に形成でき、しかも環境負荷の小さい方法として、インクジェットによりパターン材料を含有する液滴をパターン状に供給しパターンを形成する方法が提案されている。
しかし、インクジェットにより吐出され基体上に付着した液滴は、流動性を有しているため、流動性が無くなるまでに基体上で濡れ広がり易く、パターンの線幅やパターン端部等の形状制御が困難である。
【0004】
これらの問題を解決するために、様々な技術が提案されている。
特許文献1では、基体上に凸部を設け、凸部間にインクジェットで色素を供給し、凸部の高さと同等以下の厚さの色素パターンを形成する技術が開示されている。特許文献2では、基板表面に濡れ性の違う領域を設けて、親水部または親水部間にパターンを形成し、パターンの線幅や形状の制御する技術が開示されている。
【0005】
特許文献3では、基板表面を荒らす方法、または、インク吸収層を形成する方法などで、パターンの線幅や形状の制御を行う技術が開示されている。特許文献4では、基板表面に濡れ性の違う領域を設ける方法と基体表面を荒らす方法を併用して、パターンの線幅や形状の制御を行う技術が開示されている。特許文献5では、基体表面に表面粗さの異なる領域を設け、一方の領域にパターンを形成することにより、パターンの線幅や形状の制御を行う技術が開示されている。
【特許文献1】特開昭59−75205号公報
【特許文献2】特開平11−207959号公報
【特許文献3】特開平11−273557号公報
【特許文献4】特開2001−129474号公報
【特許文献5】特開2004−193327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1では、凸部を所望の形状の輪郭形状に形成する必要があり、パターン形状が少しでも異なると凸部形状も変える必要がある。凸部の形成方法は開示されていないが、例えば、凸部をフォトリソ工程で製作する場合は、コスト低減は困難であり、また、凸部間をインクジェットで形成する場合は、凸部の形状制御が困難であり、色素パターンの形状制御も困難であるという問題があった。
【0007】
特許文献2や特許文献4では、親和性または非親和性(親水または撥水)領域を基体表面に形成するため、基体または基体表面層の種類が限定されるという問題があった。特許文献3では、基板表面を荒らす方法では、表面の凹凸形状はランダムなので液滴の濡れ広がりもランダムとなるため、パターン端の形状を制御することは困難である。また、100μm以下のピッチのパターンでは短絡や断線等の不具合が生じやすい。更に、インク吸収層を形成する方法では、基体または基体表面層の種類が限定されるという問題があった。
【0008】
特許文献5では、表面粗さをパターン領域とパターン以外の領域で変え、更に親和性または非親和性領域とすることにより、液滴の濡れ広がりを制御し、その結果、パターン形状を制御している。このため、基体または基体表面層の種類が限定されるが、この発明では版にパターンを形成し転写することで対応する必要があるという問題があった。
【0009】
以上のように、電子デバイスのパターンでは微細化を要求されているが、インクジェットによるパターン形成では、パターンの線幅や形状の制御が困難であり、パターンの微細化も困難であるという問題があった。特に、配線パターンでは、カラーフィルタのような同一サイズ、ピッチのパターンではなく、幅やピッチの異なるパターンや複雑な形状のパターンが必要であり、また、パターン端の直線性も必要とされる。
【0010】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、パターン幅やパターン端の形状を高精度に制御可能とし、パターン膜厚の厚膜化を容易とした、パターン形成体と該形成体を用いたデバイス、及び、それらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、パターン形成材料を含有した液滴を基体表面に付着させ、前記液滴を固化して形成したパターン形成部を有するパターン形成体であって、パターンを領域分割した領域の輪郭形状を有する凸部が基体表面に形成されており、少なくとも1つのパターンが凸部を跨って形成されるパターン形成体としたことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記凸部は幾何学形状を有する請求項1記載のパターン形成体としたことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記幾何学形状は平行線形状である請求項2記載のパターン形成体としたことを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記幾何学形状は格子状である請求項2記載のパターン形成体としたことを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、前記幾何学形状は複数の三角形の辺を組合せた形状である請求項2記載のパターン形成体としたことを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、前記パターン形成部のパターン幅が前記凸部の間隔以上である請求項1から5のいずれか1項に記載のパターン形成体としたことを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明は、前記基体表面と前記凸部が同一材料で形成される請求項1から6のいずれか1項に記載のパターン形成体としたことを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明は、前記凸部間におけるパターン形成部の膜厚が前記凸部の高さより高い請求項1から7のいずれか1項に記載のパターン形成体としたことを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の発明は、前記基体表面の前記液滴に対する接触角が、該液滴が乾燥又は固化した前記パターン形成部の液滴に対する接触角より30°以上大きい請求項1から8のいずれか1項に記載のパターン形成体としたことを特徴とする。
【0020】
請求項10記載の発明は、前記パターン形成部が金属ナノ粒子を融着させた導電体である請求項1から9のいずれか1項に記載のパターン形成体としたことを特徴とする。
【0021】
請求項11記載の発明は、請求項1から10のいずれか1項に記載の前記パターン形成体を、基板又は接続部として用いるデバイスとしたことを特徴とする。
【0022】
請求項12記載の発明は、パターン形状に応じて、パターン形成材料を含有した液滴の吐出位置を制御して、前記液滴を基体表面の凸部上又は凸部間に着弾させ、該液滴を前記凸部上又は凸部間に濡れ広がさせてパターン形成部を形成するパターン形成体の製造方法としたことを特徴とする。
【0023】
請求項13記載の発明は、パターン形成部を形成した後に、パターン形成材料を含有した液滴を着弾させて、前記パターン形成部を厚膜化するパターン形成体の製造方法としたことを特徴とする。
【0024】
請求項14記載の発明は、基体又は基体表面が樹脂で形成されており、前記樹脂が溶融又は軟化状態であるときに、凹形状を有する型の形状を転写させて、前記樹脂により凸形状を形成するパターン形成体の製造方法としたことを特徴とする。
【0025】
請求項15記載の発明は、基体表面をブラシ又は研磨パッドで一方向に擦り、前記基体表面に平行線状の凹凸形状を形成するパターン形成体の製造方法としたことを特徴とする。
【0026】
請求項16記載の発明は、凸部間のピッチ又はパターンのピッチの、整数倍又は整数分の1と等しいピッチのノズルを備えるインクジェットヘッドを用いて液滴を吐出してパターンを形成するパターン形成体の製造方法としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、パターン幅やパターン端の形状を高精度に制御可能とし、パターン膜厚の厚膜化を容易とした、パターン形成体と該形成体を用いたデバイス、及び、それらの製造方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明を実施するための最良の形態は、パターン形成材料を含有した液滴を基体表面に付着させ、前記液滴を固化して形成したパターン形成部を有するパターン形成体において、パターンを領域分割した領域の輪郭形状を有する凸部が基体表面に形成されており、少なくとも1つのパターンが凸部を跨って形成されるパターン形成体とする。
【0029】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【0030】
(実施形態1)
本実施形態のパターン形成体は、パターン形成材料を含有した液滴を基体表面に付着させ、この液滴を固化させてパターン形成部を形成することによりパターン形成体とするものである。本実施形態のパターン形成体は、パターン形成体の基体表面に微小な凸部を、パターン形状を領域分割した領域の輪郭形状に形成したことを特徴とする。また、少なくとも1つのパターンが凸部を跨って形成されることを特徴とする。
【0031】
本実施形態のパターン形成体について、図1(a)〜(d)を用いて以下に説明する。図1(a)〜(d)は、本実施形態のパターン形成体について説明するための断面図である。図1(a)に示すように、本実施形態のパターン形成体では、基体1上に微小凸部2を等間隔で形成している。図1(a)に示すように、ノズルから凸部間容積以下の液滴3を吐出し、凸部2間に着弾させた場合、液滴3は凸部を超えて濡れ広がらず、図1(b)に示す液滴6のようになる。
【0032】
一方、図1(a)に示すような、凸部2間容積以上の液滴4を吐出し、凸部2上に着弾させると、液滴4は両隣の凸部2に向かって濡れ広がるが、隣の凸部2の側壁に達するとそれ以上は濡れ広がることなく、図(b)に示す液滴7のようになる。
【0033】
また、図1(a)に示すような、凸部2間容積以上の液滴5を吐出し、凸部2間に着弾させると、液滴5は2つの凸部2を超え両隣の凸部に向かって濡れ広がるが、隣の凸部2の側壁に達するとそれ以上は濡れ広がることなく、図(b)に示す液滴8のようになる。
【0034】
その後、液滴の溶媒が完全に蒸発して残った固形成分が多い場合は、図(c)に示すように、凸部2間において、液滴により形成されるパターン形成部9、10、11の膜厚が、凸部2の高さより大きい状態となる。
また、液滴の溶媒が完全に蒸発して残った固形成分が少ない場合は、図(d)に示すように、凸部2間において、液滴により形成されるパターン形成部12、13、14の膜厚が、凸部2の高さより小さい状態となる。
よって、パターン形成部を形成するために用いる液滴の固形成分の含有量を制御することにより、要求されるパターン形成部の膜厚を得ることができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態のパターン形成体は、パターン形成材料を含有した液滴を基体表面に付着させ、この液滴を固化させてパターン形成部を形成することによりパターン形成体とするものである。本実施形態のパターン形成体は、パターン形成体の基体表面に微小な凸部を、パターン形状を領域分割した領域の輪郭形状に形成し、少なくとも1つのパターンが凸部を跨って形成される(図1に示すパターン形成部10、11、13、14参照。)。
【0036】
本実施形態では、パターン形成体上に形成する複数のパターンのうちの一部又は全部を、凸部を跨って形成するようにしたため、パターン形成の自由度を増すことができる。その結果、幅やピッチの異なるパターンや複雑な形状のパターンでも、パターンの線幅やパターン端の直線性等の形状を容易に制御可能な、高精度のパターン形成体を得ることができる。また、液滴の濡れ広がりが凸部により抑えられるので、凸部が設けられていない場合と比べて、(凸部間における)パターン形成部の膜厚を厚くすることができる。更には、パターン形状に対応した親和性又は非親和性(親水又は撥水)領域を基体表面に形成する必要がないため、基体又は基体表面層の種類が限定されることがないという効果を得ることができる。
【0037】
<実施例1>
本実施例は、実施形態1の適用例である。実施形態1との共通点については説明を省略し、本実施例の特徴部分を図2(a)、(b)、図3を用いて以下に説明する。図2(a)は、本実施例の第1のパターン形成体の断面図である。図2(b)は、本実施例の第1のパターン形成体の上面図である。図3は、本実施例の第2のパターン形成体の断面図である。図2(a)、(b)に示す第1のパターン形成体は、平行線状に複数の微小凸部2を設けたことを特徴とする。
【0038】
図2(a)、(b)に示すように、平行線状に設けられた複数の微小凸部2を備える基体表面に、平行線状でパターン幅の異なるパターン形成部15、16、17が混在して形成されている。また、凸部間におけるパターン形成部15、16、17の膜厚が、基体表面に設けられた微小凸部の高さより大きく、(パターン幅の広い)パターン形成部16、17は、凸部を跨った構成となっている。また、凸部間の間隔は最小パターン幅と同一としている。
【0039】
次に、本実施例のパターン形成体の製造方法について説明する(図示無)。
まず、基体1の基体表面に凸部2を形成する。ここでは、熱硬化性樹脂を凸形状の反転形状を有する型により成型して凸部2を備える基体1を形成した。用いる樹脂は、熱可塑性等でもよく、溶融又は軟化状態とすることができ、型により形状を転写できる材料であればよい。
【0040】
上述の凸形状の反転形状を有する型はフォトリソ工程で製作することにより、形状精度のよい型が得られるので、その転写形状である基体表面上に形成される凸部形状も精度よく形成することができる。尚、凸部は型の離型性を考慮してテーパーをつけても良く、∧状に形成されても良い。
【0041】
その他、フォトリソ工法を用いて基体自体に凸部を付加することも可能であるが、凸部にフォトリソ工法に適した材料を用いる必要があり、基体毎にフォトリソ工程を施す必要がある。よって、この方法は、コスト高やフォトリソ工程における廃液等の環境負荷の増大という問題が生じるため好ましくない。また、凸部をインクジェットで形成することも可能であるが、この方法は凸部の形状精度が悪くなるので好ましくない。
【0042】
次に、インクジェットノズルからパターン形成材料を含有する液滴を吐出し、基体表面に着弾させる。インクジェットノズルの基体に対する位置を変えながら、凸部間距離未満の直径の液滴を吐出することにより、図2(a)、(b)に示すように、ライン状のパターン形成部15、16、17を形成する。
【0043】
図2(a)、(b)に示すパターン形成部15の場合は、ノズル又は基体1を移動させながら液滴を吐出し、凸部2間に次々と着弾させることにより、液滴同士又は液滴と液滴の乾燥膜とを連結させる。液滴の濡れ広がりはパターン形成部15端の凸部2で止まり、ライン状のパターン形成部15を形成することができる。
【0044】
図2(a)、(b)に示すパターン形成部16、17の場合は、ノズル又は基体1を移動させながら液滴を吐出し、凸部2間だけでなく凸部2上にも次々と着弾させることにより、液滴同士又は液滴と液滴の乾燥膜とを連結させる。液滴の濡れ広がりはパターン形成部16、17端の凸部2で止まり、ライン状のパターン形成部16、17を形成することができる。
【0045】
尚、パターン形成部の形成において、凸部2間の距離以上の直径の液滴を着弾させても良いが、本実施例のように幅の違うパターン形成部15、16、17が混在するパターン形成体を製造する場合には、図1を用いて説明したように液滴の量を変えるのではなく、液滴の吐出位置や吐出回数を制御するほうが良い。また、マルチノズルを用いても良い。
【0046】
尚、液滴の着弾位置にはばらつきがあるが、パターン形成部端の凸部2から液滴がはみ出さなければ、液滴の濡れ広がりはパターン端の凸部2で止まるため、パターン形成部の形状(外周)は凸部2により規定される。最後に、液滴を自然乾燥又は加熱等により固化する。
【0047】
以上説明したように、本実施例によれば、微細パターンでも形状精度のよいパターンを有するパターン形成体が得られる。尚、凸部2の間隔は、最小パターン幅と同一としているが、最小パターン幅未満でも良く、複数の凸部2の間隔で最小パターン幅を構成しても良い。
また、本実施例のパターン形成体は、図3に示した第2のパターン形成体のように、凸部2上又は凸部間の基体1上に凹部20、21があっても良く、少なくともパターン形成部18、19の形状(外周部)が凸部2により規定される構成であればよい。
【0048】
また、基体1の基体表面の液滴に対する接触角を90°以上にすると、液滴が凸部2上にほとんど濡れなくなり、凸部2上に形成されるパターン形成部の膜厚が非常に薄くなるため、基体表面の液滴に対する接触角は90°未満とするのが良い。
図2(a)、(b)に示す第1のパターン形成体では、平行線パターンを形成するため、複数の凸部2の配置を平行線状とした。しかしながら、パターンを領域分割した領域の境界部に凸部を形成し、パターン形成部が凸部を跨った構成とすれば、所望の形状のパターンを得ることができる。
【0049】
本実施例によれば、パターンを領域分割した領域の輪郭形状を有する凸部が基体表面に形成されており、パターンが凸部を跨った構成としているので、パターン幅やパターン端の直線性等の形状を精度良く制御でき、また、パターンの厚膜化も容易にできるので、微細なパターンに好適である。
【0050】
本実施例によれば、凸部を幾何学形状に形成しているので、凸部形状をパターンの輪郭形状に一致させる必要がなく、液滴の着弾位置を変えることにより、パターン形状を幾何学形状の組合せで任意に形成できるため、複雑なパターンを備えることができ、また、パターン変更にも対応しやすい。そのため、小ロット、多品種生産やオンデマンド生産のパターン形成体に好適である。
【0051】
本実施例によれば、パターン幅を凸部の間隔以上としているので、凸部間隔が一定であっても、複数のパターン幅を有するパターンを備えることができる。
【0052】
本実施例によれば、凸部を平行線形状に形成しているので、形状精度の良いライン状パターンを備えることができる。
【0053】
本実施例によれば、基体表面と凸部を同一材料で形成することにより、基体表面に別部材を用いる必要がなく、また、基体表面形状を形成すると同時に凸部を形成できるため、安価に提供することができる。
【0054】
本実施例によれば、凸部間におけるパターン膜厚を凸部高さより大きくしているので、パターン表面の段差を小さくすることができる。
【0055】
本実施例によれば、パターン形状に応じ、パターン形成材料を含有した液滴の吐出位置を制御して、液滴を基体表面の凸部上又は凸部間に着弾させ、液滴を凸部上または凸部間に濡れ広がさせてパターン形状を形成しているので、パターン形成体を容易に製造することができる。
【0056】
本実施例によれば、基体又は基体表面が樹脂で形成されており、樹脂が溶融又は軟化状態のときに、凸形状の反転形状を有する型の形状を転写させて、基体表面の凸形状を形成しているので、パターン形成体の基体表面の凸部を簡単かつ安価に製造することができる。
【0057】
<実施例2>
本実施例は、実施形態1の適用例である。実施形態1との共通点については説明を省略し、本実施例の特徴部分を図4(a)、(b)、(c)を用いて以下に説明する。図4(a)は、本実施例の第1のパターン形成体の上面図である。図4(b)は、本実施例の第2のパターン形成体の上面図である。図4(c)は、本実施例の第3のパターン形成体の上面図である。
【0058】
本実施例のパターン形成体は、図4(a)、(b)、(c)に示すように、基体1の基体表面に、格子状の微小凸部2を設けて、パターン幅の異なるパターン形成部を複数設けている。また、凸部間隔は最小パターン幅と同一としている。
図4(a)に示すパターン形成部22、23、24はライン状パターン、図4(b)に示すパターン形成部25、26、27はL状パターン、図4(c)に示すパターン形成部28、29、30はパターン幅が部分的に異なるパターンの例である。尚、凸部の形成方法は実施例1と同様に行う。
【0059】
次に、本実施例のパターン形成体の製造方法について説明する(図示無)。インクジェットノズルからパターン形成材料を含有する液滴を吐出し、基体1の基体表面に着弾させることにより、図4(a)、(b)、(c)に示すように、パターン形成部22〜30を形成する。本実施例では、最小パターン幅を有するパターン形成部22、25、26、27、30も含めて、液滴を凸部2間だけでなく、凸部2上にも着弾させることにより、パターンを形成した。
【0060】
液滴の着弾順は、凸部2間、凸部2上、凸部2間、凸部2上、・・・・、と凸部2間と凸部2上に順番に着弾させても良いし、凸部2間又は凸部2上だけ先に着弾させ、その後に凸部2上又は凸部間だけに着弾させて液滴同士又は液滴と液滴の乾燥膜とを連結させても良い。
インクジェットノズルとしては、凸部2のピッチの1/2のピッチのマルチノズルを備えるインクジェットヘッドを用いた。これにより、インクジェットノズル又は基体の移動を少なくでき、生産性良くパターンを形成できた。また、パターンピッチの整数倍又は整数分の一と等しいピッチのノズルを備えるインクジェットヘッドを用いても、生産性を向上することができる。
【0061】
この様に凸部2を格子状に形成することにより、ライン状だけでなく、L状やパターン幅が部分的に異なるような複雑なパターンも液滴の着弾位置を変えることにより形成することが可能となる。このことにより、パターン変更にも容易に対応することができる。
【0062】
尚、本実施例では、パターン形成部22〜30を正方形領域に分割し、その領域輪郭部に凸部2を形成しているため、凸部2の形状を格子状としたが、パターン形成部21〜30が正方形以外の幾何学形状領域に分割可能であれば、正方形以外の幾何学形状領域の輪郭部に凸部2を形成すれば良く、その場合の凸部2の形状は正方格子以外の幾何学形状となる。
【0063】
本実施例によれば、パターンを領域分割した領域の輪郭形状を有する凸部が基体表面に形成されており、パターンが凸部を跨った構成としているので、パターン幅やパターン端の直線性等の形状を精度良く制御でき、また、パターンの厚膜化も容易にできるので、微細なパターンに好適である。
【0064】
本実施例によれば、凸部を幾何学形状に形成しているので、凸部形状をパターンの輪郭形状に一致させる必要がなく、液滴の着弾位置を変えることにより、パターン形状を幾何学形状の組合せで任意に形成できるため、複雑なパターンを備えることができ、また、パターン変更にも対応しやすい。そのため、小ロット、多品種生産やオンデマンド生産のパターン形成体に好適である。
【0065】
本実施例によれば、パターン幅を凸部の間隔以上としているので、凸部間隔が一定であっても、複数のパターン幅を有するパターンを備えることができる。
【0066】
本実施例によれば、凸部を格子形状に形成しているので、複雑な形状のパターンでも形状精度の良いパターンを備えることができる。
【0067】
本実施例によれば、基体表面と凸部を同一材料で形成しているので、基体表面に別部材を用いる必要がなく、また、基体表面の形状を形成すると同時に凸部を形成できるため、安価に提供できる。
【0068】
本実施例によれば、パターン形状に応じ、パターン形成材料を含有した液滴の吐出位置を制御して、液滴を基体表面の凸部上又は凸部間に着弾させ、液滴を凸部上又は凸部間に濡れ広がさせてパターン形状を形成しているので、パターン形成体を容易に製造することができる。
【0069】
本実施例によれば、基体又は基体表面が樹脂で形成されており、この樹脂が溶融又は軟化状態のときに、凸形状の反転形状を有する型の形状を転写させて、基体表面の凸形状を形成しているので、パターン形成体の基体表面の凸部を簡単かつ安価に製造することができる。
【0070】
本実施例によれば、凸部のピッチ又はパターンのピッチの、整数倍又は整数分の一と等しいピッチのノズルを備えるインクジェットヘッドを用いて液滴を吐出し、パターンを形成しているので、ノズル又は基体の移動を少なくできるので、パターン形成体を短時間かつ安価に製造することができる。
【0071】
<実施例3>
本実施例は、実施形態1の適用例である。実施形態1との共通点については説明を省略し、本実施例の特徴部分を図5を用いて以下に説明する。図5は、本実施例のパターン形成体の上面図である。図5に示すように、本実施例のパターン形成体の(微小)凸部2は、三角形の輪郭を組合せた形状を形成するように基体表面に形成される。凸部2の形成方法は、実施例1と同様に行う。
【0072】
次に、実施例2と同様にパターン(パターン形成部)を形成する。本実施例では、パターン幅がそれぞれ異なるパターン形成部31、32、33を形成した。そして、パターン形成部31、32、33の一部は凸部2を跨った構成となっている。
本実施例によれば、このように凸部2を三角形の輪郭を組合せた形状に形成することにより、縦横だけでなく斜め方向のライン状パターンでも端部の直線性の良いパターンを備えるパターン形成体を簡単かつ安価に形成することができる。
【0073】
本実施例によれば、パターンを領域分割した領域の輪郭形状を有する凸部が基体表面に形成されており、パターンが凸部を跨った構成としているので、パターン幅やパターン端の直線性等の形状を精度良く制御でき、また、パターンの厚膜化も容易にできるので、微細なパターンに好適である。
【0074】
本実施例によれば、凸部を幾何学形状に形成しているので、凸部形状をパターンの輪郭形状に一致させる必要がなく、液滴の着弾位置を変えることにより、パターン形状を幾何学形状の組合せで任意に形成できるため、複雑なパターンを備えることができ、また、パターン変更にも対応しやすい。そのため、小ロット、多品種生産やオンデマンド生産のパターン形成体に好適である。
【0075】
本実施例によれば、パターン幅を凸部の間隔以上としているので、凸部間隔が一定であっても、複数のパターン幅を有するパターンを備えることができる。
【0076】
本実施例によれば、凸部を三角形の輪郭を組合せた形状に形成しているので、斜め方向のパターンでも形状精度の良いパターンを備えることができる。
【0077】
本実施例によれば、基体表面と凸部を同一材料で形成しているので、基体表面に別部材を用いる必要がなく、また、基体表面の形状を形成すると同時に凸部を形成できるため、安価に提供できる。
【0078】
本実施例によれば、パターン形状に応じ、パターン形成材料を含有した液滴の吐出位置を制御して、液滴を基体表面の凸部上又は凸部間に着弾させ、液滴を凸部上又は凸部間に濡れ広がさせてパターン形状を形成しているので、パターン形成体を容易に製造することができる。
【0079】
本実施例によれば、基体又は基体表面が樹脂で形成されており、この樹脂が溶融又は軟化状態のときに、凸形状の反転形状を有する型の形状を転写させて、基体表面の凸形状を形成しているので、パターン形成体の基体表面の凸部を簡単かつ安価に製造することができる。
【0080】
<実施例4>
本実施例は、実施形態1の変形例である。実施形態1との共通点については説明を省略し、本実施例の特徴部分を図6(a)、(b)を用いて以下に説明する。図6(a)は、本実施例のパターン形成体の断面図である。図6(b)は、本実施例のパターン形成体の上面図である。
【0081】
本実施例のパターン形成体は、微小凹凸部34を備える基体表面に、平行線状のパターン形成部35、36、37が形成されており、パターン形成部36、37の一部は凸部を跨った構成としている。また、微小凹凸部34の凸部の間隔は最小パターン幅より小さくしている。微小凹凸部34は、基体表面をブラシ又は研磨パッド等で一方向に擦り、表面の一部を研削することで形成する。
【0082】
尚、基体表面の硬度が高いため、所望の凹凸部34が得られない場合は、基体表面にサブμm〜数μmの厚さで硬度の小さい層を形成しても良い。このように形成することで、型で転写する方法に比べても簡単かつ安価に平行線状の凸部を形成することができる。この凹凸部34に液滴を着弾させることにより、端部の直線性の良い平行パターンを備えるパターン形成体を簡単かつ安価に形成することができる。
【0083】
本実施例によれば、パターンを領域分割した領域の輪郭形状を有する凸部が基体表面に形成されており、パターンが凸部を跨った構成としているので、パターン幅やパターン端の直線性等の形状を精度良く制御でき、また、パターンの厚膜化も容易にできるので、微細なパターンに好適である。
【0084】
本実施例によれば、凸部を幾何学形状に形成しているので、凸部形状をパターンの輪郭形状に一致させる必要がなく、液滴の着弾位置を変えることにより、パターン形状を幾何学形状の組合せで任意に形成できるため、複雑なパターンを備えることができ、また、パターン変更にも対応しやすい。そのため、小ロット、多品種生産やオンデマンド生産のパターン形成体に好適である。
【0085】
本実施例によれば、パターン幅を凸部の間隔以上としているので、凸部間隔が一定であっても、複数のパターン幅を有するパターンを備えることができる。
【0086】
本実施例によれば、凸部を平行線形状に形成しているので、形状精度の良いライン状パターンを備えることができる。
【0087】
本実施例によれば、基体表面と凸部を同一材料で形成することにより、基体表面に別部材を用いる必要がなく、また、基体表面形状を形成すると同時に凸部を形成できるため、安価に提供することができる。
【0088】
本実施例によれば、パターン形状に応じ、パターン形成材料を含有した液滴の吐出位置を制御して、液滴を基体表面の凸部上又は凸部間に着弾させ、液滴を凸部上または凸部間に濡れ広がさせてパターン形状を形成しているので、パターン形成体を容易に製造することができる。
【0089】
本実施例によれば、基体表面をブラシや研磨パッド等で一方向に擦り、基体表面に平行線状の凹凸形状を形成しているので、平行線状パターンを備えるパターン形成体に好適な凸部を簡単かつ安価に製造することができる。
【0090】
<実施例5>
本実施例は、実施形態1の変形例である。実施形態1との共通点については説明を省略し、本実施例の特徴部分を図7を用いて以下に説明する。図7は、本実施例のパターン形成体を備えたデバイスの断面図である。
【0091】
図7に示すように、本実施例のパターン形成体を備えたデバイスは、微小凸部2を備える基体1の基体表面に、配線パターン形成部38、39が形成されており、配線パターン形成部38、39は凸部2を跨った構成としている。また、配線パターン形成部は、配線パターン38と配線パターン39の2層からなり、厚膜化している。
更に、本実施例のパターン形成体を備えたデバイスは、配線パターン形成部38、39を形成したパターン形成体に、半導体素子41を実装した構成としている。
【0092】
以下に、本実施例のパターン形成体を備えたデバイスの製造方法について説明する(図示無)。まず、実施例2と同様に、基体1に凸部2を形成し、配線パターン形成部38、39を半導体素子41に対応した配線形状に形成した。ここでは、基体1及び凸部2の材料として、エポキシ系熱硬化性樹脂G760L(住友ベークライト製)を用いた。尚、凸部2の幅は5μm、高さは1μm、ピッチは50μmとした。
【0093】
また、配線パターン形成部38の形成に用いる配線パターン材料を含有する液体として、基体1に対する接触角が40°である銀ナノ粒子を含有する銀ナノインク(住友電工製)を用いた。ナノ粒子は粒径100nm以下であるため、液滴の吐出時にノズルの詰まりがなく、パターン(配線パターン形成部38)を良好に形成できたが、パターン(配線パターン形成部38)の凸部2上の膜厚は0.2μmと小さく、パターン表面の平坦性も悪かった。
【0094】
そこで、同じ銀ナノインクを液滴が乾燥したパターン上に着弾させたところ、液滴はパターン上(配線パターン形成部38上)のみに濡れ広がり、形状が崩れることなく、パターンを厚膜化でき、パターン表面(配線パターン形成部39)の平坦性も良くなった。
ここでは、配線パターン材料を含有する液体として、基体1に対する接触角が40°であるインクを用いたが、同様に、基体1に対する接触角が20°である銀ナノインク(ハリマ化成製)を用いたところ、厚膜化時に基体1にまで液滴が濡れ広がり、パターン形状が崩れた。
【0095】
尚、どちらのナノインクも乾燥パターン(配線パターン形成部38、39)に対する接触角は10°未満である。このように、液滴が乾燥又は固化したパターン(配線パターン形成部38、39)の液滴に対する接触角と、基体表面の液滴に対する接触角の差が小さいと、厚膜化時に基体にまで液滴が濡れ広がりやすく、パターン形状が崩れるので、接触角の差は30°以上が良い。ここでは、銀ナノ粒子パターンを重ねて厚膜化したが、銀ナノ粒子パターンに金ナノ粒子等の異なる金属ナノ粒子パターン同士を重ねて厚膜化することも可能である。また、ここでは一度だけ厚膜化を行ったが、複数回行っても良い。
【0096】
次に、パターン(配線パターン形成部38、39)の導電性を発現するため、200℃に加熱して、配線パターンを備えるパターン形成体を形成した。
本実施例では、この配線パターン形成体に半導体素子41を実装し、デバイスを形成する。チップ実装部にアンダーフィル剤40を塗布し、半導体素子41のバンプ42とパターン形成体の配線端子部を位置合せし、フリップチップボンダで加圧加熱しアンダーフィル剤40を硬化させて、圧接接合した。これにより、パターン形成時にフォトリソ工法を用いずに、配線パターン形成体に半導体素子41を実装したデバイスを得ることができた。
【0097】
本実施例によれば、パターンを領域分割した領域の輪郭形状を有する凸部が基体表面に形成されており、パターンが凸部を跨った構成としているので、パターン幅やパターン端の直線性等の形状を精度良く制御でき、また、パターンの厚膜化も容易にできるので、微細なパターンに好適である。
【0098】
本実施例によれば、凸部を幾何学形状に形成しているので、凸部形状をパターンの輪郭形状に一致させる必要がなく、液滴の着弾位置を変えることにより、パターン形状を幾何学形状の組合せで任意に形成できるため、複雑なパターンを備えることができ、また、パターン変更にも対応しやすい。そのため、小ロット、多品種生産やオンデマンド生産のパターン形成体に好適である。
【0099】
本実施例によれば、パターン幅を凸部の間隔以上としているので、凸部間隔が一定であっても、複数のパターン幅を有するパターンを備えることができる。
【0100】
本実施例によれば、基体表面と凸部を同一材料で形成することにより、基体表面に別部材を用いる必要がなく、また、基体表面形状を形成すると同時に凸部を形成できるため、安価に提供することができる。
【0101】
本実施例によれば、凸部間におけるパターン膜厚を凸部高さより大きくしているので、パターン表面の段差を小さくすることができる。
【0102】
本実施例によれば、基体表面の液滴に対する接触角が、液滴が乾燥又は固化したパターンの液滴に対する接触角より30°以上大きくしているので、パターン上に液滴を着弾させたときに基体表面に液滴が濡れ広がるのを防止できるため、厚膜でもパターンの形状精度を保つことができる。
【0103】
本実施例によれば、パターンを粒径100nm以下の金属ナノ粒子を融着させた導電体としているので、液滴中の粒子サイズが小さいため、ノズルの詰まりが少なく、生産性が落ちることが少ない。また、複雑なパターンでもパターン形状精度がよく、パターン間隔が狭くても短絡しない。すなわち、微細配線に好適な導電体パターンを備えることができる。また、ナノ粒子は、バルクに比べ大幅な低温で溶融することが知られている。例えば、流動体が金属の粒子と溶媒等の有機物にて構成されている場合、溶媒等を乾燥等で除去し金属粒子を融着・固化させることで導電体を形成することができる。しかし、通常の金属粒子では、400℃程度で融着するのに対し、金属ナノ粒子の場合、表面活性力が大きく150℃程度の低温でも融着するため、基体として樹脂を用いることができる。
【0104】
本実施例によれば、本発明を適用したパターン形成体を基板又は接続部として用いたデバイスを提供することができる。
【0105】
本実施例によれば、パターン形状に応じ、パターン形成材料を含有した液滴の吐出位置を制御して、液滴を基体表面の凸部上又は凸部間に着弾させ、液滴を凸部上または凸部間に濡れ広がさせてパターン形状を形成しているので、パターン形成体を容易に製造することができる。
【0106】
本実施例によれば、パターン形状を形成した後に、パターン上に更にパターン形成材料を含有した液滴を着弾させて、パターンを厚膜化しているので、凸部での分離がない厚膜パターンを備えるパターン形成体を容易に製造することができる。
【0107】
本実施例によれば、基体又は基体表面が樹脂で形成されており、樹脂が溶融又は軟化状態のときに、凸形状の反転形状を有する型の形状を転写させて、基体表面の凸形状を形成しているので、パターン形成体の基体表面の凸部を簡単かつ安価に製造することができる。
【0108】
<実施例6>
本実施例は、実施形態1の変形例である。実施形態1との共通点については説明を省略し、本実施例の特徴部分(本実施例のデバイスとその製造方法)を図8(a)、(b)を用いて以下に説明する。図8(a)は、本実施例におけるパターン形成体を備えたデバイスの上面図である。図8(b)は、本実施例におけるパターン形成体を備えたデバイスの断面図である。図8(a)、(b)に示すように、本実施例のデバイスは、デバイス43、44同士をパターン形成体(基体1)で接続し一体化した構成としている。
【0109】
まず、デバイス43、44同士をパターン形成体の基体で一体化する。
具体的には、熱硬化性接着剤等でデバイス43、44同士を接着し、熱硬化接着剤等をパターン形成体の基体1とする。この時、デバイス43、44の厚み方向に段差が生じた場合は、基体1上に再度熱硬化性接着剤等を塗布し、段差を無くしておくのが良い。
【0110】
次に、実施例4と同様に、基体表面をブラシ又は研磨パッド等で一方向に擦り、表面の一部を研削することで、基体表面に平行線状の凹凸(凸部48)を形成する。この時、デバイス43、44の端子部の位置ずれに対応した方向に擦る。この凸部48の高さは0.1〜0.2μmであった。
次に、一方のデバイス43(44)の配線パターン端子部45(46)からもう一方のデバイス44(43)の配線パターン端子部46(45)まで、インクジェットノズル又は一体化したデバイス(デバイス43、44)の位置を変えながら、銀ナノインク(住友電工製)を吐出し、基体表面の凹凸部(凸部48)に着弾させた。
【0111】
このときの、配線パターン47のピッチは約85μmであるため、300dpiで並んだマルチノズルを備えるインクジェットヘッドを使用した。この様に、パターンピッチとノズルピッチをほぼ等しくしているため、インクジェットノズル又は基体1の移動を少なくでき、生産性良くパターンを形成できた。また、パターンピッチの整数倍又は整数分の1と等しいピッチのノズルを備えるインクジェットヘッドを用いても、生産性を向上することができる。
【0112】
インクを乾燥させたパターン(配線パターン47)の平均厚さは1μmであり、また、凹凸形状や着弾位置のばらつきによると思われるパターン端(配線パターン47端)のうねりはあるものの、パターン幅は42±4μmとパターン端のうねりを小さくできた。尚、基体表面に凹凸を形成せずに同様にパターンを形成したところ、インクの濡れ広がりが大きく、隣接パターンが短絡した箇所もあった。
【0113】
次に、パターン(配線パターン47)の導電性を発現するため、200℃に加熱して、導電パターン(配線パターン47)を備えるパターン形成体を形成した。
これにより、デバイス43、44同士が機械的に一体化するとともに電気的にも接続できた。以上のように、本発明のパターン形成体を接続部として用いることにより、接続部にフォトリソ工程を使用せず、デバイス43、44間の位置ずれにも容易に対応できるので、接続部の配線ピッチが微細になっても安価なデバイスを提供することができる。すなわち、本発明は、ピエゾ、センサー、表示素子等とその回路基板を一体化するデバイスに好適である。
【0114】
本実施例によれば、パターンを領域分割した領域の輪郭形状を有する凸部が基体表面に形成されており、パターンが凸部を跨った構成としているので、パターン幅やパターン端の直線性等の形状を精度良く制御でき、また、パターンの厚膜化も容易にできるので、微細なパターンに好適である。
【0115】
本実施例によれば、凸部を幾何学形状に形成しているので、凸部形状をパターンの輪郭形状に一致させる必要がなく、液滴の着弾位置を変えることにより、パターン形状を幾何学形状の組合せで任意に形成できるため、複雑なパターンを備えることができ、また、パターン変更にも対応しやすい。そのため、小ロット、多品種生産やオンデマンド生産のパターン形成体に好適である。
【0116】
本実施例によれば、パターン幅を凸部の間隔以上としているので、凸部間隔が一定であっても、複数のパターン幅を有するパターンを備えることができる。
【0117】
本実施例によれば、凸部を平行線形状に形成しているので、形状精度の良いライン状パターンを備えることができる。
【0118】
本実施例によれば、基体表面と凸部を同一材料で形成することにより、基体表面に別部材を用いる必要がなく、また、基体表面形状を形成すると同時に凸部を形成できるため、安価に提供することができる。
【0119】
本実施例によれば、凸部間におけるパターン膜厚を凸部高さより大きくしているので、パターン表面の段差を小さくすることができる。
【0120】
本実施例によれば、パターンを粒径100nm以下の金属ナノ粒子を融着させた導電体としているので、液滴中の粒子サイズが小さいため、ノズルの詰まりが少なく、生産性が落ちることが少ない。また、複雑なパターンでもパターン形状精度がよく、パターン間隔が狭くても短絡しない。すなわち、微細配線に好適な導電体パターンを備えることができる。また、ナノ粒子は、バルクに比べ大幅な低温で溶融することが知られている。例えば、流動体が金属の粒子と溶媒等の有機物にて構成されている場合、溶媒等を乾燥等で除去し金属粒子を融着・固化させることで導電体を形成することができる。しかし、通常の金属粒子では、400℃程度で融着するのに対し、金属ナノ粒子の場合、表面活性力が大きく150℃程度の低温でも融着するため、基体として樹脂を用いることができる。
【0121】
本実施例によれば、パターン形状に応じ、パターン形成材料を含有した液滴の吐出位置を制御して、液滴を基体表面の凸部上又は凸部間に着弾させ、液滴を凸部上または凸部間に濡れ広がさせてパターン形状を形成しているので、パターン形成体を容易に製造することができる。
【0122】
本実施例によれば、基体表面をブラシや研磨パッド等で一方向に擦り、基体表面に平行線状の凹凸形状を形成しているので、平行線状パターンを備えるパターン形成体に好適な凸部を簡単かつ安価に製造することができる。
【0123】
本実施例によれば、凸部のピッチ又はパターンのピッチの、整数倍又は整数分の一と等しいピッチのノズルを備えるインクジェットヘッドを用いて液滴を吐出し、パターンを形成しているので、ノズル又は基体の移動を少なくできるので、パターン形成体を短時間かつ安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】(a)は、本実施形態のパターン形成体について説明するための断面図である。(b)は、本実施形態のパターン形成体について説明するための断面図である。(c)は、本実施形態のパターン形成体について説明するための断面図である。(d)は、本実施形態のパターン形成体について説明するための断面図である。
【図2】(a)は、第1の実施例における第1のパターン形成体の断面図である。(b)は、第1の実施例における第1のパターン形成体の上面図である。
【図3】第1の実施例における第2のパターン形成体の断面図である。
【図4】(a)は、第2の実施例における第1のパターン形成体の上面図である。図4(b)は、第2の実施例における第2のパターン形成体の上面図である。図4(c)は、第2の実施例における第3のパターン形成体の上面図である。
【図5】第3の実施例におけるパターン形成体の上面図である。
【図6】(a)は、第4の実施例におけるパターン形成体の断面図である。(b)は、第4の実施例におけるパターン形成体の上面図である。
【図7】第5の実施例におけるパターン形成体を備えたデバイスの断面図である。
【図8】(a)は、第6の実施例におけるパターン形成体を備えたデバイスの上面図である。(b)は、第6の実施例におけるパターン形成体を備えたデバイスの断面図である。
【符号の説明】
【0125】
1 基体
2 凸部
3、4、5、6、7、8 液滴
9、10、11 パターン形成部
12、13、14 パターン形成部
15、16、17 パターン形成部
18、19 パターン形成部
20、21 凹部
22、23、24 パターン形成部
25、26、27 パターン形成部
28、29、30 パターン形成部
31、32、33 パターン形成部
34 凸部
35、36、37 パターン形成部
38、39 パターン形成部
40 アンダーフィル剤
41 半導体素子
42 バンプ
43、44 デバイス
45、46 デバイス配線パターン端子部
47 配線パターン
48 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン形成材料を含有した液滴を基体表面に付着させ、前記液滴を固化して形成したパターン形成部を有するパターン形成体であって、
パターンを領域分割した領域の輪郭形状を有する凸部が基体表面に形成されており、少なくとも1つのパターンが凸部を跨って形成されることを特徴とするパターン形成体。
【請求項2】
前記凸部は幾何学形状を有することを特徴とする請求項1記載のパターン形成体。
【請求項3】
前記幾何学形状は平行線形状であることを特徴とする請求項2記載のパターン形成体。
【請求項4】
前記幾何学形状は格子状であることを特徴とする請求項2記載のパターン形成体。
【請求項5】
前記幾何学形状は複数の三角形の辺を組合せた形状であることを特徴とする請求項2記載のパターン形成体。
【請求項6】
前記パターン形成部のパターン幅が前記凸部の間隔以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のパターン形成体。
【請求項7】
前記基体表面と前記凸部が同一材料で形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のパターン形成体。
【請求項8】
前記凸部間における前記パターン形成部の膜厚が前記凸部の高さより高いことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のパターン形成体。
【請求項9】
前記基体表面の前記液滴に対する接触角が、該液滴が乾燥又は固化した前記パターン形成部の液滴に対する接触角より30°以上大きいことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のパターン形成体。
【請求項10】
前記パターン形成部が金属ナノ粒子を融着させた導電体であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のパターン形成体。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の前記パターン形成体を、基板又は接続部として用いることを特徴とするデバイス。
【請求項12】
パターン形状に応じて、パターン形成材料を含有した液滴の吐出位置を制御して、前記液滴を基体表面の凸部上又は凸部間に着弾させ、該液滴を前記凸部上又は凸部間に濡れ広がさせてパターン形成部を形成することを特徴とするパターン形成体の製造方法。
【請求項13】
パターン形成部を形成した後に、パターン形成材料を含有した液滴を着弾させて、前記パターン形成部を厚膜化することを特徴とするパターン形成体の製造方法。
【請求項14】
基体又は基体表面が樹脂で形成されており、前記樹脂が溶融又は軟化状態であるときに、凹形状を有する型の形状を転写させて、前記樹脂により凸形状を形成することを特徴とするパターン形成体の製造方法。
【請求項15】
基体表面をブラシ又は研磨パッドで一方向に擦り、前記基体表面に平行線状の凹凸形状を形成することを特徴とするパターン形成体の製造方法。
【請求項16】
凸部間のピッチ又はパターンのピッチの、整数倍又は整数分の1と等しいピッチのノズルを備えるインクジェットヘッドを用いて液滴を吐出してパターンを形成することを特徴とするパターン形成体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−42720(P2007−42720A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222626(P2005−222626)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】