説明

パチンコ機

【課題】振分装置による遊技球の振分け先の異常な偏りを検知できるパチンコ機を提供すること。
【解決手段】振分装置は、遊技球の入口と、第1始動口の真上で開口した第1出口と、第2始動口の真上で開口した第2出口と、入口と第1,第2出口の間に介在して設けられ入口から入った遊技球の進路を第1出口と第2出口に交互に振り分ける振分部材と備える。振分部材と第1出口の間には遊技球の通過を検知する第1通過検知センサ161が設けられ、振分部材と第2出口の間には遊技球の通過を検知する第2通過検知センサ162が設けられ、主制御処理部110は、第1通過検知センサ161により検知された遊技球の個数と第2通過検知センサ162により検知された遊技球の個数との差が所定の許容差を超えたことを異常と判定する振分異常判定手段160を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球が流下する遊技領域に特別図柄の変動開始の契機を生じさせるための第1始動口および第2始動口と、遊技球の進路を第1始動口の方向と第2始動口の方向とに交互に振り分ける振分装置とを備えるパチンコ機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコ機は、遊技球が流下する遊技領域と、この遊技領域に設けられた第1始動口および第2始動口と、第1始動口への遊技球の入賞を検知する第1始動口センサと、第2始動口への遊技球の入賞を検知する第2始動口センサと、特別図柄用当否乱数を発生させる特別図柄用当否乱数発生手段と、第1始動口センサにより遊技球が検知された場合に、特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を用いて当否の電子抽選を行う第1特別図柄用当否抽選手段と、第2始動口センサにより遊技球が検知された場合に、特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を用いて当否の電子抽選を行う第2特別図柄用当否抽選手段とを備える。さらに、第1特別図柄用当否抽選手段または第2特別図柄用当否抽選手段による電子抽選の結果に基づいて決定された特別図柄を、変動させた後に停止させるという態様で表示するよう制御される特別図柄表示装置と、第1特別図柄用当否抽選手段または第2特別図柄用当否抽選手段による電子抽選で当りに当選し、この当りを示す特別図柄が停止して表示された場合に、大入賞口を所定の複数ラウンドだけ開放させて遊技者に大当り遊技を提供するよう制御されるアタッカ装置とを備える。
【0003】
第1始動口への遊技球の入賞時には、第1始動口に予め対応付けられた個数の賞球が発生する。これと同様に第2始動口への遊技球の入賞時には、第2始動口に予め対応付けられた個数の賞球が発生する。また、大入賞口への遊技球の入賞時には、第1始動口への遊技球の入賞時および第2始動口への遊技球の入賞時よりも多くの個数の賞球が発生する。したがって、大当り遊技において大入賞口に何個もの遊技球を入賞させることができれば、遊技者は多くの賞球を獲得することができるのである。
【0004】
第1,第2特別図柄用当否抽選手段は、特別図柄の変動中に特別図柄用当否乱数を取得した場合に、その特別図柄用当否乱数を所定の上限個数(例えば4個)まで保留球乱数として順次記憶するようになっている。第1特別図柄用当否抽選手段における保留球乱数の記憶個数が上限個数に達した状態において、特別図柄の変動中に第1始動口に遊技球が入賞した場合、賞球は発生するものの、その入賞に基づいて保留球乱数を第1特別図柄用当否抽選手段が記憶するということは行われず、したがって、その入賞は第1特別図柄用当否抽選手段による電子抽選の契機としては無効なものとして処理される。これと同様に、第2特別図柄用当否抽選手段における保留球乱数の記憶個数が上限個数に達した状態において、特別図柄の変動中に第2始動口に遊技球が入賞した場合も、賞球は発生するものの、その入賞は第2特別図柄用当否抽選手段による電子抽選の契機としては無効なものとして処理される。このため、遊技者にとっては、保留球乱数の記憶個数が上限個数に達していない特別図柄用当否判定手段と対応関係にある始動口に遊技球を入賞させることができるのが望ましい。
【0005】
ところが、一般的なパチンコ機において第2始動口は所定の遊技状態以外の場合、遊技球を入賞させることは困難な状態に維持されるため、その所定の遊技状態以外の場合、第1特別図柄用当否抽選手段における保留球乱数の記憶個数が上限個数に達したときには、第1始動口への遊技球の入賞が第1特別図柄用当否抽選手段による電子抽選の契機としては無効に処理されるという事態を避けるため、遊技球の発射を止めるのが得策ということになる。この場合、第2特別図柄用当否抽選手段における保留球乱数の記憶個数の空きは有効に利用されない。
【0006】
これに対し、特許文献1に開示されたパチンコ機のように、遊技球を第1始動口と第2始動口とに交互に振り分ける振分装置が設けられていれば、第1特別図柄用当否抽選手段および第2特別図柄用当否抽選手段のそれぞれにおける保留球乱数の記憶個数が交互に1個ずつ増加するので、第1特別図柄用当否抽選手段および第2特別図柄用当否抽選手段の両方における保留球乱数の記憶個数の空きが有効に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−104564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
振分装置による遊技球の振分け先は、不正な方法で賞球を獲得しようとするゴト行為により振分装置が破壊されたり操作されたりした場合、または、振分装置が故障した場合に、第1始動口の方向および第2始動口の方向のいずれか一方に異常に偏ることがある。特許文献1に開示されたパチンコ機においては、振分装置による遊技球の振分け先に異常な偏りが発生した場合の対策について、何も講じられていなかった。
【0009】
なお、振分装置による遊技球の振分け先を偏らせるゴト行為は、第1始動口への遊技球の入賞と第2始動口への遊技球の入賞とに遊技者にとっての有利不利が存在する場合、すなわち、第1始動口への遊技球の入賞に基づく当りの種類の内訳と、第2始動口への遊技球の入賞に基づく当りの種類の内訳とが、大当り遊技のラウンド数の違いや、大当り遊技終了後の遊技状態の違いによって異なって設定されている場合や、第1始動口への遊技球の入賞時に発生する賞球個数と第2始動口への遊技球の入賞時に発生する賞球個数とが異なって設定されている場合に、行われることが考えられる。つまり、ピアノ線などにより振分装置を操作や破壊して、第1始動口と第2始動口のうちの有利な方の始動口に遊技球が入賞しやすい状態をつくるのである。
【0010】
本発明は前述の事情を考慮してなされたものであり、その目的は、振分装置による遊技球の振分けの先の異常な偏りを検知できるパチンコ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的を達成するために本発明に係るパチンコ機は次のように構成されている。
【0012】
〔1〕 本発明に係るパチンコ機は、遊技球が流下する遊技領域と、この遊技領域に設けられた第1始動口および第2始動口と、前記第1始動口への遊技球の入賞を検知する第1始動口センサと、前記第2始動口への遊技球の入賞を検知する第2始動口センサと、特別図柄用当否乱数を発生させる特別図柄用当否乱数発生手段と、前記第1始動口センサにより遊技球が検知された場合に、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を用いて当否の電子抽選を行う第1特別図柄用当否抽選手段と、前記第2始動口センサにより遊技球が検知された場合に、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を用いて当否の電子抽選を行う第2特別図柄用当否抽選手段と、前記第1特別図柄用当否抽選手段または前記第2特別図柄用当否抽選手段による電子抽選の結果に基づいて決定された特別図柄を、変動させた後に停止させるという態様で表示するよう制御される特別図柄表示装置と、前記遊技領域に設けられ、前記第1特別図柄用当否抽選手段または前記第2特別図柄用当否抽選手段による電子抽選で当りに当選した場合に、大入賞口を所定のラウンド数だけ開放させて大当り遊技を遊技者に提供するよう制御されるアタッカ装置とを備え、前記第1特別図柄用当否抽選手段は、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を、前記第1始動口センサにより遊技球が検知されたことを契機に取得する第1特別図柄用当否乱数取得手段と、この第1特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数の当否を判定する第1特別図柄用当否判定手段と、特別図柄の変動中に前記第1特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数を、所定の上限個数まで第1特別図柄用保留球乱数として順次記憶する第1特別図柄用保留記憶手段とを備え、前記第2特別図柄用当否抽選手段は、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を、前記第2始動口センサにより遊技球が検知されたことを契機に取得する第2特別図柄用当否乱数取得手段と、この第2特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数の当否を判定する第2特別図柄用当否判定手段と、特別図柄の変動中に前記第2特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数を、所定の上限個数まで第2特別図柄用保留球乱数として順次記憶する第2特別図柄用保留記憶手段とを備えるパチンコ機において、遊技球の進路を前記第1始動口の方向と前記第2始動口の方向とに交互に振り分ける振分装置と、この振分装置による振分けの偏りの異常を検知する異常検知手段とを備え、前記振分装置は、前記遊技球の入口と、前記第1始動口の真上で開口した第1出口と、前記第2始動口の真上で開口した第2出口と、前記入口と前記第1,第2出口の間に介在して設けられ、前記入口から入った遊技球の進路を前記第1出口と前記第2出口に交互に振り分ける振分部材とを備え、前記異常検知手段は、前記第1出口と前記振分部材の間に位置して遊技球の通過を検知する第1通過検知センサと、前記第2出口と前記振分部材の間に位置して遊技球の通過を検知する第2通過検知センサと、前記第1通過検知センサにより検知された遊技球の個数と前記第2通過検知センサにより検知された遊技球の個数との差が所定の許容差を超えたことを異常と判定する振分異常判定手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
この「〔1〕」に記載のパチンコ機において、振分装置は振分部材によって、入口から入った遊技球の進路を第1出口と第2出口に交互に振り分ける。異常検知手段は振分装置による遊技球の進路の振分けが繰り返されている間、振分部材と第1出口の間を通過する遊技球を第1通過検知センサにより検知し、振分部材と第2出口の間を通過する遊技球を第2通過検知センサにより検知する。この間、振分異常判定手段は、第1通過検知センサにより検知された遊技球の個数と第2通過検知センサにより検知された遊技球の個数との差が所定の許容差を超えたことを異常と判定する。ここで、所定の許容差は、振分装置の振分けの製造誤差を考慮して設定される許容値である。つまり、「〔1〕」に記載のパチンコ機は、第1通過検知センサにより検知された遊技球の個数と第2通過検知センサにより検知された遊技球の個数との差が所定の許容差を超えたことを、振分装置による遊技球の振分け先の異常な偏りとして検知することができる。
【0014】
〔2〕 本発明に係るパチンコ機は、遊技球が流下する遊技領域と、この遊技領域に設けられた第1始動口および第2始動口と、前記第1始動口への遊技球の入賞を検知する第1始動口センサと、前記第2始動口への遊技球の入賞を検知する第2始動口センサと、特別図柄用当否乱数を発生させる特別図柄用当否乱数発生手段と、前記第1始動口センサにより遊技球が検知された場合に、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を用いて当否の電子抽選を行う第1特別図柄用当否抽選手段と、前記第2始動口センサにより遊技球が検知された場合に、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を用いて当否の電子抽選を行う第2特別図柄用当否抽選手段と、前記第1特別図柄用当否抽選手段または前記第2特別図柄用当否抽選手段による電子抽選の結果に基づいて決定された特別図柄を、変動させた後に停止させるという態様で表示するよう制御される特別図柄表示装置と、前記遊技領域に設けられ、前記第1特別図柄用当否抽選手段または前記第2特別図柄用当否抽選手段による電子抽選で当りに当選した場合に、大入賞口を所定のラウンド数だけ開放させて大当り遊技を遊技者に提供するよう制御されるアタッカ装置とを備え、前記第1特別図柄用当否抽選手段は、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を、前記第1始動口センサにより遊技球が検知されたことを契機に取得する第1特別図柄用当否乱数取得手段と、この第1特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数の当否を判定する第1特別図柄用当否判定手段と、特別図柄の変動中に前記第1特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数を、所定の上限個数まで第1特別図柄用保留球乱数として順次記憶する第1特別図柄用保留記憶手段とを備え、前記第2特別図柄用当否抽選手段は、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を、前記第2始動口センサにより遊技球が検知されたことを契機に取得する第2特別図柄用当否乱数取得手段と、この第2特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数の当否を判定する第2特別図柄用当否判定手段と、特別図柄の変動中に前記第2特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数を、所定の上限個数まで第2特別図柄用保留球乱数として順次記憶する第2特別図柄用保留記憶手段とを備えるパチンコ機において、遊技球の進路を前記第1始動口の方向と前記第2始動口の方向とに交互に振り分ける振分装置と、この振分装置による振分けの偏りの異常を検知する異常検知手段とを備え、前記振分装置は、前記遊技球の入口と、前記第1始動口の真上で開口した第1出口と、前記第2始動口の真上で開口した第2出口と、前記入口と前記第1,第2出口の間に介在して設けられ前記入口から入った遊技球の進路を前記第1出口と第2出口に交互に振り分ける振分部材とを備え、前記異常検知手段は、前記第1始動口センサにより検知された遊技球の個数と前記第2始動口センサにより検知された遊技球の個数との差が所定の許容差を超えたことを異常と判定する入賞異常判定手段を備えることを特徴とする。
【0015】
この「〔2〕」に記載のパチンコ機において、振分装置は振分部材によって、入口から入った遊技球の進路を第1出口と第2出口に交互に振り分ける。異常検知手段は振分装置による遊技球の進路の振分けが繰り返されている間、第1始動口に入賞した遊技球を第1始動口センサにより検知し、第2始動口に入賞した遊技球を第2始動口センサにより検知する。この間、異常入賞判定手段は、第1始動口センサにより検知された遊技球の個数と第2始動口センサにより検知された遊技球の個数との差が所定の許容差を超えたことを異常と判定する。ここで、所定の許容差は、振分装置の振分けの製造誤差、第1出口から第1始動口への遊技球の入賞のしやすさ、および、第2出口から第2始動口への遊技球の入賞のしやすさを考慮して設定される許容値である。つまり、「〔2〕」に記載のパチンコ機は、第1始動口センサにより検知された遊技球の個数と第2始動口センサにより検知された遊技球の個数との差が所定の許容差を超えたことを、振分装置による遊技球の振分け先の異常な偏りとして検知することができる。
【0016】
〔3〕 本発明は「〔1〕」または「〔2〕」に記載のパチンコ機において、前記異常検知手段により異常が検知されたことを報知する報知手段を備えることを特徴とする。
【0017】
この「〔3〕」に記載のパチンコ機によれば、異常検知手段により異常が検知されたことを、すなわち振分装置の振分け先に異常な偏りが生じたことを報知手段が報知するので、遊技場内のスタッフは、振分装置を破壊したり操作したりすることによるゴト行為、または、ゴト行為に起因しない振分装置の故障に迅速に対応することができる。
【発明の効果】
【0018】
「〔1〕」に記載のパチンコ機によれば、前述のように、第1通過検知センサにより検知された遊技球の個数と第2通過検知センサにより検知された遊技球の個数との差が所定の許容差を超えたことを、振分装置による遊技球の振分け先の異常な偏りとして検知することができる。これにより、振分装置を破壊したり操作したりすることによるゴト行為、および、ゴト行為に起因しない振分装置の故障を検知することができる。
【0019】
「〔2〕」に記載のパチンコ機によれば、前述のように、第1始動口センサにより検知された遊技球の個数と第2始動口センサにより検知された遊技球の個数との差が所定の許容差を超えたことを、振分装置による遊技球の振分け先の異常な偏りとして検知することができる。これにより、振分装置を破壊したり操作したりすることによるゴト行為、および、ゴト行為に起因しない振分装置の故障を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係るパチンコ機の外観斜視図である。
【図2】図1に示したパチンコ機のガラス扉および前面ボードが開けられた状態の外観斜視図である。
【図3】図1に示したパチンコ機の背面図である。
【図4】図2に示した遊技盤の盤面の構成を示す図である。
【図5】図4に示した振分装置の拡大前面図である。
【図6】図5に示した振分装置の前面側の斜視図である。
【図7】図5に示した振分装置の側面図である。
【図8】図7のVIII−VIII断面図である。
【図9】図6に示した振分装置の分解斜視図である。
【図10】図9に示した振分装置を背面側から見た状態を示す図である。
【図11】図1に示したパチンコ機の制御系の構成を示すブロック図である。
【図12】図11に示した第1特別図柄用当否電子抽選手段の構成を示すブロック図である。
【図13】図11に示した第1特別図柄決定手段の構成を示すブロック図である。
【図14】図11に示した第1,第2特別図柄決定手段による当りの内訳を示す図である。
【図15】図11に示した振分異常判定手段および報知制御手段による処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】本発明の第2実施形態に係るパチンコ機の制御系の構成を示すブロック図である。
【図17】図16に示した入賞異常判定手段および報知制御手段による処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1,第2実施形態に係るパチンコ機について図を用いて説明する。以下の説明において各部の左右方向はパチンコ機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。
【0022】
[第1実施形態]
第1実施形態に係るパチンコ機について図1〜図15を用いて説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るパチンコ機1は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠2と、この機枠2に開き戸状に開閉自在に取り付けられた本体枠3と、本体枠3の前面に開き戸状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きなガラス窓4aが形成されたガラス扉4と、本体枠3の下部に開き戸状に開閉自在に設けられ、遊技球を収容する受皿6を有する前面ボード5と、この前面ボード5から前方に突出して設けられたハンドル7とを備える。ガラス扉4の左右両縁部には電飾70が設けられている。また、ガラス扉4の上部および本体枠5の左下部にはスピーカ71が設けられている。
【0024】
図2に示すように、本体枠3の内側には、遊技盤30が収容されている。この遊技盤30の前面には、遊技領域31が形成されている。この遊技領域31は遊技球を滑走させる外レール32と内レール33によって略円形に区画形成されている。遊技領域31全体は前出のガラス窓4aを通じて見ることができるようになっている。
【0025】
遊技盤30の下方には、打撃槌(図示していない)により遊技球を打撃して発射する発射装置10が設けられている。この発射装置10には受皿6から遊技球が1個ずつ供給されるようになっている。発射装置10に遊技球が供給された状態でハンドル7(図1参照)が回動操作されると、発射装置10はハンドル7の回動量に応じた発射強度で遊技球を外レール32に向かって打ち出し、これにより遊技球は外レール32に沿って遊技領域31に導かれる。なお、図2においては、遊技領域31内の構成の図示を省略した。
【0026】
図4に示すように、遊技領域31内には、特別図柄表示装置40、普通図柄表示装置41、視認窓50a、ステージ51、第1始動口61、第2始動口62、アタッカ装置63、スルーチャッカ64、一般入賞口65、アウト口66、遊技釘67、風車68およびガイド板69が設けられている。
【0027】
第1始動口61および第2始動口62は遊技盤30の盤面に左右方向に並んで設けられている。これら第1始動口61および第2始動口62は特別図柄に係る電子抽選の契機を生じさせるためのものである。第2始動口62は開閉自在な1対の羽根部材から成る電動チューリップ62aの中央に位置する。電動チューリップ62aはソレノイドにより駆動されることによって、図4に示す閉じた状態から開く。電動チューリップ62aが閉じた状態は、第2始動口62に真上から流下してくる遊技球だけが、第2始動口62に入賞可能な状態である。電動チューリップ62aが開いた状態は、第2始動口62に真上から流下してくる遊技球が第2始動口62に入賞するだけでなく、第2始動口62の左斜め上方や右斜め上方を流下する遊技球も電動チューリップ62aにより第2始動口62に導かれて入賞する状態である。
【0028】
特別図柄表示装置40は、特別図柄を変動させた後に停止させるという態様で表示するよう制御されるものであり、第1実施形態においてはセグメント表示器である。特別図柄表示装置40は、第1始動口61への遊技球の入賞に基づいて行われた電子抽選の結果、または、第2始動口62への遊技球の入賞に基づいて行われた電子抽選の結果を、特別図柄の変動を停止させて示すのである。
【0029】
アタッカ装置63は、大入賞口63aをフラップ状の蓋体部材により開閉するものであり、第1始動口61への遊技球の入賞に基づいて行われた電子抽選で当りに当選した場合、または、第2始動口62への遊技球の入賞に基づいて行われた電子抽選で当りに当選した場合に、大入賞口63aを所定回数だけ開放されるよう制御されるものである。
【0030】
普通図柄表示装置41は、普通図柄を変動させた後に停止させるという態様で表示するよう制御されるものである。スルーチャッカ64は普通図柄に係る電子抽選の契機を生じさせる遊技球のゲートであり、普通図柄表示装置41は遊技球がスルーチャッカ64を通過したことに基づいて行われた電子抽選の結果を、普通図柄の変動を停止させて示すのである。普通図柄に係る電子抽選で当りに当選した場合に、前述の電動チューリップ62aが開くよう制御される。遊技領域31においては、遊技球が遊技領域31の右端に向かって発射された場合、いわゆる右打ちが行われた場合、その遊技球はスルーチャッカ64を通過し、これに伴って普通図柄に係る電子抽選が行われ、この電子抽選に当りに当選した場合に電動チューリップ62aは開く。遊技球はスルーチャッカ64を通過した後、大入賞口63に入賞しなかった場合に、ガイド板69および遊技釘67に導かれて第2始動口62の方向に流下する。このとき、電動チューリップ62aが開いていれば、遊技球は電動チューリップ62aに導かれて第2始動口62に入賞するのである。
【0031】
視認窓50aは遊技盤30の略中央部に設けられている。この視認窓50aの後方には演出表示装置50が設けられている。第1実施形態において演出表示装置50は液晶表示装置であり、特別図柄に係る電子抽選を演出する映像を表示するよう制御されるものである。その映像を遊技者は視認窓50aを通じて見ることができる。その映像の中にはダミー図柄が含まれ、このダミー図柄は変動した後に停止するという態様で表示される。この態様は特別図柄の変動と停止に同期するようになっている。なお、前述の特別図柄表示装置40は演出表示装置50の視認窓50aから離れて遊技領域31の左下部に設けられていることにより、視認窓50aから見える映像と特別図柄表示装置40に表示される特別図柄とが同時に遊技者の視界に入らないようになっている。
【0032】
ステージ51は視認窓50aの下方に広がっている。このステージ51は、ここに載った遊技球を転動させながら一時的に滞在させるよう形成された構造物である。このステージ51の下方には振分装置80が設けられている。ステージ51の中央には溝51aが形成されていて、この溝51aの真下に位置する振分装置80の上部中央の箇所には、遊技球の入口84が設けられている。つまり、ステージ51と振分装置80の配置は、ステージ51の溝51aから落下した遊技球が高い確率で振分装置80の入口84に入るよう設定されている。振分装置80は、入口84から入った遊技球の進路を、第1始動口61の方向と第2始動口62の方向とに交互に振り分けるものであり、その構成を図4〜図10を用いて次に説明する。
【0033】
振分装置80は、遊技盤31の盤面にネジ留めされた基台81と、この基台81の前面に固着された前面カバー82とを備える。前面カバー82と基台81との間には、遊技球を一時的に収容する空間83(図8参照)が形成されている。前面カバー82の上部中央には空間83への遊技球の入口84(図6参照)が形成されている。基台81には、この基台81の前面で開口し上下方向に延びた溝状の第1通路81aおよび第2通路81bが、左右方向に並んで設けられている(図8,図9参照)。これらの第1通路81aと第2通路81bとの左右方向の間隔は、第1始動口61と第2始動口62左右方向の間隔と同じに設定されている。前面カバー82は基台81に対して第1通路81aおよび第2通路81bの上側の略半分を覆って位置する(図5,図8参照)。第1通路81aの上側の略半分は空間83の左隅に対して遊技球が通過可能な広さで開口した開口部81a1を成していて、第2通路81bの上側の略半分は空間83の右隅に対して遊技球の通過が可能な広さで開口した開口部81b1を成している(図8参照)。前面カバー82の下方において、第1通路81aの下側の略半分は第1始動口61の真上で前方に向かって開口した第1出口85を成していて、第2通路81bの下側の略半分は第2始動口62の真上で前方に向かって開口した第2出口86を成している(図4,図5,図8参照)。つまり、遊技球は入口84から空間83内に入った後に左方向に転動した場合に、開口部81a1から第1通路81aに入り、この第1通路81a内で第1出口85に向かって転動し、この第1出口85か第1始動口61の方向に落下するのである。逆に、遊技球は入口84から空間83内に入った後に右方向に転動した場合に、開口部81b1から第2通路81bに入り、この第1通路81a内で第2出口86に向かって転動し、この第2出口86から第2始動口62の方向に落下するのである。
【0034】
振分装置80はさらに、空間83内に振分部材87を備える(図8参照)。この振分部材87は、入口84と第1通路81aおよび第2通路81bとの間、すなわち入口84と第1出口85および第2出口86との間に介在して設けられている。基台81の前面には、軸孔81c(図9参照)が設けられている。振分部材87の中央には軸部87aが設けられていて、この軸部87aが基台81の軸孔81cに回動自在に挿入されることによって、振分部材87は空間83内で矢印F方向に回動自在となっている。軸部87aの外周面からは、等角度間隔をあけて3方向に振分片87b1〜87b3(図8参照)が延びている。
【0035】
振分部材87の振分片87b1の先端部の背面には、後方向に突出したガイド軸部87cが設けられている(図9,図10参照)。基台81には、軸孔81cと同心の円弧状に延びたガイド孔81dが、基台81を前後方向に貫通して設けられている(図8〜図10参照)。基台81のガイド孔81dには振分部材87のガイド軸部87cがスライド自在に挿し通されている。振分部材87の真下に位置する前側カバー82の箇所には、空間83内で上方向に突出したストッパ81eが設けられている。
【0036】
基台81の背面側には、リンク機構90と、このリック機構90を基台81の背面との間に収容して基台81に固着された背面カバー93とが設けられている(図9,図10参照)。
【0037】
リンク機構90は、第1リンク部材91と第2リンク部材92とを備える。第1リンク部材91は一方向に延びていて、第2リンク部材92はその第1リンク部材91と交差する方向に延びている。第1リンク部材91の中間部には、前方向に突出した軸部91aと、この軸部91aと同軸で後方向に突出した軸部91bとが設けられていて、これらの軸部91a,91bの位置で第1リンク部材91は基台81と背面カバー93とに回動自在に結合している。この第2リンク部材92の一端には、前方向に突出した軸部92aと、この軸部92aと同軸で後方向に突出した軸部92bとが設けられていて、これらの軸部92a,92bの位置で第2リンク部材92は基台81と背面カバー93とに回動自在に結合している。
【0038】
第1リンク部材91の一端には軸孔91cが第1リンク部材91を前後方向に貫通して設けられている。この軸孔91cには振分部材87のガイド軸部87cが回動自在に挿入されている。第1リンク部材91の一端側(軸孔91c側)とは反対側の他端には長孔91dが第1リンク部材91を前後方向に貫通して設けられている。第2リンク部材92の一端側(軸部92a,92b側)とは反対側の他端には連結軸部92cが後方向に延びて設けられていて、この連結軸部92cは第1リンク部材91の長孔91dにスライド自在に挿入されている。
【0039】
このように構成された振分装置80においては、振分部材87の右側の振分片87b3がそのストッパ81eの右側面に当接した状態において、振分部材87は振分片87b1を右方向に傾け、入口84から落下してきた遊技球を振分片87b1,87b2によって第1通路81aの方向、すなわち第1出口85の方向に導く第1姿勢を成す。逆に、振分部材87の左側の振分片87b2がそのストッパ81eの左側面に当接した状態において、振分部材87は振分片87b1を左方向に傾け、入口84から落下してきた遊技球を振分片87b1,87b3によって第2通路81bの方向、すなわち第2出口86の方向に導く第2姿勢(図7に示す姿勢)を成す。
【0040】
振分部材87が第1姿勢を成した状態において入口84から落下してきた遊技球が振分部材87の左側の振分片87b2に衝突すると、リンク機構90は遊技球から左側の振分片87b2に与えられた衝撃に抗しきれずに振分部材87の姿勢が第1姿勢から第2姿勢に変化することを許し、その後、その第2姿勢を保持する。逆に、振分部材87が第2姿勢を成した状態において入口84から落下してきた遊技球が振分部材87の右側の振分片87b3に衝突すると、リンク機構90は遊技球から右側の振分片87b3に与えられた衝撃に抗しきれずに振分部材87の姿勢が第2姿勢から第1姿勢に変化することを許し、その後、その第1姿勢を保持する。このように入口84から落下してきた遊技球により振分部材87の姿勢が第1姿勢と第2姿勢とに交互に変化させられることによって、遊技球の進路が第1通路81aの方向(第1出口85の方向)と第2通路81bの方向(第2出口86の方向)とに交互に振り分けられるのである。
【0041】
前述のように電動チューリップ62aが閉じた状態は、第2始動口62に真上から流下してくる遊技球だけが、第2始動口62に入賞可能な状態である。したがって、電動チューリップ62aが閉じた状態において、遊技球は振分装置80の第2出口86から落下したときのみ、第2始動口62に入賞可能となる。
【0042】
図3に示すように、パチンコ機1の背面側には、主制御処理部110と、副制御処理部である特別図柄制御処理部200、普通図柄制御処理部201、演出制御処理部202、電飾制御処理部203、音声制御処理部204および払出制御処理部600と、賞球払出装置601とが設けられている。これらの制御処理部110,200〜204,600はいずれも、CPU(Central Processing Unit)、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、CPUにより行われる情報処理作業の記憶領域としてのRAM(Random Access Memory)等を備えたものであり、これらによってパチンコ機1の種々の制御が行われる。また、パチンコ機1の背面側には賞球払出装置601も設けられている。
【0043】
前述の第1始動口61、第2始動口62、大入賞口63a、一般入賞口65およびスルーチャッカ64のそれぞれには、図11に示すように、遊技球の通過を検知する第1始動口センサ101、第2始動口センサ102、大入賞口センサ103、スルーチャッカセンサ104および一般入賞口センサ105のそれぞれが設けられている。これらセンサ101〜105は磁気センサであって、遊技球の検知に伴い球検知信号(電気信号)を出力するようになっている。これらの球検知信号は主制御処理部110に入力されるようになっていて、主制御処理部110は、第1始動口センサ101、第2始動口センサ102、大入賞口センサ103および一般入賞口センサ105のそれぞれからの球検知信号に基づき、第1始動口61、第2始動口62、大入賞口63および一般入賞口64のそれぞれに予め対応付けられた賞球の払出しを指令する払出コマンドを、払出制御処理部600に送出するようになっている。払出制御処理部600は、主制御処理部110からの払出コマンドに基づき賞球が受皿6に払い出されるよう賞球払出装置601を制御するようになっている。入賞球1個の当りの賞球の個数は、第1始動口61、第2始動口62、大入賞口63aおよび一般入賞口65のうちで大入賞口63aが最も多く設定されている。したがって、大当り遊技において大入賞口63aに何個もの遊技球を入賞させることができれば、遊技者は多くの賞球を獲得することができるのである。
【0044】
主制御処理部110は、制御プログラムにより設定された手段として、特別図柄用当否乱数発生手段120と、第1特別図柄用当否抽選手段121と、第2特別図柄用当否抽選手段122とを備える。
【0045】
特別図柄用当否乱数発生手段120は、CPUのクロック周波数に基づき周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいて、ループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることにより、ソフトウェア乱数である特別図柄用当否乱数を発生させるものである。
【0046】
第1特別図柄用当否抽選手段121は、第1始動口センサ101により遊技球が検知された場合に、特別図柄用当否乱数発生手段120により発生された特別図柄用当否乱数を用いて当否の電子抽選を行うものである。具体的には図12に示すように、第1始動口センサ101により遊技球が検知されたことを契機に、すなわち第1始動口センサ101からの球検知信号が主制御処理部110に入力されたタイミングで、特別図柄用当否乱数発生手段120により発生された特別図柄用当否乱数を取得(ラッチ)する第1特別図柄用当否乱数取得手段121aと、この第1特別図柄用当否乱数取得手段121aにより取得された特別図柄用当否乱数の当否を、主制御処理部110のROMに記憶された第1特別図柄用当否判定テーブル121b−1を参照して判定する第1特別図柄用当否判定手段121bと、特別図柄の変動中に第1特別図柄用当否乱数取得手段121aが特別図柄用当否乱数を取得した場合に、その特別図柄用当否乱数を第1特別図柄用保留球乱数として所定の上限個数(第1実施形態においては4個)まで順次、主制御処理部110のRAMに記憶させる第1特別図柄用保留記憶手段121cとを備える。
【0047】
第2特別図柄用当否抽選手段122は、第2始動口センサ102により遊技球が検知された場合に、特別図柄用当否乱数発生手段120により発生された特別図柄用当否乱数を用いて当否の電子抽選を行うものである。具体的には第1特別図柄用当否抽選手段121と同様に構成されたものであって、その構成要素の図示を省略したが、第2始動口センサ102により遊技球が検知されたことを契機に、すなわち第2始動口センサ102からの球検知信号が主制御処理部110に入力されたタイミングで、特別図柄用当否乱数発生手段120により発生された特別図柄用当否乱数を取得(ラッチ)する第2特別図柄用当否乱数取得手段と、この第2特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数の当否を、主制御処理部110のROMに記憶された第2特別図柄用当否判定テーブルを参照して判定する第2特別図柄用当否判定手段と、特別図柄の変動中に第2特別図柄用当否乱数取得手段が特別図柄用当否乱数を取得した場合に、その特別図柄用当否乱数を第2特別図柄用保留球乱数として所定の上限個数(第1実施形態においては4個)まで順次、主制御処理部110のRAMに記憶させる第2特別図柄用保留記憶手段とを備える。
【0048】
第1特別図柄用保留記憶手段121cにおける第1特別図柄用保留球乱数の記憶個数が上限個数に達した状態において、特別図柄の変動中に第1始動口61に遊技球が入賞した場合、賞球は発生するものの、その入賞に基づいて第1特別図柄用保留球乱数を第1特別図柄用保留記憶手段121cが記憶するということは行われず、したがって、その入賞は第1特別図柄用当否抽選手段121による電子抽選の契機としては無効なものとして処理される。これと同様に、第2特別図柄用保留記憶手段における第2特別図柄用保留球乱数の記憶個数が上限個数に達した状態において、特別図柄の変動中に第2始動口62に遊技球が入賞した場合も、賞球は発生するものの、その入賞は第2特別図柄用当否抽選手段122による電子抽選の契機としては無効なものとして処理される。
【0049】
前述のように第1特別図柄用保留記憶手段121cは第1特別図柄用保留球乱数を所定の上限個数(例えば4個)まで記憶し、第2特別図柄用保留記憶手段も第2特別図柄用保留球乱数を所定の上限個数(例えば4個)まで記憶する。したがって、振分装置80により遊技球の進路が第1始動口61の方向と第2始動口62の方向に交互に振り分けられて、第1始動口61と第2始動口62に交互に遊技球が入賞すれば、第1特別図柄用保留記憶手段121cおよび第2特別図柄用保留記憶手段のそれぞれにおける保留球乱数の記憶個数が交互に1個ずつ増加することになる。これにより、第1特別図柄用保留記憶手段121cにおける第1特別図柄用保留球乱数の記憶個数の空きと、第2特別図柄用保留記憶手段における第2特別図柄用保留球乱数の記憶個数の空きとを有効に利用でき、第1特別図柄用保留球乱数と第2特別図柄用保留球乱数を合計して最大8個の特別図柄用保留球乱数を貯めることができるのである。
【0050】
なお、第1特別図柄用当否抽選手段121の第1特別図柄用保留記憶手段121cにより記憶された第1特別図柄用保留球乱数は、この第1特別図柄用保留球乱数に基づく遊技の開始時に、第1特別図柄用当否判定手段121bにより当否を判定される。第2特別図柄用当否抽選手段122の第2特別図柄用保留記憶手段(図示していない)に記憶された第2特別図柄用保留球乱数は、この第2特別図柄用保留球乱数に基づく遊技の開始時に、第2特別図柄用当否判定手段(図示していない)により当否を判定される。第1特別図柄用保留球乱数のみが複数個ある場合、第2特別図柄用保留球乱数のみが複数個ある場合、および、第1特別図柄用保留球乱数と第2特別図柄用保留球乱数の合計が複数個である場合、それら複数の保留球乱数は先に記憶された順に、すなわち、それらの保留球乱数の発生の基となった入賞順に、その保留球乱数が記憶された保留記憶手段と対応関係にある第1特別図柄用当否判定手段121bまたは第2特別図柄用当否判定手段により当否を判定される。
【0051】
主制御処理部110は、第1特別図柄用保留記憶手段121cにより記憶された第1特別図柄用保留球乱数の個数の情報を含む第1特別図柄用保留コマンド、および、第2特別図柄用保留記憶手段により記憶された第2特別図柄用保留球乱数の個数の情報を含む第2特別図柄用保留コマンドを演出制御処理部202に送出するようになっている。演出制御処理部202は、それら第1特別図柄用保留コマンドおよび第2特別図柄用保留コマンドに基づき、演出表示装置50に特別図柄用保留球乱数の個数を表示させるようになっている。
【0052】
主制御処理部110はさらに、制御プログラムにより設定された手段として、特別図柄乱数発生手段130と、第1特別図柄決定手段131と、第2特別図柄決定手段132とを備える。
【0053】
特別図柄乱数発生手段130は、CPUのクロック周波数に基づき周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいて、ループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることにより、ソフトウェア乱数である特別図柄乱数を発生させるものである。
【0054】
第1特別図柄決定手段131は、第1特別図柄用当否抽選手段による電子抽選の結果に基づき、特別図柄乱数発生手段130により発生された特別図柄乱数を用いて特別図柄の電子抽選を行うものである。具体的には図13に示すように、第1始動口センサ101により遊技球が検知されたことを契機に、すなわち第1始動口センサ101からの球検知信号が主制御処理部110に入力されたタイミングで、特別図柄乱数発生手段130により発生された特別図柄乱数を取得(ラッチ)する第1特別図柄乱数取得手段131aと、第1特別図柄用当否抽選手段121による電子抽選の結果に基づき、第1特別図柄乱数取得手段131aにより取得された特別図柄乱数と対応関係にある特別図柄を、主制御処理部110のROMに記憶された第1特別図柄選択テーブル131b−1を参照して選択する第1特別図柄選択手段131bとを備える。
【0055】
第2特別図柄決定手段132は、第2特別図柄用当否抽選手段による電子抽選の結果に基づき、特別図柄乱数発生手段130により発生された特別図柄乱数を用いて特別図柄の電子抽選を行うものである。具体的には、第1特別図柄決定手段131と同様に構成されたものであって、その構成要素の図示を省略したが、第2始動口センサ102により遊技球が検知されたことを契機に、すなわち第2始動口センサ102からの球検知信号が主制御処理部110に入力されたタイミングで、特別図柄乱数発生手段130により発生された特別図柄乱数を取得(ラッチ)する第2特別図柄乱数取得手段(図示していない)と、第2特別図柄用当否抽選手段122による電子抽選の結果に基づき、第2特別図柄乱数取得手段により取得された特別図柄乱数と対応関係にある特別図柄を、主制御処理部110のROMに記憶された第2特別図柄選択テーブル(図示していない)を参照して選択する第2特別図柄選択手段とを備える。
【0056】
第1特別図柄決定手段131により決定される特別図柄および第2特別図柄決定手段132により決定される特別図柄には種類があり、それらの種類は当りの種類に対応付けられている。第1特別図柄決定手段131により決定される特別図柄の種類の内訳(第1始動口61への遊技球の入賞に基づく当りの種類の内訳)と、第2特別図柄決定手段132により決定される特別図柄の種類の内訳(第2始動口62への遊技球の入賞に基づく当りの種類の内訳)は、後者の方が前者よりも遊技者にとって有利となるよう設定されている。具体的には、図14に示すように、第1始動口61への遊技球の入賞に基づく当りの種類の内訳は、15R通常の当たりが50%、5R確変、8R確変、10R確変および15R確変の当たりがいずれも12.5%に設定されている。一方、第2始動口62への遊技球の入賞に基づく当りの種類の内訳は、15R通常の当たりが50%、5R確変、8R確変、10R確変および15R確変の当りが2.5%、2.5%、7.5%および37.5%のそれぞれに設定されている。ここで、「5R」,「8R」,「10R」および「15R」は大当り遊技のラウンド数を意味し、「確変」は、大当り遊技終了後に所定の条件が満たされるまでの間、第1特別図柄用当否抽選手段121による電子抽選で当りに当選する確率、および、第2特別図柄用当否抽選手段122による電子抽選で当りに当選する確率が通常よりも高くなること、すなわち確率変動の略語である。第1実施形態において所定の条件とは、第1特別図柄用当否抽選手段121による電子抽選または第2特別図柄用当否抽選手段122による電子抽選で当りに当選することである。
【0057】
このように第1実施形態に係るパチンコ機1においては、第1始動口61への遊技球の入賞により発生し得る当りの種類と第2始動口62への遊技球の入賞により発生し得る当りの種類は互いに同じだが、第2始動口62への遊技球の入賞時の方が第1始動口61への遊技球の入賞時よりも15Rの当りの発生確率が高いため、第1始動口61への遊技球の入賞よりも第2始動口62への遊技球の入賞の方が遊技者にとって有利である。
【0058】
主制御処理部110は、第1特別図柄決定手段131または第2特別図柄決定手段132により特別図柄が決定されると、特別図柄の変動開始を指令する特別図柄用変動開始コマンドを特別図柄制御処理部200、演出制御処理部202、電飾制御処理部203および音声制御処理部204に送出し、その後、さらにその特別図柄の情報を含む特別図柄用演出コマンドを、同じく特別図柄制御処理部200、演出制御処理部202、電飾制御処理部203および音声制御処理部204に送出する。特別図柄制御処理部200は、特別図柄用変動開始コマンドおよび演出コマンドに基づき、特別図柄が変動した後に停止するという態様で表示されるよう特別図柄表示装置40を制御する。演出制御処理部202は特別図柄用変動開始コマンドおよび演出コマンドに基づき、ダミー図柄含む映像を演出表示装置50に表示させる。電飾制御処理部203は特別図柄用変動開始コマンドおよび演出コマンドに基づき、電飾70が発する色および点灯パターンを制御する。音声制御処理部204は特別図柄用変動開始コマンドおよび演出コマンドに基づき、演出表示装置50に表示される映像に対応する音声が出力されるようスピーカ71を制御する。
【0059】
なお、第1特別図柄用保留球乱数と第2特別図柄用保留球乱数の合計が複数個である場合、主制御処理部110は、それら複数の保留球乱数のそれぞれに基づく特別図柄用変動開始コマンドおよび演出コマンドを、それら複数の保留球乱数の発生の基となった入賞順に、特別図柄制御処理部200、演出制御処理部202、電飾制御処理部203および音声制御処理部204に送出する。したがって、特別図柄表示装置40、演出表示装置50、電飾70、スピーカ71は、第1始動口61への遊技球の入賞に基づく特別図柄の表示および演出と、第2始動口62への遊技球の入賞に基づく特別図柄の表示および演出とを同時に行わない。
【0060】
主制御処理部110はさらに、制御プログラムにより設定された手段としてアタッカ制御手段133を備える。このアタッカ制御手段133は、特別図柄表示装置40での特別図柄の変動が停止した後、第1特別図柄決定手段131または第2特別図柄決定手段132により決定された特別図柄に基づき、アタッカ装置63に大入賞口63aを所定のラウンド数(前述の5R,8R,10Rまたは15R)だけ開放させて大当り遊技を遊技者に提供するものである。大当り遊技の間、アタッカ制御手段133は、大入賞口63aへの遊技球の入賞個数が所定の入賞個数(第1実施形態においては10個)に達したか否かの判定を大入賞口センサ103からの球検知信号に基づいて行い、これと並行して大入賞口63aが開放されてから所定の開放時間(第1実施形態においては30秒)が経過したか否かの判定をCPUのクロック周波数に基づいて行うようになっている。これらの判定によって、アタッカ制御手段133は、大入賞口63aが開放されてから大入賞口63aへの遊技球の入賞個数が所定の入賞個数(10個)に達すること、および、大入賞口63aが開放されてから所定の開放時間(30秒)が経過することのうち時間的に早い方を1ラウンドとして計数し、所定のラウンドを計数し終わると、アタッカ装置63に大入賞口63aの開放を終了させるようになっている。
【0061】
主制御処理部110はさらに、制御プログラムにより設定された手段として、普通図柄用当否乱数発生手段140、普通図柄用当否抽選手段141、および電動チューリップ制御手段142を備える。
【0062】
普通図柄用当否乱数発生手段140は、CPUのクロック周波数に基づき周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいて、ループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることにより、ソフトウェア乱数である普通図柄用当否乱数を発生させるものである。
【0063】
普通図柄用当否抽選手段141は、スルーチャッカセンサ104により遊技球が検知された場合に、普通図柄用当否乱数発生手段140により発生された普通図柄用当否乱数を用いて当否の電子抽選を行うものである。具体的には第1特別図柄用当否抽選手段121と同様に構成されたものであって、その構成要素の図示を省略したが、スルーチャッカセンサ104により遊技球が検知されたことを契機に、すなわちスルーチャッカセンサ104からの検知信号が主制御処理部110に入力されたタイミングで、普通図柄用当否乱数発生手段140により発生された普通図柄用当否乱数を取得(ラッチ)する普通図柄乱数取得手段と、この普通図柄乱数取得手段により取得された普通図柄用当否乱数の当否を、主制御処理部110のROMに記憶された普通図柄用当否判定テーブルを参照して判定する普通図柄用当否判定手段と、普通図柄の変動中に普通図柄用当否乱数取得手段が普通図柄乱数を取得した場合に、その普通図柄乱数を普通図柄用保留球乱数として主制御処理部110のRAMに記憶させる普通図柄用保留記憶手段とを備える。
【0064】
主制御処理部110は、普通図柄の変動開始を指令する普通図柄用変動開始コマンドを、普通図柄制御処理部201に送出した後、さらに、普通図柄用当否抽選手段141による電子抽選の結果を含む普通図柄用演出コマンドを同じく普通図柄制御処理部201に送出するようになっている。普通図柄制御処理部201は、普通図柄用変動開始コマンドと普通図柄用演出コマンドに基づき、普通図柄が変動した後に停止するという態様で表示されるよう普通図柄表示装置41を制御するようになっている。
【0065】
また、主制御処理部110は、普通図柄用保留記憶手段が記憶した普通図柄用保留球乱数の個数の情報を含む普通図柄用保留コマンドを演出制御処理部202に送出するようになっている。演出制御処理部202は、その普通図柄用保留コマンドに基づき、演出表示装置50に普通図柄用保留球乱数の個数を表示させるようになっている。
【0066】
電動チューリップ制御手段142は、普通図柄用当否抽選手段141による電子抽選の結果で当りに当選した場合に、電動チューリップ62aを所定時間、所定回数だけ開放させるものである。
【0067】
特に第1実施形態に係るパチンコ機1は、振分装置80に、第1出口85と振分部材87の間に位置して遊技球の通過を検知する第1通過検知センサ161と、第2出口86と振分部材87の間に位置して遊技球の通過を検知する第2通過検知センサ162とを備える(図7,図8参照)。これら第1通過検知センサ161および第2通過検知センサ162のそれぞれは、第1通路81a内および第2通路81b内のそれぞれに設けられた磁気センサであり、遊技球の検知に伴い球検知信号(電気信号)を出力するようになっている。それらの球検知信号は主制御処理部110に入力されるようになっている。
【0068】
振分装置80に第1通過検知センサ161および第2通過検知センサ162が設けられたことに関連して、主制御処理部110は、制御プログラムにより設定された手段として振分異常判定手段160と報知制御手段170とを備える。
【0069】
振分異常判定手段160は、第1通過検知センサ161からの球検知信号と、第2通過検知センサ162からの球検知信号とに基づき、第1通過検知センサ161により検知された遊技球の個数と第2通過検知センサ162により検知された遊技球の個数との差が、所定の監視時間内に所定の許容差を超えたことを異常と判定するものである。ここで、所定の許容差は、振分装置80の振分けの製造誤差を考慮して設定される許容値であって、第1実施形態においては、振分装置80が遊技球の進路を第1出口85の方向と第2出口86の方向と確実に交互に振り分けるものであるという前提で1個に設定されている。また、所定の監視時間は、第1通過検知センサ161により検知された遊技球の個数と第2通過検知センサ162により検知された遊技球の個数との差が、振分装置80を破壊したり操作したりすることによるゴト行為、および、ゴト行為に起因しない振分装置80の故障によって所定の許容差を超えたことを検知するのに必要な最低限の時間以上であって、その所定の許容差を超えたか否かの判定を遊技場の営業時間内に複数回行うことを意図して設定されている。
【0070】
第1通過検知センサ161、第2通過検知センサ162、振分異常判定手段160は、振分装置80による振分けの偏りの異常を検知する異常検知手段を構成している。
【0071】
報知制御手段170は、第1通過検知センサ161により検知された遊技球の個数と第2通過検知センサ162により検知された遊技球の個数との差が振分異常判定手段160により異常と判定されたことに基づき、警報コマンドを電飾制御処理部203および音声制御処理部204に送出するものである。電飾制御処理部203はその警報コマンドに基づき、予め設定された色で電飾が点灯した状態が維持されるよう電飾70を制御する。音声制御処理部204はその警報コマンドに基づき、予め設定された警報音が出力されるようスピーカ71を制御する。
【0072】
報知制御手段170、電飾制御処理部203、音声制御処理部204、電飾70、スピーカ71は、異常検知手段(第1通過検知センサ161、第2通過検知センサ162および振分異常判定手段160)により異常が検知されたことを報知する報知手段を構成している。
【0073】
主制御処理部110は、振分異常判定手段160により異常と判定された時点で、第1特別図柄用当否抽選手段121による電子抽選、第2特別図柄用当否抽選手段122による電子抽選など、遊技に係る全ての処理を停止させるようになっている。
【0074】
次に、振分異常判定手段160および報知制御手段170による処理の流れを、図15を用いて説明する。
【0075】
図15に示すように、振分異常判定手段160は、はじめに第1通過検知センサ161および第2通過検知センサ162により検知された遊技球の個数を0個にセットする(ステップS1)。そして、第1通過検知センサ161および第2通過検知センサ162のいずれか一方からの球検知信号が主制御処理部110に入力されると(ステップS2でYES)、その球検知信号に基づき第1通過検知センサ161および第2通過検知センサ162のいずれの通過検知センサが遊技球を検知したかの判定を行う(ステップS3)。この判定の結果、第1通過検知センサ161であった場合には、第1通過検知センサ161による遊技球の検知個数に1を加算して記憶し(ステップS4)、第2通過検知センサ162であった場合には、第2通過検知センサ162による遊技球の検知個数に1を加算して記憶する(ステップS5)。
【0076】
次に、振分異常判定手段160は、第1通過検知センサ161による遊技球の検知個数と、第2通過検知センサ161による遊技球の検知個数との差を算出する(ステップS7)。次に、その差が所定の許容差(1個)を超えたか否かの判定を行う(ステップS7)。この判定の結果、所定の許容差(1個)を超えていない場合には(ステップS7でNO)、CPUのクロック周波数に基づきスタートから所定の監視時間が経過したか否かの判定を行う(ステップS8)。この判定の結果、所定の監視時間が経過していなければ(ステップS8でNO)、振分異常判定手段160は、ルーチンをステップS2に戻す。
【0077】
その後、スタートから所定の監視時間が経過するまでの間、第1通過検知センサ161による遊技球の検知個数と、第2通過検知センサ162による遊技球の検知個数との差が所定の許容差(1個)を超えない場合には、「ステップS2→ステップS3→ステップS4またはステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8でNO」のルーチンが繰り返される。そして、スタートから所定の監視時間が経過すると(ステップS8でYES)、振分異常判定手段160は、ルーチンをステップS1に戻す。
【0078】
振分装置80を破壊したり操作したりするゴト行為またはゴト行為に起因しない振分装置80の故障によって、第1通過検知センサ161による遊技球の検知個数と第2通過検知センサ162による遊技球の検知個数との差が所定の許容差(1個)を超えた場合には(ステップS7でYES)、すなわち振分装置80による振分け先に異常な偏りが生じた場合には、報知制御手段170は電飾制御処理部203および音声制御処理部204に警報コマンドを送出する。この警報コマンドに基づき、電飾制御処理部203および音声制御処理部204のそれぞれは、電飾70およびスピーカ71を制御し、これによって電飾70とスピーカ71は異常を報知する(ステップS9)。
【0079】
第1実施形態に係るパチンコ機1によれば次の効果を得られる。
【0080】
第1実施形態に係るパチンコ機1は、第1通過検知センサ161により検知された遊技球の個数と第2通過検知センサ162により検知された遊技球の個数との差が所定の許容差(1個)を超えたことを、振分装置80による遊技球の振分け先の異常な偏りとして検知することができる。これにより、振分装置80を破壊したり操作したりすることによるゴト行為、および、ゴト行為に起因しない振分装置80の故障を検知することができる。
【0081】
第1実施形態に係るパチンコ機1は、異常検知手段(第1通過検知センサ161、第2通過検知センサ162、振分異常判定手段160)により異常を検知したことを、すなわち振分装置80の振分け先に異常な偏りが生じたことを、報知手段(報知制御手段170、電飾制御処理部203、音声制御処理部204、電飾70、スピーカ71)により報知するので、遊技場内のスタッフは、振分装置80を破壊したり操作したりすることによるゴト行為、または、ゴト行為に起因しない振分装置の故障に迅速に対応することができる。
【0082】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るパチンコ機について図16,図17を用いて説明する。
【0083】
第2実施形態に係るパチンコ機は、第1実施形態に係るパチンコ機1における第1通過検知センサ161、第2通過検知センサ162および振分異常判定手段160を備えず、入賞異常判定手段700を備える。
【0084】
この入賞異常判定手段700は制御プログラムにより設定された手段であり、第1始動口センサ101からの球検知信号と、第2始動口センサ102からの球検知信号とに基づき、第1始動口センサ101により検知された遊技球の個数と第2始動口センサにより検知された遊技球の個数との差が、所定の監視時間内に所定の許容差を超えたことを異常と判定するものである。ここで、所定の許容差は、振分装置80の振分けの製造誤差、第1出口85から第1始動口61への遊技球の入賞のしやすさ、第2出口86から第2始動口62への遊技球の入賞のしやすさを考慮して設定される許容値である。第1出口85から第1始動口61への遊技球の入賞のしやすさは、振分装置80と第1始動口61の間に位置する2本の遊技釘67の間隔およびそれらの盤面に対する傾きに影響され、第2出口86から第2始動口62への遊技球の入賞のしやすさは、振分装置80と第2始動口62の間に位置する2本の遊技釘67の間隔およびそれらの盤面に対する傾きに影響されるため、第2実施形態における所定の許容差は、第1実施形態における所定の許容差よりも多く、10個に設定されている。また、所定の監視時間は、第1始動口センサ101により検知された遊技球の個数と第2始動口センサ102により検知された遊技球の個数との差が、振分装置80を破壊したり操作したりすることによるゴト行為、および、ゴト行為に起因しない振分装置80の故障によって所定の許容差(10個)を超えたことを検知するのに必要な最低限の時間以上であって、その所定の許容差を超えたか否かの判定を遊技場の営業時間内に複数回行うことを意図して設定されている。
【0085】
第1始動口センサ101、第2始動口センサ102、入賞異常判定手段700は、振分装置80による振分けの偏りの異常を検知する異常検知手段を構成している。
【0086】
報知制御手段170は、第1始動口センサ101により検知された遊技球の個数と第2始動口センサ102により検知された遊技球の個数との差が入賞異常判定手段700により異常と判定されたことに基づき、警報コマンドを電飾制御処理部203および音声制御処理部204に送出する。電飾制御処理部203は報知制御手段170からの警報コマンドに基づき、予め設定された色で電飾が点灯した状態が維持されるよう電飾70を制御する。音声制御処理部204は報知制御手段170からの警報コマンドに基づき、予め設定された警報音が出力されるようスピーカ71を制御する。
【0087】
報知制御手段170、電飾制御処理部203、音声制御処理204、電飾70、スピーカ71は、異常検知手段(第1始動口センサ101、第2始動口センサ102および入賞異常判定手段700)により異常が検知されたことを報知する報知手段を構成している。
【0088】
主制御処理部110は、入賞異常判定手段700により異常と判定された時点で、第1特別図柄用当否抽選手段121による電子抽選、第2特別図柄用当否抽選手段122による電子抽選など、遊技に係る全ての処理を停止させるようになっている。
【0089】
次に、入賞異常判定手段700および報知制御手段170による処理の流れを、図17を用いて説明する。
【0090】
図17に示すように、入賞異常判定手段700は、はじめに第1始動口センサ101および第2始動口センサ102により検知された遊技球の個数を0個にセットする(ステップS21)。そして、第1始動口センサ101および第2始動口センサ102のいずれか一方からの球検知信号が主制御処理部110に入力されると(ステップS22でYES)、その球検知信号に基づき第1始動口センサ101および第2始動口センサ102のいずれの通過検知センサが遊技球を検知したかの判定を行う(ステップS23)。この判定の結果、第1始動口センサ101であった場合には、第1始動口センサ101による遊技球の検知個数に1を加算して記憶し(ステップS24)、第2始動口センサ102であった場合には、第2始動口センサ102による遊技球の検知個数に1を加算して記憶する(ステップS25)。
【0091】
次に、入賞異常判定手段700は、第1始動口センサ101による遊技球の検知個数と、第2始動口センサ102による遊技球の検知個数との差を算出する(ステップS27)。次に、その差が所定の許容差(10個)を超えたか否かの判定を行う(ステップS27)。この判定の結果、所定の許容差(10個)を超えていない場合には(ステップS27でNO)、CPUのクロック周波数に基づきスタートから所定の監視時間が経過した否かの判定を行う(ステップS28)。この判定の結果、所定の監視時間が経過していなければ(ステップS28でNO)、入賞異常判定手段700はルーチンをステップS22に戻す。
【0092】
その後、スタートから所定の監視時間が経過するまでの間、第1始動口センサ101による遊技球の検知個数と、第2始動口センサ102による遊技球の検知個数との差が所定の許容差(10個)を超えない場合には、「ステップS22→ステップS23→ステップS24またはステップS25→ステップS26→ステップS27→ステップS28でNO」のルーチンが繰り返される。そして、スタートから所定の監視時間が経過すると(ステップS28でYES)、入賞異常判定手段700はルーチンをステップS21に戻す。
【0093】
振分装置80を破壊したり操作したりすることによるゴト行為、またはゴト行為に起因しない振分装置80の故障によって、第1始動口センサ101による遊技球の検知個数と第2始動口センサ102による遊技球の検知個数との差が所定の許容差(10個)を超えた場合には(ステップS27でYES)、すなわち振分装置80による振分け先に異常な偏りが生じた場合には、報知制御手段170は電飾制御処理部203および音声制御処理部204に警報コマンドを送出する。この警報コマンドに基づき、電飾制御処理部203および音声制御処理部204のそれぞれは、電飾70およびスピーカ71を制御し、これによって電飾70とスピーカ71は異常を報知する(ステップS29)。
【0094】
第2実施形態に係るパチンコ機によれば次の効果を得られる。
【0095】
第2実施形態に係るパチンコ機は、第1始動口センサ101により検知された遊技球の個数と第2始動口センサ102により検知された遊技球の個数との差が所定の許容差(10個)を超えたことを、振分装置80による遊技球の振分け先の異常な偏りとして検知することができる。これにより、振分装置80を破壊したり操作したりすることによるゴト行為、および、ゴト行為に起因しない振分装置80の故障を検知することができる。
【0096】
第2実施形態に係るパチンコ機は、異常検知手段(第1始動口センサ101、第2始動口センサ102、入賞異常判定手段700)により異常を検知したことを、すなわち振分装置80の振分け先に異常な偏りが生じたことを、報知手段(報知制御手段170、電飾制御処理部203、音声制御処理部204、電飾70、スピーカ71)により報知するので、遊技場内のスタッフは、振分装置80を破壊したり操作したりすることによるゴト行為、または、振分装置の故障に迅速に対応することができる。
【0097】
なお、前述の第1,第2実施形態に係るパチンコ機においては、第1始動口61への遊技球の入賞よりも第2始動口62への遊技球の入賞の方が有利に設定されていたが、この逆に、第2始動口62への遊技球の入賞よりも第1始動口61への遊技球の入賞の方が有利に設定されていてもよい。また、第1始動口61への遊技球の入賞と第2始動口62への遊技球の入賞との有利不利の差は、賞球個数の違いによって設定されたものであってもよい、。また、大当り遊技後に電動チューリップ62aを連続的に開閉させながら特別図柄の変動時間を所定の遊技回数だけ短縮する遊技、いわゆる時短に移行する場合には、その遊技回数の違いによって、第1始動口61への遊技球の入賞と第2始動口62への遊技球の入賞との有利不利の差が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 パチンコ
31 遊技領域
40 特別図柄表示装置
61 第1始動口
62 第2始動口
63 アタッカ装置
63a 大入賞口
70 電飾
71 スピーカ
80 振分装置
84 入口
85 第1出口
86 第2出口
87 振分部材
101 第1始動口センサ
102 第2始動口センサ
110 主制御処理部
120 特別図柄用当否乱数発生手段
121 第1特別図柄用当否抽選手段
121a 第1特別図柄用当否乱数取得手段
121b 第1特別図柄用当否判定手段
121b−1 第1特別図柄用当否判定テーブル
121c 第1特別図柄用保留記憶手段
122 第2特別図柄用当否抽選手段
160 振分異常判定手段
161 第1通過検知センサ
162 第2通過検知センサ
170 報知制御手段
203 電飾制御処理部
204 音声制御処理部
700 入賞異常判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域と、この遊技領域に設けられた第1始動口および第2始動口と、前記第1始動口への遊技球の入賞を検知する第1始動口センサと、前記第2始動口への遊技球の入賞を検知する第2始動口センサと、特別図柄用当否乱数を発生させる特別図柄用当否乱数発生手段と、前記第1始動口センサにより遊技球が検知された場合に、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を用いて当否の電子抽選を行う第1特別図柄用当否抽選手段と、前記第2始動口センサにより遊技球が検知された場合に、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を用いて当否の電子抽選を行う第2特別図柄用当否抽選手段と、前記第1特別図柄用当否抽選手段または前記第2特別図柄用当否抽選手段による電子抽選の結果に基づいて決定された特別図柄を、変動させた後に停止させるという態様で表示するよう制御される特別図柄表示装置と、前記遊技領域に設けられ、前記第1特別図柄用当否抽選手段または前記第2特別図柄用当否抽選手段による電子抽選で当りに当選した場合に、大入賞口を所定のラウンド数だけ開放させて大当り遊技を遊技者に提供するよう制御されるアタッカ装置とを備え、前記第1特別図柄用当否抽選手段は、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を、前記第1始動口センサにより遊技球が検知されたことを契機に取得する第1特別図柄用当否乱数取得手段と、この第1特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数の当否を判定する第1特別図柄用当否判定手段と、特別図柄の変動中に前記第1特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数を、所定の上限個数まで第1特別図柄用保留球乱数として順次記憶する第1特別図柄用保留記憶手段とを備え、前記第2特別図柄用当否抽選手段は、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を、前記第2始動口センサにより遊技球が検知されたことを契機に取得する第2特別図柄用当否乱数取得手段と、この第2特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数の当否を判定する第2特別図柄用当否判定手段と、特別図柄の変動中に前記第2特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数を、所定の上限個数まで第2特別図柄用保留球乱数として順次記憶する第2特別図柄用保留記憶手段とを備えるパチンコ機において、
遊技球の進路を前記第1始動口の方向と前記第2始動口の方向とに交互に振り分ける振分装置と、この振分装置による振分けの偏りの異常を検知する異常検知手段とを備え、
前記振分装置は、前記遊技球の入口と、前記第1始動口の真上で開口した第1出口と、前記第2始動口の真上で開口した第2出口と、前記入口と前記第1,第2出口の間に介在して設けられ、前記入口から入った遊技球の進路を前記第1出口と前記第2出口に交互に振り分ける振分部材とを備え、
前記異常検知手段は、前記第1出口と前記振分部材の間に位置して遊技球の通過を検知する第1通過検知センサと、前記第2出口と前記振分部材の間に位置して遊技球の通過を検知する第2通過検知センサと、前記第1通過検知センサにより検知された遊技球の個数と前記第2通過検知センサにより検知された遊技球の個数との差が所定の許容差を超えたことを異常と判定する振分異常判定手段とを備える
ことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
遊技球が流下する遊技領域と、この遊技領域に設けられた第1始動口および第2始動口と、前記第1始動口への遊技球の入賞を検知する第1始動口センサと、前記第2始動口への遊技球の入賞を検知する第2始動口センサと、特別図柄用当否乱数を発生させる特別図柄用当否乱数発生手段と、前記第1始動口センサにより遊技球が検知された場合に、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を用いて当否の電子抽選を行う第1特別図柄用当否抽選手段と、前記第2始動口センサにより遊技球が検知された場合に、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を用いて当否の電子抽選を行う第2特別図柄用当否抽選手段と、前記第1特別図柄用当否抽選手段または前記第2特別図柄用当否抽選手段による電子抽選の結果に基づいて決定された特別図柄を、変動させた後に停止させるという態様で表示するよう制御される特別図柄表示装置と、前記遊技領域に設けられ、前記第1特別図柄用当否抽選手段または前記第2特別図柄用当否抽選手段による電子抽選で当りに当選した場合に、大入賞口を所定のラウンド数だけ開放させて大当り遊技を遊技者に提供するよう制御されるアタッカ装置とを備え、前記第1特別図柄用当否抽選手段は、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を、前記第1始動口センサにより遊技球が検知されたことを契機に取得する第1特別図柄用当否乱数取得手段と、この第1特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数の当否を判定する第1特別図柄用当否判定手段と、特別図柄の変動中に前記第1特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数を、所定の上限個数まで第1特別図柄用保留球乱数として順次記憶する第1特別図柄用保留記憶手段とを備え、前記第2特別図柄用当否抽選手段は、前記特別図柄用当否乱数発生手段により発生された特別図柄用当否乱数を、前記第2始動口センサにより遊技球が検知されたことを契機に取得する第2特別図柄用当否乱数取得手段と、この第2特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数の当否を判定する第2特別図柄用当否判定手段と、特別図柄の変動中に前記第2特別図柄用当否乱数取得手段により取得された特別図柄用当否乱数を、所定の上限個数まで第2特別図柄用保留球乱数として順次記憶する第2特別図柄用保留記憶手段とを備えるパチンコ機において、
遊技球の進路を前記第1始動口の方向と前記第2始動口の方向とに交互に振り分ける振分装置と、この振分装置による振分けの偏りの異常を検知する異常検知手段とを備え、
前記振分装置は、前記遊技球の入口と、前記第1始動口の真上で開口した第1出口と、前記第2始動口の真上で開口した第2出口と、前記入口と前記第1,第2出口の間に介在して設けられ前記入口から入った遊技球の進路を前記第1出口と第2出口に交互に振り分ける振分部材とを備え、
前記異常検知手段は、前記第1始動口センサにより検知された遊技球の個数と前記第2始動口センサにより検知された遊技球の個数との差が所定の許容差を超えたことを異常と判定する入賞異常判定手段を備える
ことを特徴とするパチンコ機。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパチンコ機において、
前記異常検知手段により異常が検知されたことを報知する報知手段を備える
ことを特徴とするパチンコ機。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図3】
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【図4】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−235833(P2012−235833A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105349(P2011−105349)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】