説明

パック電池

【課題】パッケージの小型化を進めるにあたっても、外部端子におけるマイグレーションの発生が確実に抑制されるパック電池を提供する。
【解決手段】パック電池は、2つの素電池と、3つの外部端子131〜133が形成された保護回路基板13と、ケース22とを備える。ケース22には、3つの外部端子131〜133のそれぞれに対応して、窓部221〜223が形成されている。3つの外部端子131〜133は、保護回路基板13の主面に沿ったY軸方向において、互いに間隙をあけた状態で並設されている。3つの外部端子131〜133の各々は、これらを平面視するときに、4辺を有し構成されており、且つ、間隙側の辺とこれに続く辺との交差部分が円弧状になっている(矢印Aで示す箇所)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パック電池に関し、特に、外部端子の形状によるマイグレーション抑制技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パック電池は、近年のモバイル機器(例えば、携帯電話機など)の普及に伴い、その電源として広く用いられている。従来技術に係るパック電池の構成について、図5を用い説明する。
図5に示すように、従来技術に係るパック電池は、素電池1011、1012と保護回路基板1013などとが組み付けられてなるコアパック1010が、上下ケース1021、1022とで形成される内部空間に収納された構成となっている。なお、コアパック1010と下ケース1022とは、粘着シート1030により固定されることになる。
【0003】
コアパック1010の保護回路基板1013における外側主面(X軸方向の左下側を向く主面)には、装着機器との間で電力の入出力に用いられる外部端子1131〜1133が形成されている。各外部端子1131〜1133は、保護回路基板1013の主面上に対して金属材料を用いたメッキ膜により構成されている。
下ケース1022には、コアパック1010の保護回路基板1013の上記外側主面が対向する側壁1022aにおいて、外部端子1131〜1133のそれぞれに対応して窓部1221〜1223が開設されている。窓部1131〜1133の各々のサイズは、保護回路基板1013における外部端子1131〜1133の各サイズよりも小さくなっており、窓部1221〜1223の各々からは、外部端子1131〜1133の一部分だけが外方に露出するようになっている。
【0004】
ところで、モバイル機器の電源として用いられるパック電池は、モバイル機器の落下などによる外部衝撃を受け、素電池1011、1012から電解液が漏出することも考えられる。この場合、漏出した電解液は、保護回路基板1013の主面を伝い外部端子1131〜1133に付着する可能性もある。電解液が付着した外部端子1131〜1133では、端子間でのマイグレーションの発生という問題を生じることがある。この電解液の漏出に伴う外部端子1131〜1133の相互間でのマイグレーションに対しては、例えば、特許文献1などでその対策が提案されている。特許文献1では、素電池と保護回路基板との間にコの字状断面を有するホルダーを介挿させ、このホルダーにより電解液が漏出した場合にも、保護回路基板まで電解液が伝わり難くする技術が提案されている。
【特許文献1】特開平11−242949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1で提案されている技術を含む従来技術では、マイグレーションの発生を効果的に抑制することが困難である。即ち、上記特許文献1で提案されている技術では、素電池からの電解液の漏出が発生した時点から、マイグレーションの発生までの期間を長くすることはできるが、効果的にマイグレーションを抑制することは困難である。また、特許文献1で提案されている技術を採用する場合には、素電池と保護回路基板との間に、コの字状断面のホルダーを介挿させるので、ホルダーを介挿させるための容積が余分に必要となり、小型化の推進という要請に反することになる。さらに、マイグレーションの発生を抑制するためにホルダーを介挿させることは、部品点数が増え、製造コストの上昇につながる。
【0006】
ここで、マイグレーションの発生抑制のためだけであれば、例えば、隣接する外部端子間の間隙を広げるという方策を採用することも考えられる。隣接する外部端子間の間隙を広げる具体的方策としては、各端子のサイズをそのままにし、端子同士のピッチを広げる方策と、端子同士のピッチをそのままにし、各端子の幅を狭くする方策とが考えられる。
上記2つの方策の内、前者の方策では、パック電池の大型化や装着機器の仕様変更を伴うことになり、実際にこの方策を採用することは困難である。また、後者の方策では、装着機器と外部端子との接続面積が小さくなり電気的な性能の低下を生じることが考えられ、また、下ケースの製造時の寸法バラツキなどを考慮するときには、窓部から外部端子の端部分が露出してしまうことが懸念される。このような場合には、パック電池としての、接続に係る電気抵抗の増大あるいは外観品質といった問題を生じる。
【0007】
本発明は、上記問題を解決しようとなされたものであって、パッケージの小型化を推進するにあたっても、外部端子におけるマイグレーションの発生が確実に抑制されるパック電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
先ず、課題を解決するための手段を説明する前に、従来技術に係るパック電池におけるマイグレーションの発生について、図6を用い説明する。図6は、従来技術に係るパック電池における保護回路基板1013と下ケース1022とを示す平面図である。
図6に示すように、保護回路基板1013における外部端子1131〜1133は、互いに間隙をあけてY軸方向に並設されている。そして、下ケース1022における窓部1221〜1223(金型成型されるので、所謂、抜きによる傾斜により二重線で表わされている)は、外部端子1131〜1133と同一ピッチであって、且つ、それぞれが外部端子1131〜1133よりも小サイズとなっている。
【0009】
本発明者は、マイグレーションは外部端子1131〜1133における互いに隣接する側のコーナ部(矢印Cで指し示す箇所)で発生することを究明した。これは、コーナ部には表面張力の影響により電解液が付着しやすく、また、各外部端子1131〜1133におけるエッジ効果や、電流の集中などの現象を伴うことによる影響などによるものであると推測される。
【0010】
そこで、本発明に係るパック電池では、上記検討結果に基づき、次の構成を採用することを特徴とする。
本発明に係るパック電池は、1または複数の素電池と、これに近接配置された基板と、基板の主面上に形成された複数の外部端子と、1または複数の素電池と基板とを収納するケースとを備える。
【0011】
ケースには、基板を収納した状態で、複数の外部端子のそれぞれに対応した窓部が形成されている。複数の外部端子は、窓部を通し、外方に露出される。そして、基板の主面上に形成された複数の外部端子は、基板の主面に沿って、互いに間隙をあけた状態で並設されている。
上記構成要素を備える本発明に係るパック電池では、複数の外部端子の各々が、これらを基板の主面に直交する方向から平面視するときに、3辺以上を有し構成されており、且つ、間隙側の辺とこれに続く辺との交差部分が円弧状となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るパック電池では、外部端子の形状を特定することにより、マイグレーションの発生を抑制しようとするものである。即ち、本発明者が究明した上記マイグレーションの発生モードに基づき、外部端子における間隙側での辺とこれに続く辺との交差部分を円弧状に形成することとしている。
従来技術に係るパック電池でのマイグレーションの発生は、上記のように、各外部端子における間隙側のコーナ部を起点に(エッジ効果等に起因して)発生するものであって、このコーナ部を円弧状とする本発明に係るパック電池では、マイグレーションの発生が効果的に抑制される。そして、本発明に係るパック電池では、各外部端子のコーナ部の形状を規定することによりマイグレーションの発生を抑制できるので、外部端子同士のピッチを広くしたり、外部端子の幅を狭くして間隙を広くしたりする必要がなく、パック電池の更なる小型化の要請、および接続抵抗の増大防止、等の観点からも優れている。
【0013】
また、本発明では、マイグレーションの発生を抑制するために、上記特許文献1で提案されている技術のように、ホルダーを介挿させることも必要がないので、製造コストの増大も抑制できる。
従って、本発明に係るパック電池は、パッケージの小型化を推進するにあたっても、外部端子におけるマイグレーションの発生が確実に抑制される。
【0014】
本発明に係るパック電池では、例えば、次のようなバリエーションを採用することができる。
・ 上記本発明に係るパック電池では、各外部端子における上記交差部分を、0.2[mm]以上2.0[mm]以下の曲率半径を以って形成する、という構成を採用し得る。
・ 上記本発明に係るパック電池では、複数の外部端子の内、基板の主面に直交する方向から平面した場合に、両外側となる2つの外部端子において、上記間隙とは反対側の辺とこれに続く辺とが、角を有し突き合わせ状態となっている、という構成を採用し得る。
【0015】
・ 上記本発明に係るパック電池では、複数の外部端子の各々における辺が外方に露出させないように、窓部の内縁を形成する、という構成を採用し得る。
・ 上記本発明に係るパック電池では、複数の外部端子の各々を、金(Au)または金(Au)を含む合金からなるメッキ膜により形成する、という構成を採用し得る。
・ 上記本発明に係るパック電池では、複数の外部端子の各々と窓部の内縁とを、これらを基板の主面に直交する方向から平面視するときに、互いに0.1[mm]以上1.0[mm]以下の重なり代を有するようにする、という構成を採用し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下では、本発明を実施するための最良の形態について、一例を示して説明する。なお、以下の説明で用いる実施の形態は、本発明の構成および作用・効果を分かりやすく説明するために用いる一例で会って、本発明は、その本質的部分以外に何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
1.パック電池1の全体構成
本実施の形態に係るパック電池1の全体構成について、図1を用い説明する。
【0017】
図1に示すように、パック電池1は、コアパック10が、上ケース21と下ケース22と間に形成される内部空間に収納された構成となっている。コアパック10は、2つの素電池11、12と保護回路基板13などとが組み合わされて構成されている。保護回路基板13における外向きの主面(X軸方向の左下側の主面)には、3つの外部端子131〜133と2つのテスト端子134、135とが設けられている。これらの端子131〜135は、例えば、表面側に金(Au)またはAuを含む合金を用いたメッキ膜により構成されている。このような端子は、Au膜/Ni膜/Cu膜/プリント基板の層構造を採用することができる。
【0018】
上ケース21と下ケース22とは、互いに対応するサイズの開口を有する浅皿形状をしている。なお、下ケース22とコアパック10とは、粘着シート30の介挿により互いが固定されている。
下ケース22の一方の側壁22aには、コアパック10の保護回路基板13に形成された5つの端子131〜135のそれぞれに対応して、窓部221〜225が設けられている。上ケース21と下ケース22との間の空間にコアパック10を収納した状態においては、窓部221〜225のそれぞれから端子131〜135の一部分が外方に露出する。なお、窓部224、225については、パック電池1の検査が終了した時点で、ラベル(図示を省略。)などが貼着されて塞がれる。
【0019】
2.コアパック10の構成
パック電池1の構成の内、コアパック10の構成について、図2を用い説明する。
図2に示すように、コアパック10には、2つの素電池11、12が備えられている。素電池11、12は、例えば、角型リチウムイオン電池である。各素電池11、12では、X軸方向左下の端面11a、12aに外装缶に対し絶縁が図られた負極端子111、121がそれぞれ形成されている。また、素電池11、12では、X軸方向右上の端面11b、12bを含む外装缶の外面が正極となっている。
【0020】
素電池11と素電池12とは、その厚み方向に積層されており、間に環状のスペーサ14が介挿されている。
素電池11、12の端面11b、12bには、リード19の接合部分19a、19bがそれぞれ接合されている。リード19における他方の接合部分19cは、保護回路基板13の導電ランド(図示を省略。)に接合されている。
【0021】
一方、素電池11、12の端面11a、11bには、絶縁シート15が当接されている。絶縁シート15には、2つの窓部15a、15bが開設されており、各窓部15a、15bからは、負極端子111、121がそれぞれ露出する。負極端子111には、PTC素子16の素子リード16aが接合され、負極端子121には、PTC素子17の素子リード17aが接合される。PTC素子16、17における他方の素子リード16b、17bは、保護回路基板13における導電ランド(図示を省略。)に接合されている。なお、PTC素子16、17と保護回路基板13との間にも、絶縁シート18が介挿されている。
【0022】
コアパック10では、例えば、スポット溶接により上記各接合が図られている。
3.保護回路基板13における外部端子131〜133
次に、保護回路基板13における外部端子131〜133の構造について、図3を用い説明する。なお、図3は、図1および図2において、保護回路基板13の一部をX軸方向の左下側から平面視した平面図である。
【0023】
図3に示すように、外部端子131〜133は、Y軸方向において、互いに間隙をあけて並設されている。外部端子131〜133は、各々が略矩形状をしている。ただし、図6に示す従来技術に係るパック電池の外部端子1131〜1133とはコーナ部の形状が異なっている。
具体的には、Y軸方向の左端に位置する外部端子131では、左端の辺とこれに続く辺との交差部分であるコーナ部131a、131bが略直角となっているのに対し、右端の辺(外部端子132との間隙側の辺)とこれに続く辺との交差部分であるコーナ部131c、131dが円弧状となっている。同様に、Y軸方向の右端に位置する外部端子133では、コーナ部133c、133dが略直角となっているのに対し、コーナ部133a、133bが円弧状となっている。Y軸方向の中央に位置する外部端子132では、すべてのコーナ部132a〜132dが円弧状となっている。
【0024】
なお、円弧状となっているコーナ部131c、131d、132a〜132d、133a、133bは、二点鎖線の円内に抜き出した部分に示すように、曲率半径がRとなっている。曲率半径Rは、例えば、0.2[mm]〜2.0[mm]の範囲が、マイグレーションの発生を抑制するという観点から望ましい範囲であるといえる。更には、0.5[mm]〜1.4[mm]の範囲が望ましく、0.7[mm]〜0.9[mm]の範囲が最も望ましい。本実施の形態においては、約0.8[mm]の曲率半径Rを採用した。
【0025】
一方、並設された3つの外部端子131〜133の内、両外側に位置する外部端子131、133では、コーナ部131a、131b、133c、133dが角を以って突き合わせ状態となっている。本実施の形態に係るパック電池1では、外部端子131〜133の平面形状を四角形としているので、コーナ部131a、131b、133c、133dは、90[°]の角度を以って辺同士が突き合わされた状態となっている。これにより、外部端子131、133について、不必要に端子面積を小さくすることがない。
【0026】
4.外部端子131〜133と窓部221〜223
外部端子131〜133と窓部221〜223との相対的な位置関係について、図4を用い説明する。図4(a)は、図3に示す外部端子131〜133に、下ケース22の側壁22aを重ね合わせた状態を示す平面図であり、図4(b)は、そのB−B断面を示す断面図である。
【0027】
図4(a)に示すように、下ケース22の側壁22aに形成された窓部221〜223は、その内縁221e〜223eが、外部端子131〜133のそれぞれにおける外辺よりも内側となるように形成されている。即ち、窓部221〜223からは、外部端子131〜133の外辺が露出しないようになっている。なお、窓部221〜223の内縁221e〜223eは、各コーナ部(矢印Aで示す部分)が外部端子131〜133のコーナ部131c、131d、132a〜132d、133a、133bに相似する円弧状となっている。
【0028】
また、図4(a)、(b)に示すように、外部端子131〜133の外辺と窓部221〜223の内縁221e〜223eとの間隔、即ち、外部端子131〜133と下ケース22との重なり代は、寸法dが確保されている。寸法dは、例えば、0.1[mm]〜1.0[mm]の範囲となっている。
5.優位性
上記構成を採用する本実施の形態に係るパック電池1では、上記従来技術に係るパック電池に比べて、次のような優位性を有する。
【0029】
本実施の形態に係るパック電池1では、保護回路基板13における外部端子131〜133について、互いの間隙側の辺とこれに続く辺とのコーナ部131c、131d、132a〜132d、133a、133bを円弧状に形成することにより、マイグレーションの発生が効果的に抑制される。
例えば、図5および図6に示す従来技術に係るパック電池について、次の条件で環境試験を行ったところ、外部端子1131〜1133の各コーナ部(矢印Cで示す箇所)の近傍において、下ケース1022に熱損の発生(マイグレーションの発生)が確認された。ここで、下ケース22での熱損は、以下のようにして、発生していると考えられる。電解液により、金(Au)がマイグレーションし、端子間が導状態となり、発生した電流により過熱状態となり、ケースの熱損(例えば、熱により変形したり、穴が開く)が発生する。
【0030】
・ 保護回路基板1013の主面に電解液を塗布
・ 45[℃]、90[%]の環境下で48[hr.]放置
これに対して、コーナ部131c、131d、132a〜132d、133a、133bを円弧状に形成した本実施の形態に係る外部端子131〜133では、上記と同一の条件で環境試験を行ったが、下ケース22での熱損は発生しなかった。
【0031】
以上のように、パック電池1では、各外部端子131〜133のコーナ部131c、131d、132a〜132d、133a、133bの形状を円弧状に規定することにより、マイグレーションの発生を確実に抑制できる。よって、パック電池1に係る外部端子131〜133の構成を採用する場合には、外部端子131〜133同士のピッチを広くしたり、外部端子131〜133の各幅を狭くして間隙を広くしたりする必要がなく、パック電池1の更なる小型化の要請、および接続抵抗の増大防止、等の観点からも優れている。
【0032】
また、本実施の形態に係る外部端子131〜133の形状を採用する場合には、素電池11、12と保護回路基板13との間にホルダーを介挿させることも必要がないので、製造コストの増大を抑制できる。
従って、本実施の形態に係るパック電池1は、パッケージの小型化を推進するにあたっても、外部端子131〜133におけるマイグレーションの発生が確実に抑制される。
【0033】
6.その他の事項
上述のように、実施の形態で採用した形態は、本発明の構成および作用・効果を分かりやすく説明するために用いた一例であって、本発明は、その本質的な特徴部分以外に何ら上記形態に限定を受けるものではない。例えば、パック電池1では、コアパック10に2つの素電池11、12を備えることとしたが、コアパック10における素電池の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0034】
また、コアパック10では、素電池11と素電池12とをその厚み方向に積層することとしたが、幅方向や長手方向に並設することとしてもよい。
また、上記実施の形態に係るパック電池1では、保護回路基板13に3つの外部端子131〜133が形成された構成を採用したが、保護回路基板に形成される外部端子の数については、2つであってもよいし、逆に4つ以上であってもよい。また、パック電池1では、外部端子131〜133の各々が、4辺を有する略矩形状のものとしたが、3辺のものや、5辺以上のものとすることも勿論可能である。
【0035】
また、上記実施の形態に係るパック電池1では、素電池11、12として角型のリチウムイオン電池を採用したが、素電池の外観形状、および電池種類などはこれに限定されるものではない。例えば、円筒型の外観形状を有する電池を素電池とすることや、ラミネートフィルム外装を有する電池を素電池とすることもできる。また、リチウムイオン電池以外に、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池などを素電池として採用することもできる。
【0036】
また、上記実施の形態に係るパック電池1では、外部端子131〜133を保護回路基板13の主面上に形成されたメッキ膜からなるものとしたが、必ずしもメッキ膜とすることに限定を受けない。例えば、金属箔をエッチングなどすることで外部端子を形成することとしてもよい。また、外部端子の構成材料についても、導電性を有する材料であれば、上記材料に限定を受けるものではない。
【0037】
また、上記実施の形態に係るパック電池1では、上ケース21と下ケース22とで外周容器が構成されることとしたが、必ずしも上ケースと下ケースとで外周容器が構成される形態に限定されるものではない。例えば、枠形状のケースにラベルを巻いて構成されるものや、基板部分をインサート成型で成型してケースとして、ラベルを巻いて構成されるものについても、電池パックとして成立する構成であれば、上記構成に限定を受けるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、携帯電話機などのモバイル機器の電源として、高いエネルギ密度と高い品質との両立、さらには低コスト化を求められるパック電池を実現するのに有用な技術である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施の形態に係るパック電池1の構成を示す展開斜視図である。
【図2】コアパック10の構成を示す展開斜視図である。
【図3】保護回路基板13の主面に形成された外部電極131〜133の構成を示す平面図である。
【図4】保護回路基板13の外部電極131〜133と、下ケース22の側壁22aの窓部221〜223との相対的な位置関係を示す平面図である。
【図5】従来技術に係るパック電池の構成を示す展開斜視図である。
【図6】従来技術に係るパック電池における外部端子1131〜1133と、下ケース1022の窓部1221〜1223との相対的な位置関係を示す平面図である。
【符号の説明】
【0040】
1.パック電池
10.コアパック
11、12.素電池
11a、12a.封口体
13.保護回路基板
14.スペーサ
15、18.絶縁シート
16、17.PTC素子
19.正極リード
21.上ケース
22.下ケース
22a.側壁
30.粘着シート
111、121.負極端子
131〜133.外部端子
131a〜131d、132a〜132d、133a〜133d.コーナ部
134、135.テスト端子
221〜225.窓部
221e、222e、223e.窓縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の素電池と、
前記1または複数の素電池に近接配置された基板と、
前記素電池の正負極端子に接続され、前記基板の主面上に形成された複数の外部端子と、
前記1または複数の素電池と前記複数の外部端子が形成された前記基板とを内方に収納し、且つ、前記複数の外部端子を外方に露出させる窓部が形成されてなるケースとを有するパック電池であって、
前記複数の外部端子は、前記基板の主面に沿って、互いに間隙をあけた状態で並設されており、
前記複数の外部端子の各々は、これらを前記基板の主面に直交する方向から平面視するときに、3辺以上を有し構成されており、且つ、前記間隙側の辺とこれに続く辺との交差部分が円弧状となっている
ことを特徴とするパック電池。
【請求項2】
前記交差部分は、0.2mm以上2.0mm以下の曲率半径を以って形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のパック電池。
【請求項3】
前記並設された複数の外部端子の内、前記基板の主面に直交する方向から平面した場合に、両外側に位置する2つの外部端子では、前記間隙とは反対側の辺とこれに続く辺とが、角を有し突き合わせ状態となっている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパック電池。
【請求項4】
前記窓部は、前記複数の外部端子の各々における前記辺を、外方に露出させない状態にその内縁が構成されている
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のパック電池。
【請求項5】
前記複数の外部端子の各々は、AuまたはAuを含む合金からなるメッキ膜により構成されている
ことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のパック電池。
【請求項6】
前記複数の外部端子の各々と前記窓部の内縁とは、これらを前記基板の主面に直交する方向から平面視するときに、互いに0.1mm以上1.0mm以下の重なり代を有する
ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のパック電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−301931(P2009−301931A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156574(P2008−156574)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】