説明

パッケージ支持面にクリップを利用する高電圧III族窒化物整流器パッケージ

【課題】パッケージ支持面にクリップを利用する高電圧III族窒化物整流器パッケージの典型的な実施形態を提供する。
【解決手段】パッケージ支持面260に取り付け、III族窒化物トランジスタ230のソースにスタックされたダイオード220のアノードを有するIII族窒化物トランジスタ230と、III族窒化物トランジスタ230のゲートおよびダイオード220のアノードに結合した第1の導電性クリップ212bと、III族窒化物トランジスタ230のドレインに結合した第2の導電性クリップ212aとを含む。導電性クリップ212a、212bはパッケージ支持面260に結合され、表面実装性の平担部を露出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年5月4日に出願した「カスコード接続された高電圧GaN整流器のリードレスパッケージ」の米国仮特許出願第61/482,314号の優先権の利益を主張する。この仮出願における開示を本出願に参照して完全に援用する。
【0002】
本発明は、一般に半導体素子に関する。さらに具体的には、本発明は半導体素子のパッケージングに関する。
【背景技術】
【0003】
高出力及び高性能な回路用途には、窒化ガリウム(GaN)電界効果トランジスタ(FET)のようなIII族窒化物トランジスタが高効率及び高電圧動作のために多くの場合望ましい。特に、かかるIII族窒化物トランジスタをシリコンダイオードのような他の素子に結合して、カスコード接続された整流器のような、高性能な整流器を生成することがしばしば好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不幸にも、III族窒化物トランジスタをシリコンダイオードに結合する従来のパッケージ集積技術は、かかるIII族窒化物トランジスタによって提供される利益を多くの場合なくしていた。例えば、従来のパッケージ設計では、端子接続に対しワイヤーボンディングが要求され、不所望に増大するパッケージ形状因子、製造コスト、寄生インダクタンス、抵抗及びパッケージの熱散逸要求をもたらす。ワイヤーボンディングの代わりに導電性のクリップを使用して高電圧用途に適した高性能のパッケージ端子を提供することが知られている一方、導電性クリップを別々に形成、配置する要求は多重パッケージをシングルパスで処理する可能性を排除し、これはストリームライン型組立、集積の増大および製造コストの減少に著しく望ましい。クワッドフラットなリード無し(QFN)パッケージがワイヤーボンディングを回避するのに知られている一方、かかるパッケージは望ましくないことに高コストな製造設備を要求する。
【0005】
それゆえ、カスコード接続された高電圧III族窒化物整流器を一体化するパッケージの効率的な製造を支持するためにユニークなコスト効率の良い解決方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図面の少なくとも一つに示すか、および/またはそれに関連して説明され、より完全には請求の範囲に記載したようなパッケージ支持面にクリップを利用する高電圧III族窒化物整流器パッケージである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】IV族ダイオードに結合したIII族窒化物トランジスタの回路図である。
【図2A】IV族ダイオードの正面図である。
【図2B】IV族ダイオードの背面図である。
【図2C】III族窒化物トランジスタの正面図である。
【図2D】III族窒化物トランジスタの背面図である。
【図2E】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の上面図である。
【図2F】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の断面図である。
【図2G】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の上面図である。
【図2H】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の断面図である。
【図2I】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の上面図である。
【図2J】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の断面図である。
【図2K】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の断面図である。
【図2L】本発明の一実施形態に係るカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るプリント回路基板(PCB)システムに搭載したカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、パッケージ支持面にクリップを利用する高電圧III族窒化物整流器パッケージに指向するものである。以下の説明は、本発明の実施態様に関与する特定の情報を含む。当業者は、本発明が本出願に具体的に論述したものと異なる方法で実施し得ることを認識するであろう。さらに、本発明を曖昧にしないように、いくつかの本発明の具体的な詳細は議論されていない。本出願に記載されていない具体的な詳細は、当業者の通常の知識の範囲内である。
【0009】
本出願における図面と、それに伴う詳細な説明は、単に本発明の例示的な実施形態に指向する。簡潔さを維持するために、本発明の他の実施形態は、本発明にかかる原理を使用するものの、本出願には具体的には記載されておらず、図面によっても具体的に示されない。
【0010】
ここで用いる語句「III族窒化物またはIII-N」は、窒素と、Al、Ga、InおよびBを含む少なくとも一つのIII族元素とを含む化合物半導体を指し、限定しないがそのあらゆる合金、例えば窒化アルミニウムガリウム(AlxGa(1-x)N)、窒化インジウムガリウム(InyGa(1-x-y)N)、窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlxInyGa(1-x-y)N)、ヒ化リン化窒化ガリウム(GaAsaPbN(1-a-b))、ヒ化リン化窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlxInyGa(1-x-y)AsaPbN(1-a-b))などを含む。一般に、III族窒化物材料はまた、限定しないが、Ga極性、N極性、半極性または無極性の結晶方位を含むあらゆる極性を言及する。III族窒化物材料はまた、ウルツ鉱型、ジンクブレンデ型あるいは混成の結晶多形を含んでもよく、また単結晶、単結晶質、多結晶質または非結晶質構造を含んでもよい。
【0011】
また、ここで用いる語句「IV族」は、Siと、GeおよびCを含む少なくとも一つの第IV族元素を含む半導体を指し、SiGeおよびSiCなどの化合物半導体を含む。IV族はまた、第IV族元素の層からなる半導体材料または歪みシリコンや歪みIV族元素を生産するための第IV族元素のドーピングを指し、SOI、SIMOXおよびSOS(サファイア上シリコン)などを含むIV族系の複合サブストレートを含む。
【0012】
開示内容を本出願に完全に参照して援用した2011年3月22日付け出願の「パッケージ内のダイオードにスタックされたIII族窒化物トランジスタ」米国特許出願第第13/053,646号は、ダイオードのカソードがIII族窒化物トランジスタのソースに存在し、電気的に結合するようにIII族窒化物トランジスタの上面に重ねられたシリコンダイオードのようなダイオードを含む2端子スタックダイパッケージを教示する。パッケージの第1端子をIII族窒化物トランジスタのドレインに結合し、パッケージの第2端子をダイオードのアノードに結合する。
【0013】
本出願は、高電圧(200V〜1200Vまたはそれ以上)用途に使用する2端子スタックダイパッケージを形成するのに必要な改良に対応し、開示する。さらに、本出願は、パッケージ支持面に取付けた表面実装性の導電クリップの使用を説明することにより、そのようなパッケージの構造に対応し、開示する。
【0014】
本出願は、スタックダイのワイヤーボンディングの無い表面実装性高電圧パッケージの物理配列を説明する。特に、IV族ダイオードをクワッドフラットのリード無し(QFN) パッケージ内のIII―N材料トランジスタの上にスタックする。素子のアノードとカソードとの間の高い電圧場差(200V超)を調整するのに必要な改良は、アノードおよびカソード間の物理的離間隔を、例えば2.7500mmまたはそれ以上に拡張することを含む。
【0015】
図1は、シリコンダイオードのようなIV族ダイオードに結合したIII族窒化物トランジスタの回路図を示す。本出願では、「シリコンダイオード」への言及は、簡潔さと便利さのためだけになされる。しかしながら、本発明のスタックダイパッケージの文脈における「IV族またはシリコンダイオード」は、非シリコン型のダイオード、すなわち一般にあらゆるダイオードに置き換わり得る。図1は、端子112aおよび112bと、ノード114および116と、ダイオード120と、III族窒化物トランジスタ130とを含む。III族窒化物トランジスタ130は、例えば、窒化ガリウム(GaN)電界効果トランジスタ(FET)またはGaN高電子移動度トランジスタ(HEMT)を含んでもよく、より具体的には空乏モードGaNトランジスタを含んでも良い。ダイオード120はPN接合ダイオードまたはショットキーダイオードのいずれかとすることができる。
【0016】
図1に示した例では、ダイオード120のカソード121をノード114でIII族窒化物トランジスタ130のソース133に結合する。さらに、完全なカスコード接続されたスイッチが、III族窒化物トランジスタ130のゲート131をノード116でダイオード120のアノード122に結合することにより形成される。こうして、図1の回路は高性能のカスコード接続された整流器を実現する。しかしながら、別の実施形態では、回路が異なる構造のダイオード120をIII族窒化物トランジスタ130と共に含んでも良い。
【0017】
III族窒化物トランジスタまたはIII族窒化物HEMTを下記の文献で論述されたように形成するのが好ましく、これら文献すべてを完全に本出願に参照して援用する。
「ゲートとドレインとの間に低減した電界を有するエンハンスメントモードのIII族窒化物半導体素子」のタイトルで2010年6月29日に発行された米国特許第7,745,849号、
「III族窒化物エンハンスメントモード素子」のタイトルで2010年7月20日に発行された米国特許第7,759,699号、
「エンハンスメントモードのIII族窒化物FET」のタイトルで2008年6月3日に発行された米国特許第7,382,001号、
「上部トランジスタの超格子変性」のタイトルで2006年9月26日に発行された米国特許第7,112,830号、
「上部トランジスタの超格子変性」のタイトルで2008年11月25日に発行された米国特許第7,456,442号、
「窒化ガリウム材料と関連する製造方法」のタイトルで2008年3月4日に発行された米国特許第7,339,205号、
「障壁/スペーサ層を有するIII族窒化物系高電子移動度トランジスタ(HEMT)」のタイトルで2005年2月1日に発行された米国特許第6,849,882号、
「窒化ガリウム材料と方法」のタイトルで2003年9月9日に発行された米国特許第6,617,060号、
「窒化ガリウム材料と方法」のタイトルで2003年11月18日に発行された米国特許第6,649,287号、
「GaN/AlXGa1-XNヘテロ接合高電子移動度トランジスタ」のタイトルで1993年3月9日に発行された米国特許第5,192,987号、
「張力緩和中間層を備えたIII−V族半導体素子」のタイトルで2009年10月14日に出願された米国特許出願第12/587,964号、
「応力変調III−V族半導体素子と関連製法」のタイトルで2010年12月21日に出願された米国特許出願第12/928,946号、
「寄生電流路を防ぐ交互高低温層を用いた超格子の製造方法」のタイトルで2006年9月13日に出願された米国特許出願第11/531,508号、
「アルミニウムドープされたゲートを備えるプログラマブルIII族窒化物トランジスタ」のタイトルで2011年2月4日に出願された米国特許出願第13/021,437号、
「単一ゲート誘電構造を備えるエンハンスメントモードのIII族窒化物トランジスタ」のタイトルで2011年1月31日に出願された米国特許出願第13/017,970号、
「ゲートAlGaN/GaNヘテロ接合ショットキー素子」のタイトルで2009年12月7日に出願された米国特許出願第12/653,097号、
「フローティングゲートを備えたエンハンスメントモードのIII族窒化物素子と、その製造方法」のタイトルで2008年8月21日に出願された米国特許出願第12/195,801号、
「ゲートとドレインとの間に低減した電界を備えるIII族窒化物半導体素子と、その製造方法」のタイトルで2008年9月16日に出願された米国特許出願第12/211,120号、
「プログラマブルゲートを有するIII族窒化物パワー半導体素子」のタイトルで2007年9月8日に出願された米国特許出願第11/857,113号、
「III族窒化物ヘテロ接合素子、HEMT、関連する素子構造」のタイトルで2011年2月28日に出願された米国特許仮出願第61/447,479号、
「ゲートAlGaN/GaNヘテロ接合ショットキー素子」のタイトルで2011年3月3日に出願された米国特許仮出願第61/449,046号。
また、III族窒化物FETが高電圧III−N FETであるのが望ましい。III−N FET130は、200V〜5000VのVdrainでの動作に最適化することができるか、またはFET130は500V〜700Vの間、若しくは200V〜5000Vの間の任意他の下位範囲での動作に最適化してもよい。
【0018】
図2A〜図2Dに移ると、図2AはIV族ダイオードの正面図を示し、図2BはIV族ダイオードの背面図を示し、図2CはIII族窒化物トランジスタの正面図を示し、図2DはIII族窒化物トランジスタの背面図を示す。図2A〜図2Dに関して、ダイオード220は図1のダイオード120に対応し、III族窒化物トランジスタ230は図1のIII族窒化物トランジスタ130に対応する。ある実施形態では、ダイオード220に対して約1mmx1mmのダイサイズを好適とすることができる。別のある実施形態では、ダイオード220のダイサイズは、より大きいか、より小さくてもよい。図2Aおよび2Bに示すように、シリコンダイオード220は上面にアノード222を、また反対側の底面にカソード212を備える。図2Cおよび2Dに示すように、III族窒化物トランジスタ230は上面にゲート231と、ドレイン232と、ソース233を備える一方、底面または背面は不活性である。ある実施形態では、III族窒化物トランジスタ230に対して約3.2mmx2.795mmのダイサイズを好適とすることができる。別のある実施形態では、III族窒化物トランジスタ230のダイサイズは、より大きいか、またはより小さくてもよい。
【0019】
次に、図2E、2Gおよび2Iは、本発明の一実施形態に従うカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立体の上面図である。図2F、2H、2J,2Kおよび2Lは、対応する本発明の一実施形態に従うカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージ組立体の断面図である。図3はまた、本発明の一実施形態に従うシステムプリント回路基板(PCB)に搭載したカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器パッケージの完成品の断面図である。
【0020】
図2Eから始めると、図2C−2DのIII族窒化物トランジスタ230をパッケージ支持面260に、例えばダイ取付け材によって取付ける。パッケージ支持面260は、例えば、1層、2層または多層プリント回路基板(PCB)を含んでも良い。しかしながら、代わりの実施形態では、セラミック基板のような他の支持面を利用しても良い。パッケージ支持面260は約125μm厚としてもよいが、組立て中に接続すべき導電性クリップに対し適切な剛性を付与するために任意の厚さを選択することができる。特定の実施形態では、パッケージ支持面260はまた、熱散逸の改善用熱配線を備えても良い。図2Eに示すように、III族窒化物トランジスタ230の背面240をパッケージ支持面260に結合して、ゲート231、ドレイン232およびソース233が上面に到達可能にする。図2Fは、図2Eにおける線2F−2Fに対応する断面図である。
【0021】
簡単のために、これら図面は単一パッケージの組立体のみを示す。しかしながら、パッケージ支持面260は、多重パッケージを例えばストリップまたはグリッドで収納し、後に個々のパッケージに単体化し得ることが分る。このようにして、多重パッケージを同時に処理してもよい。
【0022】
図2Eから図2Gでは、カソード221(図示せず)がソース233に存在するようにダイオード220をIII族窒化物トランジスタ230の上面にスタックする。その結果、アノード222がダイオード220の上面に到達可能となる。かかるスタックに先立ち、はんだペーストやはんだプリフォームのようなはんだをゲート231、ドレイン232およびソース233に塗布することができる。或いはまた、導電性接着剤や導電性テープのような他の材料をはんだの代りとすることができる。図2Hは、図2Gにおける線2H−2Hに対応する断面図である。
【0023】
図2Gから図2Iでは、導電性クリップ212aおよび212bを採取し、図のようにパッケージ210の上に置くことができる。従って、第1の導電性クリップ212bをダイオード220のアノード222およびIII族窒化物トランジスタ230のドレイン231に結合し、また第2の導電性クリップ212aをIII族窒化物トランジスタ230のドレイン232に結合する。導電性クリップ212aおよび212bは、例えば銅や銅合金からなっても良い。かかる設置に先立ち、追加のはんだをダイオード220のアノード222の上およびパッケージ支持面260の上に被着しても良い。図2Jおよび図2Kに示すように、導電性クリップ212aおよび212bを機械的支持のためさらにパッケージ260の支持面に結合する。さらに、導電性クリップ212aおよび212bは、表面実装に適した平担部214aおよび214bをそれぞれ有する。平担部214aおよび214bはまた、パッケージ210の表面実装をさらに促進するために実質的に同一平面上としてもよい。
【0024】
図2Jおよび図2Kに示すように、導電性クリップ212aおよび212bの端は、ストレート接続を用いて合わせ面に接続される。例えば、導電性クリップ212bを図2Jに示すように、ストレート接続によってダイオード220のアノード222に接続する。しかしながら、別の実施形態では、合わせ面領域、機械的安定性および製造の容易さの適用要件に応じてねじ頭状、くぎ頭状、マッシュルーム状コネクタ、コイン状コネクタを含む様々な別の接続を用いることができる。
【0025】
導電性クリップ212aおよび212bを採取、設置した後、組立て品全体を例えばリフロー炉やコンベヤ炉で加熱して、あらかじめ被着したはんだをリフローすることができる。その結果、ダイオード220のカソード221をIII族窒化物トランジスタ230のソース233に電気的かつ機械的に結合し、導電性クリップ212bをIII族窒化物トランジスタ230のゲート231およびダイオード220のアノード222に結合し、また導電性クリップ212aをIII族窒化物トランジスタ230のドレイン232に結合することができる。さらに、導電性クリップ212aおよび212bをそれぞれパッケージ支持面260に接続して、機械的な支持および熱散逸をパッケージ210に提供することができる。このようにして、図1の回路図に示したカスコード接続された整流器回路が、図1の端子112aに対応する導電性クリップ212aおよび図1の端子112bに対応する導電性クリップ212bを備える。
【0026】
図2Kから図2Lでは、グロブトップ(glob-top)265のような封入材をパッケージ210に任意に塗布して、絶縁保護をIII族窒化物トランジスタ230およびダイオード220にもたらすことができる。ある別の実施形態では、他の封入材が好ましく、該封入材をIII族窒化物トランジスタ230およびダイオード220のスタックされたダイ組立体の上縁を越えて延在させてもよい。
【0027】
図2Lから図3では、パッケージ210を単体化し、公知の従来技術を用いてシステムプリント回路基板(PCB)310にフリップしてもよい。600Vでの高電圧作動を可能にする少なくとも2.7500mm、例えば3.0000mmの離間隔をシステムPCB310に搭載した平担部214aおよび214b間に設けることができる。パッケージ210をより大きな回路の一部としてシステムPCB310に集積し得るので、システムPCB310の一部分のみを単純化のため示していることに注目すべきである。
【0028】
かくして、パッケージ支持面にクリップを利用するカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器と、かかるパッケージの製造方法が説明された。開示されたパッケージは、ワイヤーボンディングを用いることなく小型パッケージ内にカスコード接続された高電圧III族窒化物整流器を提供する。その結果、従来のワイヤーボンディングパッケージに比べて、パッケージフットプリントの縮減、サージ電流特性の改善およびより高性能を達成することができる。パッケージは単層PCBのような低コストパッケージ支持面を利用し得るため、高価格なリードレスパッケージ製造プロセスを有利に回避し、また有効な表面実装技術(SMT)の製造設備を利用することができる。さらに、多重パッケージを一度に組み立て得るので、個々のパッケージ処理を要求する従来方法と比べて、高集積度とコスト削減を達成することができる。
【0029】
上記の記述から、本発明の概念を実現するために、その範囲を逸脱することなく様々な技術を用い得ることは明らかである。さらに、本発明を特定の実施態様を特に参照して説明しているが、当業者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、形式上も詳細にも変更がなされることを認識するだろう。また、記述した実施態様はすべて、例として考慮するもので、限定的ではない。本発明はここで説明した特定の実施態様に制限されるのではなく、多くの変形、改良、および置換が、本発明の範囲を逸脱することなく可能であると理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ支持面と、
ゲート、ソース、およびドレインを有し、前記パッケージ支持面に取り付けたIII族窒化物トランジスタと、
アノードおよびカソードを有し、該カソードを前記ソースに機械的かつ電気的に結合するように前記III族窒化物トランジスタにスタックしたダイオードと、
前記III族窒化物トランジスタのゲート、ダイオードのアノードおよびパッケージ支持面に結合した第1の導電性クリップと、
前記III族窒化物トランジスタのドレインおよびパッケージ支持面に結合した第2の導電性クリップとを備え、
前記第1および第2の導電性クリップがそれぞれ高電圧半導体パッケージの表面実装用の平担部を有することを特徴とするワイヤーボンディングの無い表面実装性高電圧半導体パッケージ。
【請求項2】
前記各平担部が実質的に同一平面上にある請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項3】
前記III族窒化物トランジスタおよびダイオードを封入するグロブトップをさらに含む請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項4】
前記グロブトップがIII族窒化物トランジスタの上縁を越えて延在する請求項3に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項5】
前記第1の導電性クリップを前記アノードにコイン状コネクタ、キノコ状コネクタ、くぎ頭状、ねじ頭状およびストレートコネクタよりなる群から選択したコネクタによって結合する請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項6】
前記第1および第2の導電性クリップが銅からなる請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項7】
前記パッケージ支持面がプリント回路基板(PCB)からなる請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項8】
前記パッケージ支持面が熱配線を含む請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項9】
前記ダイオードがショットキーダイオードである請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項10】
前記III族窒化物トランジスタがGaN FETである請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項11】
前記III族窒化物トランジスタがGaN HEMTである請求項1に記載の高電圧半導体パッケージ。
【請求項12】
ワイヤーボンディングの無い表面実装性高電圧半導体パッケージを製造する方法であって、
パッケージの支持面にゲート、ソースおよびドレインを有するIII族窒化物トランジスタを取り付ける工程と、
前記III族窒化物トランジスタのソース上にカソードおよびアノードを有するダイオードをスタックする工程と、
前記III族窒化物トランジスタのゲート、前記ダイオードのアノードおよび前記パッケージ支持面に第1の導電性クリップを結合する工程と、
前記III族窒化物トランジスタのドレインおよび前記パッケージ支持面に第2の導電性クリップを結合する工程トを備え、
前記第1および第2の導電性クリップはそれぞれは前記高電圧半導体パッケージの表面実装用の平担部を有することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記各平担部が実質的に同一平面上にある請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記III族窒化物トランジスタおよびダイオードをグロブトップで封入する工程をさらに備える請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1および第2の導電性クリップが銅からなる請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記パッケージ支持面がプリント回路基板(PCB)からなる請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記パッケージ支持面が熱配線を含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ダイオードのアノードへの第1の導電性クリップの接続工程が、コイン状コネクタ、キノコ状コネクタ、くぎ頭状、ねじ頭状およびストレートコネクタよりなる群から選択したコネクタによるものである請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記ダイオードがショットキーダイオードである請求項12に記載の方法
【請求項20】
前記III族窒化物トランジスタがGaN FETである請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図2K】
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【図2L】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−235101(P2012−235101A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−94150(P2012−94150)
【出願日】平成24年4月17日(2012.4.17)
【出願人】(597161115)インターナショナル レクティフィアー コーポレイション (71)
【Fターム(参考)】