説明

パッケージ材からなるチューブ内へ注ぎ入れることができる食品の密封パッケージを製造するためにパッケージ材を熱シールするシール部材

パッケージ材からなるチューブ(2)内へ注ぎ入れることができる食品の密封されたパッケージ(3)を製造するためのパッケージ材を熱シールするシール部材(15)であり、該シール部材(15)は、複数のシールされたパッケージ(3)を形成するために前記パッケージ材をチューブ(2)の互いに隔てられた断面で熱シールするようになされている加熱手段(20,21)と、シールされたパッケージ(3)がチューブ(2)から分離される切断動作中に対向シール部材(16)によって担持されている切断部材(62)と係合する溝(60)と、溝(60)とシール部材(15)の第一の外側壁(53,54)との間に伸長している少なくとも1つの長穴(70)と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ材からなるチューブ内へ注ぎ入れることができる食品の密封パッケージを製造するためにパッケージ材を熱シールするシール部材に関する。
【背景技術】
【0002】
フルーツジュース、殺菌された又はUHT(超高温処理された)ミルク、ワイン、トマトソース等のような多くの食品は、殺菌されたパッケージ材によって作られたパッケージ形態で販売される。
【0003】
この種のパッケージの典型的な例としては、Tetra Brik Aseptic(テトラ・ブリック・アセプティック;登録商標)として知られている液体又は注ぎ出し可能な食品のための平行六面体形状のパッケージがあり、このようなパッケージは、積層されたストリップ状のパッケージ材を折り曲げ且つシールすることによって作られる。
【0004】
パッケージ材は多層構造を有しており、該多層構造は、実質的に、例えば紙又は鉱物充填ポリプロピレン材料のような繊維材料の層によって形成される堅牢性及び強度のための基層と、例えばポリエチレンフィルムのような熱シールプラスチック材料からなり且つ前記基層の両面を覆っている多数の層とを含んでいる。
【0005】
UHTミルクのような長期保存製品のための無菌パッケージの場合には、パッケージ材はまた、ガス及び光バリア材料例えばアルミニウム箔又はエチルビニルアルコール(EVOH)フィルムのような材料からなる層をも含んでいる。該ガス及び光バリア材料からなる層は、熱シールプラスチック材料からなる層上に重ねられ、次いで、最終的に食品と接触するパッケージの内面を形成する熱シールプラスチック材料の別の層によって覆われる。
【0006】
公知のように、この種のパッケージは全自動パッケージング装置上で製造される。該全自動パッケージング装置上では、連続的なチューブが巻き取りパッケージ材によって形成され、パッケージ材からなるウェブは該パッケージング装置内で殺菌される。殺菌は、例えば過酸化水素水のような化学的殺菌剤を塗布することによって行なわれ、該化学的殺菌剤は、続いて、例えば加熱及び蒸発によってパッケージ材の表面から除去される。
【0007】
殺菌されたウェブは、閉鎖された無菌環境内に維持され且つ筒状に折り曲げられ且つ長手方向に沿ってシールされてチューブが形成される。
【0008】
該チューブは、その軸線に平行な第一の垂直方向に沿って給送され、殺菌されるか又は滅菌処理された食品を連続的に充填され、2つの顎状部材の対によって等間隔断面でシールされて枕状のパッケージに形成される。枕状のパッケージの各々は、頂部と底部との横断シール帯すなわち第一の方向と該第一の方向と直交している第二の方向に沿って伸長している帯を有している。
【0009】
顎状部材の各対間に把持されているチューブ部分は、シール用顎状部材として知られている顎状部材のうちの一つによって坦持されている加熱装置によって熱シールされる。該加熱装置は、顎状部材間に把持されている熱シールプラスチック材料からなる2つの層を局部的に溶融させる。
【0010】
例えば、バリア材料の層が例えばアルミニウムのような導電性材料のシートからなるパッケージ材は、通常は、いわゆる誘導加熱シール方法によって熱シールされる。誘導加熱シール方法においては、チューブが2つの顎状部材によって把持されているときに、アルミニウムシート内に損流が誘導されて該アルミニウムシートが局部的に加熱され、このようにして、熱シールプラスチック材料が局部的に溶融せしめられる。
【0011】
特に、誘導加熱シールにおいては、加熱装置は実質的にインダクタからなる。該インダクタは高周波電流発生装置によって電力を供給され、該インダクタは順に1以上のインダクタ棒を備えている。インダクタ棒は、導電性材料によって作られており、第二の方向に平行に伸長しており、前記のチューブ材と相互作用してチューブ材の内部に損流を誘導して該チューブ材を必要なシール温度まで加熱する。
【0012】
加熱装置は、シール用顎状部材によって坦持されているシール部材に嵌め込まれている。
【0013】
対向顎状部材として知られている他方の顎状部材は対向シール部材からなり、該対向シール部材にはエラストマ材料によって作られている加圧パッドが嵌め込まれており、該加圧パッドはインダクタ棒と協働してチューブを相対的な横断シール帯に沿って熱シールする。
【0014】
更に、該対向顎状部材は切断部材を摺動形態で収容している。特に、切断部材は、第一及び第二の方向と直交している第三の方向に沿ってシール用顎状部材のシール部材に近づいたり遠ざかったりするように摺動する。
【0015】
更に正確に言うと、切断部材は、通常は、対向シール部材内の引き込まれた休止位置に維持されており、前方の切断位置へ動かされると、該切断位置においては、対向顎状部材から前方へ突出し、シール部材の盲溝と係合し、形成されたパッケージの頂部のシール帯の中心線に沿って切断する。このようにして、形成されたパッケージはチューブから切り離される。
【0016】
この技術においては、シール部材の溝の中に残留物が溜まるのを避ける必要性が感じられている。実際には、シール部材は溝の中に収納されるので、切断部材がこのような残留物に力をかけてシール用顎状部材のシール部材の変形が生じる。この結果、シール用顎状部材のシール部材の寿命がかなり短くなり、特に、シール部材が金属製の場合には、切断部材及び/又はシール部材を損傷させる虞がある。
【0017】
残留物は、典型的には、パッケージ材の一部特にポリエチレンと混じり合った紙からなる。
【0018】
上記した必要性は、特に、パッケージの熱シール前にパッケージ材からなるチューブに複数の開封装置が予め適用され、各パッケージの熱シール中に相対する開封装置がシール用顎状部材のシール部材に配置されている凹部内に収納される場合に感じられている。
【0019】
実際には、パッケージング装置の始動サイクル中においては、パッケージ材は、チューブの断面が熱シールされるときに不正確な位置にあるかも知れない。
【0020】
この場合には、開封装置は、シール部材の溝内に収納される代わりに、少なくとも一部が、切断部材が引っ込められる休止位置と前方の切断位置との間の軌道に沿った位置に留まる。
【0021】
このようにして、開封装置の何らかのプラスチックの残留物が、切断部材によって切り離され且つ溝内に溜まる。
【0022】
結果として、パッケージ材が自動的に顎状部材に対して正しい位置に配置されたときでさえ、溝内にプラスチック残留物が存在することによって、シール用顎状部材のシール部材及び/又は切断部材の変形及び/又は損傷の虞が生じるかも知れない。
【発明の概要】
【0023】
本発明は、簡単且つ低廉な方法で、パッケージ材からなるチューブ内へ注ぎ入れることができる食品のシールされたパッケージを製造するためにパッケージ材を熱シールするシール部材を提供することを目的とする。
【0024】
本発明に従って、請求項1に記載されている、パッケージ材からなるチューブ内へ注ぎ入れることができる食品の密封パッケージを製造するためにパッケージ材を熱シールするシール部材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下、本発明の好ましい非限定的な実施例を、添付図面を参照して例示的に説明する。
【図1】図1は、垂直な成形ラインに沿って送り込まれるパッケージ材からなるチューブによって注ぎ出し可能な食品の滅菌密封パッケージを製造するためのパッケージング装置の側面図であり、明確化のために幾つかの部品が取り外されている。
【図2】図2は、図1の装置の各々のシール部材に嵌め込まれている本発明によるシール部材の互いに正反対の各側部のある視角からの斜視図であり、明確化のために部品が除かれている。
【図3】図3は、図1の装置の各々のシール部材に嵌め込まれている本発明によるシール部材の互いに正反対の各側部の別の視角からの斜視図であり、明確化のために部品が除かれている。
【図4】図4は、図2及び3のシール部材の頂面図であり、明確化のために部品が除かれている。
【図5】図5は、図4の線V−Vに沿った断面図である。
【実施例】
【0026】
図1における符号1は、シート状パッケージ材からなるチューブ2によって、食品の密封パッケージ3(図1)を製造するためのパッケージング装置全体を示している。
【0027】
装置1は、殺菌ミルク又はUHTミルク、フルーツジュース、ワイン等の密封パッケージ3を製造するものであるのが好ましい。
【0028】
装置1はまた、パッケージ3を製造する際にチューブ内へ注ぎ入れ且つパッケージ3がシールされた後に硬化せしめられる食品の密封パッケージを製造することもできる。このような食品の一つの例はチーズであり、チーズは、パッケージ3が製造される際には溶かされ、パッケージ3がシールされた後に硬化せしめられる。
【0029】
パッケージ材は、多層構造(図示せず)を有しており且つ両面が熱シールプラスチック材料例えばポリエチレンの各々の層によって覆われている繊維材料通常は紙からなる層を備えている。UHTミルクのような長期保存製品の滅菌パッケージの場合には、パッケージ材料はまた、アルミニウム箔又はエチルビニルアルコール(EVOH)フィルムのようなガス及び光のバリア材料からなる層をも備えている。該ガス−光バリア材料は、熱シールプラスチック材料からなる層上に重ねられ、次いで、最終的に食品と接するパッケージ3の内面を形成する熱シールプラスチック材料からなる別の層によって覆われる。
【0030】
パッケージ材料にはまた、形成されたパッケージ3から注ぎ出し可能な食品を注ぎ出すことができるようにするように意図されている複数の等間隔に隔てられた開封器具11(図1)も設けられる。
【0031】
チューブ2が、公知のやり方で熱シールシート材料からなるウェブ(図示せず)を長手方向に沿って折り曲げ且つシールすることによって形成され、該チューブには、殺菌されるか又は殺菌処理された食品が包装のために充填パイプ(図示せず)によって充填され、図示されていない公知の方法で図1の矢印Aによって示されている垂直方向経路に沿って送り込まれる。
【0032】
装置1は2つの成形アセンブリ4を備えており、この2つの成形アセンブリは、各々のレール(図示せず)に沿って垂直方向に移動し且つチューブ2と周期的に且つ連続的に相互作用してチューブ2を等間隔断面で把持し且つチューブ2に対し誘導熱シール及び切断動作を施す。
【0033】
各形成アセンブリ4は、実質的に、各々のレールに沿って移動するスライド(図示せず)と、2つの顎状部材5,6(本発明の明確な理解のために必要なようにのみ示されている)とを備えている。2つの顎状部材5,6は、各々の水平軸線を中心として前記スライドにヒンジ結合されており且つ閉塞位置と完全に開いた位置との間を移動可能である。
【0034】
図示されている例においては、各成形アセンブリ4の顎状部材5,6は各々のアーム7,8を備えている。顎状部材5,6は、方向Aに直角な方向Bと平行に伸長しており且つチューブ2の両側に配置されている。
【0035】
各形成アセンブリ4はまた、各々の顎状部材5,6にヒンジ結合されている2つの対向している成形シェル9,10をも備えており、該2つの成形シェルは、これらの成形シェルが弾性手段によって押されることによって位置する開放位置(図1において頂部に位置している成形アセンブリ4に関して示されている)と、これらの成形シェルが互いにかみ合ってそれらの間で形成されるパッケージ3の形状及び容積を規定する空間を形成する閉塞位置(図1において底部に位置している成形アセンブリ4に関して示されている)との間を移動できる。
【0036】
各成形アセンブリ4の顎状部材5,6はまた、各々、誘導シール部材15とこれに対向しているシール部材16とを備えており、これらのシール部材は、各々、関連する顎状部材5,6の間に把持されたパッケージ材からなるチューブ2の各断面において、誘導熱シール動作と該断面の中心線に沿った切断動作とを行なう。
【0037】
図2〜5を参照すると、各シール部材15は、
−一般的な取り付け手段によって関連する成形アセンブリ4の顎状部材5のアーム7に結合された支持体19と、
−支持体19内の各々の対向台内に収納されている誘導部材20,21の2つの対(図5に示されている)と、
−磁束集束材料によって作られており且つ支持体19の内側に嵌め込まれている2つのインサート31(図5に示されている)と、を備えている。
【0038】
別の方法として、支持体19は、関連する成形アセンブリ4の顎状部材5のアーム7と一体に形成されても良い。
【0039】
更に、インサート31と誘導部材20,21とは、射出成形プラスチック部材90,91の2つの対によって支持体19に嵌め込まれている。
【0040】
特に図5を参照すると、誘導部材20,21は、方向Bに沿って伸長しており且つ方向Bに平行な中央面Rの両側に対をなして配列されている各々の導電性の棒によって形成されている。各々の面Rは、各々の顎状部材5,6が閉塞位置にあるときに方向Aに直角である。
【0041】
更に特別には、誘導部材20は、面Rに関して対称であり且つ同じく面Rの両側に対称に配置されている誘導部材21同士の間に設けられている。
【0042】
誘導部材20,21は、各々の好ましくは矩形の作用面25,26によって、パッケージ材からなるチューブ2と相互作用する。矩形の作用面25,26は、B方向に沿って細長く且つ面Rに直角な同じ面内を伸長しており、D方向に沿った幅及びB方向に沿った長さを有している。互いに同一である作用面25は、明らかに、D方向において、同じく同一で且つ長さが作用面25と同じである作用面26同士の間に設けられている。
【0043】
更に正確に言うと、方向Dは、方向Bに直角であり且つ顎状部材5,6が閉塞位置にあるときに方向Aと合致している。
【0044】
図5に示されているように、B方向に沿って細長く伸長している各々の突出部28が、作用面25からパッケージ材チューブ2に向かって突出している。突出部28は、連続しているか区分化されており、各々の作用面25のほぼ全長に亘って伸長しており、熱シールの際にチューブ2にかかる把持圧力を増大させる。
【0045】
支持体19は、面Rに関して対称に伸長しており、実質的に、
−面Rに平行な各々の面内にある2つの外側の平行な横壁53,54と、
−顎状部材6に結合されており且つ壁53と直角に且つこれらの壁53同士の間に伸長せしめられている外壁55と、
−壁55と反対側に位置しており且つ誘導部材20,21とインサート31とを収容している空洞52の境界を定めている外壁56と、を備えている。
【0046】
特に、誘導部材20,21は、作用面25,26と反対側の面で壁56と協働している。更に、壁56はインサート31と協働する。
【0047】
壁53,54の各々は関連する凹部57(図2,3及び5)を備えており、該凹部は、パッケージ材上に予め適用されている各々の開封器具11が係合するようになされている。図示されている実施例においては、凹部57は半円周形である。
【0048】
特に、方向Aに関してシール部材15の側の底部として且つ装置1の通常の動作において、凹部57のうちの一つに各々の開封器具11が係合する。
【0049】
更に特別な場合には、凹部57は相対的にずらされている。
【0050】
シール部材15の各々は溝60(図1、4、及び5)を備えており、対向しているシール部材16の各々は切断部材62(図1)を備えている。
【0051】
更に正確に言うと、溝60は、方向Bに対して平行に且つ面Rに関して対称的に伸長している。
【0052】
更に、溝60は、壁56によって形成されており且つ穴61によってA方向の面が制限されている。
【0053】
切断部材62は、平らで且つ相対する成形アセンブリ4の対向するシール部材16上の前方台部内側に摺動形態で収納されており、面Rに沿って動くことができ、顎状部材5内に組み込まれている液圧シリンダによって公知の方法(図示せず)で作動せしめられる。
【0054】
切断部材62は、通常は、休止位置へと引き込まれた状態に保持され且つ公知の弾性手段(図示せず)によって対向するシール部材16の内側に完全に収納されており、関連している油圧シリンダによって前方の切断位置へ動かされ、該切断位置において、顎状部材5から前方へ突出し、相対する顎状部材6のシール部材15の溝60と係合し、チューブ2の関連する断面の中心線に沿って切断する。
【0055】
切断部材62は、作動油圧シリンダの出力部材と一体のプレート状基部と、カッターとを備えており、該カッターは、高い切断圧力を確保し且つパッケージ材の損傷を避けるためにA方向における厚みが前記基部よりも薄くなされている。
【0056】
シール部材15はまた2つの加圧バッド65(図1)をも備えている。該加圧バッドは、耐熱性エラストマ材料好ましくはニトリルゴムによって作られており且つ関連する成形アセンブリ4の顎状部材5内に形成されて且つ面Rの両側に対称的に配置されている同じ形状の各々の前方空洞内に収納されている。対向シール部材16の各々の加圧バッドは、相対するシール部材15の誘導部材20,21の作用面25,26と協働して面Rの両側でチューブ2を把持し且つ熱シールする。
【0057】
シール部材15の各々は一対の長穴70を有しており、該長穴は、溝60と相対する壁53,54との間を伸長しているが有利である(図5)。
【0058】
更に詳述すると、各長穴70は、関連する溝60の穴61と反対側の端部80と、関連する凹部57との間を伸長している。更に長穴70は穴61に向かって次第に細くなっている。
【0059】
各長穴70は、溝60と直に連通している部分71と、部分71に関連している凹部57との間に配置されている部分72とを備えている。
【0060】
図5に示されている例においては、各長穴70の部分71は、顎状部材5,6が閉塞位置にあるときに、B方向の長さと、B方向と直角でA方向と一致する方向Dの幅とを有している。
【0061】
各長穴70の部分72は、B方向の長さと、D方向に対して傾斜しているE方向の幅とを有している。
【0062】
部分71,72の各々の方向D、Eに沿って測定した厚みは一定である。
【0063】
更に、E方向に沿って測定した部分72の各々の厚みは、D方向に沿って測定した関連の溝60の最大幅よりも薄い。
【0064】
部分72は更に、部分71と反対側に、凹部57によって形成されており且つ面Rに平行な面内にある端部穴75を備えている。
【0065】
更に正確に言うと、穴75は、2つの長辺76が方向Bに平行であり且つ2つの短辺77が方向Bと直角である矩形をなしている。
【0066】
実際の使用時には、注ぎ出し可能な食品が充填され且つ開封器具11が設けられたチューブが、方向Aに沿って送り込まれ、成形アセンブリ4が、半周期ずつ位相がずれた状態で作動して各々のレールを上下に移動する。
【0067】
更に特別には、成形アセンブリ4が上下に動くにつれて、顎状部材5,6が閉塞位置(図1)と開放位置との間を動く。これらの顎状部材は、閉塞位置ではチューブ2の断面を熱シールし、開放位置ではチューブ2から離れる。
【0068】
成形アセンブリ4が作動すると、シェル9,10は、それらの作動サイクルを実施する。更に正確に言うと、シェル9,10は、開放位置(頂部の成形アセンブリ4に関して図1に示されている)と閉塞位置(底部の成形アセンブリ4に関して図1に示されている)との間を動かされる。
【0069】
顎状部材5,6がひとたび閉塞位置に位置し、シェル半体9,10同士がチューブ2の周りで閉じられると、シール部材15の誘導部材20,21と対向するシール部材16のパッド65との間に配置されているパッケージ材が熱シールされて関連するパッケージ3の横断シール帯が形成される。
【0070】
装置1の通常の動作においては、各々の閉塞位置と開放位置との間で、A方向に沿ったパッケージ材の動きは顎状部材5,6の動きと完全に同期せしめられている。
【0071】
従って、各成形アセンブリ4の顎状部材5,6が閉塞位置にあり、シェル本体9,10がチューブ2の周りで閉じられると、関連する開封器具11は、その軸線が方向Aに平行な状態で配置され且つ顎状部材5のシール部材15の各々の凹部57内に収容される。
【0072】
切断部材62は、チューブ2の断面の熱シール中は、関連する対向シール部材16の台内の引っ込んだ休止位置内に保持される。
【0073】
各シール部材15がひとたびチューブ2の断面をシールし且つ関連するパッケージ3の横断シール帯を形成すると、切断部材62が前方の切断位置へと動かされる。
【0074】
その結果、切断部材62は、チューブ2の関連する断面の中心線に沿ってチューブ2を切断して形成されたパッケージ3から切り離す。
【0075】
切断部材62が前方の切断位置に達すると、切断部材62は関連する溝62と係合する。
【0076】
装置1の開始サイクルにおいて、パッケージ材は、チューブの断面が熱シールされるときに顎状部材5,6に対して不正確な位置にあるかも知れない。
【0077】
別の言い方をすると、各シール部材15がチューブ2の関連する断面を熱シールするときに対応する開封器具11が凹部57の外側に収納されるかも知れない。
【0078】
これと対照的に、開封器具11は、切断部材62の軌道に沿ったままである。
【0079】
この状態で、切断部材62によって開封器具11のプラスチック材料の残りの部分が切り離される。
【0080】
切断部材62が溝60に係合すると、このようなプラスチックの残留物は長穴70を介して支持体19の外側へ押し出される。特に、上記したプラスチック残留物は凹部57の外面上に溜まり、これらの残留物はここから容易に除去することができる。
【0081】
従って、二回目においては、プラスチック材が顎状部材5,6の動きと完全に周期せしめられ、開封器具11は、チューブ2の断面が熱シールされる際に相関する凹部57内に一つずつ順に収容され、溝60には実質的にプラスチック残留物が存在しない。
【0082】
溝60内に残っているかも知れないパッケージ材例えばポリエチレンと混ざり合った紙のようなあらゆる他の存在し得る残留物も、一方又は両方の長穴70を介して支持体19の外へ押し出され、一方又は両方の凹部57の外面上に溜まり、この場所でこれらの残留物は容易に取り除くことができる。
【0083】
本発明によるシール部材15の利点は、上記の説明から明らかであろう。
【0084】
特に、長穴70の存在により、溝60内に残り得る例えばポリエチレンと混じり合った紙からなる残留物は、切断部材62によってシール部材15の外壁53に向かって容易に押し出され、この位置でこのような残留物は容易に取り除くことができる。
【0085】
従って、切断部材62は、シール部材15を変形させることなく溝60内を自由に摺動することができる。
【0086】
この結果、シール部材15及び/又は切断部材62が損傷を受ける虞れが大きく低減され、本明細書の導入部に記載した課題に関連して、シール部材15の寿命は長くなる。
【0087】
長穴70の存在は、チューブ2に予め適用される開封器具11が嵌め込まれている場合に特に有利である。
【0088】
実際には、このような場合に、パッケージ材は、チューブ2の断面が熱シールされるときに顎状部材5,6に関して不正確な位置にあるかも知れない。
【0089】
従って、開封器具11は、相関するシール部材15の凹部57内に収納される代わりに、引っ込んだ体止位置と前方の切断位置との間で切断部材62の軌道に沿った状態のままとなり、幾らかのプラスチック材の残留物が切断部材62によって切り離される。
【0090】
長穴70の存在により、これらのプラスチック残留物は、溝60内に残る代わりに、切断部材62によってシール部材15の外壁53に向かって容易に押し出され、この位置で、このような残留物は容易に除去することができる。
【0091】
この結果、パッケージ材が二回目の段階で顎状部材5,6に関して正確な位置に自動的に配置され、開封器具11が相関する凹部57内に収納されるときでも、溝60には実質的にプラスチック残留物が無い。
【0092】
従って、この場合にもまた、シール部材15及び/又は切断部材62の損傷の虞が著しく減少せしめられ、本明細書の導入部分に記載した解決課題に関するシール部材15の寿命が延びる。
【0093】
しかしながら、添付の特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲から逸脱することなく、ここに記載し且つ図示したシール5に変更を加えることができることは明らかである。
【0094】
特に、シール部材15には、異なる加熱手段例えば超音波トレッド又は加熱バーを嵌め込むことができる。
【0095】
更に、パッケージ装置は、レールとスライドとを備えずに、対応する複数の顎状部材5及び6が設けられた2つのチェーンコンベアを備えても良く、その場合、これらの顎状部材5及び6は、チューブ2が送り込まれる空間を規定しており且つ互いに対向する各々の直線部分を有する各々の閉塞経路に沿って移動する。
【0096】
長穴70の部分71は、D方向に沿って測定した種々の値の厚みを有することができる。特に、D方向に沿って測定した部分71の厚みは、D方向に沿って測定した溝60の厚みに等しくすることができる。
【0097】
最後に、シール部材15の支持体19は唯一つの中心長穴70を備えていても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ材からなるチューブ(2)内へ注ぎ入れることができる食品の密封されたパッケージ(3)を製造するためのパッケージ材を熱シールするシール部材(15)であり、
複数のシールされたパッケージ(3)を形成するために、前記パッケージ材をチューブ(2)の互いに隔てられた断面で熱シールするようになされている加熱手段(20,21)と、
シールされたパッケージ(3)がチューブ(2)から分離される切断動作中に、対向シール部材(16)によって担持されている切断部材(62)と係合する溝(60)と、を備えており、
溝(60)とシール部材(15)の第一の外側壁(53,54)との間に伸長している少なくとも1つの長穴(70)を備えている、ことを特徴とするシール部材。
【請求項2】
前記第一の外側の壁(53,54)が、前記切断動作中に前記パッケージ材上に配置されている開封器具(11)と係合する凹部(57)を形成しており、
前記長穴(70)が、前記凹部(57)と前記溝(60)との間に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のシール部材。
【請求項3】
前記長穴(70)が、
前記溝(60)に隣接しており且つ該溝と直に連通している第一の部分(71)と、
前記第一の部分(71)と前記凹部(57)との間に配置されており且つ前記第一の部分(71)と前記凹部(57)とに隣接して直に連通している第二の部分(72)と、を有している、ことを特徴とする請求項2に記載のシール部材。
【請求項4】
前記第二の部分(72)の厚みが、前記溝(60)の厚みよりも小さく且つ前記第一の部分(71)の厚みよりも大きい、ことを特徴とする請求項3に記載のシール部材。
【請求項5】
前記溝(60)と前記長穴(70)とが、共に、前記チューブ(2)が伸長している第一の方向(A)を横切る第二の方向(B)に沿った長さを有している、ことを特徴とする請求項3又は4に記載のシール部材。
【請求項6】
前記第二の部分(72)が前記第一の部分(71)に対して傾斜を付けられている、ことを特徴とする請求項5に記載のシール部材。
【請求項7】
前記溝(60)の外側開口部(61)を形成しており且つ前記第一の壁(53)に隣接して該第一の壁を横切っている第二の外側の壁(56)を備えている、ことを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一の項に記載のシール部材。
【請求項8】
第一の方向(A)に給送され且つ食品を連続的に充填されるパッケージ材からなるチューブ(2)によって食品のための密封されたパッケージ(3)を製造する包装装置(1)であり、
前記チューブ(2)を互いに隔てられた断面で把持するように前記チューブに周期的に且つ連続して作用する少なくとも2つの対をなしている顎状部材(5,6)と、
前記対の各々の第一及び第二の顎状部材(5,6)に対して各々嵌合され且つ前記パッケージ材を前記互いに隔てられた断面で熱シールして複数のシールされたパッケージ(3)を形成するシール部材(15)及びこれと対向するシール部材(16)と、を備えており、
前記対向シール部材(16)は、形成されたパッケージ(3)を前記チューブ(2)から切り離すために前記パッケージ材と相互作用するようになされた切断部材(62)を備えており、
前記シール部材(15)が、上記の請求項のうちのいずれか一の項に記載されているシール部材である、ことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−521908(P2012−521908A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502615(P2012−502615)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054081
【国際公開番号】WO2010/112454
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】