説明

パッケージ部材及び光デバイス

【課題】層間の位置ずれを簡単に定量的に求めることができるパッケージ部材を提供する。
【解決手段】 チップマウント部21、PDマウント部22、複数の接続端子、金めっき部24などを有するセラミックパッケージであり、チップマウント部21は、セラミック層Aにおける面発光レーザアレイチップが実装される部分である。PDマウント部22は、セラミック層Aの+c側に積層されているセラミック層Bに設けられ、その四隅に開口部25が形成されている。セラミック層Aの+c側の面には、セラミック層Bの開口部25を介して観察できる部分にスケールScが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ部材及び光デバイスに係り、更に詳しくは、電子部品が保持されるパッケージ部材、及び該パッケージ部材を有する光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子部品や半導体素子等を保持するためのパッケージ部材には、放熱性に優れたセラミックスパッケージが使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、パッケージ、光センサ手段、レーザ、及び凸状ビーム分割表面手段を含む一体化レーザ・ベース光源が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、抵抗が負の温度特性を有する半導体発光素子と、半導体発光素子に電気的に直列に接続された抵抗素子と、半導体発光素子と抵抗素子を固定する基板とを含み、抵抗素子は、抵抗が正の温度特性を有する半導体発光装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、内層セラミックグリーンシートに認識マークを形成する工程、外層セラミックグリーンシートに前記認識マークが露出する位置で前記認識マークより大きい窓枠孔を形成する工程、内層セラミックグリーンシート及び外層セラミックグリーンシートを位置合わせ・積層する工程、外層の窓枠孔より露出している内層の認識マークを位置合わせ基準としてブレイクラインを形成する工程及び積層され、ブレイクラインが形成されたセラミックグリーンシートを焼結する工程より成ることを特徴とするセラミック積層体の製造方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のパッケージ部材では、層間の位置ずれを簡単に定量的に求めるのは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のセラミック層が積層され、電子部品が搭載されるパッケージ部材において、前記複数のセラミック層のうちの一のセラミック層に少なくとも1つの位置検出用のマークが形成され、前記一のセラミック層上に積層されたセラミック層に、前記少なくとも1つのマークを観察するための少なくとも1つの開口部が設けられていることを特徴とするパッケージ部材である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のパッケージ部材によれば、層間の位置ずれを簡単に定量的に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタの概略構成を説明するための図である。
【図2】図1における光走査装置を説明するための図(その1)である。
【図3】図1における光走査装置を説明するための図(その2)である。
【図4】図1における光走査装置を説明するための図(その3)である。
【図5】図1における光走査装置を説明するための図(その4)である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、それぞれ光デバイスを説明するための図である。
【図7】図6(A)のA−A断面図である。
【図8】面発光レーザアレイチップを説明するための図である。
【図9】フラットパッケージの平面図である。
【図10】フラットパッケージの側面図である。
【図11】図9のA−A断面図である。
【図12】金属リングを説明するための図である。
【図13】図12の側面図である。
【図14】図12のA−A断面図である。
【図15】キャップを説明するための図(その1)である。
【図16】図16(A)及び図16(B)は、それぞれキャップを説明するための図(その2)である。
【図17】セラミック層Bの開口部25を説明するための図である。
【図18】セラミック層AのスケールScを説明するための図である。
【図19】位置ずれがないときに開口部25を介して観察されるスケールを説明するための図である。
【図20】位置ずれがあるときに開口部25を介して観察されるスケールを説明するための図である。
【図21】従来の光源ユニットを説明するための図である。
【図22】変形例1のスケールSc1を説明するための図である。
【図23】変形例2のスケールSc2を説明するための図(その1)である。
【図24】変形例2のスケールSc2を説明するための図(その2)である。
【図25】開口部の周囲に設けられたスケールを説明するための図である。
【図26】図26(A)及び図26(B)は、それぞれ十字マークMk1を説明するための図である。
【図27】図27(A)及び図27(B)は、それぞれセラミック層Aの開口部26を説明するための図である。
【図28】図28(A)及び図28(B)は、それぞれ開口部25と同じ形状、同じ大きさのマークMk2を説明するための図である。
【図29】マークMk3、マークMk4を説明するための図である。
【図30】マークMk3、マークMk4が用いられ、位置ずれがないときに開口部25を介して観察されるスケールを説明するための図である。
【図31】図31(A)及び図31(B)は、それぞれマークMk3、マークMk4が用いられ、位置ずれがあるときに開口部25を介して観察されるスケールを説明するための図である。
【図32】4つの開口部25の1つの周囲にスケールが設けられている場合を説明するための図である。
【図33】4つの開口部25に対応するセラミック層Aの各部分に形成されたマークを説明するための図である。
【図34】図34(A)は、位置ずれがないときに4つの開口部25を介して観察されるマークを説明するための図であり、図34(B)は、位置ずれがあるときに4つの開口部25を介して観察されるマークを説明するための図である。
【図35】図35(A)は、4つの開口部を説明するための図であり、図35(B)は、開口部よりも外側に一定の距離をもって形成されたマークを説明するための図であり、図35(C)は、開口部とマークの位置関係を説明するための図である。
【図36】図36(A)は、図35(A)及び図35(B)をそれぞれ有する2つの層の間にずれがないときの状態を説明するための図であり、図36(B)は、該2つの層の間にずれがあるときの状態を説明するための図である。
【図37】図37(A)は、4つの開口部を説明するための図であり、図37(B)は、開口部に内側から接するように配置されたマークを説明するための図であり、図37(C)は、開口部とマークの位置関係を説明するための図である。
【図38】図38(A)は、図37(A)及び図37(B)それぞれを有する2つの層の間にずれがないときの状態を説明するための図であり、図38(B)は、該2つの層の間にずれがあるときの状態を説明するための図である。
【図39】フラットパッケージに面発光レーザアレイチップ60とフォトダイオードPDが取り付けられた状態を説明するための図である。
【図40】図40(A)及び図40(B)は、それぞれキャップの位置調整を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図40(B)に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
【0011】
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着装置2050、給紙コロ2054、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
【0012】
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向(回転軸方向)に沿った方向をX軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をZ軸方向として説明する。
【0013】
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0014】
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換回路などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、通信制御装置2080を介して受信した上位装置からの多色の画像情報を光走査装置2010に通知する。
【0015】
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0016】
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0017】
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0018】
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0019】
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転する。
【0020】
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
【0021】
光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて色毎に変調された光束で、対応する帯電された感光体ドラムの表面を走査する。これにより、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像装置の方向に移動する。なお、光走査装置の構成については後述する。
【0022】
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
【0023】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
【0024】
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出す。該記録紙は、所定のタイミングで転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出される。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。カラー画像が転写された記録紙は、定着装置2050に送られる。
【0025】
定着装置2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。トナーが定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次積み重ねられる。
【0026】
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
【0027】
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
【0028】
光走査装置2010は、一例として図2〜図5に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、光偏向器2104、4つの走査レンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、6枚の折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108b、2108c)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。
【0029】
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
【0030】
光源2200aとカップリングレンズ2201aと開口板2202aとシリンドリカルレンズ2204aと走査レンズ2105aと折り返しミラー2106aは、感光体ドラム2030aに潜像を形成するための光学部材である。
【0031】
光源2200bとカップリングレンズ2201bと開口板2202bとシリンドリカルレンズ2204bと走査レンズ2105bと折り返しミラー2106bと折り返しミラー2108bは、感光体ドラム2030bに潜像を形成するための光学部材である。
【0032】
光源2200cとカップリングレンズ2201cと開口板2202cとシリンドリカルレンズ2204cと走査レンズ2105cと折り返しミラー2106cと折り返しミラー2108cは、感光体ドラム2030cに潜像を形成するための光学部材である。
【0033】
光源2200dとカップリングレンズ2201dと開口板2202dとシリンドリカルレンズ2204dと走査レンズ2105dと折り返しミラー2106dは、感光体ドラム2030dに潜像を形成するための光学部材である。
【0034】
各カップリングレンズは、対応する光源から射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0035】
各開口板は、開口部を有し、対応するカップリングレンズを介した光束を整形する。
【0036】
各シリンドリカルレンズは、対応する光源ユニットから射出された光束を、光偏向器2104の偏向反射面近傍にY軸方向に関して結像する。
【0037】
光偏向器2104は、2段構造のポリゴンミラーを有している。各ポリゴンミラーは、4面の偏向反射面を有している。そして、1段目(下段)のポリゴンミラーではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)のポリゴンミラーではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。なお、1段目のポリゴンミラー及び2段目のポリゴンミラーは、互いに位相が略45°ずれて回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
【0038】
光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、走査レンズ2105a、及び折り返しミラー2106aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、光偏向器2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。
【0039】
また、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、走査レンズ2105b、及び2枚の折り返しミラー(2106b、2108b)を介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、光偏向器2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。
【0040】
また、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、走査レンズ2105c、及び2枚の折り返しミラー(2106c、2108c)を介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、光偏向器2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。
【0041】
また、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、走査レンズ2105d、及び折り返しミラー2106dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、光偏向器2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。
【0042】
各感光体ドラムにおける光スポットの移動方向が、「主走査方向」であり、感光体ドラムの回転方向が、「副走査方向」である。
【0043】
光偏向器2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。
【0044】
各光源は、一例として図6(A)〜図7に示されるように、光デバイス10を有している。なお、図7は、図6(A)のA−A断面図である。
【0045】
この光デバイス10は、フラットパッケージ20、金属リング30、キャップ40、面発光レーザアレイチップ60、及びフォトダイオードPDを有している。
【0046】
ここでは、フラットパッケージ20の底面に直交する方向をc軸方向とし、c軸方向に直交する面内における互いに直交する2つの方向をa軸方向及びb軸方向とする。そして、a軸方向が主走査対応方向となり、b軸方向が副走査対応方向となるように設定されている。
【0047】
面発光レーザアレイチップ60は、一例として図8に示されるように、2次元的に配列されている40個の発光部を有している。なお、発光部の数は40個に限定されるものではない。
【0048】
40個の発光部は、全ての発光部を副走査対応方向に延びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等しく(図8では「d1」)なるように配置されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
【0049】
ここでは、各発光部は、発振波長が780nm帯の垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。すなわち、面発光レーザアレイチップ60は、40個の面発光レーザが集積されている。
【0050】
面発光レーザアレイチップ60は、40個の発光部を有しており、端子の数が多いため、面発光レーザアレイチップ60をいわゆるキャンパッケージに収容するのは、極めて困難である。そこで、面発光レーザアレイチップ60は、平面実装が可能で、リードとなる端子の取り出しが容易なフラットパッケージ20に収容されている。
【0051】
フラットパッケージ20は、CLCC(Ceramic leaded chip carrier)と呼ばれるフラットパッケージであり、一例として、図9〜図11に示されるように、チップマウント部21、PDマウント部22、複数の接続端子23、金めっき部24などを有するセラミックパッケージである。なお、図11は、図9のA−A断面図である。このフラットパッケージ20は、複数のセラミック層が積層されている。
【0052】
フラットパッケージ20は、+c側の面にキャビティ領域と呼ばれる凹部を有している。
【0053】
チップマウント部21は、面発光レーザアレイチップ60が実装される部分であり、上記キャビティ領域の底面である。このチップマウント部21には、金属膜が設けられている。この金属膜は、ダイアタッチエリアとも呼ばれており、共通電極になっている。
【0054】
面発光レーザアレイチップ60は、チップマウント部21のほぼ中央であって、上記金属膜上にAuSn等の半田材を用いてダイボンドされている。すなわち、面発光レーザアレイチップ60は、周囲が壁で囲まれているキャビティ領域の底面上に保持されている。
【0055】
チップマウント部21からは、不図示の複数のリード端子が、フラットパッケージ20の外周に向かって放射状に伸びている。該複数のリード端子は、ボンディングワイヤによって、面発光レーザアレイチップ60の複数の端子と電気的に接続されている。
【0056】
なお、以下では、便宜上、チップマウント部21が設けられているセラミック層を、「セラミック層A」ともいう。
【0057】
PDマウント部22は、上記セラミック層Aの+c側に積層されているセラミック層(以下では、便宜上、「セラミック層B」ともいう)に設けられている。そして、このPDマウント部22の四隅には、開口部25が形成されている。
【0058】
フォトダイオードPDは、PDマウント部22にダイボンドされている。フォトダイオードPDのアノード電極は、ボンディングワイヤによって上記リード端子と電気的に接続されている。フォトダイオードPDの裏面のカソードは、導電性接着剤を介してグラウンド(GND)と電気的に接続されている。すなわち、面発光レーザアレイチップ60とフォトダイオードPDは、異なるセラミック層上に保持されている。
【0059】
複数の接続端子23は、面発光レーザアレイチップ60をプリント基板等と電気的に接続するための端子であり、キャステレーションとも呼ばれている。該複数の接続端子23は、上記複数のリード端子と個別に電気的に接続されている。
【0060】
金めっき部24は、キャビティ領域を取り囲むように設けられている。この金めっき部24は、無電解めっきよりも緻密で密着性に優れた電気めっきにより形成されている。これにより、キャップ40内部の気密性をより高めることができる。ここでは、金めっき部24のめっき厚は約1μmである。
【0061】
フラットパッケージ20の外形は、一辺の長さC(図10参照)が約13.2mmの正方形である。また、フラットパッケージ20の厚さD(図10参照)は、約2.18mmである。
【0062】
金属リング30は、一例として、図12〜図14に示されるように、金めっき部24の+c側に取り付けられている。この金属リング30は、キャビティ領域を取り囲むように開口部が形成された略正方形状の金属部材である。
【0063】
金属リング30は、フラットパッケージ20の材料であるセラミックと熱膨張率の近いコバールでできている。金属リング30の表面には金めっきが施されている。金属リング30は、銀ロウを用いて金めっき部24に固着されている。
【0064】
キャップ40は、一例として図15に示されるように、金属で形成されているキャップ本体41、及び光を透過させるガラス板42を有している。キャップ本体41は、図16(A)及び図16(B)に示されるように、c軸方向に延びる立ち上がり部41aと、立ち上がり部41aの−c側の端部に設けられたフランジ部41bと、立ち上がり部41aの+c側の端部に設けられた傾斜部41cとを有している。ここでは、一例として、図16(A)における符号Hを0.1mm、符号h1を2.5mm、符号h2を0.5mmとしている。
【0065】
フランジ部41bは、金属リング30と接続される平坦状の部分である。傾斜部41cは、ガラス板42が取り付けられる部分である。面発光レーザアレイチップ60から射出されガラス板42で反射された光束がフォトダイオードPDに入射するように、ガラス板42は、c軸方向に直交する面に対して、所定の角度だけ傾斜して傾斜部41cに取り付けられている。ここでは、一例として、傾斜角を約15°としている。
【0066】
ガラス板42は、−c側の面に入射光の10%を反射する反射膜が形成され、+c側の面に反射防止膜が形成されている。
【0067】
ガラス板42は、キャップ本体41の内側から、低融点ガラス43で傾斜部41cに固定されている(図15参照)。
【0068】
セラミック層Aの+c側の面には、セラミック層Bの開口部25を介して観察できる部分にスケールScが形成されている(図17参照)。
【0069】
ここでは、該スケールScとして、図18に示される十字スケールが用いられている。この十字スケールは、底辺の長さがpの三角形状のマークの連続パターンである。ここでは、一例として、p=20μmとしている。
【0070】
セラミック層A及びセラミック層Bが設計通りに形成されていて、セラミック層Aとセラミック層Bとの間に相対的な位置ずれがないときには、図19に示されるように、開口部25の中心とスケールScの中心とが一致するように、開口部25及びスケールScが形成されている。
【0071】
そこで、開口部25の中心とスケールScの中心とが一致していなければ、セラミック層Aとセラミック層Bとの間に相対的な位置ずれが存在することが容易にわかる。そして、その位置ずれ情報(位置ずれ量及び位置ずれ方向)を容易に求めることができる。
【0072】
一例として、図20には、セラミック層Aに対して、セラミック層Bが−a方向に距離p、+b方向に距離pずれている状態が示されている。
【0073】
また、4つの開口部での位置ずれ情報から、セラミック層Aに対するセラミック層Bの、c軸方向に平行な軸まわりの回転ずれ情報(回転角及び回転方向)を容易に求めることができる。
【0074】
ところで、パッケージ部材の一つの用途として、発光素子が保持されるパッケージ部材は、発光素子が搭載される搭載部、及び該搭載部あるいは該搭載部の周辺から下方に導出された一対のメタライズ配線部材を有する基体と、この基体の上面に積層され、キャビティ領域を形成するための開口が設けられた枠体とを有している。また、キャビティ領域の底面には発光素子に電力を供給するための配線パターンがめっき金属層によって形成されている。
【0075】
このパッケージ部材は、以下の工程を経て作製される。
【0076】
最初に、セラミックからなる基体用グリーンシートを準備し、該基体用グリーンシートに上記メタライズ配線部材を通すための貫通孔をあける。
【0077】
次に、セラミックからなる枠体用グリーンシートを準備し、該枠体用グリーンシートにキャビティ領域となる貫通孔をあける。
【0078】
続いて、基体用グリーンシートの上面から下面にかけて、メタライズ配線部材用の金属ペーストをスクリーン印刷法等により塗布する。なお、該金属ペーストは、タングステンやモリブデンなどの金属粉末と有機バインダ及び溶剤等とを混練したものである。
【0079】
また、枠体用グリーンシートの貫通孔の内面に、上記メタライズ金属層用の金属ペーストをスクリーン印刷法等により塗布する。なお、貫通孔への印刷では、一般に、貫通孔の一端に金属ペーストを塗布しておき、他端から吸引しながら貫通孔の内部を印刷する方式が採用されている。
【0080】
そして、基体用グリーンシートに枠体用グリーンシートをのせ、加圧と加熱によってセラミック基板を作製し、さらに高温で焼成する。
【0081】
そして、搭載部、メタライズ配線導体及びメタライズ金属層の露出表面に、ニッケルや銀等をめっきする。
【0082】
このようにして作成されたパッケージ部材に保持される発光素子の一例として面発光レーザ素子(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)がある。面発光レーザ素子は、基板表面に直交する方向に光を射出する半導体レーザであり、従来の端面発光レーザに比べて低コストで高性能であること、さらにはアレイ化が容易であるという特徴を有している。このため、光インターコネクション等の光通信の光源、光ピックアップ用の光源、レーザプリンタ等の画像形成装置の光源としての検討が行われており、一部において実用化されている。
【0083】
ところで、画像形成装置では、温度変化や経時変化に伴って走査用光束の光量が変化し、最終的に出力される画像(出力画像)に濃度むらが発生するおそれがある。そこで、これを抑制するため、通常、光走査装置では、光源から射出される光束の一部をモニタ用光束としてフォトダイオード等のディテクタで受光し、その結果に基づいて、光源の出力レベルを制御するAPC(Auto Power Control)を実施している。
【0084】
端面発光レーザを用いた光走査装置では、端面発光レーザから後方に射出される光をモニタし、APCを行っていた。しかしながら、面発光レーザではその構造上、後方への射出光が生じないため、面発光レーザを用いた光走査装置では、面発光レーザから射出された光束の一部を分岐させて光検出器に導き、その光検出器の出力に基づいてAPCを行うという方法が考えられた。
【0085】
図21には、レーザモジュール500と光学モジュール600とを有する従来の光源ユニット14が示されている。
【0086】
レーザモジュール500は、光デバイス510、該光デバイス510を駆動制御するレーザ制御装置(図示省略)、前記光デバイス510及びレーザ制御装置が実装されているPCB(Printed Circuit Board)基板580を有している。
【0087】
光学モジュール600は、第1の部分610と第2の部分630から構成されている。第1の部分610は、ハーフミラー611、集光レンズ612、及び受光素子613を有している。また、第2の部分630は、カップリングレンズ631、及び開口板632を有している。
【0088】
第1の部分610は、光デバイス510の+c側であって、光デバイス510から射出された光の光路上にハーフミラー611が位置するように配置されている。ハーフミラー611に入射した光の一部は−b方向に反射され、集光レンズ612を介して受光素子613で受光される。受光素子613は、受光光量に応じた信号(光電変換信号)をレーザモジュール500のレーザ制御装置に出力する。
【0089】
第2の部分630は、第1の部分610の+c側であって、ハーフミラー611を透過した光の光路上にカップリングレンズ631が位置するように配置されている。カップリングレンズ631は、ハーフミラー611を透過した光を略平行光とする。開口板632は、開口部を有し、カップリングレンズ631を介した光を整形する。開口板632の開口部を通過した光が、光源ユニット14から射出される光となる。
【0090】
しかしながら、この光源ユニット14は、製造コストが高いという不都合があった。
【0091】
そこで、面発光レーザ素子から射出された光束の一部を、傾斜させた透明部材の表面で反射させ、モニタ用光束として利用することが考案された。この場合は、モニタ用光束を受光するフォトダイオードを面発光レーザ素子とともにパッケージ部材のキャビティ領域内に収容することができる。
【0092】
この場合、透明部材の表面で反射されたモニタ用光束がフォトダイオードに入射するには、面発光レーザ素子とフォトダイオードとの位置関係が非常に重要である。
【0093】
パッケージ部材は、複数のセラミック層が積層された構造となっている。そして、面発光レーザ素子とフォトダイオードとが異なるセラミック層上に搭載されていると、該セラミック層間の相対的な位置ずれ(積層ずれ)に起因して、面発光レーザ素子とフォトダイオードの位置関係が設計上の位置関係と異なることがある。
【0094】
特に、複数の発光部を有する面発光レーザアレイでは、すべての発光部のモニタ用光束をフォトダイオードに正確に入射させる必要があり、面発光レーザアレイとフォトダイオードの位置関係のずれは、複数の発光部から射出される光束の光量のばらつきに直結する。また、面発光レーザアレイとフォトダイオードの位置関係にずれがあると、フォトダイオードの出力信号における信号レベルが、発光部毎に異なることとなり、効率的で安定したAPCができなくなる。
【0095】
また、上記発光素子の別の例として、光通信用の発光素子がある。例えば、下側のセラミック層に発光素子、上側のセラミック層に光ファイバに導光する固定部材が実装される場合、発光素子からの光を正確に固定部材から光ファイバに導光する必要があるため、この場合においても、上側のセラミック層と下側のセラミック層との相対的な位置関係が重要である。
【0096】
なお、特許文献3に開示されている製造方法で製造されたセラミック積層体では、内層と外層の相対的な位置関係を明らかにすることはできなかった。
【0097】
また、特許第2977698号公報に開示されている積層基板は、積層ずれが所定の範囲内であるか否かを積層ずれ検出用チェックマークで判定するものであり、位置ずれ情報を求めることできなかった。
【0098】
また、特開平6−302716号公報に開示されている積層ずれ検出方法は、回転方向及び横方向のずれが許容ずれ量以内であるかどうかを検出するものであり、位置ずれ情報及び回転ずれ情報を求めることできなかった。
【0099】
また、特開平11−274670号公報に開示されている積層基板では、位置ずれ情報を定量的に求めることできなかった。
【0100】
一方、本実施形態のフラットパッケージ20では、セラミック層Aとセラミック層Bの位置ずれ情報及び回転ずれ情報を簡単に定量的に求めることができる。
【0101】
図22には、変形例1のスケールSc1が示され、図23には、変形例2のスケールSc2が示されている。なお、スケールSc2では、pの値が小さいと、一例として図24に示されるように、目盛の線幅が相対的に太く見えるため、位置ずれ情報の精度が低下するおそれがある。そこで、この場合は、上記スケールScあるいはスケールSc1を用いるのが好ましい。
【0102】
また、一例として図25に示されるように、少なくとも1つの開口部25の周囲にスケールを設けても良い。この場合は、一例として図26(A)及び図26(B)に示されるように、セラミック層Aでは、対応するスケールに代えて、十字マークMk1を用いても良い。図26(A)には、位置ずれがない状態が示され、図26(B)には、セラミック層Aに対して、セラミック層Bが−a方向に距離p、+b方向に距離pずれている状態が示されている。
【0103】
また、一例として図27(A)及び図27(B)に示されるように、一の開口部25に対応して、セラミック層Aにスケールを設けるのに代えて、セラミック層Aに開口部26を設けても良い。図27(A)には、位置ずれがない状態が示され、図27(B)には、セラミック層Aに対して、セラミック層Bが−a方向に距離p、+b方向に距離pずれている状態が示されている。例えば、開口部25の1辺の長さを100μm、開口部26の1辺の長さを80μm、p=10μmとすることができる。
【0104】
ここでは、開口部25の方が開口部26より大きな例を示したが、開口部25と開口部26が同じ大きさであっても良い。また、開口部26の方が開口部25より大きくても良い。また、開口部26に代えて、外形が開口部26と同じ凹部をセラミック層Aに設けても良い。
【0105】
また、一の開口部25に対応して、セラミック層Aでは、スケールに代えて、開口部25と同じ形状、同じ大きさのマーク(マークMk2とする)を用いても良い。図28(A)には、位置ずれがない状態が示され、図28(B)には、セラミック層Aに対して、セラミック層Bが−a方向に距離p、+b方向に距離pずれている状態が示されている。この場合は、位置ずれの有無を簡単に知ることができる。
【0106】
また、一の開口部25に対応して、セラミック層Aでは、スケールに代えて、図29に示されるように、開口部25と同じ形状、同じ大きさのマークMk3と、該マークMk3と相似形で辺の長さが2Δdだけ大きいマークMk4とを用いても良い。図30には、位置ずれがない状態が示されている。この場合は、位置ずれのおおよその大きさを簡単に知ることができる。図31(A)には、セラミック層Aに対して、セラミック層Bが−a方向に距離Δd未満、+b方向に距離Δd未満ずれている状態が示されている。また、図31(B)には、セラミック層Aに対して、セラミック層Bが−a方向に距離Δd以上、+b方向に距離Δd以上ずれている状態が示されている。例えば、開口部25の1辺の長さを80μm、マークMk3の1辺の長さを80μm、マークMk4の1辺の長さを100μmとすることができる。このとき、Δd=10μmである。
【0107】
なお、マークMk3は、その大きさが開口部25と異なっていても良い。また、互いに大きさが異なる3つ以上のマークが設けられても良い。
【0108】
また、セラミック層Bのいずれか1つの開口部25の周囲に前記スケールが設けられても良い(図32参照)。
【0109】
また、一例として図33に示されるように、セラミック層Aでは、4つの開口部25に対応するマークがそれぞれ異なっていても良い。図34(A)には、セラミック層Aとセラミック層Bとを重ねたときに、位置ずれがない状態が示されている。図34(B)には、セラミック層Aに対して、セラミック層Bが−a方向に距離20μm以上、+b方向に距離20μm以上ずれている状態が示されている。
【0110】
この場合、セラミック層Bが+b方向に5〜10μm、−a方向に5〜10μmずれると、左下の開口部のみでマークが見える。また、セラミック層Bが+b方向に10〜20μm、−a方向に10〜20μmずれると、左側の2つの開口部からマークが見える。そして、右下の開口部ではセラミック層A上のパターンとセラミック層B上のパターンのずれ量も求めることができる。
【0111】
また、4つの同じ大きさの開口部(図35(A)参照)を有するセラミック層Bと、該4つの開口部に対応する位置の外側に、開口部と一定の距離をもって形成された4つのマーク(図35(B)参照)を有するセラミック層Aとを重ね合わせても良い。
【0112】
例えば、図35(C)に示されるように、図35(A)における各開口部は、1辺が100μmの正方形であり、図35(B)における左上のマークは、図35(A)における左上の開口部の左上角部よりも20μm、右上のマークは、右上の開口部の右上角部よりも40μm、右下のマークは、右下の開口部の右下角部よりも20μm、左下のマークは、左下の開口部の左下角部よりも40μm、それぞれ外側に位置している。
【0113】
セラミック層Aの上にセラミック層Bを重ね合わせて上から見たときに、2つの層の間にずれがないときの状態が、図36(A)に示されている。2つ層の間にずれがなければ、マークは開口部を介して見ることはできない。破線で表示されているマークは、実際には見えていないことを示している。
【0114】
セラミック層Aの上にセラミック層Bを重ね合わせて上から見たときに、セラミック層Aに対して、セラミック層Bが−a方向に距離30μm以上、−b方向に距離30μm以上ずれている状態が、図36(B)に示されている。このとき、左下のマークは、開口部を介して見ることができるが、右下のマークは、開口部を介して見ることができないので、20μm以上で、40μm以下のずれが生じていることが分かる。
【0115】
このように、複数の開口部とそれに対応させたマークを用いることで、ずれ量の大きさ及び方向を、一目で確認することができる。
【0116】
また、4つの同じ大きさの開口部(図37(A)参照)を有するセラミック層Bと、その開口部に対応する位置に内側から接するように配置されたマーク(図37(B)参照)を有するセラミック層Aとを重ね合わせても良い。
【0117】
例えば、図37(C)に示されるように、図37(A)における各開口部は、1辺が100μmの正方形であり、図37(B)における左上のマークは、図37(A)における左上の開口部の左上角部、右上のマークは、右上の開口部の右上角部、右下のマークは、右下の開口部の右下角部、左下のマークは、左下の開口部の左下角部、にそれぞれ接している。
【0118】
セラミック層Aの上にセラミック層Bを重ね合わせて上から見たときに、2との層の間にずれがないときの状態が、図38(A)に示されている。
【0119】
セラミック層Aの上にセラミック層Bを重ね合わせて上から見たときに、セラミック層Aに対して、セラミック層Bが−a方向に距離30μm、−b方向に距離30μmずれている状態が、図38(B)に示されている。このとき、左下開口部の左下角部において、その角部とマークとの間に隙間を確認でき、その他の開口部ではそれぞれマークが開口部の下側に隠れて見えなくなっている。破線で表示されているマークは、実際には見えていないことを示している。また、このとき、マークの線の太さを20μmとすれば、右上の開口部においてマークが全て隠れていることから、20μm以上のずれが生じていることが分かる。
【0120】
このように、複数の開口部とそれに対応させたマークを用いることで、ずれ量の大きさ及び方向を、一目で確認することができる。
【0121】
すなわち、複数個の開口部と該複数個の開口部に対応する複数個のマークが形成され、複数個のマークは、対応する開口部との位置関係が互いに異なるとともに、互いに異なった方向性を有していても良い。
【0122】
また、複数個の開口部は、互いに異なった大きさを有していても良い。
【0123】
このように、複数の開口部を設け、それぞれ機能を分けてマークが観察できるようにすることで、例えば画像認識による自動外観検査によってそのパッケージ部材の不良の種類や度合いが簡便に判別できるようになる。また、要求される精度に応じて、観察対象の開口部25を選択することができる。
【0124】
本実施形態では、フォトダイオードPDを取り付ける前に、セラミック層Aに対するセラミック層Bの位置ずれ情報及び回転ずれ情報が求められる。そして、得られた位置ずれ情報と回転ずれ情報とに基づいて、面発光レーザアレイチップ60から射出されガラス板42の表面で反射された光束(モニタ用光束)の大部分がフォトダイオードPDに入射するように、フォトダイオードPDの位置が算出される。そして、その位置にフォトダイオードPDが取り付けられる(図39参照)。
【0125】
なお、セラミック層Bが、セラミック層Aに対してa軸方向にのみずれている場合は、フォトダイオードPDの位置を調整するのに代えて、キャップ40のa軸方向に関する位置を調整しても良い(図40(A)及び図40(B)参照)。
【0126】
走査制御装置は、所定のタイミング毎に、フォトダイオードPDの出力信号に基づいて、各発光部のAPCを実施する。
【0127】
以上説明したように、本実施形態に係るフラットパッケージ20によると、チップマウント部21、PDマウント部22、複数の接続端子23、金めっき部24などを有するセラミックパッケージである。
【0128】
チップマウント部21は、セラミック層Aにおける面発光レーザアレイチップ60が実装される部分である。
【0129】
PDマウント部22は、セラミック層Aの+c側に積層されているセラミック層Bに設けられ、その四隅にそれぞれ開口部25が形成されている。
【0130】
セラミック層Aの+c側の面には、セラミック層Bの開口部25を介して観察できる部分にスケールScが形成されている。
【0131】
この場合は、高コスト化を招くことなく、セラミック層Aに対するセラミック層Bの位置ずれ情報及び回転ずれ情報を簡単に定量的に求めることができる。
【0132】
そして、セラミック層Aに対するセラミック層Bの位置ずれ情報及び回転ずれ情報に基づいて、モニタ用光束の大部分がフォトダイオードPDに入射するように、フォトダイオードPDの位置及びキャップ40の位置の少なくとも一方が調整されている。
【0133】
従って、走査制御装置は、各発光部のAPCを精度良く行うことができる。
【0134】
また、セラミック層Aに対するセラミック層Bの位置ずれ及び回転ずれが大きい場合には、面発光レーザアレイチップ60及びフォトダイオードPDを取り付ける前に、該フラットパッケージを不良品として排除することが可能となった。また、自動外観検査装置による判別もしやすくなり、その手間とコストを大幅に削減することができた。
【0135】
ところで、グリーンシートを積層したセラミックパッケージ部材では、各層の位置合わせは精度が高くても±30μm程度の誤差が生じており、場合によっては更に大きなずれが生じている場合がある。異なる層に複数の電子部品、特に光学部品を搭載するパッケージ部材において30μmの誤差の影響は大きく、その製品の品質を著しく低下させることがあった。
【0136】
また、パッケージ部材上への電子部品の実装は、そのパッケージ部材上に設けられているパターンを目安に行うことが多い。そして、そのパッケージ部材の層にずれが生じている場合、従来のパッケージ部材では、違う層に実装されている2つ以上の電子部品におけるお互いの位置関係がどれほどずれているかを知るには検査装置や光学顕微鏡などによってその相対距離を測定する必要があり、大きな手間とコストがかかっていた。
【0137】
そして、本実施形態に係る光デバイス10によると、フラットパッケージ20を有しているため、面発光レーザアレイチップ60が保持されるセラミック層と、フォトダイオードPDが保持されるセラミック層との間にずれがあっても、面発光レーザアレイチップ60から射出されガラス板42の表面で反射された光束(モニタ用光束)の大部分をフォトダイオードPDに入射させることが可能である。
【0138】
そこで、光走査装置2010では、所定のタイミング毎に、フォトダイオードPDの出力信号に基づいて、各発光部のAPCを精度良く実施することができる。
【0139】
そして、カラープリンタ2000は、光走査装置2010を備えているため、その結果として、高コスト化を招くことなく、高品質の画像を形成することができる。
【0140】
なお、上記実施形態では、4つの開口部25が四隅に設けられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0141】
また、上記実施形態では、開口部25が4つ設けられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。開口部25の数は多い方がより細かな情報を得ることができるが、多すぎると情報が煩雑になりパッケージ部材内のスペース設計も困難になるので、4つ程度が好ましい。
【0142】
また、上記実施形態では、2つのセラミック層間の位置ずれについて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、3つのセラミック層間の位置ずれについても求めることが可能である。
【0143】
また、上記実施形態と同様にして、セラミック層のずれとパターンの印刷ずれとを同時に確認することができる。すなわち、上側の層に開口部を設け、該開口部の周囲のパターンと開口部を介して見える下側の層のパターンとの位置関係を観察することで、パターン同士のずれ量が一目で分かり、電子部品同士の位置関係も知ることができる。
【0144】
また、上記実施形態では、発光部の発振波長が780nm帯の場合について説明したが、これに限定されるものではない。感光体の特性に応じて、発光部の発振波長を変更しても良い。
【0145】
また、上記光デバイスは、画像形成装置以外の用途にも用いることができる。その場合には、発振波長は、その用途に応じて、650nm帯、850nm帯、980nm帯、1.3μm帯、1.5μm帯等の波長帯であっても良い。
【0146】
また、上記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタの場合について説明したが、これに限定されるものではなく、単色のプリンタであっても良い。
【0147】
また、上記実施形態では、トナー画像を記録紙に転写する画像形成装置について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
【0148】
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
【符号の説明】
【0149】
10…光デバイス、20…フラットパッケージ(パッケージ部材)、25…開口部、26…開口部、30…金属リング、40…キャップ、41…キャップ本体、41a…立ち上がり部、41b…フランジ部、41c…傾斜部、42…ガラス板、60…面発光レーザアレイチップ、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、2030a〜2030d…感光体ドラム(像担持体)、2104…光偏向器、2105a〜2105d…走査レンズ(走査光学系の一部)、2200a〜2200d…光源、Mk1…十字マーク、Mk2…マーク、Mk3…マーク、Mk4…マーク、PD…フォトダイオード、Sc…スケール、Sc1…スケール、Sc2…スケール。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0150】
【特許文献1】特開平10−215020号公報
【特許文献2】特開2009−105240号公報
【特許文献3】特開2002−178325号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセラミック層が積層され、電子部品が搭載されるパッケージ部材において、
前記複数のセラミック層のうちの一のセラミック層に少なくとも1つの位置検出用のマークが形成され、
前記一のセラミック層上に積層されたセラミック層に、前記少なくとも1つのマークを観察するための少なくとも1つの開口部が設けられていることを特徴とするパッケージ部材。
【請求項2】
前記マークは、前記開口部の大きさよりも大きく、もしくは前記開口部よりも外側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ部材。
【請求項3】
前記マークは、前記開口部の少なくとも1辺に内側から接するように形成されており、該マークが前記開口部を介して目視できることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ部材。
【請求項4】
前記マークは、等間隔の目盛を有する十字スケールであることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ部材。
【請求項5】
前記目盛は、三角形状の目盛であることを特徴とする請求項4に記載のパッケージ部材。
【請求項6】
前記マークは、開口であることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ部材。
【請求項7】
前記マークは、前記開口部と同じ形状のパターンを含むことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ部材。
【請求項8】
前記開口部の近傍に等間隔の目盛が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のパッケージ部材。
【請求項9】
少なくとも1つの開口部は、複数個の開口部であり、
前記少なくとも1つのマークは、前記複数個の開口部に対応する複数個のマークであり、
前記複数個のマークは、対応する開口部との位置関係が互いに異なるとともに、互いに異なった方向性を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のパッケージ部材。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のパッケージ部材と、
前記パッケージ部材における第1のセラミック層に設置された面発光レーザ素子と、
前記面発光レーザ素子の射出面に対して傾斜しており、前記面発光レーザ素子から射出された光の一部を反射する透明部材と、
前記パッケージ部材における第2のセラミック層に設置され、前記透明部材で反射された光を受光するフォトダイオードとを備え、
前記第2のセラミック層は、前記開口部が設けられているセラミック層であり、
前記第1のセラミック層は、前記第2のセラミック層の下部層もしくは2層下の層である光デバイス。
【請求項11】
前記面発光レーザ素子及び前記フォトダイオードの実装後でも、光軸調整ができることを特徴とする請求項10に記載の光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−70025(P2013−70025A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129574(P2012−129574)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】