説明

パッチ転写媒体

【課題】
被転写体にパッチを容易に転写でき、多数回の繰り返し使用でも、媒体の表面と保護する耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、簡易な真正性判定が可能なコレステリック液晶層を有するパッチ転写媒体を提供する。
【解決手段】
(1)透明基材、該透明基材の一方の面にコレステリック液晶層及び接着層からなる転写材と、(2)支持基材へ剥離性樹脂層を設けた支持材とからなり、前記転写材の転写部をハーフカット処理を施してパッチとし、該パッチが前記支持材の剥離性樹脂層面へ剥離可能に積層されていることを特徴とし、また、上記コレステリック液晶層が偏光性を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッチ転写媒体に関し、さらに詳しくは、転写後は耐擦傷性や耐溶剤性などの耐久性に加えて、意匠性とセキュリティ性に優れるコレステリック液晶を有するパッチを、転写性よく転写できるパッチ転写媒体に関するものである。このパッチ転写媒体は、偽造防止機能を必要とする種々の形状を有する物(以下、非転写体という。)の所望の部分に正確に転写して用いられる。
「パッチ」とは、請求項に記載のとおり、支持基材上に剥離性樹脂層を介して設けられた転写材の一部分のみをハーフカットして、そのハーフカット部分のみを転写するときのその「転写部分」をいう。
さらに、このパッチ転写媒体の接着層に、熱溶融転写方式、熱昇華転写方式又はインクジェット方式のいずれかで、非転写体への転写形成が必要な画像を設けておき、この転写によって位置精度よく非転写体上に形成することにより、偽造防止媒体(非転写体にパッチ転写したものを偽造奉仕媒体という。)及び形成画像の真正性を耐久性よく証明することに用いられるパッチ転写媒体に関するものである。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、「エクストルージョンコーティング」は「EC」、の略語、同意語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
【背景技術】
【0003】
(主なる用途)本発明のパッチ転写媒体主なる用途としては、偽造防止分野、具体的には、クレジットカード等の、偽造されて使用されると、カード保持者やカード会社等に損害を与え得るもの、運転免許証、社員証、会員証等の身分証明書、入学試験用の受験票、パスポート等、紙幣、商品券、ポイントカード、株券、証券、抽選券、馬券、預金通帳、乗車券、通行券、航空券、種々の催事の入場券、遊戯券、交通機関や各種電話用のプリペイドカード等がある。
これらはいずれも、経済的、もしくは社会的な価値を有する情報や、本人識別等の情報を保持した情報記録体であり、偽造による損害を防止する目的で、記録体そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれるが、その中でも、その情報が目視画像であって、その目視画像の真正性を証明する機能を有することが特に望まれるものに適用される。
さらには、その目視画像の耐久性、すなわち、耐擦傷性や耐溶剤性等を高めることが望まれるものに適用される。
【0004】
また、上記した用途以外であっても、高額商品、例えば、高級腕時計、高級皮革製品、貴金属製品、もしくは宝飾品等の、しばしば、高級ブランド品と言われるもの、または、それら高額商品の収納箱やケース等も偽造され得るものである。また、量産品でも有名ブランドのもの、例えば、オーディオ製品、電化製品等、または、それらに吊り下げられるタグも、偽造の対象となりやすい。
【0005】
さらに、著作物である音楽ソフト、映像ソフト、コンピュータソフト、もしくはゲームソフト等が記録された記憶体、またはそれらのケース等も、やはり偽造の対象となり得る。また、プリンター用のトナー、用紙など、交換する備品を純正材料に限定している製品などにも、偽造による損害を防止する目的で、そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
これらのものに、目視画像を形成し、且つ、その目視画像の真正性を証明する必要のあるものにも好適である。
【0006】
(背景技術)従来、上記の用途の媒体、例えば、一定の金額を払い込んだ(プリペイドという)権利や資格などを証明する媒体が増加している。該媒体は一定の経済的価値や効果を持つため、有効期間や区間、氏名、年齢などの個別情報が改竄されて、不正に偽造、変造、不正使用することが絶えず、種々の改竄防止策が提案され、セキュリティ性の向上が図られている。
また、優れた美観、意匠性とともに、高いセキュリティ性を持つホログラム転写箔を用いて、ホログラムを媒体へ転写することが知られている。ホログラム転写箔は、基本的には基材フィルム上に、剥離層または、離型層と保護層、ホログラム形成層、ホログラム効果層および接着層を設け、カードなどの被転写材の転写領域に対向させて接着し、接着後に基材フィルムを剥離して、カードなどの被転写材の表面にホログラム層を転写する。
【0007】
上記ホログラム転写箔は、ホログラム層の変造や偽造が困難であることから、被転写物品の偽造、変造が有効に防止されているが、各種模倣、偽造、変造技術の向上によりさらに優れた偽造防止性、変造防止性が要求されるようになってきた。
これらの要求に応えるために、通常の白色光源下においては目視不能であるが、赤外線または紫外線照射下で可視領域の蛍光を生じる蛍光顔料からなる蛍光潜像の画像などをカードなどの表面に形成することが考えられる。しかしながら、上記蛍光顔料からなる画像は容易に書き換え可能であるとともに、身分証明書やキャッシュカードなどはその使用頻度が高くまたカードリーダーなどにより表面に多くの摩擦力が加えられることから、蛍光顔料印刷層が容易に剥落してしまうという課題があった。
【0008】
一方、上記の用途の媒体、例えば、IDカードでは媒体の表面へ文字、数字、顔写真等のような画像が形成される。これらの画像の形成は、近年、所謂溶融転写タイプ又は昇華転写タイプのインクリボンを用いて熱転写又は昇華転写による転写法で行われることが多い。該転写法は基材シート上に着色転写層を形成した熱転写シートにおいて、その背面からサーマルヘッドなどにより、画像状に加熱して、上記の着色転写層を熱転写受像シートの表面に熱転写して、画像形成するものである。この熱転写方法は、その着色転写層の構成によって、昇華転写型と熱溶融転写型の二方式に大別される。両方式ともに、フルカラー画像の形成が可能であり、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンさらに必要に応じて、ブラックの三色ないし四色の熱転写シートを用意し、同一の熱転写受像シートの表面に各色の画像を重ねて熱転写して、フルカラー画像を形成するものである。
【0009】
マルチメディアに関連した様々なハードおよびソフトの発達により、この熱転写方法は、コンピューターグラフィックス、衛星通信による静止画像そしてCDROMその他に代表されるデジタル画像およびビデオ等のアナログ画像のフルカラーハードコピーシステムとして、その市場を拡大している。
この熱転写方法による熱転写受像シートの具体的な用途は、多岐にわたっている。代表的なものとしては、印刷の校正刷り、画像の出力、CAD/CAMなどの設計およびデザインなどの出力、CTスキャンや内視鏡カメラなどの各種医療用分析機器、測定機器の出力用途そしてインスタント写真の代替として、また身分証明書やIDカード、クレジットカード、その他カード類への顔写真などの出力、さらに遊園地、ゲームセンター、博物館、水族館などのアミューズメント施設における合成写真、記念写真としての用途などをあげることができる。
【0010】
(先行技術)
上記のような用途の多様化に伴い、受容層が基材上に剥離可能に設けられた中間転写媒体で、その受容層に染料層を有する熱転写シートを用いて、染料を転写して画像を形成し、その後に中間転写記録媒体を加熱して、受容層を被転写体上に転写する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
特に、昇華転写型の熱転写シートで画像形成した場合、顔写真等の階調性画像を精密に形成することができるが、通常の印刷インキによる画像とは異なり、耐候性、耐摩擦性、耐薬品性等の耐久性に欠ける弱点がある。その解決策として、熱転写画像上に熱転写性樹脂層を有する保護層熱転写フィルムを重ね合わせ、サーマルヘッドや加熱ロール等を用いて、透明性を有する熱転写性樹脂層を転写させ、画像上に保護層を形成することが行われている。
【0011】
上記の保護層はサーマルヘッドまたは熱ロールによる転写時に、部分的に転写する必要があることから、箔切れ性を有する必要がある。この場合、保護層を数ミクロン程度の厚さの樹脂膜にせざるを得ないことから、強靱な耐擦傷性、耐薬品性等の耐久性を持たせることが出来ない。また、中間転写記録媒体に形成する保護層も箔切れ性の観点から、充分な耐擦傷性、耐薬品性等の耐久性を持たせることが出来ない。
インクジェット方式に至っては、インクジェットプリンターによりフルカラートナーを静電的手法により被印字部へ飛ばして印字する(画像形成する)ものであり、被印字部に接触しないという利点があるものの、被印字部への接着性は弱く、その印字(画像)の耐久性は著しく低いと言わざるを得ない。
【0012】
また、樹脂層を設けたシート基材と、受容層を設けた透明シートが積層され、受容層を含めて透明シート部にハーフカット処理が施され、透明シート上にホログラム形成層が積層され、樹脂層と透明シートの間で剥離する中間転写記録媒体の製造方法において、透明シート上にホログラム形成層が積層された原反上に、受容層を塗布し、その後に透明シートの受容層の設けられている面と反対面と、予め1画面単位毎に相当する位置にレジマークを形成したシート基材とを樹脂層を介して貼り合わせ、次にレジマークを読み取って、ハーフカット処理の位置合わせとハーフカット処理を行なうことを特徴とすることが記載されている。この文献における中間転写記録媒体を使用して、過酷な使用条件においても、熱転写画像の各種耐久性に優れ、保護層(透明シート)を画像上に、ハーフカット処理がされているので、精度良く、簡単に転写することができ、また透明シート上にホログラム画像が形成してあるため、熱転写の画像形成された被転写体の改ざん、偽造防止性に優れたものとなることが記載されている。(例えば、特許文献2参照)
【0013】
しかしながら、近年、ホログラムそのものの偽造が高度になり、ホログラム画像があることを目視判定するだけの真正性判定では、そのホログラムが真正に製造されたものか否か明確に判断できず、偽造品を排除することが難しい状況となっている。また、その真正性判定を、例えば金融機関の窓口や、デパートの売り場の照明下で実施した場合、照明そのものがホログラムの再生には不向きなことが多く(波長単一性や、位相が揃ったものでなく、目に優しく光を散乱させた蛍光灯のように、多くの波長が混在した散乱光である場合が多い。)、ホログラムの目視判定のみを真正性判定のよりどころとすることはもはや不十分であるという欠点を有していた。
【0014】
【特許文献1】特開昭62−238791号公報
【特許文献2】特開2002−274060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、
カードなどの偽造防止媒体(本発明では被転写体と呼ぶ。)に、熱転写等によって形成した画像を保護する、もしくは、熱転写等によって形成した画像を有する、耐久性の高いパッチを転写形成し、過酷な使用条件においても、その画像の各種耐久性に優れ、また、パッチを被転写体上に位置精度良く、容易に転写でき(画像があるべき位置に精度よく転写される。)、転写された媒体においては、簡便な判定方法により、真正性が容易に、且つ、正確に判断できるというセキュリティ面において優れたコレステリック液晶を有するパッチ転写媒体を提供する。
すなわち、媒体使用時、耐久性を有し、多数回の繰り返し使用でも、媒体の表面が保護されるとともに、簡易な手段によりその真正性が正確に判断できるパッチ転写媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、
本発明のパッチ転写媒体の第1の態様は、
(1)透明基材、該透明基材の一方の面にコレステリック液晶層、及び接着層からなる転写材と、(2)支持基材へ剥離性樹脂層を設けた支持材とからなり、前記転写材の転写部をハーフカット処理を施してパッチとし、該パッチが前記支持材の剥離性樹脂層面へ剥離可能に積層されていることを特徴とする。
本発明のパッチ転写媒体の第1の態様によれば、
(1)透明基材、該透明基材の一方の面にコレステリック液晶層、及び接着層からなる転写材と、(2)支持基材へ剥離性樹脂層を設けた支持材とからなり、前記転写材の転写部をハーフカット処理を施してパッチとし、該パッチが前記支持材の剥離性樹脂層面へ剥離可能に積層されているパッチ転写媒体が提供される。
このパッチ転写媒体により、前記透明基材を備えた前記コレステリック液晶層と、前記接着層が、パッチとして、被転写体(パッチが転写されて、偽造防止媒体となるもの)に転写される。被転写体は、前記パッチ転写前に、熱溶融転写方式、熱昇華転写方式又はインクジェット方式のいずれかであらかじめ画像が形成されており、この画像に対して位置精度よくパッチが転写される。
【0017】
本発明のパッチ転写媒体の第2の態様は、
(1)透明基材、該透明基材の一方の面にコレステリック液晶層、及び接着層からなる転写材と、(2)支持基材へ剥離性樹脂層を設けた支持材とからなり、前記転写材の転写部をハーフカット処理を施してパッチとし、該パッチが前記支持材の剥離性樹脂層面へ剥離可能に積層されているパッチ転写媒体において、
前記転写材の接着層が、熱溶融転写方式、熱昇華転写方式又はインクジェット方式のいずれかで画像が形成される受容性を有することを特徴とするものである。
【0018】
本発明のパッチ転写媒体の第2の態様によれば、
前記透明基材を備えた前記コレステリック液晶層と、前記接着層が、パッチとして非転写体に転写される。
その接着層は、熱溶融転写方式、熱昇華転写方式又はインクジェット方式のいずれかで画像が形成可能な受容性を有しており、前記パッチ転写前に、その熱溶融転写方式、熱昇華転写方式又はインクジェット方式のいずれかで、その接着層上に非転写体に形成する必要のある画像をあらかじめ形成される。
【0019】
パッチ転写により、この画像を保持したパッチを、非転写体の所定の位置に形成する。この画像は、例えば、IDカード表面に形成される文字、数字、顔写真等であり、そのIDカードの認証を目的として、その文字や、数字を光学的に自動読取したり、顔写真を判定したりすることから、その位置精度は高いものが要求される。さらに、認証する特定の部分のみを選択的に覆うことが可能となり、偽造防止効果を高めることができる。
【0020】
本発明のパッチ転写媒体の第1及び第2の態様において、このパッチ転写後は、このIDカードを数年〜数十年間、ゲート端末等によって繰り返し擦られたり、保有者が携帯することによる物理的圧力が掛かったり、保持者の汗や手油等に侵食されたりすることを防ぐため、コレステリック液晶層に接して、耐久性に優れる前記透明基材が設けられている。さらに、コレステリック液晶も、高分子分散型液晶や、カプセル化された液晶を使用することで、その耐久性をより高いものとすることができる。
このため、前記透明基材は、2.5μm〜50μmの厚さを持ち、且つ、コレステリック液晶層そのものも耐久性に優れる樹脂を使用するため、通常のスポット転写方式では、所望の形状に転写することが難しい。また、スポット転写方式は、転写部分を所望の形状に破断するため高温・高圧条件となりやすく、コレステリック液晶層がダメージを受けることも想定される。
【0021】
そこで、支持基材へ剥離性樹脂層を設けた支持材を用い、前記転写材の転写部をハーフカット処理を施してパッチとした後、比較的低圧力で転写可能なラミネート転写方式や、低温・低圧化でのスポット転写方式を用いて、非転写体に転写することができる。
この低温・低圧の転写条件は、接着層上に形成してある画像の変形や色調等の劣化、さらには、コレステリック液晶層へのダメージ等を削減・防止する意味でも重要となる。特に、ハーフカットによりコレステリック液晶層そのものを破断するため、その破断時、さらには、その後の使用時であっても、液晶をカプセル化、成膜化しておくことは好適である。
【0022】
さらに、この画像形成は前記した方式を用いて通常連続的に実施されるため、前記透明基材によって、ロール状にコレステリック液晶層や、接着層を担持しておく必要がある。
このロール状の透明基材上に、精度よくハーフカット処理及び、精度よく画像形成するためには、基材上に位置を表示するマークが必要となるため、まず画像形成を実施して、同時に位置表示マークを入れておき、このマークを検知しながらハーフカット処理を実施する。さらには、やはりこの位置表示マークを検知しながら、非転写体の所望の位置に位置あわせしながら、パッチ転写する。
従って、この位置表示マークは、転写時、非転写体へ転写されないよう画像とは別のハーフカット領域とすることが好ましい。もしくは、画像の中にある特定の部分を位置表示用に使用することで、ハーフカット処理を単純化することも好適である。
【0023】
コレステリック液晶層は、それ自体反射する光を選択する効果を持つため、観察する角度により反射光の色調が変わることで偽造防止性を有するが、これに加えて、偏光性を有することから、偏光フィルムをかざすだけで、光を遮蔽したり、透過したりする機能を持つ。この機能を利用して、目視観察にても簡易に真正性を確認できる。もちろん、自動読み取り装置において、偏光板を所定のパターンで設置することにより、画像の所定の部分だけ抜き出して読み取り、真正性を確認することもできる。
【0024】
また、本発明のパッチ転写媒体の第3の態様は、
上記接着層が粘着性も有する粘着性接着層であること特徴とするものである。
これは、接着層の成分に、粘着性の樹脂を混入させることで実現できる。このことにより、画像形成をし易くするとともに、パッチ転写もより低温・低圧化で実施することが可能となる。当然、プロセス全体の消費エネルギーを低くすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のパッチ転写媒体によれば、
(1)透明基材、該透明基材の一方の面にコレステリック液晶層、及び接着層からなる転写材と、(2)支持基材へ剥離性樹脂層を設けた支持材とからなり、前記転写材の転写部をハーフカット処理を施してパッチとし、該パッチが前記支持材の剥離性樹脂層面へ剥離可能に積層されているパッチ転写媒体及び、
前記転写材の接着層が、熱溶融転写方式、熱昇華転写方式又はインクジェット方式のいずれかで画像が形成される受容性を有することを特徴とするパッチ転写媒体が提供される。
さらに、本発明のパッチ転写媒体によれば、
上記接着層が粘着性も有する粘着性接着層であることを特徴とするパッチ転写媒体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示すパッチ転写媒体の断面図である。
図2は、本発明のパッチ転写媒体を用いて転写した本発明の別の実施例を示す偽造防止媒体の断面図である。(被転写媒体に、あらかじめ画像が形成されている。)
図3は、本発明のパッチ転写媒体を用いて転写した本発明の別の実施例を示す偽造防止媒体の断面図である。(パッチ転写媒体に、あらかじめ画像が形成されている。)
【0027】
(パッチ転写媒体)本発明のパッチ転写媒体20は、図1に示すように、パッチ21が支持材30の剥離性樹脂層33面へ剥離可能に積層されている。パッチ21は転写材10の転写部をハーフカット処理して、パッチ状としたものである。転写材10は(1)透明基材11と、該透明基材11の一方の面にコレステリック液晶層15、及び接着層18からなり、支持材30は(2)支持基材31へ剥離性樹脂層33を設けてある。
(偽造防止媒体)本発明の偽造防止媒体100は、図2に示すように、本発明の上記パッチ転写媒体20を用いて、転写材10の転写部をハーフカット処理してパッチ状となっているパッチ21を、支持材30から剥離させて、被転写体101へ転写してある。パッチ21は透明基材11、コレステリック液晶層15及び接着層18からなっている。
【0028】
パッチ転写媒体20は、次のような効果を奏することができる。
(1)パッチ転写媒体20からパッチ21を被転写体101へ転写する際には、パッチ21はハーフカット処理されているので、容易に支持材30から剥離して、転写性よく転写することができる。
すなわち、通常のスポット転写を実施する場合は、スポット形状を精度よく再現するために、転写工程において、高温・高圧・長時間の転写条件にて転写を行う。例えば、200度以上、5トン/cm2以上、5秒以上等。特に、圧力を強くすることで、スポット形状の端部をはみ出しやぎざぎざのないすっきり仕上げる。また、この端部をさらにきれいに仕上げるためには、転写する部分の破断強度が小さい方が望ましく、通常の樹脂層であれば数μm以下としている。
しかしながら、コレステリック液晶層がその機能を発揮するには、1.5μm以上さらには数十μm以上を要するため、前記したスポット転写工程による転写は難しく、本発明のようなハーフカット処理が必要となる。
【0029】
(2)さらには、このハーフカット処理では、前記した高温・高圧を必要とせず、50度〜150度、0.1〜1トン/cm2、さらには、70度〜100度、0.5トン〜1トン/cm2が好適である。
50度以下・0.1トン/cm2以下では、接着力を確保できず、150度以上・1トン/cm2以上では、コレステリック液晶層にダメージを与える。その中でも、70度〜100度、0.5トン〜1トン/cm2の条件において、安定した接着力とコレステリック液晶層へのダメージの少ない転写を実施することができる。
また、コレステリック液晶層の耐久性を増すため、使用する樹脂層の膜強度を強くしたり、カプセル化した場合には、なおさら、スポット転写が難しくなるため、ハーフカット処理が好適となる。
【0030】
また、偽造防止媒体100は、次のような効果を奏することができる。
(1)偽造防止媒体100の最表面は、パッチ21の透明基材11となり、該透明基材11は一旦フィルム用に高強度に成膜されたものであので、多数回の繰り返し使用でも、耐擦傷性や耐溶剤性などの耐久性に優れ、従来の塗布された樹脂による保護層に比較して、媒体の表面を強固に保護することができる。該透明基材11としては、2軸延伸されたフィルムが好ましい。さらに、コレステリック液晶層の円偏光性を円偏光板によって確認するには、位相差が少ないフィルムが最も望ましい。
(2)特に、熱溶融転写方式、熱昇華転写方式又はインクジェット方式のいずれかで情報が印字された画像が形成してある被転写体では情報印字層10が最表面となってしまい、特に外力、溶媒、熱などに対して耐久性が低いが、情報印字層103面に耐久性の高いフィルムを有するパッチ21が保護するので、過酷な使用条件においても、情報印字層103の画像を、強固に保護することができる。
【0031】
(3)かつ、偽造防止媒体100は、コレステリック液晶層15を含むパッチ21が、位置精度よく転写されるので、被転写体101上にあらかじめ設けられている画像等の情報と、パッチ21に形成された画像とを組み合わせることができ、且つ、パッチ21に形成された画像は、偏光フィルムを使用して観察することで、パッチ21に形成した画像のみを遮断したり、透過したりして、その真正性を確認することを可能とし、さらに偽造防止性を高めることができる。もちろん、光学的に自動読み取りする場合にも同様の効果を発現する。
【0032】
(転写材)転写材10は透明基材11、該透明基材11の一方の面にコレステリック液晶層15、及び接着層18からなっている。
(透明基材)透明基材11としては、ハーフカット処理された部分を境界にして、透明基材11部が切断され、少なくとも情報印字層103を含む部分を覆う形態で、保護層として機能する。透明性と、耐候性、耐摩擦性、耐薬品性等の耐久性を有するものであれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、アクリル系樹脂、イミド系樹脂、ポリアリレートなどのエンジニアリング樹脂、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン系樹脂、セロファンなどのセルロース系フィルムなどが例示できる。該透明基材11は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイでを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。特にTACフィルム(トリアセチルセルロース)は光学的特性に優れ(位相差が少なく)好適である。
【0033】
また、該透明基材11は、延伸又は未延伸のフィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。厚は、通常2.5〜50μm程度が適用できるが、2.5〜25μmが好適である。該透明基材11は、塗布に先立って塗布面へ、コロナ放電処理、プラズマ処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。また、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を加えてもよい。2軸延伸ポリエチレンテレフタレートのフィルムが、耐熱性、機械的強度がよいため好適に使用される。
【0034】
(コレステリック液晶層)
コレステリック液晶層15は、観察側からの入射光に対して左円偏光もしくは右円偏光のいずれか一方を反射する光選択反射性を有するもの。また、これらのものを組み合わせて適用して、判定方法を複雑なものとし、より高度な真正性識別体とすることもできる。
コレステリック液晶としては、コレステロールのハロゲン化物、モノカルボン酸コレステロールエステル、モノカルボン酸シトステロールエステル、安息香酸誘導体のコレスタノールエステル、二塩基酸ジコレステリルエステル、主鎖型液晶高分子化合物、側鎖型液晶高分子化合物、剛直主鎖型液晶高分子化合物などが挙げられる。
【0035】
より具体的には、例えばコレステリルクロライド、コレステリルアセテート、コレステリルノナノエート、炭酸メチルコレステロール、炭酸エチルコレステロール、コレステリルp−メトキシベンゾエート、シトステロイルベンゾエート、シトステロイルp−メチルベンゾエート、コレスタニルベンゾエート、10、12−ドコサジインジカルボン酸ジコレステリルエステル、8、12−エイコサジカルボン酸ジコレステリルエステル、10、12−ペンタコサジインジカルボン酸ジコレステリルエステル、ドデカジカルボン酸ジコレステリルエステル、12、14−ヘキサコサジインジカルボン酸ジコレステリルエステル、4−(7−コレステリルオキシカルボニルヘプチルオキシ)フェノキシオクタン酸コレステリルエステル、L−グルタミン酸−γ−ベンジル/L−グルタミン酸−γ−ドデシル共重合体などがある。
【0036】
さらに、コレステリルホルメート、コレステリルアセテート、コレステリルプロピオネート、コレステリルブチレート、コレステリルペンタネート、コレステリルヘキサネート、コレステリルヘプタネート、コレステリルオクタネート、コレステリルノナノエート、コレステリルデカネート、コレステリルドデカネート(コレステリルラウレート)、コレステリルミリステート、コレステリルパルミテート、コレステリルステアレート、コレステリルオレエート、コレステリルオレイルカーボネート、コレステリルリノレート、コレステリル12−ヒドロキシステアレート、コレステリルメルカプタン、コレステロールクロライド、コレステリルフルオライド、コレステリルブロマイド、コレステリルアイオダイド等を挙げることができる。
【0037】
好ましくは、アルキルコレステロール(例えばコレステロールナノエート)およびコレステリルハライド(例えばコレステロールクロライド)コレステリルオレイルカーボネート3種の混合物が挙げられ、これらの3つのタイプの液晶は常温で使用できるように混合して用いられるのが一般的である。
尚、ここに示す化合物に限定されるものではなく、またこれらのコレステリック液晶化合物は、1種または2種以上混合して用いることができる。
【0038】
ネマチック液晶化合物にカイラル化合物を加えてコレステリック液晶とするものとしては、液晶化合物として、4−置換安息香酸4’−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4’−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4’−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4’−置換シクロヘキシルエステル、4−置換4’−置換ビフェニル、4−置換フェニル4’−置換シクロヘキサン、4’−置換シクロヘキサン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリジン等、が用いられる。
【0039】
特に好ましくは、少なくとも分子の一方の末端にシアノ基又はフッ素原子を有する液晶化合物を用い、これらの液晶化合物にそれぞれ好適な各種のカイラル剤を加えたものが用いられる。カイラル化合物としては、「CB−15」、「C−15」(以上、BDH社製)、「CM−21」、「CM−22」、「CM−19」、「CM−20」、「CM」(以上、チッソ社製)、「S1082」、「S−811」、「R−811」(以上、メルク社製)、等を挙げることができる。
【0040】
さらに、三次元架橋可能な液晶性の重合性モノマー分子または重合性オリゴマー分子を用いることができる。所定の重合性モノマー分子または重合性オリゴマー分子に任意のカイラル剤を添加することにより、コレステリック型液晶分子を含む層を得ることができる。
【0041】
三次元架橋可能なモノマー分子としては、例えば特開平7−258638号公報や特表
平10−508882号公報で開示されているような、液晶性モノマーおよびキラル化合
物の混合物がある。より具体的な例を示すと、例えば下記一般化学式(1)〜(11)に
示されるような液晶性モノマーを用いることができる。尚、一般化学式(11)で示され
る液晶性モノマーの場合、Xは2〜5の範囲の整数であることが望ましい。
【0042】
【化1】

【0043】
【化2】

【0044】
【化3】

【0045】
【化4】

【0046】
【化5】

【0047】
【化6】

【0048】
【化7】

【0049】
【化8】

【0050】
【化9】

【0051】
【化10】

【0052】
【化11】

【0053】
また、カイラル剤としては、例えば下記一般化学式(12)〜(14)に示されるよう
なカイラル剤を用いることができる。尚、一般化学式(12)、(13)で示されるカイ
ラル剤の場合、Xは2〜12の範囲の整数であることが望ましく、また、一般化学式(1
4)で示されるカイラル剤の場合、Xが2〜5の範囲の整数であることが望ましい。
【0054】
【化12】

【0055】
【化13】

【0056】
【化14】

【0057】
また、オリゴマー分子を用いる場合は、例えば特開昭57−165480号公報で開示
されているようなコレステリック相を有する環式オルガノポリシロキサン化合物を用いる
ことができる。例えば、重合性モノマー分子または重合性オリゴマー分子に、カイラル剤
を数%〜10%程度添加することによりコレステリック液晶層を得ることができる。コレ
ステリック液晶層は、ほぼ均一な厚みを有する層として形成することができるが、層の有
無や厚みの違いによりパターンが形成されたパターン層とすることもできる。パターン層
は、各種印刷方法を用いて形成することができる。
【0058】
また、有機合成によって得られるネマチック液晶の末端基に不斉炭素を有する基を導入したコレステロール基を持たないコレステリック液晶や、コレステロール誘導体にシッフ系ネマチック液晶を加えた混合液晶も用いられる。さらには、天然コレステロールのハロゲン置換物、エステル化物(コレステリルベンゾエート、コレステリルクロライド、コレステリルオリエート、コレステリルノナノエート等も好適である。
これらのコレステリック液晶を設ける方法としては、コレステリック液晶材料を適当な溶媒に溶解し、各種の印刷方法によって適用し、乾燥させることによって形成することができる。このとき、重合性のコレステリック液晶を用いて紫外線重合性組成物を調製し、得られた紫外線重合性組成物を各種の印刷法によって適用し、乾燥後に紫外線を照射して重合させて形成することもできる。
また液晶をゼラチン他樹脂膜等でカプセル化したインキを用いて形成してもよい。カプセル化したものは、その製造時の作業性だけでなく、物理特性(強靭性、耐摩耗性、耐熱性等)に優れるとともに、衛生面等で特に好適である。
【0059】
コレステリック液晶層15の形状、厚さは、真正性識別体の使用目的に応じて適宜最適なものとする必要がある。選択的反射性や、偏光性を維持した上で、個々に対応した厚さ、すなわち1.5μm〜50μmのうち、最適なものとする。1μm以下であれば、その選択的反射性や、偏光性が不十分であり、50μm以上とすると、ハーフカット処理がし難くなる上、パッチ転写後の被転写体101上の突出が大きいものなり、使用時に引っかかり、剥がれる等のトラブルの原因となる。
上記コレステリック液晶層15を設ける際、予め以下の配向膜を設ける等の配向処理を施しても良い。配向膜は、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)、ポリイミド樹脂等の一般に配向膜として使用し得るものであれば、いずれでもよい。配向膜は、これらの樹脂の溶剤溶液を、コレステリック液晶層15を形成する層の表面に適宜な塗布法により塗布し、乾燥させた後に、布、ブラシ等を用いて摩擦するラビングを行なって形成する。
【0060】
(接着層)接着層18としては、公知の加熱されると溶融または軟化して接着効果を発揮する感熱接着剤が適用でき、具体的には、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。
(粘着性接着層)接着層18としては、 好ましくは、熱接着性と共に、粘着性をも有する粘着性接着層である。粘着性接着層としては、粘着性と熱接着性を有するアクリル系樹脂やゴム系樹脂、又は粘着性樹脂と熱接着性樹脂との混合物などが適用できる。
粘着性樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、酢酪酸ビニル樹脂、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ウレタン樹脂等がある。
【0061】
該材料樹脂を溶剤に溶解または分散させて、適宜顔料などの添加剤を添加して、公知のロールコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティングなどの方法で塗布し乾燥させて、厚さ1〜30μmの層を得る。被転写体101の表面がフィルムシートの様に平滑な場合は、1〜5μmの厚さが好適だが、画像形成面では、3μm以上あることが好ましい。逆に、被転写体101の表面が、紙や布のように30μm以上の表面粗さを持つ場合には、接着層18の厚さとしては、5μm〜30μmの厚さ、さらには、20μm〜30μmの厚さが好適となる。特に、粘着性接着層である場合には、画像形成部以外の部分の樹脂が、被転写体101内に入り込んでいくため、厚い方が望ましい。
ただし、パッチとして、透明基材を有していることは、接着層18が、被転写体101内に入り込むことを必要とせず、部分的に接着しているだけで十分な耐久性を発揮する。
【0062】
(支持材)支持材30は支持基材31へ剥離性樹脂層33が設けられている。
(支持基材)支持基材31としては、特に限定されず、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、コート紙、合成樹脂またはエマルジョン含浸紙、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、アクリル系樹脂、イミド系樹脂、ポリアリレートなどのエンジニアリング樹脂、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン系樹脂、セロファンなどのセルロース系フィルムなどのフィルムが例示できる。上記の支持基材31上に後述さる剥離性樹脂層33を設ける際に、接着性を向上させるために、支持基材31表面をコロナ放電処理したり、プライマー層を設けてもよい。
【0063】
支持材30は10μm〜100μmの厚みのものが好ましく、シート基材が薄すぎると得られるパッチ転写媒体20のいわゆるコシがなくなり、熱転写プリンターで搬送できなかったり、パッチ転写媒体20にカールやシワが発生したりする。一方、支持材30が厚すぎると、得られるパッチ転写媒体20が厚くなりすぎ、熱転写プリンタで搬送駆動させる力が大きくなりすぎて、熱転写プリンタに故障が生じたり、正常に搬送できなかったりする。
(剥離性樹脂層)剥離性樹脂層33としては、粘着剤層や簡易接着層やエクストルージョンコーティング(EC)層により形成する。
【0064】
粘着剤層は、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの粘着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。粘着剤層の塗工量は、約8〜30g/m2(固形分)が一般的であり、従来公知の方法、すなわち、グラビアコート、ロールコート、コンマコート等の方法で、塗布し乾燥して粘着剤層を形成する。また、粘着剤層の粘着力は、透明基材11と粘着剤層との剥離強度で、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、5〜1,000g程度の範囲にすることが望ましい。以上の如き粘着剤の種類や、塗工量は、前記支持基材31上に粘着剤層を形成する際に、その剥離強度が前記範囲になるように、選択して使用することが好ましい。また、支持基材31上に粘着剤層を設け、透明基材11と粘着剤層を積層するには、粘着剤層のドライラミネーションやホットメルトラミネーション等の方法が採用できる。
【0065】
簡易接着層は、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)やポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂のラテックスや、ゴム系レジン、ワックス類及びそれらの混合物を用いて、支持基材31上に従来公知の塗工方式で形成し、透明基材11と簡易接着層とを加熱しながらドライラミネーションして積層すればよい。そして、透明基材11と支持基材31を剥がした後の簡易接着層は、粘着性が低下し、再度、透明基材11と支持基材31を貼り合わせることはできない。このような簡易接着層を用いる場合、支持基材31と簡易接着層との間にプライマー層を設けてもよい。
【0066】
また、剥離性樹脂層33として、支持基材31上にEC層で設けてもよい。EC層を形成する熱可塑性樹脂は透明基材11には本質的に接着せず、EC加工特性のある樹脂であれば特に限定されないが、透明基材11に一般的に利用されるPETフィルムに対して、本質的な接着性を有さず加工性も優れる、ポリオレフィン系樹脂が特に好ましい。具体的には、LDPE、MDPE、HDPE、PP樹脂等を使用できる。
これらの樹脂をEC加工する際の冷却ロールをマットロールを使用して、EC層表面にマット面が転写されて凹凸形状を賦形して不透明としたり、ポリオレフィン系樹脂に炭酸カルシウム、酸化チタン等の白色顔料を練り混んで、不透明としたり、してもよい。
また、該EC層は単層でも、複数層でもよい。透明基材11からの剥離強度は、EC加工時の加工温度、樹脂種によって調整することができる。このように、支持基材31上にEC層をEC加工と同時に、いわゆるECラミネーションで支持基材31と透明基材11をEC層を介して積層させればよい。
【0067】
(耐熱滑性層)パッチ転写媒体20では、必要に応じて、支持基材31の剥離性樹脂層33面と反対面に耐熱滑性層を設けてもよい。
パッチ転写媒体20を用いて被転写体101へ再転写はサーマルヘッドやヒートロール等の熱転写プリンターが用いられるので、その熱によるスティッキングやシワなどの悪影響を防止するため、耐熱滑性層を設けてもよい。耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
また、耐熱滑性層に添加、又は上塗りする滑り性付与剤としては、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及び燐酸エステル系化合物からなる層であり、更に充填剤を添加することがより好ましい。耐熱滑性層は、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、支持基材31の背面に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等で塗布し乾燥して形成すればよい。
【0068】
(パッチ)パッチ転写媒体20は支持材30面にパッチ21が剥離可能に積層されている。パッチ21は透明基材11/コレステリック液晶層15/接着層18からなる転写材10の転写部をハーフカット処理してパッチ状であり、支持基材31/剥離性樹脂層33からなる支持材30面に剥離可能に積層されている。
(ハーフカット)ハーフカット処理法としては、カッター刃を取り付けた上型と台座の間に、カット前の積層状態のパッチ転写媒体20を挿入して、上型を上下動させる方法や、シリンダータイプのロータリーカッター方法、レーザー加工手段により熱処理加工方法等、ハーフカットできる方法であれば特に制限はない。
パッチ21部分とそれ以外部分を除去しなくてもよいが、図1に示すパッチ転写媒体20の断面のように、ハーフカットしてパッチ21部分のみを残して、それ以外部分を予め剥離し除去しておく(当業者はカス取りという)のが好ましい。被転写体へパッチ21を転写する際に、ハーフカット処理された部分で透明基材11部が切断されることがなく、確実に転写することができる。
【0069】
なお、ハーフカットは、一般的には、パッチ21の回り一周分単位で連続的にカットを施す、四隅等の部分的にアンカット(全くカットがない)部分、ミシン目部分を設けたりして、熱転写プリンター搬送中等の取扱で、ハーフカットの部分が剥離するトラブルを防ぐことができる。なお、支持材30の少なくとも1部はカットされず連続状にしておく。ハーフカット処理で切断の深さが深過ぎると、支持基材31まで切断されて、プリンター搬送中にハーフカット加工部で切断され、搬送トラブルが発生しやすくなる。
パッチ21の形状としては、特に限定されないが、例えば矩形、楕円形、丸形、ドーナッツ形などが例示できる。ハーフカット処理されたパッチ21部分が被転写体の転写される全面の大きさよりも小さくてもよく、また、パッチ21部分が、被転写体に対して、部分的に抜けている部分があってもよく、さらに、パッチ転写媒体20の全幅が、被転写体の転写される面の幅よりも広くてもよい。
(パッチ転写媒体)本発明のパッチ転写媒体20は、支持基材31/剥離性樹脂層33からなる支持材30面に、透明基材11/コレステリック液晶層15/接着層18からなる転写材10の転写部をハーフカット処理したパッチ21が、剥離可能に積層されている。
【0070】
(偽造防止媒体)本発明の偽造防止媒体100は、図2に示すように、本発明のパッチ転写媒体20を用いて、転写材30の転写部をハーフカット処理してパッチ状としたパッチ21を、支持材30から剥離させて、被転写体101へ転写してある。パッチ21は透明基材11、コレステリック液晶層15及び接着層18からなる。
(転写方法)被転写体への転写する転写方法としては、公知の転写法でよく、例えば、熱刻印によるホットスタンプ(箔押)、熱ロールによる転写、サーマルヘッド(感熱印画ヘッド)によるサーマルプリンタ(熱転写プリンタともいう)などの公知の方法が適用できる。また、パッチ21の形状に合わせて加熱し転写してもよい。ただし、通常より低温・低圧下・短時間での転写が可能となっている。このため、被転写体への負荷も小さいものとなる。
さらに、非転写体の所定部分のみを覆うように転写する(偽造防止効果をかもし出したい特定画像部分のみを覆う)ことで、コレステリック液晶層の右もしくは左円偏光性と、その効果を確認できる右もしくは左円偏光版を通しての光の透過・遮蔽効果により、高い偽造防止効果を出すことができる。
【0071】
例えば、右円偏光性のコレステリック液晶層を設けた場合は、特定波長の光を観察側から入射させると、この層にて右円偏光部分のみが反射され(反射光と呼ぶ。)、左円偏光部分が透過される。この透過する光が形成画像まで届き、形成画像面で反射されて、再びコレステリック液晶層を通過するが、この光は左円偏光部分であるから、このコレステリック液晶層をそのまま通過して観察側へ出射する(出射光と呼ぶ。)。これら反射光と出射光とを、右円偏光板を通して観察すると、反射光(コレステリック液晶層で反射しているため前記形成画像面上の画像情報を有しない。)透過し、画像情報を有する出射光(画層形成面上の画像情報を有する。)を遮蔽する。左円偏光板を通して観察すると、この逆の現象を発生させることができる。従って、偏光板を通さないで観察した情報と、偏光板を通して観察した情報に明確な差を現出することで、高い偽造防止効果を出すことができる。
この効果は、パッチ転写方法による所定の画像形成部分に精度よく転写形成することにより、画像形成部分の所定部分と、その他の部分とに前記のような差を生じさせることでさらに高まる。
(被転写体)被転写体101としては、特に限定されず、例えば天燃繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、転写時の熱で変形しないプラスチックフイルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布等いずれのものでもよく、用途によって、適宜選択すればよい。また、被転写体101の媒体はその少なくとも1部が、画像、着色、印刷、その他の加飾が施されていてもよい。
【0072】
(画像形成層)被転写体101への画像としては、特に限定されないが、文字、数字、顔写真などのような画像が形成される。被転写体101への画像の形成法としては、熱溶融転写方式、熱昇華転写方式又はインクジェット方式のいずれかが好ましい。
熱転写プリンタ又はインクジェットプリンタで、被転写体101へ画像となる画像形成層102を印画し、引き続き同一プランタ内のインライン方式で、該画像形成層102面へ偽造防止媒体100を用いて、パッチ21を転写することができる。被転写体101へ画像形成層102を設ける場合には、印字の密着性や定着性を高めるために、必要に応じて受容層(画像形成性を高めた層)を設けてもよい。
被転写体101の表面へ設けられた画像形成層102は耐久性に欠けるが、パッチ21が転写され、画像が保護されることにより、各種耐久性に優れ、かつ、耐熱性や耐光性に優れるセキュリティ性に優れる偽造防止媒体100となる。
このようにして、パッチ転写媒体20を用いた偽造防止媒体100は、カードなどの媒体(被転写体)、特に被転写体に画像を形成し、該画像上に耐久性の高いパッチ(保護層となる)を形成し、過酷な使用条件においても、熱転写画像の各種耐久性に優れ、また、パッチの形成はパッチ(保護層)を画像上に精度良く、容易に転写でき、転写された媒体においては、セキュリティ性に優れ、かつ、使用時耐久性即ちハードコート性を有し、多数回の繰り返し使用でも、媒体の表面と保護する耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れるコレステリック液晶層を有する。
【0073】
(耐久性)多数回の繰り返し使用でも、媒体の表面と保護し、機械的化学的な損傷から長期間にわたって保護できるので、極めて過酷な環境で使用されるガソリンスタンドカードや工事現場カード、及び、使用期限がなかったり、長期にわたる入退室カードやポイントカード、金融機関などの多数のセキュリティ管理された部屋への入退室を繰り返す入退室カードなどにも好適に使用することができる。
また、JIS−B−7753(サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機)に準拠して測定した耐候性試験は、500時間の照射後における印刷物の色の変化を照射前と比較して目視で評価したが、500時間後でも著しい変化はなかった。
このように、カードなどの媒体(被転写体)へ箔切れがよく容易に転写でき、転写された媒体においては、セキュリティ性に優れ、かつ、使用時の耐久性即ちハードコート性を有し、多数回の繰り返し使用でも、媒体の表面と保護する耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れるコレステリック液晶層を有している。
【実施例】
【0074】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)透明基材11として厚さ25μmのPETフィルムを用い、該基材11の一方の面へ、下記のコレステリック液晶層組成物をスクリーン印刷法により印刷し、印刷直後に紫外線を照射して、乾燥後の厚さが10μmになるように、塗工し60℃で乾燥させた。
・<コレステリック液晶組成物>
コレステリック液晶顔料
(ワッカーケミー社製、HELICONE(登録商標)HCXL) 30部
メジウムインキ(ザ・インクテック(株)製、UVカード用) 70部
得られたコレステリック液晶層は、右円偏向のみを選択的に反射する光選択反射性を有していた。
つぎに、下記の接着層組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が3μmになるように、塗工し60℃で乾燥させて、接着層18を形成して、透明基材11/剥離層13/コレステリック液晶層/接着層18の層構成からなる転写材10を得た。
・<接着層組成物>
ウレタン樹脂 20部
アクリル樹脂 10部
溶媒(メチルエチルケトン:トルエン=1:1) 70部
【0075】
別途、支持体31として厚さ38μmのPETフィルムを用い、該支持体31と先に製造した転写材10とを積層した。支持体31面へ下記剥離性樹脂層組成物を、乾燥後の塗布量が3μmになるように、塗工し70℃で乾燥させた後に、転写材10の透明基材11面とを加圧するドライラミネーション法により積層品を得た。
・<剥離性樹脂層組成物(簡易接着層タイプ)>
アクリル系樹脂ラテックス(日本ゼオン(株)製、LX874) 30部
溶媒(水:イソプロピルアルコール=1:1) 70部
上記の積層品に対して、転写材10部分に角丸の矩形状のカッター刃を取り付けた上型と台座とのプレス方式でハーフカット処理を行い、カス取りを行って、パッチが剥離可能に積層された連続巻取状の実施例1のパッチ転写媒体20を得た。
【0076】
被転写体101としてポリ塩化ビニール製のクレジットカード仕様のカードを用い、該被転写体101の表面へ、昇華型熱転写シート(大日本印刷(株)製、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のカラー標準リボン)を用いて、600dpiの熱転写プリンターで所定の位置に固有情報である顔写真、氏名及びID番号10桁を印画し画像(画像形成層102)を形成した。
該画像面へ、DNP製のカード用プリンタCX330で、パッチ転写媒体20の接着層18面を重ねて、被転写体101の全面に、すでに形成されている5桁のID番号を覆うように位置あわせをした上で、転写し支持材30を剥離し徐去して、実施例1の偽造防止媒体100を得た。
この時、ID番号はコレステリック液晶層を通して観察され、コレステリック液晶特有の色調変化を示し、意匠性にも優れていた。
この偽造防止媒体をID番号位置に合わせて部分的に右円偏光性を有するフィルムを通して観察したところ、ID番号の奇数桁のみが遮断され、残りの桁のみを読み取ることができた。このことにより、この偽造防止媒体が真正なものであることを証明できた。
(実施例2)
前記接着材組成物として、下記、画像形成性を有する接着層組成物を使用して、接着層18を形成し、
・<画像形成性を有する接着層組成物>
塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂 30部
溶媒(メチルエチルケトン:トルエン=1:1) 70部
且つ、その接着層18にID番号を5桁印字したこと、さらに、すでにカード上に形成されている5桁のID番号につながるように、高精度の位置合わせをした上で、部分的にパッチ転写した以外は、実施例1と同様にして、実施例2を得た。
【0077】
この時、ID番号は位置精度よく10桁のように観察され、10桁の番号として光学的自動認識が可能であった。また、コレステリック液晶層部分は、コレステリック液晶特有の色調変化を示し、意匠性にも優れていた。
この偽造防止媒体を右円偏光フィルムを通して観察したところ、後半5桁のID番号が遮蔽され、前半5桁のID番号のみが観察された。このことにより、この偽造防止媒体が真正なものであることを証明できた。
(実施例3)透明基材11にコレステリック液晶層を形成した後、そのコレステリック液晶層と反対側に接着層18を設けて転写材10とし、そのコレステリック液晶層面を支持体31に設けた剥離性樹脂層面にラミネートしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3を得た。偽造防止媒体としての効果は、実施例1と同様であったが、コレステリック液晶層の効果が実施例1より鮮明に出ていた。
(実施例4)熱溶融転写プリンターSIS MSP40(サングラフィック社製)で画像を形成したこと以外は、実施例2と同様にして実施例4を得た。
偽造防止媒体としての効果は、実施例2と同様であった。
【0078】
(実施例5)接着層組成物として、
・<接着層組成物>
塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂 30部
酢酸ビニル樹脂 30部
溶媒(メチルエチルケトン:トルエン=1:1) 40部
を使用したこと、及び、インクジェットプリンター(キャノンiPF9000)で画像を形成したこと、以外は、実施例2と同様にして実施例5を得た。
接着層が粘着性を有することで、トナーの定着性に優れ、鮮明な画像を得ることができた。また、粘着性を有することで、被転写体101への転写は、低温・低圧下(50度、0.1トン/cm2)で実施することができた。
偽造防止媒体としての効果は、実施例2と同様であったが、コレステリック液晶層に対するダメージは、実施例2より軽減されていた。
【0079】
(実施例6)コレステリック液晶組成物として、カプセル膜材としてメラミン樹脂を使用したカプセル(平均粒径5〜10μm)を使用し、膜厚として30μmとし、支持体31の剥離性樹脂層組成物形成面と反対側に、下記ハードコート層組成物を乾燥後の塗布量が3μmになるように、塗工し70℃で乾燥させた以外は、実施例1と同様とし、実施例6を得た。
・<ハードコート層組成物>
MHX405ニス(ザ・インクテック社製) 25部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B) 5部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70部
カプセル化したことで、ハーフカット時の液晶の染み出しもなく、作業性に優れ、且つ、耐久性に優れるパッチが得られた。また、ハードコート層があることで、カード用プリンタの印字がスムースに実施できた。その他の効果は実施例1と同様であった。
【0080】
(比較例)被転写体101としてポリ塩化ビニール製のクレジットカード仕様のカードを用い、該被転写体101の表面へ、昇華型熱転写シート(大日本印刷(株)製、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のカラー標準リボン)を用いて、600dpiの熱転写プリンターで所定の位置に固有情報である顔写真、氏名及びID番号5桁を印画し画像を形成したままの状態のカードを比較例とした。
【0081】
(評価試験)評価は被転写体へ転写し、転写性、転写後の表面の硬度、スクラッチ性、及び耐光性で評価した。
(評価結果)
実施例1〜6のパッチ転写媒体20は、転写時の剥離性もよく、正常に転写することができた。
鉛筆硬度試験を、JIS−K−5400に準拠して測定したところ、2H以上の硬度を有しており、十分な耐久性を示した。
また、耐光性に関しては、JIS−B−7753(サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機)に準拠して測定を行い、500時間の照射後における画像の色の変化を照射前と比較して目視で評価した。実施例1〜6のパッチ転写媒体20において、著しい変化はなく良好な耐光性であった。
しかしながら、比較例では、鉛筆硬度試験でB以下であり、また耐光性試験では、退色が見られ、やや不良であった。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の1実施例を示すパッチ転写媒体の断面図である。
【図2】本発明のパッチ転写媒体を用いて転写した本発明の1実施例を示す偽造防止媒体の断面図である。(被転写媒体に、あらかじめ画像が形成されている。)
【図3】本発明のパッチ転写媒体を用いて転写した本発明の別の実施例を示す偽造防止媒体の断面図である。(パッチ転写媒体に、あらかじめ画像が形成されている。)
【符号の説明】
【0083】
10:転写材
11:基材
15:コレステリック液晶層
18:接着層
20:パッチ転写媒体
21:パッチ
30:支持材
31:支持基材
33:剥離性樹脂層
100:偽造防止媒体
101:被転写体
102:画像形成層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材、該透明基材の一方の面にコレステリック液晶層、及び接着層からなる転写材と、支持基材へ剥離性樹脂層を設けた支持材とからなり、前記転写材の転写部をハーフカット処理してパッチとし、該パッチが前記支持材の剥離性樹脂層面へ剥離可能に積層されているパッチ転写媒体。
【請求項2】
前記転写材の接着層が、熱溶融転写方式、熱昇華転写方式又はインクジェット方式のいずれかで画像が形成される受容性を有することを特徴とする請求項1に記載のパッチ転写媒体。
【請求項3】
上記接着層が粘着性も有する粘着性接着層であることを特徴とする請求項1に記載のパッチ転写媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−105327(P2010−105327A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281424(P2008−281424)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】