説明

パネルの搬送装置

【課題】ロボットに保持されたパネルを仮置きすることなく位置検出し直接所定位置に配置するパネルの搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送経路に沿って順次送られてくる収容ケース11に、別位置に配置されていたパネル12を載置するパネルの搬送装置10であって、パネル12を吸着保持する吸着パッド13が設けられたロボット14と、吸着パッド13に吸着保持されているパネル12を撮像する第1の撮像手段15と、搬送経路上の停止位置で静止した収容ケース11を撮像する第2の撮像手段16と、第1の撮像手段15によって撮像された画像からパネル基準位置に対するパネル12の位置ずれ量を検出すると共に、第2の撮像手段16によって撮像された画像からケース基準位置に対する収容ケース11の位置ずれ量を検出し、収容ケース11の特定位置にパネル12を載置する吸着パッド13の移動先の座標及び向きを算出する制御手段17とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル等のパネルを吸着保持して所定位置に載置するパネルの搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生産現場等において多くのパネルを順次所定位置に配置するための装置は、所定位置へ確実にパネルを配置する正確性と作業の迅速性が求められる。そして、これらの装置には、正確な作業を迅速に行えるロボットがしばしば用いられ、その具体例が特許文献1に記載されている。
特許文献1では、パレット内にあるパネル(ワーク)がロボットによってパネルの仮置き場であるテーブル上に搬送され、そのテーブル上にあるパネルをカメラで撮像した画像からそのパネルの位置検出を行う。そして、検出されたパネルの位置情報を基にそのパネルを把持するロボットのパネル把持部の移動先の座標が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−239682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、テーブル上に仮置きされる際にパネルに疵や塵が付くおそれがあるのに加え、パネルは仮置き後に把持されて目的の載置位置に搬送されるので時間のロスが生じるという問題があった。
また、パネルは仮置き場で位置の検出がなされてからロボットによって把持されるため、ロボットがパネルを把持する際にパネルの位置ずれを招来する可能性が高く、要求されるパネルの配置精度が高い場合には採用することができない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、ロボットに保持されたパネルを仮置きすることなく位置検出し直接所定位置に配置するパネルの搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係るパネルの搬送装置は、搬送経路に沿って順次送られてくる収容ケースに、別位置に配置されていたパネルを載置するパネルの搬送装置であって、前記パネルを吸着保持する吸着パッドが設けられたロボットと、前記吸着パッドに吸着保持されている前記パネルを撮像する第1の撮像手段と、前記搬送経路上の停止位置で静止した前記収容ケースを撮像する第2の撮像手段と、前記第1の撮像手段によって撮像された画像から予め定められたパネル基準位置に対する前記パネルの位置ずれ量を検出すると共に、前記第2の撮像手段によって撮像された画像から予め定められたケース基準位置に対する前記収容ケースの位置ずれ量を検出し、前記収容ケースの特定位置に前記パネルを載置する前記吸着パッドの移動先の座標及び向きを算出する制御手段とを有し、前記制御手段によって算出された前記移動先の座標に前記吸着パッドを移動して前記パネルを前記収容ケースの特定位置に載置する。
【0006】
本発明に係るパネルの搬送装置において、前記パネルは、平面視して矩形で前記吸着パッドによって吸着保持されるパネル本体を有し、前記第1の撮像手段は、前記パネル本体の角部a及び角部bをそれぞれ撮像するカメラA及びカメラBを備え、前記制御手段は、前記吸着パッドが吸着保持している前記パネル本体の前記角部a、bを前記カメラA、Bによりそれぞれ撮像した各画像を基にして、前記パネル基準位置に対する前記パネルの位置ずれ量を検出するのが好ましい。
【0007】
本発明に係るパネルの搬送装置において、前記カメラAは、前記吸着パッドによって吸着保持されている前記パネル本体の前記角部aを撮像可能な位置に配設され、前記カメラBは、前記制御手段が外部からの入力信号を基に前記パネル本体の前記角部aと前記角部bの間隔を検知して決定する該角部bを撮像可能な位置まで向きを変えることなく移動可能であるのが好ましい。
【0008】
本発明に係るパネルの搬送装置において、前記収容ケースには、該収容ケース内で前記パネルを保持する位置決め部材が設けられ、前記制御手段は、前記第2の撮像手段によって撮像される前記停止位置にある前記収容ケースの画像中の前記位置決め部材の位置を、前記制御手段が記憶している前記ケース基準位置に配置された前記収容ケースの画像中の前記位置決め部材の位置と比較して該収容ケースの位置ずれ量を検出するのが好ましい。
【0009】
本発明に係るパネルの搬送装置において、前記収容ケースに載置される前記パネルを載せて、前記吸着パッドに吸着保持される位置まで該パネルと共に搬送されるパレットと、前記パネルが前記吸着パッドによって吸着保持され空状態になった前記パレットを把持してパレット退避位置に移動させるパレット搬出ロボットとが設けられるのが好ましい。
【0010】
本発明に係るパネルの搬送装置において、前記ロボットの静電気を除去するイオナイザーが設けられるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るパネルの搬送装置は、パネルを吸着保持する吸着パッドが設けられたロボットと、吸着パッドに吸着保持されているパネルを撮像する第1の撮像手段と、搬送経路上の停止位置で静止した収容ケースを撮像する第2の撮像手段と、第1の撮像手段によって撮像された画像から、パネル基準位置に対するパネルの位置ずれ量を検出すると共に、第2の撮像手段によって撮像された画像からケース基準位置に対する収容ケースの位置ずれ量を検出し、収容ケースの特定位置にパネルを載置する吸着パッドの移動先の座標及び向きを算出する制御手段とを有し、制御手段によって算出された移動先の座標に吸着パッドを移動してパネルを収容ケースの特定位置に載置するので、パネルを仮置きすることなく、ロボットに保持されたパネルを収容ケースの特定位置に載置でき、パネルに疵を付けるのを防止することができるのに加え、パネルを仮置きする場合に比べ収容ケースの特定位置にパネルを載置する作業に要する時間の短縮化を図ることが可能である。
更に、パネルは、ロボットに保持されて位置ずれ量が算出された後にロボットに保持された状態のまま収容ケースに載置されるため、位置ずれ量を算出した後にロボットがパネルを改めて保持することはなく、パネルとロボットの位置関係が変わる可能性を抑制することができる。
【0012】
本発明に係るパネルの搬送装置において、第1の撮像手段が、パネル本体の角部a及び角部bをそれぞれ撮像するカメラA及びカメラBを備え、制御手段が、吸着パッドが吸着保持しているパネル本体の角部a、bをカメラA、Bによりそれぞれ撮像した各画像を基にして、パネル基準位置に対するパネルの位置ずれ量を検出する場合、パネルにパネルの位置ずれ量を検出するためにのみ用いられるマーキングを付与する必要はなく、パネルを収容ケースに載置するのに要する工程数の増加を抑制して作業の効率化を図ることが可能である。
【0013】
本発明に係るパネルの搬送装置において、カメラAが、吸着パッドによって吸着保持されているパネル本体の角部aを撮像可能な位置に配設され、カメラBが、制御手段が外部からの入力信号を基にパネル本体の角部aと角部bの間隔を検知して決定する角部bを撮像可能な位置まで向きを変えることなく移動可能である場合、角部a及び角部bは、それぞれカメラA及びカメラBによって確実に撮像され、パネルの位置ずれ量の計測を安定的に行うことができる。
【0014】
本発明に係るパネルの搬送装置において、収容ケースには、収容ケース内でパネルを保持する位置決め部材が設けられ、制御手段が、第2の撮像手段によって撮像される停止位置にある収容ケースの画像中の位置決め部材の位置を、制御手段が記憶しているケース基準位置に配置された収容ケースの画像中の位置決め部材の位置と比較して収容ケースの位置ずれ量を検出する場合、収容ケースに収容ケースの位置を検出するためにのみ用いられる部品を設ける必要がなく、収容ケースを構成する部品点数の増加を抑制でき、収容ケースの製造コストの低減化を図ることができる。
【0015】
本発明に係るパネルの搬送装置において、空状態になったパレットを把持してパレット退避位置に移動させるパレット搬出ロボットが設けられる場合、空状態のパレットは確実に退避され、ロボットが空状態のパレットに対してパネルの把持を行うことを回避することが可能である。
【0016】
本発明に係るパネルの搬送装置において、ロボットの静電気を除去するイオナイザーが設けられる場合、ロボットにパネルの不具合等を招来する静電気が帯電するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係るパネルの搬送装置の平面図である。
【図2】同パネルの搬送装置の説明図である。
【図3】(A)、(B)は、それぞれ同パネルの搬送装置で用いられる収容ケースの開いた状態及び閉じた状態を示す説明図である。
【図4】同パネルの搬送装置の制御手段の信号接続を示すブロック図である。
【図5】制御手段による吸着パッドの移動先の座標計算の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、図2、図4に示すように、本発明の一実施の形態に係るパネルの搬送装置10は、搬送経路に沿って順次送られてくる収容ケース11に、別位置に配置されていたパネル12を載置する装置である。
パネルの搬送装置10は、パネル12を吸着保持する吸着パッド13が設けられたロボット14と、吸着パッド13に吸着保持されているパネル12を撮像する第1の撮像手段15と、搬送経路上の停止位置で静止した収容ケース11を撮像する第2の撮像手段16と、第1の撮像手段15によって撮像された画像から予め定められたパネル基準位置に対するパネル12の位置ずれ量を検出すると共に、第2の撮像手段16によって撮像された画像から予め定められたケース基準位置に対する収容ケース11の位置ずれ量を検出し、収容ケース11の特定位置にパネル12を載置する吸着パッド13の移動先の座標及び向きを算出する制御手段17とを有している。
そして、パネルの搬送装置10は、制御手段17によって算出された移動先の座標に吸着パッド13を移動し、かつ吸着パッド13の向きを制御手段17によって算出した向きに合わせ、パネル12を収容ケース11の特定位置に載置する。
以下、これらについて詳細に説明する。
【0019】
収容ケース11に載置されるパネル12は、図1に示すように、パネルの搬送装置10に設けられたチェーンコンベア18によって搬送されるパレット19に載せられ、チェーンコンベア18の設置経路に沿って搬送される。
パネル12を載せたパレット19は、ロボット14の吸着パッド13に吸着保持される位置までチェーンコンベア18によってパネル12と共に搬送され、チェーンコンベア18の設置経路に設けられたストッパ20に当接して停止する。
本実施の形態では、図2に示すように、それぞれパネル12を載せた複数のパレット19が、段積みされた状態でチェーンコンベア18により搬送されるが、段積みすることなく一つずつチェーンコンベア18で搬送してもよい。
【0020】
ストッパ20により停止されているパレット19上のパネル12は、図1、図2に示すロボット14によって保持されて、チェーンコンベア18と距離を有して配置されたベルトコンベア21上で停止している収容ケース11の特定位置に載置される。
ロボット14は、6つの駆動軸を備えたアーム型の産業用ロボットであり、先端部に吸引力によってパネル12を一側から吸着して保持する吸着パッド13を有している。吸着パッド13は、それぞれ間隔を有して配置された複数の吸着盤22を備え、パネル12を安定して吸着保持することができる。また、吸着パッド13の吸着盤22は、吸着保持の際にパネル12を疵付けない素材(例えばシリコン樹脂)で形成されている。
【0021】
パネル12は、図3(A)に示すように、平面視して矩形(長方形又は正方形を意味する)で吸着パッド13によって吸着保持されるパネル本体24とパネル本体24の両側にそれぞれ複数設けられ、パネル本体24の両側から突出するフィルム状の電極25を有している。なお、パネル本体24は、パネル12の電極25を除く部位であり、本実施の形態では平面視して長方形である。
収容ケース11は、2つ折りが可能な矩形のプラスチックプレート26と、プラスチックプレート26を2つ折りし収容ケース11を閉じた状態にすることによってパネル12を包み込むクッション材27を有している。
【0022】
プラスチックプレート26には、パネル12を内側に収めた収容ケース11内でパネル12を保持する複数の位置決め部材28が設けられている。位置決め部材28は、プラスチックプレート26の一側半分の部位にパネル12を載置した際に、パネル本体24の長手方向両側にそれぞれ突出して設けられた複数の電極25が隙間を有して嵌入する位置に配置された突起物である。位置決め部材28は、2つが一組となって、各組の位置決め部材28の間に電極25がそれぞれ配置される。
パネルが配置される収容ケースの特定位置とは、パネルが収容ケースに固定される位置を意味し、本実施の形態においては、パネル12が備える複数の電極25の全てが、各組の位置決め部材28の間にそれぞれ配置される位置が特定位置である。
【0023】
プラスチックプレート26の他側半分の両側には、図3(B)に示すように、プラスチックプレート26を2つ折りした際に、各位置決め部材28がそれぞれ嵌入する複数の貫通孔29が形成されている。
パネル12は、各電極25が対となる2つの位置決め部材28の間に配置され固定された状態であるため、パネル12が収められた収容ケース11を閉じる際に、パネル12がずれて電極25が折れ曲がったり、パネル12の一部が収容ケース11から外に出たりするのを回避できる。
また、プラスチックプレート26には、複数の面状ファスナー23が取り付けられており、プラスチックプレート26はこの面状ファスナー23によって2つ折りされた状態を維持される。
【0024】
ここで、αを0.5≦α≦2.0の値とすると、位置決め部材28の各組における位置決め部材28の間隔は、電極25の幅Lmmに比べてαmm長いL+αmmであるので、ロボット14は、ベルトコンベア21に載っている開いた状態の収容ケース11上にα/2の精度(±α/2の誤差)でパネル12を配置する必要がある(Lは本実施の形態において30≦L≦100)。
これに対し、パレット19へのパネル12の載置作業は、人の手によって又は図示しない機器によって行われ、その精度は、収容ケース11へのパネル12の載置作業に比べて低い。
従って、仮にパネル12が、パレット19上に配置される精度で収容ケース11上に配置される場合には、複数の電極25を各組の位置決め部材28の間にそれぞれ収めることはできない。なお、本実施の形態では、パレット19へのパネル12の載置位置の許容誤差Dは、例えば±10〜±50mmである。
【0025】
そこで、パネル12を収容ケース11に置く精度を±α/2にするために、ロボット14の動作制御を行う制御手段17が、吸着パッド13によって吸着保持されたパネル12の位置ずれ量の検出を行い、その検出した位置ずれ量を補正する吸着パッド13の座標及び向きを演算する。
ここでいう「位置ずれ量」とは、向きのずれ成分及び位置(XY座標)のずれ成分を含む概念を示し、以下も同様とする。
【0026】
制御手段17は、図4に示すように、ロボット14を含む被制御機器に信号接続され、被制御機器のインターフェース、各種制御用プログラムを搭載した記憶媒体、CPU等を有している。
チェーンコンベア18及びベルトコンベア21は、制御手段17によって運転速度等が制御されており、異状発生時には制御手段17からの停止信号により運転を停止する。
なお、ストッパ20により停止させられているパレット19の有無を検出するセンサ30が、ベルトコンベア21に設置されており、このセンサ30も制御手段17に信号接続されている。
【0027】
また、収容ケース11は、パレット19と同様に、ベルトコンベア21上に人の手によって又は図示しない機器によって載置され、その精度は、収容ケース11へのパネル12の載置作業に比べて低い。なお、本実施の形態では、ベルトコンベア21への収容ケース11の載置位置の許容誤差D’は、例えば±10〜±50mmである。
このため、制御手段17は、吸着パッド13によって吸着保持されたパネル12の位置ずれ量に加え、ベルトコンベア21により搬送経路に沿って順次送られてくる収容ケース11の位置ずれ量も検出して、この2つの位置ずれ量からパネル12を収容ケース11の特定位置に配置するための吸着パッド13の移動先の座標及び向きを算出する。
【0028】
パネルの搬送装置10には、図1、図2に示すように、吸着パッド13に吸着保持されパレット19から持ち上げられたパネル12を撮像する第1の撮像手段15と、予め定められたベルトコンベア21上の停止位置で停止中の収容ケース11を撮像する第2の撮像手段16が設けられている。
第1、第2の撮像手段15、16は、図4に示すように、制御手段17に信号接続されている。制御手段17は、第1の撮像手段15が撮像する画像から、予め定められたパネル基準位置に対するパネル12の位置ずれ量を検出すること及び第2の撮像手段16が撮像する画像から予め定められたケース基準位置に対する収容ケース11の位置ずれ量を検出することが可能である。
【0029】
第1の撮像手段15は、図1、図2、図5に示すように、パネル本体24の一の角部31a(角部a)及び他の角部31b(角部b)をそれぞれ撮像するカメラ32a(カメラA)及びカメラ32b(カメラB)を備えている。
カメラ32a、32bは、パネル本体24の一方の面(パネル12の一側)を吸着した吸着パッド13が予め定められた撮像位置に配置されたときに、パネル本体24の他方の面(パネル12の他側)を撮像可能な位置に配置されている。この撮像位置は、パネル12がカメラ32a、32bによって撮像されるときの吸着パッド13の配置位置を意味している。
本実施の形態では、吸着パッド13が撮像位置に配置されたとき、パネル本体24は水平配置され、吸着パッド13はその水平配置されたパネル本体24の上面を吸着し、カメラ32a、32bは、パネル本体24の下面を撮像可能な位置、即ち撮像位置の下位置に配置されている。
【0030】
カメラ32aは、撮像位置に配置された吸着パッド13によって吸着保持されているパネル本体24の角部31aを撮像可能な位置に配置されている。本実施の形態では、カメラ32aは、パネル基準位置に配置されたパネルの角部aを画像の中央(実質的に中央)で撮像可能な位置に配置されている。
パネルの搬送装置10には、ロボット14の近傍に、図示しないフレームに軸受けを介して固定されたボールねじ33と、そのフレームに固定され、ボールねじ33を軸心回りに回転するサーボモータ34が設けられている。カメラ32bは、ボールねじ33に装着された雌ねじブロック35に固定され、ボールねじ33の回転により雌ねじブロック35と共にボールねじ33の軸心に沿って向きを変えることなく移動可能である。
【0031】
パネルの搬送装置10は、大きさの異なるパネルを収容ケースの特定位置に載置できるように設計されている。
制御手段17は、図4に示すように、チェーンコンベア18上にパレットと共に載せられるパネルの大きさや、収容ケースへのパネルの収容状況等を検知している中央制御装置36に信号接続されている。
制御手段17は、中央制御装置36(外部)からのパネルの大きさを示す入力信号を基にして、パレットと共にチェーンコンベア18によって搬送されるパネルの角部aと角部bの間隔を検知することができる。制御手段17は、その検知したパネルの角部aと角部bの間隔から、カメラ32bが、撮像位置に配置された吸着パッド13に吸着保持されるパネルの角部bを撮像可能な位置を決定し、サーボモータ34を作動してその位置にカメラ32bを配置する。
【0032】
吸着パッド13の撮像位置及びパネル基準位置はそれぞれ、パネルの大きさごとに異なり、制御手段17には、その各撮像位置及び各パネル基準位置に加え、各パネル基準位置にあるパネルの角部bを撮像可能なカメラ32bの配置位置が記憶されている。
制御手段17は、中央制御装置36からの入力信号によりパネルの大きさを検知すると、そのパネルの大きさに対応するカメラ32bの配置位置を選択し、カメラ32a、32bの距離とパネルの角部a、角部b間の間隔が略同一になる位置にカメラ32bを配置して、カメラ32bによるそのパネルの角部bの撮像を行う。
そのパネルを撮像する際のカメラ32bの配置は、カメラ32bがパネル基準位置に配置されたパネルの角部bを画像の中央(実質的に中央)で撮像する位置でもある。
なお、サーボモータ34及びボールねじ33が固定されているフレームは、パネルの大きさに合わせて、カメラ32a、32bがパネル本体の角部a及び角部bをそれぞれ画像の中央で撮像できる位置に、サーボモータ34及びボールねじ33を移動可能であってもよい。
【0033】
パレットへのパネルの配置が±Dmmの一定の精度で行われる場合において、カメラ32a、32bの各撮像範囲は、それぞれパネルの角部a及び角部bを撮像できる大きさになっている。本実施の形態では、カメラ32a、32bはそれぞれパネルの角部a及び角部bを画像の中央近傍で撮像する。
制御手段17は、カメラ32a、32bがそれぞれ撮像する各画像中の角部a及び角部bの位置と、予めカメラ32a、32bでそれぞれ撮像したパネル基準位置にあるパネルの画像中の角部a及び角部bの位置を対比することにより、即ち、パネルの角部a、bをカメラ32a、32bによりそれぞれ撮像した各画像を基にして、パネル基準位置に対するパネルの位置ずれ量を検出することができる。
【0034】
本実施の形態では、カメラ32a、32bでそれぞれ撮像される角部31a及び角部31bは、平面視して矩形のパネル本体24を形成する辺の一つの辺の両端に位置する角部である。制御手段17は、カメラ32a、32bで撮像しようとするパネル本体24の角部31a、角部31bの間にある辺の長さと、カメラ32a、32b間の距離が同一になるのを検出する位置にカメラ32bを移動しパネル12を撮像する。
なお、カメラ32aは固定されているが、移動可能であってもよい。
【0035】
また、図4に示す中央制御装置36は、パネルの大きさとベルトコンベア21に載せられる収容ケースの大きさを管理している。
中央制御装置36は、チェーンコンベア18によって搬送されるパネルの大きさに応じた大きさの収容ケースがベルトコンベア21に載せられるよう、収容ケースをベルトコンベア21に載せる機器等の制御を行う。
ベルトコンベア21の設置経路(即ち収容ケース11の搬送経路)には、図1、図2に示すように、ベルトコンベア21によって搬送される収容ケース11を予め定められた停止位置で停止する昇降式のストッパ38が設けられている。
【0036】
ストッパ38は制御手段17に信号接続されている(図4参照)。制御手段17は、ロボット14が停止位置で停止中の収容ケース11にパネル12を載せたことを検知すると、ストッパ38を下げて収容ケース11を搬送経路に沿って搬送する。
なお、制御手段17には、ストッパ38が収容ケース11を停止していることを検知するセンサ39が信号接続されている(図4参照)。
【0037】
第2の撮像手段(例えばデジタルカメラ)16は、図1、図2に示すように、停止位置で停止中の収容ケース11の上位置で、その収容ケース11の一側にある複数の位置決め部材28の全てを撮像可能な位置に配置されている。
制御手段17には、予め大きさの異なる収容ケースごとに定められた、停止位置で停止した収容ケースの基準位置を示すケース基準位置が記憶されている。
【0038】
制御手段17は、このケース基準位置に配置されている収容ケースを第2の撮像手段16により撮像した画像中の位置決め部材28の位置を記憶している。
なお、第2カメラ16により撮像された画像中の位置決め部材28の、制御手段17による画像認識は、画像中の色彩、形状等を分析する周知の画像認識技術によって行われる。カメラ32a、32bにより撮像された各画像中のパネル本体24の角部a及び角部bの画像認識も同じである。
位置決め部材28には、画像認識が容易にできるように、プラスチックプレート26及びクッション材27と異なる色彩が施されており、例えば、プラスチックプレート26及びクッション材27は白色で、位置決め部材28は黒色又は茶色である。
【0039】
制御手段17は、停止位置に停止中でパネル12を載置する前の収容ケース11を第2の撮像手段16で撮像し、その撮像された画像中の位置決め部材28の位置を、記憶しているケース基準位置に配置された収容ケース11の画像中の位置決め部材28の位置と比較して、収容ケース11の現在位置を検知する。そして、制御手段17は、その検知した収容ケース11の現在位置のケース基準位置に対する位置ずれ量を検出する。
制御手段17は、ケース基準位置に対する収容ケース11の位置ずれ量と、撮像位置に配置された吸着パッド13に吸着保持されているパネル12のパネル基準位置に対する位置ずれ量を基にして、収容ケース11の特定位置にパネル12を配置するための吸着パッド13の移動先の座標及び向きを算出する。
【0040】
ここで、制御手段17による吸着パッド13の移動先の座標及び向きを算出する方法を詳細に説明する。
図5に示すように、パネル基準位置にあるパネル本体24の角部31a、31bのXY座標をそれぞれ、(X1、Y1)及び(X2、Y2)、撮像位置にある吸着パッド13によって吸着保持されているパネル本体24の角部31a、31bのXY座標をそれぞれ、(X1’、Y1’)及び(X2’、Y2’)とする。また、ケース基準位置にある収容ケース11の一側に線分に沿って配列されている複数の位置決め部材28のうち一端側及び他端側にある位置決め部材28(以下、それぞれを単に「一端側の位置決め部材28」及び「他端側の位置決め部材28」という)のXY座標をそれぞれ(x1、y1)及び(x2、y2)、停止位置で停止中の収容ケース11の一端側の位置決め部材28及び他端側の位置決め部材28のXY座標をそれぞれ(x1’、y1’)及び(x2’、y2’)とする。
【0041】
制御手段17は、(X1’−X1、Y1’−Y1)及び(X2’−X2、Y2’−Y2)からパネル基準位置に対するパネル12の位置ずれ量を算出し、(x1’−x1、y1’−y1)及び(x2’−x2、y2’−y2)からケース基準位置に対する収容ケース11の位置ずれ量を算出する。
制御手段17には、ケース基準位置にある収容ケース11の、特定位置に配置されたパネル本体24の角部31a、31bの各XY座標(P1、Q1)及び(P2、Q2)が記憶されている。
制御手段17は、算出したパネル基準位置に対するパネル12の位置ずれ量、ケース基準位置に対する収容ケース11の位置ずれ量から、パネル12を停止位置で停止中の収容ケース11の特定位置に配置するための、(P1、Q1)及び(P2、Q2)に対する角部31a、31bの各XY座標の補正値を演算する。そして、制御手段17は、演算した角部31a、31bの各補正値を(P1、Q1)及び(P2、Q2)にそれぞれ加算して角部31a、31bの配置すべき座標を得て、吸着パッド13の移動先の座標及び向きを算出する。
【0042】
ベルトコンベア21の設置経路の終端地点には、図1に示すように、ローラコンベア40が配置されている。
ローラコンベア40は、パネル12が載置された収容ケース11をローラコンベア40に近接配置されたローラコンベア41に送り、パネル12は、ローラコンベア41の設置経路に沿って、収容ケース11を閉じる作業が行われる場所まで搬送される。
ローラコンベア40、41は、制御手段17に信号接続されており(図4参照)、それぞれ制御手段17からの信号によって運転が制御されている。
【0043】
また、チェーンコンベア18上でストッパ20によって止められるパレット19には、図1、図2に示すように、吸着パッド13によって吸着保持され空状態になったパレット19を把持してパレット退避位置にそのパレット19を移動させるパレット搬出ロボット42が設けられている。
パレット搬出ロボット42は6つの可動軸を備えるアーム型ロボットであり、先端部にパレット19を把持する把持機構43が設けられている。
なお、パレット退避位置には、パレット搬出ロボット42によってチェーンコンベア18から移動された空のパレット19が段済みされている。
また、ロボット14の近傍には、ロボット14の静電気を除去するイオナイザー44が設けられているので、ロボット14は、パネル12に故障等を発生させる静電気が帯電しない環境を確保されている。そして、ベルトコンベア21の近傍には、ベルトコンベア21に載せられる収容ケース11の静電気を除去するイオナイザー44aが設けられている。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、ロボット及びパレット搬出ロボットは、6軸のアーム型ロボットに限定されず複数のアクチュエータとリニアガイド等から構成されたロボットを用いることもできる。
また、チェーンコンベア、ベルトコンベア及びローラコンベアの組み合わせを変更してもよい。
【符号の説明】
【0045】
10:パネルの搬送装置、11:収容ケース、12:パネル、13:吸着パッド、14:ロボット、15:第1の撮像手段、16:第2の撮像手段、17:制御手段、18:チェーンコンベア、19:パレット、20:ストッパ、21:ベルトコンベア、22:吸着盤、23:面状ファスナー、24:パネル本体、25:電極、26:プラスチックプレート、27:クッション材、28:位置決め部材、29:貫通孔、30:センサ、31a、31b:角部、32a、32b:カメラ、33:ボールねじ、34:サーボモータ、35:雌ねじブロック、36:中央制御装置、38:ストッパ、39:センサ、40、41:ローラコンベア、42:パレット搬出ロボット、43:把持機構、44、44a:イオナイザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って順次送られてくる収容ケースに、別位置に配置されていたパネルを載置するパネルの搬送装置であって、
前記パネルを吸着保持する吸着パッドが設けられたロボットと、
前記吸着パッドに吸着保持されている前記パネルを撮像する第1の撮像手段と、
前記搬送経路上の停止位置で静止した前記収容ケースを撮像する第2の撮像手段と、
前記第1の撮像手段によって撮像された画像から予め定められたパネル基準位置に対する前記パネルの位置ずれ量を検出すると共に、前記第2の撮像手段によって撮像された画像から予め定められたケース基準位置に対する前記収容ケースの位置ずれ量を検出し、前記収容ケースの特定位置に前記パネルを載置する前記吸着パッドの移動先の座標及び向きを算出する制御手段とを有し、
前記制御手段によって算出された前記移動先の座標に前記吸着パッドを移動して前記パネルを前記収容ケースの特定位置に載置することを特徴とするパネルの搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載のパネルの搬送装置において、前記パネルは、平面視して矩形で前記吸着パッドによって吸着保持されるパネル本体を有し、前記第1の撮像手段は、前記パネル本体の角部a及び角部bをそれぞれ撮像するカメラA及びカメラBを備え、
前記制御手段は、前記吸着パッドが吸着保持している前記パネル本体の前記角部a、bを前記カメラA、Bによりそれぞれ撮像した各画像を基にして、前記パネル基準位置に対する前記パネルの位置ずれ量を検出することを特徴とするパネルの搬送装置。
【請求項3】
請求項2記載のパネルの搬送装置において、前記カメラAは、前記吸着パッドによって吸着保持されている前記パネル本体の前記角部aを撮像可能な位置に配設され、前記カメラBは、前記制御手段が外部からの入力信号を基に前記パネル本体の前記角部aと前記角部bの間隔を検知して決定する該角部bを撮像可能な位置まで向きを変えることなく移動可能であることを特徴とするパネルの搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のパネルの搬送装置において、前記収容ケースには、該収容ケース内で前記パネルを保持する位置決め部材が設けられ、前記制御手段は、前記第2の撮像手段によって撮像される前記停止位置にある前記収容ケースの画像中の前記位置決め部材の位置を、前記制御手段が記憶している前記ケース基準位置に配置された前記収容ケースの画像中の前記位置決め部材の位置と比較して該収容ケースの位置ずれ量を検出することを特徴とするパネルの搬送装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のパネルの搬送装置において、前記収容ケースに載置される前記パネルを載せて、前記吸着パッドに吸着保持される位置まで該パネルと共に搬送されるパレットと、前記パネルが前記吸着パッドによって吸着保持され空状態になった前記パレットを把持してパレット退避位置に移動させるパレット搬出ロボットとが設けられることを特徴とするパネルの搬送装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のパネルの搬送装置において、前記ロボットの静電気を除去するイオナイザーが設けられることを特徴とするパネルの搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−106318(P2012−106318A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258087(P2010−258087)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000196705)西部電機株式会社 (80)
【Fターム(参考)】