説明

パネルケーシング及びパネル

【課題】 運搬に際して、重量が嵩むことなく、特に、気密性が要求される場合の構築作業が容易になるパネルケーシングおよびパネルを提供する。
【解決手段】 矩形状平面部の4辺を、該平面部に対して垂直方向に屈曲させてフランジ部を形成して成るパネルを、前記フランジ部が接面するようにして互いに接合させて、ケーシングの壁面を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルケーシング及びパネルに係り、特に給気・排気及び換気処理装置の建物のケーシングとして使用するパネルケーシング及びパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
給気・排気及び換気処理装置を順に説明すると、図7に示すように、建物10内に外気11をファン12で取り入れる際に粉塵や塩分を取り除くフィルタ13、空気を適切な温度に調整する冷水又は温水コイル14を内部に設けた機器が給気処理装置15である。また、建物10内に空気を取り入れ、粉塵等を取り除き、再度適切な温度で建物10内に戻す機器が換気処理装置16である。更に、建物10内の空気をスタック(煙突)17を介して外へ放出18する前に粉塵を取り除く排気フィルタ19を内部に設けた機器が排気処理装置20である。
【0003】
この給気・排気及び換気処理装置に使用されるパネルケーシングは、ケーシングを構成する鋼板パネルとフランジ及び補強材としての山形鋼をリベットで固定し、パネルケーシングを形成するものが良く知られている。
【0004】
また、実験建物や生産建物等のケーシングとして、鋼板パネルを壁面として使用したパネルケーシングが採用される場合がある。パネルケーシングは、鋼板パネルをアングル材を介して互いに連結することによって構築される(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−28305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の給気・排気及び換気処理装置に使用されるパネルケーシングは、鋼板パネルに山形鋼を複数本のリベットを使用して締結しているため、加工に時間がかかるだけでなく、パネル一枚当たりの重量が重くなるので、組立・搬入・搬出性が悪くなる。また、リベット接合のために、接合部が弱く、また接合部が直接風圧を受ける面であることから、機密性が悪くなるという欠点がある。この欠点を解消するには、パネルケーシングのフランジ部を形成している山形鋼についてリベット以外の接合や、軽量化するための部品の検討をする必要があるが、山形鋼を使用しての検討には限界がある。
【0006】
また、特許文献1の場合、このようなパネルケーシングでは、鋼板パネルと鋼板パネルとの間にアングル材が介在されるため、大型のパネルケーシングを構築する場合には、相当数のアングル材が必要になり、運搬に際して、重量が嵩んでしまう。また、鋼板パネルは、アングル材にボルトによって締結されることから、ネジ挿通孔の密封性が害われる虞がある。特に、気密性が要求される上記した給気・排気及び換気処理装置等のケーシングとして採用する場合には、ネジ挿通孔毎にシール剤を塗布して気密を図る必要があり、ケーシングの構築作業が煩雑になる。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされもので、運搬に際して、重量が嵩むことなく、特に、気密性が要求される場合の構築作業が容易になるパネルケーシングおよびパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のパネルケーシングは、矩形状平面部の4辺に該平面部に対して垂直方向に屈曲させてフランジ部を形成して成るパネルを、前記フランジ部が接面するようにして互いに接合させて、ケーシングの壁面を形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項1の発明によれば、フランジ部を互いに接合させてパネルを互いに接合させるので、パネル間にアングル材を介在させる必要がなく、資材の軽量化が図れ、運搬に有利であり、さらには、室内外に亘るネジ挿通孔が形成されないので、密封性が保持される。
【0010】
請求項2のパネルケーシングは、請求項1に記載の発明において、前記パネルケーシングの稜部に、前記パネルのフランジ部に接面させてアングル材を配設し、該アングル材と前記パネルのフランジ部とを互いに接合させたことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明によれば、稜部において、該稜部に沿ってアングル材が配設され、該アングル材にパネルのフランジ部が結合されるので、室内外に亘るネジ挿通孔が形成されることなく、したがって、密封性が保持される。
【0012】
請求項3のパネルケーシングは、請求項1または2に記載の発明において、前記パネルのフランジ部が互いに接合された部位にシール剤を塗布したことを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明によれば、パネル間にシール剤が塗布されるので、より確実に気密性が保持される。
【0014】
請求項4のパネルケーシングは、請求項2または3に記載の発明において、前記パネルのフランジ部と前記アングル材とが接合された部位にシール剤を塗布したことを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明によれば、ケーシングの稜部において、パネルとアングル材との間にシール剤が塗布されるので、より確実に気密性が保持される。
【0016】
請求項5のパネルケーシングは、給気・排気及び換気処理装置のケーシングであることを特徴とする。
【0017】
本発明のパネルケーシングは、給気・排気及び換気処理装置のケーシングのパネルケーシングとして特に有効だからである。
【0018】
請求項6のパネルは、パネルを並置させ、相対向する辺を互いに接合してパネルケーシングの壁面を構成するパネルにおいて、矩形状平面部の4辺に、該平面部に対して垂直方向に屈曲させて、接合させるためのフランジ部を形成したことを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明によれば、フランジ部が形成されているので、軽量で、かつ強度の高いパネルが得られる。
【0020】
請求項7のパネルは、請求項6に記載の発明において、前記フランジ部の自由端を、前記フランジ部に対して垂直で、かつ内方に屈曲させた第1の補助フランジ部を形成したことを特徴とする。
【0021】
請求項7の発明によれば、フランジ部の自由端を、前記フランジ部に対して垂直で、かつ内方に屈曲させた第1の補助フランジ部を形成したので、更に強度の高いパネルを得ることができる。
【0022】
請求項8のパネルは、請求項7に記載の発明において、前記第1の補助フランジ部の自由端を、前記第1の補助フランジ部に対して垂直で、かつ前記平面部に向けて屈曲させた第2の補助フランジ部を形成したことを特徴とする。
【0023】
請求項8の発明によれば、第1の補助フランジから垂直方向に展設される第2の補助フランジが形成されるので、さらに強度の高いパネルが得られる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、運搬に際して、重量が嵩むことなく、特に、気密性が要求される場合の構築作業が容易になるパネルケーシングおよびパネルを提供することができる。従って、給気・排気及び換気処理装置のケーシングのパネルケーシングとして特に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明に係るパネルケーシングおよびパネルを、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は本発明に係るパネルケーシングの概念的な斜視図、図2は本発明に係るパネルを示した斜視図、図3は図2におけるIII−III線断面図、図4は図3におけるA部の拡大図、図5は図4におけるV−V線断面図、図6は本発明に係るパネルの変形例を示した要部断面図である。
【0027】
図1に示すパネルケーシング(以下、ケーシングと言う)1は、鋼板製パネル(以下、パネルと言う)2を互いに結合して組み立てたもので、このケーシング1のパネル2は、図2に示すように、矩形を成す平面部2aを有し、その縁部に、図3に示すように、平面部2aに対して垂直に屈曲されたフランジ部2bと、該フランジ部の自由端縁から該フランジ部に対して垂直で、内方に屈曲された第1の補助フランジ部2cとが形成されている。そして、このパネル2では、フランジ部2bに、所定の間隔で、複数個のネジ挿通孔2dが形成されている。
【0028】
ケーシング1は、図1に示すように、各側稜部にL形鋼等のアングル材の支柱3が立設され、各上稜部にL形鋼等のアングル材の梁4が装架され、支柱3と梁4とによって画成される空間にパネル2が嵌め込まれている。
【0029】
そして、隣り合うパネル2,2のフランジ部2b,2bは、図5に示すように、それらのネジ挿通孔2d,2dにボルト5の軸部を挿通し、その先端にナット6を螺合させることによって互いに締結される。また、支柱3に接するパネル2のフランジ部2bは、そのネジ挿通孔2dにボルト5の軸部を挿通し、その先端を支柱3に形成されたネジ孔3aに螺合させることによって支柱3に締結される。また、同様に、梁4に接するパネル2のフランジ部2bは、そのネジ挿通孔2dにボルト5の軸部を挿通し、その先端を梁4に形成したネジ孔4aに螺合させることによって梁4に締結される。
【0030】
次いで、このように組み付けられたケーシング1のパネル2のフランジ部2b,2b間、それらのフランジ部2bと支柱3および梁4間には、シール剤7がそれぞれ塗布されて、それらの隙間のシールが図られる。
【0031】
なお、上記したケーシング1のパネル2は、第1の補助フランジ部2cを設けることによって、強度を高めているが、図6に示すように、フランジ部2cの自由端を平板部2aに向けて屈曲させて第2の補助フランジ部2eをさらに形成すれば、重量をあまり増加させることなく強度をより高めることができる。
【0032】
また、上記実施の形態では、ボルト5によらず、隣り合うパネル2のフランジ部2c同士およびパネル2のフランジ部2cと支柱3または梁4とを接着剤によって互いに結合させてパネル2を結合させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るパネルケーシングの概念図な斜視図である。
【図2】本発明に係るパネルを示した斜視図である。
【図3】図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】図3におけるA部の拡大図である。
【図5】図4におけるV−V線断面図である。
【図6】本発明に係るパネルの変形例を示した要部断面図である。
【図7】本発明に係るパネルケーシングを適用する給気・排気及び換気処理装置の説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1…パネルケーシング、2…パネル、2a…平面部、2b…フランジ部、2c…第1の補助フランジ部、2d…ネジ挿通孔、2e…第2の補助フランジ部、3…支柱、3a…ネジ孔、4…梁、4a…ネジ孔、5…ボルト、6…ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状平面部の4辺に該平面部に対して垂直方向に屈曲させてフランジ部を形成して成るパネルを、前記フランジ部が接面するようにして互いに接合させて、ケーシングの壁面を形成したことを特徴とするパネルケーシング。
【請求項2】
前記パネルケーシングの稜部に、前記パネルのフランジ部に接面させてアングル材を配設し、該アングル材と前記パネルのフランジ部とを互いに接合させたことを特徴とする請求項1に記載のパネルケーシング。
【請求項3】
前記パネルの前記フランジ部が互いに接合された部位にシール剤を塗布したことを特徴とする請求項1または2に記載のパネルケーシング。
【請求項4】
前記パネルの前記フランジ部と前記アングル材とが接合された部位にシール剤を塗布したことを特徴とする請求項2または3に記載のパネルケーシング。
【請求項5】
前記パネルケーシングは、給気・排気及び換気処理装置のケーシングであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1のパネルケーシング。
【請求項6】
パネルを並置させ、相対向する辺を互いに接合してパネルケーシングの壁面を構成するパネルにおいて、矩形状平面部の4辺に、該平面部に対して垂直方向に屈曲させて、接合させるためのフランジ部を形成したことを特徴とするパネル。
【請求項7】
前記フランジ部の自由端を、前記フランジ部に対して垂直で、かつ内方に屈曲させた第1の補助フランジ部を形成したことを特徴とする請求項6に記載のパネル。
【請求項8】
前記第1の補助フランジ部の自由端を、前記第1の補助フランジ部に対して垂直で、かつ前記平面部に向けて屈曲させた第2の補助フランジ部を形成したことを特徴とする請求項7に記載のパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−290719(P2007−290719A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117954(P2006−117954)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】