説明

パネルモジュール

【課題】半導体製造技術を用いてガラス基板上にLEDを直接形成し、薄型でありかつ輝度ムラの少ない線光源に近いLEDバックライトのパネルモジュールを提供する。
【解決手段】光源としてLED13を用いたサイドライト方式バックライトを備えたパネルモジュールにおいて、パネルモジュールを構成するガラス基板11上に半導体製造プロセスを用いて直接形成した薄膜型のLED13を有する。LED13は樹脂48で封止される。パネルモジュールを構成するTFT基板のTFTが形成された面の裏側ガラス面上に、LED13がディスプレイ部分の周囲を取り囲むように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルモジュールに関し、特にLCD(液晶表示)パネルモジュールのサイドライト方式バックライトに関する。
【背景技術】
【0002】
LCDパネルのバックライトの光源としては従来蛍光管が用いられてきた。しかし蛍光管の実装には蛍光管自体と駆動のためのインバータが必要となり、LCDパネルモジュールの薄型化には限界があった。そこでLCDパネルモジュールの薄型化技術として、バックライトの光源としてLED(発光ダイオード)を用いたパネルモジュールが実用化されている。例えば下記特許文献1には、サイドライト方式のLEDバックライトを採用しパネルの薄型化を図る技術が開示されている。
図5、図6は下記特許文献1に記載の従来のサイドライト方式バックライトの構成図と断面図である。光源用基板51にLED13を一定間隔で配列して構成される光源と、その光源の横に配置された導光板35とを備え、導光板35の表面(発光面)51は発光面で、裏面22及び側面は遮光面である。裏面22には反射フィルム34が貼着されている。光源10から出力される光は導光板35を通り、発光面51、拡散板36を通ってLCDパネルへと入射される。この構造によると、バックライトには最低光源基板51の高さ分の厚みが必要となる。
【0003】
また白色の発光を得るために赤色、緑色、青色(RGB)の3色のLEDを用いる方法に関しては、製造工程や製造コストが増加するという欠点と、3つのLEDは発光色により駆動電圧が異なるために各色発光LEDの特性を合致させにくく色変化が大きいという欠点がある。このため所望の白色を発生させることが難しいという問題点もあり、例えば下記特許文献2にはこの問題の解決のために、青色LEDと蛍光体を用いて白色光源を得る技術が開示されている。
【特許文献1】特開平6−3527号公報
【特許文献2】特開平10−97200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDは点光源であり、LEDチップの実装密度には限界があることからバックライトとして用いた場合、線光源である蛍光管光源に比べ輝度ムラが発生しやすい問題がある。またLEDチップの実装にもパネルモジュールの一定の厚み増加が避けられない。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題を解決するために、半導体製造技術を用いてガラス基板上にLEDを直接形成し、薄型でありかつ輝度ムラの少ない線光源に近いLEDバックライトのパネルモジュールを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような問題点を解決するために、本発明のパネルモジュールは、以下のような構成とし、特徴を有する。
LCDパネル向けのLEDを用いたサイドライト方式バックライトにおいて、LEDをガラス基板上に半導体製造プロセスを用いて直接形成することを特徴とする。
前記LEDは樹脂で封止されていることを特徴とする。
前記バックライトにおいて、LCDパネルのTFT基板側のTFTが形成された面の裏側ガラス面上に、LEDがディスプレイ部分の周囲を取り囲むように形成されることを特徴とする。
前記バックライトにおいて、RGB3色のLEDを組み合わせることによって白色光を作ることを特徴とする。
前記バックライトにおいて、青色LEDと蛍光体を用いることによって白色光を作ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成を備えた本発明のパネルモジュールは、以下の効果を奏することができる。
LCDのガラス基板上に半導体製造技術を用いて薄膜型のLEDを形成し、それをバックライトとして用いることで、LED実装密度の向上と、総体積の大幅な削減が図れ、輝度ムラの減少とパネルモジュール及び液晶表示装置の薄型化を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、裏面から見た本発明のパネルモジュールのバックライト部分の構造図である。LCDガラス基板11内のディスプレイ部12のサイドにLED13を1〜複数の列状に配置している。LEDの数が増えるほど高い輝度を実現できる。微細加工技術を用いることにより、LEDチップを接着あるいはLED基板を実装する場合に比べ、高密度でLEDを配列することができる。
【0009】
半導体製造技術を用いてLEDを形成する場合、基板上のLEDは一度のプロセスで同時に形成できることから、LEDの数は製造コストにほとんど関係しない。従って図2に示すように、ディスプレイ部を囲むようにLEDを配置すればさらに高輝度を得ることができるが、消費電力は比例して増加する。
【0010】
以上の構造の採用により、従来型のLEDバックライトに比べて実装するLEDの間隔を狭くすることができ、蛍光管等の線光源に近い光源が実現できる。このことにより輝度ムラを減少させることができる。また、ガラス基板11の表面(反対側)にはTFT(薄膜トランジスタ)を形成することができる。
【0011】
図3は、図1の本発明のパネルモジュールのバックライト部分の直線14においての断面図である。図1におけるバックライトの奥側が図3において上側、図1におけるバックライトの手前側が図3において下側に対応する。
ガラス基板11上の片端にLED13が形成されている。LED13から発せられた光は、直接あるいはリフレクタ33で反射して導光板35へと入射する。導光板35へ入射した光は拡散板36、偏光板37を通りLCDパネルのガラス基板11へと導かれる。導光板の裏面と光の入射する以外の側面には反射フィルム34が設けられている。
【0012】
次にガラス基板上へのLED形成について述べる。
図4は、本発明のパネルモジュールのバックライト部分における青色LEDの構造図である。LEDはガラス基板11上に形成する。以下にそのプロセスを示す。
まず、ガラス基板上にポリシリコン層41を生成し、次にこれを結晶化する。次に、シリコン層41の上にバッファ層42を形成する。次に、バッファ層42の上にn‐GaN層43を形成する。次に、n‐GaN層43の上に活性層(発光層)44を形成する。次に、活性層44の上にp‐GaN層45を形成する。次に、p側n側それぞれにコンタクト層46、47を形成する。最後に、LED全体を樹脂48で封止する。
LEDから白色の発光を得るために、封止する樹脂48には,青色光を吸収することで励起され,例えば黄色光あるいは赤色と緑色光を発光する蛍光体が含まれている。あるいは蛍光体は樹脂内ではなく、図3のリフレクタ33の内側に蛍光散乱層を設けることによっても同様の効果があり、白色光を得ることができる。
【0013】
また白色光を得るもう1つの方法として、赤色、緑色、青色の3種類のLEDを用いる方法がある。この場合の製造方法としては、例えば、上記の製造プロセスおいて、バッファ層以降をそれぞれの色ごとに異なる化合物を形成することで実現できる。
以上の構造の採用により、液晶表示装置はLED実装に必要とする高さを削減でき、装置の薄型化が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】裏面から見た本発明のパネルモジュールのバックライト部分の構造図である。
【図2】高い輝度を得るためのパネルモジュールのバックライト部分の構造図である。
【図3】本発明のパネルモジュールのバックライト部分の断面図である。
【図4】本発明におけるLEDの構造図である。
【図5】従来のサイドライト方式バックライトの構造図である。
【図6】従来のサイドライト方式バックライトの断面図である。
【符号の説明】
【0015】
11 ガラス基板
13 LED
33 リフレクタ
34 反射フィルム
35 導光板
36 拡散板
37 偏光板
41 シリコン層
42 バッファ層
43 n‐GaN層
44 活性層
45 p‐GaN層
46、47 電極
48 樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源としてLEDを用いたサイドライト方式バックライトを備えたパネルモジュールにおいて、
パネルモジュールを構成するガラス基板上に半導体製造プロセスを用いて直接形成した薄膜型LEDを有することを特徴とするパネルモジュール。
【請求項2】
前記LEDが樹脂で封止されている請求項1記載のパネルモジュール。
【請求項3】
パネルモジュールを構成するTFT基板のTFTが形成された面の裏側ガラス面上に、前記LEDがディスプレイ部分の周囲を取り囲むように形成された請求項1又は2に記載のパネルモジュール。
【請求項4】
RGB3色のLEDを組み合わせることによって白色光を作る請求項1〜3のいずれか1項に記載のパネルモジュール。
【請求項5】
青色あるいは紫外線のLEDと蛍光体を用いることによって白色光を作る請求項1〜3のいずれか1項に記載のパネルモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−245780(P2009−245780A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91610(P2008−91610)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】