説明

パネル取付構造及び取付方法

【課題】パネルの切欠部を小さく形成することができ、パネルの取付手順に自由度を持たせること。
【解決手段】下面の端部に切欠部11を有するパネル10と、前記パネル10の端部をフランジ21上に載置する梁20と、前記パネル10の前記切欠部11の下部における前記梁20の前記フランジ21に挟着する挟着部及び前記フランジ21の上面と同一面上で前記パネル10下面を受ける受け片を有する取付部材30と、前記パネル10の上部から前記取付部材30の前記受け片までを貫通させるビス40と、から構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梁に対してパネルを取付部材を用いて取付けるパネル取付構造及び取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ALC(軽量気泡コンクリート)パネルを躯体に取付ける取付構造がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の取付構造に使用される取付金具は、躯体の平板支持部に止着される挟着部と平板支持部に面一に突出する固定用平板部とを有する構成であった。
【0004】
【特許文献1】特開平9−287229(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような取付金具は、挟着部の上面と固定用平板部とが面一になっているため、躯体に取付金具の挟着部を挟むと、挟着部及び固定用平板部の上面は、躯体の上面よりも上部に突出して配置される。すると、ALCパネルの下面には、固定用平板部と少なくとも同等又はそれ以上の大きさの切欠部(特許文献1の図2の凹部)を形成せねば、ALCパネル下面が前記突出している取付金具の部分が当たってしまう。このため、取付金具の突出している部分よりも大きな切欠部をパネル下面に形成する必要があった。
【0006】
また、上述の取付金具を用いると、ALCパネルを躯体に取付ける場合、特許文献1の図4に示すように、まず躯体に取付金具を取付け、その後ALCパネルを取付けるという順序で取付けねばならず、取付手順が決まってしまっていた。
【0007】
本発明の目的は、パネルの切欠部を小さく形成することができ、パネルの取付手順に自由度を持たせることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の構成及び方法は以下の通りである。
【0009】
(1)
下面の端部に切欠部を有するパネルと、
前記パネルの端部をフランジ上に載置する梁と、
前記パネルの前記切欠部の下部における前記梁の前記フランジに挟着する挟着部及び前記フランジの上面と同一面上で前記パネル下面を受ける受け片を有する取付部材と、
前記パネルの上部から前記取付部材の前記受け片までを貫通させるビスと、から構成されることを特徴とするパネル取付構造。
【0010】
(2)
下面の端部に切欠部を有するパネルと、前記パネルを載置する梁と、前記梁のフランジに挟着する挟着部及び前記フランジの上面と同一面上で前記パネル下面を受ける受け片を有する取付部材と、ビスとを具備し、
前記パネルの端部を前記梁の前記フランジ上に敷き込む載置段階と、
前記パネルの前記切欠部の下部にある前記梁の前記フランジに対して前記取付部材の前記挟着部を取付ける挟着段階と、
前記ビスを前記パネルの上部から前記取付部材の前記受け片まで貫通させることで、前記パネルを前記梁に固定する固定段階と、を有することを特徴とするパネル取付方法。
【0011】
(3)
下面の端部に切欠部を有するパネルと、前記パネルを載置する梁と、前記梁のフランジに挟着する挟着部及び前記フランジの上面と同一面上で前記パネル下面を受ける受け片を有する取付部材と、ビスとを具備し、
前記梁の前記フランジに対して前記取付部材の前記挟着部を取付ける挟着段階と、
前記パネルの端部を、前記取付部材が前記切欠部の下部になるように、前記梁の前記フランジ上に敷き込む載置段階と、
前記ビスを前記パネルの上部から前記取付部材の前記受け片まで貫通させることで、前記パネルを前記梁に固定する固定段階と、を有することを特徴とするパネル取付方法。
【発明の効果】
【0012】
前記取付構造及び取付方法では、前記パネルの前記切欠部の下部における前記梁の前記フランジに挟着する挟着部及び前記フランジの上面と同一面上で前記パネル下面を受ける受け片を有する取付部材を用いる。
【0013】
まず、前記挟着部と前記受け片とが異なる面であるため、前記パネルの前記切欠部の大きさは、前記挟着部のみを収納する大きさで足り、前記受け片の大きさ分だけ前記切欠部の大きさが小さくなる。このため、前記切欠部の大きさを小さくすることができる。
【0014】
また、前記挟着部と前記受け片とが異なる面としたことで、前記パネルを前記フランジに敷き込んだ状態においても、前記取付部材の前記挟着部を前記梁に取付けることができる。このため、パネルの取付手順に自由度を持たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図を用いて本発明の実施形態を説明する。図1はパネル取付構造の全体構成図であり、図2はパネルと取付部材との関係を示す図であり、図3はパネルの構成を示す図であり、図4は取付部材の構成を示す図であり、図5及び図6は取付手順を説明するための図である。尚、図2はパネルと取付部材とが一体となった状態を下方から見た図であるが、梁のフランジやビスは、説明のため省略している。
【0016】
(パネル取付構造)
図1及び図2に示すように、パネル取付構造は、パネル10と、上側にパネル10の載置平面であるフランジ21がある梁20と、パネル10を梁20に対して取り付けるための取付部材30と、パネル10を取付部材30に固定するためのビス40と、を有する。
【0017】
パネル10は、ALC(軽量気泡コンクリート)パネルが好ましい。パネル10は、図3に示すように、その下面の梁20に載置する側の両端部に、取付部材30が入り込むための切欠部11が形成されている。
【0018】
ここで、切欠部11の形状は、図2及び図3(a)に示すように、下面から見た場合、外側端面側は長方形状であるが内側端面側は円周形状(いわゆる馬蹄形状)とすることが好ましい。これは、内側端面側を長方形状にした場合と比べて、切欠部11が小さくて済むため、加工が容易であり、且つパネル10の強度も向上するからである。
【0019】
梁20はH型鋼であり、図1に示すように、上下に水平のフランジ21、22がくるように配置される。
【0020】
取付部材30は、金属製の部材であり、図4に示すように、梁20の上部のフランジ21に挟み込まれる挟着部31と、パネル10下面に当接するように配設され挟着部31と一体的に構成される受け片32と、を有する。挟着部31は、フランジ21の上面に当接する1つの挟着上部31aと、フランジ21の下面に当接する挟着上部31aの両側に形成される2つの挟着下部31bとを有する。
【0021】
ここで、挟着上部31aの面積を挟着下部31bの総面積よりも小さくすることが好ましい。パネル10には、少なくとも挟着上部31aの面積より大きくなるように、切欠部11の面積を形成する必要があるからである。
【0022】
取付部材30は、挟着上部31aと挟着下部31bとの間でフランジ21を挟み込み、フランジ21に取付けられる。尚、挟着下部31bの先端には、ガイド部31cが形成される。これは、挟着部31がフランジ21に入り込みやすいように構成するためである。挟着上部31aの下面と受け片32の上面は、同一面となるように形成されている。このようにすることで、受け片32は、フランジ21の上面と同一面上でパネル10の下面を受けることができる。詳細は後述する。
【0023】
尚、フランジ21への取付けを容易にするため、受け片32のパネル側端部には打ち込み片33が形成される。また、取付部材30の強度向上のため、挟着部31から受け片32にかけてリブ34が形成される。
【0024】
ビス40は、パネル10の上下を貫通し、且つ受け片32をも貫通する長さで構成されている。
【0025】
(パネル取付方法)
上述の構成の構成部材を用いることで、次のように、2通りの手順でパネル10を梁20に取付けることができる。以下、詳述する。
【0026】
図5を用いて第1の取付手順を説明する。まず、梁20のフランジ21上にパネル10を敷き込む(載置段階)。すると、図5(a)に示すように、パネル10下面とフランジ21との間に、パネル10の切欠部11による空間が形成される。
【0027】
この状態において、図5(a)に示すように、パネル10の下方から取付部材30を切欠部11に近づけ、切欠部11の空間に取付部材30の挟着上部31aが入り込むように、梁20のフランジ21に対して取付部材30を取付ける(挟着段階)。
【0028】
ここで、前述のように、挟着上部31aの下面と受け片32の上面は同一面である。このため、挟着上部31aに当接するフランジ21の上面と、受け片32の上面に当接するパネルの下面は同一面になる。このため、パネル10は、梁20のフランジ21及び取付部材30の受け片32の両方に、その下面を保持される。
【0029】
この状態において、図5(b)に示すように、ビス40をパネル10の上部から打ち込む。そして、ビス40が受け片32を貫通すると、パネル10と取付部材30とはビス40によって固定される(固定段階)。
【0030】
図6を用いて第2の取付手順を説明する。図6(a)に示すように、まず、梁20のフランジ21に取付部材30の挟着部31を取付ける(挟着段階)。すると、前述と同様の理由で、フランジ21と受け片32の上面とは同一面となる。
【0031】
次に、パネル10の切欠部11と挟着上部31aとの位置が合うように、パネル10をフランジ21に敷き込む(載置段階)。すると、パネル10は、梁20のフランジ21及び取付部材30の受け片32の両方に、その下面を保持される。
【0032】
この状態において、図6(b)に示すように、ビス40をパネル10の上部から打ち込む。そして、ビス40が受け片32を貫通すると、パネル10と取付部材30とはビス40によって固定される(固定段階)。
【0033】
以上のように、本構成による取付部材30は、図4に示すように、挟着下部31bの上面と受け片32の上面とは異なる面となるように形成される。このため、挟着上部31aの部分のみがパネル10の下面の切欠部11に入ることのみで、パネル10を梁20に対して固定することができる。従って、取付部材30のうち受け片32の部分はパネル10の下面に当接し、パネル10の下面に形成すべき切欠部11の大きさは、挟着上部31aの大きさのみで足りる。この結果、切欠部11を小さく形成することができる。
【0034】
また、挟着部31と受け片32とを異なる面とされ、且つ挟着下部31bの下面と受け片32とが同一面となるように形成されている。このため、従来のように、取付部材30を梁20に取付けてからパネル10を載置するという取付手順だけではなく、最初にパネル10を梁20に載置した後に、取付部材30を梁20に挟着するという取付手順も可能となる。従って、パネルの取付手順に自由度を持たせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、梁に対してパネルを取付部材を用いて取付けるパネル取付構造及び取付方法に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】パネル取付構造の全体構成図。
【図2】パネルと取付部材との関係を示す図。
【図3】パネルの構成を示す図。
【図4】取付部材の構成を示す図。
【図5】第1の取付手順を説明するための図。
【図6】第2の取付手順を説明するための図。
【符号の説明】
【0037】
10…パネル、11…切欠部、20…梁、21…フランジ、30…取付部材、31…挟着部、31a…挟着上部、31b…挟着下部、31c…ガイド部、32…受け片、33…打ち込み片、34…リブ、40…ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面の端部に切欠部を有するパネルと、
前記パネルの端部をフランジ上に載置する梁と、
前記パネルの前記切欠部の下部における前記梁の前記フランジに挟着する挟着部及び前記フランジの上面と同一面上で前記パネル下面を受ける受け片を有する取付部材と、
前記パネルの上部から前記取付部材の前記受け片までを貫通させるビスと、から構成されることを特徴とするパネル取付構造。
【請求項2】
下面の端部に切欠部を有するパネルと、前記パネルを載置する梁と、前記梁のフランジに挟着する挟着部及び前記フランジの上面と同一面上で前記パネル下面を受ける受け片を有する取付部材と、ビスとを具備し、
前記パネルの端部を前記梁の前記フランジ上に敷き込む載置段階と、
前記パネルの前記切欠部の下部にある前記梁の前記フランジに対して前記取付部材の前記挟着部を取付ける挟着段階と、
前記ビスを前記パネルの上部から前記取付部材の前記受け片まで貫通させることで、前記パネルを前記梁に固定する固定段階と、を有することを特徴とするパネル取付方法。
【請求項3】
下面の端部に切欠部を有するパネルと、前記パネルを載置する梁と、前記梁のフランジに挟着する挟着部及び前記フランジの上面と同一面上で前記パネル下面を受ける受け片を有する取付部材と、ビスとを具備し、
前記梁の前記フランジに対して前記取付部材の前記挟着部を取付ける挟着段階と、
前記パネルの端部を、前記取付部材が前記切欠部の下部になるように、前記梁の前記フランジ上に敷き込む載置段階と、
前記ビスを前記パネルの上部から前記取付部材の前記受け片まで貫通させることで、前記パネルを前記梁に固定する固定段階と、を有することを特徴とするパネル取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−224494(P2007−224494A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43242(P2006−43242)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【Fターム(参考)】