説明

パネル端部納め用部材、及びこれを用いた建築用パネルの端部納め構造

【課題】受け部材に係合保持されるカバー部材の保持性、施工性を向上し得るパネル端部納め用部材、及び建築用パネルの端部納め構造を提供する。
【解決手段】下地材2に取付けられる建築用パネル30の一端部31に沿って配設されるパネル端部納め用部材1であって、前記建築用パネルの一端部の端面32に対面して配される立ち上がり壁部13を有し、前記下地材に固定される受け部材10と、前記一端部の端面近傍表面33に対面して配される庇片部22を有したカバー部材20と、前記カバー部材及び前記受け部材の一方に設けられ、前記下地材に対して略垂直となる方向に向けて開口する係合凹部14と、他方に設けられ、該係合凹部に嵌め入れられる係合凸部23とを備え、前記係合凸部と前記係合凹部とは、該係合凹部への該係合凸部の嵌め入れ深さが深くなるほどに、係止度合いを段階的に強める係止手段15,24,25によって段階的に係合する構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用パネルの一端部に沿って配設されるパネル端部納め用部材、及びこれを用いた建築用パネルの端部納め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅等の建物の壁や天井等に取付け施工される建築用パネルの端部には、該端部を被覆する見切り縁部材や、隣接する建築用パネルの端部間に介在されて、端部間の隙間を塞ぐ目地部材等のパネル端部納め用部材が配設されている。
このようなパネル端部納め用部材は、石膏ボードや合板捨張下地等の下地ボード、あるいは胴縁や受け桟、天井野縁等の下地桟等の下地材に、並列配置されて取付けられる複数枚の内装パネルや外装パネル、天井パネル等の建築用パネルの一端部に沿って該下地材に取付け固定される。
【0003】
従来のパネル端部納め用部材としては、例えば、下記特許文献1には、住宅等の建築物の外壁下地前方に設けられる外壁パネルの、隣り合う外壁パネル間の目地部、出隅部、入隅部等の外壁パネルの接合部、または見切り部に設けられる外壁パネル用役物が提案されている。
上記外壁パネル用役物は、複数個の係止リブをもった係止片を係止リブ同士を対向させ立設して形成された係止凹部を有して、外壁パネル間の接合部、見切り部の裏面側に配設される金属材料製の取付ベースと、その係止凹部に挿入される、複数個の係止突起をもった被係止片を背面側に有して、上記取付ベースに係止されて上記外壁パネルの表面側に被着される合成樹脂材料製の化粧カバーとを備えてなる。
【0004】
上記構成とされた外壁パネル用役物は、上記取付ベースを下地材の目地部に相当する位置に固定し、次いで、隣り合う外壁パネルを、それぞれ取付ベースを挟むように下地材に固定し、さらに、上記取付ベースに上記化粧カバーを取付ける構成とされている。
上記構成とされた外壁パネル用役物によれば、上記取付ベース及び上記化粧カバーは、それぞれ複数個の係止リブ及び係止突起を有しているので、該化粧カバーの被係止片を、取付ベースの係止凹部に浅く挿入して仮嵌合させることができ、係止時の位置調節も容易に行える、と説明されている。
【特許文献1】特開2000−282673号公報(図1及び図2等参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された外壁パネル用役物では、上記複数個の係止リブと、該係止リブに係止する複数個の係止突起とによって、多段階的に係止させることは可能ではあるが、これらの係止度合いが十分でない場合には、上記取付ベースから上記化粧カバーが意図せず脱離する恐れがあった。
また、上記のように外壁パネルを施工する際に、例えば、取付ベースと化粧カバーとを、上記のように仮嵌合させた状態で、これら取付ベースと化粧カバーとにより側方に開口するように形成されたコ字状の空間に、パネルの端部を差し込んで施工することが考えられる。このような場合において、上記取付ベースの係止リブ、及び上記化粧カバーの係止突起は、それぞれ同形状のものが複数個、配置された構成とされているので、例えば、上記のように仮嵌合させる際に、この仮嵌合の状態、すなわち、上記取付ベースの係止凹部に対する上記化粧カバーの被係止片の挿入具合が直感的には分かり難く、深く挿入し過ぎてしまったりする恐れもあり、その場合には、該端部を差し込み難くなり、施工性の観点からも改善が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、下地材に固定される受け部材に係合保持されるカバー部材の保持性を向上し得るとともに、施工性を向上し得るパネル端部納め用部材、及びこれを用いた建築用パネルの端部納め構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係るパネル端部納め用部材は、下地材に取付けられる建築用パネルの一端部に沿って配設されるパネル端部納め用部材であって、前記下地材に対して立ち上がるように形成され、前記建築用パネルの一端部の端面に対面して配される立ち上がり壁部を有し、前記下地材に固定される受け部材と、前記一端部の端面近傍表面に対面して配される庇片部を有したカバー部材と、前記カバー部材及び前記受け部材の一方に設けられ、前記下地材に対して略垂直となる方向に向けて開口する係合凹部と、他方に設けられ、該係合凹部に嵌め入れられる係合凸部とを備え、前記係合凸部と前記係合凹部とは、該係合凹部への該係合凸部の嵌め入れ深さが深くなるほどに、これらの互いの係止度合いを段階的に強める係止手段によって段階的に係合する構造とされていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る前記パネル端部納め用部材においては、前記係止手段を、前記係合凸部の嵌め入れ方向に沿って複数箇所に設けられ、該係合凸部の外側面から外方に向けて突出した複数の係止突部と、前記係合凹部の内側面に形成され、該係止突部を係止する被係止部とを備えた構成とし、前記複数の係止突部を、前記係合凸部の先端側よりも基端側の係止突部の突出度合いが大きくなるよう形成するようにしてもよい。
本発明に係る前記いずれかのパネル端部納め用部材においては、前記受け部材の立ち上がり壁部を、隣接する建築用パネルの一端部間に介在される構成とし、前記カバー部材を、これら隣接する建築用パネルの一端部の対向する端面に、それぞれ対面して配置される基部を備えたものとし、該基部の一端部の幅方向両側に、前記庇片部をそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0009】
本発明に係る前記いずれかのパネル端部納め用部材においては、前記係合凸部と前記係合凹部とを、前記カバー部材が前記受け部材に対して着脱自在となるよう形成するようにしてもよい。
本発明に係る前記いずれかのパネル端部納め用部材においては、前記係合凹部を、前記受け部材の立ち上がり壁部に設け、前記係合凸部を、前記カバー部材に設け、前記立ち上がり壁部における前記建築用パネルの一端部の端面に対面される対面部の立ち上がり方向先端側部位に、段状の切欠を形成するようにしてもよい。
【0010】
また、前記目的を達成するために、本発明に係る建築用パネルの端部納め構造は、前記いずれかのパネル端部納め用部材を用いて前記建築用パネルの一端部を納める建築用パネルの端部納め構造であって、前記建築用パネルの一端部の端面には、前記下地材に固定された前記受け部材の立ち上がり壁部が対面して配されており、前記係合凹部に前記係合凸部を嵌め入れて、前記カバー部材の庇片部を、前記建築用パネルの一端部の端面近傍表面に対面させて配置する構造とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る前記パネル端部納め用部材は、下地材に固定される受け部材と、該受け部材に係合保持されるカバー部材とは、一方に設けられた係合凹部に、他方に設けられた係合凸部を嵌め入れることで、組み付けることができるので、施工性が良い。
また、これら係合凸部と係合凹部とは、該係合凹部への該係合凸部の嵌め入れ深さが深くなるほどに、これらの互いの係止度合いを段階的に強める係止手段によって段階的に係合する構造とされているので、嵌め入れ深さを深くすることで、上記受け部材に対する上記カバー部材の係合保持が強固になされ、意図しない脱離等を防止できる。
【0012】
さらに、上記係止手段によって、上記カバー部材の庇片部の受け部材に対する高さ(下地材に対して略垂直となる方向に沿う高さ)を多段階に設定でき、例えば、受け部材を下地材に固定した後、上記係合凸部の係合凹部への嵌め入れ深さを浅くして仮止め状態とし、その状態で建築用パネルの端部をカバー部材の庇片部の裏面側に差し込むことができる。これにより、建築用パネルを下地材に取付け施工する際に、該建築用パネルの端部を上記庇片部の裏面側に容易に差し込むことができるとともに、上記庇片部によって該建築用パネルの端部を仮保持でき、施工性を向上させることができる。また、上記のように仮止め状態で、建築用パネルの端部を上記庇片部の裏面側に差し込むことで、建築用パネルの端部が庇片部によって傷付けられるようなことも防止できる。
【0013】
さらにまた、上記のように、上記係合凸部と上記係合凹部とは、該係合凹部への該係合凸部の嵌め入れ深さが深くなるほどに、これらの互いの係止度合いを段階的に強める係止手段によって段階的に係合する構造とされているので、上記係合凹部への上記係合凸部の嵌め入れ深さを、手指等の感触によって直感的に認識することができ、容易に上記したような仮止め状態とできるので、例えば、上記嵌め入れ深さを深くし過ぎてしまったりするようなことを低減でき、効果的に施工性を向上させることができる。
【0014】
本発明に係る前記パネル端部納め用部材において、前記係止手段を、前記係合凸部の嵌め入れ方向に沿って複数箇所に設けられ、該係合凸部の外側面から外方に向けて突出した複数の係止突部と、前記係合凹部の内側面に形成され、該係止突部を係止する被係止部とを備えた構成とし、前記複数の係止突部を、前記係合凸部の先端側よりも基端側の係止突部の突出度合いが大きくなるよう形成するようにすれば、上記係合凸部に形成された複数の係止突部が、上記係合凹部の被係止部に段階的に係止される。
また、先端側よりも基端側の係止突部の突出度合いが大きく形成されているので、上記係合凹部への上記係合凸部の嵌め入れ深さを深くすることで、その基端側の係止突部が被係止部に強固に係止され、上記係合凸部と係合凹部との係止が強固になされる。これにより、上記受け部材に対する上記カバー部材の係合保持が強固になされ、意図しない脱離等を防止できる。
【0015】
本発明に係る前記パネル端部納め用部材において、前記受け部材の立ち上がり壁部を、隣接する建築用パネルの一端部間に介在される構成とし、前記カバー部材を、これら隣接する建築用パネルの一端部の対向する端面に、それぞれ対面して配置される基部を備えたものとし、該基部の一端部の幅方向両側に、前記庇片部をそれぞれ設けるようにすれば、これら受け部材及びカバー部材が、建築用パネルの端部間に介在される目地部材として機能する。
また、上記受け部材の立ち上がり壁部及び上記カバー部材の基部のそれぞれに、隣接する建築用パネルの各端部の端面を当接させることで、建築用パネルの位置決めと、目地幅の調整とを容易に行うことができる。
【0016】
本発明に係る前記パネル端部納め用部材において、前記係合凸部と前記係合凹部とを、前記カバー部材が前記受け部材に対して着脱自在となるよう形成するようにすれば、上記カバー部材を上記受け部材から容易に脱離させることができる。これにより、上記カバー部材を脱離させることで、その庇片部による建築用パネルの端部の規制の解除がなされるので、例えば、建築用パネルを下地材から脱離させる際に、容易に脱離させることができる。
また、上記同様、これら係合凸部と係合凹部とは、該係合凹部への該係合凸部の嵌め入れ深さが深くなるほどに、これらの互いの係止度合いを段階的に強める係止手段によって段階的に係合する構造とされているので、着脱自在に係合される構造ではあるが、深く嵌め入れることで、強固に係止がなされるので、意図しない脱離等を防止できる。
さらに、上記したように、仮止め状態とした際に、例えば、カバー部材の係止位置や建築用パネルの位置等が不適切な場合には、該カバー部材を容易に脱離させることができ、再度、カバー部材の係止位置を調整してカバー部材を上記受け部材に仮止めすることができるので、施工性を向上させることができる。
【0017】
本発明に係る前記パネル端部納め用部材において、前記係合凹部を、前記受け部材の立ち上がり壁部に設け、前記係合凸部を、前記カバー部材に設け、前記立ち上がり壁部における前記建築用パネルの一端部の端面に対面される対面部の立ち上がり方向先端側部位に、段状の切欠を形成するようにすれば、以下のような効果を奏する。
すなわち、上記受け部材の立ち上がり壁部の対面部の基端側部位に、上記建築用パネルの端部端面が当接されて施工される際に、上記段状の切欠が、上記カバー部材の係合凸部を上記係合凹部に嵌め入れる際における該立ち上がり壁部の建築用パネル端面方向への弾性変形を許容する逃げ凹所として機能する。これにより、該受け部材の係合凹部へのカバー部材の係合凸部の嵌め入れが、スムーズになされ、受け部材とカバー部材との組み付け性を阻害することがない。
【0018】
本発明に係る前記建築用パネルの端部納め構造によれば、上記いずれかのパネル端部納め用部材を用いて建築用パネルの一端部を納めるようにしているので、施工性を向上させることができるとともに、パネル端部納め用部材のカバー部材が意図せず脱離するようなことが無く、例えば、建築用パネルの一端部を、該カバー部材の上記庇片部によって保持することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1(a)、(b)は、いずれも第1実施形態に係るパネル端部納め用部材を模式的に示し、(a)は、概略分解断面図、(b)は、組み付けた状態を示す概略断面図である。
図2は、同パネル端部納め用部材を用いて、壁面に施工された建築用パネルの施工状態の一例を示す概略平面図、図3(a)、(b)は、いずれも同パネル端部納め用部材を用いた建築用パネルの端部納め構造の一例を示し、(a)は、図2におけるX−X線矢視概略断面図、(b)は、図2におけるY−Y線矢視概略断面図、図4及び図5は、いずれも同パネル端部納め用部材を用いた建築用パネルの施工手順の一例を説明するための説明図であり、それぞれ図3(b)に対応させた図である。
尚、以下の各実施形態では、パネル端部納め用部材等を壁面に対して取付けた例を示しており、それに応じて縦、横の方向を示しているが、天井面に対してパネル端部納め用部材等を取付けた場合には、その方向は限定されない。
また、図3〜図5においては、図1において付した符号のうち、一部の符号を省略している。
【0020】
本実施形態に係るパネル端部納め用部材1,1Aは、図2に示すように、下地材としての壁面材2に対して、縦横のそれぞれに複数枚の建築用パネル30,・・・を並列させて取付け施工された隣接する建築用パネル30の端部間に、該端部に沿ってそれぞれ配設される横目地部材1及び縦目地部材1Aとされている。
上記横目地部材1は、横方向に沿って並設された複数枚の建築用パネル30の上下端部間、すなわち、上下に隣接する建築用パネル30の端部間に配設された例を示しており、上記縦目地部材1Aは、左右に隣接する建築用パネル30の左右端部間に配設された例を示している。
【0021】
尚、これら横目地部材1及び縦目地部材1Aが取付け固定される下地材としては、図2に示すような壁面材2に限られず、図2に示す天井材3としてもよい。このように、壁面材2や天井材3を下地材とする場合には、例えば、壁クロスや壁紙等が貼着された壁仕上げ面や天井仕上げ面等を下地材として把握してもよく、或いは、壁クロスや壁紙等が貼着されている場合には、それらを剥離して、石膏ボードや合板捨張下地等の下地ボードを露出させてそれらを下地材として把握してもよい。または、新築時等においては、壁クロスや壁紙等が貼着される前の下地ボードを下地材として把握してもよい。若しくは、胴縁や受け桟、天井野縁等の下地桟等を下地材として把握してもよい。
また、内壁や天井に限らず、外壁(不図示)に本実施形態に係る横目地部材1及び縦目地部材1Aを施工するようにしてもよい。
【0022】
上記横目地部材1は、大略的に、図1(a)に示すように、釘やタッカー、ステイプル、木ねじ等の固定止具(不図示)によって壁面材2に固定される目地受け部材10と、該目地受け部材10に対して着脱自在とされ、該目地受け部材10に係合保持される横目地カバー部材20とを備えている。
上記目地受け部材10は、上記壁面材2に取付け固定される平板状に形成された第1固定片部11及び第2固定片部12と、これら固定片部11,12から立ち上がるように、壁面材2に対して垂直となる方向(建築用パネル30の厚さ方向)に沿って立設された立ち上がり壁部13と、該立ち上がり壁部13の立ち上がり方向先端部(手前側端部)から基端部側に向けて凹設され、壁面材2に対して略垂直となる方向に向けて開口する係合凹溝14とを備えている。
【0023】
上記第1固定片部11及び第2固定片部12は、上記立ち上がり壁部13の基端部から幅方向両側に向けて延設されており、一方は、比較的、幅広に形成された第1固定片部11とされ、他方は、比較的、幅狭に形成された第2固定片部12とされている。
これら第1固定片部11及び第2固定片部12のうちの少なくともいずれか一方に、上記したような固定止具が捻じ込まれ(或いは打ち込まれ)、目地受け部材10が壁面材2に対して取付け固定される。
【0024】
上記立ち上がり壁部13は、壁面材2に取付け施工される隣接された建築用パネル30,30の端部31,31の対向する各端面32,32に対面してそれぞれ配される対面部を幅方向両側に有している。これら各対面部は、基端側(壁面材2側)の基端側対面部13aよりも先端側の先端側対面部13bが幅方向中心側に位置するように形成されており、これにより、これら各対面部に段状の切欠を形成している。すなわち、該立ち上がり壁部13の基端側対面部13aに、建築用パネル30の端面32が当接して配され場合に、上記先端側対面部13bには、該端面32が当接せず、該端面32と先端側対面部13bとの間に、僅かな空間が形成されるよう、上記段状の切欠を形成している。この段状の切欠が、後記する横目地カバー部材20の係合突条23が上記係合凹溝14に嵌め入れられる際における立ち上がり壁部13の対面部の弾性変形を伴った幅方向両側(建築用パネル30の端面32方向)への変形を許容するための逃げ凹所として機能する。
【0025】
上記係合凹溝14は、当該目地受け部材10の長手方向の全長に亘って凹設されており、その開口縁近傍の両内側面には、該凹溝の幅を狭めるようにして突出された一対の凹部係止突条15,15が長手方向の全長に亘って形成されている。この係合凹溝14の凹部係止突条15が後記する係合突条23の第1係止突条24及び第2係止突条25とともに、該係合凹溝14への該係合突条23の嵌め入れ深さが深くなるほどに、これらの互いの係止度合いを段階的に強める係止手段として機能する。
尚、図1において、係合凹溝14の略中ほどの深さにおいて両内側面に形成された一対の凸部16,16は、後記する係合突条23が嵌め入れられた際に、その先端部の外側面に当接し、該係合突条23の幅方向への移動を規制するための規制凸部である。
【0026】
上記目地受け部材10は、本実施形態では、ポリプロピレンや、ABS、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、PPS等の合成樹脂材料から押出成形や射出成形、切削加工等によって一体的に成形され、長尺に形成されている。この目地受け部材10の長手方向に沿う長さは、各建築用パネル30の一端部(一側辺)の長さに合わせて、かつ、隣接して配置される他の目地受け部材10と互いに緩衝しないような長さとされている。
尚、目地受け部材10としては、上記のような合成樹脂製に限られず、アルミニウムやステンレス等の金属材料から押出成形やプレス成形あるいは切削加工等によって一体的に成形した金属製のものとしてもよい。
また、上記目地受け部材10の第1固定片部11及び第2固定片部12の厚さは、1.0mm程度〜3.0mm程度の薄板状とすることが好ましい。これにより、建築用パネル30を、例えば、より強固に取付け施工するために、壁面材2に対して接着剤で接着するような場合においても、接着剤の塗布量を低減できるとともに接着剤の塗布工程も簡易なものとなる。
【0027】
上記横目地カバー部材20は、断面形状が略I形状(略倒H形状)のカバー基部21と、該カバー基部21の手前側端部に設けられた庇片部22,22と、該カバー基部21の後方側端部(壁面材2側の端部)から壁面材2側に向けて突設された係合突条23とを備えている。
この横目地カバー部材20は、本実施形態では、アルミニウムやステンレス等の金属材料から押出成形やプレス成形あるいは切削加工等によって一体的に成形され、上記目地受け部材10と同様、長尺に形成されている。この横目地カバー部材20の長手方向の長さは、図2に示すように、横方向に沿って並設されるとともに、隣接する左右端部間に縦目地部材1A,1Aを介在させた複数枚からなる建築用パネル30の一端部に沿って、その全長に亘って配設される長さとされている。
尚、横目地カバー部材20としては、上記のような金属製に限られず、上記したような合成樹脂製としてもよい。
【0028】
上記カバー基部21は、上記目地受け部材10の立ち上がり壁部13の基端側対面部13a,13aの幅と略同幅とされており、該カバー基部21の両側面に、隣接する建築用パネル30の各端面32,32が対面して配置される。
上記庇片部22,22は、上記カバー基部21の手前側端部の幅方向両側から幅方向外方(建築用パネルが配される側)に向けてそれぞれ突設されており、これら庇片部22,22の裏面が、隣接する建築用パネル30の各端部31,31の端面近傍表面33,33に対面して配される。
この庇片部22,22のカバー基部21の手前側端部からの幅方向外方への突出幅は、後記するように建築用パネル30を壁面材2に対して取付け施工する際に、その端部31を仮保持し、保持し得る程度の突出幅とすることが好ましい。
【0029】
上記係合突条23は、当該横目地カバー部材20の長手方向の全長に亘って形成されている。
また、この係合突条23の両外側面には、該係合突条23の嵌め入れ方向に沿って複数箇所に、複数の係止突条(図例では、一対の第1係止突条24と一対の第2係止突条25とからなる2組の係止突条)が長手方向の全長に亘って設けられている。これら第1係止突条24及び第2係止突条25は、係合突条23の外側面からそれぞれ外方に向けて突出して形成されるとともに、該係合突条23の先端側(壁面材2側)よりも基端側(カバー基部21側)のものの突出度合いが大きくなるよう形成されている。
すなわち、基端側に位置する上記第1係止突条24の幅方向外方への突出高さが、先端側に位置する上記第2係止突条25の幅方向外方への突出高さよりも大きくなるよう形成されている。
【0030】
上記構成とされた横目地部材1は、壁面材2に対して取付け固定された上記目地受け部材10の係合凹溝14に、上記横目地カバー部材20の係合突条23を嵌め入れることで、該目地受け部材10に対して上記横目地カバー部材20が係合保持される。
上記横目地カバー部材20が目地受け部材10に係合保持された状態では、図1(b)に示すように、目地受け部材10の各固定片部11,12と、該目地受け部材の立ち上がり壁部13の両側壁及び上記横目地カバー部材20のカバー基部21の両側壁と、該カバー基部21の各庇片部22,22とによって、幅方向外方に向けて開口する略コ字状の空間が形成される。このコ字状の開放空間に、隣接する建築用パネル30,30の各端部31,31が嵌め込まれて、収容される構造とされている。
上記立ち上がり壁部13の各固定片部11,12から上記カバー基部21の各庇片部22,22までの高さ(壁面材2に対して略垂直となる方向に沿う高さ)は、図1(b)に示す後記する本係合状態において、建築用パネル30の厚さに応じて、上記各庇片部22,22の裏面に、隣接する建築用パネル30,30の各端面近傍表面33,33が近接或いは当接して配置されるよう、適宜、設定されている。
【0031】
また、本実施形態では、上記横目地カバー部材20は、上記係止手段によって、上記目地受け部材10に対して段階的に係合保持される。
すなわち、図1(a)の二点鎖線に示すように、上記目地受け部材10の係合凹溝14に対する上記横目地カバー部材20の係合突条23の嵌め入れ深さを浅くして、上記係合突条23の先端側に設けられた第2係止突条25を、上記係合凹溝14の凹部係止突条15に係止させた状態では、該横目地カバー部材20は、上記目地受け部材10に対して仮止め状態とされる。
この仮止め状態から、上記目地受け部材10の係合凹溝14に対する上記横目地カバー部材20の係合突条23の嵌め入れ深さをさらに深くして、上記係合突条23の基端側に設けられた第1係止突条24を、上記係合凹溝14の凹部係止突条15に係止させた状態では、該横目地カバー部材20は、上記目地受け部材10に対して本係合状態とされる。
上記のように、上記目地受け部材10に対して仮止め状態及び本係合状態とされる横目地カバー部材20は、その庇片部22,22の目地受け部材10に対する高さが、段階的に設定可能となる。
すなわち、上記目地受け部材10の各固定片部11,12から、上記横目地カバー部材20の庇片部22,22の裏面までの高さが、上記仮止め状態と上記本係合状態とで異なる。
【0032】
また、上記仮止め状態では、上記横目地カバー部材20の係合突条23の先端側に形成された上記第2係止突条25は、外方への突出度合いが上記第1係止突条24よりも小さく設定されており、該係合突条23と上記係合凹溝14との係止度合いが比較的、弱い状態となる。
一方、上記本係合状態では、上記横目地カバー部材20の係合突条23の基端側に形成された上記第1係止突条24は、外方への突出度合いが上記第2係止突条25よりも大きく設定されており、該係合突条23と上記係合凹溝14との係止度合いが比較的、強い状態となる。
すなわち、本実施形態では、上記係合突条23と、上記係合凹溝14とは、上記係止手段を構成する係合凹溝14の凹部係止突条15並びに係合突条23の第1係止突条24及び第2係止突条25によって、該係合凹溝14への該係合突条23の嵌め入れ深さが深くなるほどに、これらの互いの係止度合いが段階的に強められるとともに、段階的に係合する構造とされている。
尚、上記係止度合いの強さは、上記係合凹溝14に嵌め入れられた上記係合突条23を脱離させる際に必要とする引張り力に比例する。すなわち、上記仮止め状態では、比較的、脱離させやすく、上記本係合状態では、比較的、脱離させ難いこととなる。
【0033】
上記縦目地部材1Aは、図3(b)に示すように、上記同様の目地受け部材10と、該目地受け部材10に対して着脱自在とされ、該目地受け部材10に係合保持される縦目地カバー部材20Aとを備えている。
上記縦目地カバー部材20Aは、大略的には、上記横目地カバー部材20と略同様の構成であり、断面形状が略矩形状のカバー基部21Aと、該カバー基部21Aの手前側端部に設けられた庇片部22A,22Aと、該カバー基部21Aの後方側端部に突設された係合突条23とを備えている。これらカバー基部21A、庇片部22A,22A及び係合突条23の機能は上記横目地カバー部材20の各部と略同様であるので、説明は省略する。
【0034】
上記構成とされた本実施形態に係る横目地部材1及び縦目地部材1Aによれば、各目地カバー部材20,20Aを金属製のものとすることで、各目地部材1,1Aの表面側に露出する部位の高級感(素材感)を高めることができ、美観性に優れたものとなる。
また、本実施形態では、該各目地カバー部材20,20Aを金属製のものとし、上記各目地受け部材10,10を合成樹脂製のものとしているので、これらを係合させる際、すなわち、上記係合突条23を係合凹溝14に嵌め入れる際に、スムーズに嵌め入れることができ、施工時にスムーズに組み付けることができる。
さらに、上記各目地カバー部材20,20Aは、上記各目地受け部材10,10に対して着脱自在に係合保持される構造とされているので、例えば、各目地カバー部材20,20Aを模様替え等のために交換したり、或いは、廃棄等したりする際に、容易に脱離させることができる。
【0035】
さらにまた、上記各目地カバー部材20,20Aの各係合突条23,23と、各目地受け部材10,10の各係合凹溝14,14とは、上記のように、係合凹溝14への該係合突条23の嵌め入れ深さが深くなるほどに、これらの互いの係止度合いを段階的に強める上記した係止手段によって段階的に係合する構造とされているので、嵌め入れ深さを深くすることで、上記各目地受け部材10,10に対する上記各目地カバー部材20,20Aの係合保持が強固になされ、意図しない脱離等を防止できる。
また、上記各目地カバー部材20,20Aは、上記各目地受け部材10,10に対して段階的に係合保持される構造とされているので、後記するように建築用パネル30を壁面材2に対して取付け施工する際に、その施工性を向上させることができる。
【0036】
次に、本実施形態に係る各目地部材1,1Aを用いて壁面材2に取付け施工された建築用パネル30の施工状態及び該建築用パネル30の端部納め構造の一例、並びに上記各目地部材1,1Aを用いた建築用パネル30の施工手順の一例について、図2〜図5に基づいて説明する。
本例では、図2に示すように、複数枚(図例では12枚)の建築用パネル30を縦横にそれぞれ並列配置して、壁面材2に対して部分的に取付け施工した例を示している。
また、これら建築用パネル30のそれぞれ隣接する端部間に、上記横目地部材1と、上記縦目地部材1Aとが配設されており、これら横目地部材1と縦目地部材1Aとによって格子状に目地を形成するようにしている。
また、縦横にそれぞれ並列配置された複数枚からなる建築用パネル30の集合体の最外周端部には、その四周に見切り縁材4がそれぞれ配設されている。
また、これら見切り縁材4の長手方向の各端部が近接された各コーナー部には、コーナーキャップ5が該コーナー部を覆うように、それぞれ取付けられている。
【0037】
上記建築用パネル30のそれぞれは、矩形状の板状体からなり、例えば、木質系材料や上記同様の合成樹脂系材料、窯業系材料、上記同様の金属系材料等から形成されたものとしてもよい。
上記木質系材料としては、無垢の木材を板状に加工したものや、集成材や合板、LVL(単板積層材)、パーティクルボード、或いは、インシュレーションボードやMDF(Medium Density Fiberboard、中質繊維板、中密度繊維板とも言う)等の木質繊維板、或いはこれらを積層し組み合わせた複合材料などを板状に加工したもの、若しくは、これらを基材として、突き板や合成樹脂シート等の表面化粧シート材を更に貼着したものや、該基材の表面に化粧塗装を施したものが挙げられる。
上記窯業系材料としては、レンガ、瓦、セラミックスや、セメントを主成分として補強繊維や無機質充填材を含有したセメント系の窯業系材料等が挙げられる。
上記合成樹脂系材料、窯業系材料及び金属系材料は、それぞれ、上記木質系材料と同様、これらを基材として、更に突き板や樹脂シート等の化粧シート材を更に貼着したものや、該基材の表面に化粧塗装を施したものとしてもよい。
【0038】
また、上記建築用パネル30としては、種々の機能性が付与された機能性パネルとしてもよい。機能性パネルとしては、例えば、調湿パネルや吸音パネル、防音パネル、防汚パネル、抗菌パネル等が挙げられる。
あるいは照明装置を内蔵した照明パネルや、棚板を手前側に向けてパネルに突設した棚板パネル、前面開口箱形状の収納箱をパネルに付設した収納パネルとしてもよい。これら照明装置や棚板、収納箱は、パネルに対して着脱可能に設けるようにしてもよい。あるいは、棚板や収納箱をパネルと一体成形するようにしてもよい。
【0039】
上記のように、建築用パネル30を内装用の機能性パネルとした場合には、施工箇所や施工範囲(施工枚数)を適宜、選択・変更することで、例えば、調湿パネルを施工する場合には、室内の調湿機能が適切となるように調整できたり、吸音パネルを施工する場合には、室内の音響効果が適切となるように調整できたりする。
また、上記した種々の建築用パネル30自体を下地材(壁面材2や天井材3等)に対して着脱可能とする構成としてもよい。すなわち、接着剤等で接着せずに、下地材側、及び建築用パネル30の裏面側にそれぞれ係合部を設けて、容易に着脱できるようにしてもよい。これら複数枚の建築用パネル30の端部31は、後記するように、その端面近傍表面33に、上記各目地部材1,1Aの上記各庇片部22,22Aが近接或いは当接配置されて保持されているが、各目地部材1,1Aの各目地カバー部材20,20Aを、上記目地受け部材10,10から脱離させることで、上記各庇片部22,22Aによる規制が解除されて、建築用パネル30を容易に交換することができる。
【0040】
尚、建築用パネル30の形状は、図例のような略正方形状に限らず、長方形状のものとしてもよい。
また、建築用パネル30の大きさは、施工箇所等に応じて適宜、設定可能であり、一辺が100mm〜500mm程度の比較的小モジュールのもの、一辺が500mm〜900mm程度の中モジュールのもの、あるいは、一辺が900mm〜1800mm程度の比較的大モジュールのものとしてもよい。
【0041】
上記見切り縁材4は、上記各目地部材1,1Aと同様、壁面材2に固定される固定片部や最外周端部に位置する建築用パネル30の外方側端面32に対面して配される立ち上がり壁部等を有した見切り受け部材と、該立ち上がり壁部に着脱自在に係合保持される見切りカバー部材とを備えている。
この見切りカバー部材の手前側端部には、幅方向内方側(建築用パネル30の配される側)に向けて突出された当接片部が設けられており、該当接片部が上記横目地カバー部材20の長手方向の両端部に当接して、該両端部の保持がなされている。
また、図示していないが、この見切りカバー部材の長手方向両端部は、固定金具等によって壁面材2に対して固定されている。
【0042】
上記コーナーキャップ5は、例えば、前板部と、該前板部の外側二辺からそれぞれ後方側(壁面材2側)に向けて垂設された側板部とから構成されており、上記見切りカバー部材の外方側側面に接着等されて、縦方向及び横方向に沿って配設された見切りカバー部材の上記コーナー部をカバーしている。尚、該コーナーキャップ5は、接着剤等で接着せずに、例えば、上記固定金具或いは見切りカバー部材等に係合部を設けるとともに、該係合部に対応させた係合部をコーナーキャップ5の内方側に設けて、着脱自在に上記コーナー部に取付け固定される構成としてもよい。
【0043】
上記各部材を用いて、建築用パネル30を壁面材2に対して取付け施工する際には、例えば、図2に示すように、上記建築用パネル30の集合体の四周の端部に沿ってそれぞれ配設される上記見切り縁材4のうちの床側端部及び左側端部に沿って配設される見切り縁材4の各見切り受け部材を、壁面材2に固定する。次いで、例えば、最床側かつ最左方側に取付け施工する建築用パネル30から順に、右方に向けて横方向に並設し、また、同様に、天井側に向けて、順次、複数枚の建築用パネル30を取付け施工する。
【0044】
上記のように左方から右方、床側から天井側に向けて順次、建築用パネル30を取付け施工する態様について、図4及び図5に基づいて説明する。
尚、図4及び図5では、図2に示す床側から二段目までは、各建築用パネル30が取付け施工された状態を示しており、これら図4及び図5に基づいて、三段目の建築用パネル30を順次、取付け施工する例について説明する。
また、図4及び図5は、図2に示すY−Y線矢視、すなわち、上方から下方を見た図であるので、以下の説明では、左右の方向を図4及び図5の図示とは逆に説明している。
【0045】
まず、図4(a)に示すように、左方側の側部及び下段にそれぞれ取付け施工された上記見切り縁材4(図2参照)の見切り受け部材の立ち上がり壁部、並びに上記横目地部材1の立ち上がり壁部13及びカバー基部21に、三段目の左方側に取付け施工する建築用パネル30の左端部及び下端部の端面をそれぞれ当接させて、これらに仮保持させる。この際、下段に取付け施工された上記横目地部材1の横目地カバー部材20は、上記仮止め状態とされており、該建築用パネル30の下端部を、該横目地カバー部材20の庇片部22の裏面側空間に、容易に差し込むことができる。また、該建築用パネル30の下端部が、該庇片部22によって仮保持された状態となる。
【0046】
上記した状態で、上記建築用パネル30の右端部31の端面32に、縦目地部材1Aの目地受け部材10の立ち上がり壁部13の対面部を当接させ、該目地受け部材10を壁面材2に取付け固定する。この際、目地受け部材10の第1固定片部11に対して木ねじ等の固定止具を捻じ込んで(釘等の場合は打ち込んで)、壁面材2に目地受け部材10を固着させる。上記目地受け部材10は、上記したように合成樹脂製であるとともに、各固定片部11,12は、比較的、薄板状とされているので、上記のような固定止具を、所望する位置の適所に止着させることができ、施工性が良い。
次いで、壁面材2に固着された上記目地受け部材10の係合凹溝14に、縦目地カバー部材20Aの係合突条23を嵌め入れ、上記仮止め状態とする。この状態では、上記建築用パネル30の右端部が該縦目地カバー部材20Aの庇片部22Aによって仮保持された状態となる。
【0047】
次いで、図4(b)に示すように、上記三段目の中央の建築用パネル30の下端部及び左端部31を、上記のようにそれぞれ仮止め状態とされた、横目地部材1の庇片部22及び縦目地部材1Aの庇片部22Aの裏面側空間に差し込んで、該中央の建築用パネル30を仮保持させる。
次いで、図4(c)に示すように、上記中央の建築用パネル30の右端部31の端面32に、上記同様にして、縦目地部材1Aの目地受け部材10の立ち上がり壁部13の対面部を当接させ、該目地受け部材10を壁面材2に取付け固定する。
さらに、図5(a)に示すように、上記目地受け部材10に、縦目地カバー部材20Aを上記同様、仮止め状態で係合保持させる。この状態では、上記中央の建築用パネル30の下端部は、上記横目地部材1によって仮保持された状態となり、その左右両端部は、左右に配設された各縦目地部材1A,1Aによって仮保持された状態となる。
【0048】
次いで、図5(b)に示すように、上記三段目の左方側に取付け施工する建築用パネル30の下端部及び左端部31を、上記同様にして、横目地部材1の庇片部22及び縦目地部材1Aの庇片部22Aの裏面側空間に差し込んで、仮保持させる。この状態では、三段目の三枚の各建築用パネル30が上記各部材によって仮保持された状態となる。
この状態で、図5(b)に示す白抜き矢印方向、すなわち、手前側から壁面材2側に向けて、上記横目地カバー部材20及び上記各縦目地カバー部材20A,20Aを押し込む。
これにより、図5(c)に示すように、上記横目地カバー部材20及び上記各縦目地カバー部材20A,20Aは、各目地受け部材10,10,10に対して、上記本係合状態とされる。また、この際、これらに仮保持されていた、上記各建築用パネル30が壁面材2に対して近接する方向へ押し付けられ、各建築用パネル30の上記各端部が、各目地受け部材10と横目地カバー部材20及び各縦目地カバー部材20Aとによって形成される上記コ字状空間に収容されて保持される。
【0049】
次いで、上記同様にして、四段目の建築用パネル30を壁面材2に対して取付け施工し、さらに、上記建築用パネル30の集合体の四周の端部に沿ってそれぞれ配設される見切り縁材4のうちの天井側端部及び右側端部に沿って配設される見切り縁材4の上記各見切り受け部材を、壁面材2に固定する(図2参照)。この状態では、複数枚からなる建築用パネル30の四周の端部に沿って、各見切り縁材4の見切り受け部材が固着された状態となり、これら各見切り受け部材に対して上記見切りカバー部材を係合保持させる。さらに、この見切りカバー部材を上記したような固定金具で壁面材2に対して固定し、また、そのコーナー部を覆うように、上記コーナーキャップ5を取付ける。
以上のようにして、各部材を壁面財2に対して取付け施工して、図2に示すように、複数枚の建築用パネル30が壁面材2に取付け施工される。
尚、上記施工手順は、一例に過ぎず、各部材の機能を阻害しない限りにおいて、別手順でなされるようにしてもよい。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る横目地部材1及び縦目地部材1Aを用いた建築用パネルの端部納め構造によれば、壁面材2に固定された各目地受け部材10と、これに仮止め状態で係合保持された横目地カバー部材20及び縦目地カバー部材20Aとによって、施工時に建築用パネル30を仮保持でき、施工性を向上させることができる。このような効果は、例えば、建築用パネル30を天井材3に対して取付け施工する際に、特に顕著であり、施工作業を格段に向上させることができる。
また、上記のように仮止め状態で、建築用パネル30の各端部31を上記各庇片部22,22Aの裏面側空間に差し込むようにしているので、これら建築用パネル30の各端部31が各庇片部22,22Aによって傷付けられるようなことも防止できる。
【0051】
さらに、上記のように、上記各目地カバー部材20,20Aの各係合突条23,23と、各目地受け部材10,10の各係合凹溝14,14とは、上記のように、係合凹溝14への該係合突条23の嵌め入れ深さが深くなるほどに、これらの互いの係止度合いを段階的に強める上記した係止手段によって段階的に係合する構造とされている。従って、上記各係合凹溝14,14への上記各係合突条23,23の嵌め入れ深さを、手指等の感触によって直感的に認識することができ、容易に上記したような仮止め状態とできる。これにより、例えば、上記嵌め入れ深さを深くし過ぎてしまったりするようなことを低減でき、効果的に施工性を向上させることができる。
【0052】
さらにまた、上記各目地カバー部材20,20Aの上記各カバー基部21,21Aは、その両側端面に、建築用パネル30の対向する端面32,32が近接或いは当接されて配置される構造とされている。従って、これら各カバー基部21,21Aと、上記各目地受け部材10の立ち上がり壁部13の基端側対面部13aとによって、建築用パネル30の位置決め、及び目地幅の調整を容易かつ確実に行うことができる。
また、本実施形態では、上記各目地受け部材10の立ち上がり壁部13における上記建築用パネル30の端部31の対向する各端面32に対面される両対面部の各先端側部位に、上記のように段状の切欠を形成している。従って、目地受け部材10の立ち上がり壁部13の上記基端側対面部13aに、上記建築用パネル30の端部端面32を当接させて施工した際に、上記段状の切欠が、上記各目地カバー部材20,20Aの係合突条23を上記係合凹溝14に嵌め入れる際における該立ち上がり壁部13の建築用パネル端面方向への弾性変形を許容する逃げ凹所として機能する。これにより、該目地受け部材10の係合凹溝14への各目地カバー部材20,20Aの係合突条23の嵌め入れが、スムーズになされ、目地受け部材10と各目地カバー部材20,20Aとの組み付け性を阻害することがない。
【0053】
さらに、本実施形態では、複数枚の建築用パネル30を、縦横に並列して配置し、上下に隣接した端部間に、上記横目地部材1を介在させ、その庇片部22,22によって、各建築用パネル30の上下端部の表面を保持する構造とするとともに、該横目地部材1の長手方向の両端部は、上記見切り縁材4の当接片部によって上記のように保持されているので、各建築用パネル30の保持が強固になされる。
尚、上記建築用パネルの端部納め構造では、上記各目地部材1,1Aを、壁面材2に対して部分的に施工された複数枚の建築用パネル30のそれぞれ隣接する建築用パネル30の端部間に介在させて、これら各目地部材1,1Aによって縦横に格子状の目地を形成するようにした例を示しているが、例えば、縦、横のうち一方向に沿って長尺とされた一枚の建築用パネルを、他方向に沿って複数枚、取付け施工するような態様において、それらの端部間に、上記いずれかの目地部材1,1Aを取付け施工するような態様としてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、各目地カバー部材が各目地受け部材に対して着脱自在に係合保持される構造とした例を示しているが、着脱不能あるいは容易に着脱できない構造としてもよい。
さらに、上記各目地受け部材の係合凹溝及び該係合凹溝に嵌め入れられる上記各目地カバー部材の係合突条の形状は、図例のような凹溝状及び突条とされたものに限られず、例えば、上記各目地受け部材及び上記各目地カバー部材の一方の適所に形成した凹部と、他方に形成され、該凹部に嵌め入れられる凸部とされたものとしてもよい。
さらにまた、本実施形態では、上記各目地受け部材の立ち上がり壁部の上記両対面部に、段状の切欠を形成した態様を例示しているが、これら対面部をそれぞれ略平らな面としてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、上記係合凹溝14への上記係合突条23の嵌め入れ深さが深くなるほどに、これらの互いの係止度合いを段階的に強める係止手段として、該係合突条23の外側面に形成された一組の係止突条24,25と、該係合凹溝14の内側面に形成された一対の凹部係止突条15とによって構成した例を示しているが、これに限られない。
このような係止手段としては、上記係合凹溝14と、上記係合突条23とを、これらの互いの係止度合いを嵌め入れ深さが深くなるほどに段階的に強め得る構成とすればよい。例えば、係合突条23及び係合凹溝14のうちの少なくともいずれか一方に、嵌め入れ方向に沿って複数箇所に設けた、係止突条或いは係止凹条と、これらに係止する他方に設けられた被係止部(係止突条或いは係止凹条等)とによって構成するようにし、これらの係止度合いが嵌め入れ深さが深くなるほどに強くなるような形状とすればよい。
【0056】
また、本実施形態では、パネル端部納め用部材として、目地部材を例示しているが、例えば、建築用パネルの集合体の最外周端部に沿って配設される見切り縁材としてもよい。このように本発明に係るパネル端部納め用部材を、見切り縁材に適用した場合には、上記庇片部を、見切り受け部材の立ち上がり壁部の立ち上がり方向先端部から幅方向かつ建築用パネル30が配される側に向けて突出させて形成すればよい。また、それに合わせて見切りカバー部材を形成するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】(a)、(b)は、いずれも本発明に係るパネル端部納め用部材の一実施形態を模式的に示し、(a)は、概略分解断面図、(b)は、組み付けた状態を示す概略断面図である。
【図2】同パネル端部納め用部材を用いて、壁面に施工された建築用パネルの施工状態の一例を示す概略平面図である。
【図3】(a)、(b)は、いずれも同パネル端部納め用部材を用いた建築用パネルの端部納め構造の一例を示し、(a)は、図2におけるX−X線矢視概略断面図、(b)は、図2におけるY−Y線矢視概略断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、いずれも同パネル端部納め用部材を用いた建築用パネルの施工手順の一例を模式的に示し、それぞれ図3(b)に対応させた図である。
【図5】(a)〜(c)は、いずれも同パネル端部納め用部材を用いた建築用パネルの施工手順の一例を模式的に示し、それぞれ図3(b)に対応させた図である。
【符号の説明】
【0058】
1 横目地部材(パネル端部納め用部材)
1A 縦目地部材(パネル端部納め用部材)
2 壁面材(下地材)
3 天井材(下地材)
10 目地受け部材(受け部材)
13 立ち上がり壁部
13a 基端側対面部(対面部)
13b 先端側対面部(対面部)
14 係合凹溝(係合凹部)
15 凹部係止突条(被係止部、係止手段)
20 横目地カバー部材(カバー部材)
20A 縦目地カバー部材(カバー部材)
21,21A カバー基部(カバー部材の基部)
22,22A 庇片部
23 係合突条(係合凸部)
24 第1係止突条(係止突部、係止手段)
25 第2係止突条(係止突部、係止手段)
30 建築用パネル
31 建築用パネルの端部
32 建築用パネルの端部の端面
33 建築用パネルの端面近傍表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地材に取付けられる建築用パネルの一端部に沿って配設されるパネル端部納め用部材であって、
前記下地材に対して立ち上がるように形成され、前記建築用パネルの一端部の端面に対面して配される立ち上がり壁部を有し、前記下地材に固定される受け部材と、前記一端部の端面近傍表面に対面して配される庇片部を有したカバー部材と、前記カバー部材及び前記受け部材の一方に設けられ、前記下地材に対して略垂直となる方向に向けて開口する係合凹部と、他方に設けられ、該係合凹部に嵌め入れられる係合凸部とを備え、
前記係合凸部と前記係合凹部とは、該係合凹部への該係合凸部の嵌め入れ深さが深くなるほどに、これらの互いの係止度合いを段階的に強める係止手段によって段階的に係合する構造とされていることを特徴とするパネル端部納め用部材。
【請求項2】
請求項1において、
前記係止手段は、前記係合凸部の嵌め入れ方向に沿って複数箇所に設けられ、該係合凸部の外側面から外方に向けて突出した複数の係止突部と、前記係合凹部の内側面に形成され、該係止突部を係止する被係止部とを備え、
前記複数の係止突部は、前記係合凸部の先端側よりも基端側の係止突部の突出度合いが大きくなるよう形成されていることを特徴とするパネル端部納め用部材。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記受け部材の立ち上がり壁部は、隣接する建築用パネルの一端部間に介在される構成とされ、
前記カバー部材は、これら隣接する建築用パネルの一端部の対向する端面に、それぞれ対面して配置される基部を備え、該基部の一端部の幅方向両側には、前記庇片部がそれぞれ設けられていることを特徴とするパネル端部納め用部材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記係合凸部と前記係合凹部とは、前記カバー部材が前記受け部材に対して着脱自在となるよう形成されていることを特徴とするパネル端部納め用部材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記係合凹部は、前記受け部材の立ち上がり壁部に設けられ、前記係合凸部は、前記カバー部材に設けられており、
前記立ち上がり壁部における前記建築用パネルの一端部の端面に対面される対面部の立ち上がり方向先端側部位には、段状の切欠が形成されていることを特徴とするパネル端部納め用部材。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載されたパネル端部納め用部材を用いて前記建築用パネルの一端部を納める建築用パネルの端部納め構造であって、
前記建築用パネルの一端部の端面には、前記下地材に固定された前記受け部材の立ち上がり壁部が対面して配されており、
前記係合凹部に前記係合凸部を嵌め入れて、前記カバー部材の庇片部を、前記建築用パネルの一端部の端面近傍表面に対面させて配置する構造とされていることを特徴とする建築用パネルの端部納め構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−126873(P2010−126873A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298934(P2008−298934)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】