説明

パネル表示テレビジョン

【課題】大量の水が付着してもプリント基板の電解コンデンサがショートしないパネル表示テレビジョンを提供する。
【解決手段】リード間に長穴44a,44bを形成するため、リード間を繋げるような水膜が形成されることが防止できる。従って、リード間にてスパークが発生することが防止できる。さらに、電解コンデンサが実装される周辺の領域に被覆パターンを形成しておくことにより、電解コンデンサの本体部の底面が略密着する部位の撥水性を向上させることができる。従って、電解コンデンサの周囲に付着した水をはじいて下方に流下させることができる。すなわち、長穴44a,44bと被覆パターンの双方の効果により、大量の水が電解コンデンサ付近に付着しても、リード間がショートすることが防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル表示テレビジョンに関し、特に電源回路用の電解コンデンサが、その底面が略密着するように実装されるプリント基板を備えるパネル表示テレビジョンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプリント基板において、チップコンデンサの電極間に放電防止用のスリットを設けるものが知られている(例えば、特許文献1、参照。)。
かかる構成によれば、半田や水分を含むフラックスがチップコンデンサの電極間に残留し、絶縁破壊による放電を防止することが可能であった。
【特許文献1】特開平11−102797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、家庭で使用されるパネル表示テレビジョンにおいては、大量の水が筐体に進入し、プリント基板上にこぼれることがある。そして、大量の水がプリント基板に付着した場合には、放電防止用のスリットだけでは水を除去しきれないという課題があった。すなわち、チップコンデンサの電極間に形成できるような小さい放電防止用のスリットだけでは、放電防止効果が十分に得られないという課題があった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、大量の水が付着してもプリント基板の電解コンデンサがショートしないパネル表示テレビジョンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項2にかかる発明では、電源回路用の電解コンデンサが、その底面が略密着するように実装されるプリント基板を備えるパネル表示テレビジョンにおいて、上記プリント基板において少なくとも上記電界コンデンサのリード間から同電解コンデンサの底面の略密着する領域の外側にかけて形成された長穴と、少なくとも上記プリント基板において上記電界コンデンサが略密着する領域に印刷された絶縁性の被覆パターンとを具備する構成としてある。
【0005】
上記のように構成した請求項2の発明において、プリント基板には電源回路用の電解コンデンサが実装され、同電解コンデンサの底面が同プリント基板に略密着する。上記プリント基板において長穴が形成され、同長穴は少なくとも上記電界コンデンサのリード間から同電解コンデンサの底面の略密着する領域の外側にかけて形成される。一方、少なくとも上記プリント基板において上記電界コンデンサが略密着する領域に印刷をおこなうことにより、同領域に絶縁性の被覆パターンが形成される。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように請求項1および請求項2の発明によれば、大量の水が付着してもプリント基板の電解コンデンサがショートしないパネル表示テレビジョンを提供することができる。
請求項3の発明によれば、水の自重を利用して電解コンデンサの周囲から水を除去することができる。
請求項4の発明によれば、水を電解コンデンサが密着する領域から外側に排出することができる。
【0007】
請求項5の発明によれば、長穴の形成個数を削減することができる。
請求項6の発明によれば、長穴の形状を簡素化することができる。
請求項7の発明によれば、長穴に水が溜まりにくくすることができる。
請求項8の発明によれば、電源回路を水から保護することができる。
請求項9の発明によれば、水を電解コンデンサが密着する領域から排出できる水量を増大させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施形態について説明する。
(1)第一の実施形態:
(2)第二の実施形態:
(3)第三の実施形態:
【0009】
(1)第一の実施形態:
以下、本考案の一実施形態にかかるパネル表示テレビジョンとしての液晶テレビジョンについて説明する。図1は、液晶テレビジョン10を斜めから見て示している。同図に示すように、液晶テレビジョン10は、フロントキャビネット10とリアキャビネット30とが形成するテレビジョンキャビネットの内部に、前方から後方に向けて液晶パネル20、プリント基板40の順にこれらを収容することにより構成される。プリント基板40は液晶パネル20の背面において同液晶パネル20に平行となるように取り付けられる。フロントキャビネット10は、略中央に開口16を形成したフロント面11と、フロント面11の上下左右の各辺から略後方に延出する側面とによって構成される。
【0010】
液晶パネル20は、概略、パネル部とバックライト部とからなる。パネル部は、偏光板、ガラス基板、液晶、導光板、反射板等の部材を状層に重ねて構成したものであり、バックライト部は、導光板の上下各側縁付近に配設された蛍光管によって構成される。フロント面11は、液晶パネル20を前方から覆うとともに、開口16によって液晶パネル20の表示面を外部に露出させる。リアキャビネット30は、フロントキャビネット10の後端と接続して、液晶パネル20およびプリント基板40を後方から覆う。また、図示しない脚部が備えられ、液晶パネル20の表示面が略鉛直に正立するように液晶テレビジョン10が支持される。リアキャビネット30の上面にはスリット31が設けられており、内部の熱を外部に放出することが可能となっている。なお、以下の説明において特別に示さない限り、液晶テレビジョン10の正立時における方向を基準として説明を行うものとする。
【0011】
図2は、液晶テレビジョン10の内部に備えられるプリント基板を部品の実装面から見て示している。なお、同図は実装前の状態を示している。プリント基板40は片面基板であり、部品の実装面の裏側のみ配線パターンが形成される。プリント基板40は液晶テレビジョン10の内部において液晶パネル20の表示面とほぼ平行になるように備えられるため、液晶テレビジョン10の正立時においてプリント基板40は、ほぼ鉛直に立てられることとなる。なお、液晶テレビジョン10が正立したときには同図に示す方向でプリント基板40が立てられることとなる。本実施形態において、プリント基板40は、液晶パネル20に出力するための映像データを生成する映像処理回路や、液晶パネル20のバックライトに供給する電源を生成するインバータ回路や、商用電源から液晶パネル20に出力可能な直流電源を生成する電源回路41が複合的に備えられている。
【0012】
電源回路41はプリント基板40の下方の一辺に沿うように形成されている。電源回路41は、一次側と二次側に分離されており、電源を直流化するための整流回路や、所望の電圧レベルに変換するためのトランスや、出力電圧を一定のレベルで維持するための定電圧化回路等が含まれている。電源回路41においては平滑化等のために電解コンデンサ42,42が実装される。電源投入時において、電解コンデンサ42a,42bは常時充電されており、正負の端子間には高い電圧が印加される。
【0013】
図3は、プリント基板40における電解コンデンサ42a,42bが取り付けられる部位を部品の実装面側から見て示している。同図において、電解コンデンサ42a,42bのリードを差し込むために円形のリード穴43a,43a,43b,43bが2対形成されている。上方の電解コンデンサ42aに対応して設けられた一対のリード穴43a,43aは所定の間隔を隔てて、斜めに配列している。そして、長手方向がリード穴43a,43aの配列する方向に直交する長穴44aが同リード穴43a,43aの中間に形成されている。長穴44aは長細い円形状に形成されている。下方のリード穴43b,43bは、所定の間隔を隔てて水平に配列している。そして、長手方向が鉛直方向となる長穴44bが同リード穴43b,43bの中間に形成されている。長穴44bは長細い円形状に形成されている。
【0014】
図4は、電解コンデンサ42a(42b)がプリント基板40に実装される様子を示している。同図において、電解コンデンサ42a(42b)は円筒状の本体部42a1(42b1)を有しており、同本体部42a1(42b1)の底面からプリント基板40側に一対のリード42a2,42a2(42b2,42b2)が導出されている。リード42a2,42a2(42b2,42b2)の径はリード穴43a,43a(43b,43b)よりも小さく、リード42a2,42a2(42b2,42b2)のピッチはリード穴43a,43aとほぼ同じとされている。
【0015】
従って、リード42a2,42a2(42b2,42b2)を実装面側からリード穴43a,43a(43b,43b)に差し込んでいくことができる。リード穴43a,43a(43b,43b)は、本体部42a1(42b1)がプリント基板40に当接するまで差し込むことができる。そして、この状態において、電解コンデンサ42a(42b)を治具にて固定し、リード42a2,42a2(42b2,42b2)が突き出た側にてリード42a2,42a2(42b2,42b2)とプリント基板40に形成されたパッドとの半田付けを行う。従って、電解コンデンサ42a(42b)は、底面がプリント基板40の実装面に略密着した状態で実装されることとなる。
【0016】
図4において、本体部42a1(42b1)の外径よりも内側にてリード42a2,42a2(42b2,42b2)が導出されている。従って、プリント基板40において本体部42a1(42b1)の底面が略密着する領域は、リード穴43a,43a(42b2,42b2)を内包する円形の領域となる。図3においては、本体部42a1の底面が略密着する領域の外形を波線Aによって示している。長穴44aの上端は波線Aの内側にあり、同長穴44aの下端は波線Aの外側に到達している。同様に、本体部42b1の底面が略密着する領域の外形を波線Bによって示している。長穴44bの上端は波線Bの内側にあり、同長穴44bの下端は波線Bの外側に到達している。
【0017】
図2において斜線で示す領域は、プリント基板40においてシルクスクリーン印刷によってインクが塗布される領域を示している。同図において、抜き文字の部分や、各穴とのクリアランスを確保する部分以外は電源回路41が占める領域にインクを一様に塗布することにより被覆パターン45を形成している。従って、長穴44a,44bが形成された部位の周辺も一様にインクが塗布されている。本実施形態においてプリント基板40は、片面基板であり、部品の実装面にはパターンが形成されていない。従って、フェノール樹脂やエポキシ樹脂で形成された基材が露出しており、同基材に対してシルクスクリーン印刷によって熱硬化性のインクが選択的に塗布される。
【0018】
なお、塗布されるインクの厚みは一様であり、被覆パターン45は一様な膜厚となる。また、インクの素材は絶縁性を有するとともに、硬化したときに基材よりも濡れ性が悪くなる素材が選択される。すなわち、被覆パターン45と、それ以外の部分とでは、インクを被覆パターン45の方が撥水性がよくなるようにされている。なお、図示しないパターン面においても同様に電源回路41が占める領域に被覆パターン45を形成している。パターン面には、表面の絶縁性を確保するために永久レジストが形成されるが、この永久レジストの上に、さらにシルクスクリーン印刷によって被覆パターン45を形成すればよい。その場合、永久レジストよりも撥水性の高いインクを選択しておくことが望ましい。このようにすることにより、たとえ永久レジストが配線パターンに対してずれて形成されたとしても、ある程度は絶縁性を確保することができる。また、両面基板においては、両面とも永久レジスト上に被覆パターンが形成されることとなる。
【0019】
このように、電解コンデンサ42a,42bが実装される周辺の領域に適切な素材のインクにより被覆パターン45を形成しておくことにより、電解コンデンサ42a,42bの本体部42a1,42b1の底面が略密着する部位の撥水性を向上させることができる。従って、液晶テレビジョン10のキャビネット11の上面に形成されたスリット31から水が進入し、電解コンデンサ42a,42bの周囲に付着した場合でも、水をはじいて下方に流下させることができる。従って、高い電圧が印加されるリード42a2,42a2,42b2,42b2間に水が滞留し、ショートすることが防止できる。
【0020】
なお、高電圧間にてショートが発生すると、スパークが起こり、発火等の要因となる。従って、発火による損傷を防止することができる。また、実装面の表面に絶縁性を有するインク層を重ねることができ、実装面と裏側のパターン面との絶縁性をより向上させることができる。従って、インクの表面に水分が付着した場合のパターン面に対する耐マイグレーション性も向上させることができる。なお、少なくとも被覆パターン45の電解コンデンサ42a,42bが実装される周辺の領域のみに形成しておけばリード42a2,42a2,42b2,42b2間のショートは防止できるが、比較的、高い電圧が印加される電源回路41全体を覆うように被覆パターン45を形成することにより、電源回路41を保護しておくことが望ましい。むろん、電源回路の一次側のみを被覆するようにしてもよい。
【0021】
しかし、電解コンデンサ42a,42bの本体部42a1,42b1の底面がプリント基板40の実装面に略密着するため、この隙間に水が溜まる可能性がないとは言えない。これに対しては、リード42a2,42a2,42b2,42b2間に長穴44a,44bが形成されるため、リード42a2,42a2,42b2,42b2を繋げるような水膜が形成されることが防止できる。すなわち、電解コンデンサ42a,42bの本体部42a1,42b1の底面と、プリント基板40の実装面との間に進入した水を、長穴44a,44bの内部に誘導し、長穴44a,44bを伝って流下させることができる。長穴44a,44bはともに下方向の傾きを有しているため、長穴44a,44bの長手方向に沿って水を下方に流下させることができる。
【0022】
ここで、長穴44a,44bの下端は、それぞれ電解コンデンサ42a,42bの本体部42a1,42b1の底面が略密着する領域の外側に位置しているため、長穴44a,44bに沿って下端まで流下した水が電解コンデンサ42a,42bよりも下方に誘導されることとなる。従って、長穴44a,44bによって誘導された水が電解コンデンサ42a,42bに付着し、スパークが発生することが防止できる。さらに、長穴44a,44bを長細い円穴とすることにより、角張った隅部に水が溜まることが防止できる。すなわち、長穴44a,44bの下端まで流下した水を滑らかに下方へ排出することができる。
【0023】
一方、長穴44a,44bの上端は、それぞれ電解コンデンサ42a,42bの本体部42a1,42b1の底面が略密着する領域の内側に位置している。このようにすることにより、リード42a2,42a2,42b2,42b2よりも上方において、電解コンデンサ42a,42bの本体部42a1,42b1の底面とプリント基板40の実装面との密着性を向上させている。また、長穴44a,44bの上端が露出することもない。つまり、長穴44a,44bの上端を露出することにより、長穴44a,44bに水を多く取り入れ、却ってリード42a2,42a2,42b2,42b2間に水を多く誘導することが防止できる。従って、リード42a2,42a2,42b2,42b2間にてショートが発生することが防止できる。
【0024】
以上説明したように、リード42a2,42a2,42b2,42b2間に長穴44a,44bを形成するため、リード42a2,42a2,42b2,42b2を繋げるような水膜が形成されることが防止できる。従って、リード42a2,42a2,42b2,42b2間にてスパークが発生することが防止できる。さらに、電解コンデンサ42a,42bが実装される周辺の領域に被覆パターン45を形成しておくことにより、電解コンデンサ42a,42bの本体部42a1,42b1の底面が略密着する部位の撥水性を向上させることができる。従って、電解コンデンサ42a,42bの周囲に付着した水をはじいて下方に流下させることができる。すなわち、長穴44a,44bと被覆パターン45の双方の効果により、大量の水が電解コンデンサ42a,42b付近に付着しても、リード42a2,42a2,42b2,42b2間にてスパークが発生することが防止できる。
【0025】
(2)第二の実施形態:
図5は、第二の実施形態にかかる長穴を示している。同図において、第一の実施形態と同様の配置でリード穴43a,43a,43b,43bが2対形成されている。そして、リード穴43a,43aの配列する方向に長手方向が直交するように長穴44が形成されている。長穴44は下方に延設されており、長手方向が鉛直となるように屈曲されている。そして、長手方向が鉛直方向の長穴44の下方部分は、水平に配列するリード穴43b,43bの中央を通過している。すなわち、プリント基板40に実装される2個の電解コンデンサ42a,42bのリード42a2,42a2,42b2,42b2間をまたがって長穴44が形成されている。
【0026】
長穴44の上端は上方に実装される電解コンデンサ42aの本体部42a1が略密着する領域の内側に位置するとともに、長穴44の下端は下方に実装される電解コンデンサ42bの本体部42b1が略密着する領域の外側に位置している。本実施形態においても、長穴44が電解コンデンサ42a,42bの本体部42a1,42b1の底面とプリント基板40の実装面との間に溜まる水を排出することができ、スパークや発火を防止することができる。また、長穴44を電解コンデンサ42a,42bとで共用することができ、長穴44の形成個数を削減することができる。
【0027】
(3)第三の実施形態:
図6は、第二の実施形態にかかる長穴を示している。同図において、第二の実施形態と同様にプリント基板40に実装される2個の電解コンデンサ42a,42bのリード42a2,42a2,42b2,42b2間をまたがるように長穴44が形成されている。しかしながら、上方のリード穴43a,43aが水平に配列し、下方のリード穴43b,43bも水平に配列するとともに、双方の水平位置が一致させられている。従って、上方のリード穴43a,43aの配列方向に長手方向が直交するように、リード穴43a,43aの間に長穴44を形成し、同長穴44を屈曲することなく下方に延設することにより、必然的に同長穴44は下方のリード穴43b,43bの間を通過するとともに、同リード穴43b,43bの配列方向に直交することとなる。このように、電解コンデンサ42a,42bの実装方向を工夫することにより、長穴44の形状を簡素にすることができる。長穴44に屈曲部がなくなるため、長穴44に水が溜まりにくくすることができる。
【0028】
また、長穴44の下端は下方に実装される電解コンデンサ42bの本体部42b1が略密着する領域の外側に位置している。そして、同下端を略円形に拡張することにより、他の部分よりも幅が広い幅広部44cが設けられている。このように幅広部44cを形成することにより、長穴44から水が排出されないとしても、長穴44に沿って流下できる水の量を増大させることができる。従って、大量の水がプリント基板40に付着したとしても、リード42a2,42a2,42b2,42b2間にてスパークや発火等が発生することが防止できる。
【0029】
上述した実施形態に対応する請求項1にかかる発明では、第三の実施形態のように、電源回路41用の電解コンデンサ42a,42bが、その底面が略密着するように実装されるプリント基板40を備えるパネル表示テレビジョン10において、略鉛直に立てられて取り付けられる上記プリント基板40において、長手方向が下方向の傾きを有し、複数の上記電界コンデンサ42a,42bのリード42a2,42a2,42b2,42b2間を略一直線状にまたぐように形成されるとともに、上端が上記電界コンデンサ42aが略密着する領域の内側に位置し、幅が広く形成された下端が他の電界コンデンサ42bが略密着する領域の外側に位置する細長い円穴状に形成された長穴44と、上記プリント基板40における電源回路41が占める部分全体を被覆する絶縁パターン45とを具備する構成としてある。
【0030】
また、請求項2にかかる発明では、第一の実施形態のように、電源回路41用の電解コンデンサ42a,42bが、その底面が略密着するように実装されるプリント基板40を備えるパネル表示テレビジョン10において、上記プリント基板40において少なくとも上記電界コンデンサ42a,42bのリード42a2,42a2,42b2,42b2間から同電解コンデンサ42a,42bの底面の略密着する領域の外側にかけて形成された長穴44a,44bと、少なくとも上記プリント基板40において上記電界コンデンサ42a,42bが略密着する領域に印刷された絶縁性の被覆パターン45とを具備する構成としてある。
【0031】
上記のように構成した請求項2の発明において、パネル表示テレビジョン10の内部に備えられるプリント基板40において、電源回路41用の電解コンデンサ42a,42bが、その本体部42a1,42b1の底面を波線A,Bの囲まれた領域において密着させるように実装される。そして、上記プリント基板40において長穴44a,44bが形成される。この長穴44a,44bは、少なくとも上記電界コンデンサ42a,42bのリード42a2,42a2,42b2,42b2間から同電解コンデンサ42a,42bの底面の略密着する領域(波線A,Bの囲まれた領域)の外側にかけて形成される。これにより、リード42a2,42a2,42b2,42b2間に溜ろうとする水を、電解コンデンサ42a,42bとプリント基板40とが略密着する領域の外側に誘導することができ、リード42a2,42a2,42b2,42b2間のショートを防止することができる。本体部42a1,42b1の底面が密着する波線A,Bで囲まれた領域に被覆パターン45を形成しておくことにより、電解コンデンサ42a,42bの本体部42a1,42b1の底面が略密着する部位の撥水性を向上させることができる。電解コンデンサ42a,42bの周囲に付着した場合でも、水をはじいて下方に流下させることができる。従って、高い電圧が印加されるリード42a2,42a2,42b2,42b2間に水が滞留し、ショートすることが防止できる。
【0032】
さらに、請求項3にかかる発明では、第一の実施形態のように、上記プリント基板40は略鉛直に立てられて取り付けられるとともに、上記長穴44a,44bの長手方向は下方向の傾きを有する構成としてある。
上記のように構成した請求項3の発明において、パネル表示テレビジョン10において上記プリント基板40は、ほぼ鉛直に正立する液晶パネル20の表示面とほぼ平行となるように備えられる。すなわち、上記プリント基板40は、略鉛直に立てられる。そして、上記長穴44a,44bは、その長手方向が下方向の傾きを有するように形成される。上記長穴44a,44bが下方向の傾きを有することにより、同長穴44a,44bを伝って水を下方向に流下させることができる。
【0033】
また、請求項4にかかる発明では、第一の実施形態のように、上記長穴44a,44bの上端は上記電界コンデンサ42a,42bが略密着する領域の内側に位置するとともに、同長穴44a,44bの下端は同電界コンデンサ42a,42bが略密着する領域の外側に位置する構成としてある。
上記のように構成した請求項4の発明において、上記長穴44a,44bの上端を上記電界コンデンサ42a,42bが略密着する領域の内側に位置させることにより、長穴44a,44bの上端を露出することが防止できる。従って、長穴44a,44bに水を多く進入し、却ってリード42a2,42a2,42b2,42b2間に水を多く誘導することが防止できる。
【0034】
さらに、請求項5にかかる発明では、第二の実施形態および第三の実施形態のように、上記長穴44は、上記プリント基板40に実装される複数の上記電解コンデンサ42a,42bのリード42a2,42a2,42b2,42b2間をまたがって形成される構成としてある。
上記のように構成した請求項5の発明において、第二の実施形態のように、上記長穴44を屈曲させることにより、同長穴44が上記プリント基板40に実装される2個の上記電解コンデンサ42a,42bのリード42a2,42a2,42b2,42b2間をまたぐようにしている。
【0035】
また、請求項6にかかる発明では、上記長穴が略一直線状になるように複数の上記電解コンデンサの実装方向が揃えられる構成としてある。
上記のように構成した請求項6の発明において、第三の実施形態のように、上記電解コンデンサ42a,42bのリード42a2,42a2,42b2,42b2が一直線状に並ぶように同電解コンデンサ42a,42bを揃えて実装することにより、一直線状の長穴44が上リード42a2,42a2,42b2,42b2間をまたぐようにしている。
【0036】
さらに、請求項7にかかる発明では、第一の実施形態のように、上記長穴44a,44bは長細い円穴とされる構成としてある。
上記のように構成した請求項7において、長穴44a,44bを長細い円穴とすることにより、角張った隅部に水が溜まることが防止でき、長穴44a,44bの下端まで流下した水を滑らかに下方へ排出することができる。
【0037】
また、請求項8にかかる発明では、第一の実施形態のように、上記絶縁パターン45は上記プリント基板40において電源回路41が占める部分全体を被覆する構成としてある。
上記のように構成した請求項8の発明において、少なくとも被覆パターン45の電解コンデンサ42a,42bが実装される周辺の領域のみに形成しておけばリード42a2,42a2,42b2,42b2間のショートは防止できるが、比較的、高い電圧が印加される電源回路41全体を覆うように被覆パターン45を形成することにより、電源回路41を保護しておくことが望ましい。
【0038】
さらに、請求項9にかかる発明では、第三の実施形態のように、上記長穴44における上記電界コンデンサが略密着する領域の外側に位置する下端は幅が広く形成される構成としてある。
上記のように構成した請求項9の発明において、長穴44の下端は、電解コンデンサ42bの本体部42b1が略密着する領域の外側に位置している。そして、同下端を拡張することにより、他の部分よりも幅が広い幅広部44cが設けられている。このように幅広部44cを形成することにより、長穴44から水が排出されないとしても、長穴44に沿って流下できる水の量を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】液晶テレビジョンの外観斜視図である。
【図2】プリント基板の正面図である。
【図3】長穴の正面図である。
【図4】電解コンデンサが実装される様子を示す図である。
【図5】第二の実施形態にかかる長穴の正面図である。
【図6】第三の実施形態にかかる長穴の正面図である。
【符号の説明】
【0040】
10…液晶テレビジョン
20…液晶パネル
31…スリット
40…プリント基板
41…電源回路
42…電解コンデンサ
42a2,42a2,42b2,42b2…リード
44…長穴
45…被覆パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源回路用の電解コンデンサが、その底面が略密着するように実装されるプリント基板を備えるパネル表示テレビジョンにおいて、
略鉛直に立てられて取り付けられる上記プリント基板において、長手方向が下方向の傾きを有し、複数の上記電界コンデンサのリード間を略一直線状にまたぐように形成されるとともに、上端が上記電界コンデンサが略密着する領域の内側に位置し、幅が広く形成された下端が他の電界コンデンサが略密着する領域の外側に位置する細長い円穴状に形成された長穴と、
上記プリント基板における電源回路が占める部分全体を被覆する絶縁パターンとを具備することを特徴とするパネル表示テレビジョン。
【請求項2】
電源回路用の電解コンデンサが、その底面が略密着するように実装されるプリント基板を備えるパネル表示テレビジョンにおいて、
上記プリント基板において少なくとも上記電界コンデンサのリード間から同電解コンデンサの底面の略密着する領域の外側にかけて形成された長穴と、
少なくとも上記プリント基板において上記電界コンデンサが略密着する領域に印刷された絶縁性の被覆パターンとを具備することを特徴とするパネル表示テレビジョン。
【請求項3】
上記プリント基板は略鉛直に立てられて取り付けられるとともに、上記長穴の長手方向は下方向の傾きを有することを特徴とする請求項2に記載のパネル表示テレビジョン。
【請求項4】
上記長穴の上端は上記電界コンデンサが略密着する領域の内側に位置するとともに、同長穴の下端は同電界コンデンサが略密着する領域の外側に位置することを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載のパネル表示テレビジョン。
【請求項5】
上記長穴は、上記プリント基板に実装される複数の上記電解コンデンサのリード間をまたがって形成されることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載のパネル表示テレビジョン。
【請求項6】
上記長穴が略一直線状になるように複数の上記電解コンデンサの実装方向が揃えられることを特徴とする請求項5に記載のパネル表示テレビジョン。
【請求項7】
上記長穴は長細い円穴とされることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載のパネル表示テレビジョン。
【請求項8】
上記絶縁パターンは上記プリント基板において電源回路が占める部分全体を被覆することを特徴とする請求項2から請求項7のいずれかに記載のパネル表示テレビジョン。
【請求項9】
上記長穴における上記電界コンデンサが略密着する領域の外側に位置する下端は幅が広く形成されることを特徴とする請求項4から請求項8のいずれかに記載のパネル表示テレビジョン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−103495(P2007−103495A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−288919(P2005−288919)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】