説明

パワーコンディショナの運転制御装置および太陽光発電システム

【課題】複数の太陽電池アレイからの直流電力を交流電力に変換する複数台の非絶縁型のパワーコンディショナを、機械的な開閉器を用いることなく、高い効率で運転できるようにする。
【解決手段】太陽電池の発電電力が低いときには、第1,第2のサイリスタ20,21をオンして第2の発電システムの太陽電池アレイ5からの直流電力を第1の発電システムのパワーコンディショナ4に入力し、パワーコンディショナ4によって、第1の発電システムの太陽電池アレイ2からの直流電力および第2の発電システムの太陽電池アレイ5から直流電力を交流電力に変換するとともに、IGBT22をオフして第2の発電システムのパワーコンディショナへ7の直流電力の供給を遮断することにより、パワーコンディショナ7の運転を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池や燃料電池などの直流電源で発電される直流電力を交流電力に変換して系統電源に連系するパワーコンディショナの運転を制御する装置、および、それを用いた太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムでは、太陽電池で発電した直流電力を交流電力に変換するインバータと系統連系ための保護装置とを有するパワーコンディショナが使用されるが、かかるパワーコンディショナは、一般に、図5に示すように、定格出力電力に対し、低出力時には、変換効率が低下するという特性を持っている。
【0003】
このため、複数のインバータを複数台並列に接続し、太陽電池の出力電力に応じて運転するインバータの台数を切換え、出力電力が低いときには、運転するインバータの台数を減らして、低出力時の変換効率の低下を抑制するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3112584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、絶縁トランスを用いて直流部と交流部とを電気的に絶縁する実施例が開示されているが、パワーコンディショナとしては、絶縁トランスを用いない非絶縁型のパワーコンディショナが、効率が良いことから多く使用されている。
【0005】
かかる非絶縁型のパワーコンディショナの複数台、例えば、2台の非絶縁型のパワーコンディショナ40,41を、図6に示すように、2つの太陽電池アレイ42,43に、逆流防止ダイオード49,50および開閉器51,52を有する接続箱44,45を介してそれぞれ接続し、各太陽電池アレイ42,43からの直流電力を交流電力に変換して系統電源46に連系させ、太陽電池の出力電力が低いときには、1台のパワーコンディショナ40のみを運転し、太陽電池の出力電力が高いときには、2台のパワーコンディショナ40,41を運転することが考えられる。
【0006】
しかし、一方の太陽電池アレイ42とパワーコンディショナ40との間の直流電力ライン47と、他方の太陽電池アレイ43とパワーコンディショナ41との間の直流電力ライン48の正極47P,48P同士および負極47N,48N同士を、図6に示すように単純に接続したのでは、パワーコンディショナ40,41が非絶縁型であるために、運転中には、矢符で示すように、直流電力ライン47の正極側47P、パワーコンディショナ40,41、直流電力ライン48の負極側48Nを介して閉ループが構成されることになり、正常に動作しないという課題がある。
【0007】
また、電磁リレーなどの機械的な開閉器を用いて前記直流電力ラインを接続することが考えられるが、方向性を持たせて直流電流を開閉する必要があることから困難であり、更に、開閉回数などの寿命やアークによる接点の溶着といった課題もある。
【0008】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、複数の直流電源からの直流電力を交流電力に変換する複数台の非絶縁型のパワーコンディショナを、機械的な開閉器を用いることなく、高い効率で運転できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明のパワーコンディショナの運転制御装置は、複数の直流電源にそれぞれ接続されて、前記直流電源で発電された直流電力を交流電力にそれぞれ変換して系統電源に連系する複数台の非絶縁型のパワーコンディショナの運転を制御する装置であって、前記直流電源と該直流電源に個別に接続される前記パワーコンディショナとを一組とした複数組の発電システムの内、或る組の発電システムを主発電システムとするとともに、他の一組以上の発電システムを副発電システムとし、前記主発電システムの直流電源とパワーコンディショナとの間の直流電力ラインの正極側および負極側が、前記副発電システムの直流電源とパワーコンディショナとの間の直流電力ラインの正極側および負極側に、それぞれ単方向性スイッチング素子を介して接続されるとともに、前記副発電システムの前記直流電力ラインの、前記単方向性スイッチング素子の接続点よりもパワーコンディショナ側にスイッチング素子が挿入され、前記正極側を接続する前記単方向性スイッチング素子が、前記副発電システムから前記主発電システムへ電流が流れる向きに挿入される一方、前記負極側を接続する前記単方向性スイッチング素子が、前記主発電システムから前記副発電システムへ電流が流れる向きに挿入され、前記パワーコンディショナの出力電力または前記直流電源の出力電力に基づいて、前記単方向性スイッチング素子および前記スイッチング素子のオンオフを制御して前記複数台のパワーコンディショナの運転台数を制御するものである。
【0010】
直流電源とは、太陽電池、風力発電、燃料電池などの直流電力を発生する電源をいう。
非絶縁型のパワーコンディショナとは、変圧器を有しないトランスレス方式のパワーコンディショナをいう。
【0011】
主発電システムのパワーコンディショナは、直流電源の出力電力が低いために、副発電システムのパワーコンディショナの運転を停止しているときでも運転されるものであり、複数組の発電システムのパワーコンディショナの内で最も優先して運転されるものである。
【0012】
副発電システムは、一組であってもよいし、二組以上であってもよい。
【0013】
単方向性スイッチング素子とは、一方向に電流を流すスイッチング用の半導体素子、例えば、サイリスタをいう。
【0014】
スイッチング素子とは、スイッチング用の半導体素子をいい、例えば、トランジスタ、FET、IGBTなどをいう。
【0015】
当該運転制御装置の制御機能を、パワーコンディショナ、例えば、主発電システムのパワーコンディショナに内蔵させてもよい。
【0016】
本発明のパワーコンディショナの運転制御装置によると、直流電源の出力電力が低いときには、主発電システムと副発電システムとの間の単方向性スイッチング素子をオンして副発電システムの直流電源からの直流電力を主発電システムのパワーコンディショナに入力し、該パワーコンディショナによって、両発電システムの直流電源からの直流電力を交流電力に変換するとともに、副発電システムのスイッチング素子をオフして副発電システムのパワーコンディショナへの直流電力の供給を遮断することにより、副発電システムのパワーコンディショナの運転を停止することができる。これによって、直流電源の出力電力が低いときには、運転するパワーコンディショナの台数を減らし、低出力時の変換効率の低下を抑制して、高い変換効率でパワーコンディショナを運転することが可能となる。
【0017】
しかも、副発電システムのスイッチング素子をオフして副発電システムのパワーコンディショナへの直流電力の供給を遮断し、パワーコンディショナを停止させるので、該パワーコンディショナで電力が消費されることもなく、上述の図6に示すような閉ループが構成されることもない。更に、機械的な開閉器ではなく、半導体素子によってスイッチングを行うので、寿命が長く、接点が溶着するといったこともない。
【0018】
(2)本発明のパワーコンディショナの運転制御装置の一つの実施形態では、前記直流電源が、太陽電池アレイであり、前記主発電システムのパワーコンディショナの出力電力が、閾値以上である場合には、前記正極側および前記負極側を接続する前記単方向性スイッチング素子をオフするとともに、前記スイッチング素子をオンして前記副発電システムのパワーコンディショナを運転し、前記主発電システムのパワーコンディショナの出力電力が、前記閾値未満である場合には、前記正極側および前記負極側を接続する前記単方向性スイッチング素子をオンするとともに、前記スイッチング素子をオフして前記副発電システムのパワーコンディショナの運転を停止するものである。
【0019】
単方向性スイッチング素子をオフするとともに、スイッチング素子をオンするときの閾値と、単方向性スイッチング素子をオンするとともに、前記スイッチング素子をオフするときの閾値を異ならせて、ヒステリシスを持たせるようにしてもよい。
【0020】
副発電システムが、複数組存在する場合には、各組に対応させて閾値を設定し、各組毎に、単方向性スイッチング素子およびスイッチング素子のオンオフを制御するのが好ましい。
【0021】
この実施形態によると、太陽電池の出力電力が高く、主発電システムのパワーコンディショナの出力電力が閾値以上である場合には、主発電システムと副発電システムとの間の単方向性スイッチング素子をオフするとともに、副発電システムのスイッチング素子をオンして副発電システムのパワーコンディショナを運転する一方、太陽電池の出力電力が低く、主発電システムのパワーコンディショナの出力電力が閾値未満である場合には、主発電システムと副発電システムとの間の単方向性スイッチング素子をオンするとともに、副発電システムのスイッチング素子をオフして副発電システムのパワーコンディショナを停止するので、低出力時の変換効率の低下を抑制して、高い変換効率でパワーコンディショナを運転することが可能となる。
【0022】
(3)上記(2)の実施形態では、前記各パワーコンディショナは、平滑コンデンサを有し、前記単方向性スイッチング素子が、サイリスタであり、前記主発電システムの前記パワーコンディショナの出力電力が、閾値以上である場合には、前記副発電システムの前記パワーコンディショナの入力電圧が所定電圧以下に低下しているときに、前記スイッチング素子をオンするようにしてもよい。
【0023】
前記所定電圧は、前記副発電システムのパワーコンディショナの平滑コンデンサが放電している状態の電圧であるのが好ましい。
【0024】
主発電システムの直流電力ラインと副発電システムの直流電力ラインとの間のサイリスタを、オンからオフにするには、サイリスタに逆バイアスの電圧を印加してアノードからカソードに流れる電流を保持電流以下にする必要がある。
【0025】
この実施形態によると、副発電システムのパワーコンディショナの入力電圧が所定電圧以下のとき、すなわち、パワーコンディショナの平滑コンデンサが放電している状態のときに、スイッチング素子をオンするので、このスイッチング素子のオンによって、副発電システムの太陽電池アレイからパワーコンディショナの平滑コンデンサに充電電流が流れ、副発電システムの太陽電池アレイの出力電圧が、主発電システムの太陽電池アレイの出力電圧よりも低くなって、サイリスタが逆バイアスされることになり、これによって、サイリスタをオフして、主発電システムの直流電力ラインと副発電システムの直流電力ラインとを遮断し、発電システム毎に、太陽電池アレイからの直流電力をパワーコンディショナで交流電力にそれぞれ変換することができる。
【0026】
(4)本発明の太陽光発電システムは、複数の太陽電池アレイと、前記太陽電池アレイにそれぞれ接続される複数台の非絶縁型のパワーコンディショナとを備え、前記太陽電池アレイで発電された直流電力を、前記パワーコンディショナで交流電力にそれぞれ変換して系統電源に連系する太陽光発電システムであって、前記太陽電池アレイと該太陽電池アレイに個別に接続される前記パワーコンディショナとを一組とした複数組の発電システムの内、或る組の発電システムを主発電システムとするとともに、他の一組以上の発電システムを副発電システムとし、前記主発電システムの太陽電池アレイとパワーコンディショナとの間の直流電力ラインの正極側および負極側が、前記副発電システムの太陽電池アレイとパワーコンディショナとの間の直流電力ラインの正極側および負極側に、それぞれ単方向性スイッチング素子を介して接続されるとともに、前記副発電システムの前記直流電力ラインの、前記単方向性スイッチング素子の接続点よりもパワーコンディショナ側にスイッチング素子が挿入され、前記正極側を接続する前記単方向性スイッチング素子が、前記副発電システムから前記主発電システムへ電流が流れる向きに挿入される一方、前記負極側を接続する前記単方向性スイッチング素子が、前記主発電システムから前記副発電システムへ電流が流れる向きに挿入され、前記パワーコンディショナの出力電力または前記太陽電池アレイの出力電力に基づいて、前記単方向性スイッチング素子および前記スイッチング素子のオンオフを制御して前記複数台のパワーコンディショナの運転台数を制御する制御装置を備えている。
【0027】
本発明の太陽光発電システムによると、太陽電池の出力電力が低いときには、主発電システムと副発電システムとの間の単方向性スイッチング素子をオンして副発電システムの太陽電池アレイからの直流電力を主発電システムのパワーコンディショナに入力し、該パワーコンディショナによって、両発電システムの太陽電池アレイからの直流電力を交流電力に変換するとともに、副発電システムのスイッチング素子をオフして副発電システムのパワーコンディショナへの直流電力の供給を遮断することにより、副発電システムのパワーコンディショナの運転を停止することができる。これによって、太陽電池の出力電力が低いときには、運転するパワーコンディショナの台数を減らし、低出力時の変換効率の低下を抑制して、高い変換効率でパワーコンディショナを運転することが可能となる。
【0028】
しかも、スイッチング素子をオフして副発電システムのパワーコンディショナへの直流電力の供給を遮断し、パワーコンディショナを停止させるので、該パワーコンディショナで電力が消費されることもなく、上述の図6に示すような閉ループが構成されることもない。更に、機械的な開閉器ではなく、半導体素子によってスイッチングを行うので、寿命が長く、接点が溶着するといったこともない。
【0029】
(5)本発明の太陽光発電システムの一つの実施形態では、前記制御装置は、前記主発電システムのパワーコンディショナの出力電力が、閾値以上である場合には、前記正極側および前記負極側を接続する前記単方向性スイッチング素子をオフするとともに、前記スイッチング素子をオンして前記副発電システムのパワーコンディショナを運転し、前記主発電システムのパワーコンディショナの出力電力が、前記閾値未満である場合には、前記正極側および前記負極側を接続する前記単方向性スイッチング素子をオンするとともに、前記スイッチング素子をオフして前記副発電システムのパワーコンディショナの運転を停止するようにしてもよい。
【0030】
この実施形態によると、太陽電池の発電電力が高く、主発電システムのパワーコンディショナの出力電力が閾値以上である場合には、主発電システムと副発電システムとの間の単方向性スイッチング素子をオフするとともに、副発電システムのスイッチング素子をオンして副発電システムのパワーコンディショナを運転する一方、太陽電池の出力電力が低く、主発電システムのパワーコンディショナの出力電力が閾値未満である場合には、主発電システムと副発電システムとの間の単方向性スイッチング素子をオンするとともに、副発電システムのスイッチング素子をオフして副発電システムのパワーコンディショナを停止するので、低出力時の変換効率の低下を抑制して、高い変換効率でパワーコンディショナを運転することが可能となる。
【0031】
(6)上記(5)の実施形態では、前記各パワーコンディショナは、平滑コンデンサを有し、前記単方向性スイッチング素子が、サイリスタであり、前記制御装置は、前記主発電システムのパワーコンディショナの出力電力が、閾値以上である場合には、前記副発電システムのパワーコンディショナの入力電圧が所定電圧以下に低下しているときに、前記スイッチング素子をオンするようにしてもよい。
【0032】
この実施形態によると、副発電システムのパワーコンディショナの入力電圧が所定電圧以下のとき、すなわち、パワーコンディショナの平滑コンデンサが放電している状態のときに、スイッチング素子をオンするので、このスイッチング素子のオンによって、副発電システムの太陽電池アレイからパワーコンディショナの平滑コンデンサに充電電流が流れ、副発電システムの太陽電池アレイの出力電圧が、主発電システムの太陽電池アレイの出力電圧よりも低くなって、サイリスタが逆バイアスされることになり、これによって、サイリスタをオフして、主発電システムの直流電力ラインと副発電システムの直流電力ラインとを遮断し、発電システム毎に、太陽電池アレイからの直流電力を、交流電力に変換することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、太陽電池などの直流電源の出力電力が低いときには、副発電システムの直流電源からの直流電力を主発電システムのパワーコンディショナに入力し、主発電システムのパワーコンディショナによって、両発電システムの直流電源からの直流電力を交流電力に変換するとともに、副発電システムのパワーコンディショナへの直流電力の供給を遮断することにより、副発電システムのパワーコンディショナの運転を停止することができ、これによって、直流電源の出力電力が低いときには、運転するパワーコンディショナの台数を減らし、低出力時の変換効率の低下を抑制して、高い変換効率でパワーコンディショナを運転することが可能となる。
【0034】
しかも、副発電システムのパワーコンディショナへの直流電力の供給を遮断し、パワーコンディショナを停止させるので、該パワーコンディショナで電力が消費されることもなく、また、正常な動作を妨げるような閉ループが構成されることもない。更に、機械的な開閉器ではなく、半導体素子によってスイッチングを行うので、寿命が長く、接点が溶着するといったこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0036】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る太陽光発電システムの構成図である。
【0037】
この実施の形態の太陽光発電システム1は、第1の太陽電池アレイ2、第1の接続箱3および第1のパワーコンディショナ4を備える主発電システムとしての第1の発電システムと、第2の太陽電池アレイ5、第2の接続箱6および第2のパワーコンディショナ7を備える副発電システムとしての第2の光発電システムとの二組の発電システムとを並列接続して、制御装置8によって、後述のようにパワーコンディショナの運転台数を制御するものである。
【0038】
各太陽電池アレイ2,5は、複数の太陽電池モジュールを直列、並列に接続して所要の発電電力を得られるように構成されており、その定格出力は、例えば、4kWである。
【0039】
各接続箱3,6は、逆流防止ダイオード9,10および開閉器11,12をそれぞれ有し、太陽電池アレイ2,5で発電した電力をそれぞれ集電する。
【0040】
太陽電池アレイ2,5と系統電源13との間に介在する各パワーコンディショナ4,7は、絶縁トランスを備えていない非絶縁型(トランスレス)のパワーコンディショナであり、その定格出力は、例えば、4kWである。
【0041】
このパワーコンディショナ4,7は、図2に示すように、平滑用の電解コンデンサC1と、スイッチ素子S1,S2、インダクタL1および平滑用の電解コンデンサC2を有する昇圧回路14と、スイッチ素子S3〜S6およびインダクタL2,L3を有するインバータ回路15と、系統側開閉器16と、図示しないパワーコンディショナ制御部とを備えている。
【0042】
このパワーコンディショナ4,7では、平滑用の電解コンデンサC1で平滑化された太陽電池アレイ2,5からの入力電圧は、昇圧回路14で昇圧されてインバータ回路15に与えられ、インバータ回路15で交流電力に変換されて系統側開閉器16を介して出力される。
【0043】
この実施形態では、太陽電池の発電電力が高いときには、第1,第2のパワーコンディショナ4,7を運転して第1,第2の太陽電池アレイ2,5からの直流電力をそれぞれ交流電力に変換する一方、太陽電池の発電電力が低いときには、第1のパワーコンディショナ4のみを運転して第1,第2の太陽電池アレイ2,5からの直流電力を交流電力に変換することにより、低出力時の変換効率の低下を抑制するものである。
【0044】
このため、図1に示すように、第1の発電システムの第1の太陽電池アレイ2と第1のパワーコンディショナ4との間の直流電力ライン18の正極側18Pおよび負極側18Nが、第2の発電システムの第2の太陽電池アレイ5と第2のパワーコンディショナ7との間の直流電力ライン19の正極側19Pおよび負極側19Nに、第1,第2のサイリスタ20,21を介してそれぞれ接続される。
【0045】
第1のサイリスタ20は、第2の発電システムの直流電力ライン19の正極側19Pから第1の発電システムの直流電力ライン18の正極側18Pへ電流が流れるように、カソードが第1の発電システムの直流電力ライン18の正極側18Pに接続されるとともに、アノードが第2の発電システムの直流電力ライン19の正極側19Pに接続される。また、第2のサイリスタ21は、第1の発電システムの直流電力ライン18の負極側18Nから第2の発電システムの直流電力ライン19の負極側19Nへ電流が流れるように、カソードが第2の発電システムの直流電力ライン19の負極側19Nに接続されるとともに、アノードが第1の発電システムの直流電力ライン18の負極側18Nに接続される。各サイリスタ20,21のゲートには、制御装置8からの第1の制御信号sigAが与えられる。
【0046】
第2の発電システムの直流電力ライン19の正極側19Pには、IGBT22が挿入されており、このIGBT22は、そのエミッタが第2のパワーコンディショナ7側に接続されるとともに、コレクタが接続箱6側に接続され、ゲートには、制御装置8からの第2の制御信号sigBが与えられる。
【0047】
制御装置8は、電力計測器17で計測される第1のパワーコンディショナ4の出力電力に基づいて、第1,第2のサイリスタ20,21およびIGBT22のオンオフを制御してパワーコンディショナの運転台数を制御する。この制御装置8には、後述のように第2のパワーコンディショナ2の入力電圧の検出値DC1が与えられる。
【0048】
図3は、この実施形態の動作説明に供するタイムチャートであり、同図(a)は第1のパワーコンディショナ4の出力電力、同図(b)は第1,第2のサイリスタ20,21に対する第1の制御信号sigA、同図(c)はIGBT22に対する第2の制御信号sigB、同図(d)は第1のパワーコンディショナ4の運転状態、同図(e)は第2のパワーコンディショナ7の運転状態をそれぞれ示している。
【0049】
朝の起動時など太陽電池の発電電力が低く、同図(a)に示す第1のパワーコンディショナ4の出力電力が、予め設定した第1の閾値L1未満、例えば、4kW未満であるときには、例えば、期間T1に示すように、第1の制御信号sigAはオンして第1,第2のサイリスタ20,21はオンしている一方、第2の制御信号sigBはオフしてIGBT22はオフしている。これによって、第1,第2の太陽電池アレイ2,5からの直流電力を、第1のパワーコンディショナ4のみに入力し、第1のパワーコンディショナ4によって、交流電力に変換して系統電源13に連系する。このとき、第2のパワーコンディショナ7には、太陽電池アレイ5から直流電力が供給されておらず、同図(e)に示すように停止しており、上述の図6に示す閉ループが構成されることがなく、また、第2のパワーコンディショナ7で電力を消費することもない。
【0050】
次に、同図(a)に示す第1のパワーコンディショナ4の出力電力が、第1の閾値L1以上になると、例えば、期間T2に示すように、第1のパワーコンディショナ4に加えて、第2のパワーコンディショナ7も運転するように、第1の制御信号sigAを同図(b)に示すようにオフするとともに、同図(c)に示すように第2の制御信号sigBをオンする。
【0051】
第2の制御信号sigBがオンすることによって、IGBT22がオンして第2の太陽電池アレイ5からの直流電力が、第2のパワーコンディショナ7に供給されて第2のパワーコンディショナ7が運転を開始する。IGBT22がオンすると、後述のように、第2のパワーコンディショナ7の図2に示される平滑用の電解コンデンサC1,C2がチャージされて第2の太陽電池アレイ5の出力電圧が低下し、第1のサイリスタ20が逆バイアスされてオフし、第2のサイリスタ21もオフする。
【0052】
第1のサイリスタ20を、逆バイアスしてオフするためには、後述のように平滑用の電解コンデンサC1,C2にチャージする必要があるので、制御装置8は、電解コンデンサC1,C2が放電して第2のパワーコンディショナ7の入力電圧の検出値DC1が、所定電圧以下まで低下していることを確認した後に、IGBT22をオンする。
【0053】
次に、第1のパワーコンディショナ4と第2のパワーコンディショナ7の出力電力はほぼ同じと想定し、第1のパワーコンディショナ4の出力電力が、同図(a)に示すように、予め設定した第2の閾値L2未満、例えば、1kW未満になると、例えば、期間T3に示すように、第2のパワーコンディショナ7の運転を停止させて第1のパワーコンディショナ4のみ運転するように制御する。すなわち、同図(b)に示すように、第1の制御信号sigAをオンして第1,第2のサイリスタ20,21をオンする一方、第2の制御信号sigBをオフしてIGBT22をオフする。これによって、第1,第2の太陽電池アレイ2,5からの直流電力を、第1のパワーコンディショナ4のみに入力する一方、第2のパワーコンディショナ7への太陽電池アレイ5からの直流電源を遮断して運転を停止させる。
【0054】
このように太陽電池の発電電力に応じた第1のパワーコンディショナ4の出力電力に応じて、自動的にパワーコンディショナの運転台数を制御することができる。
【0055】
なお、第2の閾値L2は、同図(a)に示すように、第1の閾値L1に比べて低い値に設定してヒステリシスを持たせており、これによって、オンオフが繰り返して発生しないようにしている。
【0056】
次に、第1,第2のサイリスタ20,21の動作について説明する。
【0057】
サイリスタは、オンすると、逆電圧を印加しないとオフしないために、直流回路では使用できない。しかし、この実施形態では、第2のパワーコンディショナ7の内部の平滑用の電解コンデンサC1,C2への突入電流による電圧降下により電位差が発生し、逆電圧が発生することで、第1,第2のサイリスタ20,21をオフさせるようにしている。以下にその詳細を説明する。
【0058】
先ず、図1のIGBT22がオフしている状態で、第1,第2のサイリスタ20,21のゲートに、オンするための第1の制御信号sigAを入力すると、直流電流が流れ始め、0V電圧、負電圧、もしくは電流がゼロになるまで流れ続ける。したがって、第2の太陽電池アレイ5の発電出力があり、第1のパワーコンディショナ4が動作している限り、ゲートに電圧を加えなくても電流は流れ続ける。
【0059】
この状態から、太陽電池の発電出力が高くなって、第2のパワーコンディショナ7を運転させるために、IGBT22にオンの第2の制御信号sigBを与えてIGBT22をオンさせると、第2のパワーコンディショナ7の内部の平滑用の電解コンデンサC1,C2に電圧が印加され、突入電流が流れる。
【0060】
第2の発電システムは、この時は第1の発電システムの第1のパワーコンディショナ4に直流電力を供給している関係から、第1の発電システムとほぼ同電位にある。
【0061】
第1のパワーコンディショナ4に供給している電流に加えて、電解コンデンサC1,C2へのチャージ電流が流れると、第2の太陽電池アレイ5は、太陽電池の内部抵抗の関係で必ず第1の太陽電池アレイ2より電圧が低くなり、サイリスタの特性から第2の発電システムの電圧が低くなったために電流はカットオフされ、第1,第2のサイリスタ20,21は、オフし続ける。
【0062】
次に、第1,第2のサイリスタ20,21をオンさせる時は、IGBT22のエミッタ側電圧をチェックし、IGBT22により電流をカットした時に確実に電圧が下がった事を確認しておく。
【0063】
以上のようにして、この実施形態では、第1,第2のサイリスタ20,21のオンオフを制御している。
【0064】
本発明は、3台以上のパワーコンディショナの運転の制御にも同様に適用できるものである。
【0065】
例えば、図4に示すように、第3の太陽電池アレイ25、第3の接続箱26および第3のパワーコンディショナ27を備える副発電システムとしての第3の発電システムを追加し、第1の発電システムの直流電力ライン18の正極側18pおよび負極側18Nと、第3の発電システムの直流電力ライン28の正極側28Pおよび負極側28Nとを、第3,第4のサイリスタ29,30を介してそれぞれ接続するとともに、第3の発電システムの直流電力ライン28の正極側28PにIGBT31を挿入してもよい。
【0066】
この図4の構成では、太陽電池の発電電力が高いときには、第1〜第3のパワーコンディショナ4,7,27の3台を運転し、太陽電池の発電電力が低くなると、第1,第2のパワーコンディショナ4,7の2台を運転し、太陽電池の発電電力がさらに低くなると、第1のパワーコンディショナ4の1台のみで運転することになる。
【0067】
その他の構成は、上述の図1と同様である。
【0068】
上述の各実施形態では、第1のパワーコンディショナ4の出力電力に基づいて、パワーコンディショナの運転台数を制御したけれども、本発明の他の実施形態として、太陽電池アレイの発電電力に基づいて、パワーコンディショナの運転台数を制御するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、発電電力が変動する太陽光発電システムなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態に係る太陽光発電システムの構成図である。
【図2】図1のパワーコンディショナのブロック図である。
【図3】動作説明に供するタイムチャートである。
【図4】本発明の他の実施形態の太陽光発電システムの構成図である。
【図5】パワーコンディショナの特性を示す図である。
【図6】課題を説明するための図である。
【符号の説明】
【0071】
1 太陽光発電システム
2,5,25 第1,第2,第3の太陽電池アレイ
4,7,27 第1,第2,第3のパワーコンディショナ
8,8−1 制御装置
20,21,29,30 第1〜第4のサイリスタ
22,31 IGBT

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の直流電源にそれぞれ接続されて、前記直流電源で発電された直流電力を交流電力にそれぞれ変換して系統電源に連系する複数台の非絶縁型のパワーコンディショナの運転を制御する装置であって、
前記直流電源と該直流電源に個別に接続される前記パワーコンディショナとを一組とした複数組の発電システムの内、或る組の発電システムを主発電システムとするとともに、他の一組以上の発電システムを副発電システムとし、
前記主発電システムの直流電源とパワーコンディショナとの間の直流電力ラインの正極側および負極側が、前記副発電システムの直流電源とパワーコンディショナとの間の直流電力ラインの正極側および負極側に、それぞれ単方向性スイッチング素子を介して接続されるとともに、前記副発電システムの前記直流電力ラインの、前記単方向性スイッチング素子の接続点よりもパワーコンディショナ側にスイッチング素子が挿入され、
前記正極側を接続する前記単方向性スイッチング素子が、前記副発電システムから前記主発電システムへ電流が流れる向きに挿入される一方、前記負極側を接続する前記単方向性スイッチング素子が、前記主発電システムから前記副発電システムへ電流が流れる向きに挿入され、
前記パワーコンディショナの出力電力または前記直流電源の出力電力に基づいて、前記単方向性スイッチング素子および前記スイッチング素子のオンオフを制御して前記複数台のパワーコンディショナの運転台数を制御することを特徴とするパワーコンディショナの運転制御装置。
【請求項2】
前記直流電源が、太陽電池アレイであり、
前記主発電システムのパワーコンディショナの出力電力が、閾値以上である場合には、前記正極側および前記負極側を接続する前記単方向性スイッチング素子をオフするとともに、前記スイッチング素子をオンして前記副発電システムのパワーコンディショナを運転し、前記主発電システムのパワーコンディショナの出力電力が、前記閾値未満である場合には、前記正極側および前記負極側を接続する前記単方向性スイッチング素子をオンするとともに、前記スイッチング素子をオフして前記副発電システムのパワーコンディショナの運転を停止する請求項1に記載のパワーコンディショナの運転制御装置。
【請求項3】
前記各パワーコンディショナは、平滑コンデンサを有し、前記単方向性スイッチング素子が、サイリスタであり、
前記主発電システムの前記パワーコンディショナの出力電力が、閾値以上である場合には、前記副発電システムの前記パワーコンディショナの入力電圧が所定電圧以下に低下しているときに、前記スイッチング素子をオンする請求項2に記載のパワーコンディショナの運転制御装置。
【請求項4】
複数の太陽電池アレイと、前記太陽電池アレイにそれぞれ接続される複数台の非絶縁型のパワーコンディショナとを備え、前記太陽電池アレイで発電された直流電力を、前記パワーコンディショナで交流電力にそれぞれ変換して系統電源に連系する太陽光発電システムであって、
前記太陽電池アレイと該太陽電池アレイに個別に接続される前記パワーコンディショナとを一組とした複数組の発電システムの内、或る組の発電システムを主発電システムとするとともに、他の一組以上の発電システムを副発電システムとし、
前記主発電システムの太陽電池アレイとパワーコンディショナとの間の直流電力ラインの正極側および負極側が、前記副発電システムの太陽電池アレイとパワーコンディショナとの間の直流電力ラインの正極側および負極側に、それぞれ単方向性スイッチング素子を介して接続されるとともに、前記副発電システムの前記直流電力ラインの、前記単方向性スイッチング素子の接続点よりもパワーコンディショナ側にスイッチング素子が挿入され、
前記正極側を接続する前記単方向性スイッチング素子が、前記副発電システムから前記主発電システムへ電流が流れる向きに挿入される一方、前記負極側を接続する前記単方向性スイッチング素子が、前記主発電システムから前記副発電システムへ電流が流れる向きに挿入され、
前記パワーコンディショナの出力電力または前記太陽電池アレイの出力電力に基づいて、前記単方向性スイッチング素子および前記スイッチング素子のオンオフを制御して前記複数台のパワーコンディショナの運転台数を制御する制御装置を備えることを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記主発電システムのパワーコンディショナの出力電力が、閾値以上である場合には、前記正極側および前記負極側を接続する前記単方向性スイッチング素子をオフするとともに、前記スイッチング素子をオンして前記副発電システムのパワーコンディショナを運転し、前記主発電システムのパワーコンディショナの出力電力が、前記閾値未満である場合には、前記正極側および前記負極側を接続する前記単方向性スイッチング素子をオンするとともに、前記スイッチング素子をオフして前記副発電システムのパワーコンディショナの運転を停止する請求項4に記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
前記各パワーコンディショナは、平滑コンデンサを有し、前記単方向性スイッチング素子が、サイリスタであり、前記制御装置は、前記主発電システムのパワーコンディショナの出力電力が、閾値以上である場合には、前記副発電システムのパワーコンディショナの入力電圧が所定電圧以下に低下しているときに、前記スイッチング素子をオンする請求項5に記載の太陽光発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−225489(P2009−225489A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63802(P2008−63802)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】