説明

パワーコントロールユニットの車体への取付構造

【課題】電力供給線と周辺部材との接触を防ぎ、電力供給線を保護できるパワーコントロールユニットの車体への取付構造を提供する。
【解決手段】PCU12を支持するユニット支持フレーム31を備え、ユニット支持フレーム31は、PCU12の左側端面12aに沿って延在する左サイド支持フレーム33を備え、PCU12とモータとを電気的に接続する電力供給線21を備え、電力供給線21は、PCU12に接続されるPCU側接続部と、PCU側接続部からPCU12の左側端面に沿って延在する外側配線部aと、を備え、左サイド支持フレーム33は、PCU12に対して電力供給線21よりも左右方向の外側に配置されるとともに、左右方向から見て、PCU12の左側端面に重なるように配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーコントロールユニットの車体への取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気自動車において、車体前部に配置されたモータルーム内には、車体に弾性支持されたモータと、モータの上方に配設されてモータの駆動を制御するパワーコントロールユニット(以下、PCUという)と、が収納されている。また、PCUとモータとは、電力供給線により接続されており、この電力供給線を介してPCUからモータに電力が供給されるようになっている。
【0003】
上述した電力供給線としては、例えば特許文献1に示されるように、一端がインバータのうち車幅方向に位置する端面に設けられたコネクタ受け部に装着された後、車幅方向に位置する端面に沿って下方に引き回されている。その後、電力供給線の他端は、インバータとモータとの間を車幅方向に沿って配索された後、モータに設けられたモータ側コネクタ部材に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−20628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両が側面衝突(以下、側突という)した場合等においては、車体側部から入力される衝撃荷重によりインバータの周辺部材(例えば、低電圧バッテリ等)がインバータに向けて押し込まれることになる。
このとき、上述した従来技術にあっては、電力供給線がインバータの車幅方向に位置する端面に沿って配索されている関係で、押し込まれた周辺部材に接触して破損する等の虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、電力供給線と周辺部材との接触を防ぎ、電力供給線を保護できるパワーコントロールユニットの車体への取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、電力源からの電力を所望の電力に変換して走行用モータ(例えば、実施形態におけるモータ11)に供給することで、前記走行用モータを駆動制御するパワーコントロールユニット(例えば、実施形態におけるPCU12)の車体(例えば、実施形態における車体2)への取付構造であって、前記パワーコントロールユニットを支持するユニット支持フレーム(例えば、実施形態におけるユニット支持フレーム31)を備え、前記ユニット支持フレームは、前記パワーコントロールユニットのうち前記車体の幅方向の端面(例えば、実施形態における左側端面12a)に沿って延在する幅方向外側フレーム(例えば、実施形態における左サイド支持フレーム33)を備え、前記パワーコントロールユニットと前記走行用モータとを電気的に接続する電力供給線(例えば、実施形態における電力供給線21)を備え、前記電力供給線は、前記パワーコントロールユニットに接続される配線接続部(例えば、実施形態におけるPCU側接続部25)と、前記配線接続部から前記パワーコントロールユニットの前記端面に沿って延在する外側配線部(例えば、実施形態における外側配線部26a)と、を備え、前記幅方向外側フレームは、前記パワーコントロールユニットに対して前記外側配線部よりも前記幅方向の外側に配置されるとともに、前記幅方向から見て、前記パワーコントロールユニットの前記端面に重なるように配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載した発明では、前記幅方向外側フレームは、前記車体の前後方向に沿って延在する前後フレーム(例えば、実施形態における前後フレーム42)と、前記電力供給線のうち前記外側配線部よりも前方において、前記車体の上下方向に沿って延在する上下フレーム(例えば、実施形態における上下フレーム43)と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載した発明では、前記幅方向外側フレームには、前記電力供給線の前記外側配線部を保持する保持部材(例えば、実施形態におけるブラケット51)が固定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載した発明では、前記保持部材は、前記幅方向外側フレームのうち、前記前後フレームと前記上下方向フレームとにそれぞれ連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載した発明によれば、幅方向外側フレームにより電力供給線(配線接続部や外側配線部)を保護できる。すなわち、万が一、側突時において車体の側方から衝撃荷重が入力された場合に、パワーコントロールユニットの周辺部材(例えば、低電圧バッテリ等)が電力供給線に向けて押し込まれたとしても、電力供給線に向けた周辺部材の移動を幅方向外側フレームにより規制できる。これにより、周辺部材が電力供給線に接触するのを抑制し、電力供給線の損傷を抑制できる。
また、パワーコントロールユニットを支持する幅方向外側フレーム自体が、電力供給線を保護する役割を備えているため、例えば別体の保護部材を取り付ける場合に比べて、部品点数の削減を図ることができる。
【0012】
請求項2に記載した発明によれば、幅方向外側フレームが、電力供給線よりも前方において、上下方向に沿って延在する上下フレームを備えているため、仮に前方衝突時等において車体の前方からの衝撃荷重により周辺部材が後方に向けて押し込まれたとしても、電力供給線に向けた周辺部材の移動を上下フレームにより規制できる。これにより、周辺部材が電力供給線に接触するのを抑制し、電力供給線の損傷を抑制できる。
【0013】
請求項3に記載した発明によれば、電力供給線の外側配線部が保持部材を介して幅方向外側フレームに保持されているため、電力供給線の揺動が配線接続部に伝わるのを抑制することができる。これにより、電力供給線の配線接続部において発生する応力を抑制できるので、配線接続部の損傷を抑制できる。
【0014】
請求項4に記載した発明によれば、保持部材が、幅方向外側フレームのうち前後フレーム及び上下フレームにそれぞれ締結されているため、幅方向外側フレーム上において保持部材の締結位置を確保し易くなる。また、異なる方向に延在するフレーム(前後フレーム及び上下フレーム)に保持部材を固定するため、電力供給線の各方向への揺動に対しても配線接続部を確実にユニット支持フレームへ固定できる。そのため、保持部材を幅方向外側フレームにより強固に固定でき、電力供給線における配線接続部での損傷を確実に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態における電気自動車の前部を側方から見た概略構成図である。
【図2】モータルームの内部を示す電気自動車の斜視図である。
【図3】図2のC1矢視図である。
【図4】図2のC2矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態における電気自動車の前部を側方から見た概略構成図であり、図2はモータルームの内部を示す電気自動車の斜視図である。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、以下で用いる図面では、車両前方を矢印FR、車両上方を矢印UP、車両右方を矢印RH、車両左方を矢印LHで示している。
図1,2に示すように、本実施形態の電気自動車1において、車体2の前部にはモータルーム3が画成されている。そして、モータルーム3内の下部には、駆動源としてのモータ(走行用モータ)11が、モータルーム3内の上部にはPCU12がそれぞれ配設されている。
【0017】
なお、図2に示すように、モータルーム3の下部には、車体2の左右両側において前後方向に沿って延在する一対のサイドフレーム13と、サイドフレーム13の前端部同士を接合するフロントフレーム14と、が設けられている。また、図1に示すように、モータルーム3の後部には、図示しない車室内とモータルーム3内とを前後方向で区画するダッシュボード15が設けられている。このダッシュボード15は、PCU12の後方において上下方向に沿って延在するダッシュボードロア16と、ダッシュボードロア16の上端部から前方に向かって連設されたダッシュボードアッパ17と、を備えている。
【0018】
図1に示すように、モータ11は、円筒状に形成され、その回転軸を左右方向に向けた状態で、図示しない防振部材を介して車体2に弾性支持されている。
【0019】
図2に示すように、PCU12は、左右方向(幅方向)を長手方向とした直方体形状に形成されたものであり、後述するユニット支持フレーム31を介してサイドフレーム13に支持されるとともに、モータ11の上方に配設されている。PCU12には、例えば車室内の下方に配設された高電圧バッテリ(不図示)が電源ケーブル(不図示)を介して電気的に接続されており、高電圧バッテリから供給される直流電力を三相(U相、V相、W相)の交流電力に変換している。また、PCU12は、電力供給線21を介してモータ11に各相ごとに電気的に接続されており、PCU12で変換した三相の交流電力をモータ11に供給することでモータ11を駆動制御している。
【0020】
図3は図2のC1矢視図であり、図4は図2のC2矢視図である。
ここで、図2〜4に示すように、PCU12には、上述した電力供給線21をPCU12に接続するためのPCU側端子ボックス22が形成されている。このPCU側端子ボックス22は、PCU12の上部において、左右方向の一方側に位置する端面12a(以下、左側端面12aという)から左右方向の外側(左側)に向けて突出している。PCU側端子ボックス22には、電力供給線21を各相ごとにPCU12内に案内するための複数の案内部23が前後方向に並んで形成されている。これら案内部23は、PCU12の内外を連通させる孔であり、下方に向けて開口した状態で上下方向に沿って延在している。
【0021】
上述した各電力供給線21は、可撓性を有するケーブルであって、PCU12に接続されるPCU側接続部(配線接続部)25と、モータ11に接続されるモータ側接続部(不図示)と、PCU12及びモータ11から露出して両者間に架け渡された中間部26と、を備えている。
【0022】
各PCU側接続部25は、上述した各案内部23の下端開口部からコネクタ24を介して装着され、PCU側端子ボックス22内に案内されている。そして、PCU側接続部25の先端部に位置する端子が、PCU側端子ボックス22内において図示しない複数のバスバーに各相ごとに接続されて電気的接続部分をなし、これらバスバーを介してPCU12内に収納された各種電気デバイスに接続されている。
一方、各モータ側接続部は、モータ11における図示しないモータ側端子ボックスにコネクタを介して装着されている。そして、モータ側接続部は、モータ側端子ボックス内において図示しない複数のバスバーに各相ごとに接続され、これらバスバーを介してモータ11に電気的に接続されている。
【0023】
各中間部26は、PCU側接続部25とモータ側接続部との間でそれぞれ平行に配索されている。具体的に、各中間部26は、図3に示すように、PCU12に対して左右方向の外側(左側)を配索された外側配線部26aと、PCU12の下方を配索された下側配線部26bと、を有している。
外側配線部26aは、PCU側端子ボックス22から下方に向けて引き出された後、PCU12の左側端面12aに沿って下方に向けて配索されている。
また、下側配線部26bは、外側配線部26aの下端部から連設されており、PCU12の下方に引き回されている。そして、下側配線部26bは、PCU12の下面に沿ってPCU12のうち左右方向の他方側(例えば、右側)に向けて配索され、上述したモータ側接続部に連設されている。
【0024】
このように構成されたPCU12は、モータルーム3内において、図2〜4に示すユニット支持フレーム31に支持されている。このユニット支持フレーム31は、パイプ状の部材であり、PCU12の全周を取り囲むように配設されている。具体的に、ユニット支持フレーム31は、PCU12に対して右側に配設された右サイド支持フレーム32と、左側に配設された左サイド支持フレーム(幅方向外側フレーム)33と、各サイド支持フレーム32,33の前端部同士を接合するフロント支持フレーム34と、各サイド支持フレーム32,33の後端部同士を接合するリア支持フレーム35と、を有している。
【0025】
まず、フロント支持フレーム34は、PCU12の前方において、PCU12の下部を左右方向に沿って延在しているとともに、その延在方向に沿う両端部が後方に向けて屈曲されている。フロント支持フレーム34には、左右方向に沿う複数箇所において、PCU12の前面が締結されている。また、PCU12の前面のうち、左側の部分には、板状のガードブラケット36が設けられている。このガードブラケット36は、上端部から下端部に向かうに従い前方に向けて傾斜し、その上端部がPCU12の前面に締結され、下端部がフロント支持フレーム34に締結されている。
【0026】
リア支持フレーム35は、PCU12の後方において、PCU12の上部を左右方向に沿って延在しているとともに、その延在方向に沿う両端部が下方に向けて屈曲されている。リア支持フレーム35には、左右方向に沿う複数箇所において、上述したダッシュボード15が締結されている。また、リア支持フレーム35の延在方向に沿う両端部のうち、下端部はPCU12に対して左右方向の外側に向けてそれぞれ屈曲された脚部40を構成している。そして、これら脚部40は、対応するサイドフレーム13の後側に締結されている。
【0027】
右サイド支持フレーム32は、PCU12の右側を前後方向に沿って延在している。右サイド支持フレーム32には、前後方向に沿う複数箇所において、PCU12のうち左右方向の他方側に位置する端面(以下、右側端面という)が締結されている。また、右サイド支持フレーム32のうち、前端部はフロント支持フレーム34の右端部に接合される一方、後端部はリア支持フレーム35の右端部に接合されている。
【0028】
右サイド支持フレーム32とフロント支持フレーム34との接合部分からは、下方に向けて脚部41が延在している。脚部41は上端部から上端部に向かうに従い漸次PCU12に対して外側(右側)に向けて延在している。そして、脚部41の下端部は、上述したサイドフレーム13のうち、右側のサイドフレーム13の前側に締結されている。
【0029】
ここで、左サイド支持フレーム33は、PCU12の左側において、PCU12に対して上述した電力供給線21(PCU側接続部25及び外側配線部26a)よりも外側をPCU12の左側端面12aに沿って延在している。具体的に、左サイド支持フレーム33は、前後方向に沿って延在する前後フレーム42と、前後フレーム42の前端部から下方に向けて連設された上下フレーム43と、を備えている。
【0030】
前後フレーム42は、左右方向においてPCU12の左側端面12aの上部と対向する位置で前後方向に沿って延在している。前後フレーム42には、上述したPCU側端子ボックス22の上端部から左側に向けて突出した取付片44が支持されており、この取付片44を介してPCU12が前後フレーム42に締結されている。なお、図示の例において、取付片44は、PCU側端子ボックス22における前後方向に沿って2箇所形成されている。
前後フレーム42の後端部は、上述したリア支持フレーム35の左端部のうち、上下方向に沿う中間部に接合されている。一方、前後フレーム42の前端部は、前後方向において、PCU12の前面よりも後方であって、PCU側端子ボックス22よりも前方に位置している。すなわち、前後フレーム42の前端部は、前後方向において、各PCU側接続部25のうち、前側のPCU側接続部25よりも前方に位置している。
【0031】
上下フレーム43は、前後フレーム42の前端部から下方に向けて屈曲形成されてなり、その上下方向の中間部分にフロント支持フレーム34の左端部が接合されている。また、上下フレーム43の下端部は、PCU12に対して左右方向の外側(左側)に向けてそれぞれ屈曲された脚部45を構成している。そして、脚部45は、サイドフレーム13のうち、左側のサイドフレーム13の前側に締結されている。
【0032】
したがって、左サイド支持フレーム33は、左右方向(車幅方向)から見てPCU12の左側端面12aと重なる位置に配設されている。さらに、左右方向において、左サイド支持フレーム33とPCU12の左側端面12aとの間には、上述した各電力供給線21(PCU側接続部25及び外側配線部26a)が配設されている。具体的に、左サイド支持フレーム33のうち、前後フレーム42は、PCU12における左側端面12aの上部で、左右方向から見てPCU側接続部25と重なる位置に配設され、上下フレーム43は左右方向から見てPCU12における左側端面12aの前部と重なる位置に配設されている。
【0033】
また、図4に示すように、左サイド支持フレーム33には、電力供給線21の中間部26のうち外側配線部26aを保持するブラケット(保持部材)51が設けられている。このブラケット51は、各外側配線部26aを保持するブラケット本体52と、ブラケット本体52と前後フレーム42との間を架け渡す第1ステー53と、ブラケット本体52と上下フレーム43との間を架け渡す第2ステー54と、で構成されている。
【0034】
ブラケット本体52は、前後フレーム42の下方、かつ上下フレーム43の後方に位置する部分において、PCU12に対して外側配線部26aよりも外側を電力供給線21の配列方向、すなわち前後方向に沿って延在する板状に形成されている。
第1ステー53は、ブラケット本体52のうち前後方向に沿う中間部分から上方に向けて延在しており、その上端部が前後フレーム42の前後方向に沿う中間部分に締結されている。
また、第2ステー54は、ブラケット本体52のうち前端部から下方に屈曲した後、前方に向けて延在しており、その前端部が上下フレーム43の上下方向に沿う中間部分に締結されている。
【0035】
ブラケット本体52の前後方向において、各外側配線部26aに対応する位置には、各外側配線部26aを個別に保持する複数のクリップ55が取り付けられている。各クリップ55は、PCU12に対して内側に向けた状態でブラケット本体52に取り付けられ、各外側配線部26aをそれぞれ各別に径方向の両側から挟持している。これにより、各電力供給線21がブラケット本体52にまとめて保持される。
【0036】
このように、本実施形態では、左サイド支持フレーム33が外側配線部26aよりもPCU12に対して外側に配置されるとともに、左右方向の外側から見て、PCU12の左側端面12aに重なるように配置されている構成とした。
この構成によれば、左サイド支持フレーム33により電力供給線21(PCU側接続部25や外側配線部26a)を保護できる。すなわち、万が一、側突時において車体2の例えば左側方から衝撃荷重が入力された場合に、PCU12の周辺部材(例えば、低電圧バッテリ等)が電力供給線21に向けて押し込まれたとしても、電力供給線21に向けた周辺部材の移動を左サイド支持フレーム33により規制できる。これにより、周辺部材が電力供給線21に接触するのを抑制し、電力供給線21の損傷を抑制できる。
また、PCU12を支持する左サイド支持フレーム33自体が、電力供給線21を保護する役割を備えているため、例えば別体の保護部材を取り付ける場合に比べて、部品点数の削減を図ることができる。
【0037】
また、左サイド支持フレーム33が、電力供給線21よりも前方において、上下方向に沿って延在する上下フレーム43を備えているため、仮に前方衝突時等において車体2の前方からの衝撃荷重により周辺部材が後方に向けて押し込まれたとしても、電力供給線21に向けた周辺部材の移動を上下フレーム43により規制できる。これにより、周辺部材が前方から電力供給線21に接触するのを抑制し、電力供給線21の損傷を抑制できる。
【0038】
また、各電力供給線21の外側配線部26aがブラケット51を介して左サイド支持フレーム33に保持されているため、電力供給線21の揺動がPCU側接続部25と、PCU側端子ボックス22内のバスバーと、の電気的接続部分に伝わるのを抑制することができる。すなわち、PCU12及び電力供給線21のPCU側接続部25は同位相で振動し、電力供給線21の中間部26はPCU12及び電力供給線21のPCU側接続部25に対して揺動する。これにより、電力供給線21のPCU側接続部25と、PCU側端子ボックス22内のバスバーと、の電気的接続部分において発生する応力を抑制できるので、PCU側接続部25の電気的接続部分の損傷を抑制できる。
さらに、ブラケット51は各電力供給線21の外側配線部26aを保持しているため、電力供給線21のPCU側接続部25における電気的接続部分に近い位置を保持でき、電力供給線21の中間部26の揺動がPCU側接続部25の電気的接続部分に伝わるのを効果的に抑制できる。
しかも、ブラケット51の第1ステー53及び第2ステー54が、左サイド支持フレーム33のうち前後フレーム42及び上下フレーム43にそれぞれ締結されているため、左サイド支持フレーム33上において第1ステー53及び第2ステー54の締結位置を確保し易くなる。また、異なる方向に延在するフレーム42,43に各ステー53,54を固定するため、電力供給線21の各方向への揺動に対してもPCU側接続部25を確実にユニット支持フレーム31へ固定できる。そのため、ブラケット51を左サイド支持フレーム33により強固に固定でき、電力供給線21におけるPCU側接続部25での電気的接続部分の損傷を確実に抑制できる。
【0039】
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、高電圧バッテリを電力源として駆動する電気自動車1に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず電力源を燃料電池とする燃料電池車両にも本発明を適用することが可能である。
また、左サイド支持フレーム33が電力供給線21よりもPCU12に対して左右方向の外側に配置されるとともに、左右方向から見て、PCU12の左側端面12aに重なるように配置されていれば、ユニット支持フレーム31の形状は適宜設計変更が可能である。すなわち、左サイド支持フレーム33の上下方向に沿う位置は、PCU12の上下方向の高さ範囲内で適宜設計変更が可能である。
さらに、電力供給線21が少なくともPCU12の端面に沿って配索されていれば、モータ11までの配索経路は適宜変更可能である。
また、上述した実施形態では、モータ11の上方にPCU12を配設する構成について説明したが、これらの位置関係は適宜変更可能である。
【0040】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0041】
2…車体 11…モータ(走行用モータ) 12…PCU(パワーコントロールユニット) 12a…左側端面(端面) 21…電力供給線 25…PCU側接続部(配線接続部) 26a…外側配線部 31…ユニット支持フレーム 33…左サイド支持フレーム(幅方向外側フレーム) 42…前後フレーム 43…上下フレーム 51…ブラケット(保持部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力源からの電力を所望の電力に変換して走行用モータに供給することで、前記走行用モータを駆動制御するパワーコントロールユニットの車体への取付構造であって、
前記パワーコントロールユニットを支持するユニット支持フレームを備え、
前記ユニット支持フレームは、前記パワーコントロールユニットのうち前記車体の幅方向の端面に沿って延在する幅方向外側フレームを備え、
前記パワーコントロールユニットと前記走行用モータとを電気的に接続する電力供給線を備え、
前記電力供給線は、
前記パワーコントロールユニットに接続される配線接続部と、
前記配線接続部から前記パワーコントロールユニットの前記端面に沿って延在する外側配線部と、を備え、
前記幅方向外側フレームは、前記パワーコントロールユニットに対して前記外側配線部よりも前記幅方向の外側に配置されるとともに、前記幅方向から見て、前記パワーコントロールユニットの前記端面に重なるように配置されていることを特徴とするパワーコントロールユニットの車体への取付構造。
【請求項2】
前記幅方向外側フレームは、
前記車体の前後方向に沿って延在する前後フレームと、
前記電力供給線よりも前方において、前記車体の上下方向に沿って延在する上下フレームと、を備えていることを特徴とする請求項1記載のパワーコントロールユニットの車体への取付構造。
【請求項3】
前記幅方向外側フレームには、前記電力供給線の前記外側配線部を保持する保持部材が固定されていることを特徴とする請求項2記載のパワーコントロールユニットの車体への取付構造。
【請求項4】
前記保持部材は、前記幅方向外側フレームのうち、前記前後フレームと前記上下方向フレームとにそれぞれ連結されていることを特徴とする請求項3記載のパワーコントロールユニットの車体への取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−103582(P2013−103582A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248159(P2011−248159)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】